モバP「幻想と現実の符合」 (64)

モバマスSSです。

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おっ、古典シリーズか?支援

古典シリーズです。

今回は正直古典的な要素はほぼないです。

次からは精進します。

蘭子「やみのまっ」

P「おぉ、元気だな」

蘭子「ふふっ、当たり前ぞ」

夕美「おー、お疲れー」

幸子「相変わらずよく分からない挨拶ですね。疲れませんか?」

ちひろ「お疲れ様でーす」

蘭子「……」キョロキョロ

泰葉「どうかしたんですか?」

蘭子「最近、ここに…物が増えたなぁって」

P「まぁ、確かに、招き猫が二個にいつの間にか花も増えたしな」

夕美「ちゃんと世話してるからいいでしょ?」

P「いや、勿論いいんだけどな。華やかになるしな」

泰葉「あ、これも置いていいですか?」

P「ん?なんだそれ?」

泰葉「私、ドールハウス作るのが趣味なんですけど…」

ちひろ「あ、これ、事務所ですよ。良く出来てますねー」

蘭子「おぉ…!」キラキラ

夕美「こういうのってどれくらい時間かかるの?」

泰葉「結構かかっちゃいましたね。お仕事の合間とかに作っていたので」

P「勿論置いていいぞ」

泰葉「はい。ありがとうございます」

蘭子「……」ジー

幸子「どうかしたんですか?」

蘭子「え、あ、その…、ちょ、ちょっと来て…!」グイッ

P「おお? 分かったからそんなに引っ張るなって」

P「それでどうしたんだ?」

蘭子「えっと…私も何か持ってきて…いい?」

P「別にいいぞ。でもゲームとかは止めてくれな」

蘭子「う、うんっ!」コクコク

P「それと、髑髏とか、禍々しいのもダメだぞ?」

蘭子「え…」

P「お客さんも来るかもだからな。それを守れるなら持ってきてもいいぞ」
蘭子「…うん」

卯月「何してるんですかー?」

P「お、卯月か。おはよう」

卯月「卯月ですよー。おはようございます。蘭子ちゃんが真剣な顔してますけどどうかしたんですか?」

P「あぁ、実はな――」

卯月「なるほどー。そうなんですね」

P「そんなに深刻な問題じゃないんだけどな」

蘭子「そ、そうですけど…」

卯月「でも、分かるよ蘭子ちゃん。皆が何か置き出したら自分も置きたくなるよね」

蘭子「……!」コクコク

P「そういうもんなんだな」

卯月「そうなんですよ。でも、確かにPさんの言うことにも一理ありますよね…流石に髑髏とかあったら、私だったら驚いちゃいますし…」

蘭子「…そういうのじゃないのも…あるけど」

卯月「あ、そうだ。それじゃ、Pさんが見てあげればいいじゃないですか」

P「俺が?」

卯月「はい。それなら万事解決ですね! 我ながら名案だと思います。それじゃレッスン行ってきますねー」

P「行っちゃったよ…」

蘭子「…ウチ、来るんですか?」

P「いや、別にそこまで本気にしなくても…ほら、絵だったら飾るぞ?」

蘭子「絵はちょっと…」

蘭子(恥ずかしいかな…)

P「蘭子?」

蘭子「ええいっ! 下僕が主の部屋に来るのは当然のことよ!」

P「お、おう…」

蘭子「あっ、でも…今日は…ダメ」

P「分かった分かった。それじゃ、準備出来たら教えてな」

蘭子「…うん」コク

車内

杏「ねーねー」

P「…どうした?」

杏「風の便りに聞いたんだけど」

P「おう」

杏「事務所に何か私物持ってきていいんだって?」

P「まぁ、そんな大々的に許可したわけじゃないけどな。傷む場合もあるし、自己責任だけど」

杏「ふーん。ならさー杏は事務所に住んでいい?」

P「…は?」

杏「いや、移動の手間が省けるじゃん。温かいし」

P「流石にダメだな」

杏「やっぱりか」

P「あぁ、俺が杏の体調管理が出来なくなるし」

杏「どういうこと…?」

P「いや、深い意味はないんだが、杏ってさ、体調悪かろうが良かろうがそんな感じに気怠そうだろ?普段から接してないと正確には分からないんだよ」

杏「いや、事務所に住んでも接するよ?」

P「なんて言うかな。車の中が一番分かる気がするんだよ」

杏「ふーん。そなんだ。そんじゃ、まぁ、杏引越し計画はひとまず白紙に戻すよ」

P「そうしてくれるとありがたい」

杏「…飴くれる?」

P「そこに置いてないか?」

杏「杏が選んだ飴はここにはないね」

P「そうか。それじゃ、赤信号まで待っててな」

杏「もう、しょうがないなぁ…」

周子「お、おかえり」

杏「ん。ただいま」

P「どうしたんだ外になんか出て」

周子「いや、ちょっと涼みに出てただけ」

P「涼みに…って寒くないか?」

周子「実家のが寒かったからそうでもないけど…」

杏「杏の周りは暖かったよ」

周子「暖房で?」

杏「プラス炬燵だね」

P「それはいいな」

周子「折角三人いるから何か食べる?」

杏「さんせーい。そして、出来るまで杏はゴロゴロするから」

周子「たまに杏が何歳か分からなくなるよ」

P「それは少し思うな」

周子「実は妖精だったりして?」

P「ないだろそれは」

周子「だよねー」

杏「それでどうすんのさ…?」

P「なんだ、部屋に帰ったんじゃなかったのか」

杏「まぁ、どっちでもいいんだけどどうなったか知りたいじゃん?」

P「そりゃそうだな」

周子「なににしよっか。鍋?」

P「鍋持ってるのか?」

周子「いや、持ってないけど」

P「それじゃ、スーパーに鍋ごと買いに行くか」

周子「そうしましょうか。杏は?」

杏「…そろそろ、飴が切れそうだからよろしく」

P「来ないんだな…」ハハ

スーパー

P「ここまで来ておいてなんなんだが…」

周子「どしたの?」

P「変装になってるのかそれ?」

周子「変装の為に付けてるわけじゃないから何とも言えないね」

P「そうか…。そう言えば、スーパー入ってから携帯弄ってるけどゲームでもやってるのか?」

周子「いや、どうせだったら誰か呼ぼうかと。誰か呼びたい人いる?」

P「時間も時間だし、若いのはなぁ…」

周子「分かった。じゃあちひろさんね」

P「その回答はどうかと思うが…」

周子「気にしない♪」

ちひろ『はい。もしもしー?あ、周子ちゃんですか? こんばんは』

周子「あ、ちひろさんって今どこにいるの?」

ちひろ『私ですか? 私は、もう家ですけど』

周子「ご飯は?」

ちひろ『献立を考えてる所ですけど…何かありましたか?』

周子「よし、まだセーフだね。今からPさんの部屋でご飯食べるから来ない?」

ちひろ『え、いいんですか?』

周子「いいんじゃない?Pさんもいいって言ってたし」

ちひろ『ま、まぁ、何を作るか迷ってた所ですし、邪魔じゃなければお邪魔させて貰いますね』

周子「分かったー。それじゃ、あとでPさんを迎えにあげるね」

ちひろ『分かりました。それでは』

P「迎えに行くのはいいんだが、せめて一言言ってくれよ」

周子「あ、ごめんごめん。代わりに準備は全部やっておくからさ」

P「まぁ、それなら。で、結局鍋でいいのか?」

周子「うん。温まりたいしね」

P「それじゃ、鍋から買うか…」

周子「ごめんね。お金払うからさ」

P「いや、いいって。一人暮らしだと何かとお金も入用なんだから貯めておきなよ」

周子「うーん…あ、それじゃ、材料費は出すよ。意地でも」

P「それじゃ、お願いな」

P(そっちのが高そうなんだけど…)

周子「そう言えばさー」

P「どうかしたか? 多分大体材料は揃った気がするが…」

周子「いや、それはそう思うよ。じゃなくて、楓さんと二人で行ったロケどうだったの?」

P「どうって、特に」

周子「ふーん。まぁ、いいんだけどさ」

周子(楓さんの話聞く限り何かあったと思うんだけどなぁ…)

周子「ま。いっか。それじゃ帰ろっか」

P「あぁ、荷物置いてちひろさんの所行かなきゃな」

車内

ちひろ「わざわざすみません…」

P「いえいえ、こっちが誘ったことなんで」

ちひろ「あ、でも、ここまで迎えに来てくれるなんて」

P「車だとすぐですからお気になさらず」

ちひろ「は、はい…」

P「鍋ですけど、嫌いな食べ物とかありますか?」

ちひろ「えーと、平気ですよ」

P「そうですか。それはよかったです」

P「そう言えば、ちひろさん」

ちひろ「はい。なんでしょう?」

P「事務所で着ていた服と違いますね」

ちひろ「そりゃ、もう着替えちゃいましたからね。あちらの方が良かったですか?」

P「いえ、そういう訳では…」

ちひろ「え、まさか、あのスーツ似合ってませんか?」

P「そんなことはないですけど…」

ちひろ「な、ならいいですけど」

ちひろ(良かったぁ…)

P宅

P「ただいま」

周子「あ、おかえり」

杏「…ん」

ちひろ「お邪魔しまーす」

周子「もう準備出来たからいつでも平気だよ」

杏「もう明日頑張る分の元気も使っちゃったよ。どうしよう?」

P「気合いだな」

杏「うえぇ」

ちひろ「あ、美味しそうですね」

周子「まぁ、鍋の素いれただけなんだけどね」

杏「それじゃ、いただきます」

P「いただいきます」

P「美味いな」

杏「飴の次にはイケるね」

ちひろ「体が温まりますねぇ…」

周子「何か冬って感じだねぇ」

P「あ、ちひろさん、何食べますか?」

ちひろ「あ、私はネギを」

P「はい。どうぞ」

ちひろ「あ、どうも」

杏「杏は肉が欲しいなー」

P「ほれ」

杏「はい」

杏「なんかさー」

P「うん?」

杏「周子がこの人の胃袋を掴み始めてる気がするんだよねー」

周子「そう?」

ちひろ「な、なるほど…そういうことが」

P「まぁ、偶にご飯貰うけど」

周子「んー。どうだろうね」

杏「ま。杏的にはどうでもいいけど。それより、〆はなんなのさ」

P「〆はうどんだな」

ちひろ「あ、いいですね」

P「ごちそうさまでした」

周子「どういたしまして」

杏「眠くなってきたからここで寝ていい?」

P「出来れば帰ってくれると嬉しい」

杏「出来ないから寝るね」

ちひろ「あ、洗い物が私がやるんでゆっくりして下さい」

P「でも…」

ちひろ「いいですから。周子ちゃんもゆっくりしてて良いですよ」

周子「ありがとー」

ピリリリ

P「お、電話だ。ちょっとごめんな」

P「はい。もしもし」

蘭子『や、闇に―』

P「なんだ、蘭子か。どうした?」

蘭子『あう。えっと…明日だったら来ても、いい…よ?』

P「分かった。ありがとな」

蘭子『闇に飲まれよっ!』

周子「誰から?」

P「蘭子からちょっとな」

周子「ふぅん?」

杏「……」スー

すみません。ここで中座します。

続きは夜にでも書きたいと思います。

おつおつ
まあ古典要素入れなきゃ(使命感だと本末転倒だろうし、多少はね

乙りん
おいしいおいしい苺天ぷらうどんをあげましょう

このシリーズでのしゅーこの正妻感

後生ですから古典シリーズの時系列教えてください

>>28 一応時系列順に書いていますよ。
    凛の話だけ回想だったりしますけど。

>>25 なくはないんですけどね。ただ、古典と言えるかどうか…。

翌日

「おはよう蘭子」

蘭子「や、闇に――」

泰葉「おはようございまーす」

P「お、泰葉もいたのか」

泰葉「はい。Pさんが変なことしないか見張るために」

P「信用無いな…」

泰葉「あはは。まぁ、女の子には見られたくない物事があるんです」

P「分からなくはないけどな」

泰葉「えぇー…」

P「なんだその反応は」

蘭子「我が冥府への扉よ、今こそその力を」ガチャ

P「綺麗な部屋だなぁ」

P(てっきり黒魔術の巣窟みたいな部屋をイメージしてたんだが)

泰葉「頑張りましたから」

P「なにをだ?」

泰葉「お掃除を」

蘭子「これとかは…どう…かな?」

P「ペンデュラムか」

蘭子「いかにも、我が覇道を違わぬものにするものよ!」

P「でも、これって飾っておくものだっけか?」

P(ファッションとしてはいいけども…)

泰葉「確かに身に着けてなかったら道が分からなくなっちゃいそうですね」

蘭子「な、なるほど…」

P「剣とか銃とか大きいものは流石にな」

蘭子「銀の弾丸は無理か…」

蘭子「それでは、この災厄を跳ね返す神の鏡を…!」

P「これならいいかもな」

泰葉「鏡かぁ…あはは」

P「どうかしたか?」

泰葉「あ、いえ、別に」

P「そう言えば最近は何ともないか?」

泰葉「え?あぁ、勿論ですよ」

蘭子「あのー…」

P「うん。そうだな。これならいいよ」

蘭子「恩に着るぞ」

P「それじゃ、事務所行くか」

水晶玉とかおいてありそう(小並感)

事務所

蘭子「~♪」

ちひろ「蘭子ちゃん随分と機嫌がいいですけど何かしたんですか?」

P「いや、以前から何か自分のものを置きたいって言ってたんで鏡を置かせてあげたんですよ」

ちひろ「鏡に仰々しい台座が付いたあれですか?」

P「えぇ」

ちひろ「まぁ、確かに身だしなみにも使えるかもしれませんし、いいかもしれませんね」

P「本人曰く、災厄を跳ね返す神の鏡だそうです」

ちひろ「蘭子ちゃんらしいですね」

蘭子「わ、我が下僕よっ、ここに配置しても構わぬか?」

P「いいぞ。入口の目の前とか驚く所に置いたりとかしなければ」

蘭子「や、闇に飲まれよ!」

P「飲まれちゃダメだろ」

蘭子「む…。我は混沌を愛する魔王ぞ?」

P「まぁ、そうだけどな。あ、あと、割らないようにな」



事務所

P「お疲れ様でーす」

凛「あ、お疲れ様」

幸子「お疲れさまです」

頼子「あ…どうも」

文香「お疲れ様…です」

蘭子「闇に飲まれよ!」

P「皆そっちに集まってなにしてるんだ?」

ちひろ「あ、プロデューサーさんお疲れ様です」

P「ちひろさんも何してるんですか?」

凛「ちょっとした怪談話だって」

ちひろ「えぇ、この事務所で起きた不可解な事件を…」

P「はぁ…」

P(そんなのあったっけ?)

幸子「事件は怪談に入るのでしょうか…」

頼子「不可解なことと言うのは…得てして思い込みが影響していると思いますけどね」

ちひろ「それではお話ししたいと思います。皆さんは事務所にどのくらいまでいますっけ?」

凛「いても八時とか九時かな?」

P「じゃないと親御さんが心配するしな」

ちひろ「そうですね。私とプロデューサーさんはですね、当然もっと遅くまで残ってます」

ちひろ「てっぺんに行くか行かないの時間になるとですね。それはもう静かなんです」

P(確かになぁ…)

ちひろ「その時ですね。聞こえるんですよ」

幸子「な、何がですか?」

ちひろ「ガタガタって何かが揺れる音が」

凛「誰かいたのかな?」

頼子「Pさんではないでしょうか?」

P「俺じゃないよ」

ちひろ「えぇ、その時はプロデューサーさんは仮眠を取られていました」

ちひろ「最初は私も気のせいだと思ったんですよ。だけどですね…」

ちひろ「ドンドン、ドンドンってドアを叩くような音がするんです。階段を登るような音も聞こえてきました」

蘭子「ふ、ふっ、げ、幻想に惑わされるなど…」

幸子「こ、声が震えてますよ?」

ちひろ「それで、私はプロデューサーさんを呼ぼうとしたんですが、死んだようにぐったりされてましたのでそういうわけには行きませんでした」

文香「…まさか」

ちひろ「えぇ、私は意を決してドアに手を掛けてそして…」

凛「……」ゴクリ

ガチャ

美嘉「皆お疲れ様ー!」

莉嘉「おつかれー!」

蘭子「ひぁ!?」

幸子「ひっ!?」

頼子「…っ!」ギュ

文香「…あっ!」ギュ

凛「……」

美嘉「あれ?皆どうかした?」

P「お、お疲れ美嘉。ちょっとな」

莉嘉「あ、二人共Pクンに抱き着いててずるーい。莉嘉もー」ギュ

P「あはは…」

ちひろ「凛ちゃーん、大丈夫ですか?」

凛「……はっ! 大丈夫。問題ないよ」

ちひろ「そう、よかった…」

ちひろ(今、間違いなく意識がどこかに行ってましたね…)

美嘉「なるほどねー。それは皆に悪いことしちゃったかも」

莉嘉「莉嘉も聞きたかったなー」

P「ちひろさんが結構話すのが上手かったんだよ」

ちひろ「まぁ、ちょっとぽくしてみました」エヘヘ

P「ちなみにあの話は…?」

ちひろ「実話ですよ。まぁ、実際は、途中で音は止みましたけど」

幸子「じ、実話なんですか!?」

蘭子「空想が実体を持つなどありえぬ!」

凛「ふーん。そうなんだ。別にいいけど」

頼子「…なら、Pさんのスーツの裾から手を離したらどうですか?」

文香「先程は取り乱してしまいました…すみません」ペコリ

P「別にいいですけど」

P「さてと…」

幸子「Pさん、ボクを送っていってもいいですよ?」

P「いきなりどうした?」

幸子「いえ、ボクを送りたそうだったので」

P「そんな風に見えたのか」

凛「プロデューサーちょっと」

P「ん?」

凛「今日送ってくれない? あれのせいでちょっと…」

P「ん?分かった。幸子もか」

幸子「だ、だからそう言ってるじゃないですか」

P「それじゃ、ちょっと二人送ってきますね」

ちひろ「はーい」

ちひろ(そこまでなんてちょっとやり過ぎちゃいましたかね…?)

ちひろ「気分転換になればいいと思ったんですけど…」

頼子「偶然が重なりましたからね…」

文香「…雰囲気的にも皆が息を呑んだ時でしたからね」

ちひろ「ちょっと罪悪感を覚えますね…」シュン

蘭子「ほ、本当にさっきのお話は…本当のお話?」

ちひろ「残念ながら…」

蘭子「うぅ…」

蘭子(一緒に帰ればよかったなぁ…)

文香「そう言えば…古澤さんはどうされますか?」

頼子「何がです?」

文香「ここで、あの方が送ってくれるのを待ちますか?」

頼子「どちらでもいいですけど…」

文香「なら…、久しぶりに叔父の古本屋に来ませんか?」

頼子「構いませんが…」

ちひろ「お疲れ様でーす」

蘭子「わ、私はどうしたら…」オロオロ

ちひろ「多分プロデューサーさんが戻ってきますから。それまで待ってたらどうですか?」

蘭子「は、はい…」

ちひろ「なんなら、寝ててもいいんじゃないですか? レッスンとかで疲れてるでしょうし」

P「ただいま帰りまし――」

ちひろ「静かに…」

P「あ、寝ちゃいましたか」

ちひろ「えぇ、疲れてたみたいなんで」

P「それじゃ、目が覚めたら送っていくことにしますね」

ちひろ「そうしてあげて下さい」

蘭子「……ん」

P「あ、起きたか?」

蘭子「私、寝て…その、ごめんなさい」

P「別にいいって。疲れてたんだろ?」

蘭子「…うん」

P「もうちひろさん帰っちゃったから帰ろうか」

蘭子「…ありがと」

P「どうした? らしくないな。熱でもあるのか?」スッ

蘭子「…っ!やっ!」ビクッ

P「お、ごめんごめん」

蘭子「あ、えっと、やじゃない!けど…」カァァ

P「はは。どうした蘭子」

蘭子「えっと…」

ガタガタガタ

P「…ん?」

蘭子「ひっ!」ビクッ

P「なんか音がしたな。雨でも降ってるか?」チラッ

P「降っては…ないな」

ガタガタ

蘭子「……んっ!」ギュ

P「よしよし、蘭子大丈夫だからなー」ナデナデ

蘭子「…もっと」

P「ん?」

蘭子「もっとして…」

P「はいはい。それはちょっと外見てきてからな」

蘭子「え…」

P「何があるか気になるだろ」

蘭子「でも…」

P「それじゃ行ってくる…」

蘭子「わ、私も行く…!」

蘭子(何か嫌な予感がする…)

ガチャ

P「誰かいますかー?」

蘭子「……」ソー

「……」

蘭子「え…」

蘭子(誰か…いる…?)

P「蘭子伏せろ!」

蘭子「え…」

蘭子「え、え…何、え?」

P「落ち着いて聞いてくれ」

蘭子「どうして…そんなに焦って?」

P「あれはキョンシーだ。知ってるだろ」

蘭子「え、でも…」

P「初めて見るよ。どうしてここにいるのか分からないが」

蘭子「は、初めて見た…そ、それで、どうするの?」

P「俺が時間を稼ぐから蘭子は逃げてくれ」

蘭子「え…どうして」

P「蘭子が大切だからさ」

蘭子「じゃなくて…!どうして一緒に…!」

蘭子「もしかして…」ハッ

蘭子(さっき怪我を…?)

P「ごめんな。これ以上一緒にいたら迷惑掛けちゃうからさ…」

蘭子「そんな!迷惑なんて思ってない!」ポロポロ

P「なんで、泣いてるんだよ。蘭子は魔王なんだから泣いちゃだめだろ…」

P「とにかく俺が何とかするから逃げてくれよ? 最後のおねが――」

蘭子「やだっ!」

蘭子「絶対…何とかするもんっ。わ、私が…」

P「ありがとう。その気持ちだけで嬉しいよ」

「……」

蘭子「あ、ああ…」

蘭子(このままじゃ…)

蘭子「ダメぇっ!」

「……」ピタッ

P「……え?」

蘭子「え、あ、なんで…?」

P「動きが止まった…」

蘭子「ど、どういうこと?」

P「鏡…か?」

蘭子「え…?」

P「あぁ、思い出したよ。キョンシーってのは鏡を見ると動きが止まるんだよ。流石、魔王特製の災厄を跳ね返す鏡なだけはあるな」

蘭子「ふ、ふんっ!我を誰だと思ってる!」

蘭子「漆黒の魔王ぞ!」

事務所

P「おーい。蘭子」

蘭子「……ん」

P「お、起きたか」

蘭子「…あ、あの!怪我は大丈夫です…か?」

P「ん?怪我ってどこも怪我してないんだが…」

蘭子「え、でも、さっきキョンシーが…」

P「キョンシーってあの?」

蘭子「……」コクン

ちひろ「なんですかそれ?」

蘭子「あれ…?」

P「ひょっとして夢でも見てたのか?」

蘭子「……」カァァ

ガタガタガタ

P「ん?」

ちひろ「あ、この音ですよ。さっき話してたのって」

蘭子「……」ビクッ

蘭子(え、これってまさか…)

P「ちょっと見てきますね」

蘭子「あ、ダメ…」

蘭子(殺されちゃう…!)

P「……ん?」

蘭子「い、行かせない…」ギュウウウ

ちひろ「ええっ!?」

ちひろ(いきなり、抱き着いて!? とりあえず、写真でも撮ればいいのかな…?)パシャ

菜々「おつかれさ…あ、間違えましたー」

P「間違ってないですよー、菜々さーん」

菜々「え?えぇ!?間違ってないのも問題だと思うんですけど」

P「確かにそうですねぇ…」

P「蘭子、そろそろ力緩めてくれないか?」

蘭子「…行かない?」

P「あぁ、行かないって」

蘭子「ならいいけど…」スッ

菜々「あ、そうだ。聞いて下さいよPさん」

P「はい?なんですか?」

菜々「ちょっと風のせいか知らないんですけど、音が鳴ってますよ?」

蘭子「…え?」

P「あ、そうでしたか。ありがとうございます」

ガタタタタ

菜々「そうそう、こんな感じのが」

P「明日にでも業者に頼んでおきますね」

蘭子「……ふぇ?」ペタリ

P「蘭子…?」

蘭子「良かった…本当に良かった…」グスッ

P「大丈夫か?」

菜々「あー、Pさん蘭子ちゃん泣かせちゃいましたねー」

P「この間の周子の真似ですか?」

菜々「あ、分かります?」

P「えぇ、似てないですけど」

菜々「むむむ。いつか誰かの物真似でアッと言わせてやりますからねっ!」

菜々「って、それより、蘭子ちゃん大丈夫なんですか?」

P「分かってますって。蘭子大丈夫か?」

蘭子「……ひっく」コクン

蘭子「えっと……」

P「なるほどな。夢でそんなことが」

P「流石神の鏡だけあるな蘭子」

蘭子「……」コクン

菜々「ナナもそんな夢見たら泣いちゃうかもですねぇ」

P「そうなんですか?」

菜々「そうですよ」

P「ウサミンパワーで倒したりしないですか?」

菜々「ウサミンパワーはそんなに物騒じゃないですよっ」

ちひろ「みなさーんそろそろ帰りませんか?」

P「あ、そうですね。それじゃ、送っていきますよ」

車内

菜々「しかし、夢の中のPさん中々カッコいいことしてましたね」

P「そうですね」

菜々「ナナの夢の中でもしてくれますか?」

P「まぁ、時と場合によっては…」

菜々「いつでもヒーローでいて下さいよー…」

P「そうですね」

蘭子「……」スー

ちひろ「お疲れ様です蘭子ちゃん」ナデナデ



菜々「それじゃ、失礼しまーす」

ちひろ「あ、私も降りますね」

P「お疲れ様です」

P「蘭子着いたぞー」

蘭子「…ん。ありがと」

P「いやいや、こっちこそありがとな」

蘭子「…?」

P「だって、俺の為に頑張ってくれたんだろ?」

蘭子「あ、あれは、その…たまたま」

P「それでも、ちょっと嬉しかったよ。それじゃあな」

蘭子「あ、うん…お疲れ様…」

P宅

ピリリリ

P「はい、もしもし」

蘭子『あ、あのっ…!』

P「お、蘭子か、どうした?」

蘭子『も、もしっ、現実にああいうことがあっても…私、が、頑張るからっ…!』

P「俺も頑張って蘭子を守るよ」

蘭子『う、うん!』

P「おやすみ」


蘭子の部屋

蘭子「…えへへ」

蘭子「一緒に、頑張ろう、ね?」

古本屋

文香「そう言えば…ちひろさんの怪談話は実際の所どうなんでしょうね」

頼子「別に特に気にする必要はないと思いますけれど…」

頼子「そう言えば…一ついいですか?」

文香「はい、なんでしょうか?」

頼子「今日はどうして私を…呼んだんですか?」

文香「いえ、久々にお話がしたくてですね…」

頼子「それでしたら…お昼にでも言って頂ければ良かったのに」

文香「そ、それは…」

頼子「ひょっとして…」

文香「べ、別に怖くなったりしてませんから…!」

頼子「…そうですか。ふふ」

終わりです。
昼と夜に分かれてしまい申し訳ありませんでした。

簡単な解説です。

正直今回の話は夢オチです。随分と即興で作った為にこのような形になりました。

キョンシーとは、元々中国の物語に出てきたものです。

中国においては、人が死んで埋葬する前に室内に安置しておくと、夜になって突然動きだし、人を驚かすことがあるそうです。

ちなみに述異記にキョンシーが出たという記述はありますが、定かではありません。

文中にも出てきましたが、キョンシーは鏡を見ると動きを止めます。

正夢を取り扱って今回に合うような古典を見つけられずこのような形になってしまいました。

今後は精進します。

しかし、二周年記念で色々なアイドルが出てきたせいで目移りしそうです。

おつかれちゃん

おつでした
久しぶりに古典シリーズを見かけた気がする

キョンシーって古い映像のイメージ的に、顔にお札貼って動きを止めるイメージがあるな
あとは腕を前に伸ばしたまま手首だけ下げて、ピョンピョン飛び跳ねて動くとか

蘭子かわいい(白目)

イベントの蘭子が雌の顔すぎて辛いです……

1>> 乙です。
この事務所の雰囲気自体、大好きなので
仮に古典要素とか薄くても…ぶっちゃけ無くても全然良いと思います
日常を見られるだけでも歓喜、続編期待してますね。

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