仮面ライダー龍騎「魔法少女まどか☆マギカ・・・?」 (176)

この作品は私が2年前に連載中に休載状態になってしまった作品の完全版です。
最初に私事が非常に忙しくなってしまい、蒸発してしまったことをお詫び申し上げます。

・題名通り仮面ライダー龍騎と魔法少女まどか☆マギカのクロスSSです。
・龍騎はエピソードファイナル終了直後から始まりますが一部のTV版の設定も入っています。
・龍騎ライダーは合計で4人出す予定ですが内3人は中盤以降に出る上に内一人は設定をいじってほぼオリキャラと化しているのでご注意を。
・基本キャラ崩壊及び原作崩壊上等ですので一部のキャラの性格が違うかもしれません。
・龍騎もまどか☆マギカも本編がアレなので極力バッドエンドにはしない予定です。
・あとこのSSは地の文を普通に使っています。
・さらに鹿目まどかがかなり空気化していますので気になる方はご注意を。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1382357794

辺りがすさまじい爆音で包まれる。
大量のミラーモンスターが現実世界に流れ込みそれらを倒すために真司と蓮は今なお戦い続けていた。
彼らの周りには空を覆い尽くす数のモンスターがいた。
すでに戦いを初めてかなりの時間が経過していた。

真司「くそっ、こいつら倒しても倒しても次々に来やがる!」

蓮「まさか、もう限界とは言わないだろうな?」

真司「そんなわけないだろ、お前こそくたばるんじゃないz」

真司が蓮を激励しようとしていたその瞬間だった。

キィィィンキィィィン

真司「!?、なんでこんな時にこの音がするんだよ…」

真司が近くのビルの割れてない窓ガラスを見るとそこに仮面ライダーオーディンが映っていた。
しかし、士郎が消滅した影響かオーディンもチリのようのものが浮かび今にも消えそうだった。

真司「お前は!」

オーディン「神埼優衣が死亡もしくは消滅した例はいくつかあったがまさか神埼士郎まで消滅するとはな」

オーディン「修正が必要だ、もっとも神埼士郎が消滅したのは今までになかったからお前たちがどうなるかは分からんがな」

そう言うと鏡に映っているオーディンはデッキから一枚のカードを抜き取る。
そのカードを見た真司は顔色を変え辺りのモンスターのことを忘れただ叫んだ。

真司「やめろぉぉぉぉぉぉ!!」

『TIME VENT』

そして世界は再び振り出しに戻った。
しかし、今回のループは神埼士郎の意志によるものではなかったためかイレギュラーが起こった。
これによりこの世界の城戸真司達はこの世界から完全に消滅した。

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真司「う、んぁ」

真司(ここは、俺がOREジャーナルに寝泊まりする前のアパートか?それにしては細部が違うような)

真司「そうか結局また繰り返されたのか…クソッ、また全部やり直しかよ! 」

真司「でも初めからやり直しってことは今度こそ手塚達を助けられるかもしれない。そうと決まったら」

真司はまず今どの時間に戻されたのか確認するために部屋にかけられていたカレンダーを見た、しかし。

真司「何だこれ?“3月25日見滝原中学校転入”えぇ、中学校!?俺もう大学卒業してるよ、一体なんの間違…」

偶然真司は鏡に映った自分を見て愕然とした。

真司「俺が若くなってるって何ぃ!?何で俺若くなってるんだよ、鏡の中にもう一人の俺がいるって知った時よりショックだよ! 」

真司「でも、そういやあいつ時間を巻き戻す前に『お前たちがどうなるかは分からない』って言っていたような」

真司「それじゃあいったいここはどこなんだよ! 」

真司「…まぁ、こうやって騒いでもどうにもならないし、ちょっとこの部屋を調べてみるか」

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真司「ここに並べたのでこの部屋にあったものの全部かな、特筆すべきものはノートパソコンにこの辺りの地図に俺が使っていた携帯電話」

真司「そして物置にその見滝原中学校のものと思われる制服にあとはこの龍騎のカードデッキか」

真司「あと、気になるのはさっき念のためノートパソコンでOREジャーナルのページを探したら見つからなかったな…」

真司「俺が過去に戻りすぎたせいかな? 」
   
真司「それにしてはこの見滝原って地名は聞いたことないし、っあぁもう頭がごちゃごちゃしてわかんねぇ! 」
   
真司「そもそもこうやってパソコンを使って情報収集は俺の割に合わないんだよ、外に出て調べてみるか」

部屋に置いてあった学生鞄に荷物とカードデッキを詰めて真司はアパートを出た。

真司「さて出てきたはいいけど心当たりはまったくないんだよな。まぁどうにかなるか…とも言ってられないか」
   
真司「そう言えば蓮の奴無事かな、あいつがくたばっている所なんて想像できないけどさ。あと北岡さんもどうしたんだろ」
   
真司「しっかしバイクが使えないのがこんなに不便だったなんてな、あぁもうなんでせめて高校生にしてくれなかったn」

キィィィンキィィィン

真司「…とりあえずは、このモンスターを倒してから考えるか」

近くにカーブミラーがあるのを見つけ辺りに人がいないことを確認すると真司は鞄からカードデッキを取り出しカーブミラーにかざした。
すると鏡の中の真司の腰にVバックルが現れ現実の真司にも装着される。

真司「変身!」

右腕をかざしながら叫びカードデッキをVバックルに挿入する。
そして何重もの残像が真司に重なり真司は仮面ライダー龍騎となった。

真司「っしゃぁ!」

龍騎は気合いを入れるとカーブミラーの中に吸い込まれるように入って行った。

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その空間は結界と呼ばれる異様な空間だった。
この結界は辺り一面どこかで見たような有名な絵画をつぎはぎしたような空間だった。
中央には巨大な門らしき物体がありその周りに白い人のような物体がいた。
そして、そこに仮面ライダー龍騎が結界の中に入り込んだ。

真司「なんだここ、ミラーワールドじゃない!?それにここはどこか気持ち悪いし一体?」

そう辺りを見渡すと見知らぬ黒髪の少女を見つけた。
その少女は生身で白い人のような物体と拳銃で戦っていた。
それを見た龍騎は一気にその子に走って近づいた。

真司「おい、お前ライダーじゃないのにモンスターと戦うなんて危険すぎるだろ、いますぐ逃げるんだ!」

ほむら「あなたこそ一体何なの?いいから放しなさい!」

真司「そんなこと言っている場合じゃない、ってもう逃げる余裕もないか…とにかく君は後ろに下がっていて」

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龍騎はドラグバイザーの上部を下にスライドさせカードデッキからカードを取り出しベントインをする。

『SWORD VENT』

その電子音とともに青龍刀のような剣が空から降ってきて龍騎の手に収まった。
そのまま龍騎は白い人のような物体に斬りかかるとすぐに白い人のような物体は消えそれを繰り返しすべての物体を斬り伏せた。

真司「よしっ!これであとはあの門みたいなやつだけか」

ほむら「ちょっと、いい加減説明しなさい!」

真司「ごめん、あいつを倒したら説明するからもうちょっと待ってて」

再びドラグバイザーをスライドし今度は違うカードをベントインした。

『FINAL VENT』

すると龍騎の周りをドラグレッダーがぐるりと回った後上に昇っていく。

真司「はぁぁぁ、たぁっ!」

掛け声とともに龍機は飛び上がり体を捻りそれに向かいドラグレッダーが火球を吐きその勢いで龍騎はキックを放つ。
その炎をまとったキックは門のような物体を蹴り飛ばしそのまま爆発四散させた。
それと同時に風景が歪みながら元に戻り門のような物体のあった場所には黒ずんだ石のようなものが落ちてきた。
すると、すぐさまドラグレッダーがそれを食べた。
仮面ライダー龍騎もガラスの割れるような音とともに変身が解除された。

真司「あれ?いつの間にか風景が元に戻っている」
   
真司「おかしいな、ミラーワールドじゃこんなことなかったのに…」

ほむら「…あなた、約束通りにきちんと説明してもらうわよ」

真司「あぁ、そうだったな。えっと、話すと長くなるからどこか違う場所で話したいんだけど」

ほむら「それじゃあ私の家に案内するわ、来なさい」

真司「え!?まぁ、俺はどこでもいいけど会ったばかりの女の子の家に行っていいのかな本当に…」

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二人がほむらの家に歩いて行くと意外な場所にたどり着いた。

真司「ここって俺の住んでいるアパートじゃないか、それに俺の部屋の隣ってすごい偶然だな」

ほむら「それは奇遇だったわね。さあ、入りなさい」

真司「それじゃあ、お邪魔します」

真司(女の子の部屋にしては結構地味だな。それともここではこれが普通なのかな?)

ほむら「ここで座って待ってて。お茶でも入れるわ」

真司「わっかりました」

真司(他に家の人が見えないけどこの子も一人暮らしなのかな、それにしてもあんな年で一人暮らしって大丈夫なのか?)

ほむら「おまたせ」

真司「おっ、サンキュ」ズズッ

真司「あ、自己紹介を忘れていたけど俺は城戸真司って言うんだ」

ほむら「暁美ほむらよ。あなたに聞きたいことはいろいろあるけど、まずあの甲冑みたいなのはなにか答えてもらえるかしら」

真司「ああ、そのことだけどな…」

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ほむら「ミラーワールドに仮面ライダーとそれによる願いを賭けたライダーバトルね」
    
ほむら「私たちとほとんど変わらないわね」

真司「『私たちとほとんど変わらない』ってどういうことだよ」
   
真司「それとほむらちゃん、あの空間にいるときと微妙に服が違うような気がするけど」

ほむら「私からも順を追って説明するわ
    
ほむら「まず私の服装が変わっているのは私が魔法少女だからよ」

真司「はぁ、魔法少女!?なんだよそれ」

ほむら「落ち着きなさい、魔法少女っていうのは魔女を退治する存在よ」
    
真司「その魔女っていうのは?」

ほむら「人の負の感情を増幅させる存在と言われているわ」
    
ほむら「こいつらに目をつけられたら自殺衝動が駆られる、この世界での原因不明の自殺事件はぼぼこいつらの仕業といわれている」
    
ほむら「あなたの世界で言う原因不明の連続失踪事件と同じね」

真司「ちょっと待ってくれ、さっきからこの世界でのとかあなたの世界とか何言ってるんだよ」

ほむら「証拠がないからあくまで私の推測に過ぎないけど、恐らくここはあなたが元いた世界ではないわ」

真司「それってどういうことだよ」

ほむら「私は魔法少女になって長いけどミラーワールドや仮面ライダーとかいったあなたの言った話にあたる内容は全く聞いたことがない」
    
ほむら「それにあなたの使っている携帯電話、仮にタイムベントで未来から来たにしてはあまりに型が古いわよ」
    
ほむら「所持品が過去の時点のものになっているにしてもあまりに古いわ」

真司「なるほど、まぁありえなくはないかな」

ほむら「ずいぶんと物わかりがいいのね。」

真司「さっきも言ったけど、俺の世界にも鏡の中の世界なんてものがあるし、時間を巻き戻されたこともあるし

真司「あと鏡の中の俺なんてのにも会いました」

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おおおおおおあのエタッたやつか
まさかの復活キタ!!期待!!

期待

ほむら「話を戻すわね。その魔女に対抗するのが魔法少女」
    
ほむら「普段魔女は結界と呼ばれる空間に潜んでいるからそこに入るには魔法少女じゃないと無理なの」
    
ほむら「そしてこれが魔法のよりどころであるソウルジェム。あなたたちの言う処のカードデッキよ」

そう言いほむらは自分の付けている指輪を紫色の宝玉に変えた。

真司「へぇ、これが。ずいぶんと綺麗だな」

ほむら「…本質はこのソウルジェムほど綺麗じゃないわ」
    
ほむら「魔法少女になるためにはキュウべぇという奴と契約をする必要がある」
    
ほむらその際に奴は一つだけ願いをかなえてから魔法少女にする」

真司「!!それって…」

ほむら「あなたの考えている通り、奴のやっていることは神埼士郎のやっていることと全く同じ」

ほむら「本当に魔女退治をしようとして魔法少女になった人なんて一人もいない」
    
ほむら「願い事を餌にして戦いを強要しているだけよ」

真司「そんな…」

ほむら「あとこのソウルジェムは魔法を使ったり時間が経過したり精神状態によって黒く濁る」
    
ほむら「それを浄化するために魔女を倒したときに手に入るグリーフシードを使う必要があるわ。さっき赤い龍が食べたアレよ」
    
ほむら「このグリーフシードをめぐって魔法少女同士の戦いが起こることもあるわ」

真司「!!」

ほむら「でも彼女達の願いを責めることは出来ないことくらいは似たような戦いをしていたあなたなら分かるでしょう?」

真司「そんなことくらい分かっている…」

真司の脳裏には自分のかなえたい願いを背負いながら死んでいったライダー達、そして恋人のために戦っていた蓮のことを思い浮かべていた。

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ほむら「感傷に浸っているところで悪いけどあなたに頼みがあるわ」

真司「何だよ?」

ほむら「私たちは数日後に見滝原中学校に転入することになっているわ」

ほむら「まだ詳しいことは話せないんだけど私の仲間になってほしいの」

真司「そりゃあ喜んでって言いたいけど、内容によるかな?」

ほむら「ありがとう、詳細は転入してから話すし嫌ならそこで辞退していいわ、次は学校で会いましょう。」

真司「分かった、それともう一つだけ質問したいんだけど」

ほむら「何かしら?」

真司「さっき魔女の気配を感じたときにミラーモンスターが近くにいる時みたいに耳鳴りがしてさ」
   
真司「そんで変身したあとミラーワールドが存在しないのにふつうに入れたけどこれは一体どういうことなんだよ?」

ほむら「恐らく魔女とミラーモンスターは性質が似ているからカードデッキがミラーモンスターと勘違いして反応したんじゃないのかしら?」
    
ほむら「あとミラーワールドと違って結界の範囲内なら鏡じゃなくても出入りはできると思うわよ」

真司「つまり魔女を見つける時はミラーモンスターを見つける時と同じ風にしておけばいいってわけか」
   
真司「あと、念のために電話番号とメールアドレスを交換しておきたいんだけど」

ほむら「構わないわよ」

二人はお互いに携帯電話を出して電話番号とメルアドを交換した。

真司「それじゃあ今度こそさようなら、ほむらちゃん」

ほむら「また会いましょう、城戸真司」

挨拶を交わして、真司は自分の家に帰った。(とは言っても隣同士だが)

真司「ふぅ、今日はいろんなことがありすぎて疲れたぁ」

真司「それにしても魔法少女か。なんとか出来ないかな…」
   
真司「とにかく次は学校に入ってからだな」

~保健室~

真司「結局ほむらちゃんたちを見失っちゃったから校内の地図を見て直接来ちゃったよ」

保健室のドアを開けるとベッドに座って布団を半分だけかけているほむらの姿があった。

ほむら「遅かったわね、城戸真司」

真司「うっさい、ちょっと迷っただけだ」

真司「それより保健室の布団で寝込むって大丈夫かよ」

ほむら「私は持病で心臓病を患っていてね、今は魔法を使ってだましだまし健康に保っている状態よ」

真司「心臓病って大丈夫かよ」

真司「俺が魔女と戦ってほむらちゃんのソウルジェムが濁らないようにグリーフシードだけ俺が持ってきた方がいいんじゃないのか?」

ほむら「それには及ばないわ…と言いたいところだけどこの前に言ったとおり城戸真司、あなたにも手伝ってもらいたいことがあるわ」

真司「そういやそんなこと言ってたっけ」

真司「で、一体何を手伝うのさ」

ほむら「私の保健室に連れて行った女の子いるでしょう?鹿目まどかというのだけど彼女を魔法少女にしないでほしいの」

真司「それはまたどうして?」

ほむら「前言ったように魔法少女になることは終わりなき戦いに首を突っ込むということよ」

ほむら「しかも、原因は不明だけどまどかはかなりの魔法少女としての素質を持っているからキュウべぇに狙われやすいの」

真司「なるほど、確かに俺もあんな子供をライダーバトルみたいなのに巻き込みたくないしな」

真司「でも、なんでほむらちゃんはその子を守ろうとしているんだ?」

ほむら「…あの子には昔から世話になっているだけよ」

その言うほむらの顔はどこか悲しげに遠くを見ているようだった。

真司「ちょっと引っかかる言い方だけど分かった、俺も手伝う」

真司「それで俺はこれからまどかちゃんのそばについておけばいいってこと?」

ほむら「常についていなくても大丈夫よ」

ほむら「いま保険医はいないから魔法を使っても大丈夫かしら」

そう言うとほむらは指輪をソウルジェムにして魔法少女に一瞬で変身する。
その次の瞬間ほむらはベッドから消えていた。
驚いた真司がきょろきょろ見渡すとほむらは後ろに立っていた。

真司「お前、オーディンみたいに瞬間移動出来るのか!?」

ほむら「似たようなことは出来るけど厳密には違うわね」

ほむら「私は制約ありだけど時間を止めることが出来るの」

真司「へぇ、結構便利な魔法なんだな」

ほむら「その代償が終わりなき戦いだけどね、あまり喜ばしいことじゃないわ」

真司「そうだったな、すまん」

ほむら「私は基本的にこの魔法を使ってまどかが魔法少女になりそうな時に阻止をしているわ」

ほむら「だけど私のも他にやることがいろいろあるし常に見張っていることは出来ないわ」

ほむら「だから私が自由に動けないときにだけまどかを見張ってほしいの」

真司「なるほど分かった、それでほむらちゃんが自由に動けないときとかの連絡はどうすんだよ?」

ほむら「その時は私からメールを送るわ」

ほむら「その時以外はあなたの自由にしてくれてもいいけど、少し実験したいこともあるから1週間に1~2日は私の家に来てもらいたいわ」

真司「それで今日はどうするんだ?」

ほむら「今日はあなたはまどか達について行きなさい」

ほむら「あなたのその性格なら不審がられることもないと思うわ」

真司「それじゃあ今日の放課後からまどかちゃんについて行くか」

ほむら「ええ、頼んだわよ」

ほむら「今日私は別行動をとらせてもらうわ」

~放課後~

さやか「しっかし、今日に限って転校生が二人も来るなんてねぇ」

まどか「でも性格は本当に正反対って感じだよね」

さやか「クールで天才の美少女におっちょこちょいでちょっと馬鹿な残念なイケメンって感じだよね」

まどか「さやかちゃん『ちょっと馬鹿』っては少し言いすぎじゃ」

さやか「でもまどかはああいうおっちょこちょいな子は好みだと思うんだけどな~まどかは面倒見がいいし」

まどか「う、確かに…あれ?」

さやか「どうしたの、まどか?」

まどか「前にあんな感じのおっちょこちょいな子を世話したような気がするんだけどまるで思い出せないや」

さやか「美少女のほうは夢の中で会って、おっちょこちょいの方は昔世話を焼いた気がするか。それって運命みたいなものじゃない?」

まどか「やっぱりそうなのかな…」

さやか「だけどあのおっちょこちょいの方を落とすんだったら障害は大きいわよ~」

まどか「ふぇ!?べ、別にそんなわけじゃ」

さやか「ああいう正反対の性格の男女に限って意外と恋愛フラグが立つものなのよ。私の勘に間違いはないわ!」(キリッ

まどか「だから」

真司「あ、いたいたまどかちゃーん」

さやか「ほら噂とすれば何とやらという奴だし買い物に付き合ってもらおうじゃないですか」

まどか「うん、そうだね」

真司「どうしたのいきなり二人ともひそひそして、ひょっとして二人とも具合わるいのか?」

さやか「いえいえ、なんでもありませんよ」

さやか「で、噂の転校生が何の用?」

真司「いきなり噂って照れくさいな」

真司「いや、偶然まどかちゃん達に会ったからちょっとついて行こうかなって思ってさ」

まどか「そうなんだ、それじゃあ私達と一緒にCDショップに行かない?」

真司「CDショップか、いいねぇ」

~CDショップ~

真司「まどかちゃん達は音楽を聴くのが趣味なの?」

まどか「私の場合は趣味ってわけじゃないけど、さやかちゃんが上条君のためにクラシックCDを買うからそれに付き合っているって感じかな」

真司「上条君?」

まどか「うん、さやかちゃんの幼馴染で昔はヴァイオリンがうまかったんだ」

まどか「だけど事故で左手が動かなくなって、今はヴァイオリンが弾けなくなっちゃったってさやかちゃんが言ってた」

真司「そうなんだ、ごめん辛いこと聞いちゃって…」
 
真司(それじゃあさやかちゃんもピアノが弾けなくなった友達がいた手塚と同じってわけか…)

まどか「こっちこそ真司君に辛いことを気かせっちゃってごめんなさい…」

真司「そんな気を遣わなくてもいいって、俺はこの程度じゃへこたれない精神を持っているからな」

そう言いまどかを安心させるために真司は胸を張りバンと自分の胸を笑顔を浮かべながら叩いた。

まどか「あはは、ありがとう真司君」

(助けて・・・)

まどか「?」

真司「どうかした、まどかちゃん?」

まどか「今何か聞こえたような…確か下から聞こえた気がする」

そういいまどかは店の外に駆けだした。

真司「あ、ちょっと待ってまどかちゃん」

真司「それにしても音なんて俺には聞こえなかったけど…って言ってる場合でもないか!」

~地下~

まどか「ほむらちゃんどうしてこんなことをするの…」

ほむら「…あなたは知る必要はないわ」

今ほむらは白い生き物を痛めつけているところであった。
そこにちょうど真司が駆けつけたのだから誤解するのも当然だろう。

真司「ハァハァ、やっとまどかちゃん見つけた」

真司「ってほむらちゃん一体何してるんだよ!この生き物が可愛そうじゃないか!」

ほむら「あなたは私の仲間になったはずだったはずよ、城戸真司」

真司「だからと言ってこんなことをしていいことにはならないだろ、いいから説明しろよ!」

そう言いながら真司はほむらに詰めより服をつかんで引っ張って自分の方に引き寄せた。
その時だった、二人が消火器の粉まみれになったのは。

さやか「こっちよ、まどか。早く!」

煙の向こうでそんな声がしたと思ったらすぐに二人の走るような足音がしてそれはすぐに遠ざかった。

ほむら「あなたのせいで見失ったじゃない!今すぐ追いかけるわよ」

そう言った瞬間に辺りの風景が結界に変貌していく。

ほむら「まったく、あなたって人は本当に馬鹿ね!」

苛立ちながらほむらは左腕のバックラーからショットガンを取り出して臨戦態勢をとる。

真司「馬鹿で何が悪いんだよ!それにさっきのことをいい加減説明しろよ。変身!」

結界の中に偶然あった鏡を使い真司は龍騎に変身する。

ほむら「あの白い生物が『キュウべぇ』なのよ」

真司「えぇ!?契約を勧めるから、てっきりボロボロのコートを着て鏡の中に住んでいるおっさんかと思った」

ほむら「それただの神埼士郎の身体的特徴じゃないの!来るわよ!」

二人の目の前に大量の髭の生えた毛玉のような物体が現れる。
辺りには結界に引き込んだ人を殺すために使うのだろうか?ハサミのついている茨のような物体もあった。

真司「あれも魔女なのか?」

ほむら「いいえ、あれは使い魔、魔女の手下よ」

真司「それでも人を襲うことに変わりないんだろ、だったら!」

そう言い龍騎はカードを引き抜きベントインした。

『SWORD VENT』

そのまま龍騎はアントニーに向かって駆けだしほむらは近寄ってくるアントニーをショットガンで複数攻撃をする。
そんな龍騎に茨が迫り龍騎はドラグセイバーでそれらを斬り落とす。
しかし、龍騎はアントニーと茨の両方を攻撃しなくてはならないので何度か不意を突かれそうになった。

真司「くっそぉ、数が多い!」

真司「まったくこういうときは北岡さんがうらやましいよ…こうなったら!」

龍騎は違うカードを引き抜きドラグバイザーにベントインをした。

『STRIKE VENT』

どこからともなくドラグレッダーの頭を模した手甲であるドラグクローが龍騎の右手に装着される。
そのまま龍騎は右手を構える。
するとドラグレッダーも龍騎の後ろに構える。

真司「はぁぁ、たぁっ!」

そのままドラグレッダーの火球をドラグクローで打ち出す。
火球はアントニーの群れに直撃し大半が片付けられ残りは逃げ出し結界は解除された。
それとともに龍騎とほむらの変身も解除する。

真司「よし、あ!まどかちゃん達を追いかけないと」

ほむら「今日はもういいわよ」

真司「え、さっきあんなに焦ってたのに?」

ほむら「会っていきなりあんな胡散臭い契約をするほどまどかは馬鹿じゃないわ」

ほむら「封印のカードを破り捨ててわざわざ退路を断ってまで契約したどこかの馬鹿と違ってね」

ほむら「それに、あなたと行動していると疲れるから追いかける気力ももう残ってないのよ」

真司「それってやっぱり俺が馬鹿ってことじゃないか」

ほむら「本当のことじゃない、帰るわよ」

真司「ったく、分かったよ」

そう返し真司はちょっと不満そうな顔でほむらは疲労困憊の表情でそれぞれの家に帰るのだった。

転校して初めての土曜日。この日真司はほむらから『家に来てほしい』というメールが来たのでほむらの家に来ていた。

真司「それで言われたとおりに来たけど、一体何の実験をするんだ?」

ほむら「厳密に言うとあなたじゃなくてあなたの持っているアドベントカードに用があるの」

ほむら「今すぐカードデッキからすべてのアドベントカードを抜き取って並べてくれるかしら?」

真司「ああ、分かったよ」

懐からカードデッキを取り出し言われたとおりにすべてのアドベントカードをテーブルの上に並べる。

ほむら「それじゃあ今日の間このアドベントカードをすべて私が預かるわ」

真司「はぁ!?いきなりそれかよ」

真司「カードデッキがないと魔女と戦えないじゃないか」

ほむら「約束は約束よ」

真司「そんなこと言ったってもしこうしている間にも魔女が人々を襲っているかもしれないんだぞ!」

真司「なんでそんなに急ぐんだよ」

ほむら「…少なくとも私には急ぐ理由があるわ」

そういうと二人がいるアパートの一室に立体映像を展開する。
映像に大量の魔女と使い魔の画像を映し出す。

真司「うおっ!なんだよこれ」

ほむら「立体映像よ、少し大きめな会議みたいなことをするときはこれを展開してやっているわ」

真司「魔法って本当にすげぇな、でこの画像に映っている魔女は?」

ほむら「この中央の画像の魔女は『ワルプルギスの夜』と呼ばれる強力な魔女よ」

真司「ワルプルギスの夜?なんかお祭りの名前みたいだな」

ほむら「あながち間違っていないわ。こいつの巨大な魔女の周りにそこに映っている大量の使い魔が現れるの」

真司「あれが全部出てくるのかよ!?なんて数だよ、まるであの白いヤゴのミラーモンスターみたいだな…」

ほむら「こいつは昔からさまざまな場所に出現して破壊活動をしてきて、魔法少女の中では知らない人はいない魔女よ」

真司「おっかない魔女だな~。で、そいつがどうしたんですか?」

ほむら「あと一カ月近く経ったらこいつが見滝原に現れるわ」

真司「えぇ!?それって大変なことじゃないのか!?」

ほむら「だから対策を練っているのよ」

ほむら「そこで話が最初に戻るのだけどその対策の一環であなたのアドベントカードを研究したいのよ」

真司「事情は分かったけど、今のさぼっている魔女も野放しには出来ないだろ」

ほむら「それじゃあこの契約のカードとサバイブのカードだけデッキに入れなさい」

ほむら「この2枚だけあればその辺の魔女に対してはどうにかなるでしょう」

真司「まぁ、確かにどうにかなるかもしれないけどさ」

真司「じゃあ魔女退治に行ってくるよ」

ほむら「日没までには帰りなさいよ」

真司「おばさんみたいなことを言うなよ…」

~魔女退治後~

真司「ただいまっと」

ほむら「おかえりなさい、カードは返すけどまた連絡をしたら貸してもらうわよ」

真司「分かったよ、そんじゃあまた学校で」

~数日後の放課後~

ほむら「いきなりで済まないけど、今日は私に同行してもらうわ」

真司「いいけど、なんでまた」

ほむら「行けば分かるわ」

そう言ってほむらは歩きだし真司はそれについて行く形になった。
二人がついたところは薄暗い雰囲気の廃ビルだった。

真司「ここでいっt」

キィィィンキィィィン

真司「魔女か!?とりあえず変身しないと」

ほむら「下手したらそろそろ終わるかもしれないけど」

真司「それってどういう…あれ、耳鳴りが止まった?」

ほむら「やっぱりね、行くわよ」

またほむらは真司を引き連れて廃ビルの上にあがって行く。
そこにはまどかとさやかと見たことのない金髪の女の子がいた。

真司「あれ、まどかちゃんとさやかちゃんとそっちの子もいったい何でこんなところに?」

真司「まさか3人とも魔女に狙われたんじゃ!体の方は大丈夫?」

あたふたする真司を見てまどかとさやかはきょとんとしてほむらと金髪の子は呆れて溜息をついていた。

マミ「ここの魔女は私が倒したのよ」

真司「へ?ってことはあんたも魔法少女ってわけか」

マミ「そうよ、私は巴マミ」

マミ「あなたのことは鹿目さんたちから聞いているわ城戸真司君」

マミ「そして、あなたもね暁美ほむらさん」

そういうとマミはここで倒した魔女のものと思われるグリーフシードをほむらに投げつける。

マミ「このグリーフシードは後一回くらい使えるし、せっかくだから使ったら?」

ほむら「…遠慮するわ」

そう言うとほむらはグリーフシードを投げ返す。

真司「ちょ、ちょっとまってよほむらちゃん、いくらなんでも無愛想過ぎない?」(ボソッ

ほむら「このグリーフシードは巴マミが手に入れたものよ」(ボソッ

ほむら「私が使う義理はないわ」(ボソッ

真司「かーっ、初めて会ったときから思ったけどお前本っ当に蓮みたいだな!」(ボソッ

ほむらに文句を言うと真司はマミに警戒されないように笑顔になり近寄った。

真司「ごめんごめん、マミちゃん」

真司「俺の連れはご覧のとおりに実に照れくさい奴なんですよ、後でしっかり言っておきますから」

そう言いながらマミに向かってぺこぺこお詫びのお辞儀をする。

マミ「別にいいわよ、あなたはそっちの人とは違って話が分かりそうだしね」

真司「ありがとう、マミちゃん」

真司「ところでなんでまどかちゃんとさやかちゃんも一緒にいるんだ?」

マミ「ああ、それはね…」

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真司「魔法少女体験コースか…」

マミ「暁美さんと一緒のあなたなら分かるかもしれないけど魔法少女は楽しいことだけじゃないのよ」

マミ「だから私が魔女と戦うところを見てもらって実際になるかどうするか判断するわけ」

真司「なるほど、確かに戦いは辛いことが多いもんな」

ほむら「それだったら鹿目まどか達を助けた後に詳細を説明せずに立ち去れば、魔法少女たちのことを知らずにすんだんじゃないのかしら?」

マミ「!それは…」

真司「ほむらちゃん、また…」

ほむら「あなたはただ傷を舐め合う相手がほしいだけじゃないのかしら?」

マミ「…あなたに私の何が分かるっていうのよ!行くわよ二人とも」

二人を連れて帰る際にマミは真司達の方を振り向いた。
その時のマミの目はかつて真司が北岡と屋内プールで永遠の命の話をしていたときに動揺した北岡の目によく似ていた…

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真司とほむらがアパートに帰るときに真司の頼みでいったんほむらの家に寄ることになった。
二人がほむらの部屋に入って座ったとたん真司はテーブルをバンッと大きな音を立てて叩いた。

真司「どういうつもりだよほむらちゃん!」

ほむら「何がどういうつもりなのかしら?城戸真司」

真司「マミちゃんに向かってあんな口を言ったことだよ、いくらなんでもひどすぎだろ!」

ほむら「まどかが魔法少女になってもらうのは私にとって困ると言ったでしょう?」

ほむら「だから巴マミには悪いけど、まどかには彼女のマイナスイメージを埋めつけておこうと思ってね」

真司「そんなことをしたら逆効果だろ!」

真司「マミちゃん、すごい怒ってたぞ!」

ほむら「そうね、次に会ったら殺し合いになるかもね」

真司「分かってるならやめろよ!」

真司「俺はもう人を襲うものを倒すもの同士で戦ってほしくないんだよ!」

怒りながら真司は席を立ってほむらの家を出て行ってわざと大きな音が出るように乱暴にドアを閉めた。

ほむら「…私だって魔法少女同士で戦いたくはないわよ」

ほむら「だけど残酷にならないとまどかを救えないのよ…」

一人残されたほむらはテーブルにうずくまり疲れ果てて寝るまでずっとすすり泣いていた…

うわぁ…^^;

~数日後の通学路~

ほむら「おはよう、城戸真司」

真司「おう、おはようほむらちゃん」

真司「…言っとくけど、俺は魔法少女同士の戦いなんて絶対に認めないからな」

ほむら「本当に毎日のように言っているわねそれ」

真司「このくらい釘をさしておかないと、ほむらちゃん本当に戦いをしちゃいそうなんだよ」

ほむら「可能な限り善処するわ」

真司「頼むよ、本当に…」

~放課後~

その日ほむらはマミを説得するために、見滝原病院に展開されている結界にいた。

ほむら「今回の魔女は危険よ。私も連れて行った方がいいわ」

マミ「あなた、一体どの面下げて私のところに来たの?数日前に私に行ったことを思い起こしてみなさい」

ほむら(やはり信用してくれないか。こうなったら城戸真司に助けを…)

ほむらは懐から携帯電話を取り出して真司に救援メールを送ろうとした。
しかし、その瞬間ほむらの体をマミの魔法が形作ったリボンが縛り携帯も下に落ちる。

ほむら(しまった!?)

マミ「そんな分かりやすい隙を私が見逃すと思って?」

ほむら(まさか巴マミの洞察力がこれほどなんて)

ほむら(彼女の戦闘能力はよく分かっていたはずなのに、私の見くびりすぎだったわ)

ほむらのループによる統計ではこの魔女相手にマミが生存出来る確率は10%近くだ。
彼女は魔法少女の中ではトップクラスの戦闘能力を持っている。だから、出来るだけ死なせたくはない。
何度もループしているほむらはこのように束縛されるシチュエーションに何度か遭遇し殺されかけたこともあった。
とはいえ、真司と一緒に来て二人仲良く縛られてしまったら水の泡だ。
そこでその対策であらかじめ真司への救援メールを既に作成しておき画面を送信準備画面にしたまま携帯を閉じ後は送信すればOKの状態にしておいた。
しかし、マミはほむらが携帯を開き送信ボタンを押す1~2秒の時間で事を終えてしまった。

マミ「行くわよ、鹿目さん」

まどか「は、はい」

ほむら(こうなったら真司がすぐに駆けつけてくれるのを祈るだけね…)

しかし、彼女の祈りもむなしく真司がその病院にたどり着いたのはそれから1時間後であった。
彼が通り過ぎなかったのが唯一の救いだっただろうか?

キィィィンキィィィン

真司「っ、魔女か!」

病院のガラス部分に真司は近寄りカードデッキをかざす。

真司「変身!」

多くの残像が重なり真司は龍騎に変身する。

真司「っしゃあ!」

龍騎は病院のガラスから結界に入る。
龍騎が結界の中を走るとリボンに縛られたほむらを見つけた。

真司「ほむらちゃん、それどうしたの!?」

ほむら「遅いわよ、真司!早く先に行きなさい!」

真司「えぇ!?でもこんなほむらちゃんを放っておけないって」

ほむら「私はどうにかするわ、いいからあなたは先に行きなさい!取り返しがつかなくなる!」

あまりのほむらの鬼気迫る形相に半分押される形で龍騎は承諾する。

真司「わ、わかった。帰りに解放するからそれまで待ってて」

龍騎は走り出したが使い魔が邪魔をする。

真司「あぁ、もう!何で結界にはライドシューターが用意されてないんだよ!」

少しだけ龍騎はイラつきながらカードデッキからカードを取り出しベントインをする。

『ADVENT』

その時どこからともなくドラグレッダーがやってくる。

真司「頼む俺が通れる道を作ってくれ!」

「ガオオォォン!」

ドラグレッダーは火球を吐き使い魔を倒し道を作っていく。
倒し漏らして突破の邪魔になっている使い魔は龍騎が殴り倒す。
そうして龍騎は結界の最深部にたどり着いた。
結果から言おう、彼は間に合わなかった。
龍騎の目に飛び込んできたのは口の周りが血だらけの魔女シャルロッテとその下に転がっているマミのものと思われる服の着れ端と肉片だった。
この光景を見た瞬間に龍騎の頭は真っ白になった。

真司「うあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

龍騎は絶叫し、魔女の方に走りながらカードをベントインする。

『FINAL VENT』

真司「はあぁぁぁぁ、だりゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

龍騎は怒りのままドラゴンライダーキックをシャルロッテにぶちかます。


真司「はぁはぁ、はぁ…」

今、龍騎の目の前にはまどかとさやかがいた。
二人は人が化け物に捕食される現場を見たせいか全身が震えていた。
しかし、今の二人の震えはそれだけが原因ではなかった。

まどか「う、後ろ…」

ギリギリ聞こえそうな声でガクガクに震える指で龍騎の後ろを指した。
龍騎が振り返るとそこにはファイナルベントを食らったはずのシャルロッテがぴんぴんして今にも龍騎に襲いかかろうとしていた。

真司「ウソだろ、おい!」

龍騎が再び臨戦態勢をとったと同時にシャルロッテは爆発した。
その爆風の向こうからほむらが歩いて来た。

ほむら「あなた、一時の感情に身を任せすぎて油断してたわ、ミイラ取りがミイラになる気?」

真司「ほむらちゃん、どうして?」

ほむら「巴マミが死んだ瞬間に私を束縛していた魔法が解けたの」

ほむら「それより魔女には稀にこういう風に再生するタイプもあるのよ」

ほむら「だから倒したと思ってもグリーフシードを落とすまで油断しちゃいけないのよ」

爆風が晴れるとまだシャルロッテは何事もなかったかのように二人に襲いかかって来た。

ほむら「行くわよ」

真司「あぁ、分かった」

ほむらはバックラーから爆弾を取り出す。
同時に龍騎は新しいカードをベントインする。

『STRIKE VENT』

龍騎の右腕にドラグクローが装備される。
シャルロットはほむらを襲い大きな口をあける。
ほむらは時間を止めてシャルロッテの内部に侵入し爆弾を数個設置する。
口の外に出るとほむらは再び時間を動かす。

ほむら「城戸真司!」

真司「ああ!はぁぁぁぁ、たりゃあ!」

爆弾の爆発に会わせるようにドラグクローファイヤーをシャルロッテに当てこれまでの比ではない大爆発を起こす。
それと同時に上空からグリーフシードが落ちて来て結界が解除され二人の変身も解除される。
まどかとさやかは龍騎の正体が真司であることを突っ込む余裕がないほど愕然としていた。
その様子を見た真司とほむらが二人に近寄る。

ほむら「目に焼き付けなさい。魔法少女になるってことはこういうことよ」

真司「その通りだ。戦うってことはただ単にかっこいいってだけじゃない、怪我したら痛いし下手をしたら死んじゃう」

真司「俺は戦ってきて死んでいった人をいっぱい見てきた」

真司「だからお願いだから、まどかちゃん達にはそんな人たちと同じ道を歩んでほしくない」

その言葉を聞いてもまどかとさやかの体の震えが止まることはなかった。

ほむら「…行きましょう、これ以上彼女たちのそばにいても意味はないわ」

真司「でも!…分かった」

その日の帰り道はいつもの真司の性格からは考えられないくらい静かな帰り道となった。
そして、家に帰った真司は中学生の女の子が戦いに巻き込まれているという事実の深刻さを改めて受け止めた。
それと同時に真司はまともに会話をせずに死んでいった佐野のことを思い出しマミと重ねやるせない思いを抱いた。

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マミが死んだ次の日真司は学校に気合いで来ていたが授業は全く頭に入らなかった。
外見では動揺していなかったように見えるほむらとは正反対である。
その帰り真司はほむらの家に寄らせてもらっていた。

真司「あのさ、頼みがあるんだけど」

ほむら「何かしら?」

真司「マミちゃんのことをほむらちゃんが知っている限りでいいから教えてほしいんだ」

真司「俺がしっかりマミちゃんのことを知っておけばこんなことにならなかったと思うから」

ほむら「巴マミはもう死んだわ、今さらあなたが聞いて一体何になるというの?」

真司「…俺の世界の仮面ライダーに佐野満って奴がいた」

真司「そいつは偉い奴に媚びて金に汚いくせに自分が大金を手に入れたら偉そうな顔をするチャラチャラした嫌な奴だったけどさ」

真司「そいつ結構苦労していたみたいなんだ」

真司「こんなことを蓮に言ったら相手の口車に乗せられているだけだって言われそうだけど何故か俺は信じられた」

真司「だけどあいつはライダーバトルで死んだ」

真司「あの時あいつとよく話しておけば死なずに済んだかもしれないって思うんだ」

真司「だから俺にはそう言ったことを聞く義務があると思う…多分」

ほむら「…そこまで言うなら分かったわ、巴マミのことを話してあげる」

ほむらは熟考するかのように肩を落とし一回深呼吸をした。

ほむら「巴マミは魔法少女歴の長いベテラン魔法使いよ」

ほむら「彼女は正義感が強くてグリーフシード等を巡って自分から魔法少女達と戦うことはほとんどなかったわ」

ほむら「彼女はただ魔女と戦って皆を守るためだけに魔法少女に変身していたわ」

真司「そんな…何でそれを早く教えなかったんだよ!」

真司「仲間になれたかもしれないだろ!」

ほむら「彼女は魔法少女で魔女を倒すことが唯一の生きる意味と考えていたわ」

ほむら「だから、精神面は魔法少女で最低ランクよ」

真司「それがどうして精神面の話になるんだよ」

ほむら「今の段階では言えないけど、例えばあなたは人を殺して平気でいられるかしら?」

真司「平気でいられるわけないだろ!」

真司はかつて吾郎を殺したと思いこみ生きる気力を無くした時期があった。
もっともそれは北岡の姦計であり吾郎が生きていたと知った時は我を忘れて喜んだものだった。

ほむら「この程度の説明じゃ納得出来ないでしょうけど今の段階ではこのくらいしか言えないわ」

真司「そう言うんだったら今はとりあえずこれで納得しておくけど、そもそもそんな子が何で魔法少女になっているんだよ」

ほむら「彼女は幼少期に交通事故に合って死にかけの時にキュウべぇが通りかかったの」

ほむら「その時に巴マミが助けてと願って延命する代わりに魔法少女になったのよ」

ほむら「つまり偶然カードデッキを拾ったあなたと同じように成り行きね」

真司「それじゃあマミちゃんは死か、戦いかを無理やり選択させられたってこと?」

ほむら「その通りよ、実際彼女は当時を回想して考える間もなかったって言っていたわ」

ほむら「私としては目の前の死を逃れるために願いを使うこと自体は悪い事じゃないと思うわ」

真司「でも、その代償が戦い続けることなんだよな」

真司「これじゃあ何のために長生きしたのか分からないよ…」

ほむら「その上彼女は魔法少女の中では珍しいほど正義感があった」

ほむら「魔法少女は基本的に好きな願いを叶えてもらえるから利己的な人間が多いの」

ほむら「だから巴マミは孤立しやすかったのよ」

ほむら「一般人に魔法少女のことを言えることも無いしね」

真司「だからあの時あんなことを言ったわけか」

ほむら「ええ、彼女は魔法少女の仲間が欲しかったの」

ほむら「だからまどかや美樹さやかを魔法少女にしようとしていた」

真司「それにしたって、まどかちゃん達を魔法少女にしたくないからっていくらなんでも言いすぎだろ」

ほむら「まどかは巴マミ以上に優しいわ」

ほむら「だからあそこまで釘を刺さないと魔法少女になってしまう、そう考えただけよ」

真司「だとしても、まどかちゃんが優しいんだったらそんなことしたらほむらちゃんの印象が悪くなるんじゃないのか」

ほむら「それでも構わないわ。まどかさえ助かれば…」

真司「分かったよ…俺はもう帰る、じゃあな」

~次の日~

この日真司はいつものように放課後に魔女退治をしていた。
まるで悲しみをふっ切りたいかのように。

真司「グリーフシードをドラグレッダーに食わせたし、今日はこのくらいで帰るかな」

真司「メールか、何だ?」

ほむら『今、まどかは大きいショックが抜け切れていない』

ほむら『帰り道に付き合うだけでもいいから一緒に居てあげてちょうだい』

ほむら『まどかの居場所は写真を見て確認してちょうだい』

真司「そうだよな、まどかちゃん達もショックだよな」

そう思うと真司は添付写真にある場所に向かった。
そこにはしょぼくれた顔でとぼとぼ歩いているまどかがいた。

真司「あ、いたいたまどかちゃん」

まどか「真司君、どうしてここに?」

真司「ほむらちゃんに頼まれたんだ、一緒に居てやれってね」

まどか「そうなんだ、やっぱりほむらちゃんっていい人なのかな?」

真司「それって?」

まどか「うん、今日帰りにほむらちゃんに会ったんだ」

まどか「その時にマミさんが死んじゃって落ち込んでいたときにほむらちゃんは励ましてくれたんだ」

真司「へぇ、あいつはいつもピリピリして厳しい奴だけどやっぱり根はいい人じゃん」

まどか「だったら何でマミさんにあんなことを言っちゃたんだろう」

真司「それは、やっぱりまどかちゃんにあんな厳しい戦いをしてほしくないからじゃないのかな」

真司「俺の友達にもあんな感じでいつも厳しいけど優しい奴がいるしな」


まどか「そうだよね…あれ?あれは仁美ちゃん?」

真司「仁美ちゃんって?」

まどか「私の友達だよ。いつも多くのお稽古事をしているんだけど…!」

真司「どうしたの?びっくりして」

まどか「仁美ちゃん、魔女の口づけをされている…」

真司「魔女の口づけって?」

まどか「魔女の標的にされた人は首筋の辺りに印が浮き上がるの」

真司「それじゃあこのままじゃ仁美ちゃんは魔女にやられちゃうってことじゃん!」

二人は一心不乱に仁美に走って近づいた。

仁美「あら?鹿目さん、今日はお友達と散歩ですか?」

真司「何のんきなことを言ってるんだよ!」

仁美「何のことですか?そうですわ。せっかくだからあなたたちも一緒に行きましょう」

真司「だからお前は魔女に操られているだけだって、目を覚ませよ!」

まどか「仁美ちゃんお願い、目を覚まして」

仁美「そんなこと無いですわ。だって、私達は素晴らしいことをしようとしているのだから」

そのまま3人がたどり着いたのは廃墟になった工場だった。
そこには魔女の口づけをされているたくさんの人が虚ろな目をして集まっていた。

真司「こいつら全員魔女の標的にされている人たちかよ」

集まっている人はブツブツ何かを言いながらバケツに漂白剤と洗剤を混ぜようとする。

まどか「あれって…だめーーっ!!」

そこに仁美が割って入り腹部に鉄拳を食らわせる。

まどか「あう!」

真司「ちょっと!あんたまどかちゃんの友達だろ、どうしてこんなことをするんだよ!」

仁美「しかたないじゃないですか、彼女は儀式の邪魔をしようとしたのですから」

真司「何を言っているんだよ、まどかちゃん!早くそのバケツを!」

まどか「う、うん」

まどかはバケツに向かって走りそのままバケツを無理やり奪い取り窓から投げ捨てる。

仁美「あぁ、なんてことを…」

すると集められている人はさらに顔色が悪くなりまどかに襲いかかろうとする。

真司「ちょ、ちょっと待ちなよあんた達」

真司「まどかちゃんはあんた達を助けようとしただけだって!」

仁美「けれど儀式の邪魔をした報いは受けなければなりませんわ」

真司「もう話も通じそうにないか、だけどむやみに傷つけるわけにもいかないしな…」

まどか「真司君こっち!」

真司「分かった、まどかちゃん」

二人は小部屋に逃げ込み鍵をかけた。
しかし、集められている人たちは執拗にドアを叩く。

真司「くっそぉ、どうすれば」

キィィィンキィィィン

まどか「きゃあっ!」

真司「まどかちゃん!?」

そこには人形のような使い魔が大量に現れまどかを連れ去ろうをしていた。

真司「まどかちゃん、掴まって!」
   
まどか「真司君、助け…」

しかし、まどかが真司の手を掴む前にまどかは結界に引き込まれる。
真司は歯ぎしりをして大量に廃棄されているテレビの前に立ちカードデッキをかざす。
そのまま真司の腰にVバックルが装着される。

真司「変身!」

カードデッキをVバックルに挿入し残像が何重にも重なり真司は龍騎に変身する。

真司「っしゃあ!」

龍騎はそのまま結界に入り込む。
その結界はまるで上下が無いような浮遊感を感じさせる水色の空間だった。
その結界に入り込んで龍騎はすぐにまどかを見つけた。
まどかは多数の使い魔に引っ張られ今にも引きちぎられそうだった。

真司「まどかちゃん!」

『SWORD VENT』

龍騎はドラグセイバーを装備し使い魔をすべて斬り伏せる。

真司「まどかちゃん、大丈夫?」

まどか「ありがとう、真司君…また、助けてもらっちゃったね」

真司「気にすんなって、危険だからまどかちゃんは下がっていて」

エリーは龍騎の方を向くと多くの使い魔を龍騎に差し向ける。
しかし、その瞬間青い閃光が走ったと思うと使い魔は倒されていた。

真司「!そんな…」

そこに立っていたのは魔法少女となったさやかだった。

さやか「後は任せなよ、真司!」

さやかは残りの使い魔を俊足で倒し、エリーも一刀両断にした。
そして結界は消え去り二人の変身は解除された。
そのとたんに真司はさやかの肩を掴む。

真司「俺があれほど言ったのにどうして魔法少女なんかになったんだ!」

まどか「そうだよさやかちゃん、何で…」

さやか「あー、それはちょっと複雑な事情があってね」

さやか「あ、そうだ真司、もう夜も遅いから私達を家まで送ってくれない?」

さやか「その時に事情も話してあげるからさ」

真司「分かったよ…」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

真司「友達の治療できない左腕を治すために願いを使ったってことか…」

さやか「うん、これからずっと恭介の素晴らしいバイオリンを聞けないなんてもったいないしね」

真司「それは分かるんだけどさ、さやかちゃんはそれで満足なのか?」

さやか「まぁ、魔女と戦うのはまだ少し怖いけどさ」

さやか「でも、マミさんみたいに正義の味方になりたかったっていうのも魔法少女になった理由かな?」

真司「正義の味方?」

さやか「マミさんが言っていたんだけど、魔法少女は利己的や奴が多いみたいでマミさんみたいな人は稀だったみたいでさ」

さやか「だから私はマミさんの後を継ぎたかったわけ」

真司「そりゃ俺も魔女から人を守るためだけに変身して戦っているけどさ」

真司「戦いってのは本当に辛くて大変なんだぞ」

さやか「大丈夫大丈夫、私に後悔なんてあるわけないさ」

さやか「夜も遅いから、それじゃあね」

真司「あ、さやかちゃん…本当に大丈夫かな」

~数日後~

真司「おはよう、ほむらちゃん」

ほむら「おはよう」

ほむら「美樹さやかが魔法少女になったそうね」(ボソッ

真司「ごめん、さやかちゃん達と会うときには出来るだけならないように言っておいたんだけど」(ボソッ

ほむら「なってしまったものはしょうがないわ。まどかが魔法少女にならなかっただけ良しとしましょう」(ボソッ

真司「…そうだな」(ボソッ

~放課後~

さやか「おーい真司」

真司「何、さやかちゃん?」

さやか「一緒に魔女退治に行かない?」

真司「いいけど、何でいきなり?」

さやか「真司も正義の味方なんでしょ?

さやか「だから一緒に行こうと思ってね」

真司「そうだな…じゃあ行くか」

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キィィィンキィィィン

真司「この辺に居るな…でもまどかちゃんまでついてきて本当にいいのか?」

まどか「うん、足手まといになるってことは分かるけど、私さやかちゃんと真司君が心配だから…」

さやか「大丈夫って言いたいけど実はちょっとまだ怖いんだよね」

さやか「でも、まどかが一緒ならいいとこ見せないとね」

さやかは自分を励ますようにわざを鼻息を荒くしてみせまどかはクスッっと笑った。
そして、二人は変身して結界の中に入る。

真司「あれは使い魔か」

さやか「あんなに距離が離れてちゃ飛び道具を使わないと無理かな」

そう言うとさやかはどこからともなく大量の剣を召喚して使い魔に投げつける。
もう少しで刺さりそうなところで突如現れた槍に剣がはじかれる。

杏子「あーあーもったいないことしちゃって、グリーフシード持ってない奴倒そうとしてどうするの」

そこには赤髪で赤い服を着た少女が立っていた。
その子は片手に槍を持ち、さやか達をあざ笑っていた。

さやか「使い魔でも人を襲うのは一緒でしょ、それよりあんたどういうつもりよ!」

杏子「どういうつもりってあいつは放っておいて、魔女にしておけばグリーフシードを落とすようになる」

杏子「そうなったら倒してグリーフシードをゲットすればいいじゃん」

さやか「それって一般人を見殺しにしろってこと?」

杏子「結果的にはそうだね」

杏子「だけどさぁ、そもそもあんたマミみたいな正義の味方気どりみたいだけど」

杏子「使い魔ばっか倒してソウルジェムが濁りきったら本末転倒じゃん、そんなことも分からないの?」

さやか「そうだとしてもあたしは魔女を倒すために魔法少女になったのよ」

さやか「今さらその考えを覆すつもりはないわよ!」

杏子「しょうがねぇな、こんなことで魔法使いたくないんだけど仕方ないか」

お互いに武器を構えるのを見て、龍騎は二人の間に割って入った。

真司「ちょっと待てよ!ひょっとしてあんたら魔法少女同士で戦おうってのか?」

杏子「当たり前じゃん、そうでもしないとこの馬鹿には分かりそうにないからさ」

真司「だからって魔法少女同士で戦っていいことにはならないだろ!」

真司「それに人を守るために変身して戦って何が悪いんだよ!」

杏子「やれやれ、偵察だけに来たのに馬鹿二人を相手にしなくちゃならないなんてね」

そう言うと杏子は、まどかの周りにバリアを展開させる。
バリアを展開させると同時に杏子は二人に襲いかかってきた。

真司「うわっ!」

『GUARD VENT』

龍騎はドラグシールドで杏子の槍攻撃を防除し、さやかは剣で斬り払う。
さやかは反撃のため杏子に斬りかかるが、杏子はバックステップで回避する。
龍騎はまた二人の間に割って入る。

真司「二人ともやめろって!こんなことをしても意味ないだろ!」

さやか「だからってあんな奴放っておくこと出来ないでしょう!」

真司「ここであの子と戦ったらあんな奴と一緒になっちゃうだろ!」

さやか「あんな奴と一緒にしないで!」

杏子「隙だらけなんだよ!」

杏子は槍を分解し、チェーンの部分で二人を巻きつけて辺りにぶつけ続ける。

真司「ぐはっ!」

さやか「ああっ!」

このまま二人はぐったり倒れる。
さらに龍騎は、このまま気絶して変身が解ける。

まどか「さやかちゃん!真司君!」

杏子「まったく青い奴も馬鹿だけどそっちの甲冑の奴はマミ以上の救いようのない馬鹿だな」

呆れながら後にしようとすると、杏子の横をさやかの投擲した剣がかすめる。

杏子「…全身打撲するくらいには振り回したんだけどもう立っていられるなんてどういう魔法を使ったんだ?」

さやか「あいにくね、私は治癒魔法が得意なのよ!」

杏子「それじゃあ今度は一瞬で治癒出来ないように全身の骨をへし折って四肢をもいでやるかね!」

さやか「なめんなぁ!」

そう言うと杏子は、まどかの周りにバリアを展開させる。
バリアを展開させると同時に杏子は二人に襲いかかってきた。

真司「うわっ!」

『GUARD VENT』

龍騎はドラグシールドで杏子の槍攻撃を防除し、さやかは剣で斬り払う。
さやかは反撃のため杏子に斬りかかるが、杏子はバックステップで回避する。
龍騎はまた二人の間に割って入る。

真司「二人ともやめろって!こんなことをしても意味ないだろ!」

さやか「だからってあんな奴放っておくこと出来ないでしょう!」

真司「ここであの子と戦ったらあんな奴と一緒になっちゃうだろ!」

さやか「あんな奴と一緒にしないで!」

杏子「隙だらけなんだよ!」

杏子は槍を分解し、チェーンの部分で二人を巻きつけて辺りにぶつけ続ける。

真司「ぐはっ!」

さやか「ああっ!」

このまま二人はぐったり倒れる。
さらに龍騎は、このまま気絶して変身が解ける。

まどか「さやかちゃん!真司君!」

杏子「まったく青い奴も馬鹿だけどそっちの甲冑の奴はマミ以上の救いようのない馬鹿だな」

呆れながら後にしようとすると、杏子の横をさやかの投擲した剣がかすめる。

杏子「…全身打撲するくらいには振り回したんだけどもう立っていられるなんてどういう魔法を使ったんだ?」

さやか「あいにくね、私は治癒魔法が得意なのよ!」

杏子「それじゃあ今度は一瞬で治癒出来ないように全身の骨をへし折って四肢をもいでやるかね!」

さやか「なめんなぁ!」

さらに激化する戦闘と気絶している真司を見ながら、まどかはぺたんと倒れこむ。

まどか「真司君の言う通りだよ。なんで魔法少女同士で戦わなきゃならないの…」

キュウべぇ「それも魔法少女の一つの側面だからね」

まどか「キュウべぇ、いつからそこに?」

キュウべぇ「ついさっき来たところだよ」

キュウべぇ「魔法少女は願いを代償にしているから欲望が強い少女がなりやすい」

キュウべぇ「だからこういった争いも日常茶飯事なんだよ」

まどか「もし…私が契約したらこの戦い止められるかな?さやかちゃんや真司君も助けられるかな?」

キュウべぇ「もちろんさ、だけど願いの内容はよく考えるんだね」

キュウべぇ「ちっぽけな願いで契約されても弱い魔法少女にしかなれないからね」

まどか「それでも私はこんな戦い止めたいよ…」

キュウべぇ「それなr

ほむら「それには及ばないわ」

その瞬間どこからともなくほむらが杏子とさやかの間に立ちふさがった。

一瞬でほむらがさやかと杏子の間に割って入ったので、気絶している真司と無表情なキュウべぇ以外は皆目を丸くしていた。
さやか「あんた、一体なんのつもりよ!」

杏子「あんたもそこの二人みたいな馬鹿か?」

ほむら「まさか、私は冷静な人の味方で、無駄な争いをする馬鹿の敵よあなた達はどっちかしら?」

杏子「なるほどね、それにしてもあんたは確かにキュウべぇがイレギュラーって言われるだけあるね」

杏子「一体どんな魔法を使ったんだ?」

ほむら「…」

杏子「だんまりか。まぁ、どっかの誰かみたいに自分から魔法能力を名乗る奴よりはマシかもな」

そう言い、杏子はさやかをチラッと見る。
それを見たさやかは眉間に皺を寄せる。

杏子「でもまぁ、私は少なくとも前者だと思うぜ」

杏子「グリーフシード争いでもないし、相手から喧嘩を売られわけでもないから戦う理由もねーしな」

杏子「今日は馬鹿どもに絡まれて疲れたから帰るわ、そんじゃーな」

そう言いながら、杏子は槍を肩に背負いもう片方の手をひらひらさせながらその場を立ち去った。
ほむらは気絶している真司のところに歩いていこうとするが、さやかが立ちふさがった。

さやか「あんた、何様のつもりよ!」

ほむら「佐倉杏子は無駄な戦いは選ばなかった、あなたはどっちかしら?」

ほむら「もっとも、さっきの戦いの一部始終を見たら言わなくても分かるわね」

そのままほむらは真司のところに行き、真司を背負った。

ほむら「鹿目まどか」

まどか「は、はいっ」ビクッ

ほむら「これまでに何度も言っているでしょう。魔法少女になるなって」

まどか「ごめんなさい…でも魔法少女同士の戦いなんておかしいよ…」

ほむら「その件に関しては私と城戸真司がどうにかするわ。あなたは何も心配しなくていい。何も…」

そう言ったときほむらの顔が悲しげなものになった。
しかし、その時にはほむらと真司の姿が消えたのでそのことに気がついたのは誰もいなかった。
完全な静寂になった路地にさやかの壁を殴る音がやけに大きく響いた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

真司「あれ、ここは?」

ほむら「あなたの家よ」

真司「うお!びっくりした、ってなんでいつの間にほむらちゃんと一緒に俺の家にいるんだよ」

ほむら「佐倉杏子の攻撃を美樹さやかと一緒に受けて気絶していたのよ」

真司「あ!思い出した、あんにゃろふざけやがって!っ痛てぇ…」

ほむら「無理をしない方がいいわ」

ほむら「あなたは今生身なら全身打撲しているような怪我をしているわ」

真司「それじゃあ生身のさやかちゃんは大丈夫なのかよ」

ほむら「彼女は大丈夫よ、美樹さやかは治癒魔法が得意だからすぐに完治するわ」

ほむら「それに魔法少女は契約した時点で体が特別になるから問題ないわ」

真司「それならいいけどさ…」

ほむら「私は野暮用があるから行くわ、あなたは安静にしていなさい」

真司「あぁ、分かった」

そう言うとほむらは真司の家を出て行った。
真司は気になったのでほむらの後をついて行きたかったが、疲労と眠気に勝てずにそのまま寝た。  

~次の日~

真司(ほむらちゃんは大丈夫って言っていたけど本当にさやかちゃん大丈夫かな?)

真司「と、噂をすれば何とやらか。まどかちゃん、さやかちゃん、仁美ちゃんおはよう!」

まどか「おはよう、真司君」

仁美「おはようございます」

さやか「…おはよう」

真司「どうしたんだよ、元気なさそうだな」

真司「やっぱりお前やせ我慢してるんじゃないのか?」

さやか「…そんなこと無いわ、私は先に教室に行っているから」

さやかはこの場をすぐに抜け出しだしたいかのようにスタスタ教室に歩いて行った。

仁美「さやかさんどうしたんでしょう…さっきまでは普通でしたのに」

まどか「仁美ちゃん、真司君に話があるから今日は先に教室に行ってくれるかな?」

仁美「?…分かりましたわ」

そのまま仁美は教室に向かい、その場にはまどかと真司だけが残された。

まどか「あの、遅くなったけどこの前の倉庫の時は助けてくれてありがとう」

真司「気にしなくていいよ」

真司「俺は魔女から人を守るために戦ってるし」

まどか「さやかちゃんも真司君と同じことを考えていたのに、何でこの前はあんなことになっちゃったのかな…」

真司「それは俺も詳しくは分かんないけど、さやかちゃんは悪気は無いと思う」

真司「さやかちゃんはただああいった私利私欲を優先する奴が許せなかっただけだと思うんだ」

真司「だから、さやかちゃんのことを責めないでくれるかな」

まどか「そうだよね…」

真司「あ、そうだ!この前みたいにまどかちゃんに大変なことがあった時のために電話番号を交換しようか?」

まどか「うん、そうだね」

二人は電話番号とメルアドを交換した後このまま辛気臭い話題を避けたまま教室に歩いて行った。

~放課後~

放課後にいつも通りに魔女退治をした真司は、辺りが暗くなったので帰ろうとした。
しかし、直後にまどかから電話がかかってきた。

真司「まどかちゃん?どうしたの」

まどか「大変なの!」ハァハァ

電話越しのまどかの声はまるで走っている最中のように息が切れ切れだった。

真司「どうしたの?まどかちゃん、そんなに慌てて」

まどか「さやかちゃんが大変なの!今すぐ○○の辺りの歩道橋のところまで来て!」 ハァハァ

そう言うとすぐに携帯電話が切られた。

真司「どうしたんだろう、でも切羽詰まっている感じだったから急ぐか」

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真司は走ってまどかの言った歩道橋に向かうと、そこにはさやかとまどかとキュゥべぇと対峙している杏子とほむらがいた。

真司「ほむらちゃん!?なんでそんな奴のところにいるんだよ!」

ほむら「…ワルプルギスの夜を倒すためよ」

真司「だったら何で俺に言わなかったんだよ!」

ほむら「なら素直に、利己的な佐倉杏子と組むと言ってあなたは賛成したかしら?」

真司「そ、それは…」

さやか「そんなことより分かっているんでしょうね?」

杏子「昨日の続きかい?まぁ、あんたが喧嘩を売るなら買ってやってもいいけど?」

一触即発の二人の間に真司がまた割って入る。

真司「だーかーら、何で魔法少女同士で戦う必要があるんよ!」

真司「こんなのっておかしいだろ!」


その言葉を聞いてまどかは後押しされたようにさやかに近づいて行く。

まどか「真司君の言う通りだよ…こんなの絶対おかしいよ!」

歩いていたところを一気に走りだしさやかの懐からソウルジェムを奪い取る。

さやか「まどか!?一体何を!」

まどか「さやかちゃん、ごめん!」

そのままさやかのソウルジェムを歩道橋の下に投げ捨てる。
その様子にびっくりした真司は、まどかに詰めよる。
真司はあらかじめほむらから、ソウルジェムは仮面ライダーにとってのカードデッキと聞かされていたからなおさらだ。

真司「ちょ、まどかちゃん。いくらなんでもやりすぎじゃ」

さやか「まどか、いきなりなn

さやかは言い終える前に、いきなりその場に倒れる。
いきなりの事態にほむらを除いた全員が、さやかに詰めよる。
ほむらだけ舌打ちをして、その場から消えた。

真司「さやかちゃん、大丈夫?さやかちゃん!」

しかし、いくら揺さぶっても反応が無い。
その様子を見たキュゥべぇがまどかに近づく。

キュゥべぇ「一体どうしたんだい?まどか」

キュゥべぇ「いきなり友達を投げ捨てるなんて」

まどか「え、えぇ?」

動揺しているまどかをよそにキュゥべぇは歩道橋の手すりに飛び乗り話を続ける。

キュゥべぇ「比較的友達思いの君がいきなりこんな行動に出るなんて僕の理解の範疇の外だ」

キュゥべぇ「やっぱり人間はわけがわからないよ」

そこまで聞いてカチンと来た杏子がキュゥべぇを吊るしあげる。

杏子「おい!てめぇ、一体どういうことだ説明しろ!」

キュゥべぇ「分かった、それじゃあソウルジェムのことについて説明してあげるよ」

吊るしあげられているにも関わらずキュゥべぇの態度は異常なまでに淡々としていた。

キュゥべぇ「まずこのソウルジェムは何で構成されているかというと魔法少女の魂さ」

杏子「はぁ!?それじゃあ私達が魔法少女になるときに魂が抜き取られているってわけか!?」

キュゥべぇ「その通りさ、杏子」

キュゥべぇ「そしてソウルジェムを通して肉体を操作している」

キュゥべぇ「だから肉体とソウルジェムが約100M離れると肉体の操作が出来なくなるのさ」

杏子「はぁ!?それじゃほとんどゾンビに近いじゃないか!」

キュゥべぇ「君たち人間はいつもその点を批判するね、単に魂を固形化しただけじゃないか」

キュゥべぇ「それにソウルジェムが肉体の近くにある時はしっかり生命活動をしているんだよ」

キュゥべぇ「だから、君たちの言うゾンビの定義には当てはまらないと思うよ」

キュゥべぇ「仮にそれをデメリットとしても肉体が大怪我をしてもソウルジェムがある限り魔法を使って自力で治療出来る」
キュゥべぇ「だから総合的に見たらメリットの方が大きいと思うな」

真司「そんなことをしたら人間らしくなくなるのは変わらないだろ!」

キュゥべぇ「それってどういうことだい?」

真司「別に俺は体があんなことになっても軽蔑するつもりはない」

真司「だけど人間は魂が体の中にあって痛みがあって怪我をするから人間なんだよ!」

真司「それがこうなって、ああなって…ああもう!自分でもなんだかよくわからないけどそれが人間なんだよ!」

真司「!!まさか、ほむらちゃんが言った『魔法少女は契約した時点で体が特別になるから問題ない』って…」

ほむら「ご察知の通りよ」

いきなりのほむらの声に振り向くと眉間に皺を寄せながらさやかのソウルジェムを持っているほむらの姿があった。

ほむら「魔法少女はただ肉体をソウルジェムの操り人形にされているだけ」

ほむら「それでも魔法少女になりたいかしら鹿目まどか?」

その言葉にまどかは黙り込む。
そしてさやかのソウルジェムをさやかの肉体に当てるとさやかは意識を取り戻した。

さやか「…あれ?今まであたし何していたんだろ、って何皆してシリアスな顔してるのよ」

真司「さやかちゃん、大丈b

杏子「さやか、お前本当に大丈夫か?」

さやか「あんた、いきなり割り込んで何馴れ馴れしくしてるのよ、気持ち悪いわね」

さやか「まぁ、大丈夫だけど一体何があったの?」

杏子「…私からは言いづらいからこいつから聞きな」

杏子「あいつのほうがしっかりと答えてくれそうだからな」

そう言いながら杏子は親指でキュゥべぇを指す。
その後夜も遅いからここはひとまず解散することになり各自が家に帰るのであった。

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例のソウルジェム騒動以来、目に見えてさやかの元気がなくなっていた。
やはり思春期の少女が、普通の人間じゃなくなるというのはショックが大きいだろう。   
真司はどうにか励まそうと積極的に話そうとするが、すぐにあしらわれてしまう。

真司「それじゃあまた明日、さやかちゃん」

さやか「…」

真司(やっぱショックだよな、俺だって魂があんなことになったらどうしたらいいか分かんなくなるよ…)

そのあとほむらとまどかがどこかに行こうとするのでついて行こうとしたが、ほむらに拒否されてしまった。
そこでさやかを追いかけようともしたが、既に見失ったのでひとまずあきらめることにした。

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今日も例によって魔女退治をする真司。
真司自体は魔女退治を続けることに抵抗はないが、真司にはそれより他にに引っかかるものはあった。

真司「ほむらちゃん、最近妙にまどかちゃんに厳しい気がするんだよな」

真司「蓮の奴も厳しかったけどあいつと違ってなんかネチネチしているし」

真司「それに最近俺がまどかちゃんの監視をしようとすると、すぐに止めたがるし」

真司「まどかちゃんの監視はほむらちゃんが先に持ちかけたのに何でほむらちゃんがストップをかけるんだよ」

真司「そのうち問い詰めてやるから覚悟しとけよ、まったく」

真司「…あれ?あのベンチに座っているのはさやかちゃん?どうしたんだろ」

公園に入り真司はさやかに走って近寄る。

真司「さやかちゃんどうしたんだよ、そんなに落ち込んで」

さやか「ああ、真司か…偶然だね…」

真司「話、聞いてやるから少しは元気出せよ」

最初は戸惑っていたようだったがさやかは重い口を開いた。
彼女が上条に思いを寄せていること。
しかし、自分が肉体と魂が分離した体になってしまったため、告白出来ないことを話した。
仁美が上条が好きなことはさやか自身の気持ちの整理がついていないのでさやかは黙っていた。

さやか「無理だよね…こんな体になっているのに彼女になるなんて…」

真司「…俺にはそう言ったことはよくわからないからうまく言えないけど、俺はその程度で軽蔑しない」

真司「あと、俺の友達に恋人のために戦っていた奴がいたけど多分そいつも軽蔑はしないと思う」

真司「でもその代わりに『何、そんなくだらないことで悩んでいるんだ』って呆れられるかもな」

さやか「そうなんだ…真司とその友達は優しいね…ねぇ、真司」

真司「ん?」

さやか「もし、私が恭介にフラれたらさ、真司が私の彼氏になってくれる?」

真司「はぁっ!?え、それってどういう、どういった!??」

さやか「いいから答えて」

真司「そりゃ、気持ちは嬉しいけどいきなりはさすがにどうかと…」

さやか「そうだよね、いきなり告白されてもドン引きされるだけだよね…」

そう落胆の表情を浮かべさやかは立ち上がり、よろよろと公園を出て行こうとする。

真司「ちょっ、さやかちゃん!別にそういう意味で言ったんじゃないって!」

真司「俺はさやかちゃんやほむらちゃんやまどかちゃん達のことは好きだぞ、友達として」

さやか「…その中途半端な優しさが今の私には余計傷つくのよ。」

その後も真司はさやかに呼びかけるが全く振り返らずに暗闇の中に消えていった。

~次の日~

真司は学校をサボりさやかの家に向かっていた。
昨日の一軒でさやかが心配になったのでもう一回さやかと話し合おうと思っていた。

真司「でも、昨日あんな話をしちゃったからどうやって話を切り出そうかな…ん?」

すると真司の目に杏子がさやかを連れてどこかに行くのが見えた。

真司「あれは、杏子ちゃん?」

真司「まさかあの二人また戦うつもりじゃ!」

真司「でも、杏子ちゃん今日はあのピリピリした雰囲気じゃないような…」

長い間ライダーバトルに巻き込まれた真司だからこそ、戦う時の空気のようなものがある程度分かるようになっていた。

真司「とりあえずついて行ってみるか、危険だったら割り込めばいいしな」

杏子とさやかがついたのは廃墟と化した教会だった。
真司は、そばに生えている木の陰に隠れて二人の会話を聞くことにした。
そこで、杏子は彼女自身が魔法少女になった理由を話した。
杏子はかつて牧師の父親のために魔法少女となったこと。
しかし、魔法で信者を集めていたのがバレて父が絶望し一家心中を起こしたのであった。

杏子「その日以降あたしは思ったわけさ、他人のために願いを使ってもロクなことにならないってね」

さやか「それがあんたが他人のことを顧みなくなった理由?」

杏子「その通りさ」

杏子「ついでにさ、希望と絶望は差し引きゼロってことも頭に入れておいたら?」

杏子「奇跡なんて絶望という代償なしに得られない。なんてことのないただの等価交換さ」

さやか「…何であんたがわざわざ私にそんなことを言うのよ」

杏子「あんたを見ていたら昔のあたしを思いだしちゃってさ」

杏子「正直昔の自分を見ているのは気分悪いんだよね」

さやか「それって同情しているってこと?」

さやか「気遣いはありがたいけどあんたが言っても全く嬉しくないわよ」

そう言い捨てさやかは教会を出て行き、杏子と隠れている真司だけが残された。


杏子「行っちまったか…さてと」

杏子はソウルジェムを取り出し、ソウルジェムから槍を生やして投げ槍のように投げた。
その槍は真司が隠れている木に突き刺し木を真っ二つにした。

真司「うおぁ!?」

杏子「人の話を盗み聞きするなんて馬鹿にしちゃぁ頭が回るじゃん」

杏子「あんたのことは暁美ほむらから聞いているよ城戸真司」

杏子「とりあえずリンゴでも食うかい?」

そう言いながら杏子は紙袋からリンゴを取り出し真司に差し出す。

真司「おぉ、悪いな…って、そんなことより俺はさやかちゃんが心配だから早く追いかけたいんだよ」

杏子「仮に追いついたとしても今のあんたに説得できる算段でもあるのかい?」

真司「そりゃあ無いけど、やってみないと分かんないだろ」

杏子「はぁ…そういう行き当たりばったりなところが馬鹿なんだって気付かないのかお前は?」

杏子「まぁ少しは落ち着けよ、リンゴもう一個おまけしてやるからさ」

真司「わ、分かったよ、ところでさっき話聞いた時も思ったんだけどさ杏子ちゃんって実はいい人なんだな」

杏子「今度は藪から棒になんだよ、おだてたってもうリンゴはおまけしねーぞ」

真司「別にリンゴ目当てってわけじゃないさ」

真司「最初は嫌な奴だって思っていたけど、実は似たような奴をほっとけなくて世話を焼こうとするいいところがあるじゃん」

杏子「それは善意でやったわけじゃなくて、ただ自分と同じ道をたどる奴を放っておけなかっただけさ」

真司「それでもただ何の理由もなしに自分勝手に戦う奴よりはずっとマシだって」

杏子「はぁ…おだててくれたお礼に警告してやるがな、お前ほむらが言うには戦いを止めようとしてるらしいじゃん」

真司「あぁそうだよ、それがどうかしたのかよ」

杏子「お前何で戦いを止めたいんだよ」

真司「そんなの無意味だからに決まっているだろ!それ以外に何がいるんだよ!」

杏子「それってただ道徳的に照らし合わせているだけだろ」

杏子「とりあえず何となくいけないことだと思うので止めたいと思いますってね」

真司「何が言いたいんだよ…」

杏子「真司、お前少しは自分の考えって言うか芯みたいなものをしっかり持った方がいいんじゃないか?」

杏子「でないとお前そのうち死ぬぞ」

そう言いながら杏子は教会から出て行き、どこかに行ってしまった。
真司はその場に立ち尽くしたまま長時間そのままだった。
その日自分がどのように帰ったかもよく覚えていない。

~次の日の放課後~

真司「今日も魔女退治するか…さやかちゃんは心配だけど他の人が魔女に襲われているのも見過ごせないしな」

キィィィンキィィィン

真司「この辺が結界か」

真司はカードデッキをカーブミラーにかざす。

真司「変身!」

カードデッキをVバックルに挿入して真司は龍騎に変身する。

真司「っしゃぁ!」

龍騎は結界に突入した。
その結界は白と黒の二色だけで構成されていた。
そして黒い地面の向こうに女性のようなシルエットの魔女エルザマリアがいた。
その周りに触手のような多くの使い魔がエルザマリアを守るように伸びていた。

真司「あれが魔女だな、よし!」

龍騎はアドベントカードを引き抜きベントインした。

『SWORD VENT』

ドラグセイバーを手にした龍騎はエルザマリアを守る使い魔に斬りかかる。

真司「よし、これならすぐに終わりそうだ!」

さやか「待ちなよ…何勝手に人の得物とってるのさ…」

真司が振り返るとそこには全身から殺気を放っていたさやかが立っていた。

真司「さやか…ちゃん?」


浅倉にも引けを取らないすさまじい殺気を放つさやかに龍騎は一瞬たじろぐ。
隙だらけの龍騎に使い魔が襲いかかるが、さやかが2本の剣を両手にもち電光石火で近寄り一瞬で斬り伏せる。
それが合図になったかのように使い魔が龍騎からさやかに狙いを変え、一斉に襲い掛かる。
しかし、さやかは二振りの剣をまるで鈍器のように叩きつけ使い魔を倒す。

さやか「これで終わり?もっと、あたしを満足させてよ!」

今すぐ笑い出しそうな狂気の顔を浮かべながら魔女に近寄るさやか。
その言葉に答えるかのようにエルザマリアはさらに使い魔を繰り出す。
今度はさやかは使い魔の総攻撃を受け全身から血を噴き出す。

真司「さやかちゃん!」

龍騎はすぐにさやかに走って近寄ろうとする。

さやか「あんたの助けなんていらないわよ!デウリャァァァァァァァァァ!!!」

さやかは魔法で全身の傷口を塞ぐと咆哮を上げ使い魔を叩きのめし、エルザマリアに馬乗りになる。
そのまま魔女を剣で抵抗する間もなく叩きのめす。
その光景をみた龍騎はさやかに近寄りしがみつく。

真司「やめろって!いくらんでもやりすぎだろ!」

さやか「放せ!あたしはこいつを殺さなきゃいけないんだ!」

さやか「そうよ!あたしは正義の味方なんだから魔女を皆殺しにする必要があるのよ!アハハハハハハ!!」

真司「だからそう考えている時点でおかしいって!」

龍騎はさやかを押さえつけるが、それに構わずさやかはエルザマリアに攻撃を加え続ける。
その時結界に杏子も入ってきて二人を見て目を丸くする。

杏子「ちょっと一体どうしたんだよ!二人とも」

その声を聞いたさやかは鋭い目つきで杏子を睨みつける。

さやか「あんたも邪魔しに来たっていうの?あんたもぉぉ!!!」

真司「杏子ちゃん、頼む手伝ってくれ!」

杏子「あ、ああ」

杏子はさやかの右脇を龍騎は左脇を掴みエルザマリアから引き剥がす。
エルザマリアはこれまで蓄積したダメージで結界と一緒に消滅し、グリーフシードだけ残される。
3人の変身が解けた瞬間にさやかは真司と杏子を壁に叩きつける。

さやか「何であたしの邪魔をしたのよ!!何でぇぇぇぇ!!!」

杏子「いい加減落ちつけよ!そのグリーフシードをやるから放せ!」

さやか「そんなもんで釣られるわけないでしょうが!!」

杏子「そう言ったってソウルジェムを浄化しないといけないだろ!」

杏子「実際にお前、かなりソウルジェムが濁ってるじゃないか!」

ソウルジェムを見て確認をしたさやかは舌打ちをして、釈然としない表情をしながらさやかは二人を放してグリーフシードを拾い上げる。

さやか「イライラすんのよ、あんた達…」

そう吐き捨てさやかは行ってしまった。
その様子を二人は唖然としながら見つめるのであった。

~数日後~

真司はほむらの家の前に立っていた。
ほむらが最近隠し事をしていることを問い詰めるためだ。
真司がインターホンを鳴らすとすぐにほむらは出てきた。

ほむら「何か用かしら城戸真司?」ガチャ

真司「ああ、ほむらちゃんには色々聞きたいからな」

真司「とりあえず部屋に入ってもいいか?」

ほむら「構わないわ」

真司がほむらの部屋に入るとそこには既に杏子がカップ麺をすすりながら座っていた。

杏子「誰かと思ったら真司じゃん、今日はどうしたのさ」

真司「いや、杏子ちゃんこそどうしてほむらちゃんの家にいるんだよ」

杏子「私はワルプルギスの夜対策で話があるってことでほむらに呼び出されたのさ」

真司「あ!そうだったな…さやかちゃんのことで忘れていたよ」

杏子「お前、さやかのことが心配そうだから怒鳴られると思ったんだけど意外だね」

真司「もちろんさやかちゃんのことは大事だけどさ、そのワルプルギスの夜で多くの人が被害を受けるならそれは放っておけない」

杏子「まぁ、それであんたが満足ならいいけどさ」

ほむら「待たせたわね、これから対策会議を始めるわ」

杏子「その前に一つ質問いいかな」

ほむら「何かしら?」

杏子「確かあたしと初めて会ったときにワルプルギスの夜対策ってことであたしを誘ったけどさ」

杏子「何でこの町にワルプルギスの夜が現れるってわかるのさ?」

真司「あ!そう言えば…どうして分かったんだ?」

ほむら「私だって魔法少女のはしくれよ」

ほむら「だから、伝承となっているワルプルギスの夜について興味を持ったの」

ほむら「そこでどんな場所にどの時代に出現しているかを統計を取ってみたら次に数週間後にこの街に現れるのが分かったのよ」

真司「なるほど、それなら納得だな」

杏子(そうかね?あたしの記憶じゃワルプルギスの夜の出現パターンはランダムだった気がするけどねぇ)

杏子(まぁこいつと組んで損することは無いし、もし不利になったら真司を出し抜いてうまく味方につけてこの街からとんずらすればいいか)

杏子(さやかのことはほとぼりが冷めたらまた励ましてやればいいか…)

真司「それでワルプルギスの夜とどうやって戦うんだよ」

ほむら「それは地道に使い魔を倒しつつワルプルギスの夜に攻撃を加えるしかないわ」

ほむら「だけどあの魔女は伝説で語られるだけあってかなりの耐久力を誇っている」

ほむら「だから、ワルプルギスの夜と戦うのとその使い魔に囮を兼ねて優先して戦うように分担したいのよ」

杏子「理屈は分かったけどよ、あたしは本体と戦うのは嫌だぜ」

杏子「使い魔たちと戦う方が生存率が高そうだしな」

ほむら「私に協力してくれるなら別にかまわないわ」

ほむら「それに本体は出来れば私がしとめたいから…」

そう語るほむらはいつものクールなイメージにそぐわずに、眉間に皺を寄せ眼光を鋭くして立体映像のワルプルギスの夜の絵を睨みつけた。

真司「分かった、ワルプルギスの夜のことはそれでいいとしてさやかちゃんのことはどうするんだよ」

ほむら「…あなたに言われるとは思っていたけど単刀直入に言うわ、美樹さやかのことはあきらめなさい」

真司「はぁ!?いきなりなんだよ!」

ほむら「この前のことを佐倉杏子から聞いたわ」

ほむら「彼女はもう手遅れの段階に来ているからあなた達がいくら説得しても無駄よ」

いきなりそんのことを言われて真司はほむらに詰めよりほむらの襟の部分を掴んだ。

真司「勝手に決め付けるなよ!やってみないと分からないだろ!」

杏子「そうは言うけどねぇ、お前もあのさやかの変貌ぶりを見ただろ」

杏子「あれをどうしろって言うんだよ」

真司「杏子ちゃん!?何でいきなりさやかちゃんを裏切っているんだよ!」

杏子「ちょ、お前はいちいち過剰反応がすぎるんだよ」

杏子「あたしだってさやかのことはどうにかしたいさ、だけどあそこまで情緒不安定になったら元に戻すのは難しいってことだ」

杏子「このあたしですら今のさやかを持て余しているんだ」

杏子「芯のしっかりしてないあんたには無理じゃないか?」

真司「確かにそうかもしれないけどよく話し合えばさやかちゃんも分かってくれるはずだろ」

杏子「またお得意の根拠なしの理想論かい?」

真司「確かに理想論かもしれないけどやらないよりマシだろ」

そう言い捨て真司はさやかを探しに外に出て土砂降りの中傘を差さずに走り出した。

杏子「やれやれ、そんじゃあこの会議はお開きってことでいいかね」

ほむら「構わないわ」

杏子「そんじゃーな」バタン

ほむら(城戸真司は性急すぎるかもしれないけど、今の美樹さやかは何をしでかすか分からないわね…)

ほむら(私もまどかを監視しようかしら?)

そう思い立つとほむらは家を出てまどかを探しに行った。

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その頃まどかとさやかはガラス張りの屋外休憩所の椅子に座っていた。
さやかは殺気と失意を身にまとい、その様子を見るまどかは困惑を隠せずにいた。

さやか「ねぇまどか、あたし何のために戦っているのかな?」

まどか「え、それってどういうこと?」

さやか「文字通りの意味よ、恭介はもうあたしの方を向いてくれないしあたしはどうしたらいいのかな?」

まどか「それは…そうだ、さやかちゃん確かマミさんみたいに正義の味方になってこの街を守るって言っていたでしょ」

まどか「だからこれからも正義の味方として頑張ればいいんじゃないかな?」

まどか「そうすればまた、上条君も仲良くしてくれるかもしれないし」

その上条というワードを聞いてさやかは突然ぷつんと切れたかのようになった。

さやか「そうよ…正義の味方よ…ハハ」

まどか「さやかちゃん?」

さやか「正義の味方になれば恭介もまたあたしを見てくれるかもしれない」

さやか「よく考えたら多芸のお嬢様の仁美に一般人のあたしが敵うはずないわよね、うん」

さやか「だったらあたしが正義の味方になって仁美よりすごくなればいいんだ」

さやか「何でこんな単純なことが分からなかったんだろう…」

まどか「そうだよさやかちゃん、だから元気を出して」

さやか「とりあえずさぁ、あたしが正義の味方になるために死んでよ、まどか」

いきなりさやかから思いもよらない言葉が飛びでてまどかは足が震えだす。

まどか「な、何言ってるの…さやかちゃん…」

さやか「だってさぁ、こういう正義の味方には悲劇的な設定が付きものでしょ?」

さやか「今の状態でも不幸だと思うんだけど悲劇のヒロインになるためには何かが足りないと思ったんだよね」

さやか「そこで思ったんだけどさぁ…」

さやか「大体視聴者が同情する悲劇の主人公は大抵家族や親友とか大切な人が死ぬ場合が多いでしょ?」

さやか「だから逆転の発想であたし自身が大切な人を殺せば手っ取り早く悲劇のヒロインになれるんじゃないかって思ったのよ」

さやか「まどかはあたしにとって大切な友達だから、まどかが死ねば晴れてあたしは悲劇のヒロインの仲間入りってわけよ」

さやか「それで正義の味方かつ悲劇のヒロインになれば恭介はまたあたしを見て好きになってくれる!」

さやか「ううん、それだけじゃない」

さやか「今まであたしに無関心だった他の子だって皆あたしのことを見て好きになってくれる!」

さやか「魔女退治は結構命がけで大変なんだからさぁ、そのくらい良いことがあってもいいでしょ?」

さやか「だからお願ぁい、おとなしく死んでちょうだい、まどか」

さやか「心配しなくても大丈夫、死んだ時はとりあえず泣いて悲しんであげるからさぁ!」

そう一気にまくし立てるとさやかは魔法少女に変身して剣の刃先をまどかに向け、虚ろな目で不気味な笑みを浮かべながらまどかに近寄る。

まどか「い、嫌だよさやかちゃん…お願いだから元の優しいさやかちゃんに戻ってよ…」

さやか「この期に及んで何を言っているの?」

さやか「まどか、あたしは仁美に言われたとおりに本当の気持ちに素直になっているだけよ。うわりゃぁぁぁぁぁ!!!」

叫びながらまどかに詰めより剣をまどかに向かって振り下ろす。
それをまどかは瞬間的によけるが、足がよろめき尻もちをついてしまう。
そこにさやかは馬乗りになり、左手でまどかの首を絞め右手の剣を逆手に持つ。

さやか「あはははははははは、これでようやくあたしも悲劇のヒロインになれる!」

さやか「もう恭介に見捨てられることなんて無いんだぁ!!」

まどか(もう息が…苦しい…誰か、助けて…!)

目に涙をためまどかが祈ったその瞬間。

真司「うおおおおおおぉぉ!!」

真司が休憩所に入り馬乗りになっているさやかを押し倒すような形でさやかを突き飛ばす。

真司「お前…一体何をしているんだ、さやかちゃん!」

さやか「あんた馬鹿をこじらせて目が節穴になったの?見ての通りまどかを殺そうとしていたところよ」

真司「さやかちゃんはまどかちゃんの友達だろ?」

真司「だったら何で殺さなくちゃいけないんだ!」

さやか「それはあたしが正義の味方になるために必要な犠牲だからよ」

真司「ッ…!いくら正義の味方になりたいからってまどかちゃんを襲う理由になってないだろ!」

さやか「なんだ、あんたも邪魔するんだ…そう言えば真司、あんたも友達だったよね」

さやか「だったらついでにあんたも死んでちょうだい!」

そう叫ぶとさやかは真司をガラス張りの壁に叩きつけ首を絞める。

真司「かはっ!」

さやか「あはははは!!真司が悪いんだよ、あたしの友達のくせにあの転校生とベタベタしてさぁ」

さやか「あたしの友達ならおとなしくあたしだけとなれ合っていればいいのよ!」

そう嫉妬の叫びを上げると首を絞める力をさらに強くする。
真司はポケットからカードデッキを取り出して、変身しようと自分が叩きつけられているガラスと反対側のガラスにかざした。
と、その次の瞬間見覚えのある黒髪の少女が視界に入った。

ほむら「それ以上何かしたらソウルジェムごと腹部を撃ちぬくわよ?美樹さやか」

そう言われて真司がさやかの肩から頭を出し視線を下に落とすと、さやかの背中に拳銃が押しつけられていた。
ご丁寧に安全装置もきちんと解除してある。

さやか「チッ、またあんたが邪魔をするっていうの?」

ほむら「そうよ、あなたの所業は黙認するつもりだったけどさすがに放っておけないわ」

さやか「へぇ、それじゃああたしと戦うってこと?」

ほむら「その通りよ」

さやか「ちょうどよかったわ、あたしもあんたが目障りになってきたところだし」

ほむら「ここは少し狭いわ、外に出ましょう」

さやか「上等よ」

二人は休憩所から出て行く。
その際にほむらは出ていく際に真司に振り向いた。

ほむら「まどかは任せたわよ、城戸真司」

真司「あ、あぁ。分かった」

二人が去り休憩所には真司とまどかだけが残された。
二人は脱力するようにぺたんと座りこんだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ほむらとさやかは交通量の少ない橋に来ていた。
この橋はただでさえ人通りが少ないのだが豪雨により二人以外は人っ子一人見えなかった。

ほむら「ここなら人目につくこともない、それに戦っている音も雨の音でかき消されるわ」

さやか「へぇ、あんたにしては中々いい気遣いをしてくれるじゃないの」

さやか「てっきりまどかと真司のことしか頭にないと思っていたけどね」

ほむら「ごたくはもういいわ。来なさい」

その挑発を受けさやかは剣を構えほむらに突進する。
ほむらは魔法少女に変身し、拳銃をさやかに向けて連続で発砲する。
さやかは魔法少女の卓越した身体能力でいくつかの銃弾を避け、避けられない分は剣で弾く。
弾を撃ち尽くすと、隙を作らないために時を止めて弾倉を交換する。
それを繰り返すとほむらと違い、さやかは常に体を動かしているので疲労が蓄積してきた。
さらにほむらは基本涼しい顔でさやかと戦っているので、苛立ちもたまってきた。
そして気が抜けた隙に何発かさやかの足に被弾する。
その隙を付き、ほむらはサブマシンガンを取り出し一斉掃射をする。

さやか「っ!あんた…!」

全身から血が噴き出しすさまじい重傷を負うも、さやかは魔法で体を治す。
そこに散弾銃に持ち替えたほむらが近寄る。その顔にはいつものクールではない険しい表情をしていた。

ほむら「あなたにはいつも引っかき廻されていたけど、貴重な戦力になるから黙認していた」

ほむら「だけど、まさかまどかを殺そうとするなんて思っていなかったわ」

ほむら「だから今ここで消えなさい、美樹さやか」

そう言うと散弾銃をスライドを前後に動かし発射態勢に移る。

さやか「くっ!うぅあぁぁ!」

さやかは威嚇するかのようにうめき声を上げ、地面を這いずり橋を乗り越えそのまま川に落ちた。
ほむらはすぐに散弾銃を構えたまま川を覗き込むが、夜が遅く彼女の姿を見つけることは出来なかった。

ほむら「見失ったか…」

ほむらは散弾銃をしまうとすぐに時間停止を使い姿を消した。
その後には最初からなにも無かったかのように、雨だけが降り続いていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

さやかが川に落ちてから誰もさやかの行方を知る者はいなく、学校でも噂になりつつあった。

~その日の放課後~

真司は失意のままとぼとぼ歩いていると校門に知っている顔を見つけた。

杏子「よぉ、奇遇だな」

真司「杏子ちゃん…」

杏子「せっかくだからさ、今日はあたしと帰んない?特に用事もないだろ、あんた」

真司「ああ、そうするよ…」

二人が歩いて他の生徒が見えなくなると、杏子は口を開いた。

杏子「ほむらの奴から聞いたぞ、さやかのこと」

真司「ああ…」

杏子「とうとう手遅れなところまで来ちまったな…さやかも」

真司「だとしても俺は!」

杏子「あきらめないってか。その台詞もいい加減にしな」

杏子「あたしが荒れていた時期でもあんなに悪化することは無かった」

杏子「この前あいつは友達を殺そうとした。それがどれだけ異常か分からないのかい?」

真司「…分かってるさ、いくら正義の味方になりたいからって友達を殺すなんて東條じゃあるまいし…」

杏子「東條?」

真司「俺が知っている奴で多分一番訳の分からない奴だと思う」

真司「あいつは英雄になりたがっていた」

真司「英雄は多少の犠牲を割り切る必要がある」

真司「だから大事な人を殺せば英雄になれるって言っていた」

真司「そのためにあいつは同じゼミの生徒と教授を殺して、さらに命の恩人すら殺そうとしていた」

杏子「お互いに物騒な知り合いがいるたぁ、世も末かねぇ…」

杏子「少なくともあたしはそんな奴の精神を元に戻す方法なんて皆目見当もつかないね」

さやかが川に落ちてから誰もさやかの行方を知る者はいなく、学校でも噂になりつつあった。

~その日の放課後~

真司は失意のままとぼとぼ歩いていると校門に知っている顔を見つけた。

杏子「よぉ、奇遇だな」

真司「杏子ちゃん…」

杏子「せっかくだからさ、今日はあたしと帰んない?特に用事もないだろ、あんた」

真司「ああ、そうするよ…」

二人が歩いて他の生徒が見えなくなると、杏子は口を開いた。

杏子「ほむらの奴から聞いたぞ、さやかのこと」

真司「ああ…」

杏子「とうとう手遅れなところまで来ちまったな…さやかも」

真司「だとしても俺は!」

杏子「あきらめないってか。その台詞もいい加減にしな」

杏子「あたしが荒れていた時期でもあんなに悪化することは無かった」

杏子「この前あいつは友達を殺そうとした。それがどれだけ異常か分からないのかい?」

真司「…分かってるさ、いくら正義の味方になりたいからって友達を殺すなんて東條じゃあるまいし…」

杏子「東條?」

真司「俺が知っている奴で多分一番訳の分からない奴だと思う」

真司「あいつは英雄になりたがっていた」

真司「英雄は多少の犠牲を割り切る必要がある」

真司「だから大事な人を殺せば英雄になれるって言っていた」

真司「そのためにあいつは同じゼミの生徒と教授を殺して、さらに命の恩人すら殺そうとしていた」

杏子「お互いに物騒な知り合いがいるたぁ、世も末かねぇ…」

杏子「少なくともあたしはそんな奴の精神を元に戻す方法なんて皆目見当もつかないね」


そう杏子は諦めのポーズながら真司と肩を並べ、二人はとある駅の構内に入っていく。
そこでふたりはよく見知った顔を見つけた。

杏子「おい、あれさやかじゃないか?」

真司「確かに…さやかちゃん!」

二人はすぐにさやかに駆け寄ったが、その雰囲気は何時だか真司が公園で会った時より沈んでいた。
体はぐったりしていて、目は虚ろになっていた。

真司「さやか…ちゃん?」

杏子「一体どうしたんだよ?さやか」

さやか「真司はともかくあんたにまで心配されるなんて、本当に堕ちたね私…」

真司「そんなこと無いって!また皆で頑張ればいいんだよ」

さやか「少し前のあたしならそう言えたんだけどね、でもあたし気づいちゃったんだ…」

杏子「気付いたって…?」

さやか「希望と絶望は等価交換ってこと。ほらあんた言っていたじゃない」

さやか「それがやっと分かったの。やっぱり奇跡なんてやっぱりタダじゃ付かないもんなんだね…」

さやか「あたしってホントバカ…」

その瞬間ガラスのようなものが割れる音がしてさやかのソウルジェムが割れ、二人に衝撃波が襲ってきた。

杏子「うわっ、一体何が起こっているんだよ!さやかーーー!!!」

真司「くっ!さやかちゃん!」

衝撃波が収まると同時に辺りの風景が異形のものに変わっていった。

杏子「これって結界!?一体なにがどうなっているんだよ!」

真司「杏子ちゃん、あれ!」

真司が指さした先には甲冑を着て、両手に剣を持っている魔女がいた。

杏子「こんな時に!おいさやか、居たら返事しろ!」

辺りを見渡すと、魔女のそばにさやかが倒れているのを杏子が見つけた。
何故か魔女はそばに倒れているさやかにはまるで気付いていないようだった。

杏子「さやか!」

杏子は魔法少女に変身して、魔女の車輪攻撃を避けつつさやかのもとに向かった。
さやかを抱き上げるが、ソウルジェムを無くした時みたいに生気がなくなっていた。
その隙を逃さないように魔女が剣を振りかぶったが、その腕が振り下ろされる前にその腕が吹き飛んだ。
すぐさま二人が振り向くと、バズーカ砲を構えているほむらの姿があった。

ほむら「チッ、またこのパターンなの?美樹さやか」(ボソッ

ほむら「二人とも今すぐこの結界を脱出するわよ」

真司「え?でも目の前に魔女が」

ほむら「その辺りは脱出したら説明してあげるわ。来なさい!」

二人は釈然としなかったがほむらの後をついて行き結界を脱出した。
するとそこには意外な人物がいた。鹿目まどかである。

ほむら「まどか、あなた何時の間に!」

まどか「ごめんなさい、でもほむらちゃんが急に顔色を変えて走っていくのが見えたから、ひょっとしたらさやかちゃんが見つかったのかと思って…」

ほむら「えぇ美樹さやかは見つけたわ、最悪の形でだけどね!」

まどか「それって…?」

真司「どういうことだよ?」

ほむら「ここまで来たらもう言い訳できないわね…」

ほむら「いいわ、あなた達に魔法少女の真実を話してあげるわ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

真司「ウソだろ…そんなのって…」

ほむら「信じられないかもしれないけどこれが真実よ」

杏子「魔法少女のソウルジェムが絶望を貯めて濁りきると魔女になる…か」

まどか「それじゃあ、さやかちゃんも?」

ほむら「ええ、すでに魔女になってしまったわ。」

まどか「そんな…」

まどかはショックのあまり地面にぺたんと倒れこんでしまう。

真司「なんで優衣ちゃんの時と言い、いつも真実はこう残酷なんだよ…」

同じく真司も地面に倒れこんでしまう。

ほむら「正直あなたには言いたくなかったわ、人殺しに抵抗のあるあなたには」

真司「ッ!それじゃあこの前人を殺して平気でいられるかって聞いたのって…」

ほむら「あなたの想像通りよ、魔女を倒すには本当は元とは言え人を殺す覚悟が必要なのよ」

杏子「話は分かったけどさ、それにしてもあんた知り合いが魔女になったっていうのによく冷静でいられるな」

杏子「それでも血の通っている人間か?」

ほむら「血は通っているけど人間じゃないわ。あなたと一緒でね」

それを聞いたとたんに杏子は歯を食いしばりほむらの胸倉をつかんだ。

杏子「あたしはね、あんたやキュゥべぇみたいなこんなことを聞いて涼しい顔をしていられる奴が大っ嫌いなんだよ!」

ほむらは自分がキュゥべぇに例えられたのが頭に来たのか、拳銃を杏子の眉間に当てる。

ほむら「それ以上言ってごらんなさい、風穴を開けるわよ…!」

杏子は舌打ちをしながらしぶしぶほむらを放し、さやかを抱きかかえてどこかに行ってしまった。

ほむら「今日はもう遅いから送ってあげるわ、鹿目まどか。」

そう言いほむらはまどかの手を取り、そのまま消えた。
瞬間移動でまどかの家まで送ったのだろう。
最後に残された真司が帰ったのは、それから数十分たった後だった。

真司は自宅に引きこもっていた、昨日あまりに色々なことがありすぎたからだ。
魔法少女が魔女になると聞いただけでも驚きなのに、さらにさやかまで魔女になったというのだ。
この話からすると、恐らく今まで倒した魔女も元は人間だったのだろう。
真司は人を守るためにライダーとして戦っていたし、それはこの世界に来ても変わらなかった。
しかし、この世界に来てからの戦いは人を守るために元とは言え人を殺す戦いなのだ。

真司「人を守るために人を殺すなんて本当にしていいのかな…?」

真司「俺、もうどうしたらいいか分からないよ…」

そう悩んでいるとピンポーンとインターホンが鳴った。

真司「誰だろ、はい」ガチャ

杏子「よう」

真司「杏子ちゃん、なんで…」

杏子「優柔不断なあんたのことだから落ち込んでると思ったんで家に来てみたのさ」

杏子「そしたら案の定凹んでいるじゃねぇか」

杏子「だからさ、気分転換にあたしと一緒に散歩でもしない?」

真司「そうだったんだ、ありがとう」

真司は少しでも杏子を心配させないために、精一杯の作り笑いをしながら返事をした。

杏子「決まりだな、それと無理に作り笑いしなくてもいいぞ」

二人が肩を並べて散歩をしていると、真司は少しずつだが気分が落ち着いてきた。
その機をうかがっていたように杏子はある話を切り出した。

杏子「さやかのことなんだけどさ、あたし達で助けられないかな?」

真司「それって…」

杏子「同情って奴かもしれないけど、ああいう奴は放っておけなくってね」

杏子「魔法少女が魔女になるならその逆も出来るんじゃないかって思ったのさ、短絡的すぎるかもしれないけどね」

真司「そんなことはないさ、きっと出来るって」

杏子「よし、善は急げって奴だ!」

まどか「私にも!」

杏子「…あんた何時の間に聞いていたのかい」

まどか「足手まといになることは分かっているけど、私にも手伝わせてください」

杏子「あたしとしてはさやかの親友のあんたがいてくれた方が説得も楽だろうから止めるつもりはないけど、本当にいいのかい?」

まどかは何も言わずにただ首を縦に振った。

杏子「それと真司、お前はさやかを相手に戦えるか?」

真司「さやかちゃんを救うために少しくらいだったら戦えるよ」

杏子「分かったよ、そうだせっかく組んだんだ誓いの杯ってわけじゃないけど二人とも食うかい?」

そう言って差し出された菓子を二人は笑顔で受け取った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

杏子「さやかが魔女になったのは昨日で、そう結界を遠くに移動させてないだろうからあの駅の周辺に居るはずだ」

杏子「あとは地道に昨日と同じ魔力をソウルジェムで調べるわけさ」

そう三人が駅の周りを歩いて、とある高架橋に差し掛かった時。

キィィィンキィィィン

真司「!」

杏子「ここだな。感じられる魔力も昨日と全く同じだ」

次いでソウルジェムが反応したのを杏子が確認すると、魔法少女に変身して魔女の紋章を投げ槍で刺す。
すると辺りの景色が結界に変わっていく。
その結界は辺りがコンサートのポスターが壁中に貼りつくされていた。

真司「ここがさやかちゃんの…」

杏子「あの男に惚れていたあいつらしいかもな」

そのまま三人が進むと大きい姿鏡のようなモニターが多く並び、さやかの記憶らしいものが映し出されている。

まどか「さやかちゃん…」

杏子「あいつもあいつでまどか達に話していなくて思うところがいっぱいあるんだろうな…人なら誰でもそうだろうけど」

その瞬間モニターがすべて消えて奥に続く扉も閉じていく。

杏子「気付かれたか…真司、あんたも今のうちに変身しときな」

真司「ああ…」

真司は映像が消えて自分の姿が映っているモニターにカードデッキをかざした。

真司「変身!」

デッキをかざすことによって現れたVバックルにカードデッキを挿入して龍騎に変身する。

真司「っしゃぁ!」

杏子「行くよ」

三人は扉を開けながら結界を奥まで進んでいく。
最深部にはクラシックを演奏している使い魔たちがいた。
そしてそれをまるで好きな曲を聴いているかのように体を揺らしている魔女オクタヴィアの姿があった。

杏子「さて、と」

杏子はまずまどかの周りにバリアを展開させる。

杏子「あたし達がこいつの相手をするからあんたはさやかを説得しな」

まどか「うん、分かった」

佐野の代わりにマミさんに東條の介抱させたい

オクタヴィアは龍騎達を見つけると大量の車輪を召喚して攻撃を仕掛けてきた。

真司「いきなりかよ!」

龍騎はカードを引きベントインする。

『GUARD VENT』

ドラグシールドを召喚し車輪攻撃を防ぐ。

杏子も槍で車輪を弾いて行く。

まどか「さやかちゃん、もうやめて!元に戻ってよ!」

真司「そうださやかちゃん、もうやめてくれ!」

その声にオクタヴィアは攻撃をやめるどころか今度は剣を龍騎に振り下ろす。

真司「くっ!」

『SWORD VENT』

オクタヴィアの大剣をドラグセイバーで両手を使って受け止める。

真司「うぉりゃぁ!」

押し返されそうになるが全力で斬り払う。

まどか「さやかちゃん!」

その声がオクタヴィアに聞こえたようだったが、ただのヤジとしてしか聞こえなかったらしい。、
まどかを守るバリアを破壊するとまどかを握りつぶそうとする。

杏子「まどか!さやかてめぇ!」

すぐに杏子がオクタヴィアの手を切断してまどかを救う。

真司「さやかちゃん、もうやめてくれ!さやかちゃんだってこんなことしたくないだろ!」

そう龍騎が叫んでもオクタヴィアはうめき声を上げるだけで全く意に介さない。
いくら説得しても暖簾に腕押し、糠に釘状態である。

真司「畜生、何でこんな…」

杏子「…全く、最初に会ったときから本当にトラブルメーカーだな」

杏子「真司、下がってまどかを守りな」

真司「え、杏子ちゃんは?」

杏子「こいつをなんとかする」

真司「何とかするってどうやって…」

その言葉の答えを聞かずに杏子は髪留めを取り、それにソウルジェムをセットする。

杏子「それにしても人のために何かするなんて何年振りだろうな」

杏子「やっぱりあたしとあんたは似た者同士だったってわけか」

杏子「心配すんなって、あんたの愚痴はあの世で全部聞いてやるからさ」

杏子「一人ぼっちは寂しいもんな」

その瞬間に大きな爆発が起きて龍騎とまどかは吹き飛ばされる。

真司「杏子ちゃん!うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

結界が消え去り二人が気付いた時、真司は変身が解けていて杏子と姿は無かった。

真司「杏子ちゃん…?杏子ちゃん!さやかちゃん!居るなら返事をしてくれ!」

まどか「さやかちゃん、杏子ちゃん!どこにいるの!?」

真司「杏子ちゃ…」

杏子(一人ぼっちは寂しいもんな)

真司「まさか、そんなことって…」

まどか「真司君、嘘だよね…」

真司はまどかの言葉を否定したかったがうまく言葉が出てこなかった。

まどか「こんなのってないよ…さやかちゃん、杏子ちゃん…」

真司「これじゃあ一体何のために…」

さやかと杏子を同時に失った二人はただ愕然とし涙を浮かべるほかなかった。

その日真司は自室のベッドの上で体育座りのまま顔をうずめていた。
ここ最近こうやって落ち込んでいることが多くなっているなと、真司はおぼろげに考えていた。
近くのテーブルの上にはこの前の戦いの後二人とともに残された、オクタヴィアのグリーフシードが置いてある。

キィィィンキィィィン

「グオォォォォォォォォ」

その瞬間部屋にあった鏡からドラグレッダーがグリーフシードを食らおうと飛び出してきた。

真司「やめろ!」

とっさに真司はドラグレッダーを鋭く睨めつけた。
ミラーモンスターであるドラグレッダーにとってはこのグリーフシードはただの餌だ。
しかし、真司達にとっては友達であるさやかそのものである。
餌を食べさせないと自分が襲われるとはいえ、友の命を代わりに差し出すような真似はもちろん真司には出来なかった。
その威圧に押されたのか、ドラグレッダーも鏡の中に戻って行った。

キュウべぇ「どうしてわざわざ見逃したんだい?せっかくの餌だったのにさ」

真司「!…あんた」

そこにはいつものように無表情のキュウべぇがそこにいた。
これまでの悲劇の元凶ともいえる存在の前に、お人よしの真司もさすがに今回は不快感を隠さなかった。

真司「あんたのせいでさやかちゃんがこんなことになったんだろ!」

真司「そもそも魔法少女って何なんだよ!」

キュゥべぇ「分かった、答えてあげるよ」

キュゥべぇはいつものように冷静な態度を保ったまま質問に答える。

キュゥべぇ「魔法少女の目的は一言でいえば宇宙の滅亡を阻止するためさ」

キュゥべぇ「この宇宙は最終的に熱的死を迎えるといわれている」

キュウべぇ「その原因はエントロピーが極限まで大きくなるからさ」

真司「それが魔法少女にどう関わりがあるっていうんだよ!」

キュゥべぇ「僕達の一族はこの宇宙の熱的死をどうにか回避しようとさまざまな手段を模索した」

キュゥべぇ「そこで目をつけたのは感情エネルギーさ」

キュゥべぇ「このエネルギーはエントロピーの法則を無視することが出来ることが判明したのさ」

キュゥべぇ「特に希望が絶望に相転移した時にエネルギーが多く採集できる」

キュゥべぇ「しかし、僕達の種族は感情というものは持ち合わせていなかったのさ」

キュゥべぇ「そこで感情の存在する種族を探していたらこの星の二次性徴中の女性が一番効率がいいことが判明したのさ」

真司「つまりあんたの都合だけで俺達を利用したってわけかよ」

キュゥべぇ「利用はしているけどギブアンドテイクだと思うよ」

キュゥべぇ「この惑星の人間の科学力はいずれ外宇宙に進出するレベルになるだろう」

キュゥべぇ「その時に宇宙の寿命が少ない状態で引き渡されても迷惑だろう?」

真司「ふざけんな!そんなことをして魔法少女達を魔女にしていいわけないだろ!」

キュゥべぇ「君たちはいつもそうだ、未来の大きな利益より現在の小さな利益を優先するという考え方が僕には理解できない」

真司「あんたのほうがわけわかんないよ!」

真司「少なくとも俺は先の事のために今を犠牲にするのは間違っていると思うし認めもしない!」

キュウべぇ「やっぱり僕たちは相いれないね、それじゃあね」

キュウべぇはいつの間にか窓の外に行きそのまま消えてしまった。
真司がキュウべぇを呼びとめようとするとインターホンが鳴る音がした。
玄関まで走ってドアをあけるとそこにはほむらが立っていた。

真司「どうしたの?ほむらちゃん」

ほむら「城戸真司、あなたに渡したいものがある。私の部屋に来て」

ほむらの部屋に連れてこられた真司が畳に座るとほむらは一枚のカードを取り出してテーブルに置く。

真司「これって…そんな、まさか!」

そのカードには時計の絵柄が書いてあった。

ほむら「見ての通り、仮面ライダーオーディンが使っていたというタイムベントのカードよ」

ほむら「私の魔力を使って作ったレプリカだけどね」

真司「じゃあ、今まで俺のアドベントカードを使って実験していたことって」

ほむら「このカードを作るためよ」

真司「ちょっと待てよ、何でほむらちゃんはこんなカードを作る必要があるんだよ」

ほむら「それを話す前に、私が魔法少女になって何をしてきたのかを話しておくわ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

真司「つまり、ほむらちゃんはまどかちゃんを助けるために何回も時を巻き戻してきたってこと!?」

ほむら「そうよ…」

真司「これじゃまるで…」

「神埼士郎のようだ」と言いかけて言葉を飲み込む。
落ち込んでいる今のほむらに、かつて自分がいた世界の黒幕を引き合いに出したくなかったからだ。

ほむら「そしてこれからが本題。私の願いは『まどかとの出会いをやりなおしたい』」

ほむら「この願いによってまどかはある種の特異点になってしまった」

ほむら「それにより、私が時を巻き戻すたびにまどかに魔力が蓄積されていったの」

ほむら「皮肉よね、まどかを助けるためにしていたことが逆にまどかを魔法少女に近づけていったなんて…」

どうにかいつものように冷静なキャラを保とうとしているほむらだが最後の辺りはほぼ涙声になっていった。
むしろ、泣き出しそうになるのを冷静なキャラをわざと装ってこらえているようにも見えた。

ほむら「このカードを作った理由だって元々は私が何らかの理由で時を巻き戻せなくなったときの保険だった」

ほむら「けど今は、私が時を戻してこれ以上まどかに魔力を与えたくないから作ったようなもの」

ほむら「こんなのただの責任の押しつけかもしれないのは分かっているけど、私にはもうこうするしかないのよ…」

ほむらの吐きだした本音をすべて聞いた真司はやや戸惑ったが、何とかほむらを励まそうと口を開いた。

真司「…確かに結果的にそうだったとしても、ほむらちゃんはまどかちゃんを助けようとしていたことは立派だと思うし、すごいと思う」

真司「正直なんて言えば分からないけど、俺はずっとほむらちゃんの味方だから」

真司「だからさ、絶対にワルプルギスの夜を倒してキュウべぇをぎゃふんといわせてやろう、ほむらちゃん」

ほむら「そうね、絶対にワルプルギスの夜に勝ちましょう」

真司「その意気だよほむらちゃん」

真司「俺はもう帰らなきゃいけないけど、辛くなったらまた呼んでも構わないからさ」

そう言って手を振りながら真司は家に帰った。
ドアが閉じられた後ほむらはつぶやいた。

ほむら「ありがとう…真司」

~数日後~

その日、天候は大きく荒れていた。
他人の目から見れば大規模の嵐に見えるだろう。
しかし、魔女のことを知っている人はこれがワルプルギスの夜の仕業だと分かる。
とある手すり付きの河原に真司とほむらはいた。
ワルプルギスの夜と戦うためだ。

真司「あのさ、ひとつ言いたいことがあるんだ」

ほむら「何かしら?」

真司「俺さ、前に杏子ちゃんから『お前の信じるものは何だ?』って聞かれたことがあるんだ」

ほむら「それで見つかったのかしら?」

真司「それがさ、言われた時からずっと考えててそれでも解んなくて、でも今思った」

真司「やっぱり、こんなふざけた戦いなんて止めたいってさ」

真司「きっとすげえ辛い思いしたり皆に辛い思いさせたりすると思うけど、それでも止めたい」

真司「それは正しいかどうかじゃなくて俺がライダーの一人として叶えたい願いがそれなんだ」

ほむら「…あなたもまどかみたいなことを言うのね、来るわ!」

その瞬間空気が若干歪んだと思ったら空と地面を埋め尽くすほどの使い魔と巨大なワルプルギスの夜が現れる。
その光景は真司にこの世界に来る前に蓮と共にハイドラグーンの群れと戦った光景を思い浮かべさせた。

真司「こんなに来るなんてあの時以来だな…蓮の奴元気にしてるかな」

ほむら「思い出に浸るより今はこの戦いに集中するのよ、城戸真司」

真司「分かっている…変身!」

真司は龍騎サバイヴにほむらは魔法少女にそれぞれ変身し、使い魔の大群に突撃していった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

真司「がはっ、なんて強さだ!」

戦いが始まって数十分後異常な数の使い魔と強力なワルプルギスの夜に対して二人は完全に疲弊していた。
龍騎は既にサバイブは解除されおり、ほむらもすでに体の各所に傷を負っていた。

ほむら「やっぱり、この魔女は強すg…」

言葉を言い終える前にほむらは倒れ、龍騎が駆けつける。

真司「ほむらちゃん!」

ほむら「ごめんなさい…やっぱりこのループもダメみたい」

真司「そう簡単にあきらめるな!まだ俺は戦える」

ほむら「あなたはそうでも私はもう無理…」

そう言うとほむらは左手の甲のソウルジェムを見せる。
すでにソウルジェムは8割ほど濁っていた。

真司「そんな…」

ほむら「これじゃあ、私はもう時を巻き戻すことも出来ない…お願いカードを使って」

真司「でも俺には…」

龍騎にとってタイムベントのカードはいい思い出が全くない。
そのことが龍騎にこのカードを使うのをためらわせていた。

ほむら「それ以上私にとっての重荷にならないでよ!」

いきなりほむらが叫んだので龍騎は驚いた。

真司「ほむらちゃん!?」

ほむら「何であなたはまどかみたいに愚かなの!?何であなたはまどかみたいに勝手に行動するの!?」

ほむら「何であなたはまどかみたいに優しいのよ…」

ほむら「こんなにあなたがまどかにそっくりじゃ、私…あなたとまどかのどっちが好きか分からなくなっちゃうのよ!」

真司「え…?」

ほむら「あなたの願いは戦いを止めることでしょう?」

ほむら「私はこれ以上時を巻き戻してもまどかの負担にしかならない」

ほむら「だからあなたが戻って戦いを止めて、まどか達を救って」

真司「俺が…」

龍騎はタイムベントのカードを取り出してじっと見つめる。
そのカードを持つ手を震わせドラグバイザーをカードを入れる。

ほむら「ごめんね…真司、全部押しつけちゃって…」

その言葉を聞いた瞬間、龍騎の何かが切れた。

真司「う…うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

『TIME VENT』

絶叫と共に龍騎はタイムベントのカードをベントインをした。
龍騎が最後に見た光景は涙を流すほむらと共に、ほむらのソウルジェムが砕け散る光景だった…

《この話は番外編です》

とある日の深夜の高層ビルの屋上。
そこに小さい白い生き物がちょこんと座っていた。
その表情はまるで張り付けたかのように無表情だ。

キュゥべぇ「暁美ほむらに城戸真司か。」

キュゥべぇ「この星には何万年も滞在しているけど、これまで異質なイレギュラーに2つも出会うなんて前代未聞だ。」

キュゥべぇ「暁美ほむらの方はソウルジェムを持っているから間違いなく僕と契約した魔法少女だ。」

キュゥべぇ「だけどどの個体にも彼女と契約した痕跡がないのは不思議だな。」

キュゥべぇ「恐らく僕と契約した時に特殊な願いをしただけだろうから彼女を追っていれば分かるかな。」

キュゥべぇ「それよりよく分からないのは城戸真司の方だ。」

キュゥべぇ「彼はソウルジェムを持っていないから魔法少女ではない。」

キュゥべぇ「だけど現実に彼は魔女と互角に戦って勝っている。」

キュゥべぇ「それも僕の知らない仮面ライダーという力を使って。」

キュゥべぇ「一体彼はいつ、どこから、どうやってここに来たんだろう?」

キュゥべぇ「…そう言えばこの前契約した魔法少女で『自分と同年代のヒーローに助けてほしい』って願いで契約した魔法少女がいたっけ。」

キュゥべぇ「その時僕は様々な並行世界を探して、何故か時空の境界が不安定になっている時空から彼女の言うヒーローに該当する人を何人か彼女と同年代に後退化させて連れてきたっけ。」

キュゥべぇ「さすがに並行世界から人を連れてくる代償で多少のタイムロスが起きたけど、その時来たのが彼ならすべてのつじつまは合う。」

キュゥべぇ「僕は彼の他に何人かヒーローに該当する人を連れてきたけど、ちょっとしたアクシデントが起きてまた違う並行世界に飛ばされちゃったけど、まぁいいか。」

キュゥべぇ「まぁ、彼がこの世界に現れる前にこの願いをした魔法少女は既に魔女になっちゃったからもう僕にはどうでもいいことだけどね。」

キュゥべぇ「さてと、ノルマのためにまた違う子を魔法少女に契約させるかな。」

そう言うとキュゥべぇは立ち上がり高層ビルを飛び降り、深夜の闇の中に消えていった。 

真司は悪夢を見ていた。
マミが死に、さやかが魔女になり杏子が心中し、そしてほむらが魔女になり一人になる夢。
夢の中の真司はこれはただの悪夢だと思いたかった。
しかし、これは現実だと頭では理解していた。

「ぉぃ…」

そして死んでいく彼女たちが、元の世界のライダー達と重なっていく。

真司「皆…」

「おい!」

その瞬間頬をつねられた痛みと共に真司は飛び起きた。

真司「いって~何すんだよ!」

「お前は昔から馬鹿だろうと思っていたがまさか寝像の悪さもそのままだったとはな」

そう溜息をつく人を見て真司は驚いた。

真司「お前…蓮…なのか?」

外見は自分と同じように若返っているが目の前にいるのは間違いなく元の世界で共に戦った蓮だった。

蓮「お前をこうやって起こす奴が他にいるか?城戸」

真司「蓮!」

すぐさま真司は泣きながら蓮を抱きしめた。
精神がボロボロだった真司にとって友である蓮に会えたことはとても救いに思えた。

真司「良かった…本当に良かった…」

蓮「…とりあえず、まずは俺から離れろ」

真司「なんだよ、別に友達だからいいじゃん」

蓮「親しき仲にも礼儀あり、と言う言葉を知らないのか」

蓮「それにここは日本だ、ハグで挨拶する習慣なんてない」

相変わらずクールな蓮に真司はしぶしぶ蓮から離れた。

真司「お前は本っ当に相変わらずだな」

真司「それに、こうして見ると本当に性格がほむらちゃんそっくりだ」

蓮「ほむら?」

真司「あっ!言い忘れていた」

真司は咳払いをすると真剣な表情で蓮に向き合った。

真司「蓮、これから話すことは重要だから真剣に聞いてくれ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

蓮「魔法少女に魔女か…」

蓮「なるほど、ここに来てから戦ってきたミラーモンスターは何処かおかしいと思っていたが全くの別物だったわけか」

蓮「それにしても、この世界でも願いのために戦っている奴がいるとはな」

真司「それなんだ!俺はこの世界でも戦いを止めたかった」

真司「だけど、俺はそれが出来なくて過去に戻ってしまった」

そう語る真司の表情はひどく悔しそうな表情をしていた。

蓮「そうか…それでお前はまた戦いを止めようとするつもりか?」

真司「当たり前だろ!こんな戦いを止めるのが俺の仮面ライダーとしての願いなんだ!」

蓮「もう一つ聞きたいことがある、城戸、お前は元が人間の魔女と戦えるのか?」

真司「戦える!」

真司「確かに魔女と戦うことで魔女になった魔法少女はとても辛い思いをするのかもしれない」

真司「だけど、そうだとしても俺は俺の願いのために魔女を倒す!」

真司「だから頼む蓮。俺に協力してくれ!」

そのまま真司は蓮に向かって深く頭を下げた。

蓮「ライダーとしての願いか…相変わらず現実離れした願いだが、それはお互い様か」

真司「それじゃあ!」

蓮「とりあえず暁美とコンタクトを取りたい、どこにいる?」

真司「あ、あぁ。ほむらちゃんは俺の隣の部屋に住んでいる、とりあえず行ってみよう」

二人は隣のほむらの部屋のインターホンを鳴らした。
するといつものようにすぐに出てきた。

ほむら「あなた達は誰?ピンポンダッシュでもしに来たの?」

真司「…ッ!」

その顔を見た真司はループする前に最後に見たほむらの顔がフラッシュバックしたので、すぐに顔を背けてしまった。
その様子を見てほむらは不審者だと思いドアを閉めようとしたが蓮が呼びとめた。

蓮「急に訪問してすまない、魔法少女と魔女のことについて話がしたいんだが」

ほむら「…入りなさい」

招き入れられた二人が床に座る。

ほむら「で、話したい内容って何?」

真司「それなんだけどさ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

真司は前のループで起こったことを大まかに話した。
ほむらは聞いている時は基本的には冷静であったが、ほむらのループがまどかの魔力を高めるという話に入ると微妙に動揺していた。

ほむら「まさか、私のループがまどかに魔力を与えていたなんてね」

真司「ああ、それを知った時のほむらちゃんはすごくショックを受けていた」

ほむら「生きている魔法少女が私だけの時にそんなのを知らされたら…確かに大きいショックを受けるわね」

真司「だからまどかちゃんや死んでいった魔法少女達のためにも、もうループなんかさせない!」

蓮「勝算はあるのか?城戸。暁美は何回もループしてこのざまだ」

真司「正直言うとない…だけどこの世界には蓮が居て、俺もほむらちゃんと一緒でこの世界でループをして強くなった」

真司「だからきっと今度は大丈夫だと思う」

ほむら「確かに根拠に欠けているけど不思議ね、何故か信じたいと思うわ」

蓮「城戸がその鹿目まどかって奴に似てるからじゃないのか?」

ほむら「そうかもしれないわね…」

真司「あ!そうだついでに頼みごとがしたいんだけどさ…」

~転校当日~

この日廊下にはループ前と同じように真司とほむらが廊下に立っていた。
唯一違うのはそこに蓮も混じっていることである。

真司「まさか2度も同じ学校に転入するなんて、こんな経験めったにないよな」

ほむら「私は数えきれないくらい転入してきたわ」

真司「そうだったな。ごめん…」

蓮「無駄口もその辺にしておけ、呼ばれたぞ」

早乙女先生のどうでもいい愚痴を聞き流していたため完全に忘れていた二人は慌てて教室に入り、蓮も一緒に教室に入った。

早乙女「こちらn」

ほむら「暁美ほむらです」

真司「俺は城戸真司って言います」(ペコリ

早乙女「…そして、こちらのもうひt」

蓮「秋山蓮だ」

自分が紹介する前に先に3人に紹介されてしまったため、早乙女先生は若干口の端を釣り上げたが、3人は気がつかない。
そして3人とも各自勝手に空いている場所に座った。

~昼休み~

真司「ループしたらほむらちゃんみたいに頭が良くなる。そう思っていた時期が俺にもありました…」

蓮「馬鹿は繰り返しても馬鹿ということだ」

真司「しょうがないだろ、あんなごたごたばっかりで勉強なんて覚える暇なんてなかったんだよ」

ほむらは前のループと同じようにまどかを連れて保健室に行ってしまった。
真司は純粋に頭が疲れて机に突っ伏している。蓮はそばに立っている。
そのそばで二人のクラスメートが何気ない会話をしていた。

「まさか転校生が3人も来るなんて」

「しかも先輩が言うには3年生の方にも転校生が来たみたいよ」

「嘘!?すごい偶然じゃない。名前はなんていうの?」

「確か…北岡って名前だったような」

そのクラスメートの何気ない会話に真司はすぐに食いついた。

真司「!あのさ、その3年生の転校生って北岡秀一って人!?」

「え、えぇ。確かそんな名前だったわ」

真司「それでクラスはどこにいるんだ」

「○組よ、先輩と一緒のクラスだから」

真司「サンキュ!行くぞ蓮」

蓮「分かったから先走るな、少し落ち着け」

案の定蓮の忠告を聞かなかった真司は、閉めたままのドアに顔をぶつけ悶絶したのは言うまでもない。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

○組についた二人は早速北岡を探そうと思ったが、すぐに見つかった。
他の子と孤立しておりインテリのオーラが一人の男子からにじみ出ていたからだ。

真司「あんたもここに来ていたんだな、北岡さん」

北岡「誰かと思ったら城戸達か、それはこっちのセリフだって」

蓮「とりあえず話がしたい、場所を移せるか?」

北岡「それじゃあ俺も昼食が食べたいから屋上にでも行く?」

北岡「あそこはオープンテラスみたいな感じで気に行っているんだけどね」

蓮「分かった、そこでいい」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

屋上に移動した真司達は昼ご飯を食べながら前のループで会ったことをすべて北岡に話した。
それを聞いている北岡は仕事の時のように相槌をうちながら聞いていた。

北岡「なるほどね、つまり俺にも戦いを止めるのを手伝えってわけ?」

真司「そう、もちろんやってくれるよな」

北岡「断る」

真司「なっ、どういうことだよ」

北岡「ライダー同士の戦いをやっていて思ったんだけどさ、むなしいと思うんだよねこんな戦い」

真司「だったら俺たちに協力してくれよ」

北岡「あのさぁ、俺の願いは永遠の命を手に入れることなんだよ」

北岡「こんなことをして寿命を縮めるのは正直ごめんなんだよね」

北岡「現にこの世界に来る前の俺は医者が言うには何時死んでもおかしくなかったらしい」

北岡「それがこの世界に来るまでギリギリ生きられたのも浅倉が死んで目の上のたんこぶがなくなって」

北岡「それにライダー同士の戦いからも脱落してストレスのない自由な生活を送っていたのが良かったと思うしね」

真司「う…確かに言われてみれば俺が戦いを強要する必要もないよな、ごめん」

真司は立ち上がり屋上から去り、蓮と北岡だけが残された。

北岡「こう言うのもなんだけど、相変わらず城戸は単純だねぇ」

蓮「わざと追いつめたのか?」

北岡「そんなつもりはないさ、さっき言ったように戦いに参加する意味がなくなっただけさ」

蓮「モンスターの餌はどうする?」

北岡「気が向いたら魔女を倒してグリーフシードを手に入れるとするよ」

蓮「それだったら今日の放課後学校の近くのCDショップに来い、使い魔が出てくる」

北岡「使い魔はグリーフシードをおとさないんじゃないのか?」

蓮「ひょっとしたら今回は魔女本体が出てくるかもしれないぞ?」

北岡「分かった…今回だけ行ってみるよ」

蓮「そろそろ休み時間が終わるから俺はそろそろ戻るぞ、お前も戻った方がいい」

北岡「言われなくても分かってるって」

~放課後~

今回は真司と蓮はまどか達について行き、ほむらはキュウべぇ対策として単独行動をしてもらうことにした。

さやか「それにしても真司と蓮って、本当に水と油ってかんじだよね」

真司「そう…かもしれないな」

さやか「そうだって。正直蓮はもう一人の転校生の方が相性いいと思うんだけどな」

蓮「確かに暁美は俺とシンパシーのようなものは感じるが、城戸とは友人だしな」

さやか「男の友情ってやつ?言ってくれるねぇ~」

まどか「えっと、今日はさやかちゃんが上条君に買うCDを買う予定だっけ?」

真司「ちょっと、待った。今日はCDショップに行くのはやめておいた方がいい気がする」

さやか「急にどうしたのさ、真司」

真司「いや、男の感っていうの?それがなんだか今日は行っちゃだめって言っているような気が…」

蓮「構わない、行くぞ」

真司の脈路のない説明に唖然としていたまどかとさやかはそくささと蓮について行き真司だけが取り残された。

真司「お、おい。ちょっと待てよ蓮」

蓮「お前が下手な言い訳をするからだ」(ボソッ

真司「そうじゃなくてここでCDショップなんかに行ったら魔法少女と関わりをもっちゃうだろ」(ボソッ

蓮「今、関わらなくてもいずれ関わることになるのは間違いないだろ。それに一度暁美とは接触させておきたい」(ボソッ

そう言うと蓮は再び真司を引き離して早歩きを始めた。

~CDショップ~

CDショップについた後まどかとさやかは楽しげにCDを聞き、蓮は興味なさそうに店を歩きまわり、真司はまどか達の周りをうろうろしていた。
そのしつこい真司の行動にさすがのまどかも疑問に思ったらしい。

まどか「どうかしたの、真司君?」

真司「い、いや周りに不審者でも居たら困るかなって…」

まどか「ありがとう。でm」

(助けて・・・)

急に頭の中に声が聞こえてきたのでまどかは驚く。
その様子を見た真司はキュウべぇが接触してきたと悟り、蓮のもとに走る。

真司「蓮、あいつが接触してきた、そろそろ準備しておけ」

蓮「俺は構わないが、お前は鹿目達を追わなくていいのか?」

真司「え?」

きょとんとして振り返るといつの間にかまどかとさやかが居なくなっていた。
どうやら声を探しに行ったらしい。

真司「しまった、行くぞ蓮!」

蓮「だから追わなくていいのかと言ったんだ!」

そう言い真司と蓮はまどか達を追って地下に行った。
まどかとさやかを見つけると既にキュウべぇを抱きかえていた。

蓮「遅かったか…」

そう蓮がつぶやくと同時に結界が展開され始めた。

まどか「え、一体どうなっているの?」

さやか「それはこっちの台詞だって、今日は色々ありすぎ!」

騒いでいる二人をよそに真司と蓮はポケットからカードデッキを取り出す。

真司「蓮…」

蓮「分かっている。おい」

さやか「な、何さ」

蓮「しばらく俺達から離れるな」
そう言うと二人は前のループと同じように結界の中にあった鏡にデッキをかざす。
すると二人の腰にVバックルが出現する。

真司・蓮「「変身!」」

そう叫ぶと二人同時にデッキをベルトに挿入する。
すると二人に残像が重なり、真司は仮面ライダー龍騎に、蓮は仮面ライダーナイトに変身する。

まどか「え、え?」

さやか「はぁ!?あんた達もあの転校生みたいにコスプレ趣味あるの!?」

目の前で友達になったばかりの2人が急にわけのわからない甲冑を身につけたのだから当然の反応であろう。

真司「コスプレって何だ、コスプレって!」

蓮「いちいち突っかかるな。使い魔はもう来てるぞ」

すでに目の前には多くの使い魔アンソニーが待ち構えていた。

真司「それもそうか!」

『SWORD VENT』

龍騎はカードをベントインし、ドラグセイバーをキャッチする。
ナイトは腰につけていたダークバイザーを取り外し構える。
その瞬間アンソニーの鎖つきのハサミが襲いかかってきた。
ハサミを2人が斬り払い、まどか達を守りつつアンソニーにも攻撃を加えていく。

真司「ったく、前も思ったけどやっぱ数多いって」

蓮「ここに来る前もミラーモンスターの大群と戦ったはずだ」

真司「それとこれとは話が別だって!」

2人が口論していると後ろで銃声が聞こえた。
真司と蓮は北岡だと思い振り向いたが、そこにいたのは北岡ではなく今の自分達と同じくらいの年齢のマスケット銃を持つ少女、巴マミだった。
真司は前の世界でのマミの末路がフラッシュバックし、一瞬顔を背けた。

マミ「4人とも大丈夫?特にそこの顔を背けている君」

真司「あ、あぁ。大丈夫だ」

まどか「は、はい…」

マミ「そう、それならよかったわ」

さやか「えっと、これで4人目…?一体どうなっているのさ」

マミ「それは後で話すわ。まずはこいつらを倒さないとね」

そう言うとマミは大量のマスケット銃を召喚して一斉掃射する。
この攻撃でアンソニー達は殲滅された。

まどか「す、すごい」

真司「すげぇ…マミちゃんの魔法初めて見た」

4人があっけにとられているとマミの後ろから緑の甲冑を身に付けた人が現れた。

北岡「まったく、せっかく魔女を倒してグリーフシードを手に入れるためにここに来たのに一体どうなっているわけ?」

真司「北岡さん!?」

結界が解けると同時にライダーに変身していた3人は変身が解ける。

マミ「北岡君!?何であなたがここに?」

真司「え、いつの間に知り合い!?」

北岡「何言ってるのさ、俺が今日転校して印象に残っただけでしょ」

その時、まどかの腕の中で気絶していたキュウべぇが目を覚ました。

マミ「気がついたのね、キュウべぇ」

キュウべぇ「うん、この子達が助けてくれたんだ」

まどか「しゃ…」

さやか「しゃべった~!?」

キュウべぇ「僕を初めて見る人は8割がたこんな反応するね」

北岡「そりゃ、あんたみたいな珍妙奇天烈な動物がしゃべったら普通はそんな反応するさ」

キュウべぇ「その言い方とさっきの反応だと君達3人が普通じゃない風に聞こえるね」

真司「色々あったからな…」

マミ「あなた達がキュウべぇを助けてくれたのね。」

マミ「ありがとう、私は巴マミ、この子は友達のキュウべぇよ」

キュウべぇ「僕からもお礼を言わせてもらうよ」

さやか「まぁ、本当に成り行きだけどね」

キュウべぇ「助けてくれたお礼と言っては何だけど、君達の願いを何でも一つだけ叶えてあげる」

まどか・さやか「「えっ!」」

キュウべぇ「その代わりに…僕と契約して魔法少女になってよ!」


使い魔との戦いの後、地下に居た皆はマミの家に集まることになった。
ほむらは今までのループでの結果マミ達への説得は無駄だと思ったのか、去ろうとしていたが真司が無理を言って引き止めることになった。
と、言うわけで現在マミの部屋のテーブルの周りにまどか、さやか、マミ、ほむら、真司、蓮、北岡が座り、テーブルの上にキュゥべぇが座っている。
しかし、ほむらは殺気を放ち、蓮と北岡は微妙に面倒くさそうにして、キュゥべぇはいつも通り無表情で、その他の人がそのせいで気まずそうにしているため、座って10分無音のままだ。
その沈黙を最初に破ったのはマミだ。

マミ「えっと…もう一度自己紹介するわね、私は巴マミ、中学生活の傍ら魔法少女をしているわ」アセアセ

マミ「あ、あと、私には無理に敬語を使わなくてもいいわよ、タメ口でも気にしないタイプだから」アセアセ

蓮「そんなことまで聞いてない」

真司「まぁとりあえずさ、その魔法少女って奴をおしえてくれるとありがたいんだけどさ」

その言葉を聞いて待っていましたと言わんばかりにキュゥべぇが説明を始めた。

キュゥべぇ「概要は地下で説明したけど、僕は君達の願いを一つだけ叶えてあげる」

北岡「だけど、その願いのために魔法少女になれって言っていたよね?」

北岡「何でも叶えるってことはただ事じゃないんだろうな」

キュゥべぇ「うん、魔法少女になったら君達は魔女と戦わなくてはならない」

するとほむらは威嚇するようにテーブルを大きく叩いた。
その音にまどか達はびっくりする。

ほむら「要するにこいつは願いを餌に戦いを強要しているだけよ。話にもならないわ」

北岡「まぁまぁ、落ち着きなよほむらちゃん」

北岡「中にはこんな奴を頼らないと叶えられない願いだってあるんだから」

蓮「北岡の言うとおりだな、そういった願いの持ち主に説教しても無駄だ」

真司「ちょっと二人ともいくらなんでもひどいとも言ってられないか…」

蓮は植物人間になった恋人のため、北岡は自らの不治の病を治すために戦っていたのを思い出した真司はこれ以上追求するのはやめた。
それに対しほむらは負けじと追求をした。

ほむら「そうだとしても…なんでもないわ」

ほむらは自分がまどかのために行動していることを言いかけて止めた。
優しいまどかのことだ。バレたらきっと自分に気を使わせることになるだろうと思ったからだ。
再び沈黙になってしまったこの場を打開したのはまたしてもマミだった。

マミ「そ、それじゃあしばらく魔法少女体験コースをするのはどうかしら?」

北岡「体験コース?」

マミ「ええ、魔法少女になって戦うって言うのはどういうことか身をもって体験した方が魔法少女になりやすいと思うの」

真司「それって面白そうだな、俺もついてっていいか?」

マミから体験コースのことを聞いた真司は前回のループで聞いたそれだと思ったのですぐに志願した。
とは言っても一番は好奇心によるものだが。

ほむら「悪いけど私は抜けさせてもらうわ」

蓮「俺もパスだ」

ほむらはこの場でまどかを説得しても効果が薄いと考え、蓮は単に興味がなかったため、そう言って二人は部屋から出て行った。

北岡「俺はついて行くよ」

北岡「ただし、場合によっては俺も加勢する代わりにグリーフシードはもらうけどね」

真司「結局それかよ」

北岡「当たり前だ、メリット無しで俺が参加するわけないだろ」

マミ「ま、まぁいいわ。それじゃあ早速明日の放課後に集まりましょ」

マミ「場所は近くのファストフード店でいいかしら?」

真司「分かった、それじゃあ皆また明日」

まどか「私たちも行こうか、さやかちゃん」

さやか「…えっ!?うん」

こうして4人は外に出て、まどかとさやかと真司は下り階段の方向に歩き始めた。

真司「あれ?北岡さんもこっちじゃないの」

北岡「何言ってるの、俺はマミちゃんの隣に住んでるの」

真司「え…ちょちょっと待てって、俺は普通のアパートに蓮と二人暮らしだぞ」

真司「なんで北岡さんがそんないいとこに住んでんだ!」ガシッ

北岡「おまっ、服を掴むな、ただの偶然だって偶然、いいから早く帰れよ!」

そう言われた真司はしぶしぶ家路につくことになった。
このやり取りを見て一緒に帰ったまどかとさやかもさすがに苦笑していたが。

~次の日の放課後~

マミに言われたとおり、まどかとさやかと真司は学校の近くのファストフード店で待っていた。
ちなみに蓮とほむらは先に一緒に下校していった。
5分くらい待つとマミが北岡と一緒にやってきた。

マミ「お待たせ、それじゃあさっそく魔法少女体験コースをやろうと思うのだけど準備はしてきた?」

真司「俺はこれを持ってきた」

真司はポケットから龍騎のカードデッキを取り出しテーブルに置く。

さやか「それってこの前真司達が変身する時に使っていた」

真司「ああ、これがあればさやかちゃん達に何かあった時に俺が守れるしさ」

北岡「やれやれ、別に俺はどうこういうつもりはないけど俺の分のグリーフシードも残せよ」

北岡もゾルダのカードデッキをテーブルの上に置く。

マミ「美樹さん達は何か準備をしてきた?」

さやか「あたしは真司達みたいに大それたものは準備出来なかったけどこれをね」

そう言うとさやかは鞄から金属バットを取り出す。

まどか「私はこれ。イメージトレーニングみたいになるかなって…」

まどかがそう照れながら出したノートにはまどかが魔法少女っぽい衣装を着ている絵が描いてあった。

その絵を見たマミとさやかはとたんに噴き出してしまった。
北岡はまるで最初から見なかったかのように無視を決め込んでいた。
その反応にまどかが少し縮こまっていた。

真司「これいいよ、まどかちゃん」

まどか「え、そうですか?」

真司「そうだって、俺はまどかちゃんらしくて可愛いと思う」

マミ「それじゃあ、そろそろ行きましょうか」

5人はファストフード店を出て魔女を探しに歩き始める。
中々魔女が見つからないのでまどかがマミに話しかけた。

まどか「ところで、魔女って一体何なんですか?」

マミ「魔女は負の感情を糧とするモノよ」

マミ「結界というテリトリーに住んでいて、そこに近づく人の負の感情を増幅させて最悪自殺させてしまう」

マミ「原因不明の自殺事件の大半が魔女の仕業とも言われているわ」

さやか「それじゃあ何で魔法少女しか魔女と戦えないんですか?」

マミ「魔女を知覚できるのは魔法少女だけなの」

マミ「だから私達は言うならば正義の味方ってわけ」

~次の日の放課後~

マミに言われたとおり、まどかとさやかと真司は学校の近くのファストフード店で待っていた。
ちなみに蓮とほむらは先に一緒に下校していった。
5分くらい待つとマミが北岡と一緒にやってきた。

マミ「お待たせ、それじゃあさっそく魔法少女体験コースをやろうと思うのだけど準備はしてきた?」

真司「俺はこれを持ってきた」

真司はポケットから龍騎のカードデッキを取り出しテーブルに置く。

さやか「それってこの前真司達が変身する時に使っていた」

真司「ああ、これがあればさやかちゃん達に何かあった時に俺が守れるしさ」

北岡「やれやれ、別に俺はどうこういうつもりはないけど俺の分のグリーフシードも残せよ」

北岡もゾルダのカードデッキをテーブルの上に置く。

マミ「美樹さん達は何か準備をしてきた?」

さやか「あたしは真司達みたいに大それたものは準備出来なかったけどこれをね」

そう言うとさやかは鞄から金属バットを取り出す。

まどか「私はこれ。イメージトレーニングみたいになるかなって…」

まどかがそう照れながら出したノートにはまどかが魔法少女っぽい衣装を着ている絵が描いてあった。

その絵を見たマミとさやかはとたんに噴き出してしまった。
北岡はまるで最初から見なかったかのように無視を決め込んでいた。
その反応にまどかが少し縮こまっていた。

真司「これいいよ、まどかちゃん」

まどか「え、そうですか?」

真司「そうだって、俺はまどかちゃんらしくて可愛いと思う」

マミ「それじゃあ、そろそろ行きましょうか」

5人はファストフード店を出て魔女を探しに歩き始める。
中々魔女が見つからないのでまどかがマミに話しかけた。

まどか「ところで、魔女って一体何なんですか?」

マミ「魔女は負の感情を糧とするモノよ」

マミ「結界というテリトリーに住んでいて、そこに近づく人の負の感情を増幅させて最悪自殺させてしまう」

マミ「原因不明の自殺事件の大半が魔女の仕業とも言われているわ」

さやか「それじゃあ何で魔法少女しか魔女と戦えないんですか?」

マミ「魔女を知覚できるのは魔法少女だけなの」

マミ「だから私達は言うならば正義の味方ってわけ」

キィィィンキィィィン

とある廃墟を横切ろうとすると、真司と北岡は例の耳鳴りが聞こえ始めマミのソウルジェムは反応を示した。

マミ「魔女のお出ましのようね」

マミはソウルジェムを構え、真司と北岡は近くの鏡にカードデッキを掲げた。

真司・北岡「「変身!」」

マミ「それじゃあ、行くわよ」

真司「っしゃぁ!」

マミと龍騎は勇んで結界の入っていった。

北岡「やれやれ、相変わらず血気盛んな奴だ」

北岡「お前達もはぐれるんじゃないよ」

まどか・さやか「はい!」

ゾルダ達はゆっくりと歩きながら結界に入って行った。

結界の中では龍騎がドラグセイバーを使い使い魔を切り払う。
通り過ぎた使い魔はマミが打ち抜く。
別の方向からまどか達に近づく使い魔はゾルダが倒していたため2人に害が及ぶことはなかった。

さやか「うわぁ、あたし達の出番なしだよ…」

まどか「落ち込まないで、さやかちゃん」

そうこうしているうちに全員は魔女・ゲルトルートのいる部屋までたどり着いた。

マミ「こいつが魔女よ」

さやか「うぇ、思ったより気色悪い…」

北岡「確かにミラーモンスターみたいな外見だな」

真司「いやでも、ミラーモンスターの方が若干メカメカしかったような気が」

北岡「そういった問題じゃないでしょ」

マミ「あなた達は下がっていて、防御結界を張って攻撃が届かないようにするわ」

そういうとマミはまどかとさやかの周りに防御結界を張った。

マミ「さて…あら?」

真司「どうしたんだ、マミちゃん?」

マミ「この後ろに別の魔女の反応があるわ」

マミ「おかしいわね、こんなことは一度もなかったわ」

真司「それじゃあ俺が様子を行ってきます」

龍騎は敬礼をすると後ろに駆け出した。

まどか「頑張ってね真司君」

真司「まかせとけって」

北岡「そんじゃあ俺たちもやりますか」

マミ「ええ」

マミは周囲に大量のマスケット銃を召喚し、順々にゲルトルート向けて撃っていく。
ゾルダはマグナバイザーを連射し魔女を攻撃していく。
しかし、ゲルトルートはひるむ様子を見せなかった。

マミ「意外と手ごわいわね、北岡君接近戦は出来る?」

北岡「やったことはないけどね、まぁせっかく健康体になったんだからやってみるか」

『STRIKE VENT』

その途端ゾルダの右腕にギガホーンが装着される。

マミ「行くわよ!」

マミはリボンを取り出し鋼糸のように操り切りかかる。
ゾルダは逆の方向から殴りかかっていく。
さすがのゲルトルートもやや疲弊しているように見えた。

マミ「そろそろ終わりにさせてもらうわ」

北岡「じゃあ、俺も」

『SHOOT VENT』

ゾルダはギガランチャーを装備し、ゲルトルートに向けて構えた。
マミも巨大な大砲を召喚し、同じように構えた。

マミ「ティロ・フィナーレ!」

北岡「ふんっ!」

2つの強力な砲弾を受けたゲルトルートはグリーフシードを残し消滅した。

まどか「すごい…」

さやか「格好いいよ、マミさん北岡さん!」キラキラ

マミ「ありがとう、2人とも」

北岡「さて、そろそろ城戸の方も終わっているかな」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

真司「っと、確かこの辺だったよな」

真司「どこにいるんだ…か…」

龍騎は目の前に現れた魔女に唖然とした、何故なら。

真司「どういうことだよおい…」

真司「お前は倒したはずだ!」

その姿が仮面ライダーリュウガそのものだったからだ。

真司「どうやって生き返ったんだ!」

リュウガ「…」

真司「黙ってねぇで答えろって!」

リュウガ「…」

真司「そういうことかよ…」

『SWORD VENT』

リュウガ「…」

『SWORD VENT』

龍騎とリュウガは互いにドラグセイバーを持ち、戦闘を開始した。
だが、まるで鏡写しのように互いの攻撃が読みあわれ一向に決着がつかない。

真司「何だこいつ…いくらなんでも戦い方が俺そっくりだ」

その時ゲルトルートが倒されたことにより結界が崩壊を始める。
その様子を見たリュウガは結界から逃げ出した。

真司「待てよおい!」

しばらく龍騎はリュウガを追いかけたが、結界が完全に崩壊したのでとうとう追跡を諦め変身を解除した。

真司「くそっ!」

マミ「ここにいたのね」

マミ「もう一体の魔女は倒したの?」

真司「それが…」

真司はリュウガと戦ったことをマミと北岡に話した。
まどかとさやかは先ほどの興奮が冷め止まぬようで話を聞かれることは無かった。

北岡「龍騎にそっくりな魔女か、マミちゃんはこういう魔女知ってる?」

マミ「いいえ、そんな特定の人物そっくりの魔女なんて見たことも聞いたこともないわ」

真司「やっぱり分かんないか」

マミ「それは後で考えましょう」

マミ「鹿目さん、美樹さん来て頂戴」

さやか「あ、はーい」

まどか「何ですか?」

マミ「このグリーフシードの使い方を教えようと思うの」

さやか「これってさっきの魔女を倒した時に出てきたアレですよね」

さやか「これをどう使うのさ」

マミ「このソウルジェムを見て頂戴、ちょっと濁っているでしょ?」

まどか「あ、確かに」

マミ「そこでソウルジェムにこのグリーフシードをくっつけるの」

まどか「汚れがグリーフシードに移っていってますね」

マミ「だけどこれは魔女の卵でもあるの」

マミ「だからあまり汚れを溜めすぎるのもよくないのよ」

北岡「なるほどね、それじゃあ約束通りグリーフシードを貰おうかな」

マミ「私のソウルジェムは完全に綺麗になったから構わないわよ」

北岡「それじゃ、来てくれるかなマグナギガ」

すると近くにあった鏡からマグナギガが出てきた。

さやか「うおっ!?なんじゃこりゃ」

まどか「魔女…じゃないよね」

北岡「俺が契約しているミラーモンスターさ」

北岡「俺たちライダーは契約しているミラーモンスターに継続的に餌を与える必要があるのさ」

北岡「ま、さっきのマミちゃんの説明をそのまま当てはめてくれればいいよ」

そう言うと北岡はマミから受け取ったグリーフシードをマグナギガに食べさせた。
グリーフシードを食べ終わったマグナギガは鏡の中に戻って行った。

マミ「あっ!ごめんなさい城戸君にあげる分のグリーフシードが無くなっちゃったわ」

真司「いいって、いいって。あの魔女を倒したのはマミちゃんと北岡さんだしさ」

真司「俺はまた別の魔女を倒して手に入れるよ」

北岡「本っ当にお人よしだなお前」

北岡「普通のライダーはなら意地でも奪おうとするだろ」

マミ「そうね、魔法少女でもそういう人がいるわ」

さやか「え、そうなの?」

マミ「グリーフシードは魔女を倒した時にしか出てこないわ」

マミ「だけど魔女と戦ったら、ある程度ソウルジェムは必ず濁ってしまう」

マミ「だから横着をするためにグリーフシードを奪おうとする魔法少女もいるのよ」

マミ「むしろそっちの魔法少女の方が数が多いわ」

北岡「そういった事情は変わらないってわけね」

まどか「そんな…」

マミ「さぁ、湿っぽい話はこれでお終い」

マミ「明日も学校あるでしょ、そろそろ家に帰った方がいいわよ」

さやか「そんじゃあ、さよなら」

まどか「また明日」

マミ「私達もとりあえず、今日はここで解散しましょう」

マミ「念のために城戸君と北岡君には私の携帯電話の番号とメールアドレスを教えておくわ」

マミは真司と北岡に携帯電話の番号とメールアドレスを教えると家に帰って行った
北岡もマミと同じマンションに住んでいるので同じ方向に帰って行った

真司「とりあえずリュウガのことを蓮やほむらちゃんにも伝えておくか…」

~真司達の住むアパート~

真司「ただいまー、ってあれ?」

真司「蓮の奴まだ帰ってきていないのか」

真司「しょうがない、まずはほむらちゃんに言っておくか」

真司は自分と連の家から出て、隣のほむらの家の前に立つ

ピンポーン

ほむら「何の用かしら?」

真司「ちょっと話したいことがあってな」

ほむら「いいわ中に入って頂戴」

真司「それじゃ、お邪魔します」

蓮「遅かったな、城戸」

居間にはデリバリーの弁当を食べている蓮の姿があった。
テーブルにはほむらの分と思しき弁当もある。

真司「蓮!?お前何でこんなとこにいるんだよ」

蓮「暁美と話がしたくてな」

蓮「後は、前のループで暁美がやっていたデッキの研究に協力している」

真司「それに、お前なんちゅううまそうなもん食ってるんだよ」

真司「俺も色々と頑張ったんだから、ちょっとぐらい俺にも分けろ!」

蓮「ちょうど夕食の時間になったからな」

蓮「後、勘違いしているようだが、この弁当は俺や暁美のおごりじゃなく割り勘だ」

蓮「そう怒鳴らなくても食べたかったら、自分の分を注文すればいいだけだろう」

真司「分かったよ…」ピポパポ

真司「もしもし○○弁当店ですか…」

真司「…よーし、注文が終わった」パタン

真司「そんじゃあ弁当が来るまで今日の魔法少女体験ツアーであったことを話すぞ」

真司は魔法少女体験ツアーであったこと、特にリュウガと遭遇したことを強調して話した。

蓮「あの城戸そっくりのライダーか、確かにお前が倒したはずだ」

真司「だろ!?だっからわけわかんなくなってさ」

ピンポーン

真司「っと、弁当来た見たいだから取ってくるわ」

ほむら「それに人に手足がついて二足歩行する魔女は見たことあるけど、完全に人型の魔女なんて見たことないわね」

真司「こいつを待ってたんだよ、こいつを」キラキラ

蓮「城戸、お前は本当に心当たりはないのか?」

真司「いや、そんなこと言われてもさっぱり…」モグモグ

ほむら「リュウガや魔女のことだけじゃなくていいわ」

ほむら「魔法や魔法少女のことに関して何かないかしら?」

真司「う~ん、あ!あれがあったな…」

真司はカードデッキからほむらが作ったタイムベントのカードを取り出した。

ほむら「これって前のループの私が作ったっていう」

真司「そう、正直言って俺と魔法の接点なんてこれぐらいしか思いつかない」モグモグ

蓮「確かに、このカードは普通のアドベントカードとは違うな」

ほむら「だけど、これだけじゃよく分からないわね」

真司「ほら、やっぱり分からないじゃないか」モグモグ

ほむら「このことはまた後で考えるとして、次に今後のことも考えて佐倉杏子も仲間に入れておきたいわね」

真司「え、別に俺たちがいれば大丈夫じゃないのか?」モグモグ

ほむら「ループした世界とはいっても、細部は大きく変わっている場合は多いわ」

ほむら「その時にイレギュラーが起こった時のために、手数は多くするに越したことはないわ」

蓮「なるほどな、予め保険をかけておくというわけか」

真司「ごっそさん」

真司「でもあいつ結構頑固だから、話聞かない気がするけどなぁ」

ほむら「頑固だけど、欲望には忠実だから仲間にするのはそれほど難しくはないわ」

真司「ん?欲望に忠実・・・」ティン

真司「そうだよ、それだ!」

蓮「いきなりどうした」

真司「だからな、杏子ちゃんの説得は北岡さんに一任しようと思ってるんだ」

蓮「北岡か、何故だ」

真司「ほら、あの人欲望が服を着て歩いているような人じゃないか」

真司「だから、説得も北岡さんに任せればどうにかなるかなーと思って」

真司「よし、思い立ったが吉日と」ピポパポ

真司「もしもし、北岡さん?」

北岡《城戸か、いきなりどうしたの》

真司「いや、北岡さんにちょっと頼みたいことがあって」

北岡《何?》

真司「すぐじゃなくていいけど、ある魔法少女に会って話をしてもらいたいんだな」

北岡《ある魔法少女?》

真司「名前は佐倉杏子、住所は…」

ほむら「風見野の○○の場所にある教会よ」

真司「そうそう、風見野の○○の場所にある教会だ」

北岡《それでどういう話をすればいいわけ?》

真司「いや、俺たちに協力するように言ってもらえるかな?」

北岡《要するに交渉しろと》

真司「そうそうそういうこと、あんた弁護士だから余裕だよな?」

北岡《ま、元の世界の話になるけど、敏腕弁護士の俺ならこの程度の交渉は楽勝だな》

真司「だろ、だからさ」

北岡《報酬は?》

真司「はい?」

北岡《だから報酬だよ、俺がタダでやると思っているの?》

真司「だ、だよねぇ…」

北岡《言っとくけど、この前のようなつまらない物は無しだから》

真司「じゃ、じゃあグリーフシード5個分…でどうでしょうか」

北岡《成功報酬として5倍くれるなら飲んでもいいけど?》

真司「だそうです、どします?」

ほむら「確かに佐倉杏子と話はあいそうね…」

ほむら「いいわ、グリーフシードは私が出すから飲むと言って頂戴」

真司「飲みます、それで飲みます!」

北岡《分かった、それじゃあ暇が出来たら会ってくるよ》

北岡《成功報酬は忘れないようにね》ピッ

真司「ったく、相変わらずだな」

ほむら「だけど佐倉杏子に関しては、これで大丈夫そうね」

ほむら「それにしても、北岡秀一はそれほど腕が立つの?」

蓮「北岡は元の世界では有名な弁護士だ」

蓮「どんな不利な裁判だろうが無罪にする弁護士としてな」

蓮「最も、奴に弁護を頼むのは大半が悪質な犯罪者だがな」

真司「性格は、傲慢で嫌味でわがままでキザで鼻持ちのならない奴ってとこだな」

真司「あ、あとめぐみさんいわく嘘つきだそうです」

ほむら「…考えて頭が痛くなってきたわ」

蓮「それでも奴はライダーの中ではマシな方だ」

真司「そうそう、後は脱獄犯や汚職警官や愉快犯の大学生やチャラ男や何考えてるか分かんない英雄志望の奴がいたな」

蓮「結婚詐欺師もいなかったか?」

真司「それは…まぁ特例だよ」

ほむら「私が魔法少女の人間関係で悩んでいたことが馬鹿らしくなってくるわね…」

蓮「それだけ俺達より幸運と思え」

真司「そうそう、ほむらちゃんは固い所があるからもうちょいリラックスしろよ」

ほむら「…善処するわ」

蓮「時間も遅い、そろそろ帰るぞ」

真司「お、おう」

真司「それじゃまた明日」

ほむら「また明日ね」

~数日後~

真司「あ~、やっと授業終わった~」

ほむら「一応大卒のはずでしょう、なんでそんなにバテるの?」

真司「大学の成績は大半がC判定だったので…」

蓮「呆れた奴だ、大久保がOREジャーナルに誘ってくれなかったらどうするつもりだったんだ」

真司「そりゃあ…そん時はそん時だ」

まどか「あ、真司君!」

さやか「よく見りゃ蓮もいるじゃん」

まどか「今日も魔女退治にいくの?」

真司「まぁね」

蓮「モンスターに餌を与えるためだ」

さやか「相変わらず無愛想なやっちゃな~」

マミ「あら、こんな所にいたのね」

まどか「マミさん!」

さやか「あれ?今日は秀一さんと一緒じゃないの?」

マミ「それが今日は用事があるからパスって言われたの」

さやか「やれやれ、あの人も何処で油売ってるんだか・・・」

~風見野~

北岡「確か城戸が教えたのはここだよな」

北岡「教会って言ってたくせに、ただの廃墟にしか見えないんだけどねぇ」

北岡「だけど一応仕事だ、入ってみますか」

北岡「ごめんください、誰かいますか?」

その瞬間、北岡の首筋に槍が突き付けられた。
北岡は抵抗せずに、両手を挙げた。

杏子「…普通の奴はこの時点で尻尾巻いて逃げてるんだけどね」

北岡「色々と修羅場を潜って来たからね」

杏子「それにしては魔法少女じゃなさそうだけど、あんた何者だ?」

北岡「君達と同じ、戦う宿命を背負わされた人間だよ」

そう言いながら、北岡はカードデッキを取り出した。

杏子「何だか知らないけど、嘘はついてなさそうだな」

杏子「そんで、何しに来た」

北岡「君と交渉しに来た」

杏子「交渉だぁ?」

北岡「俺たちと共闘してほしい」

杏子「何でさ」

北岡「ワルプルギスの夜を倒すため」

杏子「ずいぶん大きく出たな」

北岡「約1カ月後にワルプルギスの夜が見滝原に出現する」

北岡「そいつを倒すために俺達に協力してほしい」

杏子「ふーん、悪いけど断る」

北岡「それはどうしてかな?」

杏子「見滝原ってことはマミもいるんだろ」

杏子「あんなダッサい自称正義の魔法少女につくなんて御免だね」

北岡「なるほどね、じゃあそういうあんたはどういう魔法少女をしているのさ」

杏子「あたしは強いて言うなら、自分のための魔法少女だな」

杏子「せっかく、魔法なんて力を持っているんだ」

杏子「自分の好きに使わせて貰ってるよ」

北岡「なるほどね」

杏子「あんたもマミみたいにけなすつもりか?」

北岡「まさか、俺はあんたみたいな欲望に忠実な人間は好きなんでね」

杏子「そうかい」

北岡「ところでさっきの言葉、俺にはどうも本心に聞こえなかったんだけど」

杏子「どういうことだ」

北岡「佐倉、お前がやせ我慢しているように聞こえるってことだよ」

北岡「俺、元の世界じゃ弁護士だったからさ、そういった態度は見抜けるんだよね」

杏子「元の世界?何言ってるんだ?」


北岡「実は少し前にこの世界に飛ばされてね」

北岡「とは言っても信じて貰えないだろうから…変身」

北岡は側にあった水溜まりにカードデッキを掲げ、出現したVバックルにデッキを挿入し、ゾルダに変身した。

北岡「仮面ライダーって言うんだけど、こいつで証拠になるかい」

杏子「…ああ、充分だ」

動揺している様子を隠しきれてない杏子を横目に、ゾルダは変身を解除した。

北岡「話を元に戻すか」

北岡「元の世界で弁護士だった俺は、ある凶悪犯の弁護をした」

北岡「浅倉って言うんだが、そいつがまたとんでもない奴でな」

北岡「イライラしたからってだけで殺人と傷害事件を繰り返していて、何十人もの人間が被害を受けていたわけよ」

杏子「そんでどうしたんだよ」

北岡「死刑を求刑されてたけど、俺はいつもの様に無罪を主張したよ」

北岡「今となると弁護を断ればよかったと思うよ」

北岡「そんで判決は懲役10年の実刑」

杏子「さすがに無罪にできなかったってわけか」

北岡「そこから俺のライダーとしての人生が狂い始めたのかもな」

北岡「その後、浅倉が俺と同じライダーになったわけだ」

北岡「無罪にできなかったことで俺のことを逆恨みし始めるし、また好き勝手人を襲いはじめるわ」

北岡「あげくの果てに、奴に殺された被害者の遺族までライダーになっててな」

北岡「さすがに責任を感じてね、ちょっと手助けしようと思ったら何て言ったと思う?」

杏子「…」

北岡「『余計な手出しはするな』だよ、自分の巻いた火種とは言えちょっとショックだったな…」

杏子「あんた、何でわざわざそんな話をあたしにした」

北岡「あんたも俺と同じで過去の行いを後悔しているんじゃないのか?」

杏子「っ!」

北岡「そしてそのせいで今の性格になったんじゃないの?」

杏子「根拠は…あるのかよ…」

北岡「弁護士としての勘ってとこかね」

杏子「…分かったよ、全部話してやる」

杏子は自分が何故魔法少女になったのか、そして何故今のような性格になったのかを話した。
話している間、杏子は俯いたままだった。

北岡「成程、似たような案件はいくつか取り扱ったことがあるけど、中々ハードな経歴じゃない」

杏子「…」

北岡「思ったんだけどお前さ、口先ではリアリストを気取っているけど本当はまだ正義の味方に憧れているんじゃないの?」

杏子「はぁ?」

北岡「だってさ、暫くマミちゃんと組んで行動していたんだろ」

北岡「昔の俺だったらそんな奴は、出合い頭に戦って倒しただろうな」

北岡「倒さなかったってことは未練があるってことじゃないの」

杏子「馬鹿にしてんのか?」

北岡「いいや褒めてるのさ、正義の味方っていうのは自分が宣言してなるものじゃない」

北岡「世間にとって良いことをただひたすら行い続けて初めて、世間がその人に与える称号みたいなものだと俺は思うけどね」

北岡「だからさ、佐倉は無理に背伸びしないで、自分にとって良いと思うことをし続ければいいと思うんだ」

北岡「そうすればそのうち本当に正義の味方になれるんじゃないの」

北岡「ま、とは言っても警察のお世話にはならない程度でね」

北岡「この世界じゃ俺はまだ弁護士じゃないから、佐倉を弁護することは出来ないしな」

杏子「まさか、あたしの行動をこうまで肯定されるとはねぇ…それも弁護士としての技能ってやつかい?」

北岡「まっ、スーパー弁護士のこの俺ならではのスキルってやつだね」

杏子「何だか鼻につくけどありがとよ、何だか肩の荷が降りた気がする」

北岡「どういたしまして」

杏子「それにしてもよ、さっきのあんたの話を聞いた限りマミの奴は未だに嫌っていそうな気がするけどそこんとこどうなんだ」

北岡「マミちゃんについては特例だよ、あんな感じの愚直な馬鹿は後で意外と化けるものさ」

杏子「そういうもんかねぇ」

北岡「俺の知り合いに人を守るためだけに戦うって言っている奴がいるんだけどさ」

北岡「最初は正直馬鹿馬鹿しくて気にもかけていなかったんだけど、その後色々あってね」

杏子「それで…何だよ?」

北岡「マミちゃんに初めて会った時にその知り合いと同じ空気を感じ取ったってわけさ」

北岡「俺は最初から英雄気取りの勘違い人間は嫌いだ」

北岡「けど、ああいった馬鹿はまぁある程度までは許容できるようになったってわけさ」

杏子「そっか…」

北岡「それじゃあ同盟についてだけど」

杏子「報酬は?」

北岡「何だって?」

杏子「あたしはあんたのアドバイス通りに、これからも好きにやらせてもらうとするさ」

杏子「とういうわけで報酬だよ、あたしがタダで協力するわけないでしょ」

北岡「アドバイス料差し引いて、成功報酬にグリーフシード10個でどう?」

杏子「その倍なら引き受けてやる」

北岡「分かった分かった、それでいいよ」

北岡(この前屋上で聞いた通り、本当に俺そっくりだな…)

いったん区切りがついたので、今日はここまでにします。
今回は最後まで書き溜めを行っているので、よほどのことが無い限り蒸発することはないと思います。


浅倉はさすがに出なかったか

まさか戻ってたとはな

再開来たのか!!
二部始まった所で終わったんだよな…ログ残してるよ
また楽しみにしてる!

支援

実物解析してるとは言え0からタイムベントつくれるとなると
ほむらがますます神埼化してるな
共通点
・誰かを救うためにループ
・時間関係の能力
・序盤のミステリアス
・ライダー(魔法少女)の全てを知っている
・タイムベント製作者 ←NEW!

>>91
神崎とほむらの違いなんて
主催者か1プレイヤーかの違いでしかないからな
二人とも目的のためなら手段を問わないキャラだし

浅倉と杏子の共通点は…
・名字が似ている(「あさくら」と「さくら」)
・家族を殺している(浅倉は直接、杏子は間接的に)
・「食うか(い)?」
・ホームレス
・自分のためなら他人は死んでもいい(浅倉はモンスターに人間を食べさせ、杏子は使い魔が人間を食べるのを待っている)

>>93
杏子は浅倉よりも北岡に近いだろ
利他的な行動にやたらと噛み付いたて(真司、さやか、マミ)斜に構えた態度とか
自分のためにしか戦わないと言いつつも自分と同じ境遇の者には助け舟だしたり
割り切ってるようで、何だかんだで甘さを捨てきれなかったり

>>87
浅倉は神崎士郎がトリックスターとしてライダーバトルに参加させたって経緯があるので、出したら本当に収集が付かなくなるので今回は出してません。

>>91-92
龍騎とまどマギを比較する時は真っ先にキュゥべぇが神崎士郎ポジにさせられますが、お2人の言う通りほむらの方がよっぽど神崎士郎っぽい気がします。
ぶっちゃけキュゥべぇとは黒幕ってところしか共通点ないし。

>>93-94
杏子は行動パターンは浅倉似、性格は北岡似だと思います。
それにしてもお互い憎しみ合ってるこの2人をミックスして1人のキャラクターを作ったのは虚淵さんなりの皮肉だと思うのは考えすぎでしょうか?

と、言うわけで続きを投下します。
 

~見滝原のとある魔女結界~

真司「ったく、使い魔も多いな!」

ほむら「面制圧はこっちでする、倒しきれなかったのを頼むわ」

そう言うとほむらは迫撃砲を発射し、使い魔の群れに命中させる。

真司「うお!?びっくりした…っと、俺は残りの相手だったな」

『STRIKE VENT』

真司「はぁぁ…てりゃあ!」

ドラグクローを装備した龍騎は、ドラグレッダーのタイミングに合わせてドラグクローファイヤーを使い魔に向けて撃ちだす。
これにより使い魔はすべて倒された。

マミ「魔女がそっちに行ったわ、秋山君!」

蓮「ああ!」

『FINAL VENT』

ナイトは高くジャンプしてダークウィングと合体する。
そしてウイングランサーを魔女に向けて構えて、ウイングウォールをドリル状に変形させそのまま魔女に突撃した。
魔女はグリーフシードを残し消滅し、結界も消えた。
その様子を見たマミ達は変身を解除した。

マミ「お疲れ様、3人とも」

マミ「私はもうグリーフシードを使ったから後は自由に使っていいわよ」

真司「いえいえどういたしまして、ほむらちゃんグリーフシード使っていいよ」

ほむら「ただの成り行きよ…私のは浄化したからグリーフシードの残りの分使っていいわよ」

蓮「暁美の言うとおりだな、餌だダークウィング」

さやか「2人とも、そう照れなさるなって」

マミ「でも、まさか頑固そうな暁美さんや秋山君まで手伝ってくれるなんて」

真司「そりゃあこの2人、素直じゃないだけで本当はやs」

その瞬間、蓮は真司の右足をほむらは左足を思い切り踏み付けた。

真司「いったぁ…何するんだよ!」

蓮「しゃべりすぎだ」

ほむら「あなたは思ったことを口に出し過ぎなのよ」

真司「たた…本当に素直じゃないよな…」

まどか「と、ところでマミさんはどうして魔法少女になったのかなって」

マミ「え、私?」

まどか「うん、こんなに頑張っているけど、どうして魔法少女になったのか気になっちゃって」

マミ「そうね…あれは数年前だったわ」

マミ「家族で旅行している最中に、私達の乗っていた車が事故に巻き込まれたの」

マミ「前列に座っていた私の両親は即死だったわ、私自身も死ぬのは時間の問題だった」

マミ「その時現れたのがキュウべぇだった、そして助けてもらう代わりに魔法少女になったの」

まどか「ごめんなさい、そんな理由があったなんて…」

マミ「気にしなくてもいいわよ」

マミ「だけどこれだけは覚えておいてほしいの」

マミ「魔法少女になったら、魔女と戦い続ける宿命を背負わされるわ」

マミ「だからあなた達には生半可な願いで魔法少女になって欲しくないのよ」

蓮「その通りだ、どうでもいい願いで適当な気持ちで俺達の戦いに加わっても迷惑なだけだ」

さやか「そっかぁ…実はあたしちょっと悩み事をかかえているんだけど、聞いて貰えますかね」

さやかは幼なじみの上条恭介が左腕を怪我してしまい、もう動かせなくなっていることを話した。

マミ「なるほどね…」

蓮「今の医学では無理と言うわけか」

さやか「うん…」

真司「俺はさ、怪我を治すために願いを使わなくてもいいと思う」

さやか「え、でもそれじゃもう恭介はバイオリンを」

真司「逆に考えるんだ、いっそのことバイオリンを辞めさせるんだ」

さやか「じゃあ、恭介にどうしろっていうのよ」

真司「例えば…そう!ジャーナリストだ」

さやか「ジャーナリスト?」

真司「そうジャーナリストだ、これなら片腕が動かなくても大丈夫だろ?」

さやか「まぁ、確かにそうかもしれないけど…」

真司「とにかくバイオリンに固執してるのが上条の問題点なんだよな、うん」

真司「だから、ちょっとは新しい風を入れてみる必要があると思うわけよ」

さやか「でも恭介は…」

真司「ジャーナリストが嫌なら他にも候補はあるぞ、弁護士はどうだ?」

真司「人助けも出来るし、安定した生活も送れる…一部の例外はいるけどな」

まどか「えっと…」

真司「占い師はどうだ?これも人助けが出来るし、何より弁護士よりなりやすい」

真司「そんで決めゼリフに『俺の占いは当たる』って言えば完璧」

マミ「あの…」

真司「そうだな、喫茶店のマスターになるなんて手もあるぞ」

真司「あまり動かなくてもいいし、人と触れ合うことができる」

真司「そして常連さんから『マスターもう一杯』って言われて慕わ、い゛ででで!」

蓮「すまないが、俺達はここで失礼する」

蓮「この馬鹿が今言った戯言はすべて忘れろ」

さやか「は、はい…」

蓮「行くぞ、暁美」

ほむら「分かったわ」

真司「ちょ蓮、耳引っ張んなって、痛い痛い!」

~アパートへの帰り道~

蓮「何いい加減なことを言っている」

真司「いや俺はさやかちゃんを魔法少女にさせないように頑張ろうと思ったわけですよ」

ほむら「あれが?私には下手な三文芝居にしか見えなかったわよ」

蓮「余計なお世話だ、少なくとも美樹には魔法少女になるためのちゃんとした理由がある」

真司「だからって、将来さやかちゃんがあんなことになるっていうのに放っておけるかよ」

蓮「要するに魔女にさせなければいいんだろう」

蓮「美樹に関しては俺に任せろ、少なくともお前よりは力になれるかもしれん」

ほむら「そうね、ここは秋山蓮に任せなさい城戸真司」

真司「分かったよ、本当に頼んだぞ蓮」ピリリリ

真司「何だ?…はい城戸です」

北岡《佐倉杏子と協力体制を築いたよ》

真司「おお、サンキュ!」

北岡《城戸の言った通り、俺にそっくりでかなりがめつい奴だったよ》

真司「でしょ!?いやぁ~北岡さんに任せたかいがあった」

北岡《あと城戸、お前佐倉を協力させる理由を電話で話さなかっただろ》

真司「あっ!忘れてた…」

北岡《ったく、一応屋上で聞いたワルプルギスの夜を倒すため、って言っておいたよ》

北岡《報酬はしっかりと頼むからね》ピッ

真司「とのことです」

ほむら「これでワルプルギスの夜との戦いも有利になるわね」

真司「よし、明日も頑張るぞ!」

~次の日の放課後~

真司「さて、今日も魔女退治に行くとしますか!」

さやか「あ~、今日はちょっと恭介のお見舞いに行きたいからパス」

まどか「そういえば、最近お見舞いに行ってなかったね」

北岡「確か、左腕に大怪我してもう動かなくなったんだっけ」

さやか「うん…」

北岡「…悪いけど、おれもちょっと野暮用が出来たからパスさせてもらうよ」

マミ「今日もどこかに行くの?」

北岡「大丈夫、埋め合わせはいつかするからさ」

そう言いながら北岡はどこかに行ってしまった。

真司「う~ん、そうだ折角だから皆で上条のお見舞いに行かないか?」

蓮「この大所帯でか、何を考えている?」

真司「いや、さやかちゃんの幼馴染ならきちんと会っておこうと思ってな」

ほむら「私は別に構わないわ」

さやか「そうだね、そうすれば恭介もきっと喜ぶしそうしよう!」

真司「じゃあ、駅前で飯食ったら病院に行くか!」

~見滝原の病院~

北岡「まさか、俺がロハでこんなことするなんて、城戸の馬鹿が完全に感染したみたいだな」コンコン

上条「はい、誰ですか?」

北岡「失礼、俺は北岡秀一って言うんだけど美樹さやかの友達って言えばわかるかな?」

上条「北岡…確かにさやかから聞いたことがあります」

北岡「そうか、ならよかった」

そう言いながら、北岡はこの病院に行く間に買ってきた花を花瓶に挿した。

北岡「症状はさやかから聞いたよ、左腕が動かなくなったんだって?」

上条「ええ…医者からもう二度と動かないと宣告されました…」

北岡「しかもバイオリンがもう出来ないと」

上条は悔しそうに血が出るほど下唇を噛んだ。

北岡「ま、確かに同情はするよ、俺はクラシックが好きだからね」

北岡「美樹が絶賛するそのバイオリンを聞けなのは勿体ないなぁ」

上条「そうですか…」

北岡「そこで君に一つ聞きたいことがあるんだけど」

上条「何ですか?」

北岡「もしその左腕を治すためなら、お前はお前の全てを差し出せるか?」

上条「何でいきなりそんな質問を」

北岡「唐突だったな、じゃあ俺の話を聞いてから答えてくれ」

上条「…」

北岡「ある所にある男がいた」

北岡「その男は現代の医学では治せない不治の病にかかっていた」

上条「それって…」

北岡「そう今のあんたの状況に似てるってわけ」

北岡「そんな時、その男の前に別の男が現れてこう言ったんだ」

北岡「『これから現れる12人の人間を殺したら永遠の命を与えてやる』ってね」

上条「!…その人はどう答えたんですか」

北岡「その男は既に余命いくばくもなかったからね、藁にも縋る気持ちで話に乗ったよ」

北岡「そしてその男は永遠の命を得るために戦いを始めた」

上条「そんな…」

北岡「仕方なかったのさ、なりふり構っていられなかったし」

北岡「だけどある時、その男はある女と出会った」

北岡「その女は男に対して深い憎悪を抱いていた」

北岡「かつてその男はその女の人生を狂わせる一端を担っていたからね」

北岡「そのことに気が付いた男は、永遠の命を得るための戦いが虚しくなった」

北岡「そしてその男は運命を受け入れ天に召されましたとさ」

上条「その人は幸せだったんでしょうか…」

北岡「さてねぇ…死人に口なしだし、俺には分からないな」

北岡「だけど俺自身はこんな馬鹿馬鹿しい戦いなんて関わらなければよかったのに、って思うけどな」

上条「永遠の命がかかっていたのに?」

北岡「だとしてもだよ、俺はさ人生は楽しめたもの勝ちだって思ってるんだよ」

北岡「確かに永遠の命を手に入れられたら、もっと人生楽しめただろうけどさ」

北岡「だけどそのせいで一生もののトラウマ植え付けられたら意味ないでしょ?」

上条「…」

北岡「俺から言えるのは、後悔しないように人生を精一杯楽しく生きてくれってこと」

北岡「それじゃお大事に」

北岡は出口に歩いて行ったが、ふと足を止めた

北岡「あと最後に言っておきたいことがある」

上条「何ですか?」

北岡「美樹の友達に城戸真司って奴がいるの知ってる?」

上条「あぁ、はい」

北岡「あんたも馬鹿になりたくなかったら、あいつの半径5Mには入らないことだね」

上条「はぁ…」

北岡「それじゃ今度こそお大事に…」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

時は少し遡る、食事を終えた真司達は上条のお見舞いに行くために病院に向かっていた。

さやか「恭介驚くだろうな~、なんせこんな大所帯だもん」

まどか「確かにこれはすごいよね」

真司「でもきっと喜んでくれるって!」

蓮「大体これだけの人数が病室に入れるのか?」

ほむら「確かあの個室なら、このくらいは入れたはずよ」

マミ「何だか緊張しちゃうわね」

ほむら「そんなことを言っているうちに見えてきたわよ」

真司「はぇ~でっかい病院だな」

キィィィンキィィィン

真司「こんなところに魔女!?」

マミ「私のソウルジェムにも反応があったわ」

蓮「急ぐぞ!」

全員は反応があった病院の壁のところまで走り出した。

真司「あったぞ、グリーフシード!」

マミ「まずいわね、ただでさえ病院は負の感情がたまりやすいわ」

マミ「そんな所に魔女が出現したら大惨事になるわよ」

真司「それってかなりまずいじゃないか!」

マミ「鹿目さん達はここで待っていて!」

まどか・さやか「「は、はい!」」

ほむら「私達も行くわよ」

ほむらのマミはソウルジェムを使い魔法少女に変身した。
真司と蓮はカードデッキを傍の鏡に掲げた。

真司・蓮「「変身!」」

カードデッキをVバックルに挿入し、龍騎とナイトにそれぞれ変身した。

真司「っしゃあ!」

マミ「私について来て頂戴!」

変身した4人はマミの指示で魔女の結界の中に入って行った。

~シャルロッテの魔女結界~

真司「ここって…」

ほむら(やはりあの魔女の結界ね)

ほむら(巴マミの様子を警戒しつつ、魔女の相手をする必要があるわね)

真司(念のためにマミちゃんについていた方がいいよな)

真司「マミちゃん、俺と組んで戦おう!」

マミ「あてにするわよ!」

真司「おう!」

『SWORD VENT』

龍騎はドラグセイバーを手に取り使い魔を倒しつつ前に進んだ。
マミも龍騎の後ろに付きながらマスケット銃を撃ちながら道を切り開いていく。

真司「とはいっても使い魔の数が多くて、中々前に進めないな」

蓮「俺が動きを止めるから、その間に先に進むぞ」

『NASTY VENT』

その瞬間ダークウィングがやってきて、超音波を発生させた。
使い魔には耐えきれなかったらしく動きを止めた。

真司「グッジョブ蓮!」

その隙に4人は魔女結界の最深部まで進んだ。
そこには椅子にちょこんと座っている小さい魔女がいた。

真司「って、あれ?あの馬鹿でかい魔女は?」

ほむら「あの小さい魔女が変身すると巨大な魔女になるのよ」

真司「へぇ~不思議なもんだな」

マミ「よく知ってるのね、暁美さん」

ほむら「私も魔法少女歴は長いから、ああいったタイプの魔女とはいくらか戦ったことがあるのよ」

キィィィンキィィィン

真司「この気配は!」

蓮「どうやらこの前言った、魔女が現れたようだな」

真司「こんな時に、マミちゃんも見張っておく必要があるのに!」

ほむら「巴マミは私が監視するわ、もしもの時は時間と止めるから安心して」

真司「分かった、頼んだぞほむらちゃん!」

そして、龍騎とナイトの目の前にリュウガが現れた。

蓮「この前の話は本当だったようだな!」

『SWORD VENT』

リュウガ「…」

『SWORD VENT』

ナイトはウイングランサーを受け取り、リュウガはドラグセイバーを受け取ってそれぞれ装備した。

蓮「はぁっ!」

ナイトはウイングランサーを構えて、リュウガに突進する。
リュウガはウイングランサーをドラグセイバーで切り払う。

真司「こっちもだ!」

リュウガ「…」

龍騎が切りかかるのを確認したリュウガは使い魔を召喚して、龍騎に襲わせた。
その使い魔の姿はミラーモンスターにそっくりだった。

真司「ミラーモンスター!?でも、あれって…!」

幼真司『ねぇねぇ、君は何を書いているの?』

幼優衣『これ?ミラーモンスターっていうの』

幼優衣『あたしとお兄ちゃんを守ってくれる味方だよ!』

幼真司『かっこいい!僕も描いていい?』

幼優衣『うん、いいよ!』

真司「俺が小さい時に優衣ちゃんと一緒に描いたミラーモンスター…なんでこいつが」

真司「でも今は戦うしか…!」

龍騎はリュウガの使い魔に切りかかって一体一体倒していく。
一方ナイトもリュウガとの戦いを続けていた。

蓮「確かに手ごわいな、だが行動パターンが城戸とほぼ同じだから戦いようはある!」

『TRICK VENT』

ナイトは大量の分身を作り出しリュウガに襲い掛かった。

リュウガ「!…!?」

リュウガはすべての攻撃をさばききれずに一方的に攻撃を受けていた。

蓮「数で押せるのはお前だけではないということだ、これで終わりだ」

『FINAL VENT』

ナイトはダークウィングと合体し、飛翔斬をリュウガに向けて放った。
しかしリュウガは使い魔を召喚して、身代わりにして逃げ出した。

蓮「逃げたか…」

真司「とにかくマミちゃんの方が心配だ、様子を見に行こう!」

~龍騎とナイトがリュウガと戦っている時と同じ頃~

マミ「さて、行くわよ暁美さん」

ほむら「いいわよ」

マミとほむらは銃器を使い、シャルロッテに攻撃した。
しかし、小さい体でシャルロッテはひらりと身をかわす。

マミ「すばしっこいわね」

ほむら「あいつを拘束できるかしら?」

マミ「任せて!」

マミはリボンを使い、シャルロッテを拘束した。

マミ「これで終わりよ、ティロ・フィナーレ!」

マミは大砲でシャルロッテを攻撃した。
すると、シャルロッテの中から巨大な魔女が出現した。

マミ「これが、くっ!」

マミは巨大なシャルロッテの攻撃を交わすために横に転がった。

杏子「でりゃあぁ!」

その次の瞬間杏子の攻撃でシャルロッテは大きく吹き飛ばされた。

マミ「佐倉さん!?何でここに」

北岡「とりあえず、間に合ったようだな」

マミ「北岡君まで、どうして!?」

北岡「ま、少しね…」


~マミ達が結界に入ったほぼ同じ頃~

北岡「さて上条とも話したし、そろそろ家に帰るか」

キィィィンキィィィン

北岡「全く、いつの間に結界が出来たんだ」

北岡「とりあえず、戦闘能力も見たいからあいつも呼ぶか」ピポパポ

北岡「聞こえてる杏子ちゃん?」

杏子《秀一か、何の用だ》

北岡「しかしまさか、杏子ちゃんが携帯を持っているなんてね」

杏子《誰かの忘れ物をそのまま使ってるだけさ》

北岡「それはいいとして、グリーフシード欲しくない?」

杏子《くれんのか?》

北岡「いや、俺と共闘して魔女と戦ってほしいってこと」

杏子《そういうことかよ、今どこにいる?》

北岡「見滝原の病院だよ」

杏子《近いな…3分位待て》ピッ

北岡「さて、それじゃあグリーフシードを探して待つとするか」

北岡「反応はこの辺だけど…あれは鹿目と美樹?」

北岡「ここで何をしていたんだ?」

まどか「秀一君、どうしてここに?」

北岡「言ったでしょ、野暮用だって」

さやか「あたし達は恭介のお見舞いに来たんだけど」

さやか「見ての通りグリーフシードがあるから、マミさんたちがここで待ってろって」

北岡「成程ね、他にはこの結界に入って行った人はいる?」

まどか「真司君とほむらちゃんと蓮君が入って行きました」

北岡「俺以外フルメンバーってわけね」

杏子「来てやったぞ、秀一」

北岡「意外と早いお付きじゃないの」

杏子「先に入られて、グリーフシードを横取りされるのは御免だから急いで来たのさ」

まどか「あの、あなたは誰…?」

杏子「あたしは佐倉杏子、魔法少女さ」

さやか「魔法少女ってことはマミさんと一緒ってこと?」

杏子「まぁね、続きはこの魔女倒した後でっと」

そう言うと杏子は魔法少女に変身した。

北岡「それじゃ俺も…変身!」

変身した2人はシャルロッテの結界に入って行った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

北岡「…というわけ」

マミ「そうだったのね、ありがとう北岡君」

北岡「言ったでしょ、埋め合わせはするって」

北岡「杏子ちゃん、そっちはどう?」

杏子「こいつ、攻撃しても再生ばっかするからこのままじゃジリ貧だぞ」

北岡「成程ね、じゃあ高火力の攻撃をすればいいわけか」

杏子「なんか手でもあんのか秀一?」

北岡「ああ、あるから今すぐそいつから離れて貰える?」

『ADVENT』

ゾルダがカードをベントインすると、目の前の地面からマグナギカが出現した。

『FINAL VENT』

もう一枚のカードがベントインされると、マグナギガの全面が開き、全身の砲塔も前面に向いた。
そしてマグナバイザーをマグナギガの背中に挿し込み、引き金を引いた。
その瞬間、マグナギガから発射された大量のミサイルや銃弾やレーザーがシャルロッテを襲った。
シャルロッテは再生を行いもがいていたが、やがて再生が追い付かなくなりグリーフシードを残し消滅した。

北岡「ざっとこんなものだな」

マミ「す、凄い…」キラキラ

ほむら「途轍もない攻撃ね…」

2人が感心していると、爆炎から杏子が怒り心頭で向かってきた。

杏子「ちょっと待てぇ秀一!」

北岡「どうしたの杏子ちゃん?そんな怖そうな顔してさ」

杏子「さっきの攻撃はどういうことだ!」

北岡「ちゃんと警告したでしょ、今すぐ離れろって」

杏子「てっきりマミの必殺技程度の威力だと思ったら、何だよあれは!」

北岡「俺の必殺技だよ、あれでも使わないと倒せないと思ったからさ」

杏子「…分かったよ、グリーフシードは貰うからな」

ほむら「余ったら私達にも分けてくれると嬉しいわ」

杏子「誰だよあんた…」

ほむら「全員集まったら説明するわ」

真司「マミちゃん大丈夫、って北岡さんと杏子ちゃん!?」

杏子「その恰好…あんたも秀一と同じ人間か」

杏子「て言うか、何であんたがあたしの名前知ってるんだよ」

真司「あ、まぁ色々とな…」

杏子「何だか引っかかるけど、まぁどうせマミがベラベラしゃべったんだろ」

すると、結界が解除され元の空間に戻ったので全員が変身を解除した。

まどか「みんな!」

さやか「その様子じゃ魔女を倒せたみたいだね」

マミ「ええ、おかげさまでね」

さやか「しかしまぁ、さらに大所帯になったねぇ~」

ほむら「だから、いったん別の場所に移って話し合いを行いたいわ」

まどか「え?でもお見舞いがまだ…」

さやか「いいっていいって、今から行っても遅くなるだろうし」

さやか「それに、恭介には一人で話し合いたいこともあるしさ…」

蓮「…」

マミ「それなら私の家で話しましょう」

マミ「確か、ケーキや紅茶もまだ余っていたはずよ」

真司「マジで!?いや~楽しみだ」

~マミの家~

北岡は杏子と会って説得した内容を全員に話した。
最も、杏子の過去については杏子本人の希望で黙秘し続けた。

マミ「北岡君と佐倉さんとの間にそんなことが…」

杏子「まぁな、おかげで変に気取る必要もなくなって、あんたとも平気で顔を合わせられるようになったわけさ」モグモグ

北岡「そうそう、人間素直が一番だって」

真司「我儘なあんたが言ったら、ある意味洒落にならないだろ」モグモグ

さやか「でも自分のためにだけ戦う魔法少女ってのも、やっぱりなんか抵抗感が…」モグモグ

蓮「自らの願いを叶えるための魔法少女であり、仮面ライダーだ」

蓮「自分のために戦う奴が多くて当然だ」

マミ「それにしてもまさか城戸君達が別の世界から来たなんて…」

杏子「あたしだってびっくりしたよ」モグモグ

さやか「まぁ、仮面ライダーが魔法少女と全く違うのもそれで納得出来るな」モグモグ

まどか「でも、仮面ライダーって魔法少女とは違ったカッコよさがあるな」モグモグ

ほむら「かと言ってあなたは魔法少女や仮面ライダーになんか絶対になってはいけないわ」

さやか「ほむらってばそればっかり…それにしても女の仮面ライダーっていたの?」モグモグ

真司「…一人だけいたな」

さやか「どしたのさ真司、急にしんみりしちゃって」モグモグ

さやか「もしかして彼女だったとか?」モグモグ

真司「ぶほぁっ!違うって、そもそもあいつ結婚詐欺師だったし!」

さやか「そうやってムキになるのが余計怪しいであるな」キリッ

蓮「人をおちょくるのはやめておけ美樹、見ていて痛々しいぞ」モグモグ

ほむら(そういう性格だから、毎回ループで魔法少女達のアキレス腱になるのよ)モグモグ

さやか「ちぇ、気になるのに…」

蓮「そういうお前は上条のことはどうするつもりだ」

さやか「え゛、それはその…」

ほむら「見事にブーメランで帰ってきたわね」モグモグ

真司「俺はさやかちゃんも魔法少女になるのは反対だからな」モグモグ

北岡「だからそういうのは個人の自由でしょ、何勝手に介入しようとしてるの」モグモグ

北岡(俺が上条に会ったことは秘密にしておくか、また城戸の奴が過剰に突っかかってきそうだし)モグモグ

杏子「ま、アドバイスとしてはあたしも色々とあったから、願いくらいは自分にとって得することにするんだね」モグモグ

まどか「色々あったって?」

杏子「おっと、聞きたかったらまた別の時にあたしに会いに来な」

杏子「この場をしんみりさせたくないしな」モグモグ

マミ「それじゃあ、そろそろお開きにしましょうか」

さやか「確かに時間もそろそろ遅くなりそうだし、じゃーねー」バタン

まどか「皆、また明日」バタン

杏子「あ、あたしは今日からここに居候するからそのつもりで」

マミ「えぇ!?何で急に…」

杏子「いや、だってホテルを転々とするわけにも行かないだろ」

マミ「でも…」

杏子「両親もいないし、部屋は空いてるだろ?」

杏子「大丈夫大丈夫、家事くらいは手伝ってやるからさ」

マミ「はぁ、まぁ今日の魔女退治で助けてくれたから一応置いてあげるわ」

ほむら「良かったわね2人とも、じゃあ私達も行きましょう」

真司「あ、そうだ」

真司「連と北岡さんとほむらちゃんはまた別の所に集まってくれないかな」

蓮「何を話すつもりだ」

真司「まぁ、ちょっとね」

北岡「しょうがないな、少しだけだぞ」

~北岡の家~

北岡「で、何で俺の家に集まるわけ?」

真司「だってマミちゃんの家の隣だし」

蓮「それで話とは何だ?」

真司「そうそう、今日戦ったリュウガのことだけどさ」

蓮「あの結界で戦ったあいつか」

真司「あいつミラーモンスターみたいな使い魔を出してきたでしょ」

蓮「確かに出してきたな」

真司「実はさ、あれ俺が昔描いたミラーモンスターなんだよね…」

真司は昔幼かった優衣と出会い、一緒に遊んだことがあることを話した。
ミラーモンスターの正体が幼い神崎兄妹の描いた絵が実体化した怪物だということ。
そして、その時に幼い真司が優衣の真似をしてミラーモンスターを描いたことも。

蓮「成程…」

北岡「ちょっと待ってよ、じゃあ何であいつが城戸の描いたミラーモンスターを使役しているわけ」

真司「そう、そこが不思議なんだよ」

真司「俺自身あいつが召喚してくるまで、優衣ちゃんと一緒にミラーモンスターを描いていたことなんかすっかり忘れていたしさ」

ほむら「確かに不思議ね…」

北岡「だったらさ、いっそのことインキュベーターにでも聞いてみたらどうだ」

真司「はぁ!?何であんな奴に」

北岡「あいつは隠し事はするけど、嘘はつかないんでしょ」

北岡「しかも魔法少女システムと魔女の開発者ときた」

北岡「下手に考えるより、あいつに聞いた方が効率的じゃないの?」

蓮「確かに一理あるな」

ほむら「だけどこっちの情報が流出する可能性もあるわ」

北岡「大丈夫だって、交渉はこっちの方でするから」

北岡「さて…インキュベーター出てきてくれ、お前に聞きたいことがある」

キュゥべえ「何だい?」

真司「出たな、わけが分からない難解スペアいっぱい星人!」

キュゥべえ「君の例えの方がわけが分からないよ」

北岡「落ち着けって、まず今ここでインキュベーターが俺たちに接触したことを内密に出来るか?」

キュゥべえ「うん、出来るよ」

北岡「次にこれから俺たちとインキュベーターが会話する内容すべてを非公開にしてもらえる?」

キュゥべえ「分かった」

北岡「じゃあ本題に入るか、君は黒くて人型の城戸が変身した姿に似ている魔女を知っているか?」

キュゥべえ「うん、知っているよ」

北岡「あいつが生まれた原因は何か心当たりがないの?」

キュゥべえ「そうだね、魔法少女が絶望して魔女になるのは知ってるね?」

北岡「それは知っている、それで?」

キュゥべえ「うん、あれは恐らく城戸真司が絶望して生まれた魔女だろう」

北岡「だけど城戸は魔法少女じゃない、このことに関しての見解は?」

キュゥべえ「仮説にすぎないけど彼が魔法少女なら魔女を生み出す程度に絶望して」

北岡「続けてくれ」

キュゥべえ「その際に彼が魔法を利用したアーティファクトを利用して、その影響で魔女に近いものが発生したんじゃないかな」

北岡「つまり結論は?」

キュゥべえ「やはりあの黒くて人型の魔女は、真司の魔女と言ってもほぼ過言ではないだろうね」

北岡「分かった、ありがとう下がっていい」

そういうとキュゥべえはどこかに行ってしまった。

蓮「成程、城戸の魔女なら使い魔で城戸の描いたミラーモンスターを使役しても不思議ではないな」

ほむら「ええ、魔女は元になった魔法少女の深層心理にあるものがいくらか反映されるから間違いないと思うわ」

真司「それにしても、魔法を利用したアーティファクトって…」

ほむら「恐らく私が作ったタイムベントのカードでしょうね」

ほむら「ごめんなさい、私のせいで厄介ごとを増やしてしまったわ…」

真司「気にすることないって、ほむらちゃんは新しく魔女を生み出すためにこのカードを作ったんじゃないんだろ?」

真司「だからほむらちゃんは全く悪くないよ」

蓮「そうだ、そもそもたかが魔女一体増えたくらいで何を戸惑う必要がある」

北岡「むしろ俺は手に入れられるグリーフシードが増えて喜ばしいくらいだよ」

ほむら「悪いわね三人とも…」

真司「よーし、それじゃあ団結したところで2次会を始めるか!」

蓮「今何時だと思っているんだ、帰るぞ」

ほむら「私達は中学生なのよ、遅くなったら補導されるわ」

北岡「杏子ちゃんならその辺の対応はうまそうだけど、城戸にそんな器用な真似なんて出来そうにないしねぇ」

真司「分かったよ、ノリの悪い奴らだな…」

~次の日の放課後~

さやか「昨日お見舞いに行けなかったから、今日は行っておくかな」

さやか「真司はマミさんと、秀一さんは杏子と一緒に魔女退治に行っちゃったからなぁ」

さやか「お見舞いに行けるのはあたしだけだけど、まぁいっか…その方が決心もしやすいし」

~見滝原病院~

さやかが病院まで行くと、正門にさやかのよく知った人物が寄りかかっていた。

さやか「あれ、蓮もお見舞いに来たの?」

蓮「いや、お前に言いたいことがあってな」

蓮「お前は上条と話したら、魔法少女になるつもりか?」

さやか「!…あんたも真司と同じように止めるの」

蓮「いや、俺はお前が魔法少女になるのを止めるつもりはない」

さやか「だったら何を」

蓮「ただ、お前は自分から望んで終わることのない魔女との戦いに飛び込むんだ」

蓮「後悔だけはするなと言っておきたくてな」

蓮「俺からはそれだけだ」

そういうと蓮はすれ違いざまにさやかの肩を叩いて病院から去って行った。

さやか「あたしは…」

さやかは少し悩むと病院に向かって歩いて行った。

~その夜~

真司(確か今日、仁美ちゃんが魔女に操られるんだよな…)

真司「そうだマミちゃん!」

マミ「何かしら」

真司「ちょっと、魔女が出てくるような目星がある場所があるんだけど」

マミ「そんな場所があるの?」

真司「あぁ、実はこの近くの町工場が最近倒産してな」

真司「だから、その工場長が魔女に操られると思うんだけどさ」

マミ「確かに可能性はあるわね…行ってみましょう」

~町工場への道~

マミ「ずいぶんと生気のない人が増えてきたわね…」

真司「やっぱり、この人達魔女に操られているんじゃ」

マミ「急ぎましょう」

真司「あの工場じゃないのか?」

マミ「多くの人があの工場の中に入っている、ビンゴね」

2人が町工場の中に入ると、非常に陰気な気配に包まれていた。

「何だってんだ、あの屑野郎が」ブツブツ

「どいつもこいつも僕を虐めやがって」ブツブツ

「入社初年から残業10時間とかふざけるなよ」ブツブツ

マミ「この様子じゃ早く魔女を倒さないとまずいわね…」

キィィィンキィィィン

真司「あっちの部屋から魔女の気配がするから行くぞ!」

マミ「ええ!!」

真司「この部屋のはずだ」

マミ「ソウルジェムが強く反応している間違いないわね」

真司とマミはデッキとソウルジェムを鏡に掲げた。

真司・マミ「「変身!」」

そして真司とマミは変身ポーズを取り、真司はデッキをVバックルに差し込み、マミはソウルジェムを頭に取り付けて変身した。

真司「あれ、マミちゃん今のって」

マミ「ふふっ、ちょっとやってみたかったの」

真司「まぁいいや、っしゃあ!」

~エリーの魔女結界~

真司「自分が浮いてるみたいで上下感覚が分からなくなる結界だな…」

マミ「下手に動かない方がいいかもね」

そういうとマミはマスケット銃を召喚して、近寄ってくる人形のような使い魔を打ち抜いていく。

真司「確かに、その方がいいな」

『STRIKE VENT』

龍騎はドラグクローを装備すると、使い魔に向かって火球を打ち出して撃破していく。

マミ「魔女はどこ?」

真司「あ、あいつだ!」

龍騎が指差した先にはテレビのような形の魔女のエリーがいた。
龍騎とマミはエリーに遠距離攻撃を仕掛けるが、すべての攻撃が回避される。

真司「あいつこっちの動きを読むのかよ!」

マミ「接近戦に持ち込むわよ!」

龍騎とマミは階段を駆け上がる感覚でエリーに駆け寄っていく。
接近戦を仕掛けようと気づいたエリーは2人から遠ざかろうとする。

真司「逃がすかよ!」

『ADVENT』

ドラグレッダーは召喚されると、エリーに攻撃を仕掛ける。
それもエリーは回避していくが、その隙にマミがリボンを使って拘束した。

マミ「今よ!」

真司「マミちゃんナイス!」

『FINAL VENT』

龍騎はドラゴンライダーキックをエリーに放った。
エリーはもがくが、拘束を振りほどけずに攻撃が直撃しグリーフシードを残し消滅した。
結界も消滅したため2人は変身を解いた。

真司「いよっし!」

マミ「これであの人たちも大丈夫ね、警察と救急車を呼んでおくわ」

さやか「あれ、魔女の気配がしたけどもう倒しちゃった?」

真司「さやかちゃ…!その恰好」

マミ「魔法少女になったのね…」

さやか「ん、まぁね」

マミ「願いはやっぱりあの男の子絡み?」

さやか「そういうこと」

真司「でも本当に大丈夫かよ、戦いってのは辛いことばっかりだぞ」

さやか「大丈夫だって、あたしは真司やマミさんみたいに人を守るために魔法少女になって戦うんだし」

さやか「それに、もしもの時は蓮が相談に乗ってくれるみたいだしさ」

そう言うとさやかは一枚の紙を真司達に見せた。
そこには蓮の携帯番号とメールアドレスと住所が書かれていた。

さやか「病院で肩を叩かれた時に渡してくれたみたいでさ」

真司「本当に素直じゃない奴…」

マミ「でも同じ魔法少女として歓迎するわ、美樹さん」

マミ「だけどこの場は警察達に任せるから、離れるわよ」

さやか(これから、マミさん達を肩を並べて戦うんだから頑張らないとね私!)

~マミの家~

マミ「…ということがあったのよ」

杏子「ふぅ~ん、確かさやかって言ったっけ」

杏子「まぁ、あたしはあいつの好きにやらせればいいと思うけどね」

マミ「あなたのことだから突っ掛かってくると思ったけど…」

杏子「あたしをなんだと思っているんだよ」

杏子「確かに昔ならすぐ突っ掛かっただろうが、今は自由にやるようにしてるんでね」

杏子「だから、相手の事情に無理に介入するようなことはしないようにしたのさ」

マミ「聞いた限り自由にやるのなら、前とあんまり変わってないように見えるけど?」

杏子「そうだな、例を挙げると前は使い魔は勝手にのさばらせておいたけど」

杏子「今は使い魔が人間を襲っている場面をあたしが目撃した時限定で、使い魔も倒すように心がけているのさ」

マミ「確かに変わったわね…でももし、あなたが見ていないときに使い魔が人を襲っていた場合は?」

杏子「そういう時のためにマミ達がいるんだろ」

杏子「この町だけで魔法少女と仮面ライダーを合わせたら全部で7人もいるんだしさ」

杏子「それにわざわざしらみつぶしで使い魔と魔女を倒していったら、あたしの身が持たねぇしさ」

マミ「フフッ…そろそろお腹も空いたし夕食にしましょう、下ごしらえ手伝ってくれる?」

杏子「待ってました、もちろんさ!」 

~数日後~

さやかの魔法少女としての願いにより、腕が完治した恭介はこの日退院した。
医者たちは首をかしげていたが、実際に治っていたので必要以上に口出しはしなかった。

さやか「退院おめでとう恭介」

上条「ありがとう、まだ通院する必要はあるけどね」

さやか「…そうだ!せっかくだから一緒に散歩しようよ」

上条「散歩?」

さやか「うん、だってもう車椅子使わなくても大丈夫なんでしょ」

さやか「だからさ、五体満足になった記念にね」

上条「そうだね、事故にあうまで両手両足が自由に使えることがこんなに尊いものだと思わなかったよ」

さやか「でしょ?さ、さ、行こ行こ」

上条「ちょ、引っ張らないでよさやか」

~見滝原公園~

さやか「ふぅ、ちょっと疲れたから、そこのベンチで休もうか」

上条「そうだね」

さやか「それにしても、恭介の左腕が治って本当によかった…」

上条「うん、だけど不思議だね、医者は絶対に治らないって言っていたのに」

さやか「きっと奇跡が起こったんだよ」

上条「奇跡か…本当にそうかも…!…」

さやか「恭介?」

突然様子がおかしくなった上条を不審に思ったさやかは、上条の体を揺すった。

さやか「大丈夫、恭介?」

さやか「恭…」

さやか(これって魔女の口づけ!?)

さやか(ソウルジェムも反応しているし、間違いなさそうだね)

さやか「さぁ~て、魔法少女さやかちゃんの初舞台だ!」

さやかは変身し、結界の中に入っていった。

~とある魔女結界~

さやか「出たな使い魔め!このさやかちゃんが征伐してやる!」

さやかは大量の剣を召喚して、そのうち一本を持ち使い魔に切り掛かった。
おぼつかない動きではあるが、少しずつ使い魔の数が減っていく。

さやか「っと、こんなもんかな」

さやか「それにしても使い魔しか結界みたいだけど、だったら何で恭介に魔女の口づけが…ん?」

さやかが目を凝らすと、奥の方から人のような物が見えてきた。

さやか「あれは…真司?」

さやか「でもソウルジェムは、あいつに反応してる」

さやか「つまりあいつが恭介を襲おうとしてるってわけだよね」

さやか「てりゃぁぁっ!」

さやかはリュウガに向かって、高速で駆け出した。

リュウガ「…」

『SWORD VENT』

さやかがリュウガに切り掛かった瞬間、リュウガはドラグセイバーを使い受け止めた。
そのまま鍔競り合いが続くが、リュウガがさやかの剣を切り払った。
その勢いでさやかは大きく吹き飛ばされた。

さやか「くっ!強い、でもねぇ!」

さやかは魔法で受けた傷をすべて治癒し、再びリュウガに切りかかる。

さやか「恭介を見殺しになんて出来ないのよ!」

リュウガ「…」

『ADVENT』

すると突進するさやかの目の前にドラグブラッカーが現れた。
さやかはドラグブラッカーに攻撃しようとするが、咄嗟のことで反応出来ずに先に攻撃を受けてしまった。

さやか「ううっ…」

リュウガ「…」

『FINAL VENT』

リュウガは空中に浮きあがり、ドラグブラッカーがその周りを旋回する。
そしてドラグブラッカーの吐いた黒い炎に押し出される形で、リュウガがさやかに向けてドラゴンライダーキックを放った。

さやか(ここでやられるわけには…)

さやか(でも…もう体が動かない…)

さやか(頼むから…動いてよ…)

『ADVENT』

その瞬間、さやかは何かに掴まれて移動させられた。
そのおかげでさやかはドラゴンライダーキックを受けずに済んだ。

さやか「え?何が起きたの?」

蓮「まさか初戦であいつと戦うとは、お前も運が無いな」

さやか「蓮!?どうしてここに?」

蓮「話は後だ、まずはこいつをどうにかするぞ」

『SWORD VENT』

ナイトはウイングランサーを、さやかは剣を構えた。
そこにリュウガが切りかかってくが、ナイトは受け止め逆に切り払った。

さやか「こっちもだ!」

リュウガはその動きを見てドラグブラッカーをさやかにけしかける。

蓮「動きがワンパターンだな、ダークウィング!」

ダークウィングはドラグブラッカーを攻撃し、敵の目をそらした。
その隙にさやかがリュウガに攻撃を加えた。

さやか「これで!」

さやかは剣に魔力を貯め、一気に振り下ろした。

リュウガ「!」

この攻撃で予想以上のダメージを受けたリュウガは、尻尾を巻いて逃げていった。

さやか「待ちなさいよ!」

蓮「深追いするな、結界が消え始めている」

さやか「でも!」

蓮「奴を探すのは俺の役目だ、お前は上条の様子を見ておけ」

さやか「…そうだね、恭介も心配だし」

蓮「分かったら傍にいてやれ」

ナイトは変身を解くと、リュウガを探すために去っていった。

さやか「っと、あたしも変身解かないと」

結界が失くなり、変身を解いたさやかは恭介に駆け寄った。

さやか「恭介!」

上条「うん…さやか?」

上条「どうしたの?そんなに慌てて」

さやか「具合とか悪くない?」

上条「具合?大丈夫だけど」

さやか「ちょっと失礼」

上条「うわっ!?一体何を」

さやかは魔女の口づけがあった、上条のうなじを覗き見た。

さやか(魔女の口づけは無くなってる、ひとまず大丈夫かな?)

さやか「ごめん、もう大丈夫だよ」

上条「う、うん」

さやか「それじゃあ充分休めたから、散歩の続きをしますか!」

さやか「ささ、立って立って」

上条「そ、そんなに急かさないでよさやか」

~ほむらの家~

ほむら「なるほど、今のところは大丈夫というわけね」

蓮「ああ、だが今のあいつは有頂天になってるだけだ」

蓮「いつ精神が不安定になってもおかしくない」

蓮「暁美の言うとおり、尾行して正解だったな」

ほむら「それでこれからどうするつもり?」

蓮「しばらくは美樹についていくつもりだ」

蓮「ああいったタイプは追いつめられると何をしでかすか分からないからな」

ほむら「ずいぶん詳しいのね、確かに美樹さやかは暴走しやすいけど」

蓮「まあな…」

蓮は元の世界で、恋人である小川恵里を植物状態から回復させるために戦っていた。
だがある時恵里が危篤状態になったことがあった。
その時蓮は早くライダーバトルに決着をつけるために、手段を選ばず片っ端から仮面ライダーに戦いを挑んでいた。
さらに蓮本人が殺生を好まない性格だったのが一種のジレンマとなり、蓮を精神的に追い詰めていった。
最終的に何とか峠は越したものの、恵里自身は植物状態のままであった。

蓮(美樹が俺のように何らかのジレンマを抱かないといいんだがな…)

~次の日~

さやか「…と、いうわけだよ」

まどか「そっか、それなら上条君もそろそろ復学出来るかも」

さやか「じゃあ、今日も魔女退治頑張ってきちゃいますからね!」

まどか「あ、さやかちゃん…行っちゃった…」

まどか「さやかちゃん、本当に大丈夫なのかな…」

~見滝原のファーストフード店~

さやか「おっまたせ!今日は誰が来たかな?」

杏子「よう」

さやか「ああ、あんたか…」

杏子「何でそんなに嫌そうなんだよ…」

さやか「だってさ…」

蓮「そんなに嫌なら、今日は止めてもいいんだぞ」

さやか「あ、蓮…昨日はありがとね」

杏子「何かあったのか?」

さやか「昨日あたしが魔女に襲われて、ピンチになっていた所を助けてくれたんだよ」

杏子「ふぅ~ん、サバサバしてそうなこいつがねぇ」

蓮「偶然通り掛っただけだ」

さやか「そんなこと言っても、なんだかんだ助けてくれた蓮は正義の味方の鑑ですな」

蓮「それ以上そんなことを言ったら俺はもう帰るぞ」

さやか「わ、分かったから機嫌を直してよ、ね?」

杏子「…頭が痛くなってきた」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

~次の日~

さやか「…と、いうわけだよ」

まどか「そっか、それなら上条君もそろそろ復学出来るかも」

さやか「じゃあ、今日も魔女退治頑張ってきちゃいますからね!」

まどか「あ、さやかちゃん…行っちゃった…」

まどか「さやかちゃん、本当に大丈夫なのかな…」

~見滝原のファーストフード店~

さやか「おっまたせ!今日は誰が来たかな?」

杏子「よう」

さやか「ああ、あんたか…」

杏子「何でそんなに嫌そうなんだよ…」

さやか「だってさ…」

蓮「そんなに嫌なら、今日は止めてもいいんだぞ」

さやか「あ、蓮…昨日はありがとね」

杏子「何かあったのか?」

さやか「昨日あたしが魔女に襲われて、ピンチになっていた所を助けてくれたんだよ」

杏子「ふぅ~ん、サバサバしてそうなこいつがねぇ」

蓮「偶然通り掛っただけだ」

さやか「そんなこと言っても、なんだかんだ助けてくれた蓮は正義の味方の鑑ですな」

蓮「それ以上そんなことを言ったら俺はもう帰るぞ」

さやか「わ、分かったから機嫌を直してよ、ね?」

杏子「…頭が痛くなってきた」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

杏子「でさ、秀一の奴が人使い荒いんだわ」

杏子「あたしとマミは使用人かっての」

蓮「あいつも相変わらずのようだな」

さやか「じゃあ元の世界でもあんなのだったの!?」

蓮「ああ、あいつには秘書兼使用人がいた」

杏子「使用人ねぇ、あたし達貧乏人にとっては遠すぎる世界だよ」

さやか「何でそんな裕福そうな奴が仮面ライダーやってるのよ、願いなんてなさそうなのに」

蓮「あいつは元の世界では不治の病にかかっていて、あと1年も生きられない体だった」

蓮「それで永遠の命を望んだそうだ」

さやか「秀一さんにそんな過去が…」

杏子「そんなのあいつから聞いてねぇぞ」

蓮「北岡は自己顕示欲の固まりだ、他人には滅多に弱い部分を見せようとはしない」

杏子「でもあいつに初めて会ったとき、色々とあったことを話してくれたぞ」

蓮「あいつが心を許すとはな、喜べお前は気に入られてるぞ」

杏子「そうだとしてもあんな扱いされちゃ意味ねぇって…」

キィィィンキィィィン

蓮「おしゃべりはここまでだ、行くぞ」

蓮はデッキを鏡に掲げて、Vバックルを出現させる。

蓮「変身!」

さやか「蓮も変身したし、あたし達も行きますか!」

杏子「ったく、先走んなよ」

さやかと杏子も続けて変身し、3人で結界に入って行った。

~パトリシアの魔女結界~

その結界は通常の結界と違い、青空が360度を覆っているように見えた。
だが足場は洗濯物がかかっている紐のようなもののみであり、非常に不安定になっている。

さやか「綺麗…」

杏子「確かに普通の結界と比べたら精神衛生上マシだな」

蓮「油断して足を踏み外すなよ、底が全く見えないからな」

3人は足元を気をつけながら結界の先に進む。
そこに女性の下半身のみとしか形容出来ない使い魔と、眼鏡のようなものを装着した女性の人形のような使い魔が立ちふさがった。

杏子「早速お出ましか」

さやか「やってやろうじゃん」

蓮「あまり興奮するな、揚げ足を取られるぞ」

3人はそれぞれ武器を取り、使い魔と戦い始めた。
使い魔と戦いながら前に進んでいくと魔女パトリシアの姿が見えてきた。
パトリシアは頭の無い女性といった風貌だが、何本もの手足が生えている異形の魔女だった。

さやか「うわぁ…」

杏子「なまじ人間に似てる分、気色悪いな」

蓮「そんなに見たくなければさっさと倒すぞ」

『SWORD VENT』

杏子「それもそうだな!」

さやか「確かに怯んでいられないわね」

3人が接近してきたのを確認したパトリシアは椅子や机のようなものを投げてきた。
それを3人は各々の得物を使い切り払っていく。
だがパトリシアは投擲をしながら、後ろに逃げていった。

さやか「逃げてないでさっさとやられなさいよ!」

さやかが突進するとそこに目掛けて、女性の人形型の使い魔が眼鏡をブーメラン状に投げてきた。

杏子「さやか危ねぇ!」

杏子はさやかの前に仁王立ちをする。
すると使い魔の眼鏡ブーメランはさやかに当たらなかった。
しかし杏子のソウルジェムのあたりに命中し、装飾ごと肉体から切り離され落下した。

杏子「っ痛~、さやか大丈b」

その瞬間杏子のソウルジェムが100m以上落下したのか、杏子の体がさやかにもたれかかった。

さやか「杏子!?」

蓮「まずいな…美樹、佐倉を守っておけ」

さやか「え、ええ!?」

『ADVENT』

ナイトはダークウィングを召喚すると、背中に合体させる。
その状態でナイトは落下したソウルジェムを追うために飛び降りた。
暫く下に向かって飛んでいると杏子のソウルジェムが見えてきた。

蓮「あれか!」

ナイトはソウルジェムを傷つけないようにキャッチすると、杏子達の所に向かって飛んでいった。

さやか「蓮!」

蓮「こいつを佐倉に渡せ」

さやかは蓮から杏子のソウルジェムを受け取ると、杏子に渡した。
すると、杏子は何事も無かったかのように意識を取り戻した。

杏子「…っと、あれ?何が起きたんだ」

さやか「ソウルジェムが飛んで行って、何故だか気を失ってたのよ」

杏子「ソウルジェムが飛んで行って?どういうことさ」

さやか「あたしだって分かんないわよ」

杏子「まぁ、後でキュゥべえにでも聞けばいいか」

杏子「おいさやか、蓮、この魔女はあたしが倒さして貰うぜ」

杏子「あたしを気絶させた貸しは返してもらわないとな!」

蓮「分かった、任せる」

杏子「ありがとよ!」

杏子は足場と言う足場からパトリシアに向けて大量の槍を生やした。
パトリシアはまた逃げようとするが、その逃げ道も杏子が槍で塞いだ。
逃げ道が無くなったパトリシアは杏子が出した大量の槍で串刺しにされた。

さやか「うわ~えっぐい…」

杏子「ま、あたしを怒らせた報いだな」

パトリシアはグリーフシードを残し消滅し、結界も消滅した。
それに合わせて3人は変身を解いた。

杏子「よし、グリーフシードゲット」

さやか「あたしもそれ使うわよ」

杏子「そうがっつくなって、今あたしが浄化してるから終わったら渡すよ…ほれ」

さやか「サンキュ、あたしが終わったら蓮だっけ…はい」

蓮「ああ、ダークウィング!」

蓮はダークウィングを召喚すると、グリーフシードを食べさせた。

Oh…

杏子「さて皆グリーフシード使い終わったから、キュゥべえに話聞くか」

杏子「おい、キュゥべえ出てこい!」

キュゥべえ「何だい杏子?」

杏子「今回の魔女退治であたしがソウルジェムを無くした時に、あたしが気絶したんだけど一体どういうことだい?」

キュゥべえ「多分ソウルジェムが肉体から100M離れたからじゃないかな?」

杏子「…どういうことだ」

キュゥべえはソウルジェムの仕組みをすべて話した。
杏子「てめぇ、それじゃあ今のあたしの体は操り人形ってことか!」

キュゥべえ「そうだね、でも普通の操り人形とは違ってきちんと生命活動は行われてるよ」

杏子「そうゆう問題じゃないっての!」

蓮「キュゥべえ一つ聞きたい、何故今まで説明しなかった」

キュゥべえ「理由は二つある、一つは君達に聞かれなかったから」

キュゥべえ「もう一つは説明しない方が契約出来る確率が上がるからね」

杏子「ったりめぇだ、こんなん聞かされて契約する奴はいねぇ!」

キュゥべえ「そうでもないよ、僕がソウルジェムのことをすべて話しても14.3%の確率で契約してくれるよ」

杏子「そうかい、とっとと失せろ!」

そう言われたキュゥべえはどこかに行ってしまった。

杏子「チッ!胸糞悪ぃ」

さやか「あたし、先に帰るね…」

杏子「お、おいさやか」

蓮「止めておけ、今の状態で引き止めても何も意味はない」

蓮「あいつには整理する時間が必要だ」

杏子「そうかい!」

杏子も機嫌を悪くしてマミの家に帰って行った。

蓮「暁美達に話しておくか…」

~ほむらの家~

ほむら「このパターンはまずいわね…」

真司「て、言うかその場にいたなら止めろよ蓮!」

蓮「もし俺が止めてもいずれあいつらの耳には入る情報だ、だったら早めに聞かせるに越したことはない」

真司「でも、さやかちゃんはこのせいで…」

蓮「明日の朝一番で美樹に会いに行く、あいつには少し情報を整理する時間が必要だ」

真司「…分かったよ」ピリリリ

真司「何だ…はいもしもし」

まどか《真司君?》

真司「まどかちゃん?どうしたの?」

まどか《あのね、さやかちゃんがどこに行ったか分からないかな?》

真司「さやかちゃん?いや、分からないけどどうかしたの?」

まどか《さやかちゃんがね、まだ家に戻っていないみたいなの》

真司「えぇ!?大変じゃないか」

まどか《うん、私もさやかちゃんの両親も知らないから真司君に聞いてみたんだけど…》

真司「分かった、こっちも調べて何か分かったら連絡するから」

まどか《ありがとう、真司君》

真司「気にすんなって、それじゃまた」ピッ

ほむら「美樹さやかに何かあったようね」

真司「ああ、さやかちゃんが家に帰ってないって…」

蓮「…城戸お前は先に帰って寝てろ」

真司「何でだよ、俺はさやかちゃんを探しに行かなきゃいけないんだよ」

蓮「言ったはずだ、美樹は俺がなんとかするとな」

真司「分かったよ…でもさやかちゃんに何かあったらただじゃおかないからな」

ほむら「私からも頼んだわよ」

蓮「心配するな、任せておけ」

~マミの家~

マミ「ソウルジェムにそんな秘密が…」

杏子「ああ、キュゥべえの奴もとんでもないことしやがる」

マミ「ごめんなさい、少し横になって休んでいいかしら…」

杏子「その方がいい、こんなん聞いて動揺しない奴はいねぇよ」

マミ「北岡君もごめんなさい、せっかくきてくれたのに」

北岡「気にしなくてもいいよ、だけどさ一つだけ言っていい?」

マミ「何?」

北岡「俺はさ肉体や魂がどうこうって言うより、生きていること自体が大切だと思うよ」

マミ「生きていること…」

北岡「そ、マミちゃんだって生きたいからこそ魔法少女になったんでしょ?」

北岡「俺も生きたいからこそ仮面ライダーになっただしね」

杏子「そういやあんた元の世界じゃ不治の病だって…」

マミ「そうなの北岡君?」

北岡「おいおい、誰から聞いたんだよ…」

北岡「ま、俺はさ病気を治して永遠の命を得るためだったら魂くらいは差し出せるよ」

北岡「少なくとも12人の仮面ライダーを皆殺しにするよりは精神衛生上まだマシだしね」

マミ「皆殺しって…どういうこと!?」

北岡「ここは城戸達からも聞いてなかったみたいだな」

北岡「俺達仮面ライダーは殺し合いをして最後に生き残った一人だけが願いを叶えられるのさ」

マミ「…」

北岡「だからさ、マミちゃんや杏子ちゃんは俺達みたいに殺し合いをしない分まだましだと思うよ」

北岡「マミちゃんや杏子ちゃんや他の魔法少女達は今この時を生きている、それでいいじゃないの」

マミ「そうね…ごめんなさい、私の考えすぎだったみたいね」

杏子「あたしもなんだか安心しちまった、ありがとよ」

北岡「ま、俺は天才弁護士だからね」

マミ「もう、それ関係あるの」クスクス

杏子「と言うかそれ単に口がうまいだけだろ」

杏子(マミはもう大丈夫そうだな、あとはさやかの方だな…)

~郊外の廃倉庫~

さやか「…」

蓮「探したぞ、こんな所にいたのか」

さやか「蓮…」

蓮「いいのか、家に戻らないで」

さやか「いいよ、あたしはもう人間じゃないんだから」

蓮「話の脈略が繋がってないな、何故そこまでこだわる」

さやか「だって、こんな体じゃもう恭介に…」

蓮「バイオリンを聞きたいだけなら人間だろうがなかろうが関係ないんじゃないのか?」

さやか「でも…そうだけど…」

蓮「その言いぐさはまるで魔法少女になった理由が別にあると言いたいみたいだな」

さやか「それは…」

蓮「お前本当の願いは上条の全てを手に入れることなんじゃないのか?」

さやか「何を根拠に!」

蓮「その動揺が答えになっているんじゃないのか?」

さやか「だとしても…あんたに何が分かるのよ!」

蓮「俺の仮面ライダーとしての願いは、植物状態になった恵里を助けることだ」

さやか「恵里…?」

蓮「俺にとって1番大切な人だ」

さやか「あんたもそうだってのなら、何であたしの気持ちが分からないのよ!」

蓮「俺はかつて俺はかつて神埼士郎が与えたほんのわずかの可能性を信じ仮面ライダーとして戦っていた」

蓮「そしてそれによって恵理を救うことができる代わりに恵理に嫌われても構わないと考えていた」

蓮「そのくせお前は何だ、上条を助けた上にあいつを自分の物にしようと考えているのか、贅沢にも程があるな」

そう言われた瞬間、さやかは蓮の顔面をぶん殴った。

蓮「…それでお前の気が晴れるなら構わん」

蓮「だが来るなら本気で来い、相手になってやる」

蓮はそう言いながら、カードデッキをさやかに見せた。

さやか「上等よ…」

蓮はそばにあった鏡にデッキをかざし、さやかはソウルジェムを取り出す。

蓮・さやか「「変身!」」

そして蓮はナイトに、さやかは魔法少女に変身した。


さやかは剣を召喚し、手に取り、ナイトはダークバイザーを構える。

さやか「てりゃぁぁ!!」

蓮「ふんっ!」キィン

さやか「チッ!」

さやかは後ずさるともう一本剣を召喚し、もう一度ナイトに切り掛かる。

『SWORD VENT』

だがナイトは召喚したウィングランサーで二本とも受け止める。

さやか「っりゃあぁ!!」

今度は背後に大量の剣を召喚し、ナイトに向けて射出した。

蓮「くっ!」

『GUARD VENT』

ナイトはウィングウォールを装着しやり過ごした。
だがさやかは流れ弾にいくらか当たり怪我をしてしまった。

さやか「この程度の怪我なんて魔法で!」

蓮「よそ見をしている暇はあるのか!」

その瞬間さやかはウィングランサーで左肩を貫かれた。
だがさやかはまるで何も無かったかのように、両手に持った剣でナイトを×字状に切りつけた。

さやか「一本取ったつもりなんでしょうけど、今のあたしは痛覚をシャットアウトするくらい朝飯前なのよ」

そう言いながらさやかは、痛がる素振りを全く見せずにウイングランサーを引き抜く。
傷口もほぼ一瞬で治癒されていき、ほぼ元通りになった。

蓮「…成程、じゃあこれならどうだ」

『TRICK VENT』

さやか「数が増えた!?」

蓮「隙ありだ!」

ナイトは怯んだ隙を狙ってダークバイザーを使い、さやかを多方向から切りつけた。
だがまたもさやかによって一瞬で回復される。

さやか「…あんた、手加減してるでしょ」

蓮「…」

さやか「さっきから攻撃をずっとあたしの急所から外している事くらい分かっているのよ」

蓮「それがどうした?」

さやか「口先じゃ色々キザなこと言っているくせに、本当は真司と同じただの甘ちゃんじゃないのってこと」

さやか「そんな中途半端に同情されると余計ムカつくのよ!」

さやか「あたしと戦いたいなら本気で殺す気で来なさいよ!」

蓮「…確かに俺はライダーバトルのさなか人の命を奪うことに迷いを感じていた」

蓮「そしてこの世界に来た今でも積極的に人と戦いたいとは思っていない」

さやか「だったら!」

蓮「だが、だからと言って俺は城戸ほど甘くもない」

ナイトがデッキから一枚のカードを引き抜いたその瞬間、周囲にいきなり強い風が吹き始める。
そして構えたダークバイザーが姿を変え、そこの専用スロットにカードを装填する。

『SURVIVE』

姿を変えたナイトサバイブはダークバイザーツバイからダークブレードを引き抜いた。

さやか「それがあんたの本気ってわけ」

蓮「ああ」

さやか「へぇ、面白くなってきたじゃん!」

さやかは魔法を使い、俊足でナイトサバイブに多方向から切りかかる。

蓮「やるな!」

さやか「防ぎながらよく言うわよ!」

ナイトサバイブは器用に攻撃をさばきながら、新しいカードをベントインした。

『BLAST VENT』

すると、どこからともなくダークレイダーが現れ、両翼にあるホイールから突風を発生させた。

さやか「うっ!くうっ!」

さやかは何とか強風に耐えていたが、その場から動くことは出来なかった。

蓮「はあっ!」ザシュ

さやか「ああっ!」

ナイトサバイブの攻撃で体勢を崩したさやかは突風で倉庫の壁に叩き付けられる。

さやか「けほっ、ずいぶんとセコいマネするのね」

蓮「煽ったのは貴様の方だ」

さやか「あっそう!」

さやかは再び大量の剣を召喚して射出した。

『SHOOT VENT』

カードがベントインされるとダークバイザーツバイの一部が弓のように変形した。
そこから光の矢が絶え間無く発射されさやかの剣を撃ち落としていく。

さやか「まだ終わりじゃない!」

さやかは一直線に走りだし、ナイトサバイブとすれ違う一閃に急所目掛け幾つもの斬撃を与えた。

蓮「ぐっ!」ガクッ

さやか「ハァハァ、漸く膝をついたわね」

蓮「満足したか?」

さやか「まさか…!」

蓮「だろうな…!」

『FINAL VENT』

蓮「来い!」

ダークレイダー「キィィ!」

ダークレイダーは地面スレスレまで急降下すると、ナイトサバイブが背に飛び乗った。
そのままダークレイダーがバイクモードに変形した。

蓮「これでお前が立ち続けられたらお前の勝ちだ」

さやか「最後の悪あがきってわけ?」

蓮「いや、奥の手だ!」

さやか「上等!」

さやかは迫り来る蓮の前に剣を構え立ち塞がった。
それに対しナイトサバイブは自身のマントをバイクモードのダークレイダーに巻き付ける。
すると今度はまるで形状がジェット機の先端に似た形に変形し突撃していく。
しかしさやかは怖じけづくことなく、鋭い眼光で蓮を睨みつける。

さやか「てりゃぁぁぁぁっ!!!」

疾風断が決まるその瞬間にさやかも全魔力を注いだ一太刀を蓮とダークレイダーに浴びせた。





そして…





蓮「…今度こそ気は済んだか?」

さやか「…おかげさまでね、ようやくすっきりした気がするわ」

蓮「そうか…」

さやか「それにしてもまっさか相打ちになるとはね」

蓮「もう午前0時だ、お互い1時間は気絶していたらしいな」

さやか「やばっ!もう家に戻らないと」

蓮「だから最初に帰れと言ったんだ」

さやか「ここまで付き合ったのは蓮の方でしょ」

蓮「俺に責任転嫁するつもりか?」

蓮「そもそもお前がウジウジ悩まなければここまで規模が大きくならなかったはずだ」

さやか「う、そりゃあその…」

蓮「まぁいい立て、帰るぞ」

さやか「あ、ちょっとまってよ」

蓮「何だ、まさか腰が抜けて立てないのか?」

さやか「そうじゃなくて、補導されないように気をつけないと」

蓮「佐倉のように魔法でどうにかすればいいだろ、行くぞさやか」

さやか「え?今さやかって…」

蓮「早く来い、置いていくぞ」

さやか「だからちょっと待ってよ」

闇夜の中蓮についていくさやかはもうすでに戦った時の殺気はなくなっていた。

~次の日~

真司「それでは、これよりさやかちゃんが立ち直った記念パーティを始めます!イエーイ!」パチパチ

蓮「…」パチパチ

北岡「…」パチパチ

ほむら「…」パチパチ

真司「何だよ、もうちょっと喜べよ」

北岡「それが帰り道で無理矢理拉致してきた人間の台詞か?」

ほむら「そもそも何で私の部屋を使うのよ」

真司「いやだって俺達の部屋汚いしさ」

真司「それにほむらちゃんだってさやかちゃんのことはどうにかしたいって思っていたでしょ」ピンポーン

真司「おっと、頼んだメシが届いたみたいだなっと」タッタッタッ

北岡「そもそも秋山、お前あの馬鹿にさやかちゃんのこと伝えたらこうなると思わなかったの?」

蓮「だったらお前は3時間近く根掘り葉掘り質問責めにされて黙秘し続けられるのか?」

ほむら「なるほど…今日の授業中ずっとあなたと城戸真司が居眠りをしていたのはそのせいだったのね」

真司「おっまたせしました!そんじゃあ食おうぜ」

真司「それにしても蓮、本っ当によくやってくれた」

蓮「自分の役目を全うしただけだ」

真司「またまたぁ~さやかちゃんのことを放っておけなかったくせに」モグモグ

蓮「勝手にそう思ってろ」モグモグ

ほむら「でも美樹さやかのことを解決してくれたことは感謝するわ」モグモグ

真司「そうだぞ、お前はえらいっ!」パチパチパチ

北岡「それはそうとしてこれからどうするの?」モグモグ

北岡「今回うまくやったとしても、また振り返すかもしれないでしょ」

真司「何だよいきなり水さして」モグモグ

ほむら「確かに感情の起伏が激しい彼女にはこの程度じゃ不十分かもしれないわね」

真司「じゃあどうしろって言うんだよ」モグモグ

北岡「上条をどうにかするしかないんじゃない?」

蓮「確かにな」モグモグ

ほむら「悪いけど私は美樹さやかのことだけで精一杯だったから、上条恭介のフォローの仕方までは考えてないわよ」モグモグ

真司「じゃあ明日恭介に会って色々話してみるか」モグモグ

蓮「よせ、お前の場合余計なことを言って話をややこしくしそうだ」

ほむら「否定しきれないわね」モグモグ

真司「何だよ寄ってたかって」

北岡「お前の日頃の行いのせいでしょ」モグモグ

蓮「手塚がこの世界に来ていたら説得しやすかっただろうが…」

北岡「確か死んだ友人が故障したピアニストなんだっけか」

ほむら「成程…彼なら上条恭介と話が出来そうね」

真司「ん?待てよ…」ティン!

真司「そうだよ…手塚だよ!」ガタッ

北岡「いきなりどうしたの?」

真司「よーしこうしちゃいられないな、早速準備しないと」タッタッタッ

北岡「ちょ城戸…行っちゃったよ…」

蓮「放っておけ、あの状態のあいつを引き止めるのは不可能だ」

ほむら「もし城戸真司が失敗したらどうするつもり?」

蓮「その時は俺達がフォローするしかないだろ」

北岡「尻拭いってこと?勘弁してくれよ全く…」

~数日後の放課後~

上条「さて、今日も帰って練習しないと」

上条「大変だけど折角腕が治ったこのチャンスを活用しな…きゃ…?」

その瞬間あるものを見た上条の目は点になった。
彼の目に入ってきたのは道端に建っているでっかく『占』と書かれている安っぽい紫色のテントであった。
テントは解放されていたので彼は中を見ることが出来たのだがそれがまたカオスとしか言いようがなかった。

真司「そこの別嬪のお兄さん、ちょっと占っていかないかね?」カランカラン

テントの中にいた占い師の風貌が異様すぎたのである。
顔には髭と鼻がセットでついているパーティ用の伊達眼鏡をかけている。
頭にはマ●ックインキで下手くそにたくさんの色で塗りつぶされているコック帽を被っている。
そのコック帽のてっぺんには赤ちゃん用のメリーゴーランドがガムテープで固定されていた。
そのせいで占い師が一挙一動するたびにカラカラ音がして非常に鬱陶しい。
着ているものは外国人向けの極彩色に塗られている浴衣である。
それに分けのわからないシールをべたべた貼っているもんだから見苦しさは倍増である。
腕には様々な宗派の数珠が肘までびっしりはめられており、両手のすべての指にもパチ物の指輪がはめてある。

真司「大丈夫、No problem時間の無駄はさせない」カランカラン

上条「…」

上条はこの(検閲削除)を無視してやり過ごすことにした。

真司「ちょちょっと、お主はそこの曲がり角で赤い竜を見ることになる!」カラカラカラ

上条はその言葉も適当に聞き流して家に戻ろうとした。
すると占い師に言われた曲がり角に差し掛かった時にカーブミラーが突然光だして、何かが飛び出してきた。

ドラグレッダー「グオォォォォ!!」

上条「う、うわ!?赤い竜!?」

驚いた上条はさっきの占い師のいたテントに逃げるように駆け込んだ。

上条「はぁはぁ…」

真司「うむ、吾輩の言った通りであろう」カランカラン

上条「まさか本当に赤い竜が出てくるなんて…」

真司「はっはっはっ、現実は想像を凌駕するでおじゃる」カランカラン

真司「それでは早速お主を占うで候」カランカラン

上条「よ、よろしく…」

真司「チェアー!ポキョラッポイ!ウボボッボオオクァーー!!テイテテイレイイエイレオイガガレイレレイネイオウ!ピョジョオウヨアエウカアアポアアアアーーー!!!!!」グリュンゴリョングルン

上条(やっぱり一直線に逃げればよかったかな…)

真司「ぬおぉぉぉぉーー!!地球の本棚から何かが見えてきたぞぉ!!」ガラガラ

上条「は、はぁ…」

真司「ずばり!汝は最近医者に治せない難病が治っておるな」カランコロン

真司「そしてバイオリンの練習が再開できるようになっているであるな!?」カランカラン

上条「!」

真司「なんと図星であったか!」カランカラン

上条「何で…分かったんですか…」

真司「うむ我は占い師である、そして妾の占いは当たるのじゃ」カランカラン

ただのホットリーディングである。

上条「他に何か分かりますか…」

真司「良かろう、さらに占ってしんぜよう!」カランカラン

真司「カメブイスー!エックアマスト!スカスパブラアリュェーー!クウアギリュファイブレヒビカブデンキーー!ディダオーフォーウィガイムゥゥゥゥーーー!!!!!」ゴリュボリュボン

上条(やっぱり前言撤回したい…)

真司「フォォォォォォーーーーーー!!!!!ダークネビュラを通ってプレゼンターから何かキタ━━━(´∀`)´・ω・`);゚Д゚)・∀・) ̄ー ̄)´_ゝ`)゚皿゚)∵)TΔT)ΦдΦ)#-_-)~ハ~)゚з゚)ё)≧。≦)°.Å)゙・Ω・)^σ^)=゚ω゚)ノ━━━!!」ガラガラガラガラ

上条「はぁ、そうですか…」

真司「そなたの身に起こった奇跡は何者かによって成されたものであるぞ」カランカラン

上条「え?奇跡って…」

真司「ずばり、難病が治ったことでしょう!」カランカラン

上条「確かに医者はあり得ないって言っていたけど…」

真司「むむむ!その治した人間の姿が見えるぞよ!どうやらおなごのようじゃな」カランカラン

上条「女性?」

真司「しかもこれはYOUと同年代でしかも親しいと推察されるのだ」カランカラン

上条「さやか…?」

真司「Yes!off course!名は美樹、字はさやかと出ておるぞ!」カランカラン

上条「でもどうしてさやかが…」

真司「ふむ、そちはこのような話を知っているかね?」カランカラン

上条「?」

真司「『あらゆる困難が科学で解決するこの平成の時代』」カランカラン

真司「『人々の閉ざされた心の闇に蔓延る魑魅魍魎が存在していた』」カランカラン

真司「『科学の力ではどうしようも出来ないその奇怪な輩にたちむかう、神妙不可侵にて胡散臭い男が一人…』」カランカラン

真司「『その名は矢部●麿、そう人は彼を陰陽師と呼ぶ!』」カランカラン

上条「ま、まさか…」

真司「そう美樹さやかはこの世の悪と戦う陰陽師だったんだよ!!」カランカラン

上条「 (; ・`д・´) ナ、ナンダッテー !! (`・д´・ (`・д´・ ;)」

真司「…か、どうかは分からぬが不可思議な力を使いそなたを助けたのだろう」カランカラン

上条「…ちょっと用事が出来ました、失礼します」タッタッタッ

真司「うむうむ良きに計らえ」カランカラン

真司「…よし、これで後はあいつら次第だな、さて俺もそろそろ撤収」トントン

真司「何だよ一体」カランカラン

警察官「君占い屋さんをやっているようだけど、歩道の占有許可はとったのかな?」

真司「…あ」カラ



::::: \ 城戸真司の両腕に冷たい鉄の輪がはめられた
\::::: \
\::::: _ヽ __ _ 外界との連絡を断ち切る契約の印だ。
ヽ/, /_ ヽ/、 ヽ_
// /< __) l -,|__) > 「刑事さん…、俺、どうして…
|| | < __)_ゝJ_)_> こんなこと…しちゃったのかな?」
\ ||.| < ___)_(_)_ >
\| | <____ノ_(_)_ ) とめどなく大粒の涙がこぼれ落ち
ヾヽニニ/ー--'/ 震える彼の掌を濡らした。
|_|_t_|_♀__|
9 ∂ 「その答えを見つけるのは、お前自身だ」
6 ∂
(9_∂ 真司は声をあげて泣いた。

~見滝原公園~

上条はさやかを探すために街を歩きまわっていた。
正直言ってあのうさん臭い占い師を100%信じる予定はなかったのだが、かつて彼にかけられた言葉が彼を突き動かしていた。

北岡『俺から言えるのは、後悔しないように人生を精一杯楽しく生きてくれってこと』

上条(正直まだ信じきれないけどやらない後悔よりもやる後悔って言うし…)

さやか「あれ?恭介じゃん、どうしたのこんな所で」

上条「うわ!さ、さやか!?」

さやか「な、何よいきなり」

上条「い、いや何でもないよ」

さやか「?」

上条「そうだ、ちょっと話しがしたいから喫茶店にでも寄らない?」

さやか「え?今日は練習があるんじゃ」

上条「帰ったらやるつもりだよ、すぐに聞きたいことがあってね」

さやか「分かった、じゃあ行こう」

~近くの喫茶店~

さやか「それで話って何?」

上条「えっと…さやかってさ、ひょっとして陰陽師なの!?」

さやか「ブフーーーー!!!」

さやか「いきなり何言ってるのよ恭介」ゴホゴホ

上条「いや実は…」カクカクシカジカ

さやか「…なるほどね、占い師かぁ」

上条「うん、やっぱりインチキだったのかな…」

さやか「ううん…当たらずとも遠からずだよ」

上条「え?どういうこと」

さやか「信じられないかも知れないけどさ、落ち着いて聞いて…」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

上条「さ、さやかが魔hもがっ!」

さやか「しーっ!大きな声出さないでよ」

上条「ご、ごめん…」

上条「でもヒーローが好きなさやかが本当にヒーローみたいになってるなんて…」

さやか「あたしも正直こうなったのはまだ信じられないけどね…」

上条「でも実際僕の腕は治っているわけだし、僕は信じるよ」

さやか「ありがと…」

上条「お礼を言うのは僕の方だよ、わざわざ僕の腕を治すなんて」

さやか「そりゃあ、恭介のバイオリンが二度と聞けないままなんて勿体ないことしたくなかったからさ」

上条「はは…それじゃあ期待を裏切らないように頑張ってまた練習しないとね」

さやか「ふふっ、そうだね」

その後も2人の笑い声はしばらく止むことは無かった。

~次の日~

真司「いや~身元引き受けに来てくれて本当にありがとう心の友よ!」

蓮「何が心の友だ、お前が奇妙奇天烈な格好をしていた状態で逮捕されたせいで俺まで白い目で見られたぞ」

ほむら「全くだわ…」

北岡「そもそもお前、元の世界の時数か月前に警察に捕まっていなかったっけ?」

蓮「確かにそんなこともあったな」

真司「あれは冤罪だからノーカンだろ」

ほむら「本当に元の世界でどういう生活をしていたのよ…」

真司「そうだ!そんなことよりさやかちゃん達がどうなったのか見てこないと」

ほむら「ここに来る前に少しだけ様子を見てきたわ」

真司「本当か、それでどうだったんだ?」

ほむら「2人とも関係は良好、もう心配はないんじゃない?」

真司「っしゃあ!良かった~」

蓮「それにしても、ずいぶんと滑稽な茶番をしたみたいだな」

真司「まぁ占いってことにしておけば、聞き入れやすいと思ってな」

北岡「それだったらあんな格好する必要もなかっただろ」

真司「あれは身内バレするのを防ぐためだよ、わざわざ口調まで変えたんだからな」

蓮「それはご苦労なことだ」ピリリリ

蓮「…何の用だ?」

さやか《そうゆう言い方はないでしょ》

蓮「お前も落ち着いて、しばらく俺に相談する必要性も無くなったと思うがな」

さやか《いや今回は相談とかじゃなくてお誘いだよ》

蓮「お誘い?」

さやか《そ、恭介の紹介も兼ねて、マミさんの家でお茶会しようと思っているの》

蓮「巴に許可はとったのか?」

さやか《当然じゃん、まどか達にはもう連絡してあるから、蓮は真司達に連絡頼むわよ》

蓮「一応用件だけは伝えておいてやる」ピッ

真司「何だって?」

蓮「さやかが巴の家でパーティをするらしい、お前達も来いと言っていた」

真司「いいじゃん!行こうぜ」

蓮「お前ならそういう反応をすると思ったよ」

真司「ほむらちゃんと北岡さんも来るよな?」

ほむら「一応参加しておくわ」

北岡「俺は家が隣だから帰るついでに寄っていくよ」

真司「そんじゃあ決まりだな!」

~マミの家~

さやか「今日は恭介のために集まってくれてありがとー!」

上条「ど、どうも」

マミ「歓迎するわ、上条君」

さやか「マミさんも家を貸してくれてありがとうね」

マミ「ふふ、こういう集まりだったらいつでも大歓迎よ」

杏子「単に寂しいだけだろ」モグモグ

さやか「もう、そういうこと言わないの」

マミ「いいわよ、私は気にしてないから」

真司「そうそう、俺は毎日やっても大歓迎だ」

蓮「何故お前はいつもこういったことに積極的なんだ」

真司「だって皆で集まると楽しいじゃんか」

北岡「本っ当子供だなお前は」

真司「北岡さんだって今は子供だろ」

北岡「お前の場合は大人になっても頭の中身が子供のままだろ」

ほむら「よしなさい、いい加減見苦しいわ」

まどか「えと…みんな仲良くしようね…」

ほむら「まどかもああ言っているから、皆パーティを始めましょう」キリッ

マミ「それじゃあ、皆コップ持って」

さやか「恭介が完治して、色々とあったことを記念して」

全員「「「「「「「「「乾杯!」」」」」」」」」

上条「えっとまず、お礼を言わせてください北岡さん」

真司「え、北岡さん?」

上条「 はい、僕が入院している時に『後悔だけはするな』って言ってくれたんです」

上条「その言葉のおかげで、僕はさやかに向き合えたんだと思います」

真司「何だよなんだかんだ言いながら、やっぱり気に掛けてるじゃん」

北岡「そういうことを言うと思ったからお前にだけは言いたくなかったの、まったく…」

マミ「鹿目さんもごめんね、わざわざ買い出しに行ってもらって」

まどか「ううん気にしなくていいよ」

まどか「私は戦うことが出来ないから、こういった所で頑張らないと」

ほむら「いいえ、まどかはそれでいいのよ、戦いは私達に任せて」

真司「そうそう、大船に乗ったつもりでいろよ」

杏子「泥舟の間違いじゃなきゃいいけどな」モグモグ

真司「あっ、水さすなよ」

蓮「佐倉、お前は一つ勘違いをしてる」

蓮「城戸は泥舟というより、転覆しやすい大船だ」

真司「どっちも変わらないだろ」

まどか「ありがとう、私戦い以外のことなら何だって頑張るから!」

ほむら「なんて健気なの…それでこそまどかよ!」

真司「ほむらちゃんって本当まどかちゃんのことになると人が変わるよな…」モグモグ

さやか「うん、あたしもびっくりだ…」モグモグ

蓮「気持ちは分からなくはないがな」

マミ「でも暁美さんにもあんな明るい一面があるなんて何だか嬉しいわ」

杏子「と言ってもあんなに変わっちゃ人によっては引くだろ」モグモグ

北岡「人間ってのは二面性あるのが普通だよ、むしろあのくらいなら愛嬌があるって」

杏子「さすが弁護士様は言うことが違うねぇ」モグモグ

上条(全く話についていけない…来なければよかったかな…)モグモグ

そんな感じで駄弁ったまま、時は過ぎていく。
その様子を見てほむらは少し安堵するのであった。

後はワルプルギスの夜戦を残すのみとなりましたが、区切りがいいので今日はここまでとします。
苦節2年、やっとさやかちゃんの死亡フラグ折れた…


歴代ライダーが揃ってる所があったようなww
残すのみって事はワルプルギス攻略するのかな…?悪いフラグは前回で消化済みか

北岡がいい味出してんな。やっぱ好きなキャラだわ

いや~楽しみだな~
待ってたかいがあったぜ、完結までがんばって~

食事シーン多いのがなんかいいな

ライダー史上最も飯食ったライダーだからな

>>148
カブトは?

今一気に読んだけどこのSS良いな
特に二週目から始まってる所が良い

ああ二週目から死亡フラグ折り始めた所って意味ね


>>147-148
食事シーン多いのは井上脚本に影響されてます。
1週目のほむらVSさやかの部分も水落ちをやってみたかったので書いてみました。

と言うわけで、投下始めます。
予定通りなら今回で完結するはず。

~ほむらの家~

マミの家でのパーティが終わった後、仮面ライダーと魔法少女達そしてまどかはほむらの家に集められていた。

ほむら「パーティの後なのに集まってもらって悪いわね」

マミ「別に構わないわ」

さやか「まぁ、明日は一応休日だし」

ほむら「あなた達、ワルプルギスの夜は知っているわね」

マミ「ええ、魔法少女の間では有名な話よ」

ほむら「数日後奴がここに現れるわ」

杏子「そういや秀一が前そんなこと言ってたな、何でそんなことが分かったんだよ」

北岡「ほむらちゃん曰く統計だとさ」

杏子「何でもいいよ、あたしは報酬が貰えればいいし」

さやか「あんたは本当にそこ変わってないわね…」

杏子「ほっとけ」

ほむら「言っておくけどこのワルプルギスの夜は大人数で戦っても勝率はあまり高くないわ」

マミ「確かに強力だって言われているけどそんなに強いの?」

ほむら「強いわ…絶望的に」

そう言うほむらの表情は苦虫を噛み潰したような表情であった。

真司「だけどさ、今度は魔法少女だけじゃなくて俺たちもいるから絶対に大丈夫だって!」

マミ「そうね、私達に不可能なんてないわ!」

さやか「そうだって、正義は絶対に勝つってね!」

杏子「ま、このメンバーがいれば勝率は高くなりそうだな」

北岡「むしろ負ける方が問題なんじゃないの」

蓮「油断大敵とは言うが、確かに強気になりたくはなるな」

ほむら「感謝するわ皆」

するとまどかが一人挙手をした。

まどか「えっと…私は何を」

ほむら「あなたはワルプルギスの夜と戦うためにわざわざ魔法少女になる必要はないわ」

まどか「でも!」

真司「まどかちゃんはさ、戦わない人たちを支えていればいいんじゃないかな?」

まどか「え?」

真司「ほら、ワルプルギスの夜と戦っている間他の人達はきっと心配すると思うんだ」

真司「だからその人たちを支えていてほしいんだ」

真司「これはきっとまどかちゃんだけにしか頼めないと思う」

蓮「確かにな、城戸に似たこいつが魔法少女になったとして即戦力になるとは到底思えん」

真司「だからお前は励ましているんだか、けなしているんだか分かりずらいんだよ」

まどか「あはは…分かった、私は他の皆を守っているね」

真司「そうだ、その意気だ!」

さやか「それじゃあ私達がまどか達をきちんと守んないとね!」

ほむら「そういうことよ」

真司「じゃあ、これでお開きにするか」

ほむら「泣いても笑っても決戦は数日後よ、絶対に準備を怠らないようにね」

ほむら(このタイミングで私の正体と魔女の真相を話しても闇雲に混乱するだけか…)

ほむら(だからここでは言わないほうが得策ね)

改めて最後の決意を込めた皆は気合を入れたまま解散することとなった。

~数日後~

ワルプルギスの夜の襲撃が翌日に迫ったこの日、ほむらは決意を胸に秘め自分の家で座っていた。
ワルプルギスの夜が接近しているせいか、窓は強風でカタカタ揺れている。
すると、突然インターフォンが鳴った。

ほむら「誰かしら?」ガチャ

真司「こんばんは、そんな真剣な顔してどうしたのほむらちゃん?」

ほむら「城戸真司…気にしないでいいわ、ただの考え事よ」

真司「そう言われるとさ、余計気になっちゃうんだよね」

ほむら「明日、ワルプルギスの夜が来ると思っていただけよ」

真司「あ!そうか、もう一ヶ月経つんだな…」

ほむら「私にとっては当たり前の事になってしまったわ」

真司「だからこそ、次で決着をつけないとな!」

ほむら「そうね…それと出来たわよ例の物」

真司「おっサンキュ、そうそうこいつを取りに来たんだった」

ほむら「あなた、こんな短時間で忘れたの?」

真司「いやまぁ…」

ほむら「まあいいわ…一つ聞いてもいいかしら?」

真司「なんだよ」

ほむら「あなたはもちろん魔女の正体を知っているのよね」

真司「…ああ」

ほむら「ずっと気になっていたわ、なんであなたのような甘い人間が平気で魔女を倒せるようになったのかしら」

真司「そういやこのことは蓮だけにしか話していなかったな…」

真司「それにしてもどうして今そんなことを聞くんだよ」

ほむら「少しの迷いがあるとワルプルギスの夜には負けるわ」

ほむら「だから本当に覚悟があるのかを聞きたいのよ」

真司「…蓮達はさ、自分が他の人達を切り捨てる覚悟で自分の願いのために戦っていた」

真司「だけど俺にはそんな願いなんてなかったんだ」

真司「だからさ、俺は考えて考えて、戦うことで皆を守りたいって願いを見つけた」

ほむら「だけどそれはかつての魔法少女を救うことが出来ない矛盾した願いのはずよ」

ほむら「だからこそ、その矛盾に耐えきれなくなった巴マミはループの中で何度も発狂した」

そう言われると真司は一呼吸ついた。
そして、懐からカードデッキを取り出し、それを見つめながら口を開けた。

真司「やっぱりさ、俺も蓮達と同じ仮面ライダーなんだって思う」

真司「他の人の願いを踏みにじってしか自分の願いを叶えられない…そんな人間なんだよ」

そんな真司のか細い声を聞いたほむらは手に持つデッキごと真司の手を優しく両手で包み込んだ。

ほむら「そうだとしても私はあなたを責めない、責めさせなんかしないわ」

真司「ありがとう…」

真司「ちょっと照れくさいけど、元気出た気がする」

ほむら「別に、それほどでもないわ」

真司「それじゃほむらちゃん、また明日」

ほむら「おやすみなさい、また明日…」

~次の日~

その日見滝原全域に避難勧告が出ていた。
それはワルプルギスの夜が出現する前兆であった。
街には人っ子一人いなかったが、7人の少年少女がワルプルギスの夜を待ち構えていた。

さやか「いよいよだね」

杏子「そうだな、ここまで長かったというか短かったというか…」

マミ「だけどここですべて決まるわ」

ほむら「油断しないで…来るわ!」

キィィィンキィィィン

その瞬間、前方に巨大な影が現れた。
周りには大量の使い魔が現れてきている。

真司「来たな、皆!」

全員頷くと魔法少女は変身し、真司達は近くのカーブミラーにデッキをかざした。

真司・蓮・北岡「「「変身!」」」

一息遅れて真司達も変身し、全員ワルプルギスの夜の使い魔たちに向かっていった。

真司「っしゃあ!」

ワルプルギスの夜の使い魔の数は多く、その上一体一体の戦闘能力も高い。
そのため前のループではさばき切るのが難しく押し切られる形になってしまった。
しかし、今回は人数が多いのでなんとか互角に戦えていた。

真司「よし、これなら…っ!」

さやか「どうしたの真司…ってあいつは!」

視線の先にはリュウガがこちらに向かって歩いてきている姿が見えた。

蓮「最近姿を見なかったが、ワルプルギスの夜に惹かれてきたのか?」

さやか「さぁね、でもこの前恭介を襲った借りは返してもらうよ!」

真司「そうだな、蓮達は先に行ってくれ、俺たちはあいつを倒す!」

さやか「おうとも!」

蓮「前座でくたばるなよ」

真司「分かってるって!」

『SWORD VENT』

龍騎はドラグセイバーをさやかは剣を召喚し、キャッチした。
するとリュウガは使い魔を召喚し、龍騎達にけしかけてきた。
その使い魔達を2人は難なく切り伏せた。

『SWORD VENT』

その間に接近したリュウガはドラグセイバーを手に2人に切りかかった。
しかし、2人は難なくヒラリと避ける。

さやか「結界の中をウロウロしてただけのあんたと違って!」

真司「俺達はずっと戦ってきたんだ!」

そう叫ぶと、2人はカウンターをほぼ同時にリュウガにお見舞いした。
この攻撃でリュウガはよろめき、膝をついた。

真司「どんなもんだ!」

だが、リュウガはデッキから新しいカードを抜きだし、そのカードを見た龍騎は驚愕した。

真司「!…そのカードは!」

リュウガが左腕を突き出すと、ブラックドラグバイザーが変形し、辺りを炎が覆い尽くした。
そして、変形したそれの口の部分を開き、そこにカードを装填した。

『SURVIVE』

さやか「なにあいつ…姿が変わった?」

真司「気をつけろ、あいつさっきより強くなってるぞ!」

そう言った瞬間に、リュウガサバイブはブラックドラグバイザーツバイからドラグブレードを展開して切りかかった。
さやかは剣で受け止めようとするが、たたき折られてしまった。

さやか「あぐっ!」

真司「さやかちゃん!」

真司はさやかの傍に駆け寄り、リュウガサバイブの攻撃を受け止める。
しかし、リュウガサバイブは新しいカードをベントインした。

『STRANGE VENT』

すると、アドベントカードが光り、また別のアドベントカードになった。

『ACCEL VENT』

その瞬間、リュウガサバイブは非常に早い動きで龍騎に切りかかった。
龍騎が反撃を行ってもすべて回避してしまい一方的に攻撃を受ける形となり、遠くに弾き飛ばされてしまった。

真司「ぐあっ!」

さやか「真司!」

リュウガサバイブは2人にトドメを刺すためにデッキから新たなカードを取り出した。

『SHOOT VENT』

どこからともなくブラックドラグランザーが召喚され、ブラックドラグバイザーツバイを構えたリュウガサバイブの後ろに構えた。

『FREEZE VENT』

だが、龍騎がそのカードをベントインした瞬間、ブラックドラグランザーは突然時間が止まったかのようにピタリと動きを止めた。

リュウガ「!?」

動揺するリュウガサバイブを横目に、龍騎はよろめきながら立ち上がった。

真司「かかったな…お前がモンスターを召喚するその時をずっと待っていた!」

~1ヵ月前~

真司「あ!そうだついでに頼みごとがしたいんだけどさ…」

ほむら「何かしら?」

真司「前のループのほむらちゃんは俺のカードを参考にして自分でタイムベントのカードを作ったのは言ったよな?」

真司「それと同じ要領で作って欲しいカードがあるんだ」

ほむら「作ってほしいカード?」

真司「アドベントカードの中にモンスターの動きを止めてしまうカードがあるんだ」

真司「それならほむらちゃんが作れると思う」

ほむら「確かに…不可能ではないかもしれないわ」

蓮「だが、何でわざわざそんなカードを作ってもらう必要がある」

蓮「暁美がカードを作る時にお前が一時的にデッキを使えなくなって不利になるんじゃないのか?」

真司「何かあった時のためだよ、備えあれば患いなしって言うしさ」

真司「この世界のライダーは俺だけじゃないから、デッキに関してはまぁ何とかなるんじゃないか?」

ほむら「分かった、ワルプルギスの夜が来るまでには完成させてみせるわ」

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さやか「ほむらの奴いつの間にそんなものを…」

真司「サバイブはワルプルギスの夜と戦う時に温存しておきたかったからな」

真司「でもこれで形勢逆転だな、いくぞ!」

『FINAL VENT』

真司「はぁぁぁ…てりゃぁぁ!!」

龍騎はドラゴンライダーキックを繰り出し、リュウガサバイブはその場から逃げようとしたが、龍騎はリュウガサバイブの真上を通過していった。
そう、龍騎の狙いはリュウガサバイブではなく、動きの止まっていたブラックドラグランザーであった。
まともに直撃をもらったブラックドラグランザーは粉々に粉砕された。
そして、唖然とするリュウガサバイブの背後をさやかが捉えた。

さやか「スパァァク…エッジ!」

さやかは持てる限りの魔力を込めて、リュウガサバイブを一刀両断した。
真っ二つになったリュウガサバイブは断末魔すら上げることなく、塵となって消滅した。

さやか「仇は取ったわよ、恭介…」

真司「えっと、一応まだ生きているんじゃ」

さやか「こういうのはノリなんだって、空気呼んでよ」

さやか「それよりも皆の所に急がないと!」

真司「そうだな、行くぞ!」

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龍騎とさやかがリュウガと戦っている時、そこではまさに激闘が繰り広げられていた。

杏子「こっちは数多いし楽勝だと思っていたけど、何なんだよこの物量は!?」

杏子は槍を分解し、鞭状にしてトリッキーな動きで使い魔を貫いていく。

マミ「噂には聞いていたけど、まさかここまでとはね…」

マミはマスケット銃を両手で2丁持ち、使い魔を撃ち貫いた。

北岡「全く…追加報酬を請求したいくらいだよ」

北岡はギガランチャーで一体一体確実に使い魔を倒す。

蓮「泣き言を言う暇があったら、手を動かせ!」

蓮はダークバイザーを手に取り、皆に接近する使い魔を切り払っていく。

杏子「お前は普通に励ますことくらい出来ないのか…」

ほむら「心配ないわ、このくらいなら想定の範囲内よ」

ほむら「巻き添えを喰らわないように少し下がってなさい」カチッ

そういうと、ほむらは周辺に仕掛けた大量のクレイモア地雷を起爆させる。
その瞬間、10万発近くの鉄球が使い魔を襲い、かなりの数の使い魔が倒された。

杏子「おめぇ、いつの間に…」

マミ「ある意味壮観ね…」

北岡「俺も負けてらんないな、こりゃ」

『SHOOT VENT』

そのカードをベントインすると、ゾルダの両肩にギガキャノンが装着される。
ゾルダはギガランチャーとギガキャノンを駆使し、クレイモア地雷で撃ち漏らした使い魔を攻撃していく。
そうしている間に、龍騎とさやかが皆と合流した。

真司「すまん、少し遅くなった」

マミ「気にしなくていいわ、暁美さんのトラップでだいぶ片付いたから」

ほむら「戦況は若干こっちが有利になったけど、消耗戦に持ち込まれたらジリ貧よ、何としてでも本体を叩かないと」

蓮「なら俺と城戸が直接本体に攻撃する、それでいいな」

ほむら「何ですって!?いくらなんでも危険よ」

真司「心配すんなって、この世界に来る直前にもこんな戦いはしてきていたし」

ほむら「分かったわ…でも約束して、必ず勝つって」

真司「おう!」

『SURVIVE』

蓮「そのつもりだ!」

『SURVIVE』

北岡「じゃあ、俺達はお膳立てでもしますかね、準備はいい?マミちゃん、杏子ちゃん」

マミ「分かったわ」

杏子「大口叩いて仕留め損ねんなよ!」

マミ「最初は私がやるわ、パロットラ・マギカ・エドゥ・インフィニータ!」

マミは百丁近くのマスケット銃を召喚し、両手に持つマスケット銃と一緒に使い魔の群れに向けて一斉発射した。

北岡「やるねぇ、そんじゃ俺も!」

ゾルダはデッキからアドベントカードを抜き出すと、マグナバイザーに装填した。

『FINAL VENT』

すると、地面からマグナギガが召喚され、各部が展開した。
その瞬間、さっきのマミの攻撃よりも大量のビーム、ミサイル、銃弾が使い魔の群れに浴びせられた。

杏子「おらぁぁ!!」

運よくそれを回避らの攻撃を回避した使い魔も杏子の手により地面から生えてきた大量の巨大な槍で大量に串刺しにされた。

真司「すっげぇ…」

蓮「関心している場合か、行くぞ!」

『ADVENT』

真司「それもそうだな!」

『ADVENT』

2人はそれぞれドラグランザーとダークレイダーに飛び乗った。
そして、ゾルダ達の手によって切り開かれた道を使いワルプルギスの夜に接近していった。
ワルプルギスの夜も火球を打ち出して抵抗したが、モンスターの攻撃で撃ち落としていった。

真司「今度こそ…ケリをつけてやる!」

蓮「やっきになって冷静さを失うな、慌てずに攻撃するぞ」

真司「よし…てりゃぁ!」

龍騎サバイブはドラグブレードに炎を宿し、炎を纏った衝撃波をワルプルギスの夜に浴びせていった。

真司「まだまだ!」

さらに龍騎サバイブは一撃離脱戦法でワルプルギスの夜に対して、ちょっと危なっかしい様子で次々にバーニングセイバーを直接食らわせていった。

真司「っとぉ、あぶねぇ…」

蓮「慌てずにと言っただろう…」

『TRICK VENT』

ナイトサバイブはダークレイダーごと大量に分身し、ワルプルギスの夜の周囲に展開した。

『SHOOT VENT』

蓮「はっ!」

大量のナイトサバイブは全方向から大量のダークアローを雨あられのごとくワルプルギスの夜に打ち込んでいった。
その集中攻撃にワルプルギスの夜は若干怯んだように見えた。

蓮「城戸、モンスターに火炎弾を使わせろ!」

真司「え?ああ、ドラグランザー!」

ドラグランザー「グガァァ!!」

ドラグランザーの叫びと同時にナイトサバイブはカードをベントインした。

『BLAST VENT』

ドラグランザーが火炎弾を大量に吐き出したところに、ダークレイダーの発した風が混ざり炎の嵐となった。
その炎の嵐はワルプルギスの夜全体を覆い尽くし、大きなダメージを与えた。

真司「やるなぁ蓮、よし今度はこいつだ!」

『STRANGE VENT』

するとカードが光を放ち、別のカードに変化した。

『TRICK VENT』

真司「よっし、ラッキー!蓮のマネになっちゃうけど俺もこいつで!」

『SHOOT VENT』

ナイトサバイブと同じように大量に分身した龍騎サバイブはドラグバイザーツバイのレーザーとドラグランザーの火炎弾を大量にワルプルギスの夜に浴びせた。
さすがのワルプルギスの夜もこの集中攻撃には堪えきれなかったようで、報復のように火球を執拗に打ち込んできた。

真司「うおっと!?あぶねぇ…」

蓮「相当ダメージが入ってイラついているようだ、次で決めるぞ!」

真司「ああ、行くぜ!」

『『FINAL VENT』』

そのカードをベントインした瞬間ドラグランザーとダークレイダーはバイク状に変形した。
龍騎サバイブとナイトサバイブは斜めに倒れていたビルを滑走路代わりにしてワルプルギスの夜に向けて走り出した。
その間もドラグランザーは火炎弾を吐き出し、ワルプルギスの夜の攻撃を相殺しつつダメージも与え続けた。

蓮「あの巨体でよけきれるとは思えないが、念の為の保険だ」

するとダークレイダーの先端から特殊なビームが発射され、命中したワルプルギスの夜が完全に固定された。
そして、今度はナイトサバイブがダークレイダーにマントを巻き付けジェット機の先端のように変形させた。

真司・蓮「「はあぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!!」」

2つのファイナルベントは寸分たがわず同時にワルプルギスの夜に直撃し…貫いた!

ワルプルギスの夜「ア”ア”ア”ア”ア”ァ”ァ”!!!」

大きな風穴の空いたワルプルギスの夜は崩壊を初め、グリーフシードを残し完全に消滅した。
2人は着地すると同時に変身が解除され、モンスターも鏡の中に戻って行った。

真司「いいぃぃぃぃぃぃよっっしゃぁぁぁぁぁ!!!!!!勝ったぞぉぉぉぉぉ!!!」

蓮「はしゃぎすぎだ…」

真司「良いじゃねぇか、あんな奴に勝ったんだからさ」

キュゥべぇ「本当にあのワルプルギスの夜に勝つなんてね、僕も驚きだよ」

蓮「随分姿を見せてなかったな、何の用だ?」

キュゥべぇ「いや、ワルプルギスの夜を撃破した事例は本当に数少ないからね、素直に関心しているのさ」

真司「言っとくけど、まどかちゃんは魔法少女にはさせないからな」

キュゥべぇ「それは困る…と言いたいけど君たちはワルプルギスの夜を撃破するだけの力量を持っている」

キュゥべぇ「そこまで強力な力を持っているなら僕が介入するのも難しくなるだろうね」

真司「要するにもうまどかちゃんに手を出さないってことか?」

キュゥべぇ「そうじゃない、機会があれば勧誘するつもりだけどリスクが非常に高くなったってことさ」

キュゥべぇ「宇宙が熱的死を迎えるのは最速でも10の18乗年はかかるから彼女一人に執着して焦る必要もないしね」

キュゥべぇ「まぁ、これ以降君達に姿を見せることはほとんどないだろうね、僕だって無駄な労力は使いたくない」

そう言うと、キュゥべぇは姿を消した。

真司「俺だって好きで見たかねぇよ」

蓮「同感だ、それより暁美達の所に戻るぞ」

真司「そうだな、ほむらちゃん達を心配させたくないし」

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杏子「あいつら…とうとうやりやがったぜ!」

マミ「使い魔も全部消えたわ」

北岡「やれやれ、やっと終わりか…」

ほむら「本当に…終わったのね」

そういうとほむらはその場に崩れ落ちた。

マミ「暁美さん!?」

ほむら「ごめんなさい…ちょっと安心して力が抜けただけだから」

そう言うほむらの目には薄らと安堵の涙が浮かんでいた。

杏子「ったく、心配かけさせやがって」

北岡「そうそう、これじゃ城戸達に恰好がつかないだろ?」

ほむら「それもそうね…」

すると、ワルプルギスの夜が倒れた方向から真司達が歩いてきた。
真司はほむら達の姿を見るやいなや駆け寄ってきた。
その姿を見たほむらは自然と微笑んだ。

ほむら「おかえり…」

~数日後~

ワルプルギスの夜が襲来してから数日後、真司達が頑張ったとはいえ見滝原の被害はそれなりに大きく見滝原中学校も暫く休校となった。
そんなわけで時間が空いたので、祝賀会と言うことで例によってマミの家でパーティをすることとなった。

まどか「それじゃあ、もうキュゥべぇは私を誘うことはほとんどないってこと?」

真司「まぁ、そういうことだな」モグモグ

ほむら「あいつのことだから完璧に安全と言うわけにはいかないけど、とりあえず峠は越したといったところかしら」モグモグ

蓮「来たら来たで追い返せばいいだろう」モグモグ

北岡「グリーフシードの回収係だけやらせときゃいいのよあいつは」

マミ「そういえば、真司達は別世界から来ていたけど、やっぱり元の世界に戻るのかしら…」

北岡「そうそう、この前インキュベーターを捕まえてとっちめたんだけど」

北岡「『魔法少女の願いでこの世界に来たから、同じように魔法少女の願いを使わない限り元の世界に戻れない』だってさ」

まどか「そんな…」

北岡「一応、あいつが言うには俺達は元の世界の俺達のクローンみたいなものらしい」

北岡「だから元の世界の心配はする必要は無いってさ」

蓮「そうか…なら恵里は大丈夫か」

そう呟く蓮の表情は安堵と寂しさが入り混じったものだった。

さやか「蓮…大丈夫だってあたしが一緒にいるんだからさ」

蓮「俺に同情する前にお前の場合はまず上条のことを気にしろ」

さやか「で、ですよねーあはは…」

真司「じゃあ決まりだな、俺達はこの世界に残るってことで」モグモグ

北岡「俺も第2の人生をエンジョイ出来るし、病気にだけ気をつければ大丈夫でしょ」

北岡「令子にもう会えないのはちょっと寂しいけど、まぁ初恋は実らぬってことで諦めるか…」

口では軽口っぽく言っているものの、その様子はしょんぼりとしている様子だった。

杏子「…ところでさこの世界に残るのは良いとして、これからどうすんだ?」モグモグ

蓮「特に考えてはいなかったが、まぁ何とかなるだろう」

真司「お前接客スキルは無駄に高いんだから、そういう仕事に付けばいいだろ」モグモグ

さやか「こいつがねぇ…まるで想像できないわ」モグモグ

蓮「悪かったな」モグモグ

北岡「俺はこの世界でも弁護士になるつもりだよ、知識だけは蓄えられてるからな」

杏子「そん時はあたしを雇ってくれよ、それなりに年収よさそうだしさ」モグモグ

北岡「断る、お前なんか雇ってもゴローちゃんの足元にも及ばないごくつぶしになるのがオチだろうが」

杏子「チッ」

>>152
後は謎ワープだな

真司「そういや、ほむらちゃん達はこれからどうするんだ?」モグモグ

ほむら「私はこれからも普通に中学生として過ごすわ」

ほむら「それ以降は考えてないけどまぁ何とかなるんじゃないかしら」

真司「本当に蓮とほむらちゃんって考えが似てるよな…」モグモグ

まどか「でも私も正直先のことなんて考えてなかったな」

ほむら「大丈夫よ、ピンチの時は色々とサポートしてあげるわ、勉強は勿論将来の就職先も何とかしてあげるわ」

さやか「本当にまどかに対しては過保護だよねあんた…」モグモグ

ほむら「私にはまどかに対して返しても返しきれない大恩があるのよ、これくらい当然じゃない」ファサァ

杏子「こいつにとっての当然って…」モグモグ

杏子「それに大恩って…一体こいつらの間に何があったんだよ」モグモグ

ほむら「そうね…もうワルプルギスの夜は倒したんだし話してもいいかしら」

ほむらは自分が何度もループを行ってまどかを守ろうとしたことを話した。

さやか「成程…まどかとあんたの間にそんなことがあったんだ」

杏子「それにしても、そこまでして守りたいって…ある意味ものすごい執念だな」モグモグ

マミ「いいじゃない、大切な守りたい人がいるなんて素敵じゃない」

まどか「うん、始まりは別の世界の私だとしても何だか嬉しい」

まどか「…同時にちょっと照れくさくて恥ずかしいけどね」

ほむら「あなたは気にしなくてもいいわ、私の自己満足みたいなものだから…」

蓮「そうだとしても、お前にとってすべてを捧げられる願いなら卑屈になる必要もない、もう少し胸を張れ」

ほむら「すまないわね…」

さやか「まぁ、そんなにしんみりしないで今日は明るくいこうよ、明るくさ」

さやか「あたしはこれから恭介と色々話をして、そしたら音楽業界にでも入ろうかなと思っているんだけど」モグモグ

ほむら「それなら早めに手を打った方がいいわ、後々だと大変なことになるから」

さやか「何よ、そんな真剣に」

ほむら「いいから何ならこのパーティの後に上条恭介に挨拶でもしてきなさい」

ほむら「あなたが後手後手に回った時はどのループでも大抵碌なことにならなかったわ、これは命令よ」

さやか「分かったわよ」モグモグ

まどか「杏子ちゃんはどうするの?」

杏子「そうだなぁ…マミのヒモのままでも別にいいんだけど…」モグモグ

杏子「やっぱり色々勉強して秀一の秘書にでもしてもらおうかねぇ」モグモグ

北岡「言っとくけどゴローちゃんは100年に1度現れるか現れないかのパーフェクトな秘書だからそう簡単に追いつけるわけないだろ」

杏子「そんじゃあマミ、お前も秀一の秘書になれ」モグモグ

マミ「えぇ!?」

杏子「1人じゃ無理でも頭数揃えればそれなりに使えると思うんだけどねぇ」モグモグ

北岡「はぁ…もう勝手にしろ」

杏子「よぉし、その言葉覚えとけよ、おいマミ今日から勉強教えろ」モグモグ

マミ「そんなことする暇があったら学校行きなさいよ…予備の制服貸してあげるから」

ほむら「真司、あなたはどうするつもり?」

真司「そうだな…俺はこの世界でもジャーナリストを目指す、そんで仮面ライダーとして魔女から皆を守り続ける」

ほむら「そう言うと思ったわ」

真司「別にいいだろ、それが俺の願いで、俺にとっての戦いなんだから」

ほむら「褒め言葉のつもりだったのだけど」

真司「え!?そうだったの…」

蓮「城戸に深読みするという高等技術が扱えると思っているのか?」

ほむら「それもそうね」

真司「ちょっとまてよ、お前たちの態度の方がよっぽど分かりづらいだろ」

北岡「確かに秋山や暁美はものすごく回りくどいとは思うけど、それを差し引いてもお前は素直すぎだ」

さやか「あぁ~確かに」

真司「さやかちゃんまで!?」

ほむら「だけどこの馬鹿さ加減が個性に昇華されているから、無理に矯正することも出来ないのが悩みものね」

真司「いやぁ~それほどでも」

蓮「…この単純さは一生治らんだろうな」

そんな感じで騒いでいる中、まどかがほむらの隣に座った。

まどか「皆楽しそうだね」

ほむら「ええ」

まどか「そういえば私のこれからを話していなかったな」

ほむら「まどかはこれからどうしたいの?」

まどか「私はね、これから願いを叶えるために生きていこうと思っているんだ」

まどか「…私はね、ずっと魔女と戦って皆の役に立ちたいと思っていた」

まどか「でも、それは違うって思ったの」

ほむら「どうして?」

まどか「ワルプルギスの夜が来たあの日、私は避難してきた人達を励まし続けた」

まどか「でもそれはとても大変だったんだ…皆怖がってパニック状態だったし、私自身も自分の中の恐怖に押しつぶされそうになっていた」

まどか「そしてその時気が付いたの、戦うことって魔女と戦うことだけじゃなくて、生きていることそのものなんだって」

まどか「だからね、魔法少女も仮面ライダーもそして、私みたいな普通の人も結局根っこは同じなんじゃないかな?」

まどか「自分の持つそれぞれの願いのためにそれぞれ戦い続けている」

まどか「だから私も1人の人間として願いのために戦い続けようって思ったんだ」

ほむら「まどかの願いは何?」

まどか「ありきたりだけど、皆がずっと幸せでいられることかな」

そう言いながらまどかは微笑んだ。

ほむら「とても…いい願いよ、まどか」

そして、そんなまどかへ応えるかのように、ほむらもまどかに微笑み返した。

ほむら(ようやく手に入れたまどか達との日常)

ほむら(この日常がいつまで続くのかは分からない)

ほむら(魔女達もインキュベーターも健在な以上、いつこの平穏が崩れてもおかしくはない)

ほむら(だけど、今はこの日常を精一杯謳歌しようと思う)

ほむら(魔法少女と仮面ライダー達が願ったこの未来を…)


仮面ライダー龍騎「魔法少女まどか☆マギカ・・・?」

~完~

~あとがき~

まず最初に、2年以上休載状態が続いてしまったことを深くお浴び申し上げます。
大変申し訳ありませんでした。
魔法少女まどか☆マギカは私が現在仮面ライダーシリーズをリアルタイムで視聴する切っ掛けとなった作品なので、そのクロスSSを長期休載を挟んだとはいえ書ききったことは非常に満足しています。
また、個人的には叛逆の物語が公開されるまでに完結したので安堵しています。
公開された後に新規設定が追加されたらまた加筆する必要が出てくるので…
最後にこの作品を最後まで読んでいただいた皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです。
本当に最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。
そこそこ時間が立ったらHTML化依頼を出しておきます。

p.s.
この作品を再開させる前にリハビリを兼ねてここで書いたSSがあるのでそちらのリンクをおまけで貼っておきます。
暇があったら読んでみてください…こっちは元ネタに忠実にバッドエンドですが
『魔法少女まどか☆マギカスペシャル 8MAGICAS』
魔法少女まどか☆マギカスペシャル 8MAGICAS - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1369496584/)

何この打ち切りみたいな終わり方

乙彼

2年前だったのか……
この手のクロスって一度消えたら戻ってこないイメージだったから完結してくれて嬉しい

打ちきりっぽくもあるけどきっちり終わってるから満足


クロス世界に留まるってのが結構新鮮で良いオチだと思った
泣かす為の別れを演出しなかったのが新鮮だww

>>169、171
何とか叛逆の物語が公開されるまでに完結させようと躍起になっていましたので…
終わりが打ち切りっぽくなっちゃいましたね。

朝になりましたのでHTML化依頼を出しておきました。
本当にご愛読ありがとうございました。

お疲れ様でした。
楽しく読ませていただきました。

た、タイムベントで……

お疲れさまでした。
願わくば後日談や日常パート敵なのも見てみたい気がする。
あとはもしも他の龍騎系ライダーが来たらてきな

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