今日から君がこの鎮守府の提督だ。
──なんで私なんだ。
良い働きを期待しているよ。
──嫌だなぁ……。
──────
────
──
提督「鎮守府に着任する。これより、艦隊の指揮を執る」
電「は、はい! よろしくお願いします、司令官さん!」
電(このお方が電の司令官さん……。若い男性ですが、少し小柄ですね)
電(でも司令官さん、目に光が無いのです……大丈夫なのでしょうか……)
提督「……うん?」
電「どうか……なされましたか?」
提督「他の艦船はどうした」
電「え、えっと……電、だけですよ?」
提督「……は?」
電「ですから……その……この鎮守府に居る艦船は、電だけですよ?」
提督「…………」
提督「駆逐艦一隻で……」
電「は、はい?」
提督「どうしろってんだクソがああああああッッッ!!!!!」
電「ひぃ!?」
拝啓、亡き父と母へ。
私の死亡先は海のようです。
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電「はう……はわわわ……あぅぅ……」
提督「──あ。ああ、すまん。取り乱した」
電「びっくりしたのです……」
提督「だが、駆逐艦一隻でどうしろと。なんだ? 爆弾積んで敵母港に神風特攻か?」
電「ち、違います違います!! 建造したり海で拾ったりして仲間を集めるのです!」
提督「……は?」
電「え、えっと……ですから──」
~駆逐艦説明中~
電「──というコトなのです」
提督「便利だな、これ→」~駆逐艦説明中~
電「はい?」
提督「いや、こっちの話」
提督「まあ、やる事は分かった。最初に頂いた資源もあるし、まずは建造でもするか」
電「はいなのです」
電「……でも、どうして建造なのですか? 海で拾ってきた方が、消費資材が少ないと思うのですが……」
提督「…………」
電「あ……すみませんすみません! 司令官さんに意見をするなんて──」
提督「いや、気にしなくて良い。これからも意見は言ってくれ。私一人の考えでは足りん所もあるからな」
電「え? は、はい」
電(見た目と違ってマトモなお方……なのです)
提督「さぁて、各資材はこんくらいでいいか。頼んだ」
妖精「え、これマジで?」
電「?」
提督「構わんよ。やってくれ」
妖精「まあ、提督が言うのなら……」ガッチャガッチャ
電「あの……資材はいくらご投入を?」
提督「オールナイン」
電「え?」
提督「上限いっぱいとも言う」
電「ええええええええええええええ!!?!」
電「な、何をやってるのですか司令官さん!? 貴重な資源がぁ!!!」
提督「構わんよ」
電(えええ……司令官さん、本気ですか……? 身動き取れなくなっちゃいますよ……?)
電「まともじゃなかったのです……」
提督「よく言われる。ああ、バーナーも使っちゃって」
電「うう……本当に大丈夫なのでしょうか……」
妖精「あたしシーラネ」ゴォォォ
~新しい船が出来ました~
提督「ほう」
電「あわ……あわわわわ……」
金剛「英国で生まれた、帰国子女の金剛デース! ヨロシクオネガイシマース!」
金剛「貴方が提督ですカー?」
提督「ああ。これからよろしく頼む」
金剛「ィエース! 私にまっかせてクダサーイ!」
金剛「そちらのレディのお名前は?」
電「あっ。い、電と申します。金剛さん、これからよろしくお願いします!」
金剛「ハイ! 私の実力、見せてあげるネー!」
金剛「ところで、他の艦娘たちはドコですか?」
提督「いや、この鎮守府は君たち二人しか艦娘は居ないよ」
金剛「……ホワッツ!? どういう事ですカ!?」
電「あの……司令官さんは今日、着任されたばかりなのです……」
電「そして、初めての建造で金剛さんが進水されたのです」
金剛「……と、いうことは資材は」
電「雀の涙しか残ってないのです……」
金剛「Oh……」
金剛(私……来る鎮守府を間違ったのカモしれません……)
提督「では、二人共。早速ですまんが、すぐに出撃準備をしてくれ。旗艦は金剛に任せる」
金剛(大丈夫なのでしょうカ……私達……)
最初に貰う資源でオールナインってできたっけ?
>>8
確か出来なかったかと。
あれだ。きっと本部からくすねてきた。
~鎮守府正面海域~
電「あ、あの……司令官さん?」
提督「うん?」
電「ど、どうしてついてきたのですか? 危ないですよ……?」
提督「お前達が戦場に出ているのに、上官である私が安全な場所でのうのうとするのは嫌だ」
提督「それに、無線だけでは分からないモノもある。的確な判断を下すなら前線に立つべきだ」
金剛(言ってる事はマトモなのですガ、そもそもテートクが居なくなったら私達もどうしようもできないデス……)
提督「そら、敵さんのお出ましだ」
金剛・電「!」
提督「総員、戦闘準備。敵影から見るに駆逐艦一隻だが気を緩めるな」
提督「金剛、砲塔をそのまま左に20°調整」
金剛「え?」
提督「敵が射程内に入り次第そのまま斉射」
提督「電はそのままでいい。もし第一射が外れたら撃つから準備だけしておけ」
電「は、はい!」
金剛「わ、わかりマシタ!」
提督「──今だ。金剛、テーッ!!」
金剛「ファ、ファイヤー!」
ロ級「ヒャhhバゴォォン! 轟沈
金剛「おお……」
電「す、凄いのです司令官さん! 金剛さん!」
提督「気を抜くなと言ったはずだが?」
電「あっ──」
提督「沈みたいのか、電」
電「ご、ごめんなさい!!」ビクッ
提督「……分かれば宜しい」
電「あ……」ナデナデ
電(温かい……。司令官さん……変な人で、厳しいけど優しいのです)
提督「…………倒した敵艦から何か浮かんでるな」
金剛「あれは……艦娘のデータですネ。持って帰って実体化させまショー!」
提督「なるほど。だから『拾ってくる』か」
提督「私が回収する。金剛、電は周囲に敵が居ないか索敵をしてくれ」
提督(……敵艦から艦娘のデータが出てくる、か)
提督(まるで艦娘が沈んだのが深海棲艦みたいじゃないか……)
金剛「むっ! テートク! 2時の方向から敵艦が来ますヨ!」
提督「! 数と艦種は」
金剛「軽巡が一隻と……駆逐艦が二隻デス!」
提督「そうか。連戦になるな」
提督「二人共、まだいけるよな?」
電「い、電は全然大丈夫なのです!!」
金剛「テートクのおかげでピンピンしてるヨー!」
提督「良い返事だ。戦闘準備に入れ」
金剛・電「ハイ!」
提督「……なんだあれは。一隻だけ突出してきたぞ」
提督「金剛、さっきは細かく指示をしたが……狙えるか?」
金剛「イエース! この距離ならまず外しまセーン!」
提督「よし。金剛、テーッ!!」
金剛「ファイヤー!」
イ級「ひぃぃッッハアアアア!!!」ヒョイ
金剛「なァッ!?」
提督「チ。避けられたか。よく見てやがる」
提督「電は突貫してくる敵艦を撃て。金剛は奥の軽巡だ」
提督「避ける事も考えて前門と後門で時間差で撃つんだ」
電「電の本気を見るのです!」
イ級「オウフ!」ボゴォン! 中破
後方イ級「!」サッ ドォン! 大破
電「あ、当たったのです!」
金剛「ノー! 敵旗艦を庇われまシタ!」
提督「だが、速度を維持できなくなったみたいだな」
提督「敵から砲撃がくるぞ。総員、衝撃に備えよ!」
電「はわわわわ!!」miss
金剛「シット! 至近弾!!」3ダメージ
提督「反撃だ。奴等の息の根を止め──!?」
提督「チッ……金剛は5時の方へ砲撃! 電は敵旗艦になんとしても当てろ! 挟まれた!!」
金剛「なんですッテ!?」
電「ひぃ!」
駆逐ハ級「奇襲はいいものですたい」
金剛「なんて奴ネ! 主砲、砲撃開始!!」
駆逐ハ級「俺は不可能を可能にsバガァァン! 撃沈
軽巡ホ級「まだだ……まだ終わらんよ!」小破
電「だ、ダメです司令官さん! 止めれません!!」
提督「もう雷撃距離か……。金剛は敵軽巡へ全門斉射。電は魚雷と主砲を残りの駆逐艦へ撃て」
提督「相手の錬度は低いが、気を引き締めろ」
金剛「バーニング──ファイヤー!!」
電「な、なのです!」
軽巡ホ級「馬鹿なぁ……ありえん……有り得んぞぉ!!!」 撃沈
駆逐's「「へべれげッ!」」 撃沈
提督「……周囲に敵影はあるか?」
金剛「──ノー。反応無いデス」
電「…………電の方も何も反応ないです!」
提督「よし……戦闘終了。二人共よくやってくれた」
金剛「……テートク」
提督「うん?」
金剛「ごめんなさい……」
提督「……話が見えないんだが?」
電「? ……?」
金剛「……出撃の際、私はテートクが前線に来るのを見てミステイクだと思いまシタ」
金剛「でも、テートクが指示を出してくれなかったら今頃、私達がこうして居られたかどうか怪しかったデス」
金剛「だから、ごめんなさいテートク」
電「金剛さん……」
提督「気にするな。ここは鎮守府の正面海域。そして初出撃だ。気が緩むのも無理はないだろう」
金剛「でも! それでも私は……間違っていました……。下手をしたら、私達はロストしていたのかもしれまセン……」
提督「……分かった。その件については後で処罰を行う。今は母港に帰ろう」
提督「こうして生きて帰れるのも、二人が居るからこそだ」
金剛「テートク……」
電「司令官さん……」
提督「さて、では帰ろう。だが、索敵を怠るなよ?」
金剛・電「──はいっ!」
~母港~
提督「二人共、燃料と弾薬を補充。そして金剛は風呂を済ませた上で私の部屋に来るように」
金剛・電「ハイ!」
金剛「って、テートク? どうして入渠なんデスカ?」
提督「至近弾を貰っていただろ、金剛」
金剛「でも、資材が……」
提督「足りるだろう?」
金剛「あ、あの……掠り傷ですカラ、私はまだまだ大丈夫デ──」
提督「金剛」
金剛「サ、サー!」ビクッ
提督「私の命令が聞けないと? それとも慢心してそのまま出撃し、沈みたいという願望でもあるというのか?」
金剛「ノ、ノー! 違います! 私はただ──」
提督「異論は認めん。例え掠り傷であったとしてもしっかりと修理をする事」
提督「……その傷が原因で沈んだら、後悔してもしきれなくなる」
提督「指示は以上だ。各員、指示が遂行次第、休息を取るように」
電「は、はい!」
金剛「……はい」
~提督室~
コンコン──。
提督「入れ」
金剛「……金剛、出頭しまシタ」
提督「そうか。少し待っててくれ」
金剛「…………? 何をしているんデスカ?」
提督「報告書だ。先の戦闘での戦果と被害、そして新たに手に入った駆逐艦二隻の進水とかのな。進水は明日だが」
金剛(……出会った時も思いましたケド……テートクは、なぜ死んだ目をしているのでしょうカ)
提督「待たせた。すまない」
金剛「い、いえ!」
提督「そうか。では早速、本題に入らせてもらう」
提督「金剛、お前は私の行動が間違っている思っていた……と言っていたな?」
金剛「……ハイ。ごめんなさい……」
提督「気にするなと言っただろう?」
金剛「それはダメです! それでは、いつかテートクを軽視する者が出てくると思いマス!!」
金剛「だから、ケジメは大事デス!」
提督「……ふむ。確かにそうだな」
提督「……………………処遇を決めた」
提督「金剛、お前を私の私欲に使わせてもらおう」
金剛「────!! ハ……イ……」
金剛(そうデス……テートクも年頃の人デス……)
金剛(本当はディスライクですが、これもケジメ、デス)ギシッ
提督「どこへ座っている。こっちだ。椅子だ」
金剛「……ホワイ?」
提督「いいから、ベッドではなくこっちだ」
金剛「……?」チョコン
提督「じっとしていろよ」
金剛「……あのー、テートク?」
提督「んー?」
金剛「なんで、私の髪をブラッシングしてるのデスか?」
提督「処遇」
金剛「処罰じゃないんですか?」
提督「じゃあこれが罰だ。私への不敬と私への助言。二つ合わせて+-0といった所だろう」
金剛「では、なぜブラッシング?」
提督「金剛の髪を梳きたかったから。言っただろう、私欲に使わせてもらうと」
金剛「プッ……アハハハ!」
提督「どうした、何がおかしい」
金剛「だって、これじゃあ罰にならないじゃないデスカ」
金剛「私、ブラッシングされるの好きですよ」
提督「そうか。じゃあこれからもブラッシングをして良いか?」
金剛「もっちろんデース!」
金剛(テートクのブラッシング、とっても優しくて丁寧デス……気持ち良いネ)
提督「だが、あまり男に髪を触らせるんじゃないぞ?」
金剛「何を言ってるんですか、テートク」
金剛「私、誰にでも触らせる訳じゃありませんヨー?」
提督「……そうか」
金剛「ハイ♪ テートクだからデス!」
提督「……そうか」
金剛「むー……。反応が薄いデース……」
提督「ほら、ブラッシングは終わりだ。しっかりと休息を取るように」
金剛「ぅー……もうちょっとしてほしかったデース……」
提督「あと三十分もすれば食堂が閉まるが?」
金剛「そ、それはテリブルです! テートクも急ぎましょう!!」
提督「あっこら! 私はまだ仕事が──」
金剛「体調管理も仕事の内デース! 栄養をしっかり取らないと、指揮できなくなりマスヨ?」
提督「……そうだな。食堂へ行こう」
金剛さん曰く、体調管理も仕事の内らしいので私も寝ます。
また今日、投下させて頂きますね。
~食後、提督室~
提督「ふぅ……。さあ仕事だ」ギシ
金剛「ハイ!」
電「なのです!」
提督「……ところで、どうして二人がここに?」
電「秘書なのです!」
金剛「テートク、私達も手伝いマース!」
提督「ああ……そうか。まだ秘書を任命していなかったな」
提督「だが、秘書は一人しか付ける気がない」
金剛「それじゃあ、どっちか一人デスカ?」
提督「そうなるな」
提督(さて……どっちに任命するべきか……)
提督(…………フタフタサンマル)チラッ
提督「よし。二人共、そこのソファーに座ってくれ」
提督「そのまま私から命令があるまでジッとしている事」
金剛・電「?」
~十分後~
電「…………」コックリコックリ
提督(ふむ、やはり船を漕ぎだしたか)
金剛(あ、ナルホド。まだ幼い電には眠い時間ネ)
電「!!」フルフル
提督「…………」ジッ
電「!!!」ハッ
提督「…………」
電「……………………」ビクビク
提督「電、明日の為にゆっくり休んできなさい」
電「うぅ……ハイ……」トボトボ
提督「ああそうだ、電」
電「……?」
提督「今日一日ご苦労。また明日も私に力を貸してくれ」ナデナデ
電「!」
金剛「!!」
電「ハ、ハイなのです! 司令官さん、金剛さん、お先に失礼します」
ガチャ──パタン
提督「さて、金剛。正式に任命する。私の秘書となり、サポートしてくれ」
金剛「…………あのぅ」
提督「うん?」
金剛「私も……撫でてもらって良いデスか?」
提督「秘書になってくれるのなら」
金剛「ハイ! なります! 高速戦艦金剛、提督の秘書の命、受け取りました!!」
提督「うむ。よろしく頼む」ナデナデ
金剛「はうぅ……」
提督「それでは仕事だ。時間が押している。書類の左上に提出先が書いてあるから、それを分けてくれ」
金剛「ハイ! 任せてくだサーイ!!」
提督「ああすまん。その前に」
金剛「?」
提督「紅茶を淹れてくれ。金剛も喉が渇いたんじゃないか?」
金剛「! 分かりました! 紅茶はとっても得意デース♪」
提督「期待しているよ」
……………………
…………
……
金剛「テートクー、日付が変わりましたヨー」
提督「ん、もうそんな時間か」
提督「金剛、君はもう休んで構わない。ご苦労だった」
金剛「……テートクは?」
提督「私はまだやらねばならない仕事がある。ほら、そこの書類の束とかな」
提督「金剛のおかげで山から盆地くらいにはなった。これからも頼む」
金剛「……終わるまで手伝ってはイケマセンか?」
提督「ならん。体調管理も仕事の内なのだろう?」
提督「朝になったらまだやっていない事を──ああ……失敗した」
金剛「? テートク?」
提督(電に起床時間を伝えるのを忘れていた。参ったな……方法は無くもないが、あまりやりたくない)
金剛「?」
提督「いや、気にするな。独り言だ」
金剛「あの、テートク……私に何か出来る事はアリマセンか?」
提督「……どうした?」
金剛「私、もっとテートクの役に立ちたいデス! だから、何か指示を下サイ!」
提督「……そうか」
提督「じゃあ就寝しろ。起床はマルロクマルマルだ。マルロクサンマルまでに提督室へ来るように」
金剛「ええええええええええ!!!? テートクーッ!!??」
提督「お前はこの小さな鎮守府の最重要艦だ。そして明日も朝から新しい事をする。早めに寝てくれないと困るのだよ」
金剛「ウ。ううー……分かりまシタ……」
金剛「……テートクもしっかりスリープして下さいヨ?」
提督「約束する」
金剛「…………一緒にスリーピングしても──」
提督「金剛」
金剛「ソ、ソーリー!! お先に失礼します!!!」
提督「ああ、おやすみ」
金剛「良い夢を!」
ガチャ──パタン
提督「…………小さなミスは数多く、大きなミスは三つ」
提督「一つ、各資材を浪費した事」
提督「一つ、電に中破した駆逐イ級ではなく軽巡ホ級へ攻撃させた事」
提督「……一つ、金剛に必要以上に気に入られてしまった事」
提督「……やり辛くなるな」
~翌朝~
提督「電、起きているか」コンコン
……………………。
提督「…………」コンコンコン
電『わひゃあ!? はっはい!! どなたですか!?』
提督「私だ。起きたか?」
電『し、司令官さん!? ご、ごめんなさい! 寝過ごしてしまいました!!』
提督「いや、起床時刻を伝えていなかった私のミスだ。それに、寝過ごしてはいないから安心しておけ」
電『は、はい……ありがとうございます……』
提督「三十分後のマルロクサンマルに提督室へ来るように。今日進水する駆逐艦達を紹介する」
……………………
…………
……
提督「今日進水した二隻の駆逐艦を紹介する」
雷「雷よ。カミナリじゃないわ。そこのとこもよろしく頼むわね!」
響「響だよ。その活躍ぶりから、不死鳥の通り名もあるよ」
電「雷ちゃん! 響ちゃん!」
金剛「知り合いデスか?」
電「はい! 姉妹艦なのです!」
雷「元気みたいね! 良い事よ!」
響「見た所、暁は居ないみたいだね。すぐに会えるかな」
提督「安心しろ。すぐとは言わないが、見つけよう」
雷「さっすが司令官! 頼りになるわ!」
響「司令官、スパスィーバ」
金剛「…………」
提督「そんなに悲しそうな目で見るな。どれくらい時間が掛かるか分からんが、金剛の姉妹艦も見つけるよ」
金剛「……約束デスよ?」
提督「ああ、約束だ」
金剛「──アハッ。センキュー、テートク♪」
提督「…………」
金剛「?」
提督「さて、と。進水して間もないんだが、君たち駆逐艦は遠征してもらう」
金剛(テートク、一瞬だったけど……すっごく悲しそうな顔してた……)
雷「遠征?」
響「資源はとても大事だからね。遠征で資源を拾ってこなければ、すぐに枯渇してしまうだろう」
提督「…………」
響「? 司令官?」
電「あの……あ、あの……」
電「……既に、ほとんど枯渇状態なのです」
雷・響「……え?」
~駆逐艦説明中~
雷「オールナインって……」
響「どうしてだい、司令官?」
提督「深い意味は無い。強いて言うなら、直感だな」
提督「だが、そのおかげで金剛が早期にここへ来てくれた」
金剛「ヨロシクね!」
響「……司令官、ちょっと良いかな」
提督「許可する」
響「見た所、母港もまだまだ小さい。そして資材は枯渇寸前と聞く」
響「戦艦である彼女をまともに運用できるのかい?」
金剛「────っ」ビクッ
提督「できんよ」
金剛「あ……」
提督「だから、君たち駆逐艦には遠征に出てもらう」
提督「その間、金剛は母港を守ってもらおう。だが、ジッとさせる訳ではない」
提督「装備の開発や秘書としての仕事もある。彼女には資材のあまり掛からない仕事を任せる気だ」
金剛「テートク……」
提督「──この鎮守府はまだまだ弱小だ。この国の明日の為に協力してくれ」
雷「勿論よ司令官! もーっと私を頼りにしても良いのよ?」
響「…………」
提督「まあ、それは建前だ」
電「建前なのですか!?」
響「たて……まえ……」
提督「当たり前だ。国の為など二の次。一番はお前達を誰一人とて沈ませず戦争を抜け出すことしか考えていない」
響「……それは、司令官としてどうなのかな?」
提督「知らん。ここは私の城だ。私のやりたいようにやらせてもらう」
提督「それに、上も私へ大して期待しておらんよ。尻尾さえ振っておけば後はどうとでもやれる」
提督「例え、駆逐艦一隻を犠牲にして敵主力戦艦を五隻討ち取れる戦況でも、私は撤退命令を出す」
響「エゴだね」
提督「エゴの塊だよ、私は」
響「……司令官としては最底辺だね」
電「響ちゃん!?」
響「でも、嫌いじゃない。むしろ好ましい」
響「司令官、作戦指示を。私は司令官の為に動きたい」
提督「ああ。だが、その前に──」
────────────。
響「なっ……ななななななんで!? なんで私は吊るされてるんだ!?」
提督「上官への暴言は許されるものではない」
提督「むしろこの程度で良かったと思え」
電「ひ、響ちゃあああん!!!」
雷「──あ、下着が見えそうね」
金剛「……プリティピンク」
響「ッ!?」ビクッ
響「さ、流石にこれは……恥ずかしいな……」
提督「反省はしたか?」
響「……もし、していないと言ったら?」
提督「そうか」クルクル
響「あ、あああ……! た、たたた高くなった!?」
雷「完全に丸見えになったわね」
電「はわわわわわわ!!」
響「ひぅっ!!」
金剛「テ、テートク……そろそろ降ろしてあげては?」
提督「…………」チラ
金剛「!!」ビクッ
提督「……あと二分吊るしておこう」
響「ううう……」
~二分後~
響「たった二分だったのに……物凄く長かった……」
電「だ、だだ大丈夫ですか、響ちゃん!?」
響「ん、ああ。どこも痛くないよ。……心はちょっと傷ついたけどね」
提督「…………」ジッ
響「!! し、司令官! 先程の暴言、申し訳ありませんでした!!」
提督「……本当に身体は痛くないか?」
響「え? はい……どこも痛くないですけど……」
提督「ならば良し。駆逐艦達は十分……いや、二十分後までに遠征準備をして第二艦隊船着場へ集まるように」
提督「私は先に待っている」
電「……響ちゃん、本当にどこも痛くないのですか?」
響「うん? ああ、ほら、毛布に包んで縛られていただろう? どこも痛くないよ」
電「え、毛布……?」
雷「あら、電ったら気付いてなかったの?」
電「あうう……」
金剛「バット、どうして大人しく吊るされたのですか? 縛られたのは隣の部屋デスから、詳しくは分からないのデスけど」
響「あ、ああ……それは……」
提督『抵抗すれば撃つ。言葉を発しても撃つ。大人しく縛られるのと、私にこの部屋を大規模な掃除をさせるのとどっちが良いか選びたまえ』
響「──と、リボルバーを眉間に当てられて……」
金剛・電・雷(怖ーーーー!!!!!)
響「ハッタリなのは分かっていたから抵抗も出来たけど、従うことにしたよ」
雷「ハッタリ?」
響「弾倉に弾が入ってないのが見えたんだ。間違っても弾が出ないようにする為だと思うよ」
電「心臓に悪いのです……」
俺の股関のリボルバーを見てくれこいつをどう思う
響「──っと、毛布が汚れてしまったね。不用意に床へ置くんじゃなかった」
金剛「あ……」
響「うん?」
金剛「い、いえ。なんでもないデース!」
金剛「その毛布、皆が遠征に出てる間に洗っておくヨー」
響「ん、了解した。頼んだよ」
金剛「まっかせなサーイ!!」
金剛(……この毛布、提督のベッドにあった物なのデス。という事は……)
>>43
すごく……スイスミニガンです……。
~その夜~
提督「ふむ……仕事は終わりか」
金剛「途中でスコールになって、遠征も練習だけで切り上げちゃいましたからネー」
提督「あれはかなりの痛手だった。特に燃料が痛いな」
金剛「どうにかしてやりくりしないとイケマセンねー……」
提督「そこは上へ申請して少し多めに頂く事にする」
提督「今回の遠征、敵艦が現れて至近弾をいくつか貰っただろう?」
金剛「え? ハイ……」
提督「損傷箇所をいくつかでっち上げておいた。修理に使った燃料と鋼材を余分に要求したよ」
金剛「そ、それって大丈夫なんデスか!?」
提督「無論ダメだ。だが、現場に居た人間しか分からないくらいの水増しだ。まずバレんよ」
金剛「ほええ……」
提督「金剛、分かってはいると思うが──」
金剛「ハイ! 私は提督の味方デス!」
提督「感謝する」
提督「それでは、今日の仕事は全て終了。金剛、部屋に戻って休息を取れ」
金剛「ハイ!」
ガチャ──パタン
提督「……寒いな。毛布は乾いてないし、代えの毛布を備蓄倉庫へ取りに行くか」
~倉庫物色中~
提督「無い……だと……?」
提督「仕方が無い……。風邪を引かないようにしなければ……」
ガチャ──パタン
提督「うん?」
金剛「おかえりなさい、テートク!」
提督「…………なぜここに居る」
金剛「ちゃんと毛布を取りに自室に戻りまシタ」
金剛「そして、休息を取る為にここへ来まシタ」
提督「私が聞きたいのはそういう事ではない。どうしてここで寝ようと思っているんだ」
金剛「だって、テートクの毛布が乾いてまセン」
提督「備蓄倉庫から取ってくる。だから自分の部屋へ──」
金剛「午前中に備蓄倉庫を確認しましたケド、毛布なんて無かったデス」
金剛「毛布は一枚。加えて寒い中にこのスコール。私達の二人が風邪を引かない為には一緒に寝るしかないデス」
提督「……分かった。私は毛布無しで寝る。だから──」
金剛「テートクが風邪を引いてしまったら、明日の仕事に影響が出てしまいマス」
提督「暖房を使って──」
金剛「暖房用の燃料、まだ無いですよネ?」
提督「代えの服ならある。それを何枚か着て──」
金剛「三着しかないデス。それでは風邪を引いてしまいマス」
提督「……はぁ。参った。降参だ」
金剛「ヤッタ! 私の勝ちネ! テートクー、カムヒアー!」
提督「帽子と上着くらいは脱がせてくれ。皺が付く」
提督「それと、私は男だと分かっているよな?」
金剛「勿論デスよ?」
提督「……自分の身の安全を考えないのか?」
金剛「テートクはそんな事しまセン! それはこの間の処遇で知っていマース!」
提督「分からんぞ。仮に金剛の予想が外れて襲ったらどうする」
金剛「襲われたらデスか? うーん……」
金剛「……テートクなら、受け入れちゃうかもしれまセン。アハッ」
提督「冗談でもそういう事を言うもんじゃない」コツン
金剛「アウチッ。むー……テートク、ノリが悪いデース……」
提督「まったくお前というヤツは……」
提督「電気、消すぞ」
金剛「ハイ。準備オッケーデース!」
提督「何の準備だか……」
提督「それじゃあ、失礼する」モゾ
金剛「アンッ」
提督「ソファーで寝る」
金剛「ジョークですってばテートクー!」
提督「次は無い」モゾ
金剛「はーい……」
金剛「……ねぇ、テートク」
提督「なんだ?」
金剛「テートクはやっぱり優しいデス」
提督「とんだ勘違いだな」
金剛「私の中では優しい人デス」
提督「……そうか」
金剛「響に罰を与える時も、痛くないように毛布を使ってましたし」
金剛「吊るしている時も、響の表情をずっと見て苦痛がないかどうか確認していました」
提督「そうか、そう見えたか」
金剛「遠征の準備も、五分で終わるものに二十分もくれました」
金剛「充分に響へフォローできる時間です」
提督「…………」
金剛「他にも、響へ銃を突きつけたと聞きましたが、弾が入ってなかったそうです」
提督「万が一にも誤射しない為だ」
金剛「本当に脅すなら弾が入っていないと意味がないです」
提督「…………」
金剛「そして、さっきも私を気遣ってくれました」
提督「当然だろ」
金剛「私は──私達は、提督の道具です。本来だったら気遣う必要なんてないです」
提督「私のやりたいようにやっているだけだ」
金剛「気遣ってくれてるのは、今もです」
提督「…………」
金剛「提督、背中を向けてくださってます。私を少しでも安心させる為です」
提督「……………………」
提督「勘の良いヤツだ」
金剛「あはっ」
金剛「提督、こっちを向いてください。背中を眺めるのは、寂しいです」
提督「…………」
金剛「向いてくれなかったら、私がそっちへ行きますよ?」
提督「分かった分かった……」モゾ
金剛「提督♪」ギュー
提督「む」
金剛「やっぱり、あったかいです……。提督も抱き締めてください」
提督「……拒否権は」
金剛「ありません!」
提督「……分かったよ」ギゥ
金剛「あはっ。あったかい……」
金剛「ここ最近で、一番心を落ち着けて眠れそうです……」
提督「……そうか」
金剛「はい。提督、おやすみなさい……良い夢を」
提督「おやすみ」
提督「……………………」
提督(……困ったなぁ。本当、困った……)
~翌朝~
金剛「ん……」
提督「おはよう、金剛」
金剛「てーとく……?」
金剛(なんでテートクが私の部屋……じゃない!)
金剛(そうでシタ! 私、テートクと一夜を──)ガバッ
金剛「いち、やを……」
金剛「あうあうあう……! あう……?」
提督「どうした金剛」
金剛「……テートク、お仕事デスか?」
提督「ああ。午前中に終わらせておきたいからな」
金剛「…………」
金剛(テートク、ロマンチックじゃないデース……)
金剛「って、午前中に?」
提督「そうだ。今日一日は全員に暇を出しておいた。この濃霧じゃ出撃なぞできんよ」
提督「加えて資材が枯渇する寸前だ。資材は明日届くから、どっちにしろ明日じゃないと動けん」
金剛「ナルホドー」
提督「まあ、何もしない訳にはいかないからな。何か装備でも作っておこうか」
提督「ところで金剛、顔を洗ってきた方が良いんじゃないか? まだ軽く寝惚けているように見えるが」
金剛「え? いえそんな事は──」
提督「そうだな、ゆっくりと時間を掛けてきて良いぞ。今日は時間があるからな。秘書の仕事はそれからだ」
金剛「! ハイ! 行ってきマース!」
ガチャ──パタン
金剛(って、テートクはどうして私が朝にバスタイムするの知ってるのでしょうカ……?)
金剛(……………………そういえば、書類が半分終わってましたネ)
金剛(今は……マルロクマルマル。という事は、最低でも一時間前には起きていたのデスか)
金剛(私の部屋からシャワー室へ行くにはテートクの部屋の前を通らないと行けナイ)
金剛(だから、私が朝にバスタイムを知っているのデスか)
金剛「……昨日の仕返しデスかね? ふふっ」
金剛「──楽しいデス」
……………………
…………
……
あとちょっとや……あとちょっとで瑞鶴さんが出てくるんやで……。
スレタイの艦娘二人が出てくるのに、こんなに掛かるとは思わなかった。
~工廠~
提督「で、だ……金剛」
金剛「ワオ……」
提督「お前、何やった?」
金剛「何もやってないデスよ……?」
提督「じゃあなんで、妖精達は建造してるんだ……?」
金剛「提督のご指示じゃなかったんですか……?」
提督「いや、私じゃない……勿論、秘書以外の者が建造に関わる事もできない」
金剛「…………」
提督「…………」
金剛「これ、どう見ても空母デスよね?」
提督「……ああ、それも正規空母だな」
妖精「お、やあ提督」
提督「……何を造ってるんだ?」
妖精「空母」
提督「資材はどこから?」
妖精「港に沈んでた艦をリサイクル」
提督「…………どうやって?」
妖精「あたし達にできない事なんて……一杯あるけど、これくらいならできるよ」
妖精「昨日、提督が駆逐艦達を思いながら遠征練習してるのに心を打たれちゃってね。」
妖精「いやぁ、良かったよアレ! 『資材を持って帰れないと判断したら資材を捨ててでも帰ってこい』なんてさ!!」
妖精「ありゃあ普通の提督には言えないよ」
提督(そうなのか……?)
金剛(たしかに、死んでも持って帰ってこいって言う人がほとんどでしたケド……)
妖精「という訳で、あたし達からのプレゼント。おお、丁度出来たっぽいね」
瑞鶴「──はじめまして! 翔鶴型航空母艦2番艦、妹の瑞鶴です!」
提督「」
金剛「」
瑞鶴「って、あ、あれ?」
妖精「ふふん。ちょっと本気出しました。どうせなら良いモノをプレゼントしたいしね」
提督・金剛「どうしよう……」
妖精「……あれ? お気に召さなかった?」
提督「いや、こんなに難しい船を造ってくれて物凄くありがたい」
金剛「だけどネ、妖精さん……」ピラッ
妖精「うん? 資材倉庫の情報紙? ……え?」
瑞鶴「なになに? 見せて?」
瑞鶴「……うわぁ」
妖精「これ、運用できないじゃん……」
瑞鶴「え……私、来るところ間違えた……?」
金剛(私と全く同じコト考えてマスね……)
妖精「ま、まあ! ここからは提督の腕の見せ所ということで……さいならー!!!」
いっけね、二重投稿やっちまった、すまん
瑞鶴「……提督さん、大丈夫?」
提督「どうしよう……ホントどうしよう……」
瑞鶴「ですよね……」
金剛「駆逐艦達に遠征を頑張ってもらいまショウ……」
提督「それしかないな……」
瑞鶴「……ちなみに、なんだけど……ここの艦娘保有数は?」
金剛「駆逐艦三隻と、私達だけデース……」
瑞鶴「…………詰んでるじゃないの!?」
提督「……金剛、駆逐艦たち全員に伝えてくれ」
提督「ヒトサンマルマルから作戦会議……それも非常に重要な、と……」
金剛「分かりまシタ……」
瑞鶴「…………」
提督「…………」
>>63
提督「気にするな、と言いたいが──」
響「吊るそう。私と同じように」
瑞鶴「……提督さん、どうする? あの……なんだったら解体しても──」
提督「それは認めない」
提督「それとも、瑞鶴は解体されたいのか?」
瑞鶴「そりゃ……嫌だけど……」
提督「ならばそれが答えだ。私はお前を解体しない」
瑞鶴「……どうやっても極貧生活になるわよ?」
提督「いくら普通の女の子になるからといって、解体で悲しそうな顔をする艦娘を見たくない」
瑞鶴「……エゴね」
提督「エゴの塊だよ、私は」
瑞鶴「加えて大馬鹿だと思うわ。この先、上手くやって極貧生活。下手を打ったら敵に殺されるっていうのに──」
グチグチグチグチグチグチグチ。
提督「…………そうかそうか」
瑞鶴「──え? あ……」
……………………
…………
……
雷「休みが作戦会議になるくらい重要な事って何かしら?」
電「きっと、とっても大変な事があったのです」
響「それだと緊急召集を掛けると思うけど……うん?」
瑞鶴『たーすーけーてー!!』
電「だ、誰かの悲鳴が聞こえてくるのです!」
雷「行きましょう!!」
響「……なぜだろう。とても同情したくなる声だ」
~提督室隣の部屋~
電「ここなのです!」
雷「えいやーっ!!」バターン!
瑞鶴「あ、た、助け──いや待って! まず見ないでぇ!!」
雷「吊るされてる……」
電「響ちゃんみたいになってるのです……」
響「提督、何があったんだい?」
提督「八分に渡る上官への暴言、侮辱、その他諸々の罪で吊るし上げた」
瑞鶴「だ、だからってこんな辱め──」
提督「時間追加」
瑞鶴「ひぃっ!?」
金剛(瑞鶴さん……同情するネ……)
電「…………」
雷「あーあ……司令官を怒らせちゃったのね」
響「むしろ八分もよく続けれたと思うよ。私にはできない」
瑞鶴「だ、だって……」
響「安心して良い。私も吊るされた。昨日」
響「それにしても、そこまで言ったのなら、どうして懲役刑じゃないんだい?」
瑞鶴「!?」
響「いやむしろ、そんなに長々と言ったのならその場で銃殺してもおかしくないと思うんだけど」
瑞鶴「!!?」
提督「知らん。私はそんな腐った法に従う気はない」
提督「この鎮守府内だけだがな」
瑞鶴「それはそれでどうなの提督さん……」
提督「そうか」
瑞鶴「わぁぁああ!! 嘘嘘! ごめんなさい!!!」
提督「嘘をついてまで私を貶めたかったのか?」
瑞鶴「あの……その……」
提督「…………」ジッ
瑞鶴「えっと……う……」
提督「…………」ジッ
瑞鶴「ぅ、ううう……」ジワ
提督「ところで皆、もうすぐヒトサンマルマルだが?」
全員「!!」ビクゥ
雷「は、はいい!!」
電「い、急ぐのです!!」
響「もうあんな思いはゴメン!!!」
金剛「あ、あの、私もですか?」
提督「うむ」
金剛「オ、オーケー!! テートクも程ほどにネー!?」
──パタン
提督「知らん。私はそんな腐った法に従う気はない」
提督「この鎮守府内だけだがな」
瑞鶴「それはそれでどうなの提督さん……」
提督「そうか」
瑞鶴「わぁぁああ!! 嘘嘘! ごめんなさい!!!」
提督「嘘をついてまで私を貶めたかったのか?」
瑞鶴「あの……その……」
提督「…………」ジッ
瑞鶴「えっと……う……」
提督「…………」ジッ
瑞鶴「ぅ、ううう……」ジワ
提督「ところで皆、もうすぐヒトサンマルマルだが?」
全員「!!」ビクゥ
雷「は、はいい!!」
電「い、急ぐのです!!」
響「もうあんな思いはゴメン!!!」
金剛「あ、あの、私もですか?」
提督「うむ」
金剛「オ、オーケー!! テートクも程ほどにネー!?」
──パタン
なぜ連投になったし。
提督に吊るされてきます。
五航戦実装されてないからどっちか分からん
エビフライ額に刺さる方か?
瑞鶴「うぅ……うえぇ……」ポロポロ
提督「…………」クルクルホドキホドキ
瑞鶴「ぐすっ……?」
提督「悪かった。もしかして痛かったのか?」
瑞鶴「…………」フルフル
提督「本当だな?」
瑞鶴「…………」コクン
提督「そうか……。泣くほど嫌がるとは思っていなかった。すまない」
瑞鶴「う……」ジワッ
瑞鶴「うう~~ッッ!!!」
提督「っとと?」
提督(なぜ抱き付いてきた……)
>>74
ツインテの方が瑞鶴。
エビフリャーは分からんのだ、すまん……。
瑞鶴「教えて……どうしてこんなに罰が甘いの……」
提督「さっきも言っただろう。私はあんな法に従うつもりはない」
瑞鶴「……それだけ?」
提督「建造直後とはいえ、既にお前は私の艦だ。誰が捕まえたり殺したりするものか」
瑞鶴「でも……私はあんなに沢山……」
提督「だから罰を与えた。充分に恥ずかしかっただろう」
瑞鶴「そりゃ……そうだけど……」
提督「…………」
提督「……私は、悲しまれたりするのが苦手なんだよ」
瑞鶴「……?」
提督「本当なら気にするなと言ってやりたい。だが、それではダメだと秘書に叱られてしまってね」
提督「だから、こうしてケジメをつけている。吊るされるのは嫌だろう?」
瑞鶴「…………」コク
提督「それに……お前を刑に処したら、姉の翔鶴がやってきた時に悲しむ」
瑞鶴「…………」
瑞鶴「……優しすぎ」
提督「悪いか?」
瑞鶴「ううん……そういうの、好き……」
提督「ところで、顔を洗ってきた方が良いだろう。抱き付くのもそろそろ止めておいた方が良い」
瑞鶴「え?」
提督「ん?」
瑞鶴「…………」
瑞鶴「──ピィッッッッ!?!!??!」ビックゥ
瑞鶴「ご、ごごごごごごめんなさいいいい!!!!!!!」ダッシュ
提督「…………嵐のような娘だ」
~一方、隣では~
電「い、いいいい今、とんでもない声が聴こえてきたのです……!」ビクビク
雷「何をやったのかしら、提督……」オドオド
響「まるで鴨の首を絞めたかのような声だったね……」ガタガタガタ
金剛(気になりマース……)
……………………
…………
……
提督「さて、諸君」
金剛・瑞鶴・電・雷・響「ハイ!!!」ビシィッ
提督「……これから作戦会議を行う。議題は『不足している資材の調達方法』についてだ」
金剛・瑞鶴・電・雷・響「────」ピシッ
提督(やたら皆気合が入っているな……)
提督「手元の資料を見て貰えば一目瞭然だが、現在この鎮守府の資材は枯渇寸前となっている」
提督「運用できて駆逐艦三隻が限界だろう。だが、駆逐艦達には遠征をしてもらわなければならない」
提督「この現状を打破するに有効な手段が無い。そこで、諸君らにも知恵を分けて欲しい」
提督「何でも良い。思いついた者は手を挙げて述べてくれ」
電「あの……資材が集まるまで遠征のみというのはどうですか?」
提督「一番確実で効率が良い意見だ。だが、昨日のように敵艦が近くに居る可能性が高い」
提督「そこを狙われて轟沈してしまったら、それこそこの鎮守府は終わりだ」
雷「はい! 護衛に金剛さんを付けるのはどう、司令官?」
提督「それだとマイナスになってしまう。この近海で得られる資源は少なくてな……」
響「夜、海岸を影にして遠征をするのはどうだろう?」
響「私達が昼に寝れば、夜を通しての遠征ならできると思うよ」
提督「ふむ……。これを見てくれ」
響「これは?」
提督「本部からの情報だ。夜になると、赤や黄のオーラを纏った敵艦が複数出没するらしい」
提督「奴等の戦闘能力は非常に高いものとされるようだ。重巡が駆逐艦に落とされたという報告もある程だ」
響「これは……提督は許可してくれそうにないね」
提督「うむ」
提督「何度でも言うが、資材を持って帰れないと判断したら資材を捨ててでも帰ってこい」
瑞鶴「資源を捨ててでもって……貴重なんでしょう?」
提督「資源など時間を掛ければいくらでも手に入る」
提督「だが、君達は君達しか居ない。例え同じ設計図で組み立てても、それは彼女等であって君達ではない」
金剛「提督……」
金剛「ぁ──」
瑞鶴「あの、良いです?」
金剛(──の……)
瑞鶴「ちょっと賭けになっちゃうのがネックなんですけど、艦娘を増やすのはどう?」
提督「増やす?」
瑞鶴「敵艦を撃破すれば艦娘のデータが手に入るでしょう? 初期投資という事で、海からデータを拾ってくる」
瑞鶴「修理や補充ができなくなるのは痛いけど、艦隊を二つに分けて出撃すれば、二倍のチャンスが巡ってくるわ」
瑞鶴「近海の敵も減らせる。新たに手に入った艦娘で遠征も出せる」
提督「…………」
瑞鶴「ど、どう……?」ビクビク
提督「……保留。他にも良い案が無いか考えてから検討しよう」
提督「いや、むしろこの案を基にどう動くか考えた方が良いだろう」
金剛「!」
瑞鶴「やった!」
提督「金剛、何か他に案はあるか?」
金剛「え、あ……その……」
金剛「……無いです」
提督「…………そうか。では、瑞鶴の案を基に話を進めよう」
金剛(大体同じ案だったけど、瑞鶴の方がしっかりとしていました……)
金剛(劣化の案なんて、言えません……)
提督「…………」
……………………
…………
……
響「提督、この子→ID:KIphuwbUo どうする?」
提督「無論……」
瑞鶴「私と同じ目によ!!」ブラーンブラーン
金剛(また何かやったのデスか)
提督「──よし、練り固まったという所だろう。諸君、お疲れ」
提督「この会議での作戦を明日までに頭に叩き込んでおく事。良いな?」
瑞鶴・電・雷・響「ハイ!!!」
提督「……宜しい。では各自自由行動」
提督「ああ金剛、お前だけは残ってくれ」
金剛「……え?」
提督「お前は私の秘書だ。やってもらいたい事がある」
金剛「──ハイ」
提督「駆逐艦達は瑞鶴にこの鎮守府の案内をしてやってくれ」
雷「はーい、司令官。瑞鶴さん、いっきますよー!」
瑞鶴「あ、こ、こら。引っ張ったら──」
──パタン
提督「……さて、人払いは済ませた」
金剛「!」ビクッ
提督「金剛、私が何を言いたいのか分かるか?」
金剛「……私は、役立たずでシタ」
金剛「ろくな案も出せず……かといって煮詰めることも、本当に何も出来なかったです……」
金剛「ごめんなさい……提督……」
金剛「私、役に立てなかった……」
提督「ああ、違う」
金剛「──え?」
提督「私が言いたかったのはそうじゃない」
提督「だが、聞きたかった事が聞けた」
金剛「? …………?」
提督「会議中、何か思い詰めてるようだったからな。気になっていた」
提督「悲しい顔をさせたk……いや、聞き流してくれ」
提督「ゴホン。明日の作戦に支障が出るからな。ケアが必要だ」
金剛「…………」
提督「……どうした? ノーマル駆逐艦からクリティカルを貰ったかのような顔をして」
金剛「あははっ。なんでもないデス」
金剛「涙、ひっこみまシタ!」
提督「良い事だ。泣くのは嬉しい時だけで良い」
金剛「ふふっ、そうさせて下さいネ、テートク♪」
金剛「I don't mind that everthing is a lie」
提督「む?」
金剛「As long as I love you forever」
提督「……流暢だな。聞き取れなかった」
金剛「内緒デース♪」
金剛「ただ……一つ言うなら」
金剛「私、こんなに惚れやすくないはずなんですけどね」
提督「……………………」
金剛「それじゃあ、グッナイ提督♪」
──パタン
提督「…………は?」
カチャ……
金剛「あのぅ……」
提督「……なんだ?」
金剛「髪、梳いてくれますか?」
提督「……さっき良い夢をって言わなかったか?」
金剛「ぅー……」
提督「…………」
金剛「ダメ、ですか?」
提督「……椅子に座りなさい」
金剛「ヤッター!」チョコン
提督「嬉しそうだな」
金剛「そりゃあモッチロン!」
金剛「んー♪ やっぱり気持ち良いデース♪」
提督「そんなに良いのか……?」
金剛「ハイ! 提督のブラッシングは優しくて丁寧デス!」
金剛「もう私、テートクの虜ですヨー?」
提督「冗談……じゃないんだよな?」
金剛「おっ。テートクはコミックスとかでよくある都合の良い難聴はないみたいですね」
提督「なんだそれ」
金剛「告白とカー、それに順ずる言葉ダケ聴こえなくなる現象デス」
提督「もはやそれって分かっててやってるだろ」
金剛「まあ、コミックスですからネー」
提督「それもそうだな」
金剛「ネー、テートクー」
提督「うん?」
金剛「今日も一緒にスリーピングして──」
ガタッ!
金剛「!?」
提督「……誰だ? 現れなかった場合、明日、全員を縛り上げて──」
ガチャ──パタン!
瑞鶴「わ、私です!」
…………。
何時間書き続けてるんだ私……。
ありがとう。
気力が沸いてきた。
金剛「瑞鶴?」
提督「……無断で部屋に入ってきた事についてだが」
瑞鶴「あぁっ!? ご、ごめんなさい!!!」ビクビク
提督「いや、現れろと言ったのは私だ。不問にする」
提督「だが、どうして盗み聞きしていた?」
瑞鶴「それは……その……」
瑞鶴「えっと……ですね……」
瑞鶴「…………」
提督「瑞鶴」
瑞鶴「ひゃいッ!?」
提督「……………………」
瑞鶴「ぅ……」ビクビク
提督「話せ」
瑞鶴「はいぃ……」
金剛(ちょっとだけ可哀想デス……)
瑞鶴「あの……この通路を通ろうとした時、金剛さんが入っていくのが見えたの」
瑞鶴「なんだかすっごい笑顔だったから、つい気になって……」
金剛「あ、あぅぅぅ……」
瑞鶴「えっと……差し支えなければ聞いても、良いですか?」
提督「…………」チラ
金剛「…………………………」コク
提督「髪を梳いてくれとねだってきたので梳いている」
金剛「ス、ストレート過ぎですよ提督ー!!」
提督「回りくどく言った方が良かったか?」
金剛「…………いえ、このままの方が良かったデス」
瑞鶴「……仲が良いですね」
提督「懐かれてしまってな」
金剛「懐いてるんじゃありまセン。惚れているんデス」
瑞鶴「なぁ!?」
提督「お前の方がストレートじゃないか……」
金剛「開き直りまシタ!」
提督「……女心は分からん」
瑞鶴「……あの」
提督「うん?」
瑞鶴「私も立候補して良いですか」
金剛「ホワッツ!?」
提督「…………」
金剛「ど、どうしてですか!? 貴女、今日来たばっかりじゃないですか!!」
提督「それ、昨日来たばかりのお前が言えるか……?」
金剛「……あー…………」
瑞鶴「分からないんです」
提督「ん?」
瑞鶴「なんか、金剛さんが提督さんと……その……恋仲、になるのがとても嫌って思って……」
瑞鶴「でも、提督さんの事が好きかって言われたら、合ってるような違うような……良く分からないの」
提督「…………」
瑞鶴「だから、金剛さんが提督さんと恋仲になる立候補をするなら、私も──」
提督「話の途中ですまんが、一つ言わせてくれ」
瑞鶴「え?」
提督「私は金剛の想いを受け入れるともなんとも言っていないし、そもそもハッキリとした……いわゆる告白は受けていない」
金剛(言いましたのにー……)
提督「そもそも、私にとって二人は昨日今日、出会ったばかりなんだ」
提督「そんな出会ってすぐ決めれるほど飢えておらんよ」
提督「金剛がそこの所をどう思っているのか知らないが……」
金剛「アピールするだけですよ。私は食らいついたら放さないんだから!」
金剛「あ、でも、嫌がってたら流石に諦めますケドね」
金剛「提督が振り向いてくれるまで、ささやかに想い続けます」
提督「…………分かった。憶えておく」
提督「瑞鶴もそれで良いか?」
瑞鶴「え? は、はい……」
提督「それじゃあ二人共、今日は解散。明日に備えよ」
金剛「ハーイ」
瑞鶴(…………?)
瑞鶴(なんか、無理矢理に追い出そうとしてる……?)
──パタン
提督(…………はぁ)
提督(本当に困った……)
提督(……………………やりづらい……)
~翌日~
響「晴れたね」
提督「ああ、晴れたな」
提督「──これより第一艦隊、第二艦隊に分かれ、南西諸島沖に向けて出撃してもらう」
提督「第一艦隊は瑞鶴、電、雷」
瑞鶴・電「はい!」
提督「第二艦隊は金剛、響」
金剛・響「ハイ!」
提督「昨日も言ったが、今から言う事は何がなんでも守れ」
提督「『まだいける』と思ったらもう危ない。そして『もう危ない』と思ったらいつ沈んでもおかしくないと思え」
提督「慢心は死を招く。海の上では気を抜くな」
全員「はい!!」
提督「金剛、響。私の留守中、母港を守ってくれ」
金剛・響「ハイ!」
提督「出撃する。第一艦隊、出撃」
~南西諸島沖~
瑞鶴「……普通に出てきたからなんとも思わなかったけど」
雷「どうして司令官も一緒に来てるの?」
提督「電は知ってるが、お前達が戦場に出ているのに、上官である私が安全な場所でのうのうとするのは嫌だ」
提督「あと、無線だけでは分からないモノもある。的確な判断を下すなら前線に立つべきだ」
瑞鶴「もっともだけど、危なくないかしら……」
瑞鶴「提督さんが居なくなったら、私たち何もできなくなるわよ?」
提督「だからこその指示だ」
雷「? どういう事?」
提督「……本当は演習で経験を積ませるのが良いんだが、何せ資源が無いからな。私のせいで」
瑞鶴・電・雷(認めてたんだ……)
>>95で403のNorthern Lights思い出したけど微妙に違った
支援
提督「それゆえ、今の艦隊は錬度が低い」
提督「それを補うために、私が直接指示を出しているんだ」
提督「正直に言うと、さっきのは建前だ。錬度が高くなれば無線で指示をする方向に切り替わるかもな」
電「かも……ですか? それは、ずっとこのまま一緒に海へ出るかもしれないという事ですか?」
提督「……よく聞いているな、電。そういう事だ」
提督「人間、誰しも矛盾した心を持っている」
提督「私の言った建前も、本当の理由も、どっちも私の本心なんだ」
提督「そして、どちらも──む」
瑞鶴「! 船の影! 偵察機、飛ばします!」
……………………。
>>108
元ネタはそれです。
知っている人が居てくれて嬉しい。
提督「……敵か。数と艦種は」
瑞鶴「数は2。駆逐ロ級とイ級です!」
提督「総員、戦闘準備開始。瑞鶴、攻撃機と爆撃機は飛ばせるか?」
瑞鶴「いつでも!」
提督「良い返事だ。飛ばせ」
瑞鶴「はい! 皆、アウトレンジで決めてよね!!」
艦爆妖精「任せろ嬢ちゃん」
艦攻妖精「……敵艦確認。沈めます」
艦戦妖精「今回は休みなのー」
ブゥゥゥン……ッドォォォオオン!!!!
瑞鶴「……敵艦、全滅させたみたいよ」
提督「よくやった瑞鶴。流石だな」
瑞鶴「──あ」
瑞鶴(……胸が高鳴るくらい、すっごく嬉しい)
雷「おおお!!! 凄い凄い!! 射程距離に入る前にやっつけた!!」
雷「これが瑞鶴を先に出させた理由かー」
提督「そうだ。射程外から一方的に攻撃できるのは、とてつもない武器だ」
提督「ところで、瑞鶴、雷」
瑞鶴・雷「?」
提督「電の方を見てみろ」
電「他に敵は居ないみたいです──って、はい?」
提督「二人がしていなかった索敵を、電は一人やっていた」
瑞鶴・雷「あ……」
提督「出撃前、私が言っていた事を暗唱せよ!」
瑞鶴・雷「ヒッ──! 『慢心は死を招く。海の上では気を抜くな』です!!」
提督「うむ、よく憶えていた。そして、さっきの君達はどうだったか答えてくれ」
瑞鶴・雷「慢心していました!! 申し訳ありません!!!」
提督「そうか。よほど海の底へ沈みたいようだ」
瑞鶴・雷「────!!」ガクガクブルブル
提督「処罰は帰ってから行う。だが、私も鬼ではない」
提督「先程の行為を覆すほどの活躍を見せてくれたら、処罰は無しとしよう」
瑞鶴・雷「ありがとうございます!!」
提督「うむ。良い働きを期待しているよ」
電(凄いのです……! 緩んでいた緊張の糸をすぐさま張り直したのです!!)
電(凄いなぁ……司令官さん)
電(そして、瑞鶴さんのあうとれんじ攻撃も凄いのです! これだったら被害が最小限なのです!)
……………………
…………
……
瑞鶴「むっ! 敵艦と思われる影を確認しました!!」
瑞鶴「──偵察機の報告によりますと、軽巡、雷巡が各一隻、駆逐が三隻のようです!!」
瑞鶴「飛ばしましょうか」
提督「意味は伝わるが、必要箇所を省略するな。それが元となって伝達に齟齬が発生する」
瑞鶴「は、はい!! 失礼しました!」
提督「ちなみに、各艦の大きさ、陣形は?」
瑞鶴「軽巡がへ級。雷巡がチ級。駆逐はロ級一隻、ハ級が二隻。陣形は単縦陣のようです」
提督「ふむ……陣形はこのまま維持。まずはハ級の二隻を艦爆、艦攻で攻撃しろ」
瑞鶴「え? は、はい」
艦爆妖精「いいのかい提督さん? 真っ二つにしてやるぜ」
艦攻妖精「了解しました。殲滅します」
艦戦妖精「まーたお仕事無しですよ……」
ブゥゥゥン……ッドォォォオオン!!!!
瑞鶴「! 一隻は撃沈、もう一隻は大破炎上! ですが、直に沈むと思われます」
提督(やはりか……まだ火力が足りない。駆逐艦を狙わせて正解だった)
流石に疲れてきた。
私、そろそろ休んで良いのかな……。
おお……ほぼ12時間ぶっ続けで書いてたのか……。
にしても、書けば書くほど長編へなりそうで怖い。
短編が書けないのは辛いデース……。
無理矢理短編にするとペラッペラになりマース……。
結局マルロクマルマルくらいまで起きてました。
今から投下します。
提督「総員、砲雷撃戦に入る。駆逐艦は主砲用意」
提督「空母は第二次攻撃隊発艦始め」
提督「敵に攻撃を許すな」
提督「電、恐らく敵の駆逐艦は旗艦の軽巡を庇おうとする。さっきの先制攻撃で随分敏感になっているはずだ」
提督「それを逆に狙え。最初っから駆逐艦を狙うんだ」
電「はいなのです!」
提督「瑞鶴は電の発砲後、敵旗艦の軽巡へ総攻撃。一切の妥協をするな」
瑞鶴「はい!」
提督「雷は敵軽巡と駆逐の両方を狙っておけ。落とし損ねていたら撃つから、いつでも撃てるようにしておく事」
提督「そして威嚇に今、敵旗艦に撃て。当たらなくて良い。敵駆逐艦を誘い出す」
雷「任せて司令官! テーッ!!」
敵軽巡「ぴぎぃ!?」ゴォン! 中破
雷「あ、船橋に当たっちゃった」
提督「よくやってくれた! 敵が怯んだこのチャンスを逃すな!」
提督「電、困惑している駆逐艦へ斉射! 瑞鶴、第二次攻撃隊に攻撃命令!」
電・瑞鶴「はい!!」
敵軽巡「Nooooooo!!!!」 撃沈
敵駆逐「連中の艦隊はバケモノか!?」 撃沈
瑞鶴「……提督さん、攻撃隊が一発目で敵軽巡を沈めたらしいから、敵雷巡にも攻撃していいかって聞いてる」
提督「許可する。──雷、残った敵雷巡へ撃て!」
瑞鶴「はい!」
雷「はーい!」
敵雷巡「えっちょ──おおおばあああああきるぅぅぅううううう!!!?!?!」ドゴドゴドゴドゴ 撃沈
提督「うむ。敵は全滅したな」
瑞鶴・電・雷「周囲に敵影ありません!」
提督「うむうむ。索敵ご苦労」
提督「やればできるじゃないか」
瑞鶴・雷「!」パァ
瑞鶴・雷「──ハッ!!」キョロキョロ
提督「うむ。もう慢心していないようだな」
提督「──さて、データも回収したし、帰ろうか」
提督「……索敵を怠るなよ?」
瑞鶴・電・雷「はい!!」
……………………
…………
……
金剛「あ、帰ってきたネ!」
響「! ご苦労様、皆」
金剛「お疲れサマ!」
金剛「戦果リザルトはどうでシタ?」
提督「上々だ。まさかデータを四つも持って帰れると思わなかった」
金剛「ワーオ! コングラッチュレイショーン!!」
響「という事は、私達は出撃しない方が良いかな?」
提督「このデータが何によるかだが、大方しなくても良いだろう」
……………………
…………
……
提督「……確認する。君達の名前は──」
提督「神通、川内、那珂、暁で間違いないな?」
神通「はい」
川内「うん、そうだよー。で、今夜って夜戦の予定とかある?」
那珂「那珂ちゃん、有名だー!」
暁「ええ、そうよ司令官さん」
暁「って、皆!!」
雷「暁!」
電「暁ちゃんなのです!」
響「……これは驚いた。まさか一発で拾ってきてくれるなんて」
提督「私も正直、驚いてる」
金剛「あのー……提督、これって」
提督「ああ」
金剛「第三艦隊の保有許可が下りるネー!!」ダキッ
提督「なぁ!?」
金剛「やったヨー! 凄い嬉しいネー!」ギュウゥ
那珂ちゃんがうざいので那珂ちゃんのファン辞めます
提督「……金剛、時間と場所を弁えろ」
金剛「はっ!」
全員「……」ジィ
金剛「あ、アハハ………………ゴメンなさい……」
提督「喜ぶ気持ちは良く分かる。が、今後無いように」
金剛「ハイ……」
提督「それはさておき……」チラ
瑞鶴・電・雷「!!!」ビクッ
提督「処遇を決めよう。三人共、提督室へ行くように」
提督「金剛、響、すまないが四人に鎮守府の案内をしてやってくれ」
金剛「了解デース」
響「いってらっしゃい、司令官、三人共」
>>129
那珂「たった一言でウザいって言われた!?」
那珂「那珂ちゃんカナシー……」スンスン
想像以上に那珂ちゃんにイラッときたので那珂ちゃんのファンやめます。
瑞鶴・電・雷「…………」ガタガタガタ
川内「……なんであの三人、震えてるの?」
響「司令官の怖さを知っているからさ」
神通(こ、怖いお方なんですか……)ビクビク
那珂「そんな風には見えないけどー?」
暁「ええ。むしろ優しそうな人よね」
金剛「いずれ分かる日が来ると思いマース」
金剛(でも……『処遇』ですか。やっぱり優しいですね、テートク♪)
……………………
…………
……
ところでこの提督さんはモーターボートにでも乗ってるのかしらん
~提督室~
提督「……ここに呼ばれた理由は分かっているな?」
提督「出撃前の私の命令に従えなかった者が二名居る」
瑞鶴・雷「はい……っ」ビクッ
提督「それとは別の理由で、電にも来てもらった」
電「は、はい……」オドオド
電(なんでしょうか……私、何か失敗したのかな……)
提督「まずは雷」
雷「はい!!」ビクッ
提督「戦闘終了後、命令をしていたのにも関わらず気を抜き、慢心した」
提督「だが、最後の戦闘において敵旗艦軽巡に直撃弾を与え、指揮系統を狂わせて敵に攻撃させなかったのは事実」
提督「資材を消費できない中、今回の出撃で一切の被害を出さなかった事へ非常に大きな貢献してくれた」
提督「よって、罰は無しだ」
雷「え、あ──ありがとうございます!」
>>134
この提督なら当たり前のように海の上を滑ってくれると思う。艦娘と同じように。
提督「次に、瑞鶴。一歩前へ」
瑞鶴「はい!」ビクン
瑞鶴(どうしよう……私、雷みたいに特別な戦果を挙げてない……)
提督「先に述べた雷と同じ過ちを犯している、が──」
瑞鶴(おまけに戦闘中に何回も注意された……!! つ、吊るされる!?)
提督「──会敵七隻中四隻撃破。雷との共同戦果二隻」
提督「今回の出撃で一番貢献してくれている。よくやってくれた」ナデナデ
電・雷「!!!」
瑞鶴「──え? あ、あれ……はひ!?」
電(瑞鶴さん、お顔が真っ赤なのです)
雷(物凄く嬉しそう……。良いなぁ……)
提督「これにて今回の処遇は終わりだ。電以外は下がりなさい」
瑞鶴・電・雷「え?」
提督「なにかね?」
瑞鶴・雷「い、いえ!! 失礼しました」ピシッ
提督「ああ、午後からは行動を自由とする。燃料と弾薬が補充できないのはすまないがね」
瑞鶴「は、はい……」ポー
雷「はいっ司令官!」
カチャ──パタン──
提督「──さて電」
電「は、はい!!」ビクッ
提督「紅茶とココア、どっちが好きかな?」
電「…………ほえ?」
……………………
…………
……
提督「大した話ではないのだが、少々気になってね──ココアの甘さ加減は丁度良いかい?」
電「はい……とっても美味しいです……。けど、どうしたのですか、司令官さん?」
提督「なに。電は敵艦を沈めると悲しそうな顔をしていると気付いてね」
電「…………」
提督「それはなぜか、私には分からんのだよ。だから教えてくれないか?」
電「……………………」
提督「…………」
電「あの……怒りませんか?」
提督「知らん」
電「ええっ!? こ、ここは『怒らないよ』とか言う場面じゃないですか!?」
提督「知らん。私が怒るかどうかは話の内容を聞かないと分からんよ。私はエスパーではないからね」
提督「それとも、私が怒りそうな内容なのかな」
電「司令官さんなら怒りそうにない……と思います。けど……」
提督「…………けど?」
電「『司令官』という立場だと、怒るのが普通かな……と思うのです」
提督「ふむ。言ってごらん」
電「はい……。あの………………戦争って、殺し合いですよね……」
電「敵も私達と同じだと思うのです……。家族が居て、仲間が居て、大切な人が居て……中には、仕方がなく戦ってる人も居ると思うのです」
電「だから……沈んだ敵も、できれば助けたい……。そう思っちゃうんです……」
提督「……………………」
電「司令官さん……。戦争には勝ちたいけど、命は助けたいって……おかしいですか……?」
提督「……どうだろうな」
提督「…………すまん、私は電の悩みを解決する事ができない」
電「です、よね……。敵を助けても、帰らせちゃったらまた戦場に──」
提督「それもあるが、私が言いたかったのはそうじゃない」
電「え?」
提督「…………」
電「……相容れれない……のですか?」
提督「確かに敵と会話を設けた事は無い。だが、それが理由というわけではない」
提督「電」
電「はい?」
提督「……電の悩みの答えは、電の思っているよりも深海の闇の中にある」
提督「触れると取り込まれるぞ」
電「………………取り込まれる……?」
電「司令官さん……? どういう事なのですか……?」
提督「知らなくて良い。できるならば──」
提督「──その悩みを忘れた方が、幸せだ」
……………………
…………
……
提督「さて、この書類を片付けねば」
金剛「ワーオ……まさにマウンテンね……」
提督「この程度で音を上げていたら、この先やっていけなくなるぞ」
提督「鎮守府を快適にすればするほど、この書類は増えていくからな」
金剛「ンー……大きくするのも問題なのデスねー……」
提督「できるなら、程々が一番だな」
金剛「ですネー……。あ、紅茶にしますか、コーヒーにしますか、それともココア?」
提督「金剛が飲みたいヤツを頼む」
金剛「ハイ! では紅茶を淹れますネ」
……………………。
金剛「お待たせネ」
提督「ん、ご苦労」ズズ
提督「……………………」
金剛「? どうしたんデスか、テートク?」
提督「金剛、お前の茶を飲ませてみろ」
金剛「え!? い、いや……それは…………」
提督「上官命令だ」
金剛「……ハイ」
提督「…………」ズズ
金剛「…………」ビクビク
提督「……やはり、薄いな」
金剛「あう……バレてしまいまシタ……」
提督「金剛の紅茶は、出涸らしを使っていたのか」
金剛「ハイ……」
提督「見えない所で健気だな、金剛。そうやって少しでも節約しようとしていたのか」
金剛「そもそも、たかが秘書の私も紅茶を飲んでいるのがおかしいのデス」
金剛「テートクは優しいから私に紅茶を飲むの許可してくれていますケド、本来だったらダメなんデスよ?」
提督「秘書の特権だ。私の城ではそうなっている」
金剛「そう言うと思っていたネ」ソッ
提督「む」
金剛「大好きですよ、提督」ギュ
提督「金剛、時間と場所を弁えろと言ったはずだろう」
金剛「今は仕事前のティータイムです」
提督「ここは提督室だが」
金剛「私達以外、誰も居ません。つまり、誰の目にも触れません」
提督「……まったく、抜け道を探すのが上手いな」
金剛「提督の秘書になる為の必須技術だと思いますよ?」
提督「ごもっとも」
金剛「──サテ! デスクワークをしましょう!」
提督「ああ。だが、その薄味の紅茶は私が貰う。そして、これからは使えなくなるまで私の紅茶にも出涸らしを使う事」
金剛「え?」
提督「私も鎮守府の懐に貢献せねばな」
金剛「あはっ。やっぱり、提督は優しいです」
提督「私のやりたいようにやっているだけだよ」
提督「──さて、今日の遠征練習についてだが、金剛はどう思った?」
金剛「──まだ錬度が足りないと思いマス。あれではまだ、敵が現れた時に無駄撃ちしそうデス」
提督「同意見だ。だが、上から指示された近海の警備任務の項目をギリギリながらクリアしているのも事実」
提督「そこでだ。彼女らにはしばらく警備任務と海上護衛任務で────」
金剛「海上護衛はまだ早いと思いマス。実戦で経験を────」
提督「そうだな。その方向でやって────」
金剛「こっちの資料によると────」
提督「防空射撃演習か────」
金剛「────」
提督「────」
……………………。
瑞鶴「…………」
瑞鶴(……仕事をしてるけど、楽しそう。いいなぁ……)
瑞鶴(秘書、か……。お茶の練習、しよう)
……………………
…………
……
ええなぁ
話しの都合とは言えもしここまで運良く川内型揃った人いるなら爆散させるしか無いな
提督「ふう……。今日の仕事、終わったな」
金剛「うー……疲れまシタァ……」
提督「秘書の仕事、だいぶ慣れてきたようだな」
金剛「いっぱいいっぱいデース……。まだまだ速くなれるはずデース……」
提督「向上心があって良い事だ」
金剛「…………テートク、マルヒトマルマルデース」
提督「もうそんな時間か」
金剛「そうデス。この時間が悪いのデス」
提督「うん?」
金剛「提督。提督はどうしてそんな目をするのですか?」
金剛「希望を失って、絶望しか見えていないかのような目をしています」
提督「…………」
金剛「私、知りたいです。提督の過去を」
提督「……ストレートだな、金剛」
金剛「それが私の良い所で悪い所です」
>>151
すみません。この部分は大体実話です。
川内型は1-2クリア時に全部揃いました。
響「吊るそう」
あ、響ちゃんごめんなさ──ひぎゃぁあッ!!
提督「よく分かっているようだ」
金剛「踏み込まれたくないのだったら、そう言ってください。私は強要したくないです」
提督「……少し、時間をくれるか?」
金剛「はい、待ちます。いつまでも」
提督「………………金剛」
提督「答える代わりに、髪、梳かさせてくれ」
……………………。
金剛「ンー♪ 幸せデス♪」
提督「それは良かった」
金剛「こうしていると、眠くなるのが玉に瑕デス……。もっとこの幸せを感じていたいの二ー……」
提督「眠くなったら寝ても良いんだぞ。無理はするもんじゃない」
金剛「勿体無いデース……。折角テートクがーブラッシングしてくれているのニー……」
提督「…………」
金剛「…………」
提督「……綺麗な髪だな」
金剛「自慢のー……髪デース……」
提督(ホント、綺麗だな……)
提督(艶もあるし、細く柔らかい。自然な栗色の毛で、風に靡けば一層美しさが増すだろうな)
提督「……………………」
提督「沈ませはせんよ。必ず」
金剛「…………」
提督「む」
提督(寝たか……。自室へ運んで──いや、勝手に部屋に入るのはマズイか)
提督(なら私のベッドへ運ぶか。嫌がる事はないだろう)ソッ
提督(……こうして見ると、本当にただの女の子なんだがな)
金剛「てーとく……」
提督「ん、すまん。起こしたか」
金剛「私が……護ります……」
提督「……寝言か」
提督(護る、ね……)
提督(…………悲しい事だ)
……………………
…………
……
金剛無双で瑞鶴ちゃんの割り込める隙が無い。
どうしてこうなった。
金剛「で、言い訳はありますか、テートク」
提督「……無い」
金剛「私、前に言いましたよね? 風邪を引くって」
提督「……言った」
金剛「じゃあ──どうして風邪を引いてるんですか!!」
提督「面目ない……」
雷(あの司令官が言い負かされてる……)
電(金剛さん、ある意味凄いのです……)
響(私には真似できない……)
瑞鶴(私もよ……。恐ろしくてできないわ……)
金剛「ええ。確かに私が提督の部屋で眠ってしまったのが悪いですよ?」
金剛「でも、起こすなり一緒の毛布に入るなりと方法はいくらでもあったんじゃないですか?」
雷(さり気なくとんでもない発言してるのに気付いてるのかしら……)
金剛「前に毛布が無い時、一緒に寝ましたよね?」
瑞鶴(なんですって!?)
金剛「前例はあったのに、どうして今回はやらなかったのですか?」
提督「…………あの時は、金剛の同意を貰っていただろ」
金剛「では、私が嫌がるとでも思ったのですか?」
提督「…………嫌がらないと思う」
金剛「分かっているじゃないですか!! そういう時は一緒に寝てください!」
電(はわわ……! 聞いてるこっちが恥ずかしいのです……)
提督「だが……論理的に──」
金剛「てーいーとーくー!?」
提督「……………………」
金剛「ちゃんと反省して下さい。提督が不調だったら、公私共に困るんですよ?」
提督「…………分かった。以後無いようにする」
金剛「──はい。ちゃんと反省して、分かってくれたら良いんです」
金剛「ふう……。デハ、今日のミッションは瑞鶴と私を除く七隻で演習をすれば良いんデスね?」
雷(あ、真剣の時──じゃないわね。私事の時は日本語が流暢になるのね)
提督「ああ……頼んだ」
……………………
…………
……
金剛「──と、いう訳で! 今日は私が提督の代わりに演習総指揮を執りマース!」
金剛「ちなみに命令に背いた者、昼に夜戦を試みようとする者、支障をきたす私語をする者は吊るして良しと許可を貰っていマス」
川内・那珂「ひぃ!?」ビクゥ
響「ああ……君達は早々に吊るされてたね、同胞よ」
金剛「弾は開発妖精さん特製のペイント弾を使いマス。水で簡単に落ちるので、気にせず当ててくださいネー」
金剛「当たった箇所で瑞鶴と私が轟沈判定を出しマス。砲塔に当たったらその砲塔は使えなくなると思ってくださいネー」
金剛「質問はありマスか?」
響「はい。中破、大破の判定はどんな基準なんだい?」
金剛「基本的にありまセン。けど、重要箇所に被弾したら使わないように意識して下サイ。当たると冷たいからすぐに分かると思うネ」
雷「はーい! 被弾箇所を意識しながら戦闘するのって、物凄く難しくない?」
金剛「それは実戦でも同じ事ヨー? 至近弾でもない限り、被弾すると基本的に使えなくなるデショ?」
金剛「むしろ、被弾箇所を意識せず戦闘を続行すると、思わぬ被害が生まれマス。なので、実戦でも被弾箇所は意識して下さいネ」
電「あの……。弾は二十発だけなのですか?」
金剛「これからはもっと遠くの海域に足を運ぶ事になりマス。つまり、戦闘回数が多くなるわネ。確実に当てるのは難しいケド、浪費しないよう出来るだけ当てる訓練も兼ねていマス」
暁「はい。魚雷は?」
金剛「今回は無しデス。開発妖精さんに期待してくださいネ」
川内「はい!! 夜戦の演習はやって──」
金剛「吊るしますヨ」
川内「い、いえ!! なんでもな──あ、違った、えと……あっ! や、夜戦の演習って今後やるの!?」
響(上手くかわしたね)
金剛「今の所その話は無いデスが、提督に聞いてみますネ。他にありマスか?」
金剛「………………無いみたいネ。それじゃあ、演習開始デス!!」
……………………
…………
……
提督「ケホッ。まだ少し甘い気もするが、さすが艦娘。よくやっている」
コンコン──。
提督「──誰だ?」
任務嬢『任務嬢です。元帥がお見えになりました』
提督「!? ……お通ししろ」
ガチャ──
元帥「やあ、数日ぶりだね」
提督「ハッ」ピシッ
元帥「いやいや、畏まらなくて良い。楽にしたまえ」
提督「いえ! 元帥殿に対し、そのような行為は出来かねます」
元帥「私が良いと言っている。……そうだな、座って話そうか」
……………………。
提督「どうぞ。元帥殿がいらっしゃるのでしたら、もっと上等な茶葉を用意したのですが……」
元帥「構わん構わん。濃は程々の茶が一番だよ。礼儀作法は苦手なのでな」
元帥「──いきなり本題に入るが、君は非常に興味深い戦果を挙げているね」
元帥「着任初日で高速戦艦を保有。二日目で空母。三日目では総司令部の指定した神通、川内、那珂の進水」
元帥「このような大戦果を挙げる者はそうそう居らぬよ」
提督「恐縮です」
元帥「だが、一つ気になるものがある。二日目に建造した瑞鶴」
元帥「アレは、港に沈んでいた艦を材料に造ったとあるが、間違いないね?」
提督「ええ。建造妖精達が総出で拾い上げてくれました」
元帥「ハッハッハッ。実に面白く、無駄の無い行為だ。だが──」
元帥「単刀直入に言おう。瑞鶴を総司令部へ引き渡しなさい」
提督「…………理由をお聞きしても宜しいですか?」
今まで三~四レス分書き溜め続けていたけど、ちょっと難しい話になって書き溜めが尽きそう……。
投下スピードが落ちると思います。
元帥「ふむ、理由とな?」
提督「はい。上官の命令は絶対です──が、我が鎮守府は残念ながら小さい。小さい故に戦力が乏しい。そんな小さい鎮守府で、最大戦力の一隻です」
提督「今、彼女を手放してしまうと、戦力の降下だけではなく深海棲艦から母港襲撃を受けた際──」
元帥「それは無い」
提督「……無い? なぜですか」
元帥「そういう風に出来ておるのだよ、深海棲艦というモノは」
提督「…………すみません、話が逸れてしまいました」
元帥「よい。私が逸らした」
提督「──艦娘は一人の提督にしか命令を聞かないと耳にします。まるで、初めに見た者を親と思う雛鳥のように」
提督「それなのに、どうして総司令部へ? こう言うのは少々気が引けますが、他人では完全に役立たずですよ」
元帥「……………………」
提督「……元帥殿?」
今更だけど、多少グロっぽい表現が出てきます。
注意サレタシ
ついでにいずれエロも書く予定。
厳重注意サレヨ
元帥「……いやなに。君への処遇を考えている所だ」
提督(は? 処遇?)
元帥「そうだな。うむ。素質は充分にある」
元帥「少将よ、君は深海棲艦に興味はあるか?」
提督「……はい。大変興味深くはあります」
提督(なんだ……? どういう意図の質問だ……?)
元帥「では、深海棲艦をどう思っている?」
提督「どう……とは?」
元帥「そのままの意味だ。何でも良い。率直に答えてくれ」
提督「……………………」
提督(まさか、調べていたのに感付かれたか……?)
提督(いや、その可能性は低い……。倒した敵艦から出てきたデータを回収しているようにしか見えていないはずだ)
提督「そうですね……なんと言えば良いのやら……」
提督(どう答えるのがベストだ……。くっそ……頭が上手く回らん……!)
提督(仕方が無い……冗談を言って有耶無耶にするか)
提督「性能の驚きを隠せません。アレらを素材とした艦娘を建造すれば、我が鎮守府もすぐさま強くなるでしょう」
元帥「宜しい。二階級特進だ。少将、君は今から大将だ」
提督「なーんて──ハァ!?」
提督「な!? ど、どういう事ですか元帥!!」
元帥「どうもこうも、そういう事だ。おめでとう」
提督「……私は死ぬのですか」
元帥「何か勘違いしているようだが、殉職による二階級特進ではない」
提督「ではなぜ……」
元帥「なぁに。我々の計画を話すに値すると判断したからだ。大将以上の方が何かと融通が利くからのう」
元帥「深海棲艦を素材にして艦娘を造ったという実績もある」
元帥「何より今は駒が圧倒的に足りない。多少強引でも引き入れている」
元帥「そして──」
元帥「もう逃げる事は叶わんよ、大将殿?」ニィ
提督(おい……オイオイオイオイオイオイオイオイ!!!!! 地雷を踏み抜いたどころの話じゃねーぞ!!?)
提督(帝國海軍はどこかおかしいと思っていたが、真っ黒なんじゃねーのかこれ!?)
元帥「何もかもという訳にはいかんが、話そうじゃないか」
元帥「我々の計画を────」
……………………
…………
……
元帥「始まりは、艦娘建造計画から始まった」
元帥「我々の今の敵は深海棲艦。将校でもそう教えられただろう」
元帥「そして、その深海棲艦を倒す為に艦娘を使っている」
元帥「今でこそ当たり前の存在だが、当時の艦娘はとても不安定でな」
提督「……………………」
元帥「いやあ、それはもう阿鼻叫喚、地獄絵図だったよ」
元帥「失敗作は様々な死に方を迎えた。全身の皮膚が剥がれ落ちる者。溶けるように血の塊へと変わる者」
元帥「身体中から鉄の柱が突き出る者。突如骨が砕ける者。人の形を保てなくなった者……」
元帥「どんな形であれ、その成れの果てが深海棲艦だ」
提督「!!」
提督(やっぱりか……。倒した深海棲艦から艦娘のデータが出てくるなんておかしいと思った)
元帥「その顔を見るに、既に予測はしていたようだな」
提督「……ええ。敵艦から艦娘のデータが出る事に疑問を抱いていましたから」
提督「それに、ところどころ艦娘と似ていますしね」
元帥「結構。話を続けよう」
元帥「その深海棲艦だが、最初は艦娘と大して変わらん装備だった」
元帥「だが、彼女らは次第に我々の想像を上回る兵器を扱ってきだした」
元帥「なぜだと思う?」
提督「……彼女らも、艦娘と同じように成長している……?」
元帥「半分正解だ」
元帥「もう半分は、大陸の技術だ」
提督「大陸……? 将校で言っていた深海棲艦の大陸ですか?」
元帥「うむ」
元帥「更に、深海棲艦は燃料も弾薬も必要無い」
提督「……どういう事ですか。どうやって動いているんですか、それは」
元帥「これについてはまだ解明されていない。が、一説によると負のエネルギーが原動力では、と言われている」
提督「負のエネルギー?」
元帥「そう。恨みや怨念。現に彼女らが率先して狙うのは人間ではなく艦娘。それはよく実感しているんじゃないかね?」
提督(────そうか。最初の出撃の挟撃してきた駆逐艦。確かに俺じゃなくて金剛を狙っていた)
元帥「思い当たる節があるようだね」
元帥「その負のエネルギーだが、戦争をしている内はまず無くならないだろう」
元帥「殺し、殺され、沈んでいくのだ。無くなる訳がない」
元帥「深海棲艦を解体して調べてみたが、動力となりそうな部分は一切発見されなかったらしい」
元帥「その深海棲艦を素材にして、艦娘を造ろうと試みた。が、今まで一回たりとも成功しなかった」
元帥「君を除いて」
元帥「君の瑞鶴、通常の艦娘よりも性能が高いのでは?」
提督「……いえ、この鎮守府に空母は瑞鶴一隻しか居ないので分かりかねます」
元帥「そうか……残念だ。補給はしたのかね?」
提督「いえ。資材が枯渇寸前の為、金剛、瑞鶴に回す資材がありません」
元帥「そうか……色々と足りないのだな」
元帥「よし。資材については特別配給をしよう」
元帥「これから色々と結果報告をして貰わねばならんからなぁ」
元帥「さて、前置きはそろそろ終わりにしよう。本題だ」
元帥「我々は今、戦争で劣勢状態にあるのは分かっているね?」
提督「……はい」
元帥「深海棲艦を基とした艦娘を大量に造り、そして戦争を勝ち抜け」
元帥「勝たなければいけないのだよ。でなければ我々の未来は無い」
提督「……未来、ですか」
提督(何言ってるんだこのクソジジイ。さっき深海棲艦は艦娘しか狙わないって言ったじゃねーか)
提督「ですが、深海棲艦は艦娘しか狙わないと──」
元帥「そんな事は言っておらん。率先して狙うのは艦娘だが、人間を狙わない訳ではない」
提督「……失礼しました」
元帥「よい。大将、ランチェスター第二法則は知っているか?」
提督「戦闘力=質×量×量……ですよね?」
元帥「うむ。現在の深海棲艦の数は、艦娘の数千倍は下らないと言われている」
提督「数千……」
元帥「総合的な質で言うと我々の方が遥かに上だ。だが、圧倒的な数の暴力には勝てん」
元帥「その内、艦娘は全滅して深海棲艦が人類を滅ぼしにくるだろう。そうなると、人類は滅亡する」
元帥「現に、いくつかの基地は艦娘が全滅したという報告もある」
提督「……その基地はどうなりましたか」
元帥「放棄した後、乗っ取られたよ。現在は深海棲艦が拠点にしている」
元帥「彼女らも母港というものが恋しいのだろう……。母港に対して一切の砲撃はしてこなかったよ」
元帥「だが、それを逆手に戦力が揃うまで一切出撃をしなかった基地もあるが、流石に手を出された」
元帥「なるべく母港を傷つけず、艦娘は例外なく沈められた」
元帥「──量で勝てないのなら、質で勝つしかあるまい」
元帥「それも、圧倒的な質で」
提督「……そうですね」
元帥「だからこそ、深海棲艦を基とした艦娘を建造して欲しい」
提督「……ただの偶然かもしれませんよ」
元帥「ただの偶然ではないかもしれんだろう?」
元帥「我々に残された選択肢は数少ない。君が協力してくれそうでなかったら、瑞鶴を強奪して研究の為に華々しく散っていっただろう」
提督「それは──!」
元帥「倫理的に問題がある。それは分かっている。だが、そうせざるを得ないほど切羽詰っているのだ」
元帥「例え元艦娘を材料に──いや、回りくどく言うのは止めよう」
元帥「艦娘の死体を利用してでも、やらなければならない」
提督「……………………」
元帥「やってくれるのであれば、定期配給される資源を上乗せしよう。……明らかに必要ないであろう程になればストップはするが」
元帥「勿論、通常の任務報酬も今まで通りだ」
シリアス成分大目になってきたな
瑞鶴吊るして隅々まで調べる展開マダー?
>>190
シリアスは次の投下でひとまず終わりデース。これからギャグとシリアスを織り交ぜた展開になりマース。
提督「…………仮に拒否した場合はどうなりますか?」
元帥「不穏分子と判断し、艦娘諸共殺害する。この情報を漏らす訳にはいかぬから、君に関わった者も全員行方不明となるだろう」
提督「ッ!!」
元帥「既に言ったではないか。逃げる事は叶わぬと」
元帥「特に、君は艦娘達に好かれているようだね。目の前で見せてあげようか、彼女らの生身が解体されるのを」
提督「……分かりました」
提督「協力……します……」
元帥「うむ。頼んだぞ」スクッ
提督「……お帰りですか」
元帥「濃も忙しい身でな。──ああそうそう」
元帥「大将のバッヂだ。付けておきなさい。それと──」
元帥「くれぐれも、この話は漏らさないように。濃らと深海棲艦を基とした艦娘以外には、な」
提督(漏らしたらどうなるか分かっているな、とでも言いたそうだな)
提督「勿論です。ご安心を」
元帥「……では、失礼する。君の目に光が宿ったのを初めて見たよ」
提督「!」
ガチャ──パタン
提督「私の目に光、ねぇ……」
……………………
…………
……
コンコン──。
提督「入れ」
ガチャ──
金剛「テートクー! 演習終わったヨー!!」
提督「ああ、見ていた」
瑞鶴「え、起きていたの?」
金剛「……提督?」
提督(──ヤベッ!)
金剛「やぁあっぱり提督は私の話を聞いてくれなかったのですねぇ……?」
提督「いや……そういう訳じゃない……」
金剛「じゃあどうして身体を休めず演習を見ていたのですかッ!?」
金剛「──って、あれ? これ……大将バッヂ……? どうしたんですかこれ?」
提督「……さっき元帥殿がやってきて、なぜか二階級特進になった」
金剛・瑞鶴「はぁ!?」
提督「なんでも、初日に戦艦、二日目に空母、三日目に総司令部が指定した川内型の保有。異例な速度での近海の敵艦排除。沈んだ船を引き上げて資源の有効活用。その他諸々」
提督「尋常じゃない戦果と新たな資源の活用法を編み出したという理由で二階級特進……だそうだ」
瑞鶴「へぇ……そんな事もあるんだ……」
金剛「…………」
提督「元帥殿の前で寝ている訳にはいかなく、かといって風邪を引いたと言えば体調管理すら出来ていないのかと思われそうで言えなく……」
提督「バッヂを貰ったあと元帥殿に演習する姿が目に入ったらしく、演習が終わるまでずっとご見学されていたんだ」
瑞鶴「ええ!? こ、金剛さん……私達、大丈夫だったかな……?」
金剛「──え、ああウン。大丈夫だと思うヨ?」
提督「……その演習についてなんだが、瑞鶴、この書類の山を片付けたら話があるから、ちゃんと起きているように」
瑞鶴「ッピィ!?」
提督「以上だ。金剛、秘書の仕事は大丈夫か?」
金剛「……ハイ! まだまだいけますヨー!」
瑞鶴「そ、それじゃあ私はこれで……」ガクガク
……………………。
五航戦欲しくなってきた
資源ぶち込んでくるか…
>>197
瑞鶴さんが三人居ます(全建造。内二人はオールナイン)
でも、翔鶴さんが来てくれません。何ですかこの不具合。
金剛「……さて、提督」
提督「…………」
金剛「私が言いたい事、提督なら分かってますよね?」
提督「……ああ」
金剛「本当は何があったんですか?」
提督「……すまん。これは誰にも言えない」
金剛「……秘書の私でも、ですか?」
提督「ああ」
金剛「……そうですか」
金剛「──では! 書類を分けますネー!」
提督「…………」
金剛「? どうしましたテートク。鳩がアトミックバズーカに被弾したような顔をして」
提督「……私の顔は爆発四散した肉みたいに酷いか?」
金剛「まっさか~」
>>ID:ht4Zap6Jo
響「キス島に行く前に吊らせてもらおうか」
金剛「……いつか、話せるようになったら話してください。約束ですよ?」
提督「……ああ、約束だ」
金剛「ふふっ。じゃあテートク、ゆっくり休んで──」
提督「そうか。金剛が一人でこの書類の山を片付けてくれるのか」
金剛「…………」
金剛「頑張りマス!!!」
提督「冗談だ……。早く終わらせて寝ようか」
……………………
…………
……
>>204
響とキス?(難聴)
提督「んー……! 終わった……」
金剛「現在マルマルサンマルですネ。昨日より早いデース」
提督「ご苦労だった金剛」
金剛「ありがとうございマース! ご褒美はキスが良いデース」
提督「調子に乗るな」コツン
金剛「アウッ。むー……残念デース……」
提督「明日も早い。自室に戻って寝なさい」
金剛「……看病してはイケマセンか?」
提督「風邪が移ったら困る」
金剛「テートクが看病してくれるのなら風邪になるのも──ァウッ」コツン
提督「バカを言うな。皆も心配するだろう」
金剛「……テートクも?」
提督「当たり前だ」
金剛「……ハイ! 風邪を引かないように努めマス!」
提督「良い返事だ」
金剛「それじゃあ、グッナイテートク!」
提督「ああ、おやすみ」
提督(…………さて、瑞鶴と話さなければな)
……………………。
>>207
響「司令官、発砲許可を」
提督「全力でやれ」
響「スパスィーバ」
提督「……瑞鶴、話をしようか」
瑞鶴「はい……」ビクビク
提督「……今日、この提督室にて非常に問題のある発言があった」
瑞鶴「…………ッ」ビクッ
提督「瑞鶴、お前は上に目を付けられた」
提督「深海棲艦を材料としたお前が──」
瑞鶴「────え?」
……………………。
瑞鶴「……嘘、よね?」
提督「本当だ」
瑞鶴「ま、またまた提督さんたら! 私をからかってるんでしょ?」
提督「……残念だが、本当だ。できれば私も信じたくない」
提督「だが、この大将を示すバッヂは紛れもなく本物……。あの話は嘘偽りが無い事を証明している」
瑞鶴「で、でも! 私は補給が必要よ! さっきの話が本当なら、深海棲艦は──」
提督「通常の空母に補給に必要な燃料と弾薬、調べさせてもらった」
提督「結論を言うと、瑞鶴……お前の補給に必要資材は圧倒的に少ない。駆逐艦並みだ」
瑞鶴「……数字で言うと、どのぐらい差があるの?」
提督「通常空母と比べ、4~5倍の差がある。空母でこの数字は絶対にありえない」
提督「あと、いくら駆逐艦相手でも、経験の全く無いお前が撃沈させるのは無理がある話らしい」
提督「……どういう事か、もう説明しなくても分かるな」
瑞鶴「……………………」
提督「…………」
瑞鶴「ねえ、提督さん……私、居ちゃいけないのかな……」
提督「…………」
瑞鶴「私ね、役に立てて嬉しかった。皆からお礼を言ってもらって、提督さんに頭を撫でてもらって、すっごく幸せだった」
瑞鶴「ダメなの……? 他の皆が当たり前のように感じる幸せを、私は感じちゃいけないの……?」
提督「…………」
瑞鶴「私……提督さんの会えて良かったなって思ってた……。でも、今は違う。会わない方が──造られない方が良かったって──」
提督「それは私が困る」
瑞鶴「…………」
提督「瑞鶴が居なかったら、今の鎮守府は無い。下手したら無くなっていた可能性だってある」
瑞鶴「……でも、私の身体は──」
──同族の死体──
瑞鶴「──それで出来てる……。やだよ……こんなの……」
提督「…………」
瑞鶴「だって……気持ち悪いじゃない……」
提督「……スゥ…………瑞鶴!!」
瑞鶴「ぴゃい!?」ビクゥ
提督「…………」ジッ
瑞鶴「あ、ああぁあの……? わ、私、なに、か粗相を……?」ビクビク
提督「お前は誰に仕える艦だ」
瑞鶴「て、提督さんに、です」ビクビクビク
提督「私はお前が居なかったら困ると言った。お前は私に必要だ」
提督「それすら信じれないか?」
瑞鶴「それとは……また、ちょっと別というか……」オドオド
提督「瑞鶴」
瑞鶴「はいッ!!」ビクッ
提督「私の前に立ちなさい」
瑞鶴「え……?」
提督「ほう、指示を聞き逃したか。それは吊るさな──」
瑞鶴「はいぃ!!!」シュタッ
提督「うむ。よろしい」
瑞鶴「…………」ビクビクビク
提督「…………」スッ
瑞鶴「ッ!!」ビクッ
提督「ほれ、こうして触れる」ナデナデ
瑞鶴「…………?」ビクビク
提督「む……触っていて心地良い髪だな。ちょっとブラッシングさせてくれ」
瑞鶴「え、え? 良いけど……え?」
提督「椅子に座れ。──よし。そしてリボンを外してっと……梳くぞー」
瑞鶴「あ……」
瑞鶴(優しくて丁寧だ……気持ち良い……)
提督「ん? 痛いか?」
瑞鶴「……全然」
提督「なら良かった」
瑞鶴「……提督さん、嫌じゃないの?」
提督「むしろもっと触らせてくれ」
瑞鶴「……変なの」
提督「よく言われる」
瑞鶴(ああ……これ、すっごく良い……。なんでだろう……さっきまでの辛い気持ちが嘘みたい……)
提督「落ち着いたか?」
瑞鶴「うん……」
提督「……まだ続けたいんだが、良いか?」
瑞鶴「ぜひお願い!」
提督「うむ」
瑞鶴(……自分の身体が死んだ艦娘を使っているっていうのは凄く嫌だって思った。けど……)
瑞鶴(こうして提督さんが髪を梳いてくれるなら、別にどうでも良いかなぁ……)
瑞鶴「ねー、提督さんー」
提督「んー?」
瑞鶴「私を正面から抱き締めれるなら私もこの身体の事を気にしない──って言ったら、どうする?」
瑞鶴(ちょっとだけ、イタズラ)
瑞鶴「なーんて──!?」
提督「こうする」ギゥ
瑞鶴「え、ええっ!?! ちょ、て、提督さん!?」
提督「どうした、私は抱き締めれるぞ。何も変わらない、普通の女の子じゃないか」
瑞鶴「い、いいいやそういう事じゃなくて!?」
提督「ああもう、うるさい。大人しくしろ」ナデナデ
瑞鶴「ぁ………………はぃ……」
提督「…………」ナデナデ
瑞鶴(何これ……今まで感じた事がないくらい幸せ……)
瑞鶴(なんで……? なんでこんなに幸せなの……?)
提督「瑞鶴」
瑞鶴「……はひ?」
提督「勝手に死んだり、自分を蔑ろにするなよ」
瑞鶴「…………うん」
瑞鶴「絶対、そんな事しない……」
瑞鶴「約束する……」
……………………
…………
……
ちょっと気になったんだけど、現時点でこのスレの金剛さんと瑞鶴さん、どっちが人気あるんだろう。
ちなみに、自分の中ではもうストーリーが決まってるからルートとかに変更は無いよ。
提督「落ち着いたか?」スッ
瑞鶴「────あ」
提督「うん?」
瑞鶴「……ううん、名残惜しかっただけ」
瑞鶴「ありがとう、提督さん」
提督「うむ。よろしい」
瑞鶴「それに、ポジティブに考えたら私ってすっごくコストパフォーマンスが良い空母なのよね」
提督「そうなるな」
瑞鶴「それって、他の誰よりも提督さんの力になれるって事じゃない!」
提督「それは実力次第だな」
瑞鶴「むぅ……そこは嘘でも良いから『そうだよ』って答える所じゃない?」
提督「ほう。ではまず秘書の仕事と出撃を両立してもらおうか?」
瑞鶴「う……」
瑞鶴「──や、やる!!」
提督「お?」
瑞鶴「金剛さんに負けてられないもの!」
瑞鶴「提督さん、明日から私が秘書になって良い?」
提督「…………」
提督(変に対抗意識を燃やさせるんじゃなかった……)
……………………
…………
……
今回の投下はこれで終わりです。
伏線を張りまくってます。全部回収する気だけど、まだ張ってない伏線が色々ある……。
ぶっちゃけ、物語で言う『瑞鶴の深海棲艦ベース建造設定』は>>165辺りで思い付きました。
それから投下スピードが落ちたのはこれが原因です。提督に吊られてきます。
それでは、今日は昼から投下できるかちょっと分からないです。間違いなく夜には投下すると思います。
皆は提督のように風邪を引かないよう、温かくして寝て下さい。
いつ切り上げるか分からないけれど投下します。
~翌日~
瑞鶴「負けました……」ズゥゥゥン…
金剛「秘書で私に勝とうなんて、百年早いネー」
響「特にお茶淹れは段違いだったね。月とすっぽんと言っても過言じゃなかった」
瑞鶴「うっ」グサッ
暁「レディとしての振る舞いも金剛さんの方が上ね。さすが英国からの帰国子女といった所かしら」
瑞鶴「うぅ……」ドスッ
神通「提督の細かい動きを見れていたのも金剛さんでしたね……」
瑞鶴「あぐ……」グシャァ
提督「金剛、今後も秘書をよろしく」
金剛「ハイ♪ 私に任せてくだサーイ♪」
瑞鶴「あああぁ……」トドメ
提督「──話は変わって、遠征について言っておくことがある。が、その前に……」
雷「どうしたの、司令官?」
提督「整列」
全員「!!!」ビクッ
ザッ──!!
連日、怒涛の投下で心配になるレベルに達しているのは俺だけか
提督「点呼」
金剛「1!」
川内「2!」
神通「3!」
那珂「4!」
暁「5!」
響「6!」
雷「7!」
電「8!」
瑞鶴「9!」
提督「よろしい。では今後の遠征についての計画を発表する」
提督「総司令部の意向で、この鎮守府への定期資材配給に上乗せが約束された。──だが、私はこれに頼
りきろうと思っていない」
提督「確保できる資源があるのなら自分達で調達するべきだ」
提督「現在、予定しているのは警備任務と海上護衛任務の二つ」
提督「だが、海上護衛任務に就くには旗艦を軽巡にしなければならないという決まりがある」
提督「そこで、次の出撃で一番適切だと思える軽巡の者を海上護衛任務の旗艦となってもらう」
提督「だが、それではモチベーションが上がらないと思い……こんな物を用意した」スッ
>>248
作家だとこれくらいは普通だと思う。
作家もどきの私は、もっと書くべきだろうなぁって思ってる。
作家目指しててその練習ならもう少し書いてもいいのかも知れんな
金剛「……はい、テートク」
提督「なんだ?」
金剛「それはなんデスか?」
提督「間宮アイスクリーム券だ」
全員「!!?」
提督「人数分頂いたのだが、生憎と私は甘い物が苦手でね。一枚余ってしまう」
提督「そこで今回、全員が一回出撃して、特に頑張った者に+一枚の景品として渡そう」
提督「質問はあるかな」
響「はい! 駆逐艦と戦艦など、戦力に差がありすぎるのは不公平だと思うのだけど、そこはどうするん
だい司令官!」
提督「私は一番戦果を挙げた者とは言っていない。特に頑張った者と言った。故に、戦果が全てではない
から安心したまえ」
提督「……無いとは思うが、目の前の欲に駆られていると判断した場合、その者へのアイスクリーム券は
一枚も与えないから注意するように」
全員「はいっ!!!!」
提督「他に質問はあるか? ……………………無いようだな。では、第一艦隊、第二艦隊の編成を発表す
る──」
……………………
…………
……
>>251
ぶっちゃけ今シナリオライター。でも同人。
自分の本当に書きたい物が書けない鬱憤でこういう風に……。
書きたいものならこれくらいのスピード出せるけど、乗れないものだと途端にスピードが落ちるのが悲しい。
ぜーはーぜーはー……。
提督「皆よく頑張った。全員が全員を助け合い、目立った失敗も無かった」
電(もうヘトヘトなのです……)
川内(夜戦で、気付いたら後ろから敵駆逐艦が主砲を向けていたくらい神経磨り減った……)
金剛(ノー……睡眠不足はダメね……これから気を付けないといけまセン……)
瑞鶴(疲れた……これが私の全力よ……! でも、ダメだったらどうしよう……)
提督「それでは、提督室にて旗艦になる軽巡と特に頑張った者を発表する。総員、補給と入渠を済ませた
ら随時提督室に来るように」
……………………
…………
……
提督「さて、と準備しなければな」
金剛「何の準備デスか?」
提督「……うん? なぜここに──ああ、金剛は今回被弾していなかったな」
提督「間宮アイスクリーム券を封筒に入れて準備をする。ついでに時間が余るはずだから少しでも書類を
片付けようとね」
金剛「ナルホド。では、私は書類を整理しマスね?」
提督「ああ、頼む」
……………………
…………
……
途中出てきた元帥の一人称の濃って儂なのでは…
まぁ金剛が可愛いいから些細な問題か。
雷「遅くなってごめんなさい。雷、出頭したわ」
提督「ん、これで全員揃ったな」
金剛「ハイ、雷。ココアデース」
雷「え!? 良いの、司令官!?」
提督「うむ。構わん」
雷「わぁー! ありがとう司令官、金剛さん!」
提督「……」
金剛(あ……また一瞬、悲しそうな表情を浮かべました……)
金剛(どうしてですか、提督……)
提督「飲みながらで良い。今から順不同で発表し、封筒を渡す。呼ばれたら私の前に来てくれ。封筒は各
自室で開けるように」
提督「まずは暁」
暁「はい!」
提督「休み無く動き回り、砲雷撃戦、また戦闘後の索敵も申し分なかった。今回の戦闘で一番経験を積ん
だだろう。良い実戦だったな」
暁「ありがとうございます、司令官」
>>256
ものすご感謝。マジありがと──ひぃ!?
響「司令官。吊るしておいたよ」
提督「ご苦労、響」
提督「川内」
川内「はい!」
提督「少し危なっかしい所もあったと思うが、その猛攻は素晴らしいものであった。敵の動きに対して反
応が速かったようにも見えるから、その分野を伸ばすと夜戦にも役立つだろう」
川内「褒めてくれるの……? ありがとう!」
提督「神通」
神通「──はい」
提督「……運が悪かったのか、敵に狙い撃ちされていたな。だが、それらのほとんどを避け、その中でも
砲雷撃を止めなかったのは驚嘆に値する」
神通「あの……提督……ありがとうございます」
提督「電」
電「は、はい!」
提督「慣れているのもあるかもしれんが、どの動きも機敏で質が良く、まさに電の本気を垣間見た。常日
頃から努力しているのが窺える。良くやった」
電「あ、あの……! ありがとう……」
提督「瑞鶴」
瑞鶴「はいっ!」
提督「前回よりも艦上機の精度が増していたな。特に爆撃機の精度が素晴らしい。その機体で敵重巡を一
撃大破させた功績は非常に大きかった。これからも頑張りなさい」
瑞鶴「ふふっ、ありがとねっ」
なんじゃこりゃああああああああああああ!!!!!!
なんでクソみたいな改行が混ざってるんだよオイ!!! メモ帳さんよおおおおおおおおおお!!!?!!
すまん。取り乱した。
メモ帳を吊るしてくるから、この2レスが読み難いのを許してくれ。
提督「響」
響「はい」
提督「敵空母から直撃弾を受けたのには肝を冷やされたが、その際のダメージコントロールは目を見張るものがあり、勉強にさせてもらったよ。不死鳥の名は伊達じゃないな」
響「これは照れるな……スパスィーバ」
提督「那珂」
那珂「はーい!」
提督「言葉は普段と変わらないが、その行動は戦域全体を見据えたもので、何より真剣に戦闘へ取り組んでいた。特にあの真剣さはこの鎮守府で右に出るものは居ないだろう」
那珂「提督ー! ありがとーーーーー!!」
提督「…………」
那珂「……ごめんなさい」
提督「……次、雷」
雷「はーい、司令官」
提督「戦果は乏しかったものの、最後の戦闘で直撃弾を受けそうになった金剛を庇って彼女に攻撃を託し、敵空母二隻を撃沈させたのは非常に大きい功績だ。被弾後のダメージコントロールも素早く、よく耐えてくれた」
雷「ありがとう司令官! 私、もっと頑張るからね!」
提督「最後に、金剛」
金剛「ハイ」
提督「出来る事は非常に多くなっており、勉強しているのが分かる。が、いつもよりキレが悪かった。一つ一つ習得していくようにしなさい」
金剛「あぅ……やっぱりデース……」
提督「次に海上護衛任務の旗艦を任せる者を言い渡す」
提督「総合的に見た所、神通、お前が適任だと判断した。頼んだぞ」
神通「え──は、はいっ。頑張ります」
提督「以上だ。ココアが飲み終わった者から自由行動を許可する」
……………………
…………
……
雷「ごちそうさま司令官! ココア、とっても美味しかったわ」
提督「うむ。これからも良い働きをしてくれ」
雷「はいっ! 雷、司令官の為だったらいくらでも頑張るわね! おやすみなさい!」
提督「おやすみ」
金剛「グッナイ、雷」
ガチャ──パタン
提督「そういえば金剛、自室へ戻らないのか?」
金剛「秘書の仕事がまだ残っていマース。封筒の中身なんていつでも確認できるネー」
提督「……ふむ」
金剛「テートクの仕事のスピードが速くなっていってるから今日も早く終わりそうデス。さっすがねテートクー!」
提督「それもあるが、一番は効率良く仕事を進めれるように金剛が色々としてくれているからだよ」
金剛「そんなことありまセーン。テートク、謙遜しすぎですヨー?」
提督「鏡を向けてやろう」
金剛「むー……私はサポート役なのニ……。メインはテートクですヨ?」
軽く見直してみたら2レスどころじゃなかった。頭にきたので那珂ちゃんのファン止めます。
提督「私を剣とするならば金剛は技術だ。いかに優れた剣でも技術がなければ鉄屑に等しい鈍ら剣にすら負けるものだ」
提督「それとも、私に褒められるのは嫌いかね?」
金剛「そ、そんなことありまセン!!」ブンブン
金剛「本当はスキップしたいくらいに嬉しいデス。でも、恥ずかしいというかなんというカー……」
提督「はっはっはっ。そういう所は日本人だな、金剛」
金剛「ぅー……テートクは私をからかってるのデスか……?」
提督「半分からかってるが、もう半分は金剛を困らせたいからだ」
金剛「なんデスかそれー!!」
提督「さて……話は変わるが金剛」
金剛「ハイ、なんですか?」
提督「昨日は何時間ほど寝ている?」
金剛「え。エート……何時間でしょうか、ネ……」
提督「ほう? 自分の睡眠時間すら把握できていないのか、金剛?」
金剛「……二時間デス」
提督「最低でも四時間は寝れるようにしているつもりだったが、余りの二時間はどこへいった?」
金剛「…………自分の部屋で戦術指南書を読んでまシタ」
提督「やはりか」
金剛「……少しだけ、私の心の内を見せても良いですか?」
提督「うむ」
金剛「ありがとうございます提督」
金剛「…………私、もっと提督の役に立ちたいです。そして、提督を護りたいです」
金剛「提督は一緒に海へ出ていますけど、本当は凄く凄く怖い。なぜか敵は提督を狙わないけど、これからはどうなるか分かりません」
金剛「それに、例え狙わないといっても流れ弾はあります。それで提督が…………しまったら、私……その場で提督を追いかけてしまいます」
提督「……金剛」
金剛「は、はい」ビクッ
提督「すまないが、椅子に座るのが疲れた。ベッドへ腰掛けよう。隣に座りなさい」ギシッ
金剛「え……? は、はい……」チョコン
提督「そのまま私へ倒れなさい」
金剛「こ、こう、ですか?」
提督「肩へではない。足の上にだ」
金剛「えーと……はい」ヒザマクラ
提督「話を途中で止めてすまなかった。続けてくれ」ナデナデ
金剛「あ…………」
金剛(これ、とっても幸せです……)
提督「どうした、金剛?」
金剛「──あ、ご、ごめんなさい。つい気持ち良くて……」
提督「そうか。それは良かった」
金剛「……えっと……それでですね」
金剛「提督を死なせる訳にはいけません。皆の為にも、なにより私の為にも」
金剛「だから、私は強くなりたいんです」
提督「………………それで?」
金剛「え?」
提督「それだけじゃないんだろう? もっと汚い部分もあるはずだ」
金剛「…………提督はなんでもお見通しですね」
提督「分かる所しか分からんよ」
金剛「提督らしい切りかえしです」
金剛「……でも、ここから先は私自身が嫌う汚い部分ですよ? 良いんですか?」
提督「……うん? なにか独り言が聞こえてきたような気がするが、気のせいか。私はこのまま金剛を撫で続けるとしよう」
金剛「くす……。優しいですね、提督」
提督「……………………」
金剛「……私は、怖いんです、瑞鶴が……。いつか、今私が立っている提督の隣を取っていくんじゃないかって」
金剛「今日、秘書としての勝負を持ち込まれた時は心の底から怖かったです。勝てたから良かったですけど、今でも思い出すと背筋が凍りそうです」
金剛「そして、戦力では圧倒的です。あれは私がいくら努力しても勝てそうにないです。スペックが違うというのでしょうか……」
金剛「そのスペックの差を埋めるには、技術しかないと思います。提督を護る為に読んでいた戦術指南書で、どうにかしようと思いました」
金剛「でも、今思うとそれは汚い感情です。提督の為に読み始めたはずなのに、いつのまにか瑞鶴と対抗する為に読むようになってしまいました」
金剛「私は、提督よりも自分の心を優先させてしまったのです。それが醜くて、汚くて、そして悔しい……」
金剛「私は提督が大好きです。提督が傷付きそうになるなら、私は身を挺して庇います。万が一、提督が居なくなってしまったら、私は後を追います。それくらい好きです」
金剛「なのに……いえ、だから、自分の為に本を読むようになっていったのが、物凄く悔しいです」
金剛「提督……ごめんなさい……」
金剛「……………………」
金剛「──提督、ありがとうございます。スッキリしました。これが私の汚くて、嫌いな部分です」
提督「なんの話だろうな」
金剛「ふふっ、独り言です」
提督「そうか、独り言か。それならば仕方が無い」
金剛「……そろそろお仕事に戻らないといけませんね」
提督「何を言ってるんだ金剛。今日のお前の仕事は終わってるぞ」
金剛「え、でも提督の机の上の──」
提督「私には何も見えないな。私に見えるのは、上官の膝に倒れこむほど寝不足の秘書だ」
金剛「……ズルいですよ、提督」
提督「上の者は基本的にズルいんだよ、憶えておくと良い」
金剛「もっと、好きになっちゃったじゃないですか」
提督「そろそろ溺れそうだな」
金剛「とっくに沈んでますよ。水面に届かないくらいに」
提督「困った秘書だ」
金剛「あはっ」
……………………
…………
……
金剛「ん……今何時──はっ!!」ガバッ
提督「起きたか」
金剛「……私、何時間寝てまシタか?」
提督「三時間にギリギリ届かないくらいだな」
金剛(という事は、今フタサンサンマルくらいデスか)
金剛「……テートク、机のスタンドライトだけでは目を悪くしマスよ」
提督「継続しなければ問題ないだろう」
金剛「私の為に気を遣って……」
提督「今日はこうして仕事をしたい気分だったんだ」
提督「だが、秘書の言う事は最もだろう。電気を付けるぞ?」
金剛「ノープロブレム。大丈夫ですヨ。──ワオッ眩しい」
金剛「さて、私もお仕事を──アレ? もう書類が無いデス……」
提督「言っただろう、今日のお前の仕事は終わったと」
金剛「あれだけあった書類を、たった一人──しかも三時間で終わらせるのは無理があると思います。どこに隠しましたか。終わらせた書類の下ですか?」
提督「……まったく、本当に勘が良いな」
金剛「ほらほら出してください。早く終わらせまショー?」
提督「いや、残りの九割は機密書類なんだ。私以外が見る訳にはいかない。金剛は自室にもどって寝るように。これは上官命令だ」
金剛「……理由を聞いても良いですか? 一割は残ってますよね」
提督「寝不足が原因で艦全体の動きに支障が出るのは困る。何度でも言うが、轟沈なんてされたら後悔してもしきれん」
金剛「……提督が寝不足になっても同じ事じゃないですか? それも、私よりも遥かに影響が大きいです」
提督「私が訓練した艦が早々轟沈する訳がないだろう。演習を見ていて分かったが、そろそろ私が一緒に出撃しなくても良いくらいだ。それでも私は行くがな」
提督「それに、私は轟沈などしない。死ぬ事は無いんだ」
金剛「それはどうなるか──」
提督「ならない」
金剛「────え?」
提督「そうならないように出来てるんだよ」
金剛「……………………」
金剛「それは、前に言っていた秘密ですか?」
提督「…………」
金剛「──分かりまシタ! 今日、私はぐっすりとスリープしマス!」
提督「うむ。おやすみ金剛」
金剛「グッナイ、テートク! ……ありがとう」
ガチャ──パタン
提督「…………さて、瑞鶴が来るのにあと三十分か。ギリギリだったな」
……………………
…………
……
コピペして書き込むときに右端で折り返すチェック外せば大丈夫だよー。俺もよく改行変になった
コンコン──コン──。
提督「入れ」
ガチャ──
瑞鶴「……瑞鶴、出頭しました」
パタン
瑞鶴「あの、提督さん。お話って何……?」ビクビク
提督「昨日話したように、私と私に直属する艦娘の命は握られている。下手をすれば明日の命が無いのは知っているな?」
瑞鶴「う、うん……」
提督「本当は全くの進展無しではぐらかすつもりだったんだが、そうもいかなくなった。これを見てくれ」ガサッ
瑞鶴「……何これ?」
提督「簡単に言うなら、実験結果報告書だ」
提督「知っての通り、艦娘は一人の提督にしか言う事を聞かない。だから、私達の二人でそこの書類にある項目をクリアしていき、報告書を作成しろ、との事だ」
提督「まあ、私が何もしないで放置すると思ったのだろう。だからこんな物を送りつけてきた」
>>274
THX
更に、保存しなければチェックを外さなくても問題ないっぽい。
よく分からん不具合である。
ついでに翔鶴さんが出ない不具合も直してくれませんかね。
格納庫まさぐりタイム
>>277
預言者か貴様
瑞鶴「……それって効率悪くない? この鎮守府にその手の施設とか職員を置くのが普通だと思うんだけど」
提督「この事はAAAクラスの機密事項。詳しくは知らんが微塵にも怪しまれる訳にはいかないのだろう」
提督「それに、駒も足りないと言っていた。何よりも人が居ないのだろうな」
瑞鶴「ふぅん……。げっ、薬物投与の項目もあるじゃない」
提督「それらの項目に従うつもりは一切無い。貴重なサンプルを薬で壊す可能性がある上、当鎮守府の戦力を大幅に削ぐため論外とでも適当な事を書くさ」
瑞鶴「……ありがとう、提督さん。……それにしても滅茶苦茶多いわね、この書類。どれだけあるのよ」
提督「まったくだ。通常の機密書類と一緒に送りつけてくるものだから、金剛を追い払うのに少し頭を悩まされた」
瑞鶴「…………あの、提督、さん。これ、全部、見た?」
提督「いや、全部は見ていないが、どうした」
瑞鶴「…………」スッ
提督「うん? ……『性行為による通常艦娘との違いの報告』?」
瑞鶴「……………………」
提督「…………………………………………」グッ
瑞鶴「だめえええ!!! 機密書類を破っちゃだめえええええ!!」ガシッ
提督「ええい放せ瑞鶴! あんのクソジジイ共こんなもん送ってきやがって!! 破り捨てて焚き火の燃料にでもしてくれるわ!!!!」
瑞鶴「それでもダメだってばあああ!!!」
提督「問題ない!! 紛失したと言えば良い!!!」
瑞鶴「それ言ったら隠蔽の為に私たち殺されちゃう!!」
提督「ならば誤って燃やしてしまったと!!」
瑞鶴「提督さん落ち着いてえええええええ!!!」
……………………。
提督「…………」
瑞鶴「…………」
提督「……よし、何も変わらなかったと書こう」
瑞鶴「検査されたら一発じゃない……」
提督「…………これで三十回のダメだし。もう他に思い付かんぞ」
瑞鶴「……………………」
瑞鶴「まだあるじゃない、一つ……」
提督「何、本当か!?」
瑞鶴「う、うん……」
提督「一体なんだ。むしろよく思い付いたな」
瑞鶴「……………………本当にやっちゃえば良いじゃないの」
提督「…………」
提督「そうだ。まだ瑞鶴の心の準備が出来ていない為、延期を希望と書こう」
瑞鶴「……私、提督さんなら良いよ?」
提督「…………」ビキィ
瑞鶴「万年筆にヒビが!? どういう力してるのよ!?」
提督「……瑞鶴、お前も冗談が言えるようになったじゃないか」ミシミシ
瑞鶴「万年筆が可哀想だから離してあげて!!」
瑞鶴「……本心よ。私、提督さんになら身体を預けて良い」
瑞鶴「それに、艦娘は生殖能力が無いから戦闘に影響は無いじゃない」
瑞鶴「……やらないと、私達はどうなるか分からない。それだったら、私は──」
提督「時間が必要と書く。本人が望まず強引に行為を運ぶと戦闘に甚大な影響が出る可能性が極めて高い」
瑞鶴「──え、提督さん?」
提督「ご苦労だった瑞鶴。今日はもう休みなさい」
瑞鶴「ま、まだ話は途中でしょ!? 性こ……さっきの話が最後なんだし、最後まで話しましょうよ!」
提督「いや、終わったよ。心の底で瑞鶴がどう思ってるのかを聞けた」
瑞鶴「え…………え……?」
提督「私の言っている意味が分からないのなら、じっくり考えると良い。安心しろ。上に急かされるまで命は大丈夫のはずだ」
瑞鶴「て、提督さん……? 私、何か癇に障る事──」
提督「瑞鶴」
瑞鶴「ぴゃい!?」ピシッ
提督「これ以上は明日の行動に支障をきたす。寝なさい」
瑞鶴「…………はい」
ガチャ──
瑞鶴「………………おやすみなさい、提督さん」
提督「ああ、おやすみ」
パタン
提督「…………はぁ」
提督「本当、やり辛くなってきた……」
提督「──それにしても、実験か。本当に効率が悪いな。なぜわざわざ瑞鶴を使う。敵艦を捕獲でもなんでもして──」
提督「──……そうだ、なぜだ? なぜ敵艦で実験しないんだ?」
提督「確かに瑞鶴は深海棲艦から造られた、たった一隻のサンプルだが、それにしては明らかに不必要だと思える内容もあった」
提督「何かがおかしい……。いや、おかしい事はいくらでもあるが……なんだ、この妙な違和感は……」
……………………
…………
……
~翌朝~
提督「ふぅん……沖ノ島海域でねぇ……」ズズッ
金剛「どうしましたテートク? 軍諜報新聞を睨み付けて」コクコク
提督「ん、沖ノ島海域で過去最大級の大規模戦闘があったらしい。敵味方共に被害は甚大だそうだ」
金剛「怖いですネー……」
提督「あそこは敵が蛆のように沸く海域らしいからな。大規模戦闘自体は珍しくもない。まあ、私達の管轄じゃないから大丈夫だ」
提督「……ところで、当たり前過ぎたから流してしまっていたが、どうして金剛がここに居る? 今日は休みにしたはずだろう」
金剛「私は提督の秘書デスから」
提督「本音は?」
金剛「提督の一秒でも長く居たいからデス」
提督「金剛は素直だな」
金剛「ふふーん。秘書の特権デス!」
~翌朝~
提督「ふぅん……沖ノ島海域でねぇ……」ズズッ
金剛「どうしましたテートク? 軍諜報新聞を睨み付けて」コクコク
提督「ん、沖ノ島海域で過去最大級の大規模戦闘があったらしい。敵味方共に被害は甚大だそうだ」
金剛「怖いですネー……」
提督「あそこは敵が蛆のように沸く海域らしいからな。大規模戦闘自体は珍しくもない。まあ、私達の管轄じゃないから大丈夫だ」
提督「……ところで、当たり前過ぎたから流してしまっていたが、どうして金剛がここに居る? 今日は休みにしたはずだろう」
金剛「私は提督の秘書デスから」
提督「本音は?」
金剛「提督と一秒でも長く一緒に居たいからデス」
提督「金剛は素直だな」
金剛「ふふーん。秘書の特権デス!」
この世界の艦娘は生殖能力がないと聞いて出し放題じゃねえか!
と考えてしまった私めをどうか吊るしてやって下さい
>>288
提督「そうだな。今回は艦娘ではなく、私が特別に建造用クレーンで吊るしてやる」
提督「……こうして薄い紅茶を嗜みながら海を眺めていると、平和そのものなんだがな」ズズッ
金剛「ですネー……。戦争しているなんて嘘みたいデス」コクコク
金剛「それにしても、どうして今日は休みにしたのデスか?」
提督「なんとなくだ」
金剛「……………………」
金剛(何かありましたね、これは)
コンコン──。
提督「入れ」
ガチャ──パタン
電「あの、い、電です」
提督「どうした?」
電「あのですね……えっと……なんて言えば良いのでしょうか……」オロオロ
提督「……ほら、飲んで落ち着きなさい」スッ
電「え、あ──はい」コクコク
金剛(む。間接キス……)
提督「落ち着いたか?」
電「──はい。ありがとうございます」
電「それで、ご報告なのですが……敵です」
提督「な──!?」
金剛「どこデスか電! 急行しマス!!」
電「あ、あの!! 落ち着いてください! その敵がおかしいのです!!」
金剛「おかしいって何がデスか!!! 早く行かないと──」
提督「金剛」
金剛「──ひゃいっ!」ピシッ
提督「電、おかしいというのはどういう意味だ。それは、お前が慌てていないのと関係があるのか?」
電「は、はい……それが……」
……………………。
空母ヲ級「…………」ボー
提督「……なんだあれは。なんで母港の端っこで黄昏てるんだ……」
雷「おまけに、なんだか砲身も折れ曲がってるわよ」
電「使い物になりそうにないです……」
暁「服もボロボロね」
響「まるで必死に逃げてきたみたいだよ」
ヲ級「……………………」ハァ
金剛「……物凄く落ち込んでるみたいネ」
川内「…………良く見たら艦載機積んでないよね、アレ」
神通「どういう事なのでしょうか……」
那珂「話しかけてみる?」
瑞鶴「誰がやるのよ……」
提督「…………私が行く」
金剛「何を言ってるんですか提督!?」
響「正気かい? ……いや、司令官ならそんな無謀もやりかねないか」
提督「響、あとで吊るすからな」
響「なっ!?」
暁「……同情するわ」
提督「皆はここで待っててくれ」
金剛「私も行くわ。提督は私の一歩後ろを進んできてください」
電「……本当に行くのですか?」
提督「ああ。これは今までに前例が無いからな」
雷「いってらっしゃい司令官!」
暁「雷、いってらっしゃいって……」
雷「だって司令官と金剛さんよ? 大丈夫に決まってるじゃない!」
瑞鶴「…………」
提督「それじゃあ行って来る。瑞鶴、川内、神通、電は周辺の索敵。何かあったら瑞鶴を司令に動いてくれ」
提督「行くか、金剛」
金剛「ハイ! 皆さん、頼みましたヨー?」
瑞鶴(…………あの敵空母、危険じゃないような気がする……)
瑞鶴(やっぱり、深海棲艦がベースだからかな、私……)
……………………。
ヲ級「?」チラッ
金剛「動かないデ! 動いたら撃ちマス!!」
ヲ級「ッ!?」ビクッ
提督「……今までの敵と様子が違うな」
ヲ級「…………」ビクビク
ヲ級「……?」
提督「うん?」
ヲ級「…………」ジー
提督「……なんだ?」
ヲ級「…………?」ジー
提督「……………………」
ヲ級「……」チラ
金剛「……なんデスか?」ジャキッ
ヲ級「!」ビクッ
ヲ級「…………」ビクビク
提督「…………」
提督「金剛、砲を下ろしてやれ」
金剛「できまセン」
提督「私からのお願いだ」
金剛「う……。何か変な行動をしたと思ったら発砲して良いですか」
提督「許可する」
提督「……さあ、教えてもらおう。どうしてここに居るんだ?」
ヲ級「……………………!!!!」ビクゥッ
ヲ級「!」ピシッ
提督「…………なぜ敬礼をした」
金剛「テートク……このエネミー、意味不明ネ……」
提督「ここまでくるともはや敵かどうかさえ疑いたくなる……」
ヲ級「…………?」
提督「…………」
ヲ級「…………」ソロソロ
金剛(テートクに近付いて何をする気……? 敵意は感じないケド……)
提督「……なんだ?」
ヲ級「…………」ソロー…ギゥ
金剛「なぁッ!?」
提督「……は?」
ヲ級「♪」ホッコリ
金剛(なんってハッピーな顔をしてるんデスか、このエネミー……)
ヲ級「♪」スッ
ヲ級「♪」ニコニコ
提督「……一体お前はなんなんだ?」
ヲ級「…………」ピョン…パシャ
ヲ級「♪」ペコッ
提督「…………」
ヲ級「♪」スーッ
金剛「……なんだったんデスかね、アレ」
提督「分からん……」
……………………
…………
……
ヲ級といちゃつくなんてけしからん
オ灸を添えてやる
俺提督としては>>311に逆さ吊りを希望する
金剛「結局あの敵空母、分からずじまいでしたネー」
提督「当たり前のように提督室でお前の髪を梳いている私の方が分からんがな」
金剛「折角の休みなんですカラ甘えさせてくださいヨー」
金剛「それにしても、なぜ提督に敬礼したんデスかね?」
提督「あれは本当に謎だった」
金剛「もしかしてエネミーの司令官も同じ服を着ていたりシテ。ほら、それだったら提督に攻撃しないのも頷けるでショ?」
提督「それだとあのヲ級がすぐさま敬礼しなかった事に説明がつかん」
金剛「アー……たしかニ……」
金剛「まったく訳が分かりまセーン……」
金剛「……テートク」
提督「うん?」
金剛「昨日のよ──」
コンコン──。
提督「む、すまん金剛。……入れ」
瑞鶴「失礼します──って、金剛さん?」
提督「瑞鶴、どうした?」
瑞鶴「あ、えっと……その……提督さんとお話がしてくて……」
提督「私と? なんの話だ」
瑞鶴「…………」ジッ
金剛「? なんデスか?」
瑞鶴「やっぱり話は後で良いです! 提督さん、私の髪も梳いてください!」シュル
提督「…………」
金剛「オー。ロングヘアーだとは思っていまシタが、下ろすと思っていたよりも長いですネー」
瑞鶴「……それ、金剛さんが言う?金剛さんの方が圧倒的に長いじゃない」
金剛「自慢の髪デース♪」
瑞鶴「手入れ、大変じゃない?」
金剛「テートクにブラッシングしてもらってるおかげで、この通りデース」
提督「私は梳いてるだけで、他は全部、金剛自身がやってるだろう」
金剛「テートクー、ブラッシングは大事なんですヨー?」
瑞鶴「うんうん。そうなのよ、提督さん?」
提督「……どうして私なんだ?」
金剛「だって、テートクのブラッシングはとっても気持ち良いデス」
瑞鶴「それに、優しくて丁寧よね」
提督「……………………」
金剛「テートク、あと少しで瑞鶴にもブラッシングしてあげてくだサイ」
瑞鶴「え、良いの?」
金剛「こんなに気持ちの良いブラッシングを独り占めなんて、できまセーン」
瑞鶴「……ありがとう、金剛さん」
金剛「ノンノン。お礼はテートクにデース」
瑞鶴「…………うん。ありがとう、提督さん」
提督(やるとは言っていないんだが……まあ、良いか)
……………………。
瑞鶴「はー……幸せー……」
提督「そんなに良いものかね……」
瑞鶴「すっごく良い」
金剛「まさに至福の時デース」
提督「……どうして金剛は私のベッドの上に転がってるんだ」
金剛「普段はできないデスから、甘えさせてくださいヨー」
提督「まったく……」
瑞鶴「あ、それ私もしたい」
提督「……あー、分かった分かった。今日はハメを外して良いぞ」
金剛「ヤッター!!」ダキッ
提督「こら飛び付くな」
金剛「抱き付いているんでーすよー♪」ギュー
瑞鶴「……ハートが飛び交ってるのが見える気がするわ」
金剛「瑞鶴もやると良いでーす」
瑞鶴「え……でも私は……」チラ
提督「…………」
瑞鶴「ぅ…………」オズ
提督「……はぁ…………分かった。お前もハメを外せ。戦場ではハメを外す機会を設けるが良いしな」
瑞鶴「えっと……それじゃあ……えいっ」ピト
金剛「両手に花ですね、提督♪」
提督「どうしてこうなったのやら」
金剛「提督が私達のハートを撃ち抜いたからです」
瑞鶴「…………」
金剛「あれ、瑞鶴は同意できないですか?」
瑞鶴「分からない……うーん…………うーん……?」
金剛「じゃあ、私が提督に貰われますね」
瑞鶴「それはヤダ」
金剛「我儘でーす」
提督「……私の意志は関係無しか」
金剛「私は既に提督のモノですよ?」
提督「こら。自分を物扱いするんじゃない」
金剛「抽象的な意味の『モノ』でーす」
提督「まったく……」
金剛「ねー、提督。一つ、我儘を言って良いですか?」
提督「内容による。まずは言ってみなさい」
金剛「今夜は一緒に寝たいです」
瑞鶴「んなっ」
提督「……相変わらずオープンだな、お前」
金剛「だって、一緒の布団を被って寝るなんて幸せじゃないですか」
瑞鶴「あ、それ分かるわ。提督さん、私も一緒に……良い?」
提督「瑞鶴、お前まで……。どうしようかなぁ…………」
金剛「悩むという事は、可能性があるって事です! 瑞鶴、押していきましょう!」
瑞鶴「え? う、うん」
提督(まったく……本当にどうしてここまで懐かれてしまったのか……)
……………………
…………
……
響「さて、散々気になっている事を話そう」
電「どきどき」
雷「わくわく」
暁「…………」
響「おや、暁は司令官たち三人が気にならないのかい?」
暁「あんまり」
暁(本当は物凄く気になるけど、大人のレディはパパラッチみたいにならないわ)
響「そうか。少し残念だね」
響「じゃあ、私たち三人で──」
暁「ちょっと待ちなさい。あんまり気にならないだけで、会話に入らないとは言ってないわ」
響「そうかい? なら、私たち四人で司令官たち三人がどこまでいっているのか妄想しよう」
電「はわわわわ! 響ちゃん、ハッキリ言い過ぎだよぉ」
雷「私はBくらいならいってると思うわ!」
電「い、雷ちゃんも……」
暁「雷、はしたないわよ」
響「そうかい? 私はAもいってないと思うよ。電はどう思う?」
電「え、えっと……私も響ちゃんと同意見なのです……」
暁(私は最後までやってると思うなぁ)
雷「そう? 金剛さんは皆の見えない所でアタックをしてそうじゃない?」
響「あの司令官の事だ。きっとのらりくらりとかわしているさ」
暁「どうかしら? 普段はああでも、夜になるとケダモノかもしれないわよ?」
電「け、けだもの……!!」
雷「おおー、言うわね、暁!」
響「一番はしたない言葉を口にしているのは暁だね」
暁「あっ──」
響「もう遅いよ。大人しく素直になろうじゃないか」
暁「~~~~~~っ!!」
暁「はぁ……分かったわ。素直になる」
響「それでは、話の続きといこう。どうして雷はBまでだと思ったんだい?」
雷「なんとなくかしら。金剛さんにはBで瑞鶴さんにはAもいってないってイメージよ」
雷「だって瑞鶴さん、奥手そうじゃない?」
響「なるほど。確かに瑞鶴さんは奥手そうだ」
暁「ああいうのに限って積極的だったりもするわよ」
電「瑞鶴さんが積極的に、司令官さんに……!! はわわわ!!」
響「そう言われるとそんなイメージがあるね。恥ずかしいけれど司令官と……ってな具合に、自分の感情を抑え切れなくなってしまってそうだ」
電「わ、私はそんな感じがしない、かなぁ。いざって時にお二人とも動けなくなってそう、です……」
雷「特に瑞鶴さんはチャンスを逃しそうよね」
響「激しく同意するよ」
暁「そうかしらね? 金剛さんは大胆に誘って、瑞鶴さんは布団の上で待っていそうだわ」
響「しっくりくるね」
暁「そして行為に移ると、司令官への愛が大きくて二人とも貪るように腰を振りそう」
電「あうぅ……恥ずかしいよ……」
雷「意外とストレートね、暁」
響「これは流石に……恥ずかしいな」
暁「う……」
響「どこからそういう知識を手に入れているんだい、暁。ちょっと私にも情報源を教えてくれないか?」
雷「わ、私も気になるわ!」
電「あ、あの……私もです……」
暁(やっぱり参加するんじゃなかったぁー!!)
……………………
…………
……
川内「夜戦……やーせーんー……ぐぅ」
那珂「那珂ちゃん……パワー……アー……くー……」
神通「すぅ……すぅ……」
川内「──隣に駆逐艦がぁ!?」ガバッ
神通・那珂「ッ!?」ビクゥッ
川内「んが……ぐぅー……」
神通・那珂「…………」
川内「イタタタタタタタタ!?」ツネー
……………………
…………
……
金剛「三人一緒に布団の中でーす♪」
瑞鶴(やだ……自分でもびっくりするくらい落ち着くわ……)
提督「……………………」
金剛「ありがとうございます、提督♪」
提督「いつも私の為に一生懸命になってくれているんだ。このくらいはな」
瑞鶴「三十分は説得したと思うけど……」
提督「瑞鶴、自分の部屋に戻るか?」
瑞鶴「ごめんなさい!」
金剛「あははっ。提督と瑞鶴も仲良しでーす♪」
金剛「えいっ」ピト
提督「む」
瑞鶴「? 何したの?」
金剛「嫉妬したのでピッタリとくっつきましたっ」
瑞鶴「ず、ずるい! 私も!」ソッ
提督「……甘えん坊だな、二人共」ナデナデ
金剛「嫌いですか?」
提督「頭を撫でているこの手は何かな」
金剛「えへっ♪」
金剛「……提督、私の心臓の音、分かりますか?」
提督「…………速いな」
金剛「すごく幸せで、すごく嬉しくて、すごくドキドキしています」
金剛「瑞鶴はどうですか?」
瑞鶴「……え、私?」
金剛「はい! 私と同じですか?」
瑞鶴「私は……逆ね。ものすごく落ち着いてる。眠いくらい、安心してる」
金剛「おー……瑞鶴は肝が座ってマース……」
提督「人それぞれという事だろう」
金剛「そうですねー。不思議なものです」
金剛「提督はどうですか?」
提督「……色々な感情が巡りに巡って訳が分からない事になっている」
金剛「どんな感情なんでしょうかね~?」
提督「部屋に戻るか?」
金剛「冗談ですよー!」
提督「ああこら、大きな声を出すな」
金剛「?」
提督「瑞鶴、寝てしまったんだ」
瑞鶴「……くぅ……くぅ」
金剛「…………え? あの短時間で?」
提督「らしい」
金剛「……ある意味すごいわね」
提督「そういう事で、私達も眠りに就こうか。今日ほど寝れる日はそうそう無いぞ」
金剛「そうですねっ。提督、良い夢を」
提督「ああ、おやすみ」
……………………
…………
……
~翌日~
提督「──諸君、昨日は充分に休息が取れたか?」
全員「はいっ!」
提督「良い返事だ。今回は少し特殊な事情になるので、充分に注意されたし」
提督「第一艦隊は新しく出撃認可が下りたカムラン半島へ出撃」
提督「第二艦隊は旗艦を神通。続いて暁、響、雷、電の五名でマルハチマルマルより海上護衛任務」
提督「尚、今回は建造を行い、新たに仲間を加える予定となっている。その艦によって第一艦隊の編成が変わる為、まだ第一艦隊の編成は発表できない」
提督「以上。何か質問はあるか?」
提督「…………無いようだな。では、第二艦隊は遠征準備を始め、四十分後のマルロクヨンマルまでに第二船着場に集合するように」
神通・暁・響・雷・電「はい!!」
提督「瑞鶴を除く三名は母港にて警戒しつつ待機。瑞鶴は私と一緒に工廠へついてきなさい」
金剛・瑞鶴・川内・那珂「はい!」
……………………
…………
……
~工廠~
提督「さて、建造妖精」
建造妖精「ん? やーやー提督さん。建造かい?」
提督「うむ。総司令部からの指示で一隻分の特別資材を送られてきていると思う」
建造妖精「あー、うん来てるねー。にしても、何アレ? 本当にあんなので建造できるの?」
瑞鶴「…………」
提督「総司令部の考える事はよく分からん。私も出来るとは思っていない」
提督「なのでそれとは別にもう一隻、造ってもらおうと思っている」
建造妖精「なるほどねー。資材はどれくらい使うんだい?」
提督「総司令部が指示した各資材投入量はこうなっている。二つとも同じで頼む」
建造妖精「はいよー」
提督「ああ、総司令部からの指示で送られてきた資材と、普通の資材は混合して建造しないようにしてくれ」
建造「総司令部用と普通のとで分けたら良いんだね? りょーかいー」テッテッテッ
瑞鶴「……提督さん」
提督「諦めろ、瑞鶴。ここを指示通りに動かなかったら流石に上も黙っちゃいないだろう」
瑞鶴「うん……そうだけど、一つ言いたい事があるの」
瑞鶴「あれ、絶対に造れないと思うよ」
……………………
…………
……
建造妖精「提督さん、できたよー」
提督「ご苦労。どうだった?」
建造妖精「普通の資材の方はきちんと出来たよ。でも、総司令部からの特別資材は無理だったよ」
建造妖精「いやぁ、びっくりしたね。だって、艦娘の魂が入ってこないんだもん。あれじゃただの船だよ」
提督「やはりか」
建造妖精「あれ、どうする?」
提督「総司令部からの指示によると、建造できなかった場合は解体して送り返せとの事だ」
建造妖精「えー……造りたてなのに解体しなきゃいけないのー……?」
提督「そのようだ。面倒を掛けてしまうな」
建造妖精「提督さんが悪いんじゃないさ。総司令部が残念なんだよ」
提督「お詫びといってはなんだが、間宮アイスクリーム券だ」
建造妖精「なんだって!? ひゃっほぉぉぉおおおおお!!!」
建造妖精「本当に提督さんは優しいなぁ」
提督「ありがとう。そして、建造できた艦娘はどこかな?」
ヒュ──ガシッ!
島風「お゙ぅ!?」
提督「ん? ああすまん。つい捕まえてしまった」
島風「こ、この私が捕まるなんてー……」
瑞鶴(何この子……速過ぎでしょ……)
提督「…………」スッ
島風「あなた何者? 今の結構全力だったんだよ?」
提督「…………」
島風「…………? ねえ、何か喋ってくれませんか?」
瑞鶴(あ、あぁぁ……これはマズい……)
提督「どうやら教育が成っていないらしい」
島風「──え? な、なんかやばい……?」
提督「吊るしてやるから覚悟しろ」
島風「て、撤退ッ!!」ビュン
瑞鶴「うわっ! 速っ!!」
提督「瑞鶴、この帽子を持っててくれ」ポスッ
瑞鶴「──わっ。え? はい……」
瑞鶴(あ……提督さんの帽子が私の頭に……)
提督「身体を激しく動かすのは久し振りだ。衰えていなかったら良いのだが」グッグッ
提督「ん、調子は良いみたいだな」
提督「──さて」ダンッ
瑞鶴「高ッ!?」
瑞鶴(ええええ……あの窓って10mはあるわよね……? 提督さん何者……?)
瑞鶴「……ん?」
島風「へ、へへーん! 島風には、誰にも追いつけないんだから!」ヒョコッ
提督「…………」スッ
瑞鶴(え!? あの高さから降りて音が無い……!? あの島風って子も、後ろに降りたのに気付いてないし……)
瑞鶴(……提督さんの帽子)ホッコリ
提督「そうかそうか」
島風「ひゃんっ!? …………っ」ソー
提督「…………」ジッ
島風「────ッ!!」ビクッシュバッ
提督「…………」タン──スッ
島風「ひゃあッ!!? 上から!? 目の前に!?」
提督「…………」ジッ
島風「あ、ああ……あぁああ、の……」ビクビクビク
島風「ひぃっ!!」ダッシュ
提督「…………」タッ
──ガシッ!
島風「お゙ぅっ!!?」
提督「…………」ジッ
島風「に、逃げる事すら……できない、なんて……」ガタガタ
提督「────吊るす」
島風「ひっ──!」
きゃあああああああああああああああああ────ッッッ!!!!!!!
戦闘シーンを考えていたら遅くなった。ごめんよ。
金剛「なっ、なんの声デスか今のは!?」タタタ
川内・那珂「…………あー」タタ…
島風「やーめーてー!! やーめーてーよー!!!」ブラーン
提督「反省が足らんようだな」
島風「人!! 人が集まってきてるってば!!」
提督「ああそうだな」
島風「スカートの中が見えちゃう! 恥ずかしいってーっ!!!」
提督「…………」ジッ
島風「ひぃッ!?」ビクッ
那珂「……君、何をしたの?」
島風「なーにーもーしーてーまーせーんー!!」
金剛「……何もしなかった?」
瑞鶴「そう。何もしなかったの……」
金剛「ああー……何もしなかったのネ……」
川内「なるほどねー……」
那珂「那珂ちゃん納得……」
島風「どうして納得してるのーッ!?」
提督「島風」
島風「ひゃぅッ!? な、なんですか……?」ビクビク
提督「私がどんな立場の人間か答えろ」
島風「て、提督……です……」ビクビク
提督「自分の立場をなんだ」ジッ
島風「くち、く……駆逐艦、です」ビクビク
提督「上官に対しての第一声、貴様はなんと言った」
島風「あ……あぁぁあぁぁぁ…………」ビクビク
提督「答えよ」
島風「あ、あなた……何者……と、言いまし……た…………」ビクビクビク
金剛・瑞鶴・川内・那珂(こうなって当たり前よね……)
提督「何か言う事は」
島風「──ごめんなさい!! 提督に不敬を働いてごめんなさいっ!!」
提督「よろしい」クルクルホドキホドキ
島風「う、ぅぅ……」
提督「…………」ジッ
島風「ヒッ──!」ビクッ
島風「あ、あの……何か、罰が与えられるのですか……?」ビクビクビク
提督「うん? 既に罰は与えただろう」
島風「え……?」
提督「お前は私に不敬を働いた」
島風「はい……」ビクッ
提督「私は捕まえて吊るした」
島風「…………」ビクビク
提督「お前は自分の過ちを認め、そして謝っただろう」
島風「…………?」
提督「罰はそれで終わりだ」
島風「……え!? か、軽すぎじゃないですか!?」
金剛(やっぱり最初はそう思いますよネー)
提督「知らん。この鎮守府は私の城だ。私のやりたいようにやらせてもらう」
島風「……なんだか凄い人ですね」
提督「…………」
島風「──申し遅れました! 私、駆逐艦の島風です! スピードなら誰にも……提督以外に負けません! 速きこと、島風の如し、です!」ピシッ
提督「うむ。よろしく」
……………………
…………
……
提督「──さて、第二艦隊も見送ったところで第一艦隊の編成を発表する」
提督「カムラン半島へ出撃する第一艦隊の旗艦を金剛。続いて瑞鶴、島風。以上だ」
金剛「提督。一つよろしいデスか」
提督「なんだね?」
金剛「建造直後の島風をいきなり出撃に出すのは少々、酷じゃないデスか?」
提督「私が留守の間、この母港を守ってもらわないといけない。そこに島風を置く方が酷だろう」
提督「そして、私のやり方を覚えて貰い、尚且つ経験を積ませたいから連れて行く。金剛と瑞鶴が一緒ならば大丈夫であろう」
金剛「ナルホド……」
提督「他に質問のあるものは居ないか? …………居ないようだな。では、第一艦隊、出撃」
提督「川内、那珂。 私が居ない間、母港を守ってくれ」
川内・那珂「はい!」
……………………
…………
……
かれこれ14時間も投稿を続けている>>1
彼もまたモノカキの才に恵まれたニンジャの一員なのであった
(睡眠時間大丈夫?雷、ちょっと心配だわ…)
島風「提督もついてくるんですね」
提督「そうだ」
島風「…………なんか納得しました」
金剛「あんまり驚かないのデスね?」
島風「提督の凄さはもう身に染みてますから……」ブルブル
瑞鶴(そりゃあ、あんな事されたらねー……)
提督「──敵も近くに居ないようだ。今の内に島風に海の上での決まりを教えておこう」
~提督説明中~
提督「守らなかったら吊るす」
島風「はいっ!!」ピシッ
提督「…………瑞鶴」
瑞鶴「うん。偵察機を飛ばすわね」
島風「え?」
金剛「敵よ、島風」
島風「え、ど、どこ?」
>>359
なんか微妙に集中力が保たないと思ったら、そんなに書いてたのか……。
恐るべし、書きたい物語。
瑞鶴「──提督さん、二時の方向に重巡リ級一隻、軽巡へ級二隻、駆逐イ級一隻、ロ級二隻。陣形は単縦陣みたい」
提督「…………重巡に艦攻、軽巡一隻に艦爆で先制攻撃。その間に金剛と島風は戦闘準備をしなさい」
瑞鶴「了解!」
金剛「──準備オッケーネー!」
島風「は、はやっ! 連装砲ちゃん、お願い!」
提督「…………準備ができたようだな」
──ッドォォォン!!
瑞鶴「提督さん、艦攻の攻撃を駆逐イ級が庇ったみたい。軽巡、駆逐、共に一隻撃沈よ!」
提督「よし、総員戦闘開始。金剛、敵重巡へ斉射。瑞鶴、第二次攻撃隊発艦。島風、蛇行を繰り返して最後尾の駆逐艦へ付かず離れずの距離を維持できるか?」
島風「……ちょっと怖いけど、行きます!」
提督「良い返事だ。瑞鶴の攻撃で一隻だけ切り離す。切り離せたら主砲で斉射しろ」
金剛・瑞鶴・島風「はい!」
リ級・前方ロ級・後方ロ級「!!」ドンドンッ!
島風「へへーん! そんな攻撃、当たらないんだから!!」ヒョイヒョイ
提督「金剛、今だ。放て」
金剛「バーニング・ラァァアアブ!!」
リ級「!?」 撃沈
提督「瑞鶴、敵進行方向の逆側から前方駆逐ロ級を攻撃。後方の駆逐ロ級を引き剥がせ」
瑞鶴「はい!!」
提督「そして──」
島風「どこ狙ってるのー!? 遅いおそーい!!」
島風「!! 前方の駆逐艦が大破炎上して、後ろの駆逐艦が回避行動を取った! ここね!! 逃がさないんだから!!!」
後方駆逐ロ級「ピ、ギ──!!」 中破
島風「あっ! 倒せなかった……! 砲身がこっちに──か、回避!!」
後方駆逐ロ級「ガ──ッ!?」ドゴドゴッ 撃沈
島風「──え?」
島風「今の……艦載機の攻撃? ……護ってくれたんだ。ありがとう……」
島風「よーし! 島風、もっと頑張ります!!」
……………………
…………
……
よし、集中力が切れた!
というわけで寝ます。また今日投下しますね。
響「吊るしたら集中力が漲るかな?」
響ちゃん冗談にならないから止め──ひぎぃぁッ!?
SSLはたいていどのスレでも見かける新手の荒らしだそうでとりあえずsageしてないやつはNG推奨とのことで
つかSSLってなんなん
>>370
なるほど。つまり私はNGされるのか……。
>>371
響「S(スーパー) S(サイヤ) L(ルイージ)だよ。その暗号っぷりから超セキュアの通り名もあるよ。この速報での取り扱いは、管理人に吊るされながら聞くと良いんじゃないかな」ブラーンブラーン
提督「戦闘終了、ご苦労」
金剛・瑞鶴・島風「周囲に敵は居ません!」
提督「よろしい」
島風「あの、瑞鶴さん」
瑞鶴「ん、なにかしら?」
島風「さっきは護ってくれて、ありがとう。おかげで助かっちゃった」
瑞鶴「それなら提督さんに言ってあげて? 島風の護衛に艦載機を割くよう指示をしたのは提督さんなの」
島風「提督さんが……?」チラ
提督「…………」
島風「──助けてくれてありがとう! 嬉しかったよ!」
提督「艦を護るのは私の務めだ」
島風「むー。素直じゃないんだから」
提督「時に島風。お前はヒットアンドアウェイを知っているか?」
島風「え? んー……攻撃してすぐに離れるって戦法ですか?」
提督「そうだ。島風は他のどの艦よりも速い。その長所を生かしてヒットアンドアウェイで戦ってみると良いだろう」
提督「攻撃を避けつつ射程に入り、攻撃をしてすぐに回避しつつ離れる。そうやって敵を撹乱できるのは恐らく、お前だけだ」
島風「私だけ……?」
提督「そうだ。島風が一番速いからだ。もしお前を追ってきたとしても、誰も追いつく事すらできんだろう」
島風「私が、一番……」
島風「────はい!! やっぱりそうよね! だって速いもん!」
提督「だが、調子に乗ったら……」
島風「しません! 吊るさないで!」ビクッ
提督「うむ。心得ておけ。慢心は敵だ。僅かな慢心が艦隊の全滅を引き起こす事さえあるだろう」
島風「はい!!」ピシッ
……………………
…………
……
提督「今帰った」
川内・那珂「おかえりなさいー」
川内「提督、あの島風って子、どうだった?」
提督「役に立ってくれたよ。そして、あの通りだ」
島風「ハー……ハー……もう、走れない……疲れた……」グッタリ
那珂「何があったのー?」
提督「敵に空母が三隻居てな。輪形陣を組んでいて中々倒せそうになかったから制空権争いをしている時、島風に全力で避けてもらいつつ一番近くの空母に肉薄して、攻撃してもらった」
川内「そんなに近く!? それって危なくない!?」
提督「肉薄さえ出来れば逆に敵が盾となるからな。見事に指揮が崩れ、その間に制空権を取って空母の護衛艦を沈め、金剛と島風の砲雷撃で空母を撃沈してくれたよ」
川内「島風が可哀想じゃないかな……」
島風「無理矢理じゃないもん……はぁ……私が、希望したんだもん……へぅぅ……」
那珂「え、自分から?」
提督「ほら、水だ」
島風「ありがと……。ん……」コクコク
島風「ふー……。そうだよ、私から希望したんだよ」
那珂「そんな危ない役、どうして買って出たの? 近付く時に沈んじゃうかもしれないのにー……」
島風「だって、島風にしか出来ない事だって、提督が、認めてくれたんだもん!」
島風「それに、提督だったら絶対、ぜーったいに島風を沈ませないから!」
川内(……ね、どうしてあんなに提督を信用してるの? 島風ってついさっき来た子のはずよね?)
金剛(沈まないようにテートクが密かにサポート指示していたのデス。それを瑞鶴がバラしたのヨ)
金剛(下手したら轟沈する状況だったのデスが、間一髪で助かりまシタ)
川内(なるほどねぇ……。吊り橋効果ってヤツだっけ?)
金剛(結果的にそうなりましたケド、絶対に考えてなかったでしょうネ。テートクですから)クス
川内(提督だしねー)クス
提督「ん、呼んだか?」
金剛「イイエー?」ニコニコ
川内「微笑ましい会話をしていただけですよー」ニコニコ
提督「……そうか」
……………………
…………
……
提督「──よし、今日の書類の片付けは終わりだ」
金剛「現在フタサンマルマル。凄いデス! 今まででベストタイムです!!」
提督「秘書が有能で助かるよ」
金剛「まだまだデース。いつか提督のスピードに追いつけるようになりマース!」
提督「楽しみにしておこう」
金剛「──あと、ここにも早くキスが欲しいですね。その先も勿論」
提督「唇に指を当ててまあ積極的なことで」
金剛「だってー。瑞鶴に負けてしまいますもんー」
提督「なんの話だ」
金剛「『提督になら身体を預けて良い』とか『艦娘は生殖能力が無いから戦闘に影響は無い』って聴こえましたよー?」
提督「……どこまで聴いた」
金剛「今言った所だけです。前後の話は聴いてませんけど、明らかにそういう話じゃないですか」
金剛「髪を梳いたりするのは良いですけど、流石にそれだけは誰にも譲りたくないです」
金剛「──提督、瑞鶴の誘い……受け取ったのですか?」
提督「勿論、拒否した」
提督「それより、金剛が盗み聞きをするとはな。お前はそんな奴だったか?」
金剛「言い出せなくてごめんなさい。シャワーを浴びようと通りかかった時、とても瑞鶴の大きな声が聴こえました」
金剛「なんて言ったのかは分かりませんでしたが、何があったんだろうと思ってドアに手を掛けた時、さっき言った言葉が聴こえてきたのです」
金剛「これは邪魔をしてはいけないなーと思ってその場をすぐに去りました」
提督「成程。たしかに金剛らしいな」
金剛「ぅー……信じてくれないですか……?」
提督「言い方が悪かった。信用するよ、金剛」
提督「だから昨日、急に甘えてきたのか」
金剛「そうです……。私へ振り向いてもらおうと、少しだけ自分に素直になりました……」
提督「うん?」
金剛「あっ……」
提督「聞かせてもらおうか」
金剛「あう……ここ最近で一番の失敗でーす……」
提督「…………」
金剛「…………」
提督「……喉が渇きそうだな。金剛、新しく紅茶を淹れてくれ。新しい茶葉でな」
金剛「えと……それは、私のも、ですか……?」
提督「無論だ」
金剛「くす……はい、少々お待ちくださいね」
……………………。
提督「うむ。やはり茶葉が新しいと舌触りが良い。これは口が滑りそうだ」ズズッ
金剛「…………」コクコク
金剛「…………」フゥ
金剛「……私ですね、本当は甘えん坊なのです」
金剛「できるなら、提督と四六時中くっついていたい、もっと提督に触れたい、髪を梳いてもらいたい──それくらい提督が大好きで、それくらい甘えん坊なのです」
金剛「提督なら知っていると思いますが、私は金剛型戦艦の長女です。それ故、私には甘えれる相手が居ませんでした」
金剛「榛名からは慕われ、比叡からは甘えられ、霧島からは頼りにされました。だから私は、妹達の望む姉になる為、頑張りました」
金剛「強く、凛々しく、頼れる──そんな姉に、です」
金剛「でも、私だって弱い心はあります。強い優しい人に憧れて、弱い自分を曝け出し、人に甘えたい気持ちなんていくらでもあります」
金剛「だから、私は提督に心を惹かれました。提督は強く優しく、甘えさせてくれました。今も、弱い私を目の前にして真剣に話を聞いてくれています」
金剛「……正直、怖いです、どんどん提督にのめり込んでいく自分が。いつか本当の私を曝け出した時、拒絶されるかもしれないんじゃ……と思っています」
金剛「──あはっ、これが私の本性です」
提督「…………」
金剛「……ごめんなさい。普段、気丈に振舞っている私は、本当の私であって本当の私ではないのです……」
提督「……たしかに、普段の金剛からは予測が付かないな。だが、人などというものはそういうモノだろう?」
提督「強い面と弱い面がある。矛盾した、本音と建前がある」
提督「そう、私もだ」
金剛「──え?」
提督「先程、金剛は私を強い人と言った。だが、それは間違っている」
提督「弱いなんてものではない。私は既に負けているのだ」
金剛「…………ごめんなさい。私の頭では分からないようです……」
提督「よい」
金剛「……いつか、提督が良かったら教えてくれますか?」
提督「……そうだな。約束しよう」
金剛「…………」
提督「…………」
金剛「……………………提督、弱い私からのお願いです。その腕の中に、私を収めてもらって良いですか?」
提督「……構わんよ」スッ
金剛「ぁ──。…………ありがとう、優しい提督……」ソッ
提督「紅茶が悪い」
金剛「?」
提督「紅茶が悪いんだ」
金剛「くす──。そうですね、紅茶が悪いです────」
……………………
…………
……
~翌日~
提督「さて……昨日忘れていた、新しい艦娘の実体化をしようか」
金剛「誰が来るんでしょうかネー?」
瑞鶴「空母系列と戦艦以外だったらなんでも良さそうよね」
川内「できれば駆逐艦とか軽巡とかが良いのかな? 資材的にも」
金剛「そうなんですよネー……もう少し良い遠征にも出ないと資材がカツカツなのデース……。かといって戦艦や空母を遠征に出すわけにはいきまセンし……」
……………………。
天龍「俺の名は天龍。フフフ……提督、怖いか?」フンス
龍田「…………」
提督「…………」
天龍「……あれ、どうした二人共?」
瑞鶴(ちょっとちょっとちょっと!? あそこ物凄く怖いんだけど!?)
響(背筋が凍りそうだ……ここはいつから北国より冷たくなったんだい……)
電(な、何か龍と虎が見える気がするのです!!)
金剛(あの天龍って子、そこが一番危険な場所と気付いていないのデスか……?)
龍田「…………」
提督「…………」
龍田「…………」タジ…
提督「…………」
龍田「…………!」ピシッ
龍田「天龍型二番艦、軽巡洋艦の龍田です。提督さん、よろしくお願いします」
提督「うむ。二人共よろしく」
全員(何かの決着がついた──!!)
天龍「ど、どうしたんだよ龍田? いつもと口調が違うぞ?」
龍田「提督さん、天龍ちゃんのご無礼、私がお詫び申します。許してください」
天龍「龍田!? こ、こんの野郎!! 龍田に何しやがった!!?」ジャキッ
瑞鶴(あ)
提督「…………」ジッ
天龍「ひっ──! お、おおお俺は、負けないぞ!?」ビクッ
提督「…………」
天龍「…………っ」ガタガタガタガタ
龍田「あ、あの~……」ビクビク
提督「龍田」
龍田「──はい!」ピシッ
提督「良い姉妹を持ったな」
龍田「え? はい……?」
提督「大切にするように」
龍田「────勿論ですよ~」
提督「さて……どうしてくれようか、天龍?」ジッ
天龍「ひぃっ!? ご、ごめんなさい!!」ビクン
提督「…………」
天龍「~~~~!」ビクビク
提督「龍田を護ろうとするその意思に免じて罰は無しだ」
天龍・龍田「…………」
天龍・龍田(良かったぁ~!)
提督「だが、次はない」
天龍・龍田「はいっ!」
提督「ああそれと、天龍、龍田。礼儀さえ弁えておれば口調などは素で構わん」
天龍「おう!」
龍田「は~い」
島風「……順応が早いわね」
瑞鶴「ある意味島風と同じね」
島風「私が速さで負けるなんてー……」
金剛「いや……漢字が違いますからネ?」
提督「では天龍と龍田はこれから出撃してもらおう。編成は──」
……………………
…………
……
~艦隊気投後~
川内「提督ー、おかえりーっ!」ブンブン
提督「うむ。今帰った」
天龍・龍田「…………!」ガタガタガタ
那珂「ど、どうしたの一体……?」
金剛「それがー……」
天龍『なんでだよ提督!! あとちょっとでアイツを落とせるんだ!! 死ぬまで戦わせろよぉ!!』 中破
龍田『肉を切らせて骨を断つ……ふふっ……ふふふふっ…………え、提督さん……?』 中破
金剛「という事がありましてー……」
川内「ああ……提督なら絶対に認めないね、それ……」
提督「吊るしてくる」
天龍「あう……あぁぁ……」ビクビクビク
龍田「だ、大丈夫よ、天龍ちゃん……私も一緒……一緒だから……」ビクビク
……………………
…………
……
~翌日~
提督「まーた沖ノ島海域で大規模な戦闘か……」ズズッ
金剛「またデスか?」
提督「どうやら遠方偵察機が大量の敵艦を発見し、それの殲滅の為に元帥殿の艦隊が出撃したらしい」
提督「戦術的には勝利したらしいが、元帥殿の艦隊も相当な痛手を負ったようだ」
金剛「本当に、私達の管轄じゃなくて良かったデスね……」
提督「まったくだ。まあ、今のところ私達の管轄になる事はないよ。なにせ戦力が足りないからな」
金剛「あー……そういうのを考えたら戦力が小さいのも良いものですネー」
提督「そうも言ってられないのが懐事情だがな」
提督「それよりも気になるのがこっちだ」ガサッ
金剛「? 南方海域にて非常に強力な敵艦が現る?」
提督「航空戦、砲撃戦、雷撃戦、夜戦など、全ての攻撃を兼ね揃え、火力、装甲共に最高水準クラスのバケモノという話だ」
金剛「なんデスかそれ……どうやって勝つんデスか……」
提督「出撃、撤退を繰り返して削りきるしかないだろうな。まったく、厄介なものだ」
提督「どうやらこのバケモノ。この鎮守府の方面へ微速移動をしているらしい」
金剛「ハァ!?」
提督「あくまで作戦部の進路予測だが、この鎮守府が危ないと判断するのに充分だ」
提督「できれば早く地盤と戦力を固めたいよ」
コンコン──。
提督「入れ」
ガチャ──
任務嬢「提督さん、元帥がお見えになりました」
金剛「!」
提督「お通ししろ」
金剛「……………………」
金剛(なんだか嫌な予感がするネ……)
元帥「やあ、大将。久し振りだね」
提督「はっ」ピシッ
金剛「……」ピシッ
提督「数日前にお会いしたばかりですよ、元帥殿」
元帥「そうだったかな? ハッハッハッ。この歳になると流れる時間が速くて敵わんよ」
元帥「……うん? この艦娘は君の秘書かね?」
金剛「ハッ! 英国ヴィッカース社より建造された高速戦艦金剛型一番艦、金剛デス!」ピシッ
元帥「ふむ……。秘書としての板がしっかりと付いているみたいだね」
金剛「ありがとうございマス。お茶をお出ししマスので、こちらに掛けてお待ちくだサイ」
元帥「うむ。──ところで大将よ」
提督「はっ。なんでしょうか」
元帥「──なぜ瑞鶴が秘書でない?」
金剛「────────!!」
元帥「君の報告書を見る限り、瑞鶴がこの鎮守府での最大戦力であろう?」
金剛(…………ッ)ギリ
提督「元帥殿、それは彼女の淹れたお茶を口にしつつ話をしましょう」
提督「きっと納得されると思います」
……………………。
元帥「ほう、これは美味い! こんなに美味い紅茶を飲んだのはいつ振りだろうか」
金剛「光栄デス」
提督「この通り、彼女はお茶を淹れるのがこの鎮守府で群を抜いています。仕事中での気力維持に欠かせません」
提督「そして何よりも、瑞鶴と比べて仕事の出来が違います。艦娘全員を集え、二人を秘書としての評価を競った事がありますが、満場一致で彼女──金剛へ軍配が上がりました」
元帥「なるほどなるほど。戦果を上回る功績がこの艦娘にあるのか」
提督「はい。戦果についても目を通して頂いている通り、瑞鶴には及ばないものの非常に素晴らしいと言えます」
元帥「なるほど、良く分かった」
提督「話は変わりますが、元帥殿がどうしてこの小さな鎮守府へ? 今はお忙しいと伺っておりますが」
元帥「儂が忙しいと知っておるのならば、どうしてここへ来たのかも分かっておろう」
提督「…………南方の強力な敵艦ですか」
元帥「うむ。アレは非常に厄介だ。現存するどの艦娘よりも秀でた戦闘能力を持っておる」
提督「仰るとおりです。倒すには複数の大規模艦隊を用いて出撃、撤退をし、敵に休む間を与えず繰り返すしかないかと」
元帥「なるほど。敵を疲弊させて確実に討ち取る、か」
提督「はい。複数に分ける事で待機中の艦娘は休みを取る事ができ、損傷した場合でも修復する時間が得られます」
元帥「──だが、それをより確実に打開する方法を大将は知っておろう」
金剛(え?)
提督「……はい」
元帥「建造の方はどうなっている?」
提督「残念ながら、上手くいっていないです」
金剛(……建造が上手くいっていない? それって本当なのデスか? あんなに速い艦娘が進水しましたよネ……?)
元帥「ふむ……」
提督「…………」
元帥「…………」
元帥「儂の方も同じだ。良い艦船は出来上がるが、どれも問題のある物ばかりでな」
元帥「南方の敵艦がこっちへ向かっている状況で、儂の艦隊も強化せねばならない。それゆえ、役目を果たせそうにない艦娘は──」
元帥「──解体を繰り返すという事も辞さない程だよ」
金剛(…………)
提督「……心中、お察しします」
元帥「ああ……儂も心が苦しい。大量の艦娘が解体され、普通の女子として暮らしているのだが……」
元帥「不思議な事に、解体された艦娘はある日、忽然と姿を消す」
提督「…………」
元帥「それが艦娘というものなのだろう。特に手塩に掛けていた艦娘が消えるのは、とてもとても悲しいものだ」
提督「はい。その気持ちはよく分かります。失うというのは、取り戻せないという事ですから」
金剛(…………)
元帥「金剛、と言ったな?」
金剛「! はっ!」ピシッ
元帥「ああ良い。楽にしたまえ」
元帥「大将は、艦娘をどう扱っておる」
金剛「……とても大切にしていマス。轟沈する可能性があるのならば、その可能性を徹底的に取り除き、私達が沈まない事を第一に作戦を立ててくれていマス。テートクへの信頼はとても厚いと言えマス」
金剛「これは私だけではなく、この鎮守府の艦娘全員の総意でショウ」
元帥「ふむ、なるほど。良い提督として働いてくれているようだな」
元帥「それだけ大切に思っているのであれば、絶対に沈ませれないな」
提督「……はい。私の大事な者達です」
元帥「良い返事だ」
元帥「ああそうそう。君に贈り物を届けに来た」
提督「元帥自らがですか? 郵送で宜しかったのでは……」
元帥「なに。あの厄介な敵を倒す方法と君の姿を見るついでだ。顔色を見るに、少々疲れているようじゃないか」
提督「管理が行き届いていない証拠です。申し訳ありません」
元帥「いや、君はむしろ働きすぎなぐらいだろう。もう少し休息を増やしてみたらどうかね」
元帥「いやはや、やはり持ってきて良かった」コト
>>とてもとても悲しいものだ
この一言で元帥のイメージが
小太りメガネの少佐になってしまった
>>402
私の中では憤怒の大総統だったのに、お前のせいで狂気の少佐になってしまった。どうしてくれる。
提督「……これは? 見た所、ただの水の入った小瓶ですが……」
元帥「見た目はそうだが、実際は全く別の代物だ」
元帥「滋養強壮の漢方を使った薬だ。長く眠る前に飲むと良いだろう。……非常に苦いのが欠点だがのう」
元帥「漢方薬は現在、非常に入手しにくくなっておる。よって二つしか渡せん。決して無駄遣いをするんじゃないぞ?」
元帥「身体が弱ると指揮も鈍る。そうなる前にしっかりと休みを取りなさい」
元帥「取り扱い説明はこの紙に書いてある。注意を払って読みなさい」
提督「……はっ。お心遣い、感謝します」
元帥「では、儂はこれで失礼するよ。金剛、美味な茶であった」
金剛「光栄です」ピシッ
提督「お気を付けて」ピシッ
ガチャ──
金剛「どうぞ」
元帥「うむ」
元帥「…………」チラ
提督「…………」
元帥「…………」
──パタン
提督「…………」
金剛「…………」
提督「…………ふぅ」
金剛「はぁー…………」
金剛「物凄く神経を使いまシタ……」グッタリ
提督「まったくだ」
金剛「テートクー……私、あの元帥が苦手デス……」
提督「私もだ。出来れば関わりたくない。……だが、立場上どうしても関わらないといけない」
金剛「テートクが可哀想デース……」
金剛「その漢方薬を今すぐ飲み干したい気分ネー……」
提督「やめておけ。相当貴重な物らしいからな」
金剛「はーい……」
金剛「そういえば、建造が上手くいっていないってどういう事デスか? 島風って駆逐艦ではかなり良い艦娘デスよね?」
提督「強大な敵と戦う時、金剛なら駆逐艦と戦艦、どっちで戦う」
金剛「ああー……そういう事デスか……」
提督「まったく……元帥も人が悪い」
提督「──本当、色々と困るよ」
……………………
…………
……
コンコン──コン──。
提督「入れ」
ガチャ──パタン
瑞鶴「…………提督さん、どうしたの? ドアの隙間から手紙を入れて呼び出すなんて」
提督「非常に残念な知らせがある」
瑞鶴「……総司令部関連?」
提督「ああ。とうとう急かされた」
瑞鶴「────ッ! ……思ったよりも早かったわね」
提督「予想以上に早い。脅しながらこんな物を寄越してきたよ」コト
瑞鶴「……水?」
提督「見た目はな。中身は完全に別の物だ。大きな声を出すなよ」ピラ
瑞鶴「……………………!? ……催淫剤?」
提督「実際に滋養強壮の効果があるらしいが、その本質はそういう事のようだ」
提督「まったく……注意を払ってその紙を読めと言ったからまともな物じゃないとは思ったが、まさかこんな物だったとは……」
瑞鶴「……つまり、これを飲んでさっさとヤれと」
提督「端的に言えばそうなるな。本当に何を考えているんだかあのクソジジイは……。深海棲艦とは全く関係ないだろうに……」
瑞鶴「関係が無いようで、何かが関係しているのかしら……」
提督「それなら理由を言えば良い。なのにそれをしないという事は、何か隠したい事でもあるのだろうよ」
提督「それに書いてあるように、期限は一週間。一口飲めば効果があるとあるが……こんなもの、どこで手に入れたのやら……」
瑞鶴「…………」
提督「瑞鶴、その小瓶は二本ともお前に預けておく。お前の判断に任せる」
瑞鶴「…………え? わ、私?」
提督「ああ。心の準備が出来たらそれを持って私の所へ来てくれ」
提督「……私も、色々と腹を括るよ」
瑞鶴「…………ねえ。これ、今飲んでも良いの?」
提督「……ああ、構わない。が──」
提督「──震えているぞ、瑞鶴」
瑞鶴「…………!」
瑞鶴「あ、あれ……? なんでだろ……」
提督「さあな。それは私には分からない」
提督「だが、心の奥底ではダメだと言っているんじゃないのか?」
提督「あと一週間しかないが、逆に言えば一週間ある。焦らなくて良い。しっかりと心の整理をしてくるんだ」
瑞鶴「……うん。ごめんね、提督さん」
提督「なぜ謝る」
瑞鶴「だって、私のせいで不本意に……」
提督「誰のせいでもない。強いて言うならこの世界が悪い。大きな流れに逆らえば、身を滅ぼす結果しかないんだ……」
瑞鶴「……うん」
瑞鶴「提督さん、一つ約束して欲しいの」
提督「なんだ」
瑞鶴「……その、する……時さ、嘘でも良いから……私を恋人のように、優しくして……?」
提督「…………」
瑞鶴「…………」
提督「……分かった」
瑞鶴「…………!」
提督「約束だ」
……………………
…………
……
提督「……色々と、予定が狂ったな」
提督「そうだな……もう、無理だろう……」
提督「──護ろう。それが、私の────」
……………………
…………
……
すまない。急用で席を離れていた。
これから投下しますので少々お待ちを。
雷「あら?」
提督「今戻った」
雷「おかえりなさい司令官! 皆! どうしたの? 帰ってくるのがすっごい早いじゃない」
天龍「俺のせいだよ」中破
龍田「も~……お洋服が~…………今度見つけたら切り刻まないと……」大破
島風「うー……」大破
金剛「いたたたた……」中破
瑞鶴「この飛行甲板、もう使い物にならないわね……」大破
提督「誰がお前のせいだと言った」
天龍「……俺がいきなり直撃弾を受けたからこうなっちまったのは、紛れもない事実だ」
龍田「そこに追撃してきた砲撃を、私が独断で庇ったの~。おかげでこの有様。我ながら無様よね~……」
提督「旗艦以外を庇うなと言った憶えはない。下手をしていたら天龍は轟沈していた。庇い方に問題はあれど、良くやってくれたと私は判断している」
提督「そこから島風が囮役になってくれなければ、恐らくどっちかが轟沈していただろう」
島風「……提督、ごめんなさい」
提督「なぜ謝る」
島風「だって……私、提督の命令を無視したんだよ?」
提督「しっかりと私の命令をこなしたではないか」
島風「必要以上に敵に近付いたんだよ!?」
提督「私は、沈まないよう回避できる距離で敵の注意を引き付けてくれ、と命令したはずだが?」
島風「普通に考えてよ!! あの距離、普通じゃ回避できないくらいの距離だったでしょ!?」
提督「だが、お前は沈んでいない。あの距離、あの砲弾の雨の中、ギリギリまで回避し続けてくれたじゃないか」
提督「どこが命令違反している?」
島風「でも……でもぉ!!」
提督「お前は、他の誰にも出来ない事を成し遂げたんだ。もっと誇って良い」ポンポン
島風「ぅ……ぅー…………」
龍田「あらあら~。提督さんに褒めてもらえてお顔が真っ赤~」
>>392
>~艦隊気投後~
アレか。気円斬でもしたのか
提督「そうだな、龍田にも褒めないといけない」
龍田「あらあら、何かしら~?」
提督「天龍が被弾した時、私は追撃が見えなかった。もし見えていたら、恐らく龍田の行動を指示していただろう」
提督「そして、庇ったのは天龍だけではないのだろう?」
龍田「…………どうしてそこまで分かるのでしょうかね~?」
提督「やはりか。どうりで変な庇い方をする」
金剛「やっぱり、あれってテートクを庇ったのデスか」
龍田「そうよ~。だって、提督さんと提督さんを庇った天龍ちゃんの直線上の敵が攻撃したのですもの。下手をしたら、天龍ちゃんの装甲を貫通して、提督さんに当たったかもしれないでしょ~?」
天龍「……なんで俺が提督を庇ったって分かってるんだよ」
龍田「だって~。本当だったら避けれる弾のはずですもの~。天龍ちゃんは優しいからね~」
龍田「きっとだけど、あの弾は提督さんに当たらなかった。でも、万が一の事を考えて庇ったのでしょ~?」
天龍「ちぇっ……バレてるなんて、カッコ悪いな、俺」
>>421
誤字か……申し訳ない ブラーンブラーン
響「自ら吊られている……だと……」
提督「いいや、あの時の姿は格好良かったぞ、天龍」
天龍「な!? 何を言ってるんだよ提督!?」
提督「世界水準を軽く超えた庇い方だった」
天龍「う、うぐぐぐぐぐ……!」
島風「やーい、天龍の顔真っ赤ー」
天龍「────ッ!! 沈めてやろうか島風ぇえ!!!」
島風「キャーこわーい!」
天龍「おりゃおりゃおりゃぁあ!!」ポンポン
島風「ひゃんっ! きゃははっ! くすぐったいってばー!」
龍田「…………」
龍田(頭をポンポン。自分でやるのは寂しいものね~)ポムポム
提督「…………」チラ
龍田「!」サッ
提督「…………」ポンポン
龍田「あ、あら? あらあらあらあら?」
提督「…………」スッ
龍田(あらあら……思ったよりも嬉しいものね~……)ホッコリ
金剛・瑞鶴(むー……)
……………………
…………
……
コンコン──。
提督「入れ」
ガチャ──パタン
川内「提督ー」
神通「失礼します……」
那珂「こんにちはー!」
提督「どうした、三人共。珍しい」
川内「いやー、ちょっと気になる事があってねー」
提督「話してみよ」
神通「あの……私達って基本的に遠征と母港を守る事しかしてませんよね?」
提督「ああ、そうだな」
那珂「いやー……私達、本当に役に立ってるのかなーって……」
提督「なるほど。役に立っている気がしていないから私に聞きに来た、と」
神通「はい……それで、もしよろしかったら何か新しくお仕事をくださらないかと思いまして……」
提督「ハッキリ言っておこう。私はお前たち三人が居なかったら非常に困っている」
那珂「……そうなのー? だって、私達ほとんど出撃してないよ?」
提督「出撃だけが仕事ではない。遠征で資源を拾ってくるのも仕事だ。母港を守るなんて最重要任務に等しい」
川内「遠征は分かるんだけど、母港を守るとかそんな感覚が無いんだけどなぁ……」
提督「では川内。明らかに使用されている敵母港を発見したが、艦船が一隻も居なかったらどうする」
川内「そりゃ勿論使えないように破壊するよ」
提督「では、同じように敵母港を発見したが、敵が船着場をウロウロして索敵していたらどうする」
川内「あー、確かに警戒するね。なるほど、私達がしているのって、ちゃんと母港を守ってるんだね」
提督「ああ。そして、それは信頼しているから任せれるんだぞ」
神通「信頼……ですか?」
提督「そうだ。実際に母港を襲われた際、しっかりと守れないと意味が無いだろう」
川内「でも、基本的に二隻しか居ないよ?」
提督「たかが二隻。されど二隻。居るのと居ないのとでは雲泥の差がある」
提督「それに、お前達なら一人でも敵艦が二~三隻居ようと倒せるだろう?」
那珂「確かにそれくらいなら倒せるねー。二人だったら倍かー!」
提督「そういう事だ。これからも母港を守ってくれ」
川内「私達のやってる事、すっごく大切だったんだね!」
那珂「なんだか、安心しちゃったー!」
神通「私達も、提督をお慕いしていますよ」
提督「うむ」
……………………
…………
……
提督(ちょろいな)
>>435
言ったらあかん……。川内は野戦バカで那珂ちゃんは普段頭が空っぽで神通は押せ押せでいけるって思ったらアカンで。
響「司令官、吊るして良いよね」
響「あ、司令官。丁度良かった」
提督「うん? 響……だけではないな。暁に雷、電、どうした? もう夜中だぞ」
雷「あのね! 司令官に渡したい物があるの!」
提督「渡したい物?」
電「はい。いつもお世話になってる司令官さんに、プレゼントなのです」
暁「この掛け軸よ!」バッ
提督「第六駆逐隊……すぱしーば?」
響「スパスィーバ。日本語の発音だとなんて書けば良いのか分からなかったから、なるべく近い言葉で書かせてもらったよ」
提督「ふむ……。すまないが、なんという意味なんだ?」
電「せーのっ──」
暁・響・雷・電「──ありがとう!」
暁「そういう意味よ、司令官」
提督「────」
響「……あ…………お気に召さなかったかい、司令官……」
提督「いや、面食らってしまって声が出なかった」
提督「ありがとう。いつも私の為に動いてくれて、本当にありがとう」
暁「ひゃっ」ナデナデ
響「ん……」ナデナデ
雷「あ……」ナデナデ
電「はわわ……」ナデナデ
提督「この掛け軸は部屋に飾っておこう。皆が書いたのかね?」
響「絵と文字と書いたのは私だよ」
暁「私はこの花飾りを作ったの」
雷「私は材料を集めたわ!」
電「仕上げは私がしました」
提督「そうか。皆が協力して作ったのだな」
暁「大切にしてよね?」
提督「勿論だとも」
響「特に暁が喜ぶよ」
暁「ちょ、ちょっと響!」
雷「なんせ、考案と指揮をしたのって暁だもんね」
電「暁ちゃん、すごく一生懸命だったのです」
暁「あ、あああ……バラしちゃって……もー!!」
提督「こらこら、夜中だから静かにしなさい」
……………………。
金剛「──あら? この掛け軸、どうしたのデスか?」
提督「電たちが作ってくれた。とても素晴らしい品だと思うよ」
金剛「……本当。とても優しい気持ちになりマス。これは愛が詰まってマスね」
提督「ああ。慕われているようで嬉しいよ」
……………………
…………
……
揃ってデレ期か。和むなぁ
>>440
デレ期で和んだか? コメディも良かったか? 突如訪れる絶望へのカウントダウンを数える準備はOK?
神通「あの、提督さん……」
提督「うん? どうした神通」
神通「ここ四日ほど、遠征は警備任務だけですけど、大丈夫なのですか……?」
提督「その事か。安心しろ。ただの保険だ」
神通「保険、ですか?」
提督「南方の強力な敵艦がこっちへ進行している、というのは五日前から知っているだろう」
神通「だから、戦力の増強へ?」
提督「そうだ。金剛、瑞鶴を中心に艦隊の錬度を高め、ついでに艦娘のデータも手に入ると思っていたのだが……まさか一隻も手に入らないとはな……」
神通「運が悪かったのでしょうか……」
提督「さてな……ん?」
電報妖精「提督さーん、緊急電報だよー」
提督「緊急電報? ……暗号で送ってきたのか。一体どこの誰だ」
電報妖精「なんかやたら急いでたよ」
提督「ふむ……」サラサラ
神通「え。復号キーを憶えているんですか……?」
提督「一応な」
神通(それって本当はいけない事なんじゃ……)
提督「……………………」
提督「神通、全員を提督室へ呼べ。演習も全て中断。緊急招集だ」
……………………。
提督「緊急事態だ」
金剛「何があったのデスか?」
提督「……………………」
提督「鎮守府が一つ、襲撃された」
天龍「なっ──!?」
川内「襲撃されたって……」
瑞鶴「どういう事なの!?」
提督「どうしたもこうしたも、そういう事だ。更に、悪い知らせはこれだけではない」
提督「一つ──この襲撃に迎撃をした総司令部長の元帥が行方不明となった」
金剛・瑞鶴「────────!!」
暁「総司令部長……?」
提督「天皇陛下の次に偉い人だと思ってくれて良い。私たち海軍のナンバー2」
提督「そして、海軍で一番実力を持っているお方だ」
響「……そんな人が負けてしまったのかい?」
提督「ああ。完全に敗北だそうだ。艦娘は全て轟沈。敵の46cm級砲撃が元帥の居た部屋に直撃。その建物は勿論、砲弾を雨の如く撃ち込まれ母港全体が崩壊したらしい」
提督「まず生きていないだろう。死体が上がるかどうかさえ怪しい」
島風「うわー……悲惨でしょ……」
瑞鶴「……………………」
金剛「……提督、次の悪い知らせはなんデスか」
川内「ま、まだあるの!?」
提督「……ある」
提督「二つ目は、その敵がこの鎮守府へまっすぐ向かっているという事だ」
天龍「……マジかよ」
提督「本当だ。そして、私達に命令が下った」
提督「『南方棲戦姫を沈めろ』と」
那珂「なんぽーせいせんき……?」
提督「航空戦、砲撃戦、雷撃戦、そして夜戦──全ての戦闘をこなし、最高水準の火力と装甲を誇るバケモノだ」
提督「護衛艦として数十隻の敵も確認されている」
提督「その敵の全てが、黄のオーラを纏っているようだ」
神通「そんな艦隊がこの鎮守府に……。それを迎撃しろと……?」
提督「……そうだ」
龍田「滅茶苦茶ね~……。まるで死ねと言ってるみたい……」
雷「……提督、勝ち目はあるの?」
提督「ハッキリ言って、無い。数が違いすぎる」
暁「……どうするの?」
提督「…………このような事は言いたくないのだが」
提督「神に祈る他ないだろう…………────」
提督「……一つ、言っておく事がある」
提督「今回の出撃は任意だ。強制は勿論、私が決めもしない」
金剛「────え?」
電「どういう意味なのですか……?」
提督「艦娘は海から離れると死んでしまう。だが、解体をすると普通の女子になると聞く」
提督「今回の戦いは、間違いなく死ぬ。死にたくない者は解体を施すから逃げろ」
提督「海軍刑法によると敵前逃亡は罪に問われる。だがここは私の城だ。そんなモノは最初から存在しない」
提督「全員、目を瞑れ。私が許可するまで開いてはならん」
提督「……………………全員閉じたな。では、十秒与える。解体を希望する者は静かに手を上げろ」
提督「十……九……八……七……六……」
提督「…………」
提督「五……四……三……ニ……一……」
提督「そこまで──。手を下ろしてよい」
金剛(手を下ろしてよい……? 誰かが手を上げたのデスか……?)
提督「…………目を開け」
提督「……………………」
提督「…………死にたがりの大馬鹿者共め。馬鹿だよ、お前ら全員」
暁「当たり前でしょ、司令官」
響「……不死鳥も、ここでその名を終えるね」
電「そうです! 私達は皆、馬鹿なのです!」
雷「私達、誰も逃げることなんてしないわ!」
天龍「なんだ、みんな根性あるじゃねーか」
龍田「天龍ちゃんや提督さんと死ぬのなら本望ですよ~」
川内「よーっし! 私達の鎮守府を守るぞー!!」
神通「こんな私でも、やる時はやります」
那珂「那珂ちゃん、本気でいっきまーす!」
瑞鶴「…………?」
金剛「ふふっ……ホント、皆馬鹿デース」
提督「旗艦は金剛に任命する。──金剛、最後の出撃の掛け声を頼んだ」
金剛「ハイ!!」
金剛「私達の最後の出番ネ!! 皆さん! ついてきてくださいネー!!」
瑞鶴「……………………」
……………………
…………
……
ガチャ──
瑞鶴「……提督さん」
パタン
提督「うん? どうした瑞鶴。もう間宮アイスクリームは良いのか?」
瑞鶴「そんな事はどうでも良いの。ねえ、おかしいと思わない?」
提督「…………」
瑞鶴「どうして、総司令部は私を放棄する事にしたのかしら。貴重なサンプルだって言ってたのに……」
提督「瑞鶴」
瑞鶴「ぴゃいっ!」ピシッ
提督「私は一つ、嘘を吐いた」
瑞鶴「……嘘?」
提督「あの電報、胸糞が悪かったからな」
瑞鶴「…………何?」
提督「私と瑞鶴を除く全員で南方棲戦姫に全力突撃をしろ」
提督「それが本当の命令だ」
瑞鶴「……やっぱり」
提督「だが、私はこの命令に従うつもりはない」
提督「私の大事な艦娘達を犠牲にして、サンプルである瑞鶴とその提督である私だけ逃げろなんて命令、誰が聞いてやるものか」
瑞鶴「…………」
提督「すまんな、瑞鶴。本当は生き残れたのだが……」
瑞鶴「ううん! 私は嬉しいわ」
瑞鶴「だって、それって皆を見捨てろって事でしょ? 私はそんなの、絶対に出来ない! そんな事をするくらいなら死んだ方がマシよ!!」
提督「────うむ。良い意思だ」
提督「さて、逝こうか──」
瑞鶴「はい──」
……………………
…………
……
提督「総員、心の準備は出来たか」
全員「はいっ!」
金剛「──あ、ごめんなさい。私、一つだけ心残りがあります」
提督「調子を狂わせるんじゃない。…………まあ良い。なんだ」
金剛「提督、キスしてください」
龍田「あらあらあら~」
暁「お、大人……!」
提督「……金剛、時間と場所を弁えろ」
金剛「──時間と場所なら弁えてますよ」
金剛「残り少ない僅かな時間。二度と戻る事のないこの鎮守府の母港──」
金剛「死に行く私の、ささやかな最後のお願いです」
提督「…………」
金剛「…………」
提督「皆が見ているぞ」
金剛「私には提督しか見えないです」
提督「死にたくなくなるぞ」
金剛「良いことじゃないですか」
提督「何も残らないぞ」
金剛「私の魂に刻まれます」
提督「…………」
金剛「…………」
提督「負けたよ、お手上げだ」
金剛「それではご褒美を」
提督「後悔は?」
金剛「私の辞書には載ってませんね」
──そっと、提督が私の背に手を回しました。
「ぁ──」
服越しに伝わる提督の温もりが、私の心臓を跳ねさせる。
死んだ目をしている提督の目は私の瞳の奥を見据え、私だけを見てくれている。
暴れる心臓を押さえる為、閉じた右手を胸の前へ持っていくと、その手は提督の左手に阻まれた。
優しく、けれど強く──大切な物をその手に収めるかのよう握られた。
だから私は、余っている左手をさっきの右手と同じように胸の前へ持っていく。
──バクバクと飛び出しそうな程の鼓動が、ハッキリと伝わってきた。
「提督……」
そう呟くと、私の愛しい人は右手に力を込めた。
ゆっくり、ゆっくりと提督が近くなるにつれ、私は今更緊張してきた。
身体は強張り、手を固く結び、視線も提督の光の無い目に釘付け──。
そういえば、私はいつからこの不思議な目を追い続けたのだろう。
一緒の毛布に包まった時?
提督の秘書になった時?
──初めて会った時?
いつだったか、もう分からない。
ただ一つ、分かる事は──
「……金剛」
──ほんの一瞬。愛しい人が目を閉じる瞬間、光が宿ったという事。
「ん……」
不意打ちだった。
その瞳の美しさに見惚れているというのに、愛しい人は唇を重ねてきた。
触れ合うだけの、フレンチキス──。
それだけだと思った私だけれど、提督はそのつもりではなかったらしい。
舌で唇をつつかれる。
すぐに私は、閉ざしていた唇を小さく開けた。
そろりと、窺うように舌が入ってくる。
それに対して、控えめに舌で触れ、提督に合図をした。
小さく、腫れ物に触るかのように優しく触れ合っていた愛しい人の舌は、甘い、甘い味がした。
「あ……」
その甘美な即効性の毒は、私の身体から力を抜くのに一秒と掛からなかった。
いや、本当に抜いたのは骨かもしれない。
そんな言葉遊びを痺れる頭に思い浮かべ、私は目を瞑って提督の舌を堪能した。
絡み、絡まれ、唾液を交換する──。
もう、どれが提督の唾液か私の唾液か分からない。
そこで、私の右手の指が提督の左手の指と絡まっているのに気付いた。
互いを貪るように動く舌と同じように、私達の指は絡み合った。
絡まった唾液を呑みこむ度に頭がボーっとする。まるで麻薬だ。
頭が痺れ、脳が蕩け、どこからが私でどこからが提督なのか、もう分からない。
いや、実際に麻薬なのだろう。こんなに気持ちの良くて、もっと欲しくなっているのだから──。
「は、ぁ…………」
どちらからともなく、舌が、唇が離れる。
提督と私の間に出来た銀のアーチ。それは数瞬だけ形を保って、プッツリと切れてしまった。
「……提督」
──もっと、あの甘く蕩ける麻薬が欲しい──
けれど、それは言えなかった。
私の愛しい人が、悲しそうな顔をしていたから──。
だから私は、笑顔でこう言った。
「────ありがとう」
──I don't mind that everyting is a lie.
(たとえ全てが嘘でも構いません)
──As long as I love you forever.
(私が貴方を愛している限り、永遠に)
……………………
…………
……
地の文に逃げた挙句、フレンチキスを誤用するこの体たらく。
死にたくなってきた。
それよりこれ他の艦娘は見せつけられてるんですかね?
金剛「──私は、最後まで沈みません」
金剛「提督が沈むのを見るまで、私は沈みません」
提督「……そうか」
金剛「…………」
提督「約束だ」
金剛「────はいっ!!」
瑞鶴「……あのー、良い所で悪いけど」
瑞鶴「…………見てるこっちが恥ずかしいんだけど……」
暁「お、大人……! 大人のキス……!!」
響「そうだね暁。とても深いキスだったね」
雷「エロいわね」
電「はわわわ……!」
天龍「おぉ……ぉぉぉ……」
龍田「天龍ちゃん、大丈夫~?」
川内「本当だったらこのあと夜戦になるんだろうなぁ」
神通「……夜戦…………や、やせん……」
那珂「神通って初心だねー」
提督「…………」
提督「整列」
全員「ッ!?」ビクゥ
……………………
…………
……
>>471
この通り、バッチリ一部始終ガン見されていました。恋は盲目って言うけど、こんな意味で盲目だったっけ?
さて、キリが良いのでここで今回の投下は終わりです。
金剛と提督の言葉遊びとキスシーンで執筆が遅れて書き溜めがほぼ無くなりましたし、丁度良いよね。
おかしいなぁ……常に5~6レス分、書き溜めながら進めていたのに……どうしてこうなった。
では、また今日投下させて頂きますね。
追記:こんな時間まで見てくれてる人が居て滅茶苦茶嬉しい。ありがとう。
戦闘シーンは苦手。
ちょっと投下が遅いと思うけど、これから投下していきます。
島風「…………」
提督「島風」
島風「ひゃいっ!?」ピシッ
提督「不自然な程えらく静かだが、どうした」
金剛「確かに、提督の言うようにサイレント過ぎデス。ちょっと心配になるくらいですヨ?」
瑞鶴「うん、それ私も気になってた。だって提督室での島風、普段からは想像もつかないくらいだったもん」
島風「あ……それは……」
提督「後悔してるのか、出撃した事に」
島風「後悔じゃないよ。色々と考えてるの」
提督「考え事?」
島風「うん。あのね、私、死んでも死ななくても良いの。皆の側に──特に提督の側に居られたら、それさえあれば、他に何も要らないの」
島風「だけど、私の中では絶対に死にたくないって思ってる自分も居る。それなのに、提督と一緒に海の底に沈みたいって思ってたり、どうにかして皆と逃げたいって思ってる自分も居るの」
提督「…………」
島風「この状況下で何を言ってるんだって話だけど、私にも良く分からない……。自分の気持ちすら良く分からない」
島風「……極めつけは提督と金剛さんのキスだけどね」
金剛「ホワイ? どういう事ですか?」
瑞鶴「あー……なんとなく分かる」
島風「嫌だーとか、私もしてほしいーとか、色々思ったんだけど、一番強く思ったのが……」
島風「提督がお父さんで金剛さんがお母さん、って気持ちなの」
瑞鶴「お父さんとお母さん……?」
提督「ふむ……」
島風「提督、この気持ちってなんですか? 私、こんなの初めてで分かんないよ」
提督「私にも分からん。だが、予測はできる」
提督「上手くは言えないが、今の島風は童女と少女の中間なんじゃないかと思う」
提督「電達ほど幼くはないが──」
暁「お子様言うなぁー!!」
雷「静かにしましょうね、暁」
響「電、一緒に抑えて」
電「はいなのです」
暁「もがー!」
提督「…………かといって、川内達ほど成長している訳でもない」
提督「大人の異性に対して、親のように思う気持ちと一人の異性として思う気持ちが一緒にあるのだろう」
島風「はー……なるほどねー……」
瑞鶴(親のように……)
金剛(私は一人の男としてテートクが好きネー)
島風「──うん! ありがとう提督! すっきりした!」
提督「うむ。良い目になった」
島風「提督の目は死んでるけどね」
提督「解体して一人母港に残してやろうか」
島風「泳いででも提督達と一緒に行くよ」
提督「……そうか。嬉しいよ」
……………………
…………
……
提督「──見えた。瑞鶴、偵察機は?」
瑞鶴「もうちょっと待って。もうそろそろ──お待たせ。情報が入ってきたわ」
瑞鶴「確認できた敵艦は五隻、単縦陣。南方棲戦姫と思われる艦が一隻、戦艦ル級が二隻、空母ヲ級が一隻、駆逐ロ級一隻! いずれも黄色のオーラを纏っています!!」
提督「五隻……? 数十居た艦は一体どこへ……」
提督「しかし、それでもふざけているな。黄のオーラを纏った艦は尋常じゃない強さと聞く。それが五隻。おまけに戦姫も居る」
提督「……恐らく勝てないだろうが、撤退させるのは可能かもしれん。……全員、沈むなよ!」
提督「複縦陣を敷け! 戦闘準備!! 奴らを私達の家に近付けさせるな!!」
全員「はい!」
提督「瑞鶴、第一次攻撃隊は空母のみ集中砲火を浴びさせろ。まずは敵航空戦力を出来る限り落とす」
提督「金剛、射程に入り次第、まずは敵後方戦艦を狙え。奴らの攻撃の精度を少しでも落とせ」
提督「水雷戦隊は艦載機からの回避に専念しろ。射程に入る前から攻撃を受けては勝てんぞ」
提督「いいか! まだいけると思ったら素直に下がれ! もう危ないと思ったら全力で引き撃ちを──!?」
提督「総員散開!! 回避行動を取れ!!」
瑞鶴「そん、な……制空権が……」
ドォンドォンドォンドォンドォンドォン──!
提督「ちぃっ……! なんとか全員回避したものの、制空権は劣勢か……。こっちの先制攻撃は期待できそうにないな……」
瑞鶴「……その通りよ、提督さん。敵も全部避けたみたい」
提督「…………仕方が無い。総員! 頭上には充分に注意しろよ! そろそろ射程──」
ドォン!
提督「──なに?」
金剛「なんデスかあれ!? まだ私のテリトリーじゃないのに届いてマス!!」
提督「バケモノどもめ……! 全員回避に専念しろ!! 砲撃距離になるまで耐えるんだ!!」
提督「…………なんだこの砲撃は。明確に当てる意思が感じられん……」
金剛「テートク!! 駆逐ロ級が突っ込んできます!!」
提督「何をするつもりだ一体……! 総員、回避のついでで構わん! 駆逐ロ級へ撃て!」
提督「────────全弾回避、するか。この砲撃の中を」
金剛「こ、こっちに……ぶつかる!?」
提督「回避だ!!」
提督「……一発も攻撃せず抜けて──まさか、直接母港を!」
金剛「────反転? 挟撃!?」
提督「くそっ! やられた!! 当てれなくて良い!! とにかく被弾するな!!」
提督「……味方がどんどん孤立させられていってる。なんてやり方だ……」
提督「敵一隻を相手にこちらは二隻、三隻で戦っている……それなのに一発も当てれないとは……!!」ギリ
提督(私の指導が甘かったという事か……!)
提督「南方棲戦姫がこっちへ近付いている……。ちっ……! 前門はバケモノの戦姫、後ろはバケモノ染みた駆逐ロ級……。逃げ場はないな」
金剛「テートク……アイツ、私の砲撃が効かないヨ!!」ドンドン
提督「……金剛、一点集中だ。まったく攻撃が効いていないという事もあるまい。同じ箇所を撃ち続けていたらいつか耐え切れなくなるはずだ」
金剛「──ハイ!」
ドン! ドン! ドン──! ドン──! ドン────!
提督「……ついに目の前に、か」
金剛「…………誰ですか、同じ箇所を撃ち続けたらいつか耐え切れなくなるなんて言ったのは。弾が尽きるまで撃ちましたけど傷一つ付いてませんよ」
提督「私だ。いやはや、まったくもって完敗だ。飛車角金銀桂馬香車を取られて王手を掛けられた気分だ」
金剛「それでも、歩が一個だけ残ってますよ?」
提督「そうだな。王を護る、武器を失った歩が一人だけ残っている」
南方棲戦姫「…………」ジャキッ
金剛「……その歩も、ここで取られそうですね」
提督「…………」
提督「知ってるか、金剛」
提督「──王も敵の駒を取れるんだぞ」バッ
金剛「な──」
南方棲戦姫「!!」
提督「いかに深海棲艦といえど、生身の部分は艦娘と同じ!! 装甲が硬いなら装甲が無い部分を攻撃すれば良い!!!」ガキッ
提督「王の目の前に玉を置いたのが間違いだったな南方棲戦姫! この首、へし折らせて貰う!!」グッ
金剛「ダメ!! 提と──」
ガンッ!!
嫌な音がした。
「────────」
大質量の金属が、硬い何かを叩いた時の音。
「──そんな、鉄の塊で……」
重々しく黒光りする金属の腕を持った敵は、己の首を──命を護った。
「人の頭、殴ったら……」
護る為に、人体を司る脳が入っている箇所へ、その腕で払った。
「────────」
殴られた人は、苦痛の声すらあげなかった。
「死んじゃ、う……」
敵の首を捉えていた白い制服の人の両手に、力が入っていないのが見える。
あと一瞬でも時間があれば、敵の首をへし折ったであろうその手は、弛緩してしまっている。
「やだ……」
手だけではない。
腕も、脚も、首も、何もかも──。何もかも、力が入っていなかった。
重力に従い、私の愛しい人は、崩れるように落ちていった。
──その中で、左手だけ、重力に逆らっていた。
「…………!」
「──それでは人を殺せん!」
再度、その手は敵の首に食らいついた。
「人間を甘く見るからこうなる!!」
間髪入れず、肋骨の直下へ内臓を抉るような角度で拳が敵を襲う。
そう──『慢心は最大の敵』
提督が何度も言っていた事だ。
「ッぁ゙──!?」
咳に近い、吐き出すような悲鳴。
今まで無表情だった敵が、初めて苦悶の表情を浮かべた。
明らかに拳一つ分はめり込んでいたのだ。耐えれるはずがない。
敵の視点はブレて、一瞬だけ無防備となった。
その一瞬で、提督は敵の背後を取る。右腕の根元付近で首を捉え、逃げれないように左腕でロック。更に、左手は後頭部をの右側面を掴んでいた。
絞めるのではなく、折る為の組み方。
──首があらぬ方向にへし曲がり、身体は先程の提督と同じように崩れるのだろう。
その生々しい姿を見たくなくて、私は目を堅く結んだ。
………………………………。
……おかしい。骨の折れる音がしない。
首の骨だ。とてつもなく嫌な音がするはずなのに、なぜ聴こえないのか。
恐る恐る、現実を見る為に瞳を開いた。
「────え?」
敵は変わらず立っていた。その代わり──。
「……提督?」
なぜか、提督がぐったりと敵の背に乗せられていた。
「どうして……?」
「キヲ ウシナッタヨウダ」
「────っ!?」
恨みや怨念を帯びたドス黒い声で、敵はそう言った。
「サスガダナ……。ニドメノシヲ、カクゴシタ」
二度目の死? どういう事……?
この敵が何を言っているのか、私には分からなかった。
武器を失った私を前に、敵は背を向けた。
──私の愛しい人を乗せたまま。
「待ちなさい!!」
どうして防衛手段を持っていない私を見逃すのか──。そんな疑問が頭に巡っていたが、私が声を掛けた理由は一つだけだ。
「その人を連れて行かせない」
愛しい人が攫われそうになっているのだ。敵は私を見逃しても、私はそれを見逃せない。
「…………」
敵は振り向くだけで、何も答えなかった。
「……ブキガ ナイヨウダガ?」
「腕があります」
「ウデヲ チギロウ」
「まだ歯があります」
「アタマヲ ツブソウ」
「怨念になってでも、戦います」
「……………………」
ジャキッ──と、弾を装填する聞き慣れた音がした。
本能で何がくるのか理解し、回避行動を取った──けど。
「がっ──ッ!!」
轟音と共に、私の身体は吹き飛ばされた。
視界が目まぐるしく流れ、そして、身体に衝撃が走った。
「か、はッ……!」
……まだなんとか浮いている。完全には沈んでいない。
「待、ちなさ……い……!」
けれど、腕を伸ばすも、身体が動かない。
「待ちな……さい、よ……!!」
敵は今度こそ背を向け、その姿が小さくなっていった。
「待って……! 待っ、て……よ……!!」
意識が遠くなる──。
身体が言う事を聞いてくれない──。
やめて……その人を連れて行かないで──。
お願いだから動いてよ、私の身体──。
「て、いと……く…………」
その言葉を最後に、私の意識は闇に落ちた────。
……………………
…………
……
~母港~
金剛「…………」
瑞鶴「……惨敗だったわね」
金剛「…………皆は?」
瑞鶴「無事よ。小破が二隻であとは皆、掠り傷程度。修理と補給をして、自分の部屋に戻るように指示しておいたわ」
金剛「………………大破したのは、私だけですね」
瑞鶴「……金剛さんは、あの戦姫と戦ったのでしょう? 沈まなかっただけでも凄いわよ」
金剛「あんなの、戦いなんかじゃありません。本当の意味で、私の攻撃は意味がありませんでした」
瑞鶴「…………提督さんは?」
金剛「たぶん、生きています。気を失い、連れて行かれました……」
金剛「提督は、とても勇敢に戦いました……。私の攻撃が一切効かない戦姫を相手に、あと一歩で殺せる状況まで持っていきました……」
瑞鶴「……すごいよね、提督さんって」
金剛「……はい。私よりも、ずっとずっと強くて、勇ましくて、最後まで諦めませんでした……」
瑞鶴「…………これからどうしよう……」
金剛「総司令部の人が来て、私達を解体するはずです。そういう書類を見た事があります……」
金剛「その人達が来るのは、恐らく三日後です。提督がそんな電報を打っていました……」
瑞鶴「三日……。あと三日で、私達は……私は……」
金剛「…………」
金剛「瑞鶴、一つ、聞いても良いですか?」
瑞鶴「……何?」
金剛「私や他の艦娘には話せない、提督と瑞鶴の秘密って、なんですか?」
瑞鶴「…………」
金剛「…………」
瑞鶴「……解体されて普通の女の子になっても、殺されるわよ」
金剛「……構いません。どうせ、艦娘は解体された後、いきなり消えるんです」
瑞鶴「──え?」
金剛「元帥という人が言っていました。解体された艦娘は、ある日突然に姿を消すらしいです」
瑞鶴「…………」
金剛「だから、言ってください。今回、何か裏があるのでしょう?」
瑞鶴「…………分かったわ」
……………………
…………
……
金剛「そうですか……瑞鶴は深海棲艦から……。それに、総司令部からそんな命令が……」
瑞鶴「…………」
金剛「……どうしてですか」
瑞鶴「え……?」
金剛「どうして、無理矢理にでも提督を連れて逃げなかったのですか」
瑞鶴「何を言ってるのよ金剛さん……そんな事──」
金剛「そうしていたら、提督は連れ去られなかったじゃないですか!!!」
金剛「どうしてですか!? どうして貴女は提督と一緒に逃げなかったのですか!?」
金剛「どうして……どうして…………?」
瑞鶴「…………」
金剛「ごめんなさい……八つ当たりをしてしまいました……」
瑞鶴「ううん……私も金剛さんの立場なら、同じ事を言ったと思う」
金剛「ごめんなさい……」
瑞鶴「…………」
金剛「……あと、三日ですか」
……………………
…………
……
川内「う~~~~~~ん…………」
神通「どうしたの、川内?」
川内「いや、あの敵なんだけど、なーんか違和感っていうか引っ掛かるっていうかなんというか、そういうのがあったんだよねー……」
那珂「なんかって、何ー?」
川内「それが分かんないんだよなぁ……なんなんだろ…………」
川内「む~~~~~~~~…………」
神通「思い出したら、教えて? もし提督が帰ってこなかった場合、提督を見つける手掛かりになるかもしれないから」
那珂「那珂ちゃんも何かおかしい所があったか思い出してみる!」
神通「うん。私も頑張って探してみるね」
神通「……提督、帰ってきてくれますよね?」
……………………
…………
……
暁「…………」
響「…………」
雷「…………」
電「…………」
島風「…………」
雷「司令官、大丈夫かしら……」
響「……帰ってきた時、唯一行方を知っている金剛さんが塞ぎ込んでしまっていたからね」
暁「…………もしかして、死んじゃったんじゃ……」
島風「そんな事ない!! 提督は簡単に死ぬような人じゃないよ!」
電「そ、そうです! きっと道に迷ってるだけなのです!」
響「私も死んでないと思うよ」
暁「気休めはやめてよ……余計に辛いわ……」
響「気休めなんかじゃないよ。確証とまではいかないけれど、信用できる事がある」
暁「────っ! な、なに!?」
響「金剛さんさ」
島風「金剛さん?」
響「そう。金剛さんがこの鎮守府に居る事が、司令官が生きているという証だと私は思っているよ」
電「あの……どうしてですか?」
雷「あ、なんとなく分かったかも」
響「雷は察しが良いね。──金剛さんが、そんなに簡単に提督の側を離れると思う?」
暁「……ないわね、それは」
響「もし司令官が死んでしまってるのなら、金剛さんは後を追うと思うよ、ほぼ間違いなく」
雷「そうよね。普段の金剛さんを見ていたらそう思うわ」
響「だから、金剛さんが生きているという事は司令官が生きている──私はそう思ってる」
暁「で、でも……もしかしたら死ぬのが怖くなったって可能性もあるでしょ?」
響「勿論そうかもしれない。あの塞ぎ込みっぷりならそれも納得できる」
響「でも、私は前向きに考えるよ」
響「────そう、簡単に死ぬわけないじゃないか」
……………………
…………
……
提督「…………っ」
戦姫「……起きたか」
提督「…………」ジッ
提督(ここはどこだ……? 暗くて良く分からん……。腕は……ちっ、何かに縛り付けられているな)
提督(深海棲艦がこんなに……。というか、こいつらもあの武装を取れるのか)
提督(……ん?)
ザッ────ピシッ!
提督「……なぜ敬礼をした。しかも全員」
戦姫「単刀直入ですが、貴方に我々の上官になって頂きたい」
提督「断る」
戦姫「そうですか……。理由をお聞きしても?」
提督「何の目的か言ってくれるのなら考えもするが、いきなり上官になれと言われても納得する馬鹿は居るまい」
戦姫「なるほど。ごもっともです」
戦姫「私達は沈んだ──いや、死んだ艦娘です」
提督「知っている」
戦姫「ご存知でしたか。話が早くて助かります」
戦姫「……貴方は、似ているのです」
提督「似ている?」
戦姫「はい。私達の──」
ヲ級「…………」テテテ
戦姫「あっこら!」
ヲ級「♪」ギュー
提督「……このヲ級。もしかして」
戦姫「はい。貴方の鎮守府へ偵察に行った者です」
戦姫「この通りかなり自由奔放者で、甘えたがりなのです」ハァ
ヲ級「♪」
提督「……なぜこんなに懐くんだ」
戦姫「すみません。言うのが遅くなりましたが、貴方は私達の提督に似ているのです」
提督「……ただ似ているだけではここまで懐くとは思えん。しかも敵だろう」
戦姫「────という名前をご存知ですか?」
提督「私の父親だ」
戦姫「なるほど。だから……」
戦姫「あ……すみません。勝手に納得してしまいました」
提督「良い。話せ」
戦姫「ここに居る者達は全員、貴方の父親が保有していた──いたっ」
ヲ級「…………」ペシッペシッ
戦姫「あ、ああ分かった言い直す。言い直すから叩かないでくれ。……こほん。失礼しました」
戦姫「……全員、貴方の父親を慕っていた者達なのです」
提督「…………」
戦姫「特にその──貴方がヲ級と言った者は、私達の提督に懐いていました」
戦姫「本当はもう一隻、妹の空母が居るはずなのですが、どこに居るのか……」
提督「……非常に理解できない所がある」
戦姫「なんでしょうか」
提督「私の父親は誰もが厳しすぎるのでは、と思われる厳格な人だった。実際に父が指揮をしている所を見た事があるが、懐くとは到底思えない」
提督「それなのに、なぜこんなに懐いている」
戦姫「ああ……とても厳しかったです……それはもう、タービンが爆発しそうなくらい……」ドヨーン
提督「…………」
戦姫「────はっ! し、失礼しました!」ピシッ
提督(よっぽど厳しく仕込まれたんだろうなこれ……)
戦姫「……ですが、それは人前と仕事だけです。それ以外ではとてもとても、お優しいお方でした……」
戦姫「ああ~……美味しかったなぁ、あの間宮アイスクリーム……」
提督「……………………」
戦姫「!!!! しっ失礼しました!!」ピシッ
ちょっとご飯食べてきます。
ヲ級ちゃんが出てきたら皆も出てきてちょっとワロタ。
提督「……お前、よく父から罰を受けていただろ」
戦姫「…………はい。よく吊るされていました……」
提督(私は今、血は逆らえないという言葉を心の底から実感した)
戦姫「それで、深海棲艦となった艦娘は普通、記憶を無くすらしいのですが……どういう訳か私達はあまり記憶が消える事なくこうしているのです」
戦姫「提督への信頼や想いが魂に刻み込まれたのでは、という事で納得していますが、実際の所は分かりません……」
戦姫「そして……私達は提督の事を忘れる事ができません。確かに厳しかったですが、それも優しさだったのです」
戦姫「その優しさを……私は、私達は忘れられませんでした……」
提督「……だから、父と似ている私に提督になれと」
戦姫「勝手な言い分だとは分かっています。でも、万が一……いえ、億や兆、那由多の果ての一つしか可能性がなくても、私達はそれに縋りたかったのです」
提督「…………」
戦姫「…………」
提督「……なるほど、理由は分かった。私を縛っているのは、話を聞いてもらう為か?」
戦姫「はい。提督と同じく艦娘を相手にしても殺そうとされましたから、申し訳ありませんが縛ら……せ、て…………」
提督「…………」
戦姫「…………」タジ
提督「…………」ジッ
戦姫「…………っ!!」ビクゥ
戦姫「だ、誰かハサミを持ってきて!! 早く!!!」
提督「……縛ったのは誰だ」
戦姫「え……わ、私……です……」ビクビク
提督「そうか。それなのに切る道具を持ってくるのは別人なのか」
戦姫「行ってきます!!!」ダッシュ
提督(ああ……私の鎮守府と同じ感覚……)
……………………。
提督「……なるほど、理由は分かった。私を縛っているのは、話を聞いてもらう為か?」
戦姫「はい。提督と同じく深海棲艦を相手にしても殺そうとされましたから、申し訳ありませんが縛ら……せ、て…………」
提督「…………」
戦姫「…………」タジ
提督「…………」ジッ
戦姫「…………っ!!」ビクゥ
戦姫「だ、誰かハサミを持ってきて!! 早く!!!」
提督「……縛ったのは誰だ」
戦姫「え……わ、私……です……」ビクビク
提督「そうか。それなのに切る道具を持ってくるのは別人なのか」
戦姫「行ってきます!!!」ダッシュ
提督(ああ……私の鎮守府と同じ感覚……)
……………………。
提督「ふー……」
戦姫「あ、あぁぁあの……痛くないようには縛ったつもりですが……だ、大丈夫ですか……?」
提督「うむ。問題ない」
戦姫「良かったぁ……」
提督「…………」
戦姫「? どうかなされましたか?」
提督「いや……敵だというのにこの接され方は少し戸惑いをな」
戦姫「…………」
提督「…………」
戦姫「ああっ!!」
提督(これがアホの子というやつか)
戦姫「深海棲艦になってからどうも色々なモノが抜け出ていったようで……すみません……」
提督「色々なものが抜け出ていった?」
戦姫「はい……。大まかに言うと感情や、言語、記憶などです。細かく言うと、私みたいにあまり深く物事を考えれなくなるなんて事もあります」
提督「……お前から感情や言語が抜けているようには思えないんだが」
戦姫「え? あぅ……説明が悪かったです……。深海棲艦になると大まかに感情や~と言いたかったんです……」
提督「…………」
戦姫「呆れないでください……アホの子になったっていうのは自覚しているんです……」
ヲ級「♪」スリスリ
提督「っと。本当に懐いてるなこいつは……」
戦姫「この子は主に言語と感情だと思います。感情はまだマシなのですが、特に言語が酷くて……」
ヲ級「?」
提督「なるほど、喋れないと」
戦姫「はい……」
提督「……少し、質問しても良いか」
戦姫「はい。なんでしょうか」
提督「私は、そんなに父に似ているのか」
戦姫「はい! それはもう!」
提督「私は父ではないぞ。私に提督になってくれと言ったが、できるのか?」
戦姫「どうやら艦娘特有の『刷り込み』は無くなってしまうようです。貴方に提督となってくださいと言えるので、これは間違いないですね」
提督「私が父の代わりになれるとも思っていないのだが」
戦姫「私達は代わりだなんて思っていません。後継者だと私達は思っています」
提督「そうか。それでは、艦娘をどう思っている」
戦姫「……正直に言って、憎いです。過去の自分達を見るのが嫌なのか、それとも仲間に引き込もうと思っているのか分かりません。ほとんど根拠のない憎しみなんです」
提督「ふむ……。深海棲艦はそういうものなのだろうな」
提督「では、私がお前達の提督になったとして、上官命令で艦娘と仲良くしろと言っても無理か?」
戦姫「それは…………無理そうですね。『刷り込み』があれば出来たかもしれませんが、提督の命令が私達の絶対命令でなくなってしまっています」
提督「そうか……和解の道は無いか……」
提督「ふと思ったのだが、他の深海棲艦も同じように集まって軍隊を成しているのか?」
戦姫「それはないでしょうね。私達が特別だと思います。他の深海棲艦が同じ編隊で居るのは、恐らく艦娘時代の仲間だからじゃないでしょうか」
戦姫「私達のように規律のようなものがあるのは、他に見た事がありませんね」
提督「ふむ。しかし、どうしてお前達は沈んだんだ? 戦艦の主砲を受けて無傷ならば沈みようがないと思うのだが」
戦姫「艦娘の頃はこんなに高性能ではありませんでした。少なくとも、戦艦の主砲を耐える事は出来ても無傷なんてありえませんでしたね」
提督「沈んだら逆に強化されているのか……不思議なものだ」
戦姫「本当、不思議ですよね……」
提督「では次の質問。私に提督になってくれと言ったが、私の艦娘はどうなる」
戦姫「…………」
戦姫「あー……考えた事がありませんでした……」
提督「……本当に深く考える事ができなくなってるのだな」
戦姫「返す言葉もありません……」
戦姫「そうですよね……私達が提督を失ったように、艦娘達も悲しみますよね……『刷り込み』がある分、私達よりも辛いでしょう……」
提督「……少し前にお前が言った勝手な言い分というのは『今の艦娘を捨てて私達の提督になってくれ』ではなくて『見ず知らずの私達の提督になってくれ』という意味だったのか」
戦姫「はい……その通りです……」
提督(もうこれは深海棲艦になったからじゃなくて元からなんじゃ……?)
提督「……次に、これは純粋な疑問だが、お前は私に手を上げたな?」
戦姫「ひっ! ご、ごめんなさい!!」ビクッ
提督「いや、責めている訳ではない。純粋な疑問だと言っただろう」
戦姫「あの……えと…………殺されそうだったのでつい……」ビクビク
提督「反射的に手が出たと」
戦姫「はい……」ビクビク
提督「その件については私にも非がある。すまない」
提督「鳩尾は大丈夫だったか?」
戦姫「失神しそうでしたけどなんとか……。痛いのは戦闘で慣れてますから……」
提督「そうか……」
戦姫「……優しいですね」
提督「優しかったら殺そうとするのはおろか、殴る事もない」
戦姫「貴方は私を敵だと言っているのに、心配してくれている。それは、優しいじゃないですか」
提督「…………」
提督「……では、最後の質問だ」
提督「私がお前達の提督にならない、と言ったらどうする」
戦姫「…………」
提督「ほとんど拉致に近い。何もしないという事はないだろう」
戦姫「…………」
提督「…………」
戦姫「私は──私達は、貴方を殺したくない。提督のご子息とあらば、尚更……」
提督「そうか」
戦姫「──翔鶴、その人を抱き締めて」
ヲ級「♪」ギュー
提督「なっ──!」
戦姫「……貴方を骨抜きにしてでも、私達の提督になってもらいます」ニコ
提督(……寂しそうに笑いおって。本当は嫌なんだろうな……)
提督(それでも、提督を欲する……か……)
……………………
…………
……
さりげなくアンデルセンと旦那のセリフを乗せたな
SSも面白いし、パーフェクトだ、>>1
~提督室~
バアアアアンッッ!!!
川内「思い出したぁぁああああああああ!!!!!」
瑞鶴「ど、どうしたの川内?」ビクッ
金剛「…………?」
川内「あれだよ!! あの敵空母!!」
瑞鶴「お、落ち着いて! 敵の空母がどうしたの?」
川内「さっき戦った敵空母、この前この鎮守府に来ていた変な敵の空母だって!!」
金剛「……それが、どうかしたのですか?」
瑞鶴「それより、なんでそんなのが分かるのよ」
川内「おお、金剛さんが喋るようになった! ──えっと、あの空母の折れ曲がった砲身、まったく同じだったよ!」
川内「あの空母が帰っていった方向に行けば、提督が居るんじゃないかなって思ったの!」
金剛「…………」
瑞鶴「そ、そうは言っても……本当にそうとは限らないじゃない。それに、中途半端にしか憶えてないわよ?」
金剛「…………」
金剛(……あの空母が帰っていったのはあの方向)
川内「でも、試してみる価値あるでしょ!」
金剛(南方棲戦姫が向かったのがあの方向……)
瑞鶴「……そうよね。皆を集めて、記憶を頼りに──」
金剛「──あった」
瑞鶴「え、え? どうしたの、金剛さん?」
金剛「あの二隻……方向……交点、放棄された泊地……」ブツブツ
川内「えーっと……どういう事?」
金剛「恐らく、あの敵の根城──!」
金剛「二人共、皆をここに集めて! 作戦会議をするわよ!」
……………………。
瑞鶴「全員集めたわよ」
暁「何? こんな夜中に呼び出して……。ちょっと眠いんだけど……」
響「何があったんだい? 提督の行方についてかい?」
金剛「そうデス。提督の行方です」
全員「!!」
島風「それ本当!?」
瑞鶴「ど、どこなの!?」
金剛「落ち着いて。今地図に描きマス」ペラッ
金剛「以前見かけた意味不明の空母がこの方向デス」キューッ
響「……やけに精確だね?」
金剛「私はあの空母のすぐ近くに居ましたからネ」
響「なるほど……」
金剛「そして、私達がさっき戦った場所がココ。遠くに見えた島と鎮守府の場所から考えるとココで間違いないネ」キュキュ
金剛「そして、南方棲戦姫はこの方向へ向かいまシタ」キューッ
金剛「その交点が──」キュッ
瑞鶴「……ここは?」
瑞鶴「全員集めたわよ」
暁「何? こんな夜中に呼び出して……。ちょっと眠いんだけど……」
響「何があったんだい? 提督の行方についてかい?」
金剛「そうデス。提督の行方です」
全員「!!」
島風「それ本当!?」
瑞鶴「ど、どこなの!?」
金剛「落ち着いて。今地図に描きマス」ペラッ
金剛「以前見かけた意味不明の空母が帰っていったのがこの方向デス」キューッ
響「……やけに精確だね?」
金剛「私はあの空母のすぐ近くに居ましたからネ」
響「なるほど……」
金剛「そして、私達がさっき戦った場所がココ。遠くに見えた島と鎮守府の場所から考えるとココで間違いないネ」キュキュ
金剛「そして、南方棲戦姫はこの方向へ向かいまシタ」キューッ
金剛「その交点が──」キュッ
瑞鶴「……ここは?」
島風「何かの島?」
金剛「敵に奪われたと言われている泊地デス。きっと、テートクはここに居ます」
響「……偶然という可能性は?」
金剛「それもありマス。なので、憶えている人だけで構いまセン。敵が退いていった方向を描いてみてくだサイ」
金剛「敵にかなり離されてしまっていたのでほとんど目測ですが、それぞれここら辺に居たはずデス」キュッキュッ
響「……たしか、こっちの方向だったと思う」キューッ
龍田「私が戦った敵はこの方向だったかしら~」キューッ
電「……こっちだったのです」キューッ
瑞鶴「…………これは」キューッ
金剛「……ほとんど確定ですネ。多少のバラつきはあれど、この交点に重なりマス」
金剛「ここまでくると、もう偶然じゃありまセン! 明日、この放棄された泊地に行きまショウ!!」
金剛「あ……」
雷「? どうしたの?」
金剛「違いマスね。皆、目を瞑ってください」
島風「何が始まるの?」
金剛「いいカラいいカラー。……………………準備は良いみたいですね」
金剛(……たしか、こうだったはずデス)
金剛「……死にたくない者は解体を施すから逃げろ」
瑞鶴「!!」
金剛「海軍刑法によると敵前逃亡は罪に問われる。だが、ここは提督の城だ。そんなモノは最初から存在しない」
金剛「十秒与える。解体を希望する者は静かに手を上げろ」
金剛「十」
島風(提督の真似ね。なんだか嬉しいかも)
天龍(ちょっとだけ怖いんだよなぁこれ……)
金剛「九」
龍田(天龍ちゃんは提督さんを思い出して怖がってるんでしょうね~)
暁(ああ……司令官はこう言っていたのよね……)
金剛「八」
響(なんだか懐かしいな……今日あった事のはずなのに……)
金剛「七」
雷(金剛さん、よっぽど司令官が好きなのね)
金剛「六」
電(司令官さんは、みんな馬鹿だって言っていましたね)
金剛「五」
川内(提督の真似かー。結構似てるなぁ)
金剛「四」
神通(そうですよね。提督なら、こうしていましたね)
金剛「三」
那珂(はっやくーはっやくー♪)
金剛「ニ」
瑞鶴(あの日、提督さんは私達を見捨てないって言った。だから、私も見捨てない)
金剛「一」
金剛(──提督、待っていて下さい)
金剛「そこまで──。手を下ろしてよい。……………………目を開け」
金剛「……………………」
金剛「……私達は死にたがりの大馬鹿者です。馬鹿ですね、私たち全員」
金剛(提督……ここに居る皆は、提督が大好きですよ)
……………………
…………
……
提督「それで、また縛り付ける訳か」
戦姫「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」ビクビク
提督「私でも捕虜にはこうするから気にするな。……まさか両手足にこんな鉄球を付けられるとは思わなかったが」
提督「しかし……思ったより綺麗だな、この拠点」
戦姫「……できるだけ、提督の鎮守府に近付けたかったんです」
提督「……なるほど。では、ここが提督室か」
戦姫「はい。……こんな感じの部屋で、こんな感じのベッドの上で、提督に一杯愛してもらいました」
提督「…………ちょっと待て。今なんと言った?」
戦姫「? 一杯愛してもらいました」
提督「……あの父が? まさか。暇があれば亡き母をずっと想っていた人だぞ?」
戦姫「ええ……その事はよく憶えています。例え出撃していようと、奥様の写真を片時も離しませんでした」
戦姫「ですから不思議に想いましたけど……寂しかったのでしょうね。よく、私を痛いくらいに抱き締めては泣いておられました」
提督「……想像できん」
戦姫「きっと、私が奥様と似ていたからでしょう」
提督「まったく似ていないんだが」
戦姫「深海棲艦となって姿が変わっていますから……」
提督「……すまん」
戦姫「いえ、気になさらないで下さい。この姿についてはもう諦めました」
戦姫「……こんな姿で申し訳ありませんが、お相手させて頂きます」
提督「待て」
戦姫「はいっ!」ピシッ
戦姫「あ……」
提督「…………」
提督「そんなに急がなくても良いだろう」
戦姫「そうでしょうか? 貴方の気骨は相当強いと思います。だから、早めに行動しようとしているだけですよ」
提督「本丸を攻め落とすにはまず外堀から、という言葉を知らんか?」
戦姫「いえ……聞いた事はありますが……」
提督「目的を達成する為には、まず周辺から片付けていけって事だ。人を手篭めにするのなら、まずは心を開かせれば話が早い」
戦姫「なるほど!」
提督(こんな事を言う時点で不可能だというものだが、それに気付く事もあるまい)
戦姫「それでは、失礼します」モゾモゾ
提督「……呆れた」
戦姫「え……え?」
提督「私とお前はどういう関係だ」
戦姫「……提督のご子息様と、提督の元艦娘ですか?」
提督「違う。立場で言え」
戦姫「…………あ、敵同士」
提督「そうだ。私は海の上でお前の首の骨を折ろうとしただろう。それを忘れたのか」
戦姫「憶えてますよ? それが何か……」
提督「……今度こそ折られるとは思わないのか」
戦姫「特には……。だって、折るだけなら今までいくらでも機会がありましたよね?」
提督「より確実な機会を待っている可能性があろう。虎視眈々とな」
戦姫「私にはそう見えません。目を見れば分かります」
提督「どうだかね」
戦姫「本当です。初めて会った時の貴方の目ではありませんもの」
提督「……どんな目だった」
戦姫「正直、怖かったですね。今と違って目に光が宿っていましたが、その目に明確な殺意が込められていました」
戦姫「……あの目は、知っていますから」
提督「知っている?」
戦姫「はい。私の提督も、最後にあの目をしていました」
提督「……父は、どんな最期だった」
戦姫「私を護ろうとする為、戦艦ル級に掴み掛かりました。貴方と同じように、相手の首を折ろうとしましたが、相手の砲撃の方が一瞬だけ速く、提督と私は一緒に……」
提督「……敵がそんなに接近し、尚且つ父とお前が気付かないとは、どう言う事だ」
戦姫「海の底から浮かんできたんです。恐らく、深海棲艦になったばかりだったのでしょう」
戦姫「提督も私も、満身創痍でしたから満足に動けず……」
提督「……沖ノ島海域最大規模戦闘だったか。味方二百隻弱、敵五百隻強の被害が出た戦闘だったと聞く」
戦姫「正確には味方が六十隻で、敵が六百隻とちょっとです。もうちょっとあるかもしれませんね」
提督「………………なんだと? 味方が六十? そんな馬鹿な」
戦姫「本当です。だって、支援艦隊が来なかったんですから」
提督「支援艦隊が来なかった……?」
戦姫「はい。いきなり通信が受信できなくなって、そのまま囲まれました」
提督「……どうなっている。こちらの資料では向かった支援艦隊もほぼ全て沈んだとあったぞ。来ていたのに気付かなかったんじゃないのか?」
戦姫「それはありません。航空戦隊が最後まで『支援艦隊はまだか』と叫んでいましたから」
提督「……キナ臭いな」
戦姫「し、信じてくれないのですか?」
提督「いや、キナ臭いのは総司令部の事だ」
提督「……戦姫。お前は知りたくないか?」
戦姫「えっと……何をですか?」
提督「支援艦隊が来なかった理由──いや、お前達が殺された理由だ」
戦姫「……殺された?」
提督「支援艦隊が本当に出撃していたのなら、お前の記憶と食い違うはずがない。ならば、意図的に出撃しなかった。そうとしか考えれな────」
戦姫「? どうしました?」
提督「………………戦姫……そのときの支援艦隊、指揮はなんて名前の奴が取っていた?」
戦姫「えっと……──少将と──中将と──中将と……」
戦姫「総指揮に──大将」
提督「────ビンゴだ」
戦姫「え? びんご……? え……?」
提督「そいつらは全員、大将になっている」
提督「総指揮の大将なんて元帥だよ。つい先日死んだがな」
戦姫「……どういう事ですか、それ」
提督「海軍の大将以上は全員黒だと言って良い」
提督「深海棲艦に対抗する為と謳った艦娘建造計画。深海棲艦を基盤とした艦娘の建造計画。解体した艦娘の行方不明」
提督「黒だ黒だと思っていたが、白い所なんて微塵も存在していない……!」
提督「そもそも始まりはどこだ。艦娘が先か? それとも深海棲艦か? 深海棲艦が先ならばどこから生まれた? 艦娘が先ならば本当の目的はなんだ?」
提督「深海棲艦を基盤とした建造計画も良く考えればおかしいじゃないか。一日に深海棲艦は何隻沈んでいる? 艦娘は何隻沈んでいる? 間違いなく深海棲艦の方が沈んでいるはずだ」
提督「解体した艦娘はどこへ行く。人間と変わらなくなるんだ。いきなり消える訳がない。売り飛ばされるのか、それとも何かの実験に使われているのか」
提督「一体どういう事だ、総司令部……!!」
戦姫「……………………」
戦姫(この人が何を言ってるのか良く分かんない……)クスン
……………………
…………
……
今日の投下はこれで終わりです。また今日、投下しますね。
真っ黒な総司令部がやっと見えてきましたよ。
それよりも修正が多すぎで悲しい。
あと更に、じみぃーに投下数が少なくなってきてて泣いた。
でも何よりも皆が見てくれてる事が凄い嬉しくて、頭をガンガン殴りながらウーウー言って救急車の真似をしたくなります。
こんな事を書いてるのを見れば分かる通り、ヘルシングとか結構好きです。でも、>>576 が言ってるよう那由多のやつは正直、真似したつもりはなかった。というか、ヘルシングを知る前からこの表現使ってた。泣きたい。いや、泣いた。反語。いや反語じゃない。いややっぱり反語? もうどっちでも良いや。
それでは、皆さんまた今日に。
瑞鶴「────については、さっきの議論結果で問題ないわね。次の問題だけど、あの敵に対抗するにはどうしたら良いかしら」
金剛「それが一番の問題デス……特にあの南方棲戦姫はモンスターね。私の砲撃が全く効きませんでシタ」
響「……戦艦の砲撃が効かないならば、魚雷しかないのかな」
暁「でも、雷撃距離になる前に砲撃でやられちゃうわよ?」
金剛「本当に困りまシタ……」
瑞鶴「潜水艦があれば、まだ話は別なんでしょうね……」
金剛「無いものねだりは良くないのデース……」
ガチャ──
全員「!!?」
金剛「誰!?」ジャキッ
提督「お前ら……何をしている……」
瑞鶴「提督さん!? ど、どうし──!?」ハッ
ヲ級「?」ヒョコ
バッ──! ジャキジャキジャガジャコンガチャッ──!!
ヲ級「!?」ビクゥ
金剛「提督!! 離れて!!!」
提督「お前ら……」
島風「早く提督こっちに──!!」
提督「セイレツ……」
全員「────ッッッ!!!!!!」ビックゥ
全員「!!!」ピシッ
提督「…………」ツカツカツカ
シャッ──!
提督「砲撃の恐れがあるので、夜、見張りが居ない時に電気を付けるならばカーテンを必ず閉めるようにと言っ
たはず……」
全員「────ッ」ガタガタガタガタ
提督「シニタイノカ?」
全員「ご……ごめんなさい……!」ガタガタガタガタガタガタ
ヲ級「…………!」ガタガタガタ
……………………
…………
……
瑞鶴「あ、あの……」ビクビク
提督「…………」ジッ
瑞鶴「ぴぃっ!?」ビクゥ
提督「……なにかね」
瑞鶴「あ、ぁあの……ど、どどどうして敵艦が……提督さんと……」ビクビクビクビク
ヲ級「!」テテテ
瑞鶴「……はぇ?」
ヲ級「♪」ギュー
全員「…………」
瑞鶴「え、え? どういう事?」アワアワ
ヲ級「♪」スリスリ
金剛(………………瑞鶴は深海棲艦から生まれたからですかネ……?)
提督「……色々と話さなければならない事がある」
……………………。
金剛「はー……深海棲艦にも色々と居るんですネー……」
島風「ホントホント。破壊と殺戮しかしないのかと思ってたけど、そうじゃないのも居るのね」
提督(とりあえず、あの深海棲艦達は提督を欲しがっていた事と、本当に相容れれないか確かめてみるという名目で連れてきたと誤魔化したが、案外上手くいくものだな。これが人徳というものか)
提督「さて、特殊な深海棲艦も居ると分かってもらった所で、もう一人紹介しよう」
響「もう一人連れてきているのかい?」
提督「ああ。ちょっとした事情でドアの向こうで待機してもらっている」ツカツカ
ガチャ──
提督「……………………」
パタン──
金剛「!!!!」
響「ほう」
龍田「あらあら~……」
瑞鶴「…………」
戦姫「……………………」
提督「本日、諸君等と戦った深海棲艦のトップだ」
金剛「っ!」ジャキッ
戦姫「……ナンダ キサマカ」
金剛「よくのうのうとここに来れたものですね」
戦姫「ヨクアレデ イキテイタモノダ」
暁(ちょっとちょっと!? 物凄く怖いんだけどアレ!?)フルフル
電(だ、大丈夫です!! き、き、きっと大丈夫なのです!!)フルフル
金剛「その件についてはどうも。今度は逆の立場ですね」
戦姫「フン ヘイキサエアレバ キサマナド────」
提督「お前ら」
金剛・戦姫「ひっ──!!」ビクゥ
提督「私の城で、私の前で何をするつもりだ」
金剛・戦姫「ご、ごめんなさい……!」ビクビク
川内(あれ……第一印象と全然違う……)
提督「この通り、艦娘に対して根拠の無い恨みを持っているのが深海棲艦らしい。瑞鶴にしがみついている空母は相当な特殊だ」
ヲ級「♪」ギュー
提督「諸君ら艦娘にとって通常の深海棲艦は大変危険という事だけは忘れないように」
戦姫「…………」キッ
金剛「…………」キッ
提督「…………」ジッ
金剛・戦姫「!!!」ビクッ
提督(武装解除させてきて本当に正解だった)
提督「少しの間だが、戦姫と空母をこの鎮守府に置いておく。仲良くは……戦姫にはできないだろうが、そっちの空母にはできるかもしれないだろう。夜も深くなってくる頃だ。接するのは明日からにしてくれ」
提督「では、解散」
……………………
…………
……
雷「──司令官、金剛さん、瑞鶴さん、戦姫さん、空母さん、おやすみなさーい」
──パタン
金剛「……それで、本当はどういう事なんデスか?」
瑞鶴「さっきの説明、隠してる事があるわよね?」
提督「ああ。だが……」チラ
金剛「…………? ああ、大丈夫です。総司令部から殺される覚悟はもうしまシタから」
提督「……瑞鶴」
瑞鶴「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」ガタガタ
提督「次はない」
瑞鶴「ぴゃいっ!」ピシッ
金剛「……それよりも、物凄く羨ましい人が一人いるのですけど」ジッ
ヲ級「すー……すー……」
金剛「どうして提督の膝に座って寝ているんですか」
提督「……懐かれた」
瑞鶴「私はともかく、懐きっぷりが半端じゃないと思うんだけど……」
提督「どうやらこの子達の提督と私が非常に似ているらしい」
金剛「それでもここまで懐きますかね……?」
戦姫「……私とこの子は提督から特に可愛がられていたからだろうな」
瑞鶴「あ、普通に喋れるのね」
戦姫「さっきは艦娘が何人も居たからな。二人……いや一人ならばこの憎しみも抑えれよう」
金剛「やっぱり瑞鶴は私達と違うって分かるのデスか」
戦姫「ただ違うという訳ではなさそうだ。特別な何かを感じる」
瑞鶴「うん、私もよ。他の深海棲艦とは全然違う、落ち着くっていうか安心できるっていうか……そういうのがあるわね」
戦姫「私もだ。……お前があの瑞鶴だったら良いのだがな」
金剛「あの瑞鶴?」
戦姫「さっきも言ったが、私とこの子は特に可愛がられていたが、もう一人居る。この子、翔鶴の妹がな」
提督「それに、瑞鶴を一目見てすぐに懐いた。ここまでくるとそうとしか思えんよ」
瑞鶴「翔鶴姉が、この子……」
戦姫「いや、それでも違うだろう。お前はこの人の瑞鶴なのだろう?」
瑞鶴「そうだけど……私、深海棲艦から建造されてるわよ?」
戦姫「なんだと……?」
金剛「テートク、話していなかったのですか?」
提督「変に先入観を持たせたくなかったからな。もしやと思い、敢えて隠しておいた」
瑞鶴「そっか……なんだか納得したかも」
戦姫「納得?」
瑞鶴「私ね、提督さんに初めて会った時から特別な感情があったの。自分でも不思議に思っていたけど、沈む前の提督が提督さんに似ているなら納得よ」
戦姫「……それでも、やはりおかしいな。私達が沈んだ戦闘に瑞鶴は参加していなかった」
戦姫「極度の体調不良で、一人母港に残っていた。沈むのはありえん。解体されているはずだ」
提督「いや、しっかりと沈んでいるぞ。あの戦闘の話が大きすぎてあまり知られていないようだが、空母一隻が勝手に出撃をし、母港を出た直後に敵に沈められたという記事があった」
提督「その母港がここだ」
金剛「……本当にピタリと一致しますネ」
戦姫「という事は、ここは提督の鎮守府だったのか……」
提督「そうだ。気付くと思っていたのだが、気付かなかったのか」
戦姫「……鎮守府の名前と場所を憶えていないんです。どこの鎮守府も似たような造りですし、私達が居た頃と少し違うので気付きませんでした」
戦姫「そっか……ここが……」
戦姫「しかし……瑞鶴、提督の事や翔鶴の事など、本当に憶えていないのか?」
瑞鶴「うん……。翔鶴姉の事なら少し思い出せるけど、提督の事についてはさっぱり……」
提督「深海棲艦になると記憶などが抜け落ちるように、恐らく深海棲艦から艦娘に戻る時も記憶が抜けてしまうのだろう」
提督「さて、そろそろ本題に入ろう。私が戦姫と話していて新たに分かった事とかな──」
……………………。
金剛「──真っ黒じゃないですか!!」
提督「ああ、真っ黒だ。キャンパスの白地が見えないくらいにな」
瑞鶴「…………」
提督「どうした、瑞鶴」
瑞鶴「あ……ちょっと話題から逸れちゃうんだけど、どうしてあの鎮守府を襲撃したのかなって思って……」
戦姫「襲撃?」
提督「大方、先に手を出したのはクソジジイからだろう。迎撃をするも攻撃し続けてきたので鎮守府を攻撃。といった所ではないか?」
戦姫「そうです。さすがですね」
戦姫「あまり戦力を削ぎたくなかったので相手にしなかったのですが、調子に乗ったのかしつこく攻撃してきたので返り討ちにしました。艦娘を物のように扱うやり方にも腹が立ち、仲間を呼んでその鎮守府も一緒に落としました」
提督「……そういえば、どうして南方からこの鎮守府へ向かってきたんだ? 戦姫が拠点にしている場所は東南東方面だったと思うが」
戦姫「…………羅針盤が壊れていたんです」
提督「…………」
金剛「…………」
瑞鶴「…………」
戦姫「どれだけ進んでもそれらしい場所に辿り着かなかったので羅針盤を調べてみたら……くるくる回りました……」
提督「……………………」
戦姫「あぅ!! そんな哀れみの目で見ないで下さい!!」アウアウ
瑞鶴(この人アホ……?)
金剛(こんなアホに私は……)ズーン…
……………………。
瑞鶴「その黒い総司令部を調べる為にここへ来たのね?」
戦姫「ああ。総司令部を叩き潰す手伝いをすれば私達の提督になるのも考えると言ってくださったのでな」
金剛(考える、ね。考えるだけで、なるとは言っていないのに気付いているのでショウか……。それとも、テートクは艦娘と深海棲艦、両方の提督にでも?)
提督「そういう事だ。勝手に決めてすまない」
金剛「ノー、謝らないでくだサーイ! 私はテートクについていきますネー」
瑞鶴「私もよ。提督さんについていくわ。……それに、総司令部の事も気になるしね」
提督「話は纏まったな。もうこんな時間だ。寝るとしよう」
金剛・瑞鶴・戦姫「はいっ」
戦姫「貴方のベッドはあちらで宜しいのですよね?」
金剛「待ちなさい。何をする気ですか」
じゃあヲ級ちゃんは僕と寝ましょうねー
戦姫「一緒に寝るだけだが、何か?」
瑞鶴「!?」
金剛「提督は渡しません。空き部屋がありますのでそっちを使って下さい」
戦姫「私の提督になってもらう為にも、私はこの人を篭絡しないといけない」
金剛「か、身体で奪う気ですか!? だからそんな格好で提督を誘惑しているのですか!!」
戦姫「いや……これは、服がもう無くてな…………。それに、なぜか服を着るとその瞬間、服が消えてしまうんだ……」
瑞鶴「うわぁ……なんだか一気に不憫になったわ……」
戦姫「いつもこうしていたら流石に慣れたさ」
提督「……それはそれで問題がないか?」
戦姫「気持ちの切り替えです。性行為をする時に裸を見られるのは流石に恥ずかしいですよ?」
金剛「やっぱりヤる気じゃないですか!!!」
戦姫「せんよ。本丸を落とすなら外堀からだ」
提督(しっかりとは憶えれてないんだな)
金剛「……信用できません。提督!! 私も一緒に寝ます!」
戦姫「寝惚けてお前を殺すかもしれんぞ」
提督「そんな事をしたらどうなるか分かっているだろうな」
戦姫「ぴぃっ!!! ごめんなさい!!」ビクゥ
提督「それに、風紀的に問題があるだろう。許可などできん」
金剛「既に私、提督と二回寝ているんですけど?」
瑞鶴「私も一回──って、二回ですって!?」
金剛「はい♪ 一回分、私の勝ちネ!」
瑞鶴「提督さん……ズルいよぉ……!」
ヲ級「~~~……」
提督「静かにしろ。起きる──ん?」
金剛・瑞鶴・戦姫「…………」ジー
提督「…………」
金剛・瑞鶴・戦姫「…………」ジー
提督「…………分かった、一緒に寝よう。狭いのは文句言うなよ」
……………………。
川内型の空気っぷり
>>630
正直、川内型は扱いにくいですね。
それぞれの個性が物語と非常に絡みにくいからです。
天龍型も然り。
瑞鶴「提督さんを真ん中にして、私達の寝る場所は左右とあとは……」
戦姫「……上?」
金剛「譲りません」
瑞鶴「私もよ」
提督「却下だ馬鹿者。左右二人ずつだ」
瑞鶴「金剛さんと戦姫さんは一緒じゃない方が良いわよね。なんだか色々と危なそうだし」
金剛「そうね」
戦姫「私も、下手したら殺しかねないからそれでお願いしたい」
提督「さらっと物騒な事を言うな」
瑞鶴「あと……私、提督さんと戦姫さんの間が良いなぁ……」
戦姫「間? どうしてだ?」
瑞鶴「なんだか、お父さんとお母さんみたいで……。お父さんとはなんだかまた違うと思うんだけど……」
戦姫「それは良いな。私も賛成だ」
提督「あとは金剛とヲ級だな」
ヲ級「すー……」
金剛「私は端っこが良いです」
瑞鶴「あら、意外ね?」
提督(嫌な予感しかしないな)
金剛「だってー、提督との子供みたいじゃないですかー」
提督「…………」
瑞鶴「くっ……!!」
金剛「ふふーん♪」
提督「仲良くしなかったら全員追い出す」
金剛・瑞鶴「仲良くしますっ」
金剛「それでは、私は備蓄倉庫から毛布を取ってきますね」
提督(予備の毛布を少し多めに申請しておいて良かったよ)
……………………。
金剛「それでは、電気を消しますねー。………………よいしょ」モゾモゾ
提督「ギリギリだが、思ったよりは大丈夫みたいだな」
金剛「ですねー。私も落ちる心配はしなくて良いみたいね」
金剛「……それにしても、こうしてみると家族みたいです」
提督(また嫌な予感が)
瑞鶴「本当ね。……でも、この場合誰が提督さんの奥さんになるの?」
提督「……………………」
戦姫「まず、内側の人は子供だな」
瑞鶴「……悔しいけどその通りだと思うわ」
金剛「それじゃあ、私と戦姫、どっちがお嫁さんなのですか?」
提督「…………まさかとは思うが、それは私に聞いているのか」
金剛「はい。提督じゃないと決着が付きそうにないでーす」
提督「……面倒だ。両方で良いじゃないか」
> 瑞鶴「提督さんを真ん中にして、私達の寝る場所は左右とあとは……」
>
> 戦姫「……上?」
ここをぼーっと読んでたら肉布団をイメージしてしまった死にたいorz
金剛「ここは日本でーす。一夫多妻制は認められていませんよー?」
提督「ここは私の城だ。そんなもの知らん」
瑞鶴「大胆ね……提督さん」
戦姫「どっちが第一夫人なのですか?」
金剛「どっちですか提督?」
瑞鶴「私……第三夫人でも良いわよ?」
提督「よっぽど外で寝たいらしい」
金剛・瑞鶴・戦姫「おやすみなさい」
提督「よろしい。おやすみ」
──モゾ。
瑞鶴「…………」
提督「?」
瑞鶴「────」チュ
提督「……………………」
瑞鶴(おやすみのキス……。今度こそおやすみ、提督さん)コソッ
提督「…………」
提督(……本当、金剛と瑞鶴をどうしたら良いのか…………)
……………………
…………
……
提督「総司令部の大将宛に電報を送った。明日には全員この鎮守府へ来るだろう」
金剛「全員を集めてどうするのデスか?」
提督「奴等の目論見を全て聞き出す為に信用を得る」
金剛「だから戦姫とヲ級を連れて来たのデスね」
提督「ああ」
戦姫(どういう事だろう……)
瑞鶴「えっと……いまいち分からないんだけど、どういう事なの?」
提督「深海棲艦とは会話どころか意思疎通もできていない、というのが現状だ」
提督「だが、私は既に瑞鶴という深海棲艦を基盤に造られた艦娘を所有している。そこに深海棲艦を従えている所を見せたらどうなる」
瑞鶴「えっと……自分達の知らない、深海棲艦の秘密を知っていると思われる?」
提督「そう。奴等の本当の目的は何かは知らないが、瑞鶴のような強力な艦娘を造ろうとしているのは事実。それを餌にする」
瑞鶴「でも、戦姫さんと翔鶴姉を連れて行っても、信用させるのには弱いんじゃない? 深海棲艦が提督さんに従うハッキリとした理由がないと……」
提督「深海棲艦も艦娘に戻りたがってるとでも言おう。戦姫はこの通り会話ができる。深海棲艦側の圧倒的勝利を目前に瑞鶴を見た戦姫が対話を希望し、そこで協力関係となったとしておこう」
提督「本当は金剛が戦ったが、そこは瑞鶴が戦ったという事にする。三人共、良いな?」
金剛・瑞鶴・戦姫「はいっ」
提督「念の為に、口裏合わせで他の艦娘達にも『戦姫と戦ったのは瑞鶴だった』と言うようにしておく。これでまずバレないだろう」
提督「作戦は以上。各自自由にして良い」
……………………
…………
……
提督「戦姫、聞きたい事がある」
戦姫「はい、なんでしょうか?」
提督「私達と戦った時、こちらの戦艦よりも長い射程で撃ってきたよな。あれはどういう事だ?」
戦姫「私の装備は46センチ砲です。見た所、あの艦娘の主砲は35.6センチ砲。私の射程より短くて当たり前でしょうね」
提督「46センチ……なんだその馬鹿げた数字は。16インチ砲と呼ばれているものでも40センチ程度だぞ」
戦姫「極秘……とまでは言いませんが、ほとんど知られていないでしょうね。この砲のおかげで戦艦のアウトレンジから砲撃が可能です」
提督「ふむ……開発妖精に頼んでみるか」
戦姫「……それよりも、どうしてあなたの艦娘達は装備が充実していないのですか? どれも良い装備とは言えなかったのですけれど……」
提督「天が私に微笑んでくれていないだけだ。あと、各資材の適切な投入量も分からないので試行錯誤というのもある。ついでに資材が乏しくて回数を重ねる事もできないのが現状だ」
戦姫「あ、それでしたら──」
……………………。
開発妖精「ヒャッホォーウ!! また良いのが出来たよー! 今度は46センチ三連装砲だ!!」
金剛「……凄いデスねこのレシピメモ」
提督「ああ。今までの失敗が嘘のようだ」
戦姫「全ての配分を憶えている訳ではないのですが、お役に立てたようで何よりですっ」
提督「うむ。感謝する」ナデナデ
戦姫「あ……」
金剛「!」
提督「む。嫌だったか」スッ
戦姫「いえ! もっとお願いします!!」
提督「ふむ」ナデナデ
戦姫「はにゃー……提督みたい……」
提督「父も同じように?」ナデナデ
戦姫「はいー……。こうされるのがとても好きでしたー……」
提督(……蛙の子は蛙というものか。本当に似ているのだな、父と私は)
開発妖精「おぉっほぉー!! 32号対水上電探がきたああああ!!!!」
提督「…………素晴らしい」ナデナデ
戦姫「はぅー……」ホッコリ
金剛(ぅー……羨ましいです……──っと、そろそろ資材が危ないですね)
……………………
…………
……
ちょっとご飯食べてきますね。少々お待ちをー。
天龍「~~~~」フルフル
龍田「もー、天龍ちゃんったら~。まだ嬉し泣きしているのかしら~?」
天龍「う、うっせぇ……ずびっ…………本気で心配しらんだからな……」
龍田「はい、天龍ちゃん、ちーん」
川内「私も嬉し泣きとかしそうだったけど、天龍の姿を見たら涙が引っ込んだよ」
神通「くすくす。代わりに泣いてくれているみたいですね」
那珂「那珂ちゃんも、提督が帰ってきてくれて嬉しいよーっ」
龍田「そうよね~。私も提督さんが帰ってきてくれて嬉しいわ~」
龍田「私を屈服させる人なんて、居なかったもの~」
川内「……龍田って人を尻に敷くタイプだよね」
龍田「提督さん以外の男性は肌に触れる事すらできないわよ~。触れる前に落ちちゃうもの」
川内「……何が落ちるのかは聞かない事にしておくよ」
那珂「たった一人の男の人にだけ肌を許すって、なんだか純愛だねー」
龍田「提督さんが望むなら、私はなんでもしちゃうかも。それが秘密の夜伽でも」
那珂「わお、爆弾発言! 那珂ちゃんだったらスキャンダルだー!」
龍田「身の程を弁えなさい?」
那珂「……はい」ビクッ
……………………
…………
……
島風「うー……」ゴロゴロ
暁「どうしたのよ。服が乱れるからやめなさい、はしたない」
島風「だってー……。なんだか提督と一緒に居られないんだもん……」
響「行ったら良いじゃないか。側に居たいんだろう?」
島風「いーきーにーくーいー。金剛さんと瑞鶴さんに加えて、あの戦姫とヲ級ちゃんが居るんだよ? ヲ級ちゃんも提督と瑞鶴以外は苦手みたいだし……。戦姫は論外。怖い」
電「私も、戦姫さんは苦手です……。必死に抑えてくれているのは分かるのですが、迷惑を掛けてしまってるような気がするのです……」
雷「私は『エロいわね』って言ったら追いかけられちゃった。ちょっと楽しかったわ」
島風「私だったら口が裂けても言えないよ……」
響「それだったら我慢をするしかないだろう? 想いが強ければ割と耐えられるものさ」
島風「なんだかそれ、響が提督に恋をしてるみたい」
響「恋ではない。親に対する好きと同じさ。差し詰め、お父さんといった所か」
雷「だから最近の響は提督の口調とちょっとだけ似てるのね! 納得したわ!」
響「ん……元から近かったというのもあるけれど、違和感があったのなら戻すよ」
電「どっちも響ちゃんに似合ってるのです。響ちゃんが可愛いのには変わらないのです」
暁「……司令官の口調を真似してたから、最近の響はちょっとだけ大人に見えたのかしら」
島風「暁が真似しても似合わないと思うなー」
暁「なっ!」
雷「私も似合わないと思うわ」
響「私もだよ」
暁「う、ぅ……」チラッ
電「え、えっと……ごめんなさい……暁ちゃんは今のままの方が可愛いかなぁ……」
暁「うわぁああん!!」
……………………
…………
……
コンコン──コン──。
提督「入れ」
ガチャ──パタン
瑞鶴「……提督さん」
提督「何があった。総司令部がなにかしらの方法で接触してきたのか?」
瑞鶴「え? ううん。違うわよ?」
提督「……なら、なぜノックを二回と一回に分けた」
瑞鶴「あっ! ご、ごめんなさい……。最近、このノックばかりだったから……」
提督「……まあ良い。何か話したい事があるのだろう。言ってみろ」
瑞鶴「ん、とね……。これ……」スッ
提督「……その小瓶」
瑞鶴「うん……提督さんから貰ったヤツ」
提督「その事についてだが、明日、訪問する大将共に交渉する。功績をあげているんだ。このくらい許可してくれるだろう」
瑞鶴「それなんだけどね……。ちょっと、思う事があったの」
提督「思うところ?」
瑞鶴「……私が前の艦娘の時、提督さんのお父さんが提督で、私はその人に似ている提督さんに惹かれて好きになった……。そう思っちゃったの」
提督「…………」
瑞鶴「でも、私はそうじゃないと思う。……そう思いたいの。だから、それを振り払う為にこれを持ってきたの」
瑞鶴「私は……私は、前の提督がどうこうじゃなくて、私個人が提督さんが好きなんだって思わせてほしい」
瑞鶴「だから……お願い。不安で潰れちゃいそうだから……」
提督「……………………」
瑞鶴「あっ、も、勿論……提督さんの意思に任せるわ。提督さんが言ってくれたように、私も無理矢理は嫌だから」
提督「……分かった。分かったからそう思い詰めた顔をするな。悪い事をした気分になる」
瑞鶴「──ありがとう! それじゃあ、ちょっと待っててね」
ガチャ──
提督(……待ってて?)
──パタン
金剛「は、はぁい提督……」
提督「……そうか。二人を相手にしろという事か」
瑞鶴「ご、ごめんなさい。無理だったらそう言って良いから……」
提督「まったく……瑞鶴だけでなく金剛、お前もか」
金剛「だって……提督の愛が欲しいですもん……」
金剛「キスをしてくれてから、私はおかしいんです……。側に居てくれるだけで良い、側に置いてくれているだけで良い──。そう思っていたはずなのに、あのキスから私は狂いました」
金剛「提督の側に居るだけじゃ満足できなくなりました……。一緒のベッドで眠ってもまだ足りませんでした……。もっと、もっともっと提督に近付きたくなりました……」
金剛「提督……私、どうにかなってしまいそうです……だから、助けてください……」
提督「そんな消えそうな声で言ってくれるな。不安に思わなくて良い」
金剛「────! あはっ。ありがとう、提督──」
提督「それにしても、どうして二人は一緒になってきたんだ? 出し抜けばそれだけリードできていただろう」
瑞鶴「私が話を持ち掛けたの。確かにそれも思ったんだけど……提督さんが好きな気持ちは同じで、金剛さんなんて私よりもずっと頑張ってるって思ったの。だったら一緒に──って」
金剛「…………」コクン
提督「……なるほど、分かった」
提督「──二人一緒に愛するから、電気を消してきなさい」
金剛・瑞鶴「はいっ──!」
……………………
…………
……
はい。ここからエロになります。苦手な人は注意してね。
そして、エロシーンは一気に投下する予定です。エロを書き切るまでちょっと待ってて下さい。
何? 焦らすなだって? 聴こえんなぁ。
エロシーンは常にsage続け、エロが終わったら10レスくらい連続でageます。エロが苦手な人は参考にして下さい。
では、書き溜めて参ります。
目の前がパシパシする──。
瞑っているはずなのに白くフラッシュする。
──やがて波はゆっくりと引いていき、小さな波が私の身体を痙攣させていた。
頭の中が真っ白だ──。何も考えれない──。
自分は荒々しい息をしていると気付いたのは、それからどれくらい経った後なのか分からない。
けれど、ハッキリと分かった事が一つ。
「ていとく……すごく……きもちよかった、です……」
あれが、イったというものなのだろう。
「ん…………っ」
膣からズルリと肉棒が引き抜かれる。
「あ……や、やだ! 何か垂れてきてます……!」
股間から何かが垂れてきそうな感覚に慌て、お漏らしをしてしまったのかと思った。
けど──。
「あ……これって……」
それは、白くドロドロとした液体──提督の、子種だった。
「あはっ……。嬉しい……」
目を瞑り、お腹をさする。
──熱い、提督の子種を感じた気がした。
「金剛、さん……」
隣で、切ない声が聴こえてきた。
「はやく……はぁ……わたし、にもぉ……」
瑞鶴が、甘ったるい声で身体を震わせていた。
きっと、ずっと我慢していたのだろう。
「──はい。次は瑞鶴の番です」
まだこの余韻を楽しんでいたかったけど、仕方が無い。
私は満足したのだ。次は瑞鶴が満足をする番だろう。
……………………────────。
「ぁっ──はぁ……! ひ、っかは、あっ!」
「わぁ……」
瑞鶴は、物凄かった。
腰を上下前後に激しく振り、喘ぎ声も悲鳴に近いものだ。
私よりも身体が少しだけ小さいのに肉棒は根元まで咥え込み、それを悦んでいる。
見ているこっちが恥ずかしい。
けれど……自分も同じだったのだろうかと思うと、嬉しくなった。
あれだけ周りが気にならなくなるほど、気持ち良かったのだろう。
それだけ、提督と一つになれたのだろう。
「ん──っ!! い、あッ──、あぁああっっっ!!! ────────ッッ!!!」
「すごい……」
声になっていない声をあげ、瑞鶴はイった。
痛いんじゃないかってくらいに背を反らせ、提督の子種が入っている袋に瑞鶴の大事な部分が触れるほど深く挿し込まれている。
ビクビクと二人が痙攣する度に、提督の子種が瑞鶴の奥深くに放たれているのが良く分かる。
「わ、私もこうだったのでしょうか……」
恥ずかしいけれど、凝視してしまう。
やがて二人の痙攣が終わると、瑞鶴は提督へ倒れた。
二人共、肩で息をしている。それだけ疲れても気持ちが良いから止められない。
それは、私も良く分かっていた。
行為を終えた二人へ四つん這いのまま這い寄って、そして、提督の隣で寝転がった。
「提督……とても気持ち良かったです……」
瑞鶴の頭を撫でつつ、提督はこっちへ微笑んでくれた。
……私もああやって撫でてもらえたのだろうか。
イった直後は何もかも分からなくなっていたので、実感が沸かない。
…………明日、瑞鶴に聞いてみよう。恥ずかしいけど。
そして──私達は裸のまま、提督を抱き合って眠りに就いた。
とても幸せな気持ちをそのままに、幸せのまま、私達は意識を落とした──。
……………………
…………
……
乙
まとめから来てみたけど、リアルタイムで見れてよかったよ
物書きだったよね?
エロゲでも時々あるんだが、女性視点なのはなんかこだわりかあるの?
ニッチな女性プレイヤーへの配慮とか
朝からなんちゅうもんを…うっ…ふぅ。
提督視点、瑞鶴視点もあったらいいんじゃないかな。軽く逡巡する提督とかお預けで昂ぶる瑞鶴とか見てみたい。
ここまで金剛視点できているから蛇足か。
そう言えばいつの間に裸になったんだろう?
今日見つけたけど面白くて一気に読んでしまった、流石本職の方
時間がかかってもいいので完結させて欲しいです。
>>706-707 >>714
金剛視点なのには理由があります。
1:金剛・瑞鶴・提督がメインキャラクターの物語
2:三人の中で金剛が一番、一般人ポジション
3:事件や特別な事情に巻き込んでいくのが瑞鶴・提督
4:事件や特別な事情に巻き込まれにいっているのが金剛
5:戦闘において主役の立場になる戦艦ポジション
6:数ある戦艦の中で榛名と一番二番を争う提督大好きっ娘
7:きっと、皆も金剛型にはお世話になっていると思う為。戦闘やその他諸々的な意味で
ちくわ大明神
8:私の鎮守府でやってきた金剛型は 比叡ニ隻 霧島四隻 榛名九隻程 金剛十四隻以上(数えるの止めた) とぶっちぎりの一位の為
9:金剛は提督と肩を揃えて進むイメージ(例:>>162-166辺りとか)だが、榛名は一歩引いて提督を支えるイメージ。簡単に言うなら、叱る場面で榛名は叱れないが、金剛は叱れるイメージ
以上の理由です。
金剛にするか榛名にするか、実は結構悩みました。
しかし、上記の理由で金剛が主人公となりました。
また、Hシーンは三人の中で誰の視点にしようか少し悩みましたが、上記2の理由で金剛となりました。
瑞鶴や提督だと心理描写でどうしても物語の根幹や重要な部分に関わってきます。なので、ただでさえ読み物のエロシーン(所謂、抜こうとせず読み耽るタイプのエロシーン)なのに、それに拍車を掛けてしまう事を懸念しました。実力が足りない証拠だね。ちくしょう。
>>722
金剛・提督の絡みについて言っているのならば脱いでません。着衣Hです。
瑞鶴は設定だけで申し訳ないけど、スカートだけ自ら脱いでます。だから根元まで咥え込んでいるとか、仰け反っているのに繋がっている所が見えている描写(>>703)がある訳です。
こうやってちょっと考えて読む必要がある表現を私はよく使います。今書いている中でも色々な箇所で使ったと思いますが、ぶっちゃけどれくらい使ったのか憶えてません。
>>723
本当はラノベ作家になれたら良いんですが、現実は厳しいものです。
シナリオを書いてるけど、同人だとよっぽどの腕がないと一般シナリオは売れませんね。現実が倒せない。
では、投下していきますね。
海軍の大将共と相手をするシーンとか書いてるので、遅くなります。
金剛「えへへー」ナデナデ
瑞鶴「……金剛さん、ちょっと良いかしら」
金剛「なんですかー?」ナデナデ
瑞鶴「どうしてお腹を撫でてるの?」
金剛「だってー、提督の精子がまだ残ってる感じがしてー」ナデナデ
瑞鶴「ぶっ! ちょ、ちょっと金剛さん! はしたないって! いくら私達の部屋でも、そういうのは……その……」
金剛「はしたない事をしたのは事実じゃないですかー」ナデナデ
瑞鶴「……そうだけど…………」
金剛「あっ、と……流石にトロけるのも止めないといけませんネ。──ところで、私も聞いて良いですか?」ナデナデ
瑞鶴「うん? 良いわよ。何?」
金剛「私と提督が果てた後、提督は私に何かしてまシタか?」ナデナデ
瑞鶴「え? うん。頭を撫でていたわよ。…………うろ覚えだけど」
金剛「そうですか……良かった……」ナデナデ
ごめん、揚げ足取りみたいで。
703で
> そして──私達は裸のまま、提督を抱き合って眠りに就いた。
ってあったからちょっと気になったの。
小説とか漫画でもいつの間に?!ってのが弱い。
瑞鶴「……あの、それって私もなの?」
金剛「そうデスよ。瑞鶴も気にする余裕がなかったようデスね」ナデナデ
瑞鶴「う、うん。頭の中がフラッシュっていうか白くなったっていうか……何も考えれなかった」
金剛「ワオ! 私もデース! ネ、ネ。テートクのアレはどんな感じでした?」
瑞鶴「う……そ、そんなの、金剛さんも分かってるじゃない……」
金剛「人によって感じ方が違うみたいデース。どこかでそんなデータを目にしまシタ」
瑞鶴「朝からなんて話をしてるのよ……もう……」
金剛「だって今、テートクはお偉い様とブラックなお話していますし……。今日はお休みになりましたし、暇デース……」
瑞鶴「うー……」
瑞鶴「……………………分かった。言うから、金剛さんから言って」
金剛「ヤッタ!」
瑞鶴(西洋の人って、皆こんな風にオープンなのかな……)
>>730
うがあああああああああ!!!!! それ超絶ミス……。ありがとう、指摘してくれて。
金剛「一言で言うと、大きかったデス。子宮に当たった気がしましたネー」
瑞鶴「あ、子宮って痛覚が鈍いみたいよ。だから、当たった気がするって事は、結構押し上げられてると思う」
金剛「そ、そうなのデスか?」
瑞鶴「うん。人によっては敏感みたいで、少し押し上げられるだけで痛いって人も居るみたい」
金剛「……テートクのアレ、たぶん18センチはありましたよね? 一体どれだけ押し上げられてるんですか。おヘソの下に届きそうデスけど……」
瑞鶴「詳しくは知らないんだけど、膣って結構伸びるみたい。15センチくらいまでは普通に伸びるみたいよ。ちなみに、通常の状態の膣の長さは6センチ程度みたい」
金剛「三分の一しか入らないじゃないデスか!? と、という事は……その数字ですと、私達は12センチも押し上げられているのデスか……?」
瑞鶴「私は金剛さんより身長が結構低いから、もっと押し上げられたかも……」
金剛「だからあんなに凄い声が出ていたのですネ……」チラ
瑞鶴「うぇえ!? わ、私そんなに凄い声だった……?」
金剛「……悲鳴とちょっと間違えそうでシタ。痛くなかったのデスか……?」
瑞鶴「全然……。むしろ、頭がバカになったみたいに気持ち良かった……」
金剛「私もデス。特に亀頭の雁首みたいな部分で削られてる感覚は感電したみたいでしたネ……」
瑞鶴「金剛さんはそうなんだ? 私はお腹の奥に杭を打たれてるみたいだったわ」
金剛「……それ、痛くないデスか? というか、そこまでいくと子宮に入ってるんじゃないデスか……?」
瑞鶴「さっきも言ったけど、痛みは全然……。…………むしろ、掻き回されてるみたいで凄く良かった。子宮には……入らないはずだけど……どうなんだろう」
金剛「で、でも……赤ちゃんは子宮から出てきマスよね……」
瑞鶴「十ヶ月は出てこないから、出産の時だけ開くんじゃないのかしら……」
金剛「…………」
瑞鶴「…………」
金剛「……テートクなら、知ってるでショウか」
瑞鶴「やめなさい……吊るされるわよ……」
……………………
…………
……
提督「──皆さん、急な呼び掛けなのにも関わらずお集まり頂きましてありがとうございます」
大将A「なぁに。深海棲艦の事で分かった事があると報せがきたのだ。仕事など放っておいて飛んでくるさ」
大将B「うむ」
大将C「だが、君には追求せねばならん事があるのも事実。私はそれも聞きにきた」
提督「重ねてお礼を申し上げます」
提督「では、なぜ私が命令を無視してまで戦ったのか、という所からお話します」
提督「それは、報告で聞いた敵艦と数が違い過ぎるという事から始まりました」
大将C「違い過ぎる?」
提督「はい。報告によると、敵艦は数十隻は確認されていたはず。それなのにも関わらず、彼女らは五隻という少ない数でこの鎮守府へ向かってきていました」
大将A「五隻……そんな馬鹿な」
提督「事実です。私は最初、報告ミスかと考えました。ですが、一刻と争う状況でしたので考えない事にしました」
提督「旗艦を瑞鶴にする事で私と常に同伴する事にし、私は戦闘の流れで彼女と逃げるつもりでした……が、敵の戦闘能力は高く、そして非常に錬度の高いものでした。これは私のミスです」
提督「彼女らの砲撃は凄まじく、私の艦隊は避ける事で精一杯でした。避けるにつれ艦娘は散り散りになり、とうとう私の近くには瑞鶴のみとなった所、南方棲戦姫が私達のすぐ近くまで近寄ってきたのです」
大将B「……俄かに信じがたい。なぜ敵が砲撃をせず近寄ってきたのか」
提督「それは今から説明致します」
提督「深海棲艦は元々、艦娘だというのは皆さんご存知でしょう。そして、瑞鶴は唯一その深海棲艦から艦娘に戻った例外です。深海棲艦は、その事を一目で見抜き、私に尋ねてきました」
提督「なぜ、その者は艦娘の姿をしているのか、と」
大将B「…………」
提督「私は瑞鶴の真実を話しました。すると、南方棲戦姫は協力関係になると言ってくれたのです」
大将A「まさか」
大将B「…………」
大将C「出鱈目を言っているのではなかろうな?」
提督「確実なる証拠がございます。──二人共、出てきてくれ」
戦姫「はい」
ヲ級「?」
大将A・B・C「!!」
提督「……大将殿達が不安に思う。後ろではなく私の隣に来てくれ」
戦姫「す、すみません!」スタスタ
ヲ級「♪」テテテ
大将C「これは……なんという事だ」
大将A「まさか深海棲艦が……しかも、元帥を殺した南方棲戦姫が、こやつの言う事を聞いているだと……」
大将B「……………………」
提督「この通り、南方棲戦姫──戦姫は私と協力関係となっています。瑞鶴以外の艦娘と顔を合わせるのは非常にまずいのが扱いの難しい所ですが……」
戦姫「すみません……どうしても艦娘への憎しみが抑えきれな──」
提督「む……」
ヲ級「♪」ギュー
大将A「…………」
大将B「…………」
大将C「…………」
戦姫「…………」
大将A「……やけに懐かれているようだな?」
提督「どうやら私は二人が艦娘の時の提督と似ているらしく、彼女達の当初の目的は私の拉致だったようです」
大将A「ほう」
提督「特に彼女達は当時の提督に厳しく躾けられていたようで、記憶などは抜け落ちているものの、他の深海棲艦とは違い、提督を求めています」
大将C「そうなのか、貴様」
戦姫「…………」ピク
戦姫「誰が貴様だ、薄汚い人間」
大将C「なんだと……?」
戦姫「私達の上官となって頂きたい人間はこのお方のみだ。その他の人間は知らん」
大将C「貴様! それでも本当に元海軍か!!」
戦姫「そう。お前が言うように『元』だ。今は貴様らと敵対している深海棲艦という立場なのを忘れるな」
戦姫「このお方に感謝するんだな。今の私は兵装を取り上げられている。本来だったら貴様みたいな下衆の臭いがする粗大ゴミなど塵も残さず殺している所だ」
戦姫「それとも……兵装を返してもらった時に貴様の臭いを辿り、貴様諸共母港を破壊されたいか?」
大将C「馬鹿な……!! 深海棲艦は母港を襲わないはずだろう!! それに、なぜ元帥の居た母港を襲った!!!」
戦姫「艦娘を物のように扱うその姿に腹が立った……。ただそれだけだ。確かに遠き過去の家である母港は傷つけたくない……だが、下衆が手にしている母港など特別に想う必要も無い」
大将C「ならなぜ……なぜこやつには従う!! こやつも私達と同じ──!」ガッ
戦姫「ふざけた事を抜かすな下衆」ググ
提督「戦姫、やめろ」
戦姫「はい」スッ
大将C「カハッ──! ハッ……!」
戦姫「ふん……」
戦姫「このお方は貴様らとは違って艦娘を思いやっている。一人の人として扱っている。それが貴様らと同じなどとは、片腹が痛いわ」
大将B「……あくまで協力関係、という訳か」
戦姫「察しが良いな。そこで転がっている間抜けとは違う」
大将C「ぐ……っ!!」
戦姫「間抜けの貴様でも分かるように言ってやろう。私達は貴様ら海軍に従っているのではない。このお方個人に従っているだけだ」
戦姫「貴様らが何を企み、望んでいるのかは知らないが、私達が戻ったら何か貴様らに有益なモノがあるのだろう」
戦姫「利害が一致しているだけだ。私達は艦娘に戻りたい。貴様らは戻った私達を何かに使う。それさえ無ければ殺し合う関係だというのを忘れるな」
大将C「ちぃ……!」
提督「……話は終わりましたか」
大将C「──なぜだ!!? なぜコイツを好き放題に言わせた!! ああ!? 新参者!!!」
提督「…………」
大将C「何か言ったらどうだ!!?」
提督「……大将A殿、大将B殿。私は、冷静な判断を下す事すら出来ない者は我々の計画に支障をきたすので要らないと思いますが──」コツコツ
大将C「ッッ!!!」
提督「──どうお考えですか?」コツ…
大将A「そうだな」
大将B「うむ。不要だ」
提督「このままでは間違った判断を下し、声を荒げ、我々の計画を明るみに出す可能性があります」スッ
大将C「な……あ……銃…………!!」
提督「如何致しましょう」ガチリ
大将C「…………ッ!!」
提督「例えば──」グッ
大将C「や、やめろぉぉお!!!」
ガキンッッ──!!
提督「…………」
大将C「あ……あ…………」
提督「──このようにしてしまう、とか」
大将C「ひっ──!」
大将B「それはならん。そんな奴でも数少ない駒だ」
大将A「うむ。使える駒は使わなければ。────次は、その引き金を引いても良いがな?」
大将C「!!」
提督「畏まりました」スッ
大将C「…………っ!」
提督「ああ、安心してください大将C殿。今のは不発ではなく、弾を入れていませんでしたので」
大将C「!!! ぐ……!! 少将風情が……!」
大将B「……無能め」
大将A「やはり我々の計画に加担させるのは間違いだったか?」
提督「……大将C殿。お忘れなく」
提督「私も貴方と同じく、大将ですので」
大将C「な……!!」
提督「おや、申し訳ありません。大将以上にのみ与えられる暗号で報せを送りましたので気付いているかと」
大将C「ぐ……! ぐ、ぅ……!!」ギリィ
提督「私から伝える事は以上です。今後の方針は皆さんで決めて頂いても宜しいでしょうか。私はこの鎮守府を護らなければなりませんので」
大将B「……一つ、問いたい」
提督「なんでしょうか」
大将B「今回の会合、どうも腑に落ちん。本当の目的はなんだったのだ」
提督「深海棲艦と協力関係になった……と、文章だけでは信憑性が薄い、と思いましたので」
大将B「筋の通った言い訳だな」
提督「…………」
提督(ち……。思ったよりも勘が良いな)
大将B「何を隠しておる」
提督「…………」
提督「ふぅ……負けました。お話します」
提督「そこで無様に腰を抜かしている豚が原因です」
大将B「……ふむ」
大将C「な、何を──!!」
提督「黙れ」ジャキッ
提督「貴重な戦力である艦娘をゴミのように沈没させ、我々の敵である深海棲艦をいたずらに増やしているのはどこのどいつだ」
提督「年間千隻沈んでいる艦娘の四割を貴様が占め、それに対する戦果も上々とは言えない。どんな人物かと思い会合を果たしてみれば、状況を分析、判断する能力が無く、計画に支障をきたしかねないこの体たらく」
提督「お二人が貴様を庇わなければ、二度目の引き金を引いている」
大将C「何を……! 弾が入っていない銃など──」
提督「まだ気付いていないのか愚図。どこの世界に弾を全部抜いている指揮官が居る」ガチリ
提督「やはり、お前は戦姫の言うようにゴミだな。──いや、ゴミにもならない癌といった所か」
提督「図に乗るなよ大将C。貴様は実力でソコに座っているのではなく、数合わせで座らせてもらっていると知れ!!」
ガァンッ──!!
大将C「────あ……ぁ……」
提督「これで分かったか大将C。次は当てるぞ?」
提督「──大将B殿。これが今回、無理をしてまで集まって頂いた理由です」
大将B「…………なるほど、良く分かった。今後、こやつに重要な仕事は回さないようにする」
提督「ありがとうございます」
大将A「ふむ……このソファ、傷が付いてしまったな。新品と取り替えよう」
提督「いえ、これは私が撃ったがゆえ付いた傷です」
大将A「それをこやつの提督室に置いておけば、嫌でも今日の出来事を思い出すであろう。戒めだ」
提督「なるほど。理解しました」
大将B「後で資料と計画書を送っておくよ。元帥は居なくなったが、君ならそれを埋めてくれそうだ」
提督「勿体無いお言葉です」
大将C「くそ……! くそっ……!!」
提督「…………」
提督(悪いな、大将C。利用させてもらった)
──バアアンッッ!!
金剛「今のは何デスか!!!」
瑞鶴「提督さん! 大丈夫!?」
戦姫「…………!」グッ
提督「金剛、瑞鶴……」
金剛「提督……ご無事なようで。……銃声が聴こえたので駆けつけてきたのデスが、何があったのデスか?」
提督「銃が暴発しただけだ。怪我はない」
金剛「良かった……。提督に何かあったらどうしようかと……」
提督「それよりも、大将殿達がお帰りになられる。道を通してやってくれ」
金剛・瑞鶴「あ──。ハイ! 失礼しました!!」ピシッ
大将B「よい。提督思いの良い艦娘だ。どれだけ信頼されているのかよく分かるよ」
大将B「今後とも、頑張りたまえ」
金剛・瑞鶴「はっ! ありがとうございます!」ピシッ
大将A「では、今度こそ帰らせてもらうよ」
提督「はっ! お気を付けて」ピシッ
……………………
…………
……
金剛「それで結局、何があったんですか?」コクコク
提督「奴ら二人から信用を得る為に一人を利用して撃った。一人、勘の良い奴が居たのでな」ズズ
瑞鶴「ふぅん……? 大丈夫なの?」チビチビ
戦姫「恨みが飛んできそうだな」コク
ヲ級「♪」コクコク
提督「そんな事をしたらどうなるか、流石に分かるだろう」
金剛「……それより、ちょっと二人に聞きたいんですけど良いですか?」
提督「なにかね」
金剛「……男性器って、子宮に入るんですか?」
瑞鶴「ぶっ!?」
戦姫「…………」
ヲ級「?」
提督「……………………いきなり何を言い出す。いや、なぜ私にも聞いた。私は男だぞ」
金剛「だって……他の人になんて聞けませんし…………頼れる人が提督しか居なかったのです……」
ちょっとご飯食べてきます。
ついでに、ちょっと疲れたので休憩もしてきますね。
ただいま。
集中力が戻らないので、のんびり投下していきます。
>>705でまとめから~と言っていたので、SSまとめ速報なる所で流し読みしてみたら、エロシーンのほとんどがバッサリカット(最後のレス以外全部カット)されててワロタ。
提督「……はぁ」
瑞鶴「…………」ビクビク
提督「戦姫、パスだ」
戦姫「ごめんなさい……分かりません……」
提督「…………そもそも、どうしてそんな事を聞いてきた」
金剛「あ……あの……耳を貸してください……」
提督「…………」スッ
金剛(……もし入るのでしたら、入った状態で射精して欲しいなぁ……と……。もっと奥なら、もっと幸せになれるのかな……と思いまして……)ゴニョゴニョ
提督「……………………」
金剛「…………」ドキドキ
提督「……結論から言うと、入らん」
金剛「!」ガーン
瑞鶴(やっぱり入らないんだ……残念……)シュン
提督「子宮は膣と大体直角になっているのが基本だ。そう言えば無理だと分かるだろう」
金剛「直角……」
瑞鶴(ふぅん……直角なんだ……だったら無理よねぇ……)
戦姫(そもそも、なぜそんな事を知ってるんですか……?)
金剛「!」ピーン
金剛「だったら、直角じゃなかったら良いんですよね?」
提督「……何を思い付いた」
金剛「ほら、膀胱が膨らめば少しは真っ直ぐになりますよね?」
提督「…………本当に勘が良いな」
瑞鶴(あー、なるほど。膨らんだ分、垂直になるよう押されるもんね。……漏らしそうで怖いけど、やってみる価値はあるかも?)
戦姫(え、膀胱が膨らんだらって……え……なんで?)
提督「それでも無理だ。子宮口は出産する時にしか開かない。無理に抉じ開けようものなら出産以上の痛みを伴うだろう」
金剛「そんなぁ……」
瑞鶴(……諦めよう)
戦姫(もう話に付いていけない……)
……………………
…………
……
この間ヲ級はどうしてんだろ
>>766
大将sに出してた茶菓子をパクついているか、海を眺めてぼんやりしているか、島風とヲ話しているんじゃね?
>>766 >>768
ヲ級の行動については想像にお任せします。
ラノベ形式なら普通に出すのですが、SS形式だと表現に限界があるので敢えて書いていません。書いてもなんだかアレですし。
ただ、私が考えている上では
・提督に抱き付いてる
・提督や瑞鶴や戦姫の膝に座っている
・そこら辺のモノを眺めている
・海の遠くをボーっと見ている
・意味も無く部屋をトコトコ歩いている
・ベッドの上で寝転んでいる
・etc
などなどです。
結構こんな感じでウロウロしています。
でも、勝手に提督の部屋を出入りしたりはしませんし、勝手に海へ出る事もありません。提督に叱られると分かっています。
コンコン──。
提督「入れ」
ガチャ──パタン
島風「提督。ちょっと相談があるの」
提督「相談? 珍しいな。なんだ?」
島風「前にさ、私は提督をお父さんと異性と二つの意味で見ているって言ってたでしょ?」
提督「ああ。そんな事を言ったな」
島風「私、どっちの目で見たら良いのか分かんないの」
提督「どっちでも良いだろう。必ずどっちかに分かれねばならないという訳でもない」
島風「それはそうなんだけどさ……」
提督「なんでも言ってみるが良い。誰かに話すだけでも楽になる事もある」
島風「……うん!」
島風「あのね、ちょっと大人向けの本を読んでみたの」
提督「島風。私は非常に嫌な予感がするのだが」
島風「うん。提督が思ってる通りだよ」
島風「それでね、私は思ったの。『裸で抱き締められたりするのは恥ずかしいけど嬉しい』それは分かるんだけど、エッチっていうのにはいまいち実感が沸かないっていうか、そもそも理解しても良く分からないっていうか……とにかく分かんないの」
提督「…………」
提督(これが思春期入り始めか……)
島風「でも、そういうのって男の人は喜ぶみたいだから、提督に喜んでもらえるならやってみたいなーって思ったの」
提督「ふむ……」
島風「ね、どうかな?」
提督「初めに言っておくと、軽い気持ちでそういう事をするものではない。と言っておく」
島風「え、そうなの?」
提督「うむ。相手に喜んでもらいたいから性行為をする。その気持ちは良いものだ。だが、実際に性行為をすると何があるのか、という事を理解しなければならない」
提督「島風。性行為はどんなものだと思っている?」
島風「え? えーっと……愛を確かめ合うとか、気持ちの良いもの?」
提督「概ね当たっている。だが、性行為というものにはリスクがある」
島風「リスク?」
提督「まず、身体面で言うならば病気──性病と呼ばれるものがある。相手がもし性病を患っていたら、それが自分にも感染する」
島風「ふんふん……」
提督「この病気はすぐに現れるものもあれば──」
提督「不特定多数の人と──」
提督「自分の身を晒すという事は──」
島風「なるほどー……提督」
提督「なんだ?」
島風「早い話、島風にはまだ早いって事よね?」
提督「うむ。心が大人に成り切っていない島風にはまだ早い。焦らなくても良い事だ」
島風「そっかぁ……。なんだかちょっとだけ残念」
提督「島風はもしかしたら、そろそろ性欲というものが分かるようになるかもしれない。その時はどうしたら良いのか周りの大人に聞きなさい」
島風「はーい! その時は提督に聞くね!」
提督「…………」
提督「それまでの間は私を父親として甘えるのも良いだろう」
島風「だったら、今甘えても良い?」
提督「構わんぞ。なんだ?」
島風「一緒にお昼寝したい!」
提督「ふむ……。残っている仕事は……そうだな、大丈夫そうだ。構わないぞ」
島風「やったー!」ピョンピョン
提督(やはりまだまだ子供だな)
島風「ねーねー! 皆も呼んできて良いかな?」
提督「構わんが……何人呼ぶつもりだ?」
島風「駆逐艦の皆! 前に提督と一緒にお昼寝したいねーって言ってたから」
提督「駆逐艦の子達なら大丈夫だな。分かった。呼んで来い。その間に準備をしておく」
島風「はーい!」
提督(なんだろうな。どことなく瑞鶴と似ている気がする)
提督(っと、備蓄倉庫から毛布。後はドアノブに『睡眠中』とでも引っ掛けておくか)
……………………。
提督(……皆は眠ったか。流石は子供。眠りに付くのが早い。……腕が痺れるのは確定だろうな、これは)
提督(しかし……なんだって響は私の上で寝たいと言ってきたんだ。確かに片腕に三人は無理だが……)
響「…………」ソッ
提督「む」
提督(起きていたのか)
響「…………」チラ…チラ…
提督(……皆が寝ているか確認している? なぜ……)
響「…………」シー…
提督(静かにしろ、と……。何をする気だ……)
響「…………」スス
提督「…………」スッ
響「…………」スス
提督「…………」スッ
響「…………」ムー
提督(ふむ。響は怒ると目を細めるタイプか。心なしか眉もきつくなっている気もする)
響「…………」モゾモゾ
提督(む……顔の横に……これは逃げれん)
響「…………」ハム
提督「…………」
響「…………」チロチロ
提督「……………………」
響「…………」スッ
響「…………」ジー
提督「…………」
響「…………」シュン…
提督(思っていたよりも感情表現が豊かだな)
響「…………」ムクリ…ソソソ
提督「……………………」
提督(脚は……うむ、使っても問題なさそうだ)
響「…………」ドキドキ
提督「…………」ヒュッ─ガシッ
響「!?」ビクッ
提督「…………」ソー…
響「…………っ! っ!」グググ
提督「…………」ポスッ
響「~~~~~~~~……」ググ…
提督「……まだ早い」ボソリ
響「…………」シュン…
提督(……抵抗が無くなったな。放してやるか)スッ
響「!」
響「…………」モゾモゾ…ピトッ
響「……ごめんなさい。おやすみ…………」ボソッ
提督(……島風よりも響の方が問題のようだな。さて、どうしてやるべきか……)
……………………
…………
……
コンコン──。
提督「入れ」
響「司令官、いいかな」
提督「響か。丁度良い。私も響に聞こうと思っていた事がある。恐らく同じ内容だろう」
響「うん。司令官が想像している内容だよ。でも、私の相談はそれの一歩先の事なんだ」
提督「……ふむ」
響「単刀直入に聞くよ。性欲というものはどうやったら解消できるんだい?」
提督(本当に島風より先に響が問題になったな……)
提督「その性欲が、今日の昼でキスをしようとしたり、私の下半身へ手を伸ばした原因か?」
響「……ごめんよ、司令官。どうしても抑えれなくなったんだ……」
提督「それは構わない。確かに早いが、響の年齢で性欲を覚える子も居なくはない」
響「ありがとう」
提督「しかし、いくらなんでも早過ぎる。何かで知識でも得たのか?」
響「うん。暁が持っていた本なんだけど……」
提督(原因は暁か。島風の言っていた大人の本とやらも暁の持ち物といった所か)
響「それに書いていた方法を試してみてもくすぐったかったり痛かっただけだったんだ」
提督「……精神は成長していても、身体がまだその段階ではないのだろうな」
響「私もそう思うよ。だから、自分ではどうしようもなくて提督を頼りに来たんだよ」
提督「…………答えたくなかったら答えなくても良い。どういう事をしてみたんだ?」
響「流石に恥ずかしいな……。えっと、指を挿れてみたり、胸を触ってみたり…………その……アソコを撫でてみたり……したよ」
提督「ふむ……。それでダメなのか……」
響「どうしたら良いのかな……このムラムラとした感覚、色々なものに支障が出そうだから早くなんとかしたいんだ……」
提督「………………ふむ。今ので解決方法がなんとなくだが分かった気がする」
響「本当かい? 流石だね司令官」
提督「だが、少し恥ずかしいと思う。それは大丈夫か?」
響「多少なら……大丈夫だよ。皆が眠りに就いた時に布団の中でやった事もある」
提督「……それはそれでチャレンジだな」
提督「それでは、まず準備を説明する」
響「うん」
提督「まずは手を洗ってきなさい。そして響は私のベッドの上で寝転がり、ベッドのカーテンを閉める」
響「…………? うん。それでどうするんだい?」
提督「そうしたら私は窓のカーテンを閉めて電気を消す。ほぼ暗闇になるが、目を瞑り、響が今までやっていた事をすれば良い。私はその間、耳栓をしておく」
響「……確かに少し恥ずかしいけど、今までと変わらないと思うよ?」
提督「自分を慰める時に、響の手を私の手だと思い込みながらやってみなさい」
響「司令官の……────っ!! か、かなり恥ずかしいよそれは!?」
提督(やはりか。やり方を知っているだけで、本質は全く分かっていないようだったな)
響「う、うぅぅぅ……! で、でも……うん……分かった。やってみるよ」
提督「それでは、準備が出来たら声を掛けてくれ」
響「…………うん」
提督(さて……まだ夕方なのに二回目の『睡眠中』の札を引っ掛ける事になるとはな……)
……………………。
提督(ふむ。耳栓は耳栓で良いものだな。いつも以上に集中できる。……だが、時間の感覚が完全に無くなるのが)
つんつん──。
提督(ん、響か。終わったのか)スッ
提督「終わったか、響」
響「う、うん……。終わった事には終わったんだけど……」
提督「ふむ……。どうやら成功したみたいだな」
響「な、なんで分かるんだい?」
提督「頬が赤い」
響「う……。司令官……イジワルだ……笑ってる……」
提督「意地悪をしているつもりはない。お前が少し、心配だったんだ。だが、上手くいったみたいで良かったよ」ポンポン
響「あ……」
響「し……シーツを取り替えてくる!」タタタ
提督(これで響の性欲は問題解決だな。…………ああ、空き部屋の鍵を渡しておくか。今度からは流石に共同部屋ではできないだろう)
……………………
…………
……
いつもより三時間くらい早いけど、今回の投下はこれで終わりです。
集中力が保てない……。連日の雨でぐったりしているのが原因だろうか……。
今回の投下量は少なくてごめんよ。
書き忘れ。
また今日投下します。
分かってたって言う人も居るだろうけど一応。
ガチで色々な展開とか投げ捨てまくって尚且つ登場艦娘の数も結構減らしてそれなりのスピードとちょっとだけ一日の投下量を多くしたと思ったのにこのスレで終わる気がしない。
本当はこの時点で千歳さんとか夕立とか金剛姉妹全員とか加賀さんとか北上様とか色々と出ていたいたいけど、1スレで終わらせる気だったので犠牲となったのだ。出せない事はないと思うけど……。
ご飯食べたら投下しますね。
コンコン──。
提督「入れ」
ガチャ──パタン
金剛「テートク、お仕事はどうなっていマスか?」
提督「あと少しといった所だな。しかし、どうしてこんな夜にそれを聞きに……──ああ、すまなかった」
金剛「いえ、お休みになるのは良い事デス。テートクは普段から働き過ぎなのですヨ」
提督「……訳があってあまり休んだ気がしない」
金剛「えっ? でも睡眠中って……」
提督「昼も夕方も個人的な相談事や希望を持ち掛けられて対処していた。だが、それも提督の仕事の一つだ」
金剛「……本当に働き者ですね、提督」
提督「自分でも正直、バカ真面目な部分であると思っているよ」
金剛「本当です。もうちょっと息を抜いて下さい。……心配してしまいます」
提督「だが、もはやこれは性分だな」
金剛「もう……」
提督「──ん、仕事は終わりだ」
金剛「え、終わっちゃったんですか?」
提督「ああ。──だが、喉が渇いたな。金剛、紅茶を淹れてくれ。紅茶が空っぽだ」
金剛「え? でもそのティーカップにまだ残って──」
提督「…………」チラ
金剛(食器棚に目を……? あ──)
金剛「あ、いえ! 空っぽですね。淹れてきます♪」
提督「察しが良くて助かる」
金剛「えへー。提督の秘書ですから」
提督「うむ。今後とも頼む。──さて、今日は特別に茶菓子を出そうか」
金剛「本当ですか!?」
提督「うむ。だから、今日はとびきり美味しい紅茶を頼む」
金剛「はいっ♪」
……………………。
金剛「スコーンがあるとは思いませんでしたっ! ん~! おいしいっ! クリームティーなんて久し振りですっ!」
提督「クリームとジャムは間宮に頼んで作ってもらった。英国産でなくてすまんな」
金剛「いえ! このクロデッドクリームなんて濃厚で最高です! 間宮さんは本当に料理がお得意ですよね」サクサク
提督「……食べれなくて残念だ。甘いものは苦手だ」サクサク
金剛「提督は本当に甘い物が苦手ですよね。私は逆にプレーンで食べる事ができません」
提督「昔は私も甘党だったのだがな」
金剛「そうなのですか? 想像できません……」
提督「いつからかは分からないが、甘い物が全くダメになってな。それ以来、甘い物を食べる事は滅多にない」サクサク
金剛「そうなのですか……。なんだか悲しいですね……」サクサク
提督「実際に辛いな。正直に言うと大変だ」
金剛「ほぇ?」サク?
提督「ここ数年ずっと頭を使う事ばかりなのと小食が災いし、血糖値が低くなり過ぎてたまに倒れる」
金剛「た、倒れる!?」
あかん。
ちょっと身体がやばい事になりかけた。
最低三十分くらい席を外します。
>>826が糖分不足なんじゃないか(がくぶる)いってらっさい
提督「ああ。低血糖だ。私の場合は無自覚低血糖というものらしい。いきなり目の前が緑色の世界になって倒れる」
金剛「そ、そうなる前に糖分を摂取すれば良いのでは……いくら苦手でも、食べれない事はないですよね?」
提督「それなんだが、甘い物を口にすると吐く」
金剛「そこまで嫌いですか……」
提督「オブラートに包んで呑み込むという手段が一番良いとは思ったのだが、あれでもよく吐く。砂糖は私に何か恨みでもあるのかと思うよ」
金剛「じゃあどうやって糖分を取ってるのですか……?」
提督「倒れた時に、さっき言ったオブラートで包んだ砂糖を呑む。倒れる程になると流石に呑み込めるらしい。ただの一時的な認知障害かもしれないが」
金剛「……あの、その低血糖の対処法について色々と教えてもらって良いですか? もし提督が低血糖で意識不明になったら大変です」
提督「……そうだな。その時は助けてくれるか?」
金剛「勿論ですよ! 私は提督の秘書です!」
提督「感謝する。私が倒れた時、私に意識があればオブラートで包んだ砂糖と水が必要だ。最悪、水は無くても構わないが砂糖は二十グラムくらい欲しい。」
金剛「二十グラムってどれくらいなのですか?」
提督「この角砂糖が六個分だな。ポケットに常備している」
金剛「ふむふむ……。意識が無かった場合はどうするのですか?」
提督「唇と歯茎の間に砂糖を塗り込んでくれ。くれぐれも水に溶かした物を入れるんじゃないぞ?」
金剛「あれ、どうしてですか? 根拠は無いのですが、水に溶かした方が良いと思ってしまいました」
提督「意識の無い人間に液体を飲ませると、気管に水が入る可能性がある。とても危険だ」
金剛「なるほど……。でも、唾液で溶けた場合も危なくないですか?」
提督「勿論危ない。だから、飲み込めないように頭が少しだけ垂れるようにしてくれ。特に私の場合、意識が戻った瞬間に吐く可能性もある」
金剛「はい! 他に何か注意事項とかありますか?」
提督「……そうだな。意識が無く、砂糖を塗り込んで十分経っても回復しない場合はもう一回塗り込んでくれ」
金剛「ふむふむ……」
金剛「そういえば、どうして口に入れておくだけで良いんですか?」
提督「粘膜があるからだ。口、胃、腸の粘膜は基本的に同じ物だ」
金剛「同じ……初めて知りました」
提督「一般生活では必要の無い知識だからな。知らなくて当然だろう。──これだけ憶えていれば特に問題ないはずだ」
金剛「ありがとうございます提督!」
提督「いや、私こそ礼を言う。ありがとう。そして、頼む」
金剛「はいっ!」
金剛「……ところで、この鎮守府に来てから倒れた事は……」
提督「…………」
金剛「……あるんですね」
提督「……島風が来た日に倒れている」
金剛「提督」
提督「すまん」
金剛「もう……。それって定期的にくるものなのですか?」
提督「基本的には大体の目安がある。島風がここに来た日を考えると、二週間から三週間の間に倒れるだろうな」
金剛「ニ週間からですね。憶えておきます」
提督「迷惑を掛ける」
金剛「もっと綺麗な言葉で言って欲しいです」
提督「……頼りにしているぞ」
金剛「はいっ♪」
……………………
…………
……
コンコン──。
金剛「……………………」
金剛「……おかしいですネー」
瑞鶴「おはよう金剛さん──って、どうしたの?」
金剛「ん、おはようございマス瑞鶴。テートクが返事をしないので、どうしたのかなと思いまして……」
瑞鶴「提督さんが? 珍しいわね」
金剛「勝手に入る訳にもいきまセンし……どうしまショウか」
瑞鶴「たぶん寝てるのよ。提督さん、働き者だし」
金剛「だと良いのですケド……」
龍田「おはよ~」
天龍「ん? どうした、二人共?」
瑞鶴「おはよう」
金剛「龍田、天龍。おはようございマス。……ノックをしても提督が返事をしないのデス」
龍田「あら……何があったのかしら……」
天龍「寝てるんじゃないのか?」
瑞鶴「私もそうだとは思うんだけど」
金剛「ムー……」
瑞鶴「この通り、ね?」
龍田「金剛ちゃんは提督さんが大好きだものね~」
金剛「ハイ! 勿論です!」
龍田「良い笑顔だわ~。ちょっとだけ嫉妬しちゃう」
瑞鶴「え、提督さんに?」
龍田「金剛ちゃんによ~? それだけ大事に扱われてるって事だもの」
天龍「大事になら俺達もそうされてないか?」
龍田「なんとなくだけど、金剛ちゃんと瑞鶴ちゃんは特に大事にされてると思うのよね~」
龍田「なんとなく、なんだけどねぇ?」ニッコリ
金剛・瑞鶴「…………っ!」ゾクッ
雷「あら、どうしたの?」
電「おはようございます、なのです」
響「おはよう、皆」
暁「おはよう。入らないの?」
島風「おはよー」
金剛「ノックをしても提督が返事をしないのデス」コンコン
電「まだ眠っているのでしょうか……」
雷「寝てるんじゃない?」
島風「私も寝てると思うなー」
響「司令官は頑張り過ぎなぐらいだからね」
暁「そうよね。たまにはゆっくり休まないといけないわ」
川内「あれー? どうしたの?」
神通「何かあったのですか?」
那珂「みんなー! おっはよー!!」
龍田「少しは声量を考えなさい?」ニッコリ
那珂「ご、ごめんなさい……」
金剛「こういう訳なのデス……」コンコン
神通「…………? 返事が無いですね……」
川内「疲れて深く眠っちゃってるんじゃないの?」
那珂「これは……事件の臭いがするね。ズバリ、提督は死んで──」
ジャキンッ──!!
那珂「……え? た、龍田さん……? この槍は……?」ビクッ
龍田「あら~? 煩い蝿が居ると思ったんだけどなぁ~。……次は手元が狂っちゃうかも」
那珂「もう言いません……調子に乗ってごめんなさい……」ビクビクビク
金剛「…………」
提督『二週間から三週間の間に倒れるだろうな』
金剛「…………」
提督『ここ数年ずっと頭を使う事ばかりなのと小食が──』
金剛「……まさか」
瑞鶴「え?」
金剛「────ッ!」ガチャッ
金剛「提督!! 大丈夫ですか!?」
提督「…………」
金剛「────────うそ?」
金剛「提督!! 提督!!!」ユサユサ
瑞鶴「え、ちょ……ちょっと……? 何があったの?」
金剛「────ッ」
金剛「…………よかった」ホッ
島風「ど、どうしたの?」
金剛「息はしてるみたい……」
響「良かった……生きてるんだね」
瑞鶴「でも、だったらなんで起きないのかしら……」
金剛「それは分かりません……救護妖精を呼んできましょう。島風、お願いできますか?」
島風「うん! 全力で行ってくるね!!」
金剛「熱は……ないみたいですね……。脈は……ダメです、分かりません……。でも呼吸は安定していますね……普通の寝息です」
龍田「本当に何があったのかしら……」
……………………。
救護妖精「過労だろうね、たぶん」
金剛「たぶん……ですか?」
救護妖精「脈はちょっと弱いけど呼吸は安定してるし、熱も無い。普段の働きを見るに精神に問題は無かったと思うけど、働き過ぎだとは思ってたわ」
救護妖精「ハッキリ言うと、現状では分かんないね。だから普段の姿での判断しかできない。精密検査とかすれば話は別だろうけど、勝手に採血するのはまずいしねー。一日待って意識が戻らなかったら無理矢理でも血を採って検査するよ。意識が戻ったら問答無用で診察するから、秘書の貴女も協力してね?」
金剛「はい。お願いします」
救護妖精「それじゃあ、静かにしてあげてやりな~」
金剛「…………はぁ~~~~……………………」ペタン
暁「こ、金剛さん。気持ちは分かるけど、汚れちゃうわよ?」
金剛「ごめんなさい……腰が抜けて…………もう少しこのままでいさせて……」
瑞鶴「提督さん……」
……………………。
金剛「…………」ヂー
瑞鶴「…………」チラ…ボー
暁(あの二人、大丈夫かしら……)
川内(かなり参っちゃってるね……金剛さんは結局あの体勢のまま提督をずっと見てるし、瑞鶴さんはボーっとしては一目見るのを繰り返してる……)
神通(私達は邪魔になりそうですね……。部屋に戻りましょう?)
響「……………………」
電(響ちゃん?)
響(────え、ああうん。私も行くよ)
響「…………」
響(司令官……)
……………………
…………
……
提督「ん……」
提督(いかん……つい熟睡してしまったか……。────金剛、瑞鶴?)
提督「金剛、起きているか?」
金剛「ん……ぅ?」
瑞鶴「んん……──提督さん!?」
金剛「!!!」ガバッ
金剛「提督!!」
提督「すまんな、二人共。……もう十時か。いかん、寝すぎた。すぐに仕事に──」
金剛「提督……身体がおかしい所はありますか?」
提督「いや、ない。すぐに職務へ──」
パァン──!
提督「────」
金剛「…………」
瑞鶴「ちょっ……! こ、金剛さん!?」
金剛「バカ……」
提督「…………」
金剛「何……一人で背負っているんですか……」
提督「…………」
金剛「なんで……私達に頼ってくれないんですか……」
金剛「私達は、そんなに役立たずですか。信用に置けませんか」
金剛「どうしてですか……。どうしてなのですか……提督……」
提督「…………」
瑞鶴「…………」オロオロ
金剛「答えて……答えてください…………」
提督「…………」
提督「……金剛」スッ
金剛「ッ!!」ビクン
金剛「…………っ!」フルフルフル
提督「──すまなかった」ナデナデ
金剛「────────え?」キョトン
提督「お前達に苦労を掛けさせないようにしていたつもりだったが、心配させてしまった」
金剛「……………………」ジワ
金剛「────ッ!」ガバッギュゥゥ
提督「…………」ナデナデ
金剛「どうし、てですか……怒ってくれるなら……気が、楽になったのに……ひっく」
金剛「優し……されたら……ぐすっ……泣い…………ちゃ、うぁ…ぅあぁああぁぁぁぁ……!」
提督「……約束する。今後、無茶はしない」ナデナデ
金剛「ぅ、ひっく……っぅぅ…………」コクコク
提督「ちゃんと、頼りにする」ナデナデ
金剛「ぅぁ、あぁ…………ひくっ……ぐす……」コクコク
提督「嬉し泣きだけにできなくて、すまない」ナデナデ
瑞鶴「……………………」
瑞鶴(……羨ましいって思った自分が情けない)ギリ
……………………
…………
……
ダメだ。保たない。
提督みたいにならないよう今日は安静にしておきます。
>>827-828
マジでこれでした。砂糖をジャリジャリ食べてきました。甘い。気持ち悪い。吐きそう。
炭水化物を取れば良い話ですけど、小食なので食べ過ぎると今度は死ねる。
また明日投下します。
>>846
あと二時間で明日ですね(ゲス顔)
提督「落ち着いたか、金剛」
金剛「…………」コク
提督「そろそろ離れようか」
金剛「…………」フルフル
提督「まいったな……」
金剛「…………」ギュー
提督「分かった分かった。仕事はしないから離してくれ」
金剛「…………」
提督「約束だ。だが、しっかりと休んだら働かせてくれ」
金剛「……………………」
金剛「ん……」スッ
提督「良い子だ」ナデナデ
瑞鶴「…………」ソー
提督「どこへ行く、瑞鶴」
瑞鶴「はぃえ!?」ビクッ
瑞鶴「え、えーと……あ、あははは……」
提督「こっちへきなさい」
瑞鶴「え!? え、えー……と……」
提督「…………」
瑞鶴「……はい」トコトコ
提督「…………」スッ
瑞鶴「う……」
提督「…………」
瑞鶴「……………………」スッ
提督「ん。心配してくれてありがとう、瑞鶴」ナデナデ
瑞鶴「…………ごめんなさい、金剛さん」ナデナデ
金剛「? 何がですか、瑞鶴?」
瑞鶴「だ、だって……せっかく良い空気だったのに……」ナデナデ
金剛「提督が呼んだのですから、素直になっても良いんですよ?」
提督「それとも、撫でられるのは嫌だったか?」スッ
瑞鶴「あ……」
提督「…………」
瑞鶴「う……ぅ…………。ッ!!」バッ
金剛「……瑞鶴?」
瑞鶴「あ、あははは……。ごめんね、ちょっと読みたい本があるの。提督さん、お大事に」
提督「…………瑞鶴?」
瑞鶴「金剛さん、提督さんをお願いね?」
金剛「え……ず、瑞鶴?」
瑞鶴「…………ッ」
ガチャ──パタン
提督「……失敗した」
金剛「え?」
提督「瑞鶴が寂しそうな顔をしていたから、元気付けようと思って頭を撫でたのがミスだった」
金剛「え、で……でも──」
提督「金剛。それ以上言うと瑞鶴を貶める事になる」
金剛「う…………はい……」
提督「はぁ……上手くいかないものだ」
金剛「瑞鶴……」
提督(これからどう接してやったら良いのか……)
……………………
…………
……
瑞鶴「…………」ボー
瑞鶴「逃げてきちゃった……」
瑞鶴「はぁ…………」
瑞鶴「……二人共、困ってるだろうなぁ……。無理にでも笑っていたら良か──ううん。あの二人にバレない訳がないわよね……」
瑞鶴「…………どうしよう。これから、どうやってあの二人に接したら良いのかな……」
瑞鶴「……………………」
瑞鶴「私って、嫌な女だなぁ……」
瑞鶴「気が利かなくて、些細な事に気付けなくて、頭も良い訳じゃないし、秘書としての仕事も金剛さんの足元にも及ばないし……」
瑞鶴「……身体も、どっちかと言えば子供だし。きっと、提督さんも金剛さんのような……」
瑞鶴「~~~~~~~~~~~~!!」バタバタ
瑞鶴「夜這い、かぁ……」
瑞鶴「…………でも、それって身体を使わないと勝てないって認めてるようなものなのよね」
瑞鶴「勝てない……どうやっても勝てない……。そもそも、私が勝ってる所って、なんだろう……」
瑞鶴「……戦闘? …………………………………………他に思い付かないや……」
瑞鶴「そっか……私、金剛さんが持っていない魅力って、無いのよね……」
瑞鶴「そっかぁ……」
瑞鶴「…………」
瑞鶴「頭も、スタイルも、性格も、全部勝てない……か……」
瑞鶴「……戦争が終わったら、私って本当に何も勝てなくなっちゃう…………」
瑞鶴「…………諦めた方が良いのかな」
瑞鶴「…………」ポロ
瑞鶴「え、な、なんで? なんで涙が出てくるの?」ポロポロ
瑞鶴「だって、勝てないじゃない……全然勝てないんだもの……」ポロポロ
瑞鶴「最初から、勝てない勝負だったのよ……」ポロポロ
瑞鶴「だから、悲しむ必要なんてない。潔く負けを認めなさいよ」ポロポロ
瑞鶴「…………ッ」ボフッ
瑞鶴(悲しむ事、ないでしょう? マッチを海に投げ入れても火が消えるのと同じ……)
瑞鶴(最初から勝てなかったんだって……)
瑞鶴(なのに……なんでこんなに悲しいんだろう……なんでこんなに辛いんだろう……)
瑞鶴「提督さん……」
瑞鶴(あの時、私は提督さんに何をして欲しかったんだろう……)
瑞鶴(呼び止めて欲しかった? 追いかけて欲しかった? いつも健気にしている金剛さんを放っておいて?)
瑞鶴「私……何やってるんだろう……」
瑞鶴(死にたい……けど、死んだら提督さんが物凄く困っちゃう……。ううん。貴重な戦力が削れちゃうんだもの……皆が困る……)
瑞鶴(勝ちたいのに、勝てない……。逃げたいのに、逃げれない……)
瑞鶴「こんなのってないよ……神様……」
瑞鶴「…………普段通りにしていたら、二人共、今日の事は忘れてくれるかな……」
瑞鶴「普段通りに……でも、一歩後ろに下がって……」
瑞鶴「……そうしよう。それが、二人の為だもん」
瑞鶴「…………今日は、泥のように寝よう……」
……………………
…………
……
瑞鶴「すぅ……」
金剛「…………」
金剛(どうしよう……瑞鶴、結局お昼も夜もずっと寝たままでした……。どう接したら良いのでしょうか……)
瑞鶴「…………」パチ
金剛「!」ビクッ
瑞鶴「んー……! ふぁ……金剛さん……おはよー……」グシグシ
金剛「え、あ……お、おはようございます……」
瑞鶴「あれぇ……? 珍しいわね……さっき起きたの?」
金剛「い、いえ……ちょっと忘れ物を取りに……」
瑞鶴「そうなんだー……。んんー……ブラシブラシ……」ゴソゴソ
金剛(気にしていない……? でも、そんな事って……)
瑞鶴「んー……金剛さん」
金剛「は、はいっ!」ビクッ
瑞鶴「どうしたのよ、変に力なんて入れちゃって? 早くしないと提督さんに叱られちゃうわよー?」
金剛「え、えっと……あの、大丈夫……なのですか……?」
瑞鶴「なにがー? んー、あれ……髪留めのリボンどこだろ……」
金剛「あっ……枕……の横にありますよ……」
瑞鶴「あれ、本当だ。ありがとー」
金剛(な、なんでこんなに普通にしていられるんですか……?)
瑞鶴「むー……目覚めが悪い……。じゃあ、私は顔を洗ってくるわねー」ウツラウツラ
金剛「は、はい……」
金剛(どういう事なのですか……?)
……………………
…………
……
提督「今日も一日休みとする。すまない……医者からまだドクターストップを掛けられているんだ」
提督「それでは各自、自由行動してよし」
川内「はーい提督、質問」
提督「なにかね」
川内「今日さ、遠征に行っても良い? いつもの警備任務とか海上護衛任務とか」
提督「いきなりどうした。まずは理由を言ってみろ」
川内「いやー。ここ何日か海に出てないからさ、ちょっと動きたくなったのよ。軽巡の皆は賛成なんだけど」
響「それは良い考えだね。私も参加して良いかな」
雷「あ、私も。身体が鈍っちゃうもの」
電「私も海に出たいです」
暁「私もそろそろ出たいかも」
島風「私もー!」
提督「構わないが、警備任務は軽巡一隻、駆逐艦二隻。海上護衛任務は軽巡が一隻、駆逐艦が三隻で向かう事だ」
龍田「それだと軽巡が三隻余っちゃうわよ~?」
提督「ふむ……まだ第三艦隊の許可が降りていないからな……。演習はどうだ? 身体もほぐれると思うぞ」
瑞鶴「あ、演習をするのなら私も参加したい」
天龍「うげっ!? 瑞鶴も演習に……? 勝てるのか、俺達……?」
瑞鶴「何よ。対空射撃が苦手でしょ、貴女達。これも訓練よ、訓練」
神通「そうですね。これから敵に空母も増えてくるでしょうし、私は是非ともお願いしたいです」
瑞鶴「提督さん、構わない? たしか、演習用の艦載機ってもう出来てたわよね?」
提督「…………ああ、出来ている。構わないぞ」
瑞鶴「やった!」
金剛「あ……えっと、私も──」
瑞鶴「金剛さんはダメよ? 誰が提督さんの面倒を見るのよ」
金剛「え、でも……」
瑞鶴「どうせ提督さんの事だから、一人でまた無理をしそうだもの。ちゃんとブレーキ役になってくれなきゃ。……それとも、私が提督さんのお世話をしようかしら?」
金剛「う……」
瑞鶴「決まりね?」
金剛「うう……はい……」
瑞鶴「ふふふ……ここ二日間、出撃も何も無かったから今日は暴れるわよー?」
天龍「マジかよ!? こりゃ本気でヤバイぜ……」
龍田「あらあら、だったら天龍ちゃんは遠征に逃げる~?」
天龍「誰が逃げるか!! いいぜ、瑞鶴! 俺が全部撃ち落してやる!!!」
瑞鶴「言ったわね? 艦爆と艦攻、面と点の二重で狙ってあげるわ」
天龍「卑怯だぞぉ!?」
ガチャ──パタン
金剛「……行っちゃいました」
提督「金剛、さっきの瑞鶴をどう思う」
金剛「……良く分からないです。正直、いつも通り過ぎて逆に困りました」
提督「金剛にはそう見えたか……」
金剛「提督にはどう見えたのですか?」
提督「私は……あれは非常に良くないものだと思っている」
金剛「え──?」
……………………。
コンコン──。
提督「入れ」
ガチャ──パタン
瑞鶴「失礼します。演習が終わりましたので出頭しました。……あの、話ってなんでしょうか?」
提督「瑞鶴、お前について話したい事がある」
瑞鶴「私に……ですか? あの……演習で何かとんでもないミスとかしてました……?」
提督「艦爆で全員を面で狙いつつ艦攻でピンポイントに狙っていたのは良かった。だが、演習の事ではない」
瑞鶴「えっと……?」
提督「瑞鶴、何を無理させている?」
瑞鶴「え? 私、無理なんてしてないわよ……?」
提督「いつものお前は無理をしていないだろう。だが、個人的な部分──自分の我儘な部分はどうだ?」
瑞鶴「……え、な、何を──」
提督「私が気付かないと思っていたのか」
瑞鶴「…………」
提督「答えなさい」
瑞鶴「……酷いよ、提督さん」
ヲ級達は何してるんだ?
提督「ああ。今、瑞鶴の目の前に居る人間は人の心を弄ぶ罪人だ。どんな事を言われても罪人には反論をさせない」
瑞鶴「私が……どんな思いで……どんな、痛みで………………」
提督「…………」
瑞鶴「折角…………諦めようって、忘れようって心に決めたのに……」
瑞鶴「どうして……? どうして提督さんはこんなに私の心に入ってくるの……?」
提督「……私は罪人だ。家主の承諾無しに勝手に家に上がり込む」
瑞鶴「なら……罪人さん……」
提督「なんだ?」
瑞鶴「少し……その頼りになる胸を……貸して……」
提督「…………」スッ
瑞鶴「────ッ!! うわぁあああぁあああ……っ! ────────っ!!!」
提督「…………」ナデリナデリ
……………………。
>>876
ヲ級「♪」
戦姫「ああこら……あちこち歩き回って……」
ヲ級「!」ビシッ
戦姫「ん、これは……。ほう、この傷まだ残っていたのか。懐かしいな。初めて私が訓練に参加した時の傷じゃないか……」
ヲ級「♪」
戦姫「……これを見せてくれる為に私を連れてきてくれたのか。ありがとう、翔鶴」
戦姫「よーし! 翔鶴、次の場所へ連れて行ってくれ!」
ヲ級「~♪ ~~♪」テテテ
──戦姫と翔鶴は、今日もほのぼのと鎮守府を駆け巡っているようです。
瑞鶴「……………………」
提督「──落ち着いたか?」
瑞鶴「………………うん……」
提督「そうか」
瑞鶴「……提督さん、私……諦めたくない……」
提督「…………」ナデナデ
瑞鶴「絶対……ぜーったいに金剛さんよりも魅力的になって、提督さんのハートを奪ってやるんだから」
提督「……瑞鶴も金剛も、よく茨の道を好き好んで進む事だ」
瑞鶴「だって、好きなんだもん」
提督「一体どこにそこまで惹かれるものがあるというのか」
瑞鶴「好きだからよ。何かあるからとかじゃないの。好きだから好きになったのよ」
提督「……そうか」ナデナデ
瑞鶴「ん……もっと撫でて……」
提督「…………」ナデナデ
瑞鶴「落ち着く……すっごく気持ち良い……」
提督「……なんだか、今夜は喉が渇くな」
瑞鶴「…………?」
提督「瑞鶴、すまんがお茶を淹れてくれないか?」
瑞鶴「え……? でも、私は金剛さんに全然…………」
提督「…………」
瑞鶴「……分かったわよ。でも、不味くても文句を言わないでよ?」
提督「さてね。私は正直にしか言わないよ」
瑞鶴「くす……提督さんらしいわね。ちょっと待っててね?」
……………………。
瑞鶴「はい。どうぞ」
提督「うむ。頂こう」ズズ
瑞鶴「私も……」チビチビ
瑞鶴「────!? な、何これ!? ほとんどお湯じゃない……」
提督「いや、美味いぞ」ズズ
瑞鶴「……提督さん。流石にこれはお世辞でも不味いとしか言えないわよ……。紅茶風白湯だもん……これ……。ティーパックの方がずっとずっと美味しいわ」
提督「しっかりと入っていて美味いよ」
瑞鶴「…………?」
提督「ティーパックでは入る事のない、極上の愛情が入っている」
瑞鶴「…………」
提督「一生懸命、紅茶の淹れ方を勉強しているというのが分かるよ、瑞鶴」
瑞鶴「バカ……提督さんのバカ……。恥ずかしいじゃない……。でも──」
瑞鶴「──ありがとう」
……………………
…………
……
>>855の言葉を真実にする為に頑張ってみました(蒼白ゲス顔)
……寝るよ。
また今晩に来るね……。
俺提督「今日こそレア駆逐を……雪風18隻目「やぁ」」
島風下さい(真顔
ちょっとだけ投下していきます。
超時間が空いたのに投下がほとんど出来なくてごめんよ。
提督(──む、私宛への機密文書が束で……とうとうきたか……。さて、何が書かれているのか……)
提督(金剛が起きてくる前に、二人で分担する書類を分けてしまうか。ついでに、機密文書も見ておこう)
……………………。
提督(通常の書類はこれで良し……。残るは機密文書……)ジッ
提督(まずは…………46センチ三連装砲……? 今頃になってこんな情報を送られてきてもな……)
提督(次は──深海棲艦に関する項目、か。ここから読んでいこう)
……………………。
提督(────ふん。なるほど。筋の通った言い訳がましい資料だな、大将共め)
提督(……あの四人を集めて話しておくか)
……………………
…………
……
救護妖精「提督、あんたバカか?」
提督「……………………」
提督(朝礼が終わったら、救護妖精が般若の顔をしてやってきた……)
電「え……え?」
龍田「…………」ニコォ
救護妖精「一つ言っておくぞ。あんた働き過ぎだと思っていたが、ここに来る前から無茶をやっていただろ」
金剛「む……提督?」ジッ
提督「……根拠は?」
救護妖精「血液検査と診察で分かるわ! なんだあれ!? 本当だったらでかい病院送りで全項目精密検査だぞコラァ!」
瑞鶴「あ、あのー……。一体何があったの……?」
救護妖精「一番呆れたのが提督の血糖値。普通の半分くらいしかない。精確には半分よりちっと高いが、それでも普通に生活しているのがおかしい。血糖の閾値が低過ぎ」
神通「あの……もう少し分かりやすくお願いしても良いですか……?」
救護妖精「脳ってのは殆どブドウ糖がエネルギー源なんだよ。で、提督の血糖値は常人だったら自律神経と脳に障害が出てる数字だ。その数字があと5~10も下がると意識消失する」
救護妖精「薬剤とか点滴とかしようと思って、アレルギーがないかの血液検査とかもしてみたら異常が無いくせに、過去の診察データを見てみたらまったく同じもんで嘔吐、痙攣、意識消失してるみたいだし、昏睡も一回なってるよね。もう訳が分かんないよ」
島風「……つまり?」
救護妖精「あたしじゃどうしようも出来ない。お手上げ。匙を投げるしかない。安静にしてろとしか言いようがない。むしろ神を呪えと言いたい」
救護妖精「他にも色々な問題を抱えてるみたいだしさ。色々と数字がおかしい。提督、正直に答えてほしいんだけど、あんた本当に人間?」
提督「人間以外なんでもないが……何に見えるというのか」
救護妖精「本当だったら死に掛けてると思うんだけど!! 本・当・だっ・た・ら!」バンバン!
瑞鶴「それじゃあ、ここの設備じゃ……」
救護妖精「ここまでくると現代医学の敗北じゃないの? でっかい病院に行ったらまだ分かるものがあるかもしれいないけどさー。そういう訳にもいかないでしょ、現状」
救護妖精「とにかく!! 疲労が取れるまでは出撃とかするな!! 寿命縮める所か二重の意味で自殺しにいってるようなもんだぞ!!!」
提督「…………」
救護妖精「返事!!」
提督「……分かった」
救護妖精「これから毎日診察するから、あたしが良しと言うまで出撃するんじゃないよ! 無論、運動なんてしたら死体になりかねないからするな! 数字は意味不明だが疲労だけは取れると思うからね!」
救護妖精「これでも譲歩しているんだから、とにかく寝てろ!! じゃあね!!」バタン!
金剛「…………あの……あれって相当キレてましたよ、提督……」
提督「…………」
瑞鶴「ど、どうするの提督さん……」
提督「……とりあえず、今日は遠征と建造、開発だけしよう。遠征は錬度の低いものを優先して行う。残りの者は母港で待機。警戒をしてくれ。編成は後で通達する。」
提督「今回の開発で、瑞鶴の装備を整えるから瑞鶴は残っておく事。金剛は書類を片付けるのを手伝ってくれ」
提督「皆にはすまないが、私のせいで出撃が出来そうにない。救護妖精の言うように少し休む」
提督「以上。何か質問はあるか? …………無いようだな。では、通達があるまで金剛と瑞鶴以外は部屋で待機」
全員「はい!」ピシッ
電「……あ、あの……司令官さん」
提督「なにかね」
電「…………私達、頑張りますから、早く良くなってくださいね!」
提督「ああ。善処するよ」
響「約束だよ、司令官」
島風「また提督が倒れちゃったら、私の寿命も縮むんだからね? 提督と一緒に過ごせる時間が短くなるから、命だけは早くなりたくないよ」
龍田「必要になったら私も呼んでね~? 提督さんの為だったら何でもするわ~」
那珂(……スキャンダル? いや、愛人……?)
龍田「那珂ちゃん?」ニコォ
那珂「何も言ってないよー!?」
龍田「とっても不愉快な考えをしていなかったかしら~?」
那珂「ひぃっ!」
提督「……………………」
……………………
…………
……
唖然とするくらいに少ないけど、今回はこれで終わりです。また明日投下します。
今回ばかりは本当に痛感する。無理はするもんじゃないね。
皆も私みたいにならないよう気を付けてね。
響「吊るしたら頭に糖が回るかな?」
響ちゃん本当に止めて。今回はそれだけじゃないんだkぎゃあああああああああ!!!!!!
またちょっぴりとだけ投下しだしますね。
提督「さて、都合良くお前達以外を動かす事が出来た。これから大事な話をしよう」
金剛「総司令部から何かあったのですネ?」
提督「ああ。だから戦姫とヲ級にも来てもらった」
戦姫「あいつらの考える事だ。どうせ碌でもない事なのだろうな」
ヲ級「…………」ボー
瑞鶴「それで、一体何があったの?」
提督「機密情報として資料を送られてきた。それの中身をある程度噛み砕いて話す」
提督「まず、深海棲艦とは何か、だ。世間的にはどこからともなく湧き出てくる敵……という事になっており、私達が今知っている情報では艦娘が沈んだのが深海棲艦だ。だが、これにはおかしい点がある」
金剛「艦娘が先か、それとも深海棲艦が先か、ですね?」
提督「理解が早いな。だが、三人……いや、二人が理解していないみたいだから説明させてもらう」
金剛「二人? ──ああ……」
ヲ級「♪」テテテ
提督「まず、深海棲艦を倒す為に生み出されたのが艦娘……これは良いな? そして、深海棲艦は沈んだ艦娘の末路だが、それではどっちが先か、となるだろう?」
瑞鶴「え……それって艦娘が先じゃないの? いや、でもそれだったら艦娘は何の為に生み出されたの……?」
戦姫「ああ、そういう事か」
提督「分かったのか?」
戦姫「はい! おかしいという事が分かりました!」
提督「…………」
提督「……そして、瑞鶴が言ったように、どうして艦娘は生み出されたのか、という事だが、こう書かれていた」
提督「艦娘は元々、人間と戦う為の道具。人造人間──ホムンクルスだったとな」
金剛「……ホムンクルス? あの錬金術で作られた……?」
提督「似ているが、根本的に違うようだ。金剛の知っているホムンクルスは、あらゆる知識を身に付けたフラスコでしか生きれない者だろう。だが、艦娘は元々、人間がベースのようだ」
瑞鶴「ちょっと待って。私達は建造されて生まれてきてるのよ? 人間からじゃないわ」
提督「それは現在での話だそうだ。人間ベースは数十年も前の話だそうだ。現在は効率化されて建造からいくらでも造れるようになったらしい」
提督「当時の資料は残っていないそうで、関係者も全員死亡している事から確実なる証拠は残っていないものの、人と戦う為の道具だった事は間違いないらしい」
提督「だが、間抜けな事にその艦娘の製造方法が一つの大国に盗まれたらしい。そして、その大国で実験の失敗が続いた」
瑞鶴「……それって、全員深海棲艦に?」
提督「そう書いてあったな。そして深海棲艦は戦力が揃うまで潜み、全世界に牙を剥いた。現在はその深海棲艦の影響で島国は実質国交が不可能。だが、一隻のボロボロとなった敵の船が我が国へ到着し、こう言ったそうだ」
提督「停戦しよう。あの化け物を全て駆逐するその日まで」
凄い今更だけどヲ級って最初なんでボロボロだったの?
>>951
>>528
>提督「……このヲ級。もしかして」
>
>戦姫「はい。貴方の鎮守府へ偵察に行った者です」
>
>戦姫「この通りかなり自由奔放者で、甘えたがりなのです」ハァ
それと次スレ立てるのは>>1もといSS作者以外は削除対象になるから勝手に立てないでくだち
あ……ありのまま今起こった事を話すぜ!
『私は書き溜めながらSSを投下していたと思ったら、夜を迎えていた』
な……何を言っているのか分からねーと思うが、私もどうしてこうなったのか分からなかった。
頭がどうにかなりそうだった……。催眠術だとか超スピードだとか
そんな大層なもんじゃあ断じてねえ。
もっと情けないものの片鱗を味わったぜ……。
寝落ちしてごめんよ……。
金剛「そんな一方的な……。それは受け入れられたのですか?」
提督「受け入れた……が、『受け入れた』と返す事は叶ったかどうかは不明だそうだ」
瑞鶴「どうして?」
提督「文字通り、命を賭けてその言葉だけ伝えられた。そして、こちらも返事を送ったが、その船は帰ってきていない。故に不明だ」
瑞鶴「飛行機は無理だったの?」
戦姫「そんな物が飛んでいたら高角砲や戦闘機など駆使して落とすぞ」
瑞鶴「ああ……なるほどね……」
提督「よって、今は深海棲艦を共通の敵として戦っている。国民に過度な心配を与えぬよう報道規制と情報を隠しておいて」
提督「──と、もっともらしい理由を並べた資料などを送ってきていたよ」
金剛「え?」
瑞鶴「えっと……どういう事?」
戦姫「……む?」
提督「私は最初からこんな物を信用していない。伝えず、隠し、偽っている事があるはずだ。それがどれなのかは分からないが、私はこの文書を信用したという事にして奴らを出し抜く準備をする」
提督「……ついでに、戦姫とヲ級に対して実験をしろという指示も来ている」
ヲ級「?」コテン
瑞鶴「それって……私の時と同じの?」
提督「そうだ」
戦姫「い、痛い実験は止めてくださいよ?」ビクビク
提督「せんよ。瑞鶴の時と同じく、薬剤系や個人的にダメだと思ったものは論外とする。襲われそうになったとでもでっち上げれば奴らも納得せざるを得ないだろう」
金剛「……大丈夫なんでしょうかね」
提督「なんとかするしかない」
瑞鶴「そういえば提督さん。私が最後まで渋ってたアレ……なんて報告したの?」
金剛・戦姫(『アレ』?)
提督「『私達の距離が短くなっただけで他は何も変わらず』と書いておいた」
金剛(ああ……えっちの事ですかね)
瑞鶴「……私はそれだけじゃないんだけどなぁ」
提督「下手な事を書いて刺激する方が厄介だと判断した。他の艦娘と比べて、戦闘能力が高いだけという結論を出したよ」
金剛「それが無難ですものねー」
戦姫(何の話なのか分からない……)クスン
ヲ級「…………」ナデナデ
戦姫(翔鶴……お前は優しい奴だ!!)ギュー
ヲ級「♪」
提督「次に海軍の考えている計画についてだが」
瑞鶴「あれ、資料ってそれだけだったの?」
提督「頭に入れておいても仕方が無いものばかりだったから省かせてもらう。46センチ三連装砲だの最高軍事機密戦艦の情報だのと、意味を成さない物だ」
瑞鶴「今の資源じゃ、戦艦は運用できないもんねー……」
提督「そういう事だ。46センチ三連装砲なんかに到っては既に所持している」
提督「話を戻そう。計画についてだが、その戦争をしていた大国への安定した航路を得る為に、試行錯誤で手当たり次第に航路を開拓していく方式が挙げられている」
金剛「ええ……どういう事なのデスかそれ……」
提督「我が国は特殊な環境に置かれているようで、陸付近の深海棲艦が他と比べて弱いらしい。だが、我々海軍が現状把握している地域を除いて、深海棲艦の強さは非常に強いものだという。出会う敵が悉く黄のオーラを放っているようだ」
瑞鶴「……つまり、それって戦姫さんの艦隊と似たような敵がウヨウヨしてるって事?」
提督「そういう事だな」
金剛「そうそう勝てまセンね……」
戦姫(褒められてるのかな……。でも、二人は落ち込んだ顔をしてるし……なんだか素直に喜んじゃいけない気がする……)
提督「巨大な迷路に迷い込んだようなものだ。手当たり次第に出撃を繰り返すしかないだろう」
提督「そして……その大国だが、深海棲艦の大陸と呼ばれている国だ」
戦姫「深海棲艦の大陸? そんなものがあるのですか?」
提督「いや、実際には無い。そんな大陸があると嘘の情報を流しているようだ。深海棲艦が生み出され続けている新大陸という事にして、その大国のイメージを守っているとの事だ」
瑞鶴「でも……それでしたら尚更、報道規制をする理由が分からないわ。敵対していた国と協力を結んで現状の敵を倒そうって、凄く良いことじゃないの?」
金剛「聞こえは良いですケド、敵の国に殺された人がたくさん居マス。例えば、瑞鶴の親と姉妹全員を殺した敵が居て、共通の敵が出てキタから仲良くしろと言われて納得できマスか?」
瑞鶴「…………ちょっと嫌だなって思っちゃう」
提督「当事者でもなく、温厚な瑞鶴でもそれだ。実際に殺された人の家族が集まって暴動でも起こされたらそれこそ大変な事になる」
瑞鶴「なるほどねー……」
提督「この計画もどこまでが本当なのかは分からないが、とにかくその大国に辿り着くのを目的としているのは本当だろう」
提督「とにかく、色々と隠している事が多いと私は睨んでいる。それを暴き、真実をこの目にする。すまないが、協力してくれ」
ちなみに言い忘れていましたが、スレが980くらいになったら次スレを立てて誘導し、1000になるまで書き込み続けます。
たぶんそれくらいで大丈夫だよね……。
金剛「勿論ですよ!」
瑞鶴「私もよ。提督さんにならいくらでも協力するわ」
戦姫「私もです」
ヲ級「♪」ギュー
提督「ありがとう、四人共」
戦姫(あれ……何かを忘れているような……)
金剛「それにしても、なんだか不思議デスね」
提督「何がだ?」
金剛「だって、テートクにとって真実を目にする理由もメリットも無いじゃないデスか」
瑞鶴「そういえば……」
提督「…………そうだな。なぜだろうかな」
瑞鶴「知的欲求……とか?」
提督「恐らくそれが近いと思う。私もこんな気持ちは初めてだ」
提督「──なぜか、私は知らないといけない。そう思うんだ」
……………………
…………
……
提督「──さて、建造と開発も終わらせた事だ。これ以上動いたら救護妖精の目がどんどん釣り上がるから休むとしよう」
金剛「では、私は秘書の仕事をしますネ」
瑞鶴「あ、私も手伝って良い?」
金剛「ハイ! ──っとと……テートク、良いデスよね?」
提督「ああ、構わない」
瑞鶴「やったっ!」
金剛「テートク、なるべく静かにしマスけど、少しの音は許してくだサイ」
提督「耳栓をするから安心しておくと良い」
金剛・瑞鶴「はーい」
提督(……本当に、どうしてここまでやってくれるのかね。一人の人間として大事にしているとはいえ、私はお前達を戦争の道具として使っている事には変わらないというのに……)
……………………
…………
……
瑞鶴「んー……っ! 三分の一が終わったー」
金剛「少しティータイムにしマスか? 甘いお茶請けがありますヨー?」
瑞鶴「あ、お願いしても良いかしら。……本当だったら作業の遅い私がやるべきなんだろうけど、私がお茶を淹れたらほとんど白湯になっちゃって……」
金剛「それでしたら一緒に淹れまショウ? 紅茶仲間が増えるのは私もハッピーデース!」
瑞鶴「え……良いの?」
金剛「もっちろんデス!」
瑞鶴「……ありがとう。すっごく嬉しいわ」
金剛「? そんなに深く感謝される程のモノではないですヨー?」
瑞鶴「ふふっ、良いの。私がそう思ったんだもの」
金剛「瑞鶴は不思議ネー。それでは、お茶を淹れまショウ!」
瑞鶴(不思議なのは金剛さんなんだけどね。私が恋敵だって微塵にも思ってないみたい。…………私が考えすぎなのかしら?)
……………………。
ご飯とちょっとの休憩を取ってきますね。
本当に身体は大事にしないと……。
金剛「ん~♪ たまに砂糖菓子を食べるのもグッドデース! スコーンとはまた違った楽しみがありマース♪」カリカリ
瑞鶴「うん。さすが金剛さんね。私が一人で淹れたのとは全然違うわ」チビチビ
金剛「これも練習あるのみデース」
瑞鶴「ん、頑張るわね。……それより、提督さん大丈夫かしら」
金剛「こればっかりは私達ではやれる事が少ないデス……。でも、お互いにテートクを見ていて、無理をさせないようにしまショウ?」
瑞鶴「うん、勿論よ」
金剛「それに、瑞鶴ならテートクに選ばれても良いかなと思います」
瑞鶴「ッ!? な、なな何を言ってるの!?」
金剛「だって、瑞鶴はとっても健気じゃないですか」
瑞鶴「それ、金剛さんが言う?」
金剛「私なんて瑞鶴の半分すら満たしてませんよー」
瑞鶴「私はそうは見えないけどなぁ……」
金剛「そうなのですか? 私は提督の為に自分の身を引くなんて事、思い切ったとしても出来ません。その場を誤魔化して、しばらくズルズル引きずってから後悔すると思います」
瑞鶴「私、金剛さんなら諦めずにアタックし続けると思ってたわ」
金剛「本当の私は臆病です。アタックする前に枕を濡らす毎日でしょうねー」
瑞鶴「……なんか意外。金剛さんが臆病だなんて」
金剛「本当です。私は弱いので強くなろうとしているだけなんですよ」
瑞鶴「強く、か……」
金剛「その点、瑞鶴はとっても強いです。好きな人の為に諦めるなんて事、よっぽど強くないとできない事です」
瑞鶴「ただ単に諦めが早いだけかもしれないわよ?」
金剛「諦めれず、磁石に付いた砂鉄みたいにいつまでもしつこくしていたら、相手に嫌われちゃうと思います。私はそのタイプですよ」
金剛「逆に、好きな人が困る前に離れれる強さは一つの魅力です。その魅力に惹かれて追いかけてくれる事もあると思いますよ?」
瑞鶴「そうなのかなぁ……。実際に提督さんは追いかけてこなかったし……」
金剛「それは提督が私達のどちらも女の子ではなく、部下と見てるからですよ」
瑞鶴「あー……確かに提督さんならそう見てるわよねー……」
金剛「そうなのです……。だから、私が瑞鶴と同じ事をしても提督は追いかけてきませんでしたよ」
瑞鶴「うーん……」
金剛「『隣の芝は青い』という言葉もあります。瑞鶴から見て私が良いように見えるのはそういう事ですよ」
瑞鶴「その言葉、そっくりそのまま返してあげるね」
金剛「……………………」
瑞鶴「どうしたの? そんなに驚いて」
金剛「いえ……瑞鶴から見て私が良いように見えているのに驚きまして……」
瑞鶴「えっと……違うと思うけど、嫌味?」
金剛「ち、違います違います! 私はさっきも言ったように弱いです。だから、強い瑞鶴にはあまり良いようには見えていないだろうと思っていまして……」
瑞鶴「随分と謙虚ねぇ……」
金剛「そうなのでしょうか……」
瑞鶴「金剛さん、一つ良い事を教えてあげる」
瑞鶴「人よりも良いものを持っている人が度を越えて謙虚だと、それを持っていない人に疎まれちゃうわよ?」
金剛「う……」
瑞鶴「だから、振りかざさない程度に自信を持ちましょう?」
金剛「はい……」
瑞鶴「うん、良い返事」
金剛「ありがとうございます、瑞鶴。私は、貴女と仲良くなれて本当に良かったと思います」
瑞鶴「私もよ。ありがとう、金剛さん」
……………………
…………
……
提督「ん……」
金剛「あ、起きまシタか?」
瑞鶴「思ったよりも早いのね、大丈夫なの?」
提督「ああ。まだ少し疲れているようだが大丈夫だ」スポ
金剛「…………耳栓をしているのを忘れていましたケド、普通に会話できてましたよネ……?」
瑞鶴「あ……た、たしかに」
提督「口の動きを見れば大体分かる」
金剛「……本当になんでも出来マスね、テートク」
提督「出来る事しか出来んよ。例えば、私は料理が出来ない」
金剛「そうなのデスか?」
提督「レシピ通りに作っても、なぜか見た目、味共にゲテモノしか出来ん」
瑞鶴「……ちょっと気になっちゃう」
提督「止めておけ。野良犬に食わせた事があるが泡を吹いて痙攣していた」
金剛「……何を食べさせたんデスか」
提督「自称、玉子焼き。多少の塩と卵だけのレシピで作ったはずだったが、なぜかドス黒い虹色をしていたな」
金剛・瑞鶴「…………」
提督「味は最初しなかった。だが、手が震えていたのは分かった。なぜ味がしないのかと不思議に思って食べていたが徐々に舌が痺れ始め、なんとも表現し難い……いや、表現できない味が襲ってきた。気付いたら時間が一時間も過ぎていて、流石に食べるのを止めたよ」
金剛(それって本当に食べ物なのでしょうか……?)
瑞鶴(劇物……?)
提督「二人が心の中で何を思っているのかは分かる。それを口にしないのは嬉しいよ」
金剛「あ、あはは……」
瑞鶴「とっ、ところでさ! もっと寝ていたらどう? まだ疲れが取れていないんでしょう?」
提督「そうしていた方が良いのだろうが、少し歩かせてくれ。間接が痛い」グッグッ
金剛「私達もついて行きマス」
瑞鶴「途中で倒れちゃったら怖いもんね」
提督「ありがとう。頼むよ」
……………………
…………
……
川内「おっ、提督じゃん。起きてて大丈夫なの?」
神通「しっかりと休みは取って下さいね」
提督「警戒ご苦労。寝てばかりだと間接が痛んでな。こうやって少し解しているんだ」
川内「そんなに時間が経ってないような気がするんだけど……」
提督「こればかりは体質としか言いようがないな」
神通「解し終わったらちゃんと休んでくださいね?」
金剛「ノープロブレム! 私達が無理矢理にでも休ませマース!」
瑞鶴「提督さんにはこういう面で監視役が必要よね」
提督「……という訳だ。安心してくれ」
川内「あっはっは! 提督、尻に敷かれてるねー」
金剛「違いマスよ。心配なだけデス」
瑞鶴「提督さんを尻に敷ける人って居るのかな……」
神通「私は想像できませんね……」
川内「右に同じ。大事にしてくれるけど、どっちかと言えば亭主関白っぽい」
神通「私は頼りになる旦那様というイメージがあります」
金剛「私も神通と同じデース」
瑞鶴「……なんだか、お父さんって感覚が強いかなぁ」
川内「なるほど、確かにお父さんって雰囲気もあるよね」
提督「亭主関白やら旦那様やらお父さんやら……。私も随分と面白いように扱われて──」
提督「────…………」
金剛「…………」
瑞鶴「…………」
神通「あの……どうかしましたか?」
川内「ん? ……なんだろう、あれ」
瑞鶴「提督さん、偵察機飛ばすね」
提督「頼んだ。敵の場合は爆撃して構わない」
瑞鶴「了解」
神通「……皆さん、よくあれに気付きましたね」
提督「川内はともかく、二人は一番経験が多いからな」
瑞鶴「その艦娘と同じくらい索敵ができる提督さんも充分、人間離れしてるわよね」
提督「お前達と同じく海に出ているからな。嫌でも目と勘が良くなる」
金剛(少なくとも毎回、私より先に敵を見つけてマスけどね)
980になりましたので次スレを作ります。
作って誘導したらちょっと休憩しますね。
ついでに……このSSを書きながら今日、一週間くらい放置してた艦これで建造をしたら長門と瑞鳳と飛龍と熊野が出てきた。
消費資材は燃料弾鋼材が5000程度。ボーキは3000程度だったと思う。なにこれすげぇ。
次スレ。
金剛「テートクのハートを掴むのは、私デース!」瑞鶴「!?」 二隻目
金剛「テートクのハートを掴むのは、私デース!」瑞鶴「!?」 二隻目 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1382975945/)
埋めるついでに、皆はどんなラストを希望しているのかちょっと聞いてみたいかも。
現在、最後は希望のある終わり方で進めようと思っています。あらすじはもう組み立て終わっているので、これを書くつもりでしたけど、最近のニーズがちょっと分かっていなかったり……。
90年代のラノベがベースの書き方(地の分がある時だけ)なので、このまま進めたら終わり方もそんな感じになります。
ただ、最近はまどまぎみたいに絶望の最中で終わるという作風もありますし、一時期の私もどうやっても絶望エンドにしかならなくて、今回も絶望エンドを考えたりもしました。
その癖、ハッピーエンドに憧れているっていう三つ混ざり合った、わけがわからないよ。状態です。
皆はこの三つの内、どの終わり方が好きですか? 参考にさせて下さい。
ちなみに、終わり方が希望エンドか絶望エンドかハッピーエンドか変わるだけで、展開は同じです。
ハッピーエンド多すぎでちょっとびっくりした。
皆の意見を参考にして、ちょっとラストを変える事にしたよ。
どんな風に変わるかはお楽しみだけどね(蒼白ゲス顔)
それでは、最後にもう一度誘導。
金剛「テートクのハートを掴むのは、私デース!」瑞鶴「!?」 二隻目
金剛「テートクのハートを掴むのは、私デース!」瑞鶴「!?」 二隻目 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1382975945/)
戦姫「私達の日常をご覧頂こう」
ヲ級「いただこー」
戦姫「……喋れたのか、翔鶴」
ヲ級「残ったレスを埋める為に作者が許可してくれたのー」
戦姫「メタだな。だが、たった2レスしかないが大丈夫なのか?」
ヲ級「大丈夫なんじゃないのかなー。だって叩かれるのは作者だもん」
戦姫「それもそうだな」
ヲ級「という訳で、私達の日常を紹介するねー」
戦姫「ここは私と翔鶴の部屋だ。彼のご好意で貸し与えてくれた」
戦姫「主に私はここで、本を読みながら彼の指示を待っている」
戦姫「……それだけだ。寂しいって言うんじゃない!!」
ヲ級「私はこの部屋に留まらず、色々な場所を歩いてるよー」
ヲ級「この前は電ちゃんって子が一生懸命話し掛けてきてくれたねー」
戦姫「……そういえば、翔鶴は艦娘を相手にして憎くなったりしないのか?」
ヲ級「するよ? だから逃げてるの」
戦姫「……優しいな」
ヲ級「だって楽しい事の方が良いでしょー?」
ヲ級「それで、私はこの鎮守府の事をあまり憶えてないから色々な場所に踏み込んで遊んでるのー」
ヲ級「最近だと、ボイラー室は熱かったなー」
戦姫「……どこまで深く入ったんだお前は」
ヲ級「最深部まで」
戦姫「阿呆かお前は!!」
ヲ級「えー……」
戦姫「……なんだ、その『お前に言われたら終わりだ』とでも言いたそうな目は」
ヲ級「バレた?」
戦姫「ちょっとはオブラートにでも包んでくれない!? 結構傷付くのよ!?」
ヲ級「オブラートに包むのは砂糖だけで良いってあの人が言ってたよー」
戦姫「それとこれとは話が違う!!」
ヲ級「まあ、そんなこんなでこの鎮守府で行ってない場所はほとんど無いよー」
ヲ級「あ、でも一つだけ行ってない場所があるかなー」
戦姫「ほう? どこだ?」
ヲ級「蜜事を交わしている提督と艦娘の──」
戦姫「行くな!! 頼むから行ってやるな!!!」
ヲ級「でも、楽しそうだよー?」
戦姫「そんなはしたない事をしちゃいけません!! メッ!」
ヲ級「いつかアプローチを掛けても良いかもねー?」
戦姫「……どうやって?」
ヲ級「え?」
戦姫「翔鶴、お前本編では喋れないだろう」
ヲ級「…………」
ヲ級「裸になって押し付けるとか?」
戦姫「痴女かお前は」
ヲ級「えー…………」
戦姫「……ああ分かっているさ!! 言いたい事は分かる!! だが、仕方が無いだろう!? なぜか服が消えるんだから!!」
ヲ級「本当になんでだろうね?」
戦姫「もう、そういうものなんじゃないかな……諦めたよ……」
ヲ級「じゃあ、もう改行できなくなるからおしまいねー。ばいびー」
戦姫「まともに紹介できてないじゃないか……。それでは皆さん、また本編で」
このSSまとめへのコメント
オール建造で戦艦でないってツッコミ入れた方がいいのか?
なんかpixivで同じような内容のあった気がする
アホの戦姫とヲ級ちゃんかわいい♪
痛い痛い痛い痛い痛い痛いwww
↑どこがだよw面白いやんけ。
ところで、駆逐ロ級の元の姿はぜかましなのかな?
うわぁ…痛い独自設定はともかく提督がメアリースーの塊で痛さが半端ねぇ…
大和
いいね!面白い
面白いのデース
最後まで読んだ
確かに書き慣れてる感じはするけど、誤字とミスが残念
根拠なく崇拝されたい方向け