シャーマン「順調？鍛錬」

女スパイ「どう見える？」ﾊｧﾊｧ

シャーマン「力みが固くしてるよ」

女スパイ「何でもお見通しね」ﾊｧﾊｧ

シャーマン「見りゃ分かる。あのさ」

女スパイ「なに？」

シャーマン「あした占いの仕事で1日いないから」

女スパイ「じゃあ夕飯作っておいてよ」

シャーマン「何が良い？」

女スパイ「カレー」

シャーマン「また？」

女スパイ「好きなの」

シャーマン「はいはい」

キッチン

ﾄﾝﾄﾝﾄﾝ

シャーマン「そろそろ部屋から出ておいで」

シャーマン「いつまでたっても、消えないから”真実”」～♪

ｼﾞｭー

女スパイ「また女ものの歌？」

シャーマン「宇多田ヒカルが活動しないのは」

女スパイ「？」

シャーマン「今これ以上は危険だから」

女スパイ「どういう意味？」

シャーマン「下手すると生死に関わる」

女スパイ「どうして？」

シャーマン「時代の変わり目なんだ」

女スパイ「今の、この時代の変わり目は危険なの？」

シャーマン「場合によっては。彼女は出方を心得ている」

女スパイ「女には危険な変わり目なの？」

シャーマン「いや、老若男女だよ」

女スパイ「相変わらず抽象的ね」

シャーマン「決めるのは俺じゃない。自分だ」

女スパイ「…明確な答えが分からない時は？」

シャーマン「分かるまで過ごしてみれば良い」

女スパイ「手遅れにならない？」

シャーマン「感じたものを取りこぼさなければ」

女スパイ「信じるものは直感？」

シャーマン「それに頼りすぎなければね」

女スパイ「難しい」

シャーマン「楽しそうだけど？」

女スパイ「まあね」

シャーマン「あ、カレーの肉、ひき肉が良い？」

女スパイ「うん。あと生姜もおねがい」

シャーマン「分かった」

風呂場
ｼﾞｬｧｧｧー

女スパイ「(考えなければ、とらわれることは無い)」

女スパイ「(空にすれば、取りこぼしにくくなる)」

女スパイ「(…身体のギアが変わる…この感じ…)」

ｺﾝｺﾝ

女スパイ「？」

シャーマン「これから仕事？」

女スパイ「うん」

シャーマン「もう寝るから。おやすみ」

女スパイ「ん、おやすみ。明後日は？」

シャーマン「休みだよ」

女スパイ「なら山へ行かない？」

シャーマン「良いよ」

女スパイ「ね」

ｶﾞﾗｯ

シャーマン「？」

女スパイ「キスして」

シャーマン「」

ｽｯ　ｷｽ

シャーマン「死ぬなよ？」

女スパイ「笑えないわ」

シャーマン「だろうな。右肩に気をつけて」

女スパイ「どうして？」

シャーマン「分からない。でも、ガードを巻いて行くと良い」

女スパイ「…他には何が見えた？」

シャーマン「明後日の裸」

女スパイ「ガマンできる？」

シャーマン「そのまま返すよ、言葉」

女スパイ「いじわるね」

シャーマン「風邪引くぞ」ﾀｵﾙ

女スパイ「ん」

ｷﾞｭｯ

シャーマン「うまくいく」

女スパイ「うん」

シャーマン「続きは明後日」

ｽｯ

女スパイ「うん…ありがと」

ｷｽ

翌日
朝
ベッドルーム

ﾁｭﾝﾁｭﾝ

シャーマン「…(まだ帰ってない…か)」

シャーマン「…(心配は彼女の不安を増やす)」

シャーマン「…(愛する、ということか)」

夕方
ｶﾞﾁｬ

女スパイ「ただいま」

女スパイ「(ハードだった…右肩は軽傷で済んだけど…)」

女スパイ「(会いたい…カレー、食べよう)」

深夜
ｶﾞﾁｬ…ﾝ

シャーマン「…(ただいま)」

女スパイ「おかえり」

シャーマン「無事か。眠れない？」

女スパイ「うん」ｽｯ

ﾃｸﾃｸ
ｷﾞｭｭ

女スパイ「疲れた？」

シャーマン「ああ」

女スパイ「お風呂？」

シャーマン「入ってから瞑想する。か、このままでいい」

シャーマン「疲れた？」

女スパイ「ん(…愛してる)」

シャーマン「……(…愛してるよ)」

女スパイ「」ｷﾞｭｩ

シャーマン「無事だったな。右肩は？」

女スパイ「かすり傷で済んだ」

シャーマン「そうか」

女スパイ「ありがと」

シャーマン「まだ鈍ってはないみたいだ」

女スパイ「鈍っても大した問題じゃないよ」

シャーマン「いや」

女スパイ「ううん。私にとっては」

シャーマン「…そうか」

ｽｯ

女スパイ「先に寝てるね」

シャーマン「ああ。(ありがとう)」

風呂あがり
ベッドルーム

ｶﾞﾁｬ

女スパイ「ん」

シャーマン「やっぱり、眠れないか」

女スパイ「…うん。…占いはどうだった？」

シャーマン「今日は、ヒーリングの方が多かった」

女スパイ「そう。だから疲れた顔してるのね」

シャーマン「眠れば治るさ。それより右肩、軽傷で良かった」

女スパイ「貴方のおかげ」

シャーマン「転倒した？」

女スパイ「やっぱり、そこまで見えてたのね。転んだけど、打っただけ」

シャーマン「そうか」

女スパイ「ね」

シャーマン「？」

女スパイ「…私も、貴方みたいになれる？」

シャーマン「それが君の運命なら」

女スパイ「どう思う？」

シャーマン「どう思うの？」

女スパイ「分からないわ。願望しか」

シャーマン「先を見れるようになりたいってこと？」

女スパイ「そう。道を誤らないために」

シャーマン「先が見えるのは君だからだ。他はけっこうぼやける」

女スパイ「自分のは？」

シャーマン「見えるイメージ通りに進んだことは無いよ」

女スパイ「私だけ違うの？」

シャーマン「そうなんだ。理由は分からないけどね」

女スパイ「どんなときに見える？」

シャーマン「触れた時や、気持ちが通じ合ったとき」

女スパイ「」

ｽｯ　ｷｽ

女スパイ「…何が見えた？」

シャーマン「強引だな」

女スパイ「幸せだった？」

シャーマン「…」

女スパイ「ねえ、こたえて」

ｽｯ　ｷﾞｭ

シャーマン「…まだイライラしてたい？」

女スパイ「ん……」

シャーマン「…」

女スパイ「……ううん……」

シャーマン「…」

女スパイ「……ありがと…」

シャーマン「心がざわついてる」

女スパイ「…不安なの」

シャーマン「…未来が？」

女スパイ「…うん…今が幸せだから、不安なの」

シャーマン「大丈夫だ。不安は通過していく」

女スパイ「…うん…」

シャーマン「変わる時が必ず来る」

女スパイ「うん…」

シャーマン「2人で、そのことに感謝しよう。それが近道だ」

女スパイ「ん…」

…

女スパイ「zzz…」

シャーマン「…」

ｽｯ

ｶﾞﾗﾗ…

ベランダ

シャーマン「…」

シャーマン「…」

シャーマン「(…どう思いますか？)」

-何を？-

シャーマン「(何をって、分かってるんでしょう？)」

-なんのこと？-

シャーマン「(今日は、とぼける日ですか)」

-軸が無いのに、どうやってとぼける？-

シャーマン「(軸ならあります)」

-どんな？-

シャーマン「(聞いたのは、女スパイのことです)」

-うん。それが軸だね-

シャーマン「(ほら。どうして、分からないふりを？)」

-タイミングが大事だからだよ-

シャーマン「(何のタイミングですか？)」

-ほら、あと少し。空を見上げて-

ｽｯ

シャーマン「(……流れ星…)」

-考え過ぎは消えた？-

シャーマン「(…貴方は本当に伝えるのが上手ですね)」

-『伝える』を創ったのは私だからね-

シャーマン「(では聞きます。なぜ、さきほどあのようなビジョンを、私に見せたのですか？)」

-それが彼女の未来だからだよ-

シャーマン「(撃たれて死ぬことが、彼女のためだと？それが未来なのですか？)」

-今のところね-

シャーマン「(彼女が、それを望んでいるようには見えない)」

-そう見えるだろうね。君は彼女に変わってほしくないと思っているから-

シャーマン「(形が変わることは避けれません。それでも…)」

-それでも？-

シャーマン「(早すぎはしないでしょうか？)」

-そう思うだろうね。君は彼女を愛しているから-

シャーマン「(それでも未来が変わることは無いと？)」

-未来は、一瞬一瞬に変化しているよ-

シャーマン「(女スパイの未来も？)」

-もちろん。全ては平等だ。前に話したね？-

シャーマン「(はい。私たちは、もとは全て1つだと)」

-そのとおり-

シャーマン「(私たちは、基は全て同じであり、1つが、それぞれになって創造しているのだ、と)」

-そうじゃないのもあるけどね-

-何でもありだから。もし、一方でそれが正しいなら-

-それが正しくない世界も存在する、ということ-

シャーマン「(女スパイの未来も、ですか)」

-彼女次第だ。運命は変えられる-

シャーマン「(それでも、彼女は”死”を望んでいると?)」

-肉体的な”死”を除いて、生けるものが死ぬことは無いが、君が言う意味でなら、そうだね-

シャーマン「(なぜ、彼女は…)」

-それを私から言うのは簡単だが…君がそれを望んでいるとは思えないな-

シャーマン「(…きっと、仰るとおりなんでしょう)」

-彼女がもうすぐ、眼を覚ますよ-

シャーマン「(…ありがとうございます)」