松本「ラノベって知ってます?」 (28)

浜田「ラノ↑ベ↓?」

松本「いや、ラノベ」

浜田「ラノベ↓」

松本「なんやろ、オウム返しすらできんかー。ラ・ノ・ベ、ゆうとるやん」

浜田「ああ、はい、ラ・ノ・ベ。そないな細かい、発音なんてどうでもええわ。で、なにそれ」

松本「あのー。ライトノベルの略称なんですけどね。若者に人気なんですよ」

浜田「ライトノベル? ライト?」

松本「『光るの?』とかやめてくださいね」

浜田「光らんの?」

松本「光るわけないやん。若者に人気や、ゆうたのに。光って喜ぶのは昆虫ぐらいですよ」

浜田「だけどライトって……右? あっ、『軽い』か!」

松本「はい、まあそうでしょうね」

浜田「それでなに。そのライトノベルがどうしたん」

松本「まあ、ボクがね。読んでるんですよ」

浜田「その、ラノ↑ベ↓を?」

松本「……うん、まあ、そうなんですけどね。ラ・ノ・ベ、ですけどね!!!」

浜田「そんな、ンフ、怒らんでもええやん」

松本「怒ってないですけど」

浜田「その、軽い? よくわからんのやけど」

松本「えっと、軽いゆうんは、つまり内容ですね」

浜田「あーはいはい。内容が軽いんや」

松本「そうですそうです」

浜田「あのー、『人間失格』みたいな重苦しいのでなく」

松本「なんでそこで『人間失格』かはまあ、自覚があるんだろうと思いますけど」

浜田「なんでや。日本を代表する純文学やないか」

松本「失格してるお前が言うと、なかなか重みがあるなぁ」

浜田「そういうのはええねん」

松本「……うん、まあ、そうなんですけどね。ラ・ノ・ベ、ですけどね!!!」

浜田「そんな、ンフ、怒らんでもええやん」



この流れはいいなw
上手いと思ったw
ラノベって編集部の老人たちが適当に若者に売りつけるために作った名前ぽいよな
空虚。

浜田「で、なにを読んどるの?」

松本「なにとは」

浜田「せやから、ラ・ノ・ベ、はひとつの括りやろ?」

松本「ンフフ、そうですね。ジャンルですね」

浜田「その括りのなかで、何が好きで読んどるの」

松本「……まあ、色々読んでるんですよ。なにが好きとかなく」

浜田「はいはい」

松本「その中で、『これええわー』思ったのは、『俺妹』ですね」

浜田「おれいも?」

松本「ええっと、これも略称なんですよ。長い題名で」

浜田「やろうな。『おれいも』じゃ何が何かわからんもん」

松本「ちなみに、今の段階でどういう作品やと思てる?」

浜田「……まあ、俺は芋だ、ってことやろな」

松本「あー、はいはい。近いですね。俺が芋だ、ゆうことですね」

浜田「ああ。やっぱりそうや」

浜田がいてこその松本

松本「正式名称、タイトルは、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』なんですけど」

浜田「近く無いやん! なに、妹ぉ? 芋関係ないんとちゃうか?」

松本「いや、必ずしも関係無いとは……主人公も芋を食べとるからね」

浜田「なんで芋食べたら『俺は芋だ』になんねん」

松本「影響されやすい子なんでしょうね」

浜田「なんやねんそれ」

松本「ンフ」

浜田「で、なに? 俺の妹が……なんやったけ」

松本「『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』ですね」

浜田「ふぅーん……長いタイトルや」

松本「ええ。それがその、ラノベの特徴のひとつなんですけど」

浜田「そうなん」

松本「全部とは言えませんけどね。九分九厘はそうやと思いますよ」

浜田「へぇー」

浜田「ふぅーん……長いタイトルや」 (きっしょ)


世間体は理解してそう

浜田「それで、その俺妹はどういう、物語なんですか」

松本「まあ、題名から察してもらえると思いますけどね」

浜田「兄と妹が、なんやいろいろするんやろ?」

松本「……お前が言うと、なんかエロいなぁ」

浜田「なんや急に」

松本「なーんか、やらしいんやけど」

浜田「なんでや。何もやらしいことあらへん」

松本「まあ、まあ。兄と妹がいろいろ、オッパイとか見たりするんやけどね」

浜田「んはは、なんやそれ。結局やらしいんやないか」

松本「兄と妹が、こう並んでね」ズイッ

浜田「なに、近いな」

松本「ホンマにこれぐらいの距離なんですよ」

浜田「近いなー」

松本「それで、パソコンの画面に映る……まあ、セックスを一緒に見るわけですよ」

浜田「ああ。えっ、セックス? その、セックスゆうんはー、セックス?」

松本「はい。妹が誘うんですよ。兄を」

浜田「妹から?」

松本「はい。妹から、兄を誘うんですよ。『人生相談あるからー』ゆうて」

浜田「人生相談?」

松本「夜、兄が寝てるベッドに忍び寄って、馬乗りになって言うんですよ」

浜田「夜這いやん。アカンやろ」

松本「『人生相談!!!! あるからぁ!!!!』ゆうて」

浜田「頭おかしいやん、ンハハハハ。なにそれ」

松本「『人生相談……ぅあるからあぁぁぁ!!!!!!』」

浜田「ンハハ。もうええって」

松本「それでー、まあ、一緒にセックスを見るわけですよ」

浜田「待てや。待って待って。人生相談どこいったん」

松本「せやから、そのー、人生相談の中にセックスを見る項目が入ってるんですよ」

浜田「ようわからんわ」

松本「つまり、誘い出してるんやと思いますけどね」

浜田「ああ、妹が『人生相談がある』ゆうからついてってみたら」

松本「セックスを見せられるわけですよ」

浜田「ンハハ。妹は何が目的なん?」

松本「そのー、まあ寂しかったゆうんが一番ですね」

浜田「さみしい?」

松本「趣味なんですよ。セックスを、見るのが」

浜田「はぁ。そうなん」

松本「せやけど、そのセックスを一緒に見る仲間がいない」

浜田「ああ」

松本「やっぱりね。セックスを見るのも、ひとりよりふたりですから」

浜田「まあ、みんなで見たほうが楽しい……かぁ?」

松本「せやから、まずは手近な存在を引き入れようと」

浜田「それで兄や。っはぁー、迷惑な話やな」

松本「まあ、兄もまんざらではないんですけどね」

浜田「なんや。喜んどるんか」

松本「そりゃー、美人の妹と一緒にセックスを見られるわけですからね」

浜田「いやいや、美人の妹とセックスできるならまだわかりますけども」

浜田「ふぅーん……それで?」

松本「さすがに、兄も考えるわけですよ。『妹に仲間をつくってあげたいなぁ』と」

浜田「まあ、自分だけやときついもんな。このまま一緒にセックスを見続けるわけにもいかんし」

松本「で、オフ会に参加しようと」

浜田「オフ会?」

松本「知りませんか」

浜田「いや、知ってますよ。あのー、インターネットで知り合った人と、直接会うことや」

松本「はい。まあそうですね。そのオフ会で、仲間をさがそうと」

浜田「一緒にセックス見てくれる仲間を? おるかいな」

松本「探してみると、すぐに見つかるんですね」

浜田「おるんかい」

松本「そこで、黒猫とバジーナに会うんやけど」

浜田「なに? 黒猫?」

松本「そう、名乗ってるんですね。自分で」

浜田「はぁー。偽名や。やましいことするんや、本名は名乗れんわな」

松本「その黒猫と、バジーナゆうのと仲良うなって、妹も元気になるんですよ」

浜田「よかったやん」

松本「なるんですけど。まあ、試練がね」

浜田「なんかあったん」

松本「その、妹の趣味がね。オトンにばれるんですよ」

浜田「アカンやん」

松本「はい」

浜田「それはそうと、妹は何歳なん? 全然、聞いてへんかったけど」

松本「ああ。14、5歳やったかな」

浜田「アカンやん。まだ未成年や。そら、オトン怒るで」

松本「せやから、怒られるんですよ。『セックス見とる場合ちゃうやろー』ゆうて」

浜田「やめたほうがええと思うわ。俺も」

松本「セックス見られんようになって、それで妹はえらい落ち込むんです」

浜田「まあ、まあしょうがないなぁ」

松本「妹がえらい落ち込んで、それ見た兄がね。決意するんですよ」

浜田「決意?」

松本「『妹落ちこんどるの、黙って見てられん。なんとかオトンを説得したろ』て」

浜田「はぁ……説得するべきは妹のほうやと思いますけどね」

松本「ちょっと違いましたね。『オトンを説得したるぅ!!!』いう感じですね」

浜田「いや、そこは別にどっちでもええねん。セックス見たいならひとりで見ればええやん」

浜田「なにも他人を巻き込むことあらへん」

松本「せやけど……他人と見た方がぁ……興奮するやん」

浜田「なにを言うて、ンハハ。なにを言うてんねん」

松本「ムービックスの歌でも『皆で笑えば興奮百倍』いうてますし」

浜田「知らんわ」

松本「それで、兄がオトンに『セックス返したれやぁ!!!』言うんですね」

浜田「意味がわからん。なんやセックス返せて」

松本「だから……『セックスを見る、かけがえのない時間』ですね」

浜田「そんなに、そんなに大切かぁ?」

松本「妹にとってはそれが生きがいですから」

浜田「はぁ……えらい妹やな」

松本「ド変態ですよ。ンフフ」

浜田「そうやで。変態や」

松本「それでも兄は頑張るんですよ。妹のためにね」

浜田「妹思いやな」

松本「だけど、オトンも頑なで」

浜田「でしょうね」

松本「それでも、それでも兄はひかないんですよ」

松本「『セックス見させろやぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!! ごるあぁぁぁぁぁl!!!!!』ゆうて」

浜田「オトンが可哀想やん。ンハハハハ。おかしいで。息子にそんなん言われたら」

松本「で、オトンは折れるんですよ」

浜田「どーでもよーなったんやろな。勝手にしろゆう感じや」

松本「っていう……」

浜田「ん? え? 終わり?」

松本「そういう話なんです。俺妹は」

浜田「それだけなん?」

松本「ンフフ。それだけですね。基本的に」

浜田「はぁー……なんというか。中身が」

松本「だから最初に言いましたよ。ライトノベルやて」

浜田「ああ、軽いんや。たしかに、アンタから聞いた感じ、軽かったわ」

松本「これが今の若い子らに大人気でして」

浜田「はぁー! ほんまに? どうかなぁ……」

松本「大人気ですよ」

浜田「そうですか……。人間失格みたいな、もっと文学的なものを読んだ方がええで。心に沁みるし」

松本「お前が言うとほんっっっっまに、重みあるな」

浜田「もうそれはええっちゅうねん!」

~END~

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