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――以上が、君への伝達事項だ。何か質問は?
「いいえ、ありません」
――よろしい。それでは、これより君は○○鎮守府の提督としての任に就いてもらう。
「はッ!」
――まずは、秘書艦選択だが……ん?すまない、電話だ。
「……」
――……何?そうか……では……
「……?」
――申し訳ない……こちらの手違いで秘書艦候補の艦娘達が全員来れなくなってしまった。
「……は!?全員、ですか!?」
――本来ならば君の手元にあるリストから選んでもらうのだが、こちらとしても予定を遅らせるわけにもいかない。
「……どうなさるおつもりでしょうか?」
――特例措置、といってはなんだが、実はどこの鎮守府にも所属してない艦娘が一人いてね。
「秘書艦として、その娘を連れていけと?」
――話が早いようで助かるよ。どうかね?実力は折り紙付きだ。秘書業務の方の適正もあるとこちらは確信しているが……
「……もし、断ったら?」
――次の秘書艦候補の娘が決まるまで、君の司令就任は先送りにせざるをえないね。
「……わかりました。その御話、謹んでお受けいたします」
――ははは、どうもありがとう。それでは、この書類を君に渡しておこう。
「これは……?」
――履歴書さ。きみの秘書艦、陽炎型駆逐艦二番艦”不知火”のね。
不知火「初めまして、不知火です。御指導御鞭撻、よろしくです」
ガタンゴトン……ガタンゴトン……
提督「…………」
不知火「…………」
提督「…………」
不知火「…………」
提督「…………おい」
不知火「なんでしょうか?」
提督「何か喋る事はないのか」
不知火「喋る事とは?」
提督「何でも良い……」
不知火「はい」
提督「……」
不知火「……」
提督「……え?」
不知火「?」
提督「……返事しかしてないんだが」
不知火「”何でも”と仰ったのは司令です」
提督「……もっと何かあるだろう?趣味とか特技とか、この任務に対する意気込みとか……」
不知火「それを話す事に何の意味があるのでしょうか?」
提督「……これから俺とお前は命を預け合うんだ。お互いの事を知っておくべきなんじゃないのか?」
不知火「私の個人情報は履歴書をお読みになられればわかる事だと思います。それと、意気込みは特にありません。どんな任務も全力を持って当たるのみです」
提督「お前なぁ……普通、お前ぐらいの年頃の女の子は、ほっといてもピーチクパーチク囀ってるもんだろう」
不知火「司令は不知火に何を求めているのですか?」
提督「コミュニケーションだ」
不知火「それならば、今、不知火と司令はコミュニケーションを取っていますね。問題解決です」
提督「……おい待て」
不知火「まだ何か?」
提督「……この気が狂いそうな静けさを何とかしてくれ……。お前、列車に乗ってから一言も喋ってなかっただろう……」
不知火「それは命令でしょうか?」
提督「命令て……お前な……」
不知火「命令でないなら聞けません。不知火は軍人であって、芸人ではないので」
提督「じゃあ、命令で」
不知火「命令でも聞けません。司令個人の暇つぶしは秘書艦としての業務の範囲外にあると判断しますので」
提督「ハナっから聞く気がないじゃないか!」
不知火「司令」
提督「なんだ!」
不知火「御同車している他の乗客の方々に迷惑なので声を落としてはいかがでしょうか」
提督「あれから四時間近く……お前、本当に何も喋らなかったな……」
不知火「あの後は司令が一人で喋っていましたね。周りの乗客の方々はさぞ不審に思った事でしょう」
提督「年端も行かない少女と若い男の二人連れというだけでも注目を浴びる組み合わせなんだ。制服を着ていなければ女衒か駆け落ちの類と思われてたかもな……」
不知火「それはまた不愉快ですね」
提督「……どっちの意味でだ?」
不知火「ご想像にお任せします」
提督「……もういい、疲れた。とにかく、やっと鎮守府に着いたんだ。もう今日は何もしないで床に就きたい……」
鎮守府「廃墟やないかーい!」ボロボロ
不知火「あら。不知火も初めて訪れましたが、中々に素敵な鎮守府ですね」
提督「……」
提督「…………」
提督「………………不知火」
不知火「何でしょうか?」
提督「俺って、もしかしなくても――――冷遇されてるのか?」
不知火「やっと気が付いたんですか?」
本日は投下終了
好感度システムの実装が待ち遠しいものです
提督「海岸近くの工場跡地を利用した新設の鎮守府……海軍の台所事情は随分と逼迫しているのだな……”額面通り受け取れば”の話だが……」
不知火「司令。点検完了しました」
提督「御苦労。それで結果は?」
不知火「燃料、鋼材、弾薬、ボーキサイトの備蓄は皆無。設備に関しては、少しばかり旧式ではあるものの運用に支障をきたす事は無いかと。なお、鎮守府内に我々以外、誰もいないようです」
提督「御苦労……こちらで事実関係は確認した。どうやら伝達に”行き違い”とやらがあったらしく、資材搬入から工蔽の人員配置に至るまで――”本当の”鎮守府の始まりは翌日らしい」
不知火「なるほど」
提督「至れり尽くせりのおもてなしか……よくもまぁ、ここまで面倒な嫌がらせをする……」
不知火「……」
提督「……すまん。今のは愚痴だった。忘れてくれ」
不知火「いえ。上司のくだらない愚痴を聞くのも秘書の仕事ですから」
提督「お前の中の秘書業務はどういう線引きがされているんだ……あと、くだらないは余計だ」
不知火「不知火に何か落ち度でも?」
提督「無いよ……。とにかく、もう夜も遅い。本格的な鎮守府運営は明日からだし、今日は早く寝て英気を養え」
不知火「了解しました。それでは失礼します」
提督「それにしても、こんな閑散とした有様じゃ鎮守府というより心霊スポットだな……」
不知火「……」ピク
提督「俺もそろそろ寝るとするか……」
不知火「司令」
提督「ん?どうした?宿舎ならあっちだが」
不知火「司令は霊などいう蒙昧な存在を信じているのですか?」
提督「信じているって……さっきの独り言か?別にそこまで深い意味を込めた発言じゃないんだが……」
不知火「どうなんですか?」
提督「……いてもおかしくはないと思っている。そもそも俺達の敵さんだって、海の藻屑と消えた者達の怨霊だというじゃないか」
不知火「……ふー……」ヤレヤレ
提督「おいこら呆れんな」
不知火「司令――」
不知火「――それはあくまでも噂レベルの話です。公的な発表もされていないというのに軍人たる者が怪力乱神の類を簡単に信じてしまって良いのですか?
敵の実像もわからぬ状態で、自分達で作り上げた虚像に惑わされるのは愚かしいと言わざるを得ません。
そもそも実弾が命中する上に、電探によって探知できる物理的な実体を持った存在が怨霊などいうものであるわけが――」
提督「」
提督「――不知火よ」
不知火「なんですか?不知火の話はまだ終わって」
提督「お前もしかして幽霊が怖いのか?」
不知火「……仰っている事の意味がよくわからないのですが」
提督「なんというか……急に饒舌になったというか……さっきまで俺の話なんぞ返事くらいしかしなかったのに、随分と語るじゃないか」
不知火「……ふ……ふふ……」
提督「人を睨み付けながら笑うな。怖い」
不知火「……つまり、司令はこう言いたいのですか?不知火は、幽霊が、怖いと」
提督「言いたいのですかっていうか、まったく同じ事をさっき言ったな」
不知火「…………」ツカツカ
ガチャ!
バタン!
提督「あ!おい!」
提督(行っちまった…………初日から秘書の機嫌を損ねる事になるとはな……)
提督「俺のせいか…………どう詫びりゃ良いんだこれ……」
ガチャ!
不知火「……」
提督「え」
不知火「……」
提督「……不知火」
不知火「何でしょうか?」
提督「右手に持っているそれはなんだ……?」
不知火「枕です」
提督「……なぜ枕なんて持っているんだ?」
不知火「司令を同じ部屋で警護しようかと」
提督「そう来たか」
不知火「不知火に何か落ち度でも?」
提督「ありまくりだ!……いや、この場合は俺か?まあいい……艦娘と提督が寝室を共にできるわけないだろう!」
不知火「司令。現在、当鎮守府には戦力と呼べるものは不知火を置いて存在せず、防衛上の観点から見て、非常に危険な状態であると思われます」
提督「それで押し切るつもりか……」
不知火「もし、こんな状況で敵が攻めて来たら司令はどうするおつもりですか?」
提督「なんで開設すらしていない鎮守府に敵が来るんだよ」
不知火「いざという時は不知火が盾となって司令をお守りする気概です。ですので……」
提督「……駄目だからな」
不知火「何故ですか?」
提督「あのな……規則以前に常識だろう。嫁入り前の娘と男が一緒に寝るなんてのは……」
不知火「それは、提督が不知火と一緒に寝ると”何か”する恐れがあるという事ですか?」
提督「お前もう幽霊とか怖いってレベルじゃないだろ」
提督「とにかく!宿舎の方に戻れ!」
不知火「……」
提督「お前……」
提督(いや、待てよ)
提督(不知火だって新しい環境に放り込まれて不安なんじゃないのか?)
提督(表にはまったく出さないが、本当は、頼る者もいないこの状況が心細いのでは?)
提督「…………わかったよ」
不知火「それは、ここで寝てもいいという意味ですか?」
提督「……仲間が来たら宿舎に行けよ」
不知火「了解です。ありがとうございます」
提督(俺もつくづく甘い奴だな……)
提督「……って、おい。床で寝なくてもいいぞ。寝床はお前が使え」
不知火「いえ、そういうわけには」
提督「どうせ部下一人、上司一人の名ばかり鎮守府だ。上下関係だのと堅苦しいのはいい。」
不知火「他人の臭いがする布団は気持ち悪くて使えないので」
提督「やっぱ出てけお前」
見切り発車で始めたら無駄に動かしづらい設定だったでござるの巻
あーだこーだと捏ね繰り回してたら時間が経ってました。申し訳ない
不知火&提督+艦娘の番外編とかを適当にちょこちょこ挟みつつ進めていく予定です
ほのぼのがやりたかったのになぜこうなったのか
あと5-2ボスクリアを8回くらいやってますがホロどころか金背景すら出ません
どうなってるんでしょうかね……
うごご……お待たせして申し訳ないです……
なんとか個人的な用事も終わったし、近いうちにでも投下できたら……
あとイベントは矢矧、阿賀野、武蔵、全員獲得できました
……不知火?鎮守府警備の遠征で大活躍でした(遠い目)
――――……隊は……に……
――――……はない
――――どうせ……だから
――――……から……やれ
提督「ッ!」
提督「夢……?不知火は……」
ガチャ
不知火「おはようございます、と言うには随分と遅いお目覚めですね」
提督「おはよう……面目ないな」
不知火「いえ、お気になさらず。朝食の準備が整いましたのでどうぞ」
提督「何から何まですまんな……」
不知火「秘書艦の業務の内です」
提督「そうか……ところで不知火」
不知火「なんでしょうか」
提督「そろそろ着替えたいから部屋を出てもらいたいんだが……」
不知火「何か問題でも?」
提督「有るに決まってんだろ」
提督「ったく……そもそも俺とお前で寝室を共にするというのが間違いなんだ。男女七つにして寝室を同ぜずだろうが。」
不知火「冷めないうちにどうぞ」
提督「せめて聞くふりくらいしろ……はぁ……いただき……」
⊃レーションレーション&レーション
提督「……ます」
不知火「何 か ?」
提督「作ってもらった立場だから何も言わん……」
不知火「それは既に文句を言ってるのと同じでは?」
提督「そうさ……食材が無いんだろうから仕方ないな……」
不知火「司令が寝てる間に資材搬入と一緒に食材も届けられました」
提督「……ん?」
不知火「はい?」
提督「不知火……」
不知火「戦場で食事に注文を付けている余裕などありません」
提督「もうそれでいい……」
不知火「では、私もいただきます」
提督(戦闘用の糧食は味付け濃いなぁ……)
不知火「司令、朝食後の御予定は?」
提督「資材搬入手続きは不知火が済ませてくれたんだろう?なら、その確認と書類を書き上げた後に――」
「――出撃ですか?」
「――建造だな」
「「…………」」
不知火「……良ければ理由を聞かせてもらってもよろしいでしょうか?」
提督「理由なんて単純だ。俺は一人だけで出撃させるつもりはないぞ」
不知火「それは不知火の実力が信用できないという意味ですか?」
提督「違う……たとえ、お前が戦艦だろうが空母だろうが――お前じゃなくても一人だけの出撃は絶対に許さん」
不知火「…………」
提督「文句大有りって感じだな」
不知火「…………」ジッ
提督「睨んでもだめだ」
不知火「…………」キッ
提督「凄んでもダメだ」
不知火「…………」スチャ
提督「艤装はなしだろ……」
不知火「失礼……冗談が過ぎました。それが司令の御決断ならば不知火が口を挟む資格はありません」
提督(半分くらいは本気だったな……)
不知火「ですが、ここにある資材程度じゃせいぜい軽巡級の艦娘しか建造できそうにありませんが」
提督「別に駆逐艦でも構わんさ。重要なのは、作戦行動において最低行動単位が二人であることだからな。よく覚えておけ」
不知火「……了解」
提督「……話してる間に食事も済んだことだし、工蔽に行くとしようか」
不知火「……」ハァ
〈工蔽〉
提督「ん、資材はちゃんあるな。さて、どうしたもんか……」
不知火「装備開発と出撃に必要な資材も考慮に入れて下さい」
提督「了解……初期値でいいか……」
燃料:30 鋼材:30
弾薬:30 ボーキサイト:30
提督「さて、鬼が出るか蛇が出るか……」
不知火「…………」
提督(プライドを傷つけられたか……仕方ない……)
提督(新しい仲間が人当りの良い子だと助かるんだがなぁ……)
吹雪「はじめまして、吹雪です。よろしくお願いいたします!」
提督「よろしく頼む。俺がこの鎮守府の提督だ」
吹雪「特型駆逐艦の一番艦、吹雪です!」
提督「ネームシップ艦か……それなりの戦果を期待しても良いんだな?」
吹雪「はい!頑張りま……!?」
不知火「…………」ジー
提督「そこで親の仇を見るような目をしているのが不知火だ」
不知火「……陽炎型駆逐艦二番艦の不知火です」
吹雪「あー……あははー……よろしくお願いしますー……」
提督「来た早々で悪いが、鎮守府内を案内したらさっそく出撃任務に移ってもらいたい」
吹雪「あ、あの!司令官!」
提督「何だ?」
吹雪「他の人達の姿が見当たらないのですが……」
提督「いないぞ」
吹雪「え」
提督「あと、不知火と俺は数日前に顔合わせたばっかりのほぼ初対面だから何もわからん」
吹雪「え え」
提督「出撃には二人だけで行ってもらう」
吹雪「司令官…………」
吹雪「解体任務しませんか?」
提督「逃げんじゃねぇ」
番外編「秋イベントの鎮守府」
長門「…………」
扶桑「……ふぅ……」 ウツラウツラ
山城「姉様、みかん剥けましたよ」
陸奥「やっぱり冬はこたつよねぇ……あ、山城。私にもみかんちょうだい」
山城「ダメです!これは姉様のためのものですから!食べたければ御自分で剥いてください!」
陸奥「一切れくらい良いじゃない……ケチ。白い筋の所が残ってるの嫌なのよ」
長門「……おい」
山城「だからこれは姉様のものと……ああ!?ちょっとやめてくださいよ!」
陸奥「む……おいしい。山城ってみかんの皮剥くのうまいわね。戦艦の中で一番上手いんじゃない?」
山城「そんな所褒められても嬉しくありませんから!」
扶桑「落ち着いて、山城……私もみかん剥いてあげるから」
山城「姉様が私にですか!?はい!落ち着いて待ちます!」
長門「おい!」
陸奥「何よ、姉さん……大きな声出しちゃって。みかん食べたいなら自分で剥いてよ?」
長門「そうじゃない!いや、みかんは食べるが……」
陸奥「食べるんだ……」
長門「皆……今が各鎮守府総動員の大規模作戦の真っ最中なのを忘れていないか?こんな風にこたつでのんびり寛いでいて良いのか!?」
陸奥「えぇー……そんな事言っても、ねぇ?」
山城「ですね……」
扶桑「……そうねぇ」
長門「なんだ!」
陸奥「だって……今回の作戦って夜戦がメインじゃない」
山城「夜戦に関しては駆逐艦や重巡の子達の独壇場ですからね……」
長門「だからどうした!装備さえ調えれば我々戦艦だってあれくらいの火力は出せるぞ!」
扶桑「同じ火力で運用コストが圧倒的に違うなら、私達を使う意味はないんじゃないかしら……」
長門「ぐぬぬ……しかし支援砲撃の出番があるかもしれないだろう!」
陸奥「長期戦を見越して軽空母達が出てるわねぇ」
長門「…………でも」
山城「今回の作戦は速さが鍵らしいので金剛型の子達は出番があるみたいですけど……」
長門「そうだ!私達にも代役で出番が……」
陸奥「無いでしょ。私ら足遅いし」
長門「」
山城「軽巡や戦闘に出ない駆逐艦の子達も資源集めに奔走してるらしいし、私達って今回の作戦……」
陸奥「まったく出番無いわね」
長門「……」
陸奥「元気だしてよ、姉さん。この作戦が終わってから思う存分戦えば良いでしょう?それまでは体力温存よ」
長門「…………他の皆が必死に頑張ってるというのに」
陸奥「ほら口開けて。みかんあげるから」
長門「……いい、自分で剥く。陸奥はみかん剥くの下手だから……」
扶桑「…………本当にそうかしら」
長門「どう見ても下手だろう。白い所だらけじゃないか」
扶桑「いえ、みかんじゃなくて……この作戦が終わった後の出番の事よ」
山城「……どういう意味でしょうか、姉様」
扶桑「……思い出したの。この前ね、提督と大本営の連絡の内容を聞いてしまって……」
長門「ほう……」
扶桑「今回の作戦……功績の大きい鎮守府にはあの”武蔵”が配属されるとか……」
山城「む、武蔵!?大和型二番艦の!?本当なんですか姉様!」
扶桑「ええ……」
陸奥「うちの鎮守府って結構頑張ってるわよね……確か、昨日くらいに最深部に到達したんだっけ?」
扶桑「武蔵配属は確実でしょう……同じ鈍足高火力でも向こうの性能が圧倒的ならば私達を使う必要は……」
長門「すると我々は…………」
「「「「……解体?」」」」
長門「解体……」
提督『長門……貴様は解体だ……』
長門『解体だと!?何故だ!私はまだ戦える!ビッグセブンの力の全てを見せたわけでは』
提督『無駄飯食らいを置いておくほど軍は甘い場所ではない……すまんな』
長門『そんな…………』
扶桑「解体……」
提督『……もう終わりにしよう』
扶桑『……え?』
提督『…………』
扶桑『なんで……?だって……私が頑張ったら一緒になってくれるって……』
提督『…………』
扶桑『あの娘ね……』
提督『…………すまん』
扶桑『私は貴方の為なら何だってできるわ!あの娘にできないような事だって!』
提督『……お前のそういう所が重すぎたんだよ……じゃあな』
扶桑『そんな…………』
長門「……」
扶桑「……」
山城「姉様しっかりしてください!解体なんてありえませんから!」
陸奥「んー……確かに貴方達姉妹は航空戦艦だし、私達とはまた別の運用法があるんじゃないかしら?」
山城「そうですよ!だから元気だして下さい!」
陸奥「まぁ、そもそも貴方達の場合は既に伊勢日向がいるんだから、今更な気がするわね」
扶桑「……」ススス
山城「ああ!姉様どこへ行くんですか!?姉様ぁぁぁ!」
陸奥「……あらあら。悪い事言っちゃったかしら」
長門「……陸奥」
陸奥「姉さんまでそんな顔して……本当に解体なんてあるわけないじゃない」
長門「……そうだろうか」
陸奥「まったく……自信家の癖して変な所は繊細なんだから…………提督からも何か言ってあげてよ?」
長門「て、提督!?」
提督「いや、今来たばっかりだからまったく話が見えんのだが……」
カクカクシカジカ
提督「なるほど……」
長門「…………」
長門「……私は……戦う事しか知らん女だ……」
陸奥「…………」
長門「碌に家事や雑用の類もできんし……三回に一回はカップ焼きそばの湯切りに失敗する……」
陸奥「想像以上にスケール小さいわね……」
長門「……いや三回に二回だ……」
陸奥「ねぇ、訂正の必要あった?今のとこ」
長門「そんな私から戦いを無くしたら何が残るというのだ……?」
提督「……お前の目には俺が部下を使い捨てる人間に見えていたのか?」
長門「……!そんなわけないだろう!提督がそんな男じゃない事はわかっている!だが、私と奴じゃ強さは……」
提督「長門、陸奥……お前達を解体するつもりも、出撃させずに飼い殺しにするつもりも俺にはない」
長門「……何故だ?性能面で見れば武蔵の方が圧倒的ではないか。」
提督「お前は重大な事を失念している」
長門「……何を忘れているというのだ。もったいぶらずに言ってみろ」
提督「ただ性能が良い連中だけを揃えれば戦いに勝てる訳じゃ無いということだよ……これを見てみろ」
⊃武蔵運用において消費する資材見積書
長門「あっ……」
陸奥「ふーん……」
提督「お前達二人の運用でもカツカツなのに日常的に武蔵なんて出撃させてたら資材がマッハで無くなるわ馬鹿野郎」
提督(……長門の奴め……ああ見えてあいつにも思う所はあるというわけか……)
提督(どれだけ経験を積んでも難しいもんだな……人を束ねるというのは……)
〈執務室〉
ガチャ
扶桑「お待ちしてました提督……」
提督「すまん、部屋を間違えた」
バタry(ガチャ!
扶桑「どうして逃げるんですか?ここは提督の部屋でしょう?」ツカツカツカツカ
提督「いやもう反射的につい……というか、なぜ追いかけてくるんだお前は……」スタスタスタスタ
扶桑「やっぱり私を捨てる気なんですね……新しい女が来るから……!」
提督「え、何それは……」
青葉「ほほう!それでそれで!」
提督「……まるで意味が分からん。そして青葉、自然に入ってくるんじゃない」
青葉「いえいえ、青葉の事はもう酢豚の中のパイナップル程度の存在だと思ってお気になさらず。どうかそのまま血沸き肉躍る修羅場を続行してください!」
提督「尋常じゃない存在感だろうが!メモるな撮るな録音するな!あっち行け!」
青葉「ジャーナリズムは権力に屈しませんよ!」
提督「便所掃除二週間」
青葉「青葉……じっとしてられないな……」トボトボ
提督「記事にしたら単艦でサーモン沖に行かせるからな……」
扶桑「…………………」
提督「……そうだ間宮さんを呼ぼう。何か食えば頭がすっきりするだろう……というか、しろ」
扶桑「私じゃダメなんですね……私じゃ……」
提督「扶桑、あのな……」
扶桑「良いんです……あなたがそう言うのなら……」
提督「話を……」
扶桑「私はあなたとの思い出があれば良いから…………さよなら……」ススス
提督「最初っから最後まで話聞かなかったな、あいつ……」
山城「あっ!提督!」
提督「……なんだ、山城か」
山城「姉様お見かけしませんでしたか」
提督「……そっちに行ったぞ。無駄に意味深な捨て台詞を残して」
山城「暇だからって貯めてた昼ドラを徹夜で見たのが良くなかったのね……可哀想な姉様」
提督「影響されすぎだろうが……刺されるかと思ったぞ」
山城「少女漫画を見せれば直るでしょうか……」
提督「おい……」
山城「はい?あの、今急いでるんですけど……」
提督「……お前は何も言わないのか?武蔵の件」
山城「あの件ですか……提督が性能云々で贔屓したりするような人じゃないって知ってますし、別に何も気にしてないですよ。
そもそも、そんな人だったら姉様だってああはならないでしょうし……」
提督「お前が一番冷静な対応なのかよ……」
山城「……何か問題でも?じゃ、姉様を追いかけなきゃ行けないのでこれで」
提督「おう」
提督(いつもの態度はあれだが……山城もなんだかんだ言って信じてくれているのか……)
山城「あ、言い忘れてましたけど。もし提督が本当に姉様に手を出したら絶 対 に 許 さ な い ので気を付けてくださいね」
提督「…………おう……」
本当もう長く待たせてすんませんでした……
ギャグなんだかシリアスなんだか次に誰出すとかあーだこーだ考えつつ日常の雑事に追われてらこうなってしまいました
猛省です
あと、あけましておめでとうございます
大鳳なんていません
やっと速報治った……
明日、明後日あたりに投下しますー
|┃三
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ガラッ. |┃三 ,. -ー―ー- .,_
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|┃三<^ヽ人::λ:::::::::::::::::::)イ
このSSまとめへのコメント
良い不知火だ。
うん、良い。
そのままふわふわしたどっか行っちゃったww