桜庭「お~い、太一~!」太一「なんだなんだ」 (18)

もうすぐCROSS†CHANNEL発売10周年ということで。

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~9/10(木)夜~

桜庭「旅に出ることにした!」

太一「また唐突に…なぜその発想に至ったか一応説明してみろ」

桜庭「聞いてくれ」

太一「なんだ」

桜庭「カレーパンに飽きてきた」

太一「…そうか」

桜庭「刺激が足りなくなった。なにか面白いものを探しに行く」

太一「おまえ、こんな状況で…無軌道なトラベリング行為にふけるつもりか?」

桜庭「そうだ。旅はいい…」

太一「インディアナ・ジョーンズ教授にでもなったつもりか、このボンボンが」

桜庭「こんな時代だからこそ、旅は必要だと思わないか?」

太一「大人しくじっとしとけとは思うが…で、どこに行くつもりだ?」

桜庭「とりあえず隣の街に行く。それからどうするかは行ってから考える」

太一「ふむ」

桜庭「それに、もしかしたら人と会えるかもしれない」

太一「…ふーん」

太一(なにも考えてないわけじゃないのか)

桜庭「それでだな」

太一「まだなにかあるのか」

桜庭「おまえも一緒に来ないか?」

太一「え……俺も旅に?」

桜庭「友貴も誘ったんだけどな。まだここでやることがあるそうだ」

太一「シスコンは健在か…」

桜庭「どうだ?」

太一(友貴はどうでもいいとして、みみ先輩はアンテナ作りに没頭してるし、冬子は相変わらずツンツンしてるし)

太一(美希へのセクハラは数少ない心のオアシスだけど、霧ちんのガードが固いしクロスボウ持ってるし)

太一「……面白そうだな。いいぜ」

桜庭「よし。じゃあ今すぐ出発だ」

太一「待て待て桜庭ジョーンズ。アシはどうするつもりだ?」

桜庭「もちろんマウンテンバイクだ」

太一「殺す気か!」ズビシッ

桜庭「ぐふっ…」ズシーン

太一「ったく…自転車で山なんて越えてられるかっつーの」

桜庭「今度こそいける気がするんだよ」

太一「また遭難するのがオチだぞ」

桜庭「手厳しいな。じゃあどうする?」

太一「そうだな…今夜はまず荷作りするとして、移動手段は明日探そう」

桜庭「なにか考えがあるのか?」

太一「ふふふ…まぁ任せておけ。明日の朝、学校で集合だ」

太一「さてと…カムヒア!ヨーコ!」ピーッ

曜子「どうしたの、私の太一」スッ

太一「明日、隣町に調査に行くことにしたから。みんなのことはよろしくね」

曜子「…それは許可できない」

太一「曜子ちゃんから許可を取ろうとは思ってないよ」

曜子「無駄になると思う」

太一「どういうこと?俺たち以外には誰もいないという確証でもあるの?」

曜子「もしいたとしても、結果は同じ」

太一「…曜子ちゃんの言うことは相変わらずさっぱりだ」

曜子「どうしても行くのなら、私も同行する」

太一「大きなお世話だよ。それに、行ったきり帰らないわけじゃない。調査が終わったら戻るさ」

曜子「でも…」

太一「とにかく、俺の行く先々に付いてくるのはやめてくれ。こんな状況だ、別行動が必要な機会はこれからも増えるだろ」

曜子「…わかった。でも、無線機は持って行って」

太一「ハンディか。ああ、持って行くよ」

曜子「気をつけて、太一」

太一「ふぅ…やれやれ」

~9/11(金)早朝 群青学園~

桜庭「よう、太一」

太一「来たか……おまえ、荷物すごいな」

桜庭「聞いてくれ、太一」

太一「なんだよ」

桜庭「家の冷蔵庫の中身が腐ってたんだ」

太一「今頃気付いたか」

桜庭「ここ数日は学校でカレーパンしか食わなかったからな」

太一「自慢げに言うことじゃないだろ、この欠食児童が」

桜庭「だから、持って行く食い物を用意できなかった」

太一「元からおまえには期待してない。保存食は田崎商店で調達してきたから気にするな」

桜庭「悪いな」

太一「食い物無しでその荷物量かよ。なにが入ってるんだ?」

桜庭「どれが必要かよくわからなかったから、キャンプ用品一式だ」

太一「その荷物を背負ってマウンテンバイクで山を越えようとしてたのか」

桜庭「まぁな」

太一「アホか」

桜庭「マウンテンバイクがダメなら何をアシにするんだ?太一」

太一「ふふふ…これを見たまえ」チャラッ

桜庭「車のキーか」

太一「さて。俺にふさわしい一台は…やはり校長のフェラーリだな!」

桜庭「マジか」

太一「おまえはここで待ってろ」スタスタ

ガチャッ

太一「見せてやるぜよ!!」ウオォォォゥウウン!!!

ガクンガクン、プスン

太一「…やれやれ、マシンが俺のスキルに対応できないようだな。さて、気を取り直して」ウオォォォゥウウン!!!

ブオォォォウンッ、キキーッ、ガシャーン!!!!

太一「……ふう、イタリア娘は俺のコックに合わないようだぜ。ビッチめ」ガチャッ

桜庭「太一ぃ~大丈夫か~?」

太一「ハハハ、車のメンテナンスがなってなかったようだ。こんなこともあろうかとキーは幾つか用意してある」

桜庭「普通の車でいいんじゃないか?」

太一「しかたない、あのステーションワゴンにしよう」

ガチャッ

太一「オートマか…女子供の乗り物だな」キュルル…

ギギギギ!

太一「いかんいかん、サイドブレーキを引きっぱなしだった。さぁ発進!」ブオォッ

ガン、ガン、ガン、ドーーン!!

太一「……国産車のなんと脆いことよ」

桜庭「太一、運転かわろうか?」コンコン

太一「運転なんてできるのか?」ガチャッ

桜庭「家の敷地内で何度か運転したことならある」

太一「けっ、ブルジョワが」

桜庭「あのSUVにしようぜ。キーあるか?」

太一「ほらよ」チャラッ

桜庭「ちょっと待っててくれ」スタスタ

太一「…」

ブーン

桜庭「さぁ、乗ってくれ」

太一「…おう」ガチャッ

桜庭「じゃあ出発するか」

太一「…おう」

ブロロロ…

太一「…」

桜庭「どうかしたか?太一」

太一「…いや、なんでもない」

桜庭「太一って運転下手だったんだな」

太一「うるへぇ!!」シクシク

~隣町~

桜庭「なんとか着いたな」キキッ

太一「もう昼過ぎか。やっぱり人はみかけないな」

桜庭「歩いて探してみよう」ガチャッ

太一「だな」ガチャッ

シイィーーーン…

太一「そこそこの都会に人が全くいないと、少し怖いもんがあるな」

桜庭「そうだなぁ」

太一「桜庭、時計持ってるか?」

桜庭「ああ」

太一「二手に分かれて探そう。二時間後にここに集合だ。車のキーは俺が持っておく」

桜庭「わかった」

太一「腹が減ったらコンビニとかで適当に食えばいいが、変な所には立ち入るなよ。人がいそうなところだけでいい」

桜庭「わかった」

太一「あと、もし人を見付けてもすぐには声をかけるなよ。まずは相手の様子を見ろ」

桜庭「わかった」

太一「…本当にわかってるのか?」

桜庭「メシを食ってから人を探せばいいんだろ?」

太一「まぁ、大体合ってる」

桜庭「じゃあ、行ってくる」スタスタ

太一「不安だ…」

太一「やっぱり誰もいないか…高級浴場『メイトブック』のお姉さま方もいなかったし」

太一「あわよくば、子孫繁栄の一助になれるかと思ってたのに…ガッデム!」

太一「仕方ない、集合場所に戻ろう」

桜庭「おーい、太一ぃ~」

太一「おお、なんとか生還したな。どうだった?」

桜庭「誰もいなかった。そっちはどうだったんだ?」

太一「こっちもダメだったよ。どうやら人類滅亡は確実のようですなぁ~、ハッハッハ」

桜庭「これからどうする?」

太一「ん~、そろそろ日も暮れるし今日はここまでだな。そこらのホテルにでも勝手に泊まるか」

桜庭「どうせならキャンプしようぜ」

太一「アスファルトの上で野宿か?」

桜庭「テントは持ってきてある」

太一「用意がいいな。確かに、車からは離れないほうがいいかもな。万が一、人が残ってて盗まれたら困るし」

桜庭「いざとなったら別の車を探せばいいんじゃないか?」

太一「…桜庭のくせに珍しくまともなことを言う」

桜庭「そう褒めるなよ」

太一「よし、キャンプにしよう。よく考えれば、空調が入ってないホテルなんてかえって蒸し暑そうだ」

桜庭「せっかく旅に来てるんだしな」

太一「まずはテントを張るか」

太一「こんなもんかな」

桜庭「太一、腹が減ったぞ」

太一「またコンビニでも強襲するか」

桜庭「コンロを持ってきた」

太一「…おまえはキャンプに命でもかけてるのか?桜庭ジョーンズさんよ」

桜庭「カップ麺にも飽きたんだ」

太一「めんどくさい奴だな…とはいえ、俺もカップ麺よりはマシなもんが食いたい」

桜庭「なにか作ろうぜ」

太一「水さえあれば米は炊けるとして…肉や魚は缶詰でガマンしとこう。あとは、日持ちする野菜を使えばスープくらい作れるかも」

桜庭「いいんじゃないか、それで」

太一「おまえも作るんだよ。米と水は任せた。俺は缶詰と野菜を探してくる」

桜庭「わかった」

太一「適当に作っても案外いけるもんだな」モグモグ

桜庭「ああ、うまいぞ」ガツガツ

太一「このスープなんて、ジャガイモとニンジンとコンソメスープの素をぶち込んだだけなんだが」

桜庭「まともな料理を食うのは久しぶりだ」

太一「そりゃカレーパン食いに学食と家を往復する日々ならなぁ…」

桜庭「これも太一のおかげだな」

太一「別におまえのために作ったわけじゃねーよ」

桜庭「ツンデレだな」

太一「…」ズビシッ

桜庭「ごふっ…」ビターン

太一「だ れ が い つ デ レ た っ て?」

桜庭「フッ、相変わらず手厳しい…」ウットリ

太一「このマゾ野郎が…」イライラ

桜庭「太一、明日からはどうする?」

太一「むーん…」

太一(あれだけ探しまわって一度も人の気配を感じなかったとなると、ほぼ望み薄だなぁ)

桜庭「俺としてはもうちょっと街でブラブラしたいぞ」

太一「ま、いいんじゃないか?食い物はそこらじゅうで手に入るし、死にはしないだろ」

桜庭「じゃあ、明日に備えてもう寝ようぜ。俺は眠い」

太一「子供かおまえは…しかし、他にやることもないしな。どうせ朝日で起こされるんだからさっさと寝よう」





桜庭「なぁ太一、もう寝たか?」

太一「…寝たよ」

桜庭「起きてるじゃないか」

太一「なんなんだよ、聞いてやるから言ってみろ」

桜庭「明日も探して誰もいなかったら、次の町に行かないか?」

太一「次の町って…それじゃキリがないだろ。どこまで行くつもりだ?」

桜庭「このまま日本をぐるっと回ろうぜ」

太一「……本気か?」

桜庭「マジだ」

太一「みみ先輩達のことも心配だろ」

桜庭「なぁ、太一」

太一「…なんだよ」

桜庭「たまには距離を置くことも大切だと思うぞ。いつもつるんでいるだけがダチじゃない」

太一「…」

桜庭「みんないろいろあるんだと思う」

太一「おまえ…」

桜庭「それに、旅から帰ってきたらみんな仲良くなってるかもしれない」

太一「…はっ」

桜庭「おかしいか?」

太一「おまえは昔からおかしいよ。とりあえず、旅の間はあまり奇天烈な真似はすんなよ。誰よりもおまえと距離を置きたくなりそうだ」

桜庭「わかった」

太一「その安請け合いが心配なんだ!」ゲシッ

桜庭「ぐおっ…」ガクッ

太一「ったく…」

太一(桜庭のくせに偉そうなことを言いやがって…)

太一「ま、気長に行くのも悪くないかぁ…」


~桜庭ルート 完~

以上、誰にも需要がないであろう桜庭ルートでした
思いつきで書いた上に短めですみません
濃厚なホモォを期待した人にもスマンかった
ではおやすみ~

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