初めてSSを書こうかと思っています。
「ストリートファイター」と「魔法少女リリカルなのはStrikerS」のクロスオーバーで、主役はリュウとスバルです。
需要があるなら始めたいと思うのですが…。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1373210568
どうもありがとうございます!
先に説明をしておくと…
舞台はStrikerSの世界で、StrikerSの設定等はアニメのものが中心で、他のメディアミックスのネタは少しだけ入ります。
ストの方はゲームのストシリーズが基本になっていますが、ストキャラの客演作品のゲームや漫画作品の設定・技をこれでもかと言わんばかりに詰め込む予定です。
そして両方の作品に言える事ですが、物語の整合性や都合を合わせる為に独自の解釈、オリジナル設定、時系列の入れ替え等も沢山入れていきます。
ちなみに基本的にはリュウとスバルの視点で進めるので、他のキャラの心理描写は殆どありません。
どれくらいの長さになるかは分かりませんが、長くなるかも。
更新は不定期です。
あと質問・ツッコミ・助言は慎んで受け答えするので遠慮なく言ってください。
元ネタが分からなかったりしたら言ってもらえれば説明します(一部記憶がハッキリしないネタもありますが…)。
前置きが長くなりましたが始めます。
よろしくお願いしますm(_ _)m
『俺より強い奴に会いに行く』
これが俺の人生の全てだ。
強い奴に会えるなら俺は何処へでも行く。
俺の中に眠る『力』に打ち克つ為、『一撃必殺を超える』為、そして…『真の格闘家になる』為にも必要な事だ。
必ず行く。
『俺より強い奴が待つ場所へ』
【スーパーストリートファイターCROSS:StrikerS EDITION Ver.2013】
第一話「邂逅 ?格闘家と少女?」
【スバルside】
?0075年4月 ミッドチルダ 第8空港近隣 廃棄都市街?
???
あたしの名前はスバル・ナカジマ。
元気が取り柄、アイス大好きの15歳!
訓練学校からの相棒・ティアとコンビを組んでます!
そして今日は特別な日!
相棒と共に試験を受けるんだ!
???
あたしは来たる時に備えて準備運動をしていた。
ステップを踏んで軽いジャブから始まり、肘打ち、フック、ストレート、アッパー。
「ふッ!」
気分が乗ってきた。正拳突き、膝蹴り、上・中・下段の回し蹴り。
「はッ!」
ローラーブーツを走らせながらのシャドーファイト。
「はあッ!」
「スバル、あんまり暴れてると試験中にそのオンボロローラーが逝っちゃうわよ」
「うえー…。ティアー?やな事言わないでー?」
???
彼女はティア。本名はティアナ・ランスター。
ツインテールの似合うオレンジ髪の16歳!
陸士訓練学校を首席で卒業した天才なんだ。でもその事を褒めると怒っちゃうんだよね。素直に「凄い!」って思っただけなんだけどなぁ。
そうそう。ティアとの出会いは訓練学校でたまたま寮で同室になったのがきっかけで…それから色々あって意気投合したんだ!
???
準備運動中、銃のメンテナンスをしているティアとの何気無い会話。そういえばこのローラーブーツも随分くたびれたなぁ。
「あの日」から誓いを立てて、急いでブーツを買って、基本を習った後は自分から遠ざけていたシューティングアーツを魔法と一緒にギン姉に叩き込んでもらったんだっけ。
「(お金が無かったからパーツだけ買って自作して以来、一度も買い替えてないのによく保ってるなぁ。まあ大事に使えば長持ちするのは当然だし、愛着も湧くってもんだし、当然かな!)」
我ながら物持ちの良さにちょっと誇らしさを感じる。
そしてブーツの思い出と共に「あの日」の事を思い出す。
小さい頃のあたしは本当に…弱くて、泣き虫で…悲しい事とか、辛い事に…いつもうずくまって…ただ、泣く事しか出来なくて…。
そんなあたしが「あの時」…生まれて初めて、心から思ったんだ。
【回想】
[0071年4月29日 ミッドチルダ 臨海第8空港]
空港で大火災が発生。空港の至る場所で炎が吹き出て爆発が起こっている。
あたしは家族とはぐれてしまったようだ。どうやら爆風で吹き飛ばされて気絶していたらしい。意識を取り戻した時には辺りにはあたし一人しかいなかった。
※※※※
?空港内 火災現場 ホール?
「やはり消火用の冷凍魔法弾では限界だ!こっちはもう駄目だ!」
「この先に子供が取り残されてるんだ!何とかならないのか!?」
消防隊員の決死の消化活動も虚しく炎は広がり、発見した子供も見失ってしまった。
「さっき本局の魔導師が突入した!救助は彼女がしてくれる!
これ以上は俺達も危険だ!脱出するぞ!」
※※※※
あ、画像忘れてました。
スバル・ナカジマ
http://download1.getuploader.com/g/street_fighter/5/image.jpg
ティアナ・ランスター
http://download2.getuploader.com/g/street_fighter/6/image.jpg
見られるかな?
「おとうさん…おねえちゃん…」
いつ崩れるか分からない壁や天井、そして今にも襲い掛かってきそうな激しい炎に囲まれた空港の中、孤独・不安・恐怖で今にも泣き崩れそうな自分を、涙を流しながらも家族を呼ぶ事で必死に鼓舞しながら足を少しずつ前に進める。
…急に気持ちが悪く、胸が痛くなってきた。あまりの苦しさに膝を突いて胸を押さえる。
「はあ、はあ…。ここは…どこ?」
気付いたらあたしは何も無い場所に、上も下も分からない謎の空間に浮いていた。
ここが何処なのか、そんな事を考える間を与えず胸の奥から込み上げてくる気持ち悪い「何か」。
それは黒い…言葉では言い表せないほどに真っ黒。見ているだけで吸い込まれそうな気がするほどの暗黒だった。
それは心の奥底から間欠泉の如く噴き出す。
「何か」は何色にも染まっていない空間を、あたしの胸の奥を、紙が水を吸うかの如く黒く染めていった。
「やめて…でてこないで…きえて…!」
『闘エ…壊セ…。修羅ノ如ク…悪魔ノ如ク…鬼ノ如ク…』
あたしを闘いへと誘う声が頭の中で反響して聞こえる。
声の正体が何なのかは分からなかった。でもこれに染まり切ったらあたしがあたしでなくなる事だけはなんとなく分かった。
やだ…あたしはまだあたしでいたい。
あたしはただひたすらに強く願った。
「きえて…きえろぉぉぉぉ!!」
すると胸の更に奥底から幾つもの光が飛び出した。まるで漆黒の夜空に燦然と輝く星の煌めきのように。
その光は一気に輝きを増して一体化し、奔流となって黒い「何か」をまるで鉄砲水のように押し流し、飲み込んで消滅させた。
光の奔流は更に輝きを強め、あたしも飲み込む。あまりの眩さに反射的に目を閉じて腕で顔を覆った。
………。
光が収まったところで腕を下げながら目を開けると、そこはさっき立ち止まっていた場所だった。
夢を見ていたの?でもそれにしてはあまりにも現実味が…。
気付いたら巨大な天使の石像の目の前に倒れていた。
石像はエントランスホールに設置されていて、空港の象徴となっている。いつの間にかこの近くまで歩いてたんだ。
あたしはまた爆風で吹き飛ばされて気絶して、地面に叩き付けられた衝撃で目を覚ましたみたい。
体が痛くて立てない。火の勢いも強くなってきた。
もう我慢の限界だった。止め処無く涙が溢れ出す。
「いたいよ…あついよ…こんなのやだよ…かえりたいよぉ…」
心が張り裂けそうになる。誰か…誰か…。
だけどそんなあたしを嘲笑うかのように不幸は折り重なる。
立つ気力も失い自失するあたしは「ある音」に気付かなかった。
それは先程の爆発であの石像の台座が破損し、ひび割れていく音だ。
「(だれか…たすけて!!)」
爆発で傾いている上に10m以上はある巨大な石像。台座が崩壊するのは一瞬だ。
あたしに覆い被さる影に気付いて振り向いた時にはもう遅かった。
動けないあたしがこの恐怖から逃れるには石像から顔を背けてうずくまるしか無かった。
「(あたし…もうおわりなのかな…。しんじゃうのかな…。おとうさん、おねえちゃん。ひとりぼっちはさびしいよぉ…)」
石像が迫り来る一瞬でさえあたしは自分で動こうとせず、孤独に震えるだけだった。
そんな情けない自分が終わりの時を迎えようとしていた…その瞬間、青白いけど赤っぽい光が頭上を通過したような気がする。
直後、破砕音が辺りに響き渡った。
「ひッ!」
音に驚いて思わず甲高い声が漏れる。
一秒。
二秒。
三秒。
おかしい、石像が来ない。何が起こったの?
恐る恐る石像のあった方向を振り返る。
するとそこには腰から上が消えて無くなっている石像が複数のピンク色の輪に包まれ、斜めに倒れかかったまま空中で動きを止めている。
そして視線は自然とその先のある人物に向かう。
「よかった、間に合った…。助けに来たよ!」
そこには女性がいた。
薄茶色の長いツインテール、その付け根に白いリボン、白を基調としたドレス風のジャケット。そして先端に赤い玉の付いた装飾の施された杖。
両足から伸びている三対のピンク色の翼。これで飛んでるみたい。
その姿にあたしは凛々しさと頼もしさを感じ、痛みも恐怖も忘れ見とれていた。
これがあたしとなのはさんの初めての出会いだった。
眠いので今日はここまでにします。
更新は基本的に夜になると思います。
「よく頑張ったね、偉いよ」
そう言われた途端、堰を切るように涙が溢れそうになる。
そこへ間髪入れずに男性の声が聞こえてきた。
「やはりなのはか!その様子だと二人とも無事のようだな!」
声に驚いてその主の方向に振り返ると男性が走ってきていた。
黒い短髪に赤い鉢巻、白くて袖の無い道着に黒帯、赤いグローブ、裸足。
明らかに異様な出で立ちだった。
それに加えて大きくて逞しい筋骨隆々な体躯は威圧感があってちょっと怖かったけど、その精悍な顔と場慣れしたような雰囲気で直ぐに安心した。
これがあたしとこの人の初めての出会いだったんだ。
☆リュウ
http://download2.getuploader.com/g/street_fighter/8/image.jpg
「よく頑張ったね、偉いよ」
そう言われた途端、堰を切るように涙が溢れそうになる。
そこへ間髪入れずに男性の声が聞こえてきた。
「やはりなのはか!その様子だと二人とも無事のようだな!」
声に驚いてその主の方向に振り返ると男性が走ってきていた。
そして気のせいだったのかもしれないけど…その男性の身体から「何か」が溢れ出ているように見えた。
それを見た途端、よく分からないけど直感的に感じた。「(さっきのへんないろのひかり、すごいおと、うえのないせきぞう…。もしかして…このひとが?
それになんだろう。このひとをみているとむねがドキドキする)」
興味が尽きない眼差しでリュウさんを見るあたしを尻目になのはさんが口を開く。
「リュウさん、どうしてこんな場所に!?それにその傷は…」
リュウさんの胸には斜めに切れ目の入った切り傷が見える。
「大した傷じゃない、気にするな!それよりも…」
「うん、先ずは脱出だね!」
男性の名前はリュウと言うらしい。どうやら二人は知り合いみたいだ。
でも時間が無いので挨拶も状況説明も無しに二人は動き出す。
「もう大丈夫だからね。安全な場所まで…一直線だから!」
なのはさんはそう言いながら杖を上へ向けた。杖の先には天井。何をしようとしているのかあたしには分からなかった。
『上方の安全を確認』
赤い玉が点滅した。
同時にあたしに向けて手がかざされた瞬間、あたしの周囲をドーム状でピンク色の光が包んだ。
これから行う行動がそれだけ危険なのか、防御魔法であたしを守るみたいだ。
リュウさんは少し心配そうな顔を見せながら
「『あれ』をやるのか。しかし結界を張りながらでは気が分散して十分な威力が出ないんじゃないか?だったら俺が天井を破るからお前はこの子…」
言いかけたところでなのはさんが割り込む。
「私、昔よりずっと強くなったんだよ?だから心配しないで任せて!」
「…そうか。ならお前は砲撃と同時に結界を解け。俺は穴が空いた瞬間、この子を連れてそこから地上に飛び出す」
なのはさんの力強く自信に満ち溢れた言葉に、リュウさんは納得して全て任せたみたい。
なのはさんもそれを察すると即座に振り返り杖を前に構える。するとなのはさんの周囲にピンク色の魔方陣が現れた。
『ファイアリングロック、解除します』
再び赤い玉が点滅する。
「一撃で地上まで抜くよ!」
え…?
天井は決して柔らかくない。しかも天井だけじゃなく、この空港は破壊を防ぐ為に計算上では質量兵器でも全壊しないと言われている特殊な合金を仕込んでいる上に、簡易ながらもAMF(アンチ・マギリンク・フィールド
貼り直します
なのはさんもそれを察すると即座に振り返り杖を前に構える。するとなのはさんの周囲にピンク色の魔方陣が現れた。
『ファイアリングロック、解除します』
再び赤い玉が点滅する。
「一撃で地上まで抜くよ!」
え…?
天井は決して柔らかくない。しかも天井だけじゃなく、この空港は破壊を防ぐ為に計算上では質量兵器でも全壊しないと言われている特殊な合金を仕込んでいる上に、簡易ながらもAMF(アンチ・マギリンク・フィールド)処理を施してあるこの空港の天井を一撃で?
杖から大きな薬莢が二本飛び出す。
その瞬間、杖はまばゆい光を放って先端の形状が変化した。
装飾は更に大きくなり、装飾の繋ぎ目に三本の色の翼が生えた。
再び天井に杖を向ける。
『Buster set』
杖の周りに帯状の魔方陣が出現し、装飾の先端に魔力が集まって球状を成してゆく。
魔力の充填が終わったその時、なのはさんは叫んだ。
『ディバイーン…バスター!!』
☆ディバインバスター
http://download2.getuploader.com/g/street_fighter/9/image.jpg
その魔力の塊はピンク色の閃光となり、空気との摩擦で電気を帯びながら空を駆けて天井に激突する…筈だった。
その閃光は何故か「擦り抜けた」。
上手く言えないけどけどそうとしか見えなかった。
激突したなら衝撃が起こる筈だし破砕物が降ってくる筈。
なのにあの閃光はそこに何も無かったかのように突き進み、虚空の彼方に吸い込まれていったからだ。
…信じられない。幾つかの空港は避難所としても使えるよう堅固に設計されていて、ここもその一つ。
少なくとも合金は並の攻撃では破壊どころか歪ませる事すら困難な事が証明されていたし、AMFの有用性は実証されて久しく、それは子供でも知っている事だ。
そんな壁をこの人は軽々と撃ち抜いたの?
凄い…その力は一体どれだけの努力で身に付けたんだろう。その力でどれだけの人を救ってきたんだろう。頑張ればあたしもあんな事が出来るのかな?誰かを救えるのかな?
色々な思いを巡らせているとリュウさんは左腕をあたしのお腹に通して脇に抱え上げ、右腕を斜め下に引きながら上半身を捻る。全ての動作は一流れるように滑らかに、そして一瞬のうちに行われた。
『昇龍拳!!』
☆昇龍拳
http://download4.getuploader.com/g/street_fighter/10/image.jpg
ふと体が軽くなり、意識も視界も少しずつ戻ってきた。どうやら上昇の勢いが弱くなってきたようだ。
「君、大丈夫か?」
リュウさんの声に気付き完全に意識を取り戻した。そして落ち着いたところで辺りを見回す。
下にはあちこちで爆発が起こっている空港が見えた。
ゾッとした。あと少し脱出が遅れていたら………。
「(……下?ここは何処?)」
ここは空の上。視界を遮るものは何も無く、緋色に照らされた夜空が広がっている。足が踏みしめるべき地面も当然無い。
上昇の勢いがどんどん弱くなる。
……
……
……
「おちるぅぅぅぅ!?たすけてぇぇぇぇ!!」
落ち着いていられる訳がない。完全に勢いを失って落下が始まると、あたしは更に混乱した。
「いやーーーーッ!!こんなしにかたするくらいならアイスたべすぎておなかこわしてしんだほうがマシだよぉぉぉぉ!!!」
流した涙は煙が立ち昇るように上に流れていく。
「(もうだめだ!しぬ!しんでしまう!!)」
あたしは生涯最大のパニックに陥った。
風圧で目が痛くなって直ぐに目を閉じた。
「(おとうさん、おねえちゃん…いっぱいめいわくをかけてごめんなさい…。うまれかわったらもっといいこになります…)」
本日二度目となる人生最後の時間に、あたしは家族への罪を省みた。
贖罪を果たそうとしているあたしの前に、思いもしなかった救いの主が現れる。
「…ふう。捕まえた!」
それはなのはさんだった。
天使…ううん、神様!!
あたしは今日、生まれて初めて神の存在を信じた。
体勢を安定させたなのはさんはリュウさんを抱えたまま飛び、リュウさんがあたしを両腕で抱え直す。
「こちら教導隊01。エントランスホール内の要救助者一名を救助しました」
『ありがとうございます。流石は航空魔導師のエース・オブ・エースですね!』
本局に救助成功の報告をするなのはさん。
「西側の救護隊に引き渡し次第、救助活動を再開します」
『お願いします!』
通信が終わろうという時にリュウさんが割り込む。
「微力ながら俺も協力しよう」
『!?…あなたは誰ですか?要救助者ではないのですか?』
「…うーん…」
リュウさんはどうやら質問される事は想定していなかったようで、難しい顔をして答えあぐねていた。
炎の中から助け出してもらって、連れ出してもらった広い夜空。
跳び上がった時はどうなるかと思ったけど…今は冷たい風が優しくて…抱きしめてくれる腕が、暖かくて…。
助けてくれたこの人達は…強くて、優しくて、カッコ良くて…。
泣いてばかりで何も出来ない自分が、情けなくて…。
あたしはこの時、生まれて初めて…心から思ったんだ。
「ふう。と・こ・ろ・で!
リュウさん!あんな勢いで跳び上がったらその子が危ないじゃない!少しは加減してよ!その子グッタリしてるでしょ!?」
大事な事を思い出したかのように、なのはさんが急に大声で話し始めた。
「あまり大声を出すな。この子に迷惑だろう」
「今そういう事は関係無いの!いいから答えて!」
「うーん。穴を空けたら火勢が一気に強くなって穴が通れなくなると思ったから命の安全を考えて速度重視でやってみたんだが…」
「完全にやり過ぎだよ!一瞬で何百m跳んだと思ってるの!?その子顔面蒼白じゃない!あとなんで私が来るまで落下したままだったの!」
「おいおい、いっぺんに喋らないでくれ。お前だって昔は逃げる相手に砲撃をぶち当てたのを『やり過ぎちゃった?』とか言って笑ってたそうじゃないか。昔、ヴィータから聞いたぞ?
あと本当なら竜巻旋風脚で飛んで行っても良かったんだがそれだとこの子が目を回してしまうからな。だからお前が来るのを待っていたんだ」
「わ、笑ってません!しかもそれとこれとは状況が違うでしょう!…じゃなくて!目を回す事に気を配れるなら最初から身の安全にも配ってよ!もう!
はあはあ……。てゆーかヴィータちゃん…後でお仕置きだね…」
「やっと落ち着いたか?なのは」
あはは。この時のなのはさんは声を荒げ過ぎて肩で息をしてたな。
二人の楽しそうな会話を聞いていると、いつの間にか救護隊の西側拠点に到着。
救護隊員に引き渡される途中、リュウさんが申し訳なさそうな表情で話しかけてきた。
「君、さっきは済まなかったな。君の体にかかる負担をもっと考慮すべきだった。許してくれ」
「はは…たすかったんだし…もんくは…あり…ま…」
安心して気が抜けたせいで疲れが出たのか、突然眠気が襲ってきて引っ張られるように目蓋が閉じていく。
意識が途切れる直前に二人はあたしの話をしてた気がするけど、全然覚えてないや。
[????年 ?月?日 ??? とある戦場]
……………
……………
……………
曇天の空の下、呆然と立ち尽くす自分。
気のせいかいつもより視線が高く感じる。腕も脚も、いつもより長い。
「(大人に…なってる?)」
自分の体の変化に戸惑いつつ周囲の状況を確認する。
そこかしこから立ち昇る黒煙と火、半円状に抉れて一直線に伸びている窪み、そして隕石でも落ちたかのようにあちこちにクレーターがある。
まるで戦争でも起こったかのようだ。
立っている人は見当たらない…けど、ピクリとも動かず倒れ伏している人が一人。
よく見えないけど誰なのかは分かる。それは……
「そんな…なのはさん!なのはさん!」
当然返事は無く、生きているのか死んでいるのかさえも分からない。
黒煙が少なくなって少し見渡しやすくなった。そしてあたしの目に飛び込んできたのは、背を向けて佇む一人の人。
……本当に人なの?その人の身体中から溢れ出る赤い「何か」があたしの肌を粟立たせ、身体を震えさせる。
その「何か」はおよそ人のものとは思えない、とても危険で恐ろしく、「存在してはいけないもの」だと直感した。
そして破れた道着から見える背中には血のような赤で彩られた『天』の一文字が浮かんでいる。
……道着?
よく見ると赤い鉢巻きに黒い短髪、赤いグローブ、黒帯に…色は違うけど袖の無い道着、裸足。
まさか…こいつは……この人は……。
「リュウさん!リュウさんなんでしょ!?どうして…こんな事を!?」
☆殺意の波動に目覚めたリュウ
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あたしの声に反応したのか、その人はあたしにゆっくりと振り返る。
目に光は無く、その目はあたしに向いているのにもっと遠くの何かを見つめているように見えた。
リュウさんらしき人が口を開く。
「我は『拳(けん)を極めし者』。我は死合(しあい)を欲する…。貴様は死合うに値せず。滅びよ、娘…」
「………!?」
その人が言葉を発した瞬間、全身の力が抜けて倒れそうになった。
怖い。息苦しい。気を失いそう。何もかも忘れて倒れてしまいたい。でも…ここで倒れたら終わりだ。
「はあっ…はあっ…。(気圧されるな…倒れるな…相手から目を逸らすな!)」
呼吸を整えながら必死に自分を奮い立たせる。それでも震えは止まらず呼吸も苦しいままだ。
「(このままじゃ…!)」
己との戦いに四苦八苦していると、その人は右拳を胸の位置に構えて片脚を上げると目にも止まらない速度で残像を残しながらあたしに迫ってきた。
☆阿修羅閃空
http://download2.getuploader.com/g/street_fighter/13/image.jpg
「(来た…!)」
……あれ?体が動かない。
心は体を動かそうとしているのに体が言う事を聞いてくれない。視線を逸らす事さえ出来ない。
「(動け!動いて!)」
祈りは届かない。体が動いてくれない。
…違う、言葉を取り繕っても体ではなく心が死を受け入れてしまった事実は覆しようがない。
そういえば…死を目前に感じた生物は恐怖や絶望で体が動かなくなるって聞いた事がある…。
これが、死?
あたし死ぬの?
時間にして一秒も経っていないのにその時間は何分にも何時間にも感じられた。
そんな時間を死の恐怖に晒され続けたせいで気がおかしくなりそうだった。
そしてその時は訪れた。
胸に衝撃が走った。同時に吐血。
「(え…?)」
何が起こったのか理解できない。
異変のあった胸にゆっくりと視線を下ろす。
するとそこには肘までめり込んだ太い左腕があった。
じゃあ肘から先は…
纏わり付いた赤い雫を滴らせながら背中から伸びていた。
「(そうか…拳が身体を貫通したんだ…。見るまで気付かなかった…。やっぱりリュウさんは凄いなぁ…。こんな凄い事も出来るんだ…。でも…すごく…怖かっ…た…)」
気付いたと同時に体は糸の切れた操り人形のように重力に逆らう力を失い、うなだれる。まるで百舌鳥の速贄だ。
その拳が引き抜かれると穴から血が止め処無く流れ落ち、引き抜かれた腕には肉片や血液が纏わり付いていく。
拳の形に空いた穴は向こう側の景色を覗かせていた。
そして腕の支えを失った体は地に倒れ伏すしかなかった。
痛みも恐怖も感じない。それどころか永遠とも思えた恐怖から解放された事に安堵と心地良さすら感じる。
「(目を開けるのも疲れちゃった…もう…寝ても…いいよね…)」
これが、『死』。
あたしはそっと目蓋を閉じた。
[0071年4月29日 ミッドチルダ 臨海第8空港近隣 メディカルセンター]
直後、閉じた目蓋に強い光が当たるのを感じた。
「(まぶしいなぁ。せっかくきもちよくねられるとおもったのに…。
…まぶしい?ここはどこ!?)」
異変に気付いて目を見開く。するとそこは集中治療室だった。
口には呼吸用のマスク、身体に取り付けられた細い管、見慣れない沢山の機械…。この時点では自分が何処にいるのか、どうしてここにいるのかは分からなかった。
でもそんな事を気にする余裕はある感情が吹き飛ばした。
「……!いやぁぁぁぁ!やめてぇぇぇぇ!!」
恐怖が蘇る。顔が急激に青ざめ、絶叫しながら涙を流して暴れ出す。
暴れるあたしを周りの人が押さえつけようとする。
「あぁぁぁぁ!!」
それを全力で振り払うと、あたしは慌てて胸に手を当てる。それは無意識の行動だったけど、穴が空いている場所に目を向けるなんて出来なかったからかもしれない。
掌に感じる自分の胸板の感触。半信半疑で視線を胸に下ろす。
「あなが……ない」
よかった…あれは夢だったんだ。そうだよ。なのはさんがやられる訳がない。リュウさんがあんな恐ろしい化け物な訳がないじゃない。
顔が綻びる。
「ほんとうに…よかった…」
あたしは安堵の涙を流しながら崩れ落ち、再び眠りについた。
[数日後]
治療がひと段落し、心も落ち着いたので一般病棟に移った。
目を覚ましたあたしはベッドで上半身を起こしながら、担当の看護士さんに集中治療室に運ばれた経緯を聞いた。
最初は安定していた容体が搬送中に急変して心臓が停止してしまい、搬送中の蘇生は叶わず緊急の蘇生を要していたかららしい。
心臓が止まったのは…多分、夢の中で胸を貫かれた時だろう。
その時の事を思い出すと表情が強張り、身体が震え出す。両手を交差させて自分の身体を抱き、身を丸めた。
「大丈夫?あなたは落ち着いたばかりなんだから、まだ無理しちゃ駄目よ?」
震える身体を看護士さんは優しく抱きしめてくれた。
「うん、だいじょうぶ。やなゆめをおもいだしちゃっただけだから。ありがとう、かんごしさん」
心配して声をかけてくれた看護士さんに作り笑顔で答える。
あれは夢。そう、悪い夢なんだ。夢は夢。なのはさんもリュウさんもあんな風になる筈がない。早く忘れてしまおう。
気持ちを切り替えて二人の事を思い返す。
なのはさんはあたしに夢を与えてくれた、あたしの目標。この人のようになりたい。あたしみたいな人の力になりたい。
リュウさんは…まだよく分からないけどとても気になる人。これってまさか…恋心?
…とは違うかな。とにかくもう一度会ってこの気持ちを確かめたい!
なのはさんとリュウさん。また会えるかな?…ううん、絶対にまた会ってみせる!
【回想終了】
?再び 0075年4月 ミッドチルダ第8空港近隣 廃棄都市街?
そんなあたしが「あの時」…生まれて初めて、心から思ったんだ。
『泣いてるだけなのも、何も出来ないのも、もう嫌だ』
って。
【スバルside…END】
乙
ケンや春麗などのリュウ以外のキャラも登場しますか?
>>49
レスありがとうございます!
他にもいっぱい出す予定です。
ちなみに今はStrikrSの話に沿っていますが、後々かなりオリジナル寄りの話になります。
【リュウside】
[0071年4月29日 ミッドチルダ臨海第8空港?]
「……ここは何処だ?何故俺はこんな場所に…」
目を覚ますと俺は炎に包まれた建物の中に倒れていた。
ぼんやりとした意識の中で記憶を辿る。
※※※※
[同日 地球 シークレットポイント48106 リュウが目を覚ます十数分前]
「まさか貴様と再びこの地で合間見えようとはな。
『シャドルー』復活の狼煙を上げるにこれ程相応しい場所も相手も無い!貴様の這いつくばる姿を祝杯としようではないか!
…とは言ったもののもう貴様には聞こえていないのが残念だ。
…『三つ』のうち二つは揃った…が、残り一つが足りん。こればかりは我が力でも容易には手に入らん。恐らく『この世界』が『匣』を封じているのだろう。
ならば舞台を変えるまでよ。『三つ』のうちの一つであるこの『サイコドライブ』は我が力を注ぎ込めば次元の壁を越える事が可能だ。
幸いにも『匣』は一度開きかけた事で開きやすくなっている。そして『あの世界』での下準備は既に終わっている…。
残された時間は多くはないが…これならば確実!
行ってくるがいいリュウよ!そして『匣』を開けろ!開けてこのベガの器に相応しくなれィ!『匣』を開ける『鍵』となる者もいずれそちらに現れる!貴様の『匣』の底に眠るものは貴様にとっての絶望でありこのベガにとっての希望よ!ムハハハハ!!」
☆ベガ
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☆シークレットポイント48106
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※※※※
[再び 0071年4月29日 ミッドチルダ臨海第8空港]
そうだ。俺はベガに敗れた。そしてベガの力によって別の場所に飛ばされたのだろう。
「空気が違うな。そうか…ここはなのは達が言っていた『別の世界』か」
以前に出会った…「魔導師」と言ったか、その子供達に聞いた話だ。
「こことは違う世界がある」…。
何とも信じ難い話だと思ったが、幼い少女なのに格闘家と同等の…いや、一部の能力に於いてはそれを超える力を持つという信じ難い存在が目の前にいる以上否定は出来ない。それは体験した事で確信に変わった。
次に浮かんだのはベガの行動の謎。
「ベガ…何を企んでいる…」
ベガは俺の肉体を乗っ取ろうとしている。その為には俺の中に眠る『ある力』を目覚めさせる必要があるらしい。
ならば何故異世界に送って自分から遠ざけるような事を?…いや、今はそんな事を考える時間は無い。
「(右も左も分からないんじゃ脱出どころじゃないな。先ずは人を探すか)」
肌に吹き付ける熱風を物ともせず精神を集中して人の気配を探る。
「…いた。近い!」
気配のある方向に向かって走った。
階段を駆け下りた場所で一旦止まり、辺りを見回すと視線の先に少女の姿。
再び駆け出そうとしたその瞬間、突然何者かが目の前に現れた。
ガスマスクを付け、軍用のチョッキを着ている怪しげな男だ。
大きく目を見開いて凝視してくるその様は、とてもまともな精神状態には見えない。
「(気配を全く感じなかった…。隠形の技か!)」
☆ドクトリン・ダーク
http://download4.getuploader.com/g/street_fighter/18/image.jpg
http://download4.getuploader.com/g/street_fighter/19/image.jpg
「問題発生…。無力化、開始…」
男はそう呟くと両腕を大きく振って腕に忍ばせていた長い刃を突出させ、間髪入れずにその刃を振るってきた。
だが初撃は難なく躱す。
「(いきなり襲ってくるとは…何者だ?まさか…シャドルーの…)」
男は初撃で懐に飛び込んで来た為そのまま接近戦へ。余計な事を考えている暇は無い。
「(斬撃自体は速くない!)」
しかし油断は出来ない。戦闘中でも男の気配は消えたままだからだ。
「(…だが信じられん。こいつ…隠形に関しては達人の域に達している!)」
その攻撃は相手の動きを予測出来ていない上にあまりにも正確過ぎる為、少し軸をずらせば比較的簡単に躱せる…が、隠形のせいで気配が掴めないので攻撃の出処を見失うと全く反応出来なくなる。
初撃は距離があったので簡単に躱せたが、予備動作の際に生じる僅かな気配を察知して後の先を取る「見切り」を得意としていた俺には、気配の無い近距離の攻撃が本来の速さより数段速く感じていた。距離を取りつつ常に男の全身を視界に捉えなければならない。
だが炎に囲まれているため動ける範囲が狭いので大きく距離を離せず、波動拳での牽制も出来ない。何よりも動き回り過ぎて少女を巻き込む訳にはいかない。
しかし相手も同じようで、刃以外に何か隠し持っているように見えるがそれを使ってくる様子はない。
反撃の糸口が掴めず防戦一方だったが、しばらく反撃を捨てて回避に徹していると目が慣れてきた。
「(よし!次の攻撃に合わせる!)」
動きを読んだ俺は、踏み込んできた男に渾身の蹴りを繰り出した。
『せいやッ!』
☆上段足刀蹴り
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「!!」
油断。
「読み切ったのは自分だけ」と思い込んでいた。
相手もまた俺の反撃の機運を見切っていたのだ。
男は斜め上に伸び切った蹴り足の下に屈んでいた。屈んだ反動で跳び上がって切り付けようとしている。
「(やられる…!)」
『キルブレード…』
☆KI LLブレード
斜め上に跳び上がって刃で斬り付ける技(画像は見つかりませんでした…)。
「ぐああ!」
胸が裂け、白い道着が赤く染まる。
反射的に僅かに上体を反らして深手は免れたが、その勢いで倒れてしまった。
「目標、沈黙…」
男は何故か倒れた俺をじっと見ている。だがいつ留めに来てもおかしくない。
最早これまでか…。
そう思ったその時、俺は突然苦しみ出した。
「ぐっ…」
傷の痛みじゃない。俺の中に眠る『力』……『殺意の波動』によるものだ。
「作戦成功…。帰還…」
男は去って行った。
「ま、さか…この、為に…時間稼ぎを…オオオオ!!」
何故こうなると分かっていた?いや…それよりも…。
「(何故だ…抑え込んでからは何年も無事だったものが何故今になって突然…)」
「(グッ…殺意の波動が『共鳴』している…他にも誰かが目覚めようと…?まさか…あの少女が!?…まずい…いし…き…が…)」
『《匣》ヲ開ケヨ…。ソシテ征ケ…《鬼ノ道》ヲ…』
頭の中に声が響く。
「グアアアアアアアア!!!!」
殺意の波動に飲み込まれる正にその瞬間、目が眩む程の強烈な光が一帯を覆ったような気がした。
………
………
………
「(俺は…俺のままなのか…)」
意識を取り戻すと、不思議な事に俺を苦しめていた殺意の波動が弱まっていた。
「はあ…はあ…。一体何が…」
殺意の波動はまだ完全には消えていないが、これなら動ける。あの少女の場所へ急がねば。
立ち上がったその時、突如爆発が起こり…
「きゃあああああ!!」
少女が爆風に吹き飛ばされた声が聞こえた。
「しまった…!」
出遅れた!
だが不幸中の幸いか、少女は意識が有り大きい怪我もなさそうだ。しかしその遅れは更なる危機を招く。
「(石像の台座にヒビが…まずい!あの子、気付いていない!)」
逃げろ!と声を出そうとしたが既に遅く、台座は一瞬で崩壊した。
「(間に合え…!)」
『爆波動拳!!』
☆爆波動拳
http://download4.getuploader.com/g/street_fighter/22/image.jpg
☆爆波動拳
物体に接触すると爆発する「見えない」波動拳。
空気を最小限の炎の気で圧縮して飛ばし、物体に接触すると圧縮された空気と炎の気が触れ合って爆発する。
気が最小限に抑えられているため視覚的に非常に見えにくく、空気抵抗が少ないため弾速は他の波動拳の比では無い程に速いが、爆発の威力自体は大した事が無い。
その理由は爆発による殺傷や破壊ではなく、視認しにくくする事による命中率の増加と爆発で弾き飛ばす事を目的とした技だからである。
爆波動拳は石像に直撃した。だが爆発しなかった。
それは石像に当たった部分を中心に削り取るように破砕していた。
「(まずい!残った部分があの子に!)」
石像の残った部分が少女の上に落ちて行く。
だが残った部分は倒れなかった。何故ならば残った部分には見覚えのあるピンク色の輪が掛かっていたからだ。
「よかった…。だが…あれはまさか!」
これならもう安心だ。
一安心したところで先程の不可解な点を思い出す。
「(…おかしい。どういう事だ)」
爆発しなかった爆波動拳もそうだが、気になる事は他にもあった。爆波動拳を放ったら俺の体に残っていた殺意の波動が完全に消えていた事だ。
「まさか…爆波動拳に殺意の波動が?」
推測を確かめたいところだが火勢も強くなってきた。早く合流して脱出せねば。
こうして少女となのはに合流した俺は、なのはの協力によって建物を脱出。
なのはに運ばれて救護隊へ少女を引き渡す。少女は疲れていたのか、会話の途中で眠ってしまったようだ。
「寝たか…。ところでなのは、気付いたか?」
「うん。その子の事だね?リュウさんの言ってた殺意の波動っていう力がこの子に…。直ぐに調べたいところだけど今は…」
「分かっている。早く救助に行こう」
俺は火災現場に戻ってから二手に分かれて救助を行った。
大規模な火災にも関わらず、犠牲者は殆ど出なかったそうだ。。
火災が鎮火されて救出活動が終了すると、俺は鎮火した現場の指定場所でなのはと合流した。
「お疲れ様、リュウさん。やっぱり凄い力だね。人のいる位置を探るのが早くて大助かりだったよ」
なのはが労いの言葉を掛けてくる。
「それよりも…」
今の俺は自分の事はどうでもよかったので、堪らず口を開く。
「驚いたのは俺の方だ。空港内で撃ったあの一撃…。結界にも気を割いているのに砲撃の気は以前より遥かに大きかった。にも関わらず砲撃の太さは以前と然程変わっていない。気の収束と放出の精度が高まっている証拠だ。
それであの建物の天井を衝撃も与えずに貫通出来た訳だな。
更には結界と砲撃…二つの技を同時に、そして完璧にやってのける集中力…。これは俺でも出来るか分からん。
大きくなっただけじゃない…強くなったな、なのは」
俺はなのはの想像以上の成長ぶりに驚き、感想を素直に述べた。
「………」
するとなのはは体を震わせ、瞳が潤んできた。
「あはは…ごめんなさい…。唐突に言われたから心の準備が出来てなくて…」
なのはは溢れた涙を拭う。
なのはが涙を拭う間、俺達二人にしばしの沈黙が訪れる。こういう時は落ち着くまで黙っていた方がいいと相場が決まっている。
「はあ…やっと落ち着いた。ありがとうリュウさん。褒めてくれて嬉しいよ。まあ、あれから私もすっごく頑張ったからね!
でも本当は戦闘訓…組手で見せて驚かせたかったんだけどなぁ。
しかも一回見ただけで看破されるとは思わなかったよ」
笑顔が戻ってきたな。
「はっはっは。やっぱりお前は涙より明るい笑顔が似合うな。やはり子供はそうでなくては」
「こ、子供扱いしないでよ!もう!これでも教え子を指導してる身なんですからね!」
なのはは顔を真っ赤にして怒鳴ってきた。何かまずい事でも言ってしまったのだろうか?
「す、すまん。気を悪くしたなら許してくれ。悪気は無いんだ」
俺は慌てて謝った。
「はぁーーーー……。リュウさんって相変わらず鈍感だね…。まあそれも含めてリュウさんらしさなんだけどね…」
今度は深い溜息を吐いてどんよりしながら何か呟いた。またまずい事を言ってしまったのか俺は…。
それにしても相変わらず喜怒哀楽の激しい子だ。まあ、感情を素直に表に出すのがこの子のいい所でもあるが。
「ん?ところで今なんて言ったんだ?すまんがもう一度頼む」
「ーーーッ!聞かなくて結構です!」
完全に怒らせてしまった。きちんと許してくれるまで謝りたいところだが今は聞く耳を持っていないようなのでもう自分から話しかけるのはやめておこう。
「本局に戻ってあなたの事を説明しますからね!ついでに保護も申請してあげるから付いてきて!」
「はい」
迫力に負けて思わず敬語になってしまった…。闘いでもないのに気圧されるとは不覚……!
この世界には自分の力だけで来たかったが、不本意ながらも来てしまったものは仕方無い。
本来なら自分の道は自分で進みたいが全くの未知の世界ではそうもいかん。なのはもああ言っているので今はその言葉に甘えるか。
それにここは魔法の世界。まだ会った事の無い強敵(とも)がいることだろう。
それこそは正に俺の望むところ!しばらくはこの世界で修行しよう!
聞こえる…聞こえるぞ…。呼んでいる…。まだ見ぬ強敵が…。
『俺より強い奴が呼んでいる』
【リュウside…END】
第一話「邂逅 ー格闘家と少女ー」…END
第二話「試験 ー再会と覚醒ー」
【スバルside】
[0075年4月 ミッドチルダ 第8空港近隣 廃棄都市街]
準備運動もしっかりと終わった所でメンテナンスを終えたティアが時間を確認する。もうじき定刻だ。
ブザーが鳴ると空中にスクリーンが映し出される。そこには軍服を着た少女らしき姿が映る。いよいよだね。
「おはようございます!魔導師試験の受験者さん二名!そろってますかー?」
「「はい!」」
あたしとティアは声を揃えて返事をする。
「確認しますねー?時空管理局 陸士386部隊所属のスバル・ナカジマ二等陸士と…」
「はい!」
「同じくティアナ・ランスター二等陸士!」
「はい!」
「所有している魔導師ランクは…えーと、互いに陸戦魔導師『Cランク』!本日受験するのは陸戦魔導師『Bランク』への昇格試験で間違いないですねー?」
「はい!」
「間違いありません!」
「はい!本日の試験官を務めますのは、わたくしリインフォース?(ツヴァイ)空曹長です!よろしくですよー?」
敬礼で挨拶してきたのであたし達も敬礼で返す。
「「よろしくお願いします!」」
☆リイン挨拶
http://blog-imgs-22-origin.fc2.com/b/i/l/billhelmina/rien0412.jpeg
第二話「試験 ー再会と覚醒ー」
【スバルside】
[0075年4月 ミッドチルダ 第8空港近隣 廃棄都市街]
準備運動もしっかりと終わった所でメンテナンスを終えたティアが時間を確認する。もうじき定刻だ。
ブザーが鳴ると空中にスクリーンが映し出される。そこには軍服を着た少女らしき姿が映る。いよいよだね。
「おはようございます!魔導師試験の受験者さん二名!そろってますかー?」
「「はい!」」
あたしとティアは声を揃えて返事をする。
「確認しますねー?時空管理局 陸士386部隊所属のスバル・ナカジマ二等陸士と…」
「はい!」
「同じくティアナ・ランスター二等陸士!」
「はい!」
「所有している魔導師ランクは…えーと、互いに陸戦魔導師『Cランク』!本日受験するのは陸戦魔導師『Bランク』への昇格試験で間違いないですねー?」
「はい!」
「間違いありません!」
「はい!本日の試験官を務めますのは、わたくしリインフォース?(ツヴァイ)空曹長です!よろしくですよー?」
敬礼で挨拶してきたのであたし達も敬礼で返す。
「「よろしくお願いします!」」
☆リイン挨拶
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※※※※
[同時刻 試験会場 スタート地点上空]
受験者と試験官のやり取りの一部始終を見守る一機のヘリ。
「お?早速始まっとるなー。リインもちゃんと試験官しとる」
「はやて。ドア、全開だと危ないよ?モニターでも見られるんだから、ね?」
「はぁーーーい」
ヘリから身を乗り出していたのは時空管理局 二等陸佐の「八神はやて」。現在は彼女の発案により自分が責任者である『ある部隊』を作っている。
その彼女に注意を呼び掛けたのは時空管理局本局 執務官の「フェイト・テスタロッサ・ハラオウン」。所属は違うがはやての案に賛同し、現在はこちらの部隊に在籍している。
☆八神はやて
http://blog-imgs-11-origin.fc2.com/z/a/r/zaregoto2nd/StrikerS01-12.jpg
☆フェイト・テスタロッサ・ハラオウン
http://blog-imgs-11-origin.fc2.com/z/a/r/zaregoto2nd/StrikerS01-13.jpg
今回はその人材を発掘すべく、自分達の目で試験を見届けようという訳だ。
フェイトに言われたはやてはドアを閉め、モニターで監視を行う。
「この二人がはやての見つけた子達だね?」
「うん。二人とも中々伸び代がありそうなええ素材や」
「今日の試験の様子を見て、いけそうなら正式に引き抜くの?」
「んーそやなー、直接の判断はなのはちゃんにお任せしとるけどなぁ」
「そっか」
「部隊に入ったらなのはちゃんの直接の部下で、教え子になる訳やからな」
「でも珍しいよね。あのなのはが『今回の引き抜きの判断は私に任せて欲しい』だなんて」
「試験の合否は飽くまでもリインが決めるけどな」
普段ははやてが判断しているが、今回はなのはがそれを申し出たらしい。
「資料を見せたらえらい食い付きやったなぁ。どっちかが知り合いなんやろか?」
「今の学校に知り合いがいるなんて聞いた事無いな。まさか…試験を受ける子がなのはにコネを?」
「なのはちゃんの性格を考えたらそんな事する奴がどうなるか…分かるやろ?」
「冗談だよ。でもそうなると…『あの人』の関係かな。会議が終わってから二人で何か話してたし」
「そうやろなあ。なのはちゃん、試験の内容も一部変更してあの人に障害役を任せたくらいやし、『その障害に対して特定の行動を取らないと引き抜きは無し』って言っとったよ」
「!…今初めて聞いたよ、その話。随分厳しいんだね、なのはらしいけど。…ていうか私だけ仲間外れ…」
「まあええやないか、ウチも後で聞いたくらいやし。
それにしても…あの人はなのはちゃんの言う事何でも素直に聞くなぁ。いつも尻に敷かれっぱなしや。あの二人がくっついたら『カカア天下』ってヤツやな!あはははは!」
「それ、なのはに言わないでよ?あの人の事が絡んだ冗談を言うとすごく怒るんだから…」
「あはは。分かっとるって。ほら、もうすぐ始まるで?」
「(ホントに分かってるのかなぁ…。心配だよ…)」
※※※※
☆八神はやて
http://download1.getuploader.com/g/street_fighter/23/image.jpg
☆フェイト・テスタロッサ・ハラオウン
http://download1.getuploader.com/g/street_fighter/24/image.jpg
「お二人はここからスタートして各所に設置されたポイントターゲットを破壊。勿論破壊しちゃダメなダミーターゲットもありますからねー?
妨害に気を付けて全てのポイントターゲットを破壊して、制限時間内にゴールを目指してくださいです!
あ、重要な事を言い忘れてました!コースの中間に特別なポイントターゲットを設置しました!これは特定の条件で動きを止めて、降参の合図を出します!止め方は自分達で探しましょう!ちなみに破壊出来るなら破壊してもオッケーです!
ちなみにこれはお二人で挑まなければなりませんから忘れちゃダメですよー?
そしてそれを越えて最後のチェックポイントに着くと最終関門!これは一人でもいいですけど力を合わせないと大変だと思いますよー?どこから出て来るか分かりませんから気をつけてくださいです!
説明は以上です!何か質問はー?」
「あ…えーと…」
…思い浮かばない。
困ってティアの顔を見る。
「……ありません」
そっか。ちょっと浮かない顔をしたように見えたけど…ティアがそう言うなら大丈夫だね!
「ありません!」
あたしも元気よく言った。
「では!スタートまであと少し!ゴール地点で会いましょう!ですよ♪」
空曹長はウィンクをしながら通信を終了した。
☆リイン 通信終了
http://download1.getuploader.com/g/street_fighter/25/image.jpg
するとカウントダウンの画面が表示される。
[5]
「(遂に始まるんだ…。絶対合格してみせる!)」
あたしは気合を入れた。後は突き進むのみ!!
[4]
「(スバルに心配させない為にあえて質問しなかったけど…。『特別なポイントターゲット』って一体…)」
[3]
「(わざわざ関門の事を事細かに説明するなんて過去の試験の記録を調べても見た事が無い。今回は二人で挑むとはいえ評価は個別だし、そもそも独行した方が評価が高くなる採点システムなのに『二人で挑め』だなんて…。
もしかしてあたし達…昇格試験以外の面で何かを試されてるの?)」
[2]
「(だとしたら誰が何の為に?
…今はこんな事を考えても意味が無いわね。先ずは目の前の試験に集中!)」
[1]
「READY……」
ティアがタイミングを計る。
[START]
「GO!!」
こうして試験は開始された。
※※※※
[試験会場 スタート地点上空 ヘリ内部]
「お、始まった始まった!」
「お手並み拝見、っと」
はやてとフェイトはモニターを注視している。
※※※※
最初のポイントターゲットは廃ビルの中層。
ティアは「アンカーガン」からアンカーを射出して壁に突き刺し、あたしを片腕で抱えながらアンカーを巻き取って移動。
ティアは細身に見えるけど実はすごく筋力があるんだ!
☆アンカーガン
ティアナが自作した銃型の簡易式ストレージデバイス。カートリッジ(後述)の装弾数は二個で、上下に並んだバレルの中に大型のものがそれぞれ一個ずつ入っている。
銃に見えるが弾を発射する機能は無く、引鉄を引くとカートリッジの魔力が装填される。
本物の銃ではないので本来は銃口を向けて引鉄を引かずとも魔力弾を任意の方向に発射できるが、ティアナは魔力弾の精度や威力を上げる為に銃としてのイメージを強めるべく引鉄を引く事以外は本物の銃と同じように扱っている。
そしてこの武器の最大の特徴は名前の通りアンカーにある。
スイッチを切り替えるとアンカーモードに切り替わり、引鉄を引くとアンカーが飛び出し、アンカーが出た状態で引鉄を引くと巻き取る仕組みになっている。
アンカーは目標に刺さると刺さった部分に魔法陣が出現して魔力で固定され、任意にアンカーを外す事も出来る。
アンカーと銃を繋ぐワイヤーはティアナとスバル二人分程度の重量なら問題無く支えて高速で巻き取れるほど丈夫である。
このアンカーはその気になれば武器としても使え、更にティアナは空を飛べないながらもこれにより市街地等の大きな障害物の多い空間で凄まじい機動力を発揮する事が出来る。
http://download1.getuploader.com/g/street_fighter/26/image.jpg
「中のターゲットはあたしが潰してくる!」
「手早くね」
「オッケー!!」
ティアはあたしを振り子運動で内部に投げ込む。
☆ビル内部に突入
http://download1.getuploader.com/g/street_fighter/27/image.jpg
ガラスを割って飛び込んだ場所の奥の通路にオートスフィアが三機。侵入者を感知したためバリアを展開し、レーザーを撃ってきた。
幸い通路が広めだったので「ローラーブーツ」の性能を問題なく発揮でき、壁も使って高速移動で弾幕を回避しながら接近。
☆ローラーブーツ
スバルが自作した魔力を動力としたローラー付きの靴。
注ぎ込む魔力の量に比例して加速出来る他、「アブソーブグリップ」という機能によってローラーの摩擦力を制御して壁面でも走る事が出来る。(画像無し)
飛び込みざまに左の拳を振り下ろして一機。着地しても止まらずに旋回し、右回し蹴りで二機目をそれぞれ一撃で撃破。
「(残り一機!)」
☆ターゲット撃破
http://download4.getuploader.com/g/street_fighter/28/image.jpg
http://download4.getuploader.com/g/street_fighter/29/image.jpg
残りの一機は後退しながら撃ってきていたのでかなり遠くにいる。格闘戦が得意なあたしに対する時間稼ぎをしているのは明白だ。
「(逃げる敵に時間をかけてられない!なら!)」
「ロード・カートリッジ!」
掛け声に反応して右腕の武器「リボルバーナックル」に、カートリッジに込められていた魔力が装填される。
☆カートリッジ
正式名称は「ベルカ式カートリッジシステム」。主にアームドデバイスに採用されている強化システム。
薬莢のような物体に魔力を圧縮しているものを指し、これに詰まった魔力をアームドデバイスに装填する事により瞬時に巨大な魔力を得られる仕組みの事を言う。
デバイスによって装弾数は違うが、カートリッジシステムの搭載されたデバイスを持つ者は、常に予備のカートリッジを幾つか用意するのが常識となっている。
瞬時に得られるその魔力によって
○魔法の効果を高める
○大量の魔力を必要とする魔法に注ぎ込む
○デバイスを上位の形態に変形させる
○自分の魔力の総量を増やす
○身体能力を高める
等を行える。
アームドデバイス以外にあまり使われていないのは
○相性の悪い魔法が多い
○負荷に耐えられずに壊れるデバイスが多い
という理由かららしい。
☆リボルバーナックル
スバルの装備しているアームドデバイス。右拳に装着される。カートリッジの装弾数は六個。
元は故人である母親の「クイント・ナカジマ」の物で、形見でもある。
本来は両腕に装備される二個で一対の物だったが、左拳の方は姉の「ギンガ・ナカジマ」が使っている。
基本的な使用方法は「殴る」のみ。非常に硬く作られているので攻撃だけでなく防御にも使える。
しかし最大の長所は手首の部分にある歯車状のローター「ナックルスピナー」にある。
これは自分の魔力を注ぎ込んで回転させる事で
○パンチ力強化
○指向性のある魔法を加速
○指向性のある魔法に回転を加える
という補助的な役割を担っており、魔力の総量は多くても魔法自体が得意ではないスバルの大きな助けとなっている。
「リボルバァァァァ……!」
拳を握るとローターが回転して腕が風を帯びていく。そして…。
「シューーーート!!」
拳から空色の閃光が飛び出し、その後を竜巻のような衝撃波が追い掛けた。その拳はまるで拳銃の如く反動で上を向き、硝煙のような煙を上げる。
☆リボルバーシュート
直射型の射撃魔法。カートリッジを一個消費して発動できる。
リボルバーナックルの拳に魔力を集め、ナックルスピナーを回転させ、拳から拳銃のように撃ち出すと回転させたナックルスピナーから竜巻状の衝撃波が巻き起こってレーザー状の攻撃が敵に届いた後に衝撃波が襲う。
射撃魔法にしては射程距離は短いもののスバルの魔法の中では最も長く、衝撃波の攻撃範囲が非常に広いので多くの敵を巻き込みやすい。
ただし、カートリッジを消費する割には威力が低いのが欠点となっている。
http://livedoor.4.blogimg.jp/teyght/imgs/b/1/b145a17d.gif
オートスフィアは閃光に貫かれ、後を追い掛けてきた衝撃波で壁に叩き付けられて木っ端微塵に砕け散った。
「よし!残りも早く叩こう!」
※※※※
「落ち着いて…冷静に…」
一方別行動を取っていたティアナは別のビルに向かい、窓側に配置されていたオートスフィアを向かいのビルの屋上から狙撃しようとしていた。ポイントターゲットに悟られないようまとめて殲滅するべくアンカーガンにカートリッジ一個を装填して連射を開始。
☆シュートバレット
魔力を弾丸状に形成して撃ち出す射撃魔法。ミッドチルダ式魔法の基本中の基本であるだけに誰にでも簡単に使える。
威力や精度よりも速射性・持続性を重視しているため、消費魔力が極端に少なく燃費が非常に良い。
ティアナはそれをより極端に高めるべく、アンカーガンには通常のものより大型で魔力の貯蔵率の高いカートリッジを使っている。
http://download4.getuploader.com/g/street_fighter/30/image.jpg
http://download2.getuploader.com/g/street_fighter/31/image.jpg
中にダミーターゲットがあったため危うく撃ちそうになってしまったが冷静に狙いを外し、ほんの数秒で窓側は全滅した。その直後、奥から増援が出て来たため落ち着いて破壊。
中を調べたら他にはいなかったので、屋上から飛び降りてアンカーガンを使ったショートカットで次のポイントターゲットのいる場所へ向かった。
※※※※
「(これで…ラスト!)」
あたしはビル内のポイントターゲットを全て破壊したのを確認してから全速力で次の場所へ向かったところ、交差点でティアと合流。
「(ローラーブーツがある分あたしの方がかなり速い筈なのに…。ティアはあたしより早く片付いたの!?)」
ティアのあまりの合流の早さに驚いた。
「いいタイム!」
嬉しくて思わずティアに話し掛ける。
「当然!」
ティアは調子が良くてテンションが上がってるみたいだ。これなら絶対イケる!
次の障害は進路上に大量に配置されていた。
「行っくぞぉぉぉぉ!!」
「スバルうるさい!」
※※※※
[試験会場上空 ヘリ内部]
「うん、適材適所。いいコンビだね」
「せやけど難関はまだまだ続くよ」
思っていたものより高い能力を見せた受験者コンビに感心するフェイトだが、はやてはまだ楽観的ではなかった。
「特に…これが出てくると受験者の半分以上は脱落する最終関門、大型オートスフィア…」
「今の二人の実力だと防御も回避も難しいからね」
「しかも今回はなのはちゃんの特別関門まであるからなぁ。どうやって切り抜けるか…。知恵と勇気の見せ所や」
※※※※
それからしばらくは自分達でも驚くようなペースで進み、中間地点の大きな廃ビルへ到達。
そこには大きめで細長いオートスフィアのようなものが鎮座していた。
「(大きい…。でもそれだけなら特別とは言わないわよね。先ずはあたしが射撃で…)」
「こんなデカくて鈍そうなのなんて楽勝だよ!」
あたしは何も考えずに全速力で突撃していった。
「バカッ!避けなさい!」
ティアの声に気付くのとほぼ同時にオートスフィアが攻撃開始。
「うわっと!」
今までのオートスフィアはレーザーだったのに、これは青白い何かのエネルギーを固まりにして飛ばしてきた。
弾速はレーザーより遅いとはいえかなり速く、弾がとても大きい。しかもあたしの動きを予測して撃っているようで、僅かでも反応が遅れていたら直撃するところだった。
「(危なかった…ちょっとかすったけど。ありがと、ティア)」
一旦ティアの場所まで後退した。
オートスフィアはその場に留まってあたし達が動き出すのを待っているようだ。これを利用しない手は無い。
「どうやらバリアは張ってないみたいね。それだけ装甲が硬いのか、誘い込む為のフェイクか…。戦いが始まってからも浮いてないところを見ると飛行能力は無し。それとスバル。今の攻撃、見た目以外に何か気付いた事は?」
ティアが敵の分析を開始した。
「動きを予測して撃ってきてるみたい。レーザーに比べたら少し遅いけどけっこう速いしすごく避けにくいよ。それに…」
「それに?」
「上手く言えないけど…なんか攻撃に違和感を感じたんだよね。『感じる筈の無いものを感じた』って言った方が正しいかな。しかも以前にも似たようなものを感じたような……ごめん、やっぱり上手く言えないや」
「漠然とし過ぎね。まあ一応頭には入れておくわ。先ずはあたしが牽制で探りを入れてみるからスバルは囮になって。反撃は考えなくていいわ」
「うん、任せて!」
作戦は決まった。行こう!
「(『特定の条件で動きを止める』って言ってたけど、そんなものヒントも無しに分かる筈もない。ここはやっぱり破壊するのが一番手っ取り早いわね。スバルにはあい言ったけど…やっぱり速攻で決める!)」
あたしはさっきと同じように正面から突撃。当然敵は攻撃を再開するが、今度は回避に専念しているのでさっきより楽に回避出来た。
「(また感じた…変な感覚…。でも今は目の前の敵に集中!)」
「そんなんじゃ当たんないよ!」
すると挑発に反応したかのように攻撃があたしに集中。囮役は大成功!
「(あとはお願いね、ティア)」
「(的が大きいなら好都合!喰らいなさい!)」
カートリッジの魔力をアンカーガンに込めたティアは敵に向かって今までに無い程の速度で高速連射を始めた。
でも敵はステップを踏むようにして次々と弾丸を避けていく。
「くッ!逃がさない!」
ティアも逃げる敵に銃口を合わせながら連射していく。
「(ティア…探るどころか完全に倒しに行ってるじゃん。なら、あたしも逃げてばかりじゃ駄目だよね!)」
動きを変えてティアの邪魔にならないように敵の道を塞ぐ。
「(これなら逃げ道は少ないから予測しやすい!そこを一気に叩く!)」
あたしは狙いを絞って敵の出方を窺った。
ところが敵は御構い無しにあたしの方向に向かって来た。
「(え!?なんでこっちに来るの!?…と、とにかく攻撃!)」
慌てて右腕で殴りかかった。
でも全く予測していなかった行動に驚いたせいで一瞬反応が遅れた。
「(!?…今のは!)」
敵はさっきの攻撃と同じようなエネルギーで右腕を弾いて拳の軌道を逸らした上に、あたしの体勢を崩しつつ突進の勢いを止めずに走り抜けた。
攻撃はあっさりと躱されてしまったけど驚いた理由はそれじゃなかった。
思い出したんだ。
「(直接受けてやっと分かった…。やっぱり間違いない!4年前のあの日に会った…!)」
「(こんな場所で再開出来るとは思ってなかったけど…今のあたしを見てもらういい機会だ!)」
思いがけない出会いにテンションが上がった。
「だぁぁぁぁ!!」
気合を入れ直して敵に突っ込み、反撃の隙を与えないように連続で攻撃を仕掛ける。
だけど全く当たらず、ティアの射撃もあたしを盾にするように回り込んで撃ちにくくしている。
「(くっ…撃ちにくいわね!)」
「ティア!このままじゃ駄目だよ!連携で行こう!」
「珍しく気が合ったわね!じゃああたしに合わせて!」
「了解!」
至近距離で格闘戦を挑みながらティアに提案するとあっさりと了承。打ち合わせも無しに行動に移る。
敵は距離を取ろうとするけど、あたしは逃がさず纏わり付く。
「あなたの相手はあたしですよ!」
ピッタリと張り付いてそう言った直後、敵は一瞬だけ動きが鈍くなった。
「(動きを予測した射撃、ステップを踏むような動き、攻撃対象に飛び込む思考、格闘攻撃を的確に回避する能力、スバルを盾として利用した回り込み…どう考えてもオートスフィアのものとは思えない。恐らくあれは…人間!
なんで人間が相手なのか、誰がどういう目的で相手をしているのかは気になるけど…それを考えるのは後回し!人間が相手ならこっちの手の内がばれないうちに何とかしないと手遅れになる!
これは数が多いと命中率は落ちるけど…最悪当たらなくてもいい。逃げ道を塞げれば!)…スバル!」
ティアは魔力を3個の球体に固めて自分の周りに停滞させる。
「(ティアの準備が出来た!今だ!)」
「はッ!」
あたしは追い掛けるのをやめると震脚で床を踏み砕き、積み上がったコンクリートの瓦礫を右拳で殴り飛ばしてコンクリートの散弾を撃ち出した。
「(これなら目隠しになるしいくら速くても避けられない筈!)」
同時にリボルバーナックルにカートリッジの魔力を装填。
「(もう一発!)」
続けざまに左拳で再び散弾を飛ばしながら発射準備。
「クロスファイヤー……!」
「リボルバァァァァ……!」
「「シューーーーーーーート!!」」
☆クロスファイヤーシュート
http://download5.getuploader.com/g/street_fighter/32/image.jpg
http://download5.getuploader.com/g/street_fighter/33/image.jpg
※※※※
「んー…アクティブガード、ホールディングネットもかな」
空に浮かぶ一人の女性は手をかざした。
《Active Guard with Holding Net.》
その直後、ピンク色の光が辺りを包んだ。
※※※※
「……ああ……(助かった……)」
あたしは無様に逆さになってネットに引っかかっていた。
☆逆さにに引っかかるスバル
http://download5.getuploader.com/g/street_fighter/41/image.jpg
「……はあ……(助かった……)」
ティアは白くて太い枝のようなものに引っかかっている。
☆ぶら下がるティアナ
http://download1.getuploader.com/g/street_fighter/43/image.jpg
そこへ仏頂面の空曹長が飛んで来た。デバイスらしきものを持っており、かなり怒っているようだ。
「んむーー!二人とも!危険行為で減点です!頑張るのはいいですが怪我をしては元も子もないですよー!?そんなんじゃ魔導師としてはダメダメです!!」
「…あー…」
あたしはリインフォース?空曹長のあまりの小ささに言葉を失ってしまった。
「…小っさ…」
ティアはそのまま口に出しちゃったみたい。
☆怒るリイン
http://download5.getuploader.com/g/street_fighter/44/image.jpg
「全くもう!」
やばい…完全に御冠だ…。どうしよう…。
「はっはっは!まあいいじゃないか」
「「え?」」
唐突な第三者の声にティアと声を揃えて反応し、その方向を向く。
「そうそう。ちょっとびっくりしちゃったけど…無事でよかった」
声の正体はリュウさんとなのはさんだった。
「とりあえず試験は終了ね、二人共お疲れ様」
「あの状態でよく二人とも時間内にここまで来られたな。大したものだ」
「リインもお疲れ様。ちゃんと試験官出来てたよ」
「わーい!ありがとうございます!なのはさん!」
「久しぶりだな、リイン。相変わらず小さいままか」
「むー!これでもちゃんと成長してるんですよー!それに大きくなる事も出来るって言ったじゃないですかー!」
なのはさんはバリアジャケットを解除して制服姿になり、あたし達に話しかけてきた。
「(あの時はドタバタで他の事を考えてる暇は無かったけど…。よく思い出してみるとあの人は魔力を全く感じなかったのにとんでもない身体能力と攻撃力だったわね。
…って『後ほど』?普通はたしか試験が終了したら直ぐに帰投して、数日以内に合否通知が届いて、合格したらようやく本局へ行って手続きと説明がある筈…。という事は昇格試験は合格!?)」
[同刻 試験会場 ゴール地点上空 ヘリ内部]
「知り合い…みたいだね」
「4年前ゆうたら…あれやよ、ホラ。なのはちゃんとフェイトちゃんがウチの演習先に遊びに来てくれた時に起こった空港火災」
「ああ、私となのはが災害救助の手伝いをした時?」
「多分その時になのはちゃんとリュウさんが助けた要救助者の一人だったんやろ」
二人はようやくスバルとなのは達の関係に気付いた。
「なるほどね。そう言えば私が助けた要救助者の中にスバルと似た雰囲気の女の子がいたなぁ。姉妹かな?」
「どうやろなぁ。あ、それで思い出したわ!救助活動を始める前に空港内の要救助者のデータ送ってもらったやろ?」
「うん」
「助け出した要救助者の中にデータに無かった救助者がおったんよ。救助の後は事後処理やら任務やらで忙殺されてすっかり忘れとったわ」
「…怪しいね。後で空港火災の事、調べてみよっか」
「せやな。出来るだけ早く調べよ」
※※※※
「なのは、そろそろあの話をした方がいいんじゃないか?」
「(『あの話』?試験の話じゃないって事?)」
「それは試験の事後処理が終わってから!…スバル、それにティアナも。大事な話があるんだけど…この後いいかな?」
なのはさんは突如真剣な表情で「大事な話」を持ちかけてきた。
その話があたしの運命を大きな戦いの渦に巻き込む事となり、更には「存在を許してはいけない存在」「力を持つ者の宿命」「信念を貫く強さ」の意味を、辛く悲しい体験を通して知る事になるとはこの時には夢にも思わなかった。
【スバルside…END】
【リュウside】
俺の日常は基本的に修行の為に費やすが、渡航などで路銀が必要になった時は肉体労働で稼いでいた。だがそれは俺の世界での話だ。
こちらの世界では勝手が分からず都合良く肉体労働がある訳でもないので働き口が無く、今は時空管理局で世話になっているので無理に働く必要が無い。
しかしある日なのはは「いい大人が働きもせずにご飯を食べるのは許さない」と言い出して以来、時々俺に(半ば強制的に)仕事を回して来るようになった。
なるべく俺向きの仕事を選んでくれるのは有難いが…それを言われると立つ瀬が無いな…。
[0075年4月 ミッドチルダ 第8空港近隣 廃棄都市街 試験会場中間地点 巨大な廃ビル]
「ここが指定の場所か。…気が進まんな」
なのはに強制されて連れて来られた試験会場。正直な事を言えば今は他人の事を気にする余裕は無かった。
だが4年前に出会ったあの少女が今回の受験者となれば話は別だ。
あの時…俺の殺意の波動が共鳴した事は勿論気になっている。なのはの話によるとあの後彼女を探したが何故か情報が隠蔽されていて行方が知れなかったらしい。この4年間の間に何も無ければいいが…。
そして共鳴により増幅されて噴き出した筈の殺意の波動が謎の光によってその殆どが掻き消された事…。それは彼女と無関係では無い筈だからだ。
その事が確認出来れば俺の悩みも少しは晴れるかもしれないしな。
それを確かめる為には拳を交えるのが最適だ。ただ、それが今である必要は無いと思うんだが…。
さくらはホント良いキャラだよなぁ
さくらの居ないストリートファイターとか最早考えられないわ
あ、表裏択はやめてください。しんでしまいます
>>206
俺もさくらは好きですねー
フラワーキックを見た時は「痴女かこいつw」って感じのネタキャラかと思ってましたがストーリーを見ると至って真面目で純粋な子だと分かったら好きになりました
スピンオフ漫画の「さくらがんばる!」は良かったなー
………
………
………
あれからまだ彼女には会っていない。いつになるかは分からないが…また会いたいな。いや、会うんだ。
彼女と再び会うまで…勿論会ってからも俺は戦い続けよう。俺自身の為にも、俺なんかの為に心と技と体を尽くしてくれたさくらの為にも。
【回想終了】
今度は余裕を以て躱される。
「やはりあの靴による機動力はなかなかのものだな。…面白い!素早く気を練り、動く敵を波動拳で狙う修行になる!」
俺はスバルに狙いを絞った。
「波動拳!波動拳!波動拳!波動拳!」
なるべく最速の間隔で撃ってはいるが、一向に当たらない。
「(一定距離を保たれた上にあの速度…回避に徹するとこれ程厄介なものなのか)」
スバルへの対策をあれこれ考えているとティアナが銃で連射を開始した。
「銃は素早く軸をずらせば簡単には当たらん!」
小刻みに弾みながら左右に動く事で回避には成功しているが…
「くっ…。この連射…いつまで続くんだ?」
ティアナの銃は見た目からすると装弾数は然程多いとは思えない大きさなのに立て続けに数十発は撃っている。
恐らくは気…魔力を装填してそれを銃弾として撃ち出す銃なのだろう。便利な銃だ。
連射を回避し続けてしばらくすると、スバルの動きが変わった。
「(この動きは…俺の逃げ道を減らして誘導したところに攻撃を集中する気か、考えたな。だが逆にそれを利用させてもらう!直接触れる訳ではないから大丈夫な筈だ!)」
俺は空いている道ではなくスバルのいる方向へ突っ込んだ。
それを予測していなかったためか、スバルは反応がワンテンポ遅れて殴ってきた。
※※※※
[数年前 地球 イギリス のどかな田舎町]
かつてリュウがとあるイギリス人の紳士的なボクサーと戦った時の事だ。
「俺の拳打が悉く受け流されて鋭い一撃が差し込まれる…。素晴らしい技術だな」
リュウは有効な拳打を一度も当てられないどころか、自分の体勢を崩して流れるような反撃を打ち込んでくる相手に感動を覚えていた。
「お褒めに与り光栄だ。では私からも一つ。
私は風の噂で君の技…波動拳の事を知っていた。だから初見でも難なくインファイトに持ち込めたのだ。
だが私だけが事前に相手の情報を仕入れているのは不公平というものだ。それでは仮にこのまま私が君を倒しても私の力で勝ったとは言えない。
そこで私も今から君にボクシングの技の一つを教えようという訳だ」
「悪いが俺はそんな施し…」
「私の…いや、紳士の誇りが許さないのだよ。いいから聞きたまえ、リュウ君」
「(…これが英国紳士というものか。何という愚直な誇りだ。ならばその誇りを穢す訳にはいくまい)。…分かった。では頼む」
「よし。先程君のパンチを受け流したのは『パリング』というボクシングのディフェンステクニックだ。
簡単に言えば『相手のパンチを手首の返しで逸らす』というものだな。これは大した力も必要無く、最小限の動きで攻撃を凌げる。
主にストレートパンチに対して有効だ。
まあ私ほどの実力になればパンチだろうがキックだろうが種類を問わないがね。更には手首を使わずともピンポイントでナックルパートをぶつけて回避と攻撃を同時に熟す事も出来る。そして…相手の体勢を崩して『一撃必殺』を打ち込む事も可能だ…が、先程も言ったとおり本当の意味での勝利を得るにはそれを打つ訳にはいかなかったのだ」
「(この男…相当な自信家だな。だがそれ故に誇り高く…強い。そして『一撃必殺』か…)」
「さて、これで私の手の内の一つが知られてしまった訳だが…ここから一切の手加減は無い。迂闊な攻撃は私の『一撃必殺』の餌食となる事を覚悟したまえ」
「…望むところ!行くぞ強敵(とも)よ!」
☆ダッドリー
http://wikiwiki.jp/peercast/?plugin
話の内容が分かる距離ではないが、どうやらかなり揉めているようだ。互いが自分の非を責めているんだろう。無理もない。
しばらく様子を見ていると突如スバルが禍々しい『気』を放ち始めた。
「こ…これは『殺意の波動』…!なんて事だ…!」
俺は以前殺意の波動に目覚めかけた事が数度あったが、感情の爆発によってそうなった事は一度も無い。
だがスバルは違った。
「(根の深い感情かも知れんが感情だけでこうなってしまうとは…。非常に危険だ。今まで何も起こらずに無事でいられたのが不思議な程に…)」
「待っててティア…今そいつを…殺すから!!」
「きゃッ!」
その直後、スバルは気を解放してティアナを吹き飛ばした。同時に俺に向かって飛び込んでくる。
「こうなった以上は全力で止めるしかない!」
迷う時間は無く、戦わざるを得なかった。
「ハアッ!!」
「ッ!?」
スバルは飛び込みざまに厳つい武器の装備された右拳を振り下ろしてきた。
嫌な予感がして飛び退くと、拳が振り下ろされたその地面が衝撃で抉れて巨大なクレーターが現れた。
「(この威力…!油断したらやられる…!)」
スバルは止まらずに突進し、そのまま格闘戦に突入。先程とは攻撃速度が桁違いだ。
「(もう手加減は出来ん…行くぞ!)」
俺は手足を使って攻撃を捌き始めた。
「ふッ!」
隙を突いて腹に右拳を打ち込むが、溢れ出す殺意の波動が壁を作っておりスバルの体には届かなかった。
「(くっ、やはり気を込めた一撃でなければ届かんか!)」
「(あの右は喰らったらまずいな。最低でもそれだけは…。それにしても…)」
俺の姿は幻術魔法でオートスフィアに見えている筈なのに、本当の姿が見えているかのように的確に人体を捉えている。
「(これも殺意の波動の力か…!)」
右拳を警戒しながら捌いていると当然他の部分への警戒は甘くなる。スバルは俺が右拳を躱したその隙を突いて俺の右脇腹に左膝を入れる。
「ぐッ!(人間が最も反応しにくい対角線からの攻撃…!)」
ダメージを受けて前にもたげる俺の顔に右拳を減り込ませる。
「がッ!」
俺は吹き飛ばされて地面を何度も跳ねて転がっていき、同時に幻術魔法が解けてサイレンサーと通信機も壊れた。
そしてやっと止まったところでそのまま追撃を喰らう事を覚悟していたが、スバルは動きを止めていた。
スバルの動きが止まっているうちにダメージチェックを行う。
「(脳が揺れて…体に力が入らん…。肋骨は…何本か折れている…。顔は…腫れているが…何とか骨折はしていないようだ…)」
右拳が命中する瞬間に頭部を後ろへ引いた事で頭部へのダメージを軽減する事に成功し、K.O.されずに済んだようだ。
「(しかし…何故…攻めて来ない…)」
「…思った通りリュウさんだ。4年振りだね。どう?あたし強くなったでしょ?」
スバルは突然語り出した。
「(『4年振り』?って事はスバルとこの人は知り合い?…スバルが前に言ってた『気になる人』ってまさか…!)」
「(立てるまで…時間を稼ぐしかない…)。やはり…気付いていたか…。確かに君は強くなった…だが…その力は…」
「うん、凄い力だね。使えば使うほど…壊せば壊すほど力が湧いてくるよ!」
「その力を使って…どう思った…?」
「ハハハハハ!楽しい…楽しいね!感情のままに…壊す為、殺す為に力を振るうのがこんなに楽しいなんて!」
なんて乾いた笑い声だ。しかも人を傷付ける事を「楽しい」と言った。
「そ…そんな事は…許されん!本当の君も…そんな事は望んでいない筈だ!」
「本当のあたし?…これがそうだよ!」
「…闘いの本質とは…!己を鍛え!相手の生命とぶつかり合い!互いを高め合う事!一方的な破壊は何も生み出さない!その力に身を委ねるな!力に…自分に負けるな!」
「あんたに…あたしの何が分かるんだ…。あたしは負けない!この力があれば誰にも!何にも!」
問答の時間は終わった。スバルは俺に向かって構える。
「(まずい…まだ立てん…!)」
スバルが今まさにこちらへ向かおうとした瞬間、ティアナがスバルを羽交い締めにした。
「スバルやめなさい!あんた自分が何を言っ…」
「…うるさい」
スバルはティアナの腕を振りほどくと左裏拳でティアナの顔面を殴り、振り返りざまに腹へ右拳を打ち込んだ。ティアナは後ずさりし、よろめいて尻餅を突く。顔は鼻と口から血が流れ、腹への一撃で悶絶している。
「ウ…ソ…でしょ…?あ…あんたが…こんな事す…」
「……邪魔だよ」
ティアナの言葉を遮ってスバルはティアナを蹴り飛ばし、ティアナは転がって力無く倒れた。
ダメージ自体は大した事が無く意識はある筈だが、全く立ち上がろうとしない。
「その子は…貴様の友ではなかったのか…!」
「うるさい!!」
こんな事が許される訳がない。そう思った瞬間、自分の中で怒りが膨れ上がるのを感じた。
「ぐっ…(まずい…怒りを抑えねば俺も…!)」
スバルに触発されて俺も心が乱れてきた。怒りが憎しみに変わり、憎しみが『殺意』に…
スバルの場所へ駆け寄ってなのはと二人で声を掛けると、スバルは慌てふためいた後、感極まったのか涙を流した。
「覚えてるっていうか…あたし…ずっと…なのはさんに憧れてて…」
「(なのはに憧れていたのか。だが戦い方が全く似てない…というより基本は殆ど格闘家と変わらんな。やはり空を飛べないと真似るのは難しいか)」
会話が一通り終わってから思索に耽る。
「(スバル…不思議な子だ。あの子は俺が過去に置いてきてしまった気持ち…ただひたすらに「強くなりたい」「強敵(とも)と闘いたい」という純粋な気持ちを思い起こさせてくれる。まるでさくらが目の前にいるようだ)」
「(だが…強くなるという事は今は倒せない相手でもいずれ倒すという事…。しかし…)」
「相手を倒す」という言葉をきっかけに修行時代のある出来事が頭を過る。
【回想】
[リュウの青年時代 地球 日本 関西地方 とある山奥]
「武道とはな…」
「「(また始まった…)」」
寝そべりながら俺達の組手を眺めつつ、俺達の師匠「剛拳」が唐突に語り出す。
「『闘う相手』という存在がおり、その相手を倒す為の術を磨く事じゃが…。さて、それが問題よ…。『相手を倒す』という事はどういう事じゃろうなぁ?」
師匠は時々唐突に突拍子もない事を言い出す。今回はまるで禅問答のような問い掛けだ。
勿論俺は真剣に答えるが、いつも何を答えてもまともな回答や説明はせずはぐらかしてしまうから意味がある話なのか疑問なところだが…。
「それは…『相手より強くなった』という事でしょうか?」
当時の俺は学が無かったので頭は悪かったが、一生懸命考えて答えた。
「『勝利をこの手に掴む』って事だろ?」
俺の数少ない友である同門のケンが答える。
師匠は少しだけ沈黙した後に口を開く。
「ふっふっふ…。お主ら…まだまだ若いのう!はっはっはっは!
……まあ、ゆっくり考える事じゃ。武の道を歩み続ければいつか必ずこの答えを見出さねばならぬのじゃからな。ほれ、手が止まっとるぞ」
「「………。(またか…)」」
☆剛拳
http://www.gpara.com/article/pop_show.php?c_id
【回想終了】
「(…それは突き詰めると相手を『殺す』事に他ならない。その果ては『一撃必殺』…。俺は…殺す為に強くなろうとしているのか?)」
俺の中に眠る殺意の波動は俺の意思に関係無く常に相手の死を求めている。言わば本能のようなものだ。
「(俺は…殺意の波動と同じものを求めてしまっているのか?…師匠…あの時の問いは俺がこうなる事を見越して俺に正しい答えを出させようと…)」
だが考えても考えても答えは出ない。
それどころか出て来るのは殺意の波動に飲み込まれるかもしれないという不安、そして…それによって自分が「死」を振り撒く存在になるかもしれないという恐怖。
こんな後ろ向きな事ばかり考えてしまうという事は、これは頭で考えるだけでは出ない答えなのかもしれない。
ならば俺にできる事はただ一つ…「闘う」という事。
思えば俺の悩みにはいつだってこの拳が答えてくれた。…あれこれ考えるのは俺らしくなかったな。
ならば俺はいつものように俺らしく闘うだけだ。
そう……
『闘いの中に、答えはある』
【リュウside…END】
第二話「試験 ー再会と覚醒ー」
ーENDー
キリがいいので今日はここまでにします。
StrikerSのストーリーに沿った話はあともうちょっとだけ続きます。
何だかんだで毎日更新してる影響か書き溜めがかなり少なくなっちゃったぜ…。
[0071年4月29日 ミッドチルダ 臨海第8空港近隣 沿岸部]
「203・405、東側に展開して下さい!魔導師陣は防壁張って燃料タンクの防御を!」
陸士部隊で指揮官研修をしていたはやてとその部隊は実習の為に火災現場の近郊におり、近隣の応援部隊で最も現場に近かった為に応援の先駆けとして駆り出され、はやてが応援部隊の指揮を執っていた。
臨海地区の空港で起こったこの大規模な火災は「ある危険な密輸品」が原因で起こったと推測されており、近隣の陸士部隊・航空部隊が緊急招集される程の大事件になってしまった。
そんな状況でまだ研修中のはやてが指揮を任された理由は二つあった。
一つは単純に指揮官が足りなかった為。
もう一つははやてが研修課程を殆ど消化しており、更にその成績が極めて優秀だったので即実践しても問題無しと判断されていた為だ。
急場の前線を何とか纏め上げていると、空からリインフォース2が降りて来てはやてに状況の報告をする。
「はやてちゃん!こっちはダメです!まるっきり人手が足りないですよー!」
「そやけど首都からの航空支援が来るまで持ち堪えるしか無いんよ!頑張ろう!」
「…はい!」
「(せめてこっちに一人でも他の指揮官が来ればウチも支援に回れるのに…!)」
実は魔導師としても極めて優秀なはやてだったが、他の指揮官が不在の為に現場を離れる訳にはいかず、このまま指揮を続けるしかなかった。
☆指揮を執るはやて
http://download5.getuploader.com/g/street_fighter/46/image.jpg
一方では空港へ向かって飛ぶ光が二つ。その正体はなのはとフェイトである。
二人は偶然にも休暇を利用してはやてに会いに来ていた為に緊急で駆り出され、出動直後にそのまま空港へ直行した。
フェイトは火災現場へ向かう最中、通信本部から参加します連絡が入る。
『航空魔導師本局02、応答願います』
「はい。本局02テスタロッサ・ハラオウンです」
『8番ゲート付近に要救助者の反応が出たのですが、損傷が激しくて陸士隊員では入れません。そちらの救助をお願い出来ますか?』
「8番ゲート…。バルディッシュ」
第三話 「機動六課 ー決意と始動ー」
【アナザーside】
《ルート検索終了。2分以内には到着します》
フェイトのデバイス「バルディッシュ」は瞬時に検索を終えてフェイトに伝えた。
「了解。直ぐに向かいます」
通信を終えるとフェイトは更に速度を上げ、黄色く輝く流星と化した。
☆現場へ向かうフェイト
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はやてが歯痒い思いをしながら指揮を執っていると、彼女の場所へある人物が到着した。
「すまんな、遅くなった」
「いえ。陸士部隊で演習中の本局特別捜査官、八神はやて一等陸尉です。臨時で応援部隊の指揮を任されています」
「陸上警備隊・108部隊のゲンヤ・ナカジマ三佐だ」
☆ゲンヤ・ナカジマ
http://download5.getuploader.com/g/street_fighter/48/image.jpg
「ナカジマ三佐、この現場の部隊指揮をお任せしても宜しいでしょうか?」
「勿論そのつもりだが…ああ、お前さんも魔導師か」
「はい、広域型の魔法を使えます。それで消化の支援を行います」
「そうか…」
「ではナカジマ三佐、後の指揮はお願いします」
「………」
「…ナカジマ三佐?」
「ん?…ああ、すまねえな。ここは任せてくれ。お前さんは早く支援に行ってやんな」
ゲンヤは若干表情が曇ったが、直ぐに元に戻って指揮の移譲を受けた。
「はい!…リイン。ナカジマ三佐のサポート、しっかりな。ある程度落ち着いたら上空でウチと合流や」
「はいです!」
指揮の移譲が終わるとはやては火災現場のある方向に向かって走り出す。そして走る最中に体が光に包まれ、騎士甲冑を装着した。
その直後に勢いよく地面を蹴り、黒い羽を撒き散らしながらはやては夜空へ飛び立って行った。
☆飛び立つはやて
http://download5.getuploader.com/g/street_fighter/49/image.jpg
「…さて。おチビの空曹さん、しっかり頼むぞ」
「お任せくださいです!」
「(ギンガ、スバル…。本当なら真っ先にお前達を助けに行きてえところだが…俺はやらなくちゃいけねえ事がある。助けが向かうまでどうか無事でいてくれ…!)」
[ミッドチルダ 臨海第8空港内 8番ゲート 通路]
火災現場へ到着して内部へ突入したフェイトは危急存亡の事態につき、壁を魔法で貫きながら最短コースで要救助者の元へ向かう。本来ならば粉塵爆発やバックドラフトが発生する危険があったが、フェイトは自分のスピードに自信があった為にあえてその手段を取った。
程無くして反応のあった場所に到達すると紫色のバリアに包まれた要救助者を発見。保護しつつ話を聞くと「魔導師の女の子がバリアを張ってくれて、その子が『妹を探しに行く』と言い残して奥へ行った」という。
「(あの奥は立ち入り禁止区画…救助者の反応も無かった。急がなければその子が更に奥へ行ってしまう!)」
救助者を安全な場所へ退避させるとと急いでその女の子を探しに奥へ進んだ。
[同空港内 立ち入り禁止区画]
「スバル…スバル!返事して!」
そこには爆発を恐れて這いながらも奥へ進む女の子が一人。名前はギンガ・ナカジマという。先ほどの要救助者にバリアを張ったのは彼女である。
ギンガは妹の名を呼ぶが、呼べども呼べども返事は無く、姿も無い。
「スバル…。お姉ちゃんが…直ぐに助けてあげるから…!」
彼女にとっては自分の命など二の次で、今はスバルを助ける事しか頭に無かった。
彼女がそこまでするのには理由があった。
一つは亡母との約束の為。
もう一つはスバルと共に「特殊な出自」だった事に起因する家族への憧れから来るものである。
奥へと進んだフェイトは眼下で這いながら奥へ進む人影を発見する。
「(いた!)そこの子、じっとしてて!今助けに行くから!」
だがその声に気付いたギンガが振り向いた瞬間、ギンガのいた足場が崩壊した。
「きゃああああ!」
ギンガは崩れた足場と共に落下した。
しかし崩れるのとほぼ同時にバルディッシュが叫ぶ。
《Sonic Move!!》
そしてフェイトはUの字の軌道を描いた一条の黄色い閃光と化した。
☆ソニックムーブ
移動魔法の一つ。自分の体を高速で移動させる事ができる。
名前こそ「ソニック」となっているが術者の実力次第では音速を凌駕する速度を出す事も可能。
長距離を一瞬で移動出来るので屋外などの広い空間でこそ真価を発揮するが、小回りが利かないので本来は狭い空間で使うものではない。
またその速度故に熟練者でなければ術者本人でさえも移動中の時間を認識するのが難しく、予め軌道や行動内容を決めてから使用しないとまともに動く事すらままならない場合がある。更には魔法が切れるのと同時に一瞬でその場に急停止する為、その瞬間に体勢を崩しやすいので隙を晒す事にもなり兼ねない。
またこの魔法自体に術者を保護する効果は無いのでそのまま使用すると加速による衝撃をまともに受けてしまう為、バリアジャケットを装着して使用するか同時に衝撃緩和の魔法を使用するのが一般的となっている。
フェイトはこの移動魔法を得意としており、彼女のバリアジャケットのバリエーションである「ソニックフォーム」を装着すると常時この魔法が常時発動した状態となり、並の者では目で追う事すら困難な状態となる。
なお今回は四方を囲まれた屋内という狭い空間での使用だったが、バルディッシュが軌道と移動距離を調整した為問題無くギンガを救出出来た。
http://download1.getuploader.com/g/street_fighter/51/image.jpg
http://download1.getuploader.com/g/street_fighter/53/image.jpg
http://download1.getuploader.com/g/street_fighter/52/image.jpg
ギンガはフェイトに抱きかかえられて瞬時に飛び上がる。
ギンガは自分が気付いた時には落下した足場が眼下に見えていた。
「(……あれ?私、落ちてない?)」
「危なかった…」
「!?」
「ごめんね、遅くなって。もう大丈夫だよ」
彼女はあまりにも一瞬の出来事だった為に自分に何が起こったのか理解できていなかったが、フェイトに声を掛けられてようやく自分がフェイトによって救出された事に気付いた。
奥に他の要救助者がいない事を確認したフェイトは吹き抜けを上がって行き巨大なダクトを伝って脱出しようとしたが、ギンガが慌ててフェイトを引き止める。
「待ってください!まだ中に妹が…!」
「…妹さん、何処に行ったとか、分かる?」
「エントランスホールの近くではぐれてしまって…。私と反対の方向にいたから多分こっちに向かってるかと…」
「エントランスホール…そっちにはもう救助に向かってる。こちら本局02テスタロッサ・ハラオウン。通信本部、応答願います」
『こちら通信本部』
「エントランスホール付近の救助の状況は?」
『エントランスホール中央にて女の子一名を救助。救出者は高町教導官と『火災現場の協力者』です。画像を送ります』
モニターには白い道着を着た大柄な男がスバルを救護隊に引き渡す姿となのはが救護隊員に事情を説明している姿が映し出された。
「(スバル…よかったぁ……)」
「了解。こちらも女の子一名を保護。これより脱出します」
スバルの無事を確認した二人は急いで脱出し、ギンガも無事救護隊に引き渡された。
「さてと、早く現場に戻ろう。…それにしても…」
フェイトは再び現場へ向かいながら先ほどの通信を思い出す。
「(あの白い道着の人、見覚えがある…。後でなのはに聞いてみよう)」
疑問を後回しにして気を取り直したフェイトは活動を再開した。
「…はやてちゃん…。何を水臭い!」
「…私達、小学三年生からの付き合いじゃない」
ようやく二人が口を開いた。
「それに!」
「えっ?」
「そんな楽しそうな部隊に誘ってくれなかったら逆に怒るよ?ねっ、フェイトちゃん?」
「うん!」
「……」
二人の言葉を聞いた途端、はやての目に涙が溜まっていく。
「…おおきに…ありがとな…なのはちゃん!フェイトちゃん!」
涙を拭いながら礼を言うはやての顔は笑顔に満ちていた。
☆微笑むはやて
http://download1.getuploader.com/g/street_fighter/61/image.jpg
「(ホントのところこれは建前やけど…実際このままじゃ今の時空管理局はあかん。それに…二人の力は借りたいけどもう迷惑はかけたくない。
だから『あの預言』だけはウチが…!)」
「おいお前達!いつまで寝ているんだ!弛んでいるぞ!」
「「「!!!?」」」
はやての話が終わると狙ったかのようにドアが開いて男性が入って来た。
それは勿論リュウだ。
リュウは救助活動の後でなのはと共に時空管理局本局へ出向いていた。
リュウは協力的だったので取り調べや軟禁等は殆どされずに済み、リュウを迎えるにあたって暫定措置として万一の事態に備えられるようなのは達の監視下に置くべきと判断され、同じホテルの隣の部屋に宿泊していた。
三人は予想外の来客に驚いて体が固まってしまった。
「む、起きてはいたのか。三人とも早く着替えてくれ。ホテルは息苦しくてかなわんから長居したくない。
…それにしても随分脱ぎ散らかしたな。寝巻きも着ていないようだが…女としてそれはいかん。
日本には大和撫子という女性像があってだな。女性は慎み深く清楚で恥じらいを…」
「「「………」」」
「ん?どうした?黙ってないで…」
「「「出てけーーーー!!!」」」
「うーーーん…。何の騒ぎですかー?」
今回はここまでにします。
今日中に第三話を終わらせようかなぁ…
投下乙です
リュウさん……wwww
その日のうちにリュウは時空管理局に客員扱いで入局。日常生活の保障と同時に被験者としてデータ採取の為の模擬戦やプライベート以外での行動監視を義務付けられた。
そしてリュウの事をよく知るなのはが監視役に選ばれ、リュウは多くの時間を彼女と共に行動する事となったのである。
>>392
リュウはこんな感じで一貫しようと思ってますw
「監視というのは堅苦しい響きだが監視役がお前なら少しは気が楽だな」
「フフフ。私は基本的に見てるだけだから、あなたが変な事をしない限り行動を縛る気は無いから心配しないで!」
「それは助かる。修行の内容にまで横槍を入れられるのかと思っていたところだ」
「それは内容によるけどね。ともあれこれからよろしくね、リュウさん♪」
「ああ。よろしくな、なのは」
[臨海第8空港火災から数ヶ月後]
リュウはなのはから仕事を回されて公の場に度々姿を表すようになり、時空管理局及び一般人の間にも「格闘家」という言葉と存在が少しずつ浸透していった。
その影響もあって魔法の素質を持たない時空管理局局員から「気の操り方を教えて欲しい」との声が上がった事もあったが、「まだ修行中なので教えられる程の身分じゃない」との理由で断っていた。
[更に数ヶ月後]
時空管理局は格闘家の被験者を増やす事を決定し、リュウのいた世界から新たに数人の格闘家をスカウトする事となった。
スカウト役にはフェイトが選ばれ、フェイト自らが補佐役として選んだシャリオ・フィニーノ一等陸士も同行。その結果、新たに三名の格闘家を招く事に成功した。
そして臨海第8空港火災から4年後……
☆シャリオ・フィニーノ
http://neoapo.com/characters/13594
☆シャリオ・フィニーノ
http://download1.getuploader.com/g/street_fighter/78/image.jpg
【アナザーside…END】
【スバルside】
[075年4月 昇格試験より数時間後 ミッドチルダ 時空管理局支局 面接室]
「……とまあ、そんな経緯があって八神二佐は新部隊設立の為に奔走…」
「四年程かかってやっとそのスタートを切れた、っちゅう訳や」
試験終了後、あたしとティアはフェイト執務官と八神二佐から「新部隊」の説明を受けた。
「名前は…時空管理局本局・遺失物管理部、『機動六課』!」
リインフォース2空曹長が元気良く名前を披露する。
「登録は陸士部隊、フォワード人は陸戦魔導師が主体で、特定遺失物の捜査と保守管理が主な任務や」
「遺失物…『ロストロギア』ですね」
「(ロストロギア?)」
ティアは即座に言葉が出て来たけど、あたしは何の事だか全く分からなかった。
なのはさんがリインフォース2空曹長と協議した結果……
戦闘技術に問題は無かった…が、危険行為(スピードの出し過ぎで瓦礫の山に激突しそうになった)や報告不良(ティアナの怪我を報告せずに試験を再開した)は見過ごせるレベルではなく、「仲間の安全や試験のルールを守れない(スバルがティアナを背負ってゴールした)魔導師が人を守る事なんで出来ない」として『不合格』になってしまった。
でも「二人の実力を考えるとCランクのままじゃかえって危ない」との判断により、4日後に再試験を受けさせてもらえる事になった。
本来は半年待たなきゃならないんだけど、なのはさんのコネで特例として許された稀なケースみたい。
そして入隊の返答は八神二佐が「試験に集中したいだろうから試験が終わってからでいい」って言ってくれたから後回しになったんだ。
[数分後 同場所 中庭]
「あー…なんか色々緊張したー」
「まあね」
あたし達は話が終わった後、中庭でくつろいでいた。二人揃って空を見上げながら話をする。
「試験の不合格は残念だったけど…まあ、しゃーないよね」
「ま、良かったわ。再試験に引っ掛かれて。(空曹長の言ってた『後ほど』って新部隊の事だったのね。ぬか喜びしたわ…)」
「だね!…でさ、新部隊の話…ティアはどうする?」
「…あんたは行きたいんでしょ?なのはさんはあんたの憧れなんだし、リュウって人の事も気になってたんでしょ?その二人がおんなじ部隊なんてすごいラッキーじゃない」
「まあ、そうなんだけどさ…」
「あたしはどうしようかなぁ…。遺失物管理の機動課っていったら…普通はエキスパートとか特殊能力持ちが勢揃いの生え抜き部隊でしょ?そんなトコに行ってさ、今のあたしが…ちゃんと働けるかどうか…」
ティアは入りたいと思っていながらも自信が持てずに踏ん切りが付かないみたいだった。
今回はここまでにします。
結局第三話が終わらなかった…。
しょうがないなーティアは。あたしが元気付けてあげますか!
「………」
「…スバル?」
「んふー♪」
「な…なによ、ニヤニヤして気持ち悪い…」
「うへへへへ♪『そんな事無いよ!ティアもちゃんと出来るって!!』………って言って欲しいんだろーーー」
「………」
☆調子に乗るスバル
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「なーーによそれは!言って欲しくないわ!」
「あー!痛い痛いギブギブギブー!」
「バカ言ってんじゃないわよ!」
☆怒るティアナ
http://download1.getuploader.com/g/street_fighter/66/image.jpg
「ふんッ!」
「あ痛ぇー…馬鹿力だなーティアは…。でも少しは元気出たでしょ?」
「あんた…」
「あたしは知ってるよ?ティアはいつも口では不貞腐れた事を言うけど…本当は違うんだ、って」
冗談はここまで。ここからは真剣だ。
「フェイト執務官にも…内心ではライバル心メラメラでしょーーー?」
「ら、ライバル心とか!…そんな大それたもんじゃないけど…。知ってるでしょ?執務官はあたしの夢なんだから…。勉強したいって気持ちは有るわよ…」
「だったらさ…」
ティアが言葉を詰まらせるとあたしは立ち上がり、ティアに顔を近付けて力説する。
「!?」
「やろうよ、ティア!」
「スバル…」
「あたしはなのはさんとリュウさんにいろんな事を教わって、もっともっと強くなりたい。もう二度とあんな事にならないように…心も体も!ティアは新部隊で経験積んで最短距離で夢を追い掛ける!」
「…ふふっ」
ティアは緊張が解けたのか笑みがこぼれた。
「それに!」
「?」
「当面まだまだ二人でやっと一人前扱いなんだしさー、まとめて引き取ってくれるの嬉しいじゃん!」
「………」
「そ・れ・を・言うな!」
「いひゃいいひゃいごめんなひゃい!ゆるひてくだひゃい!」
「メッチャクチャムカつくのよ!何が悲しくて何処行ってもあんたとコンビ扱いなのよ!」
ティアがあたしの背中に乗りながら思いっきり頬をつねってきた!顔の皮が伸びる!
☆再び怒るティアナ
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「ふんッ!まあいいわ。上手く熟せればあたしの夢への短縮コース。あんたのお守は御免だけど…まあ、我慢するわ。(それに…あんたに二度とあんな事をさせないようにする為にもね。リュウって人と一緒にいればあの力についてもっと詳しくわかる筈だし)」
「うふふ…はははははは!!」
「…ちょっと!何笑ってんのよー!」
………
………
………
[同日 ミッドチルダ 移動中 列車内]
あたしは帰宅途中の列車内の座席で居眠りするティアの隣で、窓の景色を見ながら呟いた。
「『機動六課』…かぁ…」
そして4日後、あたし達はBランク魔導師昇格試験に再挑戦して見事に合格を勝ち取ったんだ。
【スバルside…END】
中庭へ行ってみるとそこには一本の大きな木があった。
「都会にこういう場所があると心が落ち着くな。では始めるか」
[十数分後]
「まだ時間には少し早いが戻るとするか。…む、あの二人は…」
中に戻ろうとするとスバルとティアナがこちらへやって来た。
「(…少し様子を見てみるか)」
二人に気付かれる前に植え込みの陰に隠れ、気配を消しながら二人の様子見をする事にした。
「あーなんか色々緊張したー」
「まあね」
「(特にわだかまりも無さそうだな。ティアナはスバルに『気にするな』と言っていたとはいえ、あんな事があって二人の関係がどうなるのかと気になっていたが…)」
少しよそ見をしているとスバルが怪しげな笑みを浮かべながら何か冗談を言ったらしく、ティアナが怒ってスバルの尻をつねり出した。
「なーによそれは!言って欲しくないわ!」
「あー!痛い痛いギブギブギブー!」
二人は冗談を言いながらじゃれ合っていた。
「(どうやら心配なさそうだな)」
もう少し様子を見ていると落ち込み気味のティアナにスバルが真剣な顔で話し出した。
「やろうよ、ティア!」
「(あの目は…決意した目だな。入隊を決めたか)」
「あたしはなのはさんとリュウさんにいろんな事を教わって、もっともっと強くなりたい。もう二度とあんな事にならないように…心も体も!ティアは新部隊で経験積んで最短距離で夢を追い掛ける!」
「(あんな事があったと言うのに前向きな子だ。…って待て待て!俺がスバルの担当だと!?なのはめ…)」
特に理由も無しに何故かなのはの仕業だと直感した。
「(…まあ、これ以上長居は無用だな。行くか)」
[同場所 面接室のある階 中庭の見える廊下]
「そういえば…新規のフォワード候補はあと二人だっけ?そっちはどうなったの?」
「二人とも別の世界。今はシグナムが迎えに行っとるよ」
廊下を歩いているとなのはとはやてが中庭を見ながら話をしている姿が見えた。
「お、いたか。なのは、話があるんだが…」
ちょうど話が終わったようなので声を掛けた。
「話って何?」
「スバルの事なんだが…」
「ああ、その様子だと話は聞いたんだ。よろしくね」
なのはは笑顔で話を切り上げようとした。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。俺が言いたいのはそういう事ではなくてだな…」
「(なのはちゃん…リュウさんに話してなかったんか…)」
「なのは、はやて、お待たせ!」
「お待たせですー!」
なのはとの話の最中、フェイトとリインが合流した。
「あ、フェイトちゃん、リイン。ちょっと待っててね」
「うん」
「はいです」
「で、何の話だっけ?」
「スバルの担当の事だ。別に拒否しようという訳じゃないが一言言ってくれれば…」
「拒否しないならいいじゃない。それに『壊さない』って約束した道具を壊しちゃったのは誰?」
「いや…あれは不可抗力で…」
「不可抗力でも何でも『壊さない』って言って壊しちゃったら責任は取らないとダメだよね?大人なんだし」
「それは…」
「その責任はどうやって取るの?誤魔化そうとしてた訳じゃないよね?」
「………」
「そういう訳だからお願いね♪」
「(反論できん…。理由付けが少し強引な気もするが…)」
「(一方的にスバルの担当を決めたのは強引だったけど…先に話したら何かしら理由を付けて断るのは目に見えてたからこれでいいんだ。それに試験の時のスバルを見る目…。スバルと一緒にいればリュウさんも何かが変わるかもしれない。望まない力を、同じ禍々しい力を持つ者として…互いに助け合っていい方向に向かってくれれば…)」
「「「「「………」」」」」
俺となのはの会話が終わると全員が一斉に沈黙した。
「ほ、ほんなら次に会うんは六課の隊舎やね!」
「さ、三人の部屋、しっかり作ってあるですよー!!」
「た、楽しみにしてる!」
「うん!ありがとうリイン!」
「……ああ、すまんなリイン」
場の空気に耐え切れなくなったのかはやて・リイン・フェイトは慌てて沈黙を破り、はやてとリイン、なのはとフェイトは一旦それぞれの仕事に戻る事となり、俺はなのはに付いて行く事になった。
「「「(それにしても…)」」」
「(なのはちゃん…)」
「(なのは…)」
「(なのはさん…)」
「(何か考えがあっての事やろうけど…)」
「(相変わらずリュウさんに…)」
「(すっごく…)」
「(キツいなぁ)」
「キツいね」
「(キツいですー)」
「フェイトちゃん、何か言った?」
「!?…ううん。な、何でもない。(思わず口に出しちゃった…)」
「さて、それじゃあ隊に帰ろうかなー」
「私、車で来てるから中央まで送ってくよ。勿論リュウさんもね」
「ほんと?ありがとう!」
「ああ…」
俺はフェイトの話を聞き流し、考え事をしていた。
「そうだ。なの…」
「なのは、最近顔色が優れん事が多いようだが体調は大丈夫か?」
「…突然どうしたの?私は…」
「仕事熱心なのはいい事だが…疲れているなら少しは休め。お前は仲間に迷惑を掛けまいと無理をする癖があるからな。その無理が時に余計な迷惑や心配を与えてしまう事もある。『あの時』の事を忘れたわけではないだろう?」
「「……」」
なのはとフェイトは静かになった。
「俺はお前の仕事を手伝う事は出来ん。だからこんな事しか言えないが…お前には世話になってばかりなのにすまんな」
「心配性だなーリュウさん!私の頑丈さ、知ってるでしょ?」
「それは知っているが…。しかしだな、気脈にも時々若干の淀みが…」
「平気平気!全然問題無し!」
「…本当に大丈夫か?」
「ホントに平気だから…心配しないで!それに…」
「それに?」
「…何でもない!心配してくれてありがとね、リュウさん!」
「ああ、お前が問題無いなら俺も気が楽になる」
なのはの表情が一気に明るくなった。これなら心配なさそうだな。
「(……私の言いたい事、全部言われちゃったな。リュウさんって意外となのはの事、ちゃんと見てるんだ)」
そしてフェイトは何故か俺の顔をジッと見ている。
「さて、じゃあ行こうか。二人とも着いて来て」
「ん?中央まで行くのか?俺は走って行くから気にしなくていいぞ」
「「!?」」
俺の発言に驚いたらしく、二人は仰天した顔になった。
「…とは言っても走れない場所は飛んで行くがな」
「…道、分かってます?」
俺の発言に驚きながらもフェイトが質問する。
「おおよその方角は分かるから真っ直ぐ進めばいい。そして近くになればなのはの気配を探すから問題無い。建物の外観は覚えているから大丈夫だ」
「……」
「…どうしてそんな訳の分からない事を言い出すの?」
続いてなのはが質問。
「やるべき事が少しだけ見えてきたからな。そして心配事も一つ減った。そう思ったら体を動かしたくなったんだ。…まあ要するに思い付きだ。深い理由は無い」
「も、もう!私が心配ばかりかけてる人みたいに言わないでよ!行こうフェイトちゃん!」
「(格闘家って…みんなこうなのかな…)」
「はっはっは!いい顔だ!やっぱりお前に疲れた顔は似合わんな!…後で追い付くから向こうで待っててくれ」
俺は一方的に会話を切り上げてそのまま走り出した。
「あの人…ここから中央まで何kmあるか知ってて行ったのかな…」
「(リュウさん…本当にありがとう…。それだけで私…)」
「じゃあ私達も早く行かないとね、なのは。…なのは?」
「うん?ああ、行こうか」
※※※※
[移動中 ハイウェイ フェイトのマイカー内]
「♪♪♪♪♪」
「ご機嫌だね、なのは」
「そ、そんな事ないって!」
「(…ホントに分かりやすいなぁ。完全に乙女の顔だよ)」
☆フェイトのマイカー
http://download2.getuploader.com/g/street_fighter/74/image.jpg
※※※※
【リュウside…END】
今回はここまでにします。
自分で書いといてアレですが…戦闘が少な過ぎるかなぁ。
【アナザーside2】
[同日 とある別世界 市街地]
『ヴォルケンリッター』と呼ばれている四人組。
その者達は、別件で不在の隊長を除く三人と、助っ人三人と共に『ある敵』と戦っていた。
☆ヴォルケンリッター (左から)ヴィータ、シャマル、ザフィーラ
http://download1.getuploader.com/g/street_fighter/71/image.jpg
「(ヴィータちゃん、ザフィーラ、追い込んだわ。ガジェット1型がそっちに3体!)」
「(任せとけ!)」
「(承った)」
『御三方の場所にもガジェット1型が3体向かってます!』
「了解!強制捜査開始!」
「「Mission Start!」」
シャマルは結界内に敵を閉じ込めつつ逃げ回る敵を探査魔法で捕捉し、仲間の元へ誘導している。
魔法を使える者同士なら誰にでも通じる念話だが、シャマルは魔法を使えない助っ人三人に対しては通信機で指示を出していた。
☆シャマル 探査魔法発動中
http://download4.getuploader.com/g/street_fighter/67/image.jpg
「来い…!ウォアァァァァーーーー!!」
ザフィーラの咆哮と同時に敵の足元から多数の白く尖った突起物が出現し、敵の一体を串刺しにした。
☆鋼の軛(くびき)
地面から白く尖った突起物を多数出現させて対象を格子状に交差させる事で動きを封じる拘束魔法。
空中では発生させられないが、地面のある場所なら視界に入っている必要は無く、その長さは最大で数十mにも達する。また何も無い地面から突然出現するので反応されにくいという利点も持っている。
拘束魔法という括りではあるが、目標に直接突き刺したり薙ぎ払ったりする事で実質的な攻撃魔法にもなる汎用性の高い魔法である。
http://download1.getuploader.com/g/street_fighter/69/image.jpg
残った二体が方向を変えて逃げようとしたところにヴィータが空中から突撃。
「でぇぇぇぇい!!」
ハンマー型アームドデバイス「グラーフアイゼン」を大きく振りかぶって打ち込んだ事により、一体を壁に叩き付けて撃破した。
☆テートリヒ・シュラーク
ヴィータの最も使用頻度の高い魔力付与攻撃(物理攻撃に魔力を使う事で威力や性能を高めた攻撃)。グラーフアイゼンのハンマーフォルムの時にのみ使われる。
ハンマーによる大質量の打撃に魔力が加えられる事でその威力は数倍に跳ね上がり、更にはその魔力により並の魔法であればハンマーで打ち付けて跳ね返す事まで出来るようになる。
近接戦闘での一撃に重点を置く事の多いヴィータのバトルスタイルと非常に相性の良い攻撃である。
http://download1.getuploader.com/g/street_fighter/72/image.jpg
http://download1.getuploader.com/g/street_fighter/73/image.jpg
最後の一体は空中へ逃げたが、ヴィータは間髪入れず追撃に入る。
「アイゼン!」
《Schwalbefliegen!!》
グラーフアイゼンが叫ぶとヴィータの目の前に彼女の掌サイズの鉄球が出現。
それを手に取って上に放り投げ、ハンマーで打ち出すと鉄球は赤い光に包まれて敵を追尾し、着弾すると装甲を貫通して爆発。敵は木っ端微塵に爆散した。
☆シュヴァルベ・フリーゲン
鉄球をハンマーで打ち出す瞬間に魔力でコーティングしてから発射する古代ベルカ式の中距離誘導型射撃魔法。コーティングされた鉄球は加速・誘導・炸裂弾の効果が付与される。
鉄球のサイズを調整して威力をコントロールしたり、小さい鉄球を複数出現させてまとめて打ち出す事でマルチショットも可能。
また鉄球は魔力でコーティングされただけの物体の為、AMF(アンチ・マギリンク・フィールド
☆シュヴァルベ・フリーゲン
鉄球をハンマーで打ち出す瞬間に魔力でコーティングしてから発射する古代ベルカ式の中距離誘導型射撃魔法。コーティングされた鉄球は加速・誘導・炸裂弾の効果が付与される。
鉄球のサイズを調整して威力をコントロールしたり、小さい鉄球を複数出現させてまとめて打ち出す事でマルチショットも可能。
また鉄球は魔力でコーティングされただけの物体の為、AMF(アンチ・マギリンク・フィールド
おかしい…何故か文章が切れる…
日付変わるまで待った方がいいのかな…
☆シュヴァルベ・フリーゲン
鉄球をハンマーで打ち出す瞬間に魔力でコーティングしてから発射する古代ベルカ式の中距離誘導型射撃魔法。コーティングされた鉄球は加速・誘導・炸裂弾の効果が付与される。
鉄球のサイズを調整して威力をコントロールしたり、小さい鉄球を複数出現させてまとめて打ち出す事でマルチショットも可能。
また鉄球は魔力でコーティングされただけの物体の為、AMF(アンチ・マギリンク・フィールド
また鉄球は魔力でコーティングされただけの物体の為、AMF(アンチ・マギリンク・フィールド
今回はここまでにします。
何度もお目汚し失礼しました。
でも原因が分からん…。
☆シュヴァルベ・フリーゲン
鉄球をハンマーで打ち出す瞬間に魔力でコーティングしてから発射する古代ベルカ式の中距離誘導型射撃魔法。コーティングされた鉄球は加速・誘導・炸裂弾の効果が付与される。
鉄球のサイズを調整して威力をコントロールしたり、小さい鉄球を複数出現させてまとめて打ち出す事でマルチショットも可能。
また鉄球は魔力でコーティングされただけの物体の為、AMFの影響で魔力を失っても消滅せずに直前までの勢いで直進するので、物理攻撃とほぼ同じ使い方も出来る。
なお本来は射撃や誘導管制が弱い古代ベルカ式魔法であるが、ヴィータは魔力弾ではなく鉄球という実弾を利用する事でその欠点を補った。
http://download2.getuploader.com/g/street_fighter/75/image.jpg
『残り3体!お願いします!』
「任せなさい!」
1人は掌から気の塊を放ち…
「温いな」
1人は両腕を振り抜いて発生した衝撃波を飛ばし…
「単調だ」
1人は同じく片腕を振り抜いて発生した衝撃波でそれぞれ1体ずつ撃破。
全ての敵を撃破した5人はシャマルの場所へ集合し、話し合いを始めた。
「出現の頻度も数も増えてきているな」
「ああ、動きも段々賢くなってきてる」
最近になって動きが活発化してきた自動操縦の機械の敵。数も出現場所・頻度も決まっていない為、対応が常に後手に回ってしまう厄介な存在である。
しかもそれは学習能力を備えているらしく、戦う度に強くなっているらしい。ザフィーラとヴィータは交戦経験が多いので直ぐにそれに気付けたという訳だ。
「それに魔法じゃない別の力を感じるわ」
シャマルは何かに気付いたようだ。
「似てるけど『気』とも違う力よ。微弱だけどこれは多分…」
「『あの力』…か?」
「異世界にまで『奴』が…。許さん…!」
助っ人三人は心当たりがあるらしい。
「…でもこれ位ならまだ私達だけでも抑えられるわ」
「ド新人に任せるには…ちょっとめんどい相手だけどな」
「仕方あるまい。我等だけでは手が足らぬ」
「その為の…新部隊だもの…」
「はやての…いや…。私達の新部隊…『機動六課』…」
ヴォルケンリッターの3人は言い知れぬ不安を感じながらも新部隊に期待を寄せていた。
「敵の動きが活発化してるんだし自由に動かせる私設部隊の設立は歓迎よ。それにしても思わぬ形で『奴』の尻尾を掴んだわね」
「ああ、この機械を使う敵の中には少なくとも『奴』が関わっている事が分かったというだけでも収穫だ」
「『敵』、か。『外部だけ』だといいんだがな…」
「ではご協力していただいた格闘家の皆さん、私達の家へ帰りましょう!」
「「「……了解」」」
任務を終えた6人はそれぞれの思いを胸に仕舞い、ミッドチルダへ帰還した。
そして数日後に彼等がはやて達と合流する時、時空管理局史上かつて無い巨大な戦力を保有した新部隊…『機動六課』がその産声を上げるのだった。
【アナザーside2…END】
第三話 「機動六課 ー決意と始動ー」…END
今回はここまでにします。
次の話から本格的にストリートファイターのキャラが絡んできます。
第四話「集結 ー思 惑と暗 躍ー」
【リュウside】
[新暦75年 4月某日 ミッドチルダ 中央区湾岸地区 時空管理局・遺失物対策部隊『機動六課』隊舎 部隊長オフィス前]
「なのは、俺もやらなければいかんのか?」
「これも仕事のうちなの。しっかりお願いね」
「なのはの言う事を聞かないと後が怖いですよ?」
フェイトが耳打ちしてきた。
「それもそうだな。恩に着る」
ここは素直に受け入れた方がいいな。
「リュウさん、何か言った?」
「何でもない。しっかりやるさ」
[同場所 部隊長オフィス]
「はい、どうぞー!」
ブザーを鳴らすと入室許可の声が聞こえてきた。
「「失礼します」」
「失礼するぞ」
入室するとそこにははやてとリインが待っていた。
「お、二人はお着替え終了やな!」
「お二人ともすっごくお似合いですー!」
「ありがとう、リイン」
「三人でおんなじ制服姿なんて中学校の時以来やね!なんや懐かしいなぁ」
☆制服姿の四人
http://download5.getuploader.com/g/street_fighter/81/image.jpg
「それにひきかえリュウさんは…」
「俺の服装は自由でいいと言ったのはお前だろう」
「だからっていつもの道着のままっちゅうのはなぁ。こういう時くらい…」
「まあまあ。この人はこういう人だから、ね?」
「そうそう。諦めた方がいいよ、はやてちゃん」
「そやな。諦めよ」
「本人を目の前にして随分な言い草だな」
「二人共、そろそろ…」
「うん」
「…ああ」
なのはに促されて話を切り上げ、本来の目的その一に移る。
「本日只今より高町なのは一等空尉…」
「フェイト・テスタロッサ・ハラオウン執務官…」
「(俺もやるんだよな…)。高町一等空尉の補佐兼遊撃戦闘員リュウ…」
なのはに合わせて三人で敬礼をした。
「以上三名、機動六課へ出向となります!」
「どうぞよろしくお願いします」
「…よろしくお願いします」
俺達三人の挨拶にはやても挨拶で返す。
「はい、よろしくお願いします!」
「「「「………」」」」
気付くと4人が俺をジッと見ていた。しかも全員が何故か今にも笑い出しそうな顔をしている。
「な…何だ急に…」
「「「「あははははは!!」」」」
「リュウさんの敬礼って似合わんわー!想像してたよりずっと似合わんわー!」
「はやて…わ、笑っちゃ失礼…ぷっ」
「そ、そうだよはやてちゃん…でも…」
「やっぱりおかしいですー!」
「……。(もう敬礼はやらんぞ…!)」
「時間にはまだ早かった筈だが…」
「先客が早過ぎるだけだ」
「何だか遅刻した気分ね」
俺が4人に笑われていると3人組の男女が入ってきた。
「お、来たな!3人共こっち来て自己紹介よろしく!」
「お前達は…!」
「…そういえばこっちで会うのは初めてだったな、リュウ」
「確かにそうね。捜査で忙しかったし」
「私は初対面だがな」
これが本来の目的その二。
俺のいた世界からスカウトしてきたメンバーと顔合わせする事になっていたんだ。
「なのは。この人達の事、知ってる?」
「うん。…っていっても知ってるのは女の人だけだし、『あの時』にちょっと、ね」
「…そう。分かった」
「はいはーい、お喋りはそこまでや!では春麗(チュンリー)さんからどうぞ!」
今回はここまでにします。
やっとストリートファイターのキャラを絡ませられた…。
乙。
SF組きたか
>>474
予定より出すのが遅くなりましたw
「紹介の通り私の名前は春麗。元の世界でICPO(国際刑事警察機構)…まあこっちで言う時空管理局みたいなものね。そこで刑事をしているわ。こっちでは客員として機動六課に協力する事になってるの。ちょっと訳ありだけどよろしくね」
「(やっぱりすごい服…。私服なのかな)」
なのはの視線が春麗の顔ではなく服装に向いている。まあ、俺達の世界でもこの格好は珍しいから無理もないか。
☆春麗
http://m.blogs.yahoo.co.jp/bestplayforyou/GALLERY/show_image.html?id
「ガイルだ。元の世界で軍人をやっている。階級は少佐。本来はこんな事をしている暇は無…」
「ガイル、感情を抑えろ」
「…失礼した。訳あって機動六課に配属される事になった」
「(なんかえらくお固い感じの軍人さんやなぁ。コミュニケーション取りにくそうや)」
相変わらず空気を読もうとしない奴だ。第一印象は良くないな。はやての目がそう言っている。
☆ガイル
http://sutokuro-wiki.com/index.php?plugin
「ガイルが粗相をしてすまなかったな。私はナッシュ。ガイルと同じ軍に所属する軍人だ。階級は中尉。同じく訳あって一時的にこちらの部隊へ出向く事になった。短い間だがよろしく頼む」
「俺はリュウだ。ガイルから話は聞いているが会うのは初めてだな」
「君の事は噂で聞き及んでいるが…噂通りの印象だな」
「どういう意味だ?」
「見た者を闘いへ駆り立てる独特の雰囲気を醸し出している」
「そ、そうか。(これは褒められているのか?…そう言えば以前にも誰かに似たような事を言われた覚えが…)」
「(この人、すごく落ち着いた雰囲気だ。ガイル少佐よりは話しやすそう。友達みたいだし少佐と話す時はこの人を通した方がいいかも)」
ガイルから聞いてはいたが、冷静で知的な雰囲気を漂わせている男だな。フェイトもそれを感じて安心しているようだ。
しかしガイル曰く「普段は冷静沈着だが、時として激情家の一面を見せる事がある」そうだがとてもそうは見えんな。
☆ナッシュ
http://www.capcom.co.jp/newproducts/arcade/zero3/files/nash.html
[発足式終了後 同場所 屋上ヘリポート]
俺達四人は正式な入隊手続きと会議の為に屋上のヘリで本局へ向かう事になり、はやて・フェイト・リインと共に屋上へ向かっていた。
「あ、ヴァイス君!もう準備できたんか?」
「準備万端!いつでも出れますぜ!」
威勢のいい返事の主は「ヴァイス・グランセニック」陸曹。ヘリの操縦資格の中でも数少ない最高ランクのA級ライセンスを持っている1人だそうだ。
かつては武装隊に所属していた魔導師だったが、故あって武装隊から退いて元々好きだったヘリパイロットの道を選んだらしい。
「彼は『ヴァイス・グランセニック』陸曹。機動六課の専属ヘリパイロットや」
「どーも始めまして!あんた達が噂の格闘家の皆さんですか!よろしくお願いします!」
「うわぁ…。このヘリ、結構新型なんじゃない?」
フェイトがヘリを見て驚いた。
「JF-704式!一昨年から武装隊で採用され始めたばかりで生産数も少ない新鋭機です!機動力も積載能力も一級品ッスよー!こんな機体に乗れるってなぁパイロットとしちゃ幸せでしてねぇ!二ヒヒッ♪」
「…グランセニック陸曹。そのヘリについて質問したいんだが…いいだろうか?」
「ヴァイスでイイッスよ!コイツに興味を持ってもらえるなんて嬉しいッス!何なりと!」
ガイルがこのヘリに興味が湧いたらしい。長くならないといいが…。
今回はここまでにします。
これからうんちくが結構入ってきます。
そして、その組織を含む何者かが使用していると思われる魔導機械がこちら。通称『ガジェットドローン』。レリックを始め特定のロストロギアの反応を捜索し、それを回収しようとする自立行動型の自動機械です」
☆ガジェットドローン(左上)、レリック(左下)
http://download4.getuploader.com/g/street_fighter/84/image.jpg
「私達がヴォルケンリッターの人達と一緒に闘った機械ね」
「俺達の敵ではなかったが学習しているだけあって機械にしては動きが悪くなかったな。機械にしてはだが」
「我々機動六課はこの何者かの企みを阻止する事を第一の目的とし、災害や犯罪にも迅速且つ確実に対処していく所存です」
はやてが会議を締め括ると形式的な軽い拍手が起こった。出席者の雰囲気や表情から察するにはやてや機動六課の事を快く思っていない者が少なからずいるようだ。
やはり若者が大きく出るのが気に入らないのだろうか。
「………」
その中でも一際険しい表情の人物が一人。名は「レジアス・ゲイズ」中将。ミッドチルダ地上本部総司令官だ。
☆レジアス・ゲイズ
http://download4.getuploader.com/g/street_fighter/85/image.jpg
「犯罪者が…!」
はやてを見ながら呟くレジアス中将の声が聞こえた。聞き間違いでなければ「犯罪者」と言っていたが…はやてが犯罪者?そんな事は有り得ない。何かの間違いに決まっている。さっさと忘れよう。
[会議終了後 移動中 ヘリ内部]
思いの外疲れてしまった。やはり会議のような堅苦しい場は苦手だ。
「………」
機動六課での発足式の直後からナッシュの様子がおかしい。会議も上の空で難しい顔をしながら考え込んでいて一言も喋っていない。まだ何が気掛かりでもあるのか?
今回はここまでにします。
StrikerSを知らない人の為の簡単な説明として入れた話でしたが…やはり長過ぎますかねぇ…。
ええんでない
>>566
じゃあ気にしないでおこうかなw
ちなみに「StrikerSを知らない人の為」じゃなくて「リリカルなのはシリーズを知らない人の為」の間違いでした。
追いついたー乙 技解説いいわー
なのはの方はともかく滅波動が殺意の波動とか初めて知った
ウルⅣ楽しみだねぇ
>>568
読んで下さってありがとうございます!
滅波動が殺意の波動を使っているというのは公式ではないんですが、
○名前に「滅」の名前が入っている
○滅波動の色が豪鬼の殺意の波動の色でもある紫色になっている
という理由から結びつけてみました。
同じように他の技もかなりの割合で独自解釈やオリジナル設定を入れてます。
ウル4は好きなキャラの一人であるロレントが復活するので今から楽しみですw
[数十分後 機動六課隊舎]
隊舎に到着するとヴァイスは用事で足早に帰って行った。
俺達も解散してそれぞれの部屋へ向かおうとしたその時…
「…やはり解せん」
突然ナッシュが呟 く。
「…やはりか」
「正直な所、私もよ」
三人共同じ事を考えていたらしい。
「何が解せないんだ?」
俺は三人に質問した。
「年齢層だ。八神部隊長達は仕方ないとしよう。私達の世界でもティーンエイジャーで軍人になる者は確かにいる。だがあの10歳前後の子供達…。あんな幼子まで戦場、しかも最前線に駆り出すとは時空管理局という組織は何を考えている…!!」
「あまり言いたくなかったんだが…。中立的立場で見ても子供の才能以上に大人の不甲斐無さや子供の命を軽視し過ぎている点を指摘せざるを得ないな」
「私が20歳で特別捜査官に任命された時でさえ『女が出しゃばるな』だとか『父の名前を利用した卑怯者』だとか『経験も無い若者に任せるのは危険極まりない』だとか散々な言われようだったからちょっと…ね」
ナッシュははやて達の時は一応の納得をしていたようだが、いざその年齢の子供を目の当たりにして考えが戻ってしまったようだ。
「ナッシュ中尉…」
「ですがあの子た…」
「はやて、フェイト、それは俺から言おう。聞いてくれナッシュ」
「…聞くだけは聞こう」
「俺はフォワード陣の年上の2人と闘った事がある。模擬戦のようなものだがな」
「……」
「…その時の彼女達の目は年齢相応のそれではなく真剣で直向きなものだった。思いが強過ぎて多少のトラブルが起こってしまった程で、仲間の為に自分の身を投げ出す覚悟もあった。彼女達は遊び半分や強制ではなく自らの意志で信念を貫く為にその道を選んだんだ。
そしてその子達を部隊へ引き抜こうと決めたのはなのはだが見つけてきたのははやてだ。はやての人材を見る目は正しかったという事だと思う。
他の二人もフェイトが選んできたんだが、きっとその子達も同じように自らの意志で闘いの道を選んだんだろう。俺ははやてもフェイトも…そしてなのはの事も信頼している。だから三人の選択を信じたい。あの子達をもう少し長い目で見てやって欲しいんだ」
「「(リュウさん…)」」
「フッ…。『孤高の求道者』とも呼ばれていた事がある君にそこまで言わせるとは大したものだ。だがこればかりはこの目で確かめなければ信じる事は出来ん。そこまで言うなら腕試しをさせて貰いたいものだ。八神部隊長、如何だろうか?」
はやては目を閉じてしばし考え込んだ。そして目を開けてナッシュに返答を述べる。
「…信頼していただく為にも必要なようですね。分かりました、模擬戦を行いましょう」
「急な申し入れを受け入れて頂いて感謝する」
何とか上手くまとまりそうだな。良かった。
「いえ、あの子達にもいい経験になるでしょうから。期日は二週間後で宜しいですか?」
「ああ、構わない。チームプレーを特訓する時間は必要だからな」
「ありがとうございます。では人数はどうしますか?あなた方の実力は理解しているつもりです。ですからこちらとしてはチーム単位で動く事が前提なのでフォワード2人対そちら1人かフォワード4人対そちら2人を考えているんですが…」
「私を甘く見ているのか?こちらは私一人でいい。君達のチームは全員で掛かって来るんだ」
「え?」
「ナ、ナッシュ!」
「ちょっとあなた…」
「……。(始まったか…)」
「ナッシュ中尉!あなたにも『ボディリミッター』は付いてるんですよ!?」
ボディリミッターとは身体能力を制限する特殊なリミッターだ。この世界では部隊毎に保有出来る魔力ランクの総計規模が決まっており、その総計を超えてはならない。
その為機動六課に配属されたなのは達隊長・副隊長は魔力の出力を制限する『能力限定』という出力リミッターでランクを下げられているが、魔力の無い俺達は代わりに身体能力を制限されている。
俺達格闘家は明確な数値化や評価が難しい為、暫定的に全員がSランク扱いとなっているので同じようにランクを落とす必要があったからだ。
そのリミッターにより身体能力は70%まで落ちる。肉体そのものが武器となっている俺達は身体が自由に動かせなくなるのが大き過ぎるハンデになっており、出力が制限されるだけで使える魔法やその操作性能等が制限される訳ではない出力リミッターより遥かに厳しい措置だ。
しかも身体能力の低下を気の力で補える俺や春麗と違って純粋に肉体のみで闘うガイルとナッシュは特にその影響が大きい。
「いくら何でもそんな状態で四人相手なんて…!!」
「聞こえなかったか?1対4だ。力が抑えられているなら手加減の必要が無くて余程やりやすい」
ナッシュの目は本気だ。だが何故…。
「…ナッシュ中尉。本気なんですね?」
「くどいな。もっとハンディキャップを付けてやると言っている。お望みなら君も加わってもいいが?子供だらけなら結果は変わらんと思うがな」
ナッシュは眼鏡を指で直しながら冷ややかな目ではやてを見つめて言い放った。
「ッ!…では準備はこちらで進めておきます……!」
「…これで失礼する」
ナッシュは足早にその場を去った。しかし流石にはやても怒りを隠し切れないようで、人目を憚らず歯噛みしている。端から見ている俺でさえも目に余る挑発だ。無理もない。
「(だがナッシュの目…複雑な感情が見え隠れしている…。恐らくは単に子供の事を心配しているだけではない。あそこまで言ったのも何か理由が…)」
今回はここまでにします。
これからは投下が本当に不定期になります(と言っても長くて数日程度の間隔にするつもりですが)。
「何なんやあの人!あの子達をバカにして!」
「私も正直…言い過ぎだと思うな…」
「リインもあの人キライですー」
三人ともかなり苛立っている。話し掛けるのも難しい状態だ。
しかしこの空気の中でガイルが二人に話し掛けた。
「八神部隊長、ハラオウン執務官。ナッシュの事で聞いて欲しい話がある」
ナッシュの名前を出した途端、二人が静かになる。
「…何ですか?」
「…手短にお願いします」
「ナッシュは普段は冷静だが…見ての通り一度感情に火が付くと俺でも止められなくなる。本来のあいつは穏やかで優しいんだ。特に…子供には…。軍人でいられるのが不思議な程にな。ナッシュがいたからこそ俺はただの殺人機械にならずにいられたんだ」
「だったらどうしてあんな事を!」
「子供でも自分の意志で決めて立派に戦えるという事ははやてが説明してあの人も納得したじゃないですか!」
「そういう問題ではないんだ。あいつは…いや、これ以上は俺の口からは言えん」
「…ではこれ以上の問答は無意味ですね」
「…私達は失礼させて貰います」
「待つんだ!…一つだけ覚えておいてくれ。あいつは決して無意味に人を侮辱する男ではない。だからこの腕試しにも必ず意味があるんだ」
「…覚えておきます」
「…ありがとうございました」
「リインも帰るです」
三人はガイルの顔を見ずに部屋へ帰って行った。
「私、以前にナッシュと協力して捜査した事があったけどあんな彼は見た事が無いわ」
「ガイル、ナッシュは心に傷を負っているんだな?」
「!?…見抜いていたのか」
「意外ね。彼は感情を理性で抑え込めるタイプだと思ってたわ」
「理由は…本人から聞くしか無いようだな」
「すまんな。こればかりは俺の口から言う訳にはいかないんだ。だが…」
「だが?」
「当日になればその理由が分かる。あいつは腕試しを通して子供達に何かを伝えようとしている筈だからな」
「…全てはその時に、か」
「やれやれ。ガイルも頑固だと思ってたけどあなたよりナッシュの方が何倍も頭が固いわね」
「ああいう性格だからこそ『奴等』の息の掛かった上層部に昇進の道を閉ざされて田舎送りにされたのさ。本来ならナッシュは下で燻るような器ではない。俺が少佐になったのはあいつが動きやすいように階級を上げて守ってやる為だったんだ。まあ、あいつは逆に田舎送りを利用して独自に動き出したんだがな」
「さっきは私も否定的な事を言ったけど…あそこまで言われると流石にあの子達に少し同情するわ。どんな思惑があるのか知らないけどあんな言い方したら簡単に聞き入れて貰えないんじゃないかしら」
「俺達があれこれ言ってもどうにかなる訳じゃない。この話はここまでにしよう」
「ま、それもそうね。じゃあ私達も部屋に戻りましょう」
「……。(ナッシュ…。やはり『あれ』を引き摺ったままだったか…)」
俺はナッシュの言動に動揺を隠せなかった。ナッシュの心の傷とは何なのか、子供達に何を伝えようとしているのか、そればかりが頭の中を巡っていた。
だが俺がいくら考えても分かる訳も無く、ガイルの言葉を信じてその日を待つしかなかった。
そして時は流れ、二週間後の当日を迎える。
【リュウside…END】
今回はここまでにします。
まだ説明的な展開が結構続きます。
【スバルside】
あたし達は昇格試験に合格した直後に八神二佐へ入隊の意志を伝え、その日のうちに手続きを終了。
そして陸士386部隊の隊舎を引き払う為に荷物を整理して機動六課の隊舎へ送った。後は発足式を待つのみ!
[新暦75年 4月某日 ミッドチルダ 中央区湾岸地区 時空管理局遺失物対策部隊機動六課 隊舎]
とうとう発足式の日がやってきた。ティアと一緒にホールへ向かうと既に大勢の人が集まっていた。結構早めに来た筈なのにみんな早いなぁ。
所定の位置へ向かうとそこには既にあたし達以外のフォワードの2人が待っていた。
「おはようございます!『エリオ・モンディアル』三等陸士です!これから皆さんとフォワードとしてご一緒させていただく事になりました!よろしくお願いします!」
年齢は10歳くらいかな?あたしより年下だけど随分真面目そうな男の子だ。
「はじめまして。『キャロ・ル・ルシエ』三等陸士であります。第6管理世界・アルザスの少数民族「ル・ルシエ」出身です。それから…この子は『フリードリヒ』。私の竜です」
「キュクルー♪」
男の子よりも年下に見える女の子だなぁ。しかも竜の子供を連れているなんて珍しい。
☆(左から)キャロ・ル・ルシエ、エリオ・モンディアル、フリードリヒ
http://download4.getuploader.com/g/street_fighter/80/image.jpg
二人の自己紹介の後にあたし達も軽く自己紹介。そうこうしているうちに八神二佐が壇上に上がってきて発足式が始まった。
八神二佐がフォワード陣の紹介をするとリュウさんの側にいる眼鏡をかけた男性が真剣な顔をしながらじっとこっちを見つめてきた。思わず目が合ってしまったので慌てて目を逸らす。
「(びっくりしたー。…あたし達の事がそんなに気になるのかな?)」
そしてしばらくしてからその男性をチラリと見ると、その男性は壇上に顔を向けながら難しい顔をして考え込んでいるようだった。
「(何だか妙に心に引っかかる顔だなぁ。ただあたし達が気になるってだけじゃない気がする)」
[発足式終了後 同場所 廊下]
「思ったよりも随分早く終わったねー」
「あんたがうたた寝しなくて済んだわね」
「ひっどいなー、ティア」
「お二人は仲がよろしいんですね」
「私、ずっと独りだったから楽しくお話できるお二人が羨ましいです」
発足式の後でなのはさんのオフィスへ向かう事になっていたあたし達フォワード陣は、全員で廊下を歩きながら話をしていた。
「そうだ、今のうちに互いの経験とかスキル確認しときましょ」
ティアが空いた時間を利用して情報交換を提案した。
「では部隊分けとコールサインの確認もしておきましょう、ランスター二士」
エリオ君も提案してきた。小さいのにしっかりしてるなー。
今回はここまでにします。
説明的な展開が続くとは言いましたが、やっぱりそこはごっそりカットします?
力を求めてから数十年後、顔には深い皺が刻まれ筋肉は空気の抜けた風船のように萎んだ。老齢である。
座して死を待つのみとなった彼は絶望する。
「このままでは野望が潰える。何者にも成れずに終わってしまう」
それでも彼は諦め切れなかった。彼は祈った。
「何を引き換えにしてもいい…力を…力を!!」
魂の慟哭に神か悪魔か謎の声が応えた。
『求める者よ。野望の為に人の身を…人としての生を捨てる覚悟はあるか?』
彼に迷いは無く、一も二も無く答えは決まっていた。
「このまま何も成せず…何者にも成れず…朽ち果てるのを待つのが人としての我が運命ならば!人の生など要らぬ!!」
『ならば受け取れ、比類無き野望の男よ。その野望がそなたに強大にして無限の力を宿らせるであろう』
その瞬間、人間としての彼の生は終わりを告げた。
『魔人』の誕生である。
「我が名は『ベガ』…。人より生まれし地獄の魔人!この『サイコパワー』にて我が覇道を突き進み、我が野望を成就せん!!」
[四月某日 とある別世界 秘密基地]
「……夢か。久しいな」
ベガは玉座にて夢を見ていた。それはかつて自分が人間であった頃の記憶。忌まわしい過去だ。
「(人を捨ててから今まで見る事の無かった夢…。それも思い出すのも忌々しい人だった頃の記憶だが…『時』は近いという事か?)」
ベガがしばし物思いに耽っていると、部下がコールを入れてきた。
「御寛ぎのところを失礼致します、ベガ様。『ドクター』からの通信です」
「繋げろ」
モニターには白衣姿の若い男が映し出された。
「お久しぶりですねぇ、総帥殿。この度は…」
「挨拶はいい。要件を言え」
「おおっと、これは失礼。『例の計画』の進行状況の確認をと思いましてね。こちらの準備は整いました。そちらはいかがですか?」
「白々しい奴め…。サンプルデータがあれば直ぐにでも完成するわ。そのデータを収集する役目を買って出たのは貴様であろう。その件はどうなっている?」
「これは失礼!うっかりしていました!」
「ふざけおって…。早く答えろ!」
「勿論抜かりはありませんよ。総帥殿のお陰で準備は完璧です。『彼』は格闘家に大変興味を持っていらっしゃるので実に煽りやすかったですからね。その彼から近々『格闘大会』が開催されるとの連絡がありました」
「…ほう、他の世界でも行われる事があるとは初耳だ」
「私もこのような催しは経験がありませんが…格闘家はミッドチルダ中の注目の的ですから多数の格闘家を抱える『機動六課』は自然と注目されます。恐らくは彼の思惑と機動六課の思惑が偶然にも重なった、といった所でしょう。嬉しい誤算ですよ。これは面白いデータが取れそうですね」
「格闘家と魔導師の闘い…今度はじっくりと楽しめそうだな。よし、試合の様子をリアルタイムで送れ」
「総帥殿の御力とシャドルーの技術提供のお陰でこちらの研究も『娘達』の調整も捗りましたからね。その程度はお安いご用です。…ところで総帥殿、近々御一緒に食事でも如何でしょうか?」
「断る。他人との食事に興味は無い」
「フフフ…連れない御方だ。ではこれにて失礼致します、総帥殿」
「待て、ドクター」
「…まだ何か御用ですか?」
「くれぐれもこのベガを裏切ってくれるなよ?」
「信用無いですねぇ。総帥殿の信用を得る為にこちらの技術や情報を提供したというのに。私は裏切ったりしませんよ。(そう、『裏切る』なんて事は有り得ない)」
「…もういい、通信終了だ」
「では御機嫌よう、総帥殿」
通信を終了してからベガが呟く。
「ドクター『ジェイル・スカリエッティ』…。フン、相変わらず考えの読めぬ男よ。だが今はあの男の頭脳と力が必要だ。時が来るまでせいぜいこのベガの手足として働くがよいわ」
敵は動き出した。
水面下で静かに、そして着実に計画は進んでいる。
ベガは野望成就の為の全ての駒が整いつつある事を直感していた。
ここよりある者にとっては長く、ある者にとっては短い一年間の闘いの火蓋が切って落とされた。
☆ジェイル・スカリエッティ
http://download4.getuploader.com/g/street_fighter/91/image.jpg
【エネミーside…END】
第四話「集結 ー思惑と暗躍ー」
今回はここまでにします。
次の話はナッシュ無双で行きます!
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