闇ライナー『代われよ』ライナー「ダメだ」(13)

闇ライナー『あ?それは元々俺の身体だろうが』

アルミン「やっぱり違ってた?」

ライナー「いや、悪くはないんだが。ここを囮に使うと、囮になったやつは高確率で逃げられない」

ライナー(今の俺は兵士だ。戦士じゃない)

ライナー「次の段階で何が起こるのかわからない以上、人員の損害は避けるべきだ」

アルミン「でも、作戦を成功させなけゃ、次の段階にも進めないよ」

ライナー「非情な作戦で仲間がついてくるのか?」

アルミン「うーん…」

エレン「アルミン。ライナーの言う通りだ。信頼がないと、連携もとりにくい」

アルミン「…うん、そうだね」

マルコ「じゃあ、こっちのルートを使う作戦の方が良いのか」

ライナー「そうなるな。成功率は低くなるが、成功すれば全員無傷だ」

闇ライナー『はっ!そうやって良いやつを演じ続けるのか?』

ライナー(黙れ。今はお前はお呼びじゃない)

闇ライナー『あ?』

ライナー(戦士として活躍するまで、お前は大人しくしてろ)

闇ライナー『大人しくしてていいのか?こいつらとの絆を深めていくことで、お前自身がより大きく傷つくことになるんだぞ?』

ライナー(承知の上だ)

闇ライナー『そうかよ。勝手にしろ』

マルコ「うん。これがベストだ」

アルミン「じゃ、この作戦をまとめて、教官に提出するね」

ライナー「頼んだぞ、未来の作戦参謀さんよ」ポン

アルミン「なれるかわからないよ」

エレン「アルミンならなれるさ」

ライナー「ああ、そうだ」



教官「今回の訓練は、貴様らにこの崖を登ってもらう!」

コニー「うぇっ」

ジャン「傾斜がキツすぎんだろ」

教官「もちろん、命綱はなしだ!」

ジャン「マジかよ!」

サシャ「死にたくないです…」

教官「さっさと登れ!落ちなければ済む話だ!」

エレン「よしっ」ガッ

ミカサ「…」ガッ

コニー「うげぇぇ…」

ライナー「登るぞ、ベルトルト」ガッ

ベルトルト「うん」





ライナー「結構きついが、大丈夫か?ベルトルト」ガッ

ベルトルト「なんとか…」

ライナー「少しここで休むか」

ベルトルト「岩に掴まるだけでも精一杯さ」

エレン「はぁ…はぁ…」ガッ

ミカサ「エレン。ゆっくり、確実に。早く登りきろうとしない」ガッ

エレン「わかってる!」

ライナー「エレンのやつ、張り切ってるな」

ベルトルト「もうあんな所か」

アルミン「はぁ…はぁ…」ガッ ガッ

ライナー「おいおい。アルミン!大丈夫か!?」

アルミン「はぁ…大丈夫…このくらいで…二人に…遅れるわけには…」ガッ

ライナー「あのペースじゃ、いつか落ちるな」

ベルトルト「うん…」

ライナー「仕方ねえな」ガッ

ベルトルト「ライナー!?」

ライナー「アルミンを助けてくる」ガッ ガッ



アルミン「はぁ…はぁ…」

ライナー「アルミン、大丈夫か?」ガッ

アルミン「う…ん…」

ライナー「少し休め。俺が支えてやる」スッ

アルミン「いや…大丈夫…」

闇ライナー『チャンスだぞ』

ライナー(なんだ?こんな時に)

闇ライナー『アルミンを殺すチャンスだ。ここから突き落とせば、即死だ』

ライナー(なっ…)

闇ライナー『こいつの頭の良さは後々脅威になる。今のうちに排除しておく必要がある』

ライナー(待て。アルミンは身体能力が低くて、一人前の兵士になれるかどうかも怪しい。排除するにしても、訓練兵を卒業してからでも遅くないだろ)

闇ライナー『一人前の兵士になってから、崖を登ることはあるのか?他の訓練と比べても、自然な事故死に見せるのはこの機会しかないぞ』

ライナー(だが…)

闇ライナー『作戦失敗のリスクを背負うのか?故郷に帰りたくはないのか?お前は何のために壁の中に来たんだ?』

ライナー「俺は兵士だ。仲間は助ける」

アルミン「お荷物は…ごめんだよ…!」ガッ

ライナー「あっ、おい!」

闇ライナー『よかったな。お前が落とさなくても、自爆してくれるだろうよ』

ライナー「…」

アルミン「はぁ…はぁ…」ガッ ガッ

ズルッ

アルミン「!?」

アルミン「うわああああ!」ズルズル

ライナー「アルミン!」ガシッ

アルミン「はぁ、はぁ…」ブラーン

闇ライナー『ちっ、代われ!支えきれなくなったと見せかけて下に落としてやる!』ギュイイイ

ライナー(やめろ!) ギュイイイ

闇ライナー『くそっ!抵抗しやがって!』

ライナー「うぐぐ…」ギリギリ

アルミン「ありがとう、ライナー。もう大丈夫だから」ガッ

ライナー「はぁ、はぁ、はぁ…」


ベルトルト「…」

アルミン「ごめん、ライナー。僕のせいで無駄に体力を消耗させてしまって」

ライナー「お前が無事なら安いもんだ。無駄口叩かずに、さっさと登るぞ。今度は確実に、ゆっくりな」ガッ

アルミン「うん。本当にありがとう」ガッ

闇ライナー『どんなに善行をしようが、俺たちが殺人鬼なのは変わらないぞ?』

ライナー(黙れ)ガッ

闇ライナー『エレンや、アルミンの家や家族を奪ったのも俺たちだぞ?』

ライナー(黙れ!)ギリリ

アルミン「ごめん、ライナー…」

ライナー「いや、違う。疲れてるわけじゃない」ガッ

アルミン「でも、苦しそうな顔を」

ライナー「いいから黙って登れ!お前に他人を心配する余裕があるのか?」

アルミン「ご、ごめん」ガッ



教官「全員よく登った。しかし」

教官「アルレルト!」

アルミン「ハッ!」

教官「貴様!あのザマは何だ!?ブラウンが助けなければ貴様は死んでいたぞ!」

教官「訓練を完全に達成できなかった罰だ!晩飯まで走ってろ!」

アルミン「ハッ!」

教官「それにブラウン!」

ライナー「ハッ!」

教官「貴様もだ!貴様も巻き添えになって落下する危険性もあった!これが訓練であるから、もし落ちようがよかったものの、実戦で落ちては作戦行動に支障をきたす!わかるか!?」

ライナー「ハッ!承知の上での行動でした!」

教官「よし!貴様も晩飯まで走ってろ!」

ライナー「ハッ!」



アルミン「はぁ…はぁ…ごめん、ライナー。僕のせいで…」タッタッ

ライナー「気にするなって。それより大丈夫か?落ちそうになった時に手を擦りむいたようだが」タッタッ

アルミン「はぁ…はぁ…これぐらいは…大丈夫…さ」タッタッ

ライナー「そうか」タッタッ


教官「終わりだ!休んでいいぞ!」

アルミン「はぁぁ…」ヘナヘナ

ライナー「ふう…汗だくだ」

教官「ブラウン!後で教官室に来い!」

ライナー「えっ、あ、ハッ!」バッ

アルミン「はぁ…はぁ…なんだろう…」

ライナー「さあな。立てるか?アルミン」

アルミン「大丈夫…立てるから気にしないでくれ」スッ

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