闇ライナー『あ?それは元々俺の身体だろうが』
アルミン「やっぱり違ってた?」
ライナー「いや、悪くはないんだが。ここを囮に使うと、囮になったやつは高確率で逃げられない」
ライナー(今の俺は兵士だ。戦士じゃない)
ライナー「次の段階で何が起こるのかわからない以上、人員の損害は避けるべきだ」
アルミン「でも、作戦を成功させなけゃ、次の段階にも進めないよ」
ライナー「非情な作戦で仲間がついてくるのか?」
アルミン「うーん…」
エレン「アルミン。ライナーの言う通りだ。信頼がないと、連携もとりにくい」
アルミン「…うん、そうだね」
マルコ「じゃあ、こっちのルートを使う作戦の方が良いのか」
ライナー「そうなるな。成功率は低くなるが、成功すれば全員無傷だ」
闇ライナー『はっ!そうやって良いやつを演じ続けるのか?』
ライナー(黙れ。今はお前はお呼びじゃない)
闇ライナー『あ?』
ライナー(戦士として活躍するまで、お前は大人しくしてろ)
闇ライナー『大人しくしてていいのか?こいつらとの絆を深めていくことで、お前自身がより大きく傷つくことになるんだぞ?』
ライナー(承知の上だ)
闇ライナー『そうかよ。勝手にしろ』
マルコ「うん。これがベストだ」
アルミン「じゃ、この作戦をまとめて、教官に提出するね」
ライナー「頼んだぞ、未来の作戦参謀さんよ」ポン
アルミン「なれるかわからないよ」
エレン「アルミンならなれるさ」
ライナー「ああ、そうだ」
…
教官「今回の訓練は、貴様らにこの崖を登ってもらう!」
コニー「うぇっ」
ジャン「傾斜がキツすぎんだろ」
教官「もちろん、命綱はなしだ!」
ジャン「マジかよ!」
サシャ「死にたくないです…」
教官「さっさと登れ!落ちなければ済む話だ!」
エレン「よしっ」ガッ
ミカサ「…」ガッ
コニー「うげぇぇ…」
ライナー「登るぞ、ベルトルト」ガッ
ベルトルト「うん」
ライナー「結構きついが、大丈夫か?ベルトルト」ガッ
ベルトルト「なんとか…」
ライナー「少しここで休むか」
ベルトルト「岩に掴まるだけでも精一杯さ」
エレン「はぁ…はぁ…」ガッ
ミカサ「エレン。ゆっくり、確実に。早く登りきろうとしない」ガッ
エレン「わかってる!」
ライナー「エレンのやつ、張り切ってるな」
ベルトルト「もうあんな所か」
アルミン「はぁ…はぁ…」ガッ ガッ
ライナー「おいおい。アルミン!大丈夫か!?」
アルミン「はぁ…大丈夫…このくらいで…二人に…遅れるわけには…」ガッ
ライナー「あのペースじゃ、いつか落ちるな」
ベルトルト「うん…」
ライナー「仕方ねえな」ガッ
ベルトルト「ライナー!?」
ライナー「アルミンを助けてくる」ガッ ガッ
アルミン「はぁ…はぁ…」
ライナー「アルミン、大丈夫か?」ガッ
アルミン「う…ん…」
ライナー「少し休め。俺が支えてやる」スッ
アルミン「いや…大丈夫…」
闇ライナー『チャンスだぞ』
ライナー(なんだ?こんな時に)
闇ライナー『アルミンを殺すチャンスだ。ここから突き落とせば、即死だ』
ライナー(なっ…)
闇ライナー『こいつの頭の良さは後々脅威になる。今のうちに排除しておく必要がある』
ライナー(待て。アルミンは身体能力が低くて、一人前の兵士になれるかどうかも怪しい。排除するにしても、訓練兵を卒業してからでも遅くないだろ)
闇ライナー『一人前の兵士になってから、崖を登ることはあるのか?他の訓練と比べても、自然な事故死に見せるのはこの機会しかないぞ』
ライナー(だが…)
闇ライナー『作戦失敗のリスクを背負うのか?故郷に帰りたくはないのか?お前は何のために壁の中に来たんだ?』
ライナー「俺は兵士だ。仲間は助ける」
アルミン「お荷物は…ごめんだよ…!」ガッ
ライナー「あっ、おい!」
闇ライナー『よかったな。お前が落とさなくても、自爆してくれるだろうよ』
ライナー「…」
アルミン「はぁ…はぁ…」ガッ ガッ
ズルッ
アルミン「!?」
アルミン「うわああああ!」ズルズル
ライナー「アルミン!」ガシッ
アルミン「はぁ、はぁ…」ブラーン
闇ライナー『ちっ、代われ!支えきれなくなったと見せかけて下に落としてやる!』ギュイイイ
ライナー(やめろ!) ギュイイイ
闇ライナー『くそっ!抵抗しやがって!』
ライナー「うぐぐ…」ギリギリ
アルミン「ありがとう、ライナー。もう大丈夫だから」ガッ
ライナー「はぁ、はぁ、はぁ…」
ベルトルト「…」
アルミン「ごめん、ライナー。僕のせいで無駄に体力を消耗させてしまって」
ライナー「お前が無事なら安いもんだ。無駄口叩かずに、さっさと登るぞ。今度は確実に、ゆっくりな」ガッ
アルミン「うん。本当にありがとう」ガッ
闇ライナー『どんなに善行をしようが、俺たちが殺人鬼なのは変わらないぞ?』
ライナー(黙れ)ガッ
闇ライナー『エレンや、アルミンの家や家族を奪ったのも俺たちだぞ?』
ライナー(黙れ!)ギリリ
アルミン「ごめん、ライナー…」
ライナー「いや、違う。疲れてるわけじゃない」ガッ
アルミン「でも、苦しそうな顔を」
ライナー「いいから黙って登れ!お前に他人を心配する余裕があるのか?」
アルミン「ご、ごめん」ガッ
…
教官「全員よく登った。しかし」
教官「アルレルト!」
アルミン「ハッ!」
教官「貴様!あのザマは何だ!?ブラウンが助けなければ貴様は死んでいたぞ!」
教官「訓練を完全に達成できなかった罰だ!晩飯まで走ってろ!」
アルミン「ハッ!」
教官「それにブラウン!」
ライナー「ハッ!」
教官「貴様もだ!貴様も巻き添えになって落下する危険性もあった!これが訓練であるから、もし落ちようがよかったものの、実戦で落ちては作戦行動に支障をきたす!わかるか!?」
ライナー「ハッ!承知の上での行動でした!」
教官「よし!貴様も晩飯まで走ってろ!」
ライナー「ハッ!」
…
アルミン「はぁ…はぁ…ごめん、ライナー。僕のせいで…」タッタッ
ライナー「気にするなって。それより大丈夫か?落ちそうになった時に手を擦りむいたようだが」タッタッ
アルミン「はぁ…はぁ…これぐらいは…大丈夫…さ」タッタッ
ライナー「そうか」タッタッ
教官「終わりだ!休んでいいぞ!」
アルミン「はぁぁ…」ヘナヘナ
ライナー「ふう…汗だくだ」
教官「ブラウン!後で教官室に来い!」
ライナー「えっ、あ、ハッ!」バッ
アルミン「はぁ…はぁ…なんだろう…」
ライナー「さあな。立てるか?アルミン」
アルミン「大丈夫…立てるから気にしないでくれ」スッ
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