「というわけで、儂が今日から先生じゃ」
「どういうわけだよ」
昔、ぱにぽにだっしゅというアニメがあって偶然にも物語シリーズと同じ制作会社だったこともあり、ここに『レベッカ・忍』先生が爆誕したということらしい。
「出席を取るぞー」
「僕以外に他に誰が居るってんだよ」
「四の五の言わずに席につけー」
渋々私室の勉強机の椅子に僕が腰掛けると。
「さて、ルーズに恋するお前様よ」
「誰がルーズに恋してるって?」
ルーズソックスなんて今時誰も履いてない。
「儂は子供先生になったわけじゃが」
「見た目だけはな」
見た目は子供、中身は600歳の生き字引だ。
「幼いからと言って馬鹿にしてはならんぞ」
「コーラを一気飲みでもしてみせるのか?」
「コーラどころか儂はお前様の生き血を一気飲みしたことを忘れたのか?」
「仮にも教師が生徒の生き血を飲むな」
僕の生き血を飲んでゲップをされても困る。
「ところで忍先生」
「なんじゃ?」
「MITって略さずに言ってみろよ」
「まちゃちゅーせっちゅこーかだいがく」
「オメガかわいい!!」
定番の噛みギャグは定番だからこそ至高であり、八九寺もびっくりの神っぷりであった。
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「これお前様よ。先生で遊ぶな」
「おっと。僕としたことがお前という太陽の乱反射でくらっときちまったぜ」
「かかっ。吸血鬼たる儂が太陽とはな」
牙を見せつけるように満面の笑顔の忍先生。
「ところで我が生徒様よ」
「生徒様って呼び方は斬新だな」
「先生の席はどこじゃ?」
「僕の膝の上にでも座ってろよ」
「ふむ。では、遠慮なく」
忍のキュートなお尻が僕のお膝に乗っかる。
「かかっ。子供先生の特権じゃな」
「生徒様の冥利に尽きるぜ」
これが黄色いバカンスかと、クラクラした。
「ぶんぶんぶぶん!」
「おーなみばんばばんばーん、じゃ!」
ライ麦畑ではない。ここは菜の花畑である。
「しかし忍先生」
「なんじゃ我が生徒様よ」
「いつまでも幼女ってのは不憫だよな」
「かかっ。何を今更」
見返り美人とはよく言ったもので、ちらとこちらを振り向いた忍は黄金のサファイアみたいな眼差しに切なさを秘めて、独りごちた。
「生徒様にとっての先生がいつまで経っても先生であるのと同じように、お前様にとっての儂はいつまでも幼女であろう」
初めて出会った時、忍は四肢を欠損したキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードであり、死に瀕してもなお美しい吸血鬼に文字通り血迷った僕が首筋を差し出して、目を覚ますと幼女の姿となっていた。
「おかっぱ頭のお前が懐かしいよ」
「髪型くらい、いつでも変えてやるわい」
「いや、いいよ。僕は記憶力が良いほうではないけれど、それでも忘れはしないからさ」
頭を撫でようと伸ばした手が虚空を彷徨う。
「ふん。遠慮せずに頭を撫でよ」
「でも、僕はもう眷属じゃない」
「では儂はあるじ様の従僕か?」
「いや僕はそんなつもりは……」
僕は現在たしかに忍の主人かも知れないがそれでも従僕扱いしたことはない。その資格も資質も持ち合わせてないから。だから僕は。
「僕はいつまで経ってもお前の従僕だよ」
「かかっ。であるならば、撫でるがよい」
躊躇いつつ柔らかな金髪に触れて、撫でた。
「ふあっ……ふん。なんじゃお前様。下等生物のわりにはなかなか上達したではないか」
「お褒めに預かり光栄だよ」
「思わずコーラが漏れてしまったわい」
「フハッ!」
お・ひ・ざ・に・! お・し・っ・こ・! ?
「……未来を振り撒くパヒューム、じゃな」
「フハハハハハハハハハハハッ!!!!!」
後日談というか当日談である今回の大惨事。
必要なのはパヒュームではなくバキュームカーだろう。お漏らし先生は席を立ち告げる。
「さて、そろそろ授業はおしまいじゃ」
「ふぅ……僕の膝が菜の花畑だぜ」
「まさしく黄色いバカンスじゃな」
「危うくバカになるところだったよ」
「ふん。落第などこの儂が許さんぞ」
ぽんっと忍は初めて、僕の頭に手を乗せて。
「お前様は我があるじ様じゃろ?」
「あるじ様を便器扱いするな」
「かかっ! なにせ下等生物じゃからな」
「生徒様を下等生物呼ばわりするなよ」
呆れて小声を口にすると、忍は小さな声で。
「……ごめんなさい」
「マキシマムかわいい!!」
ぶんぶんぶぶぶんと僕は糞を撒き散らした。
【化物語だっしゅ!】
FIN
タイトルに『ぶ』がひとつ足りませんでしたね
阿良々木暦「ぶんぶんぶぶぶん!」でした
同じく2レス目もぶんぶんぶぶぶん!です
最後までお読みくださりありがとうございました!
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