【モバマス】selfish beauty (8)

アイドルマスターシンデレラガールズのSSです

一人称、地の文主体。独自設定ありです
塩見周子誕生日おめでとうという作品
20歳の誕生日に周子とお酒を飲んで夜更かししたいというテーマです
題名は12月12日の誕生花のデンドロビウムの花言葉。他にも魅惑とか有能、お似合いの二人という言葉もあります

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1544545423

誕生日という日がこんなに待ち遠しく、楽しみになったのはアイドルになってからだなって思う。

子供の頃の誕生日は近所の子供達と違ってバースデイケーキなんてのも貰えず、周りの子を羨ましがってたぐらいいい印象がない。

成長するにつれてケーキはさほど拘らなくなったし、プレゼント自体は貰えてたから別にちょっといいことがある日ぐらいの日。

それだけだった誕生日が楽しく待ち遠しくなったのはPさんにスカウトされてアイドルになってからだ。

まず事務所の皆から祝ってもらえるし、ケーキやらプレゼントやら御馳走やらとにかくいろいろ貰える。

まあついでに仕事先でももらえたり、番組内で祝ってもらえたりすることもあったりするしで悪くない気分だったりする。

でまあ、いよいよ明日が私の誕生日なわけで女子寮の皆が昼から1日早いけどパーティーを開いてくれることになった。

「明日でいよいよ周子はんも20歳なんどすなあ」

「まあねー、と言っても実感があるのかはまた別なんだけど」

「うんうん、わかるよ。フレちゃんもお酒飲めるようになったぐらいしか実感してないしねー」

「元々周子は大人っぽいからあんまり意識しなくても大丈夫よ」

「奏ちゃんには言われたくないなー、それ」

女子寮に集まってくれたのは女子寮組以外にもユニットを組んだりしてた子達もいる。

響子ちゃんなんかは張り切って御馳走を作ってくれてるし、わざわざ顔を出してくれた子もいたり、我ながら嬉しく思ってたりする。

「そういえばこのフラスタって夕美ちゃんと凛ちゃんがチョイスしてくれたんだ?」

「そうそう、せっかくだから周子ちゃんの誕生花から選んだんだ」

「ハルジオン、ハナキリン、あとはデンドロビウムが12月12日の誕生花だからそれを混ぜてだね」

「ほうほう、誕生花というのもいろいろあるんだね。お花屋さんも大変だ」

「ハルジオンの花言葉は追想の愛、ハナキリンは早くキスしてだそうですよ、周子さん」

「それってどちらかというとしゅーこちゃんより奏ちゃんの方が似合わない?」

「違いない。デンドロビウムの花言葉なら逆にお似合いだろうけどね」

「ほほう、飛鳥ちゃんは知ってたか。で、どういう意味なの?」

「我儘な美女だな。なるほど周子にはピッタリかもしれない」

「いやいや晶葉ちゃんや、美女と言われるのはともかく我儘な部分は否定してよ」

とまあワイワイ楽しくお祝いしてもらってたらそろそろお仕事の時間がやってくるわけで。

「やー、皆ありがとね。もっとここで楽しくやってたいけどそろそろお仕事の時間だからお暇させてもらうよ」

と、告げて女子寮の外で待っていてくれるPさんの元へ。外で寒い中待っていてくれたPさんが

「お、もういいのか?もう少しぐらいならいいんだぞ」

と言ってくれてるけどいいんだって告げて車の助手席に乗り込む。


「さーて、19歳最後のお仕事に行きましょうかね」

「そうだな」

「そういえばPさんはまだ言ってくれないんだ?」

「何を?」

「そりゃー誕生日おめでとうって」

「だって明日だろ、本当なら。どうせなら12日なった時に言ってやるさ」

「そっか、じゃあ楽しみにしてるよ」

仕事先へと向かう車内でそんな会話をしながらアイドルになるまでのことやなってからの思い出とかをお互いに思い返す。

「最後の仕事が絵理ちゃんもいるんだよね。懐かしいなあ、倭国の姫」

「あのあと色々あったらしいけどきちんとアイドルを辞めずに続けてるんだな、彼女も」

「まあ尾崎さんもいろいろ裏で手を回してたらしいしねー、いいんじゃないかな。アイドルをしたい!って気持ちはよくわかるし」

「周子が言うと説得力があるな。スカウトした頃はこんなにやる気になるとは思ってなかった」

「私自身もそれは自覚してるから言わないことで。まあいろいろあったけどトップアイドルの道を驀進中だからさ」

「自分で言うなって。まあその辺りからアイドルを楽しむようになってくれたようでこちらとしては嬉しいけど」

「んで、今日のお仕事が終わった後の予定は?」

「せっかくだし夕飯でも。前に行ったジャズバーで」

「嬉しいねえ。けどまだ20歳前だからまたノンアルコール?」

「まあそこはそのあとのお楽しみと言うことで。どうせ俺も運転するから飲めないしな。本当なら明日がよかったんだが」

「明日から仕事一杯だもんねえ。誕生日ってだけでこんなに依頼が来るとは」

「それだけ人気になったということさ。じゃ、まあ頑張って」

仕事先に到着し、いつものように軽い口調で頑張れと言われる。じゃあまあやりますかね、お仕事。

番組内で1日早いですけどお祝いですと絵理ちゃんからケーキを貰ったり、19歳最後のお仕事も滞りなく終了。

テレビ局を出る頃にはすっかり真っ暗で、ディナーを楽しめば日付が変わるかギリギリな時間に。

夜型の私的にはまだまだ元気ではあるけど明日も仕事がいっぱい待ってる以上はあんまり遅くても困るかもなって。

「それで、何故か女子寮に向かわずにいる理由をそろそろ聞かせてもらっても?」

ジャズバーから出た後明らかに女子寮とは違う方向に向かっているのを問いただすと。

「何、昔周子が言ってたお願いをそろそろ叶えてあげようと思ってな」

「んー、なんかあったっけ?」

「覚えてないか?ここだ、ここ」

と言って車を止めた場所は

「……ああ、ここか。また懐かしい場所だ」

アイドルになったすぐの頃。Pさんと二人でダーツ対決をしたダーツバー、なるほどそういうことか。

「未成年だと遅くまでいられないけど夜遊びしたいな。一緒に夜更かしできるでしょ」

「幸い明日は昼前からの仕事にしておいた。あの時の約束はこれで果たせたな」

「やるね、Pさん。そんな昔の約束を覚えてたなんて」

「悔しかったからな。右手のハンデで負けたのも。だから今日は」

「リベンジ?いいよ、あの時と同じ勝負しようか?」

ニヤリとPさんを見つめるとPさんも同じようにニヤリと笑う。

そしてもう少しで日付が変わるという時間、19歳最後の夜をPさんと二人、ダーツバーで対決することになった。

「ほほう、リベンジを挑んでくるとだけあって練習してたみたいだね」

驚いたことにPさんもそれなりに練習してきたのか私と大差ない得点でいい勝負をしている。

「あの時はルールもよく知らなかったからな。とりあえず最初の頃はトリプルを狙って自爆しまくってた」

「トリプルなんて狙って当てられるようなもんじゃないからね、特に初心者なんか」

「さて、残り32点だ」

ゼロワンゲームのコツとして32点を残してラウンドを終えるというのがある。

これは残り32点で狙うべき場所が16になり、16の横は8ということで外しても似た場所を狙うというのが理由だ。

「なるほど、これは油断ならないね」

「とはいえ周子だってこのラウンドできちんと0を狙える状況。ここで決めれば周子の勝ち、決められなければ」

「Pさんの勝ちってことか。ふふん、いいじゃない燃えてきた」

そう言いながらまず一投。狙い通りブルでまず50点。残りは48点。

「これであとは16のトリプルに当てれば私の勝ちだね」

「そうだな、だが狙って当てられるのかな?」

「まあ無理にトリプルに当てなくてもまだいいんだ」

と言いながら少し狙って投げる。残念ながら目標を少し外れて16のシングル。

「32点、あとはダブルに当てるだけってことよ」

「最後に一投で決めようって算段か。さすが魅せてくれる」

「誰かさんがアイドルにしてくれたからね。魅せるのは得意ってことよ」
最後の一投。集中力を研ぎ澄ませてから投げようとした瞬間

「誕生日おめでとう」

「えっ……あっ」

不意打ちで呟かれた言葉に手元が狂い、ダーツは的の外に命中。残り32点でラウンド終了。

してやられたと思って振り返るとそこには作戦成功とばかりに笑いながらどこから取り出したのかわからない青い包み紙を持っているPさん。

「悪いな、ちょっとずるいとは思ったがやらせてもらった。とりあえずこれが俺からのプレゼントだ」

手渡された包み紙からは青色の宝石があしらわれたネックレス。着けてみてと促されて早速着けてみる。

「タンザナイトのネックレスだ。12月の誕生石でもあり、青藍がイメージな周子にピッタリだと思ってな」

そう説明しながらPさんはバーのマスターにカクテルを注文していた。持ってきてもらったのは青い色をしたカクテル。

「これも青いね」

「ん、まあ前に一緒に飲みたいって言われた時から周子に最初に飲んでもらいたいお酒を探しててな」

清流と呼ばれる日本酒をベースにしたカクテルらしい。なるほど、青色といい、日本酒といいあたしらしいかもしれない。

「あれ、Pさんも飲むの?」

「せっかくだし最初に乾杯したくてな。改めて誕生日おめでとう」

「ありがとう、じゃ乾杯」

軽くグラスを鳴らしながらお互い一口。初めて飲むお酒の味はジュースのようで身体が熱くなるような不思議な味だった。

「で、飲んじゃったPさんはこの後どうやって私を帰してくれるのかな?」

「タクシーで送るに決まってんだろ。それよりまだ勝負は終わってないぞ」

そう言いながら残り32点のまま放置されているボードに向かって構えるPさん。

そういえば勝ったら何を要求されるのかなあなんて思いながらPさんとの初めての夜更かしを楽しもうと考えていた。


「それでそれで、勝負に負けた周子ちゃんは何を要求されたのかにゃ~?」

「いやいや志希ちゃんや。まだ負けたとは一言も言ってないでしょ?」

20歳になった後のとあるラジオ番組、レイジーレイジーの番組にゲストで呼ばれた私はPさんとダーツで勝負した話をすることに。

「そうだね、きっとそのあとPさんがいいところ魅せようとして失敗してバーストしたのをシューコちゃんが華麗に逆転!」

「これこれフレちゃんや、どっかから見てたのかね?」

なーんて答えを敢えて上手くかわしながら結果がどうなったのかは触れないでおくことに。

2人も答えたくないのはわかってくれてるのかそのまま私が勝ったということにして2人らしく話題がいきなり別のことになる。


実際のところあの後勝負がどうなったのかはよく覚えてなかったりする。そもそも初めてお酒を飲むアイドルに日本酒を飲ませるとはなかなか酷い話だ。

Pさんにあの後どうなったのか教えてと言っても答えてくれないし、勝負が終わった後のお願いは直後に達成したからもう終わりだってはぐらかされるし。

まあまたそのうちあのダーツバーで一緒に勝負することを約束したからその時にでも勝って聞きだすことにでもしよう。


おわりです

ミッドナイトフェアリーで夜更かししたいとかお酒を飲みたいとか言ってたり、デレステでも夜色の暁風でジャズバーの時にお酒じゃないって言ってたり
絶対20歳になったらお酒飲みながらダーツしてみたいと思ってます
デンドロビウムの花言葉は個人的に周子にピッタリだと思います

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