【リトバス安価】理樹「マッサージしてくれるの?」来ヶ谷「勿論」 (64)

来ヶ谷「たまには尽くしてみるのも楽しそうだからな」

理樹「それなら頼むことにするよ」

来ヶ谷「望む所だ。さて、どこをマッサージしてほしい?」

理樹「じゃあ>>2でお願い」

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来ヶ谷「腰か……とりあえずうつ伏せになってくれ」

理樹「はーい」ゴロン

来ヶ谷「最初に腰を頼むと言うことはやはり腰が痛かったりするのか?」

理樹「まあそんなとこかな?主に背骨の辺りが痛くって」

来ヶ谷「さて……単純に腰を押したところで中々良くなりはしないものだ。腰と言っても特に大腰筋の辺りが効果的、そこを押してみようか」モミモミ

理樹「あぁ~^^」

来ヶ谷「痛い所があったら言ってくれ、学校にそこまで設備はないし、取り敢えず揉むことしか私はできんからな」

理樹「全然問題ないよ、来ヶ谷さんってマッサージ上手なんだね」

来ヶ谷「ま、まぁこのぐらい誰にでもできるさ……それはそうと君のツボはここかな?」グリッ

理樹「うひっ!?」

来ヶ谷「おっ中々の反応だな、次はここだ!」グリッ

理樹「アヒッ!?」

来ヶ谷「押す所によって反応が変わるのか?次はここだ」グリグリ

理樹「いひっ!?す、ストップ!!痛い!痛いからぁ~~」



理樹「ふぅ~スッキリしたよ、最後はちょっと痛かったけど……」

来ヶ谷「まあまあいいじゃないか、それよりもなんで腰を痛めていたのかね?やっぱり野球の練習が原因なのか?」

理樹「!?」ギクッ

理樹「そ、そうじゃないかな!うん、最近素振りを良くしてたしそれが原因だろうね!」

来ヶ谷「……そうか、どこか怪しいがまあそう言うことにしておこう」ジロジロ

理樹(危なかったぁ……神北さんと西園さんと僕の3人で3Pしてる事がバレたら殺されちゃうよ)

来ヶ谷「……」

来ヶ谷「ところで君は夜出かけてるそうだが、どこに行ってるのかね?」

理樹「あぁ、それは夜の自主練を……」

来ヶ谷「西園氏と小毬君を連れてか?」

理樹(げっ……そこまでバレてるのか)

理樹「そうなんだよ、神北さんも野球上手くなりたいみたいだし、西園さんに練習を手伝って貰いながら3人でね」

来ヶ谷「3人で何の練習をしているんだ?100本ノック(意味深)でもしているのか?」

理樹「そ、そこは勿論バットとボールを用いた練習……」

来ヶ谷「その割にグラウンドではなく草むらで目撃されたようだが?」

理樹「さ、さぁ?ボールを探してたんだよ多分」

来ヶ谷「なるほど、あくまでも言い逃れをする気なのか」チャキッ

理樹「あ、あのー、もしかしたら……気づいていました?」

来ヶ谷「最初からな、だからこそハサミを持ってきた」

来ヶ谷「君の部屋に合法的にお邪魔するために敢えてマッサージをしたのだ。それに君は今動けない筈だしな」

理樹「いやいやそんなことある訳……はっ!?」

理樹(な、何故だ!?うつ伏せの状態のまま動けない!!)

来ヶ谷「秘孔を突いたからな、今の君は全く身動きが取れまい」ニヤァッ






来ヶ谷「さて、言い残すことはあるか?」

理樹「ぼ、僕の事を殺すの?」

来ヶ谷「それは君次第だな、君が何を言うかによって決めよう」

理樹「そ、そんな……」

理樹(ここで下手な事を言ったら多分殺される……よし、安価で決めよう)

1「ごめん来ヶ谷さん!次からは仲間に入れてあげるから!」

2「選んで貰えなかったからってこんな事するの?」

3「来ヶ谷さんの事を一番愛してるから大事にしたかったんだ」

理樹「選んでもらえなかったからってこんな事するの?」

理樹(えっ、僕なんて事言ってんだ?)

来ヶ谷「ほぉ……この期に及んでそんな事を言うとは君も度胸があるな」グイッ

理樹(む、胸ぐら掴んできた!?)

来ヶ谷「そうだな……確かにその通りだ。私は君に相手をして貰えなかった。西園氏と小毬君はさぞかし嬉しかっただろうな、君に求めて貰えたのだから」

来ヶ谷「だがな……今この場でそんな発言をできるほど君に余裕は無かった筈だ。第一、自分から喧嘩を売りに行くとは君はいつからそんな風になったんだ?」

理樹「わ、分からないよそんなの……」

来ヶ谷「ま、いずれにせよ意味の無い問いかけだ。さて、君は私に喧嘩を売ったのだから、相応の覚悟があったのだろう?」

理樹「え、そ、そんな事は……」

理樹「ま、待ってよ来ヶ谷さん……おねがい、お願いだから……」

来ヶ谷「安心しろ、直ぐには殺さないさ」

理樹(そう言って、来ヶ谷さんはあのいつもの模造刀……いや、今持っているのは違う。明らかに重々しい、本物の鉄で作られた日本刀を手にしていた)

来ヶ谷「切り刻んでやろう、身体の先から、中心に向かってゆっくりな……」

理樹(ハイライトの消えた、濁った眼で呟く来ヶ谷さんを僕は最期に見た。その直後、刀の切っ先が見えたのを最後に、僕は光を認識できなくなった)

理樹「あぎゃあああああ!!!!」

来ヶ谷「目を潰してしまったな、これで君の目は見えなくなった訳だ」

理樹「あ……あ、あぁ……」

感覚だけが残された。後はもう痛みしか感じないのであろう、嫌だ、死にたく無い、助けて、声にならない

来ヶ谷「声?そんな物はもう無いよ、君の舌はもうとっく
に斬り落とした」


もしもこの世の地獄がどこかと聞かれたら、この場を目撃した者は皆ここであると答えるだろう。辺りには愛していた人間であった存在が散らばっている。その中心には血に塗れた私一人、世界が白く染まっていく中で真っ赤な血は一向に落ちない。






来ヶ谷「さて……もう一度やり直すんだな。今度は私の望む答えを頼むよ、理樹君?」


BADEND

時風「ふん…また来たのか」

理樹「えっ、恭介……?なんでここに」

時風「まったく、とんだ余興だ」

理樹「もー、余興って何さ、ほら、そんなとこに居ないでこっち来てよ」

時風「また、始めるのかい」

理樹「また……?こんな事経験したっけ」

時風「だがおまえにとっては過酷な世界だ」

時風「去りたくなったら、迷わず己に向けて引き金を引くがいい」

理樹「だからそれはどういう……えっ?なんで辺りが暗く?」


来ヶ谷「君はこっちだ。理樹君、君の居場所はここしかない」
















理樹(ここで下手な事を言ったら多分殺される……よし、安価で決めよう)

1「ごめん来ヶ谷さん!次からは仲間に入れてあげるから!」

2「来ヶ谷さんの事を一番愛してるから大事にしたかったんだ」

理樹「来ヶ谷さんの事を一番愛してるから大事にしたかったんだ」

来ヶ谷「そ、そうなのか……?」

理樹「そうだよ!他の人は遊びで来ヶ谷さんは本命だから敢えて手を出してなかったんだ!」

理樹(よし!これはいけるはず!)

来ヶ谷「そうか……さて、ここにテープがある」

理樹「えっ?」

ピッ


小毬「やあっ、なんかきちゃう~~」///

理樹「はあっ、はあっ……西園さん!出すよ!」

西園「じゃ、じゃあその前に……愛してるって言ってください」///

理樹「勿論!僕が一番愛してるのは西園さんと神北さんなんだ!!二人とも愛してる!!」

西園「ほ、ほんと……ですか……?私は浮気を許容するのは1人が我慢の限界です……」

神北「そ、そうだよぉ~2人目はめっ、だからね~」

理樹「ふぅ……そんな心配はないよ、僕は2人が大好きだからね」

西園「直枝さん……」

小毬「理樹くん……」






ピッ






ザシュッ





BADEND

時風「ふん…また来たのか」

理樹「えっ、恭介……?ってなんかこれ既視感あるような……」

時風「まったく、とんだ余興だ」

理樹「もー、余興って何さ、ほら、そんなとこに居ないでこっち来てよ」

時風「また、始めるのかい」

理樹「また……?あ、あれ?これ何処かで体験したよね?」

時風「だがおまえにとっては過酷な世界だ」

時風「去りたくなったら、迷わず己に向けて引き金を引くがいい」

理樹「だからそれはどういう……えっ?なんで辺りが暗く?」


来ヶ谷「君はこっちだ。理樹君、君の居場所はここしかない」
















理樹(ここで下手な事を言ったら多分殺される……)

理樹「ごめん来ヶ谷さん!次からは仲間に入れてあげるから!」

来ヶ谷「仲間に入れてあげるだと……?君は私がそんな事で怒っていると思っているのか?」

理樹(や、やばっ!余計怒らせちゃった!)

来ヶ谷「まあいい、許してあげよう。選択肢を絞ったのはこの私なのだからな」

理樹「選択肢……?」

来ヶ谷「君は知らなくて結構、さて、例に漏れず君をバラバラに解体してやろう」スッ

理樹「あっ、あぁ……こ、この雰囲気は……」

理樹(思い出した……僕は既になんどもこうして殺されて……やり直し続けてるんだ……)

理樹「嫌だああああ!!!!殺さないでぇ!!お願いします!!来ヶ谷さん!!来ヶ谷さぁん!!!!!」


来ヶ谷「黙れ、喚いても君はここから逃さん」

理樹「なんて言えば……なんて言えば正解なのさ……」グスッ

来ヶ谷「さぁな、それは君自身が考える事だ。少なくとも、他人に聞いているようでは一生辿り着けない答えさ」

来ヶ谷「まあ今回は痛めつけずに殺してやろう。では、『また会おう』」




ズシャッ






BADEND

恭介「理樹、大丈夫か?」

理樹「あ、あぁ……恭介……」

恭介「逃げるぞ、今すぐに」

理樹「逃げるって……この世界は恭介がゲームマスターなの?この前みたいに」

恭介「いや違う、今回は来ヶ谷がマスターだ。それも周りの人間の力は借りず、1人だけで世界を作った」

理樹「そんなに……そんなに僕が許せなかったのかな?」

恭介「お前のせいじゃない。アイツは異常だ、病的なまでにお前を愛していた。その力がここまで発揮されるとはな……」

理樹「どう答えれば正解なのさ!もうあんな思いは嫌だよ!」

恭介「正解なんてものはない。アレは来ヶ谷の呪いみたいなものさ」

理樹「呪い……?」

恭介「考えても見ろ、再開する際、お前は何故毎回のようにあの状態から始まった?」

理樹「なんでって言われても……気づいたらあそこから始まってるんだ」

恭介「あれは来ヶ谷の罠だ。意図的に『選択肢』を設ける事によって何度も答えを探し出させた。何を答えても正解なんてありもしないのに関わらずな」

恭介「とりあえず、ゲームマスターを倒すために謙吾と真人が向かっていった。そして今は……西園と小毬が問題だ」

理樹「そうだ……!あの2人は?大丈夫なの!?」

恭介「行方が掴めていないんだ。鈴と三枝、そして笹瀬川は世界の外に弾かれたようだが……あの2人と二木の居場所が分からない、ひょっとしたら来ヶ谷が恨みを抱いていたのかもしれん」

理樹「恨みって……あんなに仲良くしてたのに……」

恭介「普段から仲が良くても深層心理ではやはり嫉妬心があったのかもしれん、さぁ、学校外に出るぞ」


来ヶ谷「……」

謙吾「さっきからずっとこの調子だな……」

真人「おーい、生きてるかー?」

来ヶ谷「……」

真人「こっちには理樹がいるんだからな、こんな異常者に理樹を渡せるかっての……」

来ヶ谷「……」

謙吾「何とか言ったらどうだ?それともなんだ?この期に及んでそれでも理樹が好きと言いたいのか?なんども殺したにも関わらずな」


来ヶ谷「……」


真人「おい、どうした?さっきから話さなくなったぞ?聞いてるのかー?らいらいだに」

謙吾「ふむ……少し考えてみようか、来ヶ谷、武器を捨てて……」

来ヶ谷「」バタッ

謙吾「おい!どうした来ヶ谷!!」

真人「チッ……仕方ねえ!こいつの部屋に連れてくぞ!!」

その頃の恭介側


理樹「うーん……何度行っても元の位置に戻ってくるなぁ……」

恭介「まあそこまで世界は広くないって事か、仕方ない、来ヶ谷の方は……ん?真人から着信が来てるな」

理樹「えっ、真人から?」

恭介「なになに……何だと?来ヶ谷が倒れたそうだ」

理樹「えっ?来ヶ谷さんが!?」

恭介「俺は様子を見に行くが……お前はどうする?」

理樹「僕は……」

理樹(来ヶ谷さんの所に行くのは怖い……でも……)




来ヶ谷「たまには尽くしてみるのも楽しそうだからな」





理樹「うん、僕も行ってみるよ」

来ヶ谷の部屋


理樹「来てみたは良いけど……」

来ヶ谷「……」

謙吾「相変わらず無言だな……」

真人「と言うか目も虚ろだしよ……抜け殻みたいだぜ」

恭介「でも、じっと理樹の事を見つめているんだな」

真人「うーん……敵意は感じられねぇんだけどな」

理樹「……ちょっと僕と2人だけにしてみてよ」

謙吾「なっ!?それは危険すぎるぞ!」

真人「そうだぞ!一応お前の事殺してるわけだし俺らがいた方が……」

理樹「いや、ここで試さないと、真相が掴めないかもしれないじゃないか。ねぇ頼むよ恭介、一度だけ試させてくれないかな?」


恭介「……お前がそう言うならいいぞ」

理樹「ほんと!?」


恭介「ただし、危なくなったらすぐに叫ぶんだぞ?そしたら部屋の外にいる俺らが駆けつけよう」

理樹「分かった!!じゃあ一旦外に出てね」




来ヶ谷「…………」

一旦中断します。次の再開は夕方ぐらいになりそうです。それでは

理樹「さて……来ヶ谷さん、話せる?」

来ヶ谷「……」

理樹(相変わらず無言で見つめてくるな……どうしたんだろうか)

来ヶ谷「……」パクパク

理樹「あれ?どうしたの?」

理樹(口パクで何か喋ろうとしているようだけど……声が出てないのかな?)

来ヶ谷「……」チョイチョイ

理樹「えーっと……なになに?近づいて来いって事?……まぁいいか」

理樹「はい、どうかしたの?」

来ヶ谷「…………君は本当にお人好しだな」ガシッ

理樹「えっ?来ヶ谷さ……ムグッ!?」

理樹(不味い!口を塞がれて……)

来ヶ谷「……安心してくれ、前みたいに危害は加えん。ただ……少し静かにしてもらいたいんだ」

理樹(そう言うと、来ヶ谷さんは手を離した。一体どう言う事なんだろうか前とは違って敵意は感じなかった)

来ヶ谷「君には謝らなければ……いや、謝っても許されない事をしてしまった。本当にすまない」

理樹「え、いやそんな……土下座なんてしないでよ来ヶ谷さん!」

来ヶ谷「いや、事もあろうに理樹君を殺すだなんて……私はとんでもない人間だ」

理樹「……来ヶ谷さんには一体何があったの?」

来ヶ谷「それは……うっ……!」ドサッ

理樹「来ヶ谷さん!?どうしたの!?」

謙吾「なんだ!?何があった理樹!」

真人「おい!来ヶ谷!?何があった!!」

恭介「これは……おい、消えていってるぞ!!」



理樹「本当だ!だんだん身体の先の方から白くなっていく……」

来ヶ谷「くっ……全く、秘密をバラそうとした途端これだ……恐ろしいな……」

理樹「お願い!知ってる事だけでも教えて!!このままだと僕たち、なんの手がかりもないままなんだ!」

来ヶ谷「はぁっ、はあっ……そうだ、黒幕は……うぁぁ……」

恭介「理樹!これ以上来ヶ谷を苦しめるな!!」

真人「喋ろうとすると妨害されるみたいだな……とんでもねぇ世界を作ったもんだ」

理樹「来ヶ谷さん!」ギュー

来ヶ谷「は、ははっ……まさか君にここまでして貰えるなんて……私は幸せ者だな……すまない、理樹君。君の役には立てそうもない……」

理樹(来ヶ谷さんはそう言い残して消えてしまった。跡形もなく、まるでそこに存在しなかったかのように)

恭介「……これは驚いたな。来ヶ谷はゲームマスターではなかった……いや、正確には『ゲームマスターと思い込んでいるNPC』だったのか?」

謙吾「いや、NPCにしては前までの来ヶ谷の行動はおかしかった。アイツをあそこまで変えた何かがあるはずだ」

恭介「くそっ……この世界を作ったのは一体誰なんだ……」

理樹の部屋

恭介「誰がこの世界をマスターなのか、今の所の候補は3人だ」

理樹「神北さんに西園さん、それに居場所の分からない二木さんか……正直僕は全員怪しいと思ってるんだ」

謙吾「同感だ。特に西園達とは……んー、なんて言うかアレだ。痴情のもつれがあってもおかしくないんだろう?」

理樹「何も言い返せません……」

恭介「いずれにせよ解決方法は一つ、ゲームマスターをとっちめて世界を畳ませる必要がある。最悪、実力行使が必要だな」

理樹「うぅ……いつからこんなことに……そもそも最初は来ヶ谷さんと喋ってただけなのに」

真人「……ん?そういえばお前、来ヶ谷に殺された時、いつから一緒にいたんだ?」

理樹「最初は来ヶ谷さんがマッサージをしてあげるって言ってきたんだ。それで大人しく施術を受けてたらいきなり西園さん達との事を話してきて……」

恭介「あー分かった分かった。そこはもう関係ないだろう?今話すべきはこれからの事だ」

真人「こんな所で話していてもどの道このままだとゲームオーバーだぜ?ならもう動いた方がいい」

理樹「そうだね……じゃあ今から探す人を決めなくちゃ、候補は……」

1二木佳奈多
2神北小毬
3西園美魚

………………

理樹「ここにもいない、か……」

理樹(僕らは手分けして神北さんを探すことになった。学校内に居るはずだから必ず見つかると思ったんだけど……)

小毬「あれ?理樹くん?どうしたの?」

理樹「あっ!神北さん!」

小毬「ふぇ~?わたしの事探してたの?」

理樹「そうなんだよ、今色々と立て込んでて……ほら、またあの変な世界に入っちゃったみたいだからさ、だから神北さんは居るかどうかの確認をして……」

小毬「変な世界?それはどこのこと?」

理樹「いや、この世界の事なんだ。さっき来ヶ谷さんが消えちゃって……」



小毬「消したんだよ……わたしが」

理樹「…………えっ?」



小毬「ううん、正確には勝手に消えちゃったんだ。この世界の特別なルール。私たちの正体をバラそうとしたり探し出そうとした人は全員消えさせる事ができるの」

理樹「そ、そんな……じゃあ、僕が死んたループも全部神北さんが?」

小毬「それはよくわからないよ、少なくともあの時までは来ヶ谷さんがマスターさんだったんだもの」

理樹「じゃあ今はやっぱり神北さんが……」

神北「そういうことになるのかな?」

理樹「なんでこんな事したのさ!」

小毬「うーん、やっぱり理樹くんにえっちな事されちゃったから?未だに他の子達と一緒に過ごしてるのが嫌なの」

小毬「理樹くん自身が言ったんだよ?美魚ちゃんとわたし以外は要らないって」

理樹「そ、そこまで言ってなんて……」

小毬「……なに?理樹くんはここまで来てまだ言い訳をするの?」ハイライトオフ

理樹「ひっ……そんな事は……」

小毬「わたしがその気になれば理樹くんはコロッと死んじゃうんだよ?……どうすればいいか分かるよね?」

理樹「はい……」

小毬「分かってくれればいいんだよ?さ、一緒にお菓子食べよ?」



小毬の部屋

小毬「う~んおいしいねえ~理樹くんもそう思うでしょ?」

理樹「うん、おいしいね……」

理樹(結局僕は半ば強制的に部屋に連れ込まれた。当然ルームメイトであるはずの笹瀬川さんは居ない)

小毬「理樹くんはブルーベリージャム派?それともイチゴジャム派?」

理樹「イチゴジャムかな」

小毬「ふ~ん……」

ベチャベチャ

小毬「はい、イチゴジャムつけたよ?」

理樹「い、いや、こんなにつけられても困るって」

小毬「だって理樹くんおいしくなさそうに食べるんだもん、それともわたしの作ったものが嫌なの?」

理樹「そんな事ないけど……いや、なんでもない。食べるよ」モグモグ

理樹(うぅ……誰か助けて……)

小毬「そもそも理樹くんが浮気者なのがいけないんだよ?だからわたしもわざわざこんな世界を作ってるのに」

理樹「浮気者って言われても……流石に西園さんと神北さん以外と話すなって言うのはおかしい気が」

小毬「ん~?理樹くんは来ヶ谷さんにどんな目にあわされたのかもう忘れちゃったのかな?」

理樹「えっ……」

小毬「理樹くんの事を狙ってる子なんていっぱいいたし、中にはあんな感じで理樹くんに危ない事をしようとする人もいたんだよ?だからこうやって隔離したの」

理樹「そうは言ってもおかしいじゃないか!現に来ヶ谷さんは反省してたし……あれは絶対おかしかったよ!」

小毬「ふーん、理樹くんはそんな事言っちゃうんだ~」

小毬「そんな悪い人にはおしおきをしなくちゃなれないよね?」

理樹(おしおきって……この流れはまさかまた痛い目に遭わされるの!?)

小毬「あ~もうダメだよ?理樹くんはこの部屋から出られない、出ようとしても足は固まっちゃう。そんな風にしちゃったの」

理樹「や、やめてよ神北さん……そんな、君までそんな風になるなんて……」

小毬「うぅん、理樹くんは心配しないで?わたしはどこかのゆいちゃんみたいに理樹くんに痛い思いをさせたりはしないよ」

小毬「でも……もっと理樹くんが傷ついちゃう事、今からするの」

理樹「一体何を……っ!?」

理樹(あ、頭が痛い……思考が支配されて……)



理樹「お、おかしい……頭が変になる……」

小毬「ねぇ理樹くん?その現象を理樹くんは一度経験した事があるはずだよ?今ほどむりやり頭に流れ込まなかったと思うけど……」

理樹「こ、この感じは……あぁっ!!」

理樹(そうだ……頭の中に勝手に選択肢が出てきて……その通りに動くようになるんだ……)

小毬「うんうん、理樹くんには自分の意思と関係なく動くようになってもらったんだ」

小毬「来ヶ谷さんがやってたやり方だよ?結果は同じなのに、無駄に色々な選択肢を想い浮かばせるの」

小毬「それで理樹くん?今のあなたには何が思い浮かんでるのかな?」

理樹(僕の中には……な、なんだこれ……!こんなの、嫌だよ!?)


1神北さんを殴る
2神北さんを蹴る
3神北さんの首を絞める
4神北さんに乱暴する









小毬「あははははははははははっ!!理樹くんったらひどいねぇ~わたしにこんな事考えてたなんて」

理樹「違う!!こんな……こんなことしたくなんて……」

小毬「えへへ……分かってるよ、理樹くんは嫌なんだよね?わたしの事、叩いたり、ひどい目にあわせたくないんだよね?」

小毬「でもこれは理樹くんに対するおしおきなんだから、理樹くんの嫌がる事をするのは当たり前だよね?理樹くんにとっては自分が傷つく事よりも大切な人が傷つけられる方が余程辛いだろうから……」

理樹「こんなの……こんな事ってないよ……」

小毬「う~ん、やっぱり『1』がいいのかな~?でもでも、理樹くんにとっては『3』の方がお好みかもしれないね?理樹くんも男の子なんだもの」

理樹(クソっ……どうにかして逆らわなきゃ……でもどうやって……?)

小毬「さて、理樹くん?理樹くんは何番をえらぶつもりなのかなぁ?」




安価で1~4

理樹(あぁ……殴りたくなんてないのに、もうまともに身体が言うことを聞かない)

小毬「心配しなくても理樹くんは平気、ただ身を任せていればいいんだよ?ほら、あなたはだんだんあたまがぽ~っとしていくの、そうやってかんがえすぎないでただだまってうけいれていけばいいんだよ……」

理樹(僕は考えるのを辞めてしまった。そのせいでこの歪んだ状況を切り抜ける事もできず……そのまま僕は、目の前の女の子に手を上げてしまった)

理樹(一度殴ってしまったらあとはもう止まらない、最初はぷにっとした顔、次はお腹、そしてうずくまった所にもう一発…………)

理樹(多分2分ぐらいは殴り続けたであろう、床には鼻から出た血が僅かに滴り落ちていた。そして……僕の目からも涙が落ちていた)

小毬「いたぃ……やっぱり男の子に叩かれるのは痛いよぉ……」

理樹「……なんで……」

小毬「ふふっ……理樹くん、すごく悲しそうな顔だね、だめだよ理樹くん?泣いた顔は嫌なんだよね?」

理樹「なんで神北さんは……そんな怪我を負ってるのに……笑っているの?」

理樹(ただただ僕は怖かった。 あんなに自分を殴らせてダメージを負い、そのくせ笑顔で僕に話しかけてくるその精神が恐ろしかった)

小毬「いやだなぁ理樹くん、それは最初に言った通りだよ?おしおきって言ったよね?」

小毬「そうやって理樹くんが傷ついて……わたしの事を心配してくれるだけでいいの。理樹くんはこんなわたしを放ってどこかに行っちゃうことなんて考えられないよね?」

理樹「……やだよ……こんな事する神北さんと一緒に居続けるなんて……」ポロポロ

理樹(狂っている、そうとしか言いようがなかった。要するに神北さんは僕の良心に漬け込んで、僕を縛ろうとしているんだ。ほんとうなら直ぐにでも逃げ出さなければならないのに……)

理樹「…………分かったよ、ここにいるよ。それもずっと……」

小毬「やったぁ!理樹くん大好き!」

理樹「ほ、ほら!とりあえずティッシュとかで拭いて!そのままじゃ色々とまずいから!」


理樹(そうして僕は神北さんと共に過ごすことになった)





~~~~

小毬「ねぇ理樹くん、今日は何して遊ぶ?」

理樹「そうだね……久しぶりに野球がしたいな」

小毬「この部屋から出る遊びはだめだよ?出たら今までの効果が切れちゃうの」

理樹(外の恭介たちは僕の事を忘れているのだろう。かつての僕が小さな異変に気付かなかったように、違和感に塗れた毎日を過ごしている)

小毬「朝がきた後に夜がきて……そうしてまた朝になってを繰り返して……もう何日経ったかも分からなくなってきたね。」

理樹「もう曜日なんてないのと同じだよ!本当なら今すぐにでも外に出て行きたいって言うのに」

小毬「別に行きたいならどうぞ?でもそんな事を言ってたらもう一回あれをやっちゃうよ」

理樹「うっ……」

小毬「分かってくれればいいの。言う事を聞いてくれる理樹くんは大好きだよ?」ニコッ

理樹(どうにかして抜け出さないと……)

理樹(まだ恭介たちは僕の事を探しているのだろうか……気がつくと窓の外は真っ暗になっていた。ついさっきまでは陽が差し込んできていたというのに)


理樹(そう何日も世界を保つ事は出来ないはず、限界が来ているのならまた巻き戻るかも……)

理樹「ね、ねぇ神北さん、こんな生活いつまで続けるのさ。こんな事しててもその内この世界はやり直す事に……」

小毬「そんな事理樹くんは気にしなくていいんだよ」

理樹「」ビクッ

理樹「(怖い……)そ、そんな事言っても!いずれ終わるのにこんな事してなんの意味があるのさ!!」

小毬「意味なんて理樹くんには分からないかもしれないけど……これは理樹くんのためなんだよ?」

理樹「そ、そんな訳……」

小毬「ねぇ理樹くん、今部屋の外ではどうなってると思う?」

理樹「ど、どうなってるの?」

小毬「それはもうすごーく怖い顔をした二木さんが立ってるんだよ」

理樹「……は?」

小毬「正確に言うとね、二木さんがこの世界を強制的にやり直そうとしてるの。都合のいいように、理樹くんを連れ出すために」

理樹「それなら二木さんの方がいいよ!神北さんは僕を閉じ込めてるじゃないか!!」

小毬「理樹くんは忘れちゃったの?来ヶ谷さんにされたこと」

理樹「うっ……」

小毬「二木さんが同じ事をしないって、なんで言い切れるの?」

小毬「そもそも理樹くんは誰を探すか考えた時に、わたしの事を一番に考えてくれたよね?だからこそわたしの事を探してくれたと思うの、でもそれって……ほかの女の子達を後回しにしたってことになっちゃうの」

小毬「二木さんは怖いよ?理樹くんの事を捕まえたら、それこそ赤ずきんちゃんのおはなしみたいに食べちゃうかもしれないよ?逃げられないように、足の先からちょっとずつ……」

理想「そ、そんな事……」

理樹(それを『ない』だなんて言い切れないのは僕が一番分かっているそれに、二木さんの嫉妬深さも大体想像ついてしまう。一度タガが外れてしまえば何をするかわからない怖さもある)

小毬「だから、わたしがもう少しがんばるから、理樹くんはここに居てね?そう、ずうっとね……」

バンっ!!


理樹「!?」

小毬「きゃっ!」

理樹「神北さん!大丈夫?」

小毬「ご、ごめんね理樹くん、わたしは平気だから……」

理樹「平気って……すごい汗の量じゃないか!」

小毬「えへへ……もうほんとうは限界だったの……ここの日時で一週間、どうにか保ってきたつもりだけど……ほら、もう窓の外は何もなくなっちゃった」

理樹「そ、そんな……じゃあこの先はどうなって……」

二木「心配無用よ、この先は私が引き継いであげる」

理樹「二木さん!?いつのまにそんな所に……」

二木「全く、この子は随分と無茶したのね。外の男どもを全員退場させた上に私まで弾こうとするんだから」

二木「まっ、私を負かそうだなんて1000年早いのよ、神北さん?」

小毬「二木さん……ひとつだけ、お願い事があるの」

二木「何かしら?物によっては却下するわよ」

小毬「そ、その……理樹くんにはひどいことをしないで欲しいの……」

二木「へぇ……私がそんな事をするような人間性に思えたのかしら?」

小毬「そんなこと思ってないの、ただ、一つだけのわたしのお願い事」

二木「はいはい解ってるわよ、心配せずとも直枝に手は出さないし、ちょっかいかけた奴は即追放してやるんだから」

理樹「ま、待ってよ!そもそもこんなふざけた世界はもう終わりに……」

二木「黙りなさい、それとこれとは話が別よ直枝」

理樹(怖っ!?そんなにこの世界が重要なのか……?)

小毬「理樹くん、この世界を抜け出す方法はね、ただ一つだけあるの」

理樹「本当なの!?それなら教えてよ!」

小毬「それはダメだよ理樹くん、教えちゃったら意味のない話だもの」

理樹「そんな……僕は……分からないよ……」

小毬「ううん、理樹くんなら絶対にわかるはずだよ?わたしはそう信じてるの」

小毬「あなたの目がほんの少し、ほんのちょっとだけ、見えるようになりますように……」

小毬「えへへ、どこかで話したような気がするね」

理樹「……分かった。必ず、その方法は僕自身で見つけるよ」

小毬「うんっ!理樹くんなら必ずできると……信じてるよ」ニコッ

理樹(神北さんはそう言い残して消えてしまった。あんなに僕の事に執着していたと思えば、こうもあっさり消えてしまうのか……)

二木「またこれで一人、ね」

理樹(そんな言葉が最後に聞こえてきた。まただ、そうして僕の周りの世界が白く変わって行く……)

…………

二木「さて、今までの話は余りにも不自然だと思わなかったかしら?」

理樹「そうかな……?」

二木「当たり前じゃない、最初の来ヶ谷さんは至極当たり前のように貴方にスキンシップを取っていた。それが豹変して貴方を殺し、何度も繰り返した挙句に次の世界では正気に戻っていた」

二木「次の神北さんは非常に病んでいたわ。貴方にダメージを負わせる為と言って自ら殴られに行き、そして貴方を軟禁した」

二木「そんなあの子も限界が来ていたみたいだから私がどうにか部屋に割り込もうとしたのよ、さながら天岩戸の伝説みたいにね」

理樹「あの……二木さんはそんな風にならなかったの?」

二木「当たり前じゃない、私の正気を崩すなんて直枝ぐらいにしかできない芸当よ」

理樹(既に怪しい……)

二木「まぁそんな訳で、このふざけた世界を作った元凶をとっちめる必要がある訳なの。可愛い妹の葉留佳とも引き離されてしまった訳だし」



二木「率直に言うわ。私は西園さんが真っ黒だと思うの」

理樹「たしかに、と言うかもう西園さんしか残ってないはず……」

二木「そうね、周りの風景だってよく見ればハリボテのように変化がない、維持が難しくなって来ているのよ」

理樹「でも脱出方法を見つけないと閉じ込められたまま、か……」

二木「せいぜい考えておきなさい、少なくとも元凶は貴方なのでしょうからね」

理樹「な、何で僕が!?」

二木「貴方が西園さんと神北さんに対して不埒な行為に及んだからでしょう?本当なら私も来ヶ谷さんのようにしてやりたいものよ」

理樹「……ごめんなさい」

二木「謝ったって仕方ないわ、今は考えておきなさい。とにかく、西園さんの部屋に行くわよ」

西園部屋前

二木「ねぇ直枝、もしもこの犯人が西園さんなのだとしたら……一体何が目的なのでしょうね」

理樹「分からないよ、今までの2人みたいに僕を繋いでおきたい訳でもなさそうだし」

二木「そうね、でも万が一の事は考えておきなさい、その目的とやらがはっきりするまではね」

理樹「うん、分かってるよ」

二木「本当に分かってるのかしら……まぁいいわ」ガチャッ

理樹「えっ、そんなノックも無しに……」

二木「この際ノックなんて要らないわよ、いいから部屋に入って来なさい」





理樹「……いた!」

理樹(西園さんは部屋の机で本を読んでいた。僕たちの事など意に介さず、いつものように黙々と)

西園「ここは私の部屋ですよ、『いた』とは失礼ではありませんか?直枝さん」

理樹「ご、ごめん……でも今の状況は……」

西園「解ってますよ、今の状況ぐらい」

二木「それなら話が早いわね、何がどうなってるのか説明して欲しいのだけれども」

理樹「ず、随分ズバッと行くね……」

二木「当たり前じゃないの、このぐらい」

西園「解ってますよ先ずはこうなった経緯ですね……えぇ、直枝さんが神北さんと私に如何わしい行為をした……ここまでの話は知ってますよね」

理樹「うん、もう何度も聞いたよ」

西園「あれは嘘ですよ?」

理樹「えっ?」

二木「は?」

理樹「う、ウソって言うのはその……」

西園「ええ、そんな物は初めから存在しなかったのです」

二木「なら何でそんな話が広まっていたのかしら?第一直枝がそれを自覚していたじゃない」

西園「直枝さんは確かに夜、私たちと練習しましたが……それだけです。他に何もしていません」

西園「つまり、そう思わせるよう仕向けた人間がいるはずです。その状態で理性を失った来ヶ谷さんや神北さんをけしかけた人間が居るはず……と言うのが私の推測です」

二木「そんなやり方するなんて、相当こいつを恨んでたか、もしくは嫉妬してたのかしらね」

二木「はぁ……結局直枝のせいなのね」

理樹「そうなのかなぁ……」

4日も放置してしまった……やっぱり期間が空くと読むの辞めちゃう人も出てくるよね

西園「まぁ何はどうあれその人を見つけて頭を下げる必要がありますよ、直枝さん」

二木「その通り、直枝は鈍感なんだから知らない所で相手を傷つけてる事が容易に想像できるわ」

理樹「そこは正直否定できないなぁ……でも誰なんだろう……正直僕には心当たりがなくて……」

二木「心当たりがない、だなんてこと言ってるとまた碌な事が起きないわよ。言葉を選びなさい」

西園「その人にとっては重要な事だったからここまで話が大きくなっているのではないのでしょうか?……流石の私も直枝さんの無神経さには驚きました」

理樹「その人にとっては重要、か……」

二木「そんな訳で、私は帰るわね。後は貴方の問題よ」

西園「その通りです。後は直枝さん自身が解決する問題、私達は一度下がる事にしましょう」


理樹「そんな!二木さんや西園さんがいないと……僕一人じゃどうにもならないよ!」

西園「そんな事はないですよ、貴方は過去に大きな事を成し遂げているのですから……この件も自力で解決できるはずです」

二木「そうね、あまり言いたくないけど、貴方は自分で思ってるよりもずっとマシな人間よ。そこは忘れないで貰いたいわね」

理樹「二木さん……それに西園さんも……」

二木「ま、そんな訳よ。あんたはあんたで頑張りなさい、そういう姿でいる貴方は……ま、悪くないわね」

西園「では……直枝さん、貴方が答えに辿り着ける事を祈っていますよ」


理樹(部屋から立ち去る2人を僕は追いかけなかった。もう、他の人に頼ってはダメなんだ。僕自身の問題は僕自身で解決しなければならない……そう思えた)







二木「ねぇ、西園さん?貴方は今回の件について知ってたの?」

西園「勿論、動機まで分かっています」

二木「そう……なんで敢えて後に出てきたのかしら?もっと早くに教えてあげることも出来たはずなのに」

西園「それでは直枝さんの為にならないので」

二木「私が言うのもなんだけど貴女、相当な鬼畜ね……」

西園「直枝さんにも少しは怖い思いをしてもらう必要があります。いつまでも唐変木で居られるとこちらが困ってしまうので」

二木「そういう事なら納得ね、後は直枝の答えを待つだけって所かしら」

西園「まあ直ぐに思い出すと思いますよ、そして思い出した瞬間土下座してでも謝る羽目になる事かと……」

中庭

ニャーニャー

理樹「猫……鈴は元気してるのかな……」

理樹(鈴は何をしているのだろう……もうずっと会って居ないような気がして凄く心配だ……)

理樹「そういえばクドとか葉留佳さんはどうしてるんだろ……みんなと会わなくなって寂しいな……」

(さっきまでは二木さん達と居たから……その前は小毬さんと、そのさらに前は恭介たちと……誰も居ない、そんな世界は耐えられない)

理樹「あっ、レノン!またメッセージを運んでくれたりして……ってそんな事はないか」

理樹(そうこうして猫と遊んでいるうちに辺りは暗くなってしまった。すっかり人気のないこの場所で、僕はたった1人だ)

ニャーニャー


理樹「レノン……みんな……」

理樹(思い出せ……僕は何をやった……そうだ。僕は誰かをこんな気持ちにさせてしまったのだろうか、こうやって夜の闇に置き去りにして、孤独にさせた事が……)

理樹「……!!」

理樹「そうだ……!あれは10月、鈴から僕は呼ばれていたんだ!!」

理樹「あぁ……なんで今まで忘れていたんだろう……僕はあの日の朝、鈴に呼ばれていて……でも、その後に来ヶ谷さんから呼び出されたんだ……」

理樹「僕は来ヶ谷さんから告白された、そしてそれを了承したんだ……そしてその後鈴との約束を忘れて西園さんと小毬さんの3人で夜の練習をして……」

鈴「そうだ。そうやってあたしの事を忘れて、他の子と過ごしていたんだ」

理樹「鈴!!」

鈴「あたしはあの日、理樹に告白しようとしたんだ。今だから言える事だけどな」

理樹「そ、そうだったの!?」

鈴「ああ、でも理樹はあたしの約束をすっぽかしただけじゃない、他の女と付き合った。その後さらにこまりちゃん達とも遊んで……」

理樹「……ごめん、わざとじゃなかったんだ……」

鈴「わざとじゃないだなんて言葉が通用するか!!あたしがどれだけ頑張ってたか……それなのに、それなのに理樹は……本心から好きなわけじゃないくるがやと付き合って……」

理樹「待ってよ!どこからそんな話が……」

鈴「理樹は……来ヶ谷さんに押し切られるようにして告白をオッケーしたって、そう言われたんだ……クドに」

理樹「クドがそんなことを言ったの!?」

鈴「クドはあたしが1人で猫達を撫でていた時に慰めてくれたんだ……そして理樹がくるがやに告白されたシーンを見ていたらしいんだ」

鈴「あたしは悔しかった……理樹を好きだーって気持ちは同じぐらいあったはずなのに……タイミングの差で、理樹を取られちゃうなんて……」

理樹「来ヶ谷さんに押し切られただなんてそんな……僕はびっくりしただけで……」

鈴「じゃああたしが先に告白してたら……理樹はあたしを振るのか?」

鈴「あたしだけじゃない、こまりちゃんも、はるかも、クドも、みおもだ。他の誰かが告白したとして、理樹はそれを本当に断れたのか?くるがやが好きだからって言い切れたのか?」

理樹「それは……」

鈴「いいきれないだろう?あたしは約束を破られた事よりもそっちの方が悲しかったんだ」

鈴「理樹が本当に申し訳ないと思ってるのはあたしも分かる。今さら許さないとか言うのはひどい事だって事も分かってる、だからあたしは理樹を許す」

鈴「その代わり理樹……今度は、あたしと付き合ってほしいんだ」

理樹「鈴!それは何を言ってるのか分かってるの!?」

鈴「そんな事は分かってる!でも……納得いかないんだ!あたしがもうちょっとでも、もう少しでもいいから先に恋人になってれば……」

理樹「それは嫌だ!僕は今来ヶ谷さんと付き合ってるんだから!」

鈴「理樹……」

鈴「なあ、理樹……本当にダメなのか……?」

理樹「……ダメだよ」

鈴「あたしがどれだけ悲しかったか……分かってくれないのか?」グスッ


鈴「あたしは理樹の事をこんなに好きなのに……その為に世界を作ったのに!ずっと理樹と過ごせるように幸せなこの世界を作ったのに!!!」

理樹「鈴!!」

鈴「ひっ……!」

理樹「この世界を作って幸せになった人なんていないよ……来ヶ谷さん小毬さんも、僕たちは誰も得しなかったじゃないか」

理樹「謝るだけじゃ済まないのも分かってるし、自分勝手なのも分かってる。だから鈴に納得がいかなくても仕方ないと思う」

理樹「僕は……今来ヶ谷さんと付き合ってるんだ。たとえそれが気の迷いでも、押し切られただけだとしても……承諾した以上、そう簡単に別れる事なんてできないよ」

鈴「理樹……確かにその通りかもしれない、あたしはバカだった」

鈴「でも嫌なんだ、あたしは諦められない、昔から一緒に居て、これからもずっと一緒にいる。そう思ってたのに……他の人に取られるなんてあたしは許せない」

理樹「そ、それは……」

???「それなら諦めなければいい」

理樹「だれ!?」

来ヶ谷「私だ。わざわざここまで来てしまった」

鈴「くるがや……」

来ヶ谷「君は理樹君の事が好きなのだろう?」

鈴「好きだ!なんだかうまく言い表せないけれど……それでも大好きだ!!」

来ヶ谷「私もだ」

鈴「うっ……」

来ヶ谷「私も同じだ。何なら私の方が理樹君を愛していると言える」

来ヶ谷「だからこそ告白までした訳だが……よく考えてみたまえ、それがどうしたと言うんだ」

来ヶ谷「私と理樹君が付き合ったからなんだというんだ。そんな物奪い取ればいいのではないのか?」

鈴「!?」

来ヶ谷「この少年はさっきまで殊勝な事を言っていたが……正直、他の女子に目移りする可能性だってある」

理樹「そんな失礼な事言わないでよ!?」

来ヶ谷「いや、事実だ。君は私以外の人間に言い寄られたらしっかり断れるのか?誘惑に耐えきれるのか?」

理樹「…………自信ないです」

来ヶ谷「そう言う訳だ。この色情魔は誰彼構わず尻尾を振る、付き合ったからと言ってノーチャンスと言う訳ではあるまい」

鈴「あ、あたし……自信が出てきた!!」

鈴「決めた!!あたしは正々堂々!!くるがやから理樹をねとって見せる!!!」

来ヶ谷「その意気だ。私も全力でこの浮気ダメ男を繋ぎとめておく事にしようか」


パァァァァ






理樹「こ、これは……」

来ヶ谷「世界が消えていくな、これでようやく現実の世界に戻れる」

理樹「そうか……鈴の苦しみが癒されたから、かな?」

来ヶ谷「どちらかと言えば君への嫉妬と未練だろう。それにしても、彼女は恋愛に疎いだけで凄まじい程の重い愛情を持っていたようだな」


理樹「うん、僕が全然その事に気付いてなかったから……」

来ヶ谷「それは仕方の無い事だ。そんな鈍感さも含めて君の素敵な一面さ」



……………………

理樹の部屋



理樹「………………ここは……」

恭介「目覚めたか、理樹」

理樹「恭介!なんだが随分と久しぶりに会った気がするよ」

恭介「そうだな、俺達は結局世界の外に出されてしまったから、お前に頑張ってもらう他なかった」

理樹「ようやく日常が戻ってくるんだね……」

恭介「さて、そろそろ朝飯を食べに行こうぜ、そこで寝ている真人を起こしてくれ」

理樹「あはは……真人は相変わらずだね」



食堂



理樹「おはよう、鈴」

鈴「ん、おはよう理樹、今日は随分と遅いな」

理樹「仕方ないじゃないか、真人が中々起きなくてね」

鈴「バカだからな」

真人「おいおい馬鹿は関係ねーだろ馬鹿は」

クド「直枝さーん!」

理樹「おはようクド、なんだか久しぶりに会った気がするよ……」

クド「へっ?」

理樹「あぁ、こっちの話さ。気にしなくて大丈夫」

来ヶ谷「やあ、元気してるかい?理樹君」

西園「無事に息をしていますか?直枝さん」

理樹「2人とも……まぁ元気にしてるよ」

葉留佳「おはようございますみなさん!いやー今日も爽やかな一日の始まりですネ」

理樹「葉留佳さんは相変わらずだね」



葉留佳「そうそう直枝さん、今日のお昼にお姉ちゃんが部屋に来てって言ってたよ?いやーモテる男は違いますねぇ……」ニヤニヤ

鈴「理樹……」

来ヶ谷「もう浮気か、君らしいな」

理樹「やめて!?そんなゴミを見るような目で見ないで!」

小毬「理樹く~ん?朝からモテモテだねぇ」

小毬「ひょっとしたら、2回目の告白をされちゃったりするかも?」

理樹「小毬さんまで……」





謙吾「なぁ、真人。これで本当に大丈夫なんだろうな」

真人「ま、平気じゃねーのか?鈴の気持ちも晴れたみたいだし、後は健全な連中だろ」

謙吾「なら良いんだが……あの世界、どうもおかしな点があるの思わないか?」

真人「なんだよ、言ってみてくれ」

謙吾「事の顛末を見ていると……鈴だけが強く心に願っていて、その他は全員操られるNPCのように振舞っていた」

謙吾「となると鈴だけがあの世界を作りあげていたように見えるが……はたして一人の力であんな世界を作れるものだろうか」

真人「……他に危ない奴が居るって事か?」

謙吾「さぁな、とにかく、注意深く見ておく事にしよう。次に何か起こる時まで、今はこの日常を楽しむ事にしよう」

真人「その通りだな……おし!みんなよく聞け!これより俺と謙吾が早食い競争を行う!どちらが早く食い切るか、お前ら見ていてくれ!!」

謙吾「言ったな!ならば俺はもう食い始めるぞ!」ガツガツ

真人「てめえ!一人で食べ始めんなよ!先ずはいただきますからな……」

西園「宮沢さんはさっき席に着いた時に言っていましたよ」

真人「はえーよ!仕方ねぇ、かくなる上は米と味噌汁の同時食いをだな……」

理樹「汚い!味噌汁溢れてるよ!!」

真人「いいんだ!早く食べきるためには……グゲッ!?」

謙吾「フハハハハハ!!これで俺の勝ち……痛っ!?」

鈴「お前ら……食べ物で遊ぶなーーー!!!」



ワイワイガヤガヤ


理樹「馬鹿だなぁ……でも、この日常を僕は待っていたんだ……そうだ、いまはこのちょっとお馬鹿な世界を楽しもう」










…………


二木「はぁ……全員、甘すぎて笑っちゃうわね」

二木「何が『鈍感さも含めて君の素敵な一面』よ、そんな調子じゃ直枝を繋いでおく事なんてできやしないわよ」

二木「棗さんがあそこまで重い愛を抱えていたことにはびっくりしたけど……結局あの程度って所ね」

二木「本当の愛ってものは戦争なのよ、ねぇ、葉留佳」

葉留佳「お姉ちゃん……そんな事言わないでよ」

二木「あら、貴女も協力してくれたじゃない。密かに直枝を狙っていた邪魔な笹瀬川さんと杉並さんを追っ払って、どうにか今日の1時に会う約束を取り付けてくれたわよね?」

葉留佳「それはお姉ちゃんが真っ当に告白すると思ったから……」

二木「あら、極めて真っ当な告白をするつもりよ。もっとも、少々気持ちを高ぶらせる薬は使うけれど」

葉留佳「お姉ちゃん!」

二木「葉留佳、そこに座りなさい。今更何を言っても私は行動を辞めないわ」





二木「私は……他の人とは違う、本当に直枝が好きなの。生涯であの人以外はあり得ない。あの人はそれ程までの事をしてくれたの」

二木「でもあいつは鈍感な上に流されやすい奴、だから決定的に仲を固める事に決めたわ」

葉留佳「でも……もし失敗したらお姉ちゃんは……」

二木「えぇ、直枝には近づかない事に決めるわ。あいつの側にいる資格がないと……そう思ってね」

二木「でもね、葉留佳……これだけは覚えておきなさい」

二木「私は『本気』なの。それを忘れないで頂戴」


葉留佳(お姉ちゃんは……狂ってる。高校生でお腹に子供を宿して、そして理樹くんに選択を迫るつもりなんだ。仮にもし成功したら……責任を取らせにいく)

葉留佳「いま……12時55分だね」

二木「葉留佳、貴女が直枝にこの話をすると言うのなら……私は止めないわ」

葉留佳「お姉ちゃん……ううん、私は言わないよ。だって……理樹くんを信じているから」

葉留佳(そう言ってお姉ちゃんの部屋から出た。丁度廊下を渡った所で理樹くんは歩いていた)

理樹「あっ、葉留佳さん、今から二木さんの部屋に行く所なんだ」

葉留佳「あー、そうだったね!お姉ちゃんと二人っきりでムフフな事になったりして……」

理樹「そんな事はないと思うよ、だってあの二木さんだよ?どうせ何か指摘する所があるから呼んだんだよ」

葉留佳(理樹くんは信じて疑わない、お姉ちゃんの事を)

理樹「じゃあ行ってくるね、葉留佳さん」

葉留佳「うん!じゃあね、理樹くん!」

葉留佳(だから私も……理樹くんを信じるよ)







コンッコンッ



理樹「二木さん?今いるかな?」





二木「えぇ、入って頂戴、直枝」










これで終わりです。不定期な上にキャラ崩壊が多くてすみませんでした。それではまた

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