脇山珠美「忍者と侍の」浜口あやめ「あれやこれや」 (15)


デレマスSSです。
1、2レス程度の超短編をほんのいくつか。
ウンチクの多くは昔どこかで見たような・・・という程度の知識なので真に受けないようお願いします。


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◯あざな


~喫茶店~

珠美「あやめ殿、待たせてしまいましたかな?」

あやめ「わたくしも今しがた到着したところです。お気になさらずに」

珠美「どうやらお互い気が逸りすぎて待ち合わせの時間よりかなり早く来てしまったようですね」

あやめ「はい!待ちに待った映画の公開日!いてもたってもいられなくなりついつい早起きしてしまいました!」

珠美「武士と忍者が大活躍する映画!監督は時代劇の大御所!殺陣も有名な方が監修となれば我々が見逃すわけには参りませんな!」

あやめ「本当に楽しみですね、珠美殿!!」

珠美「おっと!そんな大声で名前を呼んでは・・・!!」


客1「えっ、珠美殿ってあのアイドルの!?」

客2「今の声、あやめちゃんか!?」

客3「マジで!?どこだ!?」


あやめ「あぁ、わたくしとしたことがなんたる不覚!」

珠美「幸い変装のお陰でバレてはいないようです。騒ぎになるとお店に迷惑がかかりますので注意しましょう」

あやめ「御意!忍者の完璧な隠密行動をお見せしましょう!」


客1(あっ、あのちっちゃい子、絶対珠美ちゃんだわ)

客2(あのお団子、あやめちゃんだな・・・)

客3(変装バレバレだけど忍ぼうとしてるみたいだから声かけるのはやめとくか)


珠美「しかし、アイドルとして有名になったのはありがたいことですが、迂闊にお互いの名前も呼べないのは不便ですなぁ」

あやめ「そうですね・・・でしたらあだ名でも使ってみましょうか?」

珠美「ふむ・・・あだ名といえば、昔はこんな習慣があったそうです」

珠美「賭博場など、大っぴらに本名を呼ぶのが憚られる場所では、名前から一文字とって『◯の字』というあだ名を使っていたそうです」

珠美「たとえば珠美なら珠の字、という感じですな」

あやめ「おぉ!時代劇で見たことがあります!ぜひ採用しましょう!」

珠美「では・・・浜の字!」

あやめ「珠の字!」

珠美(これ時代劇通っぽくていいですね♪)

あやめ(これ忍者の暗号名っぽくていいですね♪)

珠美「浜の字~♪」

あやめ「珠の字~♪」


客1(尊い・・・)

客2(尊い・・・)

客3(尊い・・・)


◯真剣白刃取り


ベチャッ!

南条光「うわぁ!なんだコレ!?足が床に引っ付いて離れない!!」

小関麗奈「アーーッハッハッハッ!!引っ掛かったわね!特製トリモチトラップよ!!」

麗奈「これでちょこまかと避けることはできないわね!食らいなさい!!」ブンッ!

光「なんの!真剣白刃取り!!」シュバッ!

麗奈「ハッ!素人がそんなのできるわけないでしょ!」ペシッ!

光「ぐはっ!・・・やられた・・・」



あやめ「珠美殿!剣の道を歩む者から見ると、真剣白刃取りは実際可能なのでしょうか?」

珠美「う~む、まず不可能でしょう」

珠美「仮に成功したとしても窮地であることは変わりありませんから、見切る動体視力があるなら普通に避けて反撃したほうが合理的です」

あやめ「むう、決まればカッコいいのですがやはり実践は無理ですか」

珠美「うーむ、使うとするなら今の光殿のように身動きが取れない状況でやむを得ず・・・といった限定的な場合のみでしょう」

珠美「ちなみにある剣術の流派に、攻撃を避けてから関節技などを使い敵の剣を取り上げる、という技がありまして」

珠美「これも真剣白刃取りと呼ばれるそうです」

あやめ「ほほう、それなら修行を積めば出来そうですね!!」


バシィッ!


麗奈「そんなっ!?アタシの攻撃が止められた!?」

光「すごい!!完璧な真剣白刃取りだ!!」

珠美「なんですと!子供が相手とはいえそうそう実践出来る技ではありませんよ!?」

あやめ「この事務所にそのような技量の持ち主がいたとは!!いったい何奴!?」






ヘレン「ヘーーーイ!!!」





◯火遁の術


あやめ「忍法・火遁の術!!」ボォウ!!

珠美「おおっ!?手から炎が!!」

珠美「いったいどんなカラクリが?」

あやめ「タネも仕掛けもございません!ニン!!」

珠美「・・・本当ですね、腕の周りには何も仕掛けられていません」

池袋晶葉「どうやら発明は上手くいったようだな」

珠美「晶葉殿!と、いうことはやはり何らかの仕掛けがあるようですね」

あやめ「あぁーー!ネタバラシは今しばらくお待ちいただきたかったです!!」

晶葉「おっと、それはすまない。だが私も早く発明の解説をしたくてな」ウズウズ

晶葉「まあ仕掛けは実に単純だ。炎に関しては袖口に小型の火炎放射器を取り付けただけさ」

珠美「ですが袖口にそれらしい仕掛けはありませんでしたよ?」

晶葉「上着の内ポケットにリールを仕込んであるのだ。これは火炎放射器とピアノ線で繋がっていて、リールを巻き取ると火炎放射器も内ポケットに収納されるという仕組みだ」

晶葉「術を披露したあとすぐに巻き取れば腕を調べられても証拠は見つからない、という寸法だな」


あやめ「手から炎を出せば当然、手の周りに仕掛けがあることを真っ先に疑いますが・・・」

あやめ「だからこそ、他の場所にも仕掛けがあるという可能性を見落としてしまうのです!」

珠美「なるほど!単純ですが見破るのが困難な仕掛けですね」

晶葉「似たような仕掛けの手品はわりとよくあるらしい」

晶葉「というか、本物の忍法も似たようなものだったのではないか?」

晶葉「さすがに漫画のように神通力やチャクラといった超常的なエネルギーを使っていたわけではないだろうし・・・」

あやめ「そうですね、手品の類いを応用して敵の目を欺く忍法もあったそうですから」

あやめ「すなわち晶葉殿の発明も立派な忍法と呼べるでしょう!!」

晶葉「ハッハッハッ、私も忍者の仲間入りというわけか」

晶葉「そうだ、忍法といえば助手も火遁の術を使えるらしいぞ?」

珠美「なんと!それは本当ですか!?」

あやめ「P殿も忍法の使い手であったとは・・・初耳です!!」

晶葉「ああ、なんでも月末によく発動させるらしい」



P「そうそう月末ガチャの回しすぎで家計が火の車・・・ってやかましいわ!!」





晶葉「ちなみにあやめは特製の耐火服を着てその他諸々の安全を確保してから火遁の術を行ったからな」

晶葉「良い子は真似しちゃダメだぞ!」


◯水遁の術


あやめ「忍法・水遁の術!!」シャアッ!

珠美「ほほう、今度は水鉄砲を仕込んだのですか」

あやめ「むむ、流石に同じ仕掛けには引っ掛かりませんか」

珠美「そういえば忍者が術を行うときに巻物を口に咥えることがありますが、あやめ殿はやらないのですか?」

あやめ「咥えた方が雰囲気は出ますが口上が述べられなくなりますのでね」

あやめ「ちなみに巻物を口に咥える理由は諸説ありまして、創作物のイメージがそのまま定着してしまったという夢のない説や」

あやめ「毒物を使用する際に自分が吸わないようにするためのフィルターになっている、という説もあるようです」

珠美「ほほう、ガスマスクになっているとは・・・その発想はありませんでした!」

珠美「しかし・・・それだと毒物を使用する時以外は意味のない行為、ということになりますね・・・」

あやめ「た、たしかにそうですね・・・」

晶葉「フッフッフッ、意味がないのなら、意味を与えてやればいいのだ!」

あやめ「晶葉殿!また何か面白い発明が出来たのですか!?」

晶葉「ああ!巻物型アクアラングだ!」

珠美「なるほど!酸素ボンベですか!」

あやめ「水遁の術が捗る発明ですね!」

あやめ「新たな術のお披露目の場、どこかにないか・・・」

あやめ「あっ!P殿!ちょうどいいところに!」

あやめ「わたくし、水に入るお仕事がしたいです!!」

P「水に入る仕事?・・・ふーん、そうかそうか」

P「いやー知らなかったな。あやめはそんなに水着の仕事をしたいのか」

あやめ「えっ?あっ、いや!そうではなくてですね!」

P「そんなに熱心に頼まれちゃ仕方ない。飛びっきり過激な水着の仕事を取ってこよう」

あやめ「だーかーらー!!」

P「まったく、あやめはやーらしかーだな」

珠美「やーらしかー」

晶葉「やーらしかー」

あやめ「やらしくありません!!!」


◯手裏剣


大和亜季「こぉらぁーー!レイナァ!!また性懲りもなくイタズラを!!」

麗奈「アーーッハッハッハッ!!こんなの引っ掛かる奴が悪いのよ!!」

亜季「待てぇーー!!」

麗奈「へへーん!こっこまっでおっいでー!」ガチャッ!バタンッ!

亜季「この部屋か!・・・な、なんだこれは!?」ガチャッ!

亜季「机やら椅子が積み上げられてバリケードに!侵入できる隙間がない!?」

麗奈「アンタの図体じゃ追ってこれないでしょ?それに遮蔽物だらけじゃご自慢の銃も役に立たないわね」

亜季「ぬぅぅぅ、小癪なマネを!!」


シュタッ!


あやめ「亜季殿、ここはわたくしにお任せを!」

亜季「あやめ殿!この状況を打破できる術をお持ちなのですか?」

あやめ「はい!これを使います!」

亜季「手裏剣・・・ですか。しかし射線はバリケードによって塞がれていますが・・・」

あやめ「手裏剣は威力や射程距離では銃に劣るでしょう。しかし、手裏剣だからこそできることもあるのです」

あやめ「すぅー・・・はっ!!!」シャッ!シャッ!シャッ!

ギュイーーン!!

亜季「おぉっ!!バリケードの隙間を縫うようにカーブした!!」

麗奈「ひぃっ!!?」ストッ!ストッ!ストッ!

あやめ「このように、回転数を調整することで軌道を曲げられるのです!」

あやめ「わたくしの手裏剣から逃れることはできません。さあ麗奈殿、観念なさい!」

亜季「お見事!!忍者の手裏剣術、感服いたしました!」



シュババババッ!!

姫川友紀「あやめちゃん!カーブ投げれるってホント!?」

あやめ「えっ?は、はい・・・」


~数日後~


\かっとばせー!/

\バッターびびってるー!/


友紀「あやめちゃーん!自慢のカーブみせてやってー!!」

あやめ(な、なぜこのようなことに・・・)


◯奥義


珠美「この流派には虎乱刀という技がありまして・・・」

神崎蘭子「・・・」ピクッ!

あやめ「虎の勢いを模した技ですか・・・やはり自然界のものをお手本とするのは有効なのですね」

あやめ「動物といえば忍法にも水蜘蛛の術というのがあってですね云々」

蘭子「・・・!」ピクピクッ!

珠美「他にも動物のみならず雷や雨などの自然現象を由来とする技が云々」

蘭子「・・・!」ガタッ!

珠美「?」チラッ

あやめ「?」チラッ

蘭子「清廉なる刃の響きと影負いし者の業!いったい如何なるものか?その言霊は!?」ワクワク

珠美(よ、よくわかりませんが、何やら期待されているような・・・)

あやめ(ここはそれっぽい事を言うべきなのでしょうか・・・?)

珠美(えっと・・・要するにとにかく凄そうな、必殺技っぽいものを教えればよいのでしょうか・・・?)

あやめ(蘭子殿の琴線に触れそうな術は・・・)



珠美「斬釘截鉄!」

あやめ「疾風迅雷の術!」

珠美「金翅鳥王剣!!」

あやめ「禁手・閻魔断声の法!!」

蘭子「おぉ~~♪」パァァ!

珠美(こ、これでいいのですか・・・)

あやめ(ふう、どうやら正解のようですね・・・)

蘭子「カッコいいです♪♪」キラキラ

珠美(可愛い)

あやめ(可愛い)


◯居合


珠美「フフフッ・・・」ギラッ!

亜季「おや珠美殿、その刀は今度のイベントの小道具ですかな?」

珠美「はい、その通りです!」

あやめ「刀を使えるのがよほど嬉しいようで、先程からずっとこの調子です・・・」

亜季「武器の類いには自分も興味があります!少し見せていただいてもよろしいですか?」

珠美「はいっ!取り扱いには細心の注意をお願いします」

亜季「了解です!・・・ほほう、こうしてみると日本刀とは意外に長いのですね」

珠美「一般的な打ち刀はおおよそ刃渡り70~75センチほどのものが多いですね」

亜季「自分は体格には自信があるほうですが、それでも鞘から抜くのも一苦労という感じですな」

亜季「・・・・・・」チラッ

珠美「な、なんですかその視線は?」

珠美「ははぁ~ん・・・珠美に刀が扱えるのか?という疑問の眼差しですね?」

亜季「い、いえ・・・決してそのようなことは・・・」

珠美「良い機会です。珠美の太刀捌きをご覧に入れましょう!」

珠美「刀を抜く際は右手のみを使うのではダメなのです。重要なのは腰と左手です」

珠美「右手で抜く!同時に腰を開き左手で鞘を後ろに下げる!」シャキンッ!

亜季「おおっ!?速い!!」

珠美「こうすることで右手のみよりも素早く抜刀でき、かつ滑らかに攻撃に移れる体勢を保てるのです!」ドヤァ

亜季「なるほど!剣術とは『ちっちゃい』人でも扱えるよう工夫されているのですか!」

珠美「なぜ『ちっちゃい』を強調したのですか!?」

あやめ「見ましたか亜季殿!珠美殿は『ちっちゃくても』凄いのです!」

珠美「珠美はちっちゃくないです!!」プンスコ

亜季(可愛い)

あやめ(可愛い)


◯九字


~ライブ会場・控え室~


亜季「そろそろ我々の出番ですな!」

珠美「腕が鳴りますね!」

あやめ「修行の成果、とくとお見せしましょう!」

晶葉「ああ!ひとつ目にモノ見せてやろうじゃないか!」

道明寺歌鈴「は、はい!・・・が、頑張りましょう!」ブルブル

友紀「あちゃ~、歌鈴ちゃんガッチガチに緊張しちゃってるね~」

歌鈴「す、す、すみません・・・何か緊張をほぐす方法は・・・」

友紀「手に人って字を書いて飲むってのがよくある方法だね」

あやめ「ふふふ、でしたらもっと良い方法があります!」

あやめ「九字護身法というのがありまして・・・」


あやめ「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前!」


あやめ「という九つの文字を唱えるのです!」

歌鈴「りん・ぴょう・とう・・・えっと、どういう意味なんでしょうか?」

あやめ「意味は・・・その・・・」

珠美「臨む兵、闘う者、みな陣ならべて前に在れ」

珠美「要約しますと、常に最前線に在れ!という闘いに挑む者の心構えを説いたものですね!」

あやめ「そ、そういうことです!」

あやめ「古来より忍者は事に挑む前にこれを唱えて、心を落ち着けたり集中力を高めていたそうです」

友紀「あ~!イチローが打席に入ったときにやる独特の構えみたいなものかな?」

晶葉「いわゆるルーティーンというやつだな。その効果は科学的にも証明されているぞ!」

亜季「ほほう、ならば今回はそのご利益に与るとしましょうか!」

晶葉「りん・ぴょう・とう・・・すまない、もう一度教えてくれ」


珠美「はい!臨・兵・闘・者・皆・陣・れちゅじゃい・・・」


亜季(噛んだ・・・)

晶葉(噛んだか・・・)

あやめ(噛みましたな・・・)

友紀(噛んじゃったか~・・・)

歌鈴(噛んじゃいましたね・・・)

珠美「うわぁぁぁナシナシ!今のナシで!」


亜季「おやおや、いけませんなぁ、歌鈴殿の持ちネタを奪っては」

歌鈴「ネ、ネタじゃないでしゅよ・・・」

歌鈴「あ~もう!そんなこと言うから私まで噛んじゃったじゃないですかぁ!」

友紀「ぷふっ・・・くくっ!」

晶葉「おいおい、笑うのは、フフッ・・・失礼だろう?・・・プフッ!」


『あっはっはっはっはっ!!!』


歌鈴「もぉぉ~~!!皆さん酷いです!!」

友紀「はぁ~~笑った笑った」

亜季「いや歌鈴殿、申し訳ない・・・」

晶葉「だが、いい感じ緊張はほぐれたのではないかな?」

歌鈴「あれっ?そういえば・・・」

歌鈴(いつの間にか震えが止まってる・・・)

あやめ(珠美殿、もしや場を和ませるためにわざと・・・?)

珠美「さて、それでは改めて九字を唱えましょうか」

あやめ「はい!こちらに書いておきました!」

亜季「さすが忍者!仕事が早いですな!」

友紀「よーし!それじゃあ、せーの!!」



『臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前!!!』



珠美「では、いざ尋常に!!」

あやめ「出陣です!!!」


『おぉぉーーー!!!』



おわり


以上です。
ネタのいくつかは井沢元彦著・忍者レイ・ヤマトシリーズを参考にしております。
古い作品ですが読みやすく面白いのでリアル寄りの忍者好きな方にオススメです。

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