絵里「フリマ!」 (37)
今日は亜里沙とフリーマーケットに来ています。
亜里沙「ハラショー!お姉ちゃん、このぬいぐるみ可愛いよ」
絵里「ふふっ。じゃあ、買っちゃう?」
亜里沙「いいの!?」
絵里「特別よ。すいません。このぬいぐるみいくらですか?」
「400円です」
絵里「はい。じゃあ、これで」
「ありがとうございました」
亜里沙「お姉ちゃん、ありがとう!」
絵里「大事にするのよ」
亜里沙「うん」
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絵里「さて、他も見て…」
「へいらっしゃい!」
絵里「なんか聞き覚えのある声が…」
穂乃果「あっ!絵里ちゃんだ!おーい!絵里ちゃーーん!」
絵里「やっぱ。穂乃果じゃない」
亜里沙「穂乃果さん。こんにちは」
穂乃果「こんにちは亜里沙ちゃん」
絵里「穂乃果も出店してたのね」
穂乃果「うん。一度やって見たかったんだよね~」
絵里「何を売ってるの?」
穂乃果「ああ…えっとね。これだよ!」
絵里「……え?」
穂乃果「ほむまんだよ。穂むらのお饅頭だよ」
絵里「う、うん。さっきから目に入ってたけど…」
穂乃果「買ってく?」
絵里「いや…あの…フリーマーケットでお饅頭を売るのは…どうなの?」
穂乃果「なんで?」
絵里「だって…フリーマーケットって洋服だったり雑貨だったり使わなくなった物を売るものでしょ?」
穂乃果「うん。だから、これはお店に並べられないお饅頭だよ」
絵里「…え?」
穂乃果「食べれるんだけど形が崩れちゃったりして売り物にならなくなった物を売ってるんだよ。勿体ないじゃん」
絵里「な、なるほど。そう言う事」
穂乃果「と言う事で!絵里ちゃん買ってかない?」
絵里「え?」
穂乃果「全然売れないんだよぉ。絵里ちゃん買っていってよ。安くするから!」
絵里「どつする?」
亜里沙「お姉ちゃん、買って行こう」
穂乃果「ありがとう。亜里沙ちゃん!一つ100円です!」
絵里「思ったより高い!」
穂乃果「そんなもんだよ」
ワイワイ ガヤガヤ
絵里「まさか穂乃果が出店してるとは思わなかったわね」
亜里沙「お姉ちゃん。私もやってみたい!」
絵里「機会があったらね」
希「あれ?えりちと亜里沙ちゃんやん」
凛「あっ!本当だ!おーい!」
亜里沙「お姉ちゃん!希さんと凛さんだよ」
絵里「希と凛?二人も出店してたのね」
希「も?」
絵里「あっちで穂乃果が」
希「へ~。穂乃果ちゃんが」
絵里「二人は何を売っているのかしら?」
希「ウチと言えばスピリチュアルガールやん?」
絵里「そうね」
希「という事でこれ!」
絵里「これは…壺?」
希「そう。ウチのスピリチュアルパワーをたっぷり注入しといたから買えば幸せになれるよ~」
絵里「物凄く胡散臭い…」
希「そんな事ないよぉ」
絵里「参考までに聞くけど…いくら?」
希「本当は25万円なんやけど…えりちは友達やから2000円でええよ」
絵里「詐欺の手口じゃない!私は絶対に買わないわよ!そんなもん買ったら不幸になるわよ!私の財布が!」
希「2000円で幸せになろうなんて考えが甘いんよ」
絵里「あなたが言ったんでしょ…」
希「あっ!じゃあ、こんなのはどう?えりちがこれを2000円で買って。それを別の人に2500円で売るんよ。そうするとえりちには500円の利益が出るやん?それを繰り返していけば…」
絵里「ダメに決まってるでしょう!」
希「マルチ商法じゃないよ?」
絵里「皆んなそう言うのよ。詐欺師はね。友達無くすわよ」
希「も~冗談やって」
絵里「亜里沙の前で変な冗談言わないで頂戴」
亜里沙「私は大丈夫だよ」
希「で?どうするん?買ってく?」
絵里「遠慮しておきます。必要ないから」
希「それを言ったらウチもこれ必要ないんやけど。一人暮らしの家にあっても邪魔やし。なんならもう無料でもいいから持って行ってよ」
絵里「いりません」
希「え~良い機会だと思ったのになぁ」
絵里「人に押し付ける気満々って事ね」
亜里沙「凛さんは何を売ってるんですか?」
凛「凛?凛はこれだよ」
絵里「……どれ?」
凛「だからこれ!」
絵里「あの……まさかとは思うけど…冗談よね?」
凛「何が?」
絵里「これ…ただの石?」
凛「綺麗でしょ?昔海で拾ったんだよ」
絵里「頭が痛い…」
凛「大丈夫?」
希「幸せの壺必要?」
絵里「それはいらない」
凛「こっちは川で拾った石だよ!凄い丸いでしょ!」
絵里「あたなはそこら辺で拾った石を人に売り付けるつもりなの?」
凛「そこら辺じゃないよ。海だってば」
絵里「一緒よ。商品価値があるとは思えないんだけど」
希「えりち。そうやって商品価値がどうとか。価値なんて人によって違うやんか。だいたい世の中の売り物なんてそこら辺の人がテキトーに値段決めて価値を付けてるだけなんやから」
凛「希ちゃん!」
希「その石だってもしかしたら凄い価値が付くかもよ?」
絵里「じゃあ、希が買えばいいじゃない」
希「え?」
凛「500円になります!」
希「…良心的やね」
ワイワイ ガヤガヤ
絵里「全く。希と凛には困ったものね」
亜里沙「お姉ちゃん。雪穂達も来てるみたいだから私そっちの方に行ってくるね」
絵里「あっ、そうなの?あまり無駄遣いしちゃダメよ?」
亜里沙「はーい」
絵里「はあ。一人になっちゃったな」
真姫「あらっ、絵里じゃない?」
絵里「真姫も来てたの」
真姫「あっちでお店を出してたのよ」
絵里「真姫もなの?」
真姫「たまにはこう言うのも良いかなって。良かったら見て行って?」
絵里「ええ。そうするわ」
真姫「こっちよ」
絵里「うん」
真姫「……」ピタッ
絵里「どうしたの?急に止まって。もしかして、ここが真姫の?」
真姫「違うけど。あれ…」
絵里「え?」
真姫「あの子供用ピアノ…私が本当に小さい頃に使ってた…」
絵里「ええ…まさか…」
真姫「間違いないわよ。覚えてる。だって…あの、足のキズ…私が誤ってつけたんだもの」
絵里「本当に?だとしたら凄い事よ」
真姫「絶対にそうだわ。本格にピアノを始めてそれっきりだったけど。ねえ?ちょっと見て行っていい?」
絵里「ええ。良いわよ」
真姫「ありがとう。絵里」
絵里「ふふっ」
真姫「ねえ、見て」
絵里「なあに?」
真姫「ほらここに!M.Nって。私のイニシャルだわ」
絵里「本当だったのね。なんだかロマンチックね」
真姫「うん。これまでどんな子が弾いてたんだろう」
絵里「気になる?」
真姫「ちょっとだけね」
絵里「聞いてみたら?」
真姫「でも…」
女の子「すいません」
出店人「どうしたのかな?」
女の子「あの…あれが欲しいんですけど」
真姫「あの子…もしかして…」
絵里「次の持ち主はあの子になるのかしら」
真姫「でも、あの子小学生…高学年じゃない?あのピアノはもっと小さい子向けの…」
出店人「あの、これはちょっとお嬢ちゃんには早いんじゃないかな?」
女の子「そんな…」
真姫「え?」
絵里「今早いって言ってたわよ?逆じゃないの?」
真姫「うん…」
出店人「お嬢ちゃんにこの本はまだ早いと思うよ」
真姫「えっ!?本?ピアノじゃないの?」
絵里「ど、どんな本を買おうとしてるの?」チラッ
『壁ドン vol.55』
絵里「壁ドン…しかもvol.55って…」
真姫「こんな所で売るのもこんな所で買うのも間違ってる」
女の子「あっ…」カァァ
真姫「あっ…聞こえ…」
女の子「…」ダッ
絵里「あ~あ~小学生を…真姫…」
真姫「だって…つい…」
ワイワイ ガヤガヤ
絵里「聞かなくて良かったの?」
真姫「うん。いいの」
絵里「そう。所で…今さらなんだけど。真姫は離れてて良かったの?ちょっと不用心じゃない?」
真姫「大丈夫よ。店番置いてきてるから」
絵里「店番?」
真姫「たまたま歩いてる所を声掛けてね。ほら!あそこよ!」
絵里「あ~。あの子が」
男「すいません」
海未「あっ、い、いらっしゃいませ…」
男「え?何?」
海未「いえ…あの…いらっしゃいませ」
男「あっ、ああ…あの~これいくらですか?」
海未「え?あっ…えっと…」
男「いくらですか?」
海未「それは…その…」
真姫「それは500円で良いですよ」
海未「真姫!!」
男「じゃあ、これで」
真姫「ありがとうございました」
海未「すいません…情け無い所を。助かりました」
真姫「値段を言ってなかった私の方が悪かったわ」
絵里「でも海未はもうちょっと積極的になってもいいかもね」
海未「絵里も居たんですね」
絵里「さっきそこで会ったの」
真姫「さあ、絵里。ゆっくり見て行って。もし気に入った物があったら言ってね」
絵里「うん……ねえ?このサングラスって…」
真姫「何?」
絵里「結構なブランド物よね?」
真姫「そうなの?パパ…お父さんが使わないって言うから持って来たんだけど。気に入ったんなら500円で良いわよ?」
絵里「え?ダメダメダメ。500円でなんて。悪くて…」
真姫「いや…私が良いって言ってるんだし」
絵里「だとしてもダメよ。500円なんて…」
真姫「そう」
絵里「こっちの時計だって…」
真姫「あ~それもパパ…お父さんがもう使わないからって。1000円でいいわよ」
絵里「だからダメよ!引いちゃう。引いちゃうから」
真姫「何よそれ」
絵里「この帽子も…」
真姫「それもパパ…お父さん」
絵里「いやもうパパで良いわよ!すっごい気になるから!」
真姫「は?何が?」
絵里「よくそんなセリフが出るわね…」
真姫「意味わかんない」
海未「真姫は恥ずかしがり屋さんですね」
絵里「海未もね」
海未「あの…先程から気になって居たんですけど…この市松人形は…」
絵里「ひぃ…な、な、なんでそんな物が…」
真姫「あぁ…それ…なんかね…気づいたらあったのよ。それね…髪が伸びてる気がするのよね」
絵里「ええ…」
真姫「気味が悪いからって捨てたりしてるんだけどね。使用人が拾って来たり気が付いたら部屋に戻ってたりで」
絵里「なんて物売ってるのよ…」
海未「まさに怪奇ですね」
真姫「でも、やっぱりこんな物他人に…ましてや友達に売るなんて出来ないわ」
絵里「大丈夫?呪われない?」
真姫「変な事言わないでよ」
海未「お寺にでも持って行っては?」
真姫「そうね。で?何も買って行かないの?絵里の言い値で良いから」
絵里「じゃあ…」
ワイワイ ガヤガヤ
花陽「にこちゃん!本当にいいの?」
にこ「構わないわよ。別に」
花陽「これも?これ…伝説の武道館ライブだよ?」
にこ「3枚持ってるしね」
花陽「本当!」
にこ「少し部室を整理しないといけないしね」
花陽「にこちゃんは神さまだよぉぉ」
にこ「もっと崇めなさい」
花陽「神さまぁぁぁぁ」
絵里「良い心掛けね。にこ!ついでに掃除もしてくれるとなお良しなんだけど」
にこ「絵里!?」
花陽「絵里ちゃん!?」
絵里「にこも出店してたのね」
にこ「絵里…あんた…そのサングラス似合ってないけど」
絵里「う、うるさいなぁ」
花陽「にこちゃん!これも良い?」
にこ「あ~良いわよ。花陽ならいくつ買っても1000円でいいわ」
花陽「にこちゃぁぁぁぁん。なんて優しいのぉぉぉぉ」
絵里「本当にいいの?」
にこ「花陽はにこの後継者だからね」
絵里「そうじゃなくて。こんなに大量に買って持って帰れる?って言うか家に置く場所あるの?」
花陽「………しばらく部室に」
絵里「整理整頓の意味!!!」
ことり「にこちゃん困るよぉぉ」
にこ「あっ、ことり…」
絵里「にこ…何かしたの?」
にこ「何もしてないわよ」
絵里「って言うか何故メイド服…」
ことり「バイト先で出店してて。じゃなくて。にこちゃん。私のサイン売らないで欲しいんだけど…」
花陽「にこちゃん。ミナリンスキーのサイン売っちゃうの?」
にこ「え?だって…友達のサインを持ってても…ねえ?」
絵里「確かに…」
ことり「じゃあ、私が買い取るから。いくらですか?」
にこ「50円…」
ことり「え?」
にこ「だから50円」
ことり「50円でいいの?」
にこ「まあ…そんなもんかなって」
絵里「にこはいくらで買ったのよ?」
にこ「一万円よ」
絵里「一万円!?」
にこ「伝説のカリスマメイドのサインだからね」
ことり「うん。50円?」
にこ「そうよ。だって友達のサインだし…」
ことり「50円…」
絵里「あっ!私、他の所も見て周らなきゃ!うん!」
花陽「あっ!私も!」
ことり「待って花陽ちゃん」ガシッ
花陽「え?あの…だれか助けてぇぇぇ」
絵里「ごめん、花陽。私は空気に耐えられないわ」
ワイワイ ガヤガヤ
絵里「はあ。本当…にこもデリカシーが無いと言うか…もうちょっと違う言い方が出来ないのかしら…」
海未「なるほど…」
絵里「海未?」
海未「あっ、絵里」
絵里「真姫の所はもういいの?」
海未「はい」
絵里「そう。で、何してるの?」
海未「これを見てください」
絵里「えっと…石?」
海未「はい。購入しようか悩んでいたんです」
絵里「えっと…石よね?石なら凛が売ってたけど…」
海未「凛が売っていたのはただの石でしょう?これは南アルプスで採れたパワーストーンなんです」
絵里「パワーストーン?」
海未「はい。ですよね?」
出店人「お、おう」
絵里「えっと…いくら?」
海未「5000円です」
絵里「高いわよ!こんな石に5000円って」
出店人「ちょっと金髪のお嬢ちゃん。営業妨害はやめてくれよ」
絵里「いや、だって…どう考えたっておかしいでしょ」
出店人「証拠はあるのかい?」
絵里「それは…」
海未「絵里…絵里の言う事も分かります。私も最初はそう思いました。しかし、この石を額に当てたら頭痛が治ったんです」
絵里「絶対に思い込みよ!って言うか頭痛がしてたの?」
海未「少しだけですが…」
絵里「なんでも良いけど。友人として見過ごせないわ。やめときなさい」
出店人「あのね~本当に営業妨害だから…」
希「あーーー!!!こないだウチに壺を売りつけたおじさんや!」
絵里「希!?」
海未「いきなり大声で現れて…びっくりするでしょう」
凛「凛もいるにゃ!」
希「おじさん!あの壺…ニセモンじゃないですか!」
絵里「えっ…あの壺この人から買ったの?それを私に押し付けようとしたの?」
希「よくもウチを騙したなぁ~」
出店人「別に騙してなんか…」
穂乃果「あーー!!!さっきそこで石を拾ってたおじさんだ!」
出店人「なっ!?」
絵里「穂乃果まで…」
海未「ちょっと待ってください。さっきそこで拾ったとはどう言う事ですか?」
出店人「いや…その…」
凛「そこら辺で拾った石なのに5000円もするの?そんなの詐欺だにゃ!」
絵里「それに関しては凛も人の事言えないけど」
海未「ちょっと聞きたい事があるのであちらに行きましょう」
希「ウチも手伝うよ」
出店人「いや…あの…」
絵里「海未…あの…程々にね」
海未「さあ。こちらへ」
出店人「いや…」
海未「さあ!」
絵里「……お大事に」
穂乃果「何があったの?そのサングラスどうしたの?」
絵里「色々とね。それより穂乃果の方はどうなの?」
穂乃果「お陰様で完売だよ」
絵里「え?そうなの?」
凛「穂乃果ちゃん凄いにゃ!」
穂乃果「いやぁ…それがねぇ…お腹が空いて一個だけ…一個だけとやってたら…完売したのに売り上げが…」
絵里「え?」
穂乃果「えへへ。なかなか上手くいかないねぇ」
絵里「またダイエットする羽目になるわよ」
穂乃果「明日から走る!」
絵里「あっそ」
凛「穂乃果ちゃん頑張るにゃ!」
亜里沙「お姉ちゃ~ん!」
雪穂「あっ、うちのお姉ちゃんも」
穂乃果「雪穂!?」
絵里「どう?何か良い物あった?」
亜里沙「面白い本見つけたから買っちゃった!」
絵里「そう。良かったわね」
雪穂「明らかに怪しい石を買おうとしてたんで止めました」
絵里「そう。ありがとう雪穂ちゃん」
亜里沙「えへへ。あとね、可愛いお人形を買ったんだ!」
絵里「可愛いお人形を?」
亜里沙「うん。これだよ!可愛いでしょ!」
絵里「そ、その人形は…いやぁぁぁぁ」
穂乃果「絵里ちゃん!?」
完
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