765楽園sideL2話ルート育 (55)

注意
765楽園sideLから読んだ方がいいかも
当シリーズは765学園物語シリーズ様の三次創作、つまりファン作品
作者も当然違う
スレタイを被せずオリジナルの設定でやることも考えたが、どうしてもPが学生、兄妹がこのみと桃子という設定が外せなくなったので、そこまで同じなら堂々とファン作品として打ち出した

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前回のあらすじ

桃子と育坊とデートして帰宅したら謎の美少女星梨花が家に上がり込んできた。

P「世間を知るためにこの子が家に住まわせてほしいって欲しいってさ」

星梨花「よろしくお願いします」

星梨花はペコッとあいさつをした。

桃子「……」

桃子は人見知りを発動してこのみ姉さんの後ろに隠れて様子を伺っている。

このみ「うーん、急に言われてもねえ流石のお姉さんもちょっと困っちゃうわ」

P「だってさ星梨花。悪いけど急に家に上げるなんてできないよ」

内心すっごく残念だけど。

星梨花「そうですか……」シュン

ああ、庇護欲をそそる!

このみ「待ってP。今、星梨花って呼んだ?」

P「うん」

このみ「そうねえ……じゃあ一緒に住んじゃう?」

P・桃子・星梨花「え?」

星梨花「本当ですか!?」

星梨花がうれしそうに言う。

このみ「ええ。オトナのお姉さんはウソをつかないわ」

この前ウソはオンナをオンナにするの、とか言ってたのはどこのどいつだ。

星梨花「やったあ! ありがとうございますっ」ピョンピョン

このみ「こらこら、スカートで飛び跳ねないの」

P「……」チラッ

桃子「……」ゴスッ

P「」

桃子「ったく」

P「セリフなしでここまで伝わるのすごくない!?」

このみ「何言ってるの。星梨花ちゃんは晩御飯は食べた?」

星梨花「あの、まだなんです」

このみ「だったら用意するわ。一人前増えてもそう変わらないから」

星梨花「わたしも手伝います。メイド兼妹としてここに来ましたから」

このみ「そうねえ。お手伝いはとっても助かるんだけど、今日ぐらいは座ってなさい。だって貴方の歓迎会も兼ねてるもの」

星梨花「か、歓迎会……! ありがとうございますっ」

こうして家族が増えたのだった。

ご飯を食べてすこし休憩してると、星梨花が発案してきた。

星梨花「あのっみなさん。今日、お風呂は入りましたか? もしまだだったら用意をしたいです」

このみ「そういえばまだね。じゃあ星梨花ちゃん、お願いしてもいいかしら?」

星梨花「わかりましたっ」

このみ「Pは洗剤だとかスポンジの位置を教えてあげて」

P「合点承知の助」

風呂

星梨花「ここがお風呂ですか」

P「ああ」

お互い服を着てるとはいえ、ふたりっきりでお風呂にいると気まずいな。さっさと教えて退散しよう。

星梨花「ここはひょっとしてワンちゃん用のお風呂ですか?」

P「違うよ!」

星梨花「ごめんなさい……わたしの知ってるお風呂と違ってて……」

そういえば星梨花は世間一般を知るために住み込み始めたハズだ。多少の勘違いは仕方ないだろう。

P「ここにスポンジがあって、ここに洗剤ね。あとはこれはシャワーってこれぐらい知ってるか」

星梨花「もちろん知ってます! ここをこうやって」

そう言って星梨花はシャワーのひねりを回した。シャワーの方向も考えずに。

星梨花「きゃっ! 冷たいです!」

シャワーは無慈悲に星梨花に向かって降り注ぐ

P「だ、大丈夫か?」

俺は急いでひねりを戻した。

星梨花「うう、ごめんなさい。失敗しちゃいました」

P「いやよくあることだから気にすんな」

俺だってカランとシャワーを間違えたり、スプーンを洗うときに水を飛び散らせたり失敗はある。って!

P「……!」バッ

星梨花「どうしたんですか?」

P「星梨花、服!」

星梨花「きゃっ!」

星梨花は急いで背中を向ける。だって水で服がぴったりとくっつき、その、下着が透けて見えてしまったから。

頭にこびりついた、キャミソール型の下着を忘れようと目をつむるが、手が滑って脳内保存フォルダに入れてしまった。

星梨花「ごめんなさい。ドジふんじゃって」

P「ううん、俺もはかどったからいいよ」

普段はぴょこんとしたツインテールが濡れて頬や首元に張り付いてるのにドキドキした。

星梨花「はかどる?」

P「ううん、何もない。せっかくだし、そのままお風呂入ったら?」

星梨花「……そうしますね。あっよかったらわたしのキャリーバッグからお着がえを持ってきてもらってもいいですか? びちょ濡れでお家を歩き回るのはちょっと」

P「分かった」

浴室から出て、星梨花のバッグを探す。これだ。ただキャリーバッグを家で転がすのは狭い家では不可能だし、なぜかやたら重くて持ち上がらない。

なら中身だけ持っていくしかない。

女の子のバッグを開けるのは気が引けるが、これは星梨花に頼まれたことなんだと自分に言い聞かせてバッグのチャックを開ける。

そこで俺は初めて気が付いた。着替えを持っていくということは、その、下着も当然持っていくことになる。さっきの下着が透けた星梨花を思い出してしまう。ぱ、パンツだって持っていかなきゃいけないハズだ。……星梨花はどういうのを持っているのだろう。

汗ばんだ手でバッグを開けようとした瞬間、急に後ろから声を掛けられた。

桃子「お兄ちゃん、なにやってるの?」

背中に冷や汗が滝のように走る。

俺の「しまった」っていう表情をみて桃子はすべてを理解したのか、こう言い残して去っていた。

桃子「サイテー」

まるで虫けらをみるような冷たい視線だった。

結局、腰がミシミシ言うのを感じながらバッグごと持っていくのだった。

風呂

P「星梨花、バッグ持ってきたぞ」

星梨花「ま、待ってください」

P「どうした?」

ドア越しに星梨花が言う。

星梨花「実はその、濡れちゃったお洋服がきもちわるくて、脱いだんです」

ということはドアの向こうには一糸まとわぬ星梨花が?

だが俺は己を律して覗くことはしなかった。

ドアが少しだけ空いてその隙間から星梨花の手が伸びる。

星梨花「お着がえだけ渡してください」

その手首と手のひらからその肌色が全身に広がる妄想が抑えきれなくなりそうになる。

P「いやバッグごと持ってきた。ここに置いてるから、あとは任せたぞ」

そう言って俺は自分がおかしくなる前に足早に立ち去るのだった。

数十分後

星梨花「お湯お先にいただきましたー」

P「……」

濡れた髪、火照った肌、どうしてお風呂上がりの女の子ってこんなに色っぽいんだろうか。

星梨花「? わたしに何かついてます?」

P「いや、何もない。俺も風呂もらってくるわ」

ごまかすために風呂に向かった

浴室に向かって初めて気がつく

ここにはさっきまで裸の星梨花がいたのだ。思わず脳裏に思い描いてしまう。そして洗濯カゴにはたぶん、さっきまで星梨花が付けていた下着があるし、浴槽にはあの子の残り湯がある。

ごくりと喉がなる。思わず洗濯カゴに手を伸ばしかけたそのときだった。

桃子「ちょっとお兄ちゃん! 着替えも持たないでお風呂にいかないで。裸で出てくるつもり?」

そのとき正気に戻った。

P「ああ、悪いな」

そう言ってドアから手を伸ばし着替えを受け取る。

さっきまでの俺はどうしたのだろうか。

頭を冷やすために浴槽にはつからず。シャワーだけを浴びた。

P「風呂でたぞー」

星梨花は心臓に悪いので、視界には入れず、リビングに戻った。

このみ「はーい。じゃあ、次は桃子ちゃんか私ね」

このみ姉さんのエプロン姿ってなんかいいな

桃子「どうしたのお兄ちゃんぼーっとして」

桃子もいつも不満げな顔をするけど、意外と素直なところもあってかわいいんだよな

って邪念ばかりじゃねえか。

P「ちょっと体調悪いから、もう寝るわ。おやすみ」バタン

桃子「変なお兄ちゃん」



Pさん、Pさん。

俺を優しく揺すり、声をかけてくる人がいる。

昨日は悶々として眠れなかったので寝不足だったけど、頑張って目を開けた。

星梨花「あ、おはようございますPさん」

目覚めると天使がいた。

P「あれ、俺しんだの?」

星梨花「だいじょうぶです。しんでません」

P「ああ、星梨花か」

星梨花「おはようございますっ」

P「おはようございます」

星梨花「よく眠れました?」

P「うーんそこそこだな」

星梨花「あっそうです。聞こうと思ってたんですけど、Pさんは昨日、お兄ちゃんって呼ぶとすごく喜んでくれました。なんてお呼びしたらいいですか」

Pさん呼びも素晴らしいがお兄ちゃんも甘美な響きだ。もちろんもっと変化球でもファンタスティックだ。

P「あえてお兄さん呼びはどうかな」

星梨花「お兄さん♪」

P「おおう。いや兄さん呼びもいいな」

星梨花「兄さん……って『お』だけでそんなに違うんですか?」

P「そりゃ違うよ」

星梨花「そういうものなんですね」

P「じゃあ趣向を変えてパパって呼んでみて」

星梨花「パパ♡」

P「将来パパと結婚したいって言ってみて」

星梨花「わたし、将来パパと結婚したいです」

P「ふふ。じゃあ、兄上さまで」

星梨花「兄上さま」

そのあとも兄者とかアナタ、とかご主人さまとか色々試したが、結局お兄さん呼びに落ち着いたのだった。

星梨花「お兄さんは朝はご飯派ですか、それともパン派ですか?」

P「じゃあ今朝はパンにしようかな」

星梨花の食卓に和風の朝ご飯が並んでるのが想像つかないしな。

星梨花「えへへ、わかりました。お紅茶もいれますね」

桃子「ちょっと待って」

P「ああ、桃子も起きてたんだな」

桃子「今、星梨花にお兄さんって呼ばせてた?」

P「いや、せっかくだしその方が家族らしくていいと思って」

桃子「お兄ちゃんの妹は桃子だけなのに」

P「なんか言ったか?」

桃子「何も言ってない!」バタン

桃子は行ってしまった。

星梨花「あの、わたし悪いことをしてしまったのでしょうか」

P「いや俺が呼ばせてたわけだし気にしなくていいよ」

そのあと星梨花が用意してくれた朝食を食べた。なんという名前の紅茶が忘れたけど、香りがよくてリラックスもできた。

通学途中

星梨花は学校が近いので、遅い時間に家を出ても問題ないらしく、俺と桃子だけが先に家を出た。

P「あの、桃子、さっきから黙ったままだけど」

桃子「別に何もない」

桃子お嬢がご機嫌ななめだ。

桃子「お兄ちゃんはああいう素直で可愛い妹が欲しかったんだよね」

P「いや、そういうわけじゃ」

桃子「桃子なんていらないよね」

P「そんなこと一言も言ってない」

桃子「先、学校いくね」

桃子はろくに前も見ずに走り出した。そのとき、俺は気づく。トラックが走ってきてることに

P「おい桃子! ひかれるぞ!」

桃子を助けようと走り出す! しかしどう転んでも間に合わない。

やっとのことで桃子がトラックに気づく。だけどもう遅い。トラックは桃子の目の前まで来ており、ブレーキが間に合う距離じゃない。

P「桃子おおおおおお!」

そう叫んだ瞬間、トラックの軌道が変わり、桃子の横スレスレを走っていった。

ぺたんと座りこむ桃子。

P「大丈夫か、怪我してない?」

桃子「……へいき」

P「ならよかった。せっかくだし初等部まで送っていくよ」

桃子「ありがと」

桃子を介抱したあと、さっきまでの光景を思い返す。

あのトラックの軌道変更、絶対普通じゃなかった。

そう思ってなんとなぐ空を仰ぐ。

そのとき、視界の端に女の子が入った気がした。

俺は自分の目を疑った。だって彼女はホウキで空を飛んでいたように見えたから。

桃子を初等部まで送り届けたあと、俺は例の女の子のことが気になった。

どうせ遅刻だ。学校をサボってもいいだろう。

たしかこっちの方向に飛んでいったような。

なんとなく勘でそちらを進むと公園があった。

平日の午前中なのにベンチで休んでる女の子がいる。

気になって声をかけた。

P「こんなところで何やってるんだ? 育坊」

育「え?あっPさん! えっと休んでただけだよ」

P「平日の午前中に?」

育「それは……ごめんなさい」

P「いや別に謝られたいわけじゃない」

育坊をちらと観察する。

P「スカートに砂がついてるな」

育「え、ほんとだ。ありがとう」

育坊は立ち上がって砂を払った。

P「問題はなぜスカートに砂がつくかだ」

育「えっと、実は転んじゃったんだよ」

P「だったら花こう土系の土がつくか、アスファルトで擦ったような跡がつくはず」

育「……実は砂場で遊んでたの」

P「そう公園で砂があるような場所といえば砂場しかない。で今度は砂場を見てみようか」

育「……うん」

P「砂場で遊ぶといえば山をつくるとか。でも砂は山どころかえぐれている。むしろどこからか砂場に突っ込んだような跡だ」

育「……」

P「なあ育坊キミは砂場にベッドスライディングをして遊んでたのか? それにこの砂のえぐれ方、角度がついてるな。まるで空を飛んでてここに突っ込んだような」。

育の背筋がピンと伸びた。

育「あっそれはね。えっと」

育坊は人に見抜かれるのは得意じゃないらしい。子どもらしく焦っているようにみえた。

P「あとね。ネタばらしするけど、実際に見たんだ。空を飛ぶとこ」

育「そこまで見られたんなら仕方ないかあ。実はわたし、魔法が使えるんだ」

実際みたので信じるしかない。てか昨日言ってたな。

P「そうか」

育「おどろかないの?」

P「理解が追いついてない感じだ」

育「えっとね、ってわわっ」

育坊は、急に俺の胸に体を預けるようによろめいた。

P「大丈夫か?」

育「うん、ごめんなさい。さっき魔法を使いすぎちゃって。なんとか柔らかい砂場には着地できたんだけど」

P「もしかして桃子を助けてくれたのも」

育「そう、わたしだよ。さすがにトラックを動かすのはやりすぎたみたい」

P「育坊のおかげだったんだな。ありがとう」

育「ううん、桃子ちゃんが無事でよかったよ」

P「で、やっぱり魔法使うと体力が減るのか?」

育「うん、だから……抱っこして」

P「え?」

育「わたしの魔法はね、愛を感じると回復するの。だから抱っこしてほしいな」

P「こ、こうか?」

育を抱きしめる。その瞬間、ミルクのようなあまい香りが鼻孔をくすぐった。

手を回すと子ども特有の細い体躯を感じられる。

愛おしくなって頭をなでた。

育「ふう……ありがとう、Pさん。だいぶよくなったよ」

P「これぐらいならお安い御用だ」

育「なんかすっごくドキドキしちゃった」

P「俺もだよ」

育「ホント? じゃあ効いてるんだ」

P「?」

育「昨日、Pさんに小さい子にドキドキするようになる魔法をかけたんだよ」

P「え、まじ?」

育「うん、桃子ちゃんが喜んでくれるのかなって」

昨日、俺がおかしくなったのはそれが原因か……

てかその理論だとこのみ姉さんまで魅力的にみえたのはおかしいだろ!

育「認識系の魔法はむずかしいから、うまくいってよかったあ」

P「いや、よくねえよ。早く戻せ。このままじゃこれから先、俺は家で過ごすより刑務所で過ごす時間の方が長くなる」

育「え、Pさんの実家刑務所なの?」

P「ちげーよ『え、○○さんのお家ってパン屋さんなんだ!』みたいなノリで言うのやめろ」

育「えへへ、冗談だよ、でもそんなに効くほど強い魔法じゃないけどなぁ」

P「そうなの?」

育「たぶん、素質があったんだよ」

P「イヤな素質!」

そんなとき、どこからか妙な人物が現れた。

怪人「ふふふ、こんなところにいたのか。魔法少女育!」

P「あからさまな奴がきたぞ」

育「ここはわたしに任せて! 変身!」

おお、変身もできるのか。

育「あのっPさん、あんまり変身中はこっちみないでね」

P「どうして?」

育「その、なんというか、裸になっちゃうから。もちろん光が入ってよくは見えないんだけど、体のラインとかは分かっちゃって」

ヒーローもので敵役が変身中に待っててくれる謎が解けた気がする。

俺は自制心を保ちつつ、育の変身を待つ。

怪人「……」ガンミ

ってめっちゃ見てるやん!

P「くらえ、目つぶし!」

怪人「ぐわああああああああ!」

怪人「おのれ、魔法少女Pめ! 今日のところはここまでにしておいてやる」

俺は魔法少女ではない。

怪人「さらばだ!」スタタッ

なんかやっつけたぞ。

そうこうしてるうちに育の変身が終わる。

フリフリした衣装に大きなリボン。かわいい。育ちゃんのリボン。がんばるキミが好き。

育「すごいよっPさん。魔法もなしに怪人やっつけるなんて」

P「奇跡も魔法もあるんだよ」

育「その魔法少女はいろいろと不穏だからやめてほしいな……」

P「育坊にそういうデメリットはないのか?」

育「ううん、そういうのはないよ。そうだPさん、魔法もバレちゃったし、良い考えがあるんだ」

P「なんだ?」

育「わたしのパートナーになってよ」

P「パートナー? 婚約者ってこと?」

育「ちょっとちがうかな。Pさんに分かるように言うとCCさくらのケロちゃんとか」

P「ああ懐かしいな」

育「おじゃ魔女のマジョリカとか」

緑のあいつね。

育「なのはのユーノ君とか。そういう感じ」

P「ラインナップにはツッコミたいけど、だいたい分かった。妖精ポジションね」

育「そんな感じ!」

P「でも妖精ポジションはちょっとなあ」

育「じゃあ陽性ポジションにする?」

P「なんだそのポジション!このご時世にそれは嫌すぎる!」

育「でもわたしがいないと小さい女の子が好きになる魔法が解除できないよ?」

P「ぐっ! たしかにそれはマズイ。今すぐ解くのはできないのか?」

育「さっき言ったとおり、認識系の魔法は難しいから、今日はむずかしいかも」

P「やっぱりそうなるか」

育「だから、わたしのそばに居てほしいなって」

P「ったく、変な魔法をかけやがって」

育「だって桃子ちゃんがうらやましいもん、こんなお兄ちゃんがいるんだから」ボソッ

P「なんか言ったか?」

育「ううん、なーんにも言ってないよ」

P「ならいいけど」

育「じゃあとりあえず抱っこしてほしいな」

P「えっ」

育「さっき変身したから魔力を使っちゃって」

P「よく分からないけど、変身だけじゃそんなに魔力を使わなくない?」

育「ほら、はやく」

P「まぁいいけど」

言われるがまま育を抱きしめる。

なんというかいいのかこれ?

警察「ただいま、公園にて女子小学生にいかがわしい行為を働く男性を発見」

P「!?」

警察「あのーちょっとお話よろしいですか?」

P「おい、育坊。なんとかしろ」

育「わたしは空から逃げるね」

P「俺は?」

育「Pさんもホウキに乗せるのは難しいし、警察さんに魔法をかけるわけにもいかないから」

P「うん」

育「自分の足でなんとかしてほしいな」

P「おい」

育「本当にごめんなさい。じゃあまたね」

スウーと空を飛んでく育。

警察「あれさっきの女の子は? とりあえずキミに話をきこうか」

P「失礼します!」ダダッ

警察「こら待てー!」

こうして俺と育の妙な関係が始まったのだった。

自宅

P「やっと巻いたぞ……逃げたり、隠れたりしてたからもう夕方になっちまった」

桃子「おかえり。どうしたの汗びっちょりで」

P「ちょっと追いかけっこでもしてたんだ」

桃子「高校生で追いかけっこって」

P「まぁそれは置いといて、今朝のことは大丈夫か?」

桃子「もう平気」

P「ならよかった」

桃子はテレビを観ながらこたえた。

P「なに観てるんだ?」

桃子「歌番組。なんとなく垂れ流してるだけだよ」

そこには蝶をロゴマークにしたアイドルたちが歌って踊っていた。

なぜか、桃子がアイドルをやってる光景がフラッシュバックする。

P「桃子はアイドルに憧れたりするのか?」

桃子「え!? いやまぁ」

桃子は過剰な反応をみせる。図星だなこれは。

P「やっぱり女の子はこういうの憧れるものなんだなあ」

桃子「さあね。お兄ちゃんはこういうの興味ないの? どの子が好み?」

P「この子かな」

桃子「ロリコン」

例の魔法が効いてるようだった。

桃子「別にこの子のファンになってもいいけど、追っかけすぎはやめてね」

P「別にそこまで一目ぼれしたわけじゃないぞ」

桃子「そう? ならいいけど」

P「それにアイドルのファンで終わるのはさみしいな。もしやるのなら、この子らを導けるような存在になりたい」

桃子「ふうん」

P「なんだ?」

桃子「別に」

桃子はそう言うと自分の部屋に戻っていくのだった。

次の日 放課後

P「おっす。育坊」

育「あっ来てくれたんだね。ありがとう」

P「まさかテレパシー的なのを送ってくるとは思わなかったよ」

育「えへへ、びっくりした?」

P「そりゃあね。で、何の用?」

育「魔法で困っている人を助けたいからそのお手伝いをしてほしいなって」

P「分かった。普段はこの時間にやってるのか?」

育「うん。きのうは大きな事故だったから、朝からだったんだよ」

P「なるほどね」

育「あっ街の交差点でおばあちゃんが困ってるみたい。そこに行こう」

P「俺はどうやって行くの?」

育「ごめんね。まだわたし以外の人を飛ばすのはできなくて」

P「じゃあ徒歩ってこと?」

育「うん」

P「とほほ」

俺は妖精ポジションのはずなのに、気が付いたら脚の筋肉がムキムキになってるかもしれない。

魔法少女の横にやたら脚が発達した奴がいたら気持ち悪い。



おぼあちゃん「えっと、ここはどこかしら」

育「もしかして道に迷ったの?」

おばあちゃん「ええ。そうなのよ。荷物も重くて……」

P「俺たちが手伝いますよ」ゼーハー

おばあちゃん「ひっ。あっありがとう」

P「たしかに荷物重いっすね。育坊、テレポート的なので送るのはできないのか?」

育「うーん。がんばったらできると思うけど、ちょっとそれは違うかも……」

P「そうなの?」

育「こうやって荷物を持ってあげて、一緒にお話してあげればおばあちゃんはもっと助かると思ってて」

P「まぁ言われてみればそうかも」

育「じゃあ、行こうよ」

そのほかにも。

男「女さんに告白したいけど、なかなか時間が2人っきりの時間がとれない……どうしよう」

育「えいっ」

女「きゃっ」

男「あっ風で女さんの帽子がグランドの端っこまで飛んで行ったぞ。取りに行ってあげなきゃ」

女「取りに行かなきゃ」

男「あっ2人っきりだ。よーし」

女「///」

育「ふう」

P「うまくいったみたいだな」

育「うん。あの2人すごく幸せそう」

P「やっぱりここも魔法でどっちかを惚れさせたりするんじゃないんだな」

育「そうだよね。そのお手伝いをするってことだよ」

夕方

育「今日はいっぱい手伝ってくれてありがとう。今日も街の人を助けられてよかったあ」

P「あんがい人助けも悪くないな。でもこれをやって意味はあるのか?」

育「もちろんあるよ」

P「なんかパワーが貯まってそれが集まればいいことがあったり?」

育「そうじゃなくって。わたしはせっかく魔法少女になれたんだから、誰かの笑顔のために魔法を使いたいって思ってるよ」

P「そっか。立派だな」

育「あっそうだ。今日も魔力つかっちゃったから、その、抱っこを」

P「ったく甘えんぼだな」

育「甘えんぼじゃないもん!」

自宅

P「なあ桃子。もし魔法があったらさ、他人のために使えるか?」

桃子「どうしたの急に」

P「いやなんとなく聞いただけ」

桃子「ふうん」

P「で、どうだ」

桃子「桃子は自分の願いのために使っちゃうかも」

P「だよな。やっぱ立派よな、あの子」

その後も育の笑顔を増やす活動は続いた。誰かを助けたり、お手伝いをしたり。

ある日

男「ペットの様子がおかしいんだ」

育「えいっアニマルステイション!」

犬「引っ越しをしたばかりなので環境に慣れず落ち着きません」

男「ひっしゃべった!?」

P「いや俺には何も聞こえなかったぞ」

育「わたしも」

男「じゃあ飼い主の俺だけに聞こえたってこと? 愛情ってやつかな」

P「そうだな」

育「うんうんっ」

男「とにかく病気じゃなくてよかった。2人ともありがとう」

その日の帰り道

P「今日も何人も笑顔にできたな」

育「うん。犬の飼い主さんも安心したみたいでよかったね」

P「だな」

育「ねえ。Pさん」

P「なんだ?」

育「わたしたちって体だけの関係でしょ?」

P「ブフー!」

P「何を言い出すんだよ! ちげーよ!」

育「そうかなあ。たまに魔力補給で抱っこしてもらってるけど」

P「ああ、まぁそういう言い方もできなくないな」

育「それでね、抱っこだけじゃなくて、ちゃんとデートもしてほしいの」

P「やっぱりその方が魔力の効率がいいのか?」

育「う~ん。実は最近、魔力の力が弱まっているように感じてて、抱っこだけじゃダメなのかなって思ったの」

P「わかった。とりあえずいろいろ試してみるか」

自宅

P「ただいま」

桃子「おかえり。帰ってきたところ悪いんだけど家事手伝ってもらってもいい? このみお姉ちゃんも帰りが遅くて」

P「もちろん手伝うよ。あれ星梨花は?」

桃子「星梨花は熱っぽいみたい」

P「そりゃあ大変だ。あとでおかゆ持って行ってあげよう」

桃子「まったくお兄ちゃんは本当に星梨花が好きなんだから」

P「いや別にそういうわけじゃない」

星梨花の部屋

P「星梨花、入っていいか?」

星梨花「はい、どうぞ」

P「星梨花、体調は大丈夫か? おかゆ持ってきたぞ」

星梨花「ありがとうございます」

ベッドの上の星梨花はひどく疲れてみえた。

P「もしかして家事を任せすぎたかな」

星梨花「いえいえ、わたしはメイド兼、妹ですから。大丈夫ですよ、お兄さん」

P「星梨花ってば」

星梨花「よかったら、おかゆを食べさせてもらってもいいですか」

P「いいよ。あーん」

星梨花「えへへ、とってもおいしいです」

P「そりゃあよかった。まぁ桃子に教わったからな」

星梨花「桃子ちゃんって物知りですよね。わたしもいろいろなことを教えてもらってます」

2人は意外と仲良くなっていたらしい。

P「そりゃなにより」

P「じゃあ病人の部屋に居座るのもアレだし戻るよ」

星梨花「実はちょっと不安で、わたしが眠れるまで手をつないでもらってもいいですか?」

P「まぁそれぐらいなら」

こうして俺は星梨花が眠れるまで手を握り続けたのだった。

部屋に戻るとこのみ姉さんがいた。

P「おかえり」

このみ「星梨花ちゃんの様子はどう?」

P「眠っているよ」

このみ「なら私がいかなくてもよさそうね」

P「なあ、星梨花って何者なんだ? これって出るとこ出られたら、未成年誘拐とかに当たるんじゃないか?」

このみ「何者って? 星梨花ちゃんは星梨花ちゃんじゃない」

P「いや急に乗り込んできて、いつのまにか馴染んでるけど、やっぱこの状況普通じゃないような」

このみ「まぁまぁ細かいことはいいじゃない。その辺のむずかしいことはお姉さんがなんとかしておくわ」

P「ならいいけど。そういやこのみ姉さんは大人っぽいデートといえば何を想像する?」

このみ「え、そういう相手でもできたのかしら?」

P「そうじゃなくって、ただの話題の一環だよ」

このみ「そういえば、イルミネーションやってるみたいよ」

P「イルミルミルミ……」

小学生を夜に誘うのはアレだけどたしかに特別感はある。子どものときって夜、歩くだけでドキドキするし。ちょっとダメもとで打診してみようかな。

次の日

育「イルミネーション? 行きたい!」

P「ならよかった。夜遅くなるけどそこは大丈夫か?」

育「うん、おとうさんには友だちのお家に泊まるっていうから大丈夫だよ」

P「なんか罪悪感あるな……」

育「だからPさん、子ども扱いしないでちゃんとエスコートしてね」

P「了解」

当日

育「ごめん、待った?」

P「ううん、俺も今来たとこ」

集合場所は育が魔法少女だと判明したあの公園にした。

あと最初のデート(?)みたいに遅刻は避けようと思ったのだ。

P「初めてみる服な気がする」

育「えへへっ分かった? ちゃんとおめかししてきたの」

P「そっか。似合ってるよ」

育「ありがとう」

P「じゃあ行こうか」



P「はい、切符」

育「ありがとう。電車にスムーズに乗れるのってオトナって感じがするね」

P「ただの慣れだよ」

育「なんだか夜の街って知らない場所みたいでワクワクする」

P「ならよかった」

育はしきりにキョロキョロしている。

帰宅ラッシュのサラリーマンが目立つ時間帯だ。

目的地

P「ついたぞ。ここの大きな公園が全部ライトアップされてるらしい。けっこう歩いたけど、大丈夫?」

育「うん、平気だよ」

P「そりゃよかった」

入場料を払って、公園に入る。

まず目に飛び込んできたのはライトアップされた巨大なシャンパンタワーだった。

育「みて! すっごく高くコップを積んでるよ」

P「はは。大変だったろうなあ」

育「途中で割ったりしそうだよね。Pさん、綺麗だけどさわっちゃダメだよ」

P「分かった分かった。気を付けるって」

注意してくる育に思わず頬がゆるむ。

シャンパンタワーを通りすぎると、アーチがあり、そこくぐるとまさに別世界があった。

育「綺麗―まるで光の海にもぐったみたい」

P「光の海か、いい表現だ」

たしかにそう表現するのが的確なくらいとにかく歩道も木々もライトアップされている。

ふとみると、すれ違ったカップルが光る飴をなめていた。

育「Pさん今のみた?」

P「ああ飴が光ってたな。あんなの見たことない」

育「わたしもあれ食べたい」

P「いいね。あっ向こうの売店で売ってるみたいだぞ」

売店で飴を購入する。スイッチで飴の棒が光る仕組みみたいだ。

P「飴の味はまあ普通だな」

こういうのは特別感、雰囲気が大事。その証拠に……

育「わぁー」

目を輝かせてる女の子がいるから。

育「Pさんお写真も撮ろう」

P「はいチーズっと」

育「ちがうよっPさんとツーショットを撮りたいの」

P「ええ、それは恥ずかしいな」

育「せっかくだから」

P「分かったよ。あのカップルに頼んでみるか」

P「すみません、ツーショット撮りたいので写真撮ってもらってもいいですか」

女「ええ、いいですよ」

男「スマホ借りますね」

帽子が似合う素敵な女性と優しそうな男性だった。

男「はいチーズ!」

その瞬間、育が俺に抱き着いてきた。

P「育ってば近いよ」

育「えへへ、だって今日はPさんの彼女だもん」

おかげであまりにもラブラブすぎる写真が量産されるのだった。

育「Pさん、あの丘に登ろうよ」

P「よし競走だ」

育「わー! Pさん速い」

P「そりゃ、日ごろ走ってるからな」

丘の上

育「ここから公園が一望できるね」

P「俺たちが歩いてきたのはあの道かな」

俺たちの間にしばしの沈黙が訪れる。

育「Pさん今日は連れてきてくれて本当にありがとう、すっごく楽しいよ」

P「どうした改まって」

育「ちゃんと思いは伝えないと思って」

P「そっか。魔力の方は貯まった?」

育「あっそのために来てたんだよね。なんだか、ちょっとさみしいかも」

P「?」

育「ううん、なんでもないよ」

P「ならいいけど」

育「でも最近、ちょっとつまらなかったからうれしいなあ」

P「つまらない?」

育「おとうさんのお仕事が長くてなかなか帰ってこないし、おかあさんもパートを始めてお家にいることが少なくなっちゃった」

P「……そっか。寂しかったんだな」

育「えへへ、かもね」

P「じゃあそろそろ帰ろうか」

育「うん」



この時間になれば駅の利用者も減ってくる。とはいえ帰宅中であろうサラリーマンもいるな。

育「今日のイルミネーション本当にすごかったよ。また連れて来てね」

P「ああ、お安い御用さ」

???「もしかして育か」

帰宅途中であろうサラリーマンに声を掛けられた。

育「あっ、お、おとうさん」

父「こんな夜中に出歩いて何をやってるんだ。今日は桃子さんのところ泊まると聞いたが、嘘ついたのか」

ジロリとにらまれる。

P「いや俺、というか僕、桃子の兄なんです」

父「そうだとしても、こんな時間に育を外に連れ出すのはおかしいですよね。怪我や迷子、はたまた行方不明になったとき責任はとれますか?」

思わず閉口してしまう。俺の認識が甘かったんだ。

父「あな方のご家庭には後ほど連絡をいれておきます。ほら育、帰るよ」

育は俺の方へ手を伸ばしたが、それを受け取ることができなかった。

育「……!」

育はステッキを取り出していた。まさか育、おとうさんに魔法をかけるつもりか。

P「おいやめろ育! なにやってるんだ」

育「みてのとおりだよ! なんでPさんは助けてくれないの。王子様みたいにわたしを連れ出してよ!」

P「育は言ってたよな! それは誰かの笑顔のために使うって! 誰かの心をだます使い方なんてしてこなかったハズだ!」

育「っ……!」

育は引き下がり父親に引き取られていった。

俺は1人でポツンと立ちつつ、これでよかったと自分を言い聞かせ続けるのだった。


それから数日間は育から連絡が来ることはなかった。

桃子「お兄ちゃん、空なんか見てどうしたの? なにかある?」

P「えっいやなんもないよ」

無意識に空を見上げる時間が増えた。

さらに数日後のことだった。

ある日の夜、自分の部屋からボケーっと外をみていたら、一瞬何かが光ったのだ。

P「UFOか?」

俺はその光に注目する。その光を例えるならそう、イルミネーションのときみた光のような……ってもしかして育か!


俺は気がついたら駆け出していた。

怪人「ぐへへ、いくら魔法少女だからといっても魔法が使えないなら、ただの女の子だな」

育(テレパシーは使えないみたい。でも、残りわずかな魔力で光を撃ち出すことならできそう)

育「えいっ」

怪人「? そんな光になんの意味がある?」

P「こーんな意味があるのさ」シュタッ

怪人「またしてもお前か」

P「やっぱり魔力がたまってないみたいだな。さあ育坊、抱っこを」

怪人「喰らえっ」

P「あ、足が動かない!」

怪人「あの時は油断したが、こうしてしまえば魔力供給は不可能。さてどうやって料理しようかな」

P「くそっ、動け! このクソ足!」

怪人「その術を破るのは無理だよ」

育「Pさん……!」

P「考えろ、考えろ俺!」

魔力供給は愛の力。だから物理的にハグをしないでも供給は可能なハズ。

P「なあ育坊!いや育!聴いてくれ!」

怪人「冥土の土産ってやつか?」

P「育のお父さんはずっと育を愛してたんだよ! だからあのとき必死に俺たちを引き剥がした!」

育「でも最近お仕事でぜんぜん相手してくれないもん……」

P「離れてたって愛は愛だろ! 今こそ実感しろよ! 育は愛されてるんだ!」

育「……」

P「もちろん俺だって育を愛している!」

育「!」

P「こんなに他人を笑顔にできる太陽みたいな存在は育しかいない! 最初は成り行きで育を手伝っていたけど、いつしか俺は育に憧れてたんだ! 誰もを幸せにする本当の意味での魔法使いに!」

育「でも、でも! Pさんはおとうさんから助けてくれなかったよ」

P「そりゃそうだ。親に対して寂しい想いをしている育に、俺が心の隙間を埋めるわけにはいかないからな。そんなの寂しがってる心を利用した、ただのゲス野郎だ。だから育の一生を考えるとそれはできなかった」

育「わたしの一生まで考えてくれたの?」

P「だから愛してるって言ったろ?」

育「そっか、わたし……!」

怪人「な、なんだ、その光は?」

P「さあそろそろ終わらせようぜ。こっぱずかしい俺の告白劇場を」

育「魔力満タン!怪人さん、わたしの全力、ちゃんと受け止めてよね」

怪人「やめろ、やめろ。ぐわああああああ!」

こうして俺たちは怪人を打ち倒したのだった。

後日談

珍しく俺が朝一番に起きた。

気分もいいし庭の掃除でもしようかと外に出るとちょうど育と鉢合わせた。

昨日のを思い出して恥ずかしかったけど、あえて気にしてないように振る舞う。

P「よお育。早いな。桃子を迎えにきたんだろうけど、あいつはまだ寝てるぞ」

育「おはよう。今日は桃子ちゃんじゃなくてPさんに逢いにきたの」

P「お、俺に?」

育「だってわたし将来Pさんと結婚するもん」

P「え?」

育「昨日言ってたよね。わたしの一生を考えて愛してくれるって」

P「言ったような、なんかニュアンスが違うような」

育「だから、ね?」

育「あれってプロポーズなのかなって」

ちがうとは言いづらい。

P「でも育の年齢じゃ結婚できないし」

育「やっぱりおおきくなったら結婚してくれるんだ!」

P「そんなこと言ってねえよ。それにお父さんと仲直りしなくちゃ意味ないぞ。俺はそういうのに取り入るのは嫌だって言ったろ」

育「ちゃんとおとうさんと仲直りしたよ」

P「それはなにより」

育「だからPさんと愛し合っても問題ないよね」

P「問題しかない」

P「そうだ、忘れてたけど小さい子が好きになる魔法とっとと解いてくれ」

育「え、もうとっくに解けてるよ。認識系の魔法を何日も続けるはムリだよ」

P「まじか」

育「だから昨日Pさんが言ってくれたのはホントの本音!わーい」

P「こら抱きつくな。ご近所さんに見られてたらどうするんだ」

育「新婚ですって言うね」

P「新婚よりロリコンだよ」

育「もう、Pさんってば煮えきれない態度ばっかりとって。こうなったら、えいっ」

頬に柔らかい感触。

育「えへへ、ちゅーしちゃった」

P「ちょ、ちょっとやりすぎだぞ!」

育「Pさん顔真っ赤だよ」

P「育だってそうじゃないか」

育「えへへ、おおきくなったら結婚しようね」

そう言って、ぴとっとくっついてくる育。

俺は諦めたようにため息をつくのだった。

おわり

これは育さんだわ
乙です

中谷育(10)
http://i.imgur.com/p64webr.png
http://i.imgur.com/gMdYCop.jpg

>>3
周防桃子(11)
http://i.imgur.com/ElBvXAG.png
http://i.imgur.com/TcDHeAk.jpg

箱崎星梨花(13)
http://i.imgur.com/5X2vmDa.jpg
http://i.imgur.com/OvxOq2E.jpg

馬場このみ(24)
http://i.imgur.com/HmmzrMC.png
http://i.imgur.com/NztyppI.jpg

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