【安価】真実の瞳 (444)

女神「男よ」

男「……なんですかあなた」

女神「私は女神です。あなたには実験に付き合ってもらいます」

男「はぁ」

女神「あなたには私の治める世界の人々が如何に正直者であるか」

女神「それを見てきてもらいます」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1594520820

男「とは言われても、僕にはどうすることもできない」

女神「ええ、ですからあなたには『真実の瞳』を授けます」

男「なんですかそれは」


彼がそれを聞くが早いか、女神は右手を振りかぶった
そして、それを男に向かって勢いよく振り下ろした


女神「せやっ!」

男「……なんですか」

女神(男よ……私の声が聞こえますか)

男(こいつ直接脳内に……!)

女神「えーこのように、心の声を聞く能力です」

男「へぇ、でもこれって『瞳』ってより『耳』では?」

女神「そうとも言うかもしれませんね」

女神(細けぇことばっか言ってると裁くぞ)

男「能力の使い方はよく分かりました」

女神「ともかく、あなたには頑張って貰います」

男「分かりましたが」

女神「それでは!」


女神が手拍子をすると、男の姿は彼女の領域から消えた

川の、水のせせらぎ
その清涼なる響きがゆっくりと彼の意識を覚醒させた


男「ここは……」


明らかに見たことのない植物が自生している
それは彼の無知ではなく、
ここが異世界であることを示していた


男「……いやいや、絶対ここ地球じゃないじゃないか」

男「はぁ、困ったぞ。ここは森のようだが」

男「ともかく、川に沿って進んでいこう」

男「そうすれば、人里に出れるかもしれない」


川沿いを歩いてゆく
彼は安全か分からない淡水を飲む気にはならなかった


>>6……どこに着いた?

エルフの農村

かぐわしい土の香り
芳醇な大地の恵みを感じさせる匂いに導かれる
彼は、エルフの農村に辿り着いた


男「農村か……おや?」


今は昼間だ。そして、太陽も顔を出している
しかし、農作業をするものの姿が見受けられない
視界の端の窓の隅、家の中には人影が映った

まさか異世界につれてこられるとは思わなかったので、
さっさとこの世界から出る方法を聞きたい彼は
一縷の望みを賭け、期待の面持ちでドアを叩く


男「ごめんください」

エルフ「……な、何ですか?」


おそるおそるといった様子で家からエルフが顔を出す
彼はエルフの尖った耳に驚いたが、
それを表に出さないように続ける


男「どうして農作業をしてる方がいないんです?」


とりあえずよくありそうな話題から入ることにした


エルフ「>>9

それは人間様のお仕事ですので…

エルフ「それは人間様のお仕事ですので…」

男「……はぁ、そうなんですか」

エルフ「はい。あなたはどうやら人間様のようですが」

男(いや僕農作業とかできないし……適当に誤魔化すか)

男「はい、僕は人間です……!?」


彼は自分の耳を疑った
自分が言うはずのないことを言った。
彼は考えを改め、自分の口を疑った


エルフ「どうか、なさいましたか?」

男「ああすみませんちょっと動揺しただけです!」


これもまた、誤魔化そうとしていたことだ
誤魔化しがきかない。というより、嘘がつけない。
原因は思い当たる。あの女神の変な力だ

男「……じゃあ、そうだね。君たちは農業したいかい?」

エルフ「はい、我々の命の為に」

男「だったら君たちでやればいい」

エルフ「それは……」

男「見たところ、この村の畑の土壌はいい」

男「適切な耕作を繰り返さなければこうはなれない」

男「君たちは人間の耕作を見てきたはずだ」

男「よって、君たちにもできることだと僕は思う」

エルフ「しかし……」


エルフのその頑なな様子は、
しきたりの類に縛り付けられているように見えた


男「それとも別に、何か理由でも?」

エルフ「いえ、それは……」

エルフ(>>14)

この国では種族によってつける仕事が限られていて逆らうと…

エルフ(この国では種族によってつける仕事が限られていて逆らうと…)

男(完全には聞こえないな。もしかして、思い出したくもないようなものなのか?)

エルフ「……すみません」

男「ああ、いいんです。ところで僕はこの世界から出たいのですが」


そこまで言って、
彼は普通に考えて『世界から出る』なんて言うヤツはいない
ということに気づいた

男「おおっとすみません。変なことを言ってしまいました」

男「でもなにか知っていたりしませんか?」

エルフ「>>18

3つ目の角を左に曲がって突き当たりから出られる

エルフ「3つ目の角を左に曲がって突き当たりから出られる」

男「へぇ……?」

エルフ(3つ目の角を左に曲がって突き当たりから出られる)

男(嘘はついていない、冗談でもないようだ)

男「ありがとうございます」


彼は手短に別れを告げ、道を進む
道なりに3つ目の角を左に曲がった突き当たりに進んだ


男「村の入り口があるが……」


彼は村から出た
しかし、彼の周りの風景が変化することはなかった
振り返ってもエルフの村がある

彼の思考はストップした
しかし、彼はしばらくした後に理解した

ここが『あのエルフの世界』なのだと。
おそらくあのエルフは、この村の外に出たことがない
出る必要もない。そう思っているのだろう
つまりここは、村の外は、彼女にとって『異世界』なのだろう

こちらの世界ではありえない感覚だが、
どちらにせよこの調子ではこの村で情報は手に入らないだろう
彼は釈然としない不快感のようなものを感じながら川沿いを
下流へ下流へと下っていった


>>21……どこに辿り着いた?

獣人の炭鉱

彼はふと左手をズボンのポケットに入れた
干し肉が入っていた。
どうやら元々持っていた物はまだあるようだ

干し肉を食べながら歩いていると、
炭鉱に辿り着いた。やけに埃っぽい。
これは彼の勝手な思い込みだが______
炭鉱夫には気前の良い奴が多い。


男「食糧も分けてくれると良いんだけどね」

大口を開けて奥に続く炭鉱があり、
その手前で休憩をしている獣人がいた
恐らく、採掘は獣人の仕事なのだろう


男「やぁ、獣人さん」

獣人「ん?お前さんは人間か」

男「ああそうだよ。警戒しなくてもいい」

獣人「だったら俺のことはディリと呼べ」

男「ああ、ディリ。獣人と呼ぶのは不躾だったね」

ディリ「それで、何の用だ?」

男「ここで一番偉い方はどこに?」

ディリ「それならこの奥、事務作業をしている」

男「ありがとう。なぁ、もう一つ聞きたい」

ディリ「なんだ?」

男「割り振られた仕事を破ったらどうなるんだ?」

ディリ「そんなことは考えないほうがいい」

ディリ(……………………………)

男「そうか、すまないね」

男(やはり、思い出したくもないことのようだ)

男(だが、ここの現場監督クラスやそれ以上なら)


彼は炭鉱の奥へと進んでいった
すると、小綺麗な服を纏った獣人がいた


男「あなたがここで一番偉い人ですか?」

獣人「……ああ、そうだ」

男「種族で割り振られた仕事をしなかったらどうなりますか?」

獣人「………」

獣人(>>25)

ひとつ下の種族になる

獣人(ひとつ下の種族になる)

男「ふむ、興味深いですね」

獣人「へ?」

男「その……すみません。思い出しました」

獣人「そうですか。私も思い出してしまいました」

男「一体どうして『あんなこと』になるのでしょう」

獣人「さあ」

獣人(さあ)


本当に知らないらしい
そんな不条理を漠然と受け入れられるものか?

例えば、ヒトが急に獣人になるとは思えない
その反対も、例の中にエルフを入れても。


男(強大な呪いのようなものなのだろうか……)

男(国の決めたことらしいが、
  その国の支配者にはそんな力があるのか)

獣人「どうかなさいました?」

男「その性質の正体について考えていたんです」

獣人「なるほど。しかし、私には分かりません」

男「どうして?」

獣人「この炭鉱から出たことはありませんから」

男「……そうですか。そうでしょうね」

獣人「ちょっと要領が良いってんで
事務仕事なんてさせられてますがね」

男「いえ、立派なことだと思いますよ」

獣人「ありがとうございます」

男「ところで、ここらの地域で一番偉い方は
どこに住んでおられるのでしょうか」

獣人「>>31

炭鉱の外の世界を知らない

獣人「炭鉱の外の世界を知らないんです」

男「……あぁ、そうでしたか」

獣人「力になれず申し訳ないです」

男「いえいえ、お気になさらず。それでは」


彼は振り返り、炭鉱の入口へと歩みを進める


「荷車が来るぞ!石炭箱は用意したか!?」

「あたぼうよ!」


と、耳当たりきつく反響しながら聞こえてくる
確かに、周りにはいくつか乱雑な字で『石炭箱』
と書かれた容器がある
サイズは大きめで歪んだ長方形をしている

男「まるで棺のようだ」

男「………………」

男「なるほど、棺か」


彼は周りに獣人達がいないことを確認すると、
素早く石炭箱に潜り込んだ
意外に体を押し込むスペースはあった。
石炭できっと服は汚れるだろうが、
気にしてはいられないというものだ。


男「………………!」


ふわり、と浮翌遊感
箱が運ばれているのだ
しばらくすると、乱雑に投げ出される
『荷車』に載ることができたようだ

幾度かの衝撃のあと、『荷車』は動き出した
耳をすましていると、乾いた音がする
おそらく、馬車で運ばれているのだ



どれほど経っただろう。
昼夜の判断もつかない。
石炭の匂いで気分が悪くなってきた。

そこで、馬車は止まった
彼は警戒しつつも安堵していると、
また運ばれる感覚がする
そして今度は丁寧にどこかに置かれるのだった
彼は静けさを感じ、意を決して外に出た


男「はぁ……はぁ……ここは……?」


>>36……どこに運ばれた?

体が鉱石でできた生き物たちが住む街

今いる場所は湿っていて、いかにも倉庫のようだ
しかし外からは小さく喧騒が聞こえる
ついに人里かと思い、踊らされるように出ていく

目を疑った。
最初はオーガだのゴブリンだのに見えたそれに、
メタルの質感があったことが信じられなかった。
よくみれば細身のものもいる。
子供の夏休みの工作を思わせるものもいる。

ここの住民の肉体は鉱石でできているようだ

しかしながら、嬉しいことも分かった
この街には活気があることだ
これまで遭った者の目には生気がなかったが、
この街には生気が溢れるように感じられた

彼らの目になる宝石が眩いからかもしれないが。

早速話を聞いてみようと思い、
細身の『鉱石の人』を捕まえた


男「すみません」

???「人間ですか?珍しいですね」

男「はい。ときに貴方達は何と呼ばれますか?」

ライツ「ライツと呼ばれますよ」

男「そうですか。ところで、
  ここらで一番偉い方は誰ですか?」

ライツ「>>40」(心の声も可)

あの社にいる方です、ここの長と言っても過言じゃないような

ライツ「あの社にいる方です、ここの長と言
    っても過言じゃないような」

男「なるほど、ありがとうございます」


彼は細身のライツが指した方向へ歩き出す
社は木々に囲まれていて、その周りを半周して、
ようやく参道を見つけた
参道を歩いているとき、ふと彼は上を見上げた
木に生っていた実は鉱石だったことが分かる
淡い光を放っていて、奇妙だが幻想的だった


男「これが社か……」

社は小さく、とても人が住めるサイズではない
しかし、周りに建物があるわけでもなく、
そのうえライツの姿もなく、
どうしたものかと考えていると、
社から石が飛んできた


男「……ッ!?」


心底驚いた。
しかし、スピードはそれほどでもなかった。
よって、叩き落とすことができた。


男「な、なんだ!?」

石「な、なにをするんじゃ!無礼者!」

男「………………」


彼は周りを見回すが、誰もいない
彼は認めたくなかったが、この石は生きている


男「あなたがここの長か?」

石「………………いかにも」

男「どうしてそのようなお姿に?」

石「川の下流の石が丸いように、
  わしも時の流れと共に削られたんじゃ」

男「なるほど。なぜ飛びかかってきたのですか?」

石「わしの敷地に無断侵入したからじゃ」

男「それはごもっともですが、
  僕は貴方に聞きたいことがあるのです」

石「なんじゃ」

男「僕は異世界から来たのですが、
  この世界から出る方法を知りませんか?」

石「>>45

さあのう…(津島善子という少女のおしっこをおもらしする瞬間を目撃すれば、世界をいくつも巡れるというが、この伝説は善子という少女を傷つけるからあまり言わないでおこう)

安価は絶対とはいうけどクロスは勘弁してね
再安価>>50

出る方法は知らないな、ここから離れる者は少ないからな
徐々に削られ積もっていくのだ

石「出る方法は知らないな、
  ここから離れる者は少ないからな」

石「徐々に削られ積もっていくのだ」

男「心までもが整形されていくのですね」

石「そんなに帰りたいのか?」

男「はい。僕は帰らなければなりません」

石「難儀な奴じゃのう」

男「では、この国の王に会いに行きたいのですが」

石「だがお主、王のやり方を知らぬ訳ではあるまい」

男「ええ。仕事を決められ、逆らうことができない」

石「あの王のもとへ行くと?」

男「帰る方法を知りたいのです。
  彼はどこに住んでいるのですか?」

石「うーむ……>>54(心の声も可)」

(結構遠いとは聞いたことがあるが…)

石(結構遠いとは聞いたことがあるが…)

男(何か移動手段が必要かもしれないな)

石「うぅむ、分からん」

男「いえ、問題ありませんよ。
これからの旅で、いつか見つけます」

石「そうか、旅はいいぞ。どんどん削れる」

男「いつの日か、一皮剥けてやりたいものです」


彼は挨拶をして、社を旅立った


石「旅人に幸あれ」

石「……しまった、社の中に戻れない」

茜色の光線が目を突き刺す

もう夕方だ。そろそろ寝床を探さなくては……
見たところこの街には緑がない。
公園ですらゴツゴツしていて、
柔らかい寝床はなさそうだ。
それに、食糧だって多くはない。
どうにかしてこの世界での通貨を得よう。

彼は寝床を探し路地裏を回っていたとき、
一枚のチラシを手に入れていた

『短時間高収入!職歴不問のアルバイト!』

とてつもなく怪しい。本来なら無視する所
しかし彼は切羽詰まっていた

彼はチラシに記された住民にやってきた
そこには岩のようなビルが聳えていた
というか、岩をくりぬいただけに見える
彼の階段を上る足は、三階で止まった
今更チラシの怪しさに気付いた彼は、
人目を気にするようにドアを開いた


黒ローブ「ようこそ」


部屋には椅子が一つ
黒ローブを纏った人物が座っていた


男「……仕事の内容を聞きたい」

黒ローブ「>>59

簡単に言えば異種族と結ばれるかどうか

黒ローブ「簡単に言えば異種族と結ばれるかどうか」

男「はぁ」

黒ローブ「今ではどの種族も
     分けられて暮らしている」

男「ああ」

黒ローブ「だが、あんな胡散臭い広告に
     釣られるようなやつなら」

男「……やってくれるかもしれないと?」

黒ローブ「その通り!」


ちらと見えた口元がニヤリと笑う
こちらに指を向けて楽しそうに喋る

男「……金は、出るんだろうな」

黒ローブ「勿論さ」


奴の物言いは大変癪だが、
金が出るならやるしかない。

そう腹を決め、業務内容を聞こうとすると___


男「………これは?」

黒ローブ「日給。前払いなんだぜ、ウチは」

男「気前がいいじゃないか」


なかなかずしりとくる重さだ
金払いが良いのは嬉しいが、逆に怪しい


黒ローブ「だろう?さぁ、こっちだ」

奴に連れられて隣の部屋に行き、そして、
カウンターテーブルのようなものに座らされる
もう一方との間には仕切りがある
そこには暗幕が張られていて様子も分からない


黒ローブ「今からお見合いをしてもらう」

男「お、お見合い?」

黒ローブ「合わないようなら断ってもいい」

男「それならばまだいいが」

仕切りの向こうから物音がする
誰かいるのだろうか?


黒ローブ「ふむ、来たようだな」


とだけ言い残して部屋から出ていった


男「え、ちょ……」


慌てていると暗幕が開き、向こう側が見える
そこにいたのは……


>>65……誰がいた?

鎧というか甲冑

そこには、鎧があった。
よくよく見れば、全身揃っていて甲冑だ


男(え?僕、こいつとお見合いするんですか?)

男(…………えぇ?)

甲冑「………………………」


重苦しい空気が一帯を包む


男(…………そもそもこいつ、本当に女なのか?)

シャイなのか彼女は一言も喋らない
どうやってこの状況を打破しようか、
と考えていると……


男(そうだ!心読めるじゃないか!)

男(早速やってみよう!)

甲冑(>>69)

至極普通だが優しそうな殿方だな

甲冑(至極普通だが優しそうな殿方だな)

男(意外と好印象!!)


彼はこれに勇気をもらい、話しかけることとした


男「あ、あの……」

甲冑「うむ……如何した」

男「……今日は、よろしくお願いします……」

甲冑「うむ……」

男(話が!続かないんですが!?)

そうしている内に、再び沈黙の影が差そうとする

これはまずい。どうにかしなければ。
しかしながら余所者たる僕には話題など……


男(だが、なんでもいいから言ってみるしかない!)

男・甲冑「あの……ッ!」

甲冑「えー……お先にどうぞ」

男「>>74」 

それは重かったり暑かったりしません?

男「それは重かったり暑かったりしません?」

甲冑「う……うむ……そう見えるか?」

男「はい、立派な甲冑ですので」

甲冑「ふふ、嬉しいな……でも私は暑くないぞ」

男「通気性が良いんですか?」

甲冑「そういう訳ではない」

男「そうですか」

甲冑「私達は戦闘民族。
   鎧をいつも纏っているから平気なんだ」

男「な、なるほど……」


彼女の厳かな口ぶりから、
その誇り高さが少しは分かったような気がした
これはお見合いにおいては前進である

ならばこそ、彼女の姿を見てみたい。

ギャップを求め、期待が膨れ上がる
リスクのある選択だが、彼は勢いに乗っていた


男「ですが、一つお願いがあります」

甲冑「何だ」

男「是非、鎧を脱いで下さい。
  そして貴方の素顔を見せて欲しいのです」

甲冑「それは……受け入れがたいな」


ここまで言っては彼も退けない
どうにか言いくるめる策を考えつつ話す


男「お見合いは男女が一対一でぶつかり合う場」

男「鎧は貴方の誇りだ。しかし、貴方ではない」

男「二人を阻むものは、ない方がいい」

甲冑「……し、しかし……私は化粧もしていない」

男「奇遇ですね。僕もです」

甲冑「……はぁ、私の負けだ。いいだろう」

甲冑(強引なところも、あるのだな……)


彼女は鎧を外し、己の身で彼と相対した
その表情には自信はないが、
彼を真っ直ぐ見据えていた


>>80……甲冑の中身

エルフ族の美少女

彼女がどの種族なのかはすぐに分かった

その尖った耳と、翠色の目。
彼女は間違いなくエルフだ。

彼が彼女を食い入るように
見つめていることに気付き、
照れ隠しにはにかんで見せた

それはきっと、本当にただの照れ隠し。
なのに僕はその表情から、
彼女に問われているような、そんな錯覚をして。


男「……綺麗だね」

エルフ「……そ、そうか?……ふふ、そうか」


そう、言ってしまった。
顔から火が出そうだと思ったのは初めてだ。

エルフ「それは誠か?」

男「……ああ、まるで宝石細工のようだ」


正直者はつらい。
最初こそ表裏の激しい女神を軽蔑したが、
今では親近感すら湧いてくる。

彼は心底焦っていたが、お見合いは順調である
彼の言葉をしみじみと感じたエルフの少女は
余韻の中、浮かれたように口を開く


エルフ「お主……名はなんと?」

男「男といいます。あなたは?」

エルフ「>>88

盟約により奪われてしまった。いまは名無しのエルフだ

エルフ「盟約により奪われてしまった。
いまは名無しのエルフだ」

男「盟約?」

エルフ「この国の王の仕切る制度だ」

男「なるほど」


どうしてあんなルールが絶対的なのか?
それはきっと、盟約という体で
魔術的契約のような力を用いているからだ。
だとすればこれはまるで悪魔との契約だ。


エルフ「男。折角だしこの後食事でもどうだ?」

男「ええ、是非とも」

お見合いの時間は終わり、
彼は黒ローブからお給金を貰った
そして、二人はビルの前で待ち合わせして
レストランへと向かった

お互い金銭には困っているので、
二人で相談して安そうな店を探すことになった。


エルフ「どの店も高そうだな」

男「宝石できらびやかに飾られていますしね」


そんな二人の目に留まったのは、
レストランではなかった


ライツ「お二人さん!『石炭焼き』食うかい?」

男「『石炭焼き』?」

ライツ「おうよ、この街の伝統料理さ」

エルフ「私たちは鉱物は食べられないんだ」

ライツ「はっはっは!なぁに、
    こいつは鉱物じゃないさ!」

男「それなら一ついただこうか」

ライツ「おうよ!」


彼は屋台で調理を始める
何やら肉を焼いているようだ

屋台とはだいたい軽い素材で出来ているが、
軽い木材ではなく鉱物で屋台が形成されていた。
どうしてだろうか、と考えていると
目の前が炎に包まれた。火柱が立ったのだ。
明らかに過剰な火力だが彼は焼く。
肉が焦げても、それが肉か分からなくなっても。

男(ライツって燃えるのかな)

ライツ「へいお待ち!」


彼の予想通り、食べ物に見えない物体が出てきた
どうしたものかと手間取っていると、
エルフがフォークでそれを口へ運んだ


エルフ「……>>93

意外とジューシー

エルフ「意外とジューシーだな」

ライツ「そうだろうそうだろう」

男「……そう、なのか?」


彼も一口、口に運んだ

芳醇な味わいが口に広がる。
あれ程の火力を用いていたにも関わらず、
熱すぎない温度で食べやすい。


ライツ「それは凍土のアイスドラゴンの肉」

男「アイスドラゴン?」

ライツ「この世で最も冷たい生き物さ。
    肉体を冷やす機構を備えている」

男「じゃあこの肉も……」

ライツ「放っておけば凍り付くぜ。
    せいぜい急いで食うことだな」

なるほど、石炭のようになるまで焼かなければ
とても食べられない代物だ。
……と、一人合点している時間も惜しい。

彼は軽やかにナイフとフォークを用い、
素早く食事を終えた


男「ごちそうさま」

エルフ「ごちそうさま」

ライツ「お粗末様でしたってな」


いつの間にか食べる流れになっていたが、
燃料の使用量の割にはお得な値段だった


男「そうだ、ここらに安い宿ありませんか?」

ライツ「あるぜ。すぐそこさ」

彼の示した宿に着いた
この世界の相場はいまいち分からない彼らも、
うまい飯を提供する者の言葉は信じた


男「部屋まだありますか?できれば安い部屋」

係員「ええ、ございます。一部屋ですか?」

エルフ「………………構わない」

男「一部屋でお願いします」


経費を折半できるのは見逃せないメリットだった
鍵を受け取り、部屋へと向かった

男「ふぅ」


ベッドに座り込んでため息をつく
何かから解放されたような感覚に浸っている


エルフ「男」

男「……なんだい」

エルフ「これから君はどうするんだ?」

男「首都を目指す。で、王様に会う」

エルフ「無茶だ」

男「でもやるしかない。帰るべき場所がある」

エルフ「……やはり、決意の硬い人だ」

男「そりゃどうも……ところで、
  貴方はこれからどうするんですか?」

エルフ「>>99

……(王の危険分子となるお前を殺さなくてはならない)

エルフ「……」

エルフ(王の危険分子となるお前を殺さなくてはならない)

男「……まぁ、何か事情があるのだろう」

男(……嘘だろ?まいったな、分が悪い)

エルフ「折角だし男についていくことにしよう」

男「そうか」


彼は言葉を続けられなかった
何か話そうと思っていたはずなのに、
満腹感のような胸のつまりに襲われた


男「そろそろ寝ますか」

エルフ「ああ、それがいいだろう」

二人はベッドに入った
男は緊張していたが、それは男女が
同じベッドにいるからではなく、
純粋な恐怖のためである


男「……」

エルフ「……」

男(殺しに来る気配はないな……)


こっそりとベッドを抜け出すことにした。
もし本当に彼女が寝ていればラッキーだし、
そうでなくてもトイレだと誤魔化すことができる

彼はベッドから抜け出た

幸運にも、彼女が動く気配はない。

彼はまたこっそりと部屋から出た
そこからはシンプルだ
代金を受付に支払って外に走り出た
走って走って怯えて走って彼は立ち止まった


男「はぁ……はぁ……」


駅のホームであった
この世界にも鉄道はあるようだ
駅員から切符を買い、ホームで息を切らしている

管楽器のような音がする。
見れば夜行列車がこちらへと迫ってくる。
SLの放つ光は、まるで救いのそれであるようだ。

その時、彼の体は浮いた
しばらく何が起こったのか分からなかったが、
それは体感時間で、実際はすぐに分かっていた


男「うっ……!?」


今、僕はホームから突き飛ばされたのだ。
まずいと思えども体は動かず、
光が視界を埋め尽くす。

その時、彼の手を引く者があった
彼は素早くホームに引き戻される


男「ぁ……助かった。あなたは……?」


彼は手が差しのべられた方向に向き直る
そこにいたのは……


>>108……そこにいたのは誰?

甲冑エルフ

男「ッッ……!」


息を飲んだ。
今手を掴んでいるのは、あのエルフだ。
じゃあ僕を突き落としたのは?
そもそもなぜ僕を助ける?
ぐるぐると思考が渦巻いてどもる。


エルフ「……なぜ、ここに?」


ウソはつけない。


男「君が……僕を殺そうとしているからだ」

エルフ「なっ……」

男「助けてもらって言うのもなんだけどね……」

エルフ「>>111

そんな訳あるか、私には誇りがある
誇りにかけてそんなことしない
……実は私の住まいを破壊した者に見えたが共に横になって違うとわかった、申し訳ないことを思ってしまった

エルフ「そんな訳あるか、私には誇りがある
    誇りにかけてそんなことしない」

エルフ「……実は私の住まいを破壊した者に
    見えたが共に横になって違うと
    わかった、申し訳ないことを
    思ってしまった」

男「ははぁ、そうだったんですか……」

エルフ「まさか読心術にも長けているとはな……」

男「ああ、いえ、そういうのではないんですが」

エルフ「そうなのか?」

男「そうだ、僕を押したのは誰ですか?」

エルフ「うーむ……分からないんだ」

男「見えなかったんですか?」


咄嗟に手を掴める位置にいた人物が気付かない
ものなのだろうか?


エルフ「……何もなかったが押されていた」

男「見えない何かがいると?」

エルフ「信じられないだろうが、そう見えた」

男「ふむ……信じよう」


二人はホームに到着した夜行列車に乗り込んだ

二人は向かい合った座席に腰掛ける


エルフ「この列車は王都まで行くらしい」

男「へぇ、じゃあ今のうちに寝ておきますか」

エルフ「ああ、今度こそ寝よう」


二人は座席にもたれ掛かり、寝始めた
時は過ぎ、日は昇り、朝が来た

ガタン!と大きな音がする。
何事かと目を覚ませば、列車が停まっていた。
外を見ればどう見てもホームではなかった。
丁度車掌が来たので話を聞こう。


男「列車、停まってますが……どうしたんですか」

車掌「>>115

(車掌は死んでいた)

車掌「故障してしまったようでね、一晩はかかりそうだ…」

男「ええっ、そうなんですか!?」

車掌「ここで暫く待っていてくれたまえ」

男「そうですね」


車掌は別の車両に移動した
ふとエルフの方を見ると、彼女はまだ寝ていた
男は彼女の肩当てを叩いて起こした


エルフ「む……終点か?」

男「いや、途中で停止したんだ」

男「で、車掌はここで待っていろと」

エルフ「ふむ、待つか」

男「しかし、疲れが取れた感じがしないな」

エルフ「うむ。同じ姿勢がいけないのだろうか」

男「それじゃあ少し体を動かそうか」

エルフ「別の車両に行ってみるとしよう」


二人は立ち上がり、移動を開始した

ここは4号車だ。隣には5号車、そして3号車。
さて、どこに行こうか?

>>120……どこに行く?

前へ行こう3号車

二人は3号車までやってきた
3号車にはあまり客がいない
車内を観察していると、車掌が話しかけてきた


車掌「おや、どうされましたか?」

男「いえ、体を動かしたくて」

車掌「なるほど。修理できしだい発車するので、
外には出ないでくださいね」


男「……まぁ、流石にそんなことしませんよ」

何か違和感がある。
彼らはあまりに冷静なのだ。
勿論こういう場で車掌が慌てようものなら
それは問題だが、感情が希薄すぎる。


男「……この故障、原因は?」

車掌「エンジンの故障とかでしょう」

男「………………」

エルフ「どうかしたのか?」


男「お前、人じゃないだろう」

場は凍りついた
退屈に苛立っていた一部の乗客ですら彼を見る
その目には困惑が、暫くすれば再び苛立ちが。


車掌「な、なにを……」

男(心が読めない。車掌は何も思考していない)

男「とぼけても無駄だ______」


その時、車掌は彼に掴みかかった
が、彼はその直線的な動作をかわしてみせた

車掌「さらばだ」

男「何っ……!」


車掌の体は突如燃え出した
それは素早く灰と化し、崩れ去った


男「……な、なんだったんだ……?」

エルフ「それは私の台詞なのだが」

男「ああごめん。ともかく先頭車両まで急ごう」

エルフ「運転できるのか?」

男「できない……が、
  この状況を作った奴を誘き出す行動だ」

エルフ「なるほど」


二人は周囲を警戒しながら2号車へ進んだ


>>126……2号車の状況

車掌が倒れている

2号車では、車掌が倒れていた


男「……誰かにやられたらしい」

エルフ「どうしてこんなことを……」


見回すと、乗客も何人かやられている
息のない者から、全く無傷のものもいる


男「………………」


真実の瞳を用いて乗客を観察する
どうやらここに犯人は居なさそうだ

男「なぜ彼は倒れているだけなんだ?」

エルフ「また操られていると思っていたが……」

男「多くの人を操るのは難しいのか?」

エルフ「そこの客。何があったか教えてくれ」


車両前部に座る、気弱そうな青年を指差す
彼は唐突な質問に、
あるいは鎧を着た人物に怯えながら答える


青年「>>130

なんかそっくりな影が現れて突き飛ばしてました

青年「なんかそっくりな影が現れて
   突き飛ばしてました」

男「……そっくり?何にですか?」

青年「突き飛ばされる人とです」

エルフ「男よ、もしかして昨日のは……」

男「……まだ、分からない」

エルフ「そうか……ふむ、悩んでいるだろう」

男「……悩み……………………まぁ、ある」


そう聞かれては誤魔化せない。
昨日、突き飛ばされてはいたのは僕だけだ。
だとしたら。もしそうなら僕が悪いのか?
この車両に陰惨な『呪い』を持ち込んだのは……


エルフ「気にするな。まだ不可解な点はある」

男「そう、だな……」

男「回答ありがとうございます」

青年「い、いえ……」

エルフ「この先に危険な奴がいるかもしれん」

男「ああ。用心していこう」


二人は真っ直ぐにドアへ向かう

ドアノブに手をかけようとする。
この先におぞましい何かがいるかもしれない。
そう思うと、手先から心へ怯えが伝わる。
まるで静電気を警戒するように、
恐る恐るドアノブをひねる。


>>133……1号車の様子

貨物車らしくものがたくさんある
しかし人の気配も感じるエルフ

どうやらここは貨物車のようだ。
所狭しとものが詰められている。


男「貨物車か……素通りできそうだな」

エルフ「待て、誰かいるぞ」

男「隠れているのか……少し暗いな」 


彼は周りを警戒しつつカーテンを開く
明るい光が車内に射し込み______


エルフ「危ない!!」

男「!?」

突然エルフがこちらへ走り寄る。
近くまで来た瞬間。彼女は踏み切り身を捻り、
どこからか現れた刀を振り抜く。

刀は彼に命中しなかった
その代わり、彼の後ろに現れた何かを切断した
それは人の形をしていたが、消滅してしまった


男「た、助かったのか……?」

エルフ「ああ、君のような影を断った……ぐ!」


エルフが突然もがき、苦しみ始めた。
呼吸を荒くし、床に手をつく。
屈んだ彼女の後ろには、杖を持った誰かがいた


>>137……杖を持った誰かの外見的特徴

ローブを纏った異形

そこにいたのはローブを纏った異形
彼はそれを一瞬人に見間違えたが、
明らかにそれは人ではなかった

異世界の空気はヨーロッパの如く乾燥している。
それなのに、奴はじっとりと湿気を纏っている。
よくみればローブも少し濡れている。
袖の隙間からはちらりと触手が見えた。
ギラリと光る眼光もこちらを威圧している。


異形「……貴様をここで[ピーーー]」

男「僕を[ピーーー]つもりなんだな?」

異形「二度言わせるな」

男「それは失敬」

そこにいたのはローブを纏った異形
彼はそれを一瞬人に見間違えたが、
明らかにそれは人ではなかった

異世界の空気はヨーロッパの如く乾燥している。
それなのに、奴はじっとりと湿気を纏っている。
よくみればローブも少し濡れている。
袖の隙間からはちらりと触手が見えた。
ギラリと光る眼光もこちらを威圧している。


異形「……貴様をここで殺す」

男「僕を殺すつもりなんだな?」

異形「二度言わせるな」

異形「オウム返しは恐れの証拠」


異形が笑ったような気がした。
その瞬間、目の前に再び人影が現れた。

男はそれを素早く掴み、地面に叩きつけた
すると再びそれは粒子のように散ってしまった


男「無駄だ。そいつは弱い。僕の影だからね」

異形「見破ったか」

男「当たり前だ。列車は左右の窓から光が入る」

異形「そして乗客は窓を見ている。
   よって不意打ちができるのさ」

男「そういえばどうして、僕を殺すんだい?」

異形「>>142

女神への復讐だ

異形「女神への復讐だ」


そう言うと異形は魔法の詠唱を始めた
男と異形の距離は男の目測で約10m
魔法の詠唱がどのくらいかかるか、
彼には分からない


男「……へぇ」


やるしかない。
限りなく早く、やられる前にやる!

乾いた音が響く。


異形「な……なに……」

男「すぐ出すため、利き手側にしまっておいた」


男は思考速度で手を右ポケットに入れ____
拳銃を取り出し、撃ったのだ


異形「ま、まさか……女神……が……」

男「持ち込みアリなんでね。軽装にはよく効く」

男「呆気ないもんだな」

異形「…………」

男「人を殺し、死体すら操った魔法使いが」

異形「待て……確かに人は殺した。だが……」

男「だが?」

異形「死体を操る術は持ち合わせていない」


そう言い残し、奴は絶命した。
なんとも気味の悪い話だ。


エルフ「く……無事だったか」

男「おかげさまで。ところであれは何の種族?」

エルフ「あの異形か?>>147

リザードマンだろうな、アイツも騙された一族か…

エルフ「リザードマンだろうな、
    アイツも騙された一族か…」

男「騙された?」

エルフ「ああ、いずれ分かるさ」

男「……ふむ……」


結局、車掌はみな殺されていた。
乗客は無事な者が多く、
歩いて目的地へ向かう運びとなった。

彼が思っているより次の駅は近かった
街道を歩き、駅に入り、車掌に事情を説明した


男「______という訳なんです」

車掌「なるほど……とりあえず返金致しますね」


2号車の乗客から順に返金手続きを行うらしく、
しばらく待ち時間ができた。
並べられた椅子に座り、時を待つ。


男「まったく、面倒なことになった」

エルフ「……わ、悪いんだが、男よ」

男「ん?」

エルフ「実は私、君を追うのに必死で、
    切符を買い忘れたんだ」

男「……へ?」

エルフ「このままだと手続きできない。
    それどころか捕まってしまう」

男「抜け出したいと?」

エルフ「ああ」

結局、二人でこっそり駅から抜け出した


エルフ「申し訳ない……」

男「別にいいさ。観光でもしていこう」

エルフ「あ、ああ、そうだな」

男「そうだ、この街について知ってるかい?」

エルフ「知っているとも」

男「なら教えてくれ」

エルフ「>>152

↑+よくある観光街だよ

エルフ「古の神を祀っていた遺跡の街だ」

男「すごい所なんだね」

エルフ「まぁ実際はよくある観光街だがな」


確かに、よく分からないグッズの店が並んでおり
お菓子やペナント、置物が売っている。


男「残念。で、古の神ってどういう神なんだい」

エルフ「……うーん……どうと言われても」

男「伝承がないのかい?」

エルフ「いや、あるはずだ。学者は知っている」

男「学者か。へぇ」

エルフ「というか、それを知ってどうするんだ」

男「それを参考にして参拝する奴もいるだろう」


彼女は怪訝な表情を浮かべた
尤も、いつも表情が固いのであまり変化はない


エルフ「神を選んでご利益を預かろうと?」

男「別にいらないご利益もあるじゃん」

エルフ「神様は我々より上位の存在だぞ。
    それを選んでどうこうだのご利益が
    いらないだの、傲慢そのものだ」

男「………なるほど。肝に命じておくよ」

駅前広場には噴水がある
二人はそのへりに座ることにした


エルフ「暇だな」

男「店には寄らないのか?」

エルフ「あんな割高の菓子は買えんよ」

男「そうだな……第一美味いかも分からない」

エルフ「……あ、男よ。あれを見てくれ」


彼女の指す先には、何やら怪しげな店が。
よく見れば看板に『古代式の占い』とある


男「……好きなのか、占い」

エルフ「…………別に、他の店よりマシだろう」

男「行くか」

こうして、二人は占いに行くことになった
店内には占い師とおぼしき人物がいるのみだ


占い師「お客さん?」

男「はい」

占い師「それはそれは!どうぞおかけになって」


手早く椅子を二人分用意される


占い師「さあさあさあ、何を占いましょう!?」

男(店のチョイス間違えたかな……)

男「じゃあ、僕の未来について」

占い師「かしこまりました!」


占い師は懐から大量のカードを取り出した。
恐らく40枚一組と言ったところだ。
それをシャッフルし、数枚引く


占い師「1から3でお好きな数字を」

男「2」


占い師はナイフを出し、カードを二つに切った


男「……結果は?」

占い師「>>159

能力を使いこなせないとトラブルに巻き込まれるでしょう、もっと大きなね

占い師「能力を使いこなせないとトラブルに
    巻き込まれるでしょう、
    もっと大きなね」

男「能力……何か知っているのか?」

占い師「……いえ、でもカードはそう言っています」

エルフ「能力?まさか私と同じ力を……」

男「違います」

男(能力か……確かに、あまり使わないな)

エルフ「どうかしたのか?」

男「これからはもっと、
  自分の力を生かしていこうかな」

エルフ「まだ隠された力があるんだな」

占い師「そこのお嬢さんも占っていくかい?」

エルフ「ああ、頼む」

占い師「はいよ!」


占い師は再び同じ行程を行った


エルフ「ど、どうだ?どうかな?」

占い師「>>163

あの方は伴侶とすべき方でしょう、将来的には↑

占い師は彼女に耳打ちする


占い師「あの方は伴侶とすべき方でしょう、
    将来的にはおめでたです」

エルフ「えっ……おめ……えっ」

占い師「以上です。代金をお支払い下さい」

男「ああ、ありがとう」


二人は代金を払い、店から出た


エルフ「はぁー……」

男「どうかしたのか?」

エルフ「いっ!?いや!なんでもないぞ!?」

男「次の列車はいつかな」

エルフ「暫く来ないだろう」

男「え、そうなの?ここは観光街なんじゃ」

エルフ「昼は人が少ないからな。
    朝と夕方には多いんだが……」

男「そうか……」

エルフ「観光に興味がないのか?」

男「ないわけではないが……」

男「そういえば先程何か占い師と話していたが」

エルフ「えっ」

男「一体何を話していたんだ」

エルフ「え……そ……それはだな……」


彼が彼女の心を読まんとした時である
唐突にその耳へ絶叫が飛び込んだ


少女「う、うわぁぁぁぁ!!」

男「……うるさいですよ。なんですか」


少女は片手に何やら杖のようなものを持っている


少女「>>168

少女「こんな辺境になんて業物! 宝珠には
   純度100%のオリハルコンを使用した
   賢人の杖が、お値段なんとこれっぽっち!?
   さあ買った買った! 早い者勝ちだよ!」

男「……こわ、近寄らんとこ……」

エルフ「そうだな。面倒事は関わらないが吉だ」

少女「ちょ、ちょっと待ちなよー!」


すると、少女の周りに大人が集まってくる


男「大人たちが来たし今のうちに行こう」

エルフ「なぁ、神殿に行かないか?」

男「古代神殿か……行ってみてもいいな」

エルフ(ふふ、きっとびっくりするに違いない)

男「……?」

エルフ「どうかしたか?」


もし先程の占いを信じるならば、
その神殿について詳しく聞くべきだろう。
そしてきっとロクでもない真実を知れる。
だが。僕にはそれができなかった。
彼女の期待する顔を見て嬉しくなったからだ。
愚かにも、それを壊したくないと願ったのだ。


男「……いや、考え事さ」

男「……なるほど……」


彼は彼の予想通り後悔した
神殿への階段があり、その段数は200段を超える
重い鎧を身に付けた彼女は笑顔で昇っていく


エルフ「男よ。辛いならおんぶしてもいいぞ?」

男「……いや結構」


正直むかつく。
だが、いつも硬い彼女の表情が和らいでいる。
それを嬉しいと思ってしまう自分が憎らしい。

倒れそうになりつつ、彼は神殿に到着した


エルフ「いい運動になったな」

男「許さんぞ……」

エルフ「はは、安心しろ。荷物は持ってやる」

男「土産まで買う前提ですか……」


二人の後方からドタドタと足音がする
それがついに二人に追い付いた


おっさんA「はーっはっは!!」

おっさんB「へっへっへ!!」


数人の男性が階段を駆け昇って来た。
すごい体力だと感心する

しかし、彼女には感心している場合ではなかった


エルフ「む、殿方ら。その背負っているのは?」

おっさんA「これは不届き者だ!」


見れば、男性らは神輿のように少女を担いでいる
先程の商魂たくましそうな少女である


男「どうしてその少女を?」

おっさんB「我らの故郷を辺境扱いしたからだ」

男「はぁ……その少女をどうするつもりですか?」

少女「助けてー!」

おっさんC「>>176

そりゃ牢獄に打ち込むに決まってらぁ
良くて人身御供だろうな、ここの神はプライドが高く馬鹿にされるとここら一帯に災いを落とす

おっさんC「そりゃ牢獄に打ち込むに決まってらぁ
     良くて人身御供だろうな、ここの神は
     プライドが高く馬鹿にされると
     ここら一帯に災いを落とす」

エルフ「なっ、何!?」


彼女が驚いている内に少女は神殿に運び込まれた
そしてすぐさま血相を変えて喋り出す


エルフ「まずいぞ男!いくらなんでも命は……」

男「そうは思うけども、神サマって
  僕たちより上位の存在なんでしょう?」

エルフ「くっ……」

男「結局はそうなんだ。見えない物は怖くない」

エルフ「それでも私は助けたい」

男「分かっているよ。じゃあ行こうか」

神殿の内部には、法衣を纏った者が多い。
観光地になっても神殿として機能しているらしい


エルフ「どこから捜そうか?」

男「こういうのって大体地下だと思うんだけど」

エルフ「なるほど、じゃあ地下に行こう」


神殿のエントランスから階段を降りる
地下の空気は湿っていて心地良くない

神殿の地下は一本道になっていて、
その奥から先程の男性の声がする


男「この先から恐らく奴らが来るだろう」

エルフ「だろうな。私が倒してやろう」

男「……[ピーーー]のか?」

エルフ「まさか。まぁ見ていろ」

神殿の地下は一本道になっていて、
その奥から先程の男性の声がする


男「この先から恐らく奴らが来るだろう」

エルフ「だろうな。私が倒してやろう」

男「……殺すのか?」

エルフ「まさか。まぁ見ていろ」

彼女は自信がある様子なので、僕は物陰に隠れた
ゆっくりと歩を進め、遂に男性らと遭遇した。


エルフ「その先に先程の少女はいるか?」

おっさんA「いるが、拷問はまだやめとけよ?」

おっさんB「はっはっは!」

エルフ「……やはり、貴様らには罰を与えねば」

おっさんC「罰ゥ?言ってくれるじゃないか」

おっさんA「やれるもんならやってみろ!」


おっさんAはエルフに掴みかかった


>>183……エルフはどうした?

華麗な剣技で峰打ちを披露し気絶させる

エルフ「参る!」


彼女はどこからか剣を取り出し、
華麗な峰打ちを決めた


おっさんB「くそっ!挟み撃ちだ!」

おっさんC「おうよ!」


息のあったおっさんのコンビネーションアタック
彼女はこれに剣をもう一本増やすことで対応した
洗練された体重移動の踏みきりで峰打ちする


エルフ「ふ!」

男「……すばらしい腕前ですね」

エルフ「素人相手に負ける訳なかろう」

男「では、これからもお願いします」

エルフ「これから、か……ふふ」


二人は道を進み、牢屋にたどり着く
牢屋には鍵がかかっており、少女が囚われていた


少女「あっ、あなたは先程の!」

エルフ「よし、ここは私が扉を……」

男「待ってください」

少女「ど、どうして!?」

エルフ「そうだぞ、男」

男「殺すのはやりすぎだろうけど……
  元はといえば君の言葉遣いが原因だろう」

少女「………………」

男「少しでも悪いと思うなら償うことですよ。
  その意志があるなら君をここから出そう」

少女「>>188

商売をしたりしただけなのに言いがかりなんだよ!

少女「商売をしたりしただけなのに
   言いがかりなんだよ!」

男「……面倒くせぇ……」

エルフ「!?」

男「すみません。聞かなかったことにして下さい」

少女「だいたいさぁ!さっさと私を見捨てた
   あなた達にも責任があるんじゃない!?」

エルフ「う……ううむ……」

男「……なるほど、君は出さない」

少女「そ、そんな!」

エルフ「しかし男よ」

男「安心してくれ。神とも折り合いをつける」

エルフ「強欲だな」


彼は既に勝ち誇ったような顔で言う


男「それでこそ人間、というものです」

二人は神殿の一階に戻った


エルフ「どうするんだ?」

男「神は降りてくるもののような扱いだった。
  つまり会話は成立する可能性が高い」


そこら辺にいる神官を見繕って話しかける


男「神官さん」

神官「はい、どうかなさいましたか?」

男「ここの神さまっていつ降りてくるんですか?」

神官「>>192

私が神ですが

神官「私が神ですが」

男「へ……すみません。ご無礼お許し下さい」

古代神「……まぁ、いいでしょう。
   それで、何用ですか?」

男「愚かにもこの地を愚弄した女がいるのです」

古代神「……ほう?」


場の空気が張り詰める。
彼女の感情に揺さぶられミシミシと鳴るようだ。

男「ですが神よ。どうか彼女を赦してほしい」

古代神「貴方にその権利はありません……
    命が惜くばその女の居場所を吐け」


物腰は一見すると柔らかである
しかしその眼差しは氷のようで、
毅然とした殺意に満ちているようだった


男「お願いです。確かに彼女は傲慢でがめつく
  品性もあまりない愚者そのものです。
  ですが、彼女が死ぬには若すぎる」

古代神「……ならば、条件を一つ呑んで見せよ」

男「なんでしょう」

古代神「>>196

私をあのふざけた女神の元へ連れていけ

古代神「私をあのふざけた女神の元へ連れていけ」

男「へ?」

古代神「とぼけないで。
    貴方から奴の力を感じるのよ」

男「……じゃあ、やってみましょう」

古代神「できるの?」

男「今はできないので、その内に」

古代神「はぁ……あんだけ必死だったのに
    随分悠長なのね」

古代神が同行することになった。
正直怖い。いつ殺されても不思議ではない。


エルフ「……まぁ、いいだろう」

男「?」

古代神「さて、どこへ向かうのです?」

男「そろそろ夕方だな……駅に行こうか」


下りで転ぶと手がつけられないので、
帰りの階段はゆっくりと歩いていくことになった

エルフ「古代神は誰に会いに行くんだ?」

古代神「この世界の女神です」

エルフ「会えるものなのか……」


ふと、思い出したように男は口を開く


男「古代神さん。あなたは何故女神に会いに?」

古代神「決まっているでしょう。>>200

好きだと告白するためです

古代神「好きだと告白するためです」

男「……そうですか、素敵ですね」

エルフ「え?彼女は女で女神様も女で……」

古代神「そんなことは些細なことよ」

男「その通りだね」

エルフ「???」

彼女は何か考えては不思議そうな顔をしていたが
駅前に着く頃にはいつもの顔に戻っていた

何を考えているかは読むまでもないだろう。


古代神「で、王都を目指すのですか?」

男「そうですね」

エルフ「今なら王都方面の列車が出ているぞ」

男「へぇ、早速乗り込もうか」

こうして一向は列車に乗り込んだ


車掌「ディナーはお済みでしょうか?」

男「……夕飯食べてないなぁ」

車掌「でしたら追加料金をお支払戴ければ
   ディナーをご提供致しますが」

エルフ「そうだ、古代神よ」

古代神「どうなさいました?」

エルフ「神の力で食べ物とか出せないのか?」

古代神「うーん……そういう神ではありませんが
    とりあえずやってみましょうか」


彼女は両腕に力を込めてふんばる
そしてその腕を強く前に伸ばした


古代神「ぴゃあああああっ!!」


>>204…何が出た?

オリーブオイル

男「ふぎっ!?」


彼女の手から黄金色の液体が発射された
これは彼女の直線上にいた男に直撃した


エルフ「なっ!何!?この色は……!」

男「いくらなんでもそれはなくないですか!?」

古代神「ちっ……違いますよ!?
    おしっこじゃないですからね!」

車掌「おお、この香りはオリーブオイルですね」

男「なんだオリーブオイルか……」

車掌「追加料金でオリーブオイルに合う料理を
   お持ちしますよ」

男「じゃあ……お願いしようかな」

車掌「かしこまりました」


車掌はどこかへ食事を取りに行ったようだ


古代神「……あの……すみません」

男「とりあえずタオル下さい」

こうして、若干オリーブオイル臭い男と
その仲間達は食事を済ませた


男「なかなかいける飯だった」

エルフ「あぁ、なんか眠くなってきたな……」

古代神「鎧姿のまま寝るのですか?」

エルフ「当然だ。夜襲には用心しなければな」

男「そうだ、古代神は眠るのか?」

古代神「この姿のときは睡眠を必要とします。
    眠いとは思いませんが」

男「へぇ……じゃあ僕は眠ります」

二人が寝て数時間が経過した


古代神(なんだか、また空腹感が……)

古代神(しかし、お二人は寝ていますね……)

古代神「……」

古代神(まぁいいでしょう。私は神なので、
   しくじっても許してくれるでしょう)


古代神は再び精神を集中し、
今度は両の手を天頂に掲げた


古代神「つぁっ!」


>>210……何が出た?

菓子パンと梅干し入りおにぎり

テーブルの上に菓子パンとおにぎりが現れた


古代神「やりました」


彼女は菓子パンをまず平らげた


古代神「クリームパンとクロワッサンが
    特においしかったですね」


次におにぎりへと手を伸ばし、食べ始める
ここで、彼女は想定外の事態に驚くことになる


古代神「すっっっぱ!梅干しじゃないですか!」

古代神「うぅ……もういいです。寝ます」


彼女はようやく眠りについた
それから数時間後、日の出とともに男は起きた


男「んー……あ、車掌さん」

車掌「はい」

男「王都まであとどのくらいですか?」

車掌「>>214

このまま順調ならもう1時間もすれば着くかと

車掌「このまま順調なら
   もう1時間もすれば着くかと」

男「そうですか。ありがとうございます」

エルフ「む、もう朝か」

男「もう少し寝ててもいいと思いますよ。
  このままならあと1時間で着くらしいので」

エルフ「……いや、だめだ」

男「どうして?」

エルフ「とにかくだめだ。特に、
   『このままいけば』なんて
    強調するあたりがだめだ」

男「へ?全然問題ないじゃないか」

エルフ「いや、とにかくだめな気がする
    なんとなくだがだめな気がする」

男「変なことを言うね……」

エルフ「すまない……」

男「いやいいんだ。戦士のカンという奴だろう」


そのときどこからか、ガコン!と鳴った。
金属同士が擦れ合うような音が遅れて聴こえる。
……色々と、信じられない。


エルフ「何事だ!?」

男「今後部車両から来た車掌が
  運転席に走っていったし、いつか分かるよ」

古代神「はっ!?」

男「あ、どうも、おはようございます」

古代神「何があったのですか!?」

男「列車が止まりました」

古代神「そうですか。ムカつきますね。
    実に不遜甚だしい」

男「どうかお気を静めて下さい」

古代神「……」

男「それじゃあ僕が様子を伺ってきますね」


男が席を立つと、息を切らして車掌が入ってきた


男「ど、どうしたんですか!?」

車掌「>>219

何者かがこの先の線路を寸断したみたいでなんとか止めました…
怪我はありませんか?

車掌「何者かがこの先の線路を寸断したみたいで
   なんとか止めました…
   怪我はありませんか?」

男「へぇ、怪我はありませんよ」

車掌「これから本部と通信して対応を決めますが
   恐らくこの先へは進めません」

男「どうしたらいいんですか?」

車掌「申し訳ないのですが、徒歩となります」

男「分かりました」

こうして、一行は列車を降りる運びとなった


古代神「どうして私が歩かねばならないのです」

男「ははぁ、すみません」

エルフ「おんぶしてやろうか?」

古代神「それはそれで癪なので遠慮します」

男「じゃあ神の力で乗り物出せたりしません?」

古代神「私をなんだと思っているのですか!?」

エルフ「そうだ!神さまだし何か捧げてみよう」

男「いいですね……よしじゃあこの干し肉で」

古代神「食べ物持ってたんですか!?」

男「非常食ですよ」


古代神は彼の干し肉をかっぱらって
そのままかぶりついた


古代神「……干し肉って感じですねー
    それじゃいきますよ!」


手のひらをこちらに向けてぐるぐる回している。
この動きに意味はあるのだろうか?


古代神「オラァ!」


>>224…何がでた?

人力車

辺りが煙に包まれる
その煙が晴れると、そこには人力車があった


男「人力車……?」

エルフ「おお!人力車ではないか!」

古代神「やけにうれしそうですね」

エルフ「ああ。人力車を用いたトレーニングを
    昔、よくしていたんだ」


なんだその破天荒なトレーニングは。
と思ったが、実家のペットに再会したかのような
その瞳の輝きは本物だった。

男「なるほど……じゃあ乗らせてもらおうかな」

古代神「え?彼女一人でこれを引くのですか?」

エルフ「その通りだが」

古代神「いくらなんでも無理ってものですよ」

男「では、実際に見てみるとしましょう」


二人は人力車に乗り込む
そしてエルフは強く人力車を引き______
そのまま走り出した


古代神「おお!すばらしい力をお持ちですね」

男「ええ、彼女がいて良かったです」

エルフ「……ふっふふ……
    嬉しいことを言ってくれる!」

何もない草原を力強く駆けること数時間
前方に都らしきものが見えてきた


エルフ「おお、目的地が見えてきたぞ!」

男「なんと!すばらしい速度ですね!」

古代神「しかし、この分では到着しても
    エルフは活動できないのでは?」

エルフ「問題ない。だが明日は筋肉痛だろう」

男「筋肉痛で済むのか……」

エルフ「到着だ!」

男「ここが……王都」


遠くから見た王都は華やかなものだった。
しかし、今居るここの風景といえば、
ボロ家が建ち並び、スラムの様相を呈していた。


古代神「これが王都ですか?随分チンケですね」

男「破綻した社会主義……かな?」

エルフ「ここは吹き溜まりさ」

男「吹き溜まり?」

エルフ「それなりに仕事のできるものは
    自由を求めて都を出る」

古代神「ではここに居るのは出来損ないですね」

エルフ「そんなところだ。ごく優秀な者は
    王都の中心部で暮らしている」

男「……なるほど、なるほどなぁ……」

古代神「どうかしましたか?」

男「いや、別になんでもございません」

男「それでは、中心部に向かいましょうか」

エルフ「待て。中心部には衛兵がいる」

古代神「では、どうするのです?」

エルフ「ここには私の知り合いがいる。
    奴の手を借りよう」


そう言うと彼女はおもむろに足元のマンホールを
リズム良く七回蹴飛ばした

すると、マンホールの中から>>235が現れた

獣人のストリートチルドレン

獣人「おぉ、エルフの姉さん」


中から出てきたのはいかにもな
ストリートチルドレンだった。


エルフ「そっちはどうだ?」

獣人「わりと順調」

エルフ「そうか。今行けるだけでいいから、
    私達は中心部へ向かいたい」

男「どういうことだ?」

エルフ「彼は下水道に穴を開けて
    隠し通路を作っている」

古代神「一体、どうしてですか?」

獣人「中心部で盗みを働くのさ」

男「なかなかクレイジーな人だね」

獣人「そうか?ま、生きるためだからな……」

男「……」

獣人(俺は獣人だ。だから、掘り続けなければ
  下に堕とされる。死にたくはない)

男「……ま、いいです。行きましょうか」


一行はマンホールの梯子を降りていった

通路の中はトンネル状になっている。
所々木枠で補強されており、
坑道のような雰囲気を感じさせる


獣人「意外と短いんだ、この道」

古代神「どういうことですか?」

獣人「曲がる必要がない、直線距離だからさ」

男「ここの出口もマンホールなんですか?」

獣人「いや、流石に目立つから違うよ」

男「じゃあ、どこなんです?」

獣人「>>240

王宮に一番近い商店街の外れさ、たまに王に近い人らも買い物に来るしな

獣人「王宮に一番近い商店街の外れさ、
   たまに王に近い人らも買い物に来るしな」

男「へぇ」

エルフ「なんだ、もうそんな所まで掘ったのか」

獣人「暇だったからな……そろそろ、出口だ」


最奥にはやはり梯子がかかっていた


獣人「じゃあ、がんばれよ」

梯子を昇り、狭い穴に体をねじこむ。
這い出てみればどうやら路地裏のような場所だ。


男「さて……どうします?」

エルフ「とりあえずこの建物を登ろう」


彼女はおもむろに壁を掴み、言う


男「……ま、いいですけども……
  古代神は大丈夫なんですか?」

古代神「私は羽を生やせるので大丈夫です」

建物の上に登ることができた
およそ100メートルほど先に王城がある


エルフ「あれが王城だ」

男「なるほど……ですが兵がたくさんいますね」

古代神「でしたら、私にお任せ下さい。
    厄神の力、しかとご覧あれ……」


古代神はぶつぶつと呪詛のようなものを唱える
初対面で感じた、大気を覆うほどの力。
氷点下に置かれたかのような悪寒が走る。


古代神「森羅万象よ、裁きの代行を______」


>>245……何が起こった?

古代神がいままで人身御供から吸ったエネルギーの転化は、悪の生命エネルギーすなわち疫病菌と化し、兵は嘔吐や吐血により総崩れ

彼女から、強烈なエネルギーが発せられる
まるで、地獄の釜の蓋が開いたかのような感覚だ


男「これは……」

古代神「こういう時の為に捧げさせた、
    人身御供のエネルギーです」

エルフ「なんと邪悪な……!」


そのとき、彼は後悔した
あれは悪に染められた生命エネルギーであり、
歪められてこそいるが魂そのものでもあった
彼の脳内には死者の怨嗟の声が流れ込む
死を拒む断末魔、死してなお苦しむ嗚咽、
後悔、悲哀、絶望、そして憎悪……

男「まずいな……吐きそうだ」

古代神「ふんっ!」


彼女はそのエネルギーを兵士らにぶつけた
しばらくは何も変化がなかったが、
一人の兵士が急に苦しみだした
そのまま嘔吐し、それに気づいた兵士が近寄る
すると、その兵士もまた嘔吐しはじめた
そして、それは兵士らの間に瞬く間に広がった


エルフ「……さすがに、趣味が悪いな」

古代神「申し訳ございません……しかし、
    これが最も優れたやり方なのです」

男「兵士が一人城に逃げ込んでいくが……」

古代神「異変に気付かれたのか、
    閉めきられてますね」

エルフ「うーむ……しかし、私も奴らに
    恨みはあるしいいだろう」

古代神「彼、絶望してますね……あ、兜を取って
    ……なんだ、女性だったんですか。
    いやぁ、最高ですね!」

エルフ「……やはり、趣味でやってないか?」

古代神「いえいえ……みなさん死にましたね。
    それではいただきます」


彼女が死体の群れに手をかざすと、
死体から生命エネルギーがあふれる
そして、それを余すことなく彼女は吸い取った


古代神「こういう風に生命を疫病にすれば
    また沢山回収できてお得ですので」

男「もう、突入できそうですか?」

古代神「疫病は死滅しました。行けますよ」

エルフ「そろそろ決戦か……腕が鳴るな」

男「……えぇ、ここで終わりにしましょう」


一行は城の前までやってきた
城は四階建てのようだが、かなり高い


男「さて、どう入ろうか……」


>>251……1.正面から突入!
2.壁を登って一階をスキップ!
3.自由安価

1

エルフ「よし、正面からいくぞ!」


彼女は剣を出現させ、一瞬にして門を切り刻んだ
崩れた門の隙間から内部を見ると、誰もいない


男「おかしいな……」

古代神「疫病に恐れをなしたのでしょうね」

エルフ「そうだといいが……」


一行は城内に侵入する

男「上への階段は近いですね」

古代神「ならば素早く上りましょう」

エルフ「待て!」


エルフが素早い動きで二人の前に躍り出る
その瞬間、エルフに向かって閃光が走る


男「な、なんだ!?」

古代神「何者かが階段の裏に隠れていたようです」


階段の裏から姿を表したのは、エルフ族だった
しかし、今まで会ったエルフ族とは違う雰囲気だ

そして現在、二人のエルフは
鍔迫り合いをしている


エルフ「久しぶりだな……ホーリーエルフ!」

ホーリー「いずれやって来るだろうと
     思っていました」

男「奴は一体……」

古代神「それを気にしている暇はありません!
    今すぐ階段を上るべきです」

ホーリー「そうはさせませんよ!
    私の必殺>>257を食らいなさい!」

清浄なる光

ホーリー「清浄なる光!」


彼女からすさまじい閃光が発せられる


男(まぶしいだけだ。突破してしまおう)

古代神「あ、これまずいですね……力出ません」

男「へ」

古代神「私は厄神なので聖属性特効なんです」


どうやら、ここで奴を倒すしかなさそうだ
エルフは鍔迫り合いを続行できているが、
二人戦力を拘束されるのはまずい。
射撃したいが、目が眩んでとても狙えない。
鎧に当たれば弾かれ、エルフに当たったらまずい

エルフ「心眼!」

男「どうしたら……」

???「グアアアアアッ!!!」


彼は聞き慣れない声がして、振り返る
そこには、黒い塊が蠢いていた


男「な、なんだ!?」


それは敵に飛びかかった、味方なのか?


塊「ゴギャギャギャギャ!」

ホーリー「くっ……お前は一体……」

エルフ「なんだか分からんが喰らえッ!」


彼女は二体を力強く一刀両断した
ホーリーエルフは即死したが黒い塊は蠢いている


男「こいつは……」

古代神「これは怨念ですね。戴いても?」

男「構わないですけど……どうして?」

古代神「さぁ……あなたが怨まれてたってだけだと
    私は思いますが……」

男「怨みか……」

古代神「ざっと100人分は下らないですねー……」

エルフ「……宝くじでも当てたことがあるのか?」

男「……大体、そんなもの……とも言える」

エルフ「そうか。じゃあ先に進もう」


一行は階段を上り、二階に向かった


>>263……二階の様子

きらびやかな装飾と一糸乱れず整列している石像がズラリ

二階は眩しかった
またホーリーエルフがいるのかと思ったが、
それはきらびやかな装飾によるものだった
石像も立ち並び、権力を感じさせる


男「誰もいないようですね」

古代神「私に恐れをなしたようですね……」

男「そうかもしれませんね、進みましょう」

エルフ「待て」

男「どうかしましたか?」

エルフ「嫌な予感がする。特にあの石像だ」

男「そ、そうなんですか?」

古代神「まさか、こんな石像_____うわっ!」


立ち並ぶ石像の内、三体が動き出した
それぞれが筋骨隆々の人間の姿をしている


男「石像はちょっと相手しづらいね……」

エルフ「この仕掛けは私も知っている。
    石像全てを三体ずつ起動することで、
    確実にこちらを追い詰めるトラップだ」

男「……ということは、他の石像も?」

エルフ「ああ」

古代神「この石像嫌いです!
    生命エネルギーがありません!」

男「湿気ってなければよいのですが……!」


彼は服の内ポケットから手榴弾を取り出し、
整然と並ぶ石像に投げつけた


エルフ「なんだそれは?」


轟音と共に動かぬ石像は粉々に砕け散った


古代神「……なんですそれ」

男「今日のラッキーアイテムです」

エルフ「それならば奴らは私に任せろ」

残りの三体相手に彼女が勝てるのか?
と思ったが、経験から判断するに問題ないだろう。

事実、問題なかった


古代神「エルフよ」

エルフ「む」

古代神「あなたは以前ここを訪れたことが
    あるようですが……何故です?」

エルフ「……話しておこうか」


>>268……エルフの過去

かつて異世界から召喚された人間だった
元の世界に戻るため王に戦いを挑んだが惨敗し、許しと命の保証を引き換えに名前と自由を奪われ種族をエルフへ降格された

エルフ「かつて私は、異世界から召喚された
    人間だったのだ。しかし……」

男「待って下さい。召喚なんてできるんですか」

エルフ「可能だ。嘗て優秀な魔術師らがいた。
    しかし……王が現れたのだ」

古代神「女神の寵愛を受けし者ですね」

エルフ「女神の閉じた世界を繋ぐ門を開く為に
    私は王に勝負を挑んだ……
    が、負けた。惨敗だった。
    お陰様で私は名前も失くし、
    種族もエルフにされてしまった」

男「そんなことが……」

エルフ「それと引き換えに命は助けてもらった。
    幸運なことにエルフの中でも、
    戦闘を生業とするものに降格された」

男「だけど、王を倒せば帰れるんですね」

エルフ「そう……だな。奴の恐ろしさを
    知っている身としては
    提案したくはなかったが」

古代神「ここまで来たら関係ありませんよ」

エルフ「ああ、それにみんなとなら
    やれる気がするんだ」

一行は三階へと上った

三階は真っ暗だが、何かが動く様子はない
火を灯す手段がないので、慎重に進む


エルフ「まとまって歩こう」

古代神「ええ、そうですね」


そのとき、目の前に火が灯った
紫色に光る篝火が三階を照らす
そして、人影がその奥に浮かぶ


エルフ「お前は……王!」

王「……」


>>272……王の姿

筋肉モリモリのまさに覇王が相応しい姿

王は筋肉モリモリのまさに覇王が相応しい姿だ
鋭い眼光と覇気が威圧感を生み出す


王「よくぞここまで辿り着いたものだ……」

古代神「ずいぶん偉そうですね」

王「我は王だ。故に偉いのだよ」

男「なぜこの世界をこんなことにした」

王「醜いものは整然と整えなければならない」

男「民衆が醜いのか」

王「嘗て何度も種族間戦争があったのだ。
  多くの者が死に、悲しみが生まれた。
  戦いのない世界のため、我はいる」

エルフ「だったら、素直に帰してもらいたい」

王「それはできない。女神と契約したからな」

男「貴方は間違っている。醜く、
  悲しみに満ちていても自由に生きるべきだ」

王「やはり、分かり合えんか……ならば……」

古代神「何か来ます!気を付けて!」

王「禍ッッッッッッ!!!」


>>276……何をした?

聖水で強化された聖職者の集団が現れた

突如、人の群れが現れた
姿を見るに、聖職者のようだ


王「そやつらは聖水の力で強化した強化人間。
  邪な力は効かぬ。力も上がっていよう」

男(こいつら……明らかに様子がおかしい。
  恐らくは麻薬の類を使っているな)

エルフ「どうする?」

古代神「近接戦闘は得意ではありませんが……」


彼女は自らの腕を鎌状の触手に変化させる

こうして、聖職者達との戦いが始まった
序盤は数を生かして雪崩れ込む
聖職者に押されぎみだったが、
冷静さを欠く相手に有効な足払いなどで対抗した


男「戦況は悪くないぞ!」

エルフ「あぁ!」

王「ならば追加するまでよ……」

男「そうはさせない!」


彼は迷わず銃口を向け、引金を引いた
転送魔法を打たんとしている
王に命中させることができた


王「………………」

射撃した王は健在だった。
その身体に銃弾がめり込んではいるものの、
筋肉の壁が肉体へのダメージを吸収している。


男「馬鹿な……」

王「効かぬわ……だが、その兵器は危険だな。
  我に物理は効かぬが、配下には致命的だ」


王が玉座から立ち上がったと思えば、
一瞬にして目の前にやってきた。
そして、僕の足を掴み______


王「覇ァ!!」


窓に彼は叩きつけられ、
そのまま城の外へと吹き飛ばされた

男「うぐぁ!」


勢いよく地面に叩きつけられた
当たりどころが良く、まだ生きている


男「……まずいな……体が動かない」


意識にもやがかかり、死が見え隠れする
感覚が鈍り、激痛も次第に和らいでいく


男「……まぁ、こんなものか……」


倒れた男に、忍びよる影が一つ
それは>>282だった

仮面をつけた女

仮面「……彼が、男……」


彼女は周りの無人を確認し、回復魔法を使った
みるみる内に傷は癒え、彼は目覚める


男「!」

仮面「早いお目覚めですね」


彼を助けたのは仮面をつけた女だった
背丈は比較的高いが、暗殺者のような雰囲気だ

男「なぜ、僕を?」

仮面「それが契約ですので」

男「契約?一体誰と______」


すると、どたどたと足音がする。
こちらに走ってくる者の姿があった


少女「ははは!でかしたぞ仮面!」

仮面「契約ですので」

男「あなたはまさか……あの時の!」

少女「無様なもんじゃないですか?ん?」

彼女は、あの囚われていた少女であった


男「どうやってここまで?」

少女「私の誠意で」

少女(カネを出せば人なんてどかせるんだよ!)

男「うわ……カネですか」

少女「な、何だと!?……まぁいい」


彼女は見覚えのある杖を取り出した


男「これは……」

少女「後払いで譲ってやりますよ」

男「どうしてそんなことを?」

少女「その様子では、奴に物理が通用しないと
   分かっている筈ですよね?」

男「どうして僕が?」

少女「魔法の適性があるからですよ!」

仮面「本当に、彼にやれるんでしょうか?」

男「やるしかないか……!」


彼が杖を一振りすると彼の肉体は浮翌遊し、
割られた窓から城内へ入っていった


エルフ「男!生きていたか!」

古代神「なんですかその杖は?」

男「王!貴様を僕の魔法で葬ってやる!」

王「……我は王なり。受けきってくれる」

男「食らえ!なんとなく究極魔法>>288

爆発魔法!ボンバー!

男「爆発魔法!ボンバー!」

王「何!?」


王の肉体は内側から吹き飛んだ
全身はバラバラになったが、まだ生きている


エルフ「……なぜ、生きている?」

王「神の加護だろう……」

男「残酷なものですね」

王「諸君、見事だったぞ」

男「これで、僕は帰れるのか?」

王「いや、まだ帰れないだろう」

男「やはり、女神にかけあわないと駄目か」

古代神「女神にはどうすれば会えるのですか?」

王「>>292

女神の場所を完璧に把握しているわけでは無いからな
……国境の街で情報を集めるといい、他国にいることも考えるとな

王「女神の場所を完璧に把握しているわけでは
  無いからな」

男「そうなのか」

王「……国境の街で情報を集めるといい、
  他国にいることも考えるとな」

エルフ「なるほど……」

王「我がこのザマだ。
  女神といえど何らかの手は打つだろう」

古代神「探るなら今がチャンスという訳ですね」

少女「こらーっ!!」


急に少女が殴り込んできた
しかも、大層ご立腹な様子だ


男「……どうしたんですか、そんなに怒って」

少女「王をバラバラにしといて、
   次の王も立てずにどっか行くつもり!?」

エルフ「確かに、この国は混乱してしまうな」

王「……はっはっは……」

少女「何がおかしいんだ!?」

王「ならば、お主が務めればよい」

少女「はぁ!?」

王「皆を縛る象徴としての我はもう死んだ。
  お主なら、きっと自由にやってくれる」

男「それはいい考えかもしれないね」

少女「良くない!」

王「さぁ、四階の載冠の間に行くぞ」


王の肉体は再び集まる。まるで粘土のようだが、
やはり剛性は桁違いだ。


少女「ちょ!杖代払いなさいよ!」

男「僕知ってるよ。国債ってやつですね」

少女「絶対分かってないだろ!あぁぁぁぁ……」


少女は王の手で四階に引きずられていった

一行は城から出て、次の行動を考える


男「国境の街ですか……」

エルフ「距離はそれなりにあるが、
    列車があれば問題ないだろう」

古代神「善は急げと言いますし、
    早速行きましょう」

男(……この方に限っては悪では?)


つまらないことを考えていると、
二人はさっさと行ってしまった。
急いで追いかけなくては……

男「ふぅ、やっと追い付いた」

エルフ「む、早足になっていたか」


駅前まで走ってきた。
明らかに早足というより走っている速度だ。


古代神「はぁ……はぁ……あと少しです」


その時、強く風を切る音がした
彼らのそばに向かって、
勢いよく>>298が飛んできた

矢文

それは矢文だった。
独特の竹がしなる音を響かせ、着弾する。


男「おおっと!?」

エルフ「……矢文か。読んでみよう」

古代神「こんなもの撃ってくる奴が
    いるかもしれないのに悠長に
    読んでられませんよ」

エルフ「いや、いい一発だった。信頼できる」

男「そう……ですか」

エルフ「しかし、矢文とはな……」

古代神「何か思い当たる節でも?」

エルフ「いや……」

エルフ(和弓に長けた種族は、そういない。
    もし敵だったら……)

男「とりあえず読みましょう」

エルフ「ああ」


>>301……矢文の内容

女神を狙っているのは貴様らだけではないぞ

女神を狙っているのは貴様らだけではないぞ
______矢文にはそう書いてあった


エルフ「……やはり、仲間のようだ」

男「女神を狙っているんですか?」

エルフ「ああ」

古代神「えっ!それは大変ですよ。
    急がなくては!」

男「どうしてです?」

古代神「女神は私のものですから!」

男「……そうですね」

いつも通りの、駅のホーム


古代神「列車が来ましたよ」

男「……この列車で、間違いなさそうだ」


彼が列車へ向かうと、車掌に声をかけられる


車掌「お足元が悪いようでしたら、
   手を引かせていただきますが」


何を言っているのかよく分からなかったが、
自分が杖を持っていることを思い出した


男「いえ、別にそういう訳ではございません」

車掌「失礼しました」

不思議そうな顔の車掌を尻目に、列車に乗った


男「魔法使いがまた増えれば、
  こういうこともなくなるだろうか」

エルフ「さぁ、どうだろうか。
    魔法使いは引きこもりが多いからな」

古代神「……そういえば、感覚で魔法を使うのは
    おすすめしませんよ」

男「どうしてですか?」

古代神「悪影響があります。例えば、>>306

呪いが跳ね返ってきたりしますからね…
例えば数日間は動物でいるとか…

古代神「呪いが跳ね返ってきたりしますからね…
    例えば数日間は動物でいるとか…」


男「……それは嫌ですね」

エルフ「エサはきちんとくれてやるぞ?」

男「そういう問題じゃないですから」

古代神「そういう訳なので、
    魔法の勉強もしなきゃですね」

男「勉強は得意じゃないんですがね……」

エルフ「おっ、着いたようだ」

男「え?」

古代神「どうしてそんな顔をしているのです?」

男「いや、列車が事故起こさなかったのが
  初めてでしたから……」

古代神「……そういえば、
    この街はどんな街なんです?」

エルフ「ここか?ここは国境の街だ。
あとは>>309

ゴーストの住む街ゴーストタウン

エルフ「ゴーストの住む街ゴーストタウンだ」

男「ゴースト?霊魂がいるんですか?」

エルフ「ああ。私はあまり得意ではないが……」

古代神「お化けが怖いんですか?」

エルフ「……断じてそんなことはないぞ?うん。
    攻撃が当たらないんだ」

男「戦う前提なんですか……」

駅を出て、街に入る


男「ゴホッ!うぅ……」

古代神「どうしました?」

男「空気が悪いですね……」


さすがゴーストタウンというだけあって、
年季や郷愁の念を思い起こさせる物に満ちている
しかし、そのせいで大分埃っぽい。


エルフ「じきに慣れるさ。
    じゃあ、情報収集をしよう」

男「観光客はいるようだけど、
  ゴーストはいないですね」

エルフ「ゴーストは基本的に見えないし、
    干渉することもできない」

男「では、どうしたら?」

古代神「儀式とか魔術ですね。
    折角杖がありますし、やってみては?」

男「そうですね」


古代神の指示に従い、杖で地面に刻印を印す
すると、妖しい光が立ちのぼり、
ゴーストがその姿を現す


ゴースト「>>313

なにゆえ もがき いきるのか?

ゴースト「なにゆえ もがき いきるのか?」

男「だらっしゃあああっ!!」


持っていた水を魔法陣に叩きつけた
魔法陣は消滅し、ゴーストも消えた


エルフ「なにをしているんだ!?」

男「……いや、なんかまずい気がしたので」

古代神「確かに、禍々しいやつでしたね」

男「別の所でやりませんか?」

エルフ「うむ……構わないだろう」

古代神「どこ行きましょうか……」


その時、地面に妖しい光が充満する
それは姿を変え、再び魔法陣になった。
またもあのゴーストが現れたのだ。


男「……こ、今度は何ですか?」

ゴースト「>>317

これからイイコトしない?

ゴースト「これからイイコトしない?」

男「………………」

ゴースト「………………」

男「帰れ」


男はやおら水をかけた
水の飛び散る下品な音も、
今だけは上品に感じられる


エルフ「…………」

男「行きますか」

古代神「そうですね……」

エルフ「往来の中心でやったのが駄目だったな」

男「そうなんですか?」

エルフ「うむ。思い入れのある場所に
    ゴーストは宿るからな」

男「と、いうことは……」

古代神「ええ、ここがこの街の図書館です」


古い木造の建築物だ。
千年以上前の木造倉庫のような雰囲気がある。
有り体に言えばボロい。

中に入ってみると、意外に片付いていた
ゴーストタウンの雰囲気に、
外観を合わせているのだろうか


男「ひとまず、ここの机でいいかな?」

古代神「いいと思います。それでは魔法陣を」


男は机に魔法陣を描く
おそらく、本を好み博識で、
聞き分けのある奴が来るはずだ。
そう願っていた。


ゴースト「>>322

ほうここに来るとはさぞ学があるのだろうか?
さて何から聞きたい?

ゴースト「ほうここに来るとはさぞ学が
     あるのだろうか?
     さて何から聞きたい?」

男「!!」

古代神「きましたね」

エルフ「女神がどこかに降臨したり
    お告げをしたりという情報はないか?」

ゴースト「む……そうだな……」

エルフ「特に、困ったときであるとか」

ゴースト「困ったときか、そうじゃの……
    やはり、信徒のもとへ行くじゃろう」

男「信徒の多いのはどこなんですか?」

ゴースト「……暫くここから出てないからの……
     信徒の変遷は分からん。
     国境を越えた隣の国は人口が多い」

古代神「つまり、隣国にいる可能性が高いと?」

ゴースト「あくまで予想じゃがの……」


老齢の霊は無念そうな顔だ
しかし、これでも十分な情報だ


エルフ「なるほど、協力感謝する」

ゴースト「待て」

エルフ「どうかされたか?」

ゴースト「わしも知識が欲しいのでな、
     どうかこの老いぼれの質問に
     耳を貸してくれ」

エルフ「いいだろう。何が聞きたい?」

ゴースト「>>326

そろそろ成仏させて欲しいと女神に頼んでくれないか

ゴースト「そろそろ成仏させて欲しいと
     女神に頼んでくれないか」

エルフ「ほう、お安いご用だ」

男「そろそろ行きますか」

古代神「ええ、今度こそ追い詰めてやりますよ」


こうして、一行は図書館を出た


男「ゴーストって、女神のせいで
  成仏できないんですか?」

古代神「うーん……もしかしたら、
    何か理由があって
    縛り付けられているのかもしれません」

男「そう、ですか……」

国境を目指し、街の外れへと歩いていく
ゴーストタウンだけあって、閑散としている
しかし、どこからか見られているような気がする
空き家の窓に、何かがいるような気がする
排水溝にも、気配がある


エルフ「……なんか、嫌だな……」

男「そうですかね?雰囲気ありますよ」

古代神「確かにそうですね」


そのとき、足元に巨大な魔法陣が展開する
半径20mほどの五芒星から、
巨大なゴーストが現れる


ゴースト「>>329

俺を倒さなければ通さんぞ

ゴースト「俺を倒さなければ通さんぞ」

エルフ「何だと!」

男「そうか……確か攻撃が効かないんでしたね」

古代神「こうなったら私のありがたい力で
    成仏させてあげましょう」


古代神は自らの肉体から光を放つ
しかし、眩しさはなく、どこか不吉だ


ゴースト「力がみなぎってくるぞ!!」

男「やっぱり邪神なんじゃないですか」

古代神「くっ……」

ゴースト「ぜぁあ!!」

エルフ「ぐっ!」


ゴーストが一薙ぎすると、エルフは吹き飛んだ
このままではまずい。だが、どうすれば……


男「この大きな魔法陣を破壊するのは……
  現実的じゃないか」

古代神「魔法で倒すしかありませんね」

男「しかし……呪いが……」

ゴースト「なんだか知らんが[ピーーー]い!」


ゴーストが腕を振り下ろす
大気がよろめくような振動が伝わってくる


古代神「く……押さえていられるのもあと少しです」

男「……や、やるしかないのか……」

古代神「退魔系のやつですよ!」

男「食らえ!>>333

エクスカリバー「約束された勝利の剣」
 光のビーム

男「エクスカリバー【約束された勝利の剣】!!」


彼の所持する杖が大剣に変化し、
光のビームが放たれる


ゴースト「何ぃ!!」

古代神「えっ」


ビームは圧倒的な破壊力でゴーストを吹き飛ばす
粒子になって消滅したゴースト。そして、
ビームに巻き込まれてボロボロになった古代神。

戦闘は、終わった。

男「はぁ……はぁ……やった……」

古代神「おいてめぇ」

男「化けの皮剥がれてますよ」

古代神「おっと……ン"ン"ン!なぜ私を
    巻き込んだのですか!」

男「いや、ほら……なんか……
  かっこいいじゃないですか」


遠くからエルフが走って戻ってくる


エルフ「先程の光線はなんだ!?」

男「ふぎぃ!」

エルフ「!?」


エルフが近寄った瞬間、男が慌てて逃げた
あまりのことに、目を丸くしている。
……お互いが。


エルフ「どうした!?」

男「い、いや……その……」

古代神「……『呪い』が帰ってきてますね」

男「呪いっていうと……
  あの体が動物になるやつですか?」

エルフ「あ!お、男!鼻だ!」

男「鼻?」


見れば、彼の鼻は動物のものになっている
おそらくは、猫のものであろう


古代神「彼の嗅覚にとって、
    エルフは刺激が強すぎます」

エルフ「そんな!どういうことなのだ!」

古代神「率直に言うと臭いです」

エルフ「なッ……_______」

男「別にそこまで嫌な匂いじゃないですから……
  そんな顔しないで下さい」

エルフ「どうやったら治るんだ!?」

古代神「どっちですか」

エルフ「どっちもだ!」


古代神は困ったように思案する
流石の剣幕に、身分がどうのとは思えなかった


古代神「彼の呪いは……例外こそあれ、
    時間経過を待つ他ありません」

エルフ「体臭か……やはり……」

古代神「体臭……というよりフェロモンですよ」

エルフ「そ、そうか……だが、
    どうにかできないのか!?」

古代神「>>340

マタタビの香りを嗅いだら楽しいことになりますよ

古代神「マタタビの香りを嗅いだら
    楽しいことになりますよ」

エルフ「そうなのか!?だが……
    そんなもの持ってないぞ」

古代神「それくらいなら、
    私の不思議な力で出せますよ」

エルフ「ほう。男、こっちに来い」

男「……な、なんですか……わっぷ!?」


匂いに耐えながらゆっくり近づく男。
その顔面に古代神は液状のまたたびを投げつける

エルフ「どうだ!?」

男「……あぁー……う……う……」

古代神「これは……ばっちり効いてますね」


彼は酔っ払ったように
恍惚とした表情でふらふらとしている


男「僕は疲れた……エルフ、助けてくれ」

エルフ「助ける?どうしろと」

男「>>343

こう少し横にさせてくれないか…

男「こう少し横にさせてくれないか…」

エルフ「いいだろう」


彼を優しく抱き抱え、寝かせる
男は死者のように安らかな表情だ


古代神「ここ、天下の往来なんですけれども」

男「と、言われても僕はもう動きたくない。
  願わくばスイーツを食べたい」

エルフ「欲が解放されているな……」

古代神「はぁ~……私だって食べたいです!」

男「……辛い」

エルフ「何が辛いんだ」

男「ゴーストの意思が……重い……」

古代神「なるほど、精神が薄弱になっているので
    ゴーストの干渉を受けているのですね」

エルフ「除霊とかできないのか」

古代神「できたらさっきやってましたよ」

男「………………」

古代神「こいつ、どうしましょうか」

エルフ「あなたがやったんだろう」

古代神「……まぁ、そうですが」

エルフ「そうだ!またたびが効くなら、
    水も効くかもしれない!」

古代神「なるほど……水かけてみますか」


古代神はおもむろに水をかけた
水は見事彼の額を捕らえ、飛び散った


>>347……男の反応

我に返って少しだけ元気になる

男「ぶはぁ!」

エルフ「どうだ?」

男「……ごめん、多分もう大丈夫」


男は狂気の残滓を払うように素早く立ち上がる
まだ若干ふらついているが、活動に支障はない


古代神「いやぁ、面白いもの見れましたね」

男「できれば忘れてほしい」

古代神「嫌です。断じて拒否します」

男「……はぁ……あれが国境ですか?」


進行方向には国境。
わかりやすく関所のようなものがある


エルフ「その通りだ。あそこを越えるんだ」

番兵「待てい!」

古代神「……番兵さんですか。
    いかがなさいました?」


番兵が関所から現れ、
手で止まるようサインを出す

結構な大声なので、
サインは出さずとも伝わるのだが……


番兵「>>350

ここからは大変危険な魔物が多くでる
悪いことは言わないから帰りなさい

番兵「ここからは大変危険な魔物が多くでる
   悪いことは言わないから帰りなさい」

男「ふむ……しかし、退けない訳があります」

エルフ「その通りだ」

番兵「……俺には君たちを止める権力はない。
   せめて、これを受け取ってくれ」


番兵は懐から小瓶を取り出し、渡す
付箋が付いており、傷薬と書いてある


古代神「ありがとうございます!」

番兵「いいんだ。無理はしないことだな」

国境を抜けると、そこは森だった
鬱蒼と茂る木々が日の光を遮断している
しかし、踏み馴らされた道が進むべき道だ


男「時間の感覚が狂いそうですね」

古代神「じめじめしてて気分悪いです」

エルフ「……む」

古代神「どうかしましたか?」

エルフ「そこの茂み、何かいるな。
    出てこい!さもなくば切る!」


すると、茂みから>>353が飛び出してきた

怯えきった青年

青年「ひいぃっ!すみません!」

エルフ「なんだ……人か」


青年は怯えきった様子で近寄ってくる
服も汚れていて、何かあったのは明白だ


男「どうかしたんですか?」

青年「あ……あぁ……化物に襲われたんだ」

古代神「化物ですか……
    それはひょっとして、こんな?」


自らの能力で牙を生やしたり翼を広げたり、
目を光らせてみたり鱗を生やしたりしている


青年「ひぃ!」

男「ちょ、古代神、やめましょうそういうの」

古代神「あーっ!今呼び捨てにしましたね!」

エルフ「まぁまぁ……」

古代神「うるさいですよ!不遜です!」

男「魔法覚えたら美味しいもの出すんで……」

青年「……ぁ……騒ぎすぎた……!!」


虫の声は静まり返る
鳥は何処かへ飛んでいく
そして『何か』が森の奥からやってくる


男「……いや、すみません」

古代神「……謝るなら私に謝りなさい。
    化物如きに怯える私達ではないです」

エルフ「来る_____」


>>357……化物の正体

顔に目が無く、翼に無数の目がある巨大な黒い鳥

それはまさしく異形だった。
その顔……顔とおぼしき場所に目はない。
しかし、嘴や鼻があるので顔であろう。
そしてこいつは、恐らく鳥だ。


古代神「でかい……!」

怪鳥「キェェェーーッ!!!」

男「……っ!?」


大きく翼を広げ、威嚇を試みている。
それはまるで、孔雀の羽の模様だった。
しかし、それが模様でないことが
『それ』一つ一つの動きから伝わる。

およそ270度に展開された翼。
それぞれの角度からの容赦ない視線。
翼に付いているのは紛れもなく目だった


エルフ「まさしく、如何にも……化物だ」

怪鳥「ア"ーーーーーーッ!!!」


怪鳥は羽ばたき、こちらを見据える。
対するこちらは、見返したくもない。
こんな不条理の塊が、
冒涜的な生物がいていいのか。


男「否______君を[ピーーー]」


彼は杖を掲げ、強く念じた。

およそ270度に展開された翼。
それぞれの角度からの容赦ない視線。
翼に付いているのは紛れもなく目だった


エルフ「まさしく、如何にも……化物だ」

怪鳥「ア"ーーーーーーッ!!!」


怪鳥は羽ばたき、こちらを見据える。
対するこちらは、見返したくもない。
こんな不条理の塊が、
冒涜的な生物がいていいのか。


男「否______君を殺す」


彼は杖を掲げ、強く念じた。

眩い燐光が場を支配する


怪鳥「コカアアアアアアッ!!!」

男「翼を広げたのが間違いでしたね」

エルフ「せやあぁぁぁぁっ!!」


隙を突き、素早く懐に潜り込んだエルフが
迷いなく首を切り落とす


古代神「あっ、殺しちゃったんですか」

男「そりゃあもう」

古代神「結構美しいと思ったんですが……」

エルフ「……そ、それは……ない……だろう?」

青年「す……すごい!あの化物を!」

男「たまたまですよ……うぐっ!?」

エルフ「ど、どうした!?大丈夫か!?」

古代神「魔法の反動がきてますね」


彼の肉体はみるみる内に変貌していく
人のものから、獣のそれに。


>>364……どの動物に変化した?

男「こ、これは……」


彼の肉体はおおよそ犬のものになっていた。
しかし、そのシャープなフォルムが、
それは犬でないと語る。


エルフ「ほう、狼……」

古代神「ち、豚とかだと面白かったんですが」

エルフ「狼、狼……そうかぁ……」

男「え、ちょっと、エルフ!?」


エルフは彼を抱き抱える
顔はいつもの真剣なものだが、
全体的にすごく撫でてくる。

エルフ「素晴らしい!」

男「待ってくれ!」


慣れない体を必死によじり、
彼女の抱擁から逃げ出した


エルフ「孤高なる姿、鋭い牙、その毛並み!
    武人のペットとしてふさわしい!」

男「僕はペットじゃないですよ」

古代神「愉快ですね」

男「どうやったら治るんですか?」

古代神「やはり時間経過ですね」

青年「とりあえず、この危険な森を抜けよう」

男「賛成ですね。さぁ行きましょう」

エルフ「わ、私が運んでやっても構わないぞ?」

男「遠慮します」

暗い森をひた進む
時間感覚、方向感覚が麻痺してきたころ、
進む先に光明が射す。
喜びを纏い光を追えば、外は夕方だった。


青年「や、やった!森を抜けられた!」

男「眩しい……」

青年「もう一人でも大丈夫です。
   ありがとうございました!」

エルフ「一人では危険だ、これを授けよう」


エルフは傷薬の瓶を渡す


青年「いいんですか!ありがとうございます」

古代神「……まぁ、施しも神の仕事ですからね」

青年は去っていった


男「毒とか入れてない?」

古代神「当たり前です。ここには、
    信者が少ないので信仰心を
    集めなければなりません」

エルフ「でもあれ、あの門番に貰ったやつでは」

古代神「気にしないことです」

男「腹減りましたね……」

エルフ「それじゃあ>>372

店でも探しますか、このあたりなら何かあると思います

エルフ「店でも探しますか、このあたりなら
    何かあると思います」

男「そうですね」

古代神「その嗅覚で旨い飯屋を探すのです」


彼は匂いを嗅ぎ分け、飲食店の位置を突き止めた
宴会なんかもやっている店らしい


男「こっちです。着いてきて下さい」

エルフ「行くぞ!」

店に入り、店員に話しかける


男「すみません、空いている席はありますか?」

店員「……へ?」

男「ああ、聞こえませんでしたか」

店員「い、いえ……あなた、狼ですよね」

男「………………」

店員「………………」


静寂。
店内の喧騒とこの二人の間には壁ができた


男「や、忘れてました」

古代神「こら!」


先程追い付いた彼女が男を掴み上げる
彼は手足をばたばたさせてもがくが、無駄である


男「放して下さい!」

古代神「ややこしくなりますし黙ってて下さい」

男「……」

店員「ははぁ、ペット同伴ですか」

エルフ「流石に席はないか?」

店員「そうですねー……残念ですが」

店長「よう、姉ちゃん達」


店の奥からガタイのいい男性が現れた
先程まで料理を運んでいたようだ


店員「店長!」

店長「狼を連れてるとは驚きだ。
   しかも喋る狼ときた。これは面白い」

男「色々ありまして……」

店長「今外に席を用意してやるから、
   待ってるといいぜ」

店員「て、店長!?」

店長「うるせぇな。今それなりに忙しいんだ。
   お前は急いで客に料理を出してこい」

店員「はっ、はい!」

エルフ「こんなことがあるとは……!」

店長「この国じゃ狼は聖なる生き物だからな」

古代神「……そ、そうなんですか……」

古代神(害獣風情が、持ち上げられたものです)

男(こいつ……)


店長はメモを取り出し、注文を取り始める


男「まさか、僕用の料理もあるんですか?」

店長「おうよ。>>378だ」

狼っつったらやっぱ肉だろ
それも骨付きだ

店長「狼っつったらやっぱ肉だろ
   それも骨付きだ」

男「なるほど?」

男(流石にペットフードはないか……)

エルフ「私も肉がいい」

古代神「サラダあります?」

店長「あるぜ!栄養バッチリのがな!」

暫く待つと、料理が運ばれてきた
狼用の肉はワイルドに、かつ薫り高く、
エルフ用の肉はパンなども合わせてがっつりと、
そしてサラダはアートのように彩り鮮やかだった


男「これは……素晴らしい!」

エルフ「うむ……久しく豪勢な食事など、
    していなかったな……」

古代神「びびびびび」


何やらサラダを見つめて音を出している


古代神(テレパシーで信者に料理の情報を送れば
   私が帰ったとき作って貰えるはずです!)

こうして、一行は食事を終えた


エルフ「代金だ」

店主「……ふむ、いいだろう」

男「この近くに町はありますか?」

店主「うーん……そうだな、>>386

西の吊り橋の先、砂漠のオアシスにリザードマン達の街がある

店主「西の吊り橋の先、砂漠のオアシスに
   リザードマン達の街がある」

男「リザードマン……」

店主「ん、どうかしたのか?」

男「いえ、なんでもございません。
  色々ありがとうございました」

店主「おうよ」


こうして、一行は店を後にした

しかし、だからと言って区切りを付けないのが、
まさしく古代神らしいところで


古代神「リザードマンと何かあったんですか?」

エルフ「……そうだな。大したことではない」

古代神「それならいいです。彼らは私のような
    神をよく受け入れてくれるので、
    信者が欲しいんです」

そういえば最近は男の思考を読む能力使ってないね

エルフ「お、あれが吊り橋だな」

男「え?」

古代神「あー……遠くに小さく見えますね」

エルフ「しかも誰かいるようだぞ」

古代神「……ど、どういう目してるんです!?」

エルフ「狩りをしてたら身に付くさ」



>>388最初の国の王は一般人レベルなら
思考統制できてしまうほどの暴君なのであまり
使う機会がありませんでした……
というか主題にしておいてそれはどうなんだ
という訳ですね……反省します

それなりに長い距離を歩き、吊り橋に到着。
どうやらそこにいるのはリザードマンのようだ


男「あれは……リザードマンか」

エルフ「どうする?以前のこともあるが」

男「……ふむ……いや、問題ないですね」


リザードマンの元へ、橋を慎重に渡った
なにせ狼の小さな足では吊り橋の踏み板の間に、
挟まりかねないのだ。

竜人「……狼?」

男「いや、人間ですよ」

竜人「そうか。何の用だ?」

男「知りたいことがあるんです」

竜人「なんだ」

男「この世界の女神は、
  リザードマンに何をしたんですか?」


彼は暫く困ったような顔をして


竜人「答える義理はない。残念だがな」

竜人(>>392)

玉乗りとか腹芸のような宴会芸を仕込まれて年に一回の祭りで出来ないと殺されるなんて言えない

竜人(玉乗りとか腹芸のような宴会芸を
  仕込まれて年に一回の祭りで出来ないと
  殺されるなんて言えない)

男「………………そ、そうですか……」

竜人「そして、お前からは女神の匂いがする」

男「こちらにも事情があるのです。
  しかし、お話頂く必要はございません」


誤解を解こうと話していると、
エルフと古代神もやってきた


エルフ「男、無茶はするな」

男「すみません。ですが、
  彼は悪い人ではなさそうです」

竜人「おや……もしや、あなたは」

古代神「私ですか?」

竜人「ええ。もしや、
   そのお姿……古代神様ですか?」

古代神「いかにも」

竜人「おお!では是非こちらへ!」


仰々しく彼女をエスコートする竜人
久しく見る満足げな表情の古代神
もしや、彼女は意外とメジャーな神なのか

リザードマンに連れられ、砂漠のオアシスに着く
街の入口であのリザードマンが合図をすると、
ほかのリザードマンも集まってきた。


竜人「それでは祭壇へ行きましょう」


彼は古代神をどこかへと誘導していった
一方、他のリザードマンは二人に寄ってきた


竜人B「これはこれは、神の遣い様」

男「いや、そういうわけでは______ふぐ!?」

エルフ「うむ。その通りだ」


彼女は狼の口を抑え、話し始める

竜人C「それでは、案内致しましょう」

エルフ「それには及ばん。それよりも、
    ヒルというリザードマンはいるか?」

竜人C「いらっしゃいます」

エルフ「ふむ。では私たちはそちらに行く。
    案内の必要はないぞ」

竜人C「かしこまりました」

男はエルフに連れられて、ある家を訪ねる


エルフ「ヒル先生、いるか?」

ヒル「んー……お、エルフじゃないか」


家の奥から気だるげに出てきた竜人。
どうやら彼がヒルというらしい


男「はじめまして」

ヒル「……ほほう。大体分かったよ。
   上がってくれ。話は奥で」

彼の家には、怪しげな道具が所狭しと置いてある
何やら妙な臭いもするし、なんなのだろうか


ヒル「よし。細かいことは分からないが、
   君は魔法使いだね?」

男「へ、はぁ、そうですね」

ヒル「そう驚かなくていい。
   僕も魔法使いだからね」

エルフ「それで……」

ヒル「あぁ、分かってるよ。彼を直すんだな?」

彼は何やらステッキの様なものを取り出す。
そして、呪文を唱えた


ヒル「《反動低減》」

男「!」


すると、男の肉体は>>400

少年化した

男は無事、人の姿に戻ることができた
だが、何かがおかしい。他人が見れば一目瞭然、
しかし本人は先程まで狼だったのだから、
妙な点には気付きづらいのだ。


ヒル「どうやら上手くいったようだな。少年」

男「少年……?もう少しすればおじさんですが」

エルフ「……あれ?なんか小さくなったな?」

男「ま、まさか!」


男は振り返り、ガラス製の実験器具を
狂ったように選び出し、掴む!
仄明かりに反射して映る自らは、
器具の形に歪んでいたが、彼には分かった。


エルフ「おい、男!?どうしたんだ!?」

男「……ち、縮んでいる……肉体が……!!」

ヒル「おや。もしや少年ではなかったか」

男「その通りです。しかし……
  人の姿には戻れました。感謝しています」

男「ところで、彼は誰なんですか?」

エルフ「彼は魔法使いだ。
    嘗ては仲間として戦っていた」

ヒル「まぁ、今は隠居の身だけどね」


彼はリザードマンのようだが、
そこまで老けているようには見えない。
どうやら、年齢以外の理由がありそうだ

エルフ「それで、頼みがあるんだ」

ヒル「あぁ、分かってるとも。
   彼に魔法を教えればいいんだね」

男「いいんですか?」

ヒル「もとからそのつもりだったし、
   その肉体じゃ殴り合いはできないだろう」

男「確かにそうですね」

ヒル「君には>>407魔法を教えてあげよう」

バイバイン:掛けるとどの物体でも5分ごとに2倍に増える

ヒル「バイバインだ」

男「……なんですかそれ」

ヒル「掛けるとどの物体でも
   5分ごとに二倍に増える魔法だ」

男「強くないですか」

ヒル「確かに強力だが……
   術者への負荷が際限なく高まる」

男「限界を越えるとどうなるんですか?」

ヒル「しばらく魔法が使えなくなる。
   先程までのような反動はない」

男「それなら使い勝手もよさそうですね」

ヒル「まぁな。質量が大きすぎるものとか、
   希少すぎる物質とかは負荷が強いぞ」

男「生き物はどうなるんですか?」

ヒル「術者が限界を迎えると、
   オリジナル以外は消滅する」

男「いろいろありがとうございます」

ヒル「いいのさ。これからも頑張れよ」

男「ええ」

エルフ「よし、それでは古代神の所に行くか」


リザードマンに奉り上げられ、
連れていかれた古代神。
彼女は今、>>411をしていた

リザードマンたちを使役

古代神「はっはっはぁー!」

男「うわっ!」


彼女は大量のリザードマンを従え、
神輿に担がれて町内を凱旋していた


エルフ「これはすごいな……」

古代神「私を崇めても良いのですよ?」

男「ちょっと遠慮します」

古代神「ち……異端者だ!捕らえなさい!」

竜人達「うおおおおおっ!!」

波のような竜人が押し寄せてくる。
エルフに襟を掴まれて脇道に連れ込まれた


エルフ「とりあえず逃げるぞ!」

男「え……あ、そうだね!」


人の津波は水ではなく、脇道に入りづらい
路地裏を掻き分けるように進み、
ついに行き止まりだ

男「エルフ!目を閉じてください!」

エルフ「っ?」


男は閃光榴弾を放り投げた
竜人たちを混乱させ、動きを止められたようだ


男「今だ!」

エルフ「う、うむ!」


二人は建物の壁を登り、屋根に逃げた

屋根を伝って町外れまでやって来た


男「どうなってるんですか一体」

エルフ「まぁ、利害が今まで一致していただけで
    決していい奴ではないからな……」

男「うーん……」

エルフ「待て、男。なにか来るぞ!」


遠方から高速の物体がこちらに飛んでくる。
あれはなんなのだろうか。
そう、>>417

軍用ドローン

飛んで来ているのはドローンだった


男「あれは……ドローン?」

エルフ「ドローンとはなんだ」

男「小型の空を飛ぶ機械です。
  どうやらカメラも付いている」

エルフ「リザードマンのものではないだろう。
    彼らは科学に頼ることは少ない」

男「それはそれは……じゃああれは?」

エルフ「分からない」


近付くとドローンは速度を落とし、滞空した。
その機体には軍用機と刻印があった

男「……軍用?」

エルフ「もしや、この国の王が
    遣わしたのかもしれないな」


機体にはスピーカーが搭載されているようで、
数度の弾けるようなノイズの後、
人の声が発される。


ドローン「>>421

ほう噂に聞いた一行が貴方らか…

ドローン「ほう噂に聞いた一行が貴方らか…」

男「あなたは?」

ドローン「私はこの国の軍部の者だ。
     貴方らの支援のために通信している」

エルフ「どうしてそんなことを?」

ドローン「…………古代神の暴走を止める為だ。
     これを置いていく」


ドローンは一丁の銃を置いていった。
どう見ても普通の銃であり、
手元の物を使うのと大差ないだろう。
ガチャリ、と手に取った

古代神「彼らはまだ捕まらないのですか?」

リザードマン「申し訳ありません」


古代神はリザードマンの祠で傲慢に暮らしていた
しかし、二人が捕まらず不満を抱えている


古代神「もういい。下がりなさい」

リザードマン「はっ……」

古代神「まったく、遅いですね……」

男「……それはそれは、お手数おかけします」

エルフ「やはりここに居たか」

古代神「……なに?見張りは何をしていた」

男「倒した。
  ……ほぼエルフがやってくれたけども」


古代神は不敵な笑みを浮かべ、
肉体をまるで悪魔のそれのように変貌させる


古代神「私は信仰を得た。力を望む者の信仰を」

男「神の力は……いや、
  性格も……信者に左右される」

古代神「わかったような口をきかぬ事です」


古代神はエネルギーを溜め始めた
かつてのそれよりも冷酷にしておぞましく、
深淵の如き暗闇、死の臭い、苦しみ。
根元的恐怖はそこに凝集されていた


男「……賭けだ。これがなんなのか」


彼は自らの銃に、貰った銃に込められた
得体の知れない弾を込め、放つ


>>426……弾の効果

当たると愛している者の名とその恋慕の為にしてきた行為(意味深)を一日一回3分程度叫ぶようになる
愛した者に触れられぬ限り効力は続く

古代神「ぐああっ!!」

男「……駄目か……効いてはいるけど、
  浅い傷一つ付いてない」

エルフ「いや、もしや用途が違うのかもしれん」


古代神は少し怯んだが、
依然としてエネルギーはそこにある
もはやここまでと彼が悟ったとき、
時刻は真夜中、23:57を迎えた

その時、エネルギーの凝縮はストップした
彼女は何事か歯軋りをはじめ、
初心な若者の告白のように、
威勢の良さの中に恥じらいもある叫びを始めた


古代神「……知っての通り!
    私はあのクソ女神が大好きだ!」

男「……は、はぁ。聞いてないですが」

古代神「うるさい!故に私は奴のことを想い、
    [自主規制]、[自主規制]の練習、
    自慰行為、[自主規制]をしてきた!」

エルフ「う……彼女が倒すべき敵でなかったら
    正直言って逃げ出したい」

彼女の話した内容はおぞましいものであった
情けないことに、僕はその話を聞き、
逃げ出してしまったのだ。

今、僕はエルフに連れ戻されてここにいる
古代神もいる。周りを竜人が取り囲んでいるが、
殺気は感じない。


古代神「もうだめです……」

男「……はぁ、はぁ……何がですか?」

古代神「信仰を失いました……」


情けない姿を見せる古代神に、
リザードマンらは慰めの声をかける
しかし、彼女はそれを聞き入れず、


古代神「いいですよ。本心のない慰めは……
    私がさっき得た迸る神力も、
    好戦的に昂る心も失くしました。
    もはや貴方たちは私を信仰していない。
    ……少なくとも、本心からは」

状況を察するに、彼女の告白……
というより呪言は竜人の信仰を損なわせるに
十分だったようだ。


エルフ「成程。古代神、頭は冷えたか」

古代神「ばっちりですよ……」

男「そんな落ち込まないで下さい」

古代神「やめなさい。あまつさえ少年に
    慰められたとあれば私のプライドは
    これ以上なく壊れます」

男「分かりました。じゃあ>>433

これからまた信仰を広めましょうか

男「これからまた信仰を広めましょうか」

エルフ「いいのか?まぁ、
    男の決めることに異存はないが」

古代神「……ふん。許したつもりですか」

男「まさか。正しき教え、正しき心をもって
  信仰を広めれば僕の力になりますから」

古代神「私を利用する気か、痴れ者め」

男「何か、問題でも?」

古代神「大アリですね。後悔させてやります」

エルフ「とは言いつつ、ついて来るのだな」


散々ゴタゴタを起こしたので、
一行はさっさとリザードマンの街を去った
向かうあてはなく、ただ砂漠を歩く


古代神「何せ、ここに少年がいますからね。
    宗教勧誘といえば子供を使った
    泣き落とし。これが鉄板です」

エルフ「……やれやれ」

男「そういえば古代神。
  あなたの宗派の教義は何なんですか?」

古代神「え?そりゃ>>436ですよ」

子供を大切に

古代神「子供を大切にですよ」

エルフ「まともじゃないか」

古代神「私を何だと思っているんですか」

男「外道鬼畜神」

古代神「子供の姿をいいことに、
    言ってくれますね……」


砂漠の太陽は押し潰すように身を焦がす
しかし、水はあり、それは魔法で増やせる。
彼らは危機に晒されてはいなかったのだ。

いずれ来る夜を除けば。

陽は傾き、夜の足音がする
水はあれど、寒さには無力だ


男「そろそろ夜ですか……」

古代神「あなたのその水を増やす魔法で、
    太陽を増やせないのですか」

男「それこそ神の領域ですよ」

エルフ「む……、二人は凍えかねんな」

男「エルフは大丈夫なんですか?」

エルフ「うむ、代謝を上げられるのでな」

古代神「あなたは本当に生物なんですか……」


そうこうしている間にも、
夜が目前に迫りつつある


男「うーん……」

エルフ「そうだ、良いことを考えた」

古代神「何です?」

エルフ「>>441

周囲から暖かさを集める魔法を思いついた

エルフ「周囲から暖かさを集める魔法を思いついた」

男「すごいですね!どうやってやったんです?」

エルフ「うむ。私が唯一知る魔法があってな、
    その原理を利用したものだ」

古代神「……それ、どんな魔法なんですか」

エルフ「【鏡面展開】【熱制御】……かな、
    そして【一点集中】……のはず」

男「なるほど、それが熱収束魔法ですね」

エルフ「あぁ……だが、今示したのは想像だ。
    私が正確に知っているのは、
    【鏡面展開】ただ一つだからな」

男「【熱収束魔法】!!」


彼はその体格に似つかわしくないその杖で、
魔法を唱えてみせた

すると、渦巻くように熱が集まってきた
少し熱いが、その程度気にしてはいられない


古代神「素晴らしい!」

男「それはどうも……なんだか疲れました」

古代神「恐らく、その小さな肉体では
    多くの魔翌力を保持しておくことが
    できないのでしょう」

エルフ「つまり、魔翌力の使いすぎのようだな。
    よし、おぶってくれよう!」

月が天上に登りきった。
何かを放出するような音がして、
振動を伴う月光かと思ったが、流石に違い、
機械の駆動音であると予想付けられた


エルフ「なにか聞こえるな」

男「こんな時間にわざわざ移動するような者が
  僕ら以外にいたとは」

エルフ「道を聞くか?」

男「呼び止められればそれがベストですね。
  悪人でも移動手段を奪取する口実になる」

古代神「でしたら私が呼び止めますよ。
    『三分間ほど』使って」

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