シンジ「今日、みなさんに集まってもらったのは他でもありません」
シンジ「議題はたった今、発表した通りです。僕は、新劇場版がコケると思ってます」
ミサト「……いきなりみんなを集めてなにかと思ったら」
シンジ「黙れよ」ボソッ
ミサト「えっ」
シンジ「いきなりキャラ変した人は黙っててくださいよッ!!」バンッ
ミサト「い、いきなりって。……いい? シンジくん。 キャラ変したのがあたしだけだと思ってるの?」
シンジ「……ッ!!」
ミサト「劇場版Qを見たのならわかったはずよ。“アナタだけ時間が止まっていたの”」
アスカ「ガキはガキのまんまね」
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リツコ「シンジくんにとってのいきなりでも、私達にとっても同じとは限らない。過ごした期間、記憶に相違点がある」
ゲンドウ「お前だけが取り残されていたのだ。暗いエヴァ初号機の中で」
ミサト「キャラ変なんて言葉では解決できない。あたし達が変わっていたのは、“時間の重み”」
シンジ「そんな理由で、観客を置き去りにするからじゃないか」
アスカ「わからないアンタ達オーディエンスが悪いんでしょ。ほんっっとにガキね」
シンジ「わかるわけないだろっ!? 僕と同じ境遇を観客席にいる人にも感じさせようとしてたなんてっ!!」
レイ「……」
シンジ「綾波を見てよ!? みんな『 綾波は助かった』と勘違いしてたじゃないか! 黒ナミってなんだよっ!!」バンッバンッ
リツコ「この子ったら。新劇場版の破のラストをいまだにひきずっているのね」
シンジ「当たり前じゃないかッ!! 僕はなんのためにっ!!」
アスカ「あれからセカイがどーなったのか知らなかったんでしょ? 何億……それじゃ足りない……何十億人死んだと思ってんの? ニアサードインパクトのせいで」
シンジ「知る術がないじゃないか!! 起きたらああなってて! ミサトさんだって僕に自分の信じた道を進めって!」
アスカ「また他人のせい」
ミサト「アスカ、いいわ。あの時は、あたしも知らなかったの。シンジくんと同じね……だけどーー」
シンジ「だけど、なんですか」
ミサト「知らなかっただけじゃ済まされないことだってあるの。被害が、大きすぎだ。ホントは……あたしだって、全部シンジくんのせいじゃないってわかってる」
リツコ「行動には結果が伴うのよ。アナタの“向こう見ずな若さ”。それがニアサードインパクトを引き起こした」
ミサト「突き詰めれば、悪いのは私たち大人なの。わかっているけど、整理できない感情がある」
シンジ「……もういいですよ。起こってしまったことは仕方がない。議題を本筋に戻しましょう」
ミサト「ええ……そうね」
リツコ「さっさとなさいな。Qへの不満ならネットで散々出尽くしているから」
ミサト「ちょっと、リツコ」
リツコ「客観的な事実よ。なにも間違ったことは言っていないわ。それで? なぜシンジくんは次作がコケると思うの?」
シンジ「世界が崩壊してしまっているからです」
リツコ「世界? それはどういう意味で?」
シンジ「考えてみてくださいよ。僕達がなんのためにエヴァに乗っていたのか。NERVの目的がなんだったのか」
リツコ「なにを今更。人類を守るためでしょう」
シンジ「その通りです。崩壊してしまった後なんて……どうしようもないじゃないですか」
アスカ「何が言いたいの? 結局」
シンジ「……ッ! どうやってここから明るい方向に持っていけるんだよッッ!!」バンッ
アスカ「……はぁ?」
シンジ「みんなはなんでエヴァが人気だったのかわかっていないんだ!! ″共感できるところ"がたくさんあったからでしょうっ!?」
ミサト「……」
シンジ「ミサトさんのTVシリーズの名セリフ! 『風呂は命の洗濯よ』とか! 加持さんが亡くなった後に僕に縋った時なんて20代OLの共感第1位(当時)ですよっ!?」
ミサト「あちゃぁ~。人の黒歴史を」
リツコ「ミサト、ぶさまね」
シンジ「起こりそうで起こらない現実的な範囲での近未来! そして様々な人間模様! リツコさん!」ビシッ
リツコ「な、なに?」
シンジ「父さんと不倫していたので人気はありませんでしたね」
リツコ「……ッ!?」
ミサト「ぷーっ、だっはっはっ、リツコったらぁ~ざまぁないわねぇ~」
シンジ「みんなを置き去りにしちゃったら、新規層の開拓なんてできるはずないじゃないか!」
ゲンドウ「シンジ」
シンジ「出たなサンバイザー!」
ゲンドウ 「なんとでも呼べ。お前は勘違いをしている」
シンジ「か、勘違い?」
ゲンドウ「そうだ。今も昔もエヴァンゲリオンという本質は変わっていない」
シンジ「……? どういうーー」
ゲンドウ「観客が勝手に妄想し、膨らませ、意味を持たせた。本来、製作者の意図したものから脱線してな」
冬月「左様。オタク文化の弊害だな……噂に尾ひれがつくのと同じように、独り歩きしだした」
シンジ「な、何言ってるんだよ」
ゲンドウ「ーーレイを助け、ニアサードインパクトさえ起こらず日常を守りきる」
冬月「ありふれたご都合主義。エヴァでやる必要があるかね? それが貴様のいう人気がでた要素なのか?」
シンジ「そ、それは……」
冬月「よく思い出してみるんだな。自分に都合の良いことだけ並べていないで」
シンジ「だ、だけど……!!」
ゲンドウ「期待はずれで酷くなっているのならばどこまで酷いか見てみたいという意識は存在する」
冬月「俗に言う怖いもの見たさというやつだな」
ゲンドウ「“腐ってもエヴァ”だ。人気の火付け役がパチンコであれブランドとして確立している以上は同じ」
シンジ「そ、そんなっ」
冬月「そもそも、コケるの定義はなんだ? 興行収入の前作割れかね? ーーであるならば、コケはせんよ。なにしろ次作で完結なのだからな。劇場に足を運ぶ人は多いだろう」
シンジ「父さん達はそれでいいのっ!? 90年代後期を代表する社会現象になったアニメがボロクソに言われて!!」
ミサト「……あたし達だって、一番良いのは、観客が見たいものと庵野監督が作りたいものが一致するコトよ」
シンジ「映画はエンターテインメントじゃないのっ!? 製作者が擦り寄らなくてどうするんだよっ!? ただの[田島「チ○コ破裂するっ!」]じゃないかッ!!」
ミサト「それでも……! ーー……それでも、庵野監督にしか作れないセカイがある。そこに一縷の望みを託すしかないの」
アスカ「まぁ、センスが時代遅れっていうのはあるわよねぇ~。意味があったか知らないけど、あたしだって『だっちゅーの』なんて映画で言わされちゃったし」
シンジ「父さんたちみたいな老害が映画館にきたって売上に繋がらないんだ……!」
ミサト「やめなさい、シンジくん。彼らだって大事なお客様なんだから」
シンジ「ミサトさんだってホントは気がついているんでしょう!? 当時年下だったファン達の全員がミサトさんの年齢を追い越してるって!!」
リツコ「売り上げはともかくとして、次の世代へのバトンを繋げなければ、絶滅。種の連鎖と同じね」
ミサト「リ、リツコまで」
リツコ「見た者の反応に対して不安がないわけじゃない。……だけど、出来ることがあるわけでもない。違う?」
アスカ「とどのつまり、見届けるしかないって話よ。結果がどうであれね」
シンジ「僕は……僕は、Qの展開から、みんなが期待するものは産まれないと思う」
ゲンドウ「お前が決めることじゃない」
レイ「……それに、まだ私が生きていないと決まっているわけでもない」
シンジ「綾波……? 黒ナミじゃない綾波が?」
レイ「可能性の話。そういう展開がなくはないとも言い切れないもの」
シンジ「……どうせ、ループエンドじゃないの」
ミサト「まぁまぁっ! どーんとかまえて待ちましょ! ね? 」
トウジ「せやせやっ! ワシらまで生きとるっちゅーんはさすがに無さそうやけどな!」
ケンスケ「トホホ……」
レイ「わからないわ。鈴原くん達が生きている可能性だってありえる」
トウジ「ホンマかぁっ!? まだ出番あるんかいなっ!?」
アスカ「泣いても笑っても次が最後なんだから。楽しんだもん勝ちよ」
シンジ「……」
ミサト「シンジくん。みんなでしめようとしてるんだから、空気読んで。ほら」
シンジ「やっぱり、僕はこの予告編でワクワクなんてできないよっ!!」バンッ
~完~
シン・エヴァンゲリオン劇場版
2020年に公開決定ッッッ!!
https://youtu.be/-xezMJ2s50E
読んでくれた人ありがとう
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