【ミリマス】「プロデュース適正検査シミュレーション?」 (53)

===

一体全体そりゃなんだい、と訊き返すより早く律子の説明はこう続いた。

「つまりですね。プロデューサー殿によって私たちがプロデュースされてきた経験を、
この度まるっと全てデータ化して、一本のゲーム仕立てにしちゃったソフト。
それがこのプロデュース適正検査シミュレーション、名付けて"アイドルマスター"っていうワケです」

「アイドルマスター? ……なーんかどっかで聞いたような」

「そりゃ、まぁ、なんちゃらマスターなんて名前はその辺ごろごろしてますから。で、ここからが本題なんですけど」

そうして律子は、次の発言の間を計るかのように眼鏡の位置をクイッとただし。

「ソフトの完成度をより高める為に、プロデューサーにはこのアイドルマスター……アイマスを実際に体験してもらえないかな、と」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1539623659


お願いするようにこっちを見て来るワケだけども――正直ちょっと困ってしまう。

さて、読者諸氏はご存知のことかもしれないが、
現在我が765プロダクションには50人を超えるアイドルたちが所属してる。

対して、大勢いる彼女らをプロデュースしているプロデューサーの数はといえば……二人。

そう、たったの二人ぽっちなのだ。

それはつまり、この俺高木P太郎と、目の前に立つ秋月律子のただ二人。

おまけに律子はプロデューサー兼アイドル兼事務手伝い兼
その他諸々取り締まり役も兼ねてお仕事しているマルチファイター。

ハッキリ言って二人ともかなり多忙の身だ。

なもんで、この、突然紹介されたなんちゃらかんちゃらシュミレーターなんかに割けるような時間は正直なくて。


「……あなたが忙しいのは知ってるんですけど、こんな突飛なお願い、頼める人も他にはいませんから」

無いのだが、伏し目がちで不安げに腕を組んだ律子。

その「断られるのは、確率的に分かってました」的雰囲気を身にまとう
彼女のお願いを無下に断るなんて俺にはできない!

だからそう、律子のデスクに置かれたパソコン画面を覗き込んで大丈夫だって笑って見せる。


「分かった。それでどうすればいい?」

「プロデューサー! ……いいんですか?」

「ああ。確かに俺は忙しいけど、律子がそんな俺のトコに、
わざわざつまらない話を持って来たりしないってことは、これまでの付き合いで知ってるつもりだからな」

すると彼女は、すぐさま驚き顔を笑顔に変えて。

「え、ええ! 実はそうなんです! そもそもこのソフトは来たる新人プロデューサー育成用に、
プロデュース活動において発生しうるあらゆるアクシデントを体験できるようになってまして。
ゲーム内でのプロデュース対象になっているのはウチのアイドル全員分――」

「全員っ!? そりゃまた数が多いな……」

「はい。だからこそテストプレイによるデータ収集が、品質向上には欠かせなくて……。
だけどこのソフトが完成した暁には、我らのプロデューサー殿とまではいかなくても、
それなりにイロハを覚えた新人が短期間で育成できるようになるっていう寸法なんです!」


説明が終わると、律子はパソコンと繋がっている仰々しい機械を俺に見せるため持ち上げた。

それは頭にかぶるヘルメットみたいな形をしてて、
幾つものケーブルがあちこちからピョンピョンしているような代物だった。

……こういうの何て言ったっけ? サイバーパンクとかいうのかな。

「じゃ、このデバイスを頭につけてください」

「えっ!? ……俺にはゲームをさせるんだろう? コントローラーとか、そういうのは?」

疑問に思って尋ねてみるが、律子はやだなぁなんて軽く笑い。

「最新のテクノロジーは凄いんですよ? VRとか、一時期流行ったじゃありませんか」

その辺にあった椅子に俺を座らせたなら、問答無用で"ソイツ"を頭に被せたんだ!

……むぎゅ、真っ暗に包まれる視界。スピーカーを通したような律子の声が耳に届く。


「それじゃあリラックスしてください? ……今回、プロデューサーに担当してもらうことになるアイドルは――」

そうして、キーンと耳鳴りのような甲高い機械の駆動音と、目頭を圧迫されるような感触を味わいながら、
俺はまるで眠りに誘われるようにその意識を拡散させていった。

そのうち、さながら催眠に掛けられるように目の前が徐々に白み始め――。

===

初めに息遣いを思い出した。

それから、身震いするような肌寒さと、背中で感じる酷い冷たさ。

まるでシャツの中に氷を流し込まれたみたいに、
それは急速に意識を覚醒させて、そのまま飛び起きる原動力にもなったワケだ。

上体を起こそうとしてその場についた手がどっちも冷やっこい。
瞼を開けば鋭い風が眼球を刺した。

目の前に広がる白い世界――そこへ、
まるで真っ黒な点を打ったように、飛び込んできたのは人の姿だった。

ほんの少しだけ眉をしかめたなら、次の瞬間、
俺はバネが跳ねたみたいに思い切り地面から立ち上がって。


「紬っ!!?」

出した声が喉ごと凍りつくみたいだった。ザクザクと足元で雪が鳴った。
一体何センチ積もってやがるか知れないけれど、体重をかける度に俺の足はズッと下に沈んでいった。

そうして、前に進むために、俺は馬鹿みたいに両腕を前後左右に振って。

一歩、進んじゃあふんぬって勢いづけてさらに一歩。

「紬! おいっ、紬!? 紬ぃっ!!」

呼びかけはけれど、届いているか分からなかった。
二人の距離は少しづつ狭まっていった。

雪は続々と降り続けているばかり。

真っ白な絨毯の上で微動だにせず、顔見知りの少女はその体を徐々に隠していった。

待てよ、そんな、見えなくなっちゃ……冗談じゃないぜ!


「はぁ……ふぅ……なんで、こんなっ!!」

悪態すら瞬時に氷漬けになった。吐き出す吐息で視界が白む。

ようやくの思いで彼女の傍まで辿り着くと、その体の上に雪の毛布。
元々色白な少女の肌が今や普段の何倍もの白さになっていて。

「畜生! おい、生きてるよなぁ……!」

積雪の上に膝立ちで屈み込む。彼女の体を抱き起す。

辺りの雪にも負けない純白の、豊かな長髪がさらさらと俺の腕からこぼれ落ちた。

そうして、悪いと心で謝りながら、俺は彼女の頬を手のひらで優しく二、三度叩き。

「おい、おい……目を開けろよ! いくらゲームの中って言ったってさ……っ!」


――そう。そもそもこの空間と危機的状況は、律子の作った仮想現実が生み出した偽物だって分かってはいた。

でも、それでも、目の前にいる少女は俺が担当しているアイドルで、
日常的に顔を突き合わす知ってる人間で、作り物だと頭の隅で分かっていても、この全身で感じる寒さ痛さ、
それから腕に伝わるリアルな重みを知ったらならば、どうにも幻だなんて思えなくて。


「なにがあらゆるアクシデントを体験だよ! 律子め、トラウマになったらどうする気だ……」

だからこそ、次々叩く軽口とは裏腹に俺は内心酷く焦っていた。
現実じゃない。それは分かる。でも、それが感情の割りきりとイコールにはならない。

なぜならば、俺がこの局地的仮想世界の中で彼女を助けられないなら、
つまりそれは、現実世界で同じような状況に陥った場合でも、俺は彼女を助けられないってことの証明になってしまうからだ!

とりあえずここまで。そんな長くならずにサクッと終われる予定です。

===

随分陳腐な表現だけど、本当に時間が凍ってしまったみたいだった。

俺の腕の中で目を覚まさない紬は、まるで童話のお姫様のようで。

その長いまつげに乗った雪を払う。服の上に積もった雪を払う。

何度も彼女の名前を呼んで、僅かに隙間の空いた唇から、
規則的に聞こえる呼吸の音が彼女の返事のすべてだった。

――こんな時に人はどうするべきだろうか?


まず、真っ先に思い出したのは「体を冷やしちゃまずい」っていう俺の体験談。

辺りを囲んでる森の木々のお陰か、今のところは強い風を感じるなんてことはないが、
それでも雪は降っているし、何より積雪の上に放り出されていたせいで俺たちの服は湿っていた。

流石に薄着一枚で吹雪の中――なんてスタートじゃないのは幸いだろう。

だけどそれは、裏を返せばここが"生き残れるように"用意された舞台だって話にもなる。


おあつらえ向きに防寒具なんて着込んでいても、寒さや疲れの感じ方、五感は実にリアルだった。

帽子の下で隠れてるハズの耳はじくじくと、手袋越しなのに指はかじかんでいるのか痛痒い。

体温がガンガン下がっているのが分かる。
このまま何もできないでいれば、そのうちあっという間に動けなくなって……。

「お陀仏だなんてゴメンだぞ、くそっ!」

俺は紬を抱えて立ち上がった。
二人分の体重で雪に思い切り跡がついた。

それでも何とか足を引っ張り上げ、彼女を引きずるようにしてゆっくりゆっくり歩を進める――

流石にこの足場の上じゃ、背負って行くのは厳しい話。
最悪二人して一緒に倒れかねない

――目指していたのは一番近い樹の根元だ。

そこはいくつも伸びる枝のお陰か、他よりも少しは地面まで降りて来る雪の量が少なく見えたからね。


実際、近づくにつれて足が踏み抜く雪の厚みが減っていった。

自分よりも遥かに背の高い樹の根元に紬の体を横たえると、
俺は一仕事終えた安堵感から大きな大きなため息を吐いた。

それが、すぐさま白い煙になってのぼっていく。
汗がまたたくうちに乾いてゆく。

ふと、この吐息が白くならなくなった時は、
俺の体が完全に冷えた証になるな、なんてことを考えて小さく口端を上げた。

――その時だった。

俺以外の誰かが咳き込むのが聞こえ、視線を下げれば二人の視線が重なりあって。

「――ちびたい」

寝言もどきが空気へ溶けていった。次いで白銀の君が体を起こす。
節々が冷え切ってるんだろうか? 紬は動く度にその顔をぎゅっとしかめながら。

「……プロ、デューサー?」

辺りを見回しそう言った。

そうして、目の前に存在している紬は姿だけじゃなく声や仕草まで本物そっくりだった。

完璧なまでに再現された白石紬――彼女は頭痛を堪えるように片手で額を押さえると。


「だやい……なんね、こん山ん中は……」

「良かった! 気がついたんだな紬。目を覚まさないから心配したんだぞ――」

「……んっ、んんぅ……!!」

意識を取り戻したのが嬉しくって、急に大声で話しかけたからだろうか?
紬はますます眉間の皺の数を増やすと、そのまま俺の言葉を遮るように手を掲げた。

「けほっ、けほ……ここは一体?」

そうして、また軽く咳き込むと浮かんだ疑問を口にする。
答えようとした俺は口を開けたまま固まった。

……そういや、俺もこの場所が一体全体ドコなのか、
そもそもどうしてこんな場所に二人でいるかをゼンゼン分かっちゃいないんだ。

「あ、うん。……ドコだろうな?」

返事の代わりに刺すような視線。
溜息と共に小さく下がった両肩が落胆を雄弁に語っていた。


「頼れん人」

その肩を抱きしめるようにして紬が呟く。表情は渋い。この場所は寒い。
それでも二人を取り巻く状況は好転したと思いたいさ。

「君を起こすので頭が一杯だったんだよ」俺は彼女が立ち上がるのを手を差し伸べることで手伝うと。

「あのまま雪の上で寝てちゃ、取り返しがつかなくなったろうし」

「私が、この、雪の上で?」

「そうでもなきゃここまで引きずって来たりしない」

言って、俺が視線を移せば、紬も雪の上に残った移動の痕跡を見つけたみたいだった。

屋根代わりも何もない場所から続く、轍のようなソレはもう半分ぐらい消えかかっていて。

……紬が驚いたように息をのみ、バツが悪そうに小さく呻く。

「あ、ありがとうございます……。その、ここまで運んでくださって」

そうして、最初にソレが聞きたかったな、なんて嫌味なことは口にしない。
それがスマートな人付き合いってもんだ。

「いいさ。持ちつ持たれつだよ」

===

とはいえ、そうのん気に構えてもいられない。
俺はこうしている間にも体へ積もり始めていた雪を払い、改めて辺りに広がる景色を確認した。

目に映る範囲は全てが銀世界で、俺たちを囲むようにして並ぶ背の高い木々がどこまで続くかは見通せず、
それから近くには壁のようにそびえる角度も急な荒い山肌。

見るからに険しいコイツをよじ登るのはちょっと無理そうだな……。

「道らしい道も見当たらないし、どっちが上で下なんだか」

頭を掻いて思わずぼやく。

以前、俺は知人から「山で迷ったら上を目指す」なんて話を教えて貰ったことがある。

下へ向かうルートは無数に広がっていくけれど、登り道なら頂上目指してそのうち一つに収束する。
だから迷ったら上を目指せ……とかなんとか、そんな理由も一緒にね。でも、このままだと実行は少し厳しそうだ。

加えて、俺には確認しなくちゃいけないことがもう一つ。

「あの、プロデューサー」

紬が俺の隣に並ぶ。

彼女は不安げな眼差しを雪景色へと走らせて、それから緊張を隠すように。


「あなたには帰り道が分かるのですか? ……そもそも私たちはどうしてこんな場所へ」

「本当にな。俺たちなんで山に来たんだっけ」

「ですから、私もそれを訊きたいのです」

「うーん、とは言ってもなぁ。……悪い、混乱してるのかちょっとその辺を思い出せなくて」

俺はわざと言葉を濁して謝るように首を振った。紬がますます難しい顔になる。
彼女は両腕を組んで溜息をつくと、その責めるような視線を俺に向けて。

「……私たちが命の危険を冒してまで、わざわざ行楽に訪れたワケではないことぐらいは、
この状況からすぐにも分かりそうなモノだと思いますが」

まるで出来の悪い助手をなじる名探偵のようだったね。
けれども、そのお陰で確認しなくちゃいけないもう一つ――つまり、俺が"この世界"でやるべきことがハッキリした。

「その通り。こんなトコ遊びで来るような場所じゃないし、やっぱりロケかなにかだよな」

俺の確かめるような独り言を受け、紬が怪訝そうに目を細める。


「ロケ? それで冬の山に……」

「ああ、スキー体験みたいなことでもしてたのかも。
俺たちは仕事でここまでやって来て、原因は分からないけど同行者たちとははぐれちゃった。

そして、こんな状況のプロデューサーに課せられるのは、
君を無事に安全な場所まで連れて行くこと。そういう設定ってワケだ」

「……はぁ、どうやらそのようで」

そうして、彼女は呆れたように嘆息した。
口調には若干の苛立ちも混じっていた。

でも、これは大切な確認事項なのだ。

なぜなら目の前の雪景色と、それから会話してる紬はシミュレーションが用意した
"作りモノ"で、その事実を知っているのはプレイヤーである俺一人だけ。


――そうとも、これはゲームなんだ。

だったらプレイを終わらせる為のクリア条件が用意されてると考えること自体はおかしくない。

事前の律子の口ぶりにだってあったように、今こうして着ている用意の良い防寒具にしても、
この世界が突発的なアクシデントに対する対応力を計るような代物であるのも間違いない。

まぁ、それで俺の彼女に対する接し方が変わるなんてことはないのだけれど。

現についさっきだって、目覚めない紬に気が気じゃなく焦っていたワケなのだし。
今も二人で安全に下山する為の方法をアレコレ考えてる。……ホント、ここはリアルに良く出来た世界だよ。


「プロデューサー。ところで荷物はどうしました?」

すると突然、紬から尋ねられた。「荷物だって?」俺が間抜けに訊き返すと、
彼女は探し物をするみたいに辺りをキョロキョロ見回して。

「少々変わったところのあるあなたならともかく、私がこんな山の中に手ぶらで来るとは思えません。お仕事だったらなおさらです。
……見る限りスキー板のような物もありませんし、そうすると私たちは、ここまでの道のりを歩いて登って来たハズです」

どうですか? そう思いませんか? 同意を求めるように胸を張った。

……なるほど、彼女の言うことはもっともだ。

スキーの途中で迷ってしまったなら、その装備は手元に残ったままだろうし。
それが近くに見つからないとなると別のことを目的としていた可能性は高い。

「それにもし、紬の推察が正しいなら第二の仮説も立てられるな」

「第二の仮説?」彼女が怪訝そうに首を傾げる。

「ああ。君の言う通り俺たちはトレッキングが目的で登って来たか、そもそも軽装でもいいぐらいにココが人里近い場所か」

「どうしてそう言い切れるのです?」

「そりゃあ、パズルやなぞなぞにはちゃんと解き方のセオリーってモノがあるし」

「は?」

「いやいやっ、今のは何でもない!」


俺は思わず口走りそうになった言葉を慌てて飲み込んだ。

――危ない危ない。ここでシミュレーターの世界だとか何だとか、
余計なことを言って真面目な彼女の機嫌を損ねるのはきっと悪手。

例え再現された相手だとしても無駄な墓穴は掘りたくないものなぁ。


だから、まるで疑わしい物を見るような紬の視線を自分から逸らすために、
俺は大袈裟に両腕を広げると周りを見渡しこう続けた。

「見てごらんよ、こんなに白一色だから随分な山奥にも感じるけど……。
案外、帰り道は近くにあるかもしれないよってね。雪は道を隠して景色を変えちゃうから」

すると、俺の後から辺りを見回した紬は怒ったように目を細め。

「つまりあなたはこう言いたいのですか? 私が隠された道にも気がつけない程観察力の無い人間であると――あっ!」

……いや、そういうつもりで言ったんじゃないぞ?

ところが、彼女はこっちに弁明の機会も与えないでそのままある一点を指さした。
導かれるように迷いなく示された場所を見れば、そこには何かがポツンと雪に埋もれかけていて。

「見まっし、前言を撤回なさるなら今のうちです」

ふふん、と御立派なドヤ顔だった。

そこはどうも俺が目を覚ました時に居た場所のようで、
大きなリュックが白くなりながら地面に転がっていたのである。

===

「これでどうにか一息つけそうだ」

設営で冷え切った両手を擦り合わす。
白い息を吐き出しながら俺は携帯コンロに手を伸ばした。

スイッチを入れる、ガスが燃える時特有の臭いが小さなスペースの中に漂う。

紬が物珍し気にしげしげと俺の作業を眺めている。

雪の中から回収したリュックはまるで宝箱みたいだった。

開ければ中から出るわ出るわ、水に食料、着替えに雑貨等々、
およそ登山に必要な最低限の品物がしっかりきっちり詰まっていて。


「意外です。プロデューサーがこんな特技をお持ちだったことに」

お湯が出来ると、俺はそれを使った淹れたてのココアを彼女に手渡した。

カップに立ち上る湯気を紬が優しく吹き飛ばす。

……だけどそれでもまだ熱すぎるようで、一旦は近付けたココアを口元からそっと遠ざけると。

「この、テントのような物を建てる手付きも随分慣れていたようですし」

「ツェルトだな。リュックに入ってて助かったよ」

「はい、そのチェルト――」

「ツェルト」

「ちぇ……」

「つぇ」

「……ツー……エルトを。……もうっ! なぜそのようにニヤニヤ見るのですか?」


紬が「不躾な人」と唇を尖らせる。からかい過ぎて怒らせてしまった。
でもそれは、紬の抱えていた不安が軽くなった証拠と思えて悪い気もしない。

結局、彼女はぐぬぬと悔し気にその眉をしかめたら。

「……それで、プロデューサーはこうした知識をどうやって?」

「いやぁ、実を言えばうろ覚えも良いトコなんだ。
実際にお世話になるのも初めてだし……。劇場に戻れたら麗花にお礼を言わないとな」

「北上さんに?」

「彼女の趣味が登山だろう? 何度か付き添いしてもらってあっちこっちね」

お陰様でこうした道具の扱い方も一通り心得てるつもりがある。

俺たちは出来栄えが不格好に見えても、周りに生えていた木を利用してどうにか張ることのできたツェルト
――雨風を凌げる簡単な作りの"幕"だな、つまり――の中で向かい合うようにして座っていた。

さらにさらに……そうだな。二人のココアが飲み頃になるまでの時間を使って、もう少し説明を続けようか。


そもそもこのツェルトというのは小型の軽量テントであり、
読者諸氏がテントと聞いて想像する物とは傘と折り畳み傘ぐらいの違いしか存在しない。

普段使いの畳めない傘を一般的なテントとすると、ツェルトは気軽に持ち運べる折り畳み傘といったところ。
もちろん、その分サイズや頑丈さにおいて両者には差が生まれてしまうワケだけれど、

一人二人の少人数ならしっかり包める広さを持ち、
何より冷たい外気を遮断することが出来るのは涙が出るほどありがたいことなのである。

何もしていなくても体力を奪っていく"寒さ"は登山における大きな敵だ。

その対策として登山者は防寒具を準備するが、
それに加えて風が直接体に当たらないようにする"壁"を手軽に展開できる利点は大きい。

――とはいえ、以前、明かりが無くちゃ一歩先すら見えないような
夜の山でその大切さが散々身に染みたって話はまた別の機会に。

紬がゆっくりとカップに口をつけている。どうやら俺たちのココアも冷めたようだ。


「――それで紬、これからのことについてだけど」

今は乗り越えた危険よりも目の前に迫っている危機をどうするかの方が重要で。

俺は想い出の苦さをココアの甘さで中和すると、
テーブル代わりに敷いている新聞紙の上へ手に入れたアレコレを並べだした。

「これが俺たちの持ってる荷物全部だな。行動食と水に乾いた着替え、雨具にライトとビデオカメラ、
筆記具に食器とちょっとした工具、薬類を含めたタオルなんかの各種雑貨」

加えてポケットからスマホも取り出すと紬の前で振って見せる。
ただし、こいつは残念なことに――。

「電源が入らないのですね」

紬の言葉に肯いた。「そっ、壊れたか単なる電池切れか……。充電手段が無いから分からないな」

すると、彼女も自分のスマホを取り出してくれたのだが。

「……これはちょっと、何て言うか」

「はい。今度こそ交換することになりそうです」

差し出されたスマホの画面はバッキバキ。
どこかで酷くぶつけたのか、使い物にならないのは一目見ただけで明らかだった。

視線を落とす彼女の顔は実に暗く、この出来事にショックを受けているのが分かる。
……そりゃそうだ。スマホなんて高価な物が――。


「はぁ、ここでも……。うちが一人でお店まで……」

壊れちゃってって、どうも落ち込むポイントがズレてるな。

「なんだ? 紬が気にしてるのはそっちなのか」

「なっ!? きゅ、急に何を……! 人の独り言を盗み聞きなんてしないでください!」

「……でも、この狭さでそれは理不尽だろう」

しかしまぁ、そんな話は今の状況とあまりに関係ないことだ。
それでも俺は、山から下りたら買い替えに付き添うことを紬に提案してあげた。

「……や、約束ですよ?」と、意外にも素直に了承した彼女が念を押す。

「うん、絶対に覚えておくよ。……ああでも、紬の方は携帯の心配を今は忘れてくれ」

応え、俺は広げた荷物の中からある物を探して取り上げた。
紬の視線が"ソレ"を握った右手に移動する。

ちょっとごつごつした見た目を撫でり、記憶を頼りに電源を入れると液晶画面に光が灯り――。

紬がひょっとすると、なんて風な顔をして訊いて来る。


「プロデューサー。それも携帯電話なのでしょうか?」

「残念、これはGPSだ」

「じーぴーえす……」

「ナビだよ。これで俺たちの今いる居場所と帰り道が分かる」

「ほっ、本当なのですか!? それは!」

喜びと安堵の気持ちで弾んだ声。

ようやく柔らかな表情を見せてくれた紬にこっちまでつい微笑んでしまう。
そうとも! 女の子はやっぱり笑顔でいなくっちゃね。

……だけど、直後に返した俺の言葉で彼女の笑顔は固まった。

「ああ! 他にも色々な疑問が解決したし、明日には山を下りられるさ」

===
とりあえずここまで。これ以外の小物を書いててちょっと更新遅れました。
後、適正ではなく適性ですね。誤字です。
修正依頼は後程、イベントも始まったので次回更新で終わらせたい所存


「……どういうことなのです? それは」と紬の眉間に深いシワ。

まぁ、怒りたくなる彼女の気持ちは分かるつもりだ。

雪山で遭難しているなんていう一刻も早く安心したい状況下で、
けれども、ナビを手にした相手が「明日には」なんて悠長なことを言ったんじゃ。

「ナビとは地図のことですよね。道が分かるというならこんな山は――」

「サクッと下りたいところだけど、一先ずコイツを見て欲しいな」

彼女に差し出すGPS。

紬はそれを落っことしたりしないよう両手で優しく受け取ると、
暫くの間画面をジッと見つめ続け。

「……プロデューサー。私はいつまでこうしていれば」なんて真剣な顔で言うのである。

――これには思わず笑ってしまった。

途端に彼女が不機嫌さを隠そうともしなくなる。

「あっ、あなたがコレを見て欲しいと!」とかなんとか慌てて言い訳してるけど、取り乱してる彼女はおかしくって。


「いやいやいや、その通りだよ。……俺の説明が足りてなかった」

そう言ってツェルトの中を移動する。

紬の傍までやってくると、俺は睨みつけられながら機械を受け取り、
そこに表示されている情報の見方を教えだした。

……ついでにGPSについてもツェルトの時以上に簡単な説明をしておこうか。

「いいかい紬? カーナビぐらいは知ってるよな」

「当然です。馬鹿にしないでください」

「ならこいつだってそれと同じだ。地図がある、現在地が出る、目的地までのルートを画面に表示してくれる」

「そ、それぐらいのことは言われずとも!」

「で、だ。俺たちが今いる場所がこの矢印。……どうだい? すぐそばにあるココが街だ」

「えっ……こんな、すぐ近くに……」

説明を受けた紬の反応は「そんなまさか!」とでも言いたげなものだった。

実際、地図を見るまで俺だって信じられなかったもの。


「とはいえ、登録されてる最寄りの登山ルートまでは、
順調にいっても半日はかかる距離がある。それで紬、ここも見てくれ」

「……その時計表示がどうかしたのですか?」

「分からないかな。後一時間もすればこの辺一帯真っ暗だ」

紬が小さく頷いた。

「夜の山道は危険であると言いたいのですね」

「こんなところで野宿は嫌かい?」

「……例え嫌だと返事をしたところで」

その顔には不安が残っていた。

けれど、諦めたように首を振る彼女を慰められる都合の良い言葉なんて今は。


「それじゃあ、俺はちょっと外を見て回ってくるよ」

「外に、出る……ど、ドコへ行こうと言うのですかっ!?」

おもむろに腰を上げて立ち上がると、紬が驚いたように顔を上げた。

……置いて行かれると思ったりしたんだろうか?
俺は彼女を安心させるために精一杯の明るい笑顔を浮かべ。

「夜を越さなきゃいけないと決まったなら、もう少し断熱のことも考えなきゃ。
空模様だって気になるし、それに紬の着てるその服だって」

そうして、説明を求める彼女に荷物の中の着替えを渡す。

「どうも、荷物は俺と君の分が一緒みたいだからね。
……一人の間に濡れてるシャツを替えた方がいい。寒さは何より大敵だ」

===

すっかり陽も落ちてしまった。

案の定、明かりの無い山は"真っ暗"なんて表現が生ぬるい程にどこまでもどこまでも闇が深く。

何より俺たちから元気を奪ったのは、雪が止む代わりにその牙を本格的にチラつかせ始めた山の気温。

要は震えるほどに寒かったのだ。

例えツェルトの幕があったって、
冷気はお尻の下の地面からもじわじわ襲ってくるのである。

対策として新聞紙なんかを使ったクッションを作ってみたまでは良いものの、
それだけじゃあ満足な暖なんて取れやしない。……当然と言えば当然だな。

「紬、あまり離れるなよ」

だからこそ、俺たちは古典的な方法で体を温める羽目になるワケで。

何事も命あっての物種ということは隣の紬も心得ていた。

だからこそ大した反論も無くこちらの提案にも頷いてくれたと思うのだ。


「嫌でも離れられない状況だというのがあなたには分からないのですか」

不機嫌を隠すこともしないつっけんどん。
彼女は膝を抱えたまま、その肩を俺に預けるようにして座っていた。

密着する二人の体には毛布代わりのバスタオル。
正直防寒具としてはあまりに心許ないのだけど、これでも何も無いよりマシなのである。

そうして、そんな状況の中で紬が半目を閉じる。

「プロデューサー。夜が明けるまでは後どのぐらいの――」

「……聞かない方が良いと思うよ」

「でも」

「もしかして君、眠たいのかい?」

「……眠れるような居心地ではありません」

それは寒さのせいだよな、紬。
なんて訊くまでもない質問はすぐにも飲み込んだ。

眠気と戦ってるんだろう彼女の頭が微かに揺らぐ。
俺も欠伸を一つかみ殺すと彼女の温もりにうつらうつら。


「プロデューサー」

「ん、んん?」

「勝手に眠らないでください。……もしもそのまま目覚めなかったりした時には――」

「大丈夫、ちゃんと起きてるとも」

嘘、ちょっと危なかったな。

……だから紬、そんなじとーっとした眼で人を見つめるのは止めなさい。

「……これは、前々から疑問に思っていたことなのですけれど」

「なにかな」

「あなたは、どうしてどんな状況でも楽観的でいられるのですか?」

楽観的、そう言う彼女の瞳が震えている。

寄せられた肩から伝わる重みが静かに増していく。

でも、それには気づいていないフリのままで俺は。


「……それは根拠のない自信を持てるようになったからかもしれないな。以前はもっと、石橋を叩いて渡るようだったから」

紬が何かを言いかけた。だが、俺が顔を向けると開きかけていた唇は頑なに結ばれた。

「でも、ある時をきっかけにね。もっと自分を信じてみようと思ったんだ。……それこそ大した根拠も持たないまま」

「……今も、自分を信じているのですね」

「ああ、そうすれば余裕だって同時に持てるだろう? だから――さっきは危うく眠っちゃうところだったけどね」

彼女の頭が傾いた。今の話に同意してくれているのだろうか。
……もしかすると、単に呆れ果てて言葉が出ないのかもしれない。

風の当たるツェルトの幕を見つめたまま、紬が確認するように口を開く。

「……今の話を除いても、やはりどこかしら能天気な人です」

そうして、やっぱり呆れたように顔を緩め。


「ですが……だからこそあなたは、私たちのプロデューサーなのかもしれませんね」

どういうことさ、と訊き返させてはくれなかった。

彼女から見た俺は立派にプロデューサーが出来ているんだろうか。
それを認めてくれてるっていう意味なんだろうか。

ただ、一つだけハッキリと俺にも分かったのは、
こちらを向いた少女の瞳から震えが消えているってこと。

「紬も、自分で自分を信じてごらんよ」

だから、なのかもしれなかった。
そんな言葉がするりと口からこぼれ落ちた。

彼女の表情が僅かに強張って、次の俺の言葉を待っているように見える。
……そうとも、俺は彼女たちの為ならいつどんな時でも。

「そのうえで、君が信じ切れないっていう部分を……。プロデューサーの俺で補えたならいいんだけど」

「……私のことを、あなたが」

「ああ。そういう存在になれたなら、冥利に尽きるってもんだよな」


言いながら少し照れ臭くなって、俺は誤魔化すように頭を掻いた。
紬の口から小さな溜息。そうして、彼女は心を落ち着かせるように二つの瞼を閉じたなら。

「プロデューサーは、バカなのですか? その程度のことで早々に満足されてしまっては困ります」

強い口調でハッキリと言い切った。少女の目に、確かな決意。

「これからもアイドルとしての高みを目指すために……。
頼りがいのあるあなたの姿勢を、もっと私に見せてください」

口元はたおやかに微笑んでいた。
期待を込めて見つめられて、すぐには何も返せなかった。

ただ、その思いを裏切りたくない一心で

「ああ、何でも頼ってくれ!」

……彼女の決意に負けない程に力強く、俺は応えることができたろうか?
僅かばかりに停滞する時間、ごうごうと風の音だけが聞こえる静寂が過ぎる。


「なん、でも……」

そんな中で、少しばかり呆気に取られたような顔の紬がもごもご口ごもった。
そうして、彼女はハッとしたように頬を赤らめ目線を地面に落としたなら。

「でっ、では、その、プロデューサー」

消え入るように小さな声で、ポツリ、恥ずかしそうに答えたのだ。

「……うち、今すぐトイレに行きたい」

===

――厳しく長い夜が明けた。空はすこぶる快晴の限りだった。
だからこそだ、俺は頭の上のお天道様に胸を張って告白しようと思う。

――ここが現実(リアル)でなくて助かりましたっ!

両手を合わせて、拝む。近くでは紬がツェルトを畳んでいるところだった。
彼女の手付きは実に鮮やかな物であり、生来の不器用である俺なんかとは比べるまでもない。

「実家で慣れていましたから。褒められる程のことでもありません」

顔の赤い彼女からすっかりコンパクトになったツェルトを受け取ると、
それをリュックに入れて立ち上がった。

GPSで帰りの方向を確認する。

「行こう。登山道に合流してからもだいぶ歩くことになるけれども」

先頭に立って歩きだす前に、彼女へ片手を差し伸べた。

「疲れたら遠慮なく俺を頼ってくれよ」

すると躊躇うこともなく握り返される手。
生真面目に背筋を伸ばして彼女が言う。

「はい。――お願い致します」

そうして二人、歩き出した。一歩一歩、足元を固く確かめながら……。

===

「はーい、お疲れさまでした」と、耳馴染みのある女性の声が聞こえたななんて思ったら、
次の瞬間にはいつもの事務所の中で座っていた。

ゆっくりと取り外された被り物がデスクの上に並べられる。
何十時間も眠り続けていたかのような酷い疲労感が肩にかかる。

……そうか、戻って来たんだな、俺は。

「それじゃあ、プロデューサー殿にも早速今の体験の感想を……っと、聞いていきたいところなんですけど」

「……なんだい? 時間をくれるのかな」

「ええ、あなたも顔が寝ぼけてますよ。ちょっとした事後処理なんかもありますから、外の空気でも吸ってから戻ってきてください」


言って、律子はパソコンと繋がった二つ目のデバイスを取り外した。
俺は彼女に言われるがまま立ち上がった。

劇場の事務室から廊下、廊下からはすぐに中庭へと、
まるで何かに誘われるように外へ向かって歩いて行く。

……仕事から家に帰って真っ先に風呂に入るみたく、とにかく太陽の光を浴びたかった。

そうして、暖かな陽だまりの下に設置されている
ベンチのところまでやって来ると、俺は思わぬ出会いを果たしたのだ。

「……そのように人のことをじろじろと、私の顔に、何か?」

両手で包むように握っていたスマホから顔を上げて、
少女、白石紬が現れた俺を怪訝そうに軽く睨みつけた。

おいおい随分と厳しいじゃないか、なんて言葉を返しそうになって思いとどまる。


――そう、危ない所だった。ここは律子の作った世界じゃあない。
あの雪山で過ごした彼女はここにいない。

俺は「いや、何でも無いんだ。……人がいるとは思って無かったから」なんて下手くそに質問を誤魔化したなら。


「隣、座っても構わないかな」

「中庭のベンチは劇場の物です。一々私に許可を求められても困ります」

少女は不機嫌に言って返した。俺は遠慮がちにベンチへ腰をかけた。
背もたれにもたれ、大きく体を伸ばしたなら、幾つかの関節が生き返ったようにパキパキと鳴った。

思わず大袈裟な溜息なんてものも漏れて、途端にしまったと小さく身を縮める。

……案の定、視線をやれば機嫌の悪そうな紬の横顔がソコにあった。

鬱陶しく思われたかもしれない、なんて、後悔はいつでも先に立たず。
フッと視線を落としたなら彼女のスマホが目に入って。


「ところでプロデューサー、約束は」

「え?」

「約束は、今度のお休みでどうでしょうか」

俺は自分の耳を疑った。思わず「約束って?」と訊き返したならば、
紬はたちまち目尻を吊り上げて、顔を真っ赤にしながらこう言うのだ。

「まさかあなたという人は、約束したのに……反故にして、私一人で行かせるおつもりなのですか?」

そうして見せられる彼女のスマホ。

俺の覚えてる記憶ほどじゃないが、それでも画面はバキバキだった。

紬がグッともたれるように身を乗り出す。
陽だまりの中にいるというのに、俺の背筋はまだ寒さに震えたままのようで。


「付き添いをしてくれるのですよね」

改めて確認という風に、紬が今度は笑顔で首を傾げる。

その目にはもはや信頼以上の何かが宿っていて、俺はこの先
お天道様から後ろ指を指されながら生きていくことになるんじゃないかと怖い想像だって浮かぶってものさ。

……そうして律子、君の作ったソフトってやつは実に――プロデュース適性検査シミュレーション?

全く、とんだコミュニケーションツールがあったもんだ!!

===
以上おしまい。書いてる途中で地獄のイベントが開催されたものの、概ね当初の予定通りの閉幕です。
本当は温泉に二人で入るとか、書きたかったけど上手に入れられませんでした。無念。

それとですね、作中の雪山対策や登山具等は説明を大幅に省略しているものですので
現実世界での参考にはしないでくださいね。まぁ、そんな人はいないと思いますが、一応。

では、最後までお読みいただきありがとうございました。

訂正、タイトル等

〇適性検査
×適正検査

あ、シュミレーターの方はネタです。

流石律子博士、良いものを作るな
乙です

>>1
秋月律子(19)Vi/Fa
http://i.imgur.com/anoP91T.jpg
http://i.imgur.com/TnoQSIZ.jpg

>>9
白石紬(17)Fa
http://i.imgur.com/yzp34pR.jpg
http://i.imgur.com/hTynsLF.jpg

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