北上麗花「もしも私が」【ミリマスSS】 (14)
北上麗花さんの元カレとのお話。
アイドルのプロデューサー以外との恋愛話が苦手な方はご注意ください。
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(劇場事務所)
麗花「おはようございます律子さん、今日もナイス眼鏡ですね、頑張りましょう!」
律子「おはようございます。なんですかそのナイス眼鏡って。」
麗花「律子さんと言えば眼鏡じゃないですか、とっても普通に似合ってますし。」
律子「はあ、どうも。アイドルですから普通だと困るんですけとね。」
麗花「そんな事ありませんよ、普通って良くも悪くもないんです。ステキじゃないですか?」
律子「まあ、一応褒め言葉として受け取りますね。」
茜「麗花ちゃんはその普通っての好きだよね。なんか理由でもあるの?」
麗花「うーん……まあね。」
茜「おおっ、麗花ちゃんが珍しくアンニュイだよ!もしや茜ちゃん、謎多き麗花ちゃんの秘密に迫っちゃった?」
律子「こら茜、変な事聞かないの。」
麗花「大丈夫ですよ、たいした事じゃありませんから。」
茜「麗花ちゃんもああ言ってるしいいじゃん。んでんで、どうして普通が好きなの?」
麗花「うんあのね、高校時代の元カレの話なんだけど…」
茜「おっとぉ、これは茜ちゃん地雷踏んじゃったかな〜・・・・元カレ!?麗花ちゃんに!?!?カレシってあれだよ、お付き合いだよ?夜中に電話したりデートとかしたりする男女交際のお相手の事だよ?」
麗花「うふふ、もちろんそうだよ。」
律子「ちょっとちょっと。とんでもない話なんじゃないですかそれ。」
麗花「大丈夫ですよ、付き合ってたと言っても昔の話ですし、ほんのちょびっとだけでしたから。」
律子「はあ。で、その元カレが?」
麗花「あれは私が16歳の時だったから、茜ちゃんより少し上ぐらいの頃ですね。で、その頃に…」
茜「ちょいちょい、茜ちゃんは今現在16だよ。どんぴしゃ同じ年齢!」
律子「いちいちツッコミ入れてたらキリないわよ。それで?」
麗花「ちょっと前に美也ちゃんエレナちゃんにも聞かれましたけど。私、その頃いつも山でタヌキさんとかと追っかけっこして遊んでたんです。」
茜「麗花ちゃんらしいね。」
麗花「えへへ。それから私、高い木の上に登るのも好きだったんだ。高い所から見てると、なんだか空も飛べるんじゃないかって気持ちになれてね、すっごく楽しいんだよ。」
茜(麗花ちゃん、空くらいなら飛べそうだもんなあ…)
律子(そういう事は思っても口にしないの。)
麗花「だけどね。高校生の頃、周りの子達にそういう事お話しをしても、誰もそうだねって言ってくれなかったの。もう高校生なんだし、普通はそんな事しないよって言われて。」
茜「おやおや。麗花ちゃんの魅力に気づけないなんて困った人達だったんだね〜。」
麗花「そうだったのかな?」
茜「そうだよ。それは学校の人達が悪いね、うんっ!」
律子「……」
麗花「……」
茜「お、なによ二人とも。なんで茜ちゃん、急に頭撫でられてるの?」
律子「何でもないわ。それで麗花さん、続きは?」
麗花「はい。それで、私ってほかの人達にちょっぴりヘンのかなって思ってたんです。そう考えたらなんだか、もやもやってしちゃいまして。」
麗花「山に行ったらそんな事気にならなくなるから、思い切り走ってお気に入りの木に登ろうとしたら、先に来てる人がいたんです。」
茜「ふむふむ。誰だったの?」
麗花「学校のクラスメイト。男の子でね、あんまり目立たないおとなしい人だったんだけど。その子が、一生懸命木に登ろうとしてたんだ。わざわざジャージに着替えてね。」
茜「ちょっと待った。麗花ちゃん、まさか学校の制服で木登りしてたんじゃないよね?」
麗花「そうだけど?大丈夫、コツさえ掴めば破いたりしなくなるんだよ。」
茜「やっぱり麗花ちゃんにはかなわないにゃ…」
律子「今はアイドルですし、止めておいて下さいね。それでその人が?」
麗花「私、ここで他の人に会った事なかったからちょっと驚いちゃって。何してるのって聞いたら『すごく楽しいって話してたから、気になって登ってみたくなったんだ』って言ってて。それで一緒に登って、別々の枝に座って。」
茜「おおきな木だったんだね。」
麗花「うん。その人、すごくはしゃいでね。来て良かった、教えてくれてありがとうって言って。普通そういうのは変だと思うんじゃないの?って聞いたら『違うよ、普通はこういうのを楽しいって思うんだよ』って言ってくれて。なんだかそれが、すっごく嬉しかったの。」
麗花「それからかな。気がついたら、その人は私がこんな事するのをどう思ってるんだろうとか、こういう場所も教えたら喜んでくれるのかなとか。その人の事で頭がいっぱいになって。」
麗花「一人で走ってても木に登っても、前ほど楽しくなくて。またここに来てくれないかなって、そればっかり考えちゃうようになったんだ。」
茜「おおう。それはつまり…」
麗花「うん。相談したら言われたよ、私は恋をしてるんだって。そこまで好きになったんならもう告白しなさい、その方がスッキリするよって。」
茜「へぇー。まあそういうのは女の子の一大イベントだもんね。皆大はしゃぎしたでしょ?」
麗花「ううん。『麗花もそういう年頃か、パパとしてはちょっと複雑だなあ』って。なんか泣きそうな笑いそうな、面白い顔してたよ。あの時のお父さんったら…うふふ。」
茜「お父さんに相談したの!?」
律子「まあ、家族仲良しでいいじゃない…。それから?」
麗花「はい。それで、言われたように告白しようとその人の家まで行って。そこで好きですって伝えて。」
茜「うっひゃ〜甘酸っぱい。青春してたんだね麗花ちゃん、プロちゃんとは大違い…」
律子「静かにしなさい茜、大事な所よ!それで、どうなったんです。」
茜「律子さん、そこまで迫ったら麗花ちゃんの邪魔じゃないかな?」
麗花「最初はびっくりされたけど。ちょっと黙ってから『俺みたいので本当にいいの?』って聞かれて。あなただからいいのって言ったら、じゃあよろしくって返事貰えて。本当に嬉しかったな。なんか、今までずーっとモヤモヤしてたのが、一気にどわーっと消えてって。ぱーっと明るくなったみたいな感じでね。」
茜「やるね〜。それからそれから?」
麗花「早速二人で木に登って。ああ、やっぱりとっても楽しいって思って。あと、タヌキさんを見つけて皆で追いかけっこしたり、山の上までピクニックしたり、映画観に行ったり。」
律子「最後だけなんか違いません?」
麗花「その人から提案されたんです。たまにはそういう所にも行こうって。あの時も楽しかったな。そんなふうに毎日楽しくて、身体がウキウキして。今日はどんな一日になるかなって、ワクワクしてました。」
茜「律子さん。茜ちゃん、なんか今すっごく苦いコーヒーが飲みたい気分なんだけど。」
律子「偶然ね、私もよ。」
麗花「…でも。私達のこと、学校の同級生にすぐ広まっちゃって。」
律子「高校生なら付き合うくらい珍しくもないでしょう、何か問題でも?」
麗花「クラスの人達が話してたんです。『北上と付き合うなんて無理ゲーだろ、どうせ顔目当てだろうけどキツすぎ』『何日もつか賭けない?』って。」
茜「ちょっと何それ、酷すぎるじゃん。許せないよ!」
麗花「ありがとう。でも、もう昔の話だから。」
麗花「その人もね、それを聞いて茜ちゃんみたいにすっごく怒って。俺はそんなつもりで付き合ってるんじゃない、君と一緒にいて本当に楽しい、絶対別れないからって言ってくれたんだけど。」
麗花「なんだか申し訳なくなって。私がもし普通の女の子だったら、この人はこんなふうに色々言われたりしなくてもよかったのかなって思ったら、とっても辛くなってね。」
律子「……」
麗花「そんなふうに考えたら、だんだん一緒にいても前みたいに楽しいって思えなくなって。それで結局、別れよって言っちゃった。その人からは反対されたけど。」
茜「麗花ちゃん…」
麗花「いい人だったよ?ずっとごめんって謝ってくれた。もし俺がもっと立派で君に相応しいやつだったなら、こんな思いさせなくて済んだのにって。」
麗花「でも、私はそんな特別な人じゃなくて、ごく普通のあの人が好きだったんだけどな…。」
律子「……難しく考えすぎたんじゃありませんか。高校生でしょう、他人の目なんて気にせず堂々としてればよかったのに。」
茜「律子さんの言う通りだよ!そんなの麗花ちゃんらしくないじゃない。」
律子「今更な話ではありますけどね。それに、そういう時こそご両親に相談するべきだったんじゃないですか?」
麗花「あ、そっか。他の人に相談するの、忘れてましたね。」
茜「そうだよ、お父さんなら何かアドバイスくれたかもしれないんだよ?」
麗花「そっかあ。と、すると……」
麗花「このお話はボツね。うーん、もうちょっと細かい所もきちんと考えて書かないと駄目かぁ。」
律子「………は?」
茜「お、お話しぃ?」
麗花「うん、大学の課題でね。自分を主人公にしたお話しを書かないといけないの。それで、ちょっと思いついたやつなんだけど…そんなに駄目だった?」
茜「麗花ちゃん、そこに直れい!!」
律子「はあ、バカバカしい。真面目に聞いて損したわ…。」
麗花「…うふふ。真っ赤になってタコさんみたいでしたね、茜ちゃんじゃなくてタコねちゃんみたい。」
律子「当たり前ですよ。次またこんな事したら私も怒りますからね。」
麗花「はーい、気をつけます。」
律子「ほんとにもう…おっといけない、忘れる所だった。麗花さん宛にファンレター来てましたよ、いつもの方からです。」
麗花「お、ありがとうございます!どれどれ。」
麗花「あ…ふふっ。」
律子「その人、本当に熱心ですよね。麗花さんが劇場出たりテレビに出るといつもファンレターくれて。なんて書いてあるんです?」
麗花「はい!いつも応援しています、これからも頑張って下さいって。」
律子「え?あの、それだけですか。もっとこう、ステージの感想みたいなの書いてあったりとかは。」
麗花「ありませんよ、ほら。この人のファンレターって、いつもこんなのばっかりなんです。」
律子「本当だ…もらう立場で言うものなんですけど、変わった人ですね。こんなに毎回ファンレター出すのなら、もっと何か書けばいいのに。」
麗花「うふふ。きっとこの人、とっても普通な人なんですよ。だから、書く事も普通になっちゃうんでしょうね?」
おしまい。お目汚し失礼致しました。
1周年イベントも無事に終わりましたね、参りました。これからも
「ミリオンライブ シアターデイズ」を
どうぞよろしくお願い致します。
麗花らしい過去だなとおもったら落ちまでらしかった…
乙です
>>2
北上麗花(20)Da/An
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野々原茜(16)Da/An
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秋月律子(19)Vi/Fa
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