伊達「あー、平塚先生に呼びだされちまったなぁ。きっとあの作文のことだろうな。興奮してきたな」
ガラガラ
伊達「失礼しまーす」
富澤「あぁ君きみ。カチコミ中わるいがこっちに来なさい」
伊達「してねーよ。ちゃんと制服着てんだろ。先生に呼ばれて職員室に来ただけだわ」
富澤「なんだなんだ、屁理屈こねて。反抗期か?」
伊達「わりと正論しゃべってただろうが。むしろお前のせいでグレそうだわ」
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富澤「実は、お前を呼びだしたのは私だ」
伊達「お前かよ」
富澤「平塚先生の変わりに課題を見ることになった、国語の臨時講師、富澤だ」
伊達「おいマジかよ。最初の興奮返せよ」
富澤「おい伊達、これはなんだ?」
ヒラヒラ
伊達「あーはいはい、俺の作文だろ」
富澤「これはハンカチだ」
伊達「あ、それハンカチなの!? てっきり課題の話かと思ったわ。なんでそんなのヒラヒラさせてんだよ。埠頭での別れか」
富澤「間違えた、こっちだ。おい伊達、ちょっと読んでみろ」
伊達「なんで読むんだよ、ったく。えー、青春とは嘘であり、悪である――」
富澤「それもハンカチだ!」
伊達「またかよ! 何枚持ってんだよ。ってか俺読んじゃったじゃねぇか。なに読ませたんだよ」
富澤「まさかおまえ、ハンカチで作文をごまかしたんじゃ――」
伊達「ごまかせねぇよ。平塚先生バカにしてんのか。チェック柄で出してもバレるわ」
富澤「あったあった。こっちだこっち」
ピラピラ
伊達「ひとの話聞けよ」
富澤「おい伊達、課題のテーマを言ってみろ」
伊達「あー、『高校生活を振り返って』だっけか。ははっ、俺なり振り返って書いたぜ。『リア充爆発しろ』ってな」
富澤「えっ、島忠爆発しろ?」
伊達「言ってねーよ、そんなこと。島忠に俺何されたんだよ。高校生活でそこまで関わりなかったわ。そうじゃねぇよ、リア充爆発しろだ」
富澤「あーリア充ね。はいはい」
伊達「本当に分かってんのかおまえ」
富澤「ところでお前、部活動からは足を洗っていたな」
伊達「なんで犯罪みたいに言うんだよ。部活はまっとうな活動だわ」
富澤「お前、部活には入ってなかったな」
伊達「あー入ってねぇよ、そんなくだらねえの」
富澤「なにぃ!? じゃあうちの学校にも入ってないのか!」
伊達「入ってるに決まってるだろうが! 馬鹿じゃねぇの!? なんで俺ここにいるんだよ。カチコミじゃねーぞ」
富澤「その腐った根性を叩き直してやる。こっちへきなさい」
伊達「いて、やめろ。俺は部活に入らねぇぞ」
~~
富澤「ついた。ここだ」
伊達「なんだよここ。空き教室か」
富澤「お前にはここで奉仕活動してもらう」
伊達「なんだよ奉仕活動って。あれか、流行りの『おかえりなさいませご主人様♪』ってか」
富澤「ははっ、ちょっと何言ってるかわからない」
伊達「なんで何言ってるかわからねぇんだよ」
富澤「いいか。ここには国際教養科の眉目秀麗、成績優秀な女子が所属している。お前はそいつと一緒に奉仕活動し、更生してもらう」
伊達「ああ、そういえばJ組にいたな、そんなの。雪ノ下雪乃だっけか」
富澤「じゃあ合図したらお前も入るように」
伊達「なんで一緒に入らねぇんだよ」
~~
伊達「あーでもあの雪ノ下さんと一緒になるのか。興奮してきたな」
どうぞー
伊達「失礼しまーす」ガラガラ
富澤「はじめまして、伊達くん」
伊達「さっきの先生じゃねぇか。なんで女装してんだよ。扉開けるまでのトキメキ返せ」
富澤「先生ではない。2年じぇじぇ組の富ノ下よ」
伊達「『じぇ』が一個多いな『じぇ』が。J組じゃないのかよ、そんなクラス聞いたことないわ」
富澤「国際教養科なんで」
伊達「国際教養科なのかよ。響き的に東北特化型だと思ったわ」
富澤「ついでに『のん』と呼んでもいいわよ」
伊達「完全にあまちゃんじゃねぇか。誰が呼ぶか。干されるわ」
富澤「で、何の用かしら、伊達くん」
伊達「お前が呼んだんだろうが」
富澤「そんな腐ったウオの目で見られても何も出ないわよ」
伊達「“さかな”の目な。さかなの目。ウオの目は足の裏にあるやつだから。俺そんなに足の裏で他人の顔とか見ないから」
富澤「あ、顔そっちなの?」
伊達「お前どこと喋ってたの!? どう考えても上から聞こえてただろうが。靴の中からこんなクリアに喋れるか。さかなの目だ。さかなの目」
富澤「さかなの目ね」
伊達「俺はそこまで腐ってないと信じてるけどな。妹からそう呼ばれてるだけだ」
富澤「妹……。それはいわゆる杯を交わした――」
伊達「そんな妹いねぇわ。血を分けた兄妹だわ」
富澤「生き血を分けた兄妹?」
伊達「物騒な言い方すんじゃねえよ。同じ母ちゃんの腹から産まれたんだよ」
富澤「食い破って!?」
伊達「寄生虫か、俺は! お前、保険体育で人の産まれ方教わってねぇのか。あれか、コウノトリが赤ちゃん運んでくるとでも思ってんのか」
富澤「ははっ、赤ちゃんは中出しで生まれるに決まってるじゃない」
伊達「言い方考えろ言い方。生々しすぎるわ。ってか、このくだりいつまで続けんだよ。もういいから、早く部活やってとっとと帰らせろよ」
富澤「では、ゲームをしましょう。それに勝てたら帰ってもいいということで」
伊達「おう、良いぜ。へへっ、俺はゲームが得意なんだよ」
富澤「では、まずこのリボルバーに弾を一発込めて――」
伊達「ロシアンルーレットじゃねぇか! なんでそんな物騒なゲーム選ぶんだよ」
富澤「当たったら帰れるということで」
伊達「当たってたまるか! どこに帰す気だ。もっと平和なゲームにしてくれよ」
富澤「では、ここが何部か当ててみなさい。それを当てたら帰ってもいいことにしましょう」
伊達「いいぜ。楽勝だな。良いのか、答えちゃって?」
富澤「どうぞ」
伊達「備品がほとんどない、部員もいない、お前は本を読んでいる、つまりここは文芸部だ!」
富澤「うーん、ちょっと何言ってるかわからない」
伊達「なんで何言ってるか分かんねぇんだよ」
富澤「では最大のヒント。今、私がこうしていることが活動内容よ」
伊達「こうしていることだって? 分かんねえ、降参だ」
富澤「コリアンダー?」
伊達「言ってねぇよ。なんだよコリアンダーって。勝手にカレーの中に入れてろ」
富澤「ちょっとその例え、シチューに変えてもらっても良いですか?」
伊達「知らねぇよ! スパイスのことならインド人に聞けよ、そこら辺にカレー屋あるだろ」
富澤「では、答えに入りましょう」
伊達「もういいから早くしてくれよ」
富澤「いい? 持つものが持たざる者に慈悲の心で与える。これをボランティアというの」
富澤「途上国にはODAを、モテない男子には女子との会話を」
富澤「そしてやられたらやり返す」
富澤「倍返しだ!」
伊達「あ、こいつ面倒くせぇわ」
富澤「人は私のことを半沢と呼ぶのよ」
伊達「あまちゃん設定どこいったんだよ。さっきまで「のん」とか言ってただろうが」
富澤「じゃ、ここまでの説明で分からないところあった人は挙手して」
伊達「なんで先生に戻ってんだよ。分からないことだらけだわ」
伊達「もういい。帰る帰る」
富澤「ちょっと待って、話だけでも」
伊達「いやいや、もういいから」
富澤「もういいから入部させろ?」
伊達「言ってねぇよ。なんだその都合のいい解釈は」
富澤「わかったわ。じゃあ一分だけ話ましょう」
伊達「だから入らねぇって」
富澤「あら、良いの? ここで逃げたら、あなたのその小太りは治らないわよ?」
伊達「大きなお世話だわ。お前もそう変わんねぇだろうが」
富澤「ここで逃げたら、あなたのその捻くれた心は治らないわよ」
伊達「勘違いしてるみたいだけどな、俺は一度も治せと頼んでねぇんだよ。だいたいな、逃げないでそこで踏みとどまるべきなんだよ。今の自分を肯定してやるんだ……ってな」
富澤「それが彼の最後の言葉であった」
伊達「殺すんじゃねぇよ殺すんじゃ」
富澤「ちゃんちゃん」
伊達「おい終わっちゃったよ。まだラブコメのラの字も始まってねぇじゃねぇか。もういいぜ」
終わり
サンドウィッチマンにスレタイを言わせたいだけの勢いで作りました。
出オチスレですいません。
HTML化だしてきます。
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