約12000字
容姿はデフォルトキャラ設定のラブコメです。
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エンパイアクラブ内 執務室 昼
ご主人様「今、なんて?」
メイド秘書「ですから、結婚です」
ご主人様「突然、何を?」
メイド秘書「エンパイアクラブの経営も軌道に乗りましたし、そろそろ身を固めてもよろしいかと?」
ご主人様「しかし、結婚しようにも相手の問題が」
メイド秘書「あら、専属メイドの子達なら、喜んで引き受けてくれると思いますよ」
ご主人様「専属メイド、エンパイアクラブ運営にも関わる七人か」
ご主人様「ツンデレ、クーデレ、純真、ヤンデレ、姉、ボクっ娘、ドSか」
メイド秘書「専属メイドにしたということは、少なからず好意は持っているのでしょう?」
ご主人様「そうだけど」
メイド秘書「今すぐ決めろとは言いません。まずはゆっくりとお考え下さい」
ご主人様「うーん?」
メイド秘書「それと各種手続きはお任せください」
ご主人様「ありがとう」
メイド秘書「いえいえ、結婚のこと、しっかり考えてくださいね」
エンパイアクラブ内 ヤンデレメイド私室 昼
メイド秘書『いえいえ、結婚のこと、しっかり考えてくださいね』
机の上のノートパソコンのスピーカーからは、先程の会話が余すところなく再生されていた。
わかりやすく説明すると盗聴である。
ヤンデレ「えぇ!?」
ヤンデレ「ご主人様がご結婚!?」
ヤンデレ「それも専属メイドの誰かと!?」
ヤンデレ「……でもご主人様ならば、きっとわたくしを選んでくれるはずです」
ヤンデレ「……ふふふ、ご主人様のプロポーズが楽しみです……」
ヤンデレ「……あはは、わたくしの心の準備は出来ています……」
ヤンデレ「……いったいどんなプロポーズをしてくださるのでしょう?……」
ヤンデレ「……」
ヤンデレ「……」
ヤンデレ「……でも」
ヤンデレ「もしも、プロポーズの相手がわたくしではなかったら?……」
ヤンデレ「……嫌です……」
ヤンデレ「怖いです……」
ヤンデレ「寂しいです……」
ヤンデレ「……ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様、ご主人様ぁ……」
・
エンパイアクラブ内 サロンステージ 夕方営業時間
クラブ内にガシャンという大きな音が鳴り響いた。
ヤンデレ「もっ申し訳ありません」
ヤンデレメイドはグラスを下げようとして落としてしまった。そしてバラバラになった欠片を慌てて拾い上げようとする。
メイド秘書「ここは、私が片付けるわ」
ヤンデレメイドがしゃがみ込むよりも早く、メイド秘書が片付け始める。
メイド秘書「あなたは少し休憩してきなさい」
ヤンデレ「でも……」
メイド秘書「いいから」
ヤンデレ「すみません。失礼します」
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エンパイアクラブ内 書斎
ヤンデレメイドはソファーに座っていた。
ヤンデレ「……ふう」
ツンデレ「珍しいわね。アンタがあんなドジするなんて」
ヤンデレ「……ツンデレさん」
書斎の入り口にいつの間にか、ツンデレメイドが心配そうに立っていた。
ヤンデレ「……少し考え事がありまして」
ツンデレ「当ててあげよっか? ご主人様のことでしょ?」
ヤンデレ「!?」
ツンデレ「どうしてって顔してるけど、みんな分かるわよ。むしろそれ以外の考え事だったら驚きだわ」
ツンデレメイドはヤンデレメイドの隣に腰を下ろした。
ツンデレ「言いたくない?」
ヤンデレ「……」
ツンデレ「なら仕方ないわね」
ヤンデレ「え!?」
ツンデレ「そーれ、こちょこちょこちょ!」
ツンデレメイドは、素早くヤンデレメイドのわき腹に手を入れると容赦なく、くすぐった。
ヤンデレ「あはははっ、やめっやめてください。わたくし、よっ弱いんですっ」
ツンデレ「こちょこちょこちょ!」
ヤンデレ「あはははははっ」
ツンデレ「こちょこちょこちょ!」
そのとき、クーデレメイドが書斎に入ってきた。
クーデレ「なっ何してるの!? あなた達!?」
ヤンデレ「たっ助けてください!」
クーデレ「えぇ!?」
ツンデレ「こちょこちょこちょ!」
ヤンデレ「あははははははっ」
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ツンデレ「ふー、こんなもんかな」
ヤンデレ「ふうっ、ふうっ、突然なにするんですか!?」
ツンデレ「別に~、読みたいものがあってね」
ヤンデレ「あ!?」
ツンデレメイドの手にはヤンデレメイドのポケットから奪ったご主人様ノートが握られていた。
ヤンデレ「返してください! それにそのノートの存在をどこで!?」
ツンデレ「アンタはご主人様と何かあると、ニコニコしながらこのノートに書きこんでるでしょ」
ヤンデレ「!?」
ツンデレ「ご主人様のことが書いてあるって丸わかりよ」
クーデレ「それ、私も知っているわ。というかエンパイアクラブで知らないのご主人様だけじゃない?」
ヤンデレ「ええ!?」
ツンデレ「人のノート勝手に見るのは気が引けるけど、仕事に支障が出るのは仲間として見過ごせないわ」
ヤンデレ「それは、その通りですけど」
クーデレ「……」
ヤンデレ「クーデレさんも止めてください!」
クーデレ「ツンデレの言うことも一理あると思うの。だから私は中立をとらせてもらうわ」
ヤンデレ「そんなぁ~」
ツンデレ「あんたがおかしくなったのは今日から、だから最近の日付の所だけ読ませてもらうわ。どれどれ」
ヤンデレ「あぁ、見ないでください」
・
エンパイアクラブ内 廊下
純真「……ヤンデレさん、調子悪そうでしたけど大丈夫でしょうか?」
純真メイドは書斎の扉の前まで来た。
「「えぇ~!?!?!」」
純真「?」
純真(この声はツンデレさんとクーデレさんかな、なにかあったのかな?)
ツンデレ「ご主人様が結婚ってどういうことよ!?」
クーデレ「それに専属メイドの誰かとなんて!?」
純真「!?」
純真メイドは書斎に飛び込んだ。
純真「けっ結婚ってなんの話ですか!?」
ヤンデレ「……だから見せたくなかったのです」
・
エンパイアクラブ内 書斎
ツンデレ「で、ここに書いてあることは本当なの?」
ヤンデレ「本当です。ご主人様とメイド秘書さんが、お話ししているのを確かに聞きました。音声データもあります」
クーデレ「えぇ? なんで音声データなんてあるのよ?」
ツンデレ「あんた盗聴したわね」
ヤンデレ「ふふふ、なんのことでしょう?」
純真「それより結婚の話が事実なら、ご主人様は結婚しちゃうんですか?」
ツンデレ「専属メイドの誰かと結婚するのは事実でしょうね」
クーデレ「……誰かと結婚……」
純真「いったい誰と?」
ヤンデレ「それはもちろんご主人様を、最も愛し愛されている専属メイドでしょう」
ツンデレ「それは自分だとでも言いたげね」
ヤンデレ「その通りです。現にご主人様の結婚の情報を、誰よりも早く掴みました!」
ツンデレ「盗聴してただけでしょうが! そんなの、なんの根拠にもならないわ」
ヤンデレ「ではツンデレさんは、他になにかあると?」
純真「喧嘩はだめですよ? クーデレさんも止めてください!」
クーデレ「……ご主人様は誰かと結婚……私以外の誰かと……」
純真「」
ツンデレ「ここにいるあなた達になくて、私にはあるものがあるわ!」
ヤンデレ「へぇ? なんですかそれは?」
ツンデレ「ずばり、おっぱいよ!!!」(巨乳)
ヤンデレ「っ!?」(普乳)
純真「あぅっ!?」(微乳)
クーデレ「くっ!?」(普乳)
ツンデレ「みんなだって、知ってるでしょ。ご主人様は大きいおっぱい大好きなのよ」
クーデレ「……そんな私のおっぱいではご主人様は満足できないの……」
ヤンデレ「確かにご主人様は大きいおっぱいが大好きですが……」
純真「それだけで女性を選んだりはしないです!」
ツンデレ「ふふん、でも結婚相手に大きいおっぱいを求める可能性は高いわ!」
ツンデレメイドはまるで自分が勝者だと高らかに宣言した。
ヤンデレ「……」
純真「……」
クーデレ「……」
もはや誰も反論できない。勝利者が決まりかけた時だった。
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姉「あれ? みんな集まってどうしたの?」(爆乳)
お姉ちゃんメイドが書斎に入ってきた。
ツンデレ「……」
ヤンデレ「……」
純真「……」
クーデレ「……」
姉「みんなどうしたの? なんか怖いよ~」(爆乳)
ツンデレ「……大きいおっぱいは、ないわね」
ヤンデレ「ですね」
純真「です」
クーデレ「そうね」
姉「ええっ!? お姉ちゃん何かしちゃった?」
・
姉「ふむふむ。なるほどね~。それで話し込んでいたんだ」
純真「そうです。でも思ったのですけど、ご主人様は大きいおっぱいが好きなだけではありません」
クーデレ「というと?」
純真「ご主人様は女の子を虐めるのが好きなのです!」
ツンデレ「!」
ヤンデレ「!」
クーデレ「!」
姉「?」
純真「皆さん心当たりがあるみたいですね!」
純真「ご主人様はこうも言っていました! 小さいおっぱいの女の子を虐めると、犯罪臭がしてより興奮すると!」
クーデレ「えぇ?」
ツンデレ「……ドン引きだわ」
ヤンデレ「どっどんなご主人様であれ、わたくしには受け入れる覚悟が……」
姉「ねえ、純真ちゃん少し落ち着こうか?」
純真「でっですので、おっぱいが小さい子の方が好きなんですよ!」
純真「おっぱいが小さい私だって、ご主人様と結婚したいんです!!」
純真「……結婚したいです」
純真「……」
姉「……純真ちゃん」
ツンデレ「……」
ヤンデレ「……」
クーデレ「……」
ボクっ娘「もうっ、みんなして何してるのさ?」(貧乳)
純真「あっ!?」(微乳)
ツンデレ「……」
ヤンデレ「……」
クーデレ「……」
姉「……」
ボクっ娘メイドが書斎に入ってきて、室内は静寂に包まれた。
ボクっ娘「なっなに?」(貧乳)
純真「……やっぱり小さいおっぱいは、ないかもしれません」
ツンデレ「ないわね」
ヤンデレ「ですね」
クーデレ「そうね」
姉「そうかも~」
ボクっ娘「ボクが何したってのさ!?」
・
ボクっ娘「ふむふむ。なるほど、それで」
姉「そうなのよ~。でもご主人様が虐めるのが好きって言うのは、お姉ちゃんは違うと思うな~」
ボクっ娘「どういうこと?」
姉「前にね、近所のお姉ちゃんのパンツを盗んだ中学生プレイをしたのだけどね」
クーデレ「えぇ?」
ツンデレ「……さっきのも、そうだけど、人の変態プレイの内容を聞くのキツイわね」
ヤンデレ「どっどんな性癖であれ、わたくしは……」
姉「それでね。甘やかせながら、なじりながらしたのね。そしたら虐められてすっごく興奮してたの」
ボクっ娘「うっわぁ」
純真「……そんなぁ、虐めるのが好きなんじゃないんですか? ご主人様ぁ?」
ドS「あら、それならご主人様の好みは私ってことにならない?」
一同「え!?」
クーデレ「ドSさん。いつの間に!?」
ドS「ついさっき、いきさつを説明しているときには来てたわよ」
ツンデレ「それよりご主人様の好みが、ドSってどういうことよ?」
ドS「だってそうでしょ。虐められるのが好きなんだから」
ツンデレ「ぐぬぬ」
ヤンデレ「待ってください!」
ドS「なにかしら?」
ヤンデレ「常識的に考えてください。ドSが本当に好みならもっと早くに雇用されても、おかしくなかったのではないでしょうか?」
一同「!?」
ヤンデレ「初期メンバーのツンデレとクーデレと純真を除く雇用順は、ヤンデレ、姉、ボクっ娘、ドSの順です」
ドS「くっ」
ヤンデレ「好きなタイプを後回しにするとは考えられません。よってドSが好みというのは納得できません」
一同「おお~!」
ドS「ぐぬぬぬぬっ」
ヤンデレ「ふふふ」
ツンデレ「助かったわ。ありがと。でもヤンデレが常識を語るのはなんかおかしいわね」
ヤンデレ「なぜですか?」
ツンデレ「なぜって、アンタね……」
・
ボクっ娘「でもそれならボクだって、一緒にいると気を使わなくて済むから、好きだって言われたことあるよ」
ドS「あら私だってキチンと叱ってくれるから、好きと言われたことくらいあるわよ」
姉「お姉ちゃんだって、優しくフォローしてくれるから、好きって言って貰えたよ」
純真「!」
クーデレ「どうしたの?」
純真「気を使わなくて済んで、叱ってくれて、フォローしてくれるって完璧なのはメイド秘書さんなんじゃ?」
一同「……」
ヤンデレ「……」
クーデレ「この方向に話を広げるのはやめましょうか」
ヤンデレ「……」
ツンデレ「ヤンデレ、アンタ黙っているけど、どうしたの?」
ヤンデレ「……わたくしは、わたくしのアドバンテージを見つけました」
ツンデレ「はぁ?」
ヤンデレ「……わたくしは、ご主人様とするまでは、処女だったのです!!!」
ツンデレ「……私もだけど?」
ヤンデレ「は?」
姉「お姉ちゃんもだよ~」
ヤンデレ「はい?」
ドS「あら私もよ」
ヤンデレ「はいい?」
クーデレ「……その私も」
ヤンデレ「待ってください。もしかして純真ちゃんとボクっ娘ちゃんも?」
純真「……はい」
ボクっ娘「ボクもだよ」
ヤンデレ「嘘ですよね。七人もいてみんな処女だったと?」
一同「……はい」
ヤンデレ「おかしい! おかしいです! いったい世の殿方は何をしていらっしゃるのですか!」
ツンデレ「ヤンデレだって処女だったでしょうが!」
ヤンデレ「でも皆さん、可愛くて美人で、きっと経験済みのヤリまくりだと思っていたのに!」
ツンデレ「勝手にビッチにするんじゃないわよ!」
クーデレ「……つまり自分だけは処女を捧げたから、その分アドバンテージがあると思ったわけね」
ドS「しかしそれは勘違いだったと、滑稽ね」
ヤンデレ「私の面接のときに男性経験の有無を聞かれて、ご主人様はとても喜んでくださいました。それなのに……」
ツンデレ「あ! それ私も聞かれた!」
ヤンデレ「え!?」
姉「お姉ちゃんもだよ~」
ヤンデレ「まっ待ってください! このパターンは!? もしかして全員にお聞きになっている?」
一同「……はい」
純真「……あの、もしかしてご主人様は、処女のメイドを集めていたのでは?」
一同「!?」
クーデレ「えぇ?!」
ツンデレ「処女厨ってことなの?!」
ヤンデレ「ふふふふふ、最悪、処女でなかったら面接で落とされた可能性もありますね」
ボクっ娘「うっわぁ、最っ低だよご主人様!」
姉「え~、そんなこと考えてたの!?」
ドS「まるで神話から蘇った現代のユニコーンね」
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クーデレ「……」
ツンデレ「クーデレ、さっきからアンタはあまり主張してないけどいいの?」
クーデレ「私は……私はご主人様の趣味で決着を付ければいいと思う」
一同「ご主人様の趣味って?」
ツンデレ「セクハラ」
純真「女の子に恥ずかしい衣装を着せることです」
ヤンデレ「エロゲーです」
姉「セックス?」
ボクっ娘「深夜のエロアニメかなぁ?」
ドS「豚として虐められること」
クーデレ「」
クーデレ「違うわよ!!! 写真よ! 写真!!」
一同「あ~」
クーデレ「あ~、じゃないわよ! あ~じゃ! みんな本当にご主人様のこと好きなの!?」
ボクっ娘「写真は確かに、いろいろこだわって撮ってるね」
ツンデレ「でもどうやって決着つけるのよ」
クーデレ「好きなものはついついたくさん撮ってしまうものだわ。だから」
ドS「ご主人様に撮られた写真の数で争うってことね」
純真「でもご主人様の写真なんてどこに?」
ヤンデレ「写真はご主人様の部屋のPCですべて管理されています」
クーデレ「そうなの?」
ツンデレ「なんでそんなこと知ってんのよ?」
ヤンデレ「ではご主人様の部屋に移動しましょう」
ツンデレ「ちょっと、待ちなさいよ!」
ボクっ娘「えっと、ここまでの話を合わせるとご主人様は……」
ドS「おっぱいならなんでも好きで、虐めるのも虐められるのも好きなユニコーンの変態ということになるわね」
ボクっ娘「えぇ……」
純真「……あの」
姉「どうしたの?」
純真「私たち何か大切なことを忘れているような?」
姉「うーん? お姉ちゃんもそんな気がするけど、とりあえず行こうか?」
・
エンパイアクラブ内 ご主人様の部屋
純真「勝手に入って良いのでしょうか?」
ドS「掃除するときと一緒よ。問題ないわ」
クーデレ「PCを起動するわ」
パスワードを入力してログインしてください。とモニターには表示されている。
ツンデレ「まあ、そうよね」
ヤンデレ「変わってください」
ヤンデレメイドがキーボードを叩くとあっさりとログインできた。
ツンデレ「なんでパスワードまで知ってるのよ?」
ヤンデレ「愛の力ですね」
ツンデレ「アンタまさか……この部屋も盗撮してるんじゃ?」
ヤンデレ「いったいなんのことでしょうか?」
ツンデレ「雑な誤魔化し、してんじゃないわよ!」
クーデレ「写真のフォルダがあったわ!」
姉「遂にご主人様の性癖がわかるのね」
ボクっ娘「そういう話だったんだっけ?」
クーデレ「開くわよ」
一同「ゴクリ」
クーデレ「こっこれは!?」
よし子だ。
よし子だった。
フォルダの中身の写真は、大多数はよし子の写真だった。
よし子の変顔、転んでいるよし子、メイド秘書に怒られているよし子etc。
その他に、この場にいるメイドの写真もあるにはあるが、最も多く撮られている写真はよし子だった。
一同「……」
ボクっ娘「そういえば、聞いたことがある」
一同「?」
ボクっ娘「よし子はリアクションが面白くて、表情もコロコロ変わるから被写体向きだって」
一同「……」
クーデレ「……」
ドS「残念だったわね。クーデレが一番じゃなくて」
クーデレ「!?」
ドS「庭で猫と一緒にたくさん撮ってもらったから、自分が一番多いと思っていたのでしょう?」
クーデレ「なんでそれを!?」
ドS「さあ何故かしらね?」
一同「……」
姉「えっとつまり?」
ドS「クーデレの理屈だとご主人様が一番好きなのは、よし子ということになるわね」
一同「えぇ!?」
・
一方その頃
エンパイアクラブ内 サロンステージ 絶賛営業中
よし子「ブヘックション! いやー、僕は可愛いから誰かが噂しているんですかね」
客1「よし公、同じ酒追加ね!」
よし子「はーい、ただいま。って誰がよし公ですか! 犬じゃないんですから!」
客2「酒まだー? よし子!」
よし子「あの一応ここ高級クラブですよ。もう少し品のある頼み方をですね!」
客3「よし子~」
よし子「ああもう、皆さんどこ行っちゃたんですか!?」
よし子「席についての接客はfreeメイドの方がやってくれてますが!?」
よし子「いくら何でも配膳、僕一人だけなんておかしいでしょ!?」
客「よし子~」
よし子「あああああ!?!?!」
エンパイアクラブ内 ご主人様の部屋
クーデレ「写真で決着はなかったことにします」
一同「……はい」
メイド秘書「こんな所にいましたね!」
一同「!」
メイド秘書「皆さん、何しているんですか。今は営業時間ですよ!」
一同「す、すみません」
メイド秘書「ボクっ娘さんには、皆さんを探してほしいと頼んだのに!」
ボクっ娘「ごめんなさい」
メイド秘書「大体、何があったか想像はつきます」
一同「……」
メイド秘書「その件については、営業終了後にミーティングを行います。とにかく今は仕事に戻ってください!」
メイド達は蜘蛛の子を散らすように仕事に戻っていった。
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エンパイアクラブ内 ロッカールーム 営業時間終了後 ミーティング中
メイド秘書「……大体の事情は分かりました」
メイド秘書「ご主人様の結婚に、思うところがあるのは皆同じです」
メイド秘書「しかし私たちがどんなに話し合った所で、結局はご主人様のお気持ち次第です」
メイド秘書「仕事に支障をきたさない様にお願いします」
メイド秘書「……もっとも」
一同「?」
メイド秘書「借金時代からご主人様を支え続け、皆さんみたいにサボったりもしない」
メイド秘書「私こそが結婚相手の可能性ありますけどね」
一同「!」
メイド秘書「では解散です」
ツンデレ「わ、私は閉店後の在庫確認してくる!」
ボクっ娘「ぼ、ボクも!」
純真「わ、私、お掃除してきます!」
姉「じゃあ、お姉ちゃんも」
ドS「私はレジ締めして売上金の確認をするわ。クーデレは手伝って」
クーデレ「わかったわ」
ヤンデレ「ではわたくしはご主人様のお手伝いを──」
メイド秘書「待ちなさい」
一同「?」
メイド秘書「ヤンデレさんだけはお説教です」
ヤンデレ「え!?」
メイド秘書「盗聴と盗撮、パソコンの不正アクセスは見逃せません」
ヤンデレ「うっ、でもご主人様のお手伝いが──」
メイド秘書「他のメイドに任せます。今日は逃がしませんよ」
ヤンデレ「ま、待ってください。パソコンを覗いたのはわたくしだけじゃ──って、もう皆いない!」
メイド秘書「いいですか。あなたの行動は流石に見過ごせません」
メイド秘書「ご主人様の部屋の鍵をメイドに預けているのは、メイドを信頼してのことです」
メイド秘書「そのメイドのあなたが信頼を裏切るようなことを──」
メイド秘書「聞いてますか! ヤンデレさん!」
ヤンデレ「ひーん」
・
次の日
エンパイアクラブ内 執務室 昼
ツンデレ「私になんでも頼っていいのよ」
ご主人様「いや、今は特に頼みたいことはないかな」
俺は椅子に腰を掛けながら、そう返事をする。
ツンデレ「なら、ほら肩揉んであげるわ」
ツンデレメイドは回り込み、後ろから体を密着させるように肩を揉んでくる。
ご主人様「……あのさ、おっぱいが当たってるよ」
ツンデレ「……当ててるのよ。……ムラムラした?」
ご主人様「……」
ツンデレ「……わ、私ならいつでもいいんだからねっ」
ご主人様「……」
ツンデレ「……」
ご主人様「…………」
ツンデレ「………………あんっ」
エンパイアクラブ内 廊下 夜
クーデレ「あ、あの今晩、部屋にいっても?」
ご主人様「珍しいねそっちが誘うなんて」
クーデレ「さそ!? 違うわ! そろそろご主人様がしたいと思って……」
ご主人様「あはは、でもクーデレもしたいから誘ったのでしょ。違う?」
クーデレ「……違わない」
ご主人様「嬉しいよ。ふふふ、そっか、したいのかぁ~」
クーデレ「い、いじわるよご主人様」
・
さらに次の日
エンパイアクラブ内 執務室 昼
ご主人様「純真、ずっとこっち見てどうしたの?」
純真「いえ、何かお手伝いすることはないかなと?」
ご主人様「う~ん」
純真「なんでもしますよ」
ご主人様「なんでも!? じゃあシスターと悪漢の無理矢理プレイを、なーんて──」
純真「シスターですね! 分かりました! すぐ着替えてきます!」
ご主人様「ええ!? 本当にしてくれるの!? というかノリノリ!?」
純真は執務室からすぐに出て行った。おそらくドレスルームで着替えてくるのだろう。
ご主人様「……嫌がるメイドに無理矢理コスプレさせて、羞恥に震える所が好きなんだけど、これはこれでいいな」
エンパイアクラブ内 浴室 夜
ご主人様「ふー、やっと仕事終わった。さて風呂だ。風呂」
お姉ちゃん「ご主人様、お風呂入るの? じゃあ体洗ってあげちゃうよ」
ご主人様「あ、いや、今日は疲れているから」
お姉ちゃん「え~、いつもはご主人様が一緒に入りたがるのに、お姉ちゃんが誘うと断るの?」
ご主人様「それはそうなんだけど、まあ一緒に入るだけならいっか」
お姉ちゃん「そうだよね! 大丈夫! 全部お姉ちゃんに任せて!!!」
ご主人様「ええ? なんでこんなに張り切ってるんだ?」
お姉ちゃん「大丈夫!!! リラックスして気持ち良くなろうね?」
エンパイアクラブ内 ボクっ娘メイド私室 夜
ご主人様「なあ?」
ボクっ娘「なあに?」
ご主人様「寝る前に、一緒にゲームをやろうって話だったよな?」
ボクっ娘「そうだよ?」
ご主人様「この体勢は?」
ボクっ娘「ボクはこういうベタベタするのが好きなんだよ」
ご主人様「う~ん」
TV画面の前で胡坐をかいた俺の股間の上に、ボクっ娘メイドが座る。
そしてゲームの動きに合わせて、不自然なくらいに体を揺する。
こんな刺激を与えられれば、体は反応してしまう。
ご主人様「あのさ、こんなにお尻を擦り付けられると」
ボクっ娘「……ガチガチだね」
ご主人様「生理現象だ」
ボクっ娘「しょうがないなあ。ボクはゲームがやりたかっただけなんだからね。しょうがなくだよ。しょうがなく」
・
さらにさらに次の日
エンパイアクラブ内 トイレ 昼
ご主人様「ヤンデレ、いつものことだけど、トイレまではついてこなくていいんだよ」
ヤンデレ「いえいえお構いなく」
ご主人様「ヤンデレもか。いやヤンデレは──」
ヤンデレ「?」
ご主人様「わりと通常営業だったね」
ヤンデレ「排泄欲を満たしましたら、もう一つの欲求の処理も致しますね」
ご主人様「ぬ~ん。やっぱりそうきたか」
ヤンデレ「???」
エンパイアクラブ内 ご主人様の部屋 夜
俺はベッドに倒れ込む様に眠る。
ご主人様「なんだこれ? みんなどうしたんだ? 嬉しいけど体がもたない」
ドS「だいぶ面白くなってるみたいね」
ご主人様「ドS……悪いけどもう限界なんだ」
ドS「ふふ、限界かどうか試してみましょうか?」
ご主人様「いや待って、本当にげんか──」
ドS「えい」
ご主人様「あああああ!?!?!」
その後もメイド達の熱烈なアピールは続いた。
・
一週間後
エンパイアクラブ内 廊下 夜
純真(遂にご主人様にプロポーズされてしまいました)
純真(でも私がプロポーズされたということは、他のメイドの皆さんは?)
純真(嬉しいですけど、皆さんにいったいどう報告すればいいでしょうか?)
純真(私が逆の立場だったら、きっと泣いちゃいます)
純真(……でも正直に言うしかないですよね。たとえ恨まれても、憎まれても……)
エンパイアクラブ内 ロッカールーム
純真「……あの、皆さん聞いてください。私、プロポーズされました……」
一同「……やっぱり」
純真「?」
一同「……あなたもなのね」
純真「ええ!?」
クーデレ「どういうことなの?」
ツンデレ「おかしいでしょ!?」
ヤンデレ「浮気ですね。ふふふ」
お姉ちゃん「ええ!? そうなの?」
ボクっ娘「それとも重婚ってこと?」
ドS「重婚は日本では、禁じられているわ」
メイド秘書「皆さん、どうしました?」
一同「!」
メイド秘書「?」
クーデレ「その指輪?」
メイド秘書「ああこれですか。先程、私もプロポーズされました」
一同「」
ヤンデレ「……八股……」
クーデレ「……そんな、私だけじゃだめなの……」
お姉ちゃん「二人とも大丈夫?」
ツンデレ「……直談判よ」
ボクっ娘「え?」
ツンデレ「どういうつもりなのか。ご主人様に直接、問いただすのよ」
ヤンデレ「わたくしも行きます」
メイド秘書「ちょっと待っ──」
ボクっ娘「ボクも行く」
純真「私も」
お姉ちゃん「クーデレちゃんも行くよね」
クーデレ「……うん」
ツンデレ「良し! みんなで殴り込みよ!」
一同「抗議だ! ストライキだ! メイド労働組合だ!」
メイド秘書「待ちなさい! あなた達!」
ツンデレ「止めないで! 私たちはもう止められないわ! さあツンデレメイド組合長に皆ついてきなさい!」
一同「おお~!」
メイド秘書「ああもう、待ちなさいってば!」
メイド達は一丸となってロッカールームを出ていく。
ドS「あなたも大変ね。叱ったり、なだめたり、メイド秘書というよりメイドお母さんね」
メイド秘書「……やめてください。あなたは行かないんですか?」
ドS「私は予想はついてるから、でも面白そうだから行きましょ」
メイド秘書「予想がついてるなら止めてください……」
ドS「あら、それじゃつまらないでしょ?」
メイド秘書「」
・
エンパイアクラブ内 執務室
一同「ご主人様!!!」
ご主人様「なんだどうした? みんな揃って?」
ツンデレ「組合長よりご主人様へ、八人にプロポーズってどういうことよ!?」
一同「そうだ! そうだ! 説明責任を果たせ!」
ご主人様「組合長? なにそれ? それよりそんなこと聞きに来たの?」
ツンデレ「そんなことってなによ!」
ご主人様「最近みんなアピールが激しかったろ。メイド秘書に相談したら結婚したいからだって言うからさ。だから」
ツンデレ「だから?」
ご主人様「みんなと結婚することにした」
ツンデレ「はあ?」
純真「気持ちは嬉しいのですけど、八人と結婚は」
ご主人様「それも大丈夫だよ。メイド秘書に手続きのこと聞かなかったのか?」
一同「?」
ご主人様「エンパイアクラブは色々グレーなんだよ。経営とか資産とか風営法とか普通じゃない商売だ」
ご主人様「そのオーナーたる俺も普通じゃないんだ」
一同「えっと?」
ご主人様「簡単に言うと俺は海外のとある国籍を持ってるから、重婚可能なんだ」
ご主人様「もっとも経済力が十分あることと、正妻をキチンと決めないと認められないが」
ご主人様「その点はエンパイアクラブオーナーだから問題ない」
一同「つまり?」
ご主人様「みんな俺のメイドで、俺の嫁ってこと」
一同「……」
ツンデレ「……まあ、そういうことなら」
クーデレ「……そうね」
ボクっ娘「……ボクも納得した」
純真「……良かった」
お姉ちゃん「……お姉ちゃんは信じてたよ」
ヤンデレ「待ってください!!!」
ご主人様「どうした?」
ヤンデレ「結局、正妻は誰なんですか?」
一同「!!!」
ご主人様「決めてない。それに申請する書類の一番上に名前が書かれるってだけだぞ」
ヤンデレ「それがいいんです! ぜひぜひわたくしに!」
ツンデレ「あんたズルいわよ!」
ヤンデレ「早いもの勝ちです! 皆さんは正妻のこと忘れてたじゃないですか!」
ボクっ娘「ボクも! ボクも正妻がいい!」
純真「私もです!」
お姉ちゃん「ねえ、お姉ちゃんも正妻がいいな。ねえお願い。なんでもしちゃうよ!」
クーデレ「そういう色仕掛けはずるいと思うの!」
執務室はぎゃあぎゃあとした喧噪に包まれる。
メイド秘書「やっぱりこうなりましたね」
ドS「いいじゃない。メイドお母さんとしては大変だろうけど、私は結構好きよ」
メイド秘書「意外ですね。そんなことを言うなんて」
ドS「私が虐めるのが好きなだけの女だとでも」
メイド秘書「いえ、そ、そういうわけでは──」
ドS「冗談よ」
メイド秘書「」
ご主人様「みんな落ち着いてくれ。あまり聞き分けがないとメイド秘書に叱ってもらうぞ」
一同「うっ」
メイド秘書「ご主人様。そのお母さんに言いつけるぞ。みたいなニュアンスはやめてください。怒りますよ」
ご主人様「ごめんなさい。調子乗りました。許してください」
俺達のエンパイアクラブはまだまだこれからだ。
メイドと結婚と性癖 終わり
読んで頂きありがとうございました。
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