本当の英雄のお話 (76)

オリジナルRPG系ssを投下します。
だいたい1週間~2週間に1度ぐらい投下します

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1518963643


ボクはエメラルド・ドレシング
村で猟師をしている平凡な…人間さ。

外見は水色髪のロングヘアーの、自分で言うのもなんだけど美形。
体格は普通の男の子ぐらい、かな?

好きなものはお肉で、嫌いなものは野菜。
剣で狩りをしているから当然剣には自信がある

あとあと!!メリーって言う幼馴染が居るんだよ!!
金髪のすっごく綺麗な女の子。
今度紹介するね。


小さな小屋のベッドでボクは目覚めた。

「ふあぁぁ…今は…もう日が昇ってる!!」

窓を見ると、日が昇っていた
今日は日が昇る前に遠くまで狩りに行く予定だったのだ!!
やばい!!



ボクは家を出て走り出した
近所のおばあちゃんが、家を出た瞬間に話しかけてくる

「そんなに急がんでも、人生のんびりが一番よ」

「急がなきゃいけないときもあるの!!」

ボクはそう返しておいた。
老人の知恵は大事だが、急いでるんだ。


ボクは村の門にさしかかる、門の見張りの人が笑顔で言った
門の見張りは、人のいい顔をした中年のおじさんだ

「エメラルドのとってきてくれる肉楽しみにしてるぞ。
  代わりにうちの妻が作った野菜、やるから」

「野菜はいらないよ!!」

ボクはそう言いながら走って遠くの狩場に向かう
魔物は早めの冬眠に入るけどまだ狩りが出来ない寒さじゃない。
今日が絶妙な日なのだ、この地域では。

「ははは!!好き嫌いはいけないな。
  たんと野菜を食え」

後ろからそんな声が聞こえた。
嫌いなものは嫌いなんだから仕方ないじゃん。


ボクは遠くの森の狩場にやってきた。
すぐに草むらに隠れる。

「猪が1、2、3
 一度にこれほどいるのはなかなかない。」

今夜はご馳走にありつけそうだ

ボクは自慢の剣を背中の鞘から抜く
重さはそこそこ、鋭さはなかなかの鉄でできた剣だ。



「とりゃぁ!!」

ボクは猪に背後から斬りかかった
猪は悲鳴をあげて倒れる

残りの猪はこっちを向く

「あっかんべー」

ボクは舌を出して挑発した



2体の猪は怒りの表情で突撃してくる
ボクは思いっきり地面を蹴ってジャンプした

ボクは地面から4メートルぐらいの位置に到達する。

猪はボクの下のあたりに向かってくる
2体の猪がボクの下にたどり着いた瞬間

ボクは空中から降りながら、猪の1体を思いっきり刺した
猪の1体は倒れる

「まだ、やる?
  2体でも持って帰るのめんどそうだし、君は見逃してあげてもいいけど?」

ボクは猪をにらみつける
猪は全力で逃げ出した、ボクには勝てないと悟ったのだろう

「早くも狩り終了、かな?
 今日は運がいいね」


ボクは猪をその場で捌き、必要な部位だけ持ってきていたかごに詰める
まるごともって帰る訳にはいかないしね…力には自信ある方だけど重いのは嫌だ。


大きい足音が聞こえて来た

「え?」

目の前に巨大な猪型モンスターが居た、全長3メートルぐらいの
茶色くてもじゃもじゃの化け物


「なにこいつ…」

ボクは動揺して、剣を構えるのが遅れてしまった
それがいけなかった
猟師たるもの動揺は死につながる

猪は突進してきた



「やめて…」

ボクは動揺してまともに戦えない、ボクは猪に体当たりされてしまう
馬車にひかれたような衝撃が、ボクを襲う

「ぎゃっ!」

猪の身長がでかすぎて角に当たらなかったのは幸運だ、そうなったら死以外なかった。
だけど3メートルの突進は半端ない。

「ぐわっ!」

ボクは木にたたきつけられてしまう



猪はボクの方をにらみつける

「やめて、全身が、痛い…」

猪は感情が高ぶった瞳で、ボクを見ている。
あぁそうだ、自然は容赦しない。ボクだって自然に容赦せず動物を狩るじゃないか。

猪はふたたびボクに突進を仕掛けようとする。
さっきは運がよかったけど、次まともに食らったらやばい
死ぬ、死んでしまう。


死にたくない死にたくない死にたくない!
ここで死んだら先に逝った両親が悲しむ!
生きてる幼馴染が悲しむ!



巨大猪はボクに突進してくる

「こんなところじゃ[ピーーー]ないんだよ!」

ボクはなんとかころがってその場から離れた



猪は木にぶつかる。
まるで瓶が倒れるように簡単に、木が倒れる
あ、あの場に居たら死んでいた。


猪は向きを変え、ボクをにらみつけてくる

「つっ!」

よけたからって安心なんてできない、まだ助かってない


体が痛い、死ぬほど痛い
だけどボクは立ち上がり剣を構えた

「ボクは、猟師だ!」



猪はまた突進してくる

「おりゃ!」

ボクは横にジャンプしてそれを避けた
猪はあ然とした表情を浮かべる



「動きが単純すぎる、かわすだけなら出来るっぽいね
  君から逃げたいところだけど…」

体が痛い、長距離は走れないだろう

「逃げ切れる自信はない、だからなんとか君を仕留めるしかない」

猪はふたたびボクをにらみつける
ボクは覚悟を決めた、こいつを倒す。


猪は突進してきた
ボクは頭がよくない。だけど…
突進してくる3メートル猪に、正面から斬りかかっても死ぬことぐらいわかる

「でも正面じゃないなら、上があるじゃない!!」

頭がよくない故の単純な発想。
でもそれが出来る程度には身体能力に自信はある
ボクは6メートルジャンプした、これが限界だ。


猪がボクの下に来た瞬間。
ボクはタイミングよく猪の頭に剣を突き刺した
計算なんてできないけど、普通の猪は何回も狩った事があったから



猪は悲鳴をあげて倒れた

経験で猪の動きは分かる、いくら巨大でも。



「やった…え?」

さっき逃がした猪が、巨大猪に近づく
そして悲しそうに見つめている

「親子だったりするの?もしかして…」



巨大猪はまだ息がある、力ない目でこちらを見つめてくる。

「…今日の獲物はもう十分取った、君まで[ピーーー]必要はない」

ボクは猪達に背を向ける

「できれば今後、あんまり人を襲わないでくれるとうれしい
 ボクも必要な分しか殺さないからさ」



巨大猪がどういう反応をしたかは分からない。
だけどボクはかごをもって無言で去って行った、これでよかったんだよね?


ボクは全身の痛みと疲労に耐えながら、かごを背負って村に帰る
街道を通って。

「もうクタクタだよ、痛いし…」

ボクはちらっと村の方を見た、早く村で休み…



村の方から煙が見えた、村が燃えていた

「…え?」

ボクはかごを捨てた
かごの中の猪の肉や皮が、バラバラにこぼれ落ちる



「村のみんなに、何か?
  まさか、魔族の襲撃…」

ボクは痛みも忘れて走り出す。
獲物も痛みもどうでもいい、村のみんなが心配



村の門の前にやって来る
人のよさそうなおじさんが、死んでいた

「おじ、さん…」

おじさんは焦げていた、炎か何かでやられたようだ
やはり魔族だ。
魔法を使えるのは魔族しかいない

魔族とは、魔物を操ると言われる、ひどい種族
乱暴で残酷。



「ははは、[ピーーー]ぇ」

角の生えた男が、手を前に出している。
魔法を撃つ気なようだ、ボクは…



「…[ピーーー]よ、魔族は」

あっという間に男の前に移動し、男を斬った
男は横に真っ二つになった

「え?」

男は信じられないという表情をしている

「ゆるさない、魔族は許さない!」

ボクは村に居る魔族を次々と殺していった、男女関係なく。
相手の顔すらろくに見ないで。


やがてボクはメリーの家にたどり着く
幼馴染のメリーは死んでいた。
服を切り刻まれて、死んでいた

「あぁ…あぁ!」

最後は電撃を食らって死んだようだ、見ればわかる。
まだ焦げた臭いが残っている



「ボクが村に居れば、こんなことには!」

ボクなら魔族と戦えた
ボクなら村を守れた
ボクなら…メリーを救えた。



ボクはメリーに布団をかぶせて、抱きながら外に出た。
土の中に埋めてあげなきゃ

「一緒に鬼ごっこやかくれんぼう、よくしたね。
   メリーは女の子なのに、女の子らしくない遊びばかりにつき合わせた」

少しはおままごととか、してあげればよかったかなって思う。
もう、すべては遅いけど。



ボクは村の墓の前にやって来た
空いてるスペースに穴を空け、メリーを入れた

「メリー、さようなら。
 今まで楽しかった、ありがとう」

ボクはメリーに土をかぶせた。
メリー…メリー



ボクの顔に涙がこぼれ落ちる

「こんなの、嫌だよぉ…」

そうだ、きっとこれは夢なんだ。
目が覚めたら、狩りを終えたボクを村人が出迎えるんだ。
そしていつも通りの日常が始まって…

「すべてを焼き尽くす火よ、紅蓮の炎で醜き人間を消し去れ」

巨大な炎がボクに飛んでくる

「え?」


ボクは横に大きく避けて、炎をかわした
あ、危ない。

「不意打ちをかわしますか…」

紫髪の、いかにも大人の女性と言った感じの。
胸の大きいお姉さんがこっちを見ていた



「魔族って、女の人も居るの?」

「当たり前ですわ、女も居れば子供も居る。
  あなたは魔族の女性をさっき斬り殺したでしょ、たくさん」

ボクは暗い気持ちになった、さっきボクは人殺しと同じことを?
怒りに身を任せて気づいてなかっただけで、相手は魔族とはいえ。



「聞きたい、君は何者?」

「わたくしはパープル・ハピネス
  この村を襲った部隊のリーダーですわ」

衝撃的な発言だ。
この人が、いやこいつがボクの村を…



「なんで村を襲ったの
  村人に罪はなかったのに」

ボクは静かに言う
だが心には怒りを秘めていた

「だってあなたたちもそうしたでしょ?わたくしの娘相手に」

「え?」

「あなた方人間は、ただ街道を歩いていた娘を殺した
  だからわたくしも同じことをする、復讐ですわ」

なんて言っていいか、分からなかった
魔族に女子供は居ない、みんな悪だ。
ボクの信じていたものが逆転する気がした


「話は終わりです…貴女を殺しますわ。
 人間を殺せば[ピーーー]ほど、あの世の娘は喜びますの」

そう言いながら、パープルは狂ったような微笑みを浮かべる

「もうやめよう、こんなのなんか違うよ
 おかしいよ、こんな世界」

正義も悪もない、ただただ狂ってる気がした



「都合のいい事を、あなたはわたくしの部隊の仲間をみんな殺したでしょ。
  もう、どちらかが死ぬまで終わりませんわ」

パープルは構える、魔法を撃つ気だ
くらえば、死ぬだろうな。



ボクは服を脱いだ。
さらしと、女の子なら普通ぐらいの胸があらわになる

「え?女…」

パープルは動きを止める



「ボクも娘なんだ、親を魔族に殺された」

「え?」

パープルはあ然とした表情を浮かべる。
パープルの中でも、ボクと同じように世界が逆転しているんだろう



「もうやめようこういうこと
  何か方法を探そうよ、こんなことがなくなる」

「だ、ダメです!
  人間に娘は居ませんわ、貴女を[ピーーー]。」

そう言いながらも、構えた手から魔法は出ない



ボクはパープルに近づく

「来ないでください!」

「大丈夫」

ボクはパープルを抱きしめた



「復讐で狂うなんて、つらいでしょ?
  もうやめていいんだよ、人間も魔族も同じなんだから」

パープルは全力で泣いた、大人らしくなく大泣きした

「本当はみんな同じだって、分かってましたわ!
  でもでも、娘が人間に殺されてて、復讐するしか…」

「分かるよ、ここで君と話さなければ、ボクも同じだった
  だけどここで君と話すことができた、だからなんとかしよう
   こんな悲劇をもう起こさないように、頑張るんだ。方法は分からないけど」


ボクが魔族を、パープルが人間を墓に埋葬した
あえて
そしてボク達は墓の前で誓い合う



「こんな悲劇は終わらせましょう」

「まだ方法は分からないけどね」

そう、まだなにも分からない
魔族のこと、人間と魔族が争う理由
人間のことだって、村育ちのボクは村以外よく知らない



「その方法を探すために旅立つんですわ。
  それでその、あなたの名前を聞いて居ませんが」

「ボクはエメラルド・ドレシング」

「宝石に、男装者ですか。」



「これからよろしくね、パープル!」

ボクは笑顔で手を差し出した

「はい、エメラルド」

パープルはその手を掴んだ。
ここから冒険が始まる

【第一章 完】

以上です、それではまた…

それじゃあsagaを入力したうえで、もう一度投下しなおしますね
結構大事なところがピー音になっちゃってるし

フィルタ解除教えてくれてありがとうございます


ボクはエメラルド・ドレシング
村で猟師をしている平凡な…人間さ。

外見は水色髪のロングヘアーの、自分で言うのもなんだけど美形。
体格は普通の男の子ぐらい、かな?

好きなものはお肉で、嫌いなものは野菜。
剣で狩りをしているから当然剣には自信がある

あとあと!!メリーって言う幼馴染が居るんだよ!!
金髪のすっごく綺麗な女の子。
今度紹介するね。


小さな小屋のベッドでボクは目覚めた。

「ふあぁぁ…今は…もう日が昇ってる!!」

窓を見ると、日が昇っていた
今日は日が昇る前に遠くまで狩りに行く予定だったのだ!!
やばい!!



ボクは家を出て走り出した
近所のおばあちゃんが、家を出た瞬間に話しかけてくる

「そんなに急がんでも、人生のんびりが一番よ」

「急がなきゃいけないときもあるの!!」

ボクはそう返しておいた。
老人の知恵は大事だが、急いでるんだ。


ボクは村の門にさしかかる、門の見張りの人が笑顔で言った
門の見張りは、人のいい顔をした中年のおじさんだ

「エメラルドのとってきてくれる肉楽しみにしてるぞ。
  代わりにうちの妻が作った野菜、やるから」

「野菜はいらないよ!!」

ボクはそう言いながら走って遠くの狩場に向かう
魔物は早めの冬眠に入るけどまだ狩りが出来ない寒さじゃない。
今日が絶妙な日なのだ、この地域では。

「ははは!!好き嫌いはいけないな。
  たんと野菜を食え」

後ろからそんな声が聞こえた。
嫌いなものは嫌いなんだから仕方ないじゃん。


ボクは遠くの森の狩場にやってきた。
すぐに草むらに隠れる。

「猪が1、2、3
 一度にこれほどいるのはなかなかない。」

今夜はご馳走にありつけそうだ

ボクは自慢の剣を背中の鞘から抜く
重さはそこそこ、鋭さはなかなかの鉄でできた剣だ。



「とりゃぁ!!」

ボクは猪に背後から斬りかかった
猪は悲鳴をあげて倒れる

残りの猪はこっちを向く

「あっかんべー」

ボクは舌を出して挑発した



2体の猪は怒りの表情で突撃してくる
ボクは思いっきり地面を蹴ってジャンプした

ボクは地面から4メートルぐらいの位置に到達する。

猪はボクの下のあたりに向かってくる
2体の猪がボクの下にたどり着いた瞬間

ボクは空中から降りながら、猪の1体を思いっきり刺した
猪の1体は倒れる

「まだ、やる?
  2体でも持って帰るのめんどそうだし、君は見逃してあげてもいいけど?」

ボクは猪をにらみつける
猪は全力で逃げ出した、ボクには勝てないと悟ったのだろう

「早くも狩り終了、かな?
 今日は運がいいね」


ボクは猪をその場で捌き、必要な部位だけ持ってきていたかごに詰める
まるごともって帰る訳にはいかないしね…力には自信ある方だけど重いのは嫌だ。


大きい足音が聞こえて来た

「え?」

目の前に巨大な猪型モンスターが居た、全長3メートルぐらいの
茶色くてもじゃもじゃの化け物


「なにこいつ…」

ボクは動揺して、剣を構えるのが遅れてしまった
それがいけなかった
猟師たるもの動揺は死につながる

猪は突進してきた



「やめて…」

ボクは動揺してまともに戦えない、ボクは猪に体当たりされてしまう
馬車にひかれたような衝撃が、ボクを襲う

「ぎゃっ!」

猪の身長がでかすぎて角に当たらなかったのは幸運だ、そうなったら死以外なかった。
だけど3メートルの突進は半端ない。

「ぐわっ!」

ボクは木にたたきつけられてしまう



猪はボクの方をにらみつける

「やめて、全身が、痛い…」

猪は感情が高ぶった瞳で、ボクを見ている。
あぁそうだ、自然は容赦しない。ボクだって自然に容赦せず動物を狩るじゃないか。

猪はふたたびボクに突進を仕掛けようとする。
さっきは運がよかったけど、次まともに食らったらやばい
死ぬ、死んでしまう。


死にたくない死にたくない死にたくない!
ここで死んだら先に逝った両親が悲しむ!
生きてる幼馴染が悲しむ!



巨大猪はボクに突進してくる

「こんなところじゃ死ねないんだよ!」

ボクはなんとかころがってその場から離れた



猪は木にぶつかる。
まるで瓶が倒れるように簡単に、木が倒れる
あ、あの場に居たら死んでいた。


猪は向きを変え、ボクをにらみつけてくる

「つっ!」

よけたからって安心なんてできない、まだ助かってない


体が痛い、死ぬほど痛い
だけどボクは立ち上がり剣を構えた

「ボクは、猟師だ!」



猪はまた突進してくる

「おりゃ!」

ボクは横にジャンプしてそれを避けた
猪はあ然とした表情を浮かべる



「動きが単純すぎる、かわすだけなら出来るっぽいね
  君から逃げたいところだけど…」

体が痛い、長距離は走れないだろう

「逃げ切れる自信はない、だからなんとか君を仕留めるしかない」

猪はふたたびボクをにらみつける
ボクは覚悟を決めた、こいつを倒す。


猪は突進してきた
ボクは頭がよくない。だけど…
突進してくる3メートル猪に、正面から斬りかかっても死ぬことぐらいわかる

「でも正面じゃないなら、上があるじゃない!!」

頭がよくない故の単純な発想。
でもそれが出来る程度には身体能力に自信はある
ボクは6メートルジャンプした、これが限界だ。


猪がボクの下に来た瞬間。
ボクはタイミングよく猪の頭に剣を突き刺した
計算なんてできないけど、普通の猪は何回も狩った事があったから



猪は悲鳴をあげて倒れた

経験で猪の動きは分かる、いくら巨大でも。



「やった…え?」

さっき逃がした猪が、巨大猪に近づく
そして悲しそうに見つめている

「親子だったりするの?もしかして…」



巨大猪はまだ息がある、力ない目でこちらを見つめてくる。

「…今日の獲物はもう十分取った、君まで殺す必要はない」

ボクは猪達に背を向ける

「できれば今後、あんまり人を襲わないでくれるとうれしい
 ボクも必要な分しか殺さないからさ」



巨大猪がどういう反応をしたかは分からない。
だけどボクはかごをもって無言で去って行った、これでよかったんだよね?


ボクは全身の痛みと疲労に耐えながら、かごを背負って村に帰る
街道を通って。

「もうクタクタだよ、痛いし…」

ボクはちらっと村の方を見た、早く村で休み…



村の方から煙が見えた、村が燃えていた

「…え?」

ボクはかごを捨てた
かごの中の猪の肉や皮が、バラバラにこぼれ落ちる



「村のみんなに、何か?
  まさか、魔族の襲撃…」

ボクは痛みも忘れて走り出す。
獲物も痛みもどうでもいい、村のみんなが心配



村の門の前にやって来る
人のよさそうなおじさんが、死んでいた

「おじ、さん…」

おじさんは焦げていた、炎か何かでやられたようだ
やはり魔族だ。
魔法を使えるのは魔族しかいない

魔族とは、魔物を操ると言われる、ひどい種族
乱暴で残酷。



「ははは、死ねぇ」

角の生えた男が、手を前に出している。
魔法を撃つ気なようだ、ボクは…



「…死ねよ、魔族は」

あっという間に男の前に移動し、男を斬った
男は横に真っ二つになった

「え?」

男は信じられないという表情をしている

「ゆるさない、魔族は許さない!」

ボクは村に居る魔族を次々と殺していった、男女関係なく。
相手の顔すらろくに見ないで。


やがてボクはメリーの家にたどり着く
幼馴染のメリーは死んでいた。
服を切り刻まれて、死んでいた

「あぁ…あぁ!」

最後は電撃を食らって死んだようだ、見ればわかる。
まだ焦げた臭いが残っている



「ボクが村に居れば、こんなことには!」

ボクなら魔族と戦えた
ボクなら村を守れた
ボクなら…メリーを救えた。



ボクはメリーに布団をかぶせて、抱きながら外に出た。
土の中に埋めてあげなきゃ

「一緒に鬼ごっこやかくれんぼう、よくしたね。
   メリーは女の子なのに、女の子らしくない遊びばかりにつき合わせた」

少しはおままごととか、してあげればよかったかなって思う。
もう、すべては遅いけど。



ボクは村の墓の前にやって来た
空いてるスペースに穴を空け、メリーを入れた

「メリー、さようなら。
 今まで楽しかった、ありがとう」

ボクはメリーに土をかぶせた。
メリー…メリー



ボクの顔に涙がこぼれ落ちる

「こんなの、嫌だよぉ…」

そうだ、きっとこれは夢なんだ。
目が覚めたら、狩りを終えたボクを村人が出迎えるんだ。
そしていつも通りの日常が始まって…

「すべてを焼き尽くす火よ、紅蓮の炎で醜き人間を消し去れ」

巨大な炎がボクに飛んでくる

「え?」


ボクは横に大きく避けて、炎をかわした
あ、危ない。

「不意打ちをかわしますか…」

紫髪の、いかにも大人の女性と言った感じの。
胸の大きいお姉さんがこっちを見ていた



「魔族って、女の人も居るの?」

「当たり前ですわ、女も居れば子供も居る。
  あなたは魔族の女性をさっき斬り殺したでしょ、たくさん」

ボクは暗い気持ちになった、さっきボクは人殺しと同じことを?
怒りに身を任せて気づいてなかっただけで、相手は魔族とはいえ。



「聞きたい、君は何者?」

「わたくしはパープル・ハピネス
  この村を襲った部隊のリーダーですわ」

衝撃的な発言だ。
この人が、いやこいつがボクの村を…



「なんで村を襲ったの
  村人に罪はなかったのに」

ボクは静かに言う
だが心には怒りを秘めていた

「だってあなたたちもそうしたでしょ?わたくしの娘相手に」

「え?」

「あなた方人間は、ただ街道を歩いていた娘を殺した
  だからわたくしも同じことをする、復讐ですわ」

なんて言っていいか、分からなかった
魔族に女子供は居ない、みんな悪だ。
ボクの信じていたものが逆転する気がした


「話は終わりです…貴女を殺しますわ。
 人間を殺せば殺すほど、あの世の娘は喜びますの」

そう言いながら、パープルは狂ったような微笑みを浮かべる

「もうやめよう、こんなのなんか違うよ
 おかしいよ、こんな世界」

正義も悪もない、ただただ狂ってる気がした



「都合のいい事を、あなたはわたくしの部隊の仲間をみんな殺したでしょ。
  もう、どちらかが死ぬまで終わりませんわ」

パープルは構える、魔法を撃つ気だ
くらえば、死ぬだろうな。



ボクは服を脱いだ。
さらしと、女の子なら普通ぐらいの胸があらわになる

「え?女…」

パープルは動きを止める



「ボクも娘なんだ、親を魔族に殺された」

「え?」

パープルはあ然とした表情を浮かべる。
パープルの中でも、ボクと同じように世界が逆転しているんだろう



「もうやめようこういうこと
  何か方法を探そうよ、こんなことがなくなる」

「だ、ダメです!
  人間に娘は居ませんわ、貴女を殺す。」

そう言いながらも、構えた手から魔法は出ない



ボクはパープルに近づく

「来ないでください!」

「大丈夫」

ボクはパープルを抱きしめた



「復讐で狂うなんて、つらいでしょ?
  もうやめていいんだよ、人間も魔族も同じなんだから」

パープルは全力で泣いた、大人らしくなく大泣きした

「本当はみんな同じだって、分かってましたわ!
  でもでも、娘が人間に殺されてて、復讐するしか…」

「分かるよ、ここで君と話さなければ、ボクも同じだった
  だけどここで君と話すことができた、だからなんとかしよう
   こんな悲劇をもう起こさないように、頑張るんだ。方法は分からないけど」


ボクが魔族を、パープルが人間を墓に埋葬した
あえて
そしてボク達は墓の前で誓い合う



「こんな悲劇は終わらせましょう」

「まだ方法は分からないけどね」

そう、まだなにも分からない
魔族のこと、人間と魔族が争う理由
人間のことだって、村育ちのボクは村以外よく知らない



「その方法を探すために旅立つんですわ。
  それでその、あなたの名前を聞いて居ませんが」

「ボクはエメラルド・ドレシング」

「宝石に、男装者ですか。」



「これからよろしくね、パープル!」

ボクは笑顔で手を差し出した

「はい、エメラルド」

パープルはその手を掴んだ。
ここから冒険が始まる

【第一章 完】

投下しなおし完了です
1週間から2週間の間ぐらいに更新しますね

きりのいいところまで出来たので、投下しちゃいますね


ボク達は小屋でこれからの事を話し合う

「とりあえず人間の事知るなら、町に行かないとね」

ボクは地図を出した。
地図の中にある大陸は、丸の丁度下半分のような形をしている



「ここは大陸の西南、ですわね
 なんか元から円の南側みたいな形の大陸ですが」

「北半分がどこかにあったりして」

ボクは冗談めかして言った、だけど本当にそうでもおかしくない形だ。

「まさか、そうならとっくに発見されているでしょう。」

確かにそうだろうな
人間も魔族もたくさんいるだろうし、誰かが発見しているだろう。



「とりあえずここから北に町があるみたいですし、そこに行きましょう
 人間の営みを見る、ということで」

「後からボクに魔族の町も見せてよ」

「えぇ、もちろん」

パープルは笑った、笑顔が色っぽい
大人のお姉さんだ。



ボクは顔を赤くしていた

「エメラルド、顔が赤いですよ?」

「な、なんでもないよ。
  それよりお腹空いた、ごはん食べてから行こう」

ボクは野菜と肉を取り出した。保存が効くものではないが、今日なら問題なく食べられる。


ボク達は家の外でたき火をする、串に野菜と肉をつけて、焼く。

「肉に野菜、人間も変わりませんのね」

「魔族も食べるもの変わらないんだ?
 操ってる魔物を食い物にするのかと…」

「魔物を操ってるのは人間では?」

パープルは本気でそう思ってるらしい、それを見て分かった
あぁ。人間は魔族が魔物を操っている、魔族は人間が魔物を操ってるって思ってるのね
お互い勘違いしていたんだ。



「どうやら違ったようですわね、お互い勘違いですか」

「お互いが相手を勝手に魔物を操る黒幕にしている、面白いね」

ボクは軽く笑った

「悪い冗談ですわ、魔物の被害は魔族の間で大きいのに」

魔族もかなり魔物の被害受けてるのか
本当、変わらないなぁ、人間も魔族も
魔法があるかないかぐらいかな?



肉と野菜が焼けた
ボクは豪快に食べる

「もぐっ!もぐっ!うめぇ!」

「女性なのですから、少しお上品にですね…」

パープルはあきれている

「いいのいいの、こういうのは豪快な方が楽しいよ」

ボクはパープルに笑顔を向ける
パープルは少し顔を赤らめた



「…わたくしもたまには豪快に食べてみます、パクッ!」

パープルは少しだけがぶっと行った。
だがまだまだお上品だ

「まだまだだね」

「…うるさい」


食事を終えて、ボク達は村の門の前に来た

「行くよ、村のみんな」

「さようならですわ、部隊の盟友」

お互いがそれぞれ、別れの挨拶をする
あぁ、もう会えないんだ、そう思って悲しい表情を浮かべながら
おじさん、近所のおばあちゃん、メリー…

少し、目を閉じた
色々な思い出が浮かんだ。


野菜嫌いなボクに強引に野菜をくれた、ありがた迷惑なおじさん
ケガをしたとき手当してくれたおばあちゃん
メリーにはいろいろ、男の子っぽい遊びさせちゃったこと



ボクは決意したような表情を浮かべると、すぐに笑顔になった

「行こう、こんなことはもう起こさないために、何かしよう」

「…はい、それが何かは分かりませんが」

パープルも少し笑った、無理して笑っているのが分かる。
まぁ、ボクも無理して笑ってるし、人の事言えないけど…



ボク達は歩き出した、外の世界へ。
さようなら、みんな。


ボク達は町にやって来た
町のみんなは暗い雰囲気で仕事している

「これが人間の町ですの?
 魔族の町の方がよさげですが」

パープルはがっかりしたような表情を浮かべる

「…ボクの村の方がよさそう、なんだこの雰囲気は」

ボクもがっかりした



「せっかくメダル1万枚持ってきたのに、使う気なくすな…」

「メダル?」

あぁ、魔族には分からないか

「人間の通貨だよ。
  10枚ぐらいでリンゴが1つ買える」

リンゴが1000個買えるお金を、今ボクは持っている
ボクはへらへらした微笑みを浮かべた

「(…人間もやっぱりお金を持ってると、へらへらするんですわね)」



「せっかくだしリンゴ買おう」

ボクは走って果物屋に向かった

「リンゴ1つちょうだい!」

果物屋の店主は暗い表情で言った

「メダル30枚だよ」

「たかっ!!」

驚いた、そんな高いリンゴ聞いた事がない

「物価の3倍、ですか?」

優雅に歩きつつも、ボクにすぐ追いついたエメラルドは、訝しげな表情を浮かべる

「税率200パーセントだからね、20枚は税金さ
  買うかい?」

「まぁ、買うよ…」

お腹空いてるしね

「2つちょうだい。」

ボクはメダルを60枚出した

「1つでは?」

「君の分も」

ボクはパープルに微笑みながらそう言った
パープルは顔を赤くした

「か、かっこいい、惚れてしまいそう
  でもダメですわ、人間と魔族、そもそも年齢差とか性別とか
   いえいえ、種族の差をなくすための今回の旅で…わたくしは腐女子で有名でしたし」

…意味が分からないことも混じってるけど、聞かなかった事にした方がよさそうだね



ボク達2人はリンゴにがぶりついた

「うまい!どう?パープル…」

「エメラルドのリンゴ、すごくおいしいですわ!」

なんか卑猥に聞こえるよ、パープル。


暗くなって来たし、ボク達は町の宿屋にやって来た

「いらっしゃい、1部屋1泊メダル3000枚だよ」

ここでも税率200パーセントかな?
とりあえず高すぎる



「…ここに泊まったら、旅の資金が0になりそうなんだけど…」

「…ですわね」

宿屋の主は笑った

「ははは、ボクもこんな値段にしたくないんだけどね
  町長が税率を200パーセントにしたから」

ひどい町長だ



「内緒で税抜きで泊めてあげるよ
  1部屋1泊メダル1000枚、何名様でも。どう?」

「大丈夫なの?町長にバレたら…」

宿屋の主は胸を叩いて言った

「バレたらそのときさ、宿主にも魂があるからね
  ゆずれないものだってある。かわいいお2人さんから高い金とるなんて、できゃしないよ」

カッコいい、さすが宿主!



「じゃあ泊まらせてもらおうかな、お2人1部屋で」

「あいよ」

ボクは会計を済ませた



「2人っきり、ですわね…」

パープルが何か言っていたが、気にしない
気にしないことにしよう。
ボク達は何事もなく1夜を過ごした



翌朝の会話

「襲ってくれてもよかったんですのに…」

「だから何言ってるんだアンタ!」


ボク達は町を歩いて、これからのことについて話し合う

「これからどうするかだけど、まずはこの町を救いたいと思う」

「え?」

パープルはきょとんとした顔をする

「ということで、町長の家に乗り込もう
  税金を下げてもらうんだ」

「いきなり乗り込むとか、処刑されますわよ!」

ボクは無視して町長の家に向かった
こんな高い税金、許せない。



町長の家は、すっごく大きい豪邸だ。
ボクの人生の収入すべてをつかっても、建てられないだろう

「ここが町長の家ですか、わたくしの家とおなじぐらいですわね…」

パープルお金持ちなんだ

「何をしている?」

「ここは町長の家だぞ、近づくな」

門番が2人話しかけてきた

「ええっと、その…」

パープルが動揺する


「町長に抗議だ、入れてもらおうか」

ボクは堂々と言った

「バカエメラルド!」


「抗議だって?はっ!」

「悪い事言わないからお家に帰りな、今なら町長にはちくらないでおいてやるから…」

門番2人は、ボクを馬鹿にしたような微笑みを浮かべる

「うるさい!抗議する」

「適当に痛めつけてやるか…」

「牢屋にでも放り込んでおこうぜ」

門番2人は拳を構えた。
ボクは…


2人をあっさり殴り倒した

「つえぇ…」

「なんだこいつ…」

門番なのに弱いな…

「あぁ、もう取り返しつきませんわよ…」

「構わない、ボクは町を救うんだから。
  目の前の町を放って、世界の争いは止められないよ」



「なにごとだい…」

金髪ショートヘア―の偉そうな男と、金髪ロングヘアーの巨乳で鎧を着た女の人が出て来た
偉そうな方が町長っぽい

「町長様!こいつらが町長に抗議したいと…」

「ボクに抗議だって?はっ!」

町長は馬鹿にしたような微笑みを浮かべた

「何がおかしい?」

「ボクはえらいんだ、それに抗議するなんて許されるとでも思ってるのか」



「偉いからって税金とりまくっても許されるのかよ」

「当たり前だろ。」

「つっ!」

ボクは町長に殴り掛かろうとした
金髪の女が立ちふさがった

「町長様に手を出すな」

「姉上、やってしまえ」

金髪の女は町長のお姉ちゃんらしい



「お姉ちゃんなの?なら弟の悪事を正そうとは思わないの?」

「黙れ、お前に私の何が分かる」

女は剣を構えた
ボクも剣を抜く


女の人はボクに斬りかかって来る。
ボクはなんとかして受け止めた

「なっ!」

速い、異常だ



女の人は下がって距離を取った

「やるじゃないか、これを受け止めるなんて」

「な、なんですのあの速度。
  隊長級?それ以上…」



「姉上の剣を受け止めるとは、すごいね。
  殺すのは惜しい…生かして捕らえて!拷問して従わせる」

「…はい、町長様」

女は拷問、という言葉に少し嫌そうな顔をした
彼女は悪人じゃないんだろう



「あんなやつに従わなければいいのに、君は強そうだし」

「………」

女はボクの剣に斬りかかって来た

「うわっ!」

さらにもう一度きりかかって来る

「おわっ!!」

ドンドン剣の構えを維持できなくなる



「私の剣を一度食らって構えを維持できるパワーはすごいが、剣の技術はまだ並レベルだな
  力も技術も一流なら、何度食らっても構えを崩さない」

「(そ、そんな…わたくしの部隊を壊滅させたエメラルドで歯が立たないなんて…)」

女はボクの剣にまた斬りかかってくる
ボクの剣はすっ飛んで行った



女はボクの腹の急所を殴る

「がはっ!」

ボクの意識は遠のいていく…

「こんなに、強いのに、なんであんなやつに…」

「………」

「エメラルド!!」

パープルの叫び声が聞こえる…
ボクは意識を手放した

また1~2週間以内に投下します

ちょっと心理描写が足りないと思うのですが、十分でしょうか?

心理描写を少しだけ足すように心がけつつ、テンポが悪くならないようにします
そんなにうまく出来るか微妙ですがね

おや、再開ですか?

>>45
あ、いいえ、即興じゃなく書き溜めなんで。
いますぐ再開は無理ですね
書き溜めは再開しますが。

2章完結まで出来たら投下するので、楽しみにお待ちください

2章完結しました、投下します
1週間~2週間以内って言ったので、いくら早くてもいいですよね。


拷問室で、誰かが殴られ続けている
ロープに吊られた水色髪の女の子だ、サラシとズボンだけの状態になって居る

「まさか、女だったなんてな」

下種な男が笑う

「お前みたいなバカな女、見たことないよ
  エメラルド、だっけ?」

エメラルドの表情は無表情だ。
彼女は顔に何も浮かべない



「このクソがぁ!」

下種な男はエメラルドを殴った
だけどエメラルドは反応しない、人形のように

「な、なんなんだこいつ…」


ボクはずっとイメージトレーニングしていた、あの金髪の女の剣に勝つ方法を
剣の動かし方、攻撃を受け止めるタイミング

「てりゃぁ!」

攻撃をする、だけど女は余裕で受け止めて…
反撃に転じ斬りかかって来る。

「きゃっ!」

これが現実ならここで死ぬ。



相手から斬りかかって来る、ボクは受け止める
だけど

相手が連続攻撃をし、守りは崩れる。

「うわっ!」

守りが崩れたところを攻撃され、ボクは死ぬ

勝てない、イメージの中でもう何十回と負けてる。



狩りはミスれば死ぬ世界で、練習なんてない。
だからボクはイメージで修行し、狩りを成功させてきた。
ボクは今回も狩りのように、何度負けても、イメージ修行を繰り返す。

丁度なんか体が痛いし、ちょうどいい臨場感だ。
狩りなら2度目どころが失敗すれば死ぬんだ、それに比べたら痛いぐらい平気さ



ボクは何度も斬られ、女の剣にボクの技術が追い付いて来た
ボクは斬りかかって来る女に合わせて、女の剣を受け止める

「なっ!」

イメージの中で、女は驚いている

「勝てる実力が付いた」

ボクは女の剣を斬り払った
女の剣は吹っ飛んでいく、イメージの中で、だが…

「君を倒しに行くよ!」

ボクは堂々と宣言した。
ボクは村育ちで、剣の師匠などいなかった。ずっとこの方法で修行してきた
これはボクの必勝の修行法だ。


町長が拷問室にやって来た

「もう1ヵ月だ。
 まだ彼女は屈服しないのかい?拷問官…」

「町長様!はい、無表情で、痛みを感じてないような様子で…」

町長は気に入らない、という表情をした

「実に不愉快だ、ボクに屈さないなんて
   彼女を牢屋に入れる、次は別の人を呼んで性的拷問を行う事にしよう」

「まだ俺はやれますよ!」

拷問官はそう言って、力なく笑って見せる
その表情には絶望が浮かんでいる、これからどうなるか分かっているかのようだ



「君のような無能はもういらないよ…お前たち」

兵士が数人、拷問室に入って来る

「君は彼女を一時牢屋に、残りでこの無能な拷問官を殺しなさい」

エメラルドは兵士の1人に運ばれる。
そして残りの兵士は剣を抜いた



「やめてくれよ、まだ俺はやれるんだよ
  従わせて見せるから、な!」

町長は部屋から出て、拷問室の扉を閉めた

「うわぁあああああああ!!」

拷問官の悲鳴が聞こえた

「ちょうちょうさまぁあああああ!!!!」

町長は悲鳴に何も興味を示していない
心からどうでもいいようだ。


わたくしはもう1ヵ月、牢屋に閉じ込められています。
貴族の名門のわたくしが、1ヵ月臭い飯しか食べてませんわ。

「…エメラルドが居たら、エメラルドと抱き合う妄想で、臭いごはんもうまくなったのに…」

「いや、アンタ何言ってるんや!」

金髪ショートヘアーの、胸がかわいそうな女の子が突っ込む



「知らなかったんですの?妄想は義務です」

「いや、そんな義務ないし…」

冷静に返された、こいつ、やりますわね!
突っ込み力だけならエメラルドより上…



「あぁ、エメラルド、帰ってきてください
  妄想でしか会えないなんて悲しすぎますわ」

「もういいや、突っ込むのも疲れるわ。」

金髪の彼女は同じ牢屋のマシ・ドメンさん。
牢屋に居るのに知的な方で、突っ込みのプロです。



兵士がやって来た、兵士はエメラルドを持っていました
上半身はサラシだけの姿で、傷だらけです

「エメラルド!」

エメラルドは人形のように無表情だ
かつての明るかったおもかげは、ない…



「一時ここに閉じ込める、すぐにまた拷問を再開する」

「エメラルドに何をしましたの!」

わたくしは怒りを込めて叫びました
魔族バレしますが、こうなったら魔法で…

「何って決まってるだろう、拷問だよ
  町長様に逆らうとこうなるんだよ。」

兵士は下種い笑顔を浮かべた。

ぜったい魔法でころす!
わたくしが魔法を使おうとした、その時!


「にゃぁ、修行終了」

ボクは笑顔で目覚めた。

「「「は?」」」

みんな、は?という表情を浮かべている
なんだこのムード…とりあえず。



ボクはあっという間に兵士を殴り倒し、剣を奪った

「じゃ、牢屋から出て反撃しようか」

「い、一か月拷問されていたのでは?」

パープルはあ然としている
ボクは自分の体を見た

「き、傷だらけだ!」

「「今気づいたの!」」

パープルと金髪の子は、驚いている



「ボクの体をよくも!町長倒す!」

体を傷つけるなんて、許せない!
無抵抗の相手を傷つけるとか、さいていだ!

ボクは牢屋の鉄格子を斬った

「「なっ!」」



「さぁ、2人とも行くよ
  ていうか君誰さ?」

「うちはマシ、マシ・ドメンや…
  鉄格子を斬るなんて、アンタなにものや?」

ボクは大きく笑った

「ボクはエメラルド、ただの猟師さ。
  さぁ、早く町長倒そう」


ボクは町長の兵士の急所を外しつつ、斬り倒しながら、町長の部屋に向かう

「こ、これで負けたんか?町長の姉に」

「そうですが、なんかその時より強くなってますわ。
 拷問されたら強くなった…なんで?」



町長の部屋の前に、あの金髪の女が立って居た

「…お前は、こんなことして、今度こそお前を殺さなきゃいけなくなってしまったじゃないか」

女は苦虫を噛み潰したような表情をしている



「やっぱり、こんなことしたくないんだね
  あんな町長に従わなければいいのに」

君の心を、傷つけるだけだし

「…貴族は長男が継ぎ、リーダーになるが掟
    そしてリーダーには絶対服従。
      仕方が、ない…」

彼女からは迷いが見て取れる



彼女の後ろから兵士たちがやって来た

「助太刀します!」

「この少女、強いです!」

やばいな、女と兵士、両方を相手にするのはさすがにまずい



「うちにお任せや、こう見えても戦えるで」

マシは拳を構えた

「わたくしも、最低限の剣術なら」

パープルは兵士から奪っていた剣を構えた

「…2人とも…雑魚は任せたよ!」

ボクはそう言って女に斬りかかる!
戦闘開始だ。


兵士はマシに斬りかかります

「そおい!とりゃ」

マシは兵士をよけて、拳を叩き込みます

「がはっ!」

兵士は倒れます



「こいつ、強いぞ!」

「あの少女の仲間だ、危ない、1人では近づくな」

兵士はマシさんを包囲しながら、じわりじわりと近づいてます

「やばいな、腕に自信はあっても、エメちゃんみたく人外じみた強さはないんやが
  ”あれ”がないと…」

”あれ”が何かは知りませんが、あれがなくてもあなたはお強いですよ。
だって…



「ぬぉおおおおおおお!!」

「ぬぉおおおおおお!ですわ!」

わたくしさっきから1人の兵士と、ずっと剣の押し合いやってますもん
いやぁ、剣では1人の兵士と互角で、剣で2人以上を相手するなんて無理です
魔法職ですので…

でも魔法を使うと魔族バレするから使えないという
魔法を使えれば、こんなやつらあっという間なのに


うちの目が光った

「相手の動きを計算、効果的な打撃を加えるで」

兵士たちが襲い掛かって来る
うちは兵士達の人数、攻撃方向、速度を計算し

全員にタイミングよく拳撃を叩き込んだ

「がはっ!」

「うわっ!」

「ぎゃっ!」

「げふっ!」

兵士達は全員吹っ飛んで倒れる

「ま、こんなもんやな」

人外じゃなくても、頭を使えばあっさり勝てるもんや



「ほえ?」

パープルと押し合っていた兵士が、驚きの表情を浮かべている

「隙ありですわ!」

パープルは兵士を斬った

「がはっ!」

兵士は倒れる



「お見事やな」

「それはこっちのセリフですわ…」

いや、うちも地力はパープルと変わらないんやで。
ただ戦い方を工夫しているだけで。


女はボクの剣を受け止めた

「つっ!」

前より迷いがあるせいか、力がない
あっさりボクの剣に怯む



「ボクの傷を気にしているの?」

「ケガしている女の子相手に、全力を出せるか!
  私はそこまで下種ではない!」

やっぱり彼女はいい人だ。
本当はいい人、だけどあの町長のせいで



「いい人だね、それはいいけど
  ボクを舐めない方がいいよ、あの時とは違う」

「何が違うというのだ?お前は拷問されていただけで、修業する暇など…」

へへへ、そう思うよね
だけどボクは、脳内で修行できるのだ。

ボクは女の剣を斬り飛ばした

「なっ!なんで…」

女は驚きの表情を浮かべている

「ボクが強くなったのと、後は君の迷いだね
  君が実力を出し切れば、ボクはここまであっさり君の剣を飛ばせない」

「迷い…」

ボクは叫んだ

「迷うようなことするから負けるんだよ、これが侵略者だったら死んでるよ。
  迷わない正しいことをするんだ、自分らしいことを」



「自分、らしい、こと…」


町長が兵士を連れてやってきた

「姉上が負けるなんて、やはり強くても女だな 
 同情でもしたんだろ」

町長は実の姉を、バカにしたような表情を浮かべる
兵士達はそれに対して、町長の姉を尊敬しているのか、複雑な表情だ



「実の姉にその言葉、それでも貴族か!」

パープルは珍しく怒鳴った。
パープルも怒鳴るんだ…
町長はひるんだ

「ひっ!怖い、お前らやってしまえ!」

怯みながら命令する



「お前ら、私の命令だ  
  今日から町長は私だ、そいつの命令は無視しろ」

姉は堂々と命令した

「なっ!姉上…」

『はい!』

兵士は姉の命令に従った



「何をしている、このボクが町長だぞ。」

「もうお前に従うのはうんざりだ、悪事ばかりで民を苦しめて
   こいつを牢屋に入れろ、顔も、みたくない」

兵士は町長、いや元町長を牢屋に連れて行く



「決心したんだね…」

「もっと早くこうすればよかった、目を覚まさせてくれてありがとう
  お礼を言っても、言い切れない。」

女は優しい表情を浮かべている
あぁ、こっちが本性だったんだ

やっぱり世界が反転した
パープルが復讐鬼から、普通の女の人に変わった時と同じ


広場で女は演説した

「我が名は、ビュティ・フレンドリー
  今日から私が町長になる」

「町長の姉じゃないか…」「さらなる悪政か…」「怖いわ…」

町人がささやき合う
町人にとっては、彼女は町長の怖い姉だからだろう



ビュティは悲しそうな表情を浮かべたが、すぐに決意の表情に変えた
この町を治めるものとして、こんなことじゃ悲しんでいられないのだろう

「私は前の町長と違って、善政を敷くつもりだ
 税率も20パーセントまで下げる」

『え?』

町人達は驚愕の表情を浮かべている
町人達の価値観も、町長の姉=悪から、反転しつつあるのだろう



「私は信じられないだろう、だけど時間をかけて信じて行ってほしい
  私が善政を敷く、しっかり町を治めるから」



宿屋の主が言った

「過ちを犯した女ぐらい信じられなくて、何が男でぇ!」

「そうだよ、うちの人の言う通り!」

宿屋の奥さんが、笑いながら宿主に賛成する

「まぁ、私は女なんだけどね。ハハハ!!」

奥さんは豪快に笑った

「余計な事言わなくていいやい!」

宿主も笑う
場の空気が、変わった気がした



「信じて、見ようかな」

「過ちはだれにでもあるしね」

「女だけど許す!」

これから町はビュティにより、幸せになって行くのだろう
これから旅人は豪快な宿主に迎えられ、この町を楽しんでいくのだろう
きっとそうなる


ボクは笑った

「さぁ、拷問のお詫びにお金貰ったんだ
  この金で変わった町を楽しむよ」

「町観光ですわね!」

「うちも行っていいかな?」

「「もちろん!!」

ボク達の観光が、今始まる。
そして冒険は始まったばかり


第二章 完

町観光は番外編として投下します。
1週間~2週間以内に、です。


番外編 税金とおばさん

町の広場でベンチに座りながら。
ボク達はリンゴを食べる。
1つメダル12枚だ

「…ところで税金って何?」

ボクは聞いた

「「!!!!」」

2人は驚いている
え?知らないと変なの



「税金ってのは、自分達を守ってもらう代わりに納めるお金の事やで
  お金を払うから、兵士さん守ってぇ、的な」

「へぇ…」

そうなんだ

「まぁ、エメラルドは田舎の村の出ですしね。
  知らなくても無理はない、ですかね…」



「2人は村での友人とかなん?
   パープルの方はかなり古いけど」

古いって!
それボクでもやばいって分かるよ

「古い、中古のおばさんって言いたいんですか?
  ふんす!」

パープルは立ち上がり、怒って1人で歩いていく

「パープル!古いもんを古いって言って、何が悪いんや」

「いい加減にしろ!」

ボクはマシを殴った

「がはっ!なんで…」

マシは気絶した
本当に分からないのか、こいつ



「…よく考えたら行く当てありません」

そしてパープルは戻って来た、早いなこいつ。




※番外編は宣言せず投下します。1レスのとかもありますので、いちいち宣言してられませんしね。
   基本本編よりギャグよりなので、息抜きにお楽しみください

番外編 新名物 ビュティ饅頭

屋台で店主が元気に呼び込みしている

「新しい町長になった記念、ビュティ饅頭だよ!
  町長の饅頭だ!税金下がったし安いよ」

ビュティの饅頭か、ふむ…



「3つちょうだい」

「おぼっちゃん!はいよ!」

ボク女の子なんだけど、まぁ男装してるしそう言われるよね。



ボク達は広場のベンチで饅頭を食べる

「意外とうまいね!2人とも」

「こういうのはまずいと決まっているものですが、まさかおいしいとは。」

「こういうのはまずいって何?論理的に決まってるの?」

マシは相変わらずズレてるな



町の人たちが話している

「あの饅頭屋、ビュティ様が雇ったって」

「そうなの?前の町長なら斬ってたのに、本当に町は変わったのね
  町長に仕えるなんて、すごく給料いいでしょ」

あの人はビュティに雇われたのか



「もしもあなたが町を変えなければ、饅頭屋は死んでいたかもしれませんわね」

「なんで?」

「ビュティさんの顔の饅頭を作ったら、あの弟ならどうしたと思います?」

…処刑しそう
あいつのことだし

「ボクは、町を救ったのかな?」

「間違いないやろ、論理的に考えて。
  アンタは町の英雄や」

英雄か、なんかそう言われると照れるな。



「あっ!ビュティの顔がぐちゃぐちゃに…
  やっぱり人の顔の饅頭はあかんな」

こいつは…とことん空気を読めないというか
なんかいい話で終わりそうだったのに

「でもそれがマシなんだね」

「マシなんですわね…」

「???」

マシは?マークを浮かべている
やっぱりマシだ。


番外編 ついて来るの?

「そういえばマシって一緒に行動してますが、わたくし達の旅についてくるんですか?」

パープルが聞いた
ボクも気になってたんだよな

「うちは本当の英雄を探す旅してるん。
  英雄に会って、その英雄に解決してもらいたい問題がある」

英雄に解決してもらいたい問題?



「困ってるなら力になるよ、英雄じゃなくたってボク達が居る」

「わたくしたち、もうお友達でしょ?」

英雄とか関係ない、友達が困ってたら助ける
理由なんていらない



「少しだけ、見極めるのに時間が欲しい。
  アンタらの旅について行って、それで決めるわ」

まぁ、会ったばかりの人を普通信頼しないか

「ゆっくり関係を築こう、ってことだね」

「まぁ、そうなるな」




パープルが顔を赤くしている

「「パープル?」」

「ゆっくり付き合い始めるんですわね!!わかります!!」

「違う、ちょっと君黙ってて」

パープル脳内ピンク色なの!!
なんかいい話で終わりそうだったのに。
まったくこれだからパープルは。

次の投下は第三章になります、お楽しみに。
第二章の番外編はもう投下しません

投下日時は今から2週間以内です。

ところで投下する時間って、もっと絞った方がいいです?
明日の~時に投下、とか…

書いてくれるんならいつだろうが気長に待つよ

>>68
分かりました。
では今まで通り気ままに投下しますね。


ボク達は町から出て北へ歩いていた。
王都へ向かうためだ

「王都で嘔吐する、なんてな」

マシがなんか言い出した



「「………」」

空気が凍った

「なんでや!面白いやろ」

面白い訳がない。



「話は変わりますが、北の方に川があるそうですね。
  川の橋を渡った先が王都」

「川ならあと少しで着くよ、こりゃ王都まで時間がかからずつきそうだね」

「トラブルがないとか、つまらへんやん…」

なんでマシは空気が読めないのか。
ここまでくるとある意味すごい。



道の途中に看板が立って居た
看板の前に、商人らしき人が居る



「こまったなぁ…」

何か困っているようだ
とりあえずボクは話しかけた

「どうしたの?おっちゃん」

「魔物が出たらしくて、先に進めないんだよ
  王都へ続く道はここしかないのに…」

魔物か、そりゃ大変だ。

「倒してくるね」

ボクは看板の先に進んだ



「「待て、少しは考えろ!」」

仲間2人に体を掴まれる。
だが…

「うるさい、目の前の困っている人を放っておけるかぁ!」

ボクは振りほどいて奥に進んだ。
ボクは止まらない




「あ、あの子大丈夫なのかい?」

「強いから大丈夫だと思いますが、とりあえず追いますわよマシ!」

「あぁ!」


ボクは看板の奥にやって来た
大きい亀の魔物が、甲羅に閉じこもっていた

「こ、甲羅?そんな…」

亀の魔物はいきなりジャンプした



「きゃっ!」

ジャンプによる振動で、ボクはこけた



亀の魔物は顔を出した
そしてこちらに近づいてくる

「く、来るな!」



「世話がやけますわね」

火がいきなり現れて、亀の顔を襲った
亀は驚いたような表情をする、だが…

すぐに顔を甲羅の中にしまった



「なっ!はやい」

「世話できてないじゃん」

ボクは思わず突っ込んだ

「う、うるさいですわ
  これほど速いとは想定外で…」



「あんた、魔族やったんやな…」

マシが言った。
あ、そういえばマシには言ってなかった

「あの、その…ですね…」

「パープルはいい人だよ、魔族だけど」

マシは肩をすくめながら言った

「どうでもいいわ、そんなこと
  種族なんて」

「「マシ!」」



「それより、あいつ倒す作戦があるんや
  魔法を使えないとできない」

作戦だって、そういえばマシ意外にあたまよかった

「失礼な事考えたよな?あんた」

「か、考えてないよ」

なぜバレたし。


「ごにょごにょにごにょ、出来るか?」

マシはボクらに、作戦を教えてくれた

「む、難しいですがやらなきゃ進めませんしね
 任せてください」

パープルは自信なさげだ



「きっとパープルなら出来るで、失敗したら全速退却すればいい。
  気負わず行くで!」

相手を応援しつつ、プレッシャーを与えない。
マシ空気読めたんだ!

マシはこっちをにらんだ
やっぱり考えてることバレ…

「いろいろ言いたいが、言ってる場合じゃないな
 作戦開始や、うちは応援しかできん、許してな」



「作戦を考えてくれただけ、ありがたいですわ」

パープルは祈るように両手を構えた

「母なる大地よ、時には厳しく、その地を荒げたまえ」

そして呪文を唱える
地面からとがった土が現れ、亀を刺した



亀は悲鳴をあげ飛び跳ねる

「できた、初めてだけど!」

「よし、エメラルド次」

「任せろぉ!」

ボクは地面をすべるように進みながら、亀の下の部分を切り裂く
ボクは亀の下を抜けた



「どうだ!!」

亀は死んだ
こんなのひとたまりもない


「「やったぁ!」」

「パープル魔法すごいじゃん!」

「マシは頭いいですわ!」

「エメラルドは相変わらずすごい剣や!」

ボク達はお互いを褒め合う
笑顔で、すっごい笑顔で



「ボク達、いいパーティかもね」

「最強やで!」

「ですわ!」

それぞれ得意な事で、活躍できる
ボク達は最強パーティだ。



その後ボク達は商人に報告し、先に進んだ。
王都がボク達を待っている、ってね。

第2.5章 完


番外編 王様ってどんな人?

「そういえば、この国の王様ってどんな人?」

ボクは2人に聞く

「しらんし」

「わたくしが知る訳ないでしょ」

2人とも知らないようだ。
そりゃそうだよな、って



「マシはなんで知らないのさ?」

「うちはこの国の出じゃないからな」

え?
人間の国と魔族の国、2つしか国はないことぐらいボクでも分かるけど



「魔族でしたの?」

「違うで」

え?
じゃあ…

「どこの出身?」

「北の方の大国かな?」

北の大国、そんなものないと思うけど



「マシが間違ってるんですわね」

「まぁマシだしね」

マシなら仕方ない

「ほんとやで!後で案内したるから。
  腰抜かしても知らへんど、すごい国なんだから」

そんなわけない、国は2つしかないんだから
まったくマシマシは。

ギリギリ2週間以内の締め切りに間に合いました、番外編1つだけですが
また2週間以内です、今日もう1度投下するかもしれませんし、2週間以内ギリギリかもです

※2週間以内に絶対何か投下します

すみません、エターさせていただきます。
先の展開が思いつかないので…

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