ゴブリンスレイヤー先輩 (11)
注意
ゴブリンスレイヤーの二次創作です
この作品はフィクションであり、実在する人物、団体は関係ありません。
オリジナル展開がほとんどです。
Z級映画展開でやりますので、細かいツッコミは不要です。
この世界では二種類の生き物がいる。
プレイヤー(祈るのもの)とノンプレイヤー(祈らないもの)。
概ね、この二種類だ。しかし。
何事にも例外はある。
そう。
ノンプレイヤーにも祈る事しかできないシュチュエーションものが、ある。
例えばノンプレイヤーの代表例な彼、ゴブリンAが現在見ているこの状況とか。
状況――ゴブリンAの前で仲間のゴブリンBの尻と裸人間男の腰が打ちつけあい、激しくピストン運動している。ゴブリンBは虚ろな目で力なく男のなすがままになっている。
ゴブリンAは、助けを求めるように周りを見渡す。
仲間のゴブリンCは洞窟の壁の側でうつ伏せに死んでいる。洞窟の壁には脳漿と血。
仲間のゴブリンDとゴブリンEは刃を欠けた剣でお互いの喉元を刺しあっている。
仲間のジャーマンゴブリンは毒を飲んで、泡を吹いて死んでいる。幸せそうに。
死因は様々なれど、共通するものがある。それは男の体液にまみれている事だ。
ゴブリンAはこの状況が終わるように祈ろうとしたが、洞窟の中で響くピストン音が響くたびに現実に引き戻された。
ゴブリンAは本能的に舌を思い切って出し、噛み切ろうした。
が、男の手がゴブリンAの口の中に突っ込まれる。男の手はしっかりとゴブリンAの舌掴んで。
「ごめんね。この子の相手ばっかりやって、寂しかったでしょう。今から貴方を愛してあげる」
男は笑顔でそう言った。
数時間後、ゴブリンAは投身自殺した。
男は周りからゴブリンスレイヤーと呼ばれていた。
しかし、彼は自らの名前をこう言った。田所、と。
田所は歩く。
ゴブリンの血に塗れた洞窟の中を。
不自然に静まり、啼き声ひとつしない森の中を。
彼の姿を見ると一目散に逃げる野盗たちがいる広野を。
田所は独り歩く。彼がホームにしている街中を。血に塗れた錆び銀の小板のネックレスを首からぶらさげながら。
勿論、街中は彼独り歩いている訳ではない。エルフ、レーア、ドワーフなどなど多種多様な歩く街中。
しかし。
「寂しいなあ」
自分にしか聞こえないように、田所は呟く。
このホームにしている街の名前は【下沢北】。
ここには彼には一晩中酒を飲んで騒げる友人も、背を預けうる戦友もいた。
しかし、寂しい夜にとも寝る恋人はいなかった。
彼が愛した者は平等にいなくなった。
田所は静かに心の中で涙を流した。
彼は彼なりにいなくなった理由は冷静に分析していた。
それは明確であった。足りないのだ、圧倒的に。
愛が。
彼らに対する愛が、である。
田所は無意識に膨張してきた股間部を意識しながら、内股気味に歩く。
次はもっと濃厚に、激烈にしなければ。
そう、思っていると、彼は街の目的地に着いた事に気づく。
田所の目の前に南国風の瓦と木造の平屋。入り口の看板には「冒険者組合」と書かれている。
彼はゆっくりとその敷居を跨いだ。
街によって特色がわかる場所は3つある。
1つは市場。経済の流れ。
2つは教会。文化の発展、信仰具合。
そして、3つ目は冒険者組合。治安の需要と供給。
では、この【下沢北】の冒険組合はどうか。
田所はその冒険者組合のドアを開ける。静かに、何事もマナーは重要だ。例え昼間の冒険者組合でも。
と、同時に少年4人がすれ違いで出て行く。剣士、武闘家、魔法使い、ケガなどの理由でドラフト指名されなかった不運の野球選手。
田所が彼らの装備を見る限り、そうではないかと予測。と同時に心配していた、彼らの装備は主武器と安い金属で作られた鎧で貧弱だったから。
新人の冒険者――よほどのスペシャルでもなければ、コンプレックスと根拠のない自信だけが武器の若者たち。
「あんな可愛い子たちがキズつくのは心が痛むな」
しかし、あの歳では素直に人の言葉に首肯するものは少ない。
田所は首をわずかにふると、冒険者組合のカウンターにむかう。
カウンターにはカウンターの上に足をのせ、タバコを吹かす男、谷岡。
「ゴブリン退治は終わったわ。次のゴブリン退治の依頼をお願い」
ちっ、と吐き捨てる谷岡。
「悪いな、ゴブリンスレイヤー。今日の抽選会は終わったぜ」
「ホント」
「本当」
「誰」
「さっき出て行ったガキどもだ。まったく運が良いのか、悪いのか」
「……」
「おっと、そんなに怖い顔すんなよ。ルールだろ、人気ある依頼は公正に抽選、と」
「……わかった」
田所はそう言い残すと、カウンターに背をむけ、離れようした。
と、谷岡。
「新人は経験が必要だ。時間はくれてやれ」
田所は正面を向いたまま、言う。
「じゃけん、夜行きましょうね」
来週末にまた次は書きます
ゴブリン退治――。
それは報酬が低く、敷居の低い任務。
しかし、決して難度は低くない。だが、決して高くはない。
成功はすぐに手に届きそうだが、その手をゴブリンどもに掴まれたら、悲惨な末路。特に女性は。
彼らには、異性、番(つがい)という概念がないのだろう。というか、欠けている。
これは彼らが男だけの種族の影響のせいだろう。彼らはいかなる種族の女性を自分たち、ゴブリンの子どもを増やす道具にしか見てないのだから。
冒険者たちは、普通はゴブリン退治を敬遠する。
普通の冒険者たちは、崇高な死に様は許容できても、無残な死に様は許容できない。
これは当たり前の話だ。貴方たちだって嫌だろう?
しかし、ここ【下沢北】の男たちは違った。
彼らは、ゴブリン退治の任務が大好きだった。任務受注には抽選会ができるほど。
これには理由がある。【下沢北】という街ができた理由と同じ理由が。
それはある男の一言から始まった。
「ゴブリンは男しかいないのだから、その対応はホモに任せては」
男の名前はガッフェ伯爵。
ガッフェ伯爵はゴブリン被害にあう辺境の村の嘆願書の束を見て悩む王の前に立って言った。
彼は何故か、性病によく効くポーション、ホモ人材のリスト、そしてゴブリンの尻の穴はホモたちにとって具合が良い事を知っていた。
王の苦悩は瞬間のうちに溶けた。教会で厄介とされているホモと辺境の厄介者、ゴブリンが潰しあうのだから。
許可。ひとつの街を作れる程の予算をつけての圧倒的な許可を出した。
念の為、その街の管理者には一つの任務を遂行せずに白銀級になった素晴らしい冒険者の紹介の男を据えた。
これで安心だ。王は安心し、呟いた。誰に聞こえるはずのない独り言を。
ホモやゴブリンたちはどうなっても、構わない。
俺は嫌な思いはしないのだから、と。
ォン
オォン!オォォン!!
血、糞、体液の臭いが充満し、闇が広がる洞窟の中。
冒険者たち男4人は裸で輪になって、四つん這いになりながら犬の鳴き声を模して叫んでいた。
それを愉しそうに見つめるゴブリンG。その手には血のついた棍棒、股間は膨張。
血と体液が混じる淀んだ空気の中で、冒険者の一人、TDNは洞窟に来る前の時を思い返していた。
どうしてこうなったのだろう、と呟きながら。
人間にしては昼間。この洞窟の住人にしては真夜中。
カビ臭い洞窟の中に異なる臭いを広がり、乱入者を存在を知らせていた。
ゴブリン01は耳を地面に当てて、その乱入者を通り過ぎるのを待ち受けていた。
足音は8つの音、つまり4人。
あとはこの音が遠く過ぎるのを待って、横穴から飛び出し、背後から奇襲。
真夜中の夜食を妄想し、唾液が出る。
と、足音が遠くなった。
ゴブリン01とその仲間は横穴から飛び出す。
しかし、そこで見たのは冒険者たちの姿を見て、固まった。
そこには、全裸で尻に魔法使いの杖を刺して四つん這いで歩くDB。DBの首に首輪チェーンをして、ひきずって歩くキチョーリ。DBの尻を時折タイキックするHTN。
しかし、固まったの一瞬。すぐに襲いかかるゴブリン01たち。
そして、その一瞬のうちにDBに詠唱が終わった。
「雌豚は芥に。資本主義の豚は天上に。〈ライトニング〉」
HTNは優れた体術でDBの尻から回避し、DBの尻から雷撃の魔法が放たれた。
目の前で閃光。ゴブリン01思わず伏せた。頭上で死が通り過ぎ、背後で肉が焼ける臭いがした。
そして、目の前を見ると挟みうちを狙った前方からゴブリンたちがキチョーリにやられている。ゴブリンたちの断末魔。
ゴブリン01は逃げると決心した。前方のゴブリンたちを囮に自分だけ逃亡することを。
すぐ実行しようと、立ち上がり、洞窟の出口の方を振り返る。
と、そこにはぎこちない投球ファームで振りかぶる男が1人。
そして、衝撃。150キロ近い直球がゴブリン01を襲った。
ふぅ、とTDNを吐く。汗と鼓動は止まらない。
入口近くで待機し、洞窟内と外の明暗差と逆光効果を活かして、スナイプする役割。
遠距離で安全性は非常に高いが、初の実戦は距離など関係ないと、冷たくなった服が教えてくれる。
前方を見ると、キチョーリたちがゴブリンたちを追撃を始めている。慎重に大胆に。
TDNはその様子見て、安心する。もう一度、目を閉じて、大きく呼吸した。
そして、背後にゴブリンGに襲われた。
時刻はTDNたちが洞窟内に突入する前に少し遡る。
森の中。ゴブリンGは攫ってきた孕み袋の前で困惑していた。
自身の股間が全然反応しないのだ。
成長しきってない肉づきが薄い身体。殴って、顔を腫れた泣き顔。光を失った目。
いつもなら、興奮するはずなのだが。
ゴブリンGは自身の経験則とそれと相反する自身の体の反応のギャップ困惑していた。
自身のこの変化。心当たりはある。
昨日、襲撃してきた。人間の男だ。思い出すだけで尻の痛みがひどくなる。
しかし、尻の穴の痛みとともに股間が膨張してくるのがわかる。
ゴブリンGはその悪夢ような現実を振り払うように、孕み袋を殴り、蹴り、殴り続けた。
そして、拳の痛みで我に返った時には孕み袋は死んでいた。
次を。次を探さなければ。
脆弱な孕み袋に、最後に蹴りをくれてやると、ゴブリンGは歩き始めた。
森の出口らへんになると、洞窟の臭いした。
茂みを隠れて、様子を見る。臭いを嗅ぐ。
同族の血と焼けた臭いが混じる。敗色濃厚。
見捨てて、さっさ逃げた方がいい。頭はそう思っているが、体は、視線は入口に待機している人間の男の尻に釘づけになる。股間はギンギンになるのを感じる。
もう、手に棍棒を強く握っている。頭の中の逃げろの言葉を置き去りにして、ゴブリンGは走りだしていた。
最高の笑顔をしながら。
その後、ゴブリンGとキチョーリたちはもう糞まみれや。
ゴブリンGの股間を凝視したキチョーリたちは一瞬で状況察し、受け入れた。何故なら。
彼らはSでもあり、Mであった。言葉や祈りは必要ではなく、肉体の高鳴りだけが彼らの全てだった。
どうしてこうなったのか、と。TDNは呟く。
ゴブリンに殴られて気を失った彼がしばらくして気がついて見たのは、終わりなき狂宴だった。闇に蠢き、肌色の残光が跡残る饗宴。
彼らに混ぜるべきはずだ––体は熱く、しかし、頭はどこか冷めていた。ダブルバインド。
TDNには秘密があった。それは彼は男だけじゃなく、女も抱けた。
それは本意ではなかった。しかし、抱けた。白無垢に垂れた一筋の紅。
汚染されたと、思った。汚された。純粋なホモではない。それこそが彼のコンプレックス。ストレンジャーの苦悩。そして、ストレンジャーらしく誰も知らない遠い辺境の街まで、逃げて来た。目を背け、全てを捨てて、立ち向かう事もなく。
やさぐれていたある日。出会う。
どんな世界の端でも太陽は昇るように、太陽のように光る頭をもったキチョーリは彼に手を差し伸べて、言った。
「やらないか」
今現在、ゴブリンGの尻を向けられ、呆然としているTDNを庇おうと前に出るキチョーリ。糞をひねり出そうとしている収束するゴブリンの尻の穴。その後の結果が見えるように想像できる。
TDNだけの太陽が汚される。いつまでも逃げていいのか。自問自答より、早く体は動き、キチョーリの跳ね飛ばした。目を瞑るTDN。
暗闇。そして。
誰かに頬を舐められる感じがした。そして耳うちされた。
「とても綺麗な味。純粋で、ひたむきで」
TDNはゆっくりと目を開ける。そこにはゴブリンGの尻から上半身だけ出た田所がいた。
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