スナネコ「遺跡に遊びに来ました」

ツチノコ「なんだよお前ぇ……ここは暗くて危険なんだぞ」

スナネコ「危険……！」

ツチノコ「その台詞を聴いてワクワクするの止めろよ」

スナネコ「じゃあボク一人で行ってくるので、大丈夫ですよ」
ツチノコ「おうおう、勝手にしやがれ」
スナネコ「ではーー」


ツチノコ「……ったく……ちょっと待てよー」

スナネコ「しりとりをしましょう」

ツチノコ「しりとりってあれか、言葉の最後を繋げていくやつだろ？」

スナネコ「サーバルたちがこれで遊んでたんです」

ツチノコ「ふーん、じゃあスナネコから」

スナネコ「うーーん、カレー」

ツチノコ「まだ執着してたのかお前」

スナネコ「わたし、さばくちほーのスナネコ！」

ツチノコ「何してんだお前……」

スナネコ「サーバルの真似です、かわいいでしょう？」

ツチノコ「まあ、サーバルの真似をしてると元気そうには見えるよな」

スナネコ「私はスナネコー♪」

ツチノコ「トキよりは断然うまい」

スナネコ「私は賢いので！」

ツチノコ「賢いのだろうか……？」

スナネコ「どのボクが好きですか？」

ツチノコ「そんなの……アレだ、オレが見慣れてるのは……」

スナネコ「なんです？」

ツチノコ「今のその目のお前だよ」

スナネコ「これがあの……」

ツチノコ「じゃ、ジャパリコインだぁぁぁ」

スナネコ「これをどうするのですか？」

ツチノコ「今はこれで交換できるものが無いからな、持ってるだけだ」

スナネコ「そうなんですかー」

ツチノコ「欲しいか？」

スナネコ「うーーん、そうですね、くれるなら貰っておきましょう」

ツチノコ「そんなんならやらねぇよ」

スナネコ「そうですか……」
スナネコ「では……ツチノコが大切にしてるものなら、欲しいです」

ツチノコ「それって、お前……」

スナネコ「嫌なら……」

ツチノコ「ほら、やるから失くすなよ」

スナネコ「ごろごろするのは気持ちいいですねぇ」

ツチノコ「それだけは飽きないんだな」

スナネコ「暑いのが苦手なのでーー」

ツチノコ「寒いのも苦手だろうが」

スナネコ「ふふ、ツチノコはひんやりしてて気持ちいいですねーー」

ツチノコ「や゛や゛゛や゛！！！　触るなあ！！！！」

スナネコ「あれ、温かくなってしまいました……」

ツチノコ「も、もういいのか？」

スナネコ「ええ、もうぬるいので」

ツチノコ「……そ、そうか……」

スナネコ「ありえない……」

ツチノコ「どうした、いつになく真剣な顔をしやがって」

スナネコ「少し経ったのにちゃんとここにジャパリコインがあります……！」

ツチノコ「そっこーなくすつもりだったのな」

スナネコ「今日は外に出てみます」

ツチノコ「ふーん」

スナネコ「また砂嵐にどこかに運んで貰おうと思います」

ツチノコ「どこに行くのかも風任せってやつか」

スナネコ「そうです、一緒にどうですか？」

ツチノコ「オレはそういうのはいいや、ちゃんと目的地は決めたいからな」

スナネコ「そうですか、ではーー」

ツチノコ「……今日は暇だな……」

スナネコ「帰ってきましたよー」

ツチノコ「どうだったんだ？」

スナネコ「あれ、どうしてボクの穴に？」

ツチノコ「す、砂地もいいなあって思ってたところだったんだ」

スナネコ「そうなんですかー、あ、新しい友達が出来たんですよーー」

ツチノコ「お、そう、なのか、ふーん」

スナネコ「どうしたんですか？　遺跡に帰っちゃうんですか？」

ツチノコ「もう砂地は堪能したからな、いいんだ」

スナネコ「これで遊びません？」

ツチノコ「なんだこれは……？」

スナネコ「人生ゲーム……らしいですね」

ツチノコ「升目に沢山の指示が書いてあるな、これがコマか……」

ｶﾗｶﾗーー　ｶﾗｶﾗｰｰ
スナネコ「これ、楽しいです」

ツチノコ「それを楽しむためのゲームじゃないだろうが」

スナネコ「いちに、と……えなになに……？　『おめでとうございます、結婚です』」

ツチノコ「け、結婚かあ……」

スナネコ「結婚します？」

ツチノコ「な、何、な、何言ってんだおまぇはぁぁぁぁぁぁぁ！！」

スナネコ「いや、ツチノコも同じマスに止まってるので」

ツチノコ「あ、おう……、いや」

スナネコ「まあ、しなくてもいいかー」

ツチノコ「だな……」

スナネコ「zzzz」

ツチノコ「まったく、こんなところで寝るとか……」

ツチノコ「毛皮……暖かいのかな、あ、本当に暖かい……」

スナネコ「どうしたんですか？　むにゃむにゃ……」

ツチノコ「暖かかったから……その……」

ツチノコ「お前は色んなことに飽きるけどさ」

スナネコ「はい」

ツチノコ「ここに居るのには飽きないのか？」

スナネコ「あきない……というより単に習性なのでーー」

ツチノコ「そうか、じゃあずっとここに？」

スナネコ「そうですね……そうなるでしょう、ツチノコがいたら少しは退屈しなさそうですし」

ツチノコ「そ、そうか」

スナネコ「ツチノコもここにいてくれたらいいですねー」

ツチノコ「おう……」

満足……

スナネコ「メシマズってなんなんですか？」

ツチノコ「飯がマズイってことじゃないのか？」

スナネコ「それは……やですね……、じゃあ歌がマズイひとは……」

ツチノコ「いま凄く失礼なこと考えてるだろ」

スナネコ「ゲームというものがしたいです」

ツチノコ「あれだろ？　キタキツネがやってるやつ」

スナネコ「動かなくても動いた気になれます」

ツチノコ「そこまで堕落したのか……」

スナネコ「堕落では無いです、進歩です」
スナネコ「実際に危険な目に遭わなくても、楽しめますよ」

ツチノコ「なるほど……それは一理ある」

スナネコ「でしょ？」

ツチノコ「なら雪山に行かないと……」

スナネコ「……ちょっとそれは……」

ツチノコ「お、おう」

スナネコ「それは？」

ツチノコ「貯金箱というものだ」

スナネコ「へー」

ツチノコ「……まあ、ジャパリコインを入れておくものだ」

スナネコ「いれてどうするんです？」

ツチノコ「そりゃたくさん貯めていろんなものと交換するんだ」

スナネコ「なるほど……でも、みんなじゃぱりまんで交換できるのでいらないですよ」

ツチノコ「確かになー、でもいつもじゃぱりまん持ち歩くのめんどうじゃないか？」

スナネコ「たしかに……それに、嫌いな味のものもらってもしょうがないです」

ツチノコ「だから、なんにでも交換できるこのコインがいいのだ」

スナネコ「なるほどーー。じゃあこれで誰かに何か交換してもらってきまーす」


スナネコ「だめでした……だれもこれの存在をしりませんでした……」
ツチノコ「……やっぱみんな知ってないと駄目だな」

スナネコ「一休さんという話を読んでます」

ツチノコ「ふーん」

スナネコ「ツチノコに似てますよ」

ツチノコ「こんなツルツルの人間とか？」

スナネコ「このはしわたるな、ってツチノコっぽいですよ」

ツチノコ「実際には、オレたちは端を渡ったんだけどな」

スナネコ「あれ、そうでしたっけ」

ツチノコ「そうだ……」

スナネコ「ふーん、ま、いっかー」

ツチノコ「おもしろいものを見つけたぞ」

スナネコ「なんですか？」

ツチノコ「ルービックキューブだっっ！！」

スナネコ「これをどうするんですか？」

ツチノコ「ぜんぶ色を合わせるらしい」

カショ、かしょ、
スナネコ「難しいですね……あれ？　うーん」

ツチノコ「めずらしく飽きてないんだな」

スナネコ「ええ、ツチノコが折角持ってきてくれたので」

ツチノコ「そ、そうか」

かしょ、かしょ……
スナネコ「うーん……」

スナネコ「できましたーー」

ツチノコ「おおお！」

スナネコ「はあ、やっとできた、じゃあこれツチノコにあげます、はい」

ツチノコ「おう、でも崩すのはもったいないな」

スナネコ「ですねー、飾っとけばいいんじゃないですか？」

ツチノコ「遺跡に飾っとこう」

スナネコ「どうぞーー」

ツチノコ「いつの間にかスナネコの飽きたもの置き場になってそうだな」

スナネコ「それはすいません、でもまたそれで遊べるようになってればいいです」

スナネコ「またあそびましょ？」

ツチノコ「そうだな」