みほ「第2回フリースタイルMCバトル!」 (286)

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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1503141018


みほ「フリースタイルバトル?」
みほ「フリースタイルバトル?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1496063281/)

の続編になります



ガルパンSSです

※キャラ崩壊あり

※これガルパンでやる必要なくね? あり

※百合要素あり

なので苦手な方は注意です

呼称とか変な部分があったら脳内補完お願いします


↓前に書いたSSです

みほ「会長のだいしゅきホールドの腰の感触が忘れられない」
みほ「会長のだいしゅきホールドの腰の感触が忘れられない」 - SSまとめ速報
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みほ「聖グロリアーナが選ぶベスト百合カップルランキング?」
みほ「聖グロリアーナが選ぶベスト百合カップルランキング?」 - SSまとめ速報
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ダージリン「ペコの下剋上。つまりペ剋上ね」
ダージリン「ペコの下剋上。つまりペ剋上ね」 - SSまとめ速報
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みほ「お姉ちゃんは天然ジゴロ」 - SSまとめ速報
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ローズヒップ「ペパロニさんと片想い同盟結成ですわー!」 - SSまとめ速報
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しほ「裏西住流によって他校を制圧する」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1482840135/)


【大洗女子学園 体育館】

桂利奈「出たい!!」

みほ「え?」

桂利奈「出たーーーい!!!」

麻子「どうしたんだ急に叫び出して」

華「……阪口さん、気持ちはわかります。ですが公衆の面前でお通じの話なんて、はしたないですよ?」

沙織「絶対違うよ!なに言ってるの!?」

杏「もしそうだとしたら『出したい』って言うだろうしね~」

優花里「阪口殿、出たいとはどういう意味ですか?」

桂利奈「私もフリースタイルMCバトルに出たい!」

みほ「あー……」

麻子「確かに、この前の大会では補欠だったが出場機会が無かったからな」

桂利奈「私もラップしたかったーー!」

桃「仕方あるまい。だがチーム内で欠場者が出ずにすんだのは御の字だろう」

柚子「優勝もできたしね」

桂利奈「そうなんですけど……それ以外にも不満があります!」

みほ「他にもあるの?」

華「わかります。お通じが悪いと些細なことでも気になり出すものですから」

沙織「だから違うって!」

麻子「バトルに参加できなかった以外の不満とはなんだ?」

桂利奈「……私、後半全然喋ってなかった」

みほ・沙織・華・優花里・麻子「…………………………」

梓「え?桂利奈ちゃん、私たちと試合観てる時にいっぱい喋ってたでしょ?」

桂利奈「うん。でも喋ってないみたいな感じになってた」

桃「どういう意味だ」

桂利奈「……なんていうか……会場にいないんじゃないかってくらい存在感がなかった。補欠のシステム自体無かったかのようだったもん」

あゆみ「そ、そんなことないんじゃないかな?」


杏「んー、ようするに、さかぐっちゃんはバトルがしたいってことでいいんだよね?」

桂利奈「はい!」

杏「じゃあさ、今度の大会出よっか」

桂利奈「…………え?」

みほ「今度って……」

優花里「また大会があるのですか?」

杏「あるよん。小山、説明」

柚子「はい会長。では説明します。前回の大会が好評だったため、すでに第2回大会の開催が決定しています」

麻子「やけに早いな」

桂利奈「やったーー!!私も出られますか!?」

杏「もちのろん」

あや「『もちのろん』!?なにそれ!?もちのろん!?」

優季「なんか楽しそ~♪『れっつらごー』みた~い♪」

桂利奈・あや・優季・あゆみ「もっちのろん♪もっちのろん♪」ワイワイキャッキャ

梓「ちょ、ちょっとみんな、まだ小山先輩が説明中…」

みほ「あはは……相変わらずウサギさんチームのみんなは元気だね」

沙織「はしゃぐ3人をなだめる梓ちゃん。そして安定の……」チラ

紗希「……………………………………」

沙織「冷静すぎる紗希ちゃん」

優花里「……斜め上をじーっと見てますね」

華「あれでは交通量調査のお仕事は出来なそうですね……あのカチカチという機械を使う瞬間を見逃しそうです」

麻子「限定的だな。やる機会の方が少ないだろう」

左衛門佐「何台通ろうとも適当に押しておけばいい」

おりょう「なっ……!卑怯な!」

左衛門佐「武力だけで戦国時代は生き抜けない。策謀は致し方の無いことよ……」

エルヴィン「くっ!否定できない……!」

カエサル「ブルータスこの野郎!」

柚子「……話が進まないからみんな静かにね?」ニッコリ

ねこにゃー「え、笑顔だけどなんか怖い……」

ももがー「目が笑ってないナリ」

ぴよたん「こんな時、非リア充は気配を消すのみ。慣れてるっちゃ」


柚子「それで大会の話だけど、前回とちょっと方式が違うの」

みほ「方式が違う?」

柚子「うん。前は3人で1チームだけど、バトル自体は1対1だったでしょ?でも今回は1チームのメンバー数は2人。そしてバトルは2対2で行われるわ」

優花里「2人と2人で戦うんですかぁ!?」

麻子「それはかなり勝手が違うな」

華「シンプルなカレーと、大盛りカツカレーぐらいの差でしょうか?」

沙織「多分違うかな」

華「それでは大盛りのシンプルなカレーと…」

沙織「そっちも違う気がする。華、とりあえず今は静かにする時間にしよ?人の声だけ聞こう?」

華「わかりました」

優花里「小山殿。なぜ1対1ではなくなったのですか?」

柚子「うーん、特に理由説明は無かったかな。たぶん色々試してみたい時期なんだと思う。1対1だけでもいいけど、2対2でのバトルも盛り上がるなら採用する。その分大会の参加人数も増えるし」

杏「そーなれば、実力があっても出場機会のない子が目に留まる可能性も上がる。FSR(フリースタイルロード)人口の増加に繋がるってわけ」

桃「現実的な話をすれば、参加するラッパーの人数を増やすことによって、集客力のアップにもなる」

杏「ま、他にも色々メリットもあるってわけだよ。で、今回も大洗は出場することになってるから」

麻子「一応、前大会の優勝校だから当然か」

桂利奈「で、でも……」

杏「ん?」

桂利奈「1チーム3人で出られなかったのに、2人になっちゃったら、私は出られないんじゃ……」

杏「ふっふっふ……ところがどっこい、さかぐっちゃんも参加出来るんだな~」ニヒヒ

桂利奈「ほ、本当ですか!?でもどうして……?」

そど子「わかった!謎は全て解けたわ!」

パゾ美「そど子?」

そど子「今回は2チーム出場出来るのよ!だから合計4人!そうでしょう!?」

杏「いや、違うけど。今回も参加は基本的に1校につき1チームだけだよ」

そど子「ちょっと冷泉さん!恥かいちゃったじゃないの!どうしてくれるのよもうっ…///」

麻子「何故私のせいなんだ」ニヤニヤ

ゴモヨ「八つ当たりはダメだよ、そど子…」

麻子「的外れな推理で私を楽しませてくれた上に不正解で赤面してて可愛いそど子の代わりに聞くが、2対2で阪口さんが参加出来るのはどうしてだ?」

杏「それはね……――――」


数日後

【大洗女子学園 体育館】

カチューシャ「来てあげたわよ!この私!カチューシャが!大洗まで!」バァァーン!

ダージリン「久しぶりねカチューシャ。でもあなたが一番最後よ?」

ケイ「遅刻ギリギリなのに余裕たっぷりなのがナイスよね!カチューシャらしくていいわ!」

アンチョビ「うんうん。あの啖呵は威勢がいい!見習わなくっちゃなぁ!」

まほ「……これで全員か」

杏「そだね」

カチューシャ「あっ!アンズーシャ!この前の大会ではよくもやってくれたわね……いつかコテンパンにしてあげるわ!」

杏「楽しみにしとくー」

桂利奈「す、すごい……こないだの大会に出場した人たちがいっぱい集まってる」ドキドキ

優花里「黒森峰、プラウダ、聖グロリアーナ、サンダース、アンツィオ……それぞれがチームメンバーを連れてきてくれてますぅ!なんて豪華なんですかぁ!」

華「まるでココイチのトッピング全部のせカレーのようですね」

沙織「いや、カレーで例え…」

まほ「なるほど……その通りかもしれんな」

沙織「えええっ!?」

まほ「ん?どうした?全部のせのすごさを知らないのか?」

沙織「あ、いえ、なんでもありません……」

まほ「?」

みほ「お姉ちゃん、カレー好きだから」ヒソヒソ

沙織「な、なるほど」


麻子「ん?プラウダだけ4人いるな。控えメンバーか」

ニーナ「」

優花里「あの方は……お人よしそうですがバトル出来るのでしょうか……」

そど子「BC自由学園の人たちが来てないわよ?もしかして遅刻?風紀が乱れてるんじゃないの!?」

杏「や、あの子たちは連絡ついた時の学園艦の位置的にちょい遠かったのと、趣旨を説明したら断られちゃったんだよねー」

そど子「事前に連絡は来てるわけですね。それなら風紀的にセーフだわ」フゥ

アッサム「BC自由学園の方々には事前に説明されていたのですか?私たちは何も聞いていませんのに」

杏「まぁまぁ。あの子たちはそんなに付き合いがあるわけじゃないからさ。無理に来させておいてとんぼ返りになっちゃ悪いからねぇ」

オレンジペコ「……すぐ帰る可能性のある用件なのでしょうか……」

ダージリン「さあどうかしら?聞いてから判断すればいいという話よ」ウフフ

カチューシャ「……知波単の子たちはまだなの?カチューシャより遅いなんて、しゅくせーした上にくんじょうしょうどくしてやらなきゃ……」

柚子「知波単の人たちにも声をかけたんですけど、今大会には不参加のようです。西さんから理由を聞いたのですが、『らっぷは我が知波単にとって難解!よって、ひっぷほっぷに対し、我々は後ろに突撃する形をとらせていただきます!』だそうです。あ、参加する私たちには『健闘を祈ります』とも言っていました」

カチューシャ「ふん。仕方ないわね。そこまでカチューシャのことを褒めたたえるなら、許したげるわ」フフン

華「え?まったく褒めていな…」

沙織「しっ!スルーして華!」

華「……カチューシャさんを褒めている様子はまったくありませんでしたよ?」

沙織「私をスルーしてって意味じゃないよ!」

カチューシャ「な、なによ!私にたてつく気!?あんたいい根性…」

桃「落ち着け。そろそろみなを集めた理由を説明したい」

カチューシャ「……ふん」プイ

杏「……さて。収集をかけたメンバーは全員集まったことだし、始めよっか」

ツチヤ「始まるって……何が始まるんだ?」

ナカジマ「さー?誰も教えてくんなかったから」

ホシノ「いきなりここでフリースタイルバトルを始めるとか?」

スズキ「それはないでしょ。考えられるとすれば……」

典子「バレーだ!みんなでバレーをするんだ!」

あけび「えっ………それは……」

妙子「さんせーい!」

忍「魅力的な提案だ!」

典子「そうと決まればボールを取りに行くぞー!」

妙子・忍「おー!」

桃「行かんでいい!」ガラガラガラ

典子「ん?その台に載っているのはなんですか?バレーボール……じゃないですよね?」

桃「違う!抽選箱だ。球体と真四角で全然違うじゃないか!」

そど子「抽選箱?どういうことなのよ!抽選って、あの抽選のことだとでも言うの!?」

ゴモヨ「怒鳴るところじゃないよそど子…」

みほ「あ、会長が説明してくれるみたいですよ」


杏「えー、大洗のみんなも、急に呼び出された他校の人たちも色々と戸惑ってると思う。なんつったって何をするのかも聞かされてないからねぃ」

沙織「……そんな状態で来てくれるなんて、みんないい人すぎだよホント」

麻子「フリースタイルバトル関係の話とだけは伝えてあるんだろう。でなければさすがに大洗まで学園艦ごと来やしない」

アンチョビ「ん?この面子……あっ!?もしかしてフリースタイルバトルにまつわる話だったのか!」

沙織「…………ねぇ、麻子。アンチョビさんって…」

麻子「何も言うな。ノリだけで来てくれるいい人と思っておこう」

ダージリン「うふふふ。わたくしは大体どのような用件か、見当は付いているけれどね」

オレンジペコ「そうなんですか?でしたら教えてください」

ダージリン「間違えてたら嫌だから教えません」ウフフ

オレンジペコ「…………けち」

アッサム「というよりハッタリでは?」

カチューシャ「……ダージリン、あんたひどい言われようね」

ダージリン「ええ。でも慣れちゃった」ウフフ

杏「ま、なんとなく気付いてるかもしれないけど、今度やる2ON2のフリースタイルバトル大会の話をしようと思って呼び出したんだよねぃ」

優花里「つーおんつー……?」

華「どういう意味でしょう?」

沙織「ONは『なになにの上に…』だったよね?」

優花里「はっ!?わ、私が……西住殿の上に…///」モジモジ

みほ「乗らないでね」

麻子「ONは『なにかの表面にくっつく』っていう意味だ。バスケットを例にとると、1人に1人がマークに付くから1ON1と呼ぶ。それが2組で2ON2。つまり2対2ということだな」

華「なるほど。アクティブですわ」

沙織「バスケの部分だけ見ればね」

杏「んで、呼び出した理由は…………これ!抽選~!」

まほ「抽選?」

カチューシャ「?なにかいいものくれるっていうわけ?ねぇ、ダージリン、どう思う?」

ダージリン「うふふ」

カチューシャ「うふふ禁止。どう思う?」

ダージリン「えへへ」

カチューシャ「えへへも禁止!もう!」

オレンジペコ「――――!!!」ズキューン!!

オレンジペコ(今まで見たことのない笑い方!ダージリン様かわいい!!)


杏「や、ダージリンに聞かなくても私が説明するって。抽選っていうのは、大会に出場するメンバー決めの抽選」

みほ「え?」

まほ「む?」

エリカ「……一体どういうことよ。もったいぶらないでちゃんと説明して!」

杏「おっけ。まずさ、ここにいる人たちは今度の大会に参加する予定なわけ。で、おそらくというか間違いなくこないだのメンバー3人……いや、控えを含めて4人から2人を選ぶって流れだよね?」

ケイ「そりゃあね。大会に参加出来るのは1校につき1チームだけ。これって俗になんて言うんだっけ?オレンジペコさん」

オレンジペコ「…………けち」

ケイ「そう!正解!」アッハハハ!

杏「でもね、大会の運営側も出来るだけ人数は集めたい。でも制限無しだとチームを多く出した学校による八百長なんて可能性もある」

アンチョビ「考え過ぎじゃないか?だとしても1校につき2チームにしておけば解決だろ」

杏「スキルの差で捨てチームが生まれるのを避けたいとか、決勝が同じ学校同士になり得るとか、ある程度のレベルの人が4人いない場合、あるいは1チームしか出せない学校は不利になるとかあるんじゃないの?」

アッサム「最後の課題は今後の成長次第でクリアできそうではありますけどね」

杏「まぁね。でも今回参加出来るのは、基本的に1校につき1チームってわけ」

まほ「その『基本的に』というのが引っかかるな」

杏「にっひひ。でしょ?つまり、運営側は盛り上げたい。でも参加条件は1校につき1チームに決まった。そう聞いた私はある提案をしたんだよね」

典子「……参加条件、とは?」

沙織「そこは『ある提案とは?』でしょ!?条件言ったばっか!」

杏「その提案というのは…………『違う学校の人間と組んだら別枠扱いにしてくれませんか』ってこと!」

みほ「あっ……」

まほ「なるほどな。同じ学校の2人で組んだ場合のみ1チームとして勘定するということか」

杏「そ。単純な話、別に学校同士で争わなくてもいいじゃん。戦車道なら保有戦車とかチームとしての練度とか、もろ団体競技だけど、フリースタイルはそうでもない。学校対抗戦は白熱するけどね」

カチューシャ「当然よ!むしろこないだのリベンジで打倒大洗のつもりなんだから!」

杏「うん、その気持ちもわかる。それに同じ学校の子の方がチームワークもあるし。でも…」

ダージリン「学校の垣根を越えたコンビによる化学反応を狙う、というわけね」ウフフ

杏「そう。で、運営側にそれを伝えたらOKが出た。正式にルールとして認められたってわけ」

アンチョビ「おお!確かにごちゃ混ぜってのは楽しそうだもんな!」


杏「それに……他にも楽しみはあるよー?」

アンチョビ「楽しみ?」

杏「例えば…」チラ

みほ・麻子「?」

杏「同じ学校の子とも戦える、とかね」ニヒヒ

みほ「!」

麻子「普段練習で当たってるが…………本番は別物か」

ペパロニ「マジっすかー……ドゥーチェとはやりにくいっすよー」

アンチョビ「確かにな」

杏「…ま、それはそれとして。どうかな?呼び出しといて今さらだけど、別に強制じゃないから断ってもいいよ?」

ケイ「私は全っ然オッケーよ!お祭りみたいで楽しそう!」

アンチョビ「お祭りと言ったら屋台が欠かせない!料理はアンツィオに任せておけ!」

カルパッチョ「あの、そういう話ではないと思いますが…」

まほ「その提案、私も異論は無い」

カチューシャ「うー……リベンジに燃えてたのにー」ムムム..

ノンナ「……どうしますかカチューシャ。聞き分けの無い子供のように駄々をこねて突っぱねますか?」

カチューシャ「そっ、そんなわけないでしょ!私は大人だもの!まったく、ぜんっぜん、いってんのくもりもないみたいなアレだわ!」

ノンナ「そうですか」クス

クラーラ「……いいのですかノンナ様。カチューシャ様とペアを組み、恋人に発展するというシナリオが潰えてしまいますが……(ロシア語)」

ノンナ「問題ありません。ゴールは同じです。あえて戦い、仲間からライバル。そして恋人へ―――という流れに変わるだけ……いえ、それどころか、1工程増やしたことで絆がさらに増すでしょう(ロシア語)」

クラーラ「あぁっ!?そこまで考えが至りませんでした。さすがノンナ様。でも……(ロシア語)」

ノンナ「言わずともわかっています。カチューシャは私たちの共有財産ですから、その時が来れば同志クラーラも同じベッドに…(ロシア語)」

クラーラ「感謝します、ノンナ様……(ロシア語)」

カチューシャ「?ねえ、今なんて言ったの?」

華「アクティブな提案ですね、と」

カチューシャ「あんたに聞いてないわよ!」

杏「おっけおっけ。各校の代表は了解みたいだけど、異論ある人はいるかなー?」

典子「はい!それよりもバレー部を復活…もごもご」

あけび「今は静かにしてましょうキャプテン!」グイィィ!

杏「どう?」

シーーーン...

杏「んじゃ決まり!かぁしま!」


桃「はい!では各自、この抽選箱から…」

まほ「待った」

桃「ん?」

まほ「一緒に組みたい相手を指名するのはダメか?相手が了承すればその時点でタッグ確定とする方法は」

杏「その決め方も考えたんだけどね。ドラフト制みたいなのとか。でも後の方まで余っちゃった人の精神的ダメージと、収拾がつかなくなりそうってことでやめたんだよね」

まほ「……確かにそうか。抽選ならば仕方ないと思えるが、指名を蹴られ続けた末に組んだ相手だとネガティブな空気が生まれそうだ」

杏「……ちょっと気になるからよかったら教えてほしいんだけど、誰と組みたかったの?」

みほ「…………」ソワソワ サッサッ

沙織「あ、みぽりんが落ち着きない動きしてる」

麻子「髪の毛を整え出したぞ、乙女か」

みほ「そ、そんなことないよ……//」

沙織「……みぽりん、なんかポーッとしてて……まるで恋してるみたいな…」

優花里「!!」

みほ「ち、違うってばぁ~!でもお姉ちゃん、結局私のこと選んじゃう気がするし……///」モジモジ

優花里「あーーーー聞こえない聞こえない」

華「では背中に指で文字を書きますね」デモ オネエチャン ケッキョク ワタシ ノ コト エランジャウ キガ スルシ..

優花里「ぎゃあああ!無慈悲なあああ!」

沙織「書き終わるまでじっとしてるゆかりんもゆかりんだよ」

麻子「律儀だ」

まほ「私が組みたかったのは……」

みほ「ん、こほん!」スッ

まほ「……カチューシャだ」

みほ・カチューシャ「えっ!?」

杏「ほうほう。それはまたどーして?」

まほ「精神面に不安定さはあるがスキルは申し分ない。それに私の低音寄りのフロウと違い高音で響きがいい」

杏「む、確かに」


まほ「それに……」

杏「?」

まほ「……大学選抜戦のミーティングの時もそうだったが、怖がられている気がするのでな。仲良くなるきっかけにしたい」

カチューシャ「は、はあ!?な、なに言っちゃってるのよ……///」

みほ「………………」

まほ「私のことは嫌いか?」

カチューシャ「そ、そんなわけないじゃない……でも、なんか目つきとか鋭いし……肩車とかしてくれなそうだもの」

まほ「ああ、確かに肩車はしないな」

カチューシャ「……でしょうね」

まほ「私はあくまでもカチューシャを自分と同等の存在だと考えている。だから必要以上に誇示するための肩車はしたくない」

カチューシャ「え」

まほ「カチューシャはそのままで充分立派だと思う。だから肩車するよりも隣にいて……そうだな、手を繋ぐ方が望ましい」

カチューシャ「っ……///」カァァ!

まほ「身長だけでカチューシャを侮る輩など、私が蹴散らしてやる。だから一緒に組まないか?と提案したかったのだが……抽選では仕方ない」

カチューシャ「あ、あたりまえじゃない……そんな風に褒められても……ぜ、ぜんぜん嬉しくないし……///」

まほ「それは残念だ」

カチューシャ「で、でも……そう、よね。肩車って確かに子供っぽいかもしれないわ。それに対して……その、て、手を繋ぐなら……うん、大人でもするし…………あ、あんたと手を繋ぐのも悪くないとか……思うかも。あ!ちょ、ちょっとだけよ!ほんのちょっと!」

まほ「そうか。ありがとう」フフ

カチューシャ「う、うん……///」モジモジ

みほ「…………」ムー

沙織「あれ?みぽりん怒ってる?」

みほ「怒ってないよ?」ニコニコ

沙織「う……そ、そっか」

沙織(目が全然笑ってない。どころかみぽりんの背後から炎が見えるような……)ゴクリ

ノンナ・クラーラ「………………」

ノンナ(こんなところに意外な伏兵が存在したとは……今後、注意する必要がありそうですね)

クラーラ「どうしましょうノンナ様。これからは肩車はやめた方がカチューシャ様に好かれるのでしょうか(ロシア語)」

ノンナ「……いえ、それはありえません(ロシア語)」

クラーラ「何故ですか?(ロシア語)」

ノンナ「私の首があの感触を忘れられないからです。長い期間肩車をしなければ首にブツブツが出来てしまいます。虹色の、ね(ロシア語)」

クラーラ「なんたる愛……!見習わなくてはいけませんね(ロシア語)」

優季「なんかロシア語ってかっこいい~♪」

あや「ね!どんな話してるのかなー?」

紗希「…………ちょうちょ」

梓「あんなに真剣な顔で蝶々の話題をするとは思えないけど……」

杏「いい話が聞けたところで、早速抽選しよっか!じゃんけんで勝った人から順番に引いてって」

麻子「その場合、会長が最初に引くことになるが……」

杏「うん。そう言われると思ったから私は最後に引くよー」


麻子「そうか。最初に引いたから有利でもないだろうが……いや、会長の場合は一発でいいのを引きそうだ」

杏「あっははは!それはどうかなー?」

桂利奈「………………」

あや「どうしたの桂利奈ちゃん。ずっと黙っちゃって。紗希の真似?」

桂利奈「違うよ!」

優季「じゃあなんでじーっとしてたの~?」

桂利奈「…………会長、優しいなって」

あゆみ「なんで?」

桂利奈「だって今回のこの他の学校の人と組むやり方って、普通に1校1チームだけって決まりを守ったら、私が出られないからやってくれてるんだよね?」

あや「えー、そうかな?」

桂利奈「うん。大洗から2人選ぶってなったら私は出られないもん。実力的にね。でもだからって私を出すために誰かが辞退するのもやだし…」

梓「私も桂利奈ちゃんの言う通りだと思う。ルール通りだと桂利奈ちゃんは出られない。だから他の学校の人と組むことを考えてくれたんだろうなって。面白そうってだけで提案するのも会長っぽいけど…」

梓「これだけのメンバーをわざわざ集めたのは直接会って説得するためのような気がするし、そもそもこのメンバー全員が集まれるようにスケジュールを立てるのも大変だったはず。いくら会長でも面白そうだからってだけでそこまでしないと思う。会長は桂利奈ちゃんのために提案してくれたんじゃないかな?」

あや「……確かに、他の学校の子からしたら別に自分たちだけで組んだっていいんだもんね。なんだかんだ理由付けて他の人たちを巻き込んだ感じ?」

優季「会長やさし~♪」

桂利奈「……ということは…………会長、私のことを次期生徒会長の素質があると期待して…」

梓・あゆみ・優季・あや・「それはない」

桂利奈「えーー!!」

桃「そこ!騒いでるんじゃない!バレー部並にうるさいぞ!」

典子「!私たちはバレーでも、うるささでも負けるつもりはありません!みんな、もっとうるさくいこう!勝つぞ!」

桃「やかましい!とにかく静かにしろ!それと阪口、早くじゃんけんしてこい!」

桂利奈「あ、あいー!!」タタタッ!

ジャンケンポン!ジャンケンポン!ジャンケンポン........

みほ「!勝った!」

杏「おー、やるねぇ西住ちゃん!」

みほ「はい!じゃあお姉ちゃんでお願いします!」

杏「や。指名じゃないから。勢いで誤魔化してもダメ~」

みほ「………………」

杏「はい。引いてね~。あ、ちなみに同じ学校の人同士がペアにならないように、引く人の所属してる学校のメンバーの札は直前に抜くからね」

みほ(ということは……ここにいる参加者は20人で、そのうち大洗は私を入れて4人だから、お姉ちゃんを引く確率は16分の1……でも姉妹の絆がそれを3分の1くらいに高めてくれるはず!)ガサゴソ

杏「あ、引いたら見ないで私にちょーだいね」

みほ「はい」スッ

杏「ふむふむ……なるほど。あ、結果は最後に発表するから次の人どぞ~……――――」



杏「――――はいこれで抽選が全部終わりましたー」

麻子(くじを引く番を飛ばされたということは、誰かが先に私を引いたのか。それがカルパッチョだったら最高だが……)

杏「……んじゃ、今から発表するね」

みほ(SSRことお姉ちゃん来て!)グッ!

杏「まず……西住まほさんと…」

みほ(私!)

杏「……ふふっ、カチューシャ」

みほ「!!!」

まほ「ん!それはいい。私の望み通りだ。まさか引けるとは」クス

カチューシャ「ふ、ふん……何よ、たまたまじゃない///」

みほ「………………」

優花里「に、西住殿。気を落とさずに。私に出来ることならなんでもします!言ってください!」

みほ「じゃあ私がお姉ちゃんを引いた世界に移りたいかな?」

優花里「ぱ、パラレルワールドへの移動ですか?わ、わかりました。方法が無いか探しに…」

沙織「無理だから!」

華「いえ、諦めたらそこで終わりです」

沙織「そういう次元じゃないよ!本当に次元が違うから!ってゆーかみぽりん、どうしてお姉さんにそんな固執するの?」

みほ「それは……」

沙織「前はそこまで仲良しじゃなかったんじゃないの?」

みほ「……ううん、小さい頃から仲は良かったよ。去年の件があってからは距離が開いちゃってたけど、戦車道全国大会とか大学選抜との試合でその距離は大分元通りになったし、この前のフリースタイルバトル大会で思いっきり言い合ってからは、もうぴったんこ」

沙織「ぴったんこ……」

みほ「うん!いっぱいメールも送るし、電話もいっぱいするようになったんだ。返信はあんまり来ないし、折り返し電話じゃなくてメールで短めの文面だったりするのも照れ屋なお姉ちゃんっぽくてもう……ぴったんこ!」

華「それは若干煙たがられているのでは?」

沙織「華!?なんでこんな時だけまともなこと言うの!?」

みほ「?とにかく、お姉ちゃんとは小さい頃よりもっと仲良くなったんだぁ。だからこれからはもっともっと仲良くなれると思うの!前のバトルでお互いの気持ちが通じ合ったっていうか、もう2人で1人みたいな感じ?えへへ……///」

優花里「ぐ……ぎぎ……」ギュゥッゥゥ!

麻子「秋山さん。悔し紛れなんだろうが、自分の二の腕を全力でつねるのはやめた方がいい。何の得も無いぞ」

沙織「………………」

沙織(ちょっと前にみぽりんの部屋に遊びに行った時、本棚に女の子同士が抱き合ってる漫画とかDVDがいっぱい置いてあったけど……………うん、考えないようにしよう)


杏「次は~~~、ナオミさんと…………チョビ子!」

アンチョビ「チョビ子って言うな!」

ナオミ「ほう」



杏「クラーラさんと…………赤星さん!」

クラーラ「カチューシャ様と組めない以上、誰が相手でも構いません……(ロシア語)」

小梅「な、なんか悲しそうな表情……私でごめんなさい!」



杏「さかぐっちゃんと…………カルパッチョ!」

桂利奈「おおおお!韻の人だーーーー!」

カルパッチョ「……たかちゃんではないのね……」ズーン

アンチョビ「いや、その子参加しないだろ」

麻子(カルパッチョと組みたかったが……仕方ない)



杏「ノンナさんと………………アッサムさん!」

アッサム「あら。よろしくお願いします」

ノンナ「こちらこそ」

アッサム「大会では是非、優雅な戦い…」

ノンナ「相手を徹底的に叩き潰しましょう。粉みじんになるほどに」ゴゴゴゴ..

アッサム「え……あ、は、はい……」タジッ



杏「それで~……アリサさんと組むのは…………ニーナさん!」

アリサ「ニーナ?あぁ、プラウダの子ね」

ニーナ「よ、よろしくおねげぇします。プラウダの補欠だけんど、一生懸命ラップしますだ」



杏「次は……おケイ!」

ケイ「やっと私ね!待ちくたびれたわ!」

杏「おケイが組むのは……ペパロニさん!」

ペパロニ「私っすか?」

ケイ「OH!アンジーに勝ったペパロニとなんて最高ね!よろしく!」

ペパロニ「こちらこそよろしく!特技はパスタっす!」


杏「私と組むのは~…………ダージリン!」

ダージリン「あら」

杏「ふつつかな娘ですがどうぞよろしくぅ」

ダージリン「こちらこそ。よろしくお願いしますわ」ウフフ



杏「さて、残るは……西住ちゃん、冷泉ちゃん、逸見さん、オレンジペコさんだね」

沙織「同じ学校では組まないから、逸見さんかオレンジペコさんか……みぽりんの相手はどっちになるんだろね?」

みほ「ううん、それでもお姉ちゃんが勝者復活で来る可能性は捨てきれない……」

沙織「捨てなよもう。傷付くだけだから」



杏「…………じゃあ最後の2組は一気に発表するね」

杏「最後の2組は………………」

杏「………………」

杏「冷泉ちゃんと逸見さん!西住ちゃんとオレンジペコさん!」

オォォ...

麻子「ふむ」チラ

麻子(相性的には悪くない。この子のバイブスはかなりのものだしな)

エリカ「…あによ。不満なわけ?」ムス

麻子「そんなことはない。そっちこそどうなんだ?西住さんとの方が良かったか?」

エリカ「いいえ、別に」

麻子「そうか」

エリカ「こないだのリベンジが出来ないのは残念だけどね」

麻子「……わだかまりが残りそうなら大会前に本気でバトルするか?」

エリカ「…………やめとくわ。それで勝っても負けても次の大会にプラスになりそうにないもの」

麻子「わかった」

麻子(苛烈な性格と思いきや、案外冷静だな。しかしバトルでは熱い。その切り替えは参考になる)


オレンジペコ「あの……みほさん、よろしくお願いします」

みほ「………………」

オレンジペコ「?」

みほ(最後の希望の火は消えちゃった……お姉ちゃんと組みたかったなぁ……)

オレンジペコ「あのー……」

みほ(って、落ち込んでる場合じゃないよね、うん。くじで選んだんだから……みんな平等だし……)

オレンジペコ「………………腐ったオレンジの声は聞こえませんか?」ニッコリ

みほ「へ?」

オレンジペコ「掃き溜めに落ちた毛程度しか価値が無い私とペアではご不満のようですねぇ」ニッコリ

みほ「そ、そ、そんなわけないです!考え事してただけで無視するつもりなんて全然!すみません!」ペコペコ!!

みほ(今のって、前の大会で私が言ったディスだよね?もしかして本気で怒って…?)

オレンジペコ「……ふふっ、冗談です」

みほ「………え?」

オレンジペコ「みほさんがお返事してくれなかったので拗ねただけです」クス

みほ「あ、そ、そうなんだ……よかった……」ホッ

オレンジペコ「今度の大会、頑張りましょうね」キュッ(みほの手を取り、両手で包み込む)

みほ「あっ……は、はい……」

みほ(オレンジペコさんってこんなスキンシップするんだ……な、なんか意外……)

オレンジペコ「………………」チラ


ダージリン「……………………」ジーーーーー..


オレンジペコ「……みほさんの手、すべすべで気持ちいいですね」ナデナデ

みほ「そ、そんなことないと思います、けど」

オレンジペコ「でもほら…………こんなに滑らかです」ツツーッ..

みほ「あの……くすぐったいです」

オレンジペコ「」チラ


ダージリン「!………………」ムムム..


オレンジペコ「」ニヤァァ..


アッサム「…………」ハァ..ヤレヤレ..



杏「………………」

杏(聖グロは色々とややこしいんだねぇ……それに引き換え、うちなんて全然…)チラ



優花里「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛…………!」

沙織「ゆかりんやめて!髪の毛をまぶたの裏に挟んで眼球を塞ごうとしてもダメだよ!現実を見て!というか普通に危ないから!」

華「いいですか宇津木さん。こういった緊急時でも心を凪のように落ち着かせていられるのが大人の女性というものなのです」

優季「なるほど~♪」

沙織「いや一緒にゆかりん止めてよ!ただの薄情な子だよそれ!」



杏「………………」

杏(うちも結構ややこしかったかー。ま、いいや)


ダージリン「……さて、ペア分けはすんだけれど、このあとはどうするのかしら?それとペコ、こちらに戻ってきなさいな」

オレンジペコ「はい」

杏「んー、とりあえず……ペア毎に相談してチーム名を決めてもらって、それで用件はおしまいだね」

エリカ「……そんなのわざわざ集まらなくても出来たじゃないの。連絡の取りようなんていくらでもあるんだから」

まほ「いや、こうして顔を合わせることに意義があるんだ。ペア決めでは自らの手でくじを引いただろう?そこには抽選に参加したという意思が残る。そして周囲の目があることで、抽選結果の公正さを証明できる。不正をするつもりがなくても全てネット越しに行われては猜疑心が残らないとも言い切れないからな」

小梅「あの……そんな難しい話ではなく、皆さんと同じ空間を共有したいから呼び出したのではないでしょうか?」

まほ「……そうなのか……ふむ」

エリカ「……その気持ちはわからないでもないわ。でも私たちは学園艦ごと遠くから来てくじ引いてチーム名決めて解散ってのはなんか納得いかないわね。ヘリで来ないように言われていたし…」

桃「その点については当然考慮してある。遠路はるばる来てもらったのだからな」

柚子「もうすでに各学園には通達がされていると思いますが、今日から1ヶ月ちょっとの間、みなさんの学園艦は大洗に停泊します」

カチューシャ「え!?そ、そうなの!?連絡なんて全然……………じゃなくて!し、知ってたけど知らないふりしちゃったわ!」

まほ「私は知らなかったよ。カチューシャは知ってたんだな。偉いぞ」ナデナデ

カチューシャ「ふぇっ!?あ、ぅ……な、撫でないでよ……もう…っ……///」

まほ「……嫌か?」

カチューシャ「い、嫌…じゃ……ないけど……///」

ノンナ「…………クラーラ、メリケンサックを貸してください(ロシア語)」

クラーラ「申し訳ありませんノンナ様。リュックに入れたまま自室に置いてきてしまいました(ロシア語)」

小梅「あ、あの!西住隊長!なんか空気が不穏な気がします。撫でるのはそろそろ……」

まほ「そうか?わかった。それと、『元』隊長だぞ?」フフ

小梅「す、すみません」

ナオミ「1ヶ月間、存分に練習が出来るってわけか」

ケイ「2ON2はペアの息を合わせるのが難しそうだももの。そういう部分をトレーニングしなきゃね」

桂利奈「カルパッチョさん!1ヶ月間、一緒の部屋で暮らしませんか!?」

カルパッチョ「ええっ!?」

桂利奈「エヴァでシンジとアスカが息をピッタリ合わせるために同居してました!それをやりましょう!」

カルパッチョ「あの…」

桂利奈「アスカはカルパッチョさんに譲ります!私がシンジです!」

カルパッチョ「そういう問題じゃなくて……」チラ

桂利奈「……アスカより冬月先生の方が好きでした?」

カルパッチョ「全然好きじゃないです。そうではなくて…」

桂利奈「?」

カエサル「えーと……阪口さん」

桂利奈「あ……ゼルエル先輩」

カエサル「カエサル!白いパタパタみたいなのとか無いし!使徒じゃない!」

桂利奈「はい。使徒じゃないのは知ってますけど……」??


カエサル「あー……ひなちゃ……カルパッチョさんを強引に誘うのはちょっとダメだよ?カルパッチョさんはアンツィオの方で寝泊まりしたいんじゃないかな?阪口さんも普段行かない場所で急に暮らそうって言われたら戸惑うよね?」

桂利奈「いえ!すっごく楽しそー!」

カエサル「…………うん、そういう人もいる。でもカルパッチョさんは違うと思うんだ。アンツィオの方がいいよね?」

カルパッチョ「私は……たかちゃんのところがいいな……///」

カエサル「ぅええっ!?」

カルパッチョ「そうすれば阪口さんと練習する時にすぐ集まれるし」

カエサル「し、しかし……///」

カルパッチョ「…………」ジー

カエサル「う……///」

桂利奈「」ジー

カエサル「う、うちはダメだ。なんと言っても同居人が3人いるからな!」

左衛門佐「その心配は無用だ」

カエサル「え?」

おりょう「大会までの期間、停泊してる学園艦で空いている部屋を自由に使っていいとのお達しぜよ」

エルヴィン「私は黒森峰に行くつもりだ。おりょう、左衛門佐も別の学園で泊まる。異文化交流が捗るな」

カエサル「ぶ、ブルータス!何度目だ!しつこいぞ!」

おりょう「別に裏切ってないぜよ」

エルヴィン「というかむしろ気を遣ってくれたと感謝するべきだろう」

左衛門佐「うむ。知行を与えられても不思議ではないな」

エルヴィン・おりょう「それだー!」

カエサル「いやいやいや……頼むよ。ちょっと色々問題があるんだよ」ヒソヒソ

おりょう「ブルータスに頼んでも意味ないぜよ」

カエサル「失言だ。謝るから。まだ心の準備が出来てないというか……いや、別に変な意味は無いんだが……」

カルパッチョ「……ふふっ、冗談よ」

カエサル「…………え?」

カルパッチョ「私はアンツィオに戻るから。でも今度遊びに行くね」

カエサル「う、うん」

カルパッチョ「あ、ドゥーチェが呼んでる。阪口さん、ちょっと待っててね」タタタ

桂利奈「あ、はい……」

カエサル「………………」

カエサル(ああいう風にあっさり去られるのも、それはそれでちょっとショックかもしれない……)

エルヴィン・左衛門佐・おりょう「………………」

桂利奈「…………あの……カエサル先輩」

カエサル「ん?」

桂利奈「私と1ヶ月住みます?」

エルヴィン・左衛門佐・おりょう「それだー!」

カエサル「なんでだよ!」


杏「で、注意点が1つ。この場にいない他の参加者より有利になるような情報交換とかは無しの方向でねー」

柚子「大会のルールでは学校の垣根を越えてのチーム組みは構わないと記載されていますけど、やっぱり…」

杏「こっちが徒党を組んで自分たちを有利にしようとしてる風に思われるのは癪だからね。ま、よそでも集まってチーム作りしてるみたいだけどさ」

桃「とにかく、何か希望があれば我々大洗生徒会に連絡してくれ。チームで同居を希望するならば寮の空き部屋も提供可能だ」

杏「あ、もいっこ注意点。チーム内でバトルの練習は全然いいけど、参加する他のチームとのバトルは禁止。2ON2の練習がしたいなら、大会に出ない子たちとやってね」

まほ「そうだな。最初から手の内を知っていれば有利だが、それでは面白味も無い」

カチューシャ「何も知らなくったって勝つのが私たちだもの!」

まほ「その通りだ。さすがカチューシャ」ナデナデ

カチューシャ「っ……あ、当たり前のことゆっただけだもん///」



その後、各自で話し合った結果、チーム名が決定した――――


・『MIH×O×RENGE(ミホレンジ)』・・・みほ、オレンジペコ

・『チンピライマーズ』・・・麻子、エリカ

・『干し芋ティータイム』・・・杏、ダージリン

・『ライム戦隊カリレンジャー』・・・桂利奈、カルパッチョ

・『アリサ&ニーナ』・・・アリサ、ニーナ

・『レッドブルーズ』・・・クラーラ、レッドスター

・『アノコをトワに支え隊』・・・ノンナ、アッサム

・『まほカチュ』・・・まほ、カチューシャ

・『ペパロニ&ケイと世界中の美味しい物』・・・ケイ、ペパロニ

・『ツインテールショートヘア』・・・ナオミ、アンチョビ


桃「全チーム名が決まったな」

杏「うーん、いやはや…………みんなもれなくダッサイねぇ~」

柚子「か、会長!そこは『個性的』や『斬新』と言った言葉で濁さないと!」

みほ「かっこいいチーム名って思い付かないもんだね」

アンチョビ「ペパロニ。お前のチーム名はなんなんだ?ペパロニ&ケイはわかる。だが『世界中の美味しい物』ってなんだ?」

ペパロニ「好きなんす!美味しい物!」

アンチョビ「……うん、わかる。しかしチーム名は…」

ケイ「私も大好き!世界中の美味しい物!美味しい飲み物もあるから『食べ物』にはしなかったのよ!」

ペパロニ「そこに気が付くのがサンダースの隊長らしさっすよね~!」

ケイ「でっしょ~?」

アンチョビ「…………そうか。まぁ、いい」

オレンジペコ「アノコをトワに支え隊……?」ジトー

アッサム「私ではなくて100%ノンナさんの意志よ。ダージリンを永遠に支える意味は含まれていないわ。だから疑惑の目を向けるのをやめなさい」

杏「さってと、チーム名も決まったことだし。んじゃ、あとは各自大会まで好きに過ごしてね~」

桃「では解散!」


1ヶ月後――――

【ライブハウス】

役人「うぇいよー!」

ワァァッァ!!!

役人「今日は第2回フリースタイルバトル大会改め、第2回フリースタイルMCバトル大会だぜ~!」

ワァァァァァ!!!



桃「いよいよ始まるな」

柚子「うん。今日は前回以上に人が入ってるね」

桃「ああ。2階席があるが、連れて来れるメンバーがかなり限られてしまった」

杏「生徒会とあんこうチームとウサギさんチームだけだもんね。来れない子たちのためにちゃんと動画撮っておかないと。頼んだよ小山」

柚子「はい。任せてください」

桃「私が撮った方がいい気もするがな」

柚子「桃ちゃんはズボラだから素手でレンズベタベタ触るでしょ?指紋って画面越しに見ると気持ち悪いから……」

桃「そんなことするか!レンズには人一倍気を遣うぞ!メガネかけてるんだから!」

柚子「でもトイレ行っても手を洗わない」

桃「洗うよ柚子ちゃぁあん……」グス..

柚子「ふふ、大丈夫。どんな桃ちゃんでも私がそばにいるから」ニッコリ

桃「はぁぁぁああぁぁ……ゆずちゃぁぁあん…………///」

杏「小山。マインドコントロールはその辺にして、組み合わせを見よう」

柚子「はい」



【トーナメント表】

ナカスリベンジャ―ズ              ――――
                                │―――
まほカチュ                    .――――     │
                                     ..│―――
継続                        ――――     .│    │
                                │―――     ..│
レッドブルーズ                  ――――          ...│
                                           │────
チンピライマーズ                ..――――           │       |
                                │―――     .│      |
BC自由                     ..――――     .│    ..│      .|
                                     .│―――       .|
ペパロニ&ケイと世界中の美味しい物   .――――     │           ...|
                                │―――             ...|
MIH×O×RENGE              .――――                  ...|
                                                  ..|────!!優勝!!
ライム戦隊カリレンジャー           .――――                 ...│
                                │―――            .│
アリサ&ニーナ                 .――――     │           .│
                                     ..│―――      ...│
青師団アルマ                  .――――     ..│    │     ...│

                                │―――      .|      .│
ツインテールショートヘア           ..――――           .│      ...|
                                           │――――

ヨーグルトのマーチ               ――――          ..│
                                │―――     │
干し芋ティータイム               ――――     │     |
                                     .│───
ボコファイターズ                ..――――     │
                                │―――
アノコをトワに支え隊             ..――――     

トーナメント表が上手く書き込めない…
かなり雑ですがこのまま進めます


麻子「チーム名だけでも判断が付くチームもあるな」

エリカ「『ヨーグルトのマーチ』はヨーグルト学園とコアラの森学園のメンバーでしょうね。前回も出てました」

カルパッチョ「BC自由と継続はそのまま高校名ですね。学内で組んだチームなのでしょう」

アンチョビ「ナカスリベンジャーズってのはわからんな」

まほ「恐らくベルウォール学園の中須賀エミのチームだろう」

カチューシャ「ふーん。ナカスガのナカスを『泣かす』とかけてるつもりなんでしょうね」

まほ「だろうな」

カチューシャ「それにしても1回戦でマホーシャと私に当たるなんてラッキーね!前回負けたからリベンジしたがってる相手だもの!でもかわいそうに!私とマホ―シャは最強!泣くのはあっちの方よ!」

???「最強のチームなんてものは存在しない」

カチューシャ「え?あ、あんたは……」

愛里寿「…………」

カチューシャ「島田愛里寿!なんであんたがここに!」

愛里寿「私も参加者だから」

カチューシャ「なんですって!?」

愛里寿「……『ボコファイターズ』としてアズミと参加する」

まほ「最強のチームが存在しないと言ったな。その理由は?」

愛里寿「…………あなたたちは強い。でも私たちと戦えば私たちが勝つ。だから最強じゃないという意味」

まほ「…………そうか」

愛里寿「………………」

まほ「…………………」

まほ「今の言葉、証明できるといいな」

愛里寿「…………」スッ..テクテク..

杏「いやー、島田愛里寿まで参加してるとはねー。ま、参加資格は戦車道関係者で在学中であることぐらいだから、大学生でも問題ないけど」

柚子「でも大半が高校生ですから、基本的に大学生は出場しない向きがあるのですが……」

杏「まーね。でも大学生って言っても島田愛里寿は13歳。相方が普通の大学生だから、チームとしての平均年齢は高校生くらいだし、ちょうどいいくらいじゃん?」

カルパッチョ「…………それにしても」ハァ

桂利奈「?どうしたの?」

カルパッチョ「また……たかちゃんが観に来てくれてない……」シュン

桂利奈「う……だ、だいじょぶ!カルパッチョさんがすごかったっていっっっぱい言っとくから!」

カルパッチョ「本当!?お願いね!」

みほ「………………」

みほ(初戦の相手はケイさんとペパロニさんかぁ……ケイさんは私が負けた相手で、ペパロニさんは会長が負けた……ちょっと怖い相手だなぁ)

オレンジペコ「……大丈夫」

みほ「え?」

オレンジペコ「私たちならきっと勝てますよ」ニコリ

みほ「オレンジペコさん…………うん、ありがとう」ニコリ


ケイ「お。今回も継続高校は出場するのね」

アリサ「前回はラップにすらなってなかったですけどね」フゥ

ポロロン..

ナオミ「ん?この音色は」

ミカ「やあ、風に吹かれて来たよ」

アリサ「出た……ジャージと帽子と楽器の女」

ミカ「ファッションと持ち物だけで呼ばないでくれるかな。私の名前はミカだよ」フフッ

ナオミ「今回も参加するんだね。継続高校にしては珍しく積極的だ」

ミカ「フリースタイルバトルには人生で必要なものが全て含まれていると気付いたからね」

ナオミ「……そう、か?」

アキ「もうおかげで大変だったんですよー!ただでさえお金が無いのに勉強用にフリースタイルバトルのDVDを買ったり……」

ミッコ「レンタルで無いんだもんなー!」

ケイ「あっはは!うちに言ってくれれば貸したのに~、って、大会前にはそうゆーのダメだったっけ?」

ナオミ「とにかく、やる気になっているならいいことだ」

アキ「それはそうなんですけどねぇ……はぁ……練習に付き合うのも疲れた……」

ミカ「その苦労も人生に必要なものさ。人生に必要なものがフリースタイルバトル周りにもポロポロ落ちている。拾うといいよ」

アキ「はいはい」

ミッコ「そんじゃ失礼しまっす」

ケイ「じゃあね~♪ばいばーい!」

スタッフ「出場者の皆さま、そろそろ舞台裏の方でスタンバイをお願いします」

みほ「は、はい」

ニーナ「プラウダの裏は怖えけんど、こったら場所の裏なら安心だべ」テクテク

ゾロゾロゾロ..


エミ「………………」

音子「西住まほに一発カマし入れとかなくていいのか?」 ※山守 音子(やまもり ねこ)・・・リトルアーミー2に登場。ベルウォール学園の戦車道チーム所属。かなりクチが悪い上に喧嘩っ早い。ヤンキー風。一人称は俺。

エミ「い、入れるわけないでしょ!そんなこと出来ないわよ!」

音子「あっそ。けどよー、西住まほを倒す気は満々なんだろ?」ニヤ

エミ「…………ええ。リベンジを果たした後、みほにも勝って優勝するつもりよ」

音子「……へっ!いい顔してるな。さすがマネージャー。っと、モタモタしてっとやっべえな。最初の試合だった」タタッ!

エミ「あ、ちょっと!いきなりなんだから……ったく」タタタ



◇◇◇◇◇◇このSSにおけるフリースタイルバトルの説明◇◇◇◇◇


バトル中のセリフは全てラップですので、実際に声に出してラップも出来るようになっています

バトルは8小節毎で交代のターン制です

1小節とは「いち、にー、さん、しー」の4拍のことです。4拍×8回で8小節になります。8小節でスクラッチが入り、相手とターンが替わります

バトルを見る前に、PCの人は別タブ、スマホの人はバックグラウンドで再生してもらうなどしながら読んでもらえると、より楽しめると思います

ちなみに、このSSをまとめサイトで読む場合、スマホの方はPC用のサイトで見ると読みやすいと思います。スマホ用ページの場合、ページ切り替え時に動画が止まってしまうので(まとめてもらえるかはわかりませんが)


ビートはYoutubeのリンク先の動画です。ラウンド毎にリンクを貼っています

リンク先の動画が削除された時のため、URLの横に動画の時間を記載します。もしリンク先が削除されていたら、同じくらいの時間のビート用動画で代用できます

動画の時間は基本的に『8小節4本』ですので、4本以上ある動画の場合、同じくらいの時間でもテンポが合わない(早い)のでご注意ください



★バトル時★

みほ「○○○○○○○○○○○○」 この1行で1小節になっています。文字数によって早口だったりゆっくりだったりします

みほ「○○○○○○○○○○○○」×8で1バース終了。スクラッチきっかけで、次は相手のバースになります。基本、3ターン(往復)で終了です


この大会における2ON2のルールですが、特別なものはありません。小節の割り振り方は自由です。1小節、2小節ごと交互でもOK。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


【ステージ】

役人「選手入場の前に、今回の審査員を紹介しましょう!」ワァァァ!!

役人「撃墜率120%!ラップで女性を口説き落とす陸上自衛隊のグッジョブ教官こと蝶野亜美さん!」

亜美「よろしくー!」ワァァァア!

役人「そして、知る人ぞ知るラッパー、KODAMAこと児玉七郎さん!戦車道連盟の理事長です!!」

理事長「ど、どうも」ワァァァ!

役人「……戦車道の試合で審判を務めるかたわら、大学ではフリースタイル漬けの日々を送っていた……篠川香音さん!」

香音「よ、よろしくお願いします」ワァァァ!

役人「この方を知っている人はいるでしょうか?今は活動をしていませんが、実力派と高い評価を受けていたラッパー、Shin-Zabrowさん!」

新三郎「よろしくお願いしやす!」ワァァァ!

役人「……えー、前回はもう1人、島田千代さんが審査員をしてくださったのですが、今回は身内が出場するということで辞退されました」

役人「しかしこの方もある意味でレジェンド!昔はラッパーとして活躍し、ここでは言えないような危ない橋を渡ったり、様々な武勇伝をお持ちのギャングスタ!今はせんしゃ倶楽部本店の店主をしておられます、浅井さん!」

浅井「どうも……」ワァァァ! ※リボンの武者2巻に登場。せんしゃ倶楽部本店の店主として戦車道連盟のパーツ等を取り扱いながら、強襲戦車競技(タンカスロン)用品を地下で販売、カスタム等を行っている

役人「そして今回は、勝敗の判定方法が前回と変わっています!前回は審査員5名による判定、そして全員一致の場合はクリティカルで勝利となりましたが……今回はお客さんも審査に参加してもらいます!」

ワァァァァ!!

役人「まず試合終了後、どちらが勝ったと思うか、お客さんは声を上げながら片手を挙げてください。その歓声が大きく、挙がった手の数が多い方がまず1ポイント獲得し、そしてその後の審査員による判定での勝者にはまた1ポイント入る、というシステムになります」

役人「2ポイント……つまり両者の支持を獲得した方が勝者となり、試合終了です。前回はラウンド毎に勝敗を決め、2ラウンドをとったら勝ちでしたが、今回は一発勝負のスリリングなバトルとなっています!」ワァァァ

役人「ただし!お客さんと審査員の判定が割れた場合は延長戦として再試合を行います!そして審査員が全員一致したとしてもクリティカルはありません。あくまでお客さんと審査員の判定結果は対等となっています!」ワアッァァ!

役人「最後にもう1つ。審査員の判定は公正を期すため、お客さんに判定を聞く前に、どちらの勝ちかを決めてもらいます。事前に赤と青の2本の旗を渡してありますが、勝者だと思う方の旗のみを手に持ち、余った旗はスタッフが一旦回収します。そしてお客さんの判定後に、審査員に旗を上げてもらうようにします。ですので、お客さんの歓声や空気によって判定を変えるといった不正はありません。ご安心ください」ワァァ..

役人「……長くなりましたが、説明は以上です。よろしいでしょうか?判定の時は大いに盛り上がってくださいね?日頃の嫌なことを忘れてしまいましょう!」ワァァ!

役人「そう、いつ終わるともしれない書類整理や関係者各位への対応、メガネの度が合わなくなってきたりする日常のストレスは全てここで捨てましょう!」

役人「では!早速いきましょう!第2回フリースタイルMCバトル大会!始めるぞーーー!!!」

ワァァァァァァ!!


【2階席】

沙織「前から不思議だったんだけど……」

華「?はい」

沙織「審査員を務める人たちって、どういう基準で選んでるのかな?」

華「……想像ですが、まず審査員を務める人を決める人は誰がいいかを審査する人を誰にするかを審査する人を…」

沙織「ストップ。小山先輩、知ってますか?」

柚子「単純にHIPHOPにまつわる人たちが選ばれたって聞いたよ?新三郎さんとか理事長は元ラッパーだし。ただ……」

沙織「ただ?」

柚子「参加校の関係者じゃない人を中心に選出してるみたい。篠川さんは戦車道の審判で公正な判断が出来るだろうし、理事長も特定の学校と密接な関わり合いは無い。せんしゃ倶楽部の浅井さんも同じだね。蝶野さんはうちの練習を手伝ってくれたけど、他の学校にも行ってるから問題無し」

沙織「なるほど……あれ?でもそれだと……」

柚子「そうだね。新三郎さんは大洗の人だから、うちが出場する時は審査員にしない方がいいんじゃないかって意見も出たみたい」

沙織「ですよね?」

柚子「ただ、他に審査員を務めてくれそうな人がなかなかいないんだって。そこで、元ラッパーの新三郎さんならフリースタイルバトルの判定で身内びいきはしないだろうってことで選ばれた」

沙織「そっかぁ……確かに自分が判定される立場を経験してたら、身内だからって有利にする審判なんて許せない!ってなる……自分は絶対そういう判定はしないぞーって思いますもんね!」

柚子「そういうこと」


【ステージ】

役人「今大会の開幕試合!選手、入場してください!」ワァァァァ!!


エミ「…………」ザッ!

音子「…………」ザッ!



まほ「…………」ザッ

ワァァァァ!

カチューシャ「…………」トッ..


役人「1回戦、第1試合は、ナカスリベンジャーズ対まほカチュです!」ワァァァァ!!


エミ(っ……やはり西住まほの登場時の歓声がすごい……)ゴクリ

音子「……おい。あんま気負うな」

エミ「え?」

音子「負けたらどうせ俺のせいになるだろうしよ。へっ、気楽にやれよ」

エミ「あんた……」


カチューシャ「………………」

まほ「?静かだな。緊張してるのか?」

カチューシャ「そ、そんなわけないじゃない。あんたこそ緊張してるんじゃないの?」

まほ「いや、全く」

カチューシャ「…………そう」フン

まほ「カチューシャが一緒だからな」

カチューシャ「え……///」

まほ「負ける気がしない。だって……最強なんだろう?」クスッ

カチューシャ「…………ええ!当たり前よ!」ニカッ!



役人「それでは……始めます。先攻後攻じゃんけんをお願いします」

エミ「」ザッ

まほ「」ザッ

ジャンケンポン

エミ「!後攻で」

まほ「負けた」テクテク

カチューシャ「あんた弱いのよっ」ペシペシ!

まほ「すまない」フフ

エミ(な!?西住まほがお尻を叩かれてる!?どんな関係なの!?)


役人「……DJルミ、ビートをお願いします」

ルミ「………………」キュルッ

♪~

※今後、ビート確認シーンは省略します

役人「OK!では始めます!フリースタイルバトル、2ON2!」

エミ・音子「………………」

まほ・カチューシャ「………………」

役人「先攻、まほカチュ!後攻、ナカスリベンジャーズ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュキュ!


http://www.youtube.com/watch?v=lv89jtWftqY 3:41

<1回戦 第1試合 先攻 [まほカチュ] 西住まほ、カチューシャ VS 後攻 [ナカスリベンジャーズ] エミ、音子>

カチューシャ「私とは因縁無い ナカスリベンジャーズ」

カチューシャ「でも私あんたら ぶちのめして 客沸かすしデンジャラス」ワァァ!

まほ「復讐相手と 1回戦で当たる時点で 神に選ばれてねぇ」ワァァ!

まほ「散るか引き立て役か 生贄になるか 自分で選べよ」ワアァァ!

カチューシャ「さあ選択肢 どっち選んでも負け行き あみだくじ」ワァァ!

まほ「そう『Shock!』で言っていたように 今の自分が明日の強敵」ワァァ!

まほ「お前らが強くなった先に さらに強くなった私がいるわけさ」ワッァア!

カチューシャ「仕方ない だって 私たちは そういう星の元に生まれた」ワァァァ!



音子「うるせぇ てめぇ自慢 ちっせぇガキが邪魔すんじゃねぇ」

音子「こちとら はらわた煮えくり返ってんだボケ ぶちかますだけ!」ワァァ!

エミ「わかるわね? 失うものの無い強み アイツより こいつより」ワァ!

エミ「濃いフロウに 怒りと情熱を乗せて 今こそあんたら 見返す時!」ワァァ!

音子「あみだくじごと 燃やして火傷させてやるぜ オラオラ!」

音子「ドタバタ劇 やってろ勝手に こっちは 恨みを晴らすだけだぜぇ!」

エミ「ただふざけてるわけじゃない 不器用すぎるかも でも筋通す」ワァァ!

エミ「もう背中は見えてきている だからこそ ここから真っ向勝負!」ワァァ!



まほ「背中が見えてる?…………それは認める」

まほ「ただ気付いてないだろうけどな お前ら周回遅れ」ワァァァ!

カチューシャ「ホラホラ 追いつくなんて無理 マホーシャの背中には 羽が生えてる」

カチューシャ「一目で わかっちゃうでしょう ねぇ、『一体誰が負けてる?』」ワァァァ!

カチューシャ「越えられない壁 飛べちゃえないわけ おまけ?それは願い下げ」ワァァァ!

カチューシャ「実力差が ありすぎるのに 真っ向勝負って 荒唐無稽!」ワァァ!

まほ「諦め悪さが 美徳な貧乏神 誰かに なすりつける他ない」ワァァ!

まほ「努力は裏切らないが 他の道見ないなら お前が努力を裏切ってる」ワァァ!


音子「うるせぇ 裏切ってんのは てめぇらの方だろうが!」

音子「こっちが バチバチにぶつかってんのに 余裕ぶってんじゃねぇよコラァ!」ワァァ

エミ「名誉とか どうでもいい 欲しいのは勝利 つまりヴィクトリー」

エミ「1対1では負けたけど 音子と私なら起きる ケミストリー」ワァァァ!

音子「だからこそ お前らの勝率はゼロ こっちが勝つに決まってんだ!」

音子「なんだ?おい ビビってんのか?今さら謝っても許さねぇからなぁ!」ワァァ

エミ「西住まほ 口の悪い天使 つまり堕天使 私は剣士」ワァァ!

エミ「その羽 叩き切って焼き切ってあげるわ 売るほどあるのよ負けん気」ワァァ!



まほ「さっきまで やけに攻撃的に怒鳴ってた 黒い音子(ねこ)」

まほ「名前と真逆じゃないか エミに従順な犬 うるさく吠える」ワァァァ!

まほ「でも今のバース いきなり自画自賛 立ち位置ガバガバ」ワァァ!

まほ「はっきり言って お前足手まとい 足引きババアだな!」ワァァァァ!

まほ「悪いな音子 私は意外と はっきり言うタチなんでな」ワァァ!

まほ「癪に触って 吐きそうになっても リバースさせねぇぐらいにな」ワァァ!

カチューシャ「雰囲気エンドロール 豪雨が過ぎたあとの 快晴のよう」

カチューシャ「バトル予報士がいたとしたって 絶対言わない 再戦模様」ワァァ!



エミ「再戦希望 話足りない 私が違い 見せて語りたい!」ワァァ!

エミ「音子と混ざり合い 化学反応 起こして 一花咲かしたい」ワァァ!

音子「まだまだ試合は始まったばかりだ!こんなところで終わるわけねぇ!」

音子「おい 何澄ました顔してんだボケ!まだ途中だぞクソ野郎が!」ワァ!

エミ「クソ野郎たちに嘘だろう?ってぐらいの逆転劇 起こす作戦」

エミ「電撃戦で激戦 決着付けるのは延長戦でどう?と尋ねる」ワァ!

音子「こちとらベルウォールの代表だ!負けねぇ気持ちはてめぇら以上!」

音子「戦車道で負けようが マイクで叫んで 声枯らして勝つんだ!!」ワァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!!


役人「ではまずお客さんに聞いてみましょう!みなさん、いいと思ったチームがコールされたら片手挙げたまま声出してください!」

役人「……いきます!この勝負、まほカチュが勝ったと思った人!」

ワァァァァ!

役人「……ではナカスリベンジャーが勝ったと思った人!」

ワァァ!

役人「まずはまほカチュに1ポイント入ります。では審査員の判定に移ります。勝ったと思う方の旗を上げてください。お願いします!」

亜美「『まほカチュ』」

理事長「『まほカチュ』」

香音「『まほカチュ』」

新三郎「『まほカチュ』」

浅井店主「『まほカチュ』」

役人「全員一致!この試合、まほカチュの勝利です!!」ワァァァッァア!!



音子「くそっ!」

エミ「………………」

音子「すまねぇ。やっぱり足引っ張っちまった」

エミ「何言ってんのよ。それはお互いさま。力負けだもん……うん、仕方ない」

エミ(西住まほ……どのジャンルでも高い壁として存在するのね……凄い人だわまったく……)フフ



【トーナメント】
                           ――――
                                │―――
まほカチュ                    .――――     │
                                     ..│―――
継続                        ――――     .│    │
                                │―――     ..│
レッドブルーズ                  ――――          ...│
                                           │────
チンピライマーズ                ..――――           │       |
                                │―――     .│      |
BC自由                     ..――――     .│    ..│      .|
                                     .│―――       .|
ペパロニ&ケイと世界中の美味しい物   .――――     │           ...|
                                │―――             ...|
MIH×O×RENGE              .――――                  ...|
                                                  ..|────!!優勝!!
ライム戦隊カリレンジャー           .――――                 ...│
                                │―――            .│
アリサ&ニーナ                 .――――     │           .│
                                     ..│―――      ...│
青師団アルマ                  .――――     ..│    │     ...│

                                │―――      .|      .│
ツインテールショートヘア           ..――――           .│      ...|
                                           │――――

ヨーグルトのマーチ               ――――          ..│
                                │―――     │
干し芋ティータイム               ――――     │     |
                                     .│───
ボコファイターズ                ..――――     │
                                │―――
アノコをトワに支え隊             ..――――     




【2階席】

沙織「みぽりんのお姉さんが勝ったね」

華「そうですね。いい試合でした。熱さで言えば、きのこたけのこ論争には及ばないでしょうが…」

そど子「ちょっと!その問題はデリケートで暴動が起こりかねないからやめなさいよ!」

千代「こんにちは。ずいぶん賑やかね」

沙織「えっ?あ、こ、こんにちは。あなたは……」

華「……すみません。わたくし、華道関係者や定食屋さんの女将さんは大体すぐ憶えているのですが……あなたのことは存じ上げておりません」

千代「………仕方ないわ。私は女将ではないから」

華「では板前……?」

沙織「華は少し椅子に座って目を閉じて幼少期から思い出を遡る時間とろうか」

華「いいんですか!?」

優花里「テンションが上がる理由がよくわからないあたり、五十鈴殿らしいですぅ」アハハ

沙織「ええっと……島田愛里寿さんのお母さん、島田千代さん……ですよね?」

優花里「ええ!世界中に道場を持っている島田流戦車道の家元であり、かつ大学戦車道連盟の理事長も務めておられ、さらに直射日光を避けるために日傘を差す女子力をお持ちの美女!その美貌と物腰の柔らかさ、そして室内でも手袋をしていて指紋を残さないことから、愛人にしたい戦車道関係者ランキングでは上位に…」

沙織「ゆかりんに聞いてないから。あと後半失礼になってる!」

千代「別にかまわないわ。ふふ、詳しいのねあなた」

優花里「ええ!戦車道は私にとって無くてはならない存在ですから!必然、知識は深くなっていきます!例えば、先日島田殿がすっぴんのジャージ姿でゴミ出ししている姿を週刊誌にすっぱ抜かれた記事も目を通し…」

千代「………………」ゴゴゴゴ..

優花里「ひっ!?ご、ごめんなさい!余計なことを!」

千代「構わないわ……ふふ」

華「それで……何故わたくしたちのところにいらしたのですか?審査員を辞退されたのは聞いておりますが……」

千代「迷惑でなければ一緒に観戦させてもらおうと思ったからよ」

沙織「わ、私たちとですか!?」

千代「ええ」

沙織「どうしてですか?」

千代「しぽり……いえ、西住しほさんと一緒に観戦したいと思ったからよ」

沙織「え?でもみぽりんのお母さんなんていませんけど…」チラ

しほ「………………」

沙織「きゃあああ!いつの間にかいた!!」


しほ「……バトルが始まったせいで声をかけそびれてしまってね。みほのクラスメイトと観戦するのも興味深いと思ったのだけれど……ダメかしら?」

華「正直、気を遣うので別の場所へ…」

沙織「華!和を!和の心をもっと!」

華「あら。そうでした。わたくしとしたことが……」

優花里「大歓迎ですぅ!西住殿の義母様とこうして同じ空間で呼吸できる喜びに私は至福を感じてますぅ!」

しほ「うふふ。なかなか大げさね。でもそう言ってもらえると嬉しいわ」

紗希「……………………」ジー

しほ「な、なにかしら」

あや「紗希も嬉しいって言ってます!」

しほ「そ、そう」

千代「……そちらの件は片が付いたようだけれど、私も一緒に観戦してもいいかしら?」

沙織「もちろんです!今回の大会って、審査員のコメントが無くなっちゃったみたいで、どこがどう良かったのかとかわからないんですよね……だから」

千代「それなら私なりの解説をしてあげましょう。その方が楽しめるはずですもの」

沙織「ありがとうございます!」

千代「ちなみに今の試合は、カチューシャさんの1バース目の『どっち選んでも負け行き あみだくじ』というのが、KEN THE 390の『Shock!』っていう曲の歌詞をサンプリングているのね」

千代「それを受けてまほさんもサビの『今の自分が明日の強敵』というフレーズを使った」

千代「『背中が見えてきた』というエミさんに対し、周回遅れだと返したり、音子(ネコ)さんの名前から『タチ』、『リバース』という言葉遊びを交えたり、まほさんのアンサーが冴えていたのと、カチューシャさんの堅実なライムもポイントだったわね」

千代「それに両者とも前回以上にリズムに乗って心地よくフロウしていたわ。ナカスリベンジャーズも成長しているのだけれど、相手が悪かったわね」

沙織「なるほど……」

華「色々細かい仕掛けが施されているのですね……」

柚子「さて、次の試合は……」

桃「『継続』と『レッドブルーズだな』」

柚子「継続は……ミカさんとミッコさん。レッドブル―ズは、レッドスターさんとクラーラさんだね」

桃「レッドはわかるがなぜブルーなんだ?」

柚子「瞳の色なんじゃないかな?あとはロシアの国旗とか」

桃「継続は前回散々な結果だったが、今回はどうかな」

柚子「あの人たちの性格を考えるとどっちとも取れるよね。下手でも参加して楽しみたいとも思いそうだし、負けたままで終わりたくないっていうのもありそう」

桃「一体、前回とどう変わったのか……」


【ステージ】

役人「それでは1回戦 第2試合を始めます!両者入場してください!」

ミカ「…………」ザッ

ミッコ「…………」ザッ

小梅「…………」スッ

クラーラ「…………」ザッ


役人「先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ミッコ「はい」

クラーラ「はい」

小梅「………………」


クラーラ『コウメさんはリズム感がいいです。なので大会までにフロウを中心に鍛え、そのあとにライムを練習すればかなりいいと思います』


小梅(黒森峰代表の時よりも頑張った。ライムも勉強した。落ち着いて戦えばきっとなんとかなる)グッ

ミッコ「先攻で!」

役人「OK!では先攻、継続!後攻、レッドブル―ズ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ……」キュルル!


http://www.youtube.com/watch?v=CQhu6z0jMyE 2:44

<1回戦 第2試合 先攻 [継続] ミカ、ミッコ VS 後攻 [レッドブル―ズ] クラーラ、レッドスター>

ミカ「まず一言 前回は 申し訳ない」

ミカ「情けない試合 別に 調子が出ない」ワァァ!

ミカ「わけじゃなく 単純な実力不足」

ミカ「でも今日は 見せてあげるよ違う世界!」ワァァァア!

ミッコ「生まれ変わった継続だ 手を上げな!」ワァァ!

ミッコ「レッドブル―ズは 速攻 音を上げな!」ワァァァ!

ミカ「その声を吸収し 脳の中枢まで フロウを注入」ワァァァァ!

ミカ「苦悩も苦労も 重々承知 しつつ 悠々押韻」ワァァァァ!



クラーラ「ようやく立っただけ スタートライン」

クラーラ「もっと先にいるから吐く スマートな詞」ワァァ!

小梅「止まりはしない まるでブルドーザー」

小梅「降参する方が正解だよ お利口さん」ワァ!

クラーラ「凝り性な ヤツらが今 トレンドなだけ」

クラーラ「これ動画アップされても コメント無さげ」ワァァ!

小梅「継続する気ない だって まずつまんない」

小梅「レッドブル―ズにお客さん 拍手喝采」ワァァ!



ミカ「ならばこんな早口なフロウ 無能を愚弄する」ワァァァ!

ミカ「枠を通り越す 言葉 放り込む 脳に即」ワァァ!

ミッコ「直通してやるぜ そのディスは超苦痛」ワァァ!

ミカ「目の色の境目を消す 鳴き腫らした赤い目」ワァァァ!

ミッコ「ブルドーザーで ビートの邪魔するなよレッドスター」

ミッコ「お前に必要なのは スキルの前に説教か?」ワァァ!

ミカ「お互い成長 でもレッドスターはただの勉強家」

ミカ「私は音、言葉と混ざり HIPHOPを感じたいのさ」ワァァァ!


小梅「最後の2小節 韻を無視してますよね?」

小梅「変なキャラ付け 誤魔化しの角度で」ワァァ

クラーラ「元を正せば単なる 変わり者」

クラーラ「まがい物 余り物 可哀想 だから 破壊しよう」ワァァ!

小梅「勉強家ではない 楽しく遊ぶ それが音楽」ワァァ!

小梅「褒めたあとに けなす 困惑」ワァ!

クラーラ「そもそも大舞台なのに ジャージとか浮いてる」

クラーラ「最後 踏み損ねたからか?なんか もたついてる」ワァァ



ミカ「時に踏み損ねが打破する 予定調和」

ミカ「結果 手にする固定票が キミたち導くよゲームオーバー」ワァァァ!

ミッコ「ジャージがなんなんだ? これが着たいから着てるだけ」ワァ!

ミッコ「このカッコで ラップしたいからしてるだけ!!」ワァァ!

ミカ「価値観という檻で鎖に縛られたプリズナー」

ミカ「私は観衆の支持得る 看守 ミッコと羽ばたくいつか」ワァァァ!

ミッコ「いつかっていうか 今ここからだぜミカ!」

ミッコ「沸き上がる意志には 逆らえねぇな!」ワァァァ!



小梅「『逆らえねぇな』 ここ踏み外し」

小梅「ミスしまくり 1回戦負け 次は無理」ワァァ!

クラーラ「プリズナー なんかより合わせる 辻褄」ワァァ!

クラーラ「自由を謳歌する そう まるでフリープラン」ワァァ!

小梅「無理すら 簡単に解決する2人組です」

小梅「誰もが認める実力 プライスレス」ワァァ!

クラーラ「宙に浮いた問題も解決 レッドブル―ズ」

クラーラ「クラーラ&レッドスター 結束充分」ワァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!!

ミッコ「はぁ……はぁ……おっし。きっと大丈夫なはず」

ミカ「ミッコ。勝負というものはどう転ぶかわからない。結果を聞くまでは口をつぐむものさ」


役人「ではお客さんに聞いてみましょう!先攻、継続が勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!!

役人「……後攻、レッドブル―ズが勝ったと思う人!」

ワァァァ!

役人「まずは継続が1ポイント先取です。では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『継続』」

理事長「『継続』」

香音「『レッドブル―ズ』」

新三郎「『継続』」

浅井「『継続』」

役人「勝者!継続~~~~!!!!」ワァァァァ!!

ミッコ「よっしゃあ!」

ミカ「…………」フゥ

クラーラ「っ…………」

小梅「うぅ……」ガクッ


【2階席】

優花里「継続のお2人は前回とは打って変わってまともですねぇ」

しほ「前回の試合を動画で観た限りでは、実力不足だったというよりは、あまりやる気が無かったように見受けられたわね」

沙織「確かに……」

華「アクティブなようでアクティブではない。これはもはやアクティブの輪のようですね」

沙織「そこは普通にメビウスの輪かな」

千代「しかしそんな継続高校の2人がここまで急成長するとは予想外だったわね。ミカさんはライミングとフロウが優れています。そしてミッコさんはバイブスが高くリズム感もあるので良い具合にマッチしていて、いいチームだと思います」

しほ「成長度合いで言うなら、レッドスターもかなりのものね。前回より遥かに上手になっている」

千代「そうね。攻撃が踏み外しに対して偏ってしまって、あまり有効なダメージは与えられなかったけれど、急成長と言えるほど力を付けているわ。今後、さらに上を目指せるでしょうね」

沙織「…………みぽりんのお母さん、動画で前の大会観たんだね」ヒソヒソ

華「やはり自分の娘の動向が気になるのが親心というものでしょう。わたくしのお母様も同様です。わたくしがよく食べに行くチェーン店の割引クーポンをくれますから」

沙織「それとはなんか違う気もするけど……まぁいいや」

そど子「…………」ソワソワ

あゆみ「園先輩?どうしたんですか?」

あや「おっきい方を我慢してるんですか?」

そど子「ち、違うわよ!」

あや「じゃあ中くらい?」

そど子「大きさなんかどうでもいいのよ!それより次の試合が……」

紗希「………………ちょうちょ」

そど子「そう!ちょうちょがついに戦うわけ!だから私も緊張…………ってなんでちょうちょがバトルするのよ!そして私がどうしてソワソワするのよ!」

優季「冷泉先輩頑張って~!」

そど子「ってもうステージに立ってる!?あんたたちが風紀を乱すから……!」

梓「ま、まあまあ、落ち着いて観ましょうよ」



【トーナメント】
                           ――――
                                │―――
まほカチュ                    .――――     │
                                     ..│―――
継続                        ――――     .│    │
                                │―――     ..│
                           ――――          ...│
                                           │────
チンピライマーズ                ..――――           │       |
                                │―――     .│      |
BC自由                     ..――――     .│    ..│      .|
                                     .│―――       .|
ペパロニ&ケイと世界中の美味しい物   .――――     │           ...|
                                │―――             ...|
MIH×O×RENGE              .――――                  ...|
                                                  ..|────!!優勝!!
ライム戦隊カリレンジャー           .――――                 ...│
                                │―――            .│
アリサ&ニーナ                 .――――     │           .│
                                     ..│―――      ...│
青師団アルマ                  .――――     ..│    │     ...│

                                │―――      .|      .│
ツインテールショートヘア           ..――――           .│      ...|
                                           │――――

ヨーグルトのマーチ               ――――          ..│
                                │―――     │
干し芋ティータイム               ――――     │     |
                                     .│───
ボコファイターズ                ..――――     │
                                │―――
アノコをトワに支え隊             ..――――     




【ステージ】

麻子「………………」

エリカ「………………」

アスパラガス「………………」

ボルドー「………………」

麻子(BC自由学園が初戦か。なかなか厳しいかもしれん……だがアイコンタクトでコミュニケーションをとる練習はした。逸見エリカも熱くなりすぎてしまうところを抑えるべく努力した。勝てる可能性はあるはずだ)

役人「それでは先攻後攻じゃんけんをお願いします」

エリカ「私が行くわ」

麻子「頼む」

ボルドー「勝ってくれよ」

アスパラガス「任せるざます」

ジャンケンポン!

エリカ「!後攻で」

役人「OK!先攻、チンピライマーズ!後攻、BC自由!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュキュッ!


【ステージ】

麻子「………………」

エリカ「………………」

アスパラガス「………………」

ボルドー「………………」

麻子(BC自由学園が初戦か。なかなか厳しいかもしれん……だがアイコンタクトでコミュニケーションをとる練習はした。逸見エリカも熱くなりすぎてしまうところを抑えるべく努力した。勝てる可能性はあるはずだ)

役人「それでは先攻後攻じゃんけんをお願いします」

エリカ「私が行くわ」

麻子「頼む」

ボルドー「勝ってくれよ」

アスパラガス「任せるざます」

ジャンケンポン!

エリカ「!後攻で」

役人「OK!先攻、BC自由!後攻、チンピライマーズ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュキュッ!


http://www.youtube.com/watch?v=4DvRfHKXjpk 3:31

<1回戦 第3試合 先攻 [BC自由] アスパラガス、ボルドー VS 後攻 [チンピライマーズ] REZE、エリカ>

アスパラガス「1回戦 うちらと当たるなんて 不運の極みだ」

アスパラガス「前回のファイナリスト でもお前たちの 武運も下火だ」ワァァァ!

ボルドー「スタミナは充分か? チームワークは充分か?」

ボルドー「発揮する間も無く散る ステージにいられるのは せいぜい10分間」ワァ!

アスパラガス「そのあいだに明らかな力を見せるアスパラガス」ワァァァ!

アスパラガス「お前たちが出来ないフロウで当たり前に勝つ必ず」ワァァ

ボルドー「彩り豊かなラップショウ 握りこぶしガッツポーズ」ワァ!

ボルドー「これがTEAM BC自由 お前らはすぐに脱帽する!」ワァァァ!



麻子「脱帽か都合よく騒ぐボウズだフロウがすごーく上手いだが苦悩」ワァァ!

エリカ「全然響かねぇのよ! 器用貧乏ってだけな無能!」ワァァ!

麻子「アスパラガス、自覚ならある?ドヤ顔 まず腹立つ」ワァァァ!

麻子「カスなら勝つ、逆なら去る、わかりやすいっすね ザコ専門家」ワァァ!

麻子「うちらは倒せんもんな アンタたこせん問屋? ペラペラで薄っぺら」ワァァ!

エリカ「目の前でフラフラ なんとも狩りやすい獲物に映ってらぁ!」ワァァァ!

麻子「その後 速度上げてボルドー 髪の毛 刈り込むと ショック症状」ワァァ!

エリカ「まるで昭和並の暗黒面 負け認めるまで しごく調教!」ワアァァァ!!



アスパラガス「調教なんて堂々逃亡 想像以上の素早さあるからさ」ワァ!

アスパラガス「REZEのライムなんてヒラリヒラリ かわす体」ワァ!

ボルドー「元敵同士なんだろ?チームワークがいいのか悪いのかどっちだ?」

ボルドー「お前らぼっちか? 自分自分が強すぎて見苦しいんだよ!!」ワァァ!

アスパラガス「その見苦しい 部分を慈しみ 見守り続ける教師」

アスパラガス「今日死んだとしても 満足できるよう祈る まるで祈祷師」ワァァ!

ボルドー「てなわけで 戦後処理やっておく 勝つのはこっち わかります?」

ボルドー「残酷だけども仕方ない だってバトルってのはサバイバル」ワァァ!


麻子「サバイバル の相手 がライバル ならイラつ くことない さ快活」ワァァァ!

麻子「でもお前らはここで終わるのさ ずっと待っときな改札 の前で!」ワァァ!

エリカ「その間に こっちは保つリード 乗るなら特急?快速?」

麻子「ゴールした時 あんたらは泣く…いや、すでに喪中、ガイコツ」ワアァァ!

エリカ「仲間共は 愛想尽かして 2人の敗北を散々に罵倒」

エリカ「その様を眺めながら 大笑いしてあげるわよ 七転八倒」ワァァ!

エリカ「素人の祈祷師が 死亡した末路は 誰も知ろうとしないわね!」

麻子「戦後処理は任せろ ただ弔問客には 弁当のみ」ワァァァァ!



ボルドー「あーあー、やっぱり名前の通りだ こいつら チンピラ」

ボルドー「威勢がいいけど やることなすこと 信じらんねぇほど 陰気だ」ワァァ!

アスパラガス「仲間が罵倒なんてするわけない 見当違い」

アスパラガス「もっと謙虚に来なよ後輩 『頑張って健闘したい』ってな!」ワァァァ!

ボルドー「そう、それこそ年上の威厳だ お前らとは 年季が違ぇんだ!」

ボルドー「バトルだから虚勢張ってんだろ? わかるぜ 大変なジレンマ」ワァァ!

アスパラガス「最後は認める 旗を上げる ボルドーアスパラガスに」

アスパラガス「どうしたってにじみ出る 極上感 you gotta love me!」ワァァァァ! 



麻子「you gotta love me? 夕方歯ぐき 出して笑ってしまうセリフだ」ワァァ

麻子「まさに歯が浮く そして歯がゆく お前を倒しに竜馬がゆく」ワァァァァ!

エリカ「1年早く生まれただけで そこまで言える 威張りの天才」

エリカ「マジでクソダッセェんだけど 引退 しないの先輩?」ワァァァ!

麻子「前回の栄光に全開で縋(すが)り付くも ゼンマイは錆びて 限界っす」ワァァァ!

麻子「そんな先輩を肴に宴会する 必要ない免罪符」ワァァァ!

エリカ「飴細工みたいに柔い こいつらの実力 低くない?」

エリカ「準備運動は終わり 先輩らの墓標 追い越し 行く2人!」ワァァァ!!



役人「終了ーーーーー!!!」

ワァァァァ!!


役人「では早速判定に移ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、BC自由が勝ったと思う人!」

ワァァァァ!!

役人「……後攻、チンピライマーズが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!!!

役人「まずはチンピライマーズが1ポイント先取です。では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『チンピライマーズ』」

理事長「『BC自由』」

香音「『チンピライマーズ』」

新三郎「『BC自由』」

浅井「『チンピライマーズ』」

役人「勝者!チンピライマーズ~~~~!!!!」ワァァァァ!!



ボルドー「マジか~!ちっくしょー……」

アスパラガス「仕方ないざます。政治的ではなく、力負けしたざますよ」

麻子「……勝てたか」フゥ

エリカ「まずは1回戦突破ね!」フフン

エリカ「そして……次の相手はもしかしたら……」


【2階席】

千代「……BC自由も良かったのだけれど……REZEさんは相変わらずライムの手数がすごい。しかも相手のワードを拾った上だから威力絶大ね」

沙織「麻子がすごいのもビックリしたんですけど、それ以上に……えーと……名前…」

華「チンピラさんですね」

沙織「それは名前じゃないよ!そうだ、逸見エリカさんだ」

そど子「チンピラで思い出すのも失礼よ」

沙織「ま、まぁそれはともかく。逸見さんが前よりずっと上手くというか……よくわかんないけど、聞いてて気持ちよかったです。これってどういうことなんですか?」

千代「おそらく、前回の経験に加え、REZEさんとの練習でライミングやリズムキープを学んだのでしょうね。前も脚韻は合わせていたけれど、それよりも勢い重視な部分が目立っていたわ。でも今はバイブスを保ちつつ的確に踏み、しかもフロウの抑揚が効いている」

華「なるほど」

千代「しかもREZEさんは声質や声量の問題で、バイブスが伝わりづらいのだけれど、その点をエリカさんは上手に補っていて、とてもいいチームだわ」

優花里「はあ~……」

沙織「どうしたのゆかりん。せっかく麻子たちが勝ったのに」

優花里「ええ、それは嬉しいのです。ただ次の試合は、この世で最も可愛いと一部地域で評判の西住殿の出番なのですが…」

沙織「一部地域というより秋山家敷地内ね」

優花里「西住殿が勝ったら……冷泉殿と戦うことになるのですよね……」

華「それは大変ですね……おかずが多すぎて炊飯器1つでは炊き足りないような事態ではないですか」

沙織「はいわかるわかる。でもゆかりん、トーナメントだから仕方ないよ」

優花里「はい……わかっているつもりなのですが……」

しほ「……まるでみほが勝つのが当然のような物言いね」

優花里「はい。お義母様、私はお義母さまが立派に育てられた至高の宝であるみほさんの勝利を確信しています。秋山優花里です」

しほ「呼び方を含め、色々と引っかかるわね……まぁいいわ。でもみほたちの相手はそう簡単に勝てる相手かしらね」

梓「サンダースのケイさんとペパロニさんのチームですよね……西住隊長はケイさんに負けてます……」

あや「ペパロニさんだって会長に勝ってるよ!」

あゆみ「『会長と西住先輩に勝った相手が組んだチームである以上は絶対に侮れない』的なことを紗希も言ってます!」

紗希「…………………………………………」

そど子「……この子がそんな長ゼリフを……?風紀的にそれは正しいのかしら?もう風紀ってなんのことかわからないわ……」

ゴモヨ「落ち着いてそど子」

パゾ美「わからないことも風紀だよ」

優花里「……西住殿……オレンジペコさん……頑張ってください」



【トーナメント】
                           ――――
                                │―――
まほカチュ                    .――――     │
                                     ..│―――
継続                        ――――     .│    │
                                │―――     ..│
                           ――――          ...│
                                           │────
チンピライマーズ                 ..――――           │       |
                                 │―――     .│      |
                           ..――――     .│    ..│      .|
                                     .│―――       .|
ペパロニ&ケイと世界中の美味しい物    .――――     │           ...|
                                │―――             ...|
MIH×O×RENGE              .――――                  ...|
                                                  ..|────!!優勝!!
ライム戦隊カリレンジャー           .――――                 ...│
                                │―――            .│
アリサ&ニーナ                  .――――     │           .│
                                     ..│―――      ...│
青師団アルマ                  .――――     ..│    │     ...│

                                │―――      .|      .│
ツインテールショートヘア             ..――――           .│      ...|
                                           │――――

ヨーグルトのマーチ                ――――          ..│
                                │―――     │
干し芋ティータイム                ――――     │     |
                                     .│───
ボコファイターズ                 ..――――     │
                                │―――
アノコをトワに支え隊              ..――――     




【舞台袖】

みほ「うー……」

みほ(ケイさん相手かぁ……やりにくいよ……)

オレンジペコ「みほさん、大丈夫です」

みほ「え?」

オレンジペコ「前に負けた時のみほさんと今のみほさんは別人ですから」ニッコリ

みほ「オレンジペコさん……」

オレンジペコ「それに……」

みほ「?」

オレンジペコ「多分私にとってケイさんは戦いやすい相手だと思いますから」フフフ



【ステージ】

役人「さあ次の試合行ってみましょう!ペパロニ&ケイと世界中の美味しい物!そしてMIH×O×RENGE!!」

ワァァッァア!

ケイ「はーい!みんなよろしくー!」

ペパロニ「やってやるっすよー!」

みほ「よ、よろしくお願いします」ペコリ

オレンジペコ「………………」ニコニコ

役人「では先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ケイ「私がやるー!」ハーイ

みほ「えっと……オレンジペコさんお願いします」チラ

オレンジペコ「はい」スッ

ジャンケンポン!

ケイ「負けたー!」

オレンジペコ「……後攻でお願いします」

役人「OK!では先攻、ペパロニ&ケイと世界中の美味しい物!後攻、MIH×O×RENGE!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュルッ!


http://www.youtube.com/watch?v=BgVYayTVwXw 2:39

<1回戦 第4試合 先攻 [ペパロニ&ケイと世界中の美味しい物] ケイ、ペパロニ VS 後攻 [MIH×O×RENGE] MIHO、オレンジペコ>

ペパロニ「まずは突っ込むぜ ペパロニが」

ペパロニ「ほら文句があんなら かかってこいや!」

ペパロニ「韻とかまだわかんねぇ だけどさ!」

ペパロニ「気合いだけは 負けないつもりだぜ!」ワァァ!

ケイ「個性が薄い人たち 果汁1パーセント」

ケイ「何べんも カーテンコール 出ても記憶されない」ワァァ!

ケイ「私に負けたMIHOに負けた人 リベンジ?」

ケイ「ていうか髪色オレンジ2人 オレンジレンジ?」ワァァ!



オレンジペコ「上海ハニーと浜辺ランデブー」ワァァ!

オレンジペコ「寄せては上げる…ほど谷間無いです…」ワァァ!

オレンジペコ「その点 ケイさん スタイル抜群」

オレンジペコ「でも軽いから 愛人タイプ 即 廃品回収~!」ワァァァ!!

みほ「最新ライム でノリだけのツーマンセル」ワァ!

みほ「撃破して支配する 空間全部」ワァァ!

みほ「勢い余って そっちもう自爆」

みほ「果汁1パーセントが 致死量になる!」ワァァァ!



ケイ「ノンノンノン!飲み慣れてる100パーセントにね♪」

ケイ「そっちは果汁 こっちは機銃 微粒子になるまで撃っちゃうよん!」

ペパロニ「ダダダダダダ!連射しまくってやる!」

ペパロニ「お前らは優勝なんか出来やしねぇんだな!」

ケイ「そっちのツーマンセルは つーまんねーっす」ワァァ!

ケイ「って口調まで移る こっちは仲良し~♪」ワァァ!

ペパロニ「自爆なんてもんは絶対しない」

ペパロニ「嘘ついたんだから謝れ 嘘つきどもが!」ワァ!


オレンジペコ「謝れ?なら記者会見 を開きますか?」

オレンジペコ「今大変 な時代 嘘とジョークの違いもわからないなんて」ワァァ!

オレンジペコ「ペパロニさんとか言うようなバカにも」

オレンジペコ「埋め込まれちゃってる 脳が可哀想」ワァァァ!

みほ「羨ましいですね 仲良しこよし」

みほ「平和ボケコンビには 鉈(なた)持ち殺し!」ワァァ!

みほ「死体を引きずって 穴掘りそこに」ワァァ!

みほ「埋めて合掌! 肩の荷下ろし!」ワァァァ!



ケイ「ちょっと待って!MIHOこそ全く冗談」

ケイ「通じてない なら繋げる110番!」ワァァァァ!

ケイ「仲良しだとされる ディスリスペクト?」

ケイ「それじゃチームワークは ギスギスですよー?」ワァァァァ!

ケイ「こんなサンプリングも やっちゃうフリーダム!」ワァァ!

ペパロニ「そんな自由なケイさんと 一緒にフリーダム!」

ペパロニ「好き勝手に出来るって めっちゃ楽しいぜ!」

ペパロニ「勝ちだけに こだわって怖い顔 もったいねぇなぁ!」ワァァ!



オレンジペコ「あ、遅ればせながら一言 言わせていただきます」

オレンジペコ「お2人のチーム名、ダサすぎじゃないですか?」ワァァ!

オレンジペコ「長くて意味わかんないし 美味しい物?ジャンクフード」

オレンジペコ「ばかり食べてる バカ舌の二枚舌はイマイチだ!」ワァァァ!

みほ「まぁまぁ それすらも含めてフリーダム」

みほ「おかげで1回戦 楽々進めてフリーパス」ワァァァ!

みほ「ペパロニさんはいつも通り でも ケイさんが劣化」

みほ「ノリがスベっちゃってる 凄惨な結果」ワァァァァ!!



役人「終了ーーーーーー!!!!」

ワァァアッァァ!!

ケイ「んーむ……」

ペパロニ「…………」ソワソワ..

オレンジペコ「…………」チラ

みほ「…………」コクリ


役人「では判定に入りましょう!先攻、ペパロニ&ケイと世界中の美味しい物が勝ったと思う人!」

ワァァァ!

役人「……後攻、MIH×O×RENGEが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!!

役人「まずはMIH×O×RENGEが1ポイント先取です。では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『MIH×O×RENGE』」

理事長「『MIH×O×RENGE』」

香音「『MIH×O×RENGE』」

新三郎「『ペパロニ&ケイと世界中の美味しい物』」

浅井「『ペパロニ&ケイと世界中の美味しい物』」

役人「3対2ということで……勝者!MIH×O×RENGE~~~~!!!!」ワァァァァ!!

みほ「やった……!ありがとうオレンジペコさん!」グッ

オレンジペコ「いえ、みほさんの力が大きかったです!」

ケイ「あーー……ごめんねペッパー。私がちょっとダメダメだったかも」

ペパロニ「いや、そんなことないっすよ!それに楽しかったんで負けてもいいじゃないっすか」

ケイ「それもそうね!ハッピー!」

ペパロニ「イエーーーイ!」

ケイ「みんなー!今日はありがとねー!」ワァァァ!

ペパロニ「最高だぜお前らーーー!」ワァァァ!!

みほ「……な、なんか勝った私たちよりあの2人の方が盛り上げてるね……」

オレンジペコ「はい……でもあの感じは私には無理です」



【トーナメント】
                           ――――
                                │―――
まほカチュ                    .――――     │
                                     ..│―――
継続                        ――――     .│    │
                                │―――     ..│
                           ――――          ...│
                                           │────
チンピライマーズ                 ..――――           │       |
                                │―――     .│      |
                         ..――――     .│    ..│      .|
                                     .│―――       .|
                           .――――     │           ...|
                                │―――             ...|
MIH×O×RENGE              .――――                  ...|
                                                  ..|────!!優勝!!
ライム戦隊カリレンジャー            .――――                 ...│
                                │―――            .│
アリサ&ニーナ                  .――――     │           .│
                                     ..│―――      ...│
青師団アルマ                  .――――     ..│    │     ...│

                                │―――      .|      .│
ツインテールショートヘア             ..――――           .│      ...|
                                           │――――

ヨーグルトのマーチ                ――――          ..│
                                │―――     │
干し芋ティータイム                ――――     │     |
                                     .│───
ボコファイターズ                 ..――――     │
                                │―――
アノコをトワに支え隊              ..――――     



【2階席】

沙織「やった!みぽりんたちが勝った!」

優季「さすが隊長~♪」

優花里「えへへへ。でしょう?西住殿は最高なんですよぉ!」

そど子「でもずいぶん物騒なことを言ってたわよ?西住さんは潜在的なストレスがかなり溜まってるんじゃ……」

あゆみ「今の試合、審査員の判定は3対2でしたけど、そんなに拮抗してた感じですか?」

千代「そうね……ケイさんのワードチョイスやアンサーとを評価したのでしょうね」

千代「『ギスギスですよー』のくだりは、前大会決勝でのMIHOさんのバースをサンプリングしたものでユニークでした。それに加え、あえて踏まずにノリ重視のラインがあったり、フロウも一本調子ではなかった」

千代「ペパロニさんは韻こそほぼないけれど、フロウの乗せ方は上手になっていて成長を感じたわ。前回のアンジーさんと戦った時のような怒りの籠もった激しいバイブスが無かったのは、本来は快活な人柄だからなのでしょうね。それがケイさんのノリとマッチしていて、息が合っていたわ」

千代「一方、MIH×O×RENGEは、オレンジペコさんのオレンジレンジのくだりからのアンサーでは自虐を含めつつ『愛人タイプ、廃品回収』という強烈なディス。3バース目のチーム名いじりと皮肉な返し。そしてMIHOさんの畳みかけるようなライミング。どちらのどの部分に注目するかによって判定結果は変わるでしょうね」

あゆみ「な、なるほど……」


【ステージ】

ワァァァァ..

ペパロニ「盛り上がってきていい感じっす♪」

ケイ「そうね!あ、そうそう!ミホ!ペッキー!楽しいバトルだったわ!ありがと!それとおめでとう!」

みほ「あ、いえ、はい……」オロオロ

オレンジペコ「ぺ、ペッキー?初めて呼ばれましたそんな風に……」

ペパロニ「ケイさ~ん、名前はちゃんと呼んであげないとかわいそうっすよー?それにこの子、超清楚でおしとやかな、あの聖オランジーナ女学院の子なんすから」

オレンジペコ「聖グロリアーナです。オランジーナは飲み物なので」

ペパロニ「あ、そうっすか?すんません」

ケイ「でもあなたたちよく紅茶飲むじゃない。あれも飲み物でしょ?」

オレンジペコ「……それ理由になってません」

ケイ「それもそっか!あっははは!」

みほ「…………ふふっ」

ケイ「ん?どしたのミホ」

みほ「いえ、なんか……やっぱりケイさんもペパロニさんも明るくて元気で楽しい人だなって」ニコ

ペパロニ「そんな褒めたってなんもないっすよ~?焼きそばの麺5キロ送るぐらいっす!」アハハ

オレンジペコ「そこはパスタの麺なのでは?」

ペパロニ「パスタはうちらが食べるんで」

ケイ「焼きそばいいわね~!私、焼きそばって結構好きなのよね♪」

ペパロニ「実は私も好きなんす!てか麺って超強くないっすか!?」

ケイ「思うー!麺は色んな表情持ってるからね!」

ペパロニ「わかるっす!」

役人「あ、あのー、そろそろ次にうぇいよーしたいんですけど……」

ケイ「あ!私うぇいよーも好き!」

ペパロニ「なんすかもー!うぇいよーばなしがしたかったんすか~?」

役人「いや、そうではなくて……」

ケイ「わかってるって!それじゃあお客さん、まだまだ試合はあるから楽しんでってね~!」

ワァァァァァァ!!!!

ケイ「それじゃあ勝ったMIH×O×RENGEと負けちゃったペパロニ&ケイと世界中の美味しい物に大きな拍手をプリーズ!」

パチパチパチパチ!!

ケイ「ありがとー!」

ペパロニ「どうもっすーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…………はぁ、はあ……息が苦しいっす」

ケイ「あっははは!『っす』で伸ばすのは辛いかもねー」

オレンジペコ「では私たちも戻りましょう」

みほ「あ、はい………………ぁ」

桂利奈「~~~~……」ムゥゥゥ..

みほ(舞台袖の阪口さん、すっごく緊張してる……無理もないよね、こんな人前でラップするんだもん)

みほ「…………よぉし」


【舞台袖】

桂利奈「ううぅう……」

桂利奈(どうしよう……すっごーーーく緊張してきちゃったよー!もし頭が真っ白になっちゃって言葉が出なかったら……うぅ)

みほ「……阪口さん」

桂利奈「あ……」

みほ「…………ボコはね」

桂利奈「?」

みほ「敵にどんなにボコボコにされても絶対に立ち上がって、またやられて……でも……それでも立ち向かっていくの」

桂利奈「…………」

みほ「阪口さんが好きなアニメとか特撮でも……そうじゃないかな?困難を前にどう戦うか……」

桂利奈「ぁ……」

みほ「緊張するのは誰でもそう。私もすっごく緊張する。でも戦うしかない」

桂利奈「西住隊長……」

みほ「それに、戦えるだけの力があるから阪口さんは選ばれたんだよ?」

桂利奈「選ばれた……?」

みほ「うん」

桂利奈「じゃあ私……伝説の勇者とまったくおんなじですか!?」

みほ「え?あ、えと……そこまでとは言ってな…」

桂利奈「お姫様を助ける、大魔王も倒す……全世界の救世主なんですね!?」

みほ「あー…………うん」

桂利奈「やったーーーーーー!西住隊長がそう言ってくれるなんて……嬉しいです!なんか勇気が湧いてきました!」

みほ「そ、そっか。よかった」

桂利奈「もうあとはぜーんぶ任せてください!頑張って世界を救います!」

みほ「う、うん。勝っても世界は救えないけど……応援はしてるよ」

桂利奈「はい!あ、コールされました!行きましょうカルパッチョさん!」

カルパッチョ「はい。あの……西住さん」

みほ「?なんでしょうか」

カルパッチョ「今日、たかちゃ……カエサルさんは?」

みほ「…………すいません、来ていません」

カルパッチョ「……………………」

みほ「ご、ごめんなさい!」

カルパッチョ「いえ、西住さんが謝ることではありませんし怒ってませんから。ただちょっと寂しいな……」トボトボ..

みほ「………………」

みほ(阪口さんが元気になったのはいいけど、カルパッチョさんが落ち込んじゃった。大丈夫かなぁ……)


【ステージ】

役人「それでは1回戦 第5試合、ライム戦隊カリレンジャー対アリサ&ニーナの試合を行います!」

ワァァァ!

桂利奈「」フンス!

カルパッチョ「」ハァァ..

アリサ「……なんか対照的な2人ね」

ニーナ「そうですねぇ。うちの隊長や副隊長と比べたら威圧感があんましねぇなっつー感じだべが」

アリサ「わかってるでしょうけど、少なくともカルパッチョさんは強敵確定。油断は禁物よ」

ニーナ「了解です」

役人「では先攻後攻じゃんけんをお願いします」

桂利奈「ここは私が!救世主ですから!」

カルパッチョ「ど、どうぞ」

アリサ「ニーナ。負けたらマイナス1ポイントね」

ニーナ「は、はい……」

ニーナ(この人もうちの隊長や副隊長と違った意味で怖ぇだー。キレたら何すっかわかんねぇ)

ジャンケンポン!

桂利奈「勝ったッ!第3部完!」

ニーナ「ひゃああああ!負けちまっただぁ!」

桂利奈「後攻でお願いします!主人公は最後に勝つので!」

役人「わ、わかりました……では先攻、アリサ&ニーナ!後攻、ライム戦隊カリレンジャー!DJJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュリキュリ!


http://www.youtube.com/watch?v=4MZbsskCyZE 2:12

<1回戦 第5試合 先攻 [アリサ&ニーナ] アリサ、ニーナ VS 後攻 [ライム戦隊カリレンジャー] カルパッチョ、ロサ・カリーナ>

アリサ「ライム戦隊って 2人だけじゃね?」

アリサ「人数足りない つまり負けだね」ワァァ!

ニーナ「レンジャー部隊が 表舞台ってなぁ」

ニーナ「何か間違ってる気がすんべなぁ!」ワァァ!

アリサ「大洗、プラウダ 控えが対決」

アリサ「その耳で よく確かめなさいって」ワァァ!

ニーナ「絶対に 私らの勝ちだべな」

ニーナ「お客さん判断 間違えんな?」ワァァ!



カルパッチョ「間違えんな? 何がエンター」

カルパッチョ「テインメントか わかりませんな」ワァァ!

カルパッチョ「ステージ上 表舞台 ここで2人」

カルパッチョ「撃破した誇り を持って痛快」ワァァァ!

桂利奈「鋭い切れ味 るろうに剣心」

桂利奈「リズム乗りながら フロウに献身」ワァァァ!

桂利奈「ロサ・カリーナを ちゃんと見ろ今後」

桂利奈「控えおろう! 水戸黄門!!」ワァァァ!!



アリサ「るろ剣だったら 瀬田宗次郎」

アリサ「返し不安なら ネタ帳見ろ」ワァァ!

ニーナ「長っげぇコートの 四乃森蒼紫」

ニーナ「ちっけぇおめぇは お尻が青い!」ワァ!

ニーナ「水戸黄門なら 本番は後半」

ニーナ「短期戦じゃ ただのじいさんだべ!」ワァァ!

アリサ「サイズ的に 印籠より Android」

アリサ「時代錯誤で 感度無いよ!」ワァァ!


桂利奈「縦横無尽の 瀬田宗次郎」

桂利奈「散らかしまくった 部屋掃除しろ」ワァァ!

カルパッチョ「志々雄真実なら 紅蓮腕(ぐれんかいな)」

カルパッチョ「私らの可能性 無限大だ!」ワァァァ!

桂利奈「四乃森蒼紫 回天剣舞六連(かいてんけんぶろくれん)」

桂利奈「審査員 採点全部をくれ!」ワァァァ!

桂利奈「時代錯誤じゃない 今度新たに」

桂利奈「るろ剣 北海道編始まる」



アリサ「そんなお知らせは 今興味ない」

アリサ「それをラップして あんたどうしたい?」ワァァ!

アリサ「アニメネタばっか しつこいなあ!」

アリサ「しっしっ!あっち行け ちっこいバーカ!」ワァァ!

ニーナ「北海道編 それも 時代劇だべ?」

ニーナ「反論になってねーべ まったくよう!」

ニーナ「あんたら アニメの宣伝部?」

ニーナ「遊びに来たんだべか? けんけんぱ!」ワァァ!



桂利奈「アニメへの愛は はかり知れず」

桂利奈「シャフ度で決める 物語シリーズ」ワァァ!

カルパッチョ「アニメネタでも かなり気に入る」

カルパッチョ「あんたらには 渡す片道切符」ワァァァ!!

カルパッチョ「早いビートに 苦労し本心」

カルパッチョ「吐露し 依存心 持たず 自尊心」ワァァァ!

カルパッチョ「胸に秘めている そんな日本人」ワァァァ!

カルパッチョ「基本韻 大好きな 非凡人だ!」ワァァァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!!」

アリサ「はぁ……はぁ……」

ニーナ「ひー……しんどいっぺー」

桂利奈「せ、世界は……どうなったの?」

カルパッチョ「そ、それはわかりませんけど……」


役人「では判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、アリサ&ニーナが勝ったと思う人!」

ワァァァ!!

役人「……後攻、ライム戦隊カリレンジャーが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!!

役人「まずはライム戦隊カリレンジャーが1ポイント先取です」

桂利奈「やた……っ!」グッ

役人「続きまして審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『ライム戦隊カリレンジャー』」

理事長「『ライム戦隊カリレンジャー』」

香音「『ライム戦隊カリレンジャー』」

新三郎「『ライム戦隊カリレンジャー』」

浅井「『アリサ&ニーナ』」

役人「勝者!ライム戦隊カリレンジャー~~~~!!!!」ワァァァァ!!


桂利奈「か、か、か、カルパッチョさ~~~ん!!」ダキッ!

カルパッチョ「わぷっ!ちょ、カリーナさん!?」

桂利奈「カルパッチョさんのおかげです!ありがとうございます!」

カルパッチョ「いえっ!カリーナさんがかなり良かったです!私のおかげなんてそんな……」

桂利奈「もうこうなったら『姫』って呼んでいいですか!?」

カルパッチョ「は!?いえ、それはちょっと……」

桂利奈「でも私たちは世界を……」

カルパッチョ「いえ、そんな壮大な話では……」

【トーナメント】
                   ――――
                         │―――
まほカチュ            .――――     │
                             ..│―――
継続                ――――     .│    │
                         │―――     ..│
                   ――――          ...│
                                   │────
チンピライマーズ        ..――――           │       |
                         │―――     .│      |
                   ..――――     .│    ..│      .|
                              .│―――       .|
                   .――――     │           ...|
                         │―――             ...|
MIH×O×RENGE      .――――                  ...|
                                           ..|────!!優勝!!
ライム戦隊カリレンジャー   .――――                 ...│
                         │―――            .│
                   .――――     │           .│
                              ..│―――      ...│
青師団アルマ          .――――     ..│    │     ...│

                        │―――      .|      .│
ツインテールショートヘア   ..――――          .│      ...|
                                    │――――

ヨーグルトのマーチ       ――――          ..│
                         │―――     │
干し芋ティータイム       ――――     │     |
                              .│───
ボコファイターズ        ..――――     │
                        │―――
アノコをトワに支え隊     ..――――     




【2階席】

沙織「よかったーー!桂利奈ちゃんたちが勝ったよ~!」

優花里「はい!今すぐお祝いしたいくらいですぅ!」

華「あ、でしたらわたくしがケンタッキーのオリジナルチキン8ピースパックを5つほど買って来ましょうか?」

沙織「い、いや、それはちょっと……」

華「安心してください。残った骨でダシをとるので無駄骨にはなりません」ニコリ

沙織「食べ終わった未来の話を心配してるんじゃないの。そもそも量が多いし、油も多いし、手がベトベトになるし……」

華「なるほど…………お箸があればいいと」

沙織「違うよ!」

そど子「そもそも大会の途中なのよ!これから冷泉さんの試合が始まるのに、8ピースパックなんてダメに決まってるじゃない!」

パゾ美「でも4ピースよりは縁起がいいよ?」

ゴモヨ「横に倒せば8は∞(インフィニティ)になるし」

そど子「い、インフィニティの話をするなんてズルいじゃないの……冷泉さんが無限にいたら……こ、困るわ///」モジモジ

しほ「……あの子たちは普段ああいう会話をしているの?」

梓「い、いえ!普段は明るく楽しく真面目な先輩たちです!」

桃「そうか?普段からあのノリじゃないか?大体あいつらは練習の時でも無駄口を……」

柚子「桃ちゃん。こういう場でそういう愚痴を言うなら、ケンタッキーのチキンを食べた手で桃ちゃんのメガネとスマホをいじくるよ?」

桃「や、やめてくれ!油だらけになる!」

柚子「もちろん保護シートも剥がした上でね」

桃「ゆずちゃぁあん!」

梓「…………あの、先輩方はあのまま放っておくとして、今の勝負、どう思われますか?」

千代「そうね……ライム戦隊カリレンジャーは終始アニメネタで攻めた。その戦法は状況にふさわしいか、また作品の知名度によって武器にもなればリスクもあるわ」

千代「ただ、ライミングを要所要所で落とし込んだのは高得点ね。カルパッチョさんの安定感は言わずもがなだけれど、ロサ・カリーナさんがあそこまで出来るとは思わなかったわ。前回の控えと聞いていたから」

千代「でも即興性で言えばアリサさんの『瀬田宗次郎』、『ネタ帳見ろ』なんてかなり見事な返しだったし、ニーナさんの方言もいい味を出していた。個人的には引き分けでの延長戦が観たかったわね」

梓「なるほど……」

あゆみ「次の試合は誰だっけ?」

あや「えっとね……『青師団アルマ』対『ツインテールショートヘア』」

優季「青師団アルマってどんなチームなの~?」

優花里「前大会では惜しくも初戦敗退してしまった青師団高校の2人からなるチームです!青師団高校と言えば、スペイン!スペインの戦車で有名なのは…」

柚子「アルマっていうのはスペイン語で魂って意味だよ」

優季「そうなんですかぁ~♪」

優花里「うぅ……小山殿ぉぉ……これから本格的な説明をしようとしたところでぇえぇ……」

桃「秋山。お前の気持ち、よくわかるぞ。よし、友情の証としてスペアの片眼鏡をやろう」

優花里「あ、いえ、大丈夫です」

桃「ゆずちゃぁぁん!」グス..


【ステージ】

役人「勝者、ツインテールショートヘア!」

ワァァァァ!!!

アンチョビ「やったぁ!勝ったぞぉ!みんな見てくれてたかな!?」

ナオミ「……いや、なんとなくだが、観てなかった気がするぞ」

アンチョビ「なんでだ!寝過ごしたのか!?」

ナオミ「そうではないと思うが……まぁ、勝ったんだからいいじゃないか」

アンチョビ「うーむ……何故かこの展開にはデジャヴを感じるが………勝ったからいいか!ははは!」



【トーナメント】
                   ――――
                         │―――
まほカチュ             .――――     │
                             ..│―――
継続                ――――     .│    │
                         │―――     ..│
                   ――――          ...│
                                   │────
チンピライマーズ         ..――――           │       |
                         │―――     .│      |
                   ..――――     .│    ..│      .|
                              .│―――       .|
                   .――――     │           ...|
                         │―――             ...|
MIH×O×RENGE       .――――                  ...|
                                           ..|────!!優勝!!
ライム戦隊カリレンジャー     .――――                 ...│
                          │―――            .│
                   .――――     │           .│
                              ..│―――      ...│
                   .――――     ..│    │     ...│

                         │―――      .|      .│
ツインテールショートヘア    ..――――          .│      ...|
                                    │――――

ヨーグルトのマーチ       ――――          ..│
                         │―――     │
干し芋ティータイム        ――――     │     |
                              .│───
ボコファイターズ         ..――――     │
                        │―――
アノコをトワに支え隊      ..――――     



【2階席】

あや「次は『ヨーグルトのマーチ』と『干し芋ティータイム』の試合だね」

梓「干し芋ティータイムは会長とダージリンさんのコンビだよね」

あや「ヨーグルトのマーチの2人……すっごく個性的な格好してる」

柚子「サングラス、バンダナ、ジャージ、全部が黒でお揃い…」

あゆみ「……ヨーグルトのマーチの2人はどうしてあんな黒ずくめの格好してるんでしょうね?」

優花里「おそらくですが……」

あゆみ「!はい」

優花里「格好いいと思った……からではないでしょうか?」

あゆみ「………………」

優花里「黒の上下なら配色のバランスを気にせずにすみますしね……ええ」

あゆみ「…………島田さん、どうして黒ずくめなんだと思いますか?」

優花里「あれ?私の発言がなかったかのように……」

千代「おそらく、前回で苦汁を舐めたことを受けての決意表明ではないかしら?黒さで闇を表し、より攻撃的に行くという無言の宣言…」

あゆみ「なるほど…」

優花里「ま、まぁ要約すると私と同意見ですねぇ」アハ..ハ..

柚子「確かに前回はヨーグルト学園もコアラの森学園も1回戦負けだったもんね。相当気合い入れてるはず…」

桃「うむ。だが会長ならその執念も受け止めた上で勝ってくれるはずだ」


【ステージ】

ダージリン「………………」

ダージリン(まさかまたこの舞台に立つことになるとはね……)クス

杏「……緊張して……るわけないか」ニヒヒ

ダージリン「ええ、もちろん」フフ

ダージリン「ただ……」



杏『ダージリンは無理に相手を罵るディスより皮肉で返す方が合ってると思うよ。でも相手によってはそれじゃ効き目が薄い時もあるから、そんな時は私に任せてよ。悪役は慣れてっからさ』

ダージリン『杏さん…』

杏『新生ダージリンと干し芋ティータイムの実力、見せつけちゃおう』ニコッ

ダージリン『ええ』クス



杏「…………ただ、なに?」

ダージリン「あなたと一緒に戦えるのが楽しみで武者震いが止まらないわ」ブルッ..

杏「あっはは、嬉しいこと言ってくれるじゃん」ニハハ

ダージリン「油断せず行きましょう。相手もわたくしたち同様、いえ、それ以上に気合を入れて臨んでいるはずよ」

杏「……だね。よっし、行こう!」

杏(ヨーグルトのマーチ。1人はヨーグルト学園のエースだった『LB81(エルビーハチイチ)』、もう1人はコアラの森学園のエース『K-Aleat(ケーアラート)』。前回大会でそれぞれ活躍したけど敗退。あれからスキルを上げてるなら侮れないね)

役人「それでは先攻後攻じゃんけんをお願いします」

杏「じゃあ後攻とってくるね」

ダージリン「頼もしいわ」ウフフ

ジャンケンポン

杏「こーこーで」

役人「OK!先攻、ヨーグルトのマーチ!後攻、干し芋ティータイム、DJルミ、かまーせー!」

ルミ「!」キュルッ!


http://www.youtube.com/watch?v=qI0db66XbsQ 3:34(4ターン終了時)

<1回戦 第7試合 先攻 [ヨーグルトのマーチ]LB81 、K-Aleat VS 後攻 [干し芋ティータイム] アンジー、ダージリン>

LB81「まずカマす LB81 お客さんに名前憶えてもらう」

LB81「負けてる知名度 でも気にせず 優勝へ手伸ばす!」ワァ!

K-Aleat「今日持ってないけど いつも持参してるよな ティーカップ」

K-Aleat「それ無いと不安なの? 器が小さくてしょうがないよ リーダー」

LB81「リーダーってのもギリギリだ、っていうか義理だ 実力じゃない」ワァァ!

LB81「前回は無様な敗退で ざまぁ! こっちは栄光と勝利の狭間!」ワァ!

K-Aleat「隣のツインテールも 準決勝で1回コケたな」

K-Aleat「さっきのチームと髪型カブってるんだよ 1つにくくれ このバカ!」ワァァ!



杏「そっちこそ 早期敗退で デカいクチ ヨーグルト、R-1」

杏「ピン芸人並みに笑える こんなの無視して出ようかな AsONE(アズワン)」ワァァァァ! ※AzONE・・・2ON2のフリースタイルバトル大会

ダージリン「世の中の理(ことわり) 人生は一度きりだわ」

ダージリン「お情けで任される 義理のリーダー だったら お断り」ワァァァ!

杏「無様に負けたの全員一緒 みんなで 傷のなめ合い しようか?」

杏「いや、それはお2人だけでどうぞ うちら今度こそ きっと負けない」ワァァ!

ダージリン「あなた方の手では ティーカップすら掴めない」ワァァァ!

ダージリン「リーダーシップ無い 自己PRの文言 スラスラ出ない」ワァァァ!!



LB81「ティーカップなんか 掴まないで 割ってやる!」ワァ!

LB81「後ろから『ワッ!』ってやる 脅かしくらいのを やってやる!」ワァァ

K-Aleat「ショック死させる衝撃だ 上出来だ 一丁上がり」

K-Aleat「お前ら 大物ぶってるけど楽勝だ しょうもない!」ワァァ!

LB81「こんなあっけないSHOWもない あってないようなモノだ」ワァァ

LB81「ダージリンもアンジーも案じる間もなく 負けると断じる」ワァァ

K-Aleat「傷のなめ合いは お前らが勝手にやってろ!」

K-Aleat「慣れ合いなんて こっちがお断りだ クソが!」


ダージリン「LB81さんと組めただけで お手柄よ K-Aleatさん」ワァァ!

ダージリン「釣り合わない その値打ち 定価など3ドル」ワァァ!

杏「ティーカップ割るくらいなら 平凡な私にくださいな」

杏「大物ぶってるのはグラサンしてる あんたらの方でしょうが~!」ワァァァァ!

ダージリン「その目はどこを見てるの? 前かそれとも 上下左右?」

ダージリン「怖くて瞑っているのかも? なんてたまには 大げさ言う」ワァァァ!

杏「黒の上下、グラサンで顔バレ防止 でも靴下は白なんだ?」

杏「コアラの森学園の要素より むしろ足されているのはパンダだ!」ワァァァァ!!



K-Aleat「何がお手柄だ 2人揃って『ヨーグルトのマーチ』なんだよ」

K-Aleat「お前らこそ ビビッて手汗かいてるんじゃないのか?半端モン!」

LB81「半端モン そんなん破門してやる 冗談じゃ看過できない」ワァ!

LB81「時間がいくらあっても言い足りない 延長まで引っ張るか?」ワァ!

K-Aleat「顔バレもクソも 前の大会で面は割れてる 指摘的外れ」

K-Aleat「同じ格好で 気合い入れてるだけだ かっ飛ばすぜ」ワァァ

LB81「そう カット無く カッとなることなく飛ばす 力技で」ワァァ

LB81「大穴 底辺 どっちだろうが見せてやる この位置からカマせ!」ワァァ!



杏「大穴だったり底辺だったり 栄光と勝利の狭間だったり」

杏「とりあえず 現住所わかる証明書持ってきてくれます~?」ワァァァ!

ダージリン「自分たちでも把握できてない 現在地」

ダージリン「そんな状況では すぐに達してしまう 限界値」ワァァァァ!

ダージリン「あなたたちも 本心では気付いているのよ」

ダージリン「格好を見ればわかる 黒ずくめ 脇役以下の黒子」ワァァア!

杏「他のチームは全部強いから ずりぃよな~ 全員が」

杏「こいつらレベルなら うちら連戦連勝 まるで藤井四段~」ワァァァァ!!



役人「終了ーーーーーー!!!!」

ワァァァァァァ!!

ダージリン「…………」チラ

杏「」コクリ

ダージリン「」コクリ

K-Aleat「はあぁ……っ」

LB81「っ……!」


役人「では判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、ヨーグルトのマーチが勝ったと思う人!」

ワァ..

役人「……後攻、干し芋ティータイムが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!!

役人「まずは干し芋ティータイムが1ポイント先取です。では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『干し芋ティータイム』」

理事長「『干し芋ティータイム』」

香音「『干し芋ティータイム』」

新三郎「『干し芋ティータイム』」

浅井「『干し芋ティータイム』」

役人「勝者!干し芋ティータイム~~~~!!!!」ワァァァァ!!

K-Aleat「完敗でした」

LB81「納得できる負けです……頑張ってください」

ダージリン「ありがとう」ガシッ(握手)

杏「ん。サンキュ」ガシッ(握手)


【2階席】

華「お腹が空いてきましたね」

沙織「会長が勝ったあとの第一声それ!?まず喜ぶかおめでとうとか言おうよ!」

華「ええ」ニッコリ

沙織「ええ。じゃなくて!もうっ……」

しほ「……大洗のあの子、やはり強いわね。外見も可愛らしい。ちょっと養子にしたいくらいだわ」

千代「そ、そう?養子はともかく、安定感はあるわね。ライミングも入れつつ、要所要所のアンサーは面白い」

しほ「でもそれ以上に聖グロリアーナのダージリン。彼女の成長が目覚ましいわね。前回は紅茶にこだわるあまり言葉選びの範囲を自ら狭めていたようだったけれど」

千代「それでも丁寧な言葉遣いを貫き通す固い意志は見事ね。その格好良さに加え、ライミング、フロウにも磨きがかかっている」

しほ「ヨーグルトのマーチは相手が悪かったと言えるかもしれないわね……」

あゆみ「あ、次は1回戦最後の試合だね!『ボコファイターズ』と『アノコをトワに支え隊』の対決だ」

優季「あの~、ちょっといいですかぁ?」

千代「私?いいわよ。なに?」

優季「この大会って戦車道をやってる高校生が出場するのが基本じゃないですかぁ?なのに大学生の愛里寿さんたちが出てもいいんですかぁ?」

千代「はあ……情報を正しく認識していない人間が決め付けだけで発言をするのは愚かなことよ?宇津木さん、あなたは島田家の養子にはなれないわね」

優季「は、はぁ……」

千代「前大会は高校生による学校対抗。でも今回は学校の垣根を超えた2ON2バトルへとルールを変えたでしょう?となると、高校生にこだわる必要性は薄れるわ。そして、なんやかんやで大学生枠が1つ設けられたのよ、きっと」

優季「なんやかんやが気になりますぅ~」

沙織「しかも『きっと』って言ってるから、設けられてはいないんだね」ヒソヒソ

桃「そうだな」


柚子「あ、でも元々大学生も出場可能にする案もあったみたい。ただFSR(フリースタイルロード)連盟的に、高校生以下の若い選手を増やしたいらしくてね。だから飛び級で大学生になった島田愛里寿さんが出場する決まりになったの」

桃「13歳だから相方が大学生でもちょうど釣り合いがとれると踏んだのだろう。相方のアズミさんはBC自由学園のOGでフリースタイルも達者だろうしな」

柚子「でも……島田愛里寿さんがこういうの参加するって結構意外かも」

千代「その通り。今まで私がラップをしていたことも話していないし、HIPHOPを聴くことも無かったわ。でもこの大会の話が来た時、愛里寿は自分から『出たい』と強く希望したのよ」

華「それはアクティブですね」

沙織「ここで使うのは合ってる、うん」

千代「愛里寿、前の大会の動画を何度も何度も観ていたのよ。それで参加したいと思ったのでしょうね」

桃「今まで興味を持たずにいたのに一体何故だ?」ウーム

しほ「参加を決めたのはいいが、未経験者だろう?準備期間はずいぶん短いが…」

千代「ええ。それに関係者の力添えは厳禁。だから私は審査員を降りたし、愛里寿の練習に口出しもせず、一切関わらずに過ごしたわ」

あや「じゃあ大した実力じゃなさそう」ボソ

千代「……なんですって?」ジロリ

あや「ひっ!?ち、違います!さ、紗希がそう言ったんです!」

千代「この子が……?」

紗希「……………………」

あゆみ「ちょっと!濡れ衣禁止だよ!」

しほ「……練習期間は短くても、島田愛里寿はちよき…千代の娘。かつてフィメールラッパー『CHIYO CALRITO(チヨカリート)』として名を馳せたその遺伝子を受け継いでいる」

優花里「では素質は充分というわけですねぇ。あとは準備期間の短さがどう出るか……」ウーム

沙織「相手の『アノコをトワに支え隊』は、麻子といい勝負をしたアッサムさんと、みぽりんを倒したノンナさんのチームだから結構強いはずだけど……」

そど子「一体どうなるのかしらね……」


【トーナメント】
                   ――――
                         │―――
まほカチュ             .――――     │
                             ..│―――
継続                ――――     .│    │
                         │―――     ..│
                   ――――          ...│
                                   │────
チンピライマーズ         ..――――           │       |
                         │―――     .│      |
                   ..――――     .│    ..│      .|
                              .│―――       .|
                   .――――     │           ...|
                         │―――             ...|
MIH×O×RENGE      . ――――                  ...|
                                           ..|────!!優勝!!
ライム戦隊カリレンジャー    .――――                 ...│
                         │―――            .│
                   .――――     │           .│
                              ..│―――      ...│
                   .――――     ..│    │     ...│

                        │―――      .|      .│
ツインテールショートヘア    ..――――          .│      ...|
                                    │――――

                    ――――          ..│
                         │―――     │
干し芋ティータイム        ――――     │     |
                              .│───
ボコファイターズ         ..――――     │
                         │―――
アノコをトワに支え隊      ..――――     



【ステージ】

役人「それでは1回戦最後の試合です!ボコファイターズVSアノコをトワに支え隊!」

ワァァァァ!

愛里寿「………………」

アズミ「………………」

ノンナ「…………」ザッ!

アッサム「…………」ザッ

ザワザワ..

アッサム(会場がざわついていますね。さすがにゴスロリは浮くようです。しかもクマのぬいぐるみ……ボコでしたか?を抱えているのもどよめきに拍車をかけています……)

アズミ「隊長」

愛里寿「うん……ボコ、ここで見ててね」スッ

アッサム(ペットボトルを置くようにぬいぐるみを床に……パフォーマンスと見るべきでしょうか?)

ノンナ「…………」ギロリ

愛里寿「………………」ジーッ

ノンナ(……ほう。私の睨みに全く動じませんか。これは戦い甲斐がありそうです)

役人「では先攻後攻じゃんけんをお願いします!」

愛里寿「…………」スッ

ノンナ「…………」スッ

ジャンケンポン!

ノンナ「……先攻で」

役人「OK!先攻、アノコをトワに支え隊!後攻、ボコファイターズ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュキュキュキュキュキュキュキュ!


http://www.youtube.com/watch?v=c05gxmUFj9U 2:38

<1回戦 第8試合 先攻 [アノコをトワに支え隊]ノンナ、アッサム VS 後攻 [ボコファイターズ]愛里寿、アズミ>

ノンナ「場違い ステージ上 クマのぬいぐるみ」

ノンナ「慈しみ無し 剥いでやろうか お前の身ぐるみ」ワアァァ!

ノンナ「なんだ そのゴスロリ 裾汚すように」

ノンナ「引きずり回そうか? この凄味で 殺すゴミ」ワアッァァア!

アッサム「相方さんのファッション タンクジャケット」

アッサム「年上だけど 負ける不安すらゼロ」ワァァ!

アッサム「デコボココンビの 高低差に OKサイン」ワァァ

アッサム「私ら相手じゃ 通用しませんよ 小手先!」ワァァァ!



愛里寿「OKサインの円の中 貫く 照明浴び」

愛里寿「輝く 好きにさせてよ ファッションデザイン!」ワァァ!

愛里寿「場違いなのは スキルが無い方」

愛里寿「年上相手 徹底的にやる 飴と鞭すらないよ」ワァァァ!

愛里寿「威圧にやる気をMAXに無くす 演者はそちら」ワァァァ!

愛里寿「病んでいて 充血気味の 目ん玉閉じな」ワァァ!

愛里寿「勝手に支える 迷惑千万なんじゃね嫌っつってんだ」ワァァ!

愛里寿「ひどく自己中な輩 今すぐ地獄に送る」ワァァァア!



アッサム「13歳にしては よくできました」

アッサム「気持ちのいいフロウが 直撃はした」ワァァ!

アッサム「でもそれを内包できる 年上の温もり」

アッサム「攻撃失敗 愛里寿の運勢 本日は曇り」ワァァ!

ノンナ「アッサムは温もり 私は極寒」

ノンナ「アノコをトワに支え隊 読め行間」ワァァ

ノンナ「アノコ以外は視界にない事実」

ノンナ「トワにトワにトワに愛し抜く」ワァァ!


アズミ「愛し抜く?それ ハイ死ぬフラグ」ワァァ!

アズミ「トワが カタカナなところが極寒」ワァァァ!

アズミ「真夜中にノリで 書いちゃったラブレター」

アズミ「感情荒ぶれた 錯乱状態 軸からはズレた」ワァァ!

アズミ「愛情表現を ぶつけられる ボコファイターズ」

アズミ「正直関係ないわけなんで ホント参ったっす」ワァァァ!

アズミ「アノコ以外は 視界にない?」

アズミ「だったら隊長が ゴスロリって 何故わかんのよ!!」ワァァッァア!!



アッサム「何故わかるかって 私がノンナさんに耳打ち」

アッサム「ネットワーク 縦横無尽 それこそ秘密裏」ワァ!

ノンナ「というか あんたらに ぶつけてない愛情表現」

ノンナ「チーム名 見て 勝手に勘違い チンケな情報源」ワァァ!

ノンナ「名前で言ったら ボコがどうとか くだらないしつまらない」

ノンナ「お互い平行線この考え 埋まらない静まらない」ワァァァ!

アッサム「状況変化は刻々と 負けを認めて コクコクと」

アッサム「頷きなさい うちら ゴクゴク飲む 勝利の美酒」ワァァァ!



愛里寿「勝利の美酒 飲む未成年さん」ワァァ

愛里寿「氷と水 で頭冷やし冷静さ 保て」ワァァァ!

愛里寿「上玉の お嬢様の ようだが 不良だな」ワァァ!

愛里寿「刻々と? ベタなライム マイクを返せ 督促状」ワァァァ!

愛里寿「 あんたら  つまらん  よ言って  ること」ワァ!

愛里寿「 全然   違う  走って  く方向」ワァァ!

愛里寿「 ビート上  ライム  潤って  く状況」ワァァァ!

愛里寿「 リズム  に乗って  フロウテ  ク上々!」ワァァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!!」

ワァァァァアァ!!


役人「それでは判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、アノコをトワに支え隊が勝ったと思う人!」

ワァァァ!

役人「後攻、ボコファイターズが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!!!

役人「まずはボコファイターズが1ポイント先取です。では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『ボコファイターズ』」

理事長「『ボコファイターズ』」

香音「『ボコファイターズ』」

新三郎「『アノコをトワに支え隊』」

浅井「『ボコファイターズ』」

役人「勝者!ボコファイターズ~~~~!!!!」ワァァァァ!!


アズミ「勝ちましたよ隊長!」

愛里寿「うん、アズミのおかげ。ありがとう」ニコリ

アズミ(ハアアアァアアン!トワに支えたいぃぃ!!)

ノンナ「…………同じオーラを感じるあの方に負けたのは少し引っかかりますが…」

アッサム「完敗ですね。仕方ありません」

ノンナ「しかし…」

アッサム「?」

ノンナ「私の愛は何一つ揺るぎませんから。それはアッサムさん、あなたもでしょう?」

アッサム「いえ、私はダージリンにそこまでの気持ちは……それよりもローズヒップが気になってきていると言いますか……騒がしいから会場に連れて来れなかったのですが、顔が見れないことがとても寂しくて……でも負ける姿を見せずにすんでホッとしたと言いますか……///」

ノンナ「そうですか。アッサムさんのその想いが成就するのを願っています」

アッサム「ありがとうございます。私もノンナさんのことを応援しています」

ノンナ「感謝します。私のカチューシャへの想いは、私の死後もなお思念として残り、カチューシャの進む先々へ憑いて回るほど尊いものとはいえ、誰からも支持されないというのも寂しいですから」

アッサム「そ、そうですよね……」

アッサム(真顔で言わないでくださいよ……怖すぎます)


【2階席】

沙織「はあああ~……愛里寿ちゃんってラップ上手いんだねぇ」

優花里「リズム感が見事でしたねぇ!あと早口のフロウも決まってました!」

柚子「最後のバース、あれが決まり手ですか?」

千代「そうね。間をたっぷり開けつつも安定したフロウとライミング。今までの試合で無い角度のアプローチでしたからなお有効だったでしょう。それと、アズミさんのアンサーの上手さもボコファイターズの大きな力となっています」

柚子「確かに……」

千代「でも相手チームもなかなかの実力者でしたし、結果は2対0でしたが、好勝負でしたね」



【トーナメント】
                   ――――
                         │―――
まほカチュ             .――――     │
                             ..│―――
継続                ――――     .│    │
                         │―――     ..│
                   ――――          ...│
                                   │────
チンピライマーズ         ..――――           │       |
                         │―――     .│      |
                   ..――――     .│    ..│      .|
                              .│―――       .|
                   .――――     │           ...|
                         │―――             ...|
MIH×O×RENGE      .――――                  ...|
                                           ..|────!!優勝!!
ライム戦隊カリレンジャー     .――――                 ...│
                         │―――            .│
                   .――――     │           .│
                              ..│―――      ...│
                  .――――     ..│    │     ...│

                        │―――      .|      .│
ツインテールショートヘア    ..――――          .│      ...|
                                    │――――

                    ――――          ..│
                         │―――     │
干し芋ティータイム        ――――     │     |
                              .│───
ボコファイターズ          ..――――     │
                          │―――
                    ..――――     




【舞台袖】

カチューシャ「うぅーん……」ブルッ

まほ「どうした?」

カチューシャ「なんか寒気がしたのよね。体に纏わりつくような冷気が」

まほ「…………それは抱きしめてくれという遠回しなおねだりか?」

カチューシャ「ち……っ、違うに決まってるでしょ!」カァァァ..

まほ「冗談だ」クス

カチューシャ「ったくもう……あんたそんなキャラだったわけ?」

まほ「私なりに色々とあるさ。黒森峰では仏頂面で恐れられたりもしたしな。こうした戦車道に関係の薄い場では少し気も緩むというものさ」

ミカ「それは嬉しいね」

カチューシャ「っ!?あんた……いつの間に!」

ミカ「いつの間に?それは人類が地球上に誕生した瞬間、という意味かい?それとも、ミカという個体がこの空間に…」

カチューシャ「めんどくさいわよアンタ!」

ミッコ「……否定はしない」

まほ「……嬉しい、とはどういう意味だ?」

ミカ「気が緩む、というのは、我々の勝率を上げる要因になるからさ。キミたちは優勝候補だろう?」

カチューシャ「ふん!当然よ!」

ミカ「ただ、優勝を目指して天を仰ぐのはいいけれど、それは同時に優勝候補を倒そうとキミたちを仰いでいる存在を忘れることに繋がる。足元をすくわれるのはそういった場合だよ」

まほ「……確かにな。足元を見ずに歩みを進めればつまづきもするだろう。だが私たちは優勝を目指してはいるが天を仰いではいない。その瞬間瞬間、試合に……対戦相手に目を向けている」

カチューシャ「そ、そうよ!全部そうよ!」

ミッコ「だってさ、ミカ。油断してないみたい」

ミカ「うん。でもそれも好都合さ。まぐれで勝ったと思われるのも悲しい出来事。胸を張って決勝へ行くためには全力を出し切って…」

ミカ「その上で負けてもらわなければね」クス

まほ「……野心の無いタイプだと思っていたが、考えを改めねばならないな」

ミカ「そう、それでいい。私はただの勝利には興味が無い。バトルの最中、そしてその先に得られる実体のないモノにこそ惹かれる。出し惜しみせずに全力で戦おう。であれば負けても得るものはある」

まほ「試合の前に負けたあとのことを考えるのか。勝利が遠ざかるぞ」

ミカ「逆さ。勝利に固執することこそが勝利を遠ざける。持たざる者の強さ……重要なのは勝利ではないと真に理解する者が勝利を得る」

まほ「…………」

ミカ「…………おっと、そろそろコールがかかる。話はここまでとしよう。あとはステージ上で互いの全てをぶつけ合おうか」フフ

まほ「そうだな。カチューシャ、最後に一言、何か言ってやれ」

カチューシャ「え?!えと……その………わ、わかったわ!」

カチューシャ「♪Расцветали яблони и груши……」♪カチューシャ

まほ「いや、歌ではなくてな」


【ステージ】

役人「さあ!それでは2回戦 第1試合を行います!対戦カードは、まほカチュ 対 継続です!」

ワァァァァ!!

まほ「カチューシャ、油断は禁物だぞ」ヒソヒソ

カチューシャ「わかってるわよ。そんなに私を信用できないわけ?」ヒソヒソ

まほ「そうではないが……過保護すぎたな、すまない。信頼しているよ、カチューシャ」フフ

カチューシャ「そ、そう……なら許したげる///」

ミカ「仲睦ましそうでなによりだね」フフ

ミッコ「うちらも仲いいじゃんか。な!」ガシッ!

ミカ「そうだね。でも肩を抱くのはやめてくれないか?アキがヤキモチを焼いてしまうからね」クス

役人「先攻後攻のじゃんけんをお願いします!」

カチューシャ「今度は私が行くわ」

まほ「任せる」

ミカ「ミッコ。腕の見せ所だよ」

ミッコ「ほぼ運じゃないかなー?」

ジャンケンポン!

カチューシャ「……後攻で」

役人「OK!先攻、まほカチュ!後攻、継続!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュキュ!


http://www.youtube.com/watch?v=KLQYaMRu1RE 2:51

<2回戦 第1試合 先攻 [まほカチュ]西住まほ、カチューシャ VS 後攻 [継続]ミカ、ミッコ>

ミッコ「じゃんけん勝ったのに後攻 前大会 準優勝」

ミッコ「自信ないのかなぁ? 肝っ玉も 小さい随分と!」ワァァ!

ミカ「仕方ないさ 負ければ面目 丸つぶれ」

ミカ「逆に こっちが勝てば 箔付くね」ワァァ!

ミカ「パクつく目の前の 安易なエサ」

ミカ「私たちが望むのは 歓喜だけだ」ワァァァ!!

ミッコ「ようするに安全第一の腰 引けてるヤツか?」

ミッコ「頑張ってる人尻目に 逃げてくヤツだ!」ワァァ!



まほ「いちいち大げさ 極端な先入観」

まほ「先攻とれば偉いのかよ 誰でも出来るぞ そんなもの!」ワァァァ!

カチューシャ「女の子 特有の思い込みの強さね」

カチューシャ「意気込みが邪魔してる テコでも動かねぇ」ワァァ!

カチューシャ「最初から 負けるつもりの人間なんていない」

カチューシャ「だから気合いとスキル信じて 一切カンペ見ない」ワァァ!

まほ「安全第一だったら 参加しなきゃいいだけだ」

まほ「これはむしろ お前たちへの アドバイスになってしまうかな?」ワァァァ!



ミッコ「ていうか何 雰囲気出してんだよ お前ら」

ミッコ「結局 チビのババアと説教くせえババアだろ!」ワァ!

ミカ「ババア アルファベット3文字でBBA(びびーえー)」

ミカ「ミッコ 相変わらず手厳しいね」ワァァ!

ミカ「でも私も ある意味で言えば ババア」

ミカ「これ抜きじゃ足りない トランプのジョーカー」ワァァァ!

ミカ「韻 踏めるんだけど あえて 踏まない風(ふう)」

ミカ「こんなテクニック見せる 影絵 裏ライム」ワァァァ!!


まほ「ババアで結構 好きに呼べばいいさ」

まほ「言葉知らないやつを 相手にするだけ時間の無駄」ワァァ!

まほ「2回戦までの短い命 儚い笑み」

まほ「負けたら ひざまづいて つくづく奉仕しろ」

カチューシャ「同時進行で証明 私とマホーシャは女帝」ワァ!

カチューシャ「ババアは返上 あんたらには無いから展望!」ワァァ!

カチューシャ「慌てん坊 先走った 愚か者」

カチューシャ「女帝の決意 あんたらの心は折ろう!」ワァァ!



ミッコ「女帝が2人? 絶対起こる 諍(いさか)い」

ミッコ「見境無しに訪れる しがらみ」ワァァ!

ミカ「強すぎる個性は 原色みたい」

ミカ「裏切り、闇討ちの 戦国時代」ワァァァ!

ミッコ「チームワークガタガタのまほカチュ」

ミカ「滅びを予見させる存在は すぐ過疎化する」ワァァァ!

ミッコ「反対に こっちは継続し元気!」

ミカ「今日が我々の建国記念日」ワァァァァァ!!



カチューシャ「その国は長く持たず 滅ぼすわ」

カチューシャ「ていうかこっちの滅びに 物申すわ!」ワァァ!

まほ「こいつらがしてる話は ただのジオラマ」ワァァ!

まほ「デタラメで起こせるわけないんだ 一波乱」ワアァァ!

まほ「原色がある だからこそ世界はカラフル」

まほ「戦国時代と結びつける お前の脳内みたいにな」ワァァァ!

カチューシャ「意外にやる それは認める でも敗退者」

カチューシャ「1勝で御の字 回避できた 最下位は」ワァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァァ!!

まほ「………………」

カチューシャ「………………」

ミカ「………………」

ミッコ「………………」


役人「それでは判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、継続が勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!!

役人「……後攻、まほカチュが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

カチューシャ「!」

役人「!まずは継続が1ポイント先取です」

ザワザワ..

まほ「………………」

役人「では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『継続』」

理事長「『まほカチュ』」

香音「『まほカチュ』」

新三郎「『継続』」

浅井「『まほカチュ』」

役人「審査員票は3対2でまほカチュ!延長戦です!」

ワァァァァ!!


【2階席】

沙織「ど、ドキドキしたぁ……」

梓「西住隊長のお姉さんの方を特別応援してたわけじゃないんですけどね……」

優花里「私は応援してました!西住殿の身内の方とは、今後、末長~~~~~~~~…」

華「アクティブですね」

沙織「華、言い切るまで待てないからって先に言わないの!」

あや「でも何言うか想像付くよね?」

優季「末長いお付き合いになるから、ですよね?」

優花里「え、ええ……見透かされているというのは恥ずかしいですねぇ……この心細さが気持ち良かったりもしますが……///」

そど子「……何言ってるのよあなた。風紀のアレを乱すんじゃないでしょうね」

優花里「乱す!?に、西住殿が私を乱すなんてぇ……////」

沙織「みぽりん不在でもそのモード入るんだ……」

桃「秋山は放っておいていい。それより、今のバトルについて色々お聞きしたいのですが……」

千代「……そうね。拮抗した試合だったと思うわ。ミッコさんはバイブスが高く、ディスもライムも高水準で安定感があるわ。そしてミカさんの歌うようなリズミカルなフロウが心地よく、ライミングも決まっていた。最初のバースで『丸つぶれ』、『箔付くね』と脚韻を踏み、さらに『パクつく目』で頭韻も踏む、などね」

千代「審査員の票……これも僅差だったけれど、まほカチュが勝ったのは、アンサーとパンチラインの評価でしょうね」

千代「ミカさんのバースで『でも私もある意味で言えばババア これ抜きじゃ足りない トランプのジョーカー』というラインがあるけれど、これはようするにトランプのババ抜きとかかっていて『ババア』と『ババ』で踏むのはあまりにもベタだからあえて言わなかった」

千代「そしてそれを『あえて 踏まない風(ふう)、影絵 裏ライム』で説明しつつ踏むという、テクニックというか……言葉遊びね」

しほ「さらに『影踏み』という要素も意識しているだろう。なかなか出来る子だ」

沙織「あれ?そんな色んなことしてたなら審査員も継続の方に票を入れるんじゃ……」

千代「そのジョーカーのラインに対する西住まほさんのアンサーが見事だったのよ」

沙織「?」

千代「継続の方は、言ってしまえば『ババア』という言葉さえ使えればジョーカーのラインを生かせるわけで、誰が相手でも使えるわ。でもまほさんは即興でこう返したの」

千代「『2回戦までの短い命 淡い笑み 負けたらひざまづいて つくづく奉仕しろ』。これもミカさんと同じで踏んではいないけれど、セミの種類であるツクツクボウシを連想させる『つくづく奉仕』という言葉を使い、『笑み』と『セミ』でライミングをした。瞬時に同じ手法でやり返すこの機転の利き方は思わず唸ったわね。ただわかりづらかったせいで、お客さんの反応はイマイチだったけれど」

沙織「な、なるほど……」

千代「……という攻防が繰り広げられたことからもわかる通り、継続は前回大会とはまるで違うわ。優勝を狙えるほどの実力を持ったチームとして成長を遂げた」

沙織「わ、わかります。今のバトルもすっごい僅差なんですもんね……」

沙織「…………みぽりんのお姉さん、勝てるかな?華、どう思う?」

華「花を生け…」

沙織「試合が始まるよ!」

優花里「武部殿……自らふっておいて……」


【ステージ】

役人「延長戦を始めます!先攻後攻じゃんけんをお願いします!」

ジャンケンポン

ミッコ「後攻で!」

役人「OK!それでは2回戦 第1試合、延長戦!」

役人「先攻、まほカチュ!後攻、継続!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」ギュルリッ!


http://www.youtube.com/watch?v=YbFsHPpoU1E 2:48

<2回戦 第1試合 先攻 [まほカチュ]西住まほ、カチューシャ VS 後攻 [継続]ミカ、ミッコ 延長戦>

まほ「正直に言うよ なんとか命拾い」

まほ「一息のみで消させない 瞳に文字 浮かべる『勝利』」ワァァ!

カチューシャ「強引なまでの押韻派にすら 強靭さで勝つ当事者」ワァァ!

カチューシャ「格闘技じゃ ないけど躍動がすごいってのは同意なはず」ワァ!

まほ「ミカがジョーカーだとしても ゲーム次第で覆す」

まほ「前回は2位 大富豪なら2でジョーカーを倒せる」ワァァ!!

まほ「大体1枚こっちに…」
カチューシャ「つまりジョーカーは 廊下の方か どっかでも行って淘汰」ワァ!

カチューシャ「幸か不幸か 見せ場はおしまい あんたらは下巻の出ない上巻!」ワァァ!



ミッコ「早口すぎて 焦ってるのモロバレ」ワァ!

ミッコ「西住まほの邪魔してるし あんたホントダメ」ワァァ!

ミカ「成績的に まほカチュは富豪 こちらは貧民」

ミカ「一番いいカードである ジョーカーを渡さないといけない」

ミカ「『つまり無力だ』という パンチラインを言いかけたのに邪魔」ワァァ!

ミカ「ねぇ富豪さん 解雇したら? 隣の執事か秘書」ワァァァ!

ミカ「いよいよ西住まほが 韻踏みだしたら赤信号」

ミカ「不利になると ライマーになる 小賢しい子」ワァァァ!



カチューシャ「ナメんじゃないわよ!まほカチュで言ったら私がジョーカー!」

カチューシャ「今後の方針 どうしようか あんたら泣かそうか」ワァァ

まほ「赤信号 ドイツとロシアの国旗に入っている色だな」ワァァ!

まほ「縁起がいい 身内にもレッドスターがいるしな」ワァァァァ!!

カチューシャ「それに日本の国旗にもある赤い色」

カチューシャ「フィンランドはどう?ほら探しに行こう?」ワァァ!

まほ「訳わからない言い分 不利になると韻踏む?」

まほ「間違いも信じ込む 読むのやめとけよ? 虚構新聞」ワアァァ!


ミッコ「カチューシャがジョーカー?確かにそうだな」

ミッコ「西住まほは 相方として ババ引いたようなもんだ」ワァァ!

ミカ「継続に縁のある フィンランドの国旗は青」

ミカ「信号なら審査員 お客さんも手を上げてくれる」ワァァァァ!!

ミッコ「そうなれば この試合はうちの勝利!」

ミッコ「現時点で文句なし ベストコンビ!」ワァァ!

ミカ「だから まほカチュはデストロイ という展開」ワァ!

ミカ「西住まほ やり直したいだろう ペア抽選会」ワァァ!



まほ「カチューシャは…」
カチューシャ「誰がなんと言おうと 知ったこっちゃないわ!」

カチューシャ「私とマホーシャこそが ベストパートナー!」ワァ!

まほ「そうだ 完璧な手札 ドローはしない」ワァァ!

まほ「時間は戻ろうとしない この試合 もうドローにはしない」ワァァァ!

カチューシャ「つまり再延長なんて 怪現象は存在しない」ワァァ!

カチューシャ「あんたたちにしては 頑張ったわね 大健闘!」ワァァ!

カチューシャ「でも容赦なく あんたらの全てをクラッシュ!」

カチューシャ「そして決めるロイヤルストレートフラッシュ!」ワァァ!



ミッコ「2枚でどうやってその役 出すんだよ!」ワァァ!

ミッコ「お前の方が 頭クラッシュしてるじゃんか!」ワァァ!

ミカ「時の流れは一方通行 つまりアクセラレータ」

ミカ「見た目幼女な姿に 手なずけられた」ワァァァ!!

ミッコ「お前らの優勝阻止する イマジンブレイカー」

ミッコ「試合終わったら 暇人プレイヤー」ワァァ!

ミカ「ミッコのインデックスは ハートのA(エース)だ」ワァァァ! ※インデックス・・・トランプのカード端のハートなどのマークと数字(絵柄)のこと

ミカ「キミらを下し 決勝の 場をも制すさ」ワァァァァ!!



役人「終了ーーーーーー!!!!」

ワァァァァァァ!!

カチューシャ「……っ……」

まほ「………………」

ミカ「………………」

ミッコ「ふー……熱っち……」


役人「……では判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、まほカチュが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!!

役人「……後攻、継続が勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!!

役人「まずは継続が1ポイント先取です。では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『継続』」

理事長「『継続』」

香音「『継続』」

新三郎「『継続』」

浅井「『まほカチュ』」

役人「勝者!継続~~~~!!!!」ワァァァァ!!」

カチューシャ「!!」

まほ「…………」


ミッコ「よっしゃーーーーーっ!!!」

ミカ「…………」

まほ「負け、か……」

カチューシャ「………………ごめん」

まほ「何がだ?」

カチューシャ「私がアイコンタクトせずに割り込んじゃったり、足引っ張ったせいで……」

まほ「それは違うな。少なくとも私はカチューシャのラップに不満など無い。それに意思の疎通という点で言えばお互いさまだろう。1人だけの問題じゃない」

カチューシャ「っ……でも……私がもっと上手くできてれば……」グス

まほ「…………」キュッ

カチューシャ「へっ……!?な、なんで抱きしめ……///」

まほ「プラウダの隊長がステージ上で涙を見せない方がいい。泣きたいなら誰もいない場所に移ってからだ。私の胸で良かったら貸そう」

カチューシャ「ま、マホーシャ……///」キュン

ミッコ「あ、あのー……握手を……」

まほ「む、すまない」ガシッ

カチューシャ「っ!?え、ええ!そうね!あんたたちも強かったわ!」ガシッ

ミカ「……そうだね。私たちは強かった」

カチューシャ「な…」

まほ「ふっ……」

ミカ「キミたちに勝てるほどにね」

カチューシャ「………………ふん」

まほ「その通りだ」ガシッ

カチューシャ「そ、そうよ!私たちに勝っ……て……」ガシッ

カチューシャ「う……」グス..

ミッコ「あれ?」

カチューシャ「っ!?」サッ

ミッコ「なんか目が赤いような……」

ミカ「照明の効果だね。ステージ上は眩すぎる」

ミッコ「あー、なるほど」

カチューシャ「あんた……」

ミカ「ふ………」

役人「延長戦に突入するほどの好勝負を繰り広げた両チームに大きな拍手を!」

パチパチパチパチ!

まほ「さて、戻ろうか」

カチューシャ「……マホーシャ」

まほ「……なんだ?」

カチューシャ「…………本当にいいの?その……む、胸を借りても……///」

まほ「構わないよ。好きなだけ、な」

カチューシャ「う、うん……///」


【舞台裏】

クラーラ「ノンナ様!あの女……!カチューシャ様を外に連れ出し、卑猥な行為に及ぶつもりですよ!(ロシア語)」

ノンナ「っ……」ギリ..

クラーラ「今からでも遅くはありません!『ロリコンが出たぞー!』と叫び、西住まほを捕縛するべきでは!?(ロシア語)」

ノンナ「……それはなりません。もしその手段をとった場合、遠くない将来……我々がカチューシャに抱きつく、くちづけを交わす、ボディタッチの範囲を広げる等、愛ある行動をする際にまで『ロリコン』という言葉が影響を及ぼし、我々の障壁となる危険性があります(ロシア語)」

クラーラ「私たちの愛までもが勘違いされてしまうと……(ロシア語)」

ノンナ「ええ。あくまでもカチューシャを愛でることは正義であり、善でなくてはいけません。ですのでここは見守る状態から一歩踏み出し、覗き見レベルを追い越すほど接近し、カチューシャたちに我々の存在を気付かせ、黒森峰の泥棒猫にほんの0.000001%でも心動かしてしまったことへの自戒の念を抱いていただきましょう。そして真の愛にも目覚めるきっかけにもなります(ロシア語)」

クラーラ「おお……そうなれば我々とカチューシャ様は……(ロシア語)」

ノンナ「永遠に結ばれる魂の繋がりを得、それは至高の悦びとして天の祝福を授かり、個体同士の繋がりという垣根が融解し、まぎれもなく、1つの輪郭となります(ロシア語)」

クラーラ「一生ついてゆきます!ノンナ様!(ロシア語)」ガシッ!

ノンナ「ええ、一蓮托生ですよ。同志クラーラ!(ロシア語)」ガシッ!



ニーナ「………………」

ニーナ(まーたよからぬこと考えてそうだべ。近寄らんとこ)ススッ


【舞台袖】

アキ「お疲れ様!」

ミッコ「あれ?なんでアキがここに?」

ミカ「私が呼んだんだ。継続は関係者席をもらっていないからね。1人くらいなら舞台袖にいていいと許可を得ているのさ」

ミッコ「なんだ、そっか。全然知らなかった」

アキ「学校出る時に説明したはずなんだけど……」ハァ

アキ「……それにしても、スタッフの人たちがそこで話してたけど、アクセラレータとかって漫画?とかアニメのお話なんでしょ?ミカもミッコもよく知ってたね!」

ミカ「前に無人島に漂着しただろう?あの時、たまたま小説が全巻流されてきてね。読破したのさ」

アキ「ええっ!?」

ミッコ「ビックリしたよなぁ~!大手古本屋のセット販売みたいにビニールでピッチリ閉じられててさぁ!全然濡れてねーの!だから読みまくり!」

アキ「なんで私に黙ってたの!?私、『暇だなあ』とか何度も言ったじゃん!」

ミカ「誰かに貸すと、読み返したい時に読めないかもしれないと風が囁いたのさ」

アキ「なにその風!やなやつ!」

ミカ「……ま、とにかくあと2つ……」

ミッコ「そう!2つ勝ったら優勝!そして……」

ミカ「あの無人島へ帰ろう」

アキ「いや帰んないから」

ミッコ「もう2度と行きたくねー」

ミカ「そうかい?割と快適だったけどね……」フフ

ミカ「…………」

ミカ(さて、次に当たるのは一体どちらだろうか……)



【トーナメント】
                   ――――
                         │―――
                   .――――     │
                             ..│―――
継続                ――――     .│    │
                         │―――     ..│
                   ――――          ...│
                                   │────
チンピライマーズ         ..――――           │       |
                         │―――     .│      |
                   ..――――     .│    ..│      .|
                              .│―――       .|
                   .――――     │           ...|
                         │―――             ...|
MIH×O×RENGE       .――――                  ...|
                                           ..|────!!優勝!!
ライム戦隊カリレンジャー   .――――                 ...│
                         │―――            .│
                   .――――     │           .│
                              ..│―――      ...│
                   .――――     ..│    │     ...│

                         │―――      .|      .│
ツインテールショートヘア    ..――――          .│      ...|
                                    │――――

                    ――――          ..│
                         │―――     │
干し芋ティータイム        ――――     │     |
                              .│───
ボコファイターズ         ..――――     │
                         │―――
                   ..――――     




【2階席】

沙織「みぽりんのお姉さんが負けちゃった……!あんなに強い人なのに!」

優花里「しかし継続のお2人の実力は本物ですねぇ……延長戦でも勢いが落ちませんでした」

華「やはり食べ物の差、でしょうか?」

沙織「違うと思う」

華「ですが……試合前におにぎりを4つほど食べていれば延長戦も戦い抜けます」

沙織「……そ、そだね。その可能性もゼロじゃないかな」

優花里「あの……島田殿。今の延長戦、どういう感想をお持ちですか?」

千代「そうね……トランプを絡めたラリーなど、両チーム共に優れたパンチラインがありました。まほさんの『前回は2位 大富豪なら2でジョーカーを倒せる』であったり…」

千代「ただ継続の1バース目でミカさんが『パンチライン読み』とでも呼ぶべき技を見せました。『成績的に まほカチュは富豪 こちらは貧民 1番いいカードであるジョーカーを渡さないといけない つまり無力だ というパンチラインを言いかけた』と。これは、まほカチュの1バース目でカチューシャさんがまほさんを遮る形になってしまったことに対しての攻撃であり、2バース目でそのパンチラインを使えなくさせるという防御にもなる、なかなかの有効打でしたね」

柚子「確かに……でもカチューシャさんのミスという感じはしませんでしたけど……上手だったですし」

千代「ええ。2ON2である以上、割り込みは普通に起こり得ることですし、カチューシャさんの高速フロウとライミングも良かったです」

しほ「……ただ、それを邪魔したという風に際立たせ、カチューシャさんの焦りを誘ったんだな。そのせいで後半は興奮が高まり、若干掛かり気味だった」

千代「そうね。あとは最後のバースの『とあるシリーズ』の一方通行(アクセラレータ)のラインね。『時間は戻ろうとしない』というまほさんのバースから、一方通行、そしてアクセラレータというキャラクターへ連想し、カチューシャさんの見た目と絡ませてネタにした…」

千代「そのあとのミッコさんも同じネタでライミングし、しかも『ミッコのインデックスは ハートのA(エース)だ』と、『インデックス』を、とあるシリーズのキャラクターとトランプ用語のダブルミーニングで使い、ライムで締める……文句のつけようがないわね」

沙織「そうですか……」

優花里「……西住殿、落ち込んでいるでしょうか……次の試合に影響しないといいですけど……」

沙織「あ!そういえば次はみぽりんと麻子が当たるんだ!」

桃「大洗対決……!」

あゆみ「うー、複雑だぁあ!どっちも勝ちにしてほしい」

優季「あの~、学校内での先輩たちの戦績ってどんな感じなんですかぁ?」

柚子「こないだの大会前までのデータだと僅差で冷泉さんが勝ち越してるね」

あや「すごい!あ、でも西住隊長、身内をディスるの苦手っぽい……」

柚子「そうなのよね。会長相手に至っては勝率3割切ってるし……」

優花里「ただ西住殿とペアを組むオレンジペコさんは冷泉殿に勝ってるんですよねぇ」

沙織「それに継続の人たちもそうだけど、みんな前より成長してるから……」

華「どうなるかわからない、という結論になりますね」ニッコリ

沙織「うん……って、華がまともな感じで締めた!?」

優季「さすが五十鈴先輩~♪」

柚子「言ってることは普通も普通だけどね……」

そど子「……頑張りなさいよ?冷泉さん」ボソ


【舞台袖】

麻子「………………」

麻子(西住さんとバトルか……練習ではともかく、ガチな場では初めてだな)

麻子(……っと、それよりも西住まほの敗退で逸見さんの精神状態が不安定になっている可能性がある。何かしら声を……)チラ

エリカ「…………」ギラギラ

麻子「!……ずいぶん気合いが入っているな」

エリカ「当たり前でしょ。まほ先輩が負けた今、私が黒森峰の魂を背負ってるんだから」

麻子「……ほう」

エリカ「まほ先輩が負けたのはショックだけど、でもだからって落ち込みはしないわ。元々優勝するにはまほ先輩を倒さなきゃいけないもの」

麻子「そうだな」

エリカ「むしろここで勝って、継続を破ってカタキ討ちをしたいと燃えてるぐらいよ」

麻子「そうか」

エリカ「……あんたこそ、身内と戦う覚悟はあるわけ?」

麻子「無論だ。というより、本気で私を倒しにくる西住さんと戦い、上回りたい気持ちが強い。それに……」

麻子「オレンジペコさんには前回負けた借りもあるしな」ギラリ



みほ「…………」

みほ(麻子さんと……逸見さんとの試合か……)フゥ..

オレンジペコ「……大丈夫ですか?」

みほ「あ、はい。今のはため息というより気合いを入れる感じで……」

オレンジペコ「そうですか。よかったです」

みほ(……本当はお姉ちゃんが負けちゃって、戦えなくなるのがショックなんだけど……言ってもしょうがないもんね)

オレンジペコ「絶対…」

みほ「え?」

オレンジペコ「私は絶対優勝したいです。優勝しなければいけない理由があります……」

みほ「オレンジペコさん……」

オレンジペコ「だからパートナーがみほさんで良かったと思っています」

みほ「……うん、私も」

オレンジペコ「……露骨にお姉さんと組みたがってるオーラ出てましたけど?」

みほ「ふぇっ!?あ、えと……その……最初だけです!でもオレンジペコさんと組めてよかったと思う!本当ですよ!?」

オレンジペコ「ふふ、わかっています。少しからかっただけです」ウフフ

みほ「も、もう……」クス

みほ(オレンジペコさんって年上の扱いが上手いというか……掌の上で踊らされちゃう感じだよ……)フフ

みほ(あ、でもなんか笑ったらリラックス出来たかも。もしかして、私が落ち込んでたのを見て、励ますつもりで話しかけてくれたのかな)

役人「それでは次のチーム、入場してください!」

オレンジペコ「!行きましょう、みほさん」

みほ「うん!」


【ステージ】

みほ「………………」

麻子「………………」

みほ(麻子さん、私をじっと見たまま目を反らさない……完全に戦闘態勢に入ってる。だったらこっちも目を反らしちゃダメだ)ジッ..

役人「それでは先攻後攻じゃんけんをお願いします!」

オレンジペコ「」スッ

エリカ「」スッ

ジャンケンポン!

エリカ「……後攻で」

役人「OK!先攻、MIH×O×RENGE!後攻、チンピライマーズ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュキュッ!


http://www.youtube.com/watch?v=4LaoQh-QZp8 3:11

<2回戦 第2試合 先攻 [MIH×O×RENGE]MIHO、オレンジペコ VS 後攻 [チンピライマーズ]REZE、エリカ>

みほ「チンピライマーズ REZEは学友」

みほ「バトル後に気まずいとか 関係ねぇなFa○k you」ワァァァ!

みほ「あえて合わせる過激な チンピラのイズム」

みほ「量より質な 韻にたどり着く 神秘なノリ生む」ワァッァア!

オレンジペコ「REZEさんが数だけ 踏んで エリカさんがただ叫ぶ」

オレンジペコ「価値なんて チンピラの1杯の タダ酒分」ワァァ!

オレンジペコ「キレたら怖いのは エリカさんより血管」

オレンジペコ「欠陥だらけ脅すだけだってさ いけ好かん」ワァァア!



麻子「いけ好かんのは ライムでイケず感じれず 逃げるから」ワァァ!

麻子「卑下すか? メチャメチャヘタレな逆ギレ こっちがキレる番」ワァァ!

エリカ「MIHOいわく量より質 でも相方が韻を薄めてる」

エリカ「余裕シャクシャクな顔してるけど 希釈倍率増えてる!」ワァァァ!

麻子「希釈倍率 男ならイカ臭い普通 そんな規格内すぐ」ワァァ!

麻子「飛び出す シラフな異物 REZE 起爆剤生む」ワアァァッァァ!

エリカ「REZEとエリカ タッグ組むガッツある 火付け役」

エリカ「ネチネチと陰湿な あんたら絶対しつけーヤツ!」ワアァァ!



オレンジペコ「しつけーのは韻ばっか くどくど並べる人の方です~!」ワァァ!

オレンジペコ「REZEさんの眠そうなライムじゃ 湿気(しけ)って火点かなそう!」ワァァ!

みほ「男のこと知らないのでは? 変な雑誌で得たようなネタ」ワァァ!

みほ「それ使う方が メチャメチャヘタレ より ベタベタでダメ」ワァァ!

オレンジペコ「韻踏むしか能がない しょうがないけど 悲しいね」

オレンジペコ「踏めない子ブタはただの子ブタ でも 韻だけのヤツも 慄(おのの)け死ね!」ワァァァ!!

みほ「そう言わないで ライムだけが アイデンティティ」

みほ「大変危機になって 悟るんでしょう 改善時期」ワァァァ!!


麻子「アイデンティティ 敗戦しに 来てないんだ 毎回前進し」ワァァ!

麻子「あとオレンジペコ この大会 あんたの パイセン地味」ワァァァ!

エリカ「これだけキレキレのライムが 湿気るとか 見る目無い!」

エリカ「ステージに立っただけで アップアップしてるから 気付けない!」ワァ!

麻子「見つめないと わからんが震えてる? いつ眩暈(めまい)で倒れる?」

麻子「崩れてく? どっちでもいいか 最後に立ってる方が 優れてる」ワァァ!

エリカ「自滅を待つか それとも爆破? 最終的には絶対潰そう」

エリカ「こうして見ると あんたら2人 ひ弱で なんだか幸薄そう」ワァァ!



オレンジペコ「そうですか? でも普段のREZEさんマジ鬱そう」ワァァ!

オレンジペコ「じめっとしたキノコ あ!『男なら』ってのはキノコが相手ですかぁ!?」ワァァァァ!

みほ「いつもテンション低くて 倍うぜぇんです」

みほ「嫌がられ方 まるで 梅雨前線」ワァァァ!

オレンジペコ「聖グロの先輩が地味? 見る目がないなぁ」

オレンジペコ「その節穴に イカ臭いティッシュ詰めますか?幸薄そう~!」ワァァ!

みほ「寝てばかりの人が どうして 最後に立ってる?」

みほ「罪状出まくりのREZE 敗訴似合ってる」ワァァァ!!



麻子「よく履いてる黒のハイソ似合ってる? 感謝だ」ワアァ!

麻子「こんなに混み合ってる 会場に立ってる REZE ライムのワンダラー」ワァァァ!

エリカ「なんだかんだで勝つのは チンピライマーズ」

エリカ「長所を信じマイナス をプラスにするコンビ!」ワァァ!

麻子「コンビ指数はプラス まるでポンキッキーズ」ワァァ!

麻子「どんなディスにもライムで 暢気(のんき)言い切る」ワァァァ!

エリカ「のらりくらりも チンピラの極意」

エリカ「放り投げてやるわよ ピンチなど遠くに!」ワアァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!!」

ワァァァァァ!

みほ(これは……どうだろう……)

麻子(手応えはあるが……それと同時に負けても納得できる部分もある……)


役人「では判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、チンピライマーズが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!!

役人「……後攻、MIH×O×RENGEが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

役人「まずはチンピライマーズが1ポイント先取です」

みほ(っ……ポイントとられた!)

役人「では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『MIH×O×RENGE』」

理事長「『MIH×O×RENGE』」

香音「『チンピライマーズ』」

新三郎「『チンピライマーズ』」

浅井「『MIH×O×RENGE』」


役人「3対2でMIH×O×RENGEが1ポイント獲得!延長戦に入ります!」

ワァッァァ!!

みほ(あっ……ぶなかったぁ~!)ドキドキドキ

麻子(くっ……アンサーが弱かったか?)



【2階席】

沙織「引き分け~~~~……延長戦だぁぁ……」グッタリ

優花里「た、武部殿の方が疲れてるじゃないですかぁ」

沙織「だって友達同士の試合なんだもん。見てるだけで疲れるよぉ~」

桃「今の試合はどう思われますか?」

千代「そうね。REZEさんはライム特化、MIHOさんもライムはかなり強力で、エリカさんも上手に語尾で踏むタイプ。でもその中でオレンジペコさんはアンサー重視でライムはそれほどこだわらないスタイルね」

千代「でもディスは皮肉が効いていて毒がある。『しつけーのは韻ばっか くどくど並べる人の方です』や『男ならってのはキノコが相手ですか』といった辺りが顕著ね」

あや「オレンジペコさん、腹グロなのかな」

あゆみ「お、上手いこと言ったね」

千代「……ただそれ以外に『踏めない子ブタはただの子ブタでも 韻だけのヤツも 慄(おのの)け死ね!』というライン。ここはさっきの継続の試合でもあった裏ライムとでも言う使い方をしたわね」

千代「『踏めない子ブタ』はジブリ作品の『紅の豚』でライミングすると同時に『飛べないブタは…』というセリフにかかっていて、さらに『慄け死ね』というのは同じジブリ作品『もののけ姫』でライミングしています」

千代「そのようなテクニックを使いつつ、三者とはかなり毛色が違うスタイルを貫いたからこそ、引き分けという結果になったのではないかと。もっとも、審査員もかなり悩んだ末の決断で、僅差での結果でしょうけれど」

しほ「……なるほどね」

千代「MIHOさん最後のバースで、裁判でいう『敗訴似合ってる』に対していつも履いている『黒のハイソ似合ってる』とREZEさんが即座に返すのも見事でしたしね」


【ステージ】

エリカ「勝ったと思ったんだけど……」

麻子「仕方がない。実際拮抗していた」

エリカ「延長戦、どうする?」

麻子「いつも通りやるだけだ。それで勝つ」

エリカ「そうね」フフッ



役人「それでは延長戦!じゃんけんをお願いします!」

ジャンケンポン

エリカ「……後攻で」

役人「OK!先攻、MIH×O×RENGE!後攻、チンピライマーズ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュルル!


http://www.youtube.com/watch?v=HLHKJx-zrao 3:43(あるいはもう少し短め)

<2回戦 第2試合 先攻 [MIH×O×RENGE]MIHO、オレンジペコ VS 後攻 [チンピライマーズ]REZE、エリカ 延長戦>

オレンジペコ「……おわかりいただけただろうか」

オレンジペコ「エリカさんを大してディスらず のけ者にしていることを」ワァァ!

オレンジペコ「私たちにとってエリカさんはおまけ 居酒屋のお通し」ワァ!

オレンジペコ「拒否するのも気が引けるから そこにいてもいいんだよ♪」ワァァ!

みほ「つまりおまけ シール目当てのビックリマンチョコ」

みほ「どれだけ 願ってもトピックになんのも 無理」ワァァァ!

みほ「1人だけ目を閉じちゃってる 集合写真」

みほ「スキル中庸だし 急降下し 結果 優勝無し!」ワァァァ!!



麻子「優勝無しを理由も無しに言うな 聴かせる有能な詞」ワァァァ!

麻子「急降下しても終了間近に 使う消火器で浮上だし」ワァッァア!

エリカ「未成年で居酒屋とか 知らねぇくせに語んな!」ワァ!

エリカ「さっきは『男がどう』とか言ったくせに マジうぜぇ 下がんな!」ワァァ!

麻子「野蛮な 盛んな 性格か?居酒屋には目立つ オレンジ頭」ワァァ!

麻子「地頭が足りないし力が足りない ライムにただただ交わり」ワァァ!

エリカ「それにフロウも加わり 最強のコンビがここに爆誕!」

エリカ「ビート上に 声を乗せて奏でる そんな楽団!」ワァァ!



オレンジペコ「居酒屋のことですか? 知ってますよ全然」

オレンジペコ「何故ならば 3年B組グーグルせんせ~!」ワァァァ!

オレンジペコ「男のくだりも ネット知識と言えばいいのに不器用~」ワァァ

オレンジペコ「もしかしてSiriに敷かれてるタイプですかぁ~!?」ワァァァ!

みほ「あと『スキルが中庸だから』と言ったのに『理由も無し』 耳大丈夫?」ワァァ!

みほ「事実を捻じ曲げてでも 韻踏みたい性分?」ワァァァ!

オレンジペコ「それと相手の言葉拾うの 必ずREZEさんですよね?」

オレンジペコ「最強コンビならエリカさんが拾ってみてくださいよ~!」ワァァ!


エリカ「くださ……………っ」
麻子「くださ…………………いちいちダサい」

麻子「苛立ちの轍(わだち)を形作って しょうもないことしたがり」

エリカ「仕上がりなら充分 あんたらに乱される心配無いわ」

エリカ「結局のところ 自分の進化次第だ」ワァァ!

麻子「韻が偉大な みんなに愛されるMC 銀座みたいな 高級感」ワァァ!

麻子「目指す ライム探検家 今どれくらい掴んでるか?」ワァァ

エリカ「握った拳の中にあるのは 勝利の光」

エリカ「ペア組んだ時に生まれたのは 信頼と同志の誓い」ワァァ!



みほ「同志なのに どっちが先行くか 動じたせいで 同時になった」ワァァァ!

みほ「コンビが爆誕 でも火付け役? 爆発したあとインパクト無いよ!」ワァァァ!!

オレンジペコ「今は修行でも授業の時間でもない バトルでしょーが!」

オレンジペコ「何が進化?わかりません アンサーしなさい このバカチンが!」ワァァァッァァ!!

みほ「痛いとこ突かれ 内に籠(こも)る REZE 引きこもる」ワァァ!

みほ「混じりっ気無しで ディスりけなし 被った布団は引っぺがし!」ワァァ!

オレンジペコ「信頼を誓ったわりに 最初の小節 全部 REZEさん」

オレンジペコ「それって エリカさんじゃ無理と 弾き出した計算」ワァァ!



麻子「っ…………………」
エリカ「………………っ!?計算なわけがないでしょ!」

エリカ「そんな固定観念に 惑わされるわけがない!」

麻子「固定観念だと諦観してるのか それが 余計残念」ワァァ!

麻子「こちとらライミングに凝ってっかんね 存在感の濃さは 経団連」ワァァ!

エリカ「あんたらこそ 人の粗探しだけで 馬鹿馬鹿しい!」ワァ!

エリカ「自分らの中身 全然見えない 空っぽらしい!」ワァ!

麻子「そして尻尾出し 捕まる末路 つまらぬ覚悟」ワァァ!

麻子「ウザがるギャルも 繋がるラップを するのがチンピライマーズだ!」ワアァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!!」

ワァァァァァ!!

麻子「っ……」

エリカ「…………っ……」


役人「それでは、延長戦の判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、MIH×O×RENGEが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!!

役人「……後攻、チンピライマーズが勝ったと思う人!」

ワァァァ!

役人「まずはMIH×O×RENGEが1ポイント先取です。では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『MIH×O×RENGE』」

理事長「『MIH×O×RENGE』」

香音「『MIH×O×RENGE』」

新三郎「『MIH×O×RENGE』」

浅井「『MIH×O×RENGE』」

役人「勝者!MIH×O×RENGE~~~~!!!!」ワァァァァ!!



みほ「…………」ホッ

エリカ「ちぃっ!」

麻子「……………準決勝、頑張ってくれ」スッ

みほ「え?あ、うん。ありがとう」ガシッ

オレンジペコ「ありがとうございます」ガシッ

エリカ「………………」

麻子「逸見さん」

エリカ「…………絶対優勝しなさいよ」スッ

みほ「う、うん……目指します……」ガシッ

オレンジペコ「そのつもりです」ガシッ

麻子「………………」


【舞台袖】

エリカ「…………ごめん」

麻子「何がだ」

エリカ「完全に私のせいで負けたわ」

麻子「そんなことないだろう。何故そう思うんだ」

エリカ「……延長戦の時、『エリカさんが拾ってみてくださいよ』って茶化すように言われて……試合前はいつも通りやろうって決めたばかりなのに……ついカッとなって突っ込もうとした」

麻子「…………」

エリカ「そのせいで2人が重なって……会場の空気も相手チームに流れたし、そのミスを指摘されもした。だから負けたのは…」

麻子「私もそのあと、自分が行かずに逸見さんに任せるべきかを迷って……結果、立ち往生してしまった。私のミスだ」

エリカ「だから、それは私が最初に動いちゃったから今度もそうなる可能性があると思って迷ったんでしょ?」

麻子「……ゼロではないが少し違う。オレンジペコさんに、逸見さんには最初の小節を任せられない、という風に言われたことに対し、反発する気持ちがあったせいだ」

エリカ「え?」

麻子「私は逸見さんのスキルを買っている。そう証明したくなったんだ。あの土壇場で。だがアイコンタクトだけで伝わるわけがない。結局、逸見さんを戸惑わせてしまい、チームワークが崩れていると露呈する形になってしまった」

エリカ「………………」

麻子「…………………」

エリカ「じゃ、じゃあ……ど、どうすればいいのよ。この話の決着は…」

麻子「……お互い反省して終わりだろう。相手のせいにする内容じゃない」

エリカ「…………そう」

麻子「…………ああ。それに、負けはしたが楽しかった」

エリカ「……………ふ。確かにね。正直、途中からまほ先輩のカタキ討ちとか忘れてたわ」

麻子「……不思議なものだな。フリースタイルバトルというのは」

エリカ「そうね。負けた時は悔しくて辛い……だからもう二度とやりたくない。そう思うのに…」

麻子「……気が付くと、また戦いたいという感情が沸いてくる」

エリカ「ええ」クス

麻子「…………」クス

エリカ「次会う時は敵かもしれないわね」

麻子「どちらでも歓迎だ」


【2階席】

そど子「……冷泉さん」

ゴモヨ「残念だったね、そど子」

そど子「べ、別に残念じゃないわ!いつも寝坊してるのにフリースタイルバトルで勝てるわけないもの!」

沙織「関係あるかなそれ」

パゾ美「……そど子」

そど子「なに?」

パゾ美「負けて落ち込んでる冷泉さんを慰めたら、そど子への好感度は風紀的にアップするよ」

そど子「!!!」

沙織「風紀的!?どういう上がり方なのそれ!」

そど子「…………み、みなさんごめんなさいね。ちょっと見回りに行ってくるわ」タタタ

沙織「いや、ライブハウス内で見回りって邪魔以外の何物でもないんじゃ……あ、行っちゃった」

優花里「冷泉殿に会いに行くのを誤魔化す言い訳にしても強引すぎますが……それはともかく、島田殿…」

千代「……そうね。今の試合では特にオレンジペコさんの挑発とアンサーが光ったわね」

千代「最初の『おわかりいただけただろうか』はテレビ番組でよくある心霊特集などのナレーションを真似ているけれど、最初のバースの一番頭でこう言うことで、どういう内容なのかを気にさせることが出来る。掴みとしては抜群ね」

千代「そして、さっきの試合ではエリカさんにほとんど触れず、REZEさんに攻撃を集中させていたと明かし、それは相手にしていないからだというディスになる」

千代「『居酒屋のお通し』というワードには『未成年のくせに』と返されるのが当然だけれど、それに対し『3年B組、グーグル先生』と金八先生をもじりつつ、ネットで検索すれば誰でもわかる、というユーモアのある返しを見せた」

千代「そのあと、チンピライマーズが攻撃でもなく自分たちのことをラップした時は『今は修行でも授業の時間でもない バトルでしょーが!』と、自問自答ではなく対話しよう、という意志を込め、さらに『何が進化?わかりません アンサーしなさい このバカチンが』と、金八先生ネタを絡めて使用した。内容の伴った見事なパンチラインね」

千代「それに加え、非常に安定しているMIHOさんのディスとライムが間を埋めているわ。スタイルが違うのもアクセントになっているため、互いに効果を高め合っている」

千代「あと、まほカチュでもそうだったけれど、アイコンタクトや合図などでどちらが行くかを決める必要がある2ON2では、意思の疎通が取れずにタイミングが重なってしまったりするのはよくあるわ。さっきのまほカチュの場合は、大きなミスではないものの、その部分を突かれたところが敗因の1つだったようにね」

千代「ただ……今回はどちらが行くか迷って黙り込む場面がいくつかあり、慌てているのがはっきり見えてしまった。しかもオレンジペコさんがその状況を誘うような形をとっていたものだから、相手の術中にハマってしまったというイメージがお客さんにも審査員にも強く焼き付いてしまった。これはかなりのマイナス要因ね」

千代「最後のバースでREZEさんが畳みかけるようにライミングを決めているのだけれど……やはり覆すのは無理だったわね」

優花里「なるほど……」

沙織「私的には麻子と逸見さんが立て直そうと頑張ってて、そっちの方がすっごく好感持てたけどなぁ……はぁ……私も好感持たれたい……モテたい……」

柚子「武部さん話変わっちゃってるよ」

あゆみ「……ま、まあ……冷泉先輩は残念でしたけど、次は桂利奈の試合です。気を取り直して桂利奈を応援しましょう!」

あや「1回戦はいい調子だったし、今度も大丈夫だよ!きっと!ね?紗希!」

紗希「……………………………………」

あや「そっかぁ、そういう意見もあるかぁ……」

優花里「ど、どういう意見だったのか気になりますぅ。今なんと言ったんですか?」

あや「桂利奈ちゃーーん!頑張れー!!」

優季「勝って~♪」

あゆみ「まだステージに出てきてないって」

梓「登場してから目いっぱい応援しようよ」

優花里「うぅ……誰も答えてくれません……真相は闇の中…」



【トーナメント】
                   ――――
                         │―――
                   .――――     │
                              ..│―――
継続                ――――     .│    │
                         │―――     ..│
                   ――――          ...│
                                    │────
                   ..――――           │       |
                         │―――     .│      |
                   ..――――     .│    ..│      .|
                              .│―――       .|
                   .――――     │           ...|
                         │―――             ...|
MIH×O×RENGE       .――――                  ...|
                                           ..|────!!優勝!!
ライム戦隊カリレンジャー   .――――                 ...│
                         │―――            .│
                   .――――     │           .│
                              ..│―――      ...│
                   .――――     ..│    │     ...│

                         │―――      .|      .│
ツインテールショートヘア   ..――――          .│      ...|
                                    │――――

                   ――――          ..│
                         │―――     │
干し芋ティータイム       ――――     │     |
                              .│───
ボコファイターズ        ..――――     │
                         │―――
                  ..――――     




【舞台袖】

カルパッチョ「いよいよ2回戦ですね」

桂利奈「は、はい」

カルパッチョ「?どうかしましたか?」

桂利奈「………………」

桂利奈(私の最大の武器は特撮とかアニメの知識、それと図太さだって会長は言ってくれた)

桂利奈(でも私は前の大会で代表になれなかった。西住隊長や冷泉先輩が強かったっていうのもあるけど……補欠に決まった時の会長のセリフ……)


杏『さかぐっちゃんはアニメとか特撮ネタに寄りすぎかな?それ自体は個性だし強みでもあるんだけど、毎回だとワンパターンになっちゃう。アンサーがもちっと返せるようになればかなりいいんだけどね』


桂利奈(……そう言われて、ショックというよりすっごく納得した。ネタ以外で攻撃されると途端に勝てなくなっちゃう。それでもめげずに立ち向かうところを会長は心臓がタフだって言い方してくれたけど……でも実際はただ諦めてないだけで勝敗は明らかになってた)

桂利奈(だから……今回の大会ではもっと強くなろうと練習した。アニメ系のネタは持ちつつ、それ以外の部分も対応できるように……フロウも工夫したり)

桂利奈(1回戦は完全にアニメネタで私のキャラクターを押し出した。だからこそこの2回戦の戦い方は……)

桂利奈「カルパッチョさん」

カルパッチョ「なんでしょう?」

桂利奈「次の試合、私はアニメネタ使いません」

カルパッチョ「……何故ですか?」

桂利奈「前に会長にも言われたんですけど、ネタばかりだとメリハリが無いというか……相手もこっちの手がわかる分、戦いやすくなっちゃいますし……バトルに勝つためにも、自分がもっと強くなるためにも、必要な気がして……」

カルパッチョ「………………」

桂利奈「だ、だめですか?」

カルパッチョ「……いいえ。スタイルは人それぞれですから」ニコリ

桂利奈「あ……」パァァァ..

カルパッチョ「真面目すぎなくても大丈夫ですよ?臨機応変に。もし必要になれば、前言撤回して次の試合でもアニメネタ使っていいですからね?どちらにせよ、私がライミングで繋げますから」ニッコリ

桂利奈「はい!ありがとうございます!」

桂利奈(カルパッチョさんが優しいお姉さんでほんとによかったー!)



アンチョビ「準々決勝……これを勝てば準決勝だ」

ナオミ「おいおい。プレッシャーを感じるにはまだ早いんじゃないか?参加チームが少ないんだ。準々決勝だが全16チームのトーナメントだから実質まだ2回戦だぞ?」

アンチョビ「う、わかってるが……」

ナオミ「あまり気負わなくていいと思うよ」

アンチョビ「しかし……『じゃなかった』という口癖がつい出てしまうのが……」

ナオミ「それも個性だ。とにかくありのままぶつかればいい」

アンチョビ「ううむ……」

ナオミ「MCネームも『ドゥーチェ☆アンチョビ』から『アンチョビ』に変えたんだ。心機一転の気持ちで挑めばいい」

アンチョビ「…………そうだな!うだうだ悩むのは私らしくない!楽しめなくなるもんな!」

ナオミ「その意気だ。サンダースもそうだが、一番大事なのは楽しめるかだ。そこが抜けてたら参加する意味がない」フッ

アンチョビ「よおし!じゃあ目指すは試合を楽しむこと!そして準々決勝突破…じゃなかった、優勝だー!!」

ナオミ「うん、同意見だ。さあ行こう」


【ステージ】

役人「それでは両チームの入場です!」

ワァァッァ!!

ナオミ「」

アンチョビ「」

桂利奈「」

カルパッチョ「」

ナオミ(カルパッチョのライミングはもちろん、このロサ・カリーナも意外と出来る。だが正面から戦って力負けするほどうちが劣るとは思わない。なら……)

アンチョビ(真っ向勝負でぶつかって、その上で勝~つ!)

役人「では先攻後攻じゃんけんをお願いします」

カルパッチョ「……負けませんよ、ドゥーチェ」

アンチョビ「ああ。こっちも負けるつもりはない。絶対に勝つ!あ、じゃんけんだけじゃなくてバトルもな!?」

カルパッチョ「わかってますよ」フフッ

ジャンケンポン

アンチョビ「後攻をとらせてもらう」

役人「OK!では先攻、ツインテールショートヘア!後攻、ライム戦隊カリレンジャー!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュルキュリ!


http://www.youtube.com/watch?v=Km9muoqHBAM 3:29

<2回戦 第3試合 先攻 [ライム戦隊カリレンジャー]カルパッチョ、ロサ・カリーナ VS 後攻 [ツインテールショートヘア]アンチョビ、ナオミ>

カルパッチョ「2回戦 闘技場の包囲網をも移動して行動」ワァァ

カルパッチョ「こっちは いつでも脳みそフリースタイルモード」ワァァ!

桂利奈「末期症状 そう昨日もずっと練習って状況」ワッァア!

桂利奈「瞳孔 開くような動向でも 同行してくれる カルパッチョと浮こう!」ワァァ!

カルパッチョ「つまり上昇 負け知らず常勝 王道を 伊達に歩こうと堂々」ワァァ!

カルパッチョ「どうどう、落ち着け とウトウトする暇も無く とうとうと語る」ワァァァ!

桂利奈「そう優勝への夢 私は全然無名!でも諦めず行くぜ!」ワァァ!

カルパッチョ「たまに間違えるが何変える よりありのままで何か得る」ワァァァ!



ナオミ「……それなんてアニメ? いわゆる熱血系か?」

ナオミ「イマイチわからないな 足りねぇ説明が」ワァッァ!

ナオミ「それともアニメの話は もうおしまいか?」

ナオミ「ロサ・カリーナ あんたは 知識があるのに 損をしないか?」ワァァァ!

アンチョビ「どちらにせよ こっちはあるがままを貫く」

アンチョビ「つまずく ことも あるがママに頼らず歩く」ワァァァァ!

アンチョビ「そう私はマザコン じゃなかった 独り立ち」

ナオミ「そんなアンチョビとコンビ組めて マジ 気持ちがいい」ワァァ!



桂利奈「こっちも気持ちがいい 無名と思ったら ちゃんと認識されてる」

桂利奈「そのルックスで カッコいいこと言うなんて インチキなレベル」ワァッァア!

桂利奈「でもコンビ組めただけで 気持ちがいいなんて満足しちゃってる」

桂利奈「私は短足だけど このコンビで優勝までの道を進むつもりだ!」ワァァァ!

カルパッチョ「誰よりも もっと先を見てる 価値を知ってるから賢いです」ワァァ!

カルパッチョ「こっち王道 あんたら端っこ行ってる 鍵っ子似てる」ワァァァ!

カルパッチョ「つまり インパクト 足りない上に 韻ファールゾーン」

カルパッチョ「感覚が疎くて無得点 この試合は決勝までの インタールード」ワァァァァ! ※インタールード・・・間奏曲


アンチョビ「韻と言葉ぎゅうぎゅうで 詰め込みすぎてる」

アンチョビ「高望みがえげつないな 上を見過ぎてる」ワァッァ!

アンチョビ「こっちは 一戦一戦 勝ってく じゃなかった 一足飛び」

アンチョビ「失速をしないで 一歩ずつじゃなく 飛び越えて行っとく」ワアァ!

ナオミ「ルックスを褒めてくれてありがとうね お嬢さん」

ナオミ「キミこそ キュートで見てると キュンと心臓が 急を告げるようだ」ワァァ!

ナオミ「でもラップ自体は微妙かな? さほど魅力ないもの」

ナオミ「ライム戦隊カリレンジャーでしょ? ごっこ遊びしてなよ 戦隊ものの」ワァァ



桂利奈「ライム戦隊の移動は戦車 拙者が運転者!」ワァァァァ!!

桂利奈「戦車道でも運転者! 弾 避けながら 突き進んでんだ!」ワァァァ!

カルパッチョ「だからアニメネタ無くても 晋平太のような高度な韻生産」ワァァ!

カルパッチョ「無神経な 挑発には警笛鳴らす まるで婦人警官」ワァァ!

桂利奈「警笛もリズミカルでコミカルな感じで 変えちゃう人生観」ワァァ!

カルパッチョ「その新星さ 素質は真性さ 声の響き まるでシンセサイザー」ワァァ!

桂利奈「韻でライバ ルを蹴散らす ライム戦隊カリレンジャー」

カルパッチョ「逃げた方がいいっしょ 失笑 浴びるこの展開は危険だ!」ワァァァァ!



ナオミ「危険な状況を覆す 戦隊ものの基本じゃないのかい?」

ナオミ「ドライな展開はやめて 窮地から始めよう再トライ」ワァァ!

アンチョビ「声がシンセサイザーとか褒め過ぎじゃないか? 過剰広告」ワァ!

アンチョビ「カルパッチョ 常識人に見えて無いのかよぅ道徳」ワァァ!

ナオミ「勝てる勝負を前にするわけがないだろう 敵前逃亡」

ナオミ「己に酔ってるんだな 現実逃避 で依然妄想」ワァァァ!

アンチョビ「そんなんじゃ真っ直ぐ進めないだろ? 運転者」

アンチョビ「これは訓練か? 違う本番だ お前たちが負ける運命だ!」ワァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!!」

ワアァァァァ!


役人「では判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、ライム戦隊カリレンジャーが勝ったと思う人!」

ワアァァァァ!!

役人「……後攻、ツインテールショートヘアが勝ったと思う人!」

ワアァァァ!

役人「まずはライム戦隊カリレンジャーが1ポイント先取です。では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『ライム戦隊カリレンジャー』」

理事長「『ライム戦隊カリレンジャー』」

香音「『ツインテールショートヘア』」

新三郎「『ライム戦隊カリレンジャー』」

浅井「『ツインテールショートヘア』」

役人「3対2!勝者はライム戦隊カリレンジャ~~~~!!!!」ワァァァァ!!

桂利奈「や、やったぁ!」

カルパッチョ「」ホッ

ナオミ「………………」

ナオミ(今回もアニメネタで来ると思ったが……しかし、それ用のアンサーを用意していたのが無駄になったことを差し引いてもロサ・カリーナの実力は侮れないものがある。カルパッチョとの練習を経て急成長したのか、元々の素質かはわからないが……補欠だったのが信じられないな)

アンチョビ「悔しい!くそぅ!くそぅ!」

桂利奈「あ!今のはキルミーのやすなですか!?」

アンチョビ「終わってからアニメネタ使うのかぁ!?」

ナオミ「ははっ」


【2階席】

あや「やったー!!」

あゆみ「桂利奈たちが勝ったー!」

優季「すごぉ~い♪」

あゆみ「これはもう歌うしかないな!」

あや「うん!」

あゆみ・あや「♪○パム ○パム ○パム ○パム ○パム ○パム~ おいしい○パム~ おいしい○パム~ おいしい○パム~ おいしい○パム~」

梓「………もういいかな?島田さんに感想聞きたいんだけど」

あや「え?あ、うん……どうぞ……」

あゆみ「……前は『うるさーい!』ってつっこんでくれたのに、めんどくさそうにあしらわれた……」ヒソヒソ

あや「○パム嫌いなのかな?」ヒソヒソ

あゆみ「○パムの缶で眉間押されたりした過去があるとか?」ヒソヒソ

優季「痛そ~♪」

梓「……こほん。島田さん、今の試合……」

千代「………………」カチャカチャ

梓「……あの」


千代「え?あ、ごめんなさい。次が愛里寿の試合だからカメラの設定を再確認していたの」

しほ「さっきも撮っていただろう?そのままでいいじゃないの」

千代「念のためよ。あ、そうそう、今の試合の感想よね?」

梓「はい。お願いします」

千代「バトル全体の流れでは、カルパッチョさんが初っ端に『いつでも脳みそフリースタイルモード』と、『末期症状』という曲のサンプリングから入った。その後も言葉を詰めつつ、ライミングを決めていく。ロサ・カリーナさんは1回戦とは違ってアニメネタを使わず、カルパッチョさんに寄り添うようにライミングしながら付いていく」

千代「対するツインテールショートヘアは、最初のバースは割とテンポを落として、アニメネタを使わないことに言及しつつ、聴きやすさと脚韻重視で返した。ビートに合わせたフロウで私的には高得点でした。結果はライム戦隊カリレンジャーに軍配が上がりましたが」

千代「ちなみに、ロサ・カリーナさんがお客さんから支持を得た理由の1つは、彼女の声質ね。高音域で、少し舌足らずなところもあるけれど聴き取れないほど滑舌悪くはない…」

千代「それに、ライミングが上手だというのも大きいわね」

華「あら?理由が1つとおっしゃったのに、2つ言われましたけど……一体何が起きているのでしょうか?」

沙織「しーっ!華!そういう時は思ってても口に出しちゃダメ!機嫌悪くなる人多いから!」

華「はあ……わかりました」

千代「………………大丈夫よ。私は機嫌悪くならない方の人ですから」ウフフ..

沙織「わわっ、ごめんなさい!」

沙織(……そう言って笑顔見せてるけど、本心では笑ってない方の人だよ……)

千代「…続けます。今はロサ・カリーナさんが支持された理由を粒立てて話しましたが、相手のナオミさん、アンチョビさんも決して劣るものではありません。内容のあるアンサーに加え、堅実なライミングと、完成度の高いチームですからね」

千代「今回勝敗を分けたのは、ロサ・カリーナさんの『でもコンビ組めただけで 気持ちがいいなんて満足しちゃってる 私は短足だけど このコンビで優勝までの道を進むするつもりだ!』というバイブスの籠もったラインと、『ライム戦隊の移動は戦車 拙者が運転者! 戦車道でも運転者! 弾 避けながら突き進んでんだ!』これね」

しほ「『その戦車 拙者が運転者』は、晋平太さんの有名なラインだったか」

千代「ええ。それをサンプリングし、しかもロサ・カリーナさんは戦車道で実際に運転手をしている。その上で『突き進んでんだ』と、戦車道で戦ってきた熱いバイブスにライミングが足された、このバトルで一番印象に残ったパンチラインだわ」

千代「審査員の判定が3対2なのは……どこを重視するかの問題ね。ツインテールショートヘアも、カルパッチョさんのライミングと、『優勝までの道を進むつもりだ』というロサ・カリーナさんの言葉に対して、『韻と言葉ぎゅうぎゅうで 詰め込みすぎてる 高望みがえげつないな 上を見過ぎてる』という、相手のテンポと発言を一瞬で読み取った、即興性の高いかなりのパンチラインを決めていますから」

しほ「なるほどな。バイブスを評価するか、アンサーがそのバイブスを上回ったと判断するか……審査員次第というわけか」

千代「ええ。それを言ったら毎回そうなのだけれど」フフ

ワァァァァ!!

沙織「あ!会長が出てきた!」

優花里「次の試合が始まるんですねぇ!是非勝ってほしいですぅ!」

千代「愛里寿……っ!カメラを……」ササッ!



【トーナメント】
                   ――――
                         │―――
                   .――――     │
                              ..│―――
継続                ――――     .│    │
                         │―――     ..│
                   ――――          ...│
                                    │────
                   ..――――           │       |
                         │―――     .│      |
                   ..――――     .│    ..│      .|
                              .│―――       .|
                   .――――     │           ...|
                         │―――             ...|
MIH×O×RENGE       .――――                  ...|
                                           ..|────!!優勝!!
ライム戦隊カリレンジャー     .――――                 ...│
                         │―――            .│
                   .――――     │           .│
                              ..│―――      ...│
                   .――――     ..│    │     ...│

                         │―――      .|      .│
                 ..――――          .│      ...|
                                    │――――

                   ――――          ..│
                         │―――     │
干し芋ティータイム        ――――     │     |
                              .│───
ボコファイターズ         ..――――     │
                        │―――
                  ..――――     




【ステージ】

役人「それでは試合を始めます!」

杏「………………」

ダージリン「………………」

愛里寿「………………」

アズミ「………………」

杏(島田愛里寿……年齢とか関係なしにかなりのテクを持ってるよねー。どう攻めようか色々考えたけど……うーむ)

ダージリン「険しい顔になっていてよ?」

杏「え?あー……そだね。ありがと」

杏(ちょい思いつめすぎてたかな?もっとリラックスしないと)フゥ

役人「先攻後攻のじゃんけんをお願いします!」

杏「………………」

杏(普通なら後攻とるんだけど…………)チラ

愛里寿「………………」

杏(かなりのスキルを持ってる島田愛里寿相手に正攻法でぶつかるのは得策じゃないかな……だったら流れを作るために……)

ジャンケンポン

杏「先攻で」

杏(こっちのペースに持っていく)

役人「OK!先攻、干し芋ティータイム!後攻、ボコファイターズ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ」キュラッ!


http://www.youtube.com/watch?v=QdNioVrQGEc

♪知らざあ言って聞かせやSHOW / TOKONA-X

<2回戦 第4試合 先攻 [干し芋ティータイム]アンジー、ダージリン VS 後攻 [ボコファイターズ]愛里寿、アズミ>

杏「あれあれ? なんだか 匂いませんか?」

杏「年増の厚化粧に酔いませんか?」ワァァァ!

ダージリン「参加者というよりは 引率者」

ダージリン「深まるのかしら 親睦は」ワァァ!

杏「友達いないヤツが 年下に威張るタイプでしょ?」ワァ!

ダージリン「自分の価値を 勝手にハイグレード」ワァァ!

杏「やる気あるなら 受けて立ちましょう」

杏「♪幕をば切って落としやSHOW!」ワァァァ!



愛里寿「♪やる気あるからいるのでSHOW?」

愛里寿「♪いいですね? 蹴とばす 潰すフェイク共」ワァァ!

愛里寿「♪地獄へのワンダーランド If You Want?」ワァァァ!

愛里寿「♪本気 つまり持ってんだ意志!」ワァァァァ!

愛里寿「かさぶた剥がれたとこ撫で、つつ」

愛里寿「スキル底上げする まるでTOKONAーX」ワァァァァ!

愛里寿「干し芋ティータイム どっか行ってよ」

愛里寿「聴きたくなってきた 『トウカイテイオー』」ワァァァァ!! ※トウカイテイオー(正しくは『トウカイ×テイオー』)・・・TOKONAーXのアルバム



杏「確かに優先席は 譲らないとね」

杏「アズミさんどうぞ 座りますよね?」ワァァ!

杏「スキルと同時に 年齢も底上げ」

杏「甲子園 出る大学生みたい 迷惑どころじゃねー!」ワァァァァ!

ダージリン「ゴスロリで TOKONAーXを聴く」

ダージリン「その背伸び加減に よってロリさ減」ワァァ!

ダージリン「行く気ないわ 地獄のワンダーランド」

ダージリン「それより試合観に行く サンダーランド」ワァァァ! ※サンダーランド・・・イングランドプロサッカーリーグ(プレミアリーグ)のサッカーチーム


アズミ「大人っぽいを 年増と呼ぶ」

アズミ「メイク技術を 厚化粧と言う」

アズミ「素直に褒めるのが 照れくさいの?」

アズミ「大人の余裕で 見せてく才能」ワァァ!

アズミ「対象年齢を下げてる アンジー」ワァァ!

アズミ「見た目も中身も 子供な感じ」ワァァ!

アズミ「子供っぽいから ガキと呼ぼう」ワァ!

アズミ「すっぴん自慢は 恥と思う」ワァァ!



杏「自慢してないよ? それ 被害妄想」ワァァ!

杏「子供っぽいは 見た目が 若い証拠」ワァァァ!

ダージリン「結局全ては 妬みと ひがみ」

ダージリン「イマイチ 味が出ず ただの苦味」ワァァ!

杏「そんなあんたが過ごす キャンパスライフ」

杏「値打ちあるのかな? ハンマープライス」ワァァァ!

ダージリン「1円スタートで 落札者無し」

ダージリン「親が聞いたならば 泣く話」ワァァ!



愛里寿「集中砲火を 悠々突破」ワァァ!

愛里寿「ワックMC 丸飲み 吸収消化」ワァァァ!

愛里寿「1人狙いのマンマークタイプ? でも」

愛里寿「マーク無理 小さいアンジー ハンバーグサイズ」ワァァァ!

愛里寿「ハンマープライス とか ネタ古すぎる」

愛里寿「チーム名の 元ネタ『けいおん』も古すぎる」

愛里寿「バンドとラップで違うでしょ ジャンルが」

愛里寿「でも雰囲気は よく出てるよ 杏にゃん」ワァァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!!」

ワァァァァァ!

杏(アズミさんへの集中攻撃とアンサーはいい感じに出来たと思うけど……さてどうなるか……)


役人「それでは判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、干し芋ティータイムが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「……後攻、ボコファイターズが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!!

役人「まずはボコファイターズが1ポイント先取です。では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『ボコファイターズ』」

理事長「『ボコファイターズ』」

香音「『干し芋ティータイム』」

新三郎「『ボコファイターズ』」

浅井「『ボコファイターズ』」

役人「勝者!ボコファイターズ~~~~!!!!」ワァァァァ!!

ダージリン「…………」

杏(……ダメだったか……)

愛里寿「……あの、握手……」

杏「あ、うん」ガシッ

ダージリン「……準決勝、頑張ってくださいな」ガシッ

愛里寿「…………はい」コクリ

アズミ「…………」スッ

杏「う」

杏(戦略とはいえ、厚化粧とか年増とか色々言っちゃったから気まずい……一言謝っといた方がいいのかな?)

ダージリン「………………」スッ

杏(な……危険な気配を察知してさりげなく私の後ろに隠れた!?きったね!身長差あるから全然隠れられてないけど。なのにすっげーすました顔してる!)

アズミ「言っておくけど」

杏「は、はい」

アズミ「大学に行ったら私以上に化粧が濃い人間なんてゴロゴロいるわよ?」

杏「そ、そうなんすか……」

アズミ「ええ。言いたいことはただそれだけ」スッ

杏「あ、ども……お疲れ様でした……」ガシッ

ダージリン「健闘を祈っていますわ」ガシッ

アズミ「ありがとう」

杏(もう怒られないであろう雰囲気と見て、堂々と胸張って握手した…………ホントこの人は…………面白い人だなぁ)クス



【トーナメント】
                   ――――
                         │―――
                   .――――     │
                              ..│―――
継続                ――――     .│    │
                         │―――     ..│
                   ――――          ...│
                                    │────
                   ..――――           │       |
                         │―――     .│      |
                   ..――――     .│    ..│      .|
                              .│―――       .|
                   .――――     │           ...|
                         │―――             ...|
MIH×O×RENGE       .――――                  ...|
                                           ..|────!!優勝!!
ライム戦隊カリレンジャー     .――――                 ...│
                         │―――            .│
                   .――――     │           .│
                              ..│―――      ...│
                   .――――     ..│    │     ...│

                         │―――      .|      .│
                   ..――――          .│      ...|
                                    │――――

                   ――――          ..│
                         │―――     │
                 ――――     │     |
                             .│───
ボコファイターズ         ..――――     │
                        │―――
                  ..――――     




【2階席】

華「今の試合はなんというか…………ハンバーグが食べたくなる勝負でしたね」

沙織「ハンバーグって単語が出てきたからってだけでしょそれ!」

華「ええ」ニッコリ

沙織「素直!」

しほ「……干し芋ティータイムはそれほど悪くないと私は思ったんだが、審査員の判定は4対1と差が付いたな」

千代「そうね。アンサーも返せていた。1バース目の愛里寿の『干し芋ティータイム どっか行ってよ』に対して『確かに優先席では譲らないとね アズミさんどうぞ 座りますよね?』というパンチラインはディスとユニークさを含んでいて良かったわ」

千代「ただ、先攻の1バース目の最後で『幕をば切って落としやSHOW』と、原曲の替え歌で締めたアンジーに対し、愛里寿は最初の4小節を原曲にかなり近くラップしつつ、しかも原曲の歌詞に沿うようにライミングをした」

沙織「どんな歌詞なんですか?」

千代「……それは……」

しほ「私も知らないな。教えてくれ。出なければどうライミングしたのかわからん」

千代「わ、わかったわ。では最初に愛里寿、次に歌詞という風に説明しましょう。少々過激な歌詞なのですが…………こほん」

千代「最初の『やる気あるからいるのでSHOW?』は『知らざあ言って聞かせやSHOW』。『いいですね? 蹴とばす 潰すフェイク共』とした箇所は『TX 蹴とばす てめえのケツの方』。『地獄へのワンダーランド』は『磨きたてティンバーランド』。『本気 つまり持ってんだ意志』という箇所は………///」

しほ「?」

千代「…………『便所の座り小便か BITCH』の部分をライミングしているわ///」カァァァ...

しほ「な、なるほど……まさかちよきちの口からそんな言葉を聞くとは……人生も捨てたものではないな//」

千代「うぅ……///」

沙織「でもビートを聴いてすぐにそんなラップが出来るのってすごいですよね。ワンダーランドってのも、アリス・イン・ワンダーランドにかかってるっぽいし」

千代「え、ええ。でも愛里寿だけでなく、アズミさんも攻撃をいなしつつもアンサーしていて安定感があったわ。干し芋ティータイムの2人はそのあとのアンサーも良かった」

千代「でも愛里寿の3バース目、『ハンマープライス』を『マンマークタイプ』、『ハンバーグサイズ』と相手のワードで長いライミングを決め、さらに干し芋ティータイムの元ネタである『けいおん』のキャラの中野梓……ツインテールの小柄な子ね。この子の愛称である『あずにゃん』に絡めて、髪型が似ているから真似ているのかと揶揄するように『杏にゃん』とライミングしつつ締めたのは効果的だったわ」

優花里「勉強になりますぅ」

しほ「それにしても……途中で出てきた『ハンマープライスとかネタ古すぎる』とあるが、落札価格という意味ではなく昔に放送していたテレビ番組での意味で使っているな。古すぎてお客さんもピンと来ていなかったが……あの年齢でよく知っていたものだ」

千代「………………」

しほ「……もしかしてちよきち、『お母さんが愛里寿のわがまま聞いてあげる権、1000円でハンマープライス!』のような会話を家で……」

千代「し、しているわけがないでしょう……///」

しほ「…………」

千代「こんな……屋内でも手袋してるような上品な私が…///」

しほ「屋内では外せ。大体手袋と会話内容になんの関連性があるんだ」ハァ


梓「それにしても……あの会長が負けちゃうなんて……」

あゆみ「チームワークも良かったのに……」

紗希「……………………」

あや「紗希?」

紗希「……………………」

華「『ハンバーグが食べたい』、ですね?」

あや「違います!」

紗希「………………残った」

華「残った……?あぁ、残り物のひき肉でハンバーグを…」

沙織「今夜作ってあげるからこっちで静かにしてよう?」

華「あら!さすが沙織さん、優しいです」ニッコリ

沙織「べ、別に普通だよ……//」

あや「で、残ったってどういう………………あ!」

あゆみ「わかったの!?」

あや「うん!あのね…」

優季「会長が負けちゃったのは残念だけど、隊長と桂利奈ちゃんは準決勝に勝ち残ってるってことだよね~♪」

あや「あー!私が言いたかったのにー!」

紗希「…………………………怒った」

優季「ねー?あやちゃん怒りっぽ~い♪」

あゆみ「紗希が『残った』と『怒った』で韻を踏んだ!?もしかして紗希もラップをやりたいのか!?」

紗希「……………………」フルフル

あゆみ「違った……」

梓「そりゃそうでしょ」

あゆみ「でも桂利奈すごいなぁ。もしかしたら西住隊長と決勝を戦うなんてこともあるかもしれない」

優季「すご~い♪」

千代「愛里寿に勝てたらね」ヌッ!

あゆみ「ひッ!?す、すみません!」

しほ「………………」

しほ(準決勝の第1試合は継続とみほたちか…………まほカチュを破った相手にどう立ち向かう?)


【舞台袖】

オレンジペコ「準決勝ですね。相手は……」

みほ「お姉ちゃんとカチューシャさんを倒した継続…」ギリ..

オレンジペコ「……みほさん?」

みほ「私、絶対勝ちたいです。勝負事だからこういうことが起こり得るのはわかっていたつもりですけど……それでもお姉ちゃんと戦えると思っていたし、すっごく楽しみだったんです」

みほ「だから……この今の感情を徹底的に吐き出したい…」

オレンジペコ「?」

みほ「次の試合、私がどんどん前に出ていいですか?」

オレンジペコ「!」

みほ「…………」

オレンジペコ「……わかりました。私がサポートします。みほさんのその気合い、相手に思いっきりぶつけちゃいましょう」ニッコリ

みほ「ありがとうございます」ギラギラ


【ステージ】

役人「大会が始まってから数々の激闘が繰り広げられましたが……ここからは準決勝!残ったチームは4つです!」ワァァァァ!

役人「さあ……そんな準決勝 第1試合のカードは……」

ミカ「」ザッ

ミッコ「」ザッ

ワァァァァ!

役人「継続 対……」

みほ「」ザッ

オレンジペコ「」ザッ

役人「MIH×O×RENGE!」

ワァァァァァ!

みほ「…………」キッ

ミカ「!……ふっ」

ミカ(姉を倒した相手だからだろうけど、そこまで睨まれるとはね。姉が関わると、こうまで気合いが入るのか)

ミカ(でも、そうでなくてはつまらない。全力で来る相手を倒すことに意義があるのだから)クス

役人「それでは先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

みほ「!先攻で」

役人「OK!先攻、MIH×O×RENGE!後攻、継続!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュリッ!


http://www.youtube.com/watch?v=7tpq-6IKSB4 2:19

<準決勝 第1試合 先攻 [MIH×O×RENGE]MIHO、オレンジペコ VS 後攻 [継続]ミカ、ミッコ>

みほ「ミステリアス 気取りの 中二病患者」

みほ「似合うのは マイクより 銃にボウガン、矢」ワァァァ!

みほ「強引で必死に キャラ作りにいく」

みほ「いっそ顔変えれば? 高須クリニック!」ワァァァァ!

オレンジペコ「トレードマーク いつも被ってる帽子」

オレンジペコ「蒸れてハゲ進みますよ とめどなく」ワァァ!

みほ「今日は MIH×O×RENGEが カチコム回!」 ※カチコム・・・カチコミ。殴り込みや襲撃など

みほ「キャラ付け うざい ニセ ジャミロクワイ!」ワァァァァ!



ミカ「過激なメッセージ 本質と隔離」

ミカ「勝利目当てのみ 本日のカラクリ」ワァァ!

ミカ「キャラ作り? キミに返す そのままね」ワァァ!

ミカ「ラッパーは光 言葉は影」ワァアッァァァ!

ミッコ「ミカが持つのは マイクかカンテレ」

ミッコ「ボウガンくれるならもらうけど なんてね」ワァァ

ミッコ「ていうか 大して知らねぇくせに」

ミッコ「中二病とか 決め付けんじゃねぇよ!」ワァァ!



みほ「残念 ボウガンは 贈れない」

みほ「でも 矢をその胸に撃ち シャツを紅」ワァァ!

みほ「に染める あんたは重病患者」

みほ「それか死亡 許さない 優勝なんか!」ワァァァ!

オレンジペコ「ミカさんは MIHOの熱いバイブスに」

オレンジペコ「『キャラ作り』とか言っちゃうキャラかぁ」ワァ!

みほ「サンプリングは ILL-BOSSTINO(イルボスティーノ)」

みほ「ほらキャラ作ってるよ! 自分の 実力以上!」ワァァァァ!


ミカ「まるで肉食系 すぐキスの次を」ワァァ!

ミカ「あるいは 血を求めるモスキート」ワァァァ!

ミカ「もう好き放題 やればいいだけの話」

ミッコ「いちゃもんも 別に野放し」ワァァ

ミッコ「色んな面があるのが 人間じゃねぇの!?」

ミッコ「キャラがどうとかに こだわってんじゃねぇよ!」ワァァァ!

ミカ「不毛な論争 まるでメジャーとアンダーグラウンド」

ミカ「2つはある意味 アナグラム」ワァァァ!



みほ「あっそう だったら聴いとけ アンダーグラフ」ワァァァ!

みほ「それかブラフマン?アイスマン?アシッドマンにしようか?」

みほ「マンが好きなら マンウィズアミッションか?」ワァッァア!

みほ「論争の回避法 が見つかりそうか?」ワァァァァ!

オレンジペコ「ミカさん こうして見ると案外 普通だ」

オレンジペコ「トゥータの合図前に ここで淘汰」ワァァ!

みほ「帽子だけじゃなく かぶってる 化けの皮」

みほ「剥いで焼野原みたいになる末路!」ワアァァァァ!!




ミカ「焼野原より なるなら壁の花」ワァァ!

ミカ「幽霊の正体見たり枯れ尾花」ワァァ!

ミカ「サンプリングしたのは 敗者の言霊」

ミカ「それを 姉妹愛などと思わない」ワァァァ!

ミッコ「姉の真似しても 負けは負け」ワァァ!

ミッコ「自分以外に頼るとか ダメなだけ!」ワァァァ!

ミカ「一度も口に出してない マンが好き」

ミカ「それはMIHOの後輩の方 漫画好き」ワァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!


役人「えー………審査員のみなさんは少し迷っているようですが………あ、決まったようです」

役人「では判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、MIH×O×RENGEが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!!

みほ「…………」

役人「……後攻、継続が勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

ミッコ「!」

ミカ「…………」

役人「まずはMIH×O×RENGEが1ポイント先取です。では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『継続』」

理事長「『MIH×O×RENGE』」

香音「『MIH×O×RENGE』」

新三郎「『MIH×O×RENGE』」

浅井「『継続』」

役人「勝者!MIH×O×RENGE~~~~!!!!」ワァァァァ!!

みほ「勝った……!」

オレンジペコ「みほさん!」ワァ!

ミカ「………………」

ミッコ「マジかよ!せめて延長ぐらい…」

ミカ「ミッコ。判定が全てさ。仕方がない」

ミッコ「そりゃそうだけど……くっ……」


みほ「………………」

みほ(1回で勝ち切るつもりで挑んだけど、実際は延長になるかもしれないって思うくらい僅差だった。やっぱりこの人たち、強い)

オレンジペコ「あの……ありがとうございました」スッ

ミカ「こちらこそ。いい経験になったよ」ガシッ

ミッコ「すっげぇ悔しいけど……しょうがない。こうなったらあんたらに優勝してもらうしかないな」ガシッ

オレンジペコ「そのつもりです」

ミッコ「!……そっか。へへ……いい根性してるじゃん」

ミカ「…………」

みほ「あ、えと……ありがとうございました」ペコリ

ミカ「ふふっ」

みほ(笑われた!?なんで!?)

ミカ「あぁ、すまない。さっきまでのキミとはまるで別人なものだから。バトル中は眼光鋭く気迫に満ちていたが、勝敗が決した途端、風船がしぼむように大人しくなったのが興味深くてね。言い過ぎたと気にしてるのかい?」

みほ「あ……えと……はい」

ミカ「気にする必要はないさ。ただ、キミがそういう風に考える人間だと知れたのは収穫かな。やはりキミは面白い逸材だ」クス

みほ(褒められてる……のかなぁ?)

ミカ「……そろそろ敗者は去るとしようか。ミッコ」

ミッコ「いや、敗者はっていうか、どっちのチームもステージから去らないと次の試合出来ないんだけど」

ミカ「………知っている。でも今みたいな言い方をした以上、決め台詞なのだと判断して突っ込まずにおいてくれないか?」

ミッコ「またミカのカッコつけか……やだやだ」ハァ..

ミカ「……世間だけでなく、身内からの風当りも強くて参るね」フフ..



【トーナメント】
                   ――――
                         │―――
                   .――――     │
                              ..│―――
                    ――――     .│    │
                         │―――     ..│
                   ――――          ...│
                                    │────
                   ..――――           │       |
                         │―――     .│      |
                   ..――――     .│    ..│      .|
                              .│―――       .|
                   .――――     │           ...|
                         │―――             ...|
MIH×O×RENGE       .――――                  ...|
                                           ..|────!!優勝!!
ライム戦隊カリレンジャー     .――――                 ...│
                         │―――            .│
                   .――――     │           .│
                              ..│―――      ...│
                   .――――     ..│    │     ...│

                         │―――      .|      .│
                   ..――――          .│      ...|
                                    │――――

                   ――――          ..│
                         │―――     │
                   ――――     │     |
                             .│───
ボコファイターズ         ..――――     │
                        │―――
                  ..――――     




【2階席】

優花里「ヒヤッホォォォウ!最高だぜぇぇぇぇ!!」

沙織「やったね!みぽりんたちが勝ったよ!」

華「さすがみほさん!これはもう………………あれですね!」

優花里「はい!あれですぅ!」

沙織「会話になってないよもー!でもおめでたいからいっか!」

しほ「…………延長になるかと思ったが」

千代「私が審査員だったとしたらかなり悩むでしょうね…………甲乙つけがたい試合と言えるわ」

しほ「ポイントはどこだ?」

千代「まずMIHOさんが出だしからバイブス全開でした。『キャラ作りにいく』、『高須クリニック』はフロウでねじ伏せる形のライミングだけれど、発想がユニークで、ミカさんの言動などのキャラクターに対して攻めた効果的なディスだったわ」

千代「ミカさんはそのアンサーとして、『ラッパーは光 言葉は影』とブルーハーブをサンプリングし、『そっちこそいつもと違うキャラクターで、普段言わない言葉を吐いている。言葉は影のように決して離れない、だから責任を持って言え』というような意味を込めた」

しほ「普段と違う、というのはステージに立てばほとんどの人間がそうと言えるがな」

千代「そう……その部分がこの試合のキモね。MIH×O×RENGEは2バース目も同じテーマで攻撃をした。この一連のディスはそれほどのダメージを生んではいないわ。ただMIHOさんの確実な脚韻とバイブスでお客さんを盛り上げるという効果は得られたけれどね」

千代「アンサーで言うなら、相手の『ILL-BOSSTINO(イルボスティーノ)』を拾い、ミカさんが『キスの次を』、『求めるモスキート』と、ライミングを決めたポイントの方が高いわね。言葉的には『(求)めるモスキート』は踏み外していて、フロウで踏んでいるように聴かせているのだけれど、その聴かせ方が非常に優れているわ」

しほ「そのバースのラストでも『アンダーグラウンド』と『アナグラフ』を韻踏んでいるように心地よく聴かせてきたな」

千代「ええ。その心地よさを生むフロウがミカさんの最大の武器ね。でもMIHOさんは、メジャーとアンダーグラウンドはある意味アナグラムだと言うミカさんの言葉を受け、『あっそう』と突き放した上で『だったら聴いとけアンダーグラフ』と『アンダーグラウンド』をライミングし、さらにバンド名を複数上げた。これはミカさんの言葉に対し、言外に『どうでもいい』という感情を含んでいるのがわかるようなラインで、少し投げやりな言い方が印象的だったわね」

千代「さらにそこから『マンが好きなら マンウィズアミッションか?』と続く。しかもミカさんの真似をするように『マンウィズアミッションか?』と『が見つかりそうか?』をフロウでねじ伏せるようなライミングを見せた」

千代「そして最後に『帽子だけじゃなく かぶってる 化けの皮 剥いで焼野原みたいになる末路』という部分があるけれど、これは2回戦で継続に敗れた、姉であるまほさんが前回大会で使ったライン。それを妹であるMIHOさんがサンプリングする。まさに『やり返す』という言葉がピッタリな、これ以上無い反撃となったわ」


しほ「だがそれも継続は上手く返した。『焼野原』を『壁の花』、『枯れ尾花』で踏んでいたわよね?」

千代「ええ。さらに枯れ尾花のラインは、次に来る『敗者の言霊』……ようするに、幽霊の正体は負けて去ったまほさんだとし、みほさんのサンプリングは『姉妹愛などと思わない』と切り捨て、かつフロウでねじ伏せるライミングを見せたわ」

しほ「ふむ」

千代「……という具合に2人のやりとりは高レベルなのだけれど、オレンジペコさんとミッコさんもまた要所要所でパンチラインを決めているわ。だからこそ判定が難しい試合ね…」

しほ「みほたちの勝利という結果となったが、それも紙一重の差だったというわけか」

千代「そうね。延長戦に入ったらどうなるか、個人的に気になる試合だったわね。そして気になると言えば…」

しほ「?なんだ」

千代「次はボコファイターズの試合ね。カメラを用意しないと」カチャカチャ

しほ「……親バカだな、相変わらず」

千代「そういうあなたも観に来ているじゃない。しかも前回参加すると教えなかった娘さんたちに対して文句を言ったそうね」

しほ「それは違う。私に教えたら参加しないように言いつけられると考えていたことに怒っただけよ。プライドの問題ね。仮に参加すると知っていても別に『ふーん』という感じで家でテレビや雑誌を見ていたことでしょう。プライド的に」

千代「……どうしても認めたくないのね。もういいわよ」ハァ

しほ「待てちよきち。そう呆れられる筋合いはない。私は親バカでは…」

千代「じゃあ子煩悩ね」

しほ「……うむ。それならいいわ」

千代「え、いいの?親バカと同じ意味だけれど」

しほ「バカと言われるのが嫌なだけよ」

千代(その言い分がおバカっぽいけれど……まぁいいわ。これ以上長くなると面倒だし)フゥ

沙織「…………」

沙織(この2人、仲いいなぁ。他の人が入り込めない2人だけの世界を作ってる感じがする)


【ステージ】

役人「それでは準決勝 第2試合を行います!この試合に勝った方が決勝に進出し、MIH×O×RENGEと戦います」

ワァァァァ!

桂利奈(ここまで勝ってこれるとは思わなかったよー……カルパッチョさんの力が大きいけど)

桂利奈(……どうせなら西住先輩と優勝争いしたい!頑張るぞー!)グッ

愛里寿「………………」

アズミ「隊長……」

愛里寿「大丈夫。勝つのは私たち」

アズミ「……はい!」

役人「では先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン!

カルパッチョ「!……後攻お願いします」

カルパッチョ(ボコファイターズは強敵……少しでも勝率を上げたかったからじゃんけん勝ててよかった)フゥ

役人「OK!ではDJルミ、ビートを聴かせてください」

ルミ「…………」キュ

♪~

桂利奈「!」

愛里寿「…………」

桂利奈「これって……エヴァのOP!?こんなビートあるの?」

カルパッチョ「テンポが早いですね」フム

アズミ「ロサ・カリーナ向きのビートでしょうか……いえ、別にビートと内容は一致せずともいいのですが」

愛里寿「……アニメ版は観たことある。ネタで攻められても問題ない」

アズミ「さすが隊長……!」

役人「……それではいきます!先攻、ボコファイターズ!後攻、ライム戦隊カリレンジャー!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュキュッ!


http://www.youtube.com/watch?v=iDEXDFzNcYw 2:00

♪残酷な天使のテーゼ

<準決勝 第2試合 先攻 [ボコファイターズ]愛里寿、アズミ VS 後攻 [ライム戦隊カリレンジャー]ロサ・カリーナ、カルパッチョ>

愛里寿「ロサ・カリーナ 薔薇様もどき」

愛里寿「威厳も体型も 意見も最低」ワァァ!

愛里寿「どっちかと言えば姉は カルパッチョ」

愛里寿「お前 煩悩 108個」ワァァァ!

愛里寿「ちっぽけなプライドか 何かが邪魔してる」

愛里寿「下手なこと言うな マリア様がみてる」ワァァァ!

愛里寿「今がピークだ 今後全盛期」

愛里寿「来ない 謝れ 今野先生に」ワァァァ!



桂利奈「何度ディスられても 立ち上がるきっと」

桂利奈「私は まるで幕之内一歩!」ワァァ!

カルパッチョ「獲得しに行こう 優勝のトロフィー」ワァァ!

カルパッチョ「努力と友情と勝利」ワァアァ!

桂利奈「人の体型のこと 言えない愛里寿」

桂利奈「気付いてないの? ガッカリする!」ワァァ!

カルパッチョ「だから狩りする 頭が理屈」

カルパッチョ「越えたがりすぐ ビート乗ったリズム」ワァァァ!



アズミ「努力、友情、勝利はジャンプ」

アズミ「マガジンがない 空砲ですか?」ワァァ ※マガジン……弾倉

アズミ「世界観 ごちゃ混ぜ チャンプルー」ワァァ!

アズミ「ちゃんとご飯 食う方ですか?」ワァァァ!

アズミ「脳に栄養 足りてないんじゃない?」

アズミ「危険信号の サインじゃない?」

アズミ「体型などより カリスマ性」

アズミ「負けて今夜部屋で 泣き疲れ!」ワァァ!


桂利奈「泣き疲れ する タイプじゃねぇ!」ワァァ!

桂利奈「マイクだけ 握って掻い潜る!」

カルパッチョ「はじめの一歩は 少年マガジン」

カルパッチョ「空砲は空想 有象無象 重症」ワァァァ!

桂利奈「投げつける ロンギヌスの槍」

桂利奈「準決勝 本気出すよマジ!」ワァァァ!

カルパッチョ「フロウ、ライムで生む感激を」

カルパッチョ「ビート上叫ぶ エヴァンゲリオン」ワァァァ!



愛里寿「切断する アンビリカルケーブル」

愛里寿「バトル中 短気になる生物」ワァァァ!!

愛里寿「あんたが 一歩幕之内?」

愛里寿「なら私は華麗に ビートアプローチ」ワァァァァ!!

愛里寿「そっち見かけだけ こっち進化したね」ワァァ!

愛里寿「そんな私らに勝ちたいんだったら」

愛里寿「♪猛然と」

愛里寿「♪韻吐き出せ!」ワァァァァ!!



カルパッチョ「急に歌い出す 大多数が無いはず」ワァァ!

カルパッチョ「挨拶 のようにライム開発」ワァァァ!

桂利奈「だから私らの勝利が確定」

桂利奈「あんたらのラップじゃ 魂揺すぶらん」ワア!

カルパッチョ「悲しい 話 我が身 可愛い」ワァァァ!

カルパッチョ「魂 が無し 探し なさい」ワァァァ!

桂利奈「愛里寿 いかに言動が 微妙か」

桂利奈「手を組み黙る 碇ゲンドウ!」ワァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!!」

ワァァァァ!

桂利奈(手応えはあった……と思うけど……)ドキドキ

愛里寿「…………」


役人「では判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、ボコファイターズが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

役人「……後攻、ライム戦隊カリレンジャーが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!

役人「まずはライム戦隊カリレンジャーが1ポイント先取です」

桂利奈(やった!)グッ

愛里寿「っ……」

役人「次は審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『ボコファイターズ』」

理事長「『ライム戦隊カリレンジャー』」

香音「『ボコファイターズ』」

新三郎「『ボコファイターズ』」

浅井「『ライム戦隊カリレンジャー』」

ワァァァァ!

役人「3対2でボコファイターズ!延長戦です!」

ワァァァァ!!

桂利奈(うぅ……勝ったと思ったのに……)


【2階席】

千代「はぁぁぁー……」

しほ「緊張しすぎだ。もう少し冷静になれ」

千代「え、ええ、そうね……」

しほ「今の試合はよくわからない単語が多かったが……試合内容と合わせて説明してくれないか?」

千代「え?これから延長が始まるのよ?」

しほ「だから手短に」

千代「……まず愛里寿はロサ・カリーナというMCネームに付いて言及。小説『マリア様がみてる』に登場する薔薇様と呼ばれるお姉さま方は『ロサ・キネンシス』など、頭に『ロサ』の付く愛称で呼ばれるの」

千代「それを真似たMCネームに対して攻撃したわけ。今野先生というのは作者のこと」

しほ「なるほど」

千代「あとは少年ジャンプのテーマである友情・努力・勝利を入れ替えてライミングしたり、それに対してアズミさんが『ジャンプ』、『空砲ですか?』、『チャンプルー』、『食う方ですか?』とライミングしているのだけれど、この『マガジンがない』、つまり銃に弾がないのと、ジャンプの話ばかり、という2つの意味なのでしょうけど、はじめの一歩は少年マガジンで連載されているので意味が通じなくなっている。知らずに口に出てしまったのか、言い間違えたのかはわからないけれど、カルパッチョさんに『はじめの一歩は少年マガジン 空砲は空想 有象無象 重症』と手痛いアンサーを受けてしまったわね」

しほ「それでも審査員の判定ではボコファイターズが勝ったが……?」

千代「両者ともビートの元ネタであるエヴァンゲリオンの要素を入れながら戦っているのだけど、それが相手への攻撃に直結していないと効果は薄いわ。『感激を』と『エヴァンゲリオン』で踏んでいるのは上手だけれど、相手にダメージは無いわ。もちろん、自分のスキルを見せつける効果はあるけれどね」

千代「それは愛里寿にも言える。『少年よ 神話になれ』を『猛然と 韻吐き出せ』とライミングしながら歌ったところも、上手いし面白い試みだけれど、韻に関してはカルパッチョさんがかなり踏んでいるのは誰でもわかるわ。だから韻を踏んでいる相手にはさほどダメージを与えることにならない。むしろそれを受けてさらにライミングを連発されてカウンターを受けた形ね」

しほ「ふむ……言われてみれば確かにな」

千代「でもこれも審査員の判定基準によって評価は変わるけれどね。スキルを見るかアンサーを見るか。ロサ・カリーナさんの『魂揺すぶらん』は劇場版エヴァンゲリオンのエンディング曲である『魂のルフラン』をかけたもので、しかも魂を揺さぶられない、と相手へのディスになっていて見事。それに締めも良かったわ。ライム戦隊カリレンジャーを挙げる審査員がいるのも全く疑問ではないわ」

しほ「ちよきちが審査員ならどちらに入れていた?」

千代「……ひいき目抜きでも……ボコファイターズかしらね。愛里寿がロサ・カリーナさんの『幕ノ内一歩』を拾い『あんたが 一歩幕之内? なら私は華麗に ビートアプローチ』は即興性も高くてかなり上手い。さらに『切断する アンビリカルケーブル バトル中 短気になる生物』のラインはエヴァンゲリオンの用語を使いつつ、自らを生物と表現し、そのあとに『こっち進化したね』というのは、リリン……つまり人類からさらに進化したというパンチラインになっているわ」

しほ「深読みの気もするが……だがそう思わせる余地のある言葉ということか」

千代「そうね」



【ステージ】

役人「それでは延長戦に入ります!先攻後攻じゃんけんをお願いします!」

ジャンケンポン

愛里寿「……先攻で」

役人「OK!では延長戦、先攻、ボコファイターズ!後攻、ライム戦隊カリレンジャー!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュルル


http://www.youtube.com/watch?v=Br_K7bkM588 2:15

<準決勝 第2試合 先攻 [ボコファイターズ]愛里寿、アズミ VS 後攻 [ライム戦隊カリレンジャー]ロサ・カリーナ、カルパッチョ 延長戦>

愛里寿「またも高速なビート ヒート」

愛里寿「人ひとりで 人々ヒット」ワァァァ!

愛里寿「BとGでBガール 瞳閉じ」ワァァ!

愛里寿「真の進歩 により 韻を仕込み」ワァァァァ!

愛里寿「ボコはボコられても 立ち上がる系」

愛里寿「幕之内一歩より マジやばくね?」ワァァ!

愛里寿「蒸し返すけど ロサ・カリーナ」

愛里寿「MCネーム トサカにきた」ワアァァ!!



桂利奈「まだ言ってるの? そりゃないなぁ!」

桂利奈「カンナネタですか 小林さぁん!」

カルパッチョ「ゴスロリ着て 粋がるBガール」ワァ!

カルパッチョ「ノリだけで発言 必死さ武器になる」ワァァ

桂利奈「トサカに来ちゃった ニワトリさん」

桂利奈「説教タイムですか? 今の時間」ワァァ!

カルパッチョ「立ち上がる系より 沸き上がる名声」ワァァ!

カルパッチョ「たぎる生命で ぶった切る形勢」ワァァ



アズミ「教えてほしい 形勢の切り方」

アズミ「韻を踏む以外での使い方」ワァァァ!

アズミ「見積もりを あてにするのが間違い」

アズミ「バトルは 計算を越えた 果し合い」ワァァァ!

アズミ「格好無関係 中身がBガール」

アズミ「固定観念 邪魔になります」ワァァ!

アズミ「口調や服装に騙されず気付け」

アズミ「ノリでの発言 慎めと締める」ワァァァ!


カルパッチョ「慎めつつ示す 逃げずに蹴る」

カルパッチョ「やたらと茶々 入れず見てる」ワアァ!

カルパッチョ「イレズミですか ってくらいに色濃く」

カルパッチョ「韻落とす 紐解(ひもと)く 勝ち残る」ワァァァ!

桂利奈「幕之内一歩なんて 殴られても倒れない」

桂利奈「ボコボコにされて 腫れて顔デカイ」ワァァ!

桂利奈「状態でも戦う ファイトスタイル」

桂利奈「うちらも 絶対 敗北しないっす!」ワァ!



愛里寿「と言いつつ2分後 ガイコツがいる」ワァァァ!

愛里寿「そんな話を 知り合いとスカイプ」ワァァァ!

愛里寿「倒れなくても 顔腫れてたら負け」

愛里寿「そんなザマじゃ バイトすら行く のも無理」ワァァァ!

愛里寿「韻を落としてから踏む 二度手間」

愛里寿「片手間で いなせる キミのデマ」ワァァァ!

愛里寿「負けない戦い方? 悟る手口」

愛里寿「私ら 勝ちに行く バトルMC」ワァァァ!



カルパッチョ「保つセクシー そして フレームイン」ワァァ!

カルパッチョ「ライムで気分を上に 運ぶテクニック」ワァァァ!

桂利奈「バイトしてたのは 短期間」

桂利奈「適当言ってるアンチさん」ワァァ!

カルパッチョ「何時間でも 賛否あっても戦う」ワァァ!

カルパッチョ「韻の固さ 高さ ヤバさを語らう」ワァァ!

桂利奈「総合力 ハンパない次元だ」

桂利奈「それが ライム戦隊カリレンジャー」ワァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァアァ!


役人「延長戦が終わりました!それでは判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、ボコファイターズが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!!

役人「……後攻、ライム戦隊カリレンジャーが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

役人「まずはボコファイターズが1ポイント先取です!」

桂利奈(うぅ……でもまだ審査員さんたちがこっちを選んでくれれば……)

役人「では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『ボコファイターズ』」

理事長「『ボコファイターズ』」

香音「『ボコファイターズ』」

新三郎「『ボコファイターズ』」

浅井「『ライム戦隊カリレンジャー』」

役人「勝者!ボコファイターズ~~~~!!!!」ワァァァァ!!

桂利奈「あうぅ……」ガクッ

カルパッチョ「……負けちゃいましたか……」

愛里寿「…………」ホッ


【2階席】

梓・優季・あゆみ・あや「ああ~………」

紗希「……………………」

梓「負けちゃったね……」

あや「うん……」

あゆみ「頑張ってたのにな……」

沙織「で、でもさ!準決勝まで勝ち上がったし、すごいと思うよ!」

華「ええ。初出場であそこまで堂々としているなんて素晴らしいと思います」

沙織「うんうん!だからみんなも落ち込まな…」

あゆみ「今夜はお疲れ様会をやろう!パーッと!」

優季「賛成~♪」

梓「うん。すっごく頑張ってたもんね。色んな料理を用意してみんなで食べよう」

紗希「………………」

あや「紗希も大賛成みたい!」

優花里「さすがウサギさんチーム……阪口殿も、これほど明るく迎えられたら、負けた悔しさや悲しみも和らぐでしょうねぇ」

沙織「そだね。一緒に悲しんでくれるのも嬉しかったりするけど、こういうのもいいよね」

華「……そのお疲れ様会にはハンバーグは出ますか?出るのなら少しお邪魔したいのですが……」

梓「大歓迎です」ニコ

華「ありがとうございます。わたくし、7個半ほど食べると思いますのでよろしくお願いします」ペコリ

あゆみ「な、7個半……!?」

あや「数よりも半分残されるのが気になる……」

しほ「……決着、か。判定は4対1だったな」

千代「そうね。延長に関しては、ボコファイターズの攻撃が的確なダメージを与えていた印象ね。愛里寿の3バース目がかなり良かったわね。相手の『ファイトスタイル』を拾い、『ガイコツがいる』、『(知り)合いとスカイプ』、『バイトすら行く』と連続で決めたライミングは高得点。ライム戦隊カリレンジャーはライミングは高いレベルで安定していたけれど、それが相手へのダメージになっていなかったのが敗因だわ」

しほ「ふむ」

千代「これまでの試合を観てもそうだけれど、ライム戦隊カリレンジャーはあまりディスをしない印象があるわね。ところどころでは入れているけれど、それ以上にライミングへの比重が非常に高い。そういうスタイルだからこそのチーム名なのでしょうけど」

しほ「それも強みではないのか?ディスだけではない戦い方というのも」

千代「ええ、もちろん。攻撃すればいいというわけではないわ。ただフリースタイル”バトル”である以上、攻撃せずに勝つのは難しいでしょうね」

千代「この点で言えばカルパッチョさんが顕著ね。相手の言葉を拾ってライミングするのは非常に上手い。でもそれが出来てしまうだけに、相手を攻撃するよりもどうライミングするかに囚われてしまう」

しほ「ふむ」

千代「それが彼女の長所であり短所でもあるわね。ただある程度ライミングを減らして攻撃に重みを置けばさらに強いMCになるでしょうね」

しほ「ロサ・カリーナはどうだ?」

千代「彼女もライミング上手ね。アニメや漫画ネタに強いけれど、延長に関して言えば、その知識が仇になっていたわ。愛里寿の『マジやばくね?』に即座に反応し、『カンナネタですか 小林さん』と上手く返しているけれど、小林さんちのメイドラゴンを知らないお客さんと審査員にとってはワケがわからなかったでしょうから…」

千代「ロサ・カリーナさんの場合、アニメなどのネタは武器になるけれど、それ以外でも充分に戦えるスキルを持っていると思うわ。だから時と場合によって使い分ける判断力を磨けば、さらに強くなれる」

しほ「いい声をしているしな……あ、そうだ。アニメと言えば」

千代「?」

しほ「ちよきちの娘はアニメが好きなのか?詳しそうだったが」

千代「……そういうわけではないと思うのだけれど…………あ、でも最近…」


【舞台袖】

アズミ「隊長があんなにアニメとか知ってるとは思いませんでした。マリア様がなんとかって言うのも私知らなくって。さすが隊長、博識ですね!」

愛里寿「……マリみては……」

アズミ「?はい」

愛里寿「この前みほさんの家に遊びに行った時、貸してくれて……小説とDVDを全部観て、面白かったから知ってた」

アズミ「そうなんですか」ヘェー

愛里寿「他にも『けいおん』とか『Candy boy』とか『ゆるゆり』とか『未確認で進行形』とか。あと『桜trick』もそうだし、色々貸してくれた」

アズミ「なるほどー」

アズミ(全然知らないのばっかりだわ。ジャンルすらわからない)

愛里寿「……とにかく、これでやっとみほさんと戦える」

アズミ「隊長……」

愛里寿「楽しみ……」ソワソワ

アズミ「くっ……!」

アズミ(西住みほのことになると隊長がいつもにも増して可愛くなる……!悔しい!でも……可愛い!)



【トーナメント】
                   ――――
                         │―――
                   .――――     │
                              ..│―――
                  ――――     .│    │
                         │―――     ..│
                   ――――          ...│
                                    │────
                   ..――――           │       |
                         │―――     .│      |
                   ..――――     .│    ..│      .|
                              .│―――       .|
                   .――――     │           ...|
                         │―――             ...|
MIH×O×RENGE       .――――                  ...|
                                           ..|────!!優勝!!
                   .――――                 ...│
                         │―――            .│
                   .――――     │           .│
                              ..│―――      ...│
                   .――――     ..│    │     ...│

                         │―――      .|      .│
                   ..――――          .│      ...|
                                    │――――

                   ――――          ..│
                         │―――     │
                   ――――     │     |
                             .│───
ボコファイターズ         ..――――     │
                        │―――
                  ..――――     





みほ「……阪口さん、惜しかった……」

オレンジペコ「はい。延長までもつれましたから……それにしても島田愛里寿さんもアズミさんもかなりの強敵ですね」

みほ「愛里寿さん主体で1ターンごとに交互っていうリズムは徹底してますよね」

オレンジペコ「アズミさんは大学生ですから、高校生中心の大会では一歩引こうということでしょうか。でも、順番が一定ということは対抗しやすくもありますね」

みほ「愛里寿さん、アズミさん、愛里寿さんって順番は決まってるけど……対抗しやすいですか?」

オレンジペコ「私的には愛里寿さんとは相性いい気がします。なので決勝では私と愛里寿さんがぶつかるような感じでお願いできますか?」

みほ「私たちも完全にターンごとに分けるってことですか?」

オレンジペコ「はい。その方式自体をアンサーとして戦いましょう。そっちと同じ戦い方した上で勝つ、という感じですね。愛里寿さんを攻めるのは私で、みほさんはアズミさんを攻撃するようにしましょう」

みほ「わかりました。私も愛里寿さんよりアズミさんの方がディスしやすいし…」

オレンジペコ「ではそういう作戦で。絶対優勝しましょう」

みほ「!………はい!」コクリ


【ステージ】

役人「……いよいよ…………いよいよ決勝戦です!」

ワァァァァァァァ!!!

役人「様々な強者が集う中、激戦に次ぐ激戦を勝ち進んできた両チーム……一体どちらが勝つのか……それがこの一戦で決まります!」

ワァァァァ!

役人「では登場してもらいましょう!まずはMIH×O×RENGE!!」

ワァァァァ!!!

オレンジペコ「…………」ザッ!

みほ「…………」ザッ..

役人「……そして……ボコファイターズ!」

ワァァァァ!!!

愛里寿「…………」ザッ!

アズミ「…………」ザッ!

オレンジペコ「………………」

オレンジペコ(声援は同じくらい。お客さんの支持にさほどの差はないようですね)ホッ

みほ(……愛里寿さん、ずっと私のこと見てる?)

愛里寿「みほさん」

みほ「?なぁに?」

愛里寿「ずっとこの時を待ってた」

みほ「え」

愛里寿「こないだの大会を見てから、みほさんと戦うことだけを考えて練習してきた。だから……戦えるっていうだけですごくワクワクしてる」

みほ「愛里寿さん……」

愛里寿「でも勝負は勝負。勝つつもりで戦う」

みほ「……うん、もちろん」

みほ(愛里寿さん、すごく純粋な気持ちで私と戦いたがってる……でも作戦だと私は愛里寿さんを相手せずにアズミさんを攻撃する手はず……)チラ

オレンジペコ「……気持ちはわかりますが、作戦通り行きましょう。優勝が第一ですから」ヒソヒソ

みほ「…………わかりました」

みほ(ごめんね、愛里寿さん)


役人「それでは早速決勝戦を始めたいと思います!みなさん準備はいいですか!?」

ワァァァァァァ!

役人「……出来ているようですね。では行きましょう。決勝戦も今までと同じ8小節3ターンです。両チーム、先攻後攻じゃんけんをお願いします」

みほ「」

愛里寿「」

みほ(出来れば後攻をとりたい)

ジャンケンポン!

みほ「!後攻でお願いします」

役人「OK!先攻、ボコファイターズ!後攻、MIH×O×RENGE!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュルルッ!


http://www.youtube.com/watch?v=qNhRjV5Kbq4 4:05

<決勝 先攻 [ボコファイターズ]愛里寿、アズミ VS 後攻 [MIH×O×RENGE]MIHO、オレンジペコ>

愛里寿「前回大会の優勝者 所詮偶像だ 撃破する 造作も無い」ワァァ!

愛里寿「当然容赦しない リスペクトはしてる けどなんか オーラも無い」ワァァァ!

愛里寿「会場中が気付いてる 風化してるよ MIHOの王者の風格」ワァァ!

愛里寿「私の嗅覚に無反応 無味乾燥 こんなもんなの重圧」ワァァァ!

愛里寿「初登場のルーキーがやる気 出しただけで制覇する」

愛里寿「発する気合い 理解せずとも感じさせる フロウテク、知性、ハッスル」ワァァ!

愛里寿「物笑い のタネになる 聖グロと 大洗女子」

愛里寿「決勝で負傷 大会後 すぐ着替える 今日は介護士」ワァァァ!



オレンジペコ「なんか意味不明なこと急に言い出した ネタみたいな詞だ」ワァァ!

オレンジペコ「オーラが無いんじゃなくて あなたの見る目が無いだけの話だ」ワァァァ!

オレンジペコ「ルーキーが勇気出して無理矢理な口ぶりでディスり」ワァァ!

オレンジペコ「ゴスロリ着て介護? 動きづらいでしょ 矛盾が特盛」ワァァァア!

オレンジペコ「決勝前の奇抜な感じが抜けてて 超オーソドックス」

オレンジペコ「でも聴きやすい ちょうどポップスって具合 得られないけどねプロップス」ワァッァ! ※プロップス・・・評価。同業者であるラッパーや身内、仲間などからの意味合いが強い

オレンジペコ「準決のエヴァもそうだし 人の歌を歌うのが好きそうですねぇ」

オレンジペコ「これからも頑張ってくださいよ せいぜい 目指せ May J.」ワァァァ!



アズミ「歌うようにフロウ出来ない 凡人が嫉妬」

アズミ「本人がきっと 一番わかってる 悲しい子」ワァァァ!

アズミ「MIHOを後ろに回して 出しゃばるオレンジペコ」

アズミ「本命より目立つ脇役とか マジ最悪 勘弁してよ」ワァァ!

アズミ「何べんも言わなくてもわかるよね? 最低限 空気読め」

アズミ「先生に書かれるかも 『周りの子と上手くやれてません』って 通知表へ」ワアァ!

アズミ「オレンジペコは脇役 居酒屋のお通し」ワァァァ!

アズミ「アンジーからユーモア削った劣化版 ただの模造品」ワァァァ!


みほ「模造品? こっちの人も見る目が無い 途方に暮れる」

みほ「もう喋れないよう 無理矢理ノドに お雑煮詰める」ワァァァ!

みほ「この人こそ脇役 1人だけじゃ3ターン分は 多分もたず」

みほ「言葉も軽い 年齢のわりに さあアラサーへの カウントダウン」ワァァァ!

みほ「あんたはラップより 外見が劣化 手入れ怠れば 大変な結果」ワァッァ!

みほ「胸も垂れる一方 焦る吉報 きっと来ない 叫ぶちくしょう」ワァァ!

みほ「発言が普通すぎる一般人 この人は 面白味が無い」ワァァァ!

みほ「ユーモアも無いと気付かない 鈍感力 ま、誇り持ちなさい」ワァァァァ!



愛里寿「試合前に言った 『MIHOさんと戦うために来た』って」

愛里寿「でもアズミ狙いで私無視って MCとして情けなくない!?」ワァァァァ!

愛里寿「MIHOは立ち位置的には チャンピオンのはず 現に勝者」

愛里寿「前回制覇したのに 全開では 戦わず 雰囲気は ベンチウォーマー」ワァァァ!

愛里寿「それじゃ MIHOの方こそ 面白味も無い ホント人情味も無い」ワァァ!

愛里寿「優勝目前 足元すくわれる まるで本能寺の二の舞」ワァァァァァ!!

愛里寿「愛を焦がす ほど願うよ MIHOのアンサーが欲しい 最後のバース」ワァァァ!

愛里寿「ここで立ちはだかる のをやめるなら 私がチャンピオンに 立場変わる!」ワァァァ!



オレンジペコ「そうは問屋が卸さない 勝負受けないこと 別に悪かない」

オレンジペコ「そっちに人のチームのバース分け 決める資格はない」ワァ!

オレンジペコ「やりたいからってだけで やれるなら苦労しないよね 男子諸君!」ワァァァ!

オレンジペコ「人に都合を 押し付けるな アピールして 媚び売ってるなぁ」ワァァ!

オレンジペコ「そっちこそ私は眼中無し? だとしたら気分は不愉快」

オレンジペコ「自分のやりたいことだけ言う 程度の低い学級会」ワァァァ!

オレンジペコ「愛里寿も大したことない 居酒屋のお通しの漬物」

オレンジペコ「本能寺より前に 勝負決まってるよ うつけ者」ワァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァァ!

愛里寿「っ……!」

みほ「………………」

みほ(確かにオレンジペコさんは愛里寿さんと相性が良さそう。作戦は成功だと思うけど、愛里寿さんの寂しそうな顔……)


役人「では判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、ボコファイターズが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!!

役人「……後攻、MIH×O×RENGEが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

みほ・オレンジペコ「!」

役人「まずはボコファイターズが1ポイント先取です!」

みほ(1ポイント取られた……)

オレンジペコ「っ……!」

役人「……これで優勝が決まるかもしれません………………では審査員のみなさん、ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『MIH×O×RENGE』」

理事長「『MIH×O×RENGE』」

香音「『MIH×O×RENGE』」

新三郎「『ボコファイターズ』」

浅井「『ボコファイターズ』」

役人「おおっと!審査員は3対2でMIH×O×RENGE!延長戦に突入です!」

ワァァァァ!!

みほ「………………」ホッ


【2階席】

沙織「あっぶなかったぁぁぁ…………心臓止まるかと思ったよおぉ」

華「ええ。心臓が止まるのは危険ですから」

優花里「あの……危ないのは西住殿が負けるかもしれないという意味で、心臓が止まりそうで危ないというわけでは……」

しほ「客がボコファイターズを支持した理由はなんとなくわかるが…」

千代「そうね。両チームとも高いレベルの戦いをしているし、愛里寿に対するオレンジペコさんのアンサーはかなり有効だったわ。でも愛里寿の挑戦をみほさんが受けなかったことを『逃げた』と捉えた人がボコファイターズに声を上げたのでしょうね」

しほ「……気持ちはわかる。しかし2ON2である以上、そういった作戦を立てるのも勝負の内だ。仕方のないことではないか?」

千代「そうだけれど、やっぱり期待してしまうものよ。ただ、愛里寿は1バース目に『みほさんと戦うために…』云々を言わなかった。これはミスね。下手すると3バース目の言葉は苦し紛れのものだと思われて作戦負けする可能性は充分にあったから」



【ステージ】

オレンジペコ「……予想通り、私と愛里寿さんの相性は良かったですけど……」

みほ「私たちが勝負を逃げてるように見えて、お客さんがあっちを応援する空気になっちゃいましたね」

オレンジペコ「いえ、厳密に言えばまだ完全にその空気にはなっていません。でも……」

みほ「うん……次も同じ戦い方をしたらよほど差を付けない限り負けちゃいますね」

オレンジペコ「…………すみません」

みほ「え?なんで謝るんですか?」

オレンジペコ「私が作戦立案しましたから。最初から普通に戦っていれば……」

みほ「それは違います。オレンジペコさんの優勝したいっていう強い気持ちはすっごく感じたし、それに作戦も良かったと思います」

オレンジペコ「……ありがとうございます」

みほ「でも……次は今みたいにバースを分けないで、いつも通りの戦い方にしませんか?」

オレンジペコ「はい。私もそれがいいと思います」

みほ「よかった」ホッ

みほ(これで愛里寿さんの想いにも応えられる。それに……)チラ

オレンジペコ「よし…」グッ

みほ(オレンジペコさんと2人でここまで勝ち上がってきたんだもん。そのやり方で優勝したい!)


役人「それでは延長戦です!先攻後攻じゃんけんをお願いします!」

みほ「…………」

愛里寿「…………」

ジャンケンポン!

愛里寿「先攻」

役人「OK!では先攻、ボコファイターズ!後攻、MIH×O×RENGE!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュルルッ!


http://www.youtube.com/watch?v=-vhblDqWvGE 2:21(4ターン終了時)

<決勝 先攻 [ボコファイターズ]愛里寿、アズミ VS 後攻 [MIH×O×RENGE]MIHO、オレンジペコ 延長戦>

愛里寿「お願い 神様 MIHOがちゃんと勝負」

愛里寿「してくれる呪文を教えてくれ」ワァァアッァ!

愛里寿「挑戦状に どうも戦々恐々」

愛里寿「延々逃亡で 全然堂々してない」ワァァァァ!

愛里寿「そんなやり方 神様は味方はしないな」ワァァ

愛里寿「貴様らに 確かな明日(あした)は無いから」ワァァァ!

愛里寿「ボコファイターズの 勝利固いはず」

愛里寿「ごちそうさま 優勝いただきます」ワァァァ!



みほ「呪文 より唱えとけ 念仏」ワァァ!

みほ「優勝?片腹痛い お前らは 片頭痛」ワァァァ!

みほ「この目の前に立ちはだかるガキが苦痛」

みほ「受ける間 唱えてろ 南無阿弥陀仏」ワァァァ!

オレンジペコ「確かな明日なんて 誰にも無いと思うけど?」ワァァァ

オレンジペコ「人生は行動次第で どうとでも転ぶでしょ?」ワァァ!

オレンジペコ「ボコって 最後負けるのがお決まり」

オレンジペコ「持ち味 生かすなら 負けるべきですよー!?」ワァァァ!



アズミ「チーム名は あくまで チーム名」

アズミ「一発勝負で負けられない これはリーグ戦 じゃない」ワァァ

アズミ「名前に縛られて 頭固すぎ」

アズミ「脳内クリーンアップしましょう まるでダスキン」ワァ!

アズミ「それともワクチン? こんな風に湧く韻」ワァァ!

アズミ「ワックには刺激的一撃で奇跡で未知的」ワァァァ!

アズミ「嫌味な紅茶と 過激なアンコウ」

アズミ「仕留めるライム 射撃は完了」ワァァァ!!


みほ「射撃は未完了 何故今に何個も」ワァァァ!

みほ「ライミング? あっためたネタ 放ったってか?」ワァァァァ!

オレンジペコ「暗記グセ抜けてないんですか? 受験戦争」

オレンジペコ「ネタばっかで勝ったって 不完全燃焼」ワァァァ!

みほ「嫌味な紅茶 と言わず抑えて イライラをさ」ワアァ!

みほ「被害者オーラ 出すより腕 磨いた方が いい」ワァァァ!

オレンジペコ「韻に固執するより 肌の保湿したら?」ワァァ!

オレンジペコ「結局勝率は下がって負けて 今日死ぬ!」ワァァァ!



愛里寿「MIH×O×RENGE(ミホレンジ)の方が 調子沈んでるけど?」ワァァァ!

愛里寿「言葉の端々から 超にじんでるエゴ」ワァァァ!

愛里寿「唱える必要ない 南無阿弥陀仏」

愛里寿「ただここにいるだけで タフな詞が降る」ワァァァ!

愛里寿「被害者オーラ 出さず 周りは 理解者の輪」ワァァァ!

愛里寿「あんたらに渡すよ 支配下の座」ワァァァ!

愛里寿「この場で大事なのは 肌よりもノドと言葉!」ワアァァ!

愛里寿「くだらないこと言ってるのどこの子だ?」ワァァ!



みほ「ノドよりも大事なのは 魂の鼓動だ」ワァァァァ!

みほ「子供は下がれ 歩いてろ トコトコとな」ワァァァ!

オレンジペコ「そこそこ調和 とれてる程度」ワァァァ

オレンジペコ「コンビとしては 知れてる精度」ワァァ!

オレンジペコ「1バース交互 2ON2と別でしょ」

みほ「戦い方の端々から 見えてるエゴ」ワァァァァ!

みほ「こっちはお互い自転車 立ち漕ぎをしつつ」

みほ「進み 行き付く先は 神のみぞ知る」ワァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァァァ!

みほ「…………」

愛里寿「…………」


役人「判定に入りたいと思います!」

役人「……先攻ボコファイターズが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!!

役人「……後攻、MIH×O×RENGEが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

みほ・オレンジペコ「!」

役人「まずはボコファイターズが1ポイント先取です。では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『MIH×O×RENGE』」

理事長「『ボコファイターズ』」

香音「『MIH×O×RENGE』」

新三郎「『ボコファイターズ』」

浅井「『MIH×O×RENGE』」

役人「審査員は3対2でMIH×O×RENGE!再延長に入ります!」

ワァァァァァ!!

みほ「………………」

愛里寿「……………」


【2階席】

沙織「ええーっ!?みぽりんたちの方がいっぱいお客さん沸いてた気がしたけど!?」

華「花を生ける時の耳の感じでもそう聞こえました」

優花里「身びいき無しに私も同感です。これは……」チラ

千代「……おそらく、初戦でMIH×O×RENGEが愛里寿を避けるような戦い方をした影響が残っているせいだと思うわ」

しほ「どういうことだ?」

千代「この延長で愛里寿が先攻をとり、ビートとは関係が無いけれどPSGの『かみさま』という曲の歌詞をサンプリングして『お願い 神様 MIHOがちゃんと勝負してくれる呪文を教えてくれ』と、みほさんと正面から戦いたいという想いがそれだけ切実だというアピールをした。それを聴いたからか最初から決めてたからかはわからないけれど、MIH×O×RENGEは今まで通りの戦い方で愛里寿と真っ向からぶつかった」

沙織「それならみぽりんたちは挑戦をちゃんと受けたことになるんじゃ…」

千代「そうね。でもMIH×O×RENGEと正面から戦えるようになったことで、愛里寿も調子を上げてきた。だからお客さんはもう1試合観たいという気持ちになったのかもしれないわ」

千代「私が審査員だったなら、アンサーとライミング共に優れていたMIH×O×RENGEに上げたでしょうね」

沙織「じゃあ最初から普通に戦ってたら勝ってたのかなぁ……」

千代「さあどうかしら?両チームに明確な力の差は無いわ。それこそ神のみぞ知る、としか言えないわね」クス

千代「………………」チラ


愛里寿「」


千代(愛里寿……あなたが待ち望んだこの勝負……これが最後のつもりで全力を尽くしなさい)


【ステージ】

役人「…………再度延長となりました!先攻後攻じゃんけんをお願いします!」

ジャンケンポン!

みほ(!勝った……選ぶなら……)チラ

愛里寿「…………」ジィッ..

みほ「………………」

みほ(愛里寿さんは最初から一貫して勝負をしたがってる。だったら……)

みほ「…………先攻でお願いします」

愛里寿「!」

みほ「オレンジペコさん、ごめんなさい」ヒソヒソ

オレンジペコ「いえ、私も同じ気持ちでしたから」ニコリ

役人「OK!先攻、MIH×O×RENGE!後攻、ボコファイターズ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュルルッ!


http://www.youtube.com/watch?v=Pf6p4ulix8s 2:41

♪人間発電所

<決勝 後攻 [MIH×O×RENGE]MIHO、オレンジペコ VS 後攻 [ボコファイターズ]愛里寿、アズミ 再延長戦>

みほ「最後にふさわしい 人間発電所」

みほ「脳天に食らわす 真剣 吐く言語」ワァァア!

オレンジペコ「ボコボコにしてやる トラ・トラ・トラ」ワァァ

オレンジペコ「祝杯なら 紅茶とか・コカ・コーラ」ワァァァァ!

みほ「タフな詞とか言うけど アニメネタやマンガだけ」

みほ「不満だらけ 話し相手探しな まんだらけ」ワァァァァ!

みほ「相手するの 飽きたから 行けばいいよ 秋葉原 それか」ワァァァ!

みほ「乙女ロード 勝ち求めようと うちらを止めようと も無駄」ワァァァァ1



愛里寿「殴られても観る とら・ドラ・とか」ワァァァ!

愛里寿「そんなディスは ノーダメージ 出るよため息」ワァァ!

愛里寿「マンガ・アニメにも 人生の 旨み濃密に」

愛里寿「味わえる作品がある スタジオジブリ」ワァァァ!

愛里寿「最後にふさわしい 人間発電所」

愛里寿「MIHOの吐く言葉 陰険な無礼もん」ワァァァ!

愛里寿「炭酸抜けたコーラのような 質の無さ」

愛里寿「優勝への夢も 水の泡」ワァァァ!



オレンジペコ「水の泡になっても 復活何度もする」

オレンジペコ「ビートはもちろん ブッダブランド」ワァァァ!

みほ「13歳が語る 人生の旨み」

みほ「悟り世代ですか? しらける 元の木阿弥(もとのもくあみ)」ワァァァ! 元の木阿弥・・・一時よくなったものが再びもとのつまらない状態に帰ること

オレンジペコ「もうどうもお悔やみ 申し上げます」ワァァ

オレンジペコ「ラストスパートかける もう仕上げます」ワァァァァ!

みほ「ディスへのアンサーが ため息、CO2(シーオーツー)?」

みほ「しょぼい反撃で 息を 派手に引き取る」ワァァァァ!


アズミ「最初 愛里寿隊長 から逃げてた 弱者」

アズミ「一転 総攻撃 主義 めちゃくちゃ」ワァァ!

アズミ「一本芯 の通った 日本人(にっぽんじん)じゃない」

アズミ「MIHOじゃ 漆黒になる HIPHOPシーン」ワァァァ!

アズミ「2ターン目でラストスパートとか 大げさ」

アズミ「もうデマは やめなさい でないといずれ 大怪我」ワァァァ!

アズミ「バトルに飽きたなら 逃げ帰りなさい 大洗」

アズミ「私らが優勝 プロップス 総ざらい」ワァァァ!



みほ「逃げるは恥だが役に立つ」ワァ

みほ「だから 明日(あす)からやる気出す」ワァァ!

みほ「いや、先攻とって 立場が逆になる」ワァァァ!

みほ「そして正面突破で主役になる!!」ワァァァァァ!

オレンジペコ「MIHOが今帰っても もう手遅れ」

オレンジペコ「現時点で大差だから 大手を振れる」ワァァァ!

みほ「愛里寿さんいわく私 陰険な無礼もん」

みほ「なら見せてあげる そんな人が 人生勝つ現象!」ワァァァア!



愛里寿「役に立つのかは 勝ってから決まる」

愛里寿「だってまだ 私ら立ってんだ間違うな!」ワァァ!

愛里寿「勝ち上がり磨いてきた スキルは不動!」ワァァ!

愛里寿「手遅れとか どうでもいい MIHO振り向かすよ!」ワァ!

愛里寿「決勝戦 懸想相手を前に 血相変えつつも絶好調!」ワァァァ!

愛里寿「決闘だ 関係は無い 親や流派、血統も!」ワァァァ!

愛里寿「力貸してくれた アズミと共に!」

愛里寿「優勝する この場 心にある真の誇り!!」ワァァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァァァァ!!

みほ「……………」

愛里寿「はぁ……はぁ……!」

オレンジペコ(クールさを保ってきた愛里寿さん……ですが最後の最後でかなりのバイブスを出してきましたね)


役人「……これが最後になるのでしょうか?再延長の判定に入りたいと思います!」

ワァァァァ!

役人「……………………審査員の判定が決まりました!それではお客さんに聞きます!先攻、MIH×O×RENGEが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァァ!

役人「……後攻、ボコファイターズが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!

役人「わずかな差ですが、MIH×O×RENGEに1ポイントが入ります!」

みほ・オレンジペコ「!」

愛里寿・アズミ「!」

ワァァァァァ!

ザワザワ..

役人「……では審査員の判定結果を見てみましょう!お願いします!」

ババン!

亜美「『MIH×O×RENGE』」

理事長「『ボコファイターズ』」

香音「『MIH×O×RENGE』」

新三郎「『ボコファイターズ』」

浅井「『MIH×O×RENGE』」

みほ・オレンジペコ「!!」

愛里寿・アズミ「!!」

役人「3対2でMIH×O×RENGEの勝利です!ということは…」

役人「2ON2フリースタイルMCバトル大会、優勝チームは……」

役人「MIH×O×RENGE~~~~~~!!!!!」

ワァァァァァァァ!!!


みほ「勝……った?」

オレンジペコ「はい!勝ちましたよ!」ニッコリ

愛里寿「………………」

アズミ「隊長……すみません。私が…」

愛里寿「違う。私たち2人があの2人に負けただけ」

アズミ「隊長……」

愛里寿「……大会に出たいって急に言い出した私に付き合ってくれて……その………………ありがとう//」

アズミ「~~~~っ!!」

アズミ(バトル後で上気した顔で上目遣いとか可愛すぎる!!もうこの顔を見られただけで幸せ……)キュン!

愛里寿「…………みほさん」クルッ

みほ「!……」

愛里寿「……試合、楽しかった。負けちゃったのは残念だけど……」

みほ「……うん、私も楽しかったよ」

愛里寿「…………よかった」ニコ

みほ「ふふっ」ニコ

愛里寿「……オレンジペコさん」

オレンジペコ「へ?は、はい、なんでしょう?」

愛里寿「あなたがみほさんのチームメイトで良かった。みほさんをここまで連れてきてくれてありがとう」ペコリ

オレンジペコ「い、いえいえ!そんなこと!私の方こそみほさんのおかげで…」

愛里寿「ううん、チームとして完成度が高かった。息もピッタリ合ってた。正直、悔しいくらい……」

オレンジペコ「は、はあ……ありがとうございます……」

愛里寿「……だからこそ、素直に負けを認められる。優勝、おめでとう」スッ

みほ「愛里寿さん……ありがとう!」ガシッ

オレンジペコ「ありがとうございます」ガシッ

アズミ「……強かったわよあなたたち。おめでとう」スッ

みほ「ありがとうございます」ガシッ

アズミ「忠告通り、肌の手入れは怠らないようにするわね」ニコリ..

みほ「ひっ……あの……あれは言葉のあやで……」アセアセ

アズミ「きちんと保湿もするわ」スッ

オレンジペコ「そ、そうですね。大事ですものね」ガシッ

役人「それではみなさん!優勝したMIH×O×RENGEにもう一度盛大な拍手を~!」

ワァァァァァァァ!

パチパチパチパチ!


【2階席】

沙織「すごーい!優勝したよみぽりんたちー!」

華「これはもう祝勝会はハンバーグですね」

沙織「まだ言ってるの!?作ってあげるけどさ」

優花里「さすが西住殿ですぅ!オレンジペコさんも相変わらずの毒舌でしたぁ!」

桃「大したやつだ、西住は。大人しそうに見えてあれだけのパフォーマンスを見せるのだからな」

柚子「うんうん。人は見かけによらないよね。桃ちゃんと一緒」

桃「……褒めている、んだよな?」ウーム

あや「っていうか大洗すごくない!?」

あゆみ「だよね!桂利奈もいいところまで行ったし!」

梓「会長さんも麻子先輩も活躍したよね!」

紗希「………………………………」

優季「うんうん!紗希の思ってる通りだよ~♪」

しほ「……再延長はどうだった?」

千代「愛里寿が可愛かったわ」

しほ「おい」

千代「冗談よ。いい勝負だったと思うわ。まず…」

千代「みほさんの『アニメやマンガだけ』から『不満だらけ』、『まんだらけ』と続くライミングは上手だったけれど、この決勝では愛里寿はアニメやマンガについて言っていない分、威力が落ちてしまったわ。ただそこをオレンジペコさんが、ビートである人間発電所の歌詞にある『トラ・トラ・トラ』を絡めて『紅茶とか・コカ・コーラ』でフォローした」

千代「でもそれを受けた愛里寿が『とら・ドラ・とか』と、あえてアニメにもなった『とらドラ』を引き合いに出してアンサーした。これはみほさんとオレンジペコさん両方に対するアンサーでかなり良かったわね。それと、アズミさんもブッダブランド繋がりで『大怪我』というワードを使ったり、工夫していた」

しほ「む。そうだったのか……なるほど」

千代「ただ、これまで決勝戦で焦点になっていた、『みほさんが愛里寿の挑戦を避けた』という印象に対して『逃げるは恥だが役に立つ』とドラマのタイトルを用いるというワードチョイスによって、『逃げた』という印象を柔らかくして認めた上で、『先攻とって 立場が逆になる』、『正面突破で主役になる』とライミングしつつアンサーを決め、パンチラインの威力と説得力が増す結果になった」

千代「それにオレンジペコさんがこれまでと違って脚韻や頭韻を固めてきたことも大きな要因ね。この再延長で決着を付けに来ているという空気が生まれたもの」

千代「最後の最後で愛里寿はバイブスを最大限にまで高めたけれど、届かなかった………私の判定でもMIH×O×RENGEの勝利ね」

しほ「そうか……しかし13歳にしてあれだけ出来れば大したものだろう」

千代「……うふふ、慰めてくれているの?」

しほ「ば、ばか!そんなはずがないでしょう//」

千代「うふふふ」

桃「……それにしても妙だな」

柚子「桃ちゃんの振る舞いが?」

桃「違うっ!会長や冷泉、阪口がここに来ないことがだ!会長たちのバトルが終わってもうずいぶん経つが、一向に姿を見せない」

柚子「そういえば……敗退してしまった場合は戻ってきて一緒に観戦すると思ってたけど」

そど子「……それについては私が説明するわ」ザッ

柚子「そど子さん?冷泉さんとイチャイチャしてたんじゃ…」

そど子「し、してないわよ!そんなの……あれぐらいは……別に普通なはずだわ……///」ブツブツ..

桃「で?何を説明してくれるんだ?」


そど子「あ、そうだったわ!実は…………この会場の使用時間がかなり余っているのよ!」

柚子「え……?あっ、言われてみれば……パンフレットに書いてある時間まで結構あるね」

桃「何故そのような事態になっているんだ?」

そど子「……あのメガネ役人が会場を押さえる時に時間を間違えたらしいのよ」

柚子「凡ミスもいいところだね」チラ

桃「何故私を見る!メガネに罪は無い!」

柚子「でもそれと会長、冷泉さんと阪口さんが戻って来ないことがどう繋がるの?」

そど子「それは……」


役人「うぇいよー!!!」


そど子「………………」ハァ..

桃・柚子「?」



役人「まだまだ盛り上がりが止まらないこの会場!ここで提案があります!」

ザワザワ..

役人「……大会に出場した選手たちで…………シングル戦によるトーナメントを行いたいと思います!」

ワァァァァァァ!!

役人「条件はたった1つ!参加選手は各校2名までに限るというだけです!」



桃「……なるほど。時間を埋めるため、急きょシングルマッチを行うことにしたのか」

そど子「そう。だから冷泉さんも会長も阪口さんも、舞台袖で待機してもらうよう言われてたの」

柚子「じゃあそど子さん、みんながいる中で冷泉さんとイチャイチャしてたんだ……」

そど子「だからしてないわよ!」カァァ..

華「……話は全て聞かせていただきました」ズイ

柚子「五十鈴さん……!?」

華「………………」

柚子「………………えっと……なに?」

華「?聞いていたと伝えただけですが」

桃「だったら思わせぶりに入ってくるな!」

優花里「あのぅ……私も聞いていたのですが……各校2名だけ出場ということは、優勝した西住殿ともう1人しか出られないというわけです。しかし冷泉殿も会長も阪口殿も戻って来ないのは何故でしょう?」

そど子「確かにそうよね……まだ誰が出るか決まってないからじゃないかしら?」

桃「今大会の実績で言えば阪口が順当か?」

沙織「でも会長は卒業を控えてるから……麻子も桂利奈ちゃんも遠慮するかも」

あや「じゃんけんで決めるなら会長になるよね」

あゆみ「確かに。絶対勝てない」ウンウン

桃「……でも」

柚子「会長はきっと…」

杏「私はきっと?」

桃・柚子「会長!?」


梓「会長さんがここにいるということは……」

杏「私はシングル戦出ないよ?」

優季「えー?じゃあ誰が出るんですかぁ?」

杏「冷泉ちゃんとさかぐっちゃんがじゃんけんして…」

桂利奈「私、負けちゃいましたー!」

あゆみ「あ!桂利奈!よくやったよー!頑張ってたの観てたー!」

桂利奈「ありがとー!」エヘヘ!

紗希「…………………………」

桂利奈「紗希もありがとー!」

桃「では出場者は西住と冷泉か」

杏「西住ちゃんは最初じゃんけんするっつってたんだけどね。優勝チームの一員が不参加じゃ盛り上がりに欠けるって説得したよぅ。真面目ないい子だよねー」アッハハ

柚子「……その分、内に溜め込んでいるのか、ディスは強烈ですが……」

杏「確かにね」

桃「しかし……良かったのですか会長。今年で我々は卒業ですし、優先させてもらうことだって…」

柚子「」ウンウン

杏「……だからだよ」

桃・柚子「え?」

杏「こういう大会に大洗の生徒として参加するのも最後。だったら選手として出るより……かぁしまと小山と一緒に観たいと思ってさ」ボソッ

桃・柚子「会長……ッ!」ウルウル..

杏「な、なんつってね……//」ポリポリ

柚子「あの……抱きしめてもいいですか?」ワキワキ

杏「や、やだよ//」

ワァァァァァ!!

沙織「な、なになに?この歓声?」

華「食事休憩の合図なのでは?」

優花里「絶対違いますよ五十鈴殿……」

そど子「シングル戦のトーナメントの組み合わせが決まったのよ!でも早く決まり過ぎよ!速度超過は風紀違反だわ!」

杏「どれどれ?」

続きはまた夜に書きます


<シングル戦 トーナメント表>

REZE    ――――
              │―――
ノンナ     ――――     │
                    │―――
ミカ      ――――      │    │
              │―――      │
カチューシャ ――――            │
                          │────
ナオミ     ――――           │       |
              │―――      │      |

アンチョビ  ――――      │     │      |
                    │―――        |
ミッコ     ――――      │            |

              │―――              |
愛里寿    ――――                    |
                                 |────!!優勝!!
アッサム   ――――                   |
              │―――              |
ケイ      ――――     │            |
                   │―――        |

オレンジペコ ――――     │    │       |
              │―――     │        |
西住まほ   ――――           │       |

                         │────
エリカ     ――――           │
              │―――     │
カルパッチョ ――――     │    │
                   │―――
MIHO    ――――     │
              │―――
???    ――――



杏「なかなか面白そうな組合わせだねぇ」

沙織「あれ?ボコファイターズのアズミさんとか、BC自由学園とかヨーグルトのマーチとかナカスリベンジャーズの人たちが見当たらないけど…」

杏「本人たちが参加を断ったみたいだよ。大体さ、16チーム参加してたんだから、シングル戦なら32人出場でいいはずなのに、わざわざ1校2人までって決めたのは、シングル戦に出ないかと声をかけた人たちに結構断られたからみたいなんだよね」

桃「なるほどアズミさんは大学生だから遠慮したのかもしれませんね。それは島田愛里寿も同じですが13歳……年齢を考えればむしろ不利と言えます」

杏「年齢とスキルが一致するわけじゃないっていういい例だけどね」アハハ

沙織「ダージリンさん、出ないんだね。出たがりっぽいのに」

ダージリン「実力的にはペコとアッサムの方が上だもの」ウフフ

沙織「うわあ!?」ビクン!

ダージリン「一緒に観戦してもいいかしら?」

沙織「も、もちろんです!」

沙織(よかった。出たがりって言ったの聞こえてなかったみたい)ホッ

華「出場しなくてもよかったのですか?沙織さんいわく、ダージリンさんは出たがりと言っていましたが」

沙織「華ァ!!」

ダージリン「………そう思われていたとはね。でもわたくしは別に自己主張の強い方ではなくてよ」ウフフ

優花里「そ、その通りですよねぇ!紅茶や格言も聖グロの校風ですぅ!ダージリンさんは良識のある常識人でしかありません!」

沙織「も、もちろんです!憧れすぎて言い間違っちゃいました!」アハハ..

ダージリン「あら。褒められちゃった」ウフフ

華「その表情……嘘を吐いている時の沙織さ……もごご」

梓「こ、この話題はもうやめましょう。ね?」ガッシリ

杏「あっははは」

あや「ん?トーナメント表の最後の『???』って誰だろう?」

梓「わざわざ秘密にするってことはもしかして……大会に出てない人、とか?」

あゆみ「それかまだ決まってないのかもね」

柚子「会長は知ってます?」

杏「知らない。ただキリのいい16人にしようとしたけど、各校2人までだと参加希望者は15人だった。あと1人はどうするんだろうとは思ったけどね」

ダージリン「1校だけ3人出場可能とすると不公平ですものね」


優季「えー、じゃあどうなるんだろー♪」

紗希「……………………敗者復活?」

桂利奈「!そ、それだー!」

優花里「だとしたら西住殿にとっては…………いえ、トーナメント表を見る限り、どなたが出てきても強敵ですぅ」

杏「そだね」



役人「それでは早速シングル戦を始めたいと思います!」

ワァァァァァ!

麻子「…………」ザッ!

ノンナ「…………」ザッ!



沙織「最初は麻子からだ!頑張れー!麻子ー!」

そど子「か、勝ちなさいよー……//」

パゾ美「それじゃ聞こえないよ」

ゴモヨ「照れそど子……」

そど子「う、うるさいわね!」


【ステージ】

役人「まず最初にシングル戦のルールを説明します。判定方法は2ON2と同じです。お客さんと審査員による判定で決まり、引き分けの場合は延長戦を行います。先攻後攻は、その都度じゃんけんで決めてもらいます。これも同じですね」

役人「違う点は1つです。1回戦と2回戦は8小節の2ターンでの戦いとなります。準決勝は8小節3ターン。そして決勝は8小節4ターンとします!」

麻子(1、2回戦は短くするのか)フム

ノンナ(決勝は4ターン……であればチーム戦も決勝はそうするべきだったのでは?今さら言っても仕方ないことですが)

役人「それでは1回戦 第1試合を始めます!REZE対ノンナ!」

ワァァッァア!

麻子(……前大会でプラウダと当たったが、会長が3人抜きをしたから私はこの人と戦っていない。攻撃的なスタイルだとわかっているが、実際に当たるとどうなるか……さて)

ノンナ(ライミングでは到底太刀打ちできませんね。しかしそれだけで勝負が決まるわけではありません)ギラリ

役人「先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

ノンナ「先攻で」

麻子「!」

役人「OK!先攻、ノンナ!後攻、REZE!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュルッ!


http://www.youtube.com/watch?v=z2xn_MMZHpE 2:43

<1回戦 第1試合 先攻 ノンナ VS 後攻 REZE>

ノンナ「韻だけのREZE 気に入らねぇぜ」

ノンナ「メッセージ性ねぇ 冷戦状態」ワァァ!

ノンナ「誰に何を言われても 『どう踏もうか』」

ノンナ「馬鹿の一つ覚えだな 不毛だ!」ワァァァ!

ノンナ「私は 適当な言葉を 吐かない」

ノンナ「韻に縛られたままでは 儚い」ワァァ!

ノンナ「ひたすら 相手の言葉 拾うだけ」

ノンナ「正直 みっともねぇ まるで乞食」ワァァ!



麻子「捨てる神あれば拾う神あり」

麻子「難易度で言えば こっちが神なり」ワァァ!

麻子「拾う価値無し のワードチョイス披露」

麻子「漂う疲労感を 救うヒーロー参上」ワァァァ!

麻子「不毛で結構 大洗に羽毛は不要だ」ワァァ!

麻子「客を熱くさせる ライムの活動家」ワァァァァ!

麻子「ノンナ 寒いだけのブリザード」

麻子「火を点けようか ポケモン リザードン」ワァァ!



ノンナ「客を熱くとか クチだけで表情が不一致」

ノンナ「根っこはクールなREZE 下手なスキンシップ」ワァァ!

ノンナ「難易度関係ない 捨ててやってんだ」

ノンナ「捨てる神が上だ ふてぶてしいカスが!」ワァ!

ノンナ「ブリザード オーラゼロのお前 凍らせよう」ワァアァ!

ノンナ「じゃないとクチうるさくて しょうがねぇよ!」ワァ!

ノンナ「大体声量が無い 後ろの方 聴こえてますか!?」

ノンナ「どっちにせよ そろそろ 仕留めてやるか!」ワァァ!



麻子「声量が無い オーラゼロ なのに ほっとけない」

麻子「ブリザードのわりに 心はホットで愛 がある」ワァァァ!

麻子「スキンシップの極端なツンデレ? ツンドラ?」ワァァ!

麻子「素直になれなくて ガツンと殴んのか?」ワァァァ!

麻子「後ろー!声は聴こえてるかー!?」ウォォォォ!

麻子「……ちゃんと聴こえてるってさ」ワァァ

麻子「2小節 捨てたって 必勝です」ワァ!

麻子「『1回戦突破した』 そんな書き出しの 私小説」ワァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!!


役人「では判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、ノンナが勝ったと思う人!」

ワァァァ!

役人「……後攻、REZEが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!!

役人「まずはREZEが1ポイント先取です。では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『ノンナ』」

理事長「『REZE』」

香音「『REZE』」

新三郎「『REZE』」

浅井「『REZE』」

役人「勝者!REZE~~~~!!!!」ワァァァァ!!

ノンナ「っ……!」

麻子(よし)フゥ..



<シングル戦 トーナメント表>

REZE    ――――
              │―――
        ――――     │
                    │―――
ミカ      ――――      │    │
              │―――      │
カチューシャ ――――            │
                          │────
ナオミ     ――――           │       |
              │―――      │      |

アンチョビ   ――――      │     │      |
                    │―――        |
ミッコ      ――――      │            |

              │―――              |
愛里寿    ――――                    |
                                 |────!!優勝!!
アッサム    ――――                   |
              │―――              |
ケイ      ――――     │            |
                   │―――        |

オレンジペコ ――――     │    │       |
              │―――     │        |
西住まほ   ――――           │       |

                         │────
エリカ     ――――           │
              │―――     │
カルパッチョ ――――     │    │
                   │―――
MIHO    ――――     │
              │―――
???    ――――




【舞台袖】

カチューシャ「………………」

カチューシャ(次は私の試合……相手は継続高校のミカ……2ON2で負けた相手)ギリッ..

まほ「……カチューシャ」

カチューシャ「……なによ」

まほ「大丈夫か?緊張しているなら抱きしめるが」

カチューシャ「ばっ……//」

カチューシャ「バカなこと言ってんじゃないわよ!あの時は……確かに弱気になってたけど、もう吹っ切ったわ!」

まほ「……そうか。さすがだな」フッ

カチューシャ「ったく……///」プイ

カチューシャ「………………」


ミカ『ねぇ富豪さん 解雇したら? 隣の執事か秘書』


ミッコ『西住まほは 相方として ババ引いたようなもんだ』


カチューシャ(………………マホーシャの足を引っ張った存在だなんて思われたまま終われないわ!)



【ステージ】

役人「それでは第2試合を始めます!ミカ対カチューシャ!準々決勝で当たったチーム同士の戦いとなります」

ワァァァァ!

カチューシャ「………………」

ミカ「………………」

ミカ(ずいぶん気合いが入っているようだね……だが私も負ける気は無い。西住みほとオレンジペコ、どちらが勝ち上がるかはわからないが、借りは今日のうちに返しておきたいからね)

役人「先攻後攻のじゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

ミカ「……後攻かな」

役人「OK!先攻、カチューシャ!後攻、ミカ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュルッ!


http://www.youtube.com/watch?v=eCriZ-G9Rog 4:14

<1回戦 第2試合 先攻カチューシャ VS 後攻ミカ>

カチューシャ「早くもリベンジ 即巻き返し びた一文 まけず上げる 期待値!」ワァァ!

カチューシャ「さっきは好き勝手 言ってくれてありがとう 返すのは刀! アタマ カラダ」ワァァァ!

カチューシャ「叩き切る! 舐められたまま終われない プラウダのプライド」

カチューシャ「背負ってる 個人的恨みもある あんたのとぼけた ツラを砕き折る」ワァァァ!

カチューシャ「カンテレの演奏者 マイク持ってちゃ出来ない 二重奏は」

カチューシャ「とにかくぶち倒す 理由とか ありまくるから 機銃掃射!」ワァァァ!

カチューシャ「粉々にする カチューシャは勇者 勝利が従者!」ワァァァ!

カチューシャ「継続させない 敗北の味! いや逆に味わわせてやる あんたに!!」ワァァァ!



ミカ「声量は充分  みたいだね マイクチェックオーケー」ワァァァ!

ミカ「こっちは  冷静 上手い 具合に 消す王手」ワァァァ!

ミカ「ゲームオーバー 清涼感 風の流れ 浮かび上がったリビドー」

ミカ「憤り 邪念捨て 生き残り 歩む道のり 私は 旅人」ワァァ!

ミカ「不必要  無秩序  な乱射は  当たらんさ」ワァァ!

ミカ「刀と 銃  それと マイク? なんという  三刀流」ワァァァ!

ミカ「勢いのみ無駄に熱いだけ 真夏の車のボンネット」

ミカ「負けを恐れ ホメオスタシスが生んだパワー でも敗退 ボーンヘッド」ワァァ! ※ホメオスタシス・・・「生体恒常性」とも言われる。体を一定の状態に保つ働き。寒い時に筋肉を震わせて熱を作って体を冷やさない、など



カチューシャ「体を揺らして 楽しそうね その余裕が導くわよ死亡へ!」ワァァァア!

カチューシャ「わかる? それがボーンヘッド! 気付きなさいよ あんたすでに ウォンテッド!!」ワァァアァァァ!!

カチューシャ「三刀流 その通り 今の私は進化した 宮本武蔵」ワァ

カチューシャ「この瞬間も成長し続ける! あんたらに負けたのも 今思うと昔!」ワァァァァ!

カチューシャ「旅人? だったら罪びと、咎人(とがびと)になろうと 懐に ボディブロー!」ワァァァ!

カチューシャ「あんたは 血みどろ ホメオスタシス? 関係ない 追撃の ロメロスペシャル!!」ワァァァァ!

カチューシャ「2回戦で 終わった2ON2 だからこのシングル戦に賭けてる!」ワァァ!

カチューシャ「私は全部勝って 決勝でマホーシャ倒すぐらいの気持ちがあんのよ!」ワァァァァァ!!



ミカ「早口 ぎゅうぎゅう パンパン 音符と 言葉がケンカ そんな事件だ」ワァァァ!

ミカ「やり方、形はみな それぞれ キミはカチューシャ 私はミカ」ワァァァ!

ミカ「ロメロスペシャル 届くのかな手が? 孤独を抱くベガ」ワァアァ!

ミカ「星の輝き は私の元に ある から旅 を続ける」ワァァ

ミカ「勝敗は 怒鳴る だけで どうなる モノかな? 愚かな ことだなぁ」ワァァァ

ミカ「もっと落ち着いていよう ゆったり間     とったりさ」ワァァ!

ミカ「どっかり と浸かり 勝敗 追う そして栄光を 頬張り放題」ワァァァァ!

ミカ「キミは 震え 続け 腑抜け 脅え てるね 野ウサギ状態」ワァァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」ワァァァァァ!!



カチューシャ「はぁ……はぁ……」

ミカ「ふー……」

役人「それでは判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、カチューシャが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!

役人「……後攻、ミカが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

ミカ「!……」

カチューシャ「っ!」グッ

役人「まずはカチューシャが1ポイント先取です」

役人「……では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『カチューシャ』」

理事長「『カチューシャ』」

香音「『ミカ』」

新三郎「『ミカ』」

浅井「『カチューシャ』」

カチューシャ「!!」

ミカ「…………」

役人「3対2で勝者は!カチューシャ~~~~!!!!」ワァァァァ!!

カチューシャ「勝っ…………た……?」

ミカ「…………」フゥー..

ミカ「……そうだね。私の負けさ」フフ

カチューシャ「何を笑って……!あんたまさか手を抜い…」

ミカ「違う」ギラリ

カチューシャ「っ……」

カチューシャ(なに、今の鋭い目……こいつがこんな目をするなんて……)ゴクリ


ミカ「私は全力を尽くした。キミが自分に自信を持てないのは勝手だけれど、その思考に人を巻き込まないでくれるかな?」

カチューシャ「……ふん!嫌味な言い方しなくてもわかったわよ!あんたは全力を出した!そして結果私が勝った!」

ミカ「……その通り」

カチューシャ「あははは!リベンジ成功!いい気味よ!」

ミカ「そうかい」

カチューシャ「…………ャ」

ミカ「ん?」

カチューシャ「でも……まだ1勝1敗なんだから!次もっかい勝ってリードするからね!覚悟しなさいよ!その…………ミカーシャ!」

ミカ「!……その呼び方は……」

カチューシャ「っ……べ、別になんでもないわよっ……//」

ミカ「…………ふふっ」

カチューシャ「な、なに笑ってるのよ!」

ミカ「親しくなれて嬉しいと思ってね」

カチューシャ「ふ、ふん……//」

ミカ「これでKV-1は正式にうちの車両ということでいいのかな?」クス

カチューシャ「なんでそうなるのよ!っていうかホントに返しなさいよね!」

ミカ「ふふっ……さあどうかな?」

カチューシャ「ぬぐぐぐ……」

ミカ「…………では、またいつか会おう。カチューシャ」ニコッ

カチューシャ「っ……!そ、その時にKV-1を返しなさいよね……//」


【2階席】

沙織「わー……なんかこの距離で見ててもカチューシャさんってチョロそう」

華「沙織さんクラスですね」ニッコリ

沙織「本人に言う!?」

華「あっ……ごめんなさい。今後は陰で言うことにします」ペコリ

沙織「それもっとヤダ!」

しほ「……今の試合、ちよきちはどう思う?」

千代「…………カチューシャさんは今までは固めのライミングと早口のフロウで安定した力を発揮していたわ。でもこの試合では圧倒的なバイブスを乗せたフロウを全面に出してきた」

千代「ライミングも『宮本武蔵』、『今思うと昔』と、強引にねじ込んで決めたと思ったら、『旅人、罪びと、咎人、懐、ボディブロー、血みどろ』といった辺りは、語尾を『o(お)』で踏んでいるけれど、文字数的には2文字程度。でもこの絶妙な踏み外しが聴いていて心地いい。『ホメオスタシス』と『ロメロスペシャル』もそうね。少し外れてるけれど気持ちよく聴こえる」

しほ「む、確かに……しかし継続の子は変則的なフロウが面白く、さらに韻の固さもあった。アンサーも的確だったと思ったが」

千代「そうね。フロウテクはカチューシャさんよりも上ね。今の試合では特にその部分が協調されていたわ。微妙にテンポをズラしたり、速度を上げたり落としたり、声色を変えたり。抑揚を効かせたかと思えば次の瞬間には平坦になっている、などと言った風にね。2ON2の時には見せなかった……いえ、若干変則的で特徴のあるフロウを見せてはいたけれど、コンビネーションを優先し、オーソドックスに寄せていたのでしょう、本来のミカさんはこの試合で見せたスタイルだと思うわ」

しほ「私的にはコンビの時よりも新鮮で面白かったが……結果は敗北か……」

千代「ええ……ミカさんのそういった技術や特徴を、カチューシャさんのバイブスが全てを吹き飛ばした。これが一番わかりやすい解説かも知れないわね。『カチューシャは勇者 勝利が従者』なんて表現もカチューシャさんらしくていい」

千代「それと熱い言葉をぶつけてくるカチューシャさんに対し、『勝敗は 怒鳴るだけで どうなるモノかな? 愚かなことだなぁ もっと落ち着いていよう』と、なだめるような諭すようなアンサーをした。これも時に有効だとは思うのだけれど、今回は裏目に出たというか……今回はカチューシャさんがバチバチに立ち向かってきているのをはぐらかしているという、良くない印象を与えてしまったわね」

千代「でも最終的な決め手はカチューシャさんの『私は全部勝って 決勝でマホーシャ倒すぐらいの気持ちがあんのよ!』というパンチラインかしらね。リベンジだけじゃなく、その先を見ているという強い意志が身体中から発せられているようだったもの」

しほ「なるほど…………しかしフリースタイルバトルとは難しいものだな。真正面から来る相手を翻弄させるのは戦法として間違いではないというのに」

千代「ええ。だから本当に難しいのよ。戦うことも、判定をすることもね」



<シングル戦 トーナメント表>

REZE    ――――
              │―――
        ――――     │
                    │―――
        ――――      │    │
              │―――      │
カチューシャ ――――            │
                          │────
ナオミ     ――――           │       |
              │―――      │      |

アンチョビ   ――――      │     │      |
                    │―――        |
ミッコ      ――――      │            |

              │―――              |
愛里寿    ――――                    |
                                 |────!!優勝!!
アッサム    ――――                   |
              │―――              |
ケイ      ――――     │            |
                   │―――        |

オレンジペコ  ――――     │    │       |
              │―――     │        |
西住まほ   ――――           │       |

                         │────
エリカ     ――――           │
              │―――     │
カルパッチョ  ――――     │    │
                   │―――
MIHO    ――――     │
              │―――
???    ――――




【ステージ】

役人「1回戦 第3試合です!」

ナオミ「…………」ザッ

アンチョビ「…………」ザッ!

役人「ツインテールショートヘアのチーム内対決となりました!」

ワァァァ

ナオミ「悪いけど、勝たせてもらうよ」

アンチョビ「ああ、そのつもりで来い。迎え撃つからな」ニッカリ

役人「先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

アンチョビ「……後攻を選ぶ!」

役人「OK!先攻、ナオミ!後攻、アンチョビ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュララ


http://www.youtube.com/watch?v=trnOBLGCEeU 3:26

<1回戦 第3試合 先攻 ナオミ VS 後攻 アンチョビ>

ナオミ「後攻の方が 得だからって 迷わず選ぶ ドゥーチェ」

ナオミ「相変わらず貧乏性 甘い考え まるでフルーチェ」ワアァァ!

ナオミ「アンチョビ 盛り上げ上手 でも実力まで盛りすぎ」

ナオミ「ノリだけで突っ切るのは無理があるよリスキー」ワァァァ!

ナオミ「チームワークは抜群だった ツインテールショートヘア」

ナオミ「でも勝負なら手加減抜き 1回戦でとっとと消えな!」ワァ!

ナオミ「アンツィオはパスタ サンダースはポテト 美味しい上に低価格」

ナオミ「でも食材もお客さんも 私がアゲて 勝利をいただく!」ワァァァ!



アンチョビ「その調理する手に巻き付くパスタ 揚げ足でもとりますか」ワァァ!

アンチョビ「低価格というより体たらく 私が勝利をいただく!」ワァァァァ!

アンチョビ「後攻が得? たった今先攻で勝ったぞ カチューシャ」ワァァ!

アンチョビ「そんな計算も出来ないなら ケイより遥か格下」ワァァァ!

アンチョビ「貧乏性より 浪費癖ある金持ち校の方が 見通しが甘い」ワァ

アンチョビ「チームワークは確かに良かったけど 愛おしさは無い」ワァァァ!

アンチョビ「とそれは言い過ぎた でもB’zみたいな 高音でこのビートの」ワァァ

アンチョビ「ココってとこで ノリながら ナオミを速攻で沈めるぞ!」ワァァ



ナオミ「手に巻き付くパスタ? 食べ物を粗末にするんじゃねぇ」

ナオミ「一般的に後攻が得なのに 今の1試合の部分だけ」ワァァ

ナオミ「で判断 だんだん憐れに思えたんだが 算数習ったか?」ワァァァ!

ナオミ「仕方ない 教えてやる イーアルサンスーわかったか?」ワァァァァ!

ナオミ「ところでB’zだったら 好きなのは BLOWIN」

ナオミ「アンツィオ 金のやりくり大変らしいな 苦労人」ワァァ!

ナオミ「でもサンダースが金持ちだからって 決め付けるなよ 浪費癖」

ナオミ「無駄金 使ってたら強豪でいられねぇだろうが もう気付け」ワァァ!



アンチョビ「違うな! 無駄金は使ってる 施設内にトイレ 1000人分」ワァァァ!

アンチョビ「アンツィオで そんな真似しようものなら 全員Boo!」ワァァァァ!

アンチョビ「数の数え方は 知ってるに決まってるだろ いちにーさんしー」

アンチョビ「アンサーのようでちょっとズレてる 行き違い」ワァァァァ!

アンチョビ「苦労人だから頭使って 戦ってきたんだから勝ってる」ワァァ!

アンチョビ「ましてやマイクでの勝負なら余裕だ ヘイヘイ からかってく」ワァァ!

アンチョビ「ちなみに使ったパスタは再利用 もったいない精神」

アンチョビ「そして実力を見せつけてやるぞ このっ大会制し!」ワァァッァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!


役人「……早速判定に入ります!まずはお客さん!今の勝負、先攻ナオミが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「……後攻、アンチョビが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

役人「まずは後攻アンチョビが1ポイント先取です。では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『アンチョビ』」

理事長「『アンチョビ』」

香音「『ナオミ』」

新三郎「『アンチョビ』」

浅井「『ナオミ』」

役人「3対2!勝者!アンチョビ~~~~!!!!」ワァァァァ!!



アンチョビ「!勝っ…………っと、いかん」

ナオミ「…………」

アンチョビ「………………」チラ

ナオミ「ははっ、なんで申し訳なさそうな顔してるんだ?」

アンチョビ「いや、なんか、ナオミの前で大喜びするのも違うだろ……」

ナオミ「確かにな。1回戦で勝ったくらいで大喜びされるのは違うね」

アンチョビ「え」

ナオミ「でもチームを組んでいたからと言って、私に遠慮して感情を抑えるのも違う。素直になりなよ」

アンチョビ「…………勝ってすごくうれしい」

ナオミ「なら喜べばいい」

アンチョビ「………………いいのか?」

ナオミ「もちろん」ニコリ

アンチョビ「そ、それじゃ……」コホン

アンチョビ「やったーー!勝ったぞぉーーーー!」ワーイ!

ナオミ「大喜びしてるじゃないか」クスッ


【2階席】

ダージリン「アンチョビさんはフロウが上手ですわね。やはり積極的に指示を飛ばすタイプの方はクチがよく回るのかしら」

杏「あー、なんかそれわかるかも」モグモグ

柚子「カチューシャさんも似たタイプですもんね」

桃「サンダースの隊長もだな。というか指揮官は大体がそうじゃないか?」

ダージリン「わたくしは早口はあまり得意ではないけれど」

杏「ダージリンは呆れるほどマイペースだかんね」

ダージリン「あら、ありがとう」ウフフ

杏「褒めたことになっちった」アッハハ

しほ「いい勝負だったが延長にはならなかったか」

千代「パンチラインの数でアンチョビさんが上回ったという印象ね」



<シングル戦 トーナメント表>

REZE    ――――
              │―――
        ――――     │
                    │―――
        ――――      │    │
              │―――      │
カチューシャ  ――――            │
                          │────
         ――――           │       |
              │―――      │      |

アンチョビ   ――――      │     │      |
                    │―――        |
ミッコ      ――――      │            |

              │―――              |
愛里寿    ――――                    |
                                 |────!!優勝!!
アッサム    ――――                   |
              │―――              |
ケイ      ――――     │            |
                   │―――        |

オレンジペコ  ――――     │    │       |
              │―――     │        |
西住まほ   ――――           │       |

                         │────
エリカ     ――――           │
              │―――     │
カルパッチョ  ――――     │    │
                   │―――
MIHO    ――――     │
              │―――
???    ――――




【ステージ】

役人「ではどんどん行きましょう!次はミッコ対愛里寿のバトルです!」

ワァァァ!

ミッコ「へへっ、1回戦で当たるとはラッキーだ。ここで倒してやる」ギラリ

愛里寿「そうですか」

役人「では、先攻後攻のじゃんけんをお願いします!」

ジャンケンポン

愛里寿「後攻で」

ミッコ「ふふん、私に恐れをなしたか」

愛里寿「……特にあなたに言いたいことがないので」

ミッコ「なにおう!」

役人「先攻後攻が決まったところで……先攻、ミッコ!後攻、愛里寿!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ」シュババッ!


http://www.youtube.com/watch?v=U02VVVZ00lw

<1回戦 第4試合 先攻 ミッコ VS 後攻 愛里寿>

ミッコ「ここまでの試合 みんな早口じゃね?」

ミッコ「うちらは もっとゆったりバトルしたくね?」

ミッコ「ひたすら喋りまくって ご乱心ですか?」

ミッコ「て感じで言葉詰め込み過ぎて 満員電車」ワァァ!

ミッコ「よりもゆったりとディスり合いの 取っ組み合い」

ミッコ「BPM関係なく 私はとっくにハイ」ワァァ!

ミッコ「ゴスロリで喋りまくるのは 滑稽だぜ?」

ミッコ「しょっぺーだけ このテンポで行こう オッケーだね?」ワァァァ!



愛里寿「あんたのラップ 最初からBPMどうこう」

愛里寿「言わずとも つまらないねスローモーション」ワァァァ!

愛里寿「大したパンチライン無いのに 手数犠牲にする」

愛里寿「カッコだけの横綱相撲 楽な相手 露骨な無能」ワアァァァ!

愛里寿「低レベルで余裕ぶるのは 愚の滑稽だ」

愛里寿「力をあとにとっとこうか それともあえての特攻か」

愛里寿「岐路は行き止まり 延長狙いの 引き延ばしか?」

愛里寿「身の程知らず 蜘蛛の子散らす ように弾き飛ばした 客」ワァァァァ!



ミッコ「言葉遣い注意しろ 中1を ようやく過ぎた頃だろ?」ワァ

ミッコ「無能とか軽々しく使うんじゃねぇよ このアホ!」ワァァ!

ミッコ「舐めるなよ 継続とミッコのこと」

ミッコ「社会勉強のために怖いとこ 見せようか いっそのこと」ワァァァ!

ミッコ「横綱相撲は おめぇの方じゃねぇか!負けたくせによ!」

ミッコ「ファイナリストが偉いわけじゃねぇ てかまず挨拶しろ!」ワァァ!

ミッコ「上下関係わかんねぇと大学で苦労するぞ クソガキ」

ミッコ「せいぜい卒業まで無事でいられるように願掛けで食っとけ 太巻き!」ワァァァ!



愛里寿「1バースだけみたい ゆったりタイム終了」ワァァ!

愛里寿「脳に負担? 勝率なんか 下がる一方で だいぶ苦痛と」ワァァァ!

愛里寿「判断したらしいけど 恥ずかしい 言い出しっぺ」

愛里寿「前言撤回なら出せ両腕 左か右かしっぺ」ワァァァ!

愛里寿「罰ゲーム逃げて隠れる ブレること言いバックレる」

愛里寿「社会勉強 大丈夫 見てないよ 甘い幻想」ワァァァ!

愛里寿「ミッコ ダサい迷走 破壊、清掃 忙しい」ワァァァ!

愛里寿「1人じゃ辛いか? モロ弱体化 いとおかし」ワァァァア!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!


ミッコ「くっ……!」

愛里寿「………………」

役人「では判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、ミッコが勝ったと思う人!」

ワァァァ!

役人「……後攻、愛里寿が勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!!

役人「まずは愛里寿が1ポイント先取です。では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『愛里寿』」

理事長「『愛里寿』」

香音「『愛里寿』」

新三郎「『愛里寿』」

浅井「『愛里寿』」

役人「勝者!後攻、愛里寿~~~~!!!」

ワァァァァ!!

ミッコ「やっぱりか!くっそー!」

愛里寿「………………」

愛里寿(負けるわけには行かない。決勝でみほさんと戦うんだ)ギラッ


【2階席】

沙織「……愛里寿ちゃんはミッコさんの誘いに乗らずにマイペースを貫いた感じでしたね」

杏「ゆっくりでも戦えないことないんだろうけどね。でも普通のスタイルで相手の提案を崩すことで優位性のアピールになったね」

ダージリン「2バース目のミッコさんは明らかに1バース目の余裕が失われていたものね」

優花里「相手の土俵に乗らず、むしろ引っ張り込んだ形ですか……奥が深いですねぇ!」

しほ「やはり強いなちよきちの娘は……」チラ

シーン..

しほ「ん?ちよきち?どこに行った?」

しほ「トイレか?だとしても、中座するのなら一言あってしかるべき……」ハッ

しほ「ということは…………大きい方をするつもりか……!?」ガガーン



<シングル戦 トーナメント表>

REZE    ――――
              │―――
        ――――     │
                    │―――
        ――――      │    │
              │―――      │
カチューシャ  ――――            │
                          │────
        ――――           │       |
              │―――      │      |

アンチョビ   ――――      │     │      |
                    │―――        |
         ――――      │           |

              │―――              |
愛里寿    ――――                    |
                                 |────!!優勝!!
アッサム    ――――                   |
              │―――              |
ケイ      ――――     │            |
                   │―――        |

オレンジペコ  ――――     │    │       |
              │―――     │        |
西住まほ   ――――           │       |

                         │────
エリカ     ――――           │
              │―――     │
カルパッチョ  ――――     │    │
                   │―――
MIHO    ――――     │
              │―――
???    ――――




【ステージ】

役人「次の試合は……」

アッサム「」ザッ

ケイ「♪」ザッ!

役人「アッサム対ケイのバトルです!」

ワァァァァ!

ケイ「最初はグー!」

アッサム「っ…!?」ジャンケンポン

役人「それでは先攻後攻…」

ケイ「後攻プリーズ!」

役人「あ、もうじゃんけんしたんですね。わ、わかりました……こほん」

役人「1回戦第5試合、先攻、アッサム!後攻、ケイ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュルル!


http://www.youtube.com/watch?v=N6PUE2NrICc 2:00くらい(4ターン終了時)

<1回戦 第5試合 先攻アッサム VS 後攻ケイ>

アッサム「ノリだけのリーダーへのメッセージ」

アッサム「徹底的に勝つ 防御は鉄壁」ワァァ!

アッサム「攻めも守りも 損も得も」

アッサム「関係ない 踊らない あなたのコントロール」ワアァ!

アッサム「コント勝負 のような おちゃらけ」

アッサム「する気もない 勝利こそ定め」ワァァァ!

アッサム「だからケイはおしまい フェイクのまま」

アッサム「聖グロだから 作る メイクドラマ」ワァァァ!



ケイ「韻が固い!やばいやばい!」

ケイ「でもそのメイクドラマ やらせみたい」ワァァ!

ケイ「自信が無いから 守りを固めちゃう」

ケイ「大事なとこですぐ やられちゃう」ワァァァ!

ケイ「フェイクだった時 一度もないよ?」

ケイ「憶測じゃなくてさ ちゃんとしないと」ワァァ!

ケイ「韻たくさん踏んだならば勝ち?」

ケイ「NO! ペコちゃんも言ってたね 『ばかちん!』」ワァァァ!



アッサム「全体的に いい加減 マイペース」

アッサム「いつかクビ狙われる 着なさい ハイネック」ワァァ!

アッサム「I REP フリースタイルバトル」ワァ

アッサム「だから戦い 勝ちを重ねとく」ワァァ

アッサム「落ち着き払った所作で 初戦突破」

アッサム「ドバドバのアドレナリンで酔った」ワァ

アッサム「背負った聖グロの旗印」

アッサム「負けること自体が ギルティ」ワァ!



ケイ「お客さん この子もう言うことないみたい」ワァァァ!

ケイ「フラフラ迷いながらバース消化」ワァァ!

ケイ「でも気にせず 勝負 挑んでく」

ケイ「あなたは やる気もリボンも しぼんでる」ワアァァァ!

ケイ「いつも履いてるのは 黒タイツ」

ケイ「伝線しないようにね グッドラック」ワァァァ!

ケイ「今日も着てるね 紺色のセーター」

ケイ「私はケイ 金色(こんじき)のリーダー!」ワァァァァ!!!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!!


アッサム「…………っ」

ケイ「ふぃー」

役人「では判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、アッサムが勝ったと思う人!」

ワァァ!

役人「……後攻、ケイが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!

役人「まずはが1ポイント先取です。では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『ケイ』」

理事長「『ケイ』」

香音「『ケイ』」

新三郎「『アッサム』」

浅井「『ケイ』」

役人「勝者!ケイ~~~~!!!!」ワァァァァ!!

ケイ「イエーイ!サンキュー!」



【2階席】

杏「いっひひ。おケイらしい勝ち方だねぇ」

ダージリン「彼女の2ターン目の『この子言うことないみたい』が的を射ているように感じてしまったわね」

杏「だから先攻は難しいんだよねー。攻撃する、あるいは自分の力を誇示したり目的を表明するなりしないと、フワッとした曖昧な印象しか残せない」

ダージリン「…となると相手の攻撃をどうアンサーするかの戦いになってしまう。これでは先攻でありながら1ターン少ない後攻のようなものね」

優花里「なるほど……」

杏「ライミングで攻めてもライミングで反撃しないから、2バース目以降をどう返せばいいか悩ましいよね。冷泉ちゃんは前におケイに勝ってるけど、それはライミングに圧倒的な自信があるからなわけで、そうでもなければ攻め手に欠くよねぃ」

ダージリン「アッサムには聖グロリアーナの代表として頑張ってほしかったけれど……残念だわ」

杏「あ、そういえば次の試合…」

ダージリン「ええ。オレンジペコが出るわ」

杏「……個人的にはさ、オレンジペコちゃん最強クラスのイメージあるんだよね」

ダージリン「あら。最大の賛辞ね」

杏「西住ちゃんとのコンビでもそうだけど、相手の嫌がるところを突くのが上手いし、ライミングもこなせるから」

ダージリン「うふふ、我がことのように嬉しいわ」

杏「……ただ、1回戦の相手が西住ちゃんのおねーさんってのがねぇ」

ダージリン「……そうね。わたくしの見立てでも、ペコが最強クラスであると思うけれど、まほさんも最強クラスであるのは間違いないわ」

杏「優勝した勢いはオレンジペコちゃんにある。お客さんの支持もそう。でも油断できる相手じゃない」

ダージリン「だからこそ、一分の隙も作らず、全力で勝ってくれると信じてるわ」

杏「………………」

杏(準決勝とかもっと先で観たいカードだったけど……さて、一体どうなるのかな)



<シングル戦 トーナメント表>

REZE    ――――
              │―――
        ――――     │
                    │―――
        ――――      │    │
              │―――      │
カチューシャ  ――――            │
                          │────
        ――――           │       |
              │―――      │      |

アンチョビ   ――――      │     │      |
                    │―――        |
         ――――      │           |

              │―――              |
愛里寿    ――――                    |
                                 |────!!優勝!!
        ――――                   |
              │―――             |
ケイ      ――――     │            |
                   │―――        |

オレンジペコ  ――――     │    │       |
              │―――     │        |
西住まほ   ――――           │       |

                         │────
エリカ     ――――           │
              │―――     │
カルパッチョ  ――――     │    │
                   │―――
MIHO    ――――     │
              │―――
???    ――――




【ステージ】

役人「それでは1回戦 第6試合は…………オレンジペコ対西住まほ!」

ワァァァァァ!!

オレンジペコ「…………」

まほ「…………」

オレンジペコ(いきなり嫌な相手とですね……8小節2ターンが功を奏すかあるいは裏目に出るか……)

役人「早速始めましょう!先攻後攻じゃんけんをお願いします!」

ジャンケンポン

まほ「……後攻で」

オレンジペコ(……なるほど。私を侮ってはいない様子ですね。それはこちらも同じ。全力で戦わなければあっさり負ける危険のある相手と捉えています。初っ端から本気で勝ちに行きます)ギラリ

役人「OK!先攻、オレンジペコ!後攻、西住まほ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュリリリ


http://www.youtube.com/watch?v=gdXiDGICNHg&t=16s 2:57

<1回戦 第6試合 先攻 オレンジペコ VS 後攻 西住まほ>

オレンジペコ「準決前に純潔を散らしちゃった 無冠の女帝さん」ワァァ!

オレンジペコ「ムカつくというか虚無感でしょ 狂っちゃったよ計算」ワァァア!

オレンジペコ「相方のカチューシャさんばかり 敗因にされて可哀想」

オレンジペコ「で自分は精一杯やった感じ それ非常に卑怯じゃないですか?」ワァァァ!

オレンジペコ「しかも途中チームワークが崩壊 強気同士はどうしようもない」

オレンジペコ「折衝役がいないと結局負ける チームで決闘の場合」ワァァ!

オレンジペコ「MIH×O×RENGE 見て したらいいですよ お勉強」

オレンジペコ「先輩方 差し置いて優勝しちゃって ごめんよー」ワァァァ!



まほ「優勝して見た景色が お前をそうさせたのか」

まほ「困惑してしまう 的(まと)と同じように 外せ色眼鏡」ワァァ!

まほ「敗因 人のせいにしてねぇ お前が勝手にそう感じてるんだろうが!」ワァァァ!

まほ「虚無感なんて一生無い 常に先と上を見据えるからな!」ワァァァァ!

まほ「優勝した瞬間 頂上は通過点になる そしてまた走る」ワァァ!

まほ「安堵しながら 一休み気分のお前とは違うんだよ!」ワァァァァ!

まほ「MIH×O×RENGEの勝因を自分の成果と勘違い」

まほ「アドバイスのお礼に 黒い色を付けて叩き返してやるよ」ワァァァ!



オレンジペコ「早口で弁明 それだけ記憶が鮮明なわけですね」ワァァ

オレンジペコ「チームワークの件はノーアンサー ごく自然に使う黙秘権」ワァァ!

オレンジペコ「あのー、私が勝因なんて 一言たりとも言ってませんけど?」

オレンジペコ「あなたが勝手にそう感じてるんでしょうが!」ワァァァ!

オレンジペコ「虚無感が無いんですか それってなんか人間味ない自慢?」

オレンジペコ「『全然寝てなくて~』みたいな意味不明のダサイ感じ」ワァァ!

オレンジペコ「優勝したことないくせに 頂上が通過点?」

オレンジペコ「予想か想像か妄想か病状か とにかくなんつーか変です」ワァッァア!



まほ「優勝なら経験済み 戦車道で何度もしてる」ワァァァ!

まほ「お前は ここ数年の記憶が曖昧らしいな!」ワァァァ!

まほ「睡眠時間の話なんて 全然関係ねぇ」

まほ「寝てないのはお前だろ ずっと寝ぼけたこと言ってやがる!」ワァァアァア!

まほ「チームワークの話は ほんの些細なミス」

まほ「ミスが1つも許せないのか? 人間味が無いのはどっちだよ!」ワァァァッァ!

まほ「お前は 使っていいよ黙秘権 だがよく聴け」ワァァ

まほ「この会場 判定で耳にする声が お前に下される現実だ!」ワァァァァァア!!!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!


役人「……えー、では判定に入ります!先攻、オレンジペコが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「後攻、西住まほが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァァァ!!!

オレンジペコ「っ……」


役人「まずは後攻、西住まほに1ポイントが入ります!では審査員……………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『西住まほ』」

理事長「『西住まほ』」

香音「『西住まほ』」

新三郎「『西住まほ』」

浅井「『西住まほ』」

役人「勝者!西住まほ~~~~!!!!」ワァァァァ!!



まほ「…………」フゥ

オレンジペコ「………………あの、ありがとうございました」スッ

まほ「ああ、こちらこそありがとう」ガシッ

オレンジペコ(正直、2ON2で優勝出来たし、勢いはこちらにあるから勝てると思ったんですけど……まるで通用しなかった)

オレンジペコ(強いなぁ…………この人……)クス

まほ「?なにか」

オレンジペコ「いえ。このあとも頑張ってください」

まほ「ああ。ありがとう」

オレンジペコ(これで聖グロは全滅……申し訳ありませんダージリン様)


【2階席】

沙織「みぽりんのお姉さんすごい!強い!」

優花里「これは……まさに花を生ける時の力強さですね」

沙織「……ゆかりん?何を華みたいなことを……って!」

優花里「………………」
華「………………」

沙織「…………ゆかりんの後ろにピッタリくっついてゆかりんが言ったみたいにしたわけね」ハァ

華「うふふ。バレては仕方ありませんね」ニッコリ

沙織「何の意味があるのよもー。ゆかりんも付き合わなくていいからね」

優花里「はあ……でも五十鈴殿が『素晴らしいアイデアを思い付きました!』と言われたのでつい……」

杏「ほんとほんと、超魔術みたいなアイデアだったと思うよー?」

華「ほら!」

沙織「……いや、会長適当言ってるだけだから」

杏「あっはは」

ダージリン「それにしても今の試合……正直驚いたわ。負けるとしても延長にもつれこんで、という形だと予想していたけれど……」

杏「オレンジペコさんはかなりいい感じだった。1バース目なんか絶好調で、このままの勢いで勝つんじゃないかって思わせるほどに。でも西住ちゃんのお姉ちゃんの、あの空気を一気に変える感じ……やばいね。おケイに通じるものがあるよ。だからこそ2回戦でその2人が対戦するのが楽しみだけど」

しほ「………………」

しほ(ちよきち……私に何も告げず、メールも置手紙もせずにいなくなる……トイレなのは間違いないだろうが、だとしても一言あってしかるべきだろう)

しほ(それが無いということは……誘拐……いや、まさか……)



<シングル戦 トーナメント表>

REZE    ――――
              │―――
        ――――     │
                    │―――
        ――――      │    │
              │―――      │
カチューシャ  ――――            │
                          │────
        ――――           │       |
              │―――      │      |

アンチョビ   ――――      │     │      |
                    │―――        |
         ――――      │           |

              │―――              |
愛里寿    ――――                    |
                                 |────!!優勝!!
        ――――                   |
              │―――             |
ケイ      ――――     │            |
                   │―――        |

        ――――     │    │       |
              │―――     │        |
西住まほ   ――――           │       |

                         │────
エリカ     ――――           │
              │―――     │
カルパッチョ  ――――     │    │
                   │―――
MIHO    ――――     │
              │―――
???    ――――



【ステージ】

役人「次の試合は~~~!エリカ対カルパッチョ~~!」

ワァァッァア!

エリカ「………………」

エリカ(こいつとは初対戦だけど、ライムを連発するスタイルなのはREZEと同じ。だったら対処法は出来てるわ!)ギラリ

カルパッチョ「………………」

カルパッチョ(この人はバイブスが高い上にライミングも上手。厄介な相手ですね)

役人「先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン!

エリカ「!後攻よ!」

役人「OK!先攻、カルパッチョ!後攻、エリカ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」シュビビビ!


http://www.youtube.com/watch?v=sXjxkTQ6p1Y 2:46

<1回戦 第7試合 先攻 カルパッチョ VS 後攻 エリカ>

カルパッチョ「先攻カルパッチョ 韻が先行 みんなセッション」ワァァ

カルパッチョ「進化面倒 がる子 置いて 走り出す 銀河鉄道」ワァァァ

カルパッチョ「軽くウォーミングアップ 押韻、スラング」

カルパッチョ「高みを目指そうキングカズ」ワァァァ!

カルパッチョ「エリカは 大体 オラオラ系」

カルパッチョ「古すぎる マイアヒ 飲ま飲まイェイ」ワァァァ!

カルパッチョ「全然 洗練 されてない流派」

カルパッチョ「足りないのは工夫か? またはIQだ」ワァァァ!



エリカ「何が言いたいの!? ハッキリしなさいよ!」ワァ!

エリカ「ライミングしたいだけで内容に 意味がないの?」ワァァァ!

エリカ「なんでもいいわよ オラオラ系でもガテン系でも」

エリカ「ただ飲ま飲まイェイより私は 俄然Yeah」ワァァァ

エリカ「韻はすごいけど 内容がスカスカ」ワァ

エリカ「なんで突然出てくるの キングカズが」ワァァ!

エリカ「1回戦負け 残念 あんたはここで最終回」

エリカ「カルパッチョに足りないのはバトルIQだ!」ワァァァ!



カルパッチョ「私に足りないのは バトルIQ?」

カルパッチョ「いえいえ、それは国外級」ワァァァ!

カルパッチョ「キングカズぐらい ストイックに スッといく」ワァァァ!

カルパッチョ「スト行くよりもずっと密に 精神性はストリップ」ワァァァァ!

カルパッチョ「さらけ出したまま投げ出しはせずに 優勝まで駆け」

カルパッチョ「You超ダメ 夢遊病者へ 告げるよ 終了だね」ワァァア!

カルパッチョ「エリカもスタイル中途半端だ 有毒なんだか」ワァァ

カルパッチョ「韻踏みたいのか どっちかね? 陳腐に最後は どっちらけ」ワァァァ!



エリカ「どっちらけ? はあ!?それは こっちのセリフ!」

エリカ「韻だけ適当な味付け 意志の薄いエキス」ワァァ!

エリカ「夢遊病者? 突然のワード 理解不能」ワァァ

エリカ「そのくせ 『さらけ出してる』とか 痛いっつーの!」ワァァァ!

エリカ「ちゃらんぽらんな アンツィオが ストイック?」

エリカ「あんたこそ ニセモノの匂いしか感じない クソ陳腐!」ワァァア!

エリカ「こっちは 真剣な想いを ぶつける相手を欲してる!」

エリカ「それが あんたじゃないってことは よく知ってる!」ワァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァア!


役人「では判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、カルパッチョが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!

役人「……後攻、エリカが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

エリカ「…………」チッ

役人「まずはカルパッチョが1ポイント先取です。では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『エリカ』」

理事長「『エリカ』」

香音「『エリカ』」

新三郎「『カルパッチョ』」

浅井「『エリカ』」

エリカ「っし!」グッ

カルパッチョ「…………っ」

役人「審査員は4対1でエリカを支持!ということで延長戦です!」ワァァァ


【2階席】

沙織「4対1って結構な差じゃん」

華「まさにメガ盛りと小ライス、ですね」

優花里「私はカルパッチョさんが韻をたくさん踏んでいて心地よかったのですけどねぇ」

杏「それが難しいとこなんだよねぃ。韻踏んでりゃーいいわけじゃない。アンサーで言ったら逸見エリカの方が返せてたし」

ダージリン「でもあれだけライミング出来るテクニックは評価されてしかるべきだけれどね」

沙織「…………あれ?」

華「どうしたんですか沙織さん?また体重が増えたと気付いた時のような顔をして」

沙織「そんな顔してないもん!あれ……」

華「?」



しほ「………………」



華「みほさんのお母様ですわね」

沙織「さっきまで一緒に観てたのに、いつの間にかちょっと離れたところにいる……しかも愛里寿ちゃんのお母さんがいないね」

優花里「何故移動したのでしょうかねぇ」

沙織「わかんない……でもなんかすっごい真面目な顔してステージ見てるし、そっとしておいた方がよさそう」

優花里「……確かにそうですねぇ。しかしバトルを観て、西住殿のお母さんがどのように考えているのか……気になりますぅ」

桃「それは私も同感だが、話しかけて邪魔をするのはやめた方がいいだろう」

沙織「ですね」



しほ「………………」

しほ(ちよきちがいなくなってしまった今、1人でとても寂しいわ)

しほ(今まで通り大洗の子たちと一緒にいれば賑やかで楽しそうだけれど……ちよきちがいなくなってしまった今、私だけ混ざるのは危険)

しほ(何故なら、会話をした際に、イマドキの子には通用しないおばさんっぽい言葉遣いをしてしまった場合、みほの今後の学校生活に響くかもしれない)

しほ(いえ……それ以前に、死語を死語と知らずに使ってしまった時の周りの冷めた反応が怖いわ。家元でもその怖さはおんなじ)

しほ(つまり私に出来ることは、こちらからあの子たちに近付かず、なおかつ向こうから話しかけられることの無いように、怖い顔を保ちつつ腕組みをして威圧感を出し、さも何か深いことを考えているであろうと思わせるために、時折意味も無く頷いたり首を横に振ったりするしかないわ)

しほ(並行して試合観戦もしなければいけない。やることは山ほどある。それもこれもちよきちがいなくなったせいね。今度串カツか焼き鳥か……串系のモノをご馳走してもらわないといけないわ)フゥ



【ステージ】

役人「延長戦のじゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

カルパッチョ「……後攻にします」

役人「OK!先攻、エリカ!後攻、カルパッチョ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュキュ!


http://www.youtube.com/watch?v=4QeFdEbd3i4 2:55

<1回戦 第7試合 先攻 エリカ VS 後攻 カルパッチョ 延長戦>

エリカ「今度こそ まともな会話しましょうか!」ワァァ

エリカ「そうでないなら この場で登録抹消だ」ワァァァ!

エリカ「私は悠々と進む 優勝への 道のり」

エリカ「あんたアンツィオのくせに足りない ノリと勢い」ワァァ!

エリカ「意気込み 見えない 勝つ気あるわけ?」

エリカ「こっちは全力全開 差を見せつけるだけ!」ワァァ!

エリカ「ライム戦隊 ちゃんと合わせなさいよ 辻褄」

エリカ「じゃなきゃ 家に帰ってアニメ観てろ プリキュア」ワァァァ!



カルパッチョ「辻褄で踏むために 無理くりプリキュア」

カルパッチョ「家に帰るより歌う フニクリ・フニクラ」ワァァァ!

カルパッチョ「こんなライムでお客さん 次々クビ振らす」ワァァァ!

カルパッチョ「ノリノリにさせちゃう スキルに振り向かす」ワァァァァ!

カルパッチョ「それで全力? 息切れの めんどくさい子」

カルパッチョ「支持してくれた審査員に 面目ないよ?」ワァァァ!

カルパッチョ「あんたのスタイル好きなのは ヤンキーのみ」

カルパッチョ「キーキー喚く お猿さん 食べなさい バナナや木の実」ワァァァア!



エリカ「あんたは 私をマジで怒らせた」

エリカ「無駄な抵抗は そこまでだ」ワァァ!

エリカ「原則 減速なんてしない 加速あるのみ」

エリカ「歯向かうつもりなら 早速狩るのみ」ワァァ!

エリカ「『踏むために 無理くり』って あんたが散々やってたでしょうが!」

エリカ「自分の吐いた言葉 思い返してから言ってこいっつんてんだよ!」ワァ!

エリカ「調子乗ってっと顔中に 真っ赤なトマトソース」

エリカ「ぶっかけたみたいな状態にすんぞ 入院コースだオラ!」ワァァ!



カルパッチョ「これ言葉の争い合い まだ理解してない? あらそう意外」ワァァ!

カルパッチョ「なら折り合い つけないと わかるかな相違ない?」ワァァァ!

カルパッチョ「観客からは好感触 ライミング 超感覚」ワァァ!

カルパッチョ「総監督より相談役向き 冗談無く 商談勝つ」ワァァァァ!

カルパッチョ「エリカ 加速しても方向適当 まるで痴呆症」ワァァ

カルパッチョ「丁稚奉公(でっちぼうこう)からやり直してほしい どいて素人」ワァァァ! ※丁稚奉公・・・年少時から、職人や商人などの家に住み込みで働き、雑用に従事すること

カルパッチョ「後半は聞くに堪えない 罵声、罵倒」

カルパッチョ「だせぇアホ 2回戦 行くのは私 渡せ、バトン」ワァァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!


エリカ「くっ!」チッ

カルパッチョ「ふー……」

役人「では!延長戦の判定に入ります!」

役人「まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、エリカが勝ったと思う人!」

ワァァ!

役人「……後攻、カルパッチョが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!!

役人「まずはカルパッチョが1ポイント先取です。では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『カルパッチョ』」

理事長「『カルパッチョ』」

香音「『カルパッチョ』」

新三郎「『カルパッチョ』」

浅井「『カルパッチョ』」

役人「勝者!カルパッチョ~~~~!!!!」ワァァァァ!!

カルパッチョ「……よし」

エリカ「……………ちょっとあんた」

カルパッチョ「え?」ビクッ

エリカ「私に勝ったんだから、いいところまでいきなさいよね」

カルパッチョ「は、はい。そのつもり……です」

カルパッチョ(優勝しなさいと言わないのは、私では無理だと思っているからでしょうか?だとしたら…………悔しいですね)

カルパッチョ(今の言葉をいい意味で裏切って、優勝したいという気持ちが強く湧いてきました)グッ..

エリカ「………………」

エリカ(ここで勝ってれば、みほと戦えたかもしれなかったのに……私、何やってんのよ)ハァ..


【2階席】

沙織「そろそろみぽりんが出てくる頃かなあ?」

華「そうですね。おそら…」

優花里「にしずみどのぉ~!素敵ですぅーーー!!」ウォォォォォ!!

沙織「ちょ、ちょっとちょっと。まだ出てきてないってば」

優花里「いえ!私にはわかります!ステージ上に西住殿の姿はなくとも、西住殿の匂いはステージに漂っていますぅ!」

沙織「それだとみぽりんが体臭きついみたいに聞こえちゃうからやめたげて」

華「しかし……対戦相手は『はてなはてなはてな』のままですが……一体どなたがみほさんと戦うのでしょうか?」

杏「そういやそーだね。ダージリンは誰だと思う?」

ダージリン「時間が経てば嫌でもわかるはずよ」クスッ

杏「いや、そういうのいいから。ダージリンの予想を聞かせてってば」

ダージリン「……みほさんが驚く相手でしょうね」

杏「漠然としてんね。個人名でハッキリ教えてよ」

ダージリン「………………今のご時世、個人情報はおいそれと出せないわ」

杏「……あっれー?もしかして予想を外すのが怖い~?」ニヒ

ダージリン「……いいえ」

杏「じゃ言ってよ。ほい」

ダージリン「そう……怖いのは私の予想が外れることではないわ。みほさんの対戦相手が予想の範囲外の人物であった場合、果たしてみほさんは正常な精神状態で戦えるのか……全力を出し切れないのではないかと思うと…………私はそれがとても怖いわ」

杏「………やっぱダージリンめんどくさーい。そしてひきょーものー」


ダージリン「……ふふ、今は卑怯者のレッテルをあえて受けましょう。ですが、試合後には全てが覆さ…」

華「会長はどなただと思いますか?」

杏「んー……なんとなく思い浮かんだのは……」チラ

華「?」チラ



しほ「…………」キリッ



華「みほさんのお母様ですか?花を生け損なったような表情をしている…」

杏「凛々しい感じなのに生け損なってんだ」アハハ

華「あら?でも今この場にいたのではステージに行くまで時間がかかってしまいますが……」

杏「あぁ、違う違う。私の予想は西住ちゃんのお母さんじゃなくて……」

華「?」

杏「……少し前から姿を消してるあの人かなって」

華「…………あっ、なるほど!お笑い芸人さんの…!」

杏「ちげーから。最近テレビ出てないとかじゃなくて、さっきまであそこで一緒に観戦してた人がいるでしょ?」

華「?……あ、島田千代さんですか?」

杏「そ。急にいなくなったんでしょ?変だなと思って」

ダージリン「……うふふ。さすが杏さんね。私の予想と近いわ」

杏「近いってことは一緒じゃないんだ?誰なの?」

ダージリン「今は近いとしか言えないわね」ウフフ

杏「はいはい」

桂利奈「私はここにいる」

あゆみ「わ、急にどうしたの?」

あや「ハルヒに出てくるセリフ?」

桂利奈「……いや、なんかまた前みたいに、この場にいない子扱いされてる気がして……」

優季「そんなことないよ~?」

梓「うんうん!桂利奈ちゃんすっごい声出してたし、私たちに解説っぽい感じのことしてくれたもん」

桂利奈「……そう?ならよかったー!」


【舞台袖】

みほ「………………」

みほ(もうそろそろ出番だけど、相手がわからないのってすっごい不安だよー)ドキドキ

ザワ..

みほ(?なんかざわついてるけど……?)

役人「で、ではMIHO!入場してください!」

みほ(呼ばれた……何がなんだかわかんないけど、行こう!)タッ


【ステージ】

みほ「………………」

みほ「!!」

みほ(対戦相手が立つべき場所にいるあの人は……!)

千代「………………」

みほ(愛里寿さんのお母さん!?確か昔ラップやってたとは聞いてるけど!)

千代「………………」ジー

みほ「っ……」

みほ(すごい迫力……あの人と戦うの……!?)ゴクリ

役人「え、ええと……?」

千代「マイクを貸してください」

役人「え?は、はい」

千代「……あー、あー。ワンツー。マイクチェックワンツー。ツェー、ハッ!」

役人「………………」

千代「……会場のみなさん、私が何故この場に立っているか、疑問にお思いでしょう。いえ、中にはわかっている方もいるかもしれません。そしてわかっていられない方もいるでしょう。2パターンあるわけですね」

ザワザワ..

みほ(私はわかってない方のパターンに入っちゃってる。どうなるんだろう)ドキドキ

千代「結論から言います」

千代「MIHOさんの対戦相手は………………あなたよ!RENTA THE FUTURE!」ビシィッ!

役人「!!」

みほ「?」

役人「わ、私が……ですか!?」

千代「そうよ」

みほ「ええっ!?」

みほ(この役人さんとバトルするの!?)

千代「私はその間、代役として司会を務めさせていただくわ。みなさん、よろしく!」ワァァァァ!

役人「い、一体どうしてこんなことに……?」

みほ(……この人も聞かされてなかったんだ。サプライズってやつかな)

千代「前回大会後の打ち上げで言っていたらしいじゃない。自分もバトルがしてみたい、と」

役人「それはそうですが……何分、急な話で正常な思考が保てておりません」アセッ

千代「そう……そのようなザマではバトルが成り立たないわよ」

役人「!」

千代「……急なことなのは当然。あなたが会場を押さえる時間を間違えたことで生まれた時間だもの。でもその結果、あなたがバトルに参加するチャンスを得られた」

役人「………………」

千代「あなたがフリースタイルバトルに熱中しただけに留まらず行動したおかげで、このような大会を開催できたのだから、その功労者としての特別枠、という措置ね」

役人「………………」ゴクリ


千代「あとはあなたが決めるだけよ。どうするの?」

役人「わ、私は……」

役人(こんな豪華なステージの上で司会が出来るだけでも気分が高揚しているというのに、バトルまで出来るなんて……あまりにも贅沢が過ぎるのでは……?)

千代「……参加しないのであれば、私が代わりに参戦してもいいけれど」

役人「っ!?で、出たいです!バトルをさせてください!お願いいたします!」ペコッ!

千代「………わかりました」フフッ

みほ(戦う私にはなんの拒否権も無いんだ)ホーゥ

千代「MCネームは………RENTA THE FUTUREでいいのかしら?」

役人「…………いえ、RENTA 365(れんた さんろくごー)でお願いします」

千代「わかったわ!それではそろそろ試合を始めます!MIHOさん、準備はいいかしら?」

みほ「あ、はい」

みほ(なんか色々急すぎてついていけない部分はあるけど)

役人「………………」

みほ「………………」

みほ(この人と戦うんだ……)

みほ「……………………そういえば」ボソ

みほ(……大洗が廃校の危機になったのって、この人が廃校にするように動き出したことが大きな原因だったっけ……)

みほ(そう考えると……なんか…………)

役人「まさかバトルが出来るとは……練習しておいてよかった。しかし、もし私がこのまま優勝してしまったら空気がしらけてしまうのではないだろうか。いや、今はそのような気配りよりも集中しなければ……」ブツブツ

みほ「……………………」

みほ(絶対負けたくない気持ちが……すっごく湧いてきた!)ギラリ

千代「よろしい。それでは先攻後攻じゃんけんをしてください!」

ジャンケンポン

役人「!ええと……後攻で様子見をさせていただきます」

千代「OK!それでは1回戦 第8試合、先攻、MIHO!後攻、RENTA 365!DJルミ……やぁっておしまい!」

ルミ「え……?」

千代「…………何をしているの?合図したでしょう?」

ルミ「あ……え……っと?やっておしまいが合図、ですか?」



しほ(ちよきちが何処にいるか、わかったのは良かったが……そう思った矢先!)

しほ(おばさんくさいことを言ったらイマドキの子にのけ者にされるというのに!よりによって公の場で!)

しほ(しかし……ここで私が『それはドロンジョ様の名言。DJルミさん、早く始めないとおしおきするわよ』とでもフォローしようものなら……私までイマドキの子に……)クッ



千代「……いいわ。今までのやり方を踏襲します。では気を取り直して……」コホン

千代「先攻、MIHO!後攻、RENTA 365!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「…………」キュルルッ!


http://www.youtube.com/watch?v=JWzS3mgpJms 4:00

<1回戦 第8試合 先攻 MIHO VS 後攻 RENTA 365>

みほ「サプライズで登場してきた男 RENTA 365」

みほ「優勝どころかプライズも手にさせない 一生 一勝も無理 変な貫録を」ワァァァ!

みほ「見せようとして 空回りがオチ 頭わりー野郎へ つい 落とす鉄槌」

みほ「出る杭 打とうとして指をトンカチで殴ったくち 消しカスにする へっつい」ワァァァ! ※へっつい・・・かまど

みほ「高校生相手に おとなげない 廃校提案 全く愛情ねーな」ワァァ

みほ「はいそーですか 言えるわけない ムカつく 大体毎回態度デカイ」ワァァァ!

みほ「廃校阻止のため戦車道 メンバーほぼ1から 戦力内外」

みほ「ひっくるめ 必死に優勝したんだ 全国大会! それなのに!」ワァァァァ!



役人「YO!今はバトルだ そんなの関係ないだろ MIHO」

役人「そんないざこざ 聞き飽きた 何度も何度もあったよ過去にも」

役人「こちらは仕事 キミらも自分で自分に責任持ってから言え!」

役人「Yeah! 大人をなめたら痛い目見る 別に腹いせじゃないんだぜ!」

役人「頭悪い野郎とか言ってるが 文科省の局長ですけど!?」ワァァ!

役人「極上のライムを見せて 会場をブチ上げる! それが特上!」ワァ!

役人「プライズはUFOキャッチャーの景品 そう ゲームセンター」

役人「だからどうした? 年上に対する口調が大体無礼だ!」ワァ!



みほ「大体無礼だ バトル 社会で幅とる役人 でもあなたバイプレイヤー」ワァァァ! ※バイプレイヤー・・・脇役

みほ「主役になれず ライムは振り撒けず 客はクビ下げる あなた負ける!」ワァァァ!

みほ「今までバトル見てたくせに口調をつつく このメガネ 度も胸も無い」

みほ「つまり度胸がない 即興じゃないよりはマシだけど ほぼ素で弱い」ワァァア!

みほ「口約束 とか言い 次なる酷 な条件 突き出すオス しかも姑息」ワァァ!

みほ「そんな局長 曲調に合わせられもしない ちょん切るべきかも局部を」ワァアァァ!

みほ「偽(にせ) 誤り 蝕む 偽・誤・蝕(ぎ・ご・しょく) の三国志! 不義で最後は残酷死!」ワァァァァァ!

みほ「昭和生まれのクソメガネ 正月までお風呂で泣け!」ワァァァァァ!



役人「……言いたい放題状態 なんとかしてくれよ兄弟…」

役人「とか言わないぜ RENTA 365!見せつけてやるぜ貫録を!」

役人「監督を!そうつまり野球の監督みたいに視野が広いぜ!」

役人「MIHOが何言おうと気にしない そんなプレッシャー 追い越してく!」

役人「胃が痛いとしても意外じゃないし 理解して 終いには西住姉妹に勝つ!」ワァァ!

役人「カツ丼みたいな卵 そうつまり政治家の卵みたいな感じ」

役人「このステージ上でカマボコみたいな そう 板の上で 戦うMCだぜ!」ワァ

役人「曲調には余裕で そう 猶予ありまくりで言うよ だから注目!」ワァ



千代「おやめなさい!」

ワァァァァ!


みほ「はぁ……はぁ……」

役人「…………ぐふっ」ガクッ

千代「……まだ判定が終わっていないわ。シャキッとしなさい。24時間働ける感じで!」

役人「は、はい!」ビシッ!

千代「よろしい!では判定に入ります!まずはお客さん!先攻、MIHOが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!!

千代「……はい。では後攻、RENTA 365が勝ったと思う人!」

ワァ..

千代「まずはMIHOに1ポイント入ります。それでは審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!


亜美「『MIHO』」

理事長「『MIHO』」

香音「『MIHO』」

新三郎「『MIHO』」

浅井「『MIHO』」

千代「勝者!MIHO~~~~!!!!」ワァァァァ!!



みほ「…………」ホッ

役人「やっぱり……ダメでしたか……」ガックリ

みほ(……本気で落ち込んでる。それだけフリースタイルバトルに強い想いを持ってるんだ)

みほ(大洗を廃校にしようとしたり、メガネが邪魔で眼球がよく見えなかったりしてたけど……もしかしたら意外と純粋な人なのかも)


みほ(……廃校の件は理不尽で嫌な思いをしたけど……)

みほ(それとフリースタイルバトルは……別の話だよね)スッ

役人「…………え?MIHO……さん?」

みほ「あの……試合後の握手を……」

役人「あっ!そ、そうですね!」

みほ「……ありがとうございました」

役人「こちらこそありがとう。全力でぶつかってきてくれて嬉しかったよ」ガシッ

千代「……万々歳ね」フフッ

千代「みなさん!このあとは引き続き、RENTA 365が司会を務めます!短い間でしたが、ありがとうございました!」ペコリ

ワアァァァ!

役人「CHIYO CARLITOさん……」

千代「その名で呼ぶのはやめなさい。あとは任せたわよ」スッ..

役人「はい!」

役人「………………えー、バトルでは負けましたが、このあとも司会を頑張らせてもらいます!まだまだシングル戦は盛り上がっていくぜ!うぇいよー!」

ワァァァァァ!



【2階席】

沙織「みぽりんすごい迫力だったね」

華「無理もありません。大洗に転校してきてからのみほさんは廃校阻止のために大忙しでしたから。それにきっとお腹も空いている頃でしょうから機嫌も良くないはずです」

沙織「お腹減ってるのは華でしょもー」

梓「そういえば、これで1回戦の全試合が終わったんですよね?」

あや「どうなってるどうなってる?」

柚子「ええっと……」



<シングル戦 トーナメント表>

REZE    ――――
              │―――
        ――――     │
                    │―――
        ――――      │    │
              │―――      │
カチューシャ  ――――            │
                          │────
        ――――           │       |
              │―――      │      |

アンチョビ   ――――      │     │      |
                    │―――        |
         ――――      │           |

              │―――              |
愛里寿    ――――                    |
                                 |────!!優勝!!
        ――――                   |
              │―――             |
ケイ      ――――     │            |
                   │―――        |

        ――――     │    │       |
              │―――     │        |
西住まほ   ――――           │       |

                         │────
        ――――           │
              │―――     │
カルパッチョ  ――――     │    │
                   │―――
MIHO    ――――     │
              │―――
        ――――



柚子「こんな感じね」

桃「大洗は2人とも残っているな。いいぞ」

ダージリン「ペコとアッサムは残念ながら敗れてしまったわね。でも健闘してくれたわ」

杏「2人とも相手が悪かったのかもね」

そど子「ちょっと!2回戦の最初が冷泉さんの試合じゃないの!なんなのよ!」

沙織「応援しましょうね!」

そど子「す、するわけないじゃない!べ、別に冷泉さんのことなんてなんとも思ってないんだからねっ!」

桂利奈「わぁ~……そど子先輩すごい!見事なツンデレです!」

そど子「つ、ツンデレって何よ!見事ってつく以上、褒められて悪い気はしないけれど……」

パゾ美「まぁまぁ。大洗の生徒だし、私情を挟まずに声援を送ろうよそど子」

そど子「な、なによパゾ美!私と冷泉さんがただ同じ学校っていうだけの関係だって言うの!?そんなのおかしいじゃない!こんなに……ドキドキしてるのに……///」

ゴモヨ「もう放っておこう」

パゾ美「うん……」

杏「冷泉ちゃんの相手はカチューシャかぁ……」

ダージリン「どう思う?」

杏「2ON2で負けてから一皮むけた感じがするね。負けて強くなる典型的な例っぽい」

ダージリン「今までのカチューシャは、冷静で大人であろうとするものの、嫌な部分をつつかれると逆上してしまう向きがあったわ。でも前回と今回の敗北を重ねたことで吹っ切れたのかしら?本来のカチューシャらしさが表面に出ている気がするわ」

杏「そだね。そんなカチューシャと冷泉ちゃんのバトルかー……どう転がるか見物だねぃ」ニヒヒ



【ステージ】

役人「それでは2回戦 第1試合を始めたいと思います!REZE対カチューシャ!」

役人「……ですがその前に、ここで訂正があります!先ほどは1回戦、2回戦は8小節2ターンで行うと言いましたが、この2回戦は、8小節3ターンの勝負となります!」ワァァッァア!

役人「他は変更ありません。準決勝は同じく3ターン。そして決勝戦は4ターンです。ということでよろしくお願いします」ワァァァ

麻子「………………」

麻子(3ターンの方が慣れているから都合がいい。それよりも……今回の相手…)チラ

カチューシャ「………………」

麻子(……怒らせれば勝手に崩れる印象だったが……さっきまでのバトルとこの表情を見る限り、もうそういう次元では無さそうだ)

麻子(……いや、もともと私はライミングで戦うだけだ。それが私のスタイルで、私の一番好きなことだからな)

役人「先攻後攻じゃんけんをお願いします!」

麻子(出来れば勝って後攻をとりたい)

ジャンケンポン!

麻子「!……後攻」

役人「OK!では先攻、カチューシャ!後攻、REZE!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」ギュルリリ!


http://www.youtube.com/watch?v=VQDcAJsVUsg 2:57

<2回戦 第1試合 先攻 カチューシャ VS 後攻 REZE>

カチューシャ「ビート ノッて客を揺らし REZEの脳も揺らす」

カチューシャ「シケた韻は効かない 計り知れない強度」ワァァァ!

カチューシャ「後攻 とれば勝てる? 思い上がり」

カチューシャ「本当 どうしようか この苛立ち」ワァァァ!

カチューシャ「ここで勝てばベスト4 つまり四天王?」

カチューシャ「どうでもいい! 私は優勝を目指してんのよ!」ワアァァァ!

カチューシャ「あんたが どんな返しするのかが見ものだわ!」

カチューシャ「見事なまでにクールぶるんでしょ この色物が!」ワァァァ!



麻子「色物から一言 お前も最初クールぶって四の五の」ワァァ!

麻子「言ってたはず しつけがまず なってない子供」ワァァァ!

麻子「ベスト4になれても お前 四天王で最弱」

麻子「挨拶もされず 舐められて常に 借りパク」ワァァ!

麻子「ハリーアップ バニーガール より強度薄い 防御力」ワァ

麻子「自分大好き勘違い女 最後は 超孤独」ワァァ!

麻子「雷鳴が轟く 暗く脅える 独房の奥」ワァァァ!

麻子「照らすぐらい名作となるライミング 速攻落とす」ワァァァ!



カチューシャ「雷鳴とか独房とか孤独とか 急に文学少女!?」ワァ!

カチューシャ「宣言したなら 名作ライムを見せなきゃ薄情よ!?」ワァァ!

カチューシャ「遺作にならないと いいわねぇ! ライムに すがるパラサイト!」ワァァァ!

カチューシャ「しつけどうこうより ライム特化の位置付けがしつけーわ!」ワァッァア!

カチューシャ「韻踏んでばかりじゃ不公平 たまには踏まれなさい」

カチューシャ「優勝へ弾みつけるために 私の踏み台になれ!!」ワァァァ!

カチューシャ「ライミングだけで遊んでる あんたじゃ優勝は無理だから!」

カチューシャ「優れてる部分も 活かせなきゃ 宝の持ち腐れ!」ワァァ!


麻子「『優れてる』これ失言 そう気付けん 愚かなカチューシャ」ワァァ

麻子「他人に すぐレッテル 貼る病気 必要だ 点滴か注射」ワァァッァア!

麻子「ていうか自分も 脚韻で『かっくぃ~』て表情」ワアッァ!

麻子「予想以上にダメダメで バレバレだよ 客に」ワァァァ!

麻子「私に当てはまらない 宝の持ち腐れ」

麻子「ライミングの気持ち良さに 脳も 体も憑りつかれ」ワァァァァ!

麻子「活かす持ち味 楽しい気持ちもチャージ」ワァァァ!

麻子「韻は私にとってのシャーシ シャーペンとセットでしょ シャー芯」ワァァッァア!!



カチューシャ「そうやって韻踏んだ先に 何が残るって言うわけ!?」

カチューシャ「あんたの言いたいことは?言葉は どこだ!?」ワァァァ!

カチューシャ「シャーペンとシャー芯は セットだと言うために来たのかしら!?」ワッァア!

カチューシャ「だったら あんたは私の敵じゃないわね! とっとと帰れ!」ワァッァア!

カチューシャ「私はマホーシャと戦うために 今 ここに立ってる!」ワァ!

カチューシャ「そしてここから仕上がって 勝ち上がって行く!」ワァッァア!

カチューシャ「あんたは何のために 何を言いに そこに立ってる!?」

カチューシャ「それを あんたのクチから ハッキリと聞かせなさいよ!」ワァァッァ!!



麻子「出た 西住まほと戦うため お涙ちょうだいか?」

麻子「反応薄いの当然 2度目で もう飽きたようだしな」ワッァァァ!

麻子「ここに立つ理由 そこにある自由 この身が尽きる」ワァァァ

麻子「までライミングし続ける意志 でないと ほろ苦く散る から」ワァァァ!

麻子「あんたは勝利だけに 貪欲つーの? ホント不都合」

麻子「少し頭冷やした方がいい 連れて行こう 本牧ふ頭」ワァァァ!

麻子「あんた 感情的なクセに 理屈がすぐ先行」

麻子「勝手な振る舞いで授業を 私物化する先公 のようだ」ワァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァァ!!

カチューシャ「………………」

麻子「………………」


役人「それでは判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、カチューシャが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

役人「……後攻、REZEが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!

役人「……わずかな差ですが……まずはREZEが1ポイント先取です。では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『REZE』」

理事長「『REZE』」

香音「『カチューシャ』」

新三郎「『REZE』」

浅井「『カチューシャ』」

役人「3対2!勝者!REZE~~~~!!!!」

ワァァァァ!!

カチューシャ「!!」

麻子「………………」ホッ

麻子(……なんとか勝てた、という感じだな。バイブスに飲み込まれそうだった)フゥ..

カチューシャ「負け、た…………?」

麻子「………………」

麻子(勝負だから仕方のないこととはいえ、ああも呆然とされると少し気まずいな)

カチューシャ「………………っ……!」フルフルッ!

カチューシャ「悔しいけど……!納得もいかないけど…………結果は受け止めるしかないわ……!」ウルウル

麻子「…………あー」フィッ

カチューシャ「……ちょっと、なんで目を背けるのよ」

麻子「…………泣き顔を見られたくないだろうと思ったんだが」

カチューシャ「な……っ!」ゴシゴシッ!

カチューシャ「……泣いてないわよ!ほら!」

麻子「…………そう、だな。うん」

カチューシャ「…………悪いけど、今は祝福の言葉を言える気分じゃないわ。とりあえず握手だけ」スッ

麻子「……ああ」ガシッ

カチューシャ「………………じゃあ行くわ」スッ

麻子「………………」

麻子(私も以前負けた時は無性に悔しかったのを覚えている……普段はそれほど熱くならない私ですらそうなんだ。感情の起伏が激しい彼女なら私以上だろう)

麻子「………………」

麻子(……私が彼女にかけてあげられる言葉は何もないが……そうだな)

麻子(彼女を負かしたこのスタイルで優勝することで、少しは慰めになるだろう)


【2階席】

パゾ美「冷泉さんが勝ったよ!そど子!」

そど子「べ、別に冷泉さんが勝ったからって私にとってそんなに喜ばしいことじゃないわ!問題は山積み!少子高齢化とか深刻だし!」

沙織「そんなこと言ったらほとんどの出来事で喜べないですよ……」

優花里「しかしすごいです冷泉殿!ベスト4ですよぅ!」



しほ「………………」

千代「あら。まだここにいたのね」

しほ「ちよきち……」

千代「大洗の子たちと一緒かと思ったわ」

しほ「……イマドキの子は難しいからね。SNSとかも危険よ」

千代「ふふ。同感。その辺りの感覚は私としぽりんは昔からぴったしカンカンよね」

しほ「……そうね。ところで……」

千代「?」

しほ「今の試合、ちよきちはどう思う?」

千代「………カチューシャさんは前回同様にバイブスが高く、しかも細かいライミングもあって安定して高いレベルを維持していたわ」

千代「この試合では、そんなカチューシャさんに対して、REZEさんが色々な角度から攻撃を与えて、そのバイブスを削りながら勝ったという印象ね」

しほ「ほう」

千代「REZEさんの勝因は、カチューシャさんの『まほさんと戦いたい』のラインに対し、まず『お涙ちょうだいか?』と言い、なおかつ観客の反応がミカさんとの試合の時より小さかったことを受け、『2度目で もう飽きたようだしな』というアンサーをした…」

千代「このパンチラインにより、観客も審査員も、カチューシャさんがまほさんの名前を、勝つため、盛り上げるためのテクニックとして使っているような印象を与えた。相手へのダメージと周囲へのアピールを併せ持った強力なパンチラインね」

しほ「しかも『お涙ちょうだいか?』と『もう飽きたようだしな』で韻を踏んでいるしな」

千代「その部分はフロウでねじ伏せている形の上、ライミングしているように聴こえにくいけれどね」

千代「…それでもREZEさんのライミングはやはり上質で、『雷鳴』と『ぐらい名作』とか『らいめい』で踏んでいたり芸が細かいわ。カチューシャさんが『優れてる部分も 活かせなきゃ 宝の持ち腐れ』と遠回しに褒めているような言い方をしてしまったのも、そのスキルを認めているからでしょうね」

しほ「『何のために ここに立ってる?』という問いかけには『この身が尽きるまでライミングし続ける意志』というアンサーを返した。ただ好きだからライミングにこだわる。というシンプルなアンサー。こう言われるとカチューシャさんのバイブスが、あまりにも勝ちにこだわりすぎているという風に聴こえるからお客さんもREZEさんの方へ気持ちが傾いていった」

しほ「……個人的には、カチューシャさんがまほと戦ったらどうなるのか見てみたい気持ちが強かったけど……」

千代「そうね。その2人の試合は私も興味があったわ。でもきっとここで勝っても叶わなかったでしょうね」

しほ「何故?」

千代「愛里寿に負けるからよ」

しほ「……ふん、親バカね」



<シングル戦 トーナメント表>

REZE    ――――
              │―――
         ――――     │
                    │―――
        ――――      │    │
              │―――      │
        ――――            │
                          │────
        ――――           │       |
              │―――      │      |

アンチョビ   ――――      │     │      |
                    │―――        |
         ――――      │           |

              │―――              |
愛里寿    ――――                    |
                                 |────!!優勝!!
        ――――                   |
              │―――             |
ケイ      ――――     │            |
                   │―――        |

        ――――     │    │       |
              │―――     │        |
西住まほ   ――――           │       |

                         │────
        ――――           │
              │―――     │
カルパッチョ  ――――     │    │
                   │―――
MIHO    ――――     │
              │―――
        ――――




【ステージ】

役人「さあ!次の試合いきましょう!アンチョビ対愛里寿!!」

ワァァァ!

アンチョビ「…………」

愛里寿「………………」

アンチョビ(こうして目の前に立っても、プレッシャーは感じない。でも強いんだよなぁこの子)

愛里寿(みほさんと決勝で戦うため……絶対に負けられない)

役人「先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン!

アンチョビ「!」

アンチョビ(勝った!後攻の方が有利だろうが……)

アンチョビ「…………先攻!」

アンチョビ(プレッシャーがないのは私を相手にしてないからだろう。わざとじゃなく無意識にそうしてるんだろうけど、それほどみほに執着があるわけだ。そこを突っついて主導権を握ってやるぞ!)

役人「OK!2回戦 第2試合!先攻 アンチョビ、後攻 愛里寿!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュキュッ


http://www.youtube.com/watch?v=aadOiDG3m3E 2:38

<2回戦 第2試合 先攻 アンチョビ VS 愛里寿>

アンチョビ「愛里寿が見てるのは MIHOのことだけ」

アンチョビ「意識散漫 油断しすぎてる アホの子だね!」ワァァァ!

アンチョビ「一試合 一試合 必死じゃないと負ける」ワァァ!

アンチョビ「きっちり がっちりと 勝つために叫ぶ」ワァァ!

アンチョビ「私はちゃんと見てる お客さんプラス 一般家庭」

アンチョビ「そして盛り上げる 子供から じっちゃんまで!」ワァァァ!

アンチョビ「この安定感 とノリの良さは さすがっしょ!」

アンチョビ「見てるだろ? 決勝で会おう カルパッチョ!」ワァァァァ!



愛里寿「私が観てるのは 優勝へのビジョン」

愛里寿「叫ぶだけがラップじゃない 落ち着いて 背伸びしよう」ワァァァ!

愛里寿「一試合ごと必死さが必至なのは ひしひしと伝わる」ワァァァ!

愛里寿「でも私は前傾で ひし形より 円形で勝ち上がる」ワァァァァ!

愛里寿「じっちゃんまで盛り上げるなら 滑舌良くゆっくりね」ワァァ

愛里寿「早口で高ぶりを表現しても 聴き取れないなら無理」ワァァァ!

愛里寿「次で 遠慮なく披露してよ スローテンポ」

愛里寿「私は 苦労せんと 自然体 マイペースの言語」ワァァァ!



アンチョビ「じっちゃんのレベルを上げるのが 私のやり方」ワァァ!

アンチョビ「言葉キツキツ だろうと詰め込んで 高める リスニング」ワァァ!

アンチョビ「派手なゴスロリ着てるわりに 言ってること 地味だな」

アンチョビ「私は ひし形じゃなかった 筋の通った生き方!」ワァァァ!

アンチョビ「でも実際 お前のことは気に入ってるんだよ」

アンチョビ「戦車道、フリースタイル 共通言語あるだろ?」

アンチョビ「今からでもアンツィオに 転入したらどうだ?」

アンチョビ「後悔させない学校生活 楽しさが増加」ワァァァ!


愛里寿「『この子 私のお気にだぜ』と言って卒業する」

愛里寿「そのあとどうする? 人を利用するな 置き土産」ワァァ!

愛里寿「それに食べ物が合わない アンチョビ カタクチイワシなんて」 ※アンチョビはカタクチイワシを塩漬けしてオリーブオイルに漬けたもの

愛里寿「ダメ元でも 絶対無理 ただクチに合いません」ワァァァ!

愛里寿「というか似合いません 校風と性格」

愛里寿「だからお断り 終了です 招聘(しょうへい)の計画」ワァァ!

愛里寿「派手なツインテールのわりに 地味な提案」ワァァ!

愛里寿「誰のレベルも上がらないし 意味がねぇなぁ!」ワァァァア!



アンチョビ「意味がなくはない 全然まだまだ」

アンチョビ「戦う気 充分 閉店ガラガラ じゃなかった開店」

アンチョビ「おいおい アンチョビが嫌いって 本気ですの?」

アンチョビ「美味いのになぁ!確実に 人生損してるぞ!」ワァァァ!

アンチョビ「好き嫌いしてるから 伸びない身長!」

アンチョビ「キャラは濃いけど ちっこい印象!」ワァァ!

アンチョビ「好きなんだっけか? ボコられグマ」

アンチョビ「でも愛里寿をバトルでボコったら 怒られるか?」ワァァァ!



愛里寿「急すぎる『ですの』口調 テクマクマヤコン」

愛里寿「テクマクマヤコン お嬢様になあれですか?」

愛里寿「テク無くただ音(おん) で繋ぐなら損」ワァァァァ!

愛里寿「キャラ固めなよ まずは ですますからどう ぞ」ワァァァァ!

愛里寿「身長低いとか 調子こいてる」ワァァ

愛里寿「それに今さら見た目ディス あんたは伸びしろが無い」ワァァ!

愛里寿「オチにしようがない しょうもないドゥーチェ」ワァァ!

愛里寿「そんな印象 拡がる 陸・海・空へ」ワァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァァ!


役人「早速判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、アンチョビが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「……後攻、愛里寿が勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!

アンチョビ「ぐぬ…っ」

役人「まずは愛里寿が1ポイント先取です。では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『愛里寿』」

理事長「『愛里寿』」

香音「『愛里寿』」

新三郎「『愛里寿』」

浅井「『アンチョビ』」

役人「勝者!愛里寿~~~~!!!!」ワァァァァ!!

アンチョビ「ぐわーー!負けたぁぁぁ!みんなー!すまーーーん!」

愛里寿「…………」フゥ



【2階席】

しほ「……強いわね」

千代「ええ。我が子ながら安定感がある。バッチグーな出来だったわ」フフ

しほ「決め手は韻?」

千代「……を含めたいくつかね。アンチョビさんも『じっちゃんのレベルを上げるのが私のやり方』など、面白いパンチラインがあった。でも愛里寿は的確にアンサーを返していたわ。フロウではアンチョビさんも良かったけれど、総合的に見れば愛里寿に軍配が上がるわね」

しほ「そうね」

千代「ただ『前傾で ひし形より 円形で勝ち上がる』の部分はわかりづらかったわね。円形を白星の○(マル)と表現したのでしょうけど、ひし形は対比として成立していない……」

しほ「甘いようでなかなか厳しいわね」クス



役人「それでは次の試合です!」



しほ「む……まほの出番ね」

千代「……対戦相手はケイさん。まほさんの苦手なタイプだと思うけれど、さて……どう戦うのかしら」



<シングル戦 トーナメント表>

REZE    ――――
              │―――
         ――――     │
                    │―――
        ――――      │    │
              │―――      │
        ――――            │
                          │────
         ――――           │       |
              │―――      │      |

        ――――      │     │      |
                    │―――        |
         ――――      │           |

              │―――              |
愛里寿    ――――                    |
                                 |────!!優勝!!
        ――――                   |
              │―――             |
ケイ      ――――     │            |
                   │―――        |

        ――――     │    │       |
              │―――     │        |
西住まほ   ――――           │       |

                         │────
        ――――           │
              │―――     │
カルパッチョ  ――――     │    │
                   │―――
MIHO    ――――     │
              │―――
        ――――




【ステージ】

まほ「…………」

ケイ「えっへへへ~♪バトルするのは初めてよね!よろしくっ!」

まほ「…………ああ」

ケイ(んっふふ。気合充分ってわけね。よろしいよろしい♪)

ケイ(………………そうじゃないと倒し甲斐がないもんね)クス

役人「それでは先攻後攻じゃんけんをお願いします!」

ジャンケンポン!

ケイ「勝った!後攻にするわ!」エッヘヘヘ

まほ「………………」

役人「OK!では先攻、西住まほ!後攻、ケイ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュッッ!


http://www.youtube.com/watch?v=gaKvcJPnSqk 2:46

<2回戦 第3試合 先攻 西住まほ VS 後攻 ケイ>

まほ「相変わらず 楽しそうな笑顔だな」

まほ「お前は 周りを明るくする天才だよ」

まほ「でもラップスキル自体は 大したことない」ワァ!

まほ「お前に 向いてるのはラッパーより 司会者の方じゃないか?」ワァァァ!

まほ「ケイ 金色のリーダー 瞳は青色」

まほ「青臭い思考 ガキのような振る舞い 青いケツ」ワァァ!

まほ「金メッキで塗装しても 透けて見えてるぞ」ワァァ!

まほ「優勝なんてさせるわけねぇだろ 燃やすぞ そんな青写真」ワァァァ!



ケイ「火が点いてるのは マホのお尻じゃないの~?」ワァァァ!

ケイ「てことはマホも周り明るくする天才じゃーん!」ワァァアァ!

ケイ「金メッキに見える? それ間違い金箔でーす」ワァアァ!

ケイ「緊迫感で肩こりそう 上がってるでしょ 心拍数」ワァァァ!

ケイ「楽しいから笑顔 え?それ普通じゃない?」

ケイ「司会者向いてる でもラッパーも向いてる~♪」ワァァ

ケイ「勝ったら楽しい でも負けたとしても楽しい」

ケイ「ねぇ 私ってある意味 最強のMCかも!」ワァァ!



まほ「勝ち負け両方楽しいのは 重心が乗ってないからだ」ワァァ!

まほ「興味が無いのと同じ 戦ってる人間への侮辱だ」ワァァァ!

まほ「火だったら 最初から全身に点いてる」ワァァァ!

まほ「青臭いお前より 焦げ臭くて危険な香りだ」ワァァァ!

まほ「楽しいのは最強か だったら前言撤回しよう」

まほ「お前が向いてるのは 司会者よりも観客だ」ワァァァ!!

まほ「負けても楽しいなら 観てるだけでも楽しいだろ?」ワァァァ!

まほ「誰よりも声上げて MCをノらせてやれよ」ワァァァ!


ケイ「女の子だったら 香りはフローラル」

ケイ「焦げ臭いとか 何それ アブノーマル」ワァァァ!

ケイ「それより私って観客も向いてるの?」

ケイ「ラッパー兼 司会者兼 観客 才能ありすぎ!」ワァァァ!

ケイ「マホは私に対して持ってる リスペクト」

ケイ「それが私のハートにも 火点けるゾ☆」ワァァ!

ケイ「燃え上がる炎 役人さんにも飛び火」ワァァ!

ケイ「なんだったら このまま 他のMCも 飛び入りOK?」ワァァ!



まほ「お前のハートに 火が点くことは無い」

まほ「何故なら ハートそのものが存在しなくなる」ワァァ

まほ「わかるか? 火が点いてる私が先攻」

まほ「後攻のお前 飛んで火にいるWACK MC!」ワァァァァアァ!

まほ「金箔も金メッキも 丸ごと焼いて 真っ黒」

まほ「お前から 青を全て奪ってやろうか!」ワァァァァ!

まほ「…いやさすがに それは憐れすぎるな」

まほ「だからせめて 青山霊園に 墓を建ててやるよ」ワァァァァ!



ケイ「あー、やだやだ お墓とか物騒な発想」ワァ!

ケイ「私は元気なので 青山霊園には入りませ~~ん」ワァァ!

ケイ「ていうか最初から火点いてるのに マホは燃えないの?」ワァァ!

ケイ「私だけ燃えるとかずるくない? それアリなの?」ワァァ!

ケイ「なんか火、火、言って まるでカラムーチョ」ワァァ

ケイ「辛口発言すると めんどくさいから終了」ワァァ

ケイ「あと 青を奪うことに意味ある?ってのは思う」

ケイ「もし焼かれても 仰向けになって 1つ『あお』残す!」ワァァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァァ!!

ケイ「さーて、どうなるかな~?」

まほ「………………」


役人「……判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、西住まほが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!!

役人「……後攻、ケイが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!!

役人「これは……先攻でしょう。まずは西住まほが1ポイント先取です!」

ケイ「NO~!」

役人「続きまして審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『ケイ』」

理事長「『西住まほ』」

香音「『西住まほ』」

新三郎「『ケイ』」

浅井「『ケイ』」

ワァァァ!

役人「3対2で後攻ケイ!延長戦です!」

ワァァァァ!

ケイ「イエス!でもあっぶなかったぁ~!」

まほ「…………」


【2階席】

しほ「延長…」

千代「不服?」

しほ「いや、そうでもないわ。接戦だと思ったから」

千代「ええ。まほさんの『飛んで火にいるWACK MC』のラインは、HILL THE IQの曲名を挙げつつ、先攻の自分が燃え滾っているところに後攻が突っ込んで来たら燃えてしまう、という意味のパンチラインでなかなか決まっていたわ」

千代「ただケイさんのアンサーと華のあるフロウ。そして火を絡めたやりとりからカラムーチョが出てくる発想はユニークで、一貫して崩れない強さが感じられる」

しほ「でもまほも負けてはいないわ。次こそ勝ってくれるはず。まほ、ガンバよ」

千代「…………」

千代(しぽりん……ガンバは古いわ。それではイマドキの子にバカにされてしまう……でもそんな真面目な顔しているしぽりんに指摘できない。みーてーるーだーけー、というやつね……辛いわ。でもそれが人生…)



【ステージ】

役人「延長戦の先攻後攻を決めてください」

ケイ「オッケー!最初はグー!」

ジャンケンポン

まほ「……後攻で」

ケイ「えー!先攻にしなよー!」

役人「……えっと……」

まほ「後攻で」

ケイ「ちぇー」

役人「そ、それでは延長戦を始めます!先攻 ケイ!後攻 西住まほ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュルルル!


http://www.youtube.com/watch?v=012ztM2-0XQ 2:27

<2回戦 第3試合 先攻 ケイ VS 後攻 西住まほ 延長戦>

ケイ「さあ 始まりました 延長戦」

ケイ「最後まで絶対 遠慮しない」

ケイ「マホ 後攻とった ヘイヘイ ビビってるー!」ワァ!

ケイ「握ってる マイク 震えてるー!?」ワァァ!

ケイ「私はピタッとしてて 超上出来」

ケイ「美味しさ詰まった ショートケーキ」ワァァァ!

ケイ「男子も女子も 大好きになるMC」

ケイ「ビビってる マホは弱虫毛虫~!」ワァァァ!



まほ「全然ビビッてねぇ 震えてもねぇ」

まほ「お前が震えてるから ブレて見えるんじゃないか?」ワァァァア!

まほ「ショートケーキの てっぺんのイチゴ」

まほ「スパッと切って落としてやるよ!」ワァァァァ!

まほ「ベタな韻踏むスタイルになっちまったな」

まほ「男子も女子も さっきのお前の方が好きだよ」ワァァァ!

まほ「ショートケーキ つまりお前スケールが小さい」

まほ「私はバースデーケーキ ロウソク100本刺せるサイズ」ワァァァァァ!



ケイ「私はさっきも ちょこちょこ踏んでたから」

ケイ「でもマホは 全然踏まないままだなぁ!」ワァァ!

ケイ「バースデーケーキは 確かに大きい」

ケイ「でも 年に何個食べるの~キミ」ワァァァ!

ケイ「ロウソクとか言って やっぱり火が好き」

ケイ「でも現状 そんなんばっかじゃ すぐ炎上」ワァァ!

ケイ「これは延長 もう火はやめよう?」

ケイ「大体 火は 戦車道には縁起悪いよ~?」ワァァ!


まほ「バースデーケーキ 食べる回数が少ない」

まほ「それだけ希少価値があるってことだ!」ワァァァ!

まほ「韻踏まない それには理由がある」

まほ「次のカルパッチョの見せ場 残してやるためだよ!」ワァァァァ!

まほ「お前が火を嫌がるのは 別の意味でだろう?」

まほ「勢いが 風前の灯火だと気付いちまうからな!」ワァァァ!

まほ「戦車道に縁起悪くても 一向に構わない」

まほ「元隊長ではなく MCとしてステージに立ってる!」ワァァァァ!



ケイ「カルパッチョさんを 引き合いに出したけど」

ケイ「あそこまで踏めないのに 見栄張っちゃダメよ?」ワァァ!

ケイ「結局 最後までハッタリばっかり」

ケイ「あっさりひっくり返しちゃおうかなぁ パッタリと!」ワァァ!

ケイ「なんか怖い顔して 敵を倒して」ワァァ!

ケイ「嫌々 戦ってるように見えるの直して?」ワァァァ!

ケイ「MCとしてステージに立ってるんだ?」

ケイ「だったら 少しは韻踏んでみてよ 『MC西住』」



まほ「勝手だな 『MC西住』がお題か?」

まほ「のってやる たまには 力入『れずに 息抜き』」ワァァァァ!

まほ「嫌々なわけない 怖い顔は真剣だから」

まほ「ニヤニヤ ヘラヘラ 笑顔のヤツよりな!」ワァァァ!

まほ「『最後まで』とか言ったが 再延長は想定外か?」

まほ「敗北を察してるから 本音が出ちまった!」ワァァァ!

まほ「だったら この延長戦で決着としようか」

まほ「最後は安全確認 きちんと消火」ワァァァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァァ!


役人「では!延長戦の判定に入ります!まずはお客さん!先攻、ケイが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「……後攻、西住まほが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!

役人「まずは西住まほが1ポイント先取!では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『西住まほ』」

理事長「『西住まほ』」

香音「『西住まほ』」

新三郎「『西住まほ』」

浅井「『ケイ』」

役人「4対1!よって勝者!西住まほ~~~~!!!!」ワァァァァ!!

ケイ「…………負けちゃったかー……」

まほ「………………」

ケイ「残念!悔しいけど……うん、それでもやっぱり楽しさもある!それが私!」

まほ「……ふふっ」

ケイ「あー、ちょっと笑わないでよー!」

まほ「いや、あまりにもケイらしいのでな」

ケイ「そう?だったらOK!っと、バトル後の挨拶忘れてたわ!」

まほ「そうだな、握手…」

ケイ「ナイスバトル」ギュッ

まほ「う……っ!」

まほ(ハグ……!いや、確かにサンダースの校風的には不思議ではないが……やはり気恥ずかしい……//)

ケイ「もしまた機会があったらバトルしましょうね♪」

まほ「そ、そうだな……//」

まほ(耳元で囁くな!息が触れてくすぐったい……//)

ケイ「……よし!じゃああとは試合観戦に専念するわ!またね、マホ!」バッ

まほ「あ、ああ……」

役人「2人に大きな拍手を!」

パチパチパチ

ケイ「イエーイ!みんなありがとー!」



<シングル戦 トーナメント表>

REZE    ――――
              │―――
         ――――     │
                    │―――
        ――――      │    │
              │―――      │
        ――――            │
                          │────
         ――――           │       |
              │―――      │      |

        ――――      │     │      |
                    │―――        |
         ――――      │           |

              │―――              |
愛里寿    ――――                    |
                                 |────!!優勝!!
        ――――                   |
              │―――             |
        ――――     │            |
                   │―――        |

        ――――     │    │       |
              │―――     │        |
西住まほ   ――――           │       |

                         │────
        ――――           │
              │―――     │
カルパッチョ  ――――     │    │
                   │―――
MIHO    ――――     │
              │―――
        ――――



【2階席】

しほ「まほが勝ったわね……」ホッ

千代「延長戦では先攻後攻の違いはあれど、ケイさんが戦いづらそうにしていた印象があるわね」

しほ「先攻は苦手なタイプ?」

千代「というより、強さにムラがある感じかしらね。少しずつ勢いを失っていったわ。もちろん、まほさんの強さがそうさせた側面もあるけれど」

しほ「そう……」

千代「………………」

千代(お客さんを味方に付けるのが得意で、なおかつ相手のペースを乱すことが出来るケイさんに対し、あそこまで真っ直ぐぶつかって勝ちきれる……見事と言う他ない。最後の『安全確認 きちんと消火』というのも、この試合で火や炎上というワードが出てきていたことにかけてあって、見事な締め方。勝ち方を心得ている感じね。しぽりんが調子に乗るでしょうから言わないけれど)

しほ「………………」

しほ(ちよきち……もう少しまほを褒めても罰は当たらないのでは?時間に追われてるわけでもあるまいし。でも娘をもっと褒めてくれと頼むのはイマドキの子以外にも侮られる行為……ここは腕組して凛々しくする他なし……)キリッ



【ステージ】

役人「さあ!いよいよ2回戦もラストとなりました!戦うのはこの2人!」

カルパッチョ「…………」

みほ「…………」

ワァァァァァ!

カルパッチョ(前回大会の覇者、そして2ON2での優勝チームの一員。最強の相手ですね)

みほ(麻子さんと同等のライミング巧者。勢いに乗せたら危険。最初の一戦で倒し切るつもりでかからないと)

役人「では先攻後攻のじゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

みほ「!後攻でお願いします」

役人「OK!では2回戦 第4試合!先攻、カルパッチョ!後攻、MIHO!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュピキュッ!


http://www.youtube.com/watch?v=jyZmAi4GVQo 2:51

♪WHOOO

<2回戦 第4試合 先攻 カルパッチョ VS 後攻 MIHO >

カルパッチョ「怪物はワンパン でKO バイブスは満タン」ワァァ!

カルパッチョ「固すぎる韻で 採掘 火山岩」ワァァァ!

カルパッチョ「退屈させない このまま飛ばしていく」

カルパッチョ「才能伸ばしテイクオフ 精度増していく」ワァァァ!

カルパッチョ「MIHO 物憂げな顔 でもディスは苛烈」

カルパッチョ「二重人格なのかも脳外科を 紹介する」ワァァァ!

カルパッチョ「このSHOW介する ことで高まるバトル熱」

カルパッチョ「『特別ドープネスな毒舌届くぜ!』」ワァァァァ!



みほ「最後のラインは我リヤ ただ真似をしたがりな子」

みほ「なのにドヤ顔 草生える 芝刈りなよ」ワァァァ!

みほ「脳外科は不要 この場 軽く制しよう」

みほ「健康アピールしておく ダブリュー・エイチ・オー(WHO)」ワァァァァァ!! ※WHO・・・世界保健機関

みほ「紹介できるってことは通ってた? 脳外科に」

みほ「そこで脳を改造された ライム中毒者のお出まし」ワァァァ!

みほ「物憂げな顔なのは 相手が 韻のみだから」ワァ!

みほ「対話出来なそう 死んどきなバカ」ワァァァ!



カルパッチョ「死んどきなバカ しんどい輩」ワァァ!

カルパッチョ「生死を軽々しく扱うMIHOを 私が制しよう」ワァァァ!

カルパッチョ「訂正しておく 脳は未改造 ある自制心」

カルパッチョ「ライム中毒者 褒め言葉として だいぶ究極だ」ワァァァ!

カルパッチョ「対話ならば 今すでに出来てるじゃないか」ワァァ

カルパッチョ「相方がいない 状態でも 愛が足りない ことないさ」ワァァ!

カルパッチョ「その場合は 戦いながら 分かち合う」

カルパッチョ「それらがリアル 私が勝ちます」ワアァ!


みほ「意味繋がってないラップ 時々 ノイズが入る」ワァァ!

みほ「明らかな原因 そいつはライム」ワァァァ!

みほ「犠牲にされてさまよう 言葉たちの行方」

みほ「ライムは盲目 意味軽視 愚かだし総崩れ」ワァァ!

みほ「韻だけでテイクオフするな 意味を従えな」

みほ「勢い任せじゃ 着陸持ち込めない キミの自肩(じかた)では」ワァァァァ!

みほ「文脈がめちゃくちゃ 粉末にして 作り直せ」ワァァ!

みほ「と言っても ライムに夢中で 無理かもね」ワァァァ!



カルパッチョ「セッションどころか 説教されてる現状」ワァァ

カルパッチョ「指摘が 細部にウザい ライムに恨み でもあるの?」ワァァァ!

カルパッチョ「『あいつ憎らしい』とか言われそうだ」

カルパッチョ「もっと穏やかに暮らし 薄めなさいな劣等感」ワァァ!

カルパッチョ「踏めないから強がる 真夏のガール」ワァァ

カルパッチョ「五大都市外の 同い年に 辛くも勝つ」ワァァァ!

カルパッチョ「決勝はREZEで ありますように」

カルパッチョ「その前に あなたの姉 蹴散らす用意」ワァァ



みほ「ここまで踏むと健気で いじらしい」

みほ「説得しようにも どうも意地らしい」ワァァ

みほ「私は じらしもしないし ジェラシーも感じない」ワァァァ

みほ「足元しっかり照らし 高める バトルリテラシー!」ワァァァァ!

みほ「無駄になる お姉ちゃんを 蹴散らす用意」

みほ「きっと妹が姉を超える的なストーリー!」ワァァァァ!

みほ「で帰宅後に 姉妹仲が深まる」ワァァ!

みほ「お呼びでない あっち行け! 敵は向こうに!」ワァァァァ!!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァァ!

カルパッチョ「………………」

みほ「………………」

みほ(どう、かな?延長になっちゃう……?)


役人「判定に入りましょう!勝った方が準決勝へコマを進めます!」ワァァァ

役人「まずはお客さん!先攻、カルパッチョが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「……はい。では後攻、MIHOが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

役人「まずはMIHOが1ポイント獲得!」

みほ「」ホッ

役人「では審査員のみなさん、判定をお願いします!」

ババン!

亜美「『カルパッチョ』」

理事長「『MIHO』」

香音「『カルパッチョ』」

新三郎「『MIHO』」

浅井「『MIHO』」

役人「3対2!勝者!MIHO~~~~!!!!」ワァァァァ!!

みほ「っ!」

みほ(やった!これで……お姉ちゃんと戦える!)

カルパッチョ「………………」

カルパッチョ(REZEさんと再戦したかったけど……残念)フゥ


【2階席】

華「みほさんが勝ちました!」

沙織「みぽりんすっごーい!」

優花里「さすが西住殿ですぅ!強い上にちょっとエッチな感じもグッドですぅ!」

沙織「え、そんな要素あったかな」

優花里「ありましたよぅ。思いきり罵倒するあの感じ……たまりませぇん!」モジモジ

沙織「……あの、あんこうチームに風紀を乱してる子がいるんですけど……」

そど子「…………」

沙織「?」

ゴモヨ「次、冷泉さんの試合だから緊張してる」ヒソヒソ

沙織「なるほど」

沙織(なんだかんだ言って麻子のこと気にかけてくれてるんだよね)フフ



しほ「みほの勝ち、か。延長に行きそうな雰囲気もあったけれど……」

千代「1バース目のWHOをビートの『WHOOO』とかけながらライミングしたり、数では負けても質はかなり高い。その上で意味を通してるわ。3バース目の『じらし』の辺りは聴いてて心地いい、細かい踏み方も見せた」

千代「さらにカルパッチョさんの『蹴散らす用意』を拾って、連続でライミングを決めたのは見事だったわね。カルパッチョさんもアンサーを返しつつ上手だけれど、確かに文脈が少し変な部分がある。そこを突かれた結果、延長にならずに決着したのでしょうね。先攻後攻が逆であればカルパッチョさんの勝ち目もあったかもしれないけれど」

しほ「確かにカルパッチョさんの1バース目は攻撃というよりテクニックを披露した側面が強かったわね」

千代「言いたいことが明確に無い場合、先攻は難しいのよね。『言うことない』と言ってしまうのも手だけれど、『だったら戦う必要ない』と返されてしまう」

しほ「なるほどね……」



<シングル戦 トーナメント表>

REZE    ――――
              │―――
         ――――     │
                    │―――
        ――――      │    │
              │―――      │
        ――――            │
                          │────
         ――――           │       |
              │―――      │      |

        ――――      │     │      |
                    │―――        |
         ――――      │           |

              │―――              |
愛里寿    ――――                    |
                                 |────!!優勝!!
        ――――                   |
              │―――             |
        ――――     │            |
                   │―――        |

        ――――     │    │       |
              │―――     │        |
西住まほ   ――――           │       |

                         │────
        ――――           │
              │―――     │
        ――――     │    │
                   │―――
MIHO    ――――     │
              │―――
        ――――



【舞台袖】

麻子「………………」

麻子(カルパッチョが負けた…………西住さん相手なら仕方ないか)

麻子(もう一度戦いたかったんだがな)

麻子「………………」

麻子(……気持ちを切り替えよう。私の目標はカルパッチョと戦うことじゃない。優勝だ)

麻子「………………」


『冷泉さんってすぐ何でも出来ちゃうんだね。天才だよ~』


麻子(……いつの頃か、誰に言われたかのすら忘れたが……確かに戦車の運転しかり、説明書を見れば大概のことはすぐに出来た)

麻子(だがこのフリースタイルバトルは……基本的なテクニックや戦い方を覚えても……本気で勝ちにいっても負けることがある)

麻子(……だからこそ、面白い)

麻子(そして……小さな大会であろうと、自分が一番だと証明したくなるんだ)



役人「それでは準決勝を始めます!入場してください!」ワァァァ!



麻子「…………勝つ」ザッ..


【ステージ】

麻子「………………」

愛里寿「……………」

役人「準決勝 第1試合はREZE対愛里寿です!」ワァァァァ!

麻子(島田愛里寿……ラップスキルはかなりのレベルだ。必勝を期すためには後攻をとりたい)

役人「先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

麻子(負けた……)

愛里寿「先攻……」

麻子「!」

麻子(私は眼中に無いか?それとも勝つための先手か?)

麻子(……とにかく後攻は願ったり叶ったりだ。集中していく)

役人「それでは準決勝 第1試合!先攻、愛里寿!後攻、REZE!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュリリッ!


http://www.youtube.com/watch?v=SctyNQTK9J8 3:30

<準決勝 第1試合 先攻 愛里寿 VS 後攻 REZE >

愛里寿「MIHO対カルパッチョ お客さんに大好評」

愛里寿「この試合もそうなる ライミング巧者の敗北 再放送」ワァァァ!

愛里寿「巧者よりも強者 勝ち上がるのは私 当然後者」ワァァァ!

愛里寿「表現法が 多彩だからREZE相手でも 正面突破」ワァァァ!

愛里寿「ライムによるライムのためのライム MCリンカーン?」ワァ

愛里寿「だからこそ踏めない恐怖に敏感 震撼してあっさりダウン」ワァァ!

愛里寿「それ こだわり通り越して 韻の奴隷」

愛里寿「しんどそうね もっと自由に 舞い踊れ」ワァァァ!



麻子「舞い踊る より奴隷として 味わいたい孤独」ワァッァア!

麻子「太古の昔から 踏んでたようなフィット感に嫉妬か?」ワァァァ!

麻子「再放送にはならない 大統領 なんて 褒め言葉」ワァァァ!

麻子「最高潮のテンションで最後方までノせる とめどもなく」ワァァァ!

麻子「震撼するのはお前 私は真贋 見極め 心眼に開花で 進化」ワァァァ!

麻子「ライム派のみんな迸り(とばっちり) 受けるぐらいに 真価を発揮し」ワァァァ!

麻子「愛里寿 自分のスキルに疑心暗鬼なって自信無くし」

麻子「ネタに走る それを尻目にREZE 詩人歓喜させる」ワァァァ!



愛里寿「詩人より歓喜させるべきは お客さんでしょ」ワァァァ!

愛里寿「心眼に暗雲 私は阿吽(あうん)の呼吸で もらう賛成票」ワァァァァ

愛里寿「ターンテーブル 回し 音が流れ 言葉放てば 会場に響く」ワァァ

愛里寿「それが自然 でもよく聴くとREZEは 内容にリリック」ワァァァ

愛里寿「つまりネタ臭さが充満してるのは お宅さんの方」ワァァ

愛里寿「冷静に聞き分けようお客さん 自分の 鼓膜、勘繰ろう」ワァァァァ!

愛里寿「韻も 数打ちゃ当たる理屈 競馬で言う 多頭買いが当該」ワァァァ!

愛里寿「真っ当な会話出来ないと 思うんだがどうだい?」ワァァァ!


麻子「多頭買いなんて理屈は崩壊 該当しないよ意味ない」ワァァ!

麻子「遠い未来 主流になるかもな 街頭の街灯の下でサイファー」ワァァァ

麻子「踏まなくても踏みすぎてもディスられる ライムハラスメント」

麻子「それでいいのか? CHIYO CARLITO(チヨカリート)の血を引く サラブレッド」ワァァァ!

麻子「今さらブレんの 性に合わない だからこのまま貫く」ワァ

麻子「フラつく ことなくがっつく 熱く ハッスルなライムを発する」ワァァァ!

麻子「素直に 素顔のままノるんだよ DJ、操るターンテーブル」

麻子「だから子供が 勘繰るとか やめてくれないか? 探偵ぶるな」ワァァァァ!



愛里寿「探偵ぶろうが 結果阻止する 完全犯罪」

愛里寿「こっちのスキル 天然 まるでみやぞん ANZEN漫才」ワァァァ!

愛里寿「サラブレッド 誇りに思う だからナリタブライアン」

愛里寿「ぐらい活躍する あなた程度なんか なりたくないじゃん」ワァァァァ!

愛里寿「私は まだまだ強くなる予感 限度ないようだ」ワァァ

愛里寿「そして文句なく受賞する 年度代表馬」ワァァァァ!

愛里寿「このシングル戦は その足がかりになる」

愛里寿「あなたは決勝戦への 橋渡し役 担う」ワァァ!



麻子「ナリタブライアン 名馬だが情報が古いな」

麻子「私は 意外性を抱えゴールテープを切る オルフェーブル」ワァァァ!

麻子「成長し続け 優勝目前だった 凱旋門賞」

麻子「そんな具合にライムを重ね 目指したい専門職」ワァァァァ!

麻子「絶対やらない橋渡し役 それをするのは マジダサイやつ」ワァァ!

麻子「もっと増しなバイブス このままならREZEがサバイブする」ワァァ!

麻子「このライムは お前に絡みつく ガラガラヘビ」

麻子「噛みつかれたら 耐えきれはしない 甚(はなは)だヘビー」ワァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァ!!


役人「では判定に入ります!まずはお客さんに聞いてみましょう!先攻、愛里寿が勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!!

役人「……後攻、REZEが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!

役人「これは微妙ですね…………もう一度お願いします。先攻、愛里寿が勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!!

役人「……。では後攻、REZEが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!

役人「……ほんのわずかな差ですが……愛里寿でしょう!1ポイントが愛里寿に入ります。では……審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『愛里寿』」

理事長「『愛里寿』」

香音「『REZE』」

新三郎「『REZE』」

浅井「『愛里寿』」

役人「3対2!接戦を制したのは愛里寿~~~~!!!!」ワァァァァ!!

愛里寿「…………」ホッ

愛里寿(厳しい戦いだったけど……これで決勝進出!)グッ

麻子「っ……」

麻子(後攻でしかも調子も良かったが……及ばなかったか……)

愛里寿「……あの、ありがとう」スッ

麻子「………………」

愛里寿「…………あの……」

麻子「……え?あ……す、すまん」ガシッ

麻子(声かけられてたことに全く気付かなかった……)

麻子(…………それほどショックを受けるとは予想外……いや、当然か。勝ちたいと強く思って臨んだ勝負だからな)フゥ..


【2階席】

沙織「麻子……」

華「……延長、も無しですか……」

杏「お客さんの声援もホントに微々たる差だし、審査員の判定も3対2。すっげー僅差のいいバトルだった……なんて言われても、冷泉ちゃんも納得出来ないよねぃ……こればかりは難しいね」

そど子「………………私、行ってくるわ」

ゴモヨ「そど子?」

パゾ美「冷泉さんのところに行くの?」

そど子「……ええ」

柚子「今はそっとしておいた方がいいんじゃないかな?」

そど子「……別に慰めの言葉なんてかけないわ。ただ……私がそばにいたいと思ったから行くのよ。私のわがまま」タタッ

パゾ美「………………」

ゴモヨ「あんなそど子、初めて見た」

パゾ美「私も」

桃「……会長。止めなくて良かったのでしょうか?冷泉も1人になりたいと思っているかもしれませんが」

杏「いいんじゃない?むしろそど子が一番適任だよ。変に気を遣わないだろうからねー」



しほ「……一発で決まったわね」

千代「そうね。でもかなりの接戦だったわ」

しほ「勝敗の決め手はどこ?」

千代「ライムに関しては、手数でREZEさんが上回るのはわかっていたでしょう。でも愛里寿もライムで勝負を挑むかのように攻めたわ。特に即興性を重視した。『サラブレッド』を拾って『ナリタブライアン』で踏んだり、それにちなんだ『年度代表馬』というワードを使用したりね」

しほ「その部分をさらにREZEさんは『オルフェーブル』や『凱旋門賞』で踏んでアンサーしている。互いに即興性を見せたところだったわね」

千代「ええ。でも愛里寿のワードチョイスにユーモアがあったのが勝敗の差かしらね。『ANZEN漫才』というお笑いコンビや、そのメンバーの天然ぶりを即興スキルと結び付けたり…」

千代「あとREZEさんのミス、まではいかないけれど、『真贋 見極め 心眼に~』のラインは上手なのだけど、聴いていてわかりづらかったのが少しマイナスね」

しほ「文脈でわかるといえばわかるんだが、同じ『しんがん』で、しかも高速フロウだったしな」

千代「気合いが入っているからかわからないけれど、この試合でのREZEさんは全体的にライムが多くて、詰め込まれた分だけ早口になっていたわね」

千代「それはそれで心地よいものの、愛里寿が後半で若干テンポを落としたり、細かい緩急を付ける工夫をしていたため、単調さが少しだけ目立ってしまい、そのわずかな部分が審査員の判定に現れたのね」

しほ「そう……でも、いい試合だったわ。もう一度見たいと思うくらいに」

千代「同感ね」


【舞台袖】

麻子「………………」

麻子「…………はぁ……」

麻子(ダメだ……負けたあとは西住さんを応援する立場に回るべきなのに……そんな気分にはとてもなれない)

麻子(バトルの前は、勝とうとしても勝てないのが面白いとすら思っていたのに……)

麻子(さっきまでの熱さが嘘のようにダルい……なにもやる気が起きない)ハァ..

そど子「冷泉さん!」ザッ!

麻子「そど子……?」

そど子「その呼び方やめなさいって何度も言ってるじゃない」

麻子「……そうだな、すまん」

そど子「っ……なによその反応は……」

麻子「しかし、どうしてここに…」

そど子「あんたに文句を言うためよ!」

麻子「……文句?」

そど子「ええ!」

麻子「……………そうだな。決勝に行けなかったからな……」

そど子「っ……違うわよ!」

麻子「?」

そど子「あんたが……すっごい頑張って準決勝まで勝ち上がったのに、一度負けただけでそんな風に……無気力な状態になってることに対して文句があるのよ!」

麻子「……そう軽く言うが、私なりに頑張った上で通用しなかったんだ。少しくらい落ち込んで何が悪い」

そど子「悪くないわよ!」

麻子「……はぁ?一体何が言いたいんだ?」

そど子「わからないわよ!」

麻子「??」

そど子「私はこういう言い方しか出来ないのよ!褒めるのが苦手!慰めるのも下手!得意なのは注意すること!だからどうしたらいいのかわからないのよ!」

麻子「………………」

そど子「今だって、どう励まそうか色々考えてるのに、冷泉さんが背中が丸まってて姿勢が悪いとか、ステージからここに来る間に髪の毛をわしゃわしゃしたのか、髪の毛が乱れてることを注意しないといけないって風に考えちゃうのよっ!」

麻子「……ふっ」

そど子「な、なんで笑うのよ!」

麻子「いや、そど子らしいと思ってな」

そど子「わ、悪かったわね!いつも誰かをクチやかましく言うだけの女で!」

麻子「違う。その不器用さがだ」

そど子「……べ、別に私は……」

麻子「そういうところが……うん、かわいい」

そど子「なっ……///」カァァ..


麻子「お?照れてるのか~?」

そど子「べ、別に照れてるわけないじゃないの!大体ここに来たのはね、廃校問題の時にやさぐれてた私を助けてくれた借りを返すってだけの行為なんだから!」

麻子「……そうか、そど子は義理だけで来たのか。私を心配してくれたと思っていたが……勘違いだったんだな」シュン

そど子「ち、違うわよ!冷泉さんが落ち込んでるかもしれないって考えたら、すっごく胸が苦しくなったから…………はっ!?」

麻子「ほほぉ~?そうなのかぁ~。そど子はそんなに私のことが好きなのか」ニヤニヤ

そど子「ば、バカ言わないでよ!私は冷泉さんのことなんか………………」

麻子「ことなんか?」

そど子「…………ない」

麻子「ん?」

そど子「……冷泉さんのことなんか好きじゃない、って言えない……」

麻子「……え」

そど子「言ったら………もし本気にされたら……もっと嫌われるわ。そんなの嫌なの……」

麻子「……何言ってるんだ。元から嫌ってない」

そど子「でも私……いつもクチうるさいし、素直な態度をとれないもの……」

麻子「それがそど子だろ。真面目で不器用で……そんなところが私は……」

そど子「……私は?」

麻子「………………ふ、風紀委員に向いていると思う///」

そど子「何よそれ。今言うことなの?それとも、あんたの方こそ照れてるわけ?」

麻子「う、うるさい。この話は終わりだ」

そど子「なによもう……ふふっ」

麻子「………………」

麻子(不思議だ……さっきまであれだけ落ち込んでいたのに、今はもう全てがリセットされたように心が晴れている)

麻子(それが私にとって、そど子という存在がどれだけ大きいかを意味しているんだろうな……)フフ


役人「それでは、準決勝 第2試合うぇいよー!」ワァァァ!


そど子「次の試合が始まるみたいね……どうするの?観る?観ない?」

麻子「もちろん観る。西住さんが出るんだからな」

そど子「…………ふふっ、そうね」

そど子(よかった。さっきまでは見てられないくらい肩を落としていたけど、今はすっかりいつも通りだわ)ホッ



<シングル戦 トーナメント表>

        ――――
              │―――
         ――――     │
                    │―――
        ――――      │    │
              │―――      │
        ――――            │
                          │────
         ――――           │       |
              │―――      │      |

        ――――      │     │      |
                    │―――        |
        ――――      │           |

              │―――              |
愛里寿    ――――                    |
                                 |────!!優勝!!
        ――――                   |
              │―――             |
        ――――     │            |
                   │―――        |

        ――――     │    │       |
              │―――     │        |
西住まほ   ――――           │       |

                         │────
        ――――           │
              │―――     │
        ――――     │    │
                   │―――
MIHO    ――――     │
              │―――
        ――――




【舞台袖】

みほ「………………」

みほ(ついにお姉ちゃんとのバトルだ)ゴクリ

みほ(2ON2では戦えなくて残念だったけど、今度こそ戦える)グッ..

みほ(前回のバトルでは色々な方向から攻めてなんとか勝てたけど、今回はどうだろう?審査方法もお客さんが絡んでるし、勝手が違うよね)


役人「それでは両選手、入場してください」


みほ「!」

みほ(呼ばれた!行かないと…………って、ちょっと待った)

みほ(少し出るのを遅らせよう。それでお姉ちゃんを先にステージに上げて、お姉ちゃんが登場した時にどれぐらい歓声があるかを確認しよう)

みほ(トーナメントの順番的にお姉ちゃんが先に出るのはおかしくないもんね)

みほ「………………」

ワァァァァァァ!

みほ(!この歓声……完全にお客さんからの支持を得てる)

みほ(無理もないよね……お姉ちゃん可愛くてカッコよくて凛々しくて、しかもここまでのバトルでもどんどん勢いつけてきてるもん)

みほ(だったら……私がとるべき戦法は…………っと、ここで考え込んじゃダメだよね。私もステージに行かないと)タタッ


【ステージ】

みほ「…………」ザッ

ワァァァァ!

みほ(ありがたいことに、私にも歓声を上げてくれる。でもお姉ちゃんほどじゃない。だからバトルの内容が同じくらいだったら、観客判定はお姉ちゃんにとられちゃう)

まほ「………………」

みほ(8小節3ターンで、どれだけそれを覆せるか……頑張らないと)

役人「それでは先攻後攻じゃんけんをお願いします」

ジャンケンポン

みほ「!」

みほ(勝った……本来なら後攻をとりたいところだけど……)

みほ「……先攻でお願いします」

みほ(ここまでのお姉ちゃんの勢いを考えると、先攻をとらせたら不利になる)

みほ(リスクもあるけど、先攻をとって流れを変えよう)

役人「OK!では先攻、MIHO!後攻、西住まほ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュピキュ!


http://www.youtube.com/watch?v=7kCq3ddiPic 3:26

<準決勝 第2試合 先攻 MIHO VS 後攻 西住まほ>

みほ「待ちわびた 戦いたかった これがただ言いたかった」ワァァ!

みほ「こうやってステージ上 姉妹同士 話したかった」ワァァ!

みほ「前回は勝ったけど ある意味 小細工使った アジェンダ」 アジェンダ・・・予定表・行動計画など

みほ「でも今は ありのままの自分で挑む チャレンジャー!」ワァァァ!

みほ「戦うのも 勝ち上がるのも ただ1人のみ」

みほ「決して退かず 火花散らす 互いの気負い」ワァァァ!

みほ「コンビニのプリンが 昨日のご褒美」

みほ「今日のご褒美 この準決勝 妹の勝利!」ワァァァ!



まほ「前に勝ったのに 挑戦者とか言ってる」

まほ「謙虚に振る舞って負けた時の 保険かけてんじゃねぇ!」ワァァッァア!

まほ「前回と2ON2の優勝者 玉座に座ってるはず」

まほ「なのに下手(したて)に出る 目も腹も肝も据わってねぇな!」ワァァァ!

まほ「自分を小さく見せて 実は毒舌でギャップを演出」

まほ「番狂わせを狙う戦い方 いつまでやってんだ!」ワァァァァ!

まほ「今日はこっちが挑戦者 ケイとのバトル見たらわかるだろ?」

まほ「私が背負うのは 周りの期待、覚悟と青コーナー!」ワァァァッァァ!



みほ「小さく見せてない ただの 性格上の問題」

みほ「私が演出してるという テーマ浮上も論外」ワァァァ!

みほ「流行りの流れとか 完全無視したありのままで」ワァァ!

みほ「挑むって ほんの今 言ったばかりこの場で」ワァァ!

みほ「姉は 人の話聞かず 上から目線な 俺様系」

みほ「思い込んだまま 決め付けてる それじゃダメ」ワアァァ

みほ「敗北の危機と死地 感じ 顔、憤りに」

みほ「染まる 青コーナーの姉は 青息吐息!」ワァァァァ!


まほ「自分を強く持ってる俺様系と」

まほ「自信が無いのか フリなのかの 私なんか系」

まほ「どっちがいいかなんて 一目瞭然だろ」ワァァ!

まほ「『私なんか…』とか言うやつのラップ 誰も聞きたくねぇよ!」ワァァァァァァ!

まほ「あと 人の話を聞かないとか言ってるけど なぁMIHO」

まほ「これだけアンサー返してるやつ 他にいないと思うんだけどな!」ワァァァァ!

まほ「青息吐息になったとしても 別に問題は無い」

まほ「負けて安らかに眠る お前より数倍マシだ!」ワァァァァ!



みほ「数倍マシ とゆーかイマジン 足りない」

みほ「自己卑下から生まれるモノもある 否定させない」

みほ「自信過剰で泣きを見る その後 謙虚の価値を知る」ワァァァ

みほ「料理屋でもそう 調子乗って 天狗になれば 味落ちる」ワァァ

みほ「アンサーがどうこうって 韻も踏まないでフロウのみ」

みほ「それで好かれると思ってるのかな 玄人に」ワァァ!

みほ「ライム、フロウ、ソウル 混ぜた 細く険しい道」

みほ「進まないなら ここで終了とする 閉会式」ワァァ!



まほ「自信は当然持ってる だが過剰と決めつけるな」ワァァァ

まほ「お前は自信だけじゃなくて 人を見る目も無いのか?」ワァァァァァ!

まほ「しかし準決勝でも まだ韻がどうこう言うかね」ワァァ

まほ「お前もさっき言った その『ありのまま』ってやつだろうが!」ワァァァァ!

まほ「玄人に好かれるために ラップしてるのか?しょうもねぇ」ワァァァ!

まほ「MIHO スキルも思想も 地に落ちたもんだな」ワァァァァ!

まほ「…なぁ、お客さん 悪いが判定の時 私に上げないでくれ」ザワッ..

まほ「調子取り戻した MIHOと延長 戦いたいから 頼む」ザワザワ..



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァァ!


役人「……こ、これより判定に入りたいと思います!」

ザワ..ザワ..

まほ「………………」

みほ(……お姉ちゃん……)

役人「お客さんに聞きます!先攻、MIHOが勝ったと思う人!」

ワァァァァ!

役人「……後攻、西住まほが勝ったと思う人!」

シィン.......

みほ(これは……っ)

役人「え、ええと……まずはMIHOが1ポイント先取です。では審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『西住まほ』」

理事長「『西住まほ』」

香音「『西住まほ』」

新三郎「『西住まほ』」

浅井「『西住まほ』」

役人「審査員は西住まほ!ということは、1ポイントずつで延長戦に入ります!」ワァァァァァァ!!

みほ(お姉ちゃんが延長を希望したから……本当は勝てたのにわざと引き分けに持ち込んだ……)ギリッ..

まほ「………………」

みほ(お姉ちゃんは物足りなかったからっていう単純な気持ちからそうしたんだろうけど、私にとってこんな屈辱は無いよ)

みほ(……だから)

みほ(絶対勝って、お姉ちゃんにこの選択を後悔させる!)ギラッ!

役人「では延長戦の先攻後攻を決めてください」

ジャンケンポン

まほ「先攻で」

みほ「…………!」

みほ(私がジャンケンで勝ってたら後攻を選んでた。でも……素直に喜べない。先攻とったのも私を侮ってるから?)

役人「OK!準決勝 第2試合 延長戦!先攻、西住まほ!後攻、MIHO!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュキュ!


http://www.youtube.com/watch?v=pYi1F0njn7I 2:56

<準決勝 第2試合 先攻 西住まほ VS 後攻 MIHO 延長戦>

まほ「まず最初にハッキリ言っておく 延長を望んだ理由」

まほ「勝ってたバトルを引き分けにしたのは 八百長でも情けでも無い」

まほ「前回大会 MIHOに負けた つまりは0勝1敗」

まほ「でもさっきのと延長で2勝 1度の勝負で2回勝つためだ!」ワァァァァァァ!

まほ「そんな恥かきたくないなら さっさと本気出して来い」ワァァ

まほ「もしすでに本気だったとしたら 期待しすぎたこと謝る」ワァァァ

まほ「この延長 MIHOの実力が知れる そしてバレる」

まほ「MIHOが上手いのは ラップじゃなくて小細工だってな!」ワァァァ!



みほ「小細工しないと言った 耳の穴に 蝋細工(ろうざいく)」

みほ「詰まってるのかな めんどいからモザイク処理」ワァ

みほ「必要なくらい 悲惨で過激な結末 を与える」

みほ「ディスとライムで切り刻んで叫び上げるはず」ワァァァ!

みほ「嘆き負ける 何故に勝てぬ? 試行錯誤」

みほ「強気な姉の インナーチャイルド まるで 悲報待つ子」ワァァ! ※インナーチャイルド・・・子供の頃の心情や記憶、感傷などのこと

みほ「1回で2勝? でもここで 私が勝ったら 2勝1敗」ワァァ

みほ「てかお客さん巻き込む これ小細工でしょ! 理想失敗!」ワァァァァァ!



まほ「切り刻むとか残酷死だとか 危険な言葉使いたがる」

まほ「不良マンガにハマった 中学生かお前は!」ワァァァ!

まほ「理想失敗って1バース目で言うには早すぎる 未来視かよ」ワァァ!

まほ「インナーチャイルド スピリチュアル 暴力的で霊的 迷走すんな」ワァァアァ!

まほ「『何故に勝てぬ?』 いやいや、 お前が劣勢の真っ最中」ワァァァ!

まほ「都合いい世界 に逃げ込むんじゃねぇよ ストーリーテラー」ワァァァァ!

まほ「このバトルの結末は 過激でもなんでもねぇ」

まほ「私がお前に勝って強さを 証明するだけなんだよ!」ワァァァア!


みほ「スピリチュアル な部分すらも 武器にしちゃう」ワァァ!

みほ「妄想も想像も勝手でしょ 好きに使う」ワァァァ!

みほ「未来視じゃない でも延長にした時点で計画ミス」

みほ「ガンガンディスった結果 姉の勝利 てんで無ぇ確率」ワァァァ!

みほ「劣勢からの徹底した 決定的な逆転劇」ワァァ!

みほ「MIHOは あなたにとっての刺客 天敵」ワァァァ!

みほ「これから作り上げる 理想的なストーリー」

みほ「西住まほの結末は 死亡で決まるソーリー」ワァァァァァ!



まほ「誰もが最後は死ぬ お前も客も審査員も」ワァァ

まほ「謝るなら お前のファンにしろ ここで負けるんだからな!」ワァァァ!

まほ「バトル中は強烈なディス 終われば普通の子」

まほ「酒で気が大きくなる酔っ払いと変わらねぇぞ!」ワァァァァ!

まほ「脳内のストーリーの中でしか輝けないんだろ?」

まほ「ま、頭の中でぐらい 好き勝手させてやるか」ワァァ!

まほ「ただ普段とバトルでチグハグ 言動不一致」

まほ「死んだら確実に地獄行き 私は天国行きだ」ワァァァァァ!



みほ「地獄行きを 一区切りにして 全力維持して 天国行き」ワアッァァ!

みほ「ケイさんとの延長でお疲れ? 減速気味」ワァァァ!

みほ「自分の中でしか輝けないとか 間違いもいいとこ」

みほ「優勝して玉座に座ってるとか 言ってたくせにさあ!」ワァァァ!

みほ「お酒がどうとか 極端な例を持ち出す」

みほ「気の弱い人への 印象操作 そのまんまでも美学?」ワァァァァ!

みほ「結局 延長になって 追い込まれてる始末」ワァ

みほ「妹想い 疲労と脆い 精神が 負けたがってる無自覚」ワァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァァ!

みほ「………………」

まほ「………………」


役人「それでは……延長戦の判定に入ります!」

役人「まずはお客さん!今の勝負……先攻、西住まほが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!!

役人「後攻、MIHOが勝ったと思う人!」

ワァァァァァ!

みほ「っ……!」

役人「……まずは西住まほが1ポイント先取です」

みほ(ポイント取られちゃった……でも審査員票を取れれば再延長にいける…!)グッ..

役人「それでは審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『MIHO』」

理事長「『西住まほ』」

香音「『MIHO』」

新三郎「『西住まほ』」

浅井「『西住まほ』」

役人「3対2!勝者!西住まほ~~~~!!!!」ワァァァァ!!

みほ「!!!」

みほ(負け……た………)

まほ「……………」フゥー..

役人「2度目の姉妹対決は、姉の西住まほに軍配!雪辱を果たしました!決勝進出です!」

ワァァァァァァァ!

みほ「………………」

まほ「…………みほ」スッ

みほ「…………え、あ……」

みほ(そうだ……終わったら握手……しないと)ガシッ

まほ「みほに勝ったんだ。優勝してみせる」

みほ「…………うん」

みほ(……そう、お姉ちゃんは強かった。だから絶対勝てるなんて風には思ってなかったけど……)ギュッ..

みほ(最初のバトルで命拾いをさせられた上に、もう一度負けた)

みほ(……最初の時点で先攻を選んだのがミス?それとも攻め方を間違えた?勝つ方法はあったはず!でも私は負けた……!)ギュゥゥ..

まほ「…………みほ。すまないが、そろそろ手を離してくれないか?」

みほ「………………え?あ、ご、ごめん!」バッ!

まほ「……ずいぶん力が入っていたが……すまなかったな」

みほ「?どうしてお姉ちゃんが謝るの?」

まほ「わざと延長に持ち込んだことだ。それに対して侮辱されたように感じて怒っていたのではないか?」

みほ「それは…………うん。2回勝って勝ち越すっていう理由はわかったけど、それでもゼロではない、かな」

まほ「だろうな。だがみほを馬鹿にするつもりでしたことではないんだ」


みほ「……じゃあどうして?今回で1勝1敗になっても、次のバトルで…」

まほ「いや、もう今回でこういった大会に出るのは最後にしようと思っていたんだ」

みほ「え!?どうして!私たち、これからもっとラップを頑張っていかなきゃいけないのに!?」

まほ「…………みほ。私たちは戦車道が本業だろう?」

みほ「あ」

みほ(そうだった……もちろん戦車道も頑張ってるけど、最近はラップが楽しくてつい……)

まほ「気持ちはわかるがな。戦車道関係者のほとんどが参加しているこの大会はとても楽しい。今まで触れてこなかったHIPHOPに関わることで、前よりも視界が開けた気もする。だがそれを生かすのは戦車道でだ」

みほ「…………うん」

まほ「……だから今回で最後と決めた。そしてそう決めたからには、みほに負けたままではいたくないと思ったんだ。姉のくだらない意地だがな」

みほ「それでわざと延長に……」

まほ「ああ。自分勝手な理由ですまない」

みほ「……ううん、そういうことなら納得したよ。負ける可能性だってあったんだもん。リスクを負ってる」

まほ「そう言ってもらえると助かる」

みほ「…………うー」

まほ「……どうした?」

みほ「私が勝てる可能性もあったって思ったら……やっぱり負けたのが悔しくなってきた……」ハァ..

まほ「ふ……いい傾向じゃないか。引っ込み思案で感情を抑えるよりよっぽどな。小さい頃のみほはもっと活発だった。本来の自分を取り戻してきているのかもな」

みほ「……そうかも。でもだからこそちょっと困ることもあるんだよね……」

まほ「……何がだ?」

みほ「お姉ちゃんのことを大好きな気持ちが抑えられなくなりそうで」

まほ「………………そ、そうか。私もみほのことは妹として大事に思っているよ」

みほ「そういう感じじゃなくて、前の大会のあとからね、寝る時とかお姉ちゃんを想うと……」

まほ「あ、ま、まずい。ステージに長居しすぎているな私たち!そろそろ舞台袖に戻ろう!司会の人も困っている!」

みほ「……あ……そ、そうだよね」

まほ「さあ行こう」

みほ「うん…………ねえ、お姉ちゃん」

まほ「なんだ?」

みほ「優勝出来ても出来なくても……最後のバトル、楽しんできてね」

まほ「ふっ……素直に『優勝してね』とは言わないんだな」

みほ「ご、ごめんね!でも愛里寿さん、強いし…」

まほ「わかっている。だが負けるつもりはない。みほに勝ったんだからな」ニコリ

みほ「」キュン



<シングル戦 トーナメント表>

        ――――
              │―――
         ――――     │
                    │―――
        ――――      │    │
              │―――      │
        ――――            │
                          │────
         ――――           │       |
              │―――      │      |

        ――――      │     │      |
                    │―――        |
        ――――      │           |

              │―――              |
愛里寿    ――――                    |
                                 |────!!優勝!!
        ――――                   |
              │―――             |
        ――――     │            |
                   │―――        |

        ――――     │    │       |
              │―――     │        |
西住まほ   ――――           │       |

                         │────
        ――――           │
              │―――     │
        ――――     │    │
                   │―――
        ――――     │
              │―――
        ――――



【2階席】

沙織「……ずいぶん長いことステージで話してたね」

華「ええ。餃子の王将で注文が届くまであれほどかかっていたらイライラしてしまうくらいの時間でした」

沙織「そ、そこまで長かったかな……?というか王将のスピードをすごく評価してるんだね…」

優花里「西住殿……残念ですぅ……」

梓「審査員の判定は1票差でしたし、惜しかったです…」

沙織「うん……みぽりん頑張ってたけどね…………」

華「はい…………」

優花里「………………」

シーン..

沙織(重い雰囲気……そりゃそうだよね。もう応援する身内の人はいないんだもん。なんて言ったらいいかわかんないから黙るしか…)

杏「やー、西住ちゃん負けちゃったね!大洗は全滅だよー!」

桂利奈「あっさり言ったー!?」

あゆみ「この空気を切り裂く感じ!」

あや「さすが会長!ね!?紗希もそう思うよね!?」

紗希「……………………………………………………………………」

あや「ここで黙る紗希もさすが!」




しほ「………………」

千代「自分の娘たちの試合。戦車道で経験済みとはいえ、複雑な心境かしら?」

しほ「まあ、そうね。でも今回の試合はまほの勝ちで納得しているわ」

千代「確かにね。延長戦では、まほさんが先攻をとって最初のバースで延長に持ち込んだ理由をハッキリ言って主導権を掴み、そして次々とパンチラインを決めていった。みほさんが盛り返してはいたけれど、なかなかの強さを見せつけた感じね」

千代「みほさんのライミングも非常に決まっていたけれど、『理想的なストーリー』、『死亡で決まるソーリー』に対するまほさんの『誰もが最後は死ぬ お前も客も審査員も 謝るなら お前のファンにしろ ここで負けるんだからな』というアンサーは決め手の1つじゃないかしら。結構やるわね、という感じ」

しほ「……なんか微妙な言い方ね」

千代「そうかしら?」

しほ「なかなか強い、とか結構やる、とか。でも、いいわ。まほが愛里寿ちゃんを倒すだろうから気にするのはやめるわ」

千代「……それはどうかしら?決勝は愛里寿がまほさんをあっさりと蹴散らして会場中が『どひゃー』となるでしょうから」

しほ「いやいや。なんだかんだまほは勝ってしまうはず。可哀想だけれど、今頃愛里寿ちゃんには死兆星が見えてるわね」

千代「見当違いもいいところね。仮に愛里寿が死兆星を見たとしても、エイトセンシズに覚醒しているくらいのレベルにいる愛里寿には何も問題ないわ」

しほ「………………」

千代「………………」

しほ「………………」

千代「………………」

しほ「……親同士が争うのは不毛ね。ごめんなさい、ちよきち。愛里寿に死兆星は見えていない。今後も元気に骨太で生きていくでしょう。毎日カルボーンを食べてる子のように」

千代「いえ、私こそごめんなさい。まほさんは強敵。あっさりとなんてありえないのに、そんなことを言ってしまうなんて私自身も驚きだわ。いえ、私だけではなく、インド人もビックリだわ」

しほ「……決勝戦、どちらが勝とうと…」

千代「恨みっこなしですわね」


【舞台裏】

ケイ「ついに決勝ね!私に勝ったマホに優勝してほしいわ!」

ナオミ「私は愛里寿さんを応援したいね。あんなに小さい体で懸命に頑張っているのを見ると、推したくなる」

アリサ「……そのうち地下アイドルとかまで手を広げそうだわ」ハァ..



アッサム「オレンジペコはどちらとも戦っているけれど、どんな気持ちかしら?」

オレンジペコ「そうですね……西住まほさんには完敗してしまったので、愛里寿さんに勝ってほしいです。間接的に雪辱を果たす形で」

アッサム「そ、そう……それは雪辱を果たすことになるのかしら……うーん」



音子「……西住みほが負けて残念だったな」

エミ「そうね。でも前回も今回もまほさんに負けた立場としては、その強さに安心もするわ」

音子「あいつになら負けたってしょうがないってか?」

エミ「そうじゃないわよ。でも……その気持ちが無いと言えばウソかも。やっぱりあの人のカリスマ性には惹かれるもの」

音子「そんなもんかね…………ま、確かに見た目はカッケェわな」

エミ「とにかく、私はまほさんに勝ってほしいわね。負ける姿を見たくない」



カチューシャ「………………」

ノンナ「カチューシャ。無理に試合を観なくても……」

クラーラ「そうです、カチューシャ様。傷を癒すことを優先するべきです」

カチューシャ「あんたたちね……私がいつまで負けを引きずってると思ってるのよ。確かに負けたのは悔しいけど、気持ちの切り替えは出来てるわ。カチューシャはぐぶつじゃないもの。馬鹿にしないで」ツーン

ノンナ「そんなつもりは一切ありません」

ノンナ(ただ……)

カチューシャ「そ、それに……マホーシャが頑張ってる姿、ぜったいに観たいもん……///」

ノンナ「」チッ

ノンナ(カチューシャを惑わすあの魔性の女から一刻も早くカチューシャを離さなければ……しかし、強引に連れて行けば私の心証は激しく下落してしまう……)

クラーラ「ノンナ様……私たちに出来ることをしましょう(ロシア語)」

ノンナ「クラーラ?」

クラーラ「2人で力を合わせ、念じるのです。『西住まほ、負けろ』と……(ロシア語)」

ノンナ「……同志クラーラ。脱帽です。恥も外聞も無く言いきれるあなたを尊敬します(ロシア語)」

カチューシャ「ちょっと!2人で何喋ってたの!?教えなさい!」

ノンナ「SHIBUYA TSUTAYAはHIPHOPのCDレンタルが充実していてズルいという話です」

カチューシャ「今する必要ないじゃないの!」

ノンナ「はい」

クラーラ「気を付けます」

ニーナ「…………」ハラハラ

ニーナ(会話に参加したいけんど、なんか流れ弾さ当たりそうで怖ぇから黙っとくべ)



ミッコ「あーあ。結局ダメだったなー」

ミカ「そうだね」ジャララーン

アキ「ミカならいけると思ったんだけど……残念」

ミカ「仕方ない。カチューシャの強さは本物だった」

ミッコ「まぁいいや。ミカはどっち応援するんだ?」

ミカ「それは私が決めることじゃないさ」

アキ「……は?」

ミカ「勝敗を決めるのは……天、さ」ジャララン..

ミッコ「いや、客と審査員だろ」

ミカ「それを含めて、天なのさ。この世の理であったりね」ジャラン

ミッコ(というか勝敗じゃなくて、ミカがどっちを応援するのか聞いたんだけどな……)

アキ「私は愛里寿ちゃんかなあ。身長的に親近感が沸くんだ~♪ミッコは?」

ミッコ「私は西住まほだな!島田愛里寿に負けた借りを私の代わりに返してほしい!」

ミカ「ふふふ」ジャララーン

アキ「……で、ミカは本当のところどうなの?」

ミカ「私の意志……それは本当に私の意志なのかな?知らず知らずのうちに誰かに影響を受け、ねじ曲げられているかもしれない。いや、それ以前に、私がクチにしようとする言葉は、きちんとその通りの音としてみんなに届いているのかな?」ジャララン

アキ「………………」

ミッコ「………………」

ミカ「そう考えると、だんだん…」ジャラララン

スタッフ「…すみません。これからバトルが始まりますので楽器の演奏はやめてもらえますか?」

ミカ「あ、す、すいません」

スタッフ「よろしくお願いしますね」タタタ

ミカ「………………」

ミッコ「大人に注意されたら素直なのな」

ミカ「……ね、年長者は敬うのが吉さ」

アキ「吉とかそういうことじゃない気がするけど……まぁいいや」

アキ(こうやってミカが答えをはぐらかすのはいつものことだけど、勝つつもりで参加して負けちゃったわけだから、色々思うところもあるんだよね、きっと)



ペパロニ「いよいよ決勝っすね!姐さん!」

アンチョビ「そうだな!いやー、負けたのは悔しいが、もう終わったことは仕方ない!精一杯決勝を楽しもう!」

カチューシャ「どちらを応援してるんですか?」

アンチョビ「私は島田愛里寿だな!チーズやトマトが苦手だったり、好き嫌いが多いようだが、それでもラップスキルは卓越してるからな!」

ペパロニ「私は断然西住まほさんっすね!あのズバッと言ってくれる感じがスカッとして気持ちいいっす!カルパッチョは?」

カルパッチョ「ドゥーチェと同じで島田愛里寿さんです。ライミングが好きなので」

ペパロニ「西住まほさんはそういう相手を倒してきたんすよ?決勝もきっとやってくれるはずっす!」

アンチョビ「それはどうかな~?島田愛里寿はかなりやり手だぞ?なあ?」

カルパッチョ「はい。拮抗した勝負になりそうですね」


【舞台袖】

まほ「………………」

エリカ「隊ちょ…………まほ先輩」

まほ「ん?」

エリカ「私、緊張してません」

まほ「?」

小梅「……あの……?」

エリカ「だって……まほ先輩なら何も心配いらないからです!」

小梅「あ……」

エリカ「『大丈夫かな』とか『勝てるかな?』なんてドキドキすることがありません!」

まほ「……ありがとう」クス

エリカ「い、いえ……ただ私がそう思うだけですので……//」

小梅「…………」フフ

エリカ「あ、あんたも何か言いなさいよ」

小梅「え?ええっと……」

小梅(みほさんの分も頑張ってください、なんてお願いするのは生意気すぎるよね……だったら普通すぎるけど、頑張ってくださいって言おう)

小梅「あの…」

まほ「安心しろ。みほの気持ちも背負って決勝に挑むつもりだ」

小梅「うぇっ!?」

まほ「顔にハッキリと出ていたぞ?」クス

小梅「あ、えと、その……す、すみません!」

まほ「謝る必要ないだろう。誰を応援しようと自由だ。それに顔に出るということは素直でいいじゃないか。赤星の可愛いところでもある」クス

小梅「え……///」

エリカ「っ!」

エリカ(まほ先輩のこういうところが恋敵を増やすのよッ!)ギリ..



愛里寿「……………………」

アズミ「隊長……その……決勝戦ですね」

愛里寿「うん…………」

アズミ「相手は……西住まほ、です」

愛里寿「そう……みほさんとは戦えない。2ON2の時と違って、決勝で1対1の勝負が出来ると思ったのに」

アズミ「…………隊長」

愛里寿「……………………でも」ボソ

アズミ「?」

愛里寿「あれだけ強くって……ライバルだと思ってたみほさんを倒した相手と戦える……」ゾクゾクッ

アズミ「!」

愛里寿「どうしよう……さっきからワクワクが止まらない……!」

アズミ「………………」

アズミ(西住みほが負けて、落ち込んじゃうかと思ってたけど……私、隊長のこと全然わかってなかった)

アズミ(……そうよね。大洗に転入する話が出た時も、強敵である西住みほとチームメイトになるより、敵として戦いたいって理由で取り止めにしたぐらいだもの)

アズミ(隊長は強い相手と戦うことを求めてる……仲の良い西住みほが負けたからってやる気を無くしちゃうわけないわよね)フフ..

メグミ「だから言ったでしょ?」ザッ..

アズミ「え?」

メグミ「隊長なら心配ないって」

アズミ「メグミ…………来てたんだ」

メグミ「来てたわよ!客席で観てた!ていうか一緒に会場まで来たでしょ!」


役人「それでは……いよいよ決勝戦といきましょうか!」ワァァァァァ!


愛里寿「……始まる」

メグミ「隊長の勇姿、私たちが観てますから!」

アズミ「絶対勝つって信じてます!」

愛里寿「ありがとう。行ってきます」ザッ..


【ステージ】

役人「それでは入場してください!」

愛里寿「…………」ザッ

ワァァァァァァァ!

まほ「……………」ザッ

ワァァァァァァァ!

役人「シングル戦の決勝は8小節4ターンで行われます!」

愛里寿「………………」

愛里寿(目の前で見ると、体格差以上にオーラというか迫力がある……まるで大きい壁。自分の全てをぶつけても受け止めてくれそう……)ゾクゾク

まほ「…………………」

まほ(島田愛里寿……緊張は無いようだ。まさに自然体。その上で気合いと集中を極限まで高めている……この年齢でここまで達するとは……倒し甲斐のある相手だ)ゾクゾク..

役人「お客さんはもう待ちきれないという感じですね!早速始めましょう!先攻後攻を決めてください」

ジャンケンポン

愛里寿「……後攻」

役人「OK!先攻、西住まほ!後攻、愛里寿!決勝戦!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キュリリッ


http://www.youtube.com/watch?v=s2g1KNACTb8 2:59

<決勝 先攻 西住まほ VS 後攻 愛里寿 >

まほ「MIHOが相手じゃなくて 残念がってるかもと思ったが」

まほ「気合いは充分な様子 楽勝から快勝に評価改めよう」ワァァァ!

まほ「気持ちいいフロウでもライムでも かましてくりゃあいいさ」

まほ「レベルが高いほど 叩き潰す快感が増すからな!」ワァァァ!

まほ「最強を決める決勝 私は歓声を雨のように浴びる」ワァァ!

まほ「ナリタブライアン目指すサラブレッド ムチのみで調教してやる!」ワァァァァ!

まほ「愛里寿 マイクよりニンジンが似合うんじゃないか?」ワァ

まほ「マイクは固い 私と同じで決して食えないってことだ」ワァァァァ!


愛里寿「固い?そう 大丈夫か大将 大層 切った大見得」ワァァ

愛里寿「前がもう見えん ぐらい 酩酊(めいてい)してるように ご機嫌」ワァァァ!

愛里寿「メーデーメーデー と言って ゼェゼェ あんたが 息切らしても」

愛里寿「サラブレッド 疾走し 草原を 生き切らしてもらう」ワァァァァ!

愛里寿「調教とか言いつつ 叩き潰すとか矛盾点」

愛里寿「私は内容通す ラップ そう きちんと書く文献」ワァァァ!

愛里寿「ニンジンなんて無視 縦に一本筋を通し かけるエンジン」ワァァァァ!

愛里寿「前進あるのみ 弱気・強気 まとめてぶつける 全人格を!」ワァァァァ!



まほ「馬なのにエンジンかけるとか 早速矛盾してるぞ」ワァァァ!

まほ「それともポルシェのエンブレムの意味か? 金持ちのサラブレッド」ワァァァァ!

まほ「エンジンかけて『前進あるのみ』 それ 引き返せないレースゲーム」ワァァ!

まほ「だったら走るのは草原より アーケードの方が似合ってるな!」ワァァァァァ!

まほ「全人格をぶつける? 後先無視の特攻精神かよ」

まほ「もう馬だか車だか キリギリス だかわかりゃしねぇな!」ワァァァ!

まほ「これでどんな文献が残るんだよ 誰も解読出来ねぇぞ!」

まほ「言葉遊びの一本筋より 話の筋を通せよ」ワァァァア!



愛里寿「解読出来ない理解力恥ずかしい みんな 愛想尽かすらしい」ワァァ!

愛里寿「どこが特攻精神? 私は中身 ちゃんと構成してる」ワァァ

愛里寿「この人は 言葉の端々に こだわって 粗探し」

愛里寿「あなたらしい立ち位置 みみっちい 腹立たしい」ワァァァ!

愛里寿「肩慣らし とか今さら無しですよ? これ本番 DJルミ 皿回し」ワァァ!

愛里寿「このステージ あなたの墓場らしい 花は無し だからか悲しい」ワァァァ!

愛里寿「墓標の名前は西住、って あなたも充分 サラブレッド」ワァァア

愛里寿「責める資格無し…と思ったけど もしかしたら捨て子!?」ワァァァァ!


まほ「正真正銘 血の繋がった娘だよ ガキが気を遣うな」ワァァ!

まほ「それとサラブレッド自体に文句つけてない 勘違いするな」

まほ「お前が自分で言い出したから アンサー返したって話」ワァァ!

まほ「こう言っても聞きやしないだろうな 馬の耳に念仏だ」ワァァァァ!

まほ「それと粗探しってのは違う むしろこれは手助け」

まほ「お前の言い分は 煮込んだ鍋から出る灰汁(あく)と同じ」ワァァァ!

まほ「味が悪くならないように すく(救)ってやってるんだよ!」ワァァァァ!

まほ「私の立ち位置はハッキリしてる 表彰台の1番上だ!」ワァァァァ!



愛里寿「そういう人を抜いて優勝するのが 1番胸がすく瞬間」ワァァ!

愛里寿「あなたがトップ ほんの数分 後ろの私にすぐ順番」ワァァア!

愛里寿「回る 気分は悪い かもしれないけど これが現実」

愛里寿「堅実 綿密に立ち回ったって 止められんシチュ」ワァァァ!

愛里寿「粗探しを手助けとか ひどすぎる 誤訳よね」

愛里寿「なのに言い切った顔 困るよね もう お役御免」ワァァァ!

愛里寿「鼓膜の辺 どうにかした方がいい MIHOさんも言ってた」ワァァ

愛里寿「耳がまともな時点で あなたより 2歩3歩秀でた」ワァァァ!



まほ「大したこと言ってないくせに 安全圏とでも思ってるのか?」ワァァ

まほ「お前の2歩3歩なんざ 私の大股 1歩で越えられる」ワァァァァ!

まほ「物事にはいくつも見方がある 立場や人でも変わる」

まほ「納得いかないからお役御免 わがままな 子役の言動か?」ワァァァァ!

まほ「仕方ないか 日本語同士を誤訳とか言ってるくらいだしな」

まほ「翻訳を誤るから誤訳 指摘する側が誤用」ワァァァ!

まほ「そんなザマでは 私を抜き去るのは不可能 お前」

まほ「そこらへんの13歳とスキル 五十歩百歩だよ!」ワァァァァア!



愛里寿「そんな脅し文句で ゾクッとなると 思います?」ワァァ!

愛里寿「やだやだ 神経質な 小姑殺法(こじゅうとさっぽう)」ワァァァァ!

愛里寿「嘘まで付く 他の13歳のスキル 絶対知らない!」ワァァ!

愛里寿「どうしようもねぇ 高校生は 撤退しなさい!」ワァァァァ!

愛里寿「不可能とかなんでもかんでも 言ったもん勝ち?」

愛里寿「いい加減にゲンナリ でも 一家言(いっかげん)らしい」ワァァ

愛里寿「もう気にしない その文句は いわば寝言 だもんな」

愛里寿「嫌われ者 重箱の隅つんつん女!」ワァァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァァァ!!


愛里寿「………………」

愛里寿(やっぱり強い……)

まほ「………………」

まほ(これだけアンサーを返してくる上に韻も固くフロウも良い……さすがだな)

役人「……判定に入ります………が、審査員の方たちがまだ決めかねているようです。少々お待ちくださ…………あ、決まったようです!」

役人「では判定です!まずはお客さん!先攻、西住まほが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!

役人「……はい。では後攻、愛里寿が勝ったと思う人!」

ワァァァァァァァ!

役人「後攻、愛里寿に1ポイント入ります!」ワァァァ

まほ「…………」

役人「……これで決まるのでしょうか?それでは審査員のみなさん………………ジャッジお願いします!」

ババン!

亜美「『愛里寿』」

理事長「『愛里寿』」

香音「『西住まほ』」

新三郎「『西住まほ』」

浅井「『西住まほ』」

ワァァァァァ!

役人「3対2で西住まほ!延長戦です!!!」

ワァァァァァァ!

愛里寿「っ…………」

まほ「………………」フゥ


【2階席】

しほ「延長、か……」フゥ

千代「……まほさんのパンチラインが優れていたわ。雨(飴)とムチやサラブレッド、アーケードゲームのくだり。特攻精神をキリギリスと例えたりと色々工夫されていた」

しほ「ただ客の支持は愛里寿が得た」

千代「そうね。ライミングとフロウでは愛里寿が有利」

しほ「だがそれだけで勝負は決まらない」

千代「もちろんよ。でもきっと愛里寿なら勝ってくれる。そう信じてるわ」

しほ「それは私も同じよ。まほなら必ず勝利すると思ってるわ」



【ステージ】

役人「では先攻後攻じゃんけんをお願いします。あ、延長戦も8小節4ターンとなります」

ジャンケンポン

まほ「後攻で」

役人「OK!延長戦!先攻、愛里寿!後攻、西住まほ!DJルミ、かまーせー!」

ルミ「っ!」キキュッ!


http://www.youtube.com/watch?v=hq-rFLPhQvc 2:48

<決勝 先攻 愛里寿 VS 後攻 西住まほ 延長戦>

愛里寿「1戦目で お客さんの ハート鷲掴み」

愛里寿「スタートは静かに 大空とカリブ海」ワァァァ

愛里寿「どこまでも見通せる サードアイ使い」ワァァァ

愛里寿「重箱の隅つつく あんたの箸砕き」ワァァァァ!

愛里寿「このまま 加速する一方の 成長速度」

愛里寿「1歩2歩レベルの差じゃない 手、届くの?」ワァァァ!

愛里寿「まるで 巨人の星の星飛雄馬(ほしひゅうま)」

愛里寿「強引に勝利する 私、昇り龍だ」ワァァァ!



まほ「馬で龍で星飛雄馬? 自分見失ってるなぁ」ワァァァ!

まほ「サードアイ使えるなら このアンサーを見通しとけよ」ワァァァ!

まほ「カリブ海も突然で意味もなんもないし 巨人の星?」

まほ「なら形勢を簡単にひっくり返す ちゃぶ台のようにな」ワァァァァ!

まほ「1本目の重箱の隅 まだ言ってんのかよ」ワァァ!

まほ「ねちっこいのは お前 器は筆箱ぐらい小さいじゃねぇか」ワアァァ!

まほ「成長速度は確かに すごいかもしれないが」

まほ「手が届かなくても別にいい この声さえ届けば構わない!」ワァァァァ!



愛里寿「筆箱の中には 鉛筆 貧乏削り」

愛里寿「その先端で あんたの心臓えぐりたくなるね」ワァァア!

愛里寿「かくなる上は タフなプレイヤー目指し」ワァァァ!

愛里寿「駆け出したくなる成果 手にする 計画」ワァァァァ!

愛里寿「ラストイヤーで気合い入る 3年生補正」

愛里寿「そんなの通用しない 数分後 完全猫背」ワァァァ!

愛里寿「その背中に『敗北』と 太文字にて 書いた半紙」

愛里寿「貼って 黒森峰 に帰りなさい 敗者半死!」ワァァァ!



まほ「確かに 数分後に 猫背にはなるだろう」

まほ「優勝逃して泣き崩れた お前を慰めるため」ワァアァァア!

まほ「小さな体で頑張り 戦った末に敗れる」

まほ「仕方ないが切ない 心臓をえぐられるようだよ」ワァァァァァ!

まほ「半紙なんか使わず直接書けよ めんどくせぇ」ワァァ

まほ「半死って言いたいだけ 半信半疑じゃない 確信だよ」ワァァァ!

まほ「13歳でサードアイで3年生補正?なんだそれ」ワァ

まほ「3の倍数と3の付く数字の時に アホになっちまうタイプか!?」ワァァァァァ!


愛里寿「あほに近いのは そっち 西住まほ」ワァァ!

愛里寿「西住家の祖先 つまり 入口だよ」ワァァァ!

愛里寿「懐かしいネタの話 世界のナベアツ?」

愛里寿「私はアホにならない アホで勝利の 女神を抱けます?」ワァァァ!

愛里寿「ああ言えばこう言う 色々 取り繕うこと」

愛里寿「敵作ろうと してるように見える 屁理屈女王」ワァァァ!

愛里寿「あとは正論(セイロン)ばっか なんか所属 聖グロくさい」

愛里寿「冥府の鎖 で縛りつけて 碇つけて 沈めよう」ワァァァ!



まほ「正論だけで聖グロ なら小っちゃい(チャイ) お前も一緒だな」ワァァァ!

まほ「すぐ破綻する論理 それじゃ勝利の女神は奪(ウバ)えない」ワァァァ!

まほ「『ああ言えばこう言う』のがバトルじゃないのかな?」ワァァ

まほ「じゃなきゃ『沈めよう』なんて言われて 黙ってるわけねぇぞ!」ワァァァァァ!

まほ「お前 1本目に矛盾点がどうとか言った」

まほ「でもそこ突かれたら 『正論ばっか』 論外じゃんか」ワァァァ!

まほ「私は お前を気持ちよくさせるために いるんじゃねぇ!」ワァァ!

まほ「ぶっ倒して優勝するために立ってるんだよ!!」ワァァァァァ!!



愛里寿「こっちだって同じ 何故に威張ってる?」ワァァ!

愛里寿「急に大声 負け犬の遠吠えに決まってる」ワァァァ!

愛里寿「私はプラスアルファ お客さんの気持ちよくさせる」

愛里寿「そのためのライム 幾重(いくえ)にも威力上げる」ワァァァァ!

愛里寿「あんたはライムを放棄して上機嫌 どうして?」ワァァ!

愛里寿「優勝とか正気ですか?見えてますか オーディエンスが」ワァァァ!

愛里寿「気付いた時には遅い 言わば過日」

愛里寿「フリースタイル 未だ旅する 島田愛里寿」ワァァァァァ!



まほ「島田愛里寿 のスタイル 味方がいる?」ワァァ!

まほ「力足りず 負けちまった体育 座り」ワァァァ!

まほ「したら体躯(たいく) も言葉も 締まらない句」ワァァアァ!

まほ「ってライミングしたら ごめんなさいするのか!?」ワァァァァ!

まほ「料理と同じだろ プラスすればいいってもんじゃない」ワァァ

まほ「客が何で喜ぶかなんて 人それぞれに決まってんだろ!」ワァァァァ!

まほ「客の喜ぶことやってんじゃ 愛里寿自身が どこにもいないぞ!」ワァァァァ!

まほ「だが気付いた時には遅い お前がたった今言った言葉だ!」ワァァアァァァ!



役人「終了ーーーーーー!!!」

ワァァァァァァァァァァ!!!

愛里寿「…………」ハァ..ハァ..

まほ「……………」ハァ..ハァ..


役人「延長戦が終わりました……早速判定に入りたいと思います!」

役人「まずはお客さん!今の勝負、先攻、愛里寿が勝ったと思う人!」

ワァァァァァァ!

愛里寿「…………」

役人「……後攻、西住まほが勝ったと思う人!」

ワァァァァァァァァ!!

まほ「…………」

役人「……西住まほが1ポイントを先取しました。それでは審査員のみなさん………………ジャッジをお願いします!」

ババン!

亜美「『西住まほ』」

理事長「『西住まほ』」

香音「『愛里寿』」

新三郎「『西住まほ』」

浅井「『西住まほ』」

愛里寿「…………っ」

役人「4対1!フリースタイルバトル、シングル戦優勝者は……西住まほ~~~~!!!!!」ワァァァァァァ!!


まほ「……勝った、か」ホッ

役人「優勝者にはトロフィー……と言いたいところですが、急きょ開催されたシングル戦なので残念ながらトロフィーはありません!申し訳ない!」

役人「ですので………そう!審査員の方から一言、コメントをいただきましょう!理事長、お願いします!」

理事長「急な話ですな……何も考えてませんぞ……戦車道の式典でのスピーチならいくらでも出来るが、お堅い挨拶になってしまう……どうしたものか……」ウーム

亜美「理事長。お困りでしたら、若輩者ながら私が代わりを務めてもよろしいでしょうか?」

理事長「おお!是非頼む!辻さん、コメントは蝶野君がしてくれるそうだ!」

役人「辻ではなくRENTA 365です。では蝶野さん、お願いします!」

亜美「…………」スクッ!

亜美「…………西住まほさん」

まほ「………………」

亜美「グッジョブベリーナイス!」

まほ「………………」

亜美「…………以上です」

役人「……え?あの……え?一言すぎませんか?」

亜美「シンプルイズベスト!ミッションコンプリート!」

役人「…………わかりました。えー……なんかグダグダで申し訳ありませんが……みなさん!優勝した西住まほさんに、今一度大きな声援と拍手を!!」

ワァァァァァァァア!

パチパチパチパチパチ!

まほ「…………」ペコリ

愛里寿「…………まほさん、あくしゅ……」スッ

まほ「ああ」ガシッ

愛里寿「………………まほさん、もうバトル出ないの?」

まほ「……みほとの話を聞いてたのか」

愛里寿「」コクリ

まほ「その通りだ。今回で最後の参加になる」

愛里寿「そう……まほさんとまたバトルしたかった」

まほ「すまないな。だがそう言ってくれるのは嬉しいよ。ありがとう」ニコッ

愛里寿「っ!?」ドキン!

愛里寿「う、うん……どういたしまして……///」

愛里寿(な、なんだろう?今の?みほさんといる時の楽しい感じとも違って……)

役人「……以上をもちまして!フリースタイルMCバトル大会を終了します!参加してくれたMCのみなさん、お客さん、審査員のみなさん、そしてDJルミさん、スタッフのみなさん、ありがとうございました!!」

ワァァァァァァァァ...


【会場の外】

ワイワイガヤガヤ..

沙織「はぁぁぁー……なんかすごい試合だったねー」

優花里「ええ!さすが西住殿!のお姉さんですぅ!」

華「あの力強さと芯の太さ……華道にも生かせるかもしれません」

梓「でも西住隊長も惜しかったですよね」

華「ええ。みほさんもとても活躍されていました。まるで花を生け…」

あや「あれ?先輩がいないよ?これから帰るのにどこに行ったんだろう?」

沙織「ホントだ。みぽりんがいない」

紗希「………………」スッ

沙織「え?どこを指し…………あ、いた」



みほ「ねえお姉ちゃん。うちにご飯食べに来ない?お姉ちゃんが大好きなカレーメシ置いてあるよ?」

まほ「いや、私は黒森峰のみんなと…」

愛里寿「まほさん。私の家でカレー食べませんか?ううん、泊まって行きませんか?」

まほ「だから私は…」

みほ「…気になったんだけど、愛里寿さんはなんでお姉ちゃんには敬語なの?」

愛里寿「……なんとなく……そういう雰囲気」

みほ「ふーん……あ!じゃあこうしない?私の家にボコの限定DVDがあるんだけど…」

愛里寿「!」

みほ「愛里寿ちゃんは私の家で観てて。その代わり、お留守番をお願い。私はお姉ちゃんの部屋でカレーメシを食べるから。ぐるぐる混ぜるから」

愛里寿「…………だめ。ボコのDVDは観たいけど、それ以上にまほさんと一緒にいたい。理由はわからないけど……」

みほ「!」

みほ(ここに来て伏兵!?まさか愛里寿さんがお姉ちゃんを!?)

エリカ「あんたら好き勝手言ってるんじゃないわよ!まほ先輩は私たちと一緒に黒森峰に帰るのよ!そうでしょ!あんたもなんとか言ってやりなさいよホラ!」

小梅「え、ええと……」チラ

みほ「…………」ジィー

愛里寿「…………」ジィー

小梅「わ、私は別にその……まほ先輩の意志に任せますとしか……」

エリカ「このコウモリ野郎!ヘドが出るわ!ドブに落ちなさい!」

まほ「言いすぎだぞエリカ」

エリカ「す、すみません!」

みほ「……お姉ちゃん。黒森峰に戻ったら今みたいな大声でのやりとりが待ってるけど、私の部屋は無音だよ?だから、ね?うちに来て?」

エリカ「何が無音よ!なんの音もしないのも怖いじゃないのよ!」

愛里寿「……島田家は静か。ちょうどいいくらいの静かさ。だからまほさんも気に入ってくれるはずです」


エリカ「まほ先輩のちょうどいい静かさ?ハァ!?会ったばかりでそんなのわかるわけないでしょうが!10年早いのよあんた!」

愛里寿「わかる。バトルで通じ合った」

エリカ「このガキ……!」

まほ「お、おいおい。ケンカをするな」

カチューシャ「待ちなさいよ!」ザッ

まほ「カチューシャ?」

カチューシャ「ま、マホーシャは私と一緒にごはん食べるんだから!あんたたちに邪魔されるすじあいないわ!」

みほ「……お姉ちゃん、カチューシャさんと約束してたの?」

愛里寿「…………」

まほ「いや、約束はしていないが」

みほ「してないそうですけど」

カチューシャ「うっ……で、でもそういう雰囲気だったもの!」

愛里寿「わかる。雰囲気って感じるものだから」

カチューシャ「でしょ!?あんたなかなかわかってるじゃない!」

愛里寿「だからこそ島田家に来るべき雰囲気」

カチューシャ「違う!全然わかってない!他の雰囲気よそれは!」

ノンナ「カチューシャ。無理矢理誘うのはよくありません」

クラーラ「そうです。カチューシャ様は私たちと共にプラウダへ帰り、ボルシチ等を食べさせ合いっこするべきです(ロシア語)」

カチューシャ「うー……」ウルウル

まほ「……そんな顔しないでくれカチューシャ。な?」ナデナデ

カチューシャ「……こ、こども扱いしないでよ……ばか…///」

みほ・愛里寿・エリカ「!!!」

みほ(お姉ちゃんの皮膚を勝手に感じて……!ずるい!)

愛里寿(なでなで…………されたい……)

エリカ(あ、あの子……どんな手を使ったのよ!まほ先輩に撫でてもらえるならお小遣い全部出すぐらいの気持ちを持ってる人間は黒森峰にたくさんいるってのに!家が裕福でなくてもね!)

ノンナ・クラーラ「………………」

ノンナ(西住まほがカチューシャを恋愛対象から外すように動くべきか、カチューシャが今西住まほに抱いている気持ちをそっくりそのまま私へ変換する装置の開発を急ぐべきか……とりあえず、緊急事態であることは確かですね)

クラーラ(もうロシア語で話しただけではカチューシャ様の注意を引けない段階に来てしまっています……となると、次なる手は体の柔らかさアピールでしょうか……)

ニーナ「………………」

ニーナ(なんかややこしい事態になってらぁ。触らぬ神になんとやらだべ。気配を消してプラウダに帰るだ)スー..



沙織「…………うわー、なんかすごい修羅場っぽくない?」

華「様々な花が入り乱れる……華道、あるいはホテルバイキングに通じるものがありますね」

優花里「こ、こうしてはいられません!私も参加しなければ!にしずみどのぉ~!」ダダダダダ!

沙織「あ!ゆかりん行っちゃった」

柚子「火中の栗を拾いに……というか、自ら栗になって火中に飛び込む感じですね」

杏「欲望渦巻く渦中でもあるよね。しかも『栗』って言ったら……ねぇ?」ニヒヒ

柚子「会長……」ハァ

桃「おっさんですよその発言は」

桂利奈「…………」

あゆみ「桂利奈?さっきから黙ってどうしたの?」

桂利奈「私、行ってくる!」

優季「隊長のところ?」

桂利奈「ううん、カルパッチョさんのところ!」

優季「え~!?」

沙織「ど、どういうこと?」

桂利奈「……2ON2の練習の時とか、一緒に過ごして……すごく楽しかったんです!だから……私、カルパッチョさんともっと仲良くなりたい!」

あや「あー、でもカルパッチョさんって確かカエサル先輩と…」

桂利奈「……それでもいい!行ってきます!」ダダダダッ!

あゆみ「アンツィオのみなさんのところに行っちゃった……」

沙織「………………あ、でもなんか普通に楽しそうに会話してる」

華「その隣ではペパロニさんがアンチョビさんと仲良さそうにしてますね」

沙織「え?え?なんかちょっとそういう感じなの?」

紗希「……………………」スッ

沙織「今度はあっち?ってあれは……」



オレンジペコ「うふふふ」ニコニコ

ダージリン「……ずいぶん嬉しそうね」

オレンジペコ「はいそれはもう!ダージリン様に約束を果たしてもらえるのですから!」

ダージリン「確かに優勝したらお願いを聞いてあげるとは言ったけれど」

オレンジペコ「その約束があったからこそ、どんな手を使ってでも優勝しようと思えたんです!」

アッサム「結果、2ON2で優勝したものね。見事だわ。一体どんなお願いをするつもりなの?」

オレンジペコ「……1日だけダージリン様を飼いたい、です」

アッサム「え」

ダージリン「…………あら?」

オレンジペコ「首輪は用意してあるんです。あ、でも別に四つん這いとかじゃなくて、優雅ないつものダージリン様のままでいいんです!でも食事の際には私があーんさせた物以外はダメとか、お腹をサワサワしたいとか、そういう健全なものですから」

ダージリン「あらあら」ウフフ

アッサム「……ものすごいこと言われてますけど、動じないのはさすがですね」

アッサム(結局この2人はいいコンビなのよね……私にもそういう相手がいれば……)ハァ..


ローズヒップ『ダージリンさまー!おプレミアリーグのお試合が始まりますわよー!』


アッサム(ローズヒップはダージリンのことばかりですし。たまには私にも構いなさいよ…)フン



沙織「……どんな会話してるか聞こえないけど、ダージリンさんとオレンジペコさんがいい感じなのはわかった」

華「ええ、遠くから見ても伝わるようです。ビビンバの鉄器よりも熱を通しそうです」

沙織「なんかさー、カップルっぽいのばっかじゃない?フリースタイルバトルってそうなりやすいのかな?」

杏「やー、それは違うよ。今回2ON2でコンビ組んだ人は、一緒に過ごした時間が長いから色々お互いを知って仲が深まるとかはあるだろうけどね」

柚子「でもバトルした結果、相手をリスペクトするようになってそこから好きになることはあるのでは?」

杏「どうだろうねー?西住ちゃんのお姉ちゃんぐらいじゃないの?あの人、バトル中はずっと相手を見つめたまま戦うっしょ?あの人にそれされたらコロッと落ちる子は多そうだからねぇ」アハハ

柚子「じゃあ普通は戦ったから好意を抱くわけではないんですね…………って当たり前か。ディスられるわけですし」

沙織「えー……じゃあ元々みんな付き合えるような相手がいたってことですか?私なんて全然いないよー」

杏「あ、ホラ。あっちの2校はカップルって感じじゃないよ。見てみ?」

沙織「?」チラ



ケイ「あー、楽しかった!最後にサイファーしたかったのに~、ざーんねん!」

ナオミ「サイファーはともかく、楽しかったのは確かだね」

アリサ「……まぁ、そうですね。悔しさは残りますけど」

ケイ「じゃあ打ち上げでパーッと盛り上がって悔しさを晴らしましょ!行くわよ!アリサ!ナオミ!」ギュッ!

アリサ「ちょ……いきなり首に腕回さないでくださいよ!」

アリサ(ほっぺに胸が当たって柔らかいのはちょっと嬉しいけど……って違う!私はタカシ一筋!)

ナオミ「うん。やっぱり隊長の身体は温かくて落ち着くね。いつもは抱く側だけど抱かれるのも悪くない」フッ

アリサ「……その状態で決め顔されても……」

ケイ「あっははは!レッツゴー!」



アキ「惜しかったよねー!前回の結果から見たら大躍進だよ」

ミッコ「まぁ、頑張ったからな。でも優勝したかったー」

ミカ「優勝は価値のあること。けれど優勝出来なかったということにも価値はあるのさ」ジャララン

アキ「参加することに意義があるって言うもんね」

ミッコ「確かに。ミカにしては普通なこと言ったな」アハハ

ミカ「………………………………」

アキ「ミカ?」

ミカ「優勝……それは大宇宙のパノラマであり、箱庭の中に溶けたクジラを大理石に変えうる可能性の集約されたタービンの支配構造に対する渇望者の本質さ」ポロロン..

アキ「………………は?」

ミッコ「適当なこと言ってるでしょ」

ミカ「………………」ポロロン

ミッコ「ポロロンじゃなくて」

アキ「ミカ……普通って言われたのがそんなに悔しかったの?」

ミカ「………………風が……出てきたね」

ミッコ「無風だよ。だから暑いよ」



沙織「……ホントだ。カップルっぽくはない」ホッ

あや「あ!でもあそこ見てください!」ビシッ!

沙織「え!?どこどこ!?」



エミ「………………」

音子「いいのかよ。大洗の友達んとこ行かなくて」

エミ「ん。大丈夫」

音子「ふーん……」

エミ「……っていうか、ずいぶん心配してくれるのね」

音子「べっつに。してねーけど」

エミ「…………ふーん」

音子「あ、あんだよ」

エミ「あのさ」

音子「おう」

エミ「私がみほたちのところに行かないのは……あんたと一緒にいたいから、って言ったらどうする?」

音子「…………な……っ……//」

エミ「……ちょ、ちょっと!なに照れてんのよ!あんた前に『俺はこいつが好きだぜ』って私に言ったくせに!」

音子「あ、あれは『俺らは』っつったんだ!それを……大体お前、西住まほが好きなんじゃなかったのか?『カリスマ性に惹かれる』とか言ってただろ!」

エミ「それと恋愛感情は別でしょ?っていうか……」

音子「?」

エミ「そう言ったらあんたがどういう反応するのかが知りたかったっていうか……ヤキモチとか焼いてくれるかな、とか……///」

音子「う……///」

エミ「…………///」

音子「……い、いや、その………なんだ。俺らは、っつったけど……今は……じ、実際……マジで好き……かもしんねぇからアレだけど……//」

エミ「っ……!だったら最初からそう言いなさいよ!歯切れ悪いから……違ったのかと思ったじゃない……」

音子「や、まあ……悪ぃ」

エミ「……いいけど」

音子「…………と、とりあえずじゃあ……手でも繋ぐか?」

エミ「とりあえずなんて気持ちなら嫌」

音子「………………エミと手、繋ぎてぇ//」

エミ「…………ん//」スッ

音子「お、おう//」キュッ

エミ「エミ、か……ふふっ」

音子「……な、なんだよ。呼んだらダメだったか?」

エミ「ううん、さすがにこの段階でマネとは呼ばなかったなーって」

音子「そ、そんぐらいわかるっつーの//」

エミ「ふふっ//」



沙織「なにあれ幸せそうだけどちょっとムカムカする」

優季「らぶらぶ~♪」

沙織「イベントごとがあるとくっつくケースが多いってよく聞くけどー……でもー!うぅぅ…」

♪~

沙織「あ、電話……麻子からだ。もしもし?」

麻子『沙織か。今日の打ち上げ終わりに、あんこうチームだけでお疲れ会をする約束だったが……すまん。私は参加出来ない』

沙織「えー!なんでー!?」

麻子『その……そど子と過ごす……あ、いや違うぞ!?過ごすと言っても、別に変なことをするわけではない!至って健全だ!』

沙織「…………そ、そう」

麻子『というわけで……直前にすまん』

沙織「………………ううん、そういう理由ならしょうがないよ。みんな友達より恋人を優先する生き物だから……」

麻子『こ、恋人!?私とそど子はその……いや、確かに気持ちは通じ合っているが、一般的な恋人がするような深い行為をする流れに持ち込めるとは限らな…』

沙織「」ピッ

ツーッ..ツーッ..

沙織「………………はぁあぁ」

華「麻子さん、お疲れ様会、不参加ですか?」

沙織「うん……みぽりんは前もって『お姉ちゃんと一緒の時間を過ごしたいから参加できない』って言われてたし、ゆかりんにも『私は西住殿の行く先に付いていくつもりです。なので西住殿が武部殿の部屋での会合に不参加であれば私も不参加となります』って伝えられてたんだけど、麻子は来てくれるとばっかり思ってたよ」ハァ..

あゆみ「でも本当にカップルが増えましたよね」

梓「麻子先輩と園先輩なんて大洗内のカップルだもんね」

杏「青春を謳歌してるねー、結構結構」アッハハ

沙織「会長はいいですね……余裕があって楽しそうで。周りにカップルがいても平気なんて羨ましいです……独り身には辛いですよー」ハァ..

杏「んー、っていうか私も恋人いっから」

沙織「………………ええっ!?」

華・梓・優季・あゆみ・あや「誰ですかっ!?」

紗希「……………………………………」

あや「ま、待って。紗希が全然驚いてない。ということは……会長の恋人って…………紗希!?」

紗希「……………………………………」

あゆみ「否定しないってことは………!」

杏「違うけど?」

あゆみ「いつものポーカーフェイス!」


華「そ、それで……お相手というのは……?」

杏「小山」

柚子「//」

梓・優季・あゆみ・あや「やっぱり!」

杏「…………と」

梓・優季・あゆみ・あや「…………と?」

杏「かぁしま」

梓・優季・あゆみ・あや「……………………」

沙織「なぁんだ。結局いつもの冗談…」

杏「じゃないよ?3人で付き合ってんだよね」

沙織「……………………」

あゆみ「なんか……トリッキーな……」

杏「私ら、なんだかんだ3人じゃなきゃダメなんだよねぇ」

柚子「はい。でも一般的には恋人と呼ぶのでしょうか?」

桃「呼ぶだろう?だってこないだだってベッドで…」

柚子「わーー!桃ちゃん!ダメ!」

桃「もごごご…」

沙織「……………………優季ちゃんたちはそういうロマンス?みたいなのあるの?」

優季「私は特に無かったけど~…」

沙織「……けど?」

優季「桂利奈ちゃんがカルパッチョさんのことが気になるって飛び出した時、なんかいいなぁって思いました」

沙織「で、いいなぁってなった。そのあとは?相手とか!」

優季「…………梓、とか?」

梓「ええっ!?」

優季「なんとな~く、だけど。梓、かわいいなって思う」

梓「ゆ、優季ちゃん……//」ドキドキ

優季「ねぇ~、梓ちゃぁん……私じゃ……だめ?」ウルウル

梓「そ、それは…………///」

沙織(…………優季ちゃんが本気になればあっさり落とせそう……)


沙織「……あやちゃんたちは?」

あや「私は………」チラ

あゆみ「………………うん」

沙織「?」

あや「……実は、私とあゆみは付き合ってまして……」

沙織・梓「ええええ!!!」

華「あら」

優季「まあ♪」

紗希「……………………」

あゆみ「……なんか言うタイミングを逃しちゃって……」

沙織「うぅ……さ、紗希ちゃんは?付き合ってる人いる?」

紗希「………………」フルフル

沙織「……じゃあ好きな人は?」

紗希「……………………………………」

沙織「いるの!?」

あや「もしかして河西さん!?」

紗希「………………」フルフル

沙織「じゃあ誰!?紗希ちゃんは誰が好きなの!?」

紗希「…………………………………………地球」

沙織「………………………………」

紗希「…………自然が………………好き」

沙織「………………………うん、了解」

杏「了解ってなんだよ」アッハハ

沙織「いや、なんて言ったらいいかわからなくて……」

華「変わった方ですよね」ニコニコ

沙織「言っとくけど、華も変わった方カテゴリーに入るからね?」

華「あら」ウフフ


沙織「……っていうか華はさっきから楽しそうだけど、寂しくないの?周りはカップルいっぱいで自分は取り残されてるんだよ?はぁぁ……」

華「?寂しくありませんけど」

沙織「華道ってそんなに精神を鍛えられるの?まるで鋼の…」

華「だって沙織さんがいますから」

沙織「………………え?」

華「沙織さん手作りのハンバーグも、とても楽しみです。沙織さんの料理はとても美味しいですから。わたくし、大好きです」ニッコリ

沙織「…………華………それって……//」ドクン..

沙織(私がいると寂しくないってどういうこと!?)ドキドキ

沙織(それに『大好き』ってのは料理?それとも私!?なんかどっちにもとれそうな言い方!)ドキドキドキ

沙織(っていうか私、今すっごくドキドキしてるんだけど!これもしかして恋ってやつ!?それともさっきのあやちゃんたちの交際宣言と紗希ちゃんの地球が好き宣言に引き続きビックリ発言が続いてるせい!?)ドキドキドキドキ..

華「あ……もしかして……」

沙織「な、なに……?」ドキドキ

華「お疲れ様会は、あんこうチームで行う予定でしたが、参加者はわたくしと沙織さんだけとなりました。お疲れ様会は中止でしょうか?」シュン

沙織「う、ううん!?やるよ!華が大好きなハンバーグ作るよ!」

華「本当ですか!?とても嬉しいです!」

沙織「……だ、だって華、ハンバーグ大好きだもんね!?」

華「はい!大好きです!」

沙織「わ、私のことも大好きだもんね!?」

華「はい!大好きです!」

沙織「~~~~っ…///」

沙織(ぅあー……なにこれ!やばいやばい!私いま絶対顔赤い!)

沙織(でも……華は私の料理が好きなのか、私のことが好きなのかハッキリしないし!)

沙織(ちゃんと聞きたい!あー!でも……怖くて聞けない!)

沙織(……だけど気になる……ぅあー……///)



しほ「大洗の連中は青春真っ盛りといったやりとりをしているわね」

千代「……あの距離の会話が聞き取れるの?だいぶ離れているけれど」

しほ「忘れたの?私の聴力は蛾と同等レベルだって」

千代「…………蛾?」

しほ「ええ。ハチノスツヅリガは人間の15倍ほどの聴力を持つと言う」

千代「……だとしても、蛾に例えるのはあまり良くないと思うわ」

しほ「………………」

千代「?どうしたの?蛾を責められて機嫌を悪くしたのかしら?」

しほ「それもゼロではないけど……大洗の子たちを見ていて、ふと自分の高校時代を思い出してね」

千代「そう……」

しほ「…………ちよきち、今夜……私と」スッ

千代「!?だ、だめよ!あの日、最後の思い出にするって決めたでしょう!?」

しほ「とうにムラムラしてるんだ」

千代「なんなのよその言い分!家元同士がこんなところで誤解を招く会話をするのはいけないことよ。自分を律しなさい、しぽりん」

しほ「……そう、ね。ごめんなさい」

千代「わかってくれればいいの」

しほ「…………そうだ。ちよきち」

千代「なに?」

しほ「キレイで大きなお城に興味はない?」

千代「ありません」

しほ「……そう」シュン

千代「あ……」

千代(普段はしっかりしているくせに、こうやってところどころで弱い部分を見せて母性本能をくすぐる。これを天然でやってしまうしぽりんは恐ろしい子!)


【会場内】

ルミ「ふーっ……これで片付け完了、っと」

アズミ「お疲れ様。これ、スポーツドリンク。遠くに置いておくわね」

ルミ「近くに置けって!」

アズミ「ふふっ、冗談よ」ハイ

ルミ「サンキュ」

アズミ「DJ、大変だったでしょう?」

ルミ「そりゃあね。でもその大変さも楽しいからいいんだよ」

アズミ「前向きね」

ルミ「わざわざ私を待っててくれたの?隊長と一緒に行っても良かったのに」

アズミ「……今の隊長のそばにいるのは辛くてね」

ルミ「……ん?どゆこと?」

アズミ「可愛いのは間違いないのよ。少し甘える感じの隊長はいつもと違う可愛さを見せてくれる。でも……その相手が私ではないのが辛いの……!」

ルミ「…………そうか……西住まほ、か」

アズミ「ええ……」クッ

ルミ「うぅ……隊長……私がDJとして活躍する姿よりも西住まほの方を……」

メグミ「2人とも!」ザッ!

ルミ「え……メグミ?」

アズミ「来てたの……?」

メグミ「来てた!というかさっき会ったでしょ!しかもこのやりとりもした!」


アズミ「そうだったわね。隊長ショックで少し記憶が曖昧になっていたみたい」

メグミ「……隊長の件は私もショックよ。だから2人の気持ちがわかる!」

ルミ「メグミ……」

メグミ「飲みに行きましょう!嫌なことは全て忘れて、パーッと騒ぎましょう!」

アズミ「そ、そうね!もう飲むしかないわよね!」

ルミ「よーっし!どの店にする?今からなら……」

亜美「ドランクモンキー!」ザッ

アズミ・メグミ・ルミ「え」

亜美「話は聞かせてもらったわ!とにかくお酒を大量に飲む必要があるわけね!」

アズミ「げ!」

メグミ「ち、違います!」

ルミ「量が重要ではなくてですね……」

亜美「ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ!!」

アズミ「それお酒と関係ないですよね?」

亜美「……ああいう風になるくらいお酒を飲みましょうという意味よ」

メグミ「絶対なりたくないんですけど」

ルミ「カメだもんね……」

亜美「勘違いしてない?実写の方よ?」

アズミ「もっと嫌ですよ!顔色悪すぎるし…」

亜美「あっははは!ナッシングバットサムシング!とにかく行くわよ!私のオゴリだから安心しなさい!」

アズミ「うぅ……」

メグミ「どうせヤケ酒になる予定だったけど…」

ルミ「飲む前から憂鬱……」




役人「……………………」

役人(終わってしまった……輝かしい時間だった)

役人(1日をこれほどまでに有意義に過ごせたことはないと断言出来るほど充実していた)

役人(司会だけでなく、まさかバトルをすることになるとは……人生何があるかわからない。予想外の連続と言える)

役人「………………」

役人(そのバトルでは……西住流家元の娘さんである西住みほさんと対戦した……強烈なディスを次々と浴びせられ、私は完敗した)

役人(……悔しさもあったが……今になって振り返ると……)

役人(…………嬉しくもあった気がする)

役人(勉学に励み、社会に出てからも仕事に心血を注いできた。それなのに、高校生に公の場で面罵され……自分の全てを否定される…………なんと気持ちがいい……)ゾクゾクゾク

役人(っ!?違う!私はそのような性癖は持ち合わせていない!)

役人(そもそも、大会中には司会進行のことで頭が一杯だったのだ!だから……)

役人(……冷静になった今、感じたその気付きこそが本質なのではないか?)

役人(私が大洗を廃校にしようとしたのも……廃校そのものが目的ではなく、彼女たちに恨まれ、罵倒されることで快感を得ようとして……!?)

役人「違う!私はッ!あああっ!」

理事長「……辻さん」

役人「あ……理事長……?」


理事長「あなたの気持ちはよーくわかりますよ」

理事長(バトルに負けた悔しさ。それも年下相手に完敗だ。しかも負けた後に司会を続けなくてはならなかった。その辛さが大会後に一気に襲ってきたのだろう)

役人「!わかってくれるのですか!?」

理事長「ええ。私も経験済みですからな」

理事長(ラッパー、KODAMAとして活動中に、若手主体の大会の司会をしていた時、急に出場できなくなった選手の代わりを務め、一回り以上年下の相手に敗れた。辻さんの今回のケースと全く同じ)

役人「なんと!それでは……解決策をご教示頂きたいのですが…」

理事長「そういう時は自分に素直になることです」

役人「!!」

役人(素直に……?女性に罵倒されて快感を覚えるのを認める、と?)

理事長(私は大会後、先輩のラッパーに自分の心情を全て吐き出した。キャリアにあぐらをかいていた自分の情けなさなど、話すことを躊躇ってしまいそうな恥ずかしさはあったものの、吐き出した後はスッキリとした気持ちになった…)

理事長「……恥をかくことを恐れてはいけません。乗り越えるのです」

役人「!!」

理事長「私は信頼できる先輩を頼りました。その結果、今の私があります」

役人「そう、ですか……」

役人(なんて人だ……女性に『罵ってください』と直接頼み込んだというのですか!?そして、その期間を経て、戦車道連盟の理事長に……)

理事長「…………どうですかな?少しはお役に立てましたか?」

役人「……はい。お陰様で、迷いが晴れました」

理事長「それはよかった」ホホホ

役人「…………」

役人(真面目に仕事をしてきたおかげで人脈はある。まずは……そうだ。島田千代さんにお願いしてみるとしますか。もしダメでも蝶野さんなど、当てはある)ウム

役人「ふふっ」

役人(さあて……これから忙しくなるぞ……――――)


こうして、

役人・辻廉太を始め、

様々な人に影響を与えたであろう

第2回フリースタイルMCバトルは幕を閉じたのだった――――





しかし……




みほ「お姉ちゃん!」

愛里寿「まほさん……」

エリカ「まほ先輩!」

カチューシャ「マホーシャ!て、手を繋いであげてもいいわよ!」

まほ「あ、あまりくっつかれると歩きにくいんだが…」

ノンナ「カチューシャ……!」(自販機の裏)

クラーラ「カチューシャ様……!」(店の看板の影)

優花里「西住殿……ッ!」グギギギ...(段ボールの中)



梓「ゆ、優季ちゃん、ちょっと……近い……//」

優季「くっつきたいんだも~ん♪」



カルパッチョ「たかちゃんったらひどいんだよ?今度デートしようって誘ったら『その日はエルヴィンたちと歴史記念館に行く約束してたことを思い出して……ホントごめん!』だって!チケット無駄になっちゃったなぁ…」

桂利奈「だ、だったら私と行きませんか!?私、カルパッチョさんと一緒にお出かけしたいです!」




彼女たちの恋愛バトルは、これから幕を開けようとしている。

それがどのような結末を迎えるのかは、誰も知らない――――




<おわり>


以上で完結です

前作同様、長すぎるSSとなりましたが、読んでくれた人、ありがとうございました


そして、

DJ X Boyさん、so was Redさん、TK CYPRESSさん、man lazyさん、momo mameさん、Rap Beatさん、

エル・レッドキングさん、キッズサイファーさん、海月さん、前田カエラさん、

バトル用ビート動画のリンクを貼らせてもらいました。ありがとうございました

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