梨沙「ふいうち」 (35)

ピンポーン……

モバP「ん?こんな夜遅くに誰だ?訪問販売か?」

ピンポーンピンポーン……

モバP「無視無視……」

ピンポピンポピンポピンポーン!!

モバP「うるせぇ!!今何時だと……」

ガチャッ

梨沙「……」

モバP「は?梨沙?」

梨沙「……居るなら一度で出なさいよ!」

モバP「いや悪い。訪問販売かと……ってかこんな時間に駄目だろ、出歩いちゃ」

梨沙「とにかく入れて」

モバP「駄目だ。今すぐ帰れ。送っては行くから」

梨沙「……いいから!」

モバP「(こりゃ何かあったな……)」

モバP「少しだけだぞ」

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モバP「で?どうした?というか何だその荷物は家出か?」

梨沙「違うわよ。この間なんだけど……」

モバP「おう」

梨沙「パパとママにアタシのお給料から1週間の旅行をプレゼントしたの」

モバP「ほう。お前のそういうとこは偉いな。関心関心。」

モバP「で?お前自身はどうするんだ?流石に仕事あるから休めんぞ?」

梨沙「……」

モバP「(自分の事忘れてやがったな。こういう詰めの甘いとこあるからなぁ)」

モバP「ホテルは~……駄目だな。流石に子供が一人では危ないか」

梨沙「子供じゃないし!」

モバP「でも実際今困ってるんだろ?」

梨沙「ぐっ……」

モバP「女子寮は満員……他の子の家はどうだ?」

梨沙「アタシの勝手で迷惑かけらんないわよ」

モバP「(俺はいいのか……)」

モバP「ちひろさん家は梨沙の学校からは遠いし……」

梨沙「アンタの家なら学校からも事務所からもすぐだし、晴とかと遊びに来てるから勝手も分かるし、部屋もあるし」

梨沙「まぁちょっと身の危険は感じるけど」

モバP「気のせいだ」

梨沙「てわけでしばらく泊まるわね」

モバP「駄目です」

梨沙「これ引くわよ?」(防犯ブザー装備)

モバP「歯ブラシ持って来た?お茶いる?」

モバP「まぁ今日はいいとして明日から考えるか……」

梨沙「そうね。アタシもアンタに襲われたくないし」

モバP「ところで梨沙」

梨沙「なに?」

モバP「親御さんにはこのことは?」

梨沙「……」

モバP「今すぐ連絡します」

梨沙「止めて。心配かけたくないの!」

モバP「駄目だ」

梨沙「お願い」

モバP「駄目だ」

梨沙「引くわよ?」(防犯ブザー装備)

モバP「絶対にノゥ!」

梨沙「強情」

モバP「そうでもないと信頼などされんよ。きちんと許可取ってからだ」

梨沙「……わかったわよ」

モバP「電話したらOKだってよ」

梨沙「はぁ……心配かけたくなかったのに……」

モバP「むしろ連絡つかない方が問題だろ」

梨沙「うっさいわねさっきから。とりあえず荷物部屋まで運んでよ!」

モバP「へいへい」

梨沙「あ、あと勝手に部屋に入ったら怒るから」

モバP「俺の家なのに?」

梨沙「プライバシーってやつよ」

モバP「まぁそこらへんは配慮するよ」

モバP「(ご丁寧に部屋の前に立ち入り禁止テープまで貼られてはなぁ)」

梨沙「暑い……」

モバP「風呂沸かしたから入ってこい。飯は?」

梨沙「まだよ」

モバP「リクエストは?」

梨沙「ビーフストロガノフ」

モバP「急に来てんなもんあるか!!」

梨沙「じゃあパスタ」

モバP「はいよ」

梨沙「……」

モバP「何だ?」

梨沙「覗かないでよ」

モバP「8年早い」

ガチャッ……

モバP「おう、あがったか。って髪ぼさぼさじゃねぇか」

梨沙「長いんだからしょうがないでしょ!」

モバP「はぁ……こっち来い。梳いてやるから」

梨沙「傷つけないでよ。パパにも褒められてる自慢の髪なんだから」

モバP「へいへい」

すっ……すっ……

モバP「やっぱ綺麗な髪だな」

梨沙「でしょ!ママはもっと綺麗だから!」

モバP「でもこんだけ長いと色々不便じゃないか?」

梨沙「お洒落は……我慢よ」

モバP「そういや前にそんなこと言ってたな」

梨沙「むぐむぐ……やっぱりパスタはミートソースよね」

モバP「だろうと思って用意しておいて良かった」

梨沙「デザートは?」

モバP「流石にねぇよ」

梨沙「まぁ仕方ないわね」

梨沙「あ、洗濯物はアタシの分と別にしてよね」

モバP「はいはい」

梨沙「なんかテキトーな返事ね」

モバP「んなこたぁない」

梨沙「まぁいいわ。じゃあアタシ疲れたからもう寝るわ。おやすみー」

モバP「おう、おやすみ」

ガチャッ……パタン

モバP「……」

モバP「あいつ寝間着も虎柄なのか」

~朝~

梨沙「おはよ~」

モバP「おう、おはよう」

梨沙「あれ?朝ごはんは~?」

モバP「(しまったな。普段俺は朝飯食わないけど今は梨沙が居るんだった)」

モバP「今準備するから待ってろ」

梨沙「ふぁ~い」

モバP「パンでいいか?(随分眠そうだな)」

梨沙「イチゴジャム……」

モバP「バターしかねぇや」

梨沙「じゃあそれでいいわ」

梨沙「もぐもぐ……」

モバP「(こうして見るとやっぱ小学生だなぁ)」

梨沙「何?あんまりやらしい視線で見ないでよね」

モバP「(頭に生意気なって付くけど)」

モバP「で?夜はどうするんだ?」

梨沙「何が?」

モバP「晩飯、一応レトルトとかはあるけど……」

梨沙「ん~……外で食べるし」

モバP「流石に危険だ」

梨沙「そう?」

モバP「アイドルだしな」

梨沙「なるほどね」

モバP「一応何か作って温めるだけにしておくか」

梨沙「その必要はないわ」

モバP「?」

梨沙「アタシが作るから!」

モバP「はい?お前料理作れるの?」

梨沙「トーゼン!ママに色々教わってるしね!」

モバP「本当かぁ?」

梨沙「何よ。文句ある?」

モバP「……まぁ出来るなら構わんが家だけは燃やすなよ?」

梨沙「大袈裟ね。料理したくらいで家が燃えるわけないでしょ」

モバP「(燃えるんだよなぁ)」

モバP「とにかく火の元には気を付けることだ」

梨沙「はいはい。じゃあアタシは学校だから」

モバP「俺も出勤しないとな」

~夜~

モバP「で?作ったのがこれか?」

梨沙「そうよ!自信作!」

モバP「ドリアなんてよく思いつくな」

梨沙「ちょっと焦げたからそっちはアンタのね」

モバP「多少焦げた方が香ばしくて俺好みだ。むぐむぐ……」

梨沙「どう?」

モバP「(正直舐めてたなぁ。バターで炒めたご飯に市販のミートソースをかけてチーズとパン粉をかけて焼いてある。小学生でここまで出来れば大したもんだ)」

モバP「!おまえ なかなかやる」

梨沙「なんで片言?」

モバP「正直普通に美味いな。不意打ちでクソ不味いのを食わされるものかと思ってた」

梨沙「普通にやったら普通に作れるでしょ?」

モバP「ありすの料理」

梨沙「あっ……」

モバP「今日はそんな梨沙にデザートも買って来たぞ」

梨沙「あら、気が利くじゃない。何だろ?」

モバP「なしだぜー」

梨沙「……」

モバP「不満か?」

梨沙「普通こういう時はケーキとかでしょ。ないわー」

モバP「梨美味いぞ」

梨沙「そうだけど分かってないわね」

モバP「まぁまぁ、風呂上りに剥いてやるから汗でも流してこい」

梨沙「そうするわ」

モバP「ゆっくり浸かってこい」

ガチャッ……

モバP「おっ上がって来た……ってどうした?」

梨沙「……服持ってくるの忘れた」

モバP「……」

梨沙「取ってくるから向こう向いてて」

モバP「へーい」(クルッ)

タッタッタッタ……ズルッ

梨沙「あっ……」

ベチッ!!

モバP「梨沙?どうした?」(クルッ)

梨沙「あ」

モバP「あ、すま」

ドゴッ

モバP「ポポリポポッ!!」

梨沙「シャクシャク……」

モバP「……」(髪梳かし中)

梨沙「もぐもぐ……」

モバP「なぁ梨沙」

梨沙「ヘンタイ」

モバP「(どうしたものか……)」

梨沙「で?」

モバP「うん?」

梨沙「どこまで見たのよ?」

モバP「全部……」

梨沙「……」

モバP「(気まずい)」

梨沙「……寝るわ」

モバP「おう、おやすみ」

梨沙「……見たのは最低だけど正直に言ってくれたから今回は許してあげる」

ガチャッ……パタン

モバP「(社会的に)大ハマリかとおもったぜ」

~翌日の夕方~

モバP「早めに仕事終えた日に限って梨沙が仕事で遅くなるとは……。どうも噛み合わんなぁ」

モバP「まぁいい……ゲームでもしながら待つか」

モバP「獣王記やりまーす!」

~数時間後~

梨沙「……」

モバP「zzz……」

梨沙「はぁ……」

~更に数時間後~

モバP「むにゃ……ん?ふぁぁぁっ……あ、やべっ!寝ちまった!今何時だ?」

モバP「ん?毛布?と……おにぎりと置き手紙?」

モバP「『先に寝てるわよ』」

モバP「……意外とあいつ嫁力高いよな。もぐもぐ……」

モバP「ちゃっかり買っておいて冷蔵庫に2つ入れてあったプリンが無いのも仕方ないか」

~翌朝~

モバP「梨沙遅いな?」

モバP「(朝飯食う時間無くなるぞ?起こしに行くか)」

コンコンッ

モバP「梨沙ー。起きろー」

シーン……

モバP「ちんもくかい。入るぞー」

ガチャッ

梨沙「すやぁ……」

モバP「起きろ。学校だぞ」

梨沙「……」

ギュッ

モバP「!?」

梨沙「……パパぁ♪」

梨沙「……あれ?」

モバP「どうも、パパじゃなくてすまんな」

梨沙「(スチャッ)」(防犯ブザー装備)

モバP「待て待て!時間時間!!」

梨沙「えっ!?あっ!!」

モバP「送って行くから早く着替えろ。飯は車の中でな」

梨沙「分かったから早く出てって!着替えられないじゃない!」

モバP「はいよ」

パタン……

モバP「とうとう恐れてたことが起こったか」

モバP「(オーストラリアに行った時もそうだったがパパとしばらく会えないとやっぱり幻覚を見るようだな)」

モバP「(まぁあれだけ依存してるんだ。そうなっても仕方ないがどうにかしないとな)」

~事務所~

梨沙「はぁ……」














モバP「(やっぱ元気ないなぁ)」

晴「なぁプロデューサー」

モバP「ん?どした?」

晴「梨沙の奴元気ねぇんだけどなんかあったのか?」

モバP「ちょっとホームシックかな?」

晴「親が家にいねーの?」

モバP「ちょっとな……」

晴「ふーん……なんか隠してねぇ?」

モバP「そんなことないぞ!?」

モバP「(不味いな。とっとと何とかしねぇと……。確か有休取ってなかったよな……)」

~翌日~

梨沙「~♪」

モバP「上機嫌だな」

梨沙「そう?まぁアンタが珍しくショッピングに連れて行ってくれるって聞いた時はびっくりしたけど悪くないわ」

モバP「最近すっかり世話になってるからな」

梨沙「そうよ!本当はアンタが世話焼かなきゃいけないのにアタシが面倒見てるようなもんじゃない」

梨沙「アンタのお嫁さんは苦労しそうね」

モバP「相手がいりゃあな」

梨沙「……まぁアンタも悪い奴じゃあないからすぐ相手くらい見つかるわよ」

モバP「そうだといいがね」

梨沙「これとこれとこれもこれで……あとこれも!」

モバP「ダメだぞ。つーか買い過ぎだ。少なくともぬいぐるみは駄目」

梨沙「買ってくれたら、アンタを大好きになるかも?」

モバP「……」

梨沙「かもぉ~♪」

モバP「だが断る。欲張り過ぎだ」

梨沙「女は欲張りでいいってママが言ってたもん」

モバP「ならパパに買ってもらいなさい」

梨沙「パパなら自分のお小遣いで買いなさいって言うわ。だからアンタに頼んでるの」

モバP「無茶を言ってくれる」

梨沙「だから……ね?」

モバP「駄目だ。戻してこい」

梨沙「フンッ!アタシのおねだりに惑わされないなんて、アンタもやるようになったじゃない」

モバP「そりゃ光栄だ」(ナデナデ)

梨沙「ちょ!頭撫でるんじゃないわよ!!やーめーてー!!」

モバP「ヒューッ!よくこんだけ買ったもんだ」

梨沙「オトナのケイヒってやつで何でも買えるんじゃないの?」

モバP「大人の経費はそこまで便利じゃありません」

梨沙「そうなの?まぁいいわ!久々に楽しかったわ。たまにはアンタとのデートも悪くないわね!」

モバP「そりゃよかった」

モバP「(これでホームシックも治ってくれりゃあなぁ)」

梨沙「あ、勘違いしないでよね。パパとのデートの方がもっと楽しいんだから」

モバP「ははっ、いつになったら勝てるやら」

~夜~

モバP「さぁて寝るか」

モバP「……」

ガチャッ……パタン……

モバP「(ん?)」

モゾモゾッ

モバP「梨沙?」

梨沙「こっち見ないで」

モバP「……」

梨沙「……」

モバP「……」

梨沙「……」

モバP「……寂しいか?」

梨沙「……悪い?」

モバP「いや、俺だって独り身が寂しくなる時くらいある」

梨沙「オトナでもそういうのあるの?」

モバP「そりゃあるさ」

梨沙「格好悪くない?」

モバP「格好悪くない」

梨沙「……」

ギュッ

梨沙「アンタがアタシに触れるのはナシ。……でも、アタシはアンタに触ってもいいわよね?」

モバP「いいぞ。」

梨沙「……」

モバP「……」

モバP「……」(ナデナデ)

梨沙「触んないで」

モバP「……」(ナデナデ)

梨沙「……」(///)

モバP「ふぁぁぁ~……そろそろ寝るぞ」

梨沙「うん……」

~舞台袖~

梨沙「ジャーン!どうよ!このセクシーポーズ!!」

モバP「ばっちりだ!本番もその調子で行こうな」

梨沙「トーゼン!アンタもアタシも今日この日の為に頑張って来たんだから!」

モバP「(あれから事ある毎にパパの名前出さなくなったな……良い傾向か?)」

梨沙「さぁ!ロリコンのファンもアンタもパパもみーんなアタシが魅了してあげるわ!!」

モバP「その意気だ」

梨沙「だって」

梨沙 モバP「「女は欲張りでいい」」

梨沙「分かってるじゃない」

モバP「散々聞いたからな」

梨沙「なら見てなさい。欲しい物は努力して手に入れなさいって言ってたパパと女は欲張りでいいって言ってたママ。両方を備えたアタシが手に入れられないものなんて無いんだから!!」

梨沙「アンタは終わった後のアタシへのご褒美でも考えててね♪」

モバP「梨沙には敵わんなぁ」

梨沙「じゃ!行って来るわ!」

~数年後~

リンゴーンリンゴーン……

晴「おう!おめでとうな!」

心「このぉ~!はぁとよりも先に行くなって言ってたろ☆」

薫「すっごい綺麗……おめでとー!!」

飛鳥「おめでとう」











梨沙「ありがとうね!」

モバP「なぁ梨沙?」

梨沙「何?」

モバP「正直こうなると思ってなかったから聞くけどな。いつから好きだったの?」

梨沙「知りたい?」

モバP「知りたいな」

梨沙「じゃあ耳貸しなさい」

モバP「ん……」

梨沙「……」

梨沙「なーいしょ!」(ペロッ)

モバP「!?お前……」

梨沙「ふふっ、これからもずっとアタシだけを見てなさい」

梨沙「パ~パ♪」

おわり


次はまゆを書こうと思ったのだけどSSR梨沙が来たのでまゆのお話は押し入れに仕舞っておきます
ちょっとデレさせ過ぎたかだろうか?まぁデレステでも大分デレが見えて来たので問題ないはず

それでは読んでくださってありがとうございました

今までのアア、オワッタ…………!作品



亜季「ふいうち」

飛鳥「ふいうち」

ありす「ふいうち」

友紀「ふいうち」

伊吹「ふいうち」

奏「ふいうち」

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