源内あお「スティ子って視力が悪いのかな?」 (17)


*あおの部屋

スティレット「いい加減に起きなさいよ! バーゼラルド!」

スティレット「……バーゼラルド?」

スティレット「ど、どうしたのよ!? 返事しなさいよ! ねぇ、バーゼラルドッ!!」

ウドラ「……」

轟雷「スティレット、それはもしかしてバーゼラルドではないのでは?」

スティレット「え? ……ああっ!? よく見たらバーゼラルドじゃない!?」



源内あお「ねぇ、バーゼ? もしかして、スティ子って視力が悪かったりするのかな?」

バーゼラルド「んー、どうなんだろうね? でも、昔からスティレットは白いものを見ればバーゼと勘違いするかな」

あお「え、そうなの? それじゃあさぁ──」





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*次の日

スティレット「んーっ! 今日も良い天気ね!」

スティレット「ほらっ、バーゼラルド。起きなさいよ」

スティレット「……バーゼラルド?」

ウドラA「……」

ウドラB「……」

スティレット「バーゼが二人!? ど、どうなっているのよ……」

轟雷「スティレット、それはもしかしてどちらもバーゼラルドではないのでは?」

スティレット「え? ……ああっ!? よく見たらどっちもバーゼラルドじゃない!?」



あお「うーん、やっぱりこうなっちゃうのか……。ねぇ、バーゼ。スティ子に眼鏡を買ってあげたほうが良いのかな?」

バーゼラルド「えー、面白いからいいよ~。そんな感じで次もいっちゃおー!」

あお「え、続けるの? 私が始めたことだけど、何だかスティ子が少し可哀想かも……」




*また次の日

スティレット「今日も良い天気! ベランダ菜園のプチトマトはそろそろ実がなったかしらね?」

あお(え? いつの間にベランダに家庭菜園なんて作っていたの!?)

スティレット「それはともかく、ほら、バーゼラルド、あんたも起きなさいよ!」

スティレット「……バーゼラルド?」

ウドラA「……」

ウドラB「……」

バーゼラルド「……」

スティレット「今日も一人増えてる!? ……ふ、ふん! 流石にあたしも学んだわよ。どうせ全部偽物なんでしょう? まったく、バーゼ本人はどこに行ったのよ。バーゼラルド、どこー?」ドコー?



あお「やっぱりスティ子には眼鏡があったほうが良いよね?」

轟雷「眼鏡ですか? 私たちFAガールには不要なものだと思いますが」

あお「えー、だってさ。バーゼとソフビ人形の区別さえついていないんだよ? 心配になってこない?」

轟雷「ソフビ人形……? バーゼラルドがですか?」

あお「え? もしかして轟雷もまさか──」




*またまた次の日

スティレット「何か変な夢を見たわ。アキヒロって誰よ?」

あお(グシオンリベイクさんじゃないかな?)

スティレット「それはそれとして、ほら、バーゼラルド起きなさい!」

スティレット「……バーゼラルド?」

ウドラA「……」

ウドラB「……」

バーゼラルド「……」

轟雷「……」

あお「……」

スティレット「また二人増えてるーっ!? もう、意味分かんない……。バーゼラルド……、どこに居ちゃったのよ……」グスン

あお「えぇっ!? どう考えてもおかしいでしょう!? 轟雷はともかく私だよ? 十倍は大きい私をバーゼと間違えるのは流石におかしいよ!」

スティレット「ぐすん……。あれ? もしかして、あんた……あお!? いきなり現れるなんてびっくりするじゃない!」

あお「その反応に私がびっくりだよ!」




あお「ええとさ、スティ子って視力が悪かったりする? それもとびきり」

スティレット「何言っているのか分からないけど、FAガールの視力と言ったらセンサーでしょ? 私のセンサー感度はばっちしよ!」

あお「なるほど、センサーが壊れているんだね」

スティレット「はぁ!? 何失礼なこと言ってくれちゃってるのよ!」

あお「では、問題です。あそこに四人のバーゼが居るようにスティ子には見えているわけですが、実はあの中に本物のバーゼも居ます。さて、どれでしょう?」

スティレット「バーゼラルドがあの中に……?」

あお「センサーが壊れていないんだったら分かるはずだよ」

スティレット「あ、当たり前よ!」

スティレット(バーゼラルドがあの中に居る? ど、どうしよう。どれも本物のバーゼラルドにしか見えない……。はっ!? これはもしかして!)

あお「言っておくけど、実はあの中に居ませんでしたってオチじゃないからね?」

スティレット(くっ、それじゃないなんて……。こ、こうなったら勘よ。あたしならできる! バーゼラルドとの付き合いが長いあたしなんだから!)

スティレット「バーゼラルドはそいつよ!」ビシッ

ウドラB「チガウヨ」

あお「ぶっぶー。はずれでしたー」

スティレット「そんな、バカな……っ!」

バーゼラルド(流石にその台詞はバーゼの台詞だよね?)




轟雷「スティレット、元気を出してください」ポン

スティレット「……轟雷。あんたも突然現れるのね……」

轟雷「スティレットに良いものをあげます。私もこれでセンサー感度が千倍に向上しました」ハイドウゾ

スティレット「なにこれ? 眼鏡ってやつ?」

轟雷(眼鏡装備)「私のパッケージに付属していたオプションパーツですので、スティレットにも互換性はあるはずですよ」

スティレット「FAガールに眼鏡ってあんたね……。でも、オシャレ眼鏡もあるくらいだし、当たり前と言えば当たり前なのかしら?」

あお(女子力高めのスティ子だからそういう知識もあるんだね。……と言うか、轟雷のセンサーが千倍って前はどれだけ悪かったんだろう?)

轟雷「さぁさぁ、眼鏡をどうぞ」グイグイ

スティレット「わ、分かったわよ。着ければ良いんでしょう! 着ければ!」カチャ

スティレットメガネ「まったく眼鏡程度で何が変わるって言うのよ……」




あお「じゃあ、スティ子。あの三人の中で本物のバーゼはどれか分かる?」

スティレットメガネ「うっ、またその質問なのね。ば、バーゼラルドは……って!? 分かる! あたし分かる! 本物のバーゼがどれだか分かるわっ!!」

スティレット「正解はあんたよ!!」ビシッ

バーゼラルド「……遂に当てられちゃったね」ムクリ

スティレット「凄い! 眼鏡ってこんなに素敵なものだったのね! 世界が、まるで世界が違って見えるわ!」

轟雷「良かったですね、スティレット」

スティレット「ええ! もう眼鏡は手放せないわ! ……それよりも轟雷。そこのゲート処理くらいきちんとやっておきなさいよ?」

轟雷「むむっ、どこですか? あおに頑張らせて全部処理したはずなんですが」

スティレット「ほら、ここよ、ここ。あ、ここにも。こんなところにも。ああ、もう本当にだらしがないんだから!」

轟雷「……私のセンサーではあまりよく分からないですね」




スティレット「あ、バーゼラルド! あんた、所々色が違っているでしょ? 金色のパーツなんていつ付けたのよ? 頭部アンテナの色とかもまるっきり違うじゃない!」

バーゼラルド「そのカラーパターンは製品版のバーゼじゃないかな?」

スティレット「あお! あんたねぇ、その寝癖どうにかしなさいよ! 仮にも女子高生なのよ? その辺しっかりしないでどうするのよ!」

あお「えぇ!? 私にも飛び火したよ! しかも、これ昔からの癖毛なのに……」

スティレット「ああ、もう! よく見たら部屋中グチャグチャじゃないの! よくもあたしはこんな部屋の中で平気に暮らしていたわね! ほら、あお、そこ片づけて。轟雷はそっち。バーゼラルドは天井のほこり取り!」

バーゼラルド「……」コクリ

あお「……」コクリ

轟雷「……」コクリ

バーゼラルド「眼鏡とったどー!」

スティレット「あぁっ!? あたしの眼鏡ー!」

バーゼラルド「轟雷ぱーす」

轟雷「受け取りました! そして、えーい!」

あお「窓は開けたよ!」

ヒューン

スティレット「あたしの眼鏡が外に飛んでったー!!」




バーゼラルド「スティレットの視力が悪かったのって多分故意的だったんだろうね」

あお「まさか、スティ子がオカン化するなんて思ってもいなかったよ……。わたしのママよりもお母さんぽかったくらいだね」

轟雷「世の中見えすぎるのも良くないのですね」

スティレット「うぅ……眼鏡見つからなかった……」トボトボ

あお「あ、スティレットが戻ってきた」

バーゼラルド「まぁ、あのセンサー精度だったら見つけられないよね~」

轟雷「またスティレットが乱心してはいけませんので、私の眼鏡も隠しておきました」

スティレット「あんたたちなんてことをしてくれたのよ! 折角、あたしは色々なものが見えるようになっていたのよ!」ギャーギャー

あお「スティ子、ご近所迷惑だよ……」




バーゼラルド「轟雷。ごにょごにょごにょ」

轟雷「そう言えば良いんですね? スティレット」

スティレット「何よ! あ、そうだわ! 轟雷の眼鏡をあたしにちょうだ──」

轟雷「スティレットは素顔のほうが素敵です。私はスティレットのその瞳をいつでもそのままに見ていたいのです」

スティレット「あ、あ、あんたっ! いきなり何言ってんのよ!? そ、そんなことを言われたらあたし……」プシュー

あお「スティ子の顔が真っ赤だねぇ」

轟雷「君の瞳に乾杯」

スティレット「ばきゅーん」パタリ

あお「あの台詞はないね」

バーゼラルド「バーゼもどうかと思ったけど、スティレットが倒れたから結果オーライだよ!」




*数日後

スティレット「ねぇ、轟雷。あたしの瞳ってそんなにキレイ?」

茶色のウドラ「キレイダヨ」

スティレット「ふふっ、もう、流石に照れるわよ。え? また友情の証をしたいって? もう仕方がないんだから──」



轟雷「スティレットのセンサー感度が低くて助かりました」

あお「轟雷はそれで良いんだ……。あれじゃあ、スティ子病んだ人だよ?」

轟雷「仕方ないじゃないですか! あれ以来、スティレットが私の傍を離れようとしないんですから!」

バーゼラルド「どうどう。バーゼにも責任があるからこうしてソフビ人形に音声ユニットを取り付けて何とかしたんだから、ねぇ落ち着こう?」

轟雷「ごほん。取り乱しました」

あお「まぁ、スティレットが幸せそうだから良いのかな?」



スティレット「……もう、これ以上は駄目よ? ああ、そうだったわ。バーゼラルドに用があるから轟雷はちょっと待っててね」

スティレット「バーゼラルド、あんたに貸していた飛行パーツなんだけど。……バーゼラルド? え、嘘……? 返事をしなさい! ねぇ、バーゼラルドッ!」ユサユサ

ウドラ「……」

バーゼラルド「今日もスティレットはこうしてバーゼを見間違うのだった!」



                               おしまい




小ネタなので休憩時間で書いてみました

それでは~

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