ヴィーネ「ハレルヤ?」 ラフィ「エッサイム!」 (55)


-放課後-

ヴィーネ「ガヴー、帰るわよ」

ガヴ「あー、ごめん。今日、試食部に顔を出す予定なんだ。先に帰っててくれる?」

ヴィーネ「え……そう、なんだ。分かったわ。じゃあね、ガヴ」

ガヴ「ん。じゃーなー」ヒラヒラ


ヴィーネ「……」






ラフィ「サターニャさんサターニャさん、一緒に帰りませんか?」

サターニャ「……ごめん。今日はちょっと用事が」

ラフィ「用事、ですか?それはどのような……」

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サターニャ「ちょっと、まだ見ぬメロンパンを探しにね」

ラフィ「あ、なら私も一緒に」

サターニャ「えっ!?だ、駄目よ!私1人で行くの!」

ラフィ「……そうですか」シュン

サターニャ「うっ……そんな顔しても駄目よ。私の意思は固いんだから」

ラフィ「……」

サターニャ「じゃあねラフィエル」

ラフィ「はい。さようなら、サターニャさん……」


ラフィ「……」









ヴィーネ「……あ」

ラフィ「……あ」


ヴィーネ「ラフィじゃない。偶然ね」

ラフィ「そうですねー……あれ?ガヴちゃんは一緒じゃないんですか?」

ヴィーネ「あ、うん。なんか、調理部に行くらしくて……ラフィこそ、サターニャは?」

ラフィ「その、まだ見ぬメロンパンを探しに行くとかで……」

ヴィーネ「何よそれ」

ラフィ「何なんでしょうねー。気になります」

ヴィーネ「……まあいいわ。一緒に帰る?ラフィ」

ラフィ「はい、そうしましょう。ヴィーネさん♪」




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



-帰り道-

ヴィーネ「それでね、ガヴの家に行ったら、1週間前に掃除したはずの部屋がまた汚くなってて……」

ラフィ「あらあら、大変ですねー」

ヴィーネ「……と、ごめんなさい。せっかくラフィと居るのに、ガヴの話ばっかり……」

ラフィ「いえ、大丈夫ですよ。ガヴちゃんのことを話しているときのヴィーネさん、すごく楽しそうです」

ヴィーネ「そ、そうかしら?」


ヴィーネ「……」

ラフィ「……ヴィーネさん?どうかされましたか?」


ヴィーネ「……ちょっとね。なーんか最近、ガヴと一緒にいる時間が減ってきたなーと思って」

ラフィ「え、そうなんですか?」

ヴィーネ「うん。バイトとか、調理部とか、そういう理由で……まあずっと私が付きっきりというのも、それはそれでどうかと思うけど」

ラフィ「……ふふふ、なるほどー。ヴィーネさんは寂しいんですね」

ヴィーネ「なっ、そ、そんなこと」

ラフィ「無いんですか?」

ヴィーネ「……ちょっとだけよ。ほんのちょっとだけ。ガヴには言わないで!」カァァ

ラフィ「えー、どうしましょう」クスクス

ヴィーネ「ラ、ラフィ!」


ラフィ「……でも、私にもその気持ち、分かります」

ヴィーネ「え?」


ラフィ「実は最近、あまりサターニャさんで……じゃなくて、サターニャさんと遊べてないんです」

ヴィーネ「は、はあ」

ラフィ「声を掛けても、どこかよそよそしいというか……逃げるようにどこかへ行ってしまうことが多くて」

ヴィーネ「……いや、ごめん。それに関しては、ちょっと心当たりがあるわ」

ラフィ「ええっ!?」ガーン

ヴィーネ「ラフィは、もう少しサターニャに優しくしてあげた方が良いと思うの」

ラフィ「そ、そんな……うぅ」シュン

ヴィーネ「あんまりサターニャのことをいじめ過ぎると、いつか嫌われちゃうかもよ?」

ラフィ「……」


ヴィーネ「……ふふっ。なんてね。サターニャがラフィのこと、嫌う訳ないじゃない」

ラフィ「……えっ?」


ヴィーネ「あの子、素直じゃないから分からないかもしれないけど、何だかんだラフィにかまって貰えるのは嬉しいのよ」

ラフィ「……そう、でしょうか」

ヴィーネ「そうよ。本気で嫌がってるならそもそも相手にしないでしょうし……あ、だからってやり過ぎちゃダメよ?」

ラフィ「はい……分かりました」


ヴィーネ「……ごめんね。ちょっと怖がらせ過ぎちゃった」

ラフィ「……」

ヴィーネ「ラフィさっき、私のことからかったでしょ?だから、そのし返し」

ラフィ「……ヴィーネさん、いじわるです」

ヴィーネ「ふふっ、悪魔には褒め言葉よ」

ラフィ「も、もう!」











ヴィーネ「……あ。じゃあ、私こっちだから」

ラフィ「はい。今日は久しぶりにヴィーネさんとたくさんお話ができて楽しかったです」

ヴィーネ「ええ。私もよ」

ラフィ「……」


ラフィ「……あの、ヴィーネさん」

ヴィーネ「なに?」

ラフィ「もし良かったら今度、私の家に遊びに来ませんか?」


ヴィーネ「えっ、ラフィの家に?」

ラフィ「はい、ぜひ!」

ヴィーネ「……分かったわ。じゃあ今度、お邪魔するわね」

ラフィ「ええ、お待ちしていますね♪」

ヴィーネ「それじゃあ、また明日」

ラフィ「はい♪」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



-ラフィエル宅-



ガチャッ




ラフィ「さあ、どうぞ。ヴィーネさん」

ヴィーネ「お邪魔しまーす……わあ。結構綺麗なのね、ラフィの家」

ラフィ「ふふっ。天使の家はみんな汚いと思っていましたか?」

ヴィーネ「あ、ごめん違うの。そういうつもりじゃ……」アセアセ

ラフィ「冗談ですよ。ほら、上がってください」クスクス

ヴィーネ「もう、ラフィったら」



ヌギヌギ…



ラフィ「では、こちらへどうぞ」

ヴィーネ「うん」




スタスタ……ガチャリ



ラフィ「この部屋で、少し待っていて頂けますか?今、飲み物とお菓子を持ってくるので」

ヴィーネ「分かったわ。ありがとう、ラフィ」

ラフィ「いえいえ」



バタン スタスタ…



ヴィーネ「……」



スタスタ…トスン



ヴィーネ「……」キョロキョロ



ヴィーネ「……?」ジーッ


ヴィーネ「!」ハッ


ヴィーネ「……」ブンブン


ヴィーネ「……」



スタスタ…ガチャリ



ラフィ「お待たせしましたー」

ヴィーネ「ああ、ありがと……って、ええ!?」ビクッ

ラフィ「どうかしましたか?」カチャカチャ

ヴィーネ「いや、その。それ……ものすごく高そうなお菓子に見えるんだけど」


ラフィ「ああ、これはこの前実家から送られてきたものでして」

ヴィーネ「は、はあ……」

ラフィ「私1人で食べるにはちょっと多いので、よろしければヴィーネさんにも、と」

ヴィーネ「……そういえば、ラフィってかなりのお嬢様だったわね」

ラフィ「遠慮しないで大丈夫ですよ。ほら、じゃんじゃん食べちゃってください♪」

ヴィーネ「あ、あはは……ありがとう。頂くわね」

ラフィ「はい♪」

ヴィーネ「……」カチャッ



ヴィーネ「……」パクッ


ヴィーネ「……」モグモグ


ヴィーネ「……」




ヴィーネ「……ラフィ」

ラフィ「はい。何でしょう?」



ヴィーネ「どうしよう。私これ、食べ過ぎちゃうかも!」キャー!

ラフィ「うふふ。お口に合ったようで良かったです♪」

ヴィーネ「あーもう!信じられない!なんでこんなに美味しいのよ~!」パクパクモグモグ

ラフィ「おかわりしても良いんですよ?」

ヴィーネ「私太っちゃうかも……」ズズッ



ヴィーネ「ってこのお茶もすごく美味しい!」イヤーン

ラフィ「ふふっ。私のお気に入りの紅茶なんです♪」



ヴィーネ「ヤバい、幸せ過ぎる……このままじゃ私、駄悪魔になっちゃいそう」ウットリ

ラフィ「うふふ。いいんですよ、なっちゃっても♪」

ヴィーネ「……って、ダメよ。そうしたら、ガヴの面倒を見れなくなっちゃうじゃない」

ラフィ「あらあら……それなら、ヴィーネさんがガヴちゃんのお世話をして、私がヴィーネさんのお世話をすると言うのはどうでしょうか?」

ヴィーネ「……」


ヴィーネ「そ、その手には引っかからないわ!」

ラフィ「ふふふ。今ちょっと迷いましたね?」

ヴィーネ「うっ……」

ラフィ「いいんですよ。ガヴちゃんからヴィーネさんを奪う訳にはいきませんし……」

ヴィーネ「う、奪うって、別に私はあの子のじゃ……」


ラフィ「それくらい、仲が良いって意味ですよ♪」

ヴィーネ「……なんか釈然としないわね」モグモグ

ラフィ「……」ニコニコ



ヴィーネ「ああっ、やっぱり美味しい!」キラキラ

ラフィ「うふふ♪」









ヴィーネ「……ふぅ。美味しかった。ごちそうさま、ラフィ」

ラフィ「いえいえ。喜んで頂けて良かったです♪」

ヴィーネ「……」ズズッ


ヴィーネ「それにしても、ラフィはどうして急に私を家に誘ってくれたの?」

ラフィ「え?」

ヴィーネ「ほら、今までそういう事ってあんまり無かったじゃない」

ラフィ「そうですね……」


ラフィ「……その、笑いませんか?」

ヴィーネ「え?」

ラフィ「なんと言うか、ちょっと情けない理由なので……」


ヴィーネ「……笑わないわよ。大丈夫」

ラフィ「ありがとうございます……えっと、最近、サターニャさんがよそよそしいという話はしましたよね?」

ヴィーネ「ええ。言ってたわね」

ラフィ「それで、なんと言うか……人肌が恋しくなってきてしまったというか。それでヴィーネさんを家に招いたんです」

ヴィーネ「なるほど……つまり寂しくなっちゃったのね?」

ラフィ「は、はい……」カァァ

ヴィーネ「ふふっ。別にいいわよ。私で良ければ、いつでも会いに行ってあげるわ」

ラフィ「本当ですか?」

ヴィーネ「本当よ。まあ、サターニャの代わりになるかは分からないけど……」ハッ


ヴィーネ「……」

ラフィ「……ヴィーネさん?」




ヴィーネ「……まさか、私をサターニャの代わりに弄るつもりで呼んだんじゃ」

ラフィ「ええっ!?違いますよ!そんなこと……」ハッ




ラフィ「……ないですよー」

ヴィーネ「ちょ、今「その手があったか」って顔しなかった!?」

ラフィ「してないですよー」プイッ

ヴィーネ「目を合わせなさい!」

ラフィ「……」


ラフィ「……でも本当に、今日はヴィーネさんと一緒にお話をしたいなと思ってお呼びしたんです」

ヴィーネ「そ、そう……ごめんね。疑ったりして」


ラフィ「それにやっぱり、いじ……遊ぶならサターニャさんじゃないと!」

ヴィーネ「……まったくこの子は」



ラフィ「うふふ……それでは、もっとお話しましょう。ヴィーネさん♪」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



-数十分後-

ラフィ「……それで、そこのお店のアクセサリーがとっても可愛くて。クマさんのキーホルダーもあったんですよ♪」

ヴィーネ「そうなんだ……ふわぁぁ……」

ラフィ「……ヴィーネさん?」

ヴィーネ「あ、ごめんね。ちょっと眠くなってきちゃって……」


ラフィ「そうですかー……さっきたくさん食べたからですかね」

ヴィーネ「うっ……い、言わないでよ」カァァ

ラフィ「ふふっ、そういう事でしたら……」ポンポン

ヴィーネ「……?何よその手は」



ラフィ「どうぞ。膝まくらです♪」ポンポン

ヴィーネ「ひ、膝まくら!?」



ラフィ「はい♪」

ヴィーネ「い、いいわよそんな!私、そんなに眠い訳じゃないし……」


ラフィ「遠慮しないでいいんですよー。今日遊びに来てくれたお礼です♪」

ヴィーネ「そんなこと言われても……」

ラフィ「……ダメですか?」ウルッ

ヴィーネ「うっ」

ラフィ「私、ヴィーネさんに膝まくらをしてあげるのが夢だったのに……」ウルウル

ヴィーネ「いや、それは流石に嘘でしょ」

ラフィ「てへっ♪バレちゃいました」


ヴィーネ「……はあ、分かったわよ。膝まくら、お願いするわ」

ラフィ「!」

ヴィーネ「でも、ちょっとだけよ?」


ラフィ「は、はい!どうぞ!」ポンポン

ヴィーネ「もう、嬉しそうにしちゃって」

ラフィ「うふふ♪」

ヴィーネ「……」ススッ


ヴィーネ「……それじゃあ、失礼します」

ラフィ「はい♪」

ヴィーネ「……」ポスッ


ヴィーネ「……」モゾモゾ


ヴィーネ「……」

ラフィ「どうですか?固くないでしょうか」

ヴィーネ「ううん。とっても柔らかいわよ。ただ……」




ヴィーネ「……これ、めちゃくちゃ恥ずかしい」カァァ

ラフィ「あらあら♪」



ヴィーネ「寝心地はすごく良いんだけど、落ち着かないというか……」

ラフィ「ふふっ。お耳が真っ赤です」

ヴィーネ「……も、もういいでしょ?私そろそろ限界……」

ラフィ「ダメです。まだ1分も経ってないじゃないですか」

ヴィーネ「うぅ……」カァァ


ラフィ「……」

ヴィーネ「……」




ラフィ「……」ナデナデ

ヴィーネ「!?」ビクッ


ヴィーネ「な、何!?」

ラフィ「すみません。ヴィーネさんの髪を見ていたら、つい、撫でたくなっちゃいました♪」

ヴィーネ「も、もう……びっくりするじゃない」

ラフィ「ヴィーネさんの髪、サラサラで羨ましいです」ナデナデ

ヴィーネ「ん……ありがと」


ラフィ「……」ナデナデ

ヴィーネ「……」



ラフィ「……」ナデナデ

ヴィーネ「……ラフィって、頭撫でるの上手ね」

ラフィ「そうですか?」ナデナデ

ヴィーネ「うん。何だか落ち着くっていうか……」

ラフィ「それは良かったです」ナデナデ

ヴィーネ「……」


ラフィ「……」ナデナデ

ヴィーネ「……」


ヴィーネ「……考えてみれば」

ラフィ「え?」ナデナデ


ヴィーネ「私、こうやって誰かに膝まくらをして貰うのなんて、初めてかも」

ラフィ「そうなんですか?」ナデナデ

ヴィーネ「うん。私ってほら、ひとりっ子だし」

ラフィ「例え兄弟が居るとしても、膝まくらをし合うことは中々ない気がしますが……」ナデナデ

ヴィーネ「そうなの?」

ラフィ「そうですよー……でも、分かりました。ヴィーネさんは誰かに甘えてみたかったんですね?」ナデナデ

ヴィーネ「うーん……どうなんだろ」


ラフィ「それじゃあ、今日は私が、ヴィーネさんのお姉さんになってあげます♪」ナデナデ

ヴィーネ「え」

ラフィ「ほら、ヴィーネさん。「ラフィお姉ちゃん」って言ってもいいんですよ」ナデナデ


ヴィーネ「い、嫌よ!」

ラフィ「えー」ナデナデ

ヴィーネ「……やっぱりラフィ、私のことをからかうつもりなんじゃ」

ラフィ「違いますよー……ね、一回だけで良いですから」ナデナデ

ヴィーネ「だーめ!」


ラフィ「お願いしますー。ヴィーネさーん」ムギュ

ヴィーネ「えっ!?ちょっ、胸がっ!」

ラフィ「言ってくれないなら、このまま押し潰しちゃいますよー」ムギュウ

ヴィーネ「ん~!んむ~!」ジタバタ

ラフィ「言ってくれますかー?」スッ

ヴィーネ「ぷはっ!わ、分かった!言う、言うから!」


ラフィ「うふふ、どうぞー♪」

ヴィーネ「あーもう……」

ラフィ「……」ニコニコ

ヴィーネ「……えっと、その……ラ……ラ……」

ラフィ「……」ワクワク




ヴィーネ「ラフィ……お姉ちゃん」カァァ



ヴィーネ「……」




ヴィーネ「いやせめて何か反応してよ!」クルッ


ラフィ「……」

ヴィーネ「……ラフィ?」

ラフィ「ヴィーネさん……」



ラフィ「めちゃくちゃ可愛いです……!」プルプル

ヴィーネ「笑うなー!!」



ラフィ「うふふっ……ラフィお姉ちゃんですよー♪」ナデナデ

ヴィーネ「はぁ……あなた本当に天使なのよね?」

ラフィ「天使ですよー」ナデナデ

ヴィーネ「普段の行いをみる限り、どちらかと言えば悪魔寄りに思えるんだけど……」


ラフィ「そんなー……酷いですヴィーネさん」ナデナデ

ヴィーネ「あんだけサターニャの事弄っておいてよく言うわよ」

ラフィ「むー……それを言うなら、ヴィーネさんだって全然悪魔らしくないじゃないですか」ナデナデ

ヴィーネ「うっ」グサッ

ラフィ「悪魔なのに真面目で、面倒見が良くて、優しくて、ボランティア精神に溢れていて……」ナデナデ

ヴィーネ「うぅっ」グサグサッ

ラフィ「そんな人、天使ですらあまり居ませんよ?」ナデナデ

ヴィーネ「言わないでよ……気にしてるんだから」ズーン

ラフィ「ヴィーネさんは、悪魔らしく振舞うのが苦手なんですねー」ナデナデ

ヴィーネ「……仕方ないじゃない。生まれもった性格なんだもの」


ラフィ「それじゃあ私も、生まれもった性格なので仕方ありませんね♪」ナデナデ

ヴィーネ「ラフィは少し自重しなさいよ」

ラフィ「嫌です♪」ナデナデ

ヴィーネ「はぁ……」

ラフィ「……」ナデナデ



ラフィ「……いいじゃないですか」

ヴィーネ「え?」



ラフィ「私達は天使や悪魔である以前に、1人の女の子です。それに……ここは天界や魔界ではない人間界。少しくらい、自分達のやりたいことをしたってバチは当たらないと思いますよ」ナデナデ

ヴィーネ「……そうかな」



ラフィ「そうですよー……私、この世界に来たばかりの頃は、毎日が退屈で仕方がありませんでした。もちろん、新しい出来事や刺激はたくさんあったのですが……どこか満たされることの無い日々が続いていたんです」ナデナデ

ヴィーネ「……」


ラフィ「そんなある日、通学の途中にあのおも……サターニャさんに出会いました。犬と本気でメロンパンを奪い合う彼女を見たとき、私は気付いたんです。彼女こそが、私の心を満たしてくれる存在であると」ナデナデ


ラフィ「それからは、ご存知の通りです。私は自分の欲望の赴くままにサターニャさんで……サターニャさんと遊びました。……最高でした。頭のてっぺんから爪先まで、幸福で満たされるような感覚を覚えました」ナデナデナデナデ


ラフィ「そのとき私は決めたんです。私は、やりたい事を我慢して生きていくくらいなら、いっそ好きな事だけをして生きていこうと。天使としてではなく、1人の白羽=ラフィエル=エインズワースとして」ナデナデ



ラフィ「今、私がこんなにも活き活きと生活出来ているのは、この考えがあってこそなんです。もし私が天使としてのしがらみに囚われ、本当の自分を隠し続けていたら、きっとこれほど楽しい毎日は送れていなかったでしょう」ナデナデ


ラフィ「ヴィーネさんも、自身が悪魔らしくないと思う行為をして、満たされる瞬間があるのではないでしょうか?でしたら、それを我慢する必要はないと思います。それが、「ヴィーネさんらしい」ということなんですから」ナデナデ


ラフィ「……どうせ、再び天界に戻ったら、否が応でも天使らしく生きるように強制されてしまうんです。それなら、今日この日くらいは…………あら?」




ヴィーネ「すー……すー……」



ラフィ「……寝ちゃったみたいですね」


ヴィーネ「……」スースー



ラフィ「……」ナデナデ

ヴィーネ「……」スースー



ラフィ「……ふふっ。私達、結構似た者同士なのかもしれませんね」ナデナデ

ヴィーネ「……」スースー



ラフィ「ヴィーネさん……」ナデ…

ヴィーネ「……」スースー




ラフィ「……大丈夫です。ヴィーネさんは、とっても素敵な方ですよ」

ヴィーネ「……」スー…





ラフィ「……なんて」

ヴィーネ「……」



ラフィ「……おやすみなさい、ヴィーネさん」ナデナデ

ヴィーネ「……」スースー



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「……さん、……い」

ヴィーネ「……」



「……ーネさん、……ください」

ヴィーネ「ううん……」モゾ…



「……」

ヴィーネ「……」






ラフィ「……ふーーっ♪」

ヴィーネ「ひゃぁああああ!!?」ゾワゾワッ



ヴィーネ「え、何っ!?何なの!?」ガバッ

ラフィ「おはようございます、ヴィーネさん♪」



ヴィーネ「あ……ラ、ラフィ……」

ラフィ「よく眠れましたか?」

ヴィーネ「……もしかして私、寝ちゃってた?」

ラフィ「はい。寝顔、可愛かったですよ♪」

ヴィーネ「えっ……ちょっ、忘れて!」カァァ

ラフィ「それは難しいですねー」

ヴィーネ「忘れて……お願いだから……!」カァァ


ラフィ「うふふ♪……それよりも、時間、大丈夫ですか?」

ヴィーネ「え?」チラッ




ヴィーネ「……6時!?」ガーン

ラフィ「はい♪」


ヴィーネ「私どんだけ寝てたのよ……」

ラフィ「軽く2時間くらいは」

ヴィーネ「嘘でしょ……」


ヴィーネ「……ごめんねラフィ。せっかく遊びに来たのに、私もう帰らないと」

ラフィ「いえ、いいんですよ。今日は楽しかったです♪」

ヴィーネ「そう?なら良かった……私も楽しかったわ。お茶とお菓子、ご馳走様でした」

ラフィ「はい。是非また、来てくださいね♪」

ヴィーネ「うん。……あ、それと」



ヴィーネ「……ありがとね。ラフィ」

ラフィ「え?……はい、どういたしまして」


ヴィーネ「それじゃあ、お邪魔しました」クルッ

ラフィ「はい。さようなら……」



ガチャッ パタン



スタスタ……




ラフィ「……?」




ラフィ「……」





ラフィ「!」ハッ





ラフィ「ま、まさかヴィーネさん………」










ラフィ「聞こえてたんですか!?」




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



-数日後-



ガヴ「……」

サターニャ「……」



ヴィーネ「……え?」

ラフィ「……サターニャさん、今なんて?」



ガヴ「……」

サターニャ「だーかーら!あげるって言ってんのよ。このメロンパン!」グイッ


ラフィ「は、はあ」

サターニャ「何よその顔は!このメロンパンは、私が今まで食べた中で一番美味しいと思ったものよ!有難く受け取りなさい!」

ラフィ「ありがとうございます……」

サターニャ「まあ、私が独り占めしても良かったんだけど……こういうのは、誰かと一緒に食べる方が美味しいって言うじゃない?だから、そういうことよ」

ラフィ「……つまり、その誰かに私を選んでくれたということですか?」

サターニャ「なっ……べ、別にラフィエルじゃなくても誰でも良かったわよ!ただ何となくラフィエルにしただけで!」

ラフィ「そうですかー」



ヴィーネ「ガヴのこれは……クッキー?」

ガヴ「ああ……その、いつも色々迷惑かけてるからな。そのお詫びというか、何というか」ポリポリ


ヴィーネ「それはいいんだけど……もしかしてこれ、ガヴの手作り?」

ガヴ「そうだよ……まあ、試食部の人に手伝って貰ったから、完全に私1人の力で作った訳じゃないけど」

ヴィーネ「……じゃあもしかして、最近放課後によく調理部に通ってたのは……」

ガヴ「……」

ヴィーネ「ガヴ?」

ガヴ「……い、いいだろ別に何だって!ほら!」グイグイ

ヴィーネ「う、うん。ありがとう」




ヴィーネ「……」

ラフィ「……」


ガヴ「……どうしたんだよ。2人で顔見合わせて」

サターニャ「感想は無いの?感想は!」




ヴィーネ「……ぷっ」

ラフィ「……ふふっ」





ヴィーネ&ラフィ「あはははははっ!」

ガヴ&サターニャ「」





サターニャ「な、何で笑うのよ!?」

ラフィ「だ、だって……だってぇ…!」ヒーヒー

ヴィーネ「おかしくって……あははははっ!」

ガヴ「ちょ、ヴィーネまで……」

サターニャ「あーもー何なのよ一体!」



ヴィーネ「はー……はー……そ、それにしてもラフィ、心配する必要……ふふっ、無かったわね」

ラフィ「ええ、そうですね……うふふっ♪」

ガヴ「え?一体何の話……」

ヴィーネ「何でもないわよ。ねー♪」

ラフィ「ねー♪」


ガヴ「……」

サターニャ「……なんか2人とも、妙に仲良くなってない?息が合ってるというか」

ラフィ「ふふっ、秘密です。ねー♪」

ヴィーネ「ねー♪」

サターニャ「むー……」ムスー

ガヴ「……何だこれ」


ヴィーネ「ふふっ。それよりも……ガヴ」

ガヴ「え?」


ヴィーネ「クッキーありがとう。とっても嬉しいわ」ギュッ

ガヴ「お、おう」

ヴィーネ「これからもよろしくね、ガヴ♪」ニコッ

ガヴ「……うん」




ラフィ「サターニャさんも、メロンパンありがとうございます!すごく嬉しいです♪」ギュッ

サターニャ「えっ、あ、うん。ま、まあね!」

ラフィ「後で一緒に食べましょう。きっと美味しいですよ♪」ニコッ

サターニャ「……わ、分かったわ。一緒に食べましょう」

ラフィ「はい♪」




ガヴ「……」

サターニャ「……」



ヴィーネ「ふふっ」ニコニコ

ラフィ「うふふ♪」ニコニコ






ガヴ「……まあ」

サターニャ「……いっか」


-おしまい-

天使のような悪魔と悪魔のような天使が、ちょっとだけ仲良くなる話


ガヴサタがあるならヴィネラフィも……と思って書いてみたんですが、この2人をくっ付けるの難し過ぎだろ!結局、恋バナして仲良くなる女子高生みたいなノリになってしまいました

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