特型駆逐艦について (32)
吹雪型(特Ⅰ型)吹雪 から 暁型(特Ⅲ型)電まで。
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【 吹雪 】
さながら、それが務めであるかのように。
毎日執務室にやってきては派手に転び、存分にパンツを見せつけて帰っていく。
吹雪と言えばパンツ。
パンツと言えば吹雪。
それは石に刻まれた誓いのように。
それは未来を指し示す光のように。
例え世界が変わっても。例え未来が変わっても。
決して変わらぬ笑顔で今日も、吹雪は執務室の扉を開く。
「おはようございます、司令官!」
【 白雪 】
美しい名をしている。
それは名前のみならず。
姿かたちのみならず。
声も口調も立ち振る舞いも、纏う雰囲気に至るまで。
彼女を彩る全てのものが、可憐で可愛らしかった。
けれど好きな食べ物は、芋。
【 初雪 】
コタツにポットに電気毛布。
テレビにゲームにファンヒーター。
寝床を家電で武装した、駆逐艦界の籠城将。
一週間で四回もブレーカーを落とす離れ業を演じ、吹雪型の撃墜王と名を馳せる。
【 深雪 】
冬の名を持つ彼女ではあるが、夏でもやたらと元気がいい。
休みの訪れともなれば、深夜から山に潜り生態系を壊す勢いで森を荒らす。
コクワオオクワ、ミヤマにヒラタ。
森の秘宝を根こそぎ奪う、駆逐艦界のアルセーヌ。
傍若無人な立ち振る舞いに、森の守護神も困り顔。
ブラックリストでは筆頭堅持。三期連続の偉業を残す。
【 叢雲 】
吹雪型なのにあまり芋を好まないという、訳の分からない性質を持つ異端の少女。
改二になるとわがままボディに進化(見る人によっては退化)する。
幼い頃は鋭い槍で敵を突く。
大人になると、変な棒で突かれる機会が何故だか増える。
【 磯波 】
地味。元々地味な吹雪型に於いてさえ、更に地味。
西の山雲、東の磯波と称される地味界の大横綱。
性格は控えめで心優しく純朴な美少女。
普段は平和な村で芋を食べて暮らす。
磨けば光る逸材ではあるものの、加工される予定は今のところない。
吹雪型の吹雪じゃない方。
静かな吹雪。髪の長い吹雪。パンツを見せない吹雪。
【 浦波 】
子供の頃テレビで観た夢の光景。
地獄の釜のような大鍋で、莫大な芋を煮る芋煮会。
大人になったらきっと行こう。お金を貯めて必ず行こう。
小さな胸に誓いを立てた。
秋の東北。一泊二日の慰安旅行。
初めてのお給金を握りしめ、少女の夢は今日叶う。
【 綾波 】
どの提督の元に着任してもほっぺをムニられる薄幸の美少女。
腰まで伸びるその髪は、洗うだけでも一苦労。乾かすだけでも一苦労。
欠かさぬ手入れは楽じゃなく、敷波はしきりに切れと言う。
風になびく黒髪を、綺麗だと褒められた事が一度ある。
忘れ得ぬ笑顔を想いつつ、綾波は今日も髪を梳く。
【 敷波 】
冬の日。
踊るように白が舞い、深く敷き詰められた雪の夜。
生まれて初めてのウォシュレット。
純白の尻に突き刺さる冷水の槍。
怪鳥にも似た悲鳴を張り上げ窓ガラスを叩き割ったあの夜を、敷波はきっと忘れない。
【 朧 】
艤装の一部に蟹の精霊を宿す。名前はまだ無い。
苦楽を共にし深い絆で結ばれた間柄ではあるが、カニかまやカニ缶は平気で食べる。
カニすきに至ってはおかわりまでする。
頬の絆創膏は身体の一部。
過去の失態を忘れぬ為に、自ら刻んだ誓いの印。
激烈を極める戦場ですら、決して剥がれる事は無い。
ただ好きな人の前でだけ、何をせずともするりと落ちる。
【 曙 】
ツンデレ界の至宝。
ツンツン、デレデレ、ツンデレレ。
ツンデレ界のシンデレラ。
美少女界のツンデレラ。
ホントはもっとお話したい。
ホントはもっと仲良くしたい。
素直になれないツンデレラ。
分かってくれる提督に、曙は今日も会いにいく。
「こっち見んな!このクソ提督!」
【 漣 】
ピーターラビットより俺の方がカワイイ。
漣の肩に乗り、そう豪語する桃兎。
ジャビット?ウサビッチ?問題外だね。
ふんぞり返って足を組み、ハバナの葉巻に火を点ける。
怖いものなど何もない。世界の中心に俺はいる。
自信満々に煙を吐くが、最近よく聞くジビエ料理という言葉の響きが、何だか不安で仕方がない。
【 潮 】
かわいいものが好きで喧嘩が嫌い。
いつも優しく穏やかで羊のような性格をしているが身体は牛。
おっぱいは大きいが別に太っている訳ではないので、ダイエットなどは特にしていない。
嬉しそうにスイーツを食べる姿は、それだけで見ている者を幸せにする。
アイスクリームは MOW(モウ)派。
牧場しぼりは、何だか名前が気に入らない。
【 暁 】
レディって何だろう。レディってどんな人?
きっと綺麗で、きっと大人で、きっとキラキラしてる人。
例えばバナナを剥くように。
端から包み紙を器用に剥いて、羊羹を切らずに丸ごと食べる。
そんな加賀の姿を見て、暁は考える。
レディって何だろう。女らしさって何だろう。
隣では赤城がカステラを、切らずに丸ごと食べている。
微笑の加賀と破顔の赤城。
二人とも幸せそうではあるけれど。
綺麗で大人でキラキラはしてるのだけど。
理想のレディを探す道。
暁の旅は終わらない。
【 響 】
雪と氷に凍てつく世界。
果てなく広がる白の闇。
ロシアの冬は甘くない。
スミノフをガブ飲みし、コサックを踊る髭面の男。
ロシアの兵士は強く厳しく、そして優しい。
その歌が楽しそうだったから。その踊りが簡単そうに見えたから。
響は一歩、前に進んだ。
最初のステップで足を挫き、転んだ拍子に膝を痛める。
湿布を貼りつつ涙目で空を睨む。
どこまでも続く白の景色。
ロシアは今日も甘くない。
【 雷 】
もっと私に頼っていいのよ。
口癖のように繰り返す。
けれども司令官はいつもつれない。
頭を撫でられるのは嬉しいけれど、求めているのはそれじゃない。
もっと頼ってもらえるように、もっと大人ならなくちゃ。もっと大きくならなくちゃ。
電と二人。
雷は今日も間宮で牛乳を飲む。
【 電 】
てんてこ、てんてこ、てんてこまい。
小さな身体に大きな荷物。
遠征任務にてんてこまい。
小さな背中に重い責任。
秘書艦任務にてんてこまい。
疲れた身体に甘いもの。
今日も間宮でひと休み。
牛乳にカルピスを入れるとおいしい。
かき氷に練乳はもっとおいしい。
小さな幸せを持ち寄って、大きな喜びを分かち合う。
今日も明日も明後日も。
いつも電は輪の中に。
いつも電は笑顔の中に。
「なのです!」
以上です。
このSSまとめへのコメント
敷波(´;ω;`)
好きやで
kawaii