俺「時を5秒だけ止められるようになった」【安価】 (49)



俺「ははは……!」


俺「ははははは……!」


俺「やったぞ、遂にやったッッ!! 万年ニートの俺が、遂に『時を止める能力』を手に入れたんだっ!!」


俺「くくく……。ジョジョのDIO様もびっくりだろうな。なんせスタンド能力とかないのに、時を5秒も止められるようになったんだから!」


俺「俺人生勝ち組確定wwwww さぁて、まずはこの能力で何をしてやろうか……」


>>5



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痴漢



俺「くくく、痴漢をしてやるぜ!!」


俺「そうと決まれば早速電車に乗り込むぞ! 痴漢といえば電車、電車と言えば痴漢だからな……。待ってろよ、世の女ども!!」


俺「てめえらのおっぱいとケツを、触りまくってやる!!!」


~満員電車~


俺(くくく……満員電車に乗り込んでやったぜ)


俺(おっ、あそこにカワイイ女の子がいるじゃあないかッッ!!)


美人「……」


俺(フハハハ! では早速いくぜぇ!)


俺「時よ、止まれ!!」


バァァ~~~ン!!!


俺「よっしゃ今だ!! 女の元へ急ぐぞ!!」ダッ


俺「あ、あれ、周りの乗客が邪魔で進めん。なんで?」


俺「あ、そっか」


俺「時止めてるんだから、人も止まってる。つまり、人を動かすことはできないッッ!!」


5秒経過


美人「……」


俺「ぶっはあっ!! はあっ!! はあっ!!」


乗客「なにこいつ、いきなり息荒いんだけど~」


乗客「キモッ。ねえ離れようよ。気持ちわるいわコイツ」


俺(し、しまったッッ! 確かにオレは5秒間時を止められるが、それには多大な疲労が伴う!!)


俺(5秒止める、イコール、500メートルを5回くらい全力ダッシュするくらい疲れるのだッッ!!)



俺(つまり、連続して時を止められることはできないし、例え連続で止めてしまっても、俺は酸欠で最悪死に至るだろうッッ!!)


俺(くそぅ。しまったな、満員電車であることをもう少し考慮すべきだったぜ……)


俺「はあっ……。はあっ……。はあっ……。ふぅ~」


俺(ダ、ダメだ、息はできるようになってきたけど、とにかく一度電車を降りて休憩しよう)


俺(せっかく時が止められるようになったんだし、こんなので死んでしまっては、勿体なさすぎる!!)


俺(つ、次はよく考えて行動をするとするか……)


俺(さて、なにをしようかな)


>>10

物をレジ袋につめてるおばさんからポテチを盗む



俺「ようし、次は、物をレジ袋につめてるおばさんからポテチを盗んでやる」


俺「なんといっても俺は、ポテチマニアだからな。世のポテチを食いまくった伝説の男とは俺のこと」


俺「くくく……。驚き慄くおばさんの顔が目に浮かぶぜ!!」


~近所のスーパー~


俺(ふっふっふ。ターゲットはあのおばさんに決定だ!)


おばさん「……」サッサッ


俺(なになに? ポテトチップスうすしお味に、のりしお味か、なかなか良い趣味してやがる)


俺(お、何やら携帯電話をつついているな。ようし、今がチャンスだ。今ならポテチがレジ袋の中から消えても驚かれまい)


俺「時よ、止まれ!!」


バァァ~~~ン!!!


俺「よし。ポテチをまず袋から出すぜ」サッ


俺「くっくくく。これでこのポテチはオレのモノよ!! すでにおばさんはレジで精算を終えているから、オレには万引きの事実はないッッ!!」


俺「まあ窃盗犯には違いねえがな。くっくっく」


俺(さあて、そろそろ時間だ。時は動き出す!)


パッ


おばさん「……さてと、息子に電話をしなきゃねえ」ピポパ


俺(はぁ。はぁ。はぁ。こ、今回は息が荒れていることを悟られないようにしないとな)


おばさん「……あ、よしのぶちゃんかい? 今からお母ちゃんが、ポテチ持って帰るからね」


おばさん「あんたの大好きなうすしおとのりしお味だよ。うん。うん。大丈夫さ、今月は体調が良いんだし」


おばさん「病気のあんたが、月一回食べれることを楽しみにしてるお菓子なんだ。こんなときぐらいは、好きなものを食べたってバチ当たりやしないよ」


おばさん「さ、じゃあもうすぐ帰るから、もう少し待っててね」


俺「時よ止まれ!!!」




バァァ~~~ン!!


俺「はあっ、はあっ、はあっ!」


俺「後味悪すぎるわ!!!」


俺「くそっ。しょうがねえ、今回はポテチを諦めてやる」


俺(ささっと元に戻して、と)


俺「時は動き出す」


パッ


おばさん「……あら? レジ袋が軽くなったような」


俺「ぶはーーーーーっ!!! はあっ!! はあっ!! はあっ!!」


おばさん「な、なんだいアンタ、いきなり息荒くして……」


俺「はあっ!! はあっ!! はあっ!! し、死ぬ……!!」


おばさん「へ、変な人だわねぇ」


俺「はあっ!! はあっ!!」


俺(くそーーーっ!! こんなつもりじゃあなかったのにッッ!!!)


おばさん「これ飲むかい? スポーツドリンク、ここに置いとくからね」


俺「はあっ!! はあっ!! はあっ!!」


おばさん「じゃ、じゃあ。体には気をつけなよ。うちの息子も体が悪くてねえ」


俺(死ぬ……! やっぱ連続で時を止めるのは相当しんどいッッ!)


俺(くそっ。またもや俺の野望が失敗に終わったッ。次こそは……次こそは必ず、悪事を働いてやるッッ!!)


>>14

下着を切って脱がせる



俺(よし、次は下着を切って脱がせるぞ!! それくらいなら5秒の間で可能だ!!)


俺(くっくくく。誰の下着を切ってやろうか)


幼馴染「……あんた、家の前でなにブツクサ言ってんの」


俺「お、おまえは、俺の幼馴染! 幼馴染じゃあないかッッ!」


幼馴染「はぁ」


俺(くっ、いつ見てもこいつは可愛いな。ニートの俺と違って、頭は良くて器量も良い、しかもこないだ、通ってる大学のミスなんちゃらに選ばれたみたいだし)


俺(どうせ俺なんかにゃ一生縁のない出来た幼馴染さ)


俺(はっ! そうだ。こいつのパンツの切って、下着を脱がせてやろう)


俺(くくくく。こいつが仰天する姿が思い浮かぶぜ……! 小さい頃からクラスでもアイドル的存在だった、おまえがアタフタする姿がなぁ!!)


幼馴染「ねえ。だからなに一人でブツクサ言ってんのかって」


俺「な、なんでもねえよ」


幼馴染「……ふーん」


俺(よし。部屋からはハサミを持ってきているし、今しかチャンスはないッッ!! 今だ!!)


俺「時よ止まれ!!!」


バァァ~~~ン!!!


俺「くくく……!」


幼馴染「……」


俺「おまえは時を止められていることすら気付いていない」


俺「さぁ。遠慮なくおまえのパンツを切らせてもらうぜ」


俺「……」


俺(人のパンツを見るの、初めてだな。ちょっと緊張してきた)


俺(し、しかし止まるわけにはいかんッッ!! オレはこれまでの情けないニート童貞生活を覆すんだ!! さぁ幼馴染よ。おまえはどんなパンツを履いているんだッ!!?)サッ


俺(!!!)


俺(か、カワイイくまさん柄のパンツ……だとッッ!!)



俺(い、いや待てよ。このくまさんのキャラって)


俺(もしかして、俺が昔から好きだったアニメ、守って守護くまさん、のマスコットキャラ!!?)


俺「……」


パッ


幼馴染「あれ? 俺がいきなり目の前から消え……」


俺「ぶはっ! はあっ! はあっ!!」


幼馴染「……あんた。なんで私のスカートの下にいるの」


俺「はあっ! はあっ!! はあっ! はあっ!!」


幼馴染「めっちゃ息荒いんですけど」


俺「えっと、はあっ! こ、これはだなっ! はあっ!」


幼馴染「もしかしてアンタさ。私のパンツ見てた訳?」


俺「い、いや、それはそのっ!!」


幼馴染「キモい!!! 死ね!!!」バコッ


俺「はぐっ!!」




俺(くそー……。こんなハズじゃなかったのに……)


俺(せっかく時が止められるようになったのだから、なんとか良い方法を見つけなければ)


俺(でもぶっちゃけオレみたいなのが時止められても、数秒じゃあ大した悪事は働けないんだよな……)


俺(分かってはいたけどさ、でも、それでも時を止めることができるって、男の夢じゃあないか! ロマンじゃあないかッッ!)


俺(決めたぞ。オレはなんとしても、この能力で悪事を働いてやるッッ)


俺(さあ、次は>>20をしてやるぞッ)

youtubeに投稿して荒稼ぎ



俺「ようし、youtubeに俺の時を止める能力で、何かを投稿して荒稼ぎしてやるッ!!」


俺「……とはいえ、なにを投稿すりゃチャンネル登録が多くなるだろうか」


俺「うーん。そうだな、時を止める能力だから、『今からこのバナナが消えます』とか前提を置いて」


俺「俺が時を止めてる間に、バナナを食うってのはどうだろうか?」


俺「うむ、うむ!! いい感じなんじゃあないかッ!? これなら視聴者もびっくり! あっという間にピ●太郎の再生数を超えるだろう!!」


俺「さっそくyoutubeに投稿するぜ!!」


~youtube~


俺「はい、ではここにバナナがあります」


俺「なんと、これが一瞬で、なくなってしまうんです。見ててくださいねー」


俺「時よ止まれ!!」


バァァ~~~ン!!!


俺「よっしゃ!! 今のうちにバナナをめっちゃ食うで!!」


俺「もぐ、もぐ、もぐ」


俺(あ、もう5秒終わってまう)


パッ


俺「おぼえええええっ!!! ぼえっ!!」


俺「ばあっ!! ばあっ!! ばあっ!!」


俺(くっ。口の中に多少バナナは残っているが、こんな摩訶不思議なことをやれば、再生数は圧倒的に伸びるだろう)


俺(俺天才かwww やべえこれで億万長者確定だわwww)


~数日後~


視聴回数 29回

チャンネル登録 1



俺「なんでだよ!!!」


俺(うーん。なにが悪かったんだろうか)


俺(そりゃちょっとバナナは残ってたけど、いつの間にかバナナが消えてたことに間違いはないんだがな……)


俺(お。コメントがある、見てみよう)



コメント:バナナ吐いてるだけやん


コメント:きもい



俺「……」



俺「どうすりゃいいんだ!!?」


俺「なぜだ! なぜうまくいかない!! せっかく世を支配できる程の能力をもっているというのにッッ!!」


コンコン ガチャ


妹「お兄ちゃん、うるさい」


俺「お、おまえは俺の妹!! こないだ高校の文化祭で、ミス高校的なやつをもらった、オレとは似ても似つかない妹じゃあないかッッ!!」


妹「……誰に説明してんの……。つかまだそんな喋り方してんの? いくらなんでも漫画とかアニメに影響受けすぎ」


俺「い、いいだろうが! ジョジョは俺の人生の教科書であり、ジョジョはオレにとって大事な能力を与えてくれた大切な存在なんだッッ!!」


妹「いやそういうのいいから。今年受験だから静かにしてくれない? マジで」


俺「お、おう」


妹「あとそろそろ就活したら? いつまでニートしてるつもり? 私嫌だからね、兄がニートですって言うの」


俺「……」


妹「静かにしてくれたら私もこんなうるさく言わないから。じゃあね」


俺「お、おい……」


バタン


俺「……」


俺「くそう……」



俺(このストレスを……このストレスをぶつけてやるにはどうしたらいいッッ)


俺(くそう!! じゃあ>>26をやってやるッッ)

嫌な奴に水鉄砲で黒インクをぶちまけ素知らぬ振りで立ち去る。
自分にはかからないように



俺「よし、決めたぞッッ」


俺「嫌な奴に水鉄砲で黒インクをぶちまけ素知らぬ振りで立ち去ってやるッッ。 自分にはかからないようにな!!」


俺「ふっふふふ。これはあくどい、あくどいぞ!!」


俺「一世一代の悪党行為だなッッ!!」


俺「さあ、誰にこの嫌がらせをしてやろう。そうだ、とびっきり俺が嫌いな奴がいいな!!」


俺「となれば、高校時代に俺をいじめてたあいつに決定だ!」


俺「ようし、では水鉄砲に黒インクを入れて、と」


俺「いや、待て待て。もしかすると、イカスミの方が良いかもしれん。なんてたって匂いがキツいからな」


俺「待ってろよぉ。俺をいじめていた野郎ッッ!! おまえを奈落の奥底へ突き落としてやるッッ!!」



~とある喫茶店~


彼女「……パスタ、食べないの?」


旧友「あ、ああ」


彼女「……まだ後悔してるの? 高校の頃、いじめっこだった過去に」


旧友「……」


旧友「俺は最悪だよ。自分より成績の良かった相手ってだけで、そいつを学校に来させないようにするため、嫉妬であいつをいじめてたんだ」


旧友「結果、そいつは家に引きこもっちまって、何やら『時を止める能力』について研究しだした。そいつとはそれっきりさ」


彼女「……」


旧友「俺があのとき、あいつをいじめてなかったら。あいつはもしかしたら、東大へ受かって研究室に入り、優雅な人生を送っていたかもしれない」


旧友「そう思うとさ、やるせない気持ちになって」


彼女「じゃあ、謝りに行けばいいじゃない」


旧友「……今更どの顔下げて謝りに行けってんだよ。最低な俺を殴ってくれってか?」


彼女「貴方がそれで気持ちが晴れるのなら、私は良いと思うけど」


旧友「……」


旧友「あいつさ、ポテチ好きだったんだ。だからさ、オレさ」


彼女「だから、『その彼と仲直りするために料理人を目指してる』。でしょ?」


旧友「あ、ああ」


彼女「なら料理について貴方も研究しないとね。ほら、ここのパスタってじゃがいもがメインだから、もしかしたら良いアイデアが浮かぶかもよ?」


旧友「そう、だな」


彼女「貴方がまず元気にならないと、彼との仲直りがどんどん遠くなるわ。そうでしょ?」


旧友「……ああ」




俺(見つけたぜ、俺をいじめてたクソ野郎め!!!)



俺(ほっほう。今は彼女もできて、人生も楽しいです、ってかぁ~?)


俺(やかましいわ!!!)


俺(見てろよ。彼女の前で、赤っ恥をかかせてやるからな……!)



旧友「ん、このパスタ、美味しいな」


彼女「良かった。じゃがいもってパスタに合うか不安だったけど、あなたのひらめきを求めてここに立ち寄って良かったわ」


旧友「すまないな、色々、気を使わせて」


彼女「私にそんな優しい返しはしなくていいの。早くその友達においしいポテチをご馳走するために、あなたはしっかりこの味を勉強なさい」


旧友「ああ」


旧友「しかし、何かが足りない気がするんだよな。すごくおいしいパスタなんだけど……」



俺(くっくくく、今だ!!)


俺「時よ止まれ!!」


バァァ~~~ン!!!


旧友「……」


彼女「……」


俺「ふっふっふ」


俺「お前はこれで、明日からあだ名が『イカスミ野郎』となる。残念だったな」


旧友「……」ピクッ


俺「なっ……!!? こいつ、指が微かに動いた!? ま、まさか、オレの時を止めた空間に入り込んだというのかッッ!!!??」


俺(バカな、時を止めた世界で動けるのは俺ひとりだけ……! こんなハズは……!)


旧友「……」腕に磁石


俺「磁石じゃねえか!!!??」


俺「なんだよ~。驚かせんなや~。さすがに俺でもびっくりしたぜ~」


俺「ってそんなこと言ってる場合じゃない!! こいつにイカスミ鉄砲を発射せねば!!!」ババッ


俺「ああ! なぜかアイツに当たらず、パスタの方向にイカスミが……!!」




パッ


旧友「ん……?」


旧友「こ、これは……!」


彼女「?? どうしたの?」


旧友「これこそ俺が追い求めていた味ッッ!! なんだこのパスタの旨さは!!」


旧友「ッッ!! パスタの中にいつの間にかイカスミが……! そうか、じゃがいもの中にイカスミが隠れていたのかッ!!」


旧友「ずずずっ、ずずっ! う、うまい!! うますぎるぞッッ!! これならあいつに、見事なポテチをご馳走できるかもしれんッッ!!!」


彼女「……そう。良かったわね」


彼女(このパスタにイカスミの原材料書いてあったかしら)



~物陰~


俺「ぶはーーーっ!! はあっ! はあっ!!」


俺「くそう……。これじゃあただあいつのパスタにイカスミを入れただけじゃないか!!」


俺「と、とはいえ今日は体調がしんどいな……さすがに最近、無茶をして時を止めすぎたか」


俺「ちいっ。お前への復讐は、また今度にしてやる!!」


俺「さて、では明日の時止めは、なにをしようかな……」


>>34

高いとこから熱いコーヒーのはいったバケツを人の群にかける



俺「よし、決めたぞ」


俺「熱いコーヒーをバケツに入れて、それを人の群にかけてやる!!!」


俺「ふっふっふ。これはとてつもない悪党だ!! まさに外道!!!」


俺「無差別コーヒーぶっかけ犯になってしまうな、はっはっは!!」


コンコン ガチャ


妹「だからぁ!! お兄ちゃんうるさいって!!」


俺「お、あ、いや、その、すまん」


妹「あれ、いい匂いがする。なにこのバケツ」


俺「え? あ、ああ、コーヒーを飲もうと思ってな」


妹「こんな大量に!!? いや、体壊すよ、やめなって」


俺「う、うむ。まあ適度に分けて飲むさ」(これを人にぶっかけるとはさすがに言えねえ)


妹「もしかしてまた研究するの? だったら砂糖たくさん入れた方がいいよ。頭の回転が良くなるからね」


俺「え?」


妹「あーもういい! 貸して。砂糖入れてくるから!!」


俺「お、おい」


ダダダダッ


妹「はい。大事に飲んでよね。私の好きな特別な砂糖入れたんだから」


俺「え? え?」


妹「……ちゃんとお兄ちゃんが頑張ってるの、知ってるし」


俺「……」


妹「大学に行くか就職にするか、そろそろ決めないとね。じゃあ頑張ってね、お兄ちゃん」


俺「お……」


俺「おう……」


バタン




俺「……」


俺「いや……でも……」


俺「神様が告げてくれた掟は、絶対だし……」


俺「……」


俺「そうだ。俺は悪党になるって決めたんだから」


俺「……」


俺「くそったれがぁぁぁああああああ!!!!」


ガラッ


俺(よし!! 今なら人がちょうど5~6人、窓の下にいるぞ!!)


俺(くははははは!!! そうだ、俺はこのあついコーヒーを奴らにぶっかけてやるんだ!!!)


俺(死ねやコラぁぁぁあああああ!!!!)


バシャッ



~窓の下~


子供「ねえねえ、お母さん。あの黒いのってなに?」


母親「黒いのって?」


子供「あの、今落ちてきてる――――」


母親「!! 危ないッ!!!」ババッ



俺「時よ止まれぇぇえええええ!!!」




俺(く……!!)


俺(俺が時を止めていられるのは5秒間!! 今から1階に降りて子供を避難させることはできねえ!!)


俺(この時が止まっている中で動けるのは俺だけ……!)


俺(どうする! どうすりゃいい!! はっ)


毛布


俺「こいつをッッ!! 持てるだけ持ってッッ!!!」


俺「オレが空中に飛んでッッッ!!!」


ババッ


俺「この毛布に、なんとかコーヒーを包み込むしかねえッッ!!!」


俺「うおおおおおぉおぉおぉおおぉおおおお!!! いっけぇぇええええええ!!!!」


パッ


母親「たけしちゃんは、私が守るッ!!!」バッ


子供「!!」


ドーーーーーン!!!!


母親「……!!」


母親「……あれ?」


母親(私達に、何か黒い液体が落ちてきていたように思ったけど、何もかからない?)



俺「ぐ……あ……!!」


子供「……? お母さん、このお兄ちゃん、毛布にくるまってるー」


母親「!? あ、あなた、大丈夫ですかっ!?」


俺「うぐぅ……!!」


母親「大変! 腕や足が変な方向を向いてる!!」


母親「早く救急車を呼ばなきゃ!!」




ピッ ピッ ピッ


俺「う……」


俺「あれ……ここは……」


俺(知らない天井だ……。もしかして、病院?)



幼馴染「ああっ! ようやく目を覚ましたぁ!!」


俺「お、幼馴染……? なんでおまえがここに……」


妹「幼馴染さんは、お兄ちゃんを心配して、三日三晩ここに居てくれたんだよ!?」


俺「い、妹。お前もか……」


幼馴染「良かった……。あんたが目を覚ましてくれて……本当に……!」


妹「幼馴染さん、大事な大事なモデルの選考会だったのに、そっちをキャンセルしてお兄ちゃんについていてくれたんだから!」


俺「え……」


幼馴染「いいのよ妹ちゃん。モデルの選考会なんてさ、また受ければいいしさ」


妹「でもさぁ!!」




ガラッ


旧友「お、おい!! 親友が意識不明って聞いて!!」


俺「え、お、おまえ……!」


旧友「! な、なぁんだ。起きてんじゃねえか」


旧友「し、心配して損したぜ」


妹「あ、旧友さん。来てくれたんですね」


旧友「お、おう。まあな。こいつは、俺に料理人への道を決めた大事な奴だし……」


彼女「はぁ、素直じゃないんだから。出来上がったポテチ、さっさと差し入れなさいよ。この人のために作ったんでしょ?」


旧友「う……」


妹「旧友さんはね、実はお兄ちゃんのことをずっと心配してて、私にお兄ちゃんの好きな料理を毎日聞きに来てたんだよ」


俺「……」


幼馴染「あんたってさ。本当。鈍感だよね」


俺「は、はぁ? 俺が? 俺が鈍感!?」


幼馴染「うん。ずっと近くにいた誰かさんの好意にも、全く気付かないし」


俺「え……」



ガラッ


母親「あ、あのう……」


子供「あっ。僕らを助けてくれたお兄ちゃん、起きてるー!」


俺「あ、貴方たちは……」


幼馴染「あんたが助けたお母さんとその子供だよ」


妹「覚えてないの? なんかすごくドス黒い液体が落ちてきたところを、お兄ちゃんが助けたんだよ」


俺「……」


旧友「実はその時、この母子の周りにいたのは連続幼児誘拐犯の連中だったらしくてな」


旧友「大金持ちの母親と子を攫おうと思っている時、おまえが颯爽と現れたそうだ」


旧友「結局おまえが2階から飛び降りたおかげで、誘拐犯たちもお前にぶつかって気を失ってたんだと。だからお前、知らず知らずの内に、すげえ手柄立ててたんだぜ」


俺(なにこのご都合展開)



幼馴染「ま。今回くらいは色んな方の力になれたんだし、ようやく、今までの仮を返したってくらいね!」


妹「本当本当。これからは真っ当に生きてよ、お兄ちゃん」


妹「私も今なら、お兄ちゃんのこと、誇り高く思うし」


俺(い、いや、全部それ、たまたまだし……)


旧友「お、そうだ親友。俺の作ったポテチを食ってくれねーか!? おまえのために、特製イカスミポテチができたんだぜ!!」


旧友「だ、だから高校の頃のこと許せって訳じゃねえけどよ……。これだけは言わせてくれ。あの時は……すまなかった」


彼女「ふふっ、今日は素直だね」


旧友「バ、バカにすんなよ。俺は本気なんだから……」


俺「……」


幼馴染「あとさ、あんたあの、youtubeなんなの? チャンネル登録したけどさ、意味わからなすぎ」


俺「あ、あれはそのー。その……」


妹「とにかく、早く怪我治して、社会復帰しなよね」


妹「私はいつだって、お兄ちゃんの味方だからさ!」


幼馴染「ふふっ」


旧友「そうだ、親友よお。おまえなんか『時を止める研究』ってのやってたみたいだが、どうだったんだ、成功したのか?」


俺「……」


俺「いや、失敗したよ。というかさ」


俺「俺にはもう、そんな能力、いらねえや」


旧友「へへっ。なんだよそれっ!」


俺「俺さ、まあ、こんなこと言うのもなんだけど」


俺「これから、皆へ恩返しできるように、頑張るわ。精一杯」


幼馴染「うん。そういう俺くんの前向きなとこ、私、好きだよ」


俺「……」





こうして俺は、妹や幼馴染、そして旧友の支えもあり、わずか1ヶ月で病院を退院した。

『時を止める能力』については、必ずしもそれが『善意』に利用されるものではないと思い、これまでの研究成果を封印した。


特殊な能力が身に付いたとしても、利用する者次第で、それは悪魔にでも天使にでもなりうる。

というか、例え時が5秒止められたとしても、世界はそれほど変わるものではないし、自分だけしかその空間を味わえないのであれば、それは窮屈なものなのかもしれない。


時を止められようが、そうでなかろうが、結局自身のは幸せというものは、自らの手で模索していくしかないのだろう。




俺「おう、今日の新聞どこ?」


幼馴染「机に置いてあるでしょー」


俺「お、すまんな」


俺「息子よ、そこの新聞とってくれるか」


息子「……」


パッ


俺「あれ、いつの間に俺の手に新聞が」


息子「……」


俺「……あれ、おまえもしかして」


息子「……」









なんだこれ

ご愛読頂きありがとうごぜえやした。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年01月03日 (火) 11:59:40   ID: rV4X4MaT

いやー、面白かった

2 :  SS好きの774さん   2017年01月03日 (火) 13:28:54   ID: ARitpZZ2

うむ、クソ作かと思ったら地味に面白かった

3 :  SS好きの774さん   2018年02月17日 (土) 17:09:03   ID: kMWjKjup

ポテチはなぜ動かせるのか。

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