ヴィリアン「サンタ様は誰?」 (14)


ヴィリアン「ねえ、ウィリアム、今年はサンタ様はいらっしゃるのでしょうか」

アックア「きっと来ますよ。姫君は今年もいい子でしたから」

ヴィリアン「ふふっ、楽しみです」

アックア「……して、プレゼントは何を頼んだのですか?」

ヴィリアン「ひ、秘密です!」バッ

アックア「なるほど、その手紙に記してあるんですね」

ヴィリアン「……サンタ様への手紙ですから、ウィリアムは読んではなりませんよ?」ギュ

アックア「ええ、分かってます。無事にサンタさんに届くことを祈ってます」ナデナデ


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ヴィリアン「ふふっ」

アックア「どうなさったのですか?」

ヴィリアン「いいえ、明日の朝が楽しみなのです」

アックア「私も子供の時はよく靴下をベッドの横にかけ、興奮しながら寝たものですよ」

ヴィリアン「ウィリアムも子供の頃があったのですね」

アックア「もちろんです」

アックア「……っと、そろそろお休みにならなくては」


クイ

ヴィリアン「もう少し話したいです」

アックア「……これ以上遅くまで起きているとサンタさんが来てくれなくなってしまいますよ」

ヴィリアン「……」シュン

アックア「ですから、明日の朝、早く起きてお話しましょう。まだ皆が寝静まっているうちに」

ヴィリアン「いいんですか!」パアアッ

アックア「起きれたら、ですよ」

ヴィリアン「それならもう寝ます。お休み、ウィリアム」モゾモゾ

アックア「ええ、おやすみなさい」ガチャ

アックア「……いい夢を」

バタン


騎士団長「サンタ様? サンタ様か……」クツクツ

アックア「からかっているつもりか?」

騎士団長「いや、そんなつもりはないが……ふふ、慕われているな」

アックア「……プレゼントは用意しているのだろうな」

騎士団長「もちろん。事前に何が欲しいのかは聞き出しているからな」

アックア「……む」

アックア「本当に聞き出せたのか?」

騎士団長「ああ」ニヤニヤ


アックア「……私は教えてもらえなかったのである」

騎士団長「だろうな。私もお前には言うなとキツく言われていたから、私から言うことはできない」

騎士団長「だが、今宵のお前はサンタだろう? なら、手紙を覗く権利はあると思うけどな」

騎士団長「……呼吸の感じからしてもう眠っているぞ?」

アックア「……プレゼントは? もう寝たのなら、プレゼントを渡してくるべきだろう?」

騎士団長「お前が手紙を確認してから渡す。あの手紙はお前以外見ることができないのだからな」

アックア「……仕方がない」

ガチャ


…………数年後…………

フィアンマ「クリスマスか……あまり甘くないケーキが食べたいものだ」チラ

フィアンマ「む、アックア、何を見てるんだ?」

アックア「……大切な宝物である」

フィアンマ「……手紙? 拙い字だな……つまらん」フン

アックア「お前には永遠に分からないだろうな」

フィアンマ「何のことだか知らないが、分からなくて結構だ」ズズッ

フィアンマ「さて、そろそろ寝るか……」

ピンポ-ン

フィアンマ「ちっ……何だこんな遅くに……」スタスタ

ガチャ


アックア「……相変わらずの可愛らしい便箋であるな……」スッ

アックア「……」ジ-ッ

アックア「サンタ様、ウィリアムが欲しいです、か」

アックア「……」ジ-

アックア「……また今年も私のことを望んでいらっしゃるのだろうか……」

アックア「……いや、それは自惚れであるな」フッ…

アックア「このような手紙にまだ執着してしまうとは……ダメな男だな」ハァ


ガチャ

フィアンマ「おい、お前宛の手紙が届いているぞ」

アックア「……手紙?」スッ

フィアンマ「随分上手な字だったが……ま、人の手紙は勝手に見るもんじゃないか」

アックア「……差出人が書かれてない……」ジ-

フィアンマ「ははっ、もしかしたらラブレターかもしれないな」ガチャ

バタン


アックア「……」ビリビリ

スッ

アックア「……メロディーカードであるか?」

『……あー、あー』

『うん、きちんと録音されてますね……』

『……あわてんぼうのサンタクロース、クリスマス前にやってきた』

『いそいでリンリンリン、いそいでリンリンリン』

『鳴らしておくれよ鐘をー』

『リンリンリン、リンリンリン、リンリンリンー♪』

アックア「あわてんぼうのサンタクロース……」


『……ウィリアム、覚えてますか? 毎年私のためにサンタ様になってくれたことを』

『……私はいつもこの時期になると思い出します。ウィリアムが私にくれたプレゼントを思い出すんです』

『サンタ様はウィリアムなのに、ウィリアムはあわてんぼうのサンタクロースとか赤鼻のトナカイとか歌って聞かせてくれたこともありましたよね』

『思ったよりうまくて驚いたものです』

『……』

『……また私だけのサンタ様に会いたいです』

『優しくて心強い背中のサンタ様に会いたいです』


『……手紙に書いたじゃないですか。私はウィリアムが欲しいって』

『ずっといい子にして待ってるんですよ? 今年こそ、今年こそって』

『……ウィリアム、私、今年もいい子にしてました』

『ウィリアム、今年のクリスマスプレゼントはウィリアム=オルウェルが欲しいです』

『……あ、もう終わっちゃいますね……』

『ウィリアム、私はいつまでも待ってますから』

『それでは。ウィリアムのクリスマスが幸せに満ちていることを祈ってます』プツッ


アックア「……ヴィリアン様……」フルフル

アックア「……私も、ヴィリアン様の幸せを祈っています……」

アックア「……っ……」ゴシゴシ


アックア「またお会い出来る日まで」




低クオリティですがおしまい……



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