どうもこんばんは
これは、
艦これSS投稿スレ5隻目
艦これSS投稿スレ5隻目 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1459454594/268-273)
に、投稿した作品の続編的なものを書いたら長かった……ので、自分でスレを立てて投稿することにしたものです
まずは初月編を一部修正したものを再投稿のあと続編に入ります
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1476788527
提督「初月、海に行くぞ」
初月(窓の外を指さす)「すぐそこが海だが」
提督「こんな海はどうでもいいんだ、これはニセモノの海だ。やっぱ海といえばビーチですよ」
初月「ビーチ? 砂浜?」
提督「そうそう。そして東の海ばかり見ていてはいけない。西の海に行こう。車は用意してある」
初月「唐突な遠出だな……。暇だからいいけれど」
………
提督「よーし、着いたぞ初月」
初月「んー……僕のカレーチャンポンは……どこだ……」
提督「それは二時間前に食べた昼食だ。ほら、起きろ」
初月「……もっと食べたかった」
提督「わかったわかった。いいから水着に着替えるといい。ほら、これだ。ちゃんと艦娘が着れる、法定に基づいた仕様にしてある」
初月「わざわざ買って、手続きと改造までしてくれていたのか。なんだか悪いな。……? なぜこんなに布地が少ない」
提督「あー、それは……。すまない、自明の理だから初月には言うまでもないだろうが……布地が多いほど材料がたくさんいる。だから高価なんだ」
初月「……なるほど。言われてみれば自明だ。そういうことか……」
提督「俺がもっと高給取りの提督ならよかったんだけどな……」
初月「そんなこと気にするな。布地が少なくても構わない。……僕は嬉しいよ」
提督「初月! 泣かせるぜ」(泣きまねする)
………
………
初月「ふむ……やはり肌を隠す部分が少ないな。しかしその分、全身で水を感じられるかもしれない」
提督「似合っているぞ」(カメラで撮る)(色々な角度から撮る)
初月「なぜ僕を撮っているんだ」
提督「夏、そして旅の想い出……というやつさ。よし、こんなものか。さあ行くぞ、海が俺たちを待っている」
初月「うん。……なんだかわくわくしてきた」
提督「そうだろうそうだろう。海で戦いばかりやっていてはいかん」
初月(ビーチに降りる)「これが西の海か……見た目はあまり変わらないな」
提督「海だからな。でも、潮風の香りが違う」
初月「そういうものか。……ところで、人が少ないな。砂浜というのはもっと人で溢れているものじゃないのか」
提督「少しシーズンから外れてるからな。この時期はこんなものなのさ。さて、準備体操をして泳……」
初月「ん。提督よ、あれはなんだ」
提督「ん。あれは海の家だな……。ビーチで遊ぶものや、夏っぽい食べ物を売っている店……」
初月「行こう」
提督「……はいはい」
………
不知火「いらっしゃいませ」
陸奥「はーい、いらっしゃーい」
初月「あれ……艦娘が働いている」
提督「こんなところでバイトをしているのか……?」
不知火「アルバイトではありません。ここは西の海の鎮守府です。副業として焼きそばやビーチボールを販売しています」
提督「なんてこった。こんなところに来ても鎮守府から逃れられないとは」
初月「深海棲艦許すまじ、だな」
陸奥「ところでアナタ、ずいぶんとセクシーな水着ね?」
初月「そうかな? 何だか恥ずかしいな。布が少ないから安価なんだ」
陸奥「なにその理屈? ……はっはーん」
提督「さーて何を買おうかなー」
陸奥「いっぱい買ってくれるとお姉さん嬉しいわー」
提督「わかってますってお嬢さん。初月、好きなだけ食べるといい」
初月「本当か! ……いや、無理をしなくてもいいんだぞ」
提督「お前のためならなんてことはないさ」
初月「提督……。ありがとう」
不知火(ひそひそ)「……かわいそうな駆逐艦娘ですね」
陸奥(ひそひそ)「そう? あの水着、なかなか手が出せないブランドよ。うちの人もプレゼントしてくれないかしら」
不知火(ひそひそ)「……価値を理解していなければ、意味が無い気がしますが」
初月「では、このとうもろこしと焼きそばとラーメンを、全て頼む」
陸奥「あら、驚異的な売り上げになりそう」
提督「おいおい、好きなだけと言ったのは俺だが、遠慮がないな……! しかし、そんなにたくさん食べられるのか? これから海に入るんだぞ」
初月「提督は食べないのか?」
提督「人間はそんなに食べられないんだよ」
不知火「じー」
陸奥「じー」
提督「……お嬢さん方もよろしければどうぞ」
陸奥「あらあら、いいのかしら~」
不知火「では遠慮なく」
提督「艦娘は思い切りがいい……」
初月「うん、人数が多いほうが食事は楽しいな」
提督「そういうことにしておこうか」
………
提督「あの量が無くなってしまうとは……しかも見た目は全然変わっていない。やっぱり艦娘は人間じゃないなー」
初月「ご馳走様でした」
不知火「またのご来店をお待ちしています」
陸奥「いつでも来てねー、うちは年中無休だから」
提督「……この副業、それで成り立つものなのか……?」
初月「よし、行くぞ提督、海だ」
提督「やる気だな、初月。その前に準備運動……は艦娘にはいらないか。俺は念入りにやっておくから、先に行っててくれ」
初月「うん、わかった。海だ……!」(さたさたさたざばざばざばん)
提督「いっちに、さんしっ、ごーろく、しちっはちっ……と」
提督「……ふう。よし、これでいいか。……あれ? 初月はどこだ?」
提督「おーい、初月。(ざぶざぶ)遠くには行ってないだろうし、まさか艦娘が溺れるわけも……」
初月「提督!」(ばしゃっ)
提督「うお、後ろか!」
初月「まだまだ甘いな、提督」
提督「いやいや、全く潜っていたのに気がつかなかったよ。初月には潜水艦の素質もあるんじゃないか」
初月「そうかな? ……今気づいたが、彼女たちは高級な水着を着ているな。僕にはまだまだあの水着は早い」
提督「あー、うん。そうかも」
初月「よし、もっと泳ぎを磨かなくては。提督。あのブイまで競争しないか」
提督「……え、ブイ? どこだ……って、あれか。んんんん……遠くないか……?」
初月「そうかな?」
提督「艦娘からしたら大した距離じゃないんだろうけどな……。まあいいさ。俺も海軍の人間だ。ひとつ、やってみよう」
初月「それでこそ男だ。負けないぞ!」
提督「超人兵器に勝つ自信は全くないが、それはそれとして意地を通す!」
初月・提督「よーい……はじめ!」
提督(うおおおおおお!)(ばしゃばしゃばしゃ)
初月「……!」(ザンッ、ザンッザンッ)
提督(うわ、水を切る音が違う…! こんなに重くて鋭い音がするものなのか!?)(ばしゃばしゃばしゃ)
初月「……!?(ザンッ……) ……! …………!?」
提督(しかし諦めるわけには…! もってくれ、俺の椅子にくくりつけられた生活で鈍った肉体よ……!)(ばしゃばしゃばしゃ……ぱしっ)
提督「ぷはっ! ……あれ!? か、勝ったのか!? なんで!?」
提督(両手を見ながら)「も、もしや俺にも超人としての才能が……刀剣男子とかになって女の子にキャーキャー言われる未来が……!」
提督「……あれ? 初月は何をやってるんだ」
初月「……!? ……!」(ばしゃんばしゃばしゃ)
提督「ずいぶんと後ろのほうに……水遊びか?」(すいすい)
提督「おーい、初月!」
初月「てっ、提督! 来るな! 来ると撃つぞ!」
提督「この距離で撃たれると真反対の方向でも洒落にならない。……どうしたんだ、初月……なんで胸を隠している」
提督(あっ)
初月「こ、こないで……見ないで……」
提督「わ、悪かった!」
提督「……外れてしまった? 見当たらない?」
初月「うん……泳いでいたら、金具が外れていたみたいで……気がつくのが遅れてしまった」
初月「こうなったら僕は鎮守府まで泳いで帰る他ない。提督は先に帰ってくれ」
提督「落ち着け」
提督「……そうだ、艦娘法に基づいて発信機をつけてあるんだった」
初月「本当か?」
解説の雷「艦娘用の装備は盗難や紛失を防ぐために、その所在を明らかにする発信機を付ける義務があるのよ」
解説の電「決して司令官さんにストーカーをする趣味があるわけではないのです」
解説の暁「それ、わざわざ言う必要ある?」
解説の響「逆にあやしくなった」
提督「ああ、ちょっと待っててくれ、陸に上がって受信機になる俺の携帯と……代わりになる水着も用意してくる」
初月「わかった……頼む……」
………
提督(だだだだだ)「ぜーはー、はあ……水着だ、水着をくれ」
陸奥「あら、いらっしゃい。どうしたの?」
提督「彼女の水着がなくなってしまった」
不知火「外して何をしていたのですか?」
陸奥「そういうことを聞かないの」
提督「そういう発想をするんじゃない! 泳いでたら外れてしまったんだよ」
陸奥「デザイン重視だったもんねー」
提督「だから水着が必要なんだ」
不知火「では、この鎮守府の名物水着を出しましょう。……これです」
提督「名物? ってこれ、スクール水着じゃないか。……いや、これは潜水艦用の……?」
陸奥「発注数を大幅に間違えちゃったのよね。だから、艦娘仕様を外して売っているの。そうすれば普通の水着だから」
不知火「それがこの海の家を始めるきっかけなのです。なぜかみんな、おまけとして売り出したビーチボールや焼きそばのほうを買っていきますが」
提督「そりゃそうだろ。……まあいいか、元々艦娘用ならちょうどいいくらいだ。艦娘仕様を外されてても下の水着は残ってるし、上から着るなら問題ないだろう」
不知火「今なら3着セットで19%オフです」
提督「そんなにいらない」
不知火「遊泳用、日常用、ベッドの上用にしてはいかがでしょうか」
提督「いらん! 俺は普通の水着のほうが好きだしな」
陸奥「あの娘が着ていた水着、普通だったかしら」
提督「潜水艦のスク水もどきよりはおかしくないはずだ。とにかく、ひとつもらっていく」
不知火「毎度ありがとうございます」
陸奥「またねー」
提督「ああ、じゃあな。初月、今行くぞ」だだだだっ
………
初月(……こうして、戦うでもなく、泳ぐでもなく、ただ海水の中にいるというのは初めてかもしれない)
初月(しっくり来る感覚はある。……それはそうだ。僕たちは船だったのだし、普通、陸には上がらないものだ)
初月(でも……今は)
初月「海も青いけど、空も青いんだな……」
(ざばざば)
初月「この音……戻ってきてくれたか」
提督(ざばざば)「ふー……。またせたな、初月。代わりの水着だ」
初月「提督…ありがとう。……! こ、これは……! こんなに布地が……!」
提督「ん? ……あ、そっか。あー、あの店、意外に超高級品だけを扱う店でな。特別に安くしてもらったんだ」
初月「……でも、相当な値段になったんじゃないか。やっぱり泳いで帰ったほうが……」
提督「そんなことを初月にさせるわけにはいかないだろ? 俺はあっち向いてるから、上から着てくれ」
初月「わかった。……なんだか、無力感がある」
提督「なに?」
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません