男「やっぱりこの世界にも超能力はあるんじゃないか」
友「…………」
男「いきなり何言ってんだこいつ、的な顔はやめてください」
友「いきなり何言ってんだこいつ」
男「実際に言うのも勘弁してください」
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友「ほんとおまえって中二病だよな」
男「ああ、それは否定しない」
友「……後々黒歴史になっても知らねえぞ。……で、それでどうしていきなりあんなことを言ったんだ?」
男「超能力と異能力か? ああ、それなら昨日マジックの番組を見てさ」
友「マジック……?」
男「いや、本当に瞬間移動させてるんじゃないかいうようなマジックを見ると、こいつ本当に瞬間移動の能力を持ってるんじゃないかって」
友「はいはい。残念ながらマジックには種も仕掛けもあるんだよ」
男「マジシャン。それは現代の異能者集団。夜は怪物と戦う一方で、昼は一般人にショーをすることで金を稼ぎ――」
友「勝手に設定を語るんじゃねえ」
男「でも、俺の気持ちもちょっとくらいは分かるだろ!!?」
男「昨日はガラス窓を手が貫通するマジックを見てな。それも当然貫通したところに、穴があったような形跡は全く見当たらない。どんなトリックを使えばそんなことになるってんだ!!」
友「……まあ確かにどんなトリック使ってるんだ、ってなるマジックもあるな。もしかしたら…………」
友「いや、いかん流されるな! 何かトリックがあるんだって、絶対!」
友「俺だって超能力とかないけど、簡単なマジックくらいは出来るぞ。それも種と仕掛けがあるからだろ」
男「そりゃ俺だって全部が全部超能力を使ってるとは思ってないさ」
男「俺だって簡単なマジックの中には、トリックを知ってるやつもある」
男「というかそれこそが罠だと思うんだよ」
友「罠……?」
男「ああ、種と仕掛けがある簡単なマジックを流布することで、難しいマジックにも種と仕掛けがあると思わせるマジシャンの情報操作……」
友「そこまで疑い出すやつ初めて見たわ」
男「俺も将来マジシャンに弟子入りしようかなー……もしかしたら能力を生まれ持つ系じゃなくて、授かる系ならワンチャン……!」
友「ねえよ」
友「ああそういえば、今週の『モンスターパニック』の展開見たか!」
男「あれか! 最高だよな!」
友「まさかあそこで怪獣が襲来するなんてな……ああでも、苦肉の策で周囲の住民にはバレないように、熊が出没したから近づくな言ったときは萎えたな。現実だったらあんなの不自然だしバレるだろ」
男「……」
友「住民だってバカじゃないんだし、全く……おっと」 グラグラッ!
男「……っと」 グラグラッ!
友「地震か、最近多いよな……よし、収まった」
男「…………」
友「ん、どうした男?」
男「アウト!」
友「は?」
男「おまえ、今地面が揺れたことに対して『地震だ』って言ったな」
友「え、ああ言ったけど」
男「おまえに住人をバカにする資格はねえな」
友「……えっと、どういうことだ?」
男「こういう可能性があるとは考えなかったのか?」
男「今さっきの揺れは地下に現れた大怪獣を、政府直属の秘密組織が倒したときに生じた莫大な揺れだって。最近地震が多くなったのは、怪獣の出現が多くなったからだって」
友「……いやいや、何言ってんだよ。そんなのあるはずないだろ」
男「そう、住民たちもそんな反応をしたんだろうな」
友「……ふーん、言うじゃないか」
友「でも、地震はきちんとメカニズムもはっきりしてる自然現象だぞ。プレートがプレートの下に沈み込むさいに巻き込まれた反動だって。それを怪物の倒れた震動だなんて……」
男「そのメカニズムをおまえは自分自身の目で見たことがあるのか?」
友「は? いや、そんなの教科書だったりで」
男「分かってないな。政府直属の組織だったとしたら、教科書を書き換えるくらい余裕だろ」
友「専門家の話は……」
男「洗脳で操られてるか、事情を知っている側の人間ってだけだ」
友「…………いや、でも実際にあるわけないだろ!」
男「まあ、実際無いだろうな」
友「そこで認めるんかい!?」
男「ああ、だって証拠もないし。――でも逆に、絶対にないって証拠もないだろ」
友「……まあ、だいたい言いたいことは分かった」
友「中二病ってめんどい思考してるんだな。いや、それともおまえが特別なのか」
男「いやあ、それほどでも」
友「誉めてない。……何か面白くなってきた、他にも何か無いのか?」
男「最近よく襲来する台風」
男「あれは世界の破滅を望む気象魔法を操る集団による、世界に対する攻撃であった」
男「しかし、光あるところに影あり」
男「日本に近づく前に逸れたり、温帯低気圧に変わるのは同じく気象魔法を操る善の集団による成果だったのだ」
友「よくスラスラ語れるな」
男「台風の進路予想ってよく外れるだろ。あれって、何かのパワーゲームの結果じゃないかってところから妄想始めた」
友「なるほど」
男「じゃあ今度はちょっと中二度を下げるか」
友「中二度って何だよ」
男「ちょっと時事ネタだが、今度移転延期した豊洲市場ってあるだろ」
友「ああ、あれか。地下に訳分からん空洞が出来てて、都知事が追及してるやつ」
男「……あれ、都知事は元々知ってたんだよ」
友「ほーう」
男「それを都知事になってからバラすことで、悪いところを見抜く鋭いやつだって名声を得ると。いや、それどころか自分が荷担していたのに、他の人のせいにしているって展開もいいな」
友「なるほど。それはまだありそうだな」
男「ちなみに中二度を上げると、あの空洞は海上決戦用合体ロボ『トヨスシジョー』をしまうための空間として……」
友「ああ、すまん。そこからはいい」
男「あとはあれだ、ロシアとアメリカの大統領の写真がクソコラされたやつ」
友「ああ、あれか。何かBLみたいな雰囲気になってたな、本当は一触即発だろうに………………ってまさか」
男「ほう、何か思いついたか?」
友「あのクソコラ群は……一枚の写真を隠すために作られたカモフラージュ」
友「本当はアメリカとロシアの仲は良い、なのになぜ対立しているように見せているかというと、そちらの方が都合がいいから」
友「アメリカに対応するため、ロシアに対抗するため、そういう名目で世界を欺き軍備を拡張する」
友「そして準備が整ったら、二者が手を組み世界を掌握する」
友「その秘密会談を、ロシアとアメリカが仲が良い証拠となる写真が流出したからこそ、クソコラを大量に流すことで攪乱した。木の葉を隠すなら森の中……だからな」
男「……中々に良い妄想をするじゃないか」
友「へへっ、よせやい、相棒」
男「まあ超能力なんて、実際宇宙人と同じだ」
男「いないだろうと思われているけど、それを証明するには全宇宙の星を見てみないと証明できない、みたいな」
友「存在しないだろうけど、存在しないと証明は出来ないってことか」
男「どころか実際神隠しだったり、常識からすれば不可解な事件はあるんだからそういう力があってもおかしくないと俺は思ってる」
友「なるほど」
男「後は……そうだな、まだ人類が理解できてないだけとか」
友「理解?」
男「突然だけど、来世の存在があるって言ったら信じるか?」
友「……宗教か? そんなの正直無いと思っているけど」
男「ああ、確かに今の時代じゃ正直無いと思われている。だが、未来にはその存在を理解しているかもしれないだろ」
友「???」
男「えっとどう説明したものか……大昔、地震や雷は神の怒り、雨は神の恵みみたいに思われてただろ?」
友「まあメカニズムが分かってなければそう思うだろうな」
男「それが今や理解した結果、人工的に雨を降らしたり出来る。そのころからすれば、神の恵みを操っているってことになる」
男「つまり今の時代じゃ来世なんて無いと勝手に思っているが、本当は今の時代じゃ理解からは到底追いつかない法則があって、未来ではそれを解明した結果来世の存在を証明できているかもしれない」
友「……難しいな」
男「他にも運という概念も解明して、将来は確率の数値を直接いじるように改変できるかもしれない」
友「まあ要するにそういう風に超能力も理解していないだけなんだと。理解した結果、人だって瞬間移動だったり出来るようになるかもしれないと」
男「ざっくりまとめたな。そんな感じだ」
男「ああ、そういえば他にも――」
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<放課後>
友「じゃあまた明日な」
男「おう」
友「……ふう」
友「男も中二病だとは思ってたがあそこまで妄想していたとは……」
友「全く、バレたかと思ったぜ」
友「電話か……はいはい」
友「ああ俺だ……おう、マジシャンのやろうか、珍しいじゃないか」
友「何? 怪物退治の手伝い? いいけど……報酬は弾んでもらうぞ」
友「にしても最近地震が多いぞ。世間には情報攪乱してるが、もう少し揺らさないように努力しろ」
友「それで……ああ、この前の台風16号か。すでに手は打ってある。全く仕事を増やさないでほしいぜ」
友「こっちか? ……ああ、トヨスシジョーは完成間近だ。マスコミにかぎつけられたときはあわてたが、何とか直前で移動に成功した」
友「米露同盟が世界を掌握する前に完成させないとな」
友「やつらは運の概念を操作する、デスティニーレコードを狙っている。絶対に渡さないようにしないと」
友「ああ……ああ。また連絡する」
友「………………」
友「超能力者や異能力者はいる……か」
友「全く……俺からしたら、男。おまえの方がよっぽど超能力者だよ」
男「――――――みたいな展開が」
友「ねえよ!!」
完!!
最後はよくあるオチで。
なんか急に書きたくなったので。
実際超能力者とかいたら面白そうだな思いますが、まあいないと思ってます。
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