八幡「あれから8年後……」 (108)
はつとうこう&不定期更新
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「……とのことです。では続いてのニュース――」
「あ、はい。えー、たったいま情報が入りました」
「先日保護された、8年前のエアアジア航空829便墜落事故における、唯一の生存者と思われる――」
「比企谷八幡さんが、成田国際空港から入国したとのことです」
「いま中継が繋がっております。現地の一色さん?」
「はい。こちら一色です。私は今、成田国際空港エントランス前駐車場にいます」
「ご覧になれますでしょうか。ちょうどあの角から、比企谷八幡さんを乗せた車がここを通り――」
「記者会見の開かれる、帝国ホテルへと向かう予定です」
「現在、ここにはたくさんの報道関係者が集まっています」
「中には外国のメディアと思われる方々も、ちらほら見られます」
「8年前の事故にもかかわらず、これほどの注目が集まるということは――」
「真相のわからなかった、国際的な事故に関して、解決へと導く唯一の鍵を握る人物が――」
「日本人だった、ということが大きいのも確かです。しかし――」
「8年という歳月を経て生還したことに対する疑問が、一番の原因かと思われます」
「手元の情報によりますと、比企谷さんは今日の午後4時頃に、韓国の仁川国際空港を出発したとのことなので――」
「もう間もなく、ご本人を乗せた車が……」
「――あっ、出てきました! 比企谷八幡さんを乗せたと思われる、黒いワンボックスカーが今出てきました」
「シートとスモークガラスが貼られているため、中を確認することはできませんが――」
「おそらく比企谷さんは後部座席に乗っていると思われます」
「ご覧の通り、比企谷さんを乗せた車を先頭に、後ろにずらっと政府、警察関係の車が続いております」
「このあと比企谷さんは、記者会見の開かれる帝国ホテルへと移動する予定です」
「引き続き比企谷さんに関するニュースをお伝えしてまいります。以上、現場から、一色がお送りいたしました」
◆車内
外交官女「安心して。外からじゃ見えない作りになってるの」
八幡「はぁ」
外交官女「記者会見、緊張してる?」
八幡「いえ。ただ、うまく言えるかどうか」
外交官女「大丈夫よ。大体のことは台本通り進むから」
八幡「はぁ」
外交官女「それに報道規制もしてるから安心して。こっちの、あなたの都合のいいことしか聞かれないわ」
八幡「例えば?」
外交官女「そうね……事故当時、どんな心境でしたか? とか、怖かったですか? とか。そんな具合じゃないかしら」
「そこまでは覚えているのよね?」
八幡「はい。ぼんやりですが」
外交官女「そう、ならよかったわ」
「ところどころ突っ込んだところ聞かれたら、原稿に書いてあることを読んでちょうだい」
八幡「わかりました」
外交官女「困ったらフォローするから。――あ、あと記者会見の後なんだけど……」
八幡「あの、家族とはいつ会えるのでしょうか?」
外交官女「大丈夫よ。それを今ちょうど言おうと思ったのよ」
「記者会見の後、私たちが用意した場所で、家族揃ってしばらく暮らしてもらうことになるわ」
「もちろんその前にいろいろと検査や、取り調べに協力してもらうことになるけど」
「向こうでも散々やったでしょうが、我慢してね」
八幡「はい。――ちなみに用意した場所って?」
外交官女「本来はVIPが使う、専用の住まいよ」
八幡「VIP……」
外交官女「比企谷八幡。あなたのこの名前は公開しているから、家族もいろいろと不便でしょう」
「あなたが特別何かをしたわけじゃないけど、ネットの社会は怖いものよ」
「もう既に住所とか、出身校とかバレてるみたいなの。頭のおかしい連中が訪ねてくるってこともありえなくないわ」
「だからちょっとの間、辛抱してね」
八幡「……なるほど。なんか俺、帰ってこない方がよかったですかね」
外交官女「ふふ、本当にそう思う? たとえそうだとしても、あなたにもう一度会いたい人はいると思うけど」
八幡「いえ。俺、友達少なかったですし」
外交官女「一人でも喜んでくれる人がいるなら充分よ。あなた、妹さんがいるんでしょ?」
八幡「……」
外交官女「そんな深刻に考える必要はないと思うわ。あなたが帰ってきた、それだけでいいのよ」
八幡「はぁ。――ぁ、その住まいってどんなのですか?」
外交官女「それは着いてからのお楽しみ。まあ不自由はしないと思うけど……。むしろ快適すぎるかも」
八幡「なかなかにない経験ですね」
外交官女「うふ。そんなのもう一生分経験したんじゃない? 知ってる? 飛行機事故なんて、2万分の1の確率なのよ?」
八幡「へー、初耳です」
外交官女「それに今一生分って言っちゃったけど、あなたの人生はこれからなんだから」
八幡「……」
外交官女「さて、じゃあそろそろ原稿に目を通してもらおうかな。記者会見は、現地に到着してから2時間後よ」
今日はここまで
◆会見場
八幡「……」
司会「各社お揃いでしょうか」
ザワザワ…
司会「それでは、これよりエアアジア航空829便墜落事故に関する質疑応答を始めたいと思います」
「尚、本日は事故に関する質問のみ、回答させていただきます。それ以外の質問はご遠慮していただくよう、お願い申し上げます」
司会「それでは始めに、○社さんどうぞ」
○社記者「はじめまして比企谷さん。私、○○新聞の白川と言います」
八幡「は、はじめまして」
○社記者「それではまず、事故当時の機内の様子をお聞かせ下さい」
八幡「あ、はい。えっと……」
○社記者「事故が起きた当時のことをお覚えですか?」
八幡「はい。あまり鮮明ではありませんが」
○社記者「ではそのことについて、順を追ってで構わないので詳しくお聞かせもらえないでしょうか?」
八幡「わ、わかりました。じゃあはじめから」
○社記者「はい、よろしくお願いします」
八幡「えっと、離陸してからしばらくたった頃だと思います。たしか2時間ぐらい」
「私は通路側に座っていたので、外の様子はわからなかったのですが」
「とにかく機体が揺れはじめました、と思います。アナウンスでも、乱気流がなんとかでシートベルトをしろと」
「そのあとすぐ、急に機体が斜めになって。上からあの……緊急用の酸素マスクが出てきました。あとは記憶が曖昧です」
○社記者「では離陸してから約2時間後、機体が揺れ始めたあとすぐに墜落した、ということでしょうか?」
八幡「は、はい。そうだと思います」
○社記者「比企谷さん、ありがとうございました。これに対する政府の見解はいかがでしょうか?」
広報官「事故に関する調査結果は、各国とも墜落ということで一致しております。事実、海上で829便の残骸も発見されました」
「ただどこに墜落したか、という正確な位置までは、特定するに至っておりませんでした」
「これに関しては、ここにいる比企谷さんの証言を元に、再度各国で調査するということで話がまとまっております」
○社記者「彼の証言により、位置が特定できるということでしょうか?」
広報官「はい。おおよその特定はできるかと。少なくとも、事故直前までルート上を飛んでいた、ということになるでしょうから」
○社記者「なるほど、質問は以上です。ありがとうございました」
司会「では続いて、□社さん」
□社記者「はじめまして比企谷くん。□社の増田です」
八幡「……」コクリ
□社記者「では、事故当時の心境をお聞かせ下さい」
八幡「心境……ですか?」
□社記者「ええ。墜落したんだ、怖かったでしょう?」
八幡「い、いえ。正直、何が何だかわからなかった覚えがあります」
□社記者「ああなるほど、突然そんなことが起きたら動揺しますよねえ」
「他の乗客の様子はどうでしたか?」
八幡「最初はザワザワしていました。ただ機体が傾きはじめてからは、悲鳴が聞こえたり……それからは、あまり覚えていません」
□社記者「そうですか。では墜落してから、比企谷さんはいつ、どこで目が覚めたのでしょうか?」
八幡「えっと……」チラッ
外交官女「……」コクリ
八幡「島です。砂浜に打ち上げられていて」
□社記者「島とは?」
八幡「わかりません。他に人もいなかったので、無人島かと」
□社記者「へぇ~。で、そのあとは?」
八幡「そのあと近くを通りかかった貨物船に乗せてもらって……それで――」
□社記者「はっはっは。なるほど、まるでいつぞやの映画のようだ」
「あ、その時他に誰か生存者はいましたか?」
八幡「いえ。自分一人でした」
□社記者「そうですか。ではそのあとのことで――」
司会「申し訳ございません。最初に申し上げた通り、事故以外のご質問は遠慮させていただいております」
□社記者「おっと失礼。ではこれで。比企谷くん、ありがとうございました」
司会「続いて……△社さんどうぞ」
△社記者「こんにちは比企谷さん。△社、レポーターの一色です」
八幡「……っ?」
△社記者「お聞きしたいことが3点あります」
「まずはじめに、この6年間、どこで何をしていたのですか?」
ザワザワ
司会「先ほども申し上げた通り、この事故に関する質問のみ――」
△社記者「しかし、これは国民が一番疑問に感じていることだと」
司会「っ……」
□社記者「そんなことわかってるよ。それをあえて聞かないのは、それが彼個人に関することだからだろ?」
△社記者「……で、ですが――」
□社記者「あのねえ、君、新人だよねえ。これ生じゃないからよかったけど」
「記者会見ってのは、両者の合意の元でやってるのよ。だから決められた流れもあるわけ」
「それを破っちゃダメでしょ。週刊誌じゃないんだから」
「それにこれ、芸能人のスキャンダルじゃないんだよ。一般人だよ? そこんとこ守んないと、ここにも呼ばれなくなっちゃうから」
△社記者「……申し訳ございません、でした」
八幡「……」
△社記者「では別の質問を……」
司会「以上をもちまして、本日の質疑応答は終了させていただきます」
ガラガラガラ…
外交官女「比企谷くん、こっちこっち」
八幡「あ、はい」スタスタ
外交官女「どうだった? はじめての記者会見」
八幡「なんか、印象と違いました」
外交官女「ちょっとイレギュラーあったけど、まあちょろいものでしょ」
八幡「はぁ」
外交官女「相手が芸能人とか、警察ってなると目の色変えるのよ。あいつらは」
八幡「へ、へぇ。――あの、さっきの人は」
外交官女「さっきにひと? ああ、あれは私たちが用意した仕込みよ」
八幡「仕込み?」
外交官女「まあ簡単に言うと、さっきの記者会見自体茶番だったってこと」
八幡「……な、なるほど」
外交官女「じゃあこれからなんだけど、早速今日から例の場所で過ごしてもらうわね」
八幡「例って、VIPの?」
外交官女「そうよ。もう家族全員、あなたの帰りを待ってるわ」
八幡「……」
外交官女「比企谷さん。どうですか、今の心境は?」
八幡「やめてくださいよ」
外交官女「ふふっ、よかったわね。やっと家族に会えるじゃない」
八幡「まあ、懐かしく感じるわけでもないんですけどね」
やっぱここまで
俺ガイルSSで溢れていたあの頃とは一転した昨今、まだあのクソスレを覚えていてくれた人がいる時点で嬉しい
マジキチスター2016年9月11日 21:47
やはりゴミ山とクズが浜は総武高校の癌細胞はっきりわかるんだね
え?三浦?あいつはHIVだ
当たりが強くないゆきのんは詰まるところのただの美女何ですねわかります
八幡兄妹ハーレムに、兄妹じゃないけどゆきのん入れようぜ
次回予告(今回の担当:死に掛け神)
どうもー!駄文メーカーにして、
本作の作者、死に掛け神ですっ!
八幡が大罪のバハムートと呼ばれ由比ヶ浜ることになった理由と、空白の一ヶ月(少しも明かされてないとは言ってない。)の出来事が遂に明らかに!
そして遂に動き出す黒幕!
行け!八幡!お前はもっと強くなれる!
何故なら俺がそういう展開がすきだから!
次回!
「八幡が『大罪のバハムート』と呼ばれる理由」
見てくれると嬉しいな!
八幡「メタ発言とネタバレ止めろ!」
あとがき
葉山への復讐の第一回目が終わりました。
葉山にはまだまだ地獄を見せるので
まだまだ終わりません!
今回も読んで下さってありがとうございました!
すみません、八雪でもいいので屑山、屑ガハマ潰してくれませんか?』
ほう、私が書かないと言っている内容のリクエストがきましたか。
ふぬ。
「残念ながら誰かを潰したりする作品を書くつもりはありません」
そもそも屑山とか屑ガハマとか言っている人の要望を聞くつもりもあまりないのですけれどね。
『けど今ってそういうの流行ってるじゃないですか。そういうの書いたら人気出ると思いますよ!』
確かに流行ってるのでしょうね。
ガハマさんだけを叩いてゆきのんはオッケーという風潮ね。
「生憎ですが、第一に流行っていることは私がそれを書く理由にはならないと考えます。第二にこの活動はただの自分への課題として行っているものなので、人気がなくとも全く問題にはなりません」
極端に言うと読者0でも問題なしよ。
評価回数100で総合点100でも全く問題なしよ。
『書かないんじゃなくて書けないんでしょ?』
……あっしはゆきのんほど負けず嫌いではないっすよ?
まあ書くつもりがなければ作品が出来上がることもないわけですし、書けないというのもあながち間違いではないでしょうね。
「書けないと解釈してくださって構いません」
『やっぱアンチヘイト叩いてるゴミに言っても無駄か。せいぜいゴミ量産頑張れよ』
最終章予告
葉山「やったか?」
八幡(?)「GYAAAAAAAAAAA!!!!!!」
八幡「あぁ、俺は…好きなのか…。」
闇八幡「俺はお前だ!」
闇八幡「黒幕はお前をりようしている。」
八幡「俺、比企谷八幡は…を愛し続けます。これから先ずっと一緒にいてくれないか?」
そしてすべての交錯した世界は加速して行く
多重人格者の俺の復讐するのは間違っていない
最終章
『闇夜を切り裂き未来を手に掴む。』
テス
◆車内
八幡「そういえば検査とか取り調べとか、良かったんすか? 先やるって言って……」
外交官女「あー、それね。後日でいいってさ。それより先に家族が会いたがってるみたい」
八幡「そうっすか……」
外交官女「あ、比企谷くん。見てあれ」
八幡「ん」
外交官女「どう?」
八幡「どうって……」
外交官女「変わったと思わない?」
八幡「まあ」
外交官女「あんな建物とかなかったでしょ。ほら」
八幡「あんま東京は詳しくなかったんで……でもなんか、ちょっぴり近未来って感じはします」
外交官女「でしょ」
八幡「まあ空を車が飛んでるわけじゃないですけど」
八幡「空といえば、飛行機から見えたんですが、東京湾(?)に大きな島がありませんでした?」
外交官女「あー、あれね。東京オリンピックのメイン開催地よ」
八幡「東京オリンピック?」
外交官女「そっか、知らないもんね。――あなたが事故にあってからちょっと経った頃に決まったの」
「オリンピックが東京で開催されるってね」
八幡「へ~」
外交官女「で、人工島を作ってそこにスタジアムを建てたわけ」
八幡「人工島?」
外交官女「ええ、ベースは海ほたるよ。知ってるでしょ、パーキングエリアの」
八幡「はい」
外交官女「あそこから広げて造ったらしいのだけど……過程までは私も知らないわ」
「ただ企業はそろってその計画に参加したの。結果オリンピックも成功して、日本の経済も格段に良くなった」
「今は東京都の新しい区として住人が住めるよう、開発中よ」
八幡「8年でそんな変わったんですね」
外交官女「ええ。日本はね」
八幡「……」
外交官女「比企谷くん。あなたの周りも、変わったと思ってるでしょうけど……実際そうだと思うし、不安なのはわかるわ。でも――」
八幡「そういうんじゃないんです。別に変わってようが変わってまいが、俺には関係ないんで」
「ただ、それをわざわざ隠そうとするのが嫌なんです。こっちのためと思って、そうしてるのかもしれないですが――」
「実際それって、全部自分の為じゃないすか」
外交官女「比企谷くん……」
八幡「それに人の本質は変わりませんよ。本人に変わった気があっても」
外交官女「……あなたの持論?」
八幡「まあ」
外交官女「ねえ、聞いてもいい?」
八幡「はい」
外交官女「ずっとこうだったの?」
八幡「……まあ」
外交官女「何というか……面白い考えを持つわね。とても高校生と話している気分にはなれないわ」
八幡「そうすか」
外交官女「でも結構好きよ。あなたの考え」
八幡「……どーも」
◆ビル
外交官女「着いたわ。ここよ」
八幡「……すごいっすね。これ全部すか?」
外交官女「まさか。でも一番広い部屋よ。ここで2ヶ月ぐらい暮らしてもらうわ。ほとぼりが覚めるまでね」
八幡「なんかすみません」
外交官女「なに謝ってるの。さ、降りて降りて」
八幡「あ、はい」
バタンッ
外交官女「緊張する?」
八幡「ええ、ちょっと。自分の家だったらそうでもないんですが、なんか妙に……」
外交官女「そうよね。あなたにとっては――」
八幡「え?」
外交官女「いえ、なんでもないわ。まあ住めば都よ。すでに都の中だけど」
八幡「はぁ」
外交官女「家族には事情を説明してあるわ。だからその……こう言うのは無責任だけど、心配しないで」
八幡「……」
外交官女「それと……残念だけど、私はここまでなの。本職に戻らなきゃ」
八幡「そう、なんですか」
外交官女「ええ。後のことは担当の人がやってくれるわ。だからこれは責任持って言える。安心して」
八幡「わかりました。あの、本当にあれこれいろいろと、ありがとうございました」
外交官女「ううん、こちらこそ。君と話せて楽しかったわ。ありがと」
八幡「いえ、俺は……」
外交官女「……ここ真っ直ぐ行けば担当の人がいるから。あとはその人の言う通りに」
八幡「はい」
外交官女「じゃあ、また。元気でね、比企谷くん」
八幡「はい。お世話になりました」
◆8年前
CA「パンとご飯、どちらがよろしいですか?」
八幡「ごひゃ……ごはんで」
CA「かしこまりました」ニコッ
八幡「……ハァ」
隣人「飛行機は初めて?」
八幡「えっ」
隣人「あ、ごめんね。いきなり話しかけて」
八幡「い、いえ……」
隣人「もしかして、人と話すのが苦手だったりする?」
八幡「……まあ」
隣人「そっか。じゃあ私と話すのも嫌かな?」
八幡「別にそういうわけじゃ」
隣人「ならよかった。いやぁね、君が緊張してるかなーと思って、その緊張を……」
八幡「……」
隣人「ごめん、今の嘘。逆よ逆」
「本当は私が緊張してるの。飛行機は初めてじゃないけど、苦手なのよ」
八幡「……なんかあったんすか」
隣人「ちっちゃい頃に、ちょっとね」
八幡「……」
隣人「なーんか私から話しかけたのにごめんね。暗くなっちゃった。あははは」
「てことで、このまま私とお喋りしてくれないかな? きー紛らわしたいの」
八幡「別にいいですけど……」
隣人「ありがとうっ。ねえところで、君はどこまで?」
八幡「俺はこのまま。着いたところで降ります」
隣人「観光?」
八幡「そんなとこです」
隣人「へ~、一人で凄いね。学生さん?」
八幡「はい。高校、4月から3年生です。ちなみに一人じゃないですけど」
隣人「え、違うの? じゃあ友達と?」
八幡「家族と、です。まあ俺だけ後日便ですが」
隣人「じゃあご家族はもう向こうにいるってこと?」
八幡「はい。今頃楽しんでいると思います」
隣人「へー」
八幡「……」
隣人「ちなみにどうしてなのか聞いてもいいかな」
八幡「えっーと、妹の春休みが自分のとこより早く始まって、両親もそれに合わせて休暇をとったから。ですかね」
隣人「……なんかごめん」
八幡「いえ。いつものことなので」
ガタガダガタ
八幡「……揺れますね」
隣人「ねー、これぐらいならまだ平気なんだけど~……」
「もっとお話しよう。ね、お願い」
八幡「いいですけど」
隣人「ちなみに私は一人旅なんだ」
八幡「どこ行くんですか?」
隣人「ネパール」
八幡「ネパール?」
隣人「うん。ヒマラヤの近くの国だよ」
八幡「へ~」
隣人「綺麗な場所でね、一回行ってみたかったんだ」
八幡「じゃあ観光すか?」
隣人「うん、そうだよ。二週間滞在するんだー」
八幡「いいっすね。俺も一人だったらな」
隣人「一人旅はいいよ~、気楽で。もちろん友達と旅行するのも楽しいけどね」
八幡「俺友達いないんで、するとしたら一人旅ですね。必然的に」
隣人「うっそー。彼女とかいないの?」
八幡「いません。生まれてこの方」
隣人「そ、そう……自信満々に言えるのがまた凄いね……」
八幡「どうも」
ガタガタガタ
八幡「ちょっと激しいですね。飛行機ってこんなものなんすか?」
隣人「ま、まさか……」
ガタンッ
隣人「きゃっ。だからいやなのよ~、もうっ」
八幡「大丈夫すか?」
隣人「うん、まだ大丈夫。まだ……」
『皆様、ただいま雲の影響で機内が揺れております。シートベルトをお締め下さい。尚、飛行には影響ございません』
八幡「影響ないみたいですね」
隣人「だといいんだけど……」
ガタンッ!
八幡「いっ」
隣人「キャ!」
ザワザワザワ
隣人「もー、やだ~。絶対大丈夫じゃないわよ~」ギュッ
八幡「ちょっ///」
隣人「あっ、ごめん。つい」
八幡「いえ、別に……」
隣人「もしかして照れてる?」
八幡「……いえ」
隣人「そっかー。お姉さんもまだまだいけるな~。そして君は初々しいなー」ツンツン
八幡「……///」
隣人「でもありがとう、本当に」
八幡「え」
隣人「もし君とこうやって話せてなかったら私、きっともうダメだったわ」
八幡「そうなんすか? あ、あの……」
隣人「ああ、やっぱ気になるよね。でもその前に、自己紹介がまだじゃなかったかしら?」
八幡「あ」
隣人「話に夢中で、お互い忘れてたね。じゃあ私から」
八幡「……」
隣人「私の名前は――」
◆ビル
管理人「お名前は?」
八幡「え……」
管理人「ですから、お名前を」
八幡「えっと」
職員「八幡さん。こちらです」
八幡「あ、はい。――失礼しました」
管理人「いえ……」
スタスタスタ
職員「申し訳ありません。わかりやすい場所にいなくて」
八幡「いえ」
職員「こちらです。といっても、エレベーターで上にいくだけですが」
八幡「はぁ」
職員「もうみなさんお待ちになっておりますよ。その前に――」
「ここの施設について、少しご紹介致しますね」
職員「ということですが、何かご質問は?」
八幡「いえ、ありません」
職員「左様ですか。では、こちらがお部屋となっております」
八幡「……」
職員「どうぞお入り下さい。ご家族がお待ちです。あとから何かご入用でしたら、内線をお使い下さい」
八幡「はい。ありがとうございます」
職員「では」
八幡「……」
3時間前――ビル
職員「――息子さんの事は以上になります。何かご質問があれば、いまお伺いしますが」
比企谷母「……」
比企谷父「……」
小町「……本当なんですか」
職員「はい?」
小町「それ、本当なんですか?」
「――お兄ちゃんに記憶がないって」
今日はここまで。また今度
ちょっとミスったので立て直します。
このSSまとめへのコメント
こんなスレどこかで見たことあるし早速荒らされててワロタwwwww
フランスの軍で事務の仕事をしてた経験があるんですよ(ドヤァ 見覚えあるぞ…
今度は完結させて下さい!
記憶喪失か、だから外交官女は「とても高校生と話している気分」って言ったのか。本来は25~26歳か
これなんか前に見たな
八幡が傭兵集団を操ってテロ行為みたいな事してたやつとソックリだ
あれおもしろかったのにな
エタるんかーい