ジン「……っていうか、誰だよお前?」
ウォッカ「へい。俺の名前は、ウォッカといいます」
ジン「ハンター……じゃねーよなぁ。かといってカタギでもなさそうだ」
ウォッカ「お察しの通りで。流石はジンのダンナ」
ジン「そうかよ。ま、追究はしねーけど」
ジン「で? なんで選挙について教えて欲しいんだ?」
ウォッカ「へい、実はウチの組織の若いもんが、選挙に行きたがらないんですよ」
ジン「へー」
ウォッカ「めんどくさいだの、誰がなっても同じだの。国民の権利なのに」
ジン「ま、めんどくさいのは、一理あるな」
ウォッカ「そこで、俺がそいつらにビシッっと言ってやりたいんですが……」
ウォッカ「実は、俺自身が選挙のことや投票について、」
ウォッカ「どうすればいいか、よく分かってないんですよ」
ジン「んだよ、しまんねーな!」
ウォッカ「す、すいやせん……」
ウォッカ「そこで、誰かこういう話に詳しい人が居ないか、ジ……いや、アニキに聞いたところ」
ウォッカ「ジンのダンナの事を教えてもらったんです」
ウォッカ「第13代ハンター協会会長選で、暗躍したジンさんを!」
ジン「ふーん」
ウォッカ「ジンのダンナ! どうかこの俺に、選挙や投票について教えてください!」
ジン「ヤダ! 俺は今イソガシイ」
ウォッカ(いや、マリカーしてるじゃねーか!)
ウォッカ「おっと、そういえばコレを忘れていた……」
ジン「?」
ウォッカ「どうぞダンナ! お近づきの品って訳じゃないですが……」
ジン「うおおお! パイロン! 上物だな、オーラ半端ねぇ!」
ウォッカ「お目が高い。やはり一流のハンターだ」
ジン「や、これはマジすげぇわ。ゾバエ病でも直せるかもしれん!」
ジン「うっし、しゃーねー。これ貰う礼だ、選挙について教えてやろう!」
ウォッカ「よろしくお願いします!」
ジン「……っても、あんまり教えられることねーぞ」
ジン「別にオレ、選挙の専門家でもなんでもねーし」
ウォッカ「ご謙遜を」
ジン「や、マジだって」
ウォッカ「……」
ジン「……」
ジン「まー、あれだな」
ジン「俺から言えるのは……4、いや、5つだな」
ウォッカ「5つ!」
ジン「あんま多くなってもイミねーし、ちゃちゃっと終わらせよう」
ジン「①選挙には必ず行け!」
ウオッカ「ほうほう……」
ウォッカ「必ず行く」メモメモ
ウォッカ「これは、どういった意味が?」
ジン「政治っつーのは元々、王様とか貴族とか、いわゆる特権階級だけができるモンで」
ジン「雑な説明になるが、まぁ民衆は貴族の我儘に振り回されるだけの存在だったんだが……」
ジン「革命の結果やら銃火器の向上やら経済の変質やらにより、一般人も参加させて、」
ジン「国民全員が後腐れなく、国の行く末に責任を持たせるために生まれたのが、選挙制度だ」
ウォッカ「ふむふむ」
ジン「今じゃ、王様なんかが直接政治するってのは少なくなったが」
ジン「今でも、世襲政治家や大資本家、宗教屋や市民団体が、ごり押しで選挙に勝って権力を維持してるって状況だ」
ジン「……で、貧乏人とか若者は、選挙にすら行かず、国から無視されていく」
ウォッカ「ですよね。まったくです」
ジン「これじゃ、結局は《貴族》が政治してんのと変わりねー」
ジン「選挙なんてせずに、長老制でもしてりゃ、その分金が浮くだろうし」
ジン「何より既得権益が、勝ちそうな奴があっさり勝つとか、つまんねーだろ」
ウォッカ「うんうん」
ジン「次いくぞ~」
ジン「②投票は必ず、有効票を投じろ!」
ウォッカ「有効票を投じる……」メモメモ
ウォッカ「こいつはどんな意味が?」
ジン「①とも関わりあるが、《貴族》政治化を解消させる効果がある」
ウォッカ「《貴族》政治を解消?」
ジン「例えば……」
ジン「ウォッカ、お前の得意なことって何だ?」
ウォッカ「俺の得意なこと……イラストを描くとかですかね」
ジン「じゃぁ俺が、ツイイッターのアイコン描いてくれって1万出したら、お前描く?」
ウォッカ「1万も! そりゃ勿論描かせて戴きますよ!」
ジン「んじゃ、どっかの誰かに、『アイコン描いてくれ、無料で』って言われたら?」
ウォッカ「無料で? そいつをぶちのめしに行きやす。ナメた野郎だ」
ジン「だろうな」
ジン「つーわけよ」
ジン「最近、若者の政治離れって、選挙に行かない、政治家も若者を無視してるって話がよくあるが、」
ジン「金出さなきゃモノは買えない様に、投票に行かないヤツは政治家の関心を買えねーんだ」
ジン「ギブアンドテイクだな」
ウォッカ「なるほど」
ジン「もしAって政治家がいて、資本家10万人の票で当選したら、Aは誰の為に働くと思う?」
ウォッカ「そりゃ、自分を支えてくれた資本家たちを優先して働くでしょうね」
ジン「じゃ、Bって政治家が労働組合10万人の票で当選したら?」
ウォッカ「やっぱり労組を優先するでしょう」
ジン「Cって政治家が宗教団体(ry」
ウォッカ「(ry
ジン「で、このABCは、文句だけは言うけど誰にも投票しない貧乏人や若者向け政策を作ると思うか」
ウォッカ「難しいんじゃないですかね?」
ジン「おーよ。自分の得になんねーから、やったとしてもテンションは上がらないだろうし、」
ジン「自分の支持者向け政策のデメリットやしわ寄せを、投票してない奴らにおっかぶせやすいだろう」
ウォッカ「うわー」
ジン「色んな調査で、低所得者や若者は選挙に行かないことが多く、その選挙に行かない理由を聞かれたとき」
ジン「『どうせ誰が当選するかは決まってる』『行かなくても損はしない』と答えるそうだが」
ウォッカ「……そんなこと、ありませんよね」
ジン「おう」
ジン「さっきのABCについても、元々の固定票10万票に対し、」
ジン「他の浮動票が乗っかれば乗っかるほど、コア支持層以外にも目を向けざる得なくなる」
ジン「また別に、」
ジン「固定票10万持ってる候補Dと、9万5000の候補Eが競ってる選挙区があった時……」
ジン「まぁ1人区や小選挙区制度だと特になんだが」
ジン「Dが突き放し勝てば、自分を後押ししてくれた浮動票に感謝し、政策練るし」
ジン「Eが逆転勝利すれば、自分を後押ししてくれた浮動票にやっぱり感謝し、政策練るし」
ジン「接戦であっても、油断して政治活動してたら次の選挙で勝てないと、緊張感を持ってくれるだろう」
.
ジン「とにかく、『俺はちゃんと選挙に参加してるぜ、政治家を選んでるぜ~』って人間が多いければ多いほど」
ジン「選挙後の政策も、既得権益がムダに得をして、社会的弱者がワリを食うことが少なくなる」
ウォッカ「これは大事ですね。みんなに伝えよう!」
ジン「有権者の存在を示して、政治家をビビらせなきゃいけねぇ」
ウォッカ「んん……?」
ウォッカ「ちょっと待ってくだせぇ、投じるのは白票じゃ駄目なんですか?」
ウォッカ「投票したい候補がいないけど、投票率を上げるために白票を、とかよく聞きますが」
ジン「ダメダメ。ゼッタイ駄目」
ジン「白票を投じても、その白票を投じた意味を、誰も解釈できないからな」
ウォッカ「といいますと?」
ジン「ひとつの白票あったとして、例えば入れたい候補が誰も居なかったからとか」
ジン「1人に絞りきれなかったとか、入れたかった候補の名前と顔をど忘れしたとか、」
ジン「そもそも選挙制度そのものに反対してるからとか……その結果がなす意味を誰にも伝えられない」
ウォッカ「もどかしいもんですね」
ジン「ま、元々どうしたって自分の意思を、そのまま選挙で反映させるのは無理なんだよ」
ジン「どうしたって、どこかしらが、ズレてくる」
ジン(それを少なくする方法はあるがな)
ジン「とにかく白票、無効票、棄権が多ければ、その分世襲政治家や大資本家、市民団体や宗教屋といった」
ジン「いわゆる《貴族》だけが得をして、投票しなかったヤツにしわ寄せが行っちまうんだ」
ウォッカ「へい」
ジン「だから、しっかり候補を調べて、有効票を投じるこった」
ジン「ぱぱっと行くぞ~」
ジン「③自分自身の考えに近い候補に投票すること」
ウォッカ「自分自身と近い……」メモメモ
ジン「代議士ってのは、国民(自分)の代わりに数年間政治をしてくれてる……期間限定アルバイターさんだ」
ジン「本来は、国民全員が政治家になって政治活動をすればいいが、現実はそんなん無理だ」
ジン「だから、数百人の代表者を選び抜いていく」
ジン「国民一人一人が自分に近い候補者を選んでいけば、数百人の、国民の縮図版が出来上がる」
ジン「んで、国民全員の志向と縮図である議会のバランスが一致すれば、」
ジン「結果的に国民全員が政治活動をするのと、同じ効果や結果が得られてくる」
ウォッカ「おおっー」
ジン「10年前ならともかく、今はパソコンやケータイで候補者の政策や活動を楽に調べられる」
ジン「いい感じで頼りになりそうな候補が居れば、その人に自分の代わりになってくれる責任を託せばいい」
ジン「④投票したい候補が特にいないなら、当選させたくないヤツのライバルに入れとけ」
ジン「いけすかねーヤツの野望を挫くのも、大事なこった」
ウォッカ「……」
ジン「……」
ウォッカ「会長選挙編、感動しました……」
ジン「そうか、俺も楽しめたイベントだったよ」
ジン「当落予想ってのが出てるからな。参考にできるぞ」
ジン「最後だ!」
ウォッカ「ウッス」
ジン「⑤投票してただけで終わったと思うな」
ジン「ぶっちゃけ①~④を全ムシしてもいいくらいだ」
ウォッカ「ええっ、選挙制度を全否定ですかい?」
ジン「いや、そうじゃねーよ」
ジン「選挙によって代議士が誕生しても、しっかり働くかは分からない」
ジン「そいつが何かやらかした時に、最終的な不利益を受け止めなきゃならないのは、」
ジン「代議士を選んだ、国民(自分)だ」
ジン「バイトを雇った店に、バイトの監督責任があるように……」
ジン「国民も、代議士がムダ使いしていないか監督を怠らず、」
ジン「代議士にやって欲しいことがあれば、意見をまとめて、丁寧に要望を伝えていくのが大事だ」
>>22
ジン「③で、代議士はアルバイターって言ったが、」
ジン「ちょっと前に、学生バイトが店の冷蔵庫で流し台を使って客に出す食い物を……」
ジン「なんだったか……とにかくバカな写真をツイイッターに上げて炎上してただろ」
ウォッカ「ありゃぁ、ヒデェ事件でした」
ジン「おう。それでバイトもエライ目にあってたが、バイトを雇った店やチェーンも」
ジン「大幅なイメージダウンと売上減少を被ってた。覚えてるか」
ウォッカ「もちろんで」
ジン「それと同じだ」
>>23
>>23
ウォッカ「いやまったく、その通りです。ジンのダンナ!」
ジン「とまぁ、俺が言えるのはこんくらいかな」
ウォッカ「そんな、滅茶苦茶参考になりました!」
ウォッカ「組織の若い連中にも、伝えようと思いやす!」
ジン「そーかー」
ジン「おさらいだ」
①選挙には必ず行け!
②投票は必ず、有効票を投じろ!
③自分自身の考えに近い候補に投票すること
④投票したい候補が特にいないなら、当選させたくないヤツのライバルに入れとけ
⑤投票してただけで終わったと思うな!
ジン「ってこったな」
ジン「あっ、そういえば……」
ウォッカ「イケメン候補だからとか、アイドルとか有名人だからと投票する有権者も多いようですが」
ジン「そういうのは止めといた方がいい」
ジン「有力党に所属してたり、若手のホープと話題になってたとしても、」
ジン「嫁さんの出産直前にいらんことしてたり、秘書の給料ピンハネしてたり、業者から裏金貰ったり、」
ジン「ガソリン代ちょろまかしたり、証拠ハードディスクをドリルで破壊したり、違法デモを扇動したり」
ジン「政治資金や寄付金の流用や、経歴の詐称とか」
ジン「イメージと違って、裏でしょーもねー事してる奴は多い」
ジン「だからま、なるべくでいいから調べとこう」
ジン「パッと見のイメージ、先入観と」
ジン「人物の実際が違うなんて、よくあるこった」
読んでくれて感謝!
参考文献的なもの置いとく
投票率が低い若者の意見は、日本の政治に反映されない
ttp://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/07/post-5425.php
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