ハクメイ「あらしのよるに」 (15)

イワシ「おいハクメイ」

ハクメイ「ん、なんだ? イワシ」

イワシ「鰯谷親方と呼べ」

ハクメイ「だって何も教えてくれないじゃんか。それでどうしたんだ?」

イワシ「さっき入った予報じゃ、夕方には嵐がくるらしい今日はある程度補強してから帰るぞ」

ハクメイ「いや、夕方までに間に合わせる」テキパキテキパキ

イワシ「準備万端かよ。あの狭さじゃ俺は入れねぇぞ」

ハクメイ「大丈夫だ。イワシは外から手伝ってくれよ」

イワシ「そうか」

イワシ「いやいやそうかじゃねぇ。いくらお前でも夕方までに仕上げるのは無理だ。二日に分けて計画立ててんだぞ?」

ハクメイ「いくら補強しても嵐が来たら他のとこも壊れるかもしれないだろ」

イワシ「だがなぁ」

ハクメイ「ま。任せろって」

イワシ「………あぁ」

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ザァアアアアァアアアァアアッ

ハクメイ「………な!」

イワシ「な! じゃねぇよバカ!!」パシンッ

ハクメイ「いてっ」

イワシ「ったく、終わったはいいものの嵐に巻き込まれちまってるじゃねぇか」ビッショリ

ハクメイ「でも小屋があって助かったな」

イワシ「マタギか木こりが使ってる小屋だろ。少し借りさせてもらうか」

ザァアアアァアアッ バンバンッ

イワシ「うおっ。風もやたらつぇえな」

ハクメイ「ミコチは大丈夫かなぁ。へくちっ」

イワシ「お前は自分の心配をしろ」

イワシ「囲炉裏もあるみたいだし濡れた体は乾かせるだろ」

ハクメイ「そうだな」ヌギヌギ

イワシ「お、おい! なんで脱ぐんだよ」

ハクメイ「え、濡れてるからだけど」

イワシ「俺もいるんだが」

ハクメイ「イワシならいいだろ」

イワシ「いいのかよ」

ハクメイ「まさかイワシ。私の裸に興奮するってのか?」カラカラ

イワシ「笑うな。んな事はねぇ」

イワシ「ただ常識的に考えてだな」

ハクメイ「はいはい」

ハクメイ「へくちっ」

イワシ「………もうちょっと火に寄れ」

ハクメイ「イワシも濡れてるだろ。寄れよ」

イワシ「にしても」グゥ

ハクメイ「腹減ったな」グゥ

ハクメイ「………そういやイワシって肉食なんだよな」

ハクメイ「はっ。私を!」

イワシ「馬鹿言うな。お前は食わねぇよ」

ハクメイ「だよな」

イワシ「というかグロテスクな話するんじゃねぇ」

ハクメイ「お、イワシはグロテスクなの嫌いなのか?」

イワシ「………きれぇだな。大工ってのはよくそういうこと、があるんだからな」

ハクメイ「あー」

ザァアアァアアアア

ハクメイ「なぁ、イワシ」

イワシ「なんだ」

ハクメイ「寒い」

イワシ「だから火に、っておめぇ」

ハクメイ「あー?」

イワシ「やけに顔が赤いな。ちょっと頭かせ」

ハクメイ「んー」クラッ

バタンッ

イワシ「お、おい!?」

イワシ「熱が出てやがる」

ハクメイ「ごめんな。私が無茶いった、せいで」

イワシ「俺が無理にでも止めなかったせいだ」

ハクメイ「いや私の」

イワシ「いや、俺の」

ハクメイ「………両方ってことで」

イワシ「あぁ」

ハクメイ「だけど、イワシ」

イワシ「なんだ」

ハクメイ「暖かいけど、これ」

ハクメイ「恥ずかしくないか」(イワシに包まれてる)

イワシ「しかたないだろ」(ハクメイを包んでる)

ハクメイ「イワシの毛。固くてごわごわしてて」

イワシ「悪かったな」

ハクメイ「でも居心地よくて安心する」

イワシ「………」

ハクメイ「なぁ、イワシぃ」

イワシ「なんだ」

ハクメイ「あのなぁ」

イワシ「あぁ」

ハクメイ「あしたは」

イワシ「あぁ」

ハクメイ「………」

イワシ「ハクメイ?」

イワシ「はっ、寝てやがる」

イワシ「ハクメイ」

イワシ「明日も」

イワシ「いや、これからもよろしくな」

イワシ「お前が来てから、割と楽しいし」

イワシ「俺はお前が好きだしな」

イワシ「なんて」

ハクメイ「………」ジーッ

イワシ「うおっ!」

イワシ「起きてたのか」

ハクメイ「あんないきなりは寝ないって」

イワシ「てめぇ、だましやがったな」

ハクメイ「まさかあんなこと言われると思ってなかったしな」

イワシ「おい」

ハクメイ「私もイワシのことは好きだよ」

イワシ「なっ」

ハクメイ「それじゃお休み」

ハクメイ「………」

ハクメイ「………」スゥスゥ

イワシ「今度は本当に寝たか」

イワシ「でもな、ハクメイ」

イワシ「俺の好きとお前の好きじゃ違うんだよ………」

ハクメイ「ふわぁっ。すっかり晴れたみたいだな」

イワシ「あぁ、嵐のあとの青い空だ」

ハクメイ「それじゃあ今日も」

イワシ「お前は帰れ」

ハクメイ「え゛っ」

イワシ「昨日熱出してただろ。帰れ」

ハクメイ「いや私は」

イワシ「帰れ」ズイッ

ハクメイ「お、おう」

イワシ「さて、ハクメイも帰ったし」

イワシ「………」

イワシ「狭すぎて俺じゃ作業できねぇじゃねぇか」

ハクメイ「ただいまー」

ミコチ「あらお帰り。嵐大丈夫だったの?」

ハクメイ「小屋で休んでた。ミコチは大丈夫だったか?」

ミコチ「センが作ってくれたこの家。結構丈夫だから」

ハクメイ「みたいだな。へくちっ」

ミコチ「風邪?」

ハクメイ「みたいだ」

ミコチ「今あったかいもの入れるから待ってて」

ミコチ「はい。スパイスが効いたエッグノッグ」

ハクメイ「あ~あったまるぅ」ズズーッ

ミコチ「昨日イワシさんと一緒にいたんでしょ? イワシさんはどうしたの?」

ハクメイ「一緒に小屋にいたよ。結構イワシの体ってあったかくてさぁ。濡れた服の代わりに」

ミコチ「っ」ブッ

ミコチ「ななな」

ハクメイ「そういえばイワシに好きだって言われたんだが、もっと面と向かっていってほしいよな」

ミコチ「!? ハクメイはイワシさんのこと」

ハクメイ「ん? スキだよ」

ミコチ「けふっ」

ハクメイ「大丈夫か?」

ミコチ「まさかハクメイがイワシさんのこと好きだとは」

ハクメイ「嫌いなら一緒に仕事なんてしないよ。もちろんミコチも好きだよ。センもコンジュも、会長も副長もみんな好きだ」

ミコチ「………あぁ、好きってそういう」ボソッ

ハクメイ「ん?」

ミコチ「いや、なんでもないわ。それ飲んだら早く寝なさいよね」

ハクメイ「おう」ズズーッ

ミコチ(今度イワシさんにアンチョビのサンドイッチを差し入れしよう)

おわり

ハク×イワシはいいと思うんだ。

今度はセン×ミコチを書きたいなぁ。

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