カレーパンマン「なあ、食パンマン・・・」食パンマン「どうしたんですか一体?」 (32)

カレーパンマン「なあ、食パンマン、お前ってさ何切りなの?」

食パンマン「何切りとはどういう意味ですか?」

カレーパンマン「いやだってさ、お前食パンじゃん」

食パンマン「はい、僕は食パンですよ?それがどうしたんですか?」

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カレーパンマン「いやいや、俺とかアンパンマンみたいにさ、一個で単体じゃないじゃん」

カレーパンマン「どう見ても切ってある食パンじゃん、だから何切りなのかな~って思って聞いてみたの」

食パンマン「ああ、そういう意味ですか、僕は4切りですよ、4つ切り食パンマンです」

カレーパンマン「へ~結構分厚く切ってるんだな~」

食パンマン「ええ、厚いほうがおいしいと思いまして」

カレーパンマン「ふーん」

食パンマン「はい・・・」

カレーパンマン「残りは?」

食パンマン「のこり?」

カレーパンマン「そうそう、切った残り、残りの3枚はどうしたの?」

食パンマン「ええっとそれは僕にも・・・」

カレーパンマン「お前ってさ・・・4日に1回くらいしか焼いてもらってないんじゃないの?」

食パンマン「そんなことないですよ、焼いてくれているはずです」

カレーパンマン「でもよ~じゃあ残りはどこでなにしてるんだよ」

食パンマン「そ、それは・・・そうだ、サンドイッチマンですよ、サンドイッチマンやホットサンドちゃんに使われてるんですよ」


カレーパンマン「なんかサイズが違う気がするけどまあ良いか・・・」

食パンマン「そうですよ、二人に使われてるから僕は毎回焼きたてなんですよ」

カレーパンマン「まあそうだな、そういうことにしておくか」

食パンマン「ちょっと引っかかる言い方でしたけどまあ良いでしょう、そんなことを言いに来たんですか?」

カレーパンマン「違う違う、ここに来た理由はな・・・あれ、待てよ・・・でも・・・おかしいぞ?」

食パンマン「次はいったいどうしたんですか?」

カレーパンマン「お前さ、耳は?」

食パンマン「みみ?」

カレーパンマン「耳だよ、食パンの耳、ヘタって言わねーと通じないか?」

食パンマン「僕は関西出身じゃないんで耳で通じましよ、でも耳か考えたことなかったな」

カレーパンマン「どうしてるのかね耳、2枚は出るはずじゃん」

食パンマン「なんだか怖くなってきましたね」

カレーパンマン「お前さ、どっか知らない所でパン耳マンとかが活動してたらどうする?」

食パンマン「嫌なこと言わないでくださいよ、もう怖がらせないでください」ブルブル

カレーパンマン「はははっわりーな、さーてとっととパトロールを済ませますか」スイイイイイン

食パンマン「そうですね、僕も配達に行ってきます」ブロロロロロン

カレーパンマン「特に異常はナシっと」スイイイイイン

カレーパンマン「ああ、そうだった、食パンマンに話があるんだった、すぐ戻らねーと」シュウウウウウン

カレーパンマン「おーい食パンまーん」

食パンマン「はーい、どうしたんですかカレーパンマン?」

カレーパンマン「ああ、さっきの話の途中なんだけどよ」

食パンマン「さっき?なんでしたっけ?」

カレーパンマン「何いってんだよ、さっきまで話してたじゃねーか」

食パンマン「しまった・・・ははは、そうでしたねすいませんカレーパンマン」

カレーパンマン「なんか怪しいな・・・」

食パンマン「何言ってるんですか・・・ははは・・・」

カレーパンマン「てめえ、正体表しやがれ」

食パンマン「はあ~しょうがない、皆には内緒ですよ・・・」

食パンマン「僕は食パンマンです」

カレーパンマン「何言ってんだテメー?意味がわかるように話しやがれ」

食パンマン「だから、僕”も”食パンマンなんですよ、4切り食パンマンの一人です」

カレーパンマン「じゃあやっぱり、4等分してたのか」

食パンマン「はい、ジャムおじさんのノルマが結構厳しいんで、4人になって作業を分担してるんですよ」

カレーパンマン「そうだったのか・・・じゃあ。今他のやつはなにしてるんだ?」

食パンマン「僕ともう一人がパンの配達をしています、そしてもう一人がパン工場の小麦の入荷を、で、最後の一人がパトロールです」

カレーパンマン「へ~結構ハードだったんだなお前も・・・」

食パンマン「ところで話ってのは何ですか?」

カレーパンマン「はなしって?」

食パンマン「自分から話があるって呼び止めたんじゃないですか」

カレーパンマン「ああ、そうだった、実はよう、ちょっと腑に落ちないことがあってな」

食パンマン「一体何ですか?」

カレーパンマン「アンパンマンとかお前はさ、力が出なくなったら頭交換してくれるじゃん?」

食パンマン「ええ、そうですね、ジャムおじさんが焼いてくれます」

カレーパンマン「そーそージャムおじさんが焼いてるよな、それはいいんだよ」

カレーパンマン「でもよう、俺って力が抜けるとカレーの補充じゃん」

食パンマン「確かにカレーパンマンはいつもカレーの補充だけですね」

カレーパンマン「そうなんだよ、いっつもカレーの補充だけ、一体何時になったら皮は変えてくれるんだ?」

食パンマン「ええっ?まだ一度も変えてなかったんですか??」

カレーパンマン「ああ、そうなんだよ、もうカチカチで陶器みたいになっちまってるんだよ」カンカン

食パンマン「じゃあいっそのことカレー入り陶器マンで良いんじゃないですか?」

カレーパンマン「そういうもんなのかな?」

食パンマン「だって君いつもカレーしか振る舞わないじゃないか」

カレーパンマン「たしかに俺カレーライス配ってんな・・・」

食パンマン「はい、ですから君は今日から堂々とカレー入り陶器マンを名乗ればいいんですよ」

カレーパンマン「・・・そうだな・・・てことはよ・・・・パン工場もやめていいよな・・・」

食パンマン「何言ってるんですか、ダメに決まってるじゃないですか」

カレーパンマン「でもさ、カレーって俺自分で作れるしよ・・・どうせパン替えてくれないならこのままパン工場にいるより独立したいんだよね」

食パンマン「無理ですよ、今のシフトもギリギリなのにこれ以上人が減ったら回らないですよ」

カレーパンマン「ほらそこはさ、アンパンマンになんとか言って」

食パンマン「無理に決まってるじゃないですか、あの人にそんなこと言えるわけないじゃないですか」

カレーパンマン「だよな~アンパンマンに配達言ってくださいなんて言えねーよな~」

カレーパンマン「はあ~この先ずっとパン屋の下働きで終わんのかな~俺の人生・・・」

食パンマン「そうですね・・・僕も4倍働いていても給料が4倍になったわけではないですからね・・・」

カレーパンマン「なあなあ、知ってかライン増設の話」

食パンマン「いえ、なんですかそれ?」

カレーパンマン「ジャムおじさんとアンパンマンが話してんのを聞いたんだよ、何でも今の工場を広くしてよ隣町やスーパーにもパンを下ろすらしいぜ」

食パンマン「そんなのジャムおじさんだけで間に合うんですか?」

カレーパンマン「いや、どうも新しい機械を入れるんだとよ、全自動のパンメーカー、後はパートを大量に雇って働かせるんだと」

食パンマン「ああ、ジャムおじさん昔から社長になりたい社長になりたいってずっと言ってましたもんね」

カレーパンマン「だよな~まあそれは良いんだけどよ、もうジャムおじさんはパン作りはしないらしいんだ」

食パンマン「ええ?じゃあ僕らはどうするんですか?」

カレーパンマン「さあなあ~俺はカレーの補充で済むからな、ボンカレーでも温めて入れればいいけどよ~」

食パンマン「僕やアンパンマンはそうはいかないですよ」

カレーパンマン「アンパンマンは大丈夫みたいだぜ、自分専用のライン作ってもらっていつでも顔がストックできてるようにするらしいぜ」

食パンマン「僕のところにはそんな話何も来てませんよ・・・」

カレーパンマン「まー食パンなんてラインでパパッと作れそうだしな、8つ切り食パンマンにでもされて8倍働かされるんじゃねーの」はははっ

食パンマン「笑い事じゃないですよ、ただでさえ4つ切りで限界なんですよ、これ以上増えたら体に掛かる負荷に耐えられません」

カレーパンマン「とはいってもよ~もう工事も始まるみたいだし時間の問題じゃねーの?」

食パンマン「何悠長なこと言ってるんですか、君の仕事も増えるんですよ」

カレーパンマン「だからさ、カレー入り陶器マンとして独立してさ、店でも作ってのんびりやろうってわけよ」

食パンマン「だからそれをどう説明するんですか!」

カレーパンマン「・・・バックレる!」

食パンマン「おい、カレーパンマンそれで良いんですか」

カレーパンマン「あんな工場の歯車で終わるより一発夢にかけてみて~んだよ」

食パンマン「カレーパンマン・・・・」

カレーパンマン「お前には最後に話しときたくてな・・・済まねーな元気でやってくれよ・・・」スイイイイイイン

しばらくしてカレーパンマンの言ったことは本当になった

工場は増築され今では毎日のようにパートのおばさんがパンを作っている

僕は未だにこのパン工場の歯車だ、この工場のパンを隣の町やスーパーに職人手作りのパンだと言って偽って売っている

ジャムおじさんは厨房にすら来なくなってしまった、毎日毎日社長室にこもっては何かをやっている、時たま会議を開いたかと思うと

バタコさんを怒鳴りつけては原価が高いだの人件費が高いだのと大騒ぎをしている

バタコさんもだいぶまいってしまっているようだ、朝一番に出勤しタイムカードも押さずに仕事を始め、帰る時間は日をまたぐなんてザラ、最近はロッカールームの床で寝ているのをよく見かける

僕もとうとう、10切り食パンマンにまで増やされてしまった、もう殆ど力が出ないので、仕事は配達と仕入れだけに絞った

街のパトロールはアンパンマンがしてくれているはずだ・・・

アンパンマン「なあ、食パンマン、ジャム見なかったか?」

食パンマン「多分社長室じゃないですかね?」

アンパンマン「またあそこか・・・じゃあ俺これからパトロールでて直帰するからタイムカード押しておいて」

食パンマン「あ、はいわかりました」

アンパンマン「わりいな、じゃあ後頼んだぜ」バタンッ

(遅いはよアンパンマン)
(ごめんごめんロールパンナちゃん、食パンマンのヤローが居てさ、ちょっと手間取ってたんだよ)
(ならいいけどさ、今日はどこいこうか?)
(映画はこの前言ったし、今日は競馬にでも行こうか)
(馬かいいねーささっといこうぜ)

あれからジャムおじさんは更に企業を拡大するらしい

あれだけこだわっていた薪窯も電気式のベルト式オーブンに替えて生産力をアップするらしい

バタコさんは最近めっきり痩せてきていて本当に心配だ、なにか薬も何種類も飲んでいるようだ

僕もこれ以上のカットは本当に厳しい、最近は妙な頭痛が続いているし、血便もよく出ている

久しぶりにカレーパンマンに会おうと彼の出した店に行ってみると、すっかりうらびれた彼の姿があった

なんでもこの街にはマダム・ナンという人のカレー屋が派閥を効かせていてそれを知らずに店を出したカレーパンマンの店には

毎日のように嫌がらせや、暴力団が入り浸ったらしい、心労ですっかり目の輝きを失ってしまった彼が僕にこう囁いた

「一度ブラック企業に捕まって壊れてしまった心は二度とは戻らないんだ、俺の陶器の頭のようにすっかりダメになってしまったんだよ」

カレーパンマンは僕にこう言い残し翌日川に飛び込んだ、彼の遺体は最後まで上がってくることはなかった

さて、僕も仕事に行こうかな・・・・・・・・・・バタンッ!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・体が動かない・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・このままじゃ遅刻だな・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・謝りの電話も入れれないや・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・なんだか冷たくなってきたな・・・それにすごく眠い・・・・
・・・死ぬのかな・・・・・・・・・・・・まあそれもいいか・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・これで仕事に行かなくて済む・・・・・・・・・・・

以上です 読んでいただきありがとうございました

皆さんも体に異変を感じたら直ぐに病院へいきましょう、自立支援を申請すれば治療費も1割負担ですみます
市町村によっては全額無料の所もあるので早め早めの受診を心がけましょう

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