八幡「隣の部屋の気配が気になる」 (58)
八幡「(高校を卒業し、大学生活を歩むとともに)」
八幡「(俺は1人暮らしをするようになった)」
八幡「(偶然なのかはわからないが、由比ヶ浜も俺と同じ大学だ)」
八幡「(雪ノ下は俺達とは違う大学に入ったが)」
八幡「(由比ヶ浜を通じて、今も会っている)」
八幡「(あとは知らん)」
八幡「(まぁ、以前とあまり変わらず)」
八幡「(平穏な毎日が送れている)」
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八幡「(よく前までは引っ越しをしてきたときに)」
八幡「(隣人に挨拶をするのが普通であった)」
八幡「(だが今は違う)」
八幡「(挨拶もしなければ表札もない)」
八幡「(隣人がどんな人物なのかは)」
八幡「(深く接触しない限りわからない)」
八幡「(・・・ま、ぼっちの俺には関係のないことだ)」
八幡「(そして今日は・・・)」
いろは「へぇ~! ここが先輩の部屋ですか!」キョロキョロ
いろは「結構良いんじゃないんですか?」
八幡「どうしてお前が俺の部屋を知ってんだよ」
いろは「結衣先輩から聞いちゃいました!」テヘッ
八幡「(あの花魁め・・・)」
いろは「ちょっと先輩! なに陰鬱な顔してるんですか!」
いろは「こんなに可愛い後輩が自分の部屋に来たんですから」
いろは「もっと喜んで下さいよ!」
八幡「こうか?」ニヤ
いろは「うわっ! そんな烏天狗みたいな顔で私を見ないで下さい悍ましいです本当にゴメンなさい!」ペコ
八幡「(ちょこざいな女陰だ・・・だが可愛い)」
いろは「あ、先輩」
八幡「あ?」
いろは「スマホ充電して良いですか・・・?」
八幡「は?」
いろは「もう充電ないんですよぉ~!」
八幡「電気泥棒とは大した身分だな」
いろは「先輩の使ってる充電器私のにも使えるんですよぉ~!」
いろは「ちょっとだけで良いんです!」
八幡「・・・わかった」
いろは「ありがとうございます!」
いろは「~♪」カチャカチャ
八幡「(よく飽きもせずにスマホいじられるよな)」
いろは「あっ!」ツルッ
ゴッ!! ゴトッ ゴト・・・・・・
いろは「(間違ってキャビネットの裏に落としちゃった・・・)」
八幡「おい、静かにしろよ」
八幡「(結構音が響くもんなんだな)」
いろは「す、すいません・・・」
いろは「もぅっ! どうしてこんな厄介なところにコンセントがあるんですか!」
八幡「部屋の間取りを考案した業者に文句を言えよ」
いろは「はぁ・・・届くかな・・・?」スッ
ドンッ!!
いろは「ひっ!?」ビクッ
八幡「」ビクッ
八幡「・・・・・・」
いろは「・・・・・・」
八幡「・・・なぁ一色」
八幡「俺、結構今の環境が気に入ってんだよ」
八幡「今度は気をつけろよ?」
いろは「・・・すいません」シュン
八幡「(可愛いなコイツ)」
「・・・・・・」
いろは「じゃあ先輩、今日はお邪魔しましたぁ~!」
八幡「おぅ」
バタン
八幡「・・・やっと帰ったか」
八幡「(騒がしい奴だな)」
八幡「・・・・・・」
八幡「・・・うっくし!」
八幡「(最近よくくしゃみが出るな・・・)」
クシュンッ!
八幡「・・・・・・」
八幡「(隣もくしゃみか・・・連鎖したな)」
八幡「(てか女の人だったのか)」
テレビ『』キョウモゲンキダ、タバコガウマイ!
八幡「・・・・・・」
八幡「(もう何も面白い番組がないな)」
八幡「(そろそろ寝るか・・・)」ピッ
八幡「」ゴソゴソ
アハハッ!! ミンナシンジャエバイインダ! メヲサマスンダヨサナエ!
八幡「・・・・・・」
八幡「(隣も同じチャンネル見てたのか)」
八幡「(・・・やっぱ結構音響くな)」
八幡「(今度から音量を控えるか・・・)」
― 翌日 ―
由比ヶ浜「・・・へぇ~、なんか1人暮らしも大変だね」
八幡「あぁ、いざ住んでみると意外と神経使うな」
由比ヶ浜「でもその分気楽な面もあるじゃん」
八幡「まぁ、多少は開放的だな」
由比ヶ浜「良いなぁ~! あたしも1人暮らししてみたいなぁ~」
八幡「お前料理はどうすんだよ」
由比ヶ浜「なっ! 失礼な!」
由比ヶ浜「あたしだってやるときはやるし!」
由比ヶ浜「・・・・・・多分」
八幡「多分って何だよ、結局惣菜と冷凍食品になるんだろ?」
由比ヶ浜「う、うるさいし! ヒッキー超キモい!」
「・・・・・・」
八幡「」カラカラカラ パッ
八幡「」フキフキ
八幡「(3日ぶりだったな・・・)」
八幡「」クイッ
トイレ『』ゴォッ グバババババ
八幡「」キュッ ジャー
八幡「(そういやハンドソープ切れそうだな)」ゴシゴシ
ゴォッ グバババババ・・・・・・
八幡「!」
八幡「(隣もトイレだったのか)」
八幡「(・・・なんか気不味いな)」
八幡「(俺、多少は息んじゃったよ?)」
八幡「(隣のは女の人だしなんか恥ずかしいな・・・)」
キューティーハニー吸ってきます
八幡「」ガチャ
冷蔵庫『』
八幡「(やべぇ・・・飲み物もうねぇじゃん)」
八幡「(・・・下に自販機があったな)」
八幡「(多少高くはなるが、やむを得ないか・・・)」
― 1階自販機前 ―
八幡「」ピッ
自販機『』ガコン
八幡「」スッ
八幡「」スタスタ
八幡「」ガチャ バタン
八幡「」パチッゴクゴク
八幡「ふぅ・・・」
ガチャ バタン・・・・・・
八幡「・・・・・・」
八幡「(また同じタイミングで・・・?)」
八幡「(いや、何を気にしているんだ)」
八幡「(ただの偶然だろ)」
八幡「お」
八幡「(洗濯物溜まってきたな)」
八幡「(丁度良い、洗っている間に風呂に入るか)」
八幡「(部屋干しでも明日の夜までには乾くだろ)」
八幡「おいそぎ・・・」ピッピッ
洗濯機『』カコン ジャー
八幡「」ヌギヌギ
シャワー『』シャァーーーーーーーーー
八幡「」キュッ
八幡「ふぅ・・・」
シャァーーーーーーーーー・・・・・・
八幡「!」
八幡「(またか・・・? なんか一緒に入ってるみたいで嫌だな)」
八幡「ライター・・・ライター・・・」
八幡「・・・あった」スッ
八幡「(部屋で吸うと壁にヤニがつくからな)」
八幡「(退去時のクリーニング代もバカにならんしな)」
グォーーー パシャパシャパシャ グォーーー パシャパシャパシャ・・・・・・
八幡「・・・・・・」
八幡「」カラカラ
八幡「」スゥ
八幡「ふぅー・・・」
八幡「(ホープ美味いな)」
八幡「(前はキングサイズも売ってたんだがな)」
八幡「」ジャリジャリ
八幡「」カラカラ
カラカラカラ パタン・・・・・・
八幡「!?」
八幡「(隣もベランダにいたのか?)」
八幡「(なんか悪いことしちまったな・・・)」
― 翌日 ―
八幡「・・・よし、そろそろ行くか」
八幡「」カチャカチャ
八幡「」ガッチャンガッチャン
八幡「(このガチャガチャするの癖なんだよな)」
八幡「(オバンみたいだな・・・)」
八幡「」スタスタ
ガッチャンガッチャン・・・・・・
八幡「?」
八幡「・・・・・・」
八幡「」スタスタ
― 大学 ―
由比ヶ浜「・・・へぇ~、隣の人もヒッキーと同じことしてるんだ」
八幡「あぁ、偶然・・・なのか?」
由比ヶ浜「うーん・・・生活パターンがここまで同じなのもね・・・」
由比ヶ浜「隣の人って女の人なんでしょ?」
八幡「あぁ」
由比ヶ浜「なら嫌がらせかもよ?」
八幡「それなら俺と同じタイミングでシャワーなんて浴びねぇだろ」
由比ヶ浜「う、うーん・・・」
八幡「たまたまだろ、それに俺には関係のないことだ」
由比ヶ浜「そうかなぁ~・・・?」
「・・・・・・」
ザァーーーーーーーーーー・・・・・・
八幡「(はぁ・・・折りたたみ傘持ってて良かったな)」
八幡「(干す場所は・・・)」
八幡「(・・・やべぇ、思ったより玄関散らかってるな)」
八幡「(少しだけ外に置いて片づけるか)」
八幡「(・・・うし、こんなもんだろ)」
八幡「」ガチャ
八幡「」スッ
八幡「・・・?」チラ
八幡「!?」
傘『』
傘『』
傘『』
傘『』
傘『』
八幡「」ゾワッ
八幡「(お、俺のと同じ柄の奴が5つも・・・?)」
八幡「(い、いやそんなことより)」
八幡「(やっぱここに立てかけてたのがそんなに目障りだったのか・・・?)」
八幡「(・・・早く中に入るか)」
八幡「(隣は少しおかしい奴なのかもしれん)」
八幡「」ズルズル
八幡「ぶっ!」
八幡「げほっ! げほっ!」
八幡「(最近ラーメン啜ると咽るんだよな・・・)」
ゲホッ! ゲホッ! ゲホッ!
八幡「・・・・・・」
八幡「(・・・いや、気の所為だ)」
八幡「(最近隣の音を気にし過ぎだ)」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
八幡「(それからずっと、奇妙なことが続いた)」
八幡「(実害はないが、不気味なのである)」
八幡「(未だに隣の住人を見たことはない)」
八幡「(何か言うにしても、直接は危険だ)」
八幡「(どうするか・・・)」
由比ヶ浜「うーん・・・アパートの管理業者にでも相談してみたら?」
八幡「まぁ、それも手だな」
八幡「逆恨みされなければ良いが・・・」
由比ヶ浜「でもいい加減疲れてるんでしょ?」
八幡「まぁな」
由比ヶ浜「そういうのは放っておかない方が良いよ!」
八幡「・・・そうかもな」
由比ヶ浜「・・・・・・」
由比ヶ浜「・・・ところでヒッキー」
八幡「あ?」
由比ヶ浜「お願い! 今日出されたレポート手伝って!」
八幡「は? 自分でやれよ」
由比ヶ浜「1人じゃ絶対に終わらないよぉ!」
八幡「月曜日までだろ? 土日やれば良いじゃねぇか」
由比ヶ浜「は、早く遊びたいじゃん!」
八幡「この娼妓」
由比ヶ浜「はぁっ!? ヒッキー超キモい!!」
八幡「(行水でイライラしてるのか?)」
八幡「そんなこと言ってると手伝ってやらねーぞ」
由比ヶ浜「うっ・・・」
八幡「・・・明日の午後で良いか?」
由比ヶ浜「!」
由比ヶ浜「あ、ありがとうね、ヒッキー」ニコ
八幡「」ドキッ
八幡「(コイツもやっぱ可愛いな)」
「・・・・・・」
― 土曜日 ―
由比ヶ浜「・・・はぁ~、結構進んだね」
八幡「とは言ってもな」
ザァーーーーーーーーーーーー・・・・・・
八幡「外、土砂降りだな」
由比ヶ浜「そ、そうだね・・・」
八幡「暗いし、おまけにすごい風だぞ」
八幡「少し落ち着くまでここで待ってろ」
由比ヶ浜「い、良いの?」
八幡「お、おぅ」
由比ヶ浜「えへへ・・・うん、じゃあ、そうさせてもらおうかな?」
八幡「・・・少し遅くになりそうだから、送ってやるよ」
由比ヶ浜「え? そ、それは何か悪いよ」
八幡「・・・まぁ、気にすんなよ」
由比ヶ浜「な、なんかさ、ヒッキーとこうして2人でいるのって」
由比ヶ浜「なんか久しぶりだね」
八幡「そ、そうか?」
由比ヶ浜「うん、高校の頃はさ、ゆきのんもいて」
由比ヶ浜「3人一緒にいたよね」
八幡「あぁ」
由比ヶ浜「・・・うん、うん」
由比ヶ浜「雨の日なのか、なんだかしんみりしちゃうけど」
由比ヶ浜「こういうのも新鮮で良いね」ニコ
八幡「お、おぅ」
八幡「(由比ヶ浜がいつにも増して穏やかだ)」
八幡「(辺りには雨の音しか聞こえない)」
八幡「(薄暗いため、カーテンを閉めて電気をつけている)」
八幡「(静かだというのに、どこかドキドキする)」
八幡「(つまりは良い雰囲気なのである)」
由比ヶ浜「・・・・・・」
由比ヶ浜「・・・ねぇ、ヒッキー」スッ
八幡「!!」
八幡「ゆ、由比ヶ浜・・・?」
由比ヶ浜「ヒッキーは相変わらず1人なの?」
八幡「は?」
由比ヶ浜「彼女とかさ・・・いないの?」
八幡「んなもんいねぇよ、つーかな、なんでそんなに近くn」
由比ヶ浜「ヒッキーはさ」
由比ヶ浜「あたしの気持ち・・・もう気づいてるんでしょ?」
八幡「!」
由比ヶ浜「高校のときからだもん・・・鈍感な振りなんてもうしないでよ」
由比ヶ浜「社会人じゃないけどさ」
由比ヶ浜「あたし達、もう子供じゃないんだよ?」
八幡「・・・・・・」
由比ヶ浜「ねぇ・・・あたしじゃダメ?」ギュ
八幡「由比ヶ浜・・・」
由比ヶ浜「ヒッキー・・・」スッ
八幡「お、おい・・・」
ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンッ!!!!
由比ヶ浜「ひっ!?」ビクッ
八幡「うぉっ!?」ビクッ
由比ヶ浜「な、なに今の・・・?」ビクビク
八幡「クソッ・・・ふざけやがって・・・!」
由比ヶ浜「ヒ、ヒッキーが言ってたのって、こんなに酷かったの・・・?」
八幡「今日は管理業者は・・・もう閉まってんな」
八幡「明日苦情の電話を入れておく」
八幡「もうこれ以上は我慢ならん」
由比ヶ浜「う、うん・・・そうした方が良いかも」
バツンッ!! フッ・・・・・・
由比ヶ浜「えっ!?」ビクッ
八幡「・・・停電か? ブレーカーが落ちたのか」
八幡「(そんなに電気使ってないのに変だな・・・)」
八幡「(近くに雷も落ちてないのにな)」
八幡「面倒臭ぇな、由比ヶ浜、少し待っていろ」
由比ヶ浜「う、うん」
八幡「スマホのライトで・・・」スッ
八幡「」スタスタ
八幡「(夜でもねぇのに今日は妙に暗いな・・・)」
八幡「よっと」カコン
八幡「元に戻ったぞ」スタスタ
八幡「・・・・・・」
八幡「由比ヶ浜・・・?」キョロキョロ
八幡「(は? あいつどこに行った?)」
八幡「(ベランダ・・・か?)」カラカラ
八幡「・・・・・・」
八幡「(いないな・・・・・・ん?)」
八幡「(これは・・・由比ヶ浜のスマホ・・・?)」
八幡「(なんでベランダに・・・?)」
八幡「(・・・・・・)」
八幡「(・・・・・・・・・)」
八幡「・・・?」クル
沙希「お互いに同じ時間を共有するのって」
沙希「すごく良いもんだね」
沙希「でも邪魔者はゴミだから捨てなきゃね」
沙希「ねぇ」
沙希「あんたも」
沙希「 そ う 思 う で し ょ ? 」ニコ
『 終わり ― 隣の川崎さん ― 』
このSSまとめへのコメント
雪ノ下かと思ってた・・・・・・
お前かーい!ってリアルにいっちゃった
ゆきのんかと思ってたらまさかの……
あ~これは雪乃だと思ってたらまさかのw
ゆきのんと思ったら、まさかのさきさきで
びっくりした
由比ヶ浜さん…(´;ω;`)