海未「うぃ～」ﾋｯｸ

海未「随分と丸くなったものですね、絵里」ｸﾞﾋﾞｸﾞﾋﾞ

海未「私がもらって当然チカとか、今の作家は素人にしか見えないチカとか言ったらどうです」

海未「そんな優等生的回答なんて面白くもない」ﾋｯｸ

海未「それにしても初めて書いた小説で芥川賞なんてすごいですね～」ﾄｸﾄｸ

海未「私のデビュー作なんてさっぱり売れなければ賞にも引っ掛からない」

海未「最近では編集にボツをくらってばかりです」

海未「きっと絵里の作品は山のように売れるんでしょうね～」ｸﾞﾋﾞｸﾞﾋﾞ

海未「ロシアンクォーターの美人モデル絢瀬絵里ですもんね～」

海未「エリチカファンはもちろん、世の男たちもその容姿に魅了されてお布施することでしょう」ﾋｯｸ

海未「まったく、日本は愚民ぞろいですね！」ﾊﾞﾝ!

海未「文学をなんだと思ってるんです！」

海未「不愉快ですからチャンネルを変えます」

海未「さんま御殿でも観ましょう」


ﾋﾟｯ


さんま「ほんで？キミらは？」

花陽「あの、私たちは」

凛「只今売り出し中のアイドルグループ」

にこ「にこりんぱなでーす！」

にこ「にこのことはぁ、にこにーって呼んでニコッ☆」

さんま「ファーーーーｗｗｗｗｗ」

海未「３人とも最近よくテレビに出てきますね」ﾋｯｸ

海未「今じゃもうμ'ｓ時代より輝いてるんじゃないんですか」ﾄｸﾄｸ

海未「絵里、花陽、凛、にこ」

海未「見事にμ'ｓを踏み台にしてのし上がっていきましたね」ｸﾞﾋﾞｸﾞﾋﾞ

海未「私も元メンバーとして鼻が高いですよ～っと」ﾁｮﾛﾛ

海未「ん？」ﾁｮﾛ…

海未「ちっ、酒が切れましたね」

海未「あーーーーー」ﾄﾞｻｯ

海未「今日はもうやる気でません」

海未「……」

海未「嬢でも呼びますか」

―――――――


嬢「こんばんはー」

海未「待ってましたよ」

嬢（うっ、酒クサッ）

嬢「園田さんってば、またヤケ酒？」

海未「飲まずに人生やってられるかってんですよ」ﾋｯｸ

嬢（アル中の一歩手前ね）

海未「早く脱いでくださいよ～」

嬢「はいはい」ﾇｷﾞｯ

海未「どうです絵里？」

海未「私はあなたが知らないような汚れた世界を知ってるんですよ～」

嬢「汚れたなんて失礼ね」

海未「これが文学ってやつですよ～」ﾋｯｸ

嬢（すっかりデキあがってるわ）

　　　　・
　　　　・
　　　　・

嬢「じゃあね園田さん。あんまり飲み過ぎないように」

海未「余計なお世話だーい」

ﾊﾞﾀﾝ

―――――――


海未「スッキリしたのはいいですが」

海未「まだ全然飲み足りませんね」

海未「街に繰り出しますか」



海未「うぃ～っく」

ﾄﾞﾝ

海未「いてて、気をつけろーい」

ＤＱＮ「あん？てめえからぶつかってきたんだろ！」

海未「なんです、やるんですか？」

ＤＱＮ「いい度胸だ」

ﾍﾞｷｯ

海未「ぐふっ！」ﾄﾞｻｯ

ＤＱＮ「十年早いんだよ！」

海未「ちくしょ～」ﾋｯｸ

海未「痛……口の中が切れてますね」

海未「これじゃ酒がまずくなるじゃないですか！」

海未「おまけに服まですっかり汚れて」

海未「……」

海未「ええい！重い、暑い！」ﾇｷﾞｯ

海未「こんなものを着てたから不良ごときに後れをとったんです」

海未「ははは、やはり人間、全裸が一番！」

海未「うぃ～っく」


ﾌｧﾝﾌｧﾝﾌｧﾝ　ｷｷｰｯ


婦人警官Ａ「ちょっとあなた！」

婦人警官Ｂ「なにやってるの！」

海未「酒場に行くとこですよ」

婦人警官Ａ「服は？」

海未「捨てました」

婦人警官Ｂ「そこにあるのは？」

海未「私の服ですが」

婦人警官Ａ「着なさい」

海未「裸だったら何が悪い！」

婦人警官Ｂ「悪いに決まってるでしょ」

海未「ホノカー！ホノカ―！」

婦人警官Ａ「ああ、もう！連れて行きましょう」

―――――――


わたし、海未ちゃんの歌詞すごく好き！


　　　　ことりも大好き！


　さすが海未ね

　　　　　　
　　　　　　　　　うう…泣けます…ぐすっ……


　　　海未ちゃんは天才にゃー


　　　　　　　　この歌詞と曲があればウチらは無敵やね


ここのフレーズなんてにこにぴったりじゃない

　　
　　　　　はい曲、あとはいつものようにお願いね


　　　・
　　　・
　　　・


海未「は！」ﾊﾟﾁﾘ

海未「あれ、ここはどこでしょう」

海未「……」

海未「どうやら警察の保護室のようですね」

海未「私はまたやってしまったみたいです」


海未「ご迷惑をおかけしました」ﾍﾟｺ

警官「あいよ」


海未「ふう、懐かしい夢を見てしまいました」

海未「きっと、私が一番輝いていた時代ですね」

海未「……」

海未「絵里、芥川賞おめでとうございます」

海未「花陽も凜もにこも、頑張ってください」

海未「私も――」

海未「いえ、私はなにをしてるんでしょう……」

海未「今日も空は青いです」