ルイーダ「ええと……もう一度言ってもらっていいかしら?」
勇者「ああ。遊び人を3人だ」
ルイーダ「……あの、勇者、様。うちには屈強な戦士もいるわ」
勇者「それが何か」
ルイーダ「聡明な僧侶も、俊敏な武道家も、知識豊富な魔法使いも」
勇者「いいから」
ルイーダ「……」
勇者「ここに職業登録している遊び人が3人いるはずだ。早く出してください」
ルイーダ「……遊び人1さーん。遊び人2さーん。遊び人3さーん」チラッ
勇者「……」コクリ
ルイーダ「……勇者さんがお呼びよー!」
ドタドタドタ
遊び人2「いよいよですねっ!勇者さんっ!」ウキウキ
遊び人3「勇者にいちゃ……勇者さま!あたし頑張ります!」ニコッ
遊び人1「勇者……いいのか?俺たちで」
ルイーダ「…………」
勇者「オレが決めたんだ。さあ行こう、魔王を倒しに」
――――――
ルイーダ「いいんですか?本当にあんなパーティーで」
大臣「仕方なかろう。世界の希望である勇者殿に意見など出来ようか」
ルイーダ「でも、遊び人ですよ?しかも3人なんて、この伝統あるルイーダの酒場始まって以来だと思うわ」
大臣「勇者殿には何か考えがあるのだろう。我々にはわからんが、きっと……」
ルイーダ「……意味がわからないわ……斡旋した私の責任問題にならないかしら」
大臣「そこは心配いらん、勇者は数年前から決めていたようなのだ」
ルイーダ「えっ?!」
大臣「12歳で神託を受けてから、勇者殿は己を鍛え磨き続けた。昼も夜もなく」
ルイーダ「ええ……」
大臣「16歳の誕生日……そう、昨日だな。勇者殿は、我が王を前にして言い放った」
大臣「……仲間に関しては、何も口を出さないで欲しいと」
ルイーダ「……王様にそんなことを」
大臣「我が王はあの通り、懐の深いお方。出立についての報告を受けても動じることはなかった」
ルイーダ「黙認ですか」
大臣「王にも、勇者殿にも……何か考えがあるのだろうよ」
ルイーダ「……はあ」
大臣「それより……あそこで潰れてる奴は帰さなくていいのか」
ルイーダ「先週からよ、毎日ああなの」
おっさん「ううう……末娘……なんでそんな危険な旅に……」
おっさん「長男も次男も……私は死んだ妻に何と言えば……」
ルイーダ「子供たちが全員魔王を倒す旅に行ったのよ。荒れるのも仕方ないわ」
大臣「しかもなぁ」
ルイーダ「全員遊び人」
大臣「……ぐれるよりタチが悪いな」
―――――――
遊び人2「勇者にい……っ、勇者さま!まずどこへ行くの?」ニコニコ
遊び人3「こら末娘、呼び方に気をつけろ。もう子供じゃないんだ」
末娘「ふぁい……」シュン
遊び人1「次男、そう怒るなよー。久しぶりに会ったんだからうれしいじゃん。なあ勇者さん!」
次男「長男……これは遊びじゃないんだぞ」
勇者「いや、こうやって集まるのも久々だし……なんだか嬉しいな」
長男「ほらー!次男は堅いんだよなっ、僕たちは遊び人じゃん?」
次男「…………」チッ
表記変更のとこで間違えるとかすいません
どちらにしろここから
長男、次男、末娘
で進行です
―――4年前
勇者「話があるんだ」
末娘「なーに?勇者にいちゃん」
長男「なんだよ、おやつの相談かー?僕はドーナツ一択!」
次男「さっき食べただろ。で、どうしたんだ?」
勇者「オレはこれから4年間、修行に入る。聞いたろ、神託を受けたんだ」
次男「……ああ」
長男「聞いた聞いた!すげえよなっ、さっすが勇者さんだ!」
末娘「末娘も聞いたよ!かっこいー!」
勇者「だから、お前たちとはしばらく会えなくなる」
長男「えっ?!」
末娘「な、なんでぇ?!」
次男「……遊んでる暇なんかないんだよ。当たり前だろ」
末娘「そんなのやだぁ!勇者にいちゃんと遊べないなんてやだよ!」
長男「た、たまには遊べるだろ?僕たちずっと一緒だったじゃん!」
次男「遊べるわけないだろ……神託の意味知らないのか?これは勇者の運命なんだよ」
末娘「さ、さだめ……?」
勇者「ああ」
長男「そ、そっか……」
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