進撃の巨人 異種格闘技選手権大会 (247)

進撃メンバーが格闘大会に出場します。

ご都合主義、キャラ崩壊ありありです。

言葉使いは違和感無いようにしているつもりです。

ちょこっとアルアニあります。

最後まで書ききりますのでよろしくお願いします。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1449322102

ハンジ「さぁ!お集まりのみなさん!長らくお待たせしました!これより第104期生による異種格闘技選手権大会を開催します!」

うおおおおおおおおおお!!!!!!!

ハンジ「実況は私、ハンジ・ゾエとキース教官でお送りします!」

キース「うむ。よろしく頼む」

ハンジ「それでは早速、選手たちの入場です!」

ハンジ「それはまさに東洋の神秘!どんな相手も投げて、極めて、絞め落とす!はるか昔より伝わりし柔術の使い手は104期主席!ミカサ・アッカーマン!」

ハンジ「その鍛えられた肉体はすべてを真正面から受けとめる!純粋なパワーにおいては他の追随を許さない!最強プロレスラー!104期次席!ライナー・ブラウン!」

ハンジ「104期1の長身は間合いの外から獲物を屠る!その長い脚から繰り出される蹴り技は唸りを上げる鋭い鞭!バックボーンはムエタイ!ベルトルト・フーバー!」

ハンジ「その小柄な体から予想もつかない格闘センス!父親譲りのその蹴りは104期全員の恐怖の対象!キックボクサー!アニ・レオンハート!」

ハンジ「レオンハートを師と仰ぎ、その技術を継承するは、すべての巨人を駆逐する鋼の意思を持つ104期の死に急ぎ野郎!キックボクサー!エレン・イェーガー!」

ハンジ「立体起動で鍛えたその反射神経と動体視力は敵の攻撃のすべてを見切る!蝶のように舞い蜂のように刺す!ボクサー!ジャン・キルシュタイン!」

ハンジ「殴って蹴るなど子供の喧嘩と変わらない!相手をむやみに傷つけずに投げ伏せてこそ兵士のあるべき姿だ!柔道家!マルコ・ボット!」

ハンジ「自然すべてが俺の師匠!故郷の大自然に鍛えられたこの男は、格闘技の範疇に決しておさまらない!感じろ!我流格闘術!コニー・スプリンガー!」
ハンジ「動物が鋭利な牙を持っているならば、私の牙とは拳と足で行われる打撃を示す!獲物を前にしたこの女は本当に怖い!空手家!サシャ・ブラウス!」

ハンジ「その技術はいったい誰から教わったのか!王家とその警護団しか使い手がいないとされる幻の格闘技!レイス王家流護身術!クリスタ・レンズ!」

ハンジ「元々は手錠をかけられた奴隷が編み出したとされる足を使った格闘技!奴隷の技なんて悪評はクソくらえだ!カポエイラは私が受け継ぐ!ユミル!」

ハンジ「最後の1人は座学トップのこの男!古き文献に隠されていたもう一つの東洋の神秘!今日そのベールが明らかとなるのか!合気道!アルミン・アルレルト!」

すみません、見づらいですね。書き直します

ハンジ「それはまさに東洋の神秘!どんな相手も投げて、極めて、絞め落とす!

はるか昔より伝わりし柔術の使い手は104期主席!ミカサ・アッカーマン!」

ハンジ「その鍛えられた肉体はすべてを真正面から受けとめる!純粋なパワーにおいては他の追随を許さない!

最強プロレスラー!104期次席!ライナー・ブラウン!」

ハンジ「104期1の長身は間合いの外から獲物を屠る!その長い脚から繰り出される蹴り技は唸りを上げる鋭い鞭!

バックボーンはムエタイ!ベルトルト・フーバー!」

ハンジ「その小柄な体から予想もつかない格闘センス!父親譲りのその蹴りは104期全員の恐怖の対象!

キックボクサー!アニ・レオンハート!」

ハンジ「レオンハートを師と仰ぎ、その技術を継承するは、すべての巨人を駆逐する鋼の意思を持つ104期の死に急ぎ野郎!

キックボクサー!エレン・イェーガー!」

あ、すみません、ネタばれ注意です。ごめんなさい

ハンジ「立体起動で鍛えたその反射神経と動体視力は敵の攻撃のすべてを見切る!

蝶のように舞い蜂のように刺す!ボクサー!ジャン・キルシュタイン!」

ハンジ「殴って蹴るなど子供の喧嘩と変わらない!相手をむやみに傷つけずに投げ伏せてこそ兵士のあるべき姿だ!

柔道家!マルコ・ボット!」

ハンジ「自然すべてが俺の師匠!故郷の大自然に鍛えられたこの男は、格闘技の範疇に決しておさまらない!

感じろ!我流格闘術!コニー・スプリンガー!」

ハンジ「動物が鋭利な牙を持っているならば、私の牙とは拳と足で行われる打撃を示す!

獲物を前にしたこの女は本当に怖い!空手家!サシャ・ブラウス!」

ハンジ「その技術はいったい誰から教わったのか!王家とその警護団しか使い手がいないとされる幻の格闘技!

レイス王家流護身術!クリスタ・レンズ!」

ハンジ「元々は手錠をかけられた奴隷が編み出したとされる足を使った格闘技!

奴隷の技なんて悪評はクソくらえだ!カポエイラは私が受け継ぐ!ユミル!」

ハンジ「最後の1人は座学トップのこの男!古き文献に隠されていたもう一つの東洋の神秘!

今日そのベールが明らかとなるのか!合気道!アルミン・アルレルト!」

ハンジ「以上12名の選手たちにより、本日104期最強の格闘家が決定します!」

うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!

ハンジ「さてここでキース教官よりルール説明です。それではどうぞ」

キース「うむ。今回の104期異種格闘技選手権大会についてだが、時間無制限の1本勝負だ。

相手が戦闘不能となった場合、またはギブアップした場合、勝敗が決することになる」

キース「唯一の反則は武器を持ち込み使用することだ。はじめの合図のその瞬間から己の鍛え上げた体と技をもって戦うよう心掛けよ」

キース「対戦相手についてだが、まず貴様ら12人の中から抽選で2人ずつ4組、計8名が選ばれる。

そしてその4組が1回戦の第1から第4試合の対戦カードとなる」

キース「抽選に漏れた4人はシード扱いとなり、1回戦の勝者4人とともに2回戦に進むことになる。

ここで再び抽選により2回戦の第1~第4試合の対戦カードが決定する」

キース「2回戦の勝者4名は三度抽選を行い準決勝の対戦カードが決定され、準決勝を勝ち上がった2人が決勝戦に臨む、というわけだ」

アルミン「つまり優勝するには最低でも3人、最高で4人倒さないといけないってことか」

ジャン「ほぉ~。早速優勝のことを考えるなんざ気が早いなぁ、アルミン?」

アルミン「…どういう意味かな?」

ジャン「座学しか取り柄のないお前は1回戦で負けないためにはどうすればいいのかを考えているもんだと思ってたぜ」ニヤニヤ

エレン「なんだと!?アルミンを馬鹿にするなっ!」

マルコ「ジャン、やめなって。試合前なのに、いざこざはよくないよ」

ジャン「…へッ。アイキドーだかなんだかしらねぇが、せいぜい俺とは当たらないよう神様にでも祈るんだな」

アルミン「その言葉そっくりそのままお返しするよ」ニコッ

ジャン「なんだとこのや…」

ミカサ「エレン。アルミン。どうかしたの?」

ジャン「ミ、ミカサ!?」

アルミン「なんでもないよ、ミカサ。さぁエレン、ルール説明はしっかり聞いておこうよ」

エレン「お、おう!」

ミカサ「アルミンがそういうのなら何も聞かない」

ジャン「…ケッ」

キース「…以上だ!質問がないようなら1回戦組み合わせを今から抽選で決めていく。まず第1試合の対戦カードだが…」

キース「アニ・レオンハート、キックボクシングVSアルミン・アルレルト、合気道!」

うおおおおおおおおおおお!!!!!

ユミル「早速優勝候補の一角がご登場か…。第1試合ってことは、それはそれは緊張するんだろうなぁ、アニ?」ケケケ

クリスタ「もうユミル!いじわる言わないの!」

サシャ「アニ!頑張ってくださいね!」

アニ(アルミンか…ちと厄介な相手かもね)


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エレン「…まさか、しょっぱなからアニに当たっちまうとはな…。大丈夫かアルミン?」

ミカサ「アルミン、決して無理をしないで。アニは強い。ギブアップも視野に入れておいたほうがいい」

アルミン「ははっ、二人ともひどいなぁ。僕が負ける前提なの?」

エレン「いや、だってよ…」

アルミン「大丈夫さ、エレン、ミカサ。…僕はこの大会をチャンスだと思ってるんだよ」

ミカサ「チャンス?」

アルミン「そう。僕はさ、格闘訓練の授業じゃ今日集まったメンバーにはほとんど勝つことができないと思う。

けどね、合気道を使っていいのなら、みんなに勝つことが…、みんなを見返すことができるかも知れないんだ」

エレン「…そういえばアイキドー?って聞いたことがないし、アルミンが習得してるなんて知らなかったな」

ミカサ「私も。合気道という言葉しか知らない。どんな技術なの?」

アルミン「ふふ。僕も訓練所に入ってから図書館の奥にあった文献で見つけた格闘技術でね。

まだ完全に会得したわけじゃないんだけど、キース教官に一度練習しているところを見つかったことがあって…」

ミカサ「フムフム」

アルミン「訓練で使用することは禁ずる。個人的に練習するならほかの訓練に支障が出ない範囲にしろって言われちゃってね」

エレン「は?なんでだよ?」

アルミン「…危険だから、だってさ」ニッ

格闘場

エルヴィン「それでは1回戦第1試合、アニ・レオンハート対アルミン・アルレルトの試合を行う。

審判は私、エルヴィン・スミスが務めさせていただく。それでは両者、心臓を捧げよ!」

アルアニ「ハッ!」

エルヴィン「はじめ!」

アルミン「よろしくね、アニ」

アニ「…よろしく」

アニ(…合気道なんていう知識も全くない格闘技を相手にするほど厄介なことはないね。

…構えは柔道に似てる。ということは投げ技が主体?だとしたら不用意な接近は避けた方がいいか?

…いや…)

ハンジ「さぁ、はじまりました!アニ・レオンハート対アルミン・アルレルトの第1試合です!

まずは両者構えをとり、にらみ合います!

勝敗予想としては、やはり優勝候補の一角、アニ選手でしょうか、キース教官?」

キース「ふむ。ここにいる者たちのほとんどがそう考えているだろうが、アルレルトにも勝機はある。

レオンハートは合気道の真髄というものを知るだろう」

ハンジ「合気道の真髄、ですか?…おおっとアニ選手仕掛けに行く!」

アニ(合気道という技術がさっぱりわからない以上、さぐりを入れる必要がある…。

まずは…)ジャッ!

アルミン「クッ!」バッ!

アニ(大きく後ろに回避した?…なら)

ハンジ「アニ選手の先制の右ローキックを非凡な動きでかわします、アルミン選手!

しかし今のよけ方は…」

キース「必死にかわした…といった感じだな」

コニー「おいおい、ビビってんじゃねーかよ、アルミンのやつ!」

ライナー「いや、アニのローキックは俺やエレンを1回転させるほどの鋭さがある。

アルミン程度の体格のやつがくらったらひとたまりもないだろうさ」

マルコ「アニとしてはアイキドーの技が炸裂する前に機動力である足を削ぎに行ったんだろうけれど………ってあれ?」

ベルトルト「…アニが止まった?」

ハンジ「おや?先制攻撃から一転、アニ選手。キックの間合いまであと少しの所から動きません。

これはいったい…」

キース「ふむ」

アルミン(さすがアニだね。今の動きだけでもう僕の痛いところを突いてくるなんて…)


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エレン「攻撃を誘ってやがる…」

クリスタ「エレン、今何て?」

エレン「たぶんアニはさっきのアルミンのかわし方から、アルミンに攻撃を紙一重でかわして反撃するだけの能力がないって読んだんだ…」

ミカサ「おそらくアニはアルミンの攻撃に合わせてカウンターで蹴りを放ったほうが効率的だと考えている。

逃げに全力を尽くしている相手と攻撃をしかけようとする相手。どちらに攻撃を当てやすいかは断然後者」

ユミル「つまりアルミンは大層な技術を持ってはいるが身体能力が伴ってないってことか…」

アルミン(………よしっ!)バッ!

ハンジ「ああっと、アルミン選手右手を振りかざし殴りにかかる!」

キース「格闘訓練のときに学ぶパンチの軌道のそれだが、しかし…」

アニ「シッ!」ビュン!

ドガッ!

アルミン「グッ!」グルン!

ドシン!

ハンジ「あーっと!アルミン選手の右パンチが届く前に、アニ選手の右ローキックが炸裂!

アルミン選手!足払いを受けたのごとく宙を舞い背中から落下!」

ライナー「俺らの時と同じく1回転はしたぞ!」

アニ「シッ!」ビュン!

ドガッ!

アルミン「ウグッ!」

ハンジ「さらに倒れているアルミンの顔面に向かって左ローキック!

いやサッカーボールキックだ!」

アニ(不用意な攻撃だったね。悪いけど立たせてやる隙はやらないよ)

ドガッ!ビシッ!バキッ!

ハンジ「アルミン選手、なんとか両腕で頭部をガードしながら必死に距離をとり、立ち上がろうとしますがアニ選手の回り込みが早い!

ガードのあるなしお構いなし!問答無用で蹴りをたたきこみ、起き上がる隙を与えない!」

ミカサ「」ギリッ

エレン「あれじゃ反撃も出来ねぇ…。アニの追い打ちが早すぎる」

ジャン「あーあ、こりゃさっさとギブアップしたほうがいいんじゃねーか。机にかじりついて勉強だけやってりゃよかったのによぉ」ニヤニヤ

エレン「なんだとぉ!もういっぺん言ってみ…」

ハンジ「あー!アルミン選手!両腕のガードが遅れたのか、顔面へモロにキックをくらい吹っ飛ばされるー!」

エレン「っ!!アルミン!!」

アルミン「グッ、ガハッ、ハァ、ハァ…うああああ!」ダダダッ!

ハンジ「アルミン選手、大きく吹っ飛ばされたことで、なんとか立ち上がる時間を確保!

そして雄たけびを上げながら突っ込んでいく!」

アニ(感情的になったらダメでしょ…)グッ

ハンジ「アニ選手!突っ込んでくるアルミン選手にカウンターを合わせるため、右足を後ろに引き力を溜めた!

そして渾身の右足でのっ!ローキック!!」

アルミン「っ!」ガガガッ!

アニ(止まったっ!?)

アルミン「はぁ!」バシッ!

ハンジ「おーっと、アルミン選手!突進からの急ブレーキでタイミングをずらし、アニ選手の蹴り足の外側から左手による…右足首へのビンタ!?」

アニ(そんな攻撃、ダメージはないようなもの!…それよりも右足を振り抜きすぎた。すぐに体制を…)クルッ

ザッ!

アニ「!?」

アルミン「ここだぁ!!」バッ!

ズドンッ!

アニ「カハッ!」ズシャ!

ハンジ「なっ、アルミン選手!回転しながらも前に振り向こうとしたアニ選手の胸部へ渾身の左掌打突き!アニ選手の膝がおちたぁ!」

キース「…うむ」

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ジャン「…いったい何が…起こったってんだ?」

エレン「すげぇ、あのアニに膝をつかせた…」

ミカサ「アルミン…。合気道とは…そういう技なの?」

ベルトルト「なぜだ!?なぜアルミンの細腕の掌打でアニが倒れるんだっ!?」ガバッ!

ライナー「落ち着けベルトルト!…だが確かに、なぜアニは一発で倒れてしまったんだ?」

ミカサ「…おそらく…」

格闘場

ハンジ「キース教官!なぜアニ選手は一撃で沈んでしまったのでしょう!?」

キース「…それは…合気道とは、相手の力を利用する格闘技だからだ」

ハンジ「相手の力を利用?」

キース「そうだ。本来相手の攻撃に対して放つカウンターというものは、普通の攻撃よりも威力が大きい。

それは相手が防御姿勢を取れない攻撃中という隙を狙ってこちらの攻撃を当てるという技術であるからだ」

ハンジ「ええ、確かに。しかしそれと合気道にどんな関係が?」

キース「合気道における打撃とは、そのカウンターの発生状況を自ら作り出し、己の技の威力を倍増させる技術なのだ」

一同「!?」

コニー「なんだよそれ!?最強じゃないか!?」

キース「…アルレルトは最後の一撃を放つ前にレオンハートの右ローキックに対し、外側から右足首へビンタを放っていた」

ハンジ「ええ」

キース「あれは右足首への攻撃ではなく、レオンハートの体制を崩し、

なおかつローキックで振りぬいた右足の勢いを増加させることで体を1回転させるために放ったのだ」

キース「あのビンタを受けレオンハートは思ったはずだ。このままでは蹴り足に勢いが付きすぎて体が回転してしまう、とな」

キース「1回転するということは相手に背を向けるということだ。しかもアルレルトはかなり近くまで迫っていた。

背を向ける隙を最小限にするためにレオンハートは蹴り足についた勢いのまま、素早く1回転しアルレルトに対峙しようとした」

キース「しかしアルレルトはそれを読んでいた。そして自分の狙い通りに回転してきたレオンハートを待ち構え、渾身の掌打をたたきこんだのだ」

キース「レオンハートは素早く対峙するために体の回転を早めていた。つまり回転中に防御姿勢を取る暇がなかったのだ。

レオンハートの回転する方向の力にアルレルトのビンタ分の威力が追加される。

さらにそれに対しアルレルトの全体重を乗せた掌打突きが逆方向の力となって襲い来る。

これが相手の力を利用する…ということだ」

キース(この高度な技術を訓練で使用してしまっては防御しきれない訓練兵が現れる可能性があり、不用意な怪我のリスクも増える。

アルレルトに使用を禁じた理由がそれだ…)

キース「おそらく2度にわたる突進も、レオンハートに力をこめた渾身の蹴りを放たさせるための布石だったのかもしれんな…」

ハンジ「…すべてはアルミン選手の手のひらの上だった、というわけですね。すると勝者はアルミンせ…」

エルヴィン「まだだ!」

ハンジ「!?」

エルヴィン「彼女はまだやる気のようだ」

アニ「」ユラァ

アルミン「…うそでしょ、アニ。まだ立てるの?心臓狙いの渾身の一撃だったんだけど」

アニ「いや、すごく痛いよ。…でもねアルミン。狙うなら頭部とか顔面とかにして意識を飛ばさせるべきだったね」ギラッ

アルミン(…アニは女の子なのに、顔なんて狙えるわけないじゃないか…)

アルミン(でもあと一撃でも心臓付近に打撃を与えれば今度こそアニだって…)チラッ

アニ「」シュン!

アルミン「へっ?」

アニ「後ろだよ」

アルミン「!?」バッ!

ドゴォッ!!!

アルミン「ガハッ!!!」

ハンジ「ア、アニ選手が一気に間合いを詰め、アルミン選手の顔面に右ハイキック~!!!」

キース「…やり返したか」ボソッ

アルミン「…ひどいや、アニ…。僕が必死に覚えた合気道の真髄を一度見ただけでマネしちゃうなんて…」フラフラ

アニ「いや、私のは合気道なんかじゃない。あんたの背後に回って、後ろに振り向かせて、蹴っとばしただけ。

回転した力なんて微々たるもんだろ?…あんたはあたしの「ただのハイキック」で倒れるだけさ」

アルミン「…アニってさ。ほんとにすごく…優しい…よ…ね…」ベシャッ

アニ「………フン」

エルヴィン「…勝者、アニ・レオンハート!」

うおおおおおおおおおお!!!

エレン「アルミン!!!」バッ!

ミカサ「待ってエレン!私も行く」ダッ!

タッタッタッ!

エレン「おい、アルミン!大丈夫か!?」

アルミン「ハァ…ハァ…。…なんとかね。生きてるよ…」

ミカサ「アルミン…」

ミカサ「…あの女は調子に乗りすぎた。いつか私がしかるべき報いを…」ゴゴゴ

アルミン「ミカサ、駄目だよ。そんなこと…」

ミカサ「しかし…」

アルミン「…アニはこんな弱っちぃ僕相手に本気の一撃をくれたんだ。

とても強いはずの彼女が手加減しないで戦ってくれたんだよ。

…僕はそれが嬉しくてたまらない」ニコッ

エレミカ「アルミン…」

アルミン「…二人は勝ち上がってね?約束…だよ…」スッ

エレン「…ああ。わかった!」ギュッ

ミカサ「ええ。かならず」ギュッ

アニ控室

アニ「ふぅ」がちゃ

ライナー「おっ、大丈夫かアニ?」

アニ「別に…大したことない。少し休めば回復する」

ベルトルト「そう。なら良かったよ…」ホッ

ライナー「それにしても合気道か。格闘技は奥が深いな」

アニ「いやおそらく合気道ってやつは………やっぱりなんでもないよ」

ライナー「なんだよ気になるだろ、教えてくれよ」

ベルトルト「ライナー?アニは疲れているんだ。早く休ませてやろうよ」

ライナー「おお、それもそうだな。スマン、アニ。次の対戦までゆっくり休んでくれ」

アニ「フン…」

アニ(…アルミンの構えは明らかに投げ技を狙っていた。それなのに決め技は掌打。

…もしかして合気道とは、相手の力を利用して投げ技に応用することが本来の使い方なの?)

アニ(そして打撃は一人でこっそり練習できたとしても投げ技はそうはいかない。投げ技への応用はまだ身に着けられていなかったとしたら…)

アニ(…構えで投げ技狙いのハッタリかましたり、投げ技が未習得の不完全な合気道で大会に臨んできたり…

これからの成長が楽しみだよ、アルミン)フフフッ


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ハンジ「これはアニ選手の順当勝ちといったところでしょうか、キース教官?」

キース「戦略面だけでいえばアルレルトが主導権を握っていたともいえよう。

だがレオンハートは未知の格闘技を相手に、あまつさえその神髄をその身にくらいながらも、なお立ち上がってみせた」

キース「そして最後は一瞬にして敵の背後に回り込み、ハイキック1発で沈めてみせた。実戦経験の差、といったところだろうな」

ハンジ「なるほど。以上キース教官による解説でした!ありがとうございました!続きまして1回戦第2試合の抽選を行います」

キース「うむ。第2試合の対戦カードは…ライナー・ブラウン、プロレスVSサシャ・ブラウス、空手!」

うおおおおおおおお!!!

ライナー控室

ライナー「おっ、俺の番か!じゃあ、ベルトルト!アニ!行ってくるぜ!」ザッ

ベルトルト「ああ、ライナー!頑張ってきてくれ!」

アニ「あたしは一休みするから、終わったら起こして」ゴロンッ

ライナー「いや見ろよ!!!」

サシャ控室

ユミル「あちゃあ、よりによってライナーかよ…。終わったなサシャ」

クリスタ「ユミル!またそんなこと言って!大丈夫よサシャ!あなたは強いもの!

確かに格闘訓練の時はふざけていることが多いかもしれないけど…」

クリスタ「それでも、ときおり見せる殺気じみた打撃はすごいじゃない!」

サシャ「!」

ユミル「…クリスタ。気づいてたのかよ…」ボソッ

クリスタ「へ?」キョトン

サシャ(殺気…ですか。やはり狩猟民族の血は隠しきれてないってことですかね…)

クリスタ「でも!サシャはサシャだもん!普段は変なことしてることも多いけど、

同じ訓練兵として相手を倒そうとする闘争心ってすごいなって思ってるよ!」

サシャ「!」

クリスタ「だから頑張って、サシャ!あなたとはいつか戦ってみたいなって思ってたんだから!

負けたら許さないよ!約束だからね」

ユミル「クリスタはいいこだなぁ、大会が終わったら結婚してくれ」キリッ

サシャ「…フフ」

サシャ(こんなにも思ってくれる友達がいるなんて…。友達との約束、破るわけにはいきませんね!)

サシャ「わかりました!見ててくださいね、クリスタ、ユミル!私は絶対に、勝って見せます!」

サシャ(どんな手を使ってでも…。狩猟民族の誇りにかけて、ね…)二ヤッ

格闘場

エルヴィン「それでは1回戦第2試合、ライナー・ブラウン対サシャ・ブラウスの試合を行う。それでは両者、心臓を捧げよ!」

ライサシャ「ハッ!」

エルヴィン「はじめ!」

ライナー「さぁ、来い!サシャ!」

ハンジ「さぁはじまりました、第2試合ライナー選手対サシャ選手!104期の第2位にどう立ち向かうのか!」

ハンジ「それにしても女子としては決して小さくない体格ですが、ライナー選手と比較するとすごく小さく見えますね…」

キース「体格のみで戦いが決まるわけではないが、確かにブラウスにとっては厳しそうに…む?」

サシャ「」スッ

ハンジ「おっと、サシャ選手。右手を差し出しました!試合前の握手のようです!」

ライナー「おお、お前も礼節を重んじるようになったのか、サシャ。それじゃあ…」

スパァン!

ライナー「!?」ビリビリ

エルヴィン(平手打ち!?)

サシャ「シッ!」

ドガッ!

ライナー「グガッ!」ズシャ!

エルヴィン(追撃でひじ打ちだと!?)

エルヴィン「やめ!やめやめ!!」ガシッ!

サシャ「なんで邪魔するんやぁ!?仕留めるチャンスやったんに!!」ジタバタ

エルヴィン「いいや、サシャ選手!君は握手をしようとしていたのではないかね?

その隙をついての攻撃とは…よろしくないだろう?」

観客「そうだそうだー!!ずるいぞー!!そこまでして勝ちたいか!!」

ブーブー!

サシャ「………エルヴィン団長」

エルヴィン「…なんだね?」

サシャ「獲物を狩るのに…、作法は必要ですか?」フーッ

エルヴィン「なっ!?」

キース「」二ヤッ

キース「エルヴィ…」

ライナー「いいひじ打ちだったぜ、サシャ!」スクッ

一同「!?」

ライナー「…エルヴィン団長、はじめの合図はすでにかかっていたはずです。

その後に起こった攻撃に理由なんて関係ない。俺の油断が招いたことです」

ライナー「…サシャよ!俺はお前の攻撃のすべて受けきる覚悟でここに立っている!

そのうえで俺はお前を叩き伏せる!さぁ、かかってこい!!」

おおおおおおおおおおお!!!!!!

観客「さすがライナーだ!行けぇ、ライナー!サシャなんてぶっ飛ばせぇ!」

エルヴィン(君が抗議してきたら、対処するつもりだったが、これは…)

エルヴィン「再開!!!」

おおおおおおおおおおお!!!!!!

キース(エルヴィンよ、柔軟な対応ができるようになったではないか…)二ヤリ

ハンジ「試合再開です!不意打ちを受けたライナー選手!どんな反撃をみせるのか!」

サシャ「…礼は言いませんよ?」

ライナー「そんなもんはいらん。さぁ来い!!」

サシャ「言われなくても!」ダッ!

ハンジ「おおっと、サシャ選手!拳を構えダッシュ!そして…」

サシャ「シッ!シッ!」

ドカッ!ドカッ!

ハンジ「腹部に右正拳!さらに左下段回し蹴り!そしてバックステップで距離を取る!

サシャ選手早い!ライナー選手は一歩も動けず!」

キース「ふむ。レオンハートのときもそうであったが打撃系の選手が組技系の選手と対峙した場合、

捕まえられることは命取りになりうる。ヒットアンドアウェイが正解だ」

ハンジ「なるほど!さぁ、サシャ選手!一度距離を取り、また飛び込む!」

サシャ「シッ!シッ!」

ドカッ!ドカッ!

ハンジ「ボディへの左の回し打ちから左横蹴り!ライナーの腹筋に命中した横蹴りの体制のまま後方へと飛び下がります!

ライナー選手、防御すらできていません!」

サシャ(さすがに硬い腹筋ですね。あの筋肉の鎧を打ち崩すには相当数の打撃が必要そうです…。

でもスピードは私のほうが上みたいですっねっ!)ダッ!

ハンジ「三度飛び込む~!!」

ライナー「」二ヤリ ダッ!

サシャ「!?」

ハンジ「ああ、ライナー選手!サシャ選手のダッシュに合わせて突進!二人の距離が一気に縮まる!

ライナー選手のショルダータックルだ!」

サシャ(横にかわさないと!)バッ!

ライナー「甘い!」グワッ!

ドォオッ!

サシャ「グッ!」ズシャア!

ハンジ「ショルダータックルを左に避けようとしたサシャ選手にライナー選手の伸ばした右腕によるラリアートが炸裂!

サシャ選手吹っ飛ばされる~!」

サシャ「クッ!まだまだぁ!」ダッ!

ハンジ「サシャ選手すぐさま立ち上がりまたダッシュ!」

ライナー「ハァ!」ダッ!

ハンジ「ライナー選手も突進!」

サシャ「やああああ!」ブンッ!

ドガッ!

ライナー「軽いわ!」

ドゴォッ!

サシャ「んぎっ!」ズシャア

ハンジ「サシャ選手、今度はかわさず真正面からボディへ右正拳!

しかしライナー選手の突進は止められない!逆に吹っ飛ばされたぁ!」

サシャ「ぐぅ…」グググ

ハンジ「サシャ選手、すぐには立ち上がれない!ダメージが大きそうです!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ユミル「当たり前だ、馬鹿。あのライナーに真正面からぶつかりにいきやがって…。

最初みたいに不意打ちでも何でもいいから、小賢しくやってりゃ良かったのに…」

クリスタ「ううん、ユミル。きっとサシャは一回目の不意打ちで反省したんだよ。だからああいうふうに正々堂々と…」

コニー「いいや違うね。サシャが正々堂々なんてするタマかよ」

クリスタ「コニー!そんな言い方ないじゃない!」

ユミル「まぁまぁ落ち着けクリスタ」

コニー「…狩りの最中に不意打ちなんて当たり前だ。熊とか猪なんかは武器を持った人間ですらかなわないことがある…」

コニー「だから俺たち狩猟の民は勝つためなら何だってする。かならず敵を倒して帰ってくるって約束した家族の元に…」

コニー「帰るためならな…」

クリスタ「狩猟の…民…」

マルコ「今のを聞いて少しわかった気がするよ。コニーやサシャがよく格闘訓練で変なことをする理由がさ」

ユミル「マルコ…」

ジャン「そんな命のやり取りみてぇなことを訓練兵になる前からやってたお前らにとっちゃ、

型にはまった格闘訓練なんてあまり意味がないって考え方なんだな…」

コニー「ジャンもいたのかよ…」

クリスタ「…じゃあサシャは…格闘訓練なんて馬鹿らしいって思ってて…。

まじめにやってる私たちを、心の中では馬鹿にしてたのかな」グスン

コニー「そんなわけあるか!」

クリスタ「!?」ビクッ

コニー「俺たちはただ、いつもと違う攻撃をしたり、仕掛けられたりする状況の方が大事だと思ってただけなんだ…」

クリスタ「コニー…」

ユミル「…なぁクリスタ。最後まで見ててみようや。芋女がどうやってこの戦いに決着をつけるのかをよ」

クリスタ「…うん」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ハンジ「サシャ選手!もうかれこれ10度目でしょうか?ダッシュし攻撃し反撃を食らい吹っ飛ばされる…。

息も絶え絶えといった感じです!」

キース「一方ブラウンは多少息が上がっているが足取りはしっかりしているな。

腹に何度も打撃をくらっているが、あの腹筋のおかげか一度も膝を屈していない」

キース(どうしたブラウス。貴様がスプリンガーとともに格闘訓練中にやっていたことは単なるおふざけではないことくらい承知している。

にもかかわらず貴様の攻撃は単調だ)

キース(貴様の戦い方はそんなものか?)

ライナー「…よく持ってるよ、お前は。もう何発タックルにラリアートをくらった?ギブアップなら認めるぞ?」

サシャ「まだ…ゼイゼイ…負けて…ませんから…ゼイゼイ」ヨロヨロ

ライナー(まぁサシャがすばしっこ過ぎて捕まえられず、投げ技でとどめを刺しきれていない俺も悪いんだが…)

サシャ「すぅ…はぁぁ……行きます」ダッ!

ハンジ「サシャ選手行ったぁ!何度目のダッシュか!ライナー選手待ち構える!」

サシャ「シッ!」

ガッ!

ライナー「グッ!」

ライナー(何度も食らってみてわかったことがある。それは、お前は俺の腹筋を打ち砕くためにボディに集中して攻撃しているということだ)

ライナー(…ときおり見せる足への攻撃は狙いを散らすため、そして頭部へ攻撃がないのは最初の不意打ちの申し訳なさから攻撃しにくいとみた!)

サシャ「シッ!」

ライナー(そして飛び込んでからパンチ、キックの順で一発ずつ打ち込んでから、逃げようとする。

だからこの中段蹴りの足さえつかんでしまえば…)サッ!

サシャ「…はぁ!」グイン!

ライナー「なっ!?」

ハンジ「なんとサシャ選手の右中段蹴りが途中で軌道を変え、ライナー選手の下げたガードをかいくぐり頭部へ向か…あっ!」

ガシッ!

ライナー「捕まえたぜ?…元々ボディへの攻撃は甘く入ってこない限り、耐え続けるつもりだったんだ。

その分、頭への攻撃だけはずっと警戒してた…」

ライナー「そろそろ来ると思ってたぜ?」ニッ

サシャ「…かかりましたね」フーッ

ライナー「!?」

サシャ「」バッ!

ライナー「んな!?砂!?」

ハンジ「あー!!サシャ選手、砂です!握りこんでいた格闘場の砂をライナー選手の顔面へぶちまけたぁ!」

キース(何度も吹っ飛ばされた最中に仕込んだのか!)

サシャ「はぁああ!」

ライナー(何も見えない!?だが来る!頭部はガード!ボディは耐える!さぁ来…)

サシャ「シッ!」

ドゴォ!ぐしゃあ…

ライナー「ぐおぅ、お前…そこは…」プルプル

サシャ「やぁあああ!!!」

ドゴォ!

ライナー「ぐはぁ!!」ズシャア!

ハンジ「き、金的~!サシャ選手、目の見えてないライナー選手に渾身の金的蹴り!

そして股間をおさえ、もだえ苦しんでいる顔面へ右回し蹴り!これにはたまらずダウーン!」

サシャ「…勝て…た…?」ハァハァ

観客「………」

観客「ふざけるなぁ!!!」

サシャ「!?」

観客「卑怯者!!!卑怯者!!!卑怯者!!!卑怯者!!!卑怯者!!!卑怯者!!!」

ハンジ「ああっと、これは会場から大ブーイング!確かにこの技は反則といわれてもしかたない攻撃!

観客のこの反応もうなずけるかぁ!?」

エルヴィン(この状況はさすがに不味いな)チラッ

ライナー「………」

ガバッ! ダッ! ガシッ!

サシャ「!?」

ライナー「最後の最後で油断したな、サシャ!お前を捕まえるには死んだふりしかないと思っていたぞ!」

ハンジ「何とライナー選手!サシャ選手を後ろから抱きかかえ…いや、これはまさか!」

ライナー「くらええええ!!!」ブォンッ!

ドゴォ!!!

サシャ「カハッ!」

ハンジ「ジャーマンスープレックス~!!!決まった~!!!」

ハンジ「ライナー選手!死んだ振りからのプロレスの大技!ジャーマンスープレックスをきれいに決めたぁ!!

これではもうサシャ選手は…あ!」

ライナー「うおおおおお!!!」

ドゴッ!バギッ!グシャ!

ハンジ「あああ!?これはいけないライナー選手!興奮しているのか!

すでに意識がないサシャ選手を蹴りあげ、踏みつけ連打ぁぁぁ!」

キース「!」

エルヴィン「や、やめたまえ!」ガシッ!

ハンジ「なんとかエルヴィンが止めに入りましたが4~5回は踏みつけられたのではないでしょうか?

ここからは砂煙で良く見えませんが…」

ライナー「ハァ…ハァ…っ!」

ギロリ

ライナー「見たかぁ!これが俺様の実力だぁ!所詮、女のお前が俺様に勝つなんて!どだい無理な話だったんだ!」


観客「!?」

ライナー「てめぇはただの雑魚野郎だ!いやてめぇだけじゃねぇ!

俺様より下の成績のやつらは!全員が雑魚だ!!俺様に絶対勝てっこねぇ!!

俺様こそが最強だぁぁ!!」

観客「………」

観客「なんだとぉ!そこまで言う必要ないだろう!取り消せクソゴリラ!」

ブーブーブー

ハンジ「これは先ほどとは比べ物にならないほどの大・大・大ブーイングです!

確かにライナー選手は不意打ちに急所攻撃など悲惨な目に合っていますから怒っていたのはわかりますが、

これはいけない!どうしましょうキース教官?」

キース「…ブラウンを格闘場から控室へ避難させろ。すぐにだ!」ギロッ

ハンジ「は、ハッ!」

エルヴィン「とにかく!控室へ戻るんだ!ライナー選手!」

ライナー「はいはい、わかりましたよ」タッタッタッ

格闘場出入口

ライナー「………」スタスタ

クリスタ「」スッ

ライナー「ん?クリスタか?」

クリスタ「………」

ライナー「………。どうだったよ、俺様の雄姿は…」

スパァン!

クリスタ「サシャは確かに悪いことをした…。でもあんなのないよ!最っ低!」ダッ!

ライナー「………」ビリビリ

ユミル「…わりぃな、ライナーさんよ…。おい待てってクリスタ!」ダッ!

ライナー「………」

マルコ「お疲れ、ライナー」ニコッ

ジャン「ったく。お前はどんだけ俺たちの兄貴やりゃあ気が済むんだよ」ヤレヤレ

ライナー「…いや、だが、あの状況では…」

ダダダダダダッ!

エレン「おいライナー!あれはひどいんじゃないのか!」ザッ!

コニー「そうだぞ、ライナー!お前があんなこと言う奴だったなんて!」ザッ!

ミカサ「エレン、おちついて」オロオロ

エレン「うるせぇミカサ!…おい!なんとか言えよ!ライナー!」

ライナー「………。俺より成績悪い奴が…。粋がるから悪いんだ!」

エレコニ「!?」

マルジャミカ「………」

ライナー「…じゃあな」スッ

エレン「おい!待て!」ダッ!

ミカサ「エレン!おちついて!」ガシッ

エレン「なんで止めんだよ、ミカサ!」ジタバタ

ジャン「いいから落ち着けお前ら!ミカサが困ってんだろうが!」

エレン「ああ!?」

ギャーギャー…

ライナーの控室

ライナー「………」ガチャ

ベルトルト「お疲れ様、ライナー。散々だったね」

ライナー「ベルトルト…」

アニ「ったく、あそこまでしてやる義理なんてないだろ?それなのにあんたは…」

ライナー「アニ、寝てたんじゃ…」

アニ「フン」ぷいっ

ベルトルト「僕たちがライナーの雄姿を見ないわけないだろう?

…それにしてもあの蹴りをまともに食らっておきながら、死んだふりだーだなんてよくやるよ」ヤレヤレ

アニ「ま、とにかく今は休みなよ。…たとえ訓練兵の全員があんたをクズ野郎呼ばわりしたって、あたし達は最後まで味方でいてやるからさ」

ライナー「…お前ら」グスッ

治療室

サシャ「…う~ん、ここは?」パチクリ

クリスタ「サシャ!?気がついた!?よかったぁ」

ユミル「ったく頑丈だなぁ、お前もよ」

サシャ「クリスタ、ユミル。…そうか負けてしまったんですね」

サシャ「ごめんなさい、約束…守れなくて」グスッ

クリスタ「いいんだよサシャ!…私こそごめんなさい!サシャと変な約束なんてしたから…。

約束を守るためとはいえ、サシャにあんなことさせるなんて…」

サシャ「あんなことって…不意打ちとかですか?」

クリスタ「…うん」

サシャ「いいんですよ、クリスタ。だって私がライナーに正々堂々やったってどうしても勝てる見込みがなかったんですもん。

あれが唯一の勝ち方だって思ったからやったんです。…でもまぁ、その後の卑怯者呼ばわりは堪えましたが…。

私、明日から大丈夫でしょうか?」

ユミル「それなら大丈夫だろ。あのゴリラが泥を全部かぶってくれたからな」

サシャ「えっ?」

クリスタ「どういうこと?」

ユミル「芋女は気を失っていたから知らないとはいえ、クリスタ。お前は鈍感すぎるだろ」

クリスタ「な、なによぅ」プクーッ

ユミル(カワイイ!)

ユミル「…いいか、クリスタ。おそらくライナーの最後の一撃から先はすべて演技だ。渾身のな。そして馬鹿な観客はみーんなそれに騙されたってわけだ」

クリスタ「演技?」

ユミル「そうだ。…みて見ろ」ぺらっ

サシャ「きゃ~~~~~!!なんばしよっとかぁ、ユミルはぁ!!」ガバッ!

クリスタ「ちょっ!?ユミル!サシャの服をめくってどうす…あれ?」

ユミル「な?あんだけ派手にサシャは踏みつけられていたように見えたのに、腹には打撲痕がない。

服にだって足跡はついてなかったろ?」

クリスタ「た、確かに…」

ユミル「あの時はライナーの蹴り上げた砂が舞っていたからな。

そこにライナーの踏みつけに見せかけた地団駄。

そりゃ砂煙が舞って視界不良になるわ」

クリスタ「じゃ、じゃああんなひどいこと言ったのは」

ユミル「芋女をかばうため…だろ?」

サシャ「私を…かばう?」

ユミル「ああ。おまえが金的蹴りからの回し蹴りでライナーを倒した瞬間、観客は全員おまえの敵になった。

最初の不意打ち攻撃の時におさえていた気持ちもそれに拍車をかけていたってのもあるだろうがな…」

ユミル「そしてあのままおまえが勝っちまった場合、反則してまで勝った卑怯者として、

これからの訓練生活をやっていかなきゃならないところだった」

ユミル「それを理解したライナーは即座に考えた。どうすればサシャを卑怯者にしないで済むのかってな具合に。

そして答えを出した。俺がもっとひどい奴になればいいってな」

サシャクリ「!?」

ユミル「だから奴はサシャをKOした後、あたかも死体蹴りをするかのごとく振る舞い、観客に暴言を吐いた。

俺より成績悪い奴はみんな雑魚だっていう最低な暴言をな」

サシャ「そんなことが…」

ユミル「これで芋女の反則なんか霞むくらいの悪役ライナーの出来上がりだ。

今頃観客たちは、悪役ライナーに対して行われた芋女の反則なんてかわいいものだったんだって感じてる頃だろうよ」

クリスタ「………」

クリスタ「」ポロポロ

サシャユミ「!?」

クリスタ「私…グスッ…そんなことも解らずに…ライナーを…グスッ…罵倒して…

最低なのは…私だ…グスッ」ポロポロ

ユミル(これで少しは疑うことも覚えたかよ、クリスタ。

世の中には確かに悪いウソをつくやつもいるが、いいウソをつくやつもいるんだぜ。

それを見極める力をちょっとは養ってくれよ…)ヨシヨシ

サシャ「…何はともあれ、わたしが反則行為をしたことが原因なわけですよね。

私、ライナーに謝ってきます!あとみんなの誤解も解かないとっ」ダッ!

クリスタ「わ、わたしもライナーに謝りたい!誤解を解くのも手伝うよ!

ライナーは、ホントはすっごくいい人なんだってみんなに教えなきゃ!」タッタッタッ

ユミル「…しゃーねーなー。あたしもついてってやるよ」タッタッタッ

控室間廊下

マルコ「…っていうことなんだよ?わかったかい、エレン?コニー?」

エレン「そういうことだったのか…」

コニー「よくわかんねぇけど、ライナーは悪い奴じゃないってことだな?」

マルコ「そういうこと。あとでみんなで謝りに行こうね」

コニー「ああ」

エレン「…おい、ミカサは、知ってたのか?」

ミカサ「ええ。マルコと同じ考えだった」

エレン「じゃあなんで!すぐに教えてくれなかったんだよ!」

ミカサ「わ、わたしはエレンを止めようとした。けどエレンが…」オロオロ

エレン「ああ、ちくしょう…。こんな時アルミンがいてくれていたら、ちゃんと俺を止めてくれて…。

ライナーにひどいこと言わないで済んだってのに…」

ミカサ「………。ごめんなさい、エレン」グスン

ブチッ!

ジャン「ふざけるなよ、てめぇ!!!」ガッ!

エレン「ああ!?はなせよ!服が破けちゃうだろうが!」

ジャン「服なんてどうでもいいだろうが!ミカサに謝れ!」

エレン「なんで俺が謝んなくちゃいけないんだよ!」

ジャン「もとはと言えばてめぇが馬鹿なのが悪いんだろうが!」

エレン「なんだとっ!?この馬面野郎が!」

ジャン「ああ!?」

ミカサ「エレン、やめて!」

マルコ「ジャンもやめなって!もし今ここに教官が来たら…」

ガラッ!

キース「今しがた大きな音がしたが、だれか説明してもらおうか」ゴゴゴ

エレミカジャンマルコニ「…」

サシャ「わたしが放屁した音です!」バッ!

エレミカジャンマルコニ「!?」

キース「また貴様か。いい加減つつしみを覚えろ」

ガララッ、ピシャン!

サシャ「………。ふぅ、危ない所でした」

エレン「サシャ!いつの間に!」

マルコ「もう起きて平気なのかい?サシャ?」

サシャ「ええ、なんとか。…それよりもみなさん!さっきの試合、私の所為で大変なことになってしまって…。

すみませんでした!」ぺコッ!

コニー「サシャ、お前…。気にしてたのか」

サシャ「当たり前です!わたしの所為で試合がめちゃくちゃになって!ライナーに汚名をかぶせてしまいました!

今から謝りにいくところなんです!」

コニー「そっ、それなら俺も一緒に行かせてくれ!ライナーに謝りたいんだ!」

エレン「俺もだ!」

ジャン「てめぇはまずミカサに謝れって言ってんだよ、この死に急ぎ野郎!」

エレン「ああ!?」

ユミル「なんだかうるせぇなぁ」スタスタ

クリスタ「あれっ?どうしてみんな集まってるの?」ヒョコ

マルコ「やぁユミル、クリスタ。…ちょっとめんどくさいことになっていてね。

いつもならアルミンがエレンとジャンを取りなしてくれているんだろうけど、今いないからさ」

マルコ「…こんなに大変なら、アルミンには日頃から感謝しないといけないなぁ…」ハァ

ユミクリ「?」

ライナーの控室

エレコニサシャクリ「本当にごめんなさい!」ぺコッ!

ライナー「いいんだ。気にするな。俺が勝手にやったことだからな」

ベルトルト「良く言うよ。さっきまで泣きそうな顔してたくせに」ボソッ

ライナー「ちょっ!?お前!それを言うか、ここで!?」カァ

エレン「本当に悪かったよ、ライナー。俺さ、みんなの誤解を解くためなら何だってやるから…。

遠慮せず何でも言ってくれよ!」

コニー「お、俺もだ!」

サシャ「それわたしが言うつもりだったのに何でエレンが言っちゃうんですかぁ!?」

クリスタ「フフフ。…あっ、そうだライナー」トテトテ

ライナー「ん?どうした、クリス…」ソッ

一同「!?」

クリスタ「さっきは思いっきりひっぱたいちゃってごめんね?痛かったよね?」スリスリ

ライナー(ク、クリスタが俺の頬に手を添えてさすっている…だと…!?

こっ、これは結婚!?結婚なのか!?)ドキドキ

ユミル「あたしのクリスタに何してくれてんだ、ボケェ!!!」ドゴォ!

ライナー「グヘェ!」

ベルトルト「ラ、ライナー!?」

格闘場

ハンジ「さて第2試合はいろいろとアクシデントもありましたが、

とりあえずは、ライナー選手の勝ちということで決着がついたようです!

さて、第3試合の試合時間も迫っておりますので、次の抽選に入りたいと思います!」

キース「うむ」

キース(ブラウンの件は訓練兵同士がなんとかしようという様子であったな。

一度起きた仲間同士の不和をどう立て直すのか…。少し様子を見てみるとするか…)

キース「それでは第3試合の対戦カードは…」

キース「ジャン・キルシュタイン、ボクシングVSマルコ・ボット、柔道!」

おおおおおおおおお!!!

控室間廊下

マルコ「あ、僕らの出番みたいだね」

ジャン「お前とか…。ワリィが本気でぶんなぐらせてもらうぜ!」ニッ

マルコ「フフ、じゃあ僕も手加減なんかしないよ」ニッ

サシャ「…なんかライバル同士って感じですね」

クリスタ「あの二人仲いいし、順位も近いもんね」

ユミル「それなのに1回戦目で潰し合いとはついてねぇなぁ」ケケケ

エレン「…俺、アルミンとこ行ってくるわ。そろそろ起きるかもしんねぇし。

………ミカサも来るか?」チラッ

ミカサ「…行く」スッ

アニ「…あたしもアルミンの見舞い。行っていいかい?」

エレン「アニ?珍しいな、別にかまわねぇけどよ?」

ミカサ「」コクリ

格闘場

エルヴィン「それでは1回戦第3試合、ジャン・キルシュタイン対マルコ・ボットの試合を行う。

それでは両者、心臓を捧げよ!」

マルジャン「ハッ!」

エルヴィン「はじめ!」

ジャン「」ダッ!

マルコ「!?」

ハンジ「おお、開始早々、ジャン選手が突っかける!一気に間合いを詰めて…」

ジャン「シュッ!シュッ!」

マルコ「クッ!」ガッ!ガッ!

ハンジ「左ジャブからの右フック!コンビネーションを見せてきました!

マルコ選手は腕を上げガード!後ろに下がりながら距離を取りますが…あ!」

マルコ「な!?」

ジャン「シュッ!シュッ!シュッ!」

ハンジ「ジャン選手、即座に間合いを詰め直し左ジャブ!右アッパー!左フック!」

マルコ「クッ」ドカッ!ドカッ!ドカッ!

ハンジ「これは予想外の攻め方です、ジャン選手!

3戦連続で打撃系VS組技系となった手前、ヒットアンドアウェイ戦法でくるかと思いきや、攻め続けます!」

キース「うむ。ボクシングの打撃はあらゆる格闘技の中で最速といわれている。

さらにキルシュタインの機動力も相まって隙を限りなく少なくしつつ連続で攻撃を続けられる、というわけだな」

ブワッ!

ハンジ「ああ!マルコ選手のガードが連続攻撃によりはじかれたっ!ジャン選手、勝機とばかりにさらに踏みこんできたぁ!」

マルコ「…」

ザワッ…

ジャン「!」ザッ!

ハンジ「い、いや行かない!バックステップだ!押せ押せムードだったジャン選手!

勝機かと思われたタイミングで距離を取りました!」

キース「…あそこで回避を選択するとは、ただ勢いだけで攻めているわけではないということだな」

ハンジ「といいますと?」

キース「ボットの重心がわずかに下がっていた。

つまり、はじかせたガードをおとりに使い、懐へ潜り込もうとしたのだ。

懐に入ってしまえば柔道技の前に敵はない」

ハンジ「なるほど」

マルコ「…反応が良すぎだよ、ジャン。なんであそこで攻めてこないのさ?」

ジャン「打撃技のない柔道家を相手にするときは手を見てればいい。

ガードするには拳を握って力を込めなきゃならねぇが、相手をつかむためには手を開く必要がある。

つまり防御と攻撃の切り替えタイミングがまるわかりなんだよ、お前は」

マルコ「…ご忠告どうも」

マルコ(あれだけの連続攻撃の中で相手の手の握りを注視するって…。どれだけ見えているっていうんだよ…)

マルコ(でも…)スッ

ジャン「!」

ハンジ「マルコ選手、拳を開いて構えを取りました!」

キース「ボットの最初の構えは拳を固め、ガードを上げ、攻撃に耐えるものだった。

キルシュタインの打撃をあえて受け、速さと重さをはかるためだろう。

しかしボットは手を開いた。打撃は見切ったから次は捕まえるという意思表示だな」

ジャン(へっ、さっきの攻防で俺のパンチを見切ったと思ってんのなら…)ダッ!

ジャン(大間違いだぜ!)シュッ!

マルコ(よし捕え…えっ?)バシッ!

マルコ「グッ!」

ハンジ「ジャン選手の左ジャブが顔面にヒット!マルコ選手捕まえることができません!」

マルコ「な、なぜだ!?」

ジャン「へへっ、いくぜ!」シュッ!

マルコ「うっ!」バシッ!

マルコ「く、くそっ」ダッ!

ジャン「ほらよっ」シュッ!

マルコ「くうっ!」バシッ!

ハンジ「マルコ選手、ジャブを受けつつもなんとか前に出ようとしますが、

ジャン選手の後ろに下がりながら打つカウンタージャブで距離を取られます!」

ハンジ「…キース教官、マルコ選手はジャブを見切っていたのでは?」

キース「いや、ボットが見切ったジャブと今のジャブは異なる。

今のジャブを用いたキルシュタインの戦術こそ打撃技VS組技のあるべき姿、本物のヒットアンドアウェイ戦法だ」

ハンジ「本物のヒットアンドアウェイ?」

キース「そうだ。…いままでキルシュタインは2~3発のパンチコンビネーションを打ってきていた。

その場合1打目のジャブの後に追加攻撃を相手に合わせて行わなければならん」

キース「しかし、今は1打目のジャブを当てることだけを考えフットワークを使い攻めている。

つまり攻撃と離脱、攻防一体の最速のジャブを使ってボットを追い詰めているのだ」

ハンジ「なるほど!…ジャン選手の本気のジャブにマルコ選手!反撃できなぁい!」

マルコ(くそっ、ひとまずガードだ!拳を固めて…)グッ

ジャン「」ヒュン

マルコ「え?」

ジャン「シッ!」

ドゴォ!

マルコ「ぐはあっ!」

ハンジ「マルコ選手がガードを固め直したその瞬間!

サイドに回り込んだジャン選手の右フックがガードの外から左頬に炸裂~!

ジャン選手にとっての初のクリーンヒットです!」

キース「いや、初ではないな」

ハンジ「えっ?あっ…いわれてみればマルコ選手!フックを受けた左頬よりも右頬のほうが腫れているような…」

キース「あれがジャブの恐ろしさだ。ただ速いだけ、触れるだけの弱い攻撃ではない。

ダメージは確実に蓄積する」

マルコ「ハァハァ…くそっ」ダッ!

ハンジ「今度はマルコ選手から動きます!右手を伸ばし、掴もうとしますが…」

ジャン「シッ!」

ボゴッ!

マルコ「グゥッ!」

ハンジ「ジャン選手、右手から逃げるように左側へと華麗にステップ!そしてカウンター!」

マルコ「」グラッ

ジャン「!」ダッ!

ハンジ「マルコ選手の膝が落ちる!それを見てジャン選手追撃へ!」

ジャン「シッ!」

マルコ「…フッ!」

キース「!?」

ドガッ! ドガッ!

ジャン「何ぃ!?」ビリッ!

マルコ「へへっ…」がしっ

ハンジ「ジャン選手の追撃の右ストレートに対し、倒れかけていたマルコ選手が、なんと右ローキックです!

お互いに攻撃は避けられませんでしたが、ボット選手ついにジャン選手の右腕を捕まえたぁ!」

キース「柔道技の打撃の1つ、けたぐりだ。

本来相手の足を止めさせるための技だが、ボットめ、カウンターに使うことでキルシュタインの隙を作りおった!」

マルコ「ハァア!」ブンッ!

ジャン「うおぉっ!」

ドシーン!

ハンジ「内またぁ!決まったぁ!い、いやマルコ選手が早い!あっという間にバックを取った!これは…?」

ガシッ!

マルコ「これでギブアップしてくれッ!ジャン!」グググッ

ジャン「カハッ!」

ハンジ「裸締めだぁ!後ろからジャン選手の首にしっかりと巻きついたボット選手の右腕!それを左手でがっちり掴んでロック!これは苦しい!」

ジャン「うがぁ!」ジタバタ!

キース「勝負あったな。完全に極まっている裸締めを外すことは不可能だ」

ジャン(くそが、息ができねぇ…ここで負けるのか、俺は…)

ジャン(…俺には負けられねぇ…理由があったはずだ…)

ジャン(…俺にはまだ…決着をつけてねぇ相手がっ…)


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ミカサ「」グスン

ジャン「ミカサに謝れ!」

エレン「なんで俺が謝んなくちゃいけないんだよ!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ジャン「!」

ジャン(そうだ俺は………)

ジャン(俺が惚れた女を泣かしやがったあの死に急ぎ野郎を…)

ジャン(ぶっ飛ばさなきゃなんねぇんだ!)カッ!

ジャン「がぁああ!」ブンッ!

ドゴォッ!

マルコ「ぎぁ!」ビキッ!

ジャン「ぶはぁあっ!」ダッ!

マルコ「うう…」ブルブル

ハンジ「何とジャン選手、ロックのために右手を掴んでいたマルコ選手の左手に右フックを叩きつけ、

ロックを外し脱出!裸締めを破りました!」

キース「…いや、左手ではない。左手小指を狙ったのだ。見ろ、ボットの指を」

ハンジ「ああ!マルコ選手の左手小指がありえない方向にっ!これは痛い!」

キース(あの絞められている状況下で、小指という小さな的を正確に、

それでいて骨を砕くほどの強さのパンチを放つとは…)

マルコ「…まさか。あそこから逃げられるなんて思わなかったよ…」ブルブル

ジャン「…どうしてもぶんなぐってやりてぇ相手を思い出しちまったんだ…。

ワリィがマルコ、ギブアップしてくれ。どの道その手じゃこれ以上は無理だ」

マルコ「…そう。僕ではライバルになれなかったってことだね」ボソッ

ジャン「は?いま何か言ったか?ギブアップか?」

マルコ「…僕は最後まで…戦うって言ったんだ!!!」ダッ!

ハンジ「マルコ選手ダッシュ!しかし…」

キース(動きが鈍い…。骨折の痛みもあるだろうが、何よりけたぐりの時にもらった右ストレートのダメージが抜けておらん…)

ジャン「…シッ!」

ピシィッ!

マルコ「あ」ズシャア!

ジャン「………」

ジャン「悪く思うなよ?

…親友」

エルヴィン「それまで!勝者、ジャン・キルシュタイン!」

うおおおおおおおお!!!

ハンジ「…最後マルコ選手がぐらりと倒れましたが一体何が起きたのでしょうか?」

キース「…おそらく顎先へ正確なパンチが一発。それもかなりのスピードだ。

その一撃で脳を揺らしボットの意識を狩りとったのだ」

ハンジ「パンチ…ですか…私、全く見えませんでした…」

キース「…この試合は図らずも。6位と7位の差の大きさを示してしまったようだ。

キルシュタインは終始試合の流れを支配していた。

相手に全く見切らせなかったパンチの技術は非常に高いといえるだろう」

キース「対するボットは唯一の勝機であった内またも背中から落とすような柔道本来の使い方で、決め手に欠けていた。

頭から落とせていればあるいは…。

だがしかし、そんな相手をむやみに傷つけない戦い方こそが奴なりの信念という奴なのだろうな…」

控室間廊下

ジャン「………」スタスタ

ジャン「あ」ピタッ

エレン「…なんだ、ジャンじゃねぇか。こんなとこで何してんだ?」

ジャン「何って、おまえ…。戦ってきたに決まってんだろうがっ!」

エレン「大きな声出すなよ!鼓膜が破けちゃうだろうが!」

ジャン「鼓膜なんてどうでもいいだろうが!この死に急ぎ野郎!」

エレン「なんだと!?この馬面が!ここで2回戦の相手にでもなってやろうかぁ!?」

アルミン「まぁまぁ、エレン、落ち着いて」ガシッ

エレン「アルミン…」

アルミン「それにしてもジャン!すごかったね!

さっき起きたばかりだから最後の方しか見れなかったけど、圧勝だったじゃない!」

ジャン「…けっ。まぁな。まだまだマルコに後れを取るわけにはいかねぇからよ」

ミカサ「アルミンの言う通り。確かにすごかった。最後の打拳はおそらく私でもかわせるかどうか…」

ジャン「な、なんだよ…、ミカサまで。でもまっ、うれしいぜ!」テレテレ(///

エレン「俺と当たったら俺が勝つけどなっ!」

ジャン「んだと、てめぇ!ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ!?」

エレン「ああ!?」

ミカサ「やめなさい、エレン。すぐ相手を挑発するのは悪い癖」

エレン「ったくうるせぇなぁ、ミカサは。お前は俺の母ちゃんかっての」

ミカサ「そ、そんなつもりじゃ」オロオロ

アニ「いい加減落ち着きなって…」ハァ

アルミン(はぁ、ほんと成長しないね、この二人は…)フゥ

ジャン「………」

ジャン「おいエレン!賭けをしようじゃねぇか!」

エレン「は?なんだよいきなり」

ジャン「この大会で俺と戦うことがあったら、勝者は敗者になんでもひとつ命令できるって賭けだ!どうだ、乗るか?」

アルミカアニ「!?」

エレン「…なるほど。どうしても喧嘩の決着をつけたいってんだな?いいぜ、乗った!」

ジャン「よし!いいかエレン!俺と当たるまで絶対に負けるんじゃねぇぞ?」スタスタ

エレン「言われなくても!」

アルミン「…ねぇアニ?」コソコソ

アニ「…なんだい?」

アルミン「もしかして僕が寝てた間に何かあった?なんかいつもと違うような…」

アニ「…まぁ、めんどくさいことが2つほどね」

アルミン「2つ?」きょとん


~~~説明中~~~


アルミン「なるほど。エレンとジャンの喧嘩に、ライナーの汚名についてか」

アニ「喧嘩の方はあたしも見たわけじゃないから詳しいことはわからないけど、ライナーの件はね。

他のやつらの誤解を解くにはどうしたらいいか…」

アルミン「う~ん、結構難しいね。ちょっと考えてみるよ。

何か思いついたら教えるから、まずは先にエレンとジャンの問題から取り組んでみようかな」

アニ「すまないね。

…迷惑かけてるみたいだし、少しくらいならあたしが…手伝ってやらないこともないけど?」

アルミン「ホント?うれしいよ、アニ」ニコッ

アニ「…フン」プイッ

治療室

マルコ「………」

クリスタ「気を失ってるだけだって。もう少し経ったら起きられるかもしれないって」

ユミル「ふーん。…それにしても、こいつ。顔面ボコボコだな」ケケケ

クリスタ「ユミル!」

サシャ「ジャンのパンチ…。かなりもらってましたからね。

………これで3戦連続ですね」

ユミル「は?何がだよ?」

サシャ「3戦連続で成績上位者が勝ち上がっています。…やっぱり、順位が下の人は上の人には敵わないんでしょうか」

クリスタ「うっ、やっぱりそうなのかな…。私10位だから心配になってきちゃったな」

ユミル「………」

格闘場

ハンジ「第3試合はジャン選手がほとんど無傷のまま勝利を収めました!

それでは続きまして、1回戦最後の試合の抽選に入りたいと思います!」

キース「うむ。それでは1回戦第4試合の対戦カードは…」

キース「ベルトルト・フーバー、ムエタイVSユミル、カポエイラ!」

おおおおおおおおお!!!

ベルトルト控室

ベルトルト「…僕、か」

ライナー「頑張れよ、ベルトルト。3人一緒に2回戦に進もうぜ!」

アニ「…まぁ、あんたなら心配いらないだろ。いってきな」

ベルトルト「…う、うん。行ってきます」スタスタ

ライアニ「………」

アニ「緊張してるね」

ライナー「ああ、ガチガチだ。心配になってきたな」

治療室

クリスタ「ベルトルト…」

サシャ「104期第3位…ですか…」

ユミル「………」

ユミル「な~にしけた面してんだよ、お前らは!」グリグリグリグリ

クリスタ「きゃーーー!」

サシャ「ちょっ!?髪をかきまわさないでくださいよ!」

ユミル「負けたら殺されるわけでもなし。気負いすぎなんだよ、お前らは」

クリスタ「ユミル…」

サシャ「しかし…」

ユミル「まぁ見てろって。こういう勝負事ってのはよ

…楽しんだもん勝ちなんだぜ」ニッ

格闘場

エルヴィン「それでは1回戦第4試合、ベルトルト・フーバー対ユミルの試合を行う。

それでは両者、心臓を捧げよ!」

ベルユミ「ハッ!」

エルヴィン「はじめ!」

ユミル「いくぜぇ、ベルトルさん!」

ベルトルト「…うん」

ユミル「………」

ハンジ「さぁはじまりました、第4試合!

4戦目にして初の打撃VS打撃の対決です!

どうみますか、キース教官?」

キース「うむ。ムエタイにカポエイラ。両方とも蹴り技を主体とした格闘技だが、どちらもトリッキーな蹴り技を持っている」

キース「ここはお互いがどのような蹴り技でどこを狙ってくるのか見極めた方が試合を有利に進めることができるだろうな」

ハンジ「なるほど、解説ありがとうございます!さて両者のにらみ合いが続きますが、先に動くのはどっちだ!?」

ユミル「」ダッ

ハンジ「先に仕掛けたのはユミル選手!まるでタックルのような低い姿勢から…右足への足払い!」

ガッシィィィ!

ベルトルト「…」

ユミル「…こんにゃろ!」バッ!

ハンジ「ベルトルト選手の左すね外側に足払いが炸裂しますが、微動だにせず!

しかしユミル選手は止まらない!続けて左足でのローキック!」

ドォッ!

ベルトルト「…」

ハンジ「ベルトルト選手の左足内ももに当たっていますが、かわすそぶりすらしない!

いや必要ないということなんでしょうか!?」

キース(あの馬鹿ものが…)ギリッ

ユミル「…どぉしたぁ?ベルトルさん、攻撃して来いよ」クイクイッ

ベルトルト「…あ…そうだ…攻撃…しなくちゃ…!」ブン!

ユミル「…」

パシッ!

ハンジ「これは一体!?ベルトルト選手の攻撃ですが、右パンチです!

ムエタイにもパンチくらいあるのでしょうか…。しかしあっさりとユミル選手の左手でキャッチされます!」

ユミル「はぁ~~~。このまま勝っちまってもいいんだが、そんな勝ち方じゃクリスタは安心してくれないだろうなぁ。

………うし」スッ

ベルトルト「?」

ユミル「てい」ピンッ

ベルトルト「あたっ」ズビシッ

一同「!?」

ハンジ「で、デコピン!?」

ベルトルト「あ、あれ?」ヒリヒリ

ユミル「ったくベルトルさんは世話が焼けるなぁ。

…ほれ、今大会中。あたし蹴る。お前負ける。オーケー?」

ベルトルト「…なんでカタコトなの?ユミル?」

ユミル「てめぇがぼーっとしてるのが悪いんだろうがっ!」ドゴッ!

ベルトルト「ぐへぇ!」ズシャア!

ハンジ「ユミル選手の前蹴りぃいい!ベルトルト選手吹っ飛ばされたぁ!」

ベルトルト「…痛いじゃないかユミル」スクッ

ユミル「…まぁこんなもんだろ。正気っつーか、正常になったみたいだしな」

ベルトルト「?」

ベルトルト(そういえば僕、すっごい緊張してた気がするな。

はっきりとは覚えてないけど、確かユミルのデコピンをくらってからは何か…ってあれ?体が軽い?)

ユミル「ったく、いいかベルトルさん。これは大会なんて銘打ってるけど、喧嘩好きな訓練兵にとっちゃ娯楽みてぇなもんだ。

気負ったところで何になる?」

ベルトルト「………」

ユミル「あたしはただ、いつもの格闘訓練では使うことが許されてないのに身につけちまった格闘技術ってやつをよ…」

ユミル「相手に存分にぶつけて楽しむ予定だったのさ!

そうすりゃきっつい訓練のストレスもちったぁ発散できるだろう?」

ベルトルト「!」

ユミル「それに…アンタは勝っていいところ見せたい相手とかいねぇのか?あたしはいるぜ?

…きっとそいつはお前のことを…信じて見守ってくれてんじゃねぇのかよ?」

ベルトルト「!!!」

ベルトルト(ライナー!アニ!)

キース(ふん。戦いの場という訓練兵として当たり前の空気に飲まれようものなら、開拓地送りにしてやろうと思ったが…。

今回は大目に見てやるか。…それに…)

ベルトルト「…ありがとう、ユミル。もう大丈夫。なんか吹っ切れちゃったよ」ニコッ

ユミル「そいつはよかったな」フン

ベルトルト「でも残念だよ。君は僕に勝つ最初で最後のチャンスを逃した。

さっきまでの府抜けた僕は…もういない」ゴゴゴ

キース(フーバーの本気というものを見られそうだしな)二ヤリ

ユミル「ヒュウ、言うねぇ。ならあたしだって本気でいくぜ!」ダッ!

ハンジ「ユミル選手再びダッシュ!さらにベルトルト選手の前で横回転!左足による後ろ上段回し蹴りだぁ」

ベルトルト「!」サッ!

ユミル「!………ハアッ!」キュイン!

ドカッ!

ベルトルト「うっ!」

ハンジ「何とガードのために腕を上げたベルトルト選手を見てから、蹴りの軌道を変化させ後ろ上段回し蹴りから後ろ下段回し蹴りに!

ベルトルト選手の左足ももへ直撃!」

ユミル「どうだぁ?ベルトルさ…」

ベルトルト「シャァア!」ブオン!

ユミル「うおっ!」サッ!

ハンジ「お返しとばかりにベルトルト選手の右ハイキック!ユミル選手しゃがんで回避!」

ベルトルト「ヒョオゥ!」ブン!

ガッ!

ユミル「ングッ!」

ハンジ「何と!右ハイキックがユミル選手の真上で急停止!そのまま振りおろしてかかと落としだぁ!

ユミル選手、頭頂部で腕をクロスさせ、なんとか受け止めます!」

ユミル「このぉ!」バッ!

グルン!シュッ!

キース(その場で後方宙返りだと!?)

ベルトルト「…」サッ!

ガシッ!

ユミル「あ!?」ジタバタ!

ベルトルト「フォオオウ!」

ドゴォッ!

ユミル「ンギッ!」ズシャア!

ハンジ「ユミル選手!クロスガードしていた両腕でベルトルト選手が振りおろしていた足をはね上げ、その場で後方宙返り!

その回転のまま右足つま先でベルトルト選手の顎先を打つつもりだったようですが!それはなんなくキャッチされる!」

ハンジ「さらに、足を掴まれ、さかさま状態で宙ぶらりんになったユミル選手の頭部へ左ローキックがヒット!

ユミル選手、吹っ飛ばされた~!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


エレン「つ、強えぇ…」

ミカサ「知らなかった。本気を出したベルトルトがあんなに強いなんて」

アルミン「僕もびっくりだよ。あんな鞭みたいにしなる蹴りは初めて見た」

アニ「…良かった。本気状態のベルトルトだ」

ライナー「最初はどうなる事かと思ったが、もう大丈夫だろう」

ライナー「…しかし、あの掛け声はなんとかならんのか。まるで奇声だ」

サシャ「はがががが。やばいですよ、クリスタ。最後の攻撃、宙に浮いたままくらってましたよ。

ユミルは大丈夫でしょうか」チラッ

クリスタ「………」

サシャ「クリスタ?」

クリスタ「ユミルは言ったもの。見てろって。だから私は信じて、見続けるよ」ギュッ

医務室

コニー「なぁなぁ、試合見に行かなくていいのか?」

ジャン「あ?いいんだよ。だれが相手だろうと俺の戦い方は変わらねぇ。

それに、ここにいるのは、とりあえずマルコが起きるまでだ」

マルコ「………」

ジャン「コニー、お前は見にいかねぇのか?」

コニー「ハッ!いや俺はほら?天才型だし?見なくても問題ないっていうか?」

ジャン(ウゼェ)イラッ

格闘場

ユミル(っかぁ、くそ!あの長い脚に加えてテクニックも一流とか反則だろ?

だが、さっきの攻防でベルトルさんの特徴は見つかった!それを利用すればなんとか…)

ベルトルト「」ザッ!

ユミル「!?」

ベルトルト「ぬぅん!」ジャッ!

ユミル(ハイキック!くそ、またしゃがんじまった!かかと落としが来る!)バッ!

ベルトルト「チェリャアア!」ブワッ!

ズバン!

ユミル「ぐあっ!」

エレン「かかと落としが来ると判断して頭部をガードするために上に構えたのに…」

ミカサ「蹴り足を宙に止めたまま。軸足一本でジャンプして…」

アルミン「その軸足でユミルの顎先を蹴りあげた…」

ライナー「いよっし!完全にベルトルトの流れだ!」

アニ「…決めにいく…だろうね」

ハンジ「ユミル選手!顎を蹴りあげられ、もはやフラフラ!

転がりながらなんとか距離は取ったものの、反撃できるのか!?」

ユミル(クソッ!頭がぐらぐらしやがる。とりあえず今は逃げを…)チラッ

ベルトルト「」ヒュン!

ユミル「は!?」サッ

ベルトルト「キャオラ!」ブォン!

ズドン!

ユミル「グエェ!」ズシャア…

ハンジ「こ、これは第1試合でアニ選手が最後に見せた高速移動術と同じ!?

一気に間合いを詰めたベルトルト選手に対して、ユミル選手は頭部をガードしようとしたようですが、狙いは腹部!」

ハンジ「強烈な右ミドルキックがユミル選手の体をくの字に曲げる!そして倒れたぁ!」

サシャ「…もうアカン。強すぎるわ、ベルトルト…」

クリスタ(ユミル…)ギュッ

クリスタ(あなたは私をからかうことが大好きで、いつもふざけてばかりだけど)

クリスタ(あたしとした約束だけは絶対守ってくれてたよね?)

クリスタ(辛いだろうけど、苦しいだろうけど、ギブアップしたいだろうけど)

クリスタ(それでも、あたしは…あなたを信じたい!)スゥゥッ…

クリスタ「頑張れユミルゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウ!!!!!!!!!!」

一同「!?」

ユミル「」ピクッ

ベルトルト「…へぇ」

ユミル「…やさしいなぁ、ベルトルさん。立ち上がるまで待ってくれるなんて」フラッ

ハンジ「ユミル選手!立ち上がりました。割れんばかりの応援を受け、今!立ち上がりましたぁ!!!」

うおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!

ベルトルト「君の執念は凄いよ。娯楽のためにまだやるなんて」

ユミル「もう、遊びじゃなくなったんだよなぁ…

今はただ…かっこいいところを見せてやらなきゃならない奴が…いるだけなんだ!」ダッ!

ベルトルト「!」ダッ!

ハンジ「ユミル選手ダッシュ!しかし、ベルトルト選手もそれに倣って前に出たぁ!」

ユミル「!?」グラッ

ハンジ「ああ、ユミル選手、ふらついています!しかし、なんとか地面に手をつきながらも体制を立て直そうとする!

しかし…」

ベルトルト「ジャッ!」ブォン!

エレン「やべぇ!体制が崩れたユミルにローキック!」

ユミル「…けぇぇりゃあ!」グルン!

アルミン「地面についていた右腕一本で逆立ち!?」

ミカサ(しかもひねりを加えてある。まさかこのまま?)

ユミル「ハッ!」ブン!

ハンジ「左ローキックを逆立ちでかわし、その体制のまま逆立ち蹴り~!」

ベルトルト「チッ!」ブンッ!

ユミル「ぐぅ!」

ドサッ!

ライナー「よし!見切ってガードしてはたき落とした!」

アニ(逆立ちなんて無理な体勢で蹴りを放ったんだ。

防がれたら背中から落ちるしかない)

ベルトルト「これで!終いだ!」ガバッ!

ハンジ「仰向けに倒れたユミル選手の足側から、ベルトルト選手が自らの右足を振り上げる!

踏みつける気だぁ!」

サシャ「ユミル!」

クリスタ(ユミル!!!)ギュッ

ユミル「………」

ユミル「…寝そべってる相手への攻撃なんざ、踏みつけくらいしかねえよなぁ!」ガッ!

ベルトルト「あっ!」グラッ

ハンジ「右足を振りあげて片足状態だったベルトルト選手の左足首に蹴り!?」

キース(フーバーの巨体がユミル側に傾く!)

ベルトルト「う、うわっ!」

ユミル(そうさ、ベルトルさん。最初にあんたに攻撃したとき、上段からの変化した下段蹴りには反応が遅れていたが、

後方宙返り中の蹴りはしっかり掴みやがったよなぁ)

ユミル(つまり、ベルトルさんは想定しうる出来事の最中に急に別の情報が入ると混乱して反応が遅れちまうが、

元から異常な状況の場合は落ち着いて対処できる奴なのさ)

ユミル(だからこの踏みつけるしか攻撃手段が考えられなかった状況下であんたが、

あたしに向かって倒れてしまうという状況は、あんたの目に一体どう映る?)

ユミル(…戦ってる最中なのに自分が女を押し倒してるって感じなんじゃないか?)二ヤリ

ベルトルト「わわっ!」サッ!

ユミル(だからベルトルさん、優しいあんたは完全にあたしを押し倒してしまわないように両腕で突っ張って耐えようとするだろう、

だからあたしが…)ガシッ

ベルトルト「!?」

ユミル「こうやって両手でベルトルさんの頭を掴んで引きよせても!

両手がふさがってて対処できないよなぁ!」ブンッ!

ズゴン!!!

ベルトルト「ぐはっ!」ブシャアッ!

ハンジ「頭突きだぁ!ベルトルト選手の頭を抱え込んでの頭突き!これはかわせない!」

ユミル「…いってぇ、頭突きなんて何年振りだよ、しかし…」

ベルトルト「」ダクダクダクダク

ユミル「鼻っ柱にあたしの石頭をブチ込んだんだ。自分の血の海で沈んでてくれや、ベルトルさん」

エルヴィン「…勝者、ユミル!!!」

うおおおおおおおおおお!!!!

エレン「勝ち…やがった…。信じらんねぇ」

ミカサ「………」

アルミン「終始押されっぱなしで、決め技も頭突きだったけど…すごいね、ユミルは」

サシャ「それでも勝ちは勝ちですよ!ユミルが勝ったんです!ねっクリスタ…ってあれ?」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ハンジ「打撃VS打撃。蹴り技VS蹴り技の勝者はユミル選手となりました!

いやぁ見どころのある試合でしたね、キース教官?」

キース「まぁ最初のグダグダは見なかったことにしておいてやる。

それ以降の戦いについてだが、格闘センスは明らかにフーバーの方が上回っていただろう」

キース「あの長い脚から連続して放たれる蹴り技は圧巻であった。

しかし、ユミルは戦いの最中に相手を研究する術に長けていた」

キース「トリッキーな技をただただ使うだけではない。

相手の行動を予測し、技を読み切り、不格好ながらもKOした。

成績だけでは測れない、確かな実力者であった」

ハンジ「解説どうもありがとうございました!これにて1回戦は終了となります!

続いて2回戦の対戦カードについてですが………」

格闘場出入口

ユミル「いちち…結構きついな…ん?」

クリスタ「ユミル…」

ユミル「おお、クリスタ。どうだったあたしの試合は………!?」

クリスタ「…よかった、ユミル。無事で…」ギュッ

ユミル(ク、クリスタが抱きついている!?これは…いい…)

ユミル(だが名残惜しいが、今は…)スッ

クリスタ「ユミル?」

ユミル「…なぁ、クリスタ。あたし、勝ったぜ?あの第3位様によ。

成績の順位だけ見りゃ絶対に勝てないってみんな思ってただろうけどな…」

クリスタ「…うん」

ユミル「それでもあたしは戦うことから逃げなかった。

途中で勝機を見出していたってのもあったがな」ハハハ

ユミル「…なぁクリスタ。今度からはさ。何かあった時に、すぐに逃げるなんて選択肢を………

なるべく考えないようにしてくれないか?」

ユミル「もう駄目ってなったのにその場に残るような勘違い野郎になってほしいわけじゃない。

ただ、その瞬間まであがいて、もがいてほしいんだ。本当に逃げるしか選択肢はないのかって」

クリスタ「………」

ユミル「最初から自分の可能性を潰さないでほしいんだ、クリスタ。

おまえは強いし、優しい。おまけに美人ときたもんだ」

ユミル「そんなおまえの生き方が逃げだけなんてもったいないだろ?」

クリスタ「!」

クリスタ(ユミル、あなたは私にそれを伝えるために…。

しかもその言葉をベルトルトに勝って見せることで本物にして見せた…。

こんなにボロボロになりながら…)

クリスタ(…ユミル。あたし、あなたとお友達で………本当に良かった!)

クリスタ「私、…後ろ向きはもうやめる!

目の前の壁に怖気づいてないで、どうやったら乗り越えられるのか…。

最後の最後まで考えて、あがいてみるよ、ユミル!」

ユミル「…おう!」ニッ

治療室

ベルトルト「いてて…」

ライナー「おい、ベルトルト大丈夫か?」

ベルトルト「ん?ああ、怪我のことかい?確かに血はいっぱい出たけど、骨折はしてないよ。

頭はグワングワンしてるけどね」ハハハ

アニ「…なんか無理してない?」

ベルトルト「…ハハハ、ちょっとはね。負けちゃったし…。

ただ今回はユミルに教えられたよ。勝ち負けと同じくらい大切な何かってやつをさ」

ライナー「ベルトルト…」

ベルトルト「僕は今まで、何事にも気負いすぎる傾向があった。

絶対に成功させなきゃいけないって任務ってやつも多かったからさ…」

アニ「………」

ベルトルト「でもそれと、僕の人生に関わる全てがイコールってわけじゃないんだよね」

ライナー「!」

ベルトルト「ユミルが僕に、気負わなくたっていいこともあるんだって…。

勝ち負け以外の存在価値がいかに素晴らしいかを教えてくれたんだ」

ベルトルト「2回戦に3人でっていう約束は守れなかったけど………。

僕、今日の戦いに悔いはないよ」ニコッ

ライナー「」ダバァ!

ベルトルト「ちょ!ライナー、涙と鼻水がいっぺんに!?」

ライナー「俺はうれしいぞ、ベルトルト!いつも自分を表に出さないお前が一気に成長したと感じた!

大丈夫だ!今日の経験はいつかきっと大きな財産になる!!」

アニ「…あとはあたし達に任せな。優勝してきてやるからさ」

ベルトルト「…うん!」

控室間廊下掲示板

コニー「んな!?何だこれぇ!?」

ふう、疲れました。

以上で1回戦の試合をすべて書ききりました。

次は2回戦からです。

今日はすみません、ここまでになります。

明日、再開しますので、よろしくです。

それでは

再開します。

とにかく書ききることが目標です。

お願いします。

控室間廊下掲示板

コニー「んな!?何だこれぇ!?」

エレン「ん?どうした?コニー大きな声上げて………あ」

ジャン「…よお、エレン」

エレン「ジャン!」ギリッ

ジャン「俺たちの賭けはまだ先のようだぜ?」

エレン「は?どういうことだ?」

マルコ「それはね、エレン」ヒョコ

エレン「おお、マルコじゃねぇか?怪我は大丈夫なのか?」

マルコ「まぁね。ひどいのは小指の骨折くらいさ。1ヵ月もあれば治るよ」フリフリ

ミカサ「エレン。それにジャン達も。こんなところでなにかあったの?」スタスタ

ライナー「なんだなんだ?」ゾロゾロ

サシャ「どうしたんですか?」ゾロゾロ

マルコ「…みんな集まってきたみたいだね。丁度いいや。これを見てごらんよ」

アルミン「張り紙?…これは!?」


2回戦対戦表

第1試合 アニ・レオンハートVSコニー・スプリンガー

第2試合 ミカサ・アッカーマンVSユミル

第3試合 エレン・イェーガーVSクリスタ・レンズ

第4試合 ライナー・ブラウンVSジャン・キルシュタイン


サシャ「2回戦の対戦表ですか!?」

コニー「かぁ~!よりにもよってアニかよっ!?アルミンの最強武術を破った奴に勝てっこねぇよ!」

アニ「………」

アルミン「最強…武術?」

マルコ「ははは、ほっといていいよアルミン。

…コニー、第1試合のキース教官の話を聞いてなかったのかい?」

コニー「は?」ポカン

ユミル「てめぇはまだマシだろ。なんで第3位をやっとの思いで倒して、

次の試合が主席なんだよ。まだ2回戦だろうが…」ガックシ

ベルトルト「ハハハ…」

ミカサ「相手にとって不足なし」キリッ

エレン「俺の相手はクリスタか。よろしくなクリスタ!」

クリスタ「ええ、よろしくね!あたし、負けないよ!」

エレン「俺だって!」

ライナー「俺の相手は…ジャンか」チラッ

ジャン「…よろしくな、最低野郎さん?」

一同「!?」

ジャン「な、なんだよ。冗談に決まってるだろうが。何マジになってんだよ」

マルコ「…ジャン。その冗談はマズイ状態だってことくらい察しようよ」

ジャン「けっ!」

アルミン(そうだ、もしかしてこれなら!…いや、でも、この作戦は…)ムムム

ジャン「…おいアルミン。少し話があるんだ。ちょっと来てくれないか?」

アルミン「?いいけど…」

アルミン「…もしかして例の件?」コソコソ

ジャン「…ああ、そうだ」コソコソ

アルミン「…わかった。ならアニも連れて行っていいかな?約束してて…」コソコソ

アニ「?」

ジャン「ああいいぜ、二人ともついてこいよ」スタスタ

エレン「…なんだ、あいつ。いきなりアルミンを呼び出して…」

ミカサ「………」

ジャンの控室

ジャン「…さて、早速で悪いが、さっきの対戦表を見て思いついたことなんだがよ……」

アルアニ「………」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ジャン「…ってな感じで、どうだ?」

アルミン「…すごいね、ジャン。その考えに自分で思い至れるなんて…」

アニ「…だが、それでいいのかい?あんたは」

アルミン「いや、アニ。たぶんこれはジャンだからこそできる作戦なんだ。

…実は僕も、対戦表を見たときに思いついていたんだけど、これを頼み込むのはさすがに…」

ジャン「ハッ!思いついていたとはさすがはアルミン。悪魔的頭脳の持ち主だな」

アルミン「…何かを得るためにはそれ相応の代価が必要だ。

何も捨てることができない人間には何も変えることはできないだろう。

…僕は、必要とあらば、人間性だって捨ててみせる!」

ジャン「それでいいアルミン。ライナーにはみんなの兄貴でいてもらわねぇとこれからの訓練も困るだろ?

…俺の評価なんて元々二分されているようなもんだ、気にすんな」

アルミン「ジャン…。助かるよ、君みたいな男がいてくれて本当によかった…。

僕たち、いいコンビになれるかもね?悪だくみ担当として」ニコッ

ジャン「いうじゃねぇか。…死に急ぎ野郎とは仲良くする気はねぇがなっ」ニッ

アルミン「フフッ」

アニ「………」

アニ「クスッ。いいね男の子って。わたしも男の子に生まれたかったよ」

アルミン「それは無理だよアニ。君はとっても女の子らしいじゃないか?」

アニ「…は?」

ジャン「どういうことだ?」

アルミン「この前訓練所の隅っこで子猫を見つけたらしくて、その時…」

アニ「わーーーーっ!なんで知ってるの!?っていうか見たなアルミン!」カァッ!

アルミン「ヒィッ!ごめんアニ!盗み見るつもりはこれっぽっちも!」

ジャン「ダハハハッ!おもしれぇな、お前ら!」

アニ「っ~~~!笑うな!」

ギャーギャー…

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ハンジ「それではみなさんお待たせしました!これより2回戦の第1試合を始めたいと思います!

2回戦第1試合はすでに告知済みの通り、アニ選手VSコニー選手です!」

おおおおおおおおおおおお!!!!!

キース「格闘技の型にはまった者とはまらなかった者。どのような戦いになるか楽しみだ。

だがしかし、前評判通りレオンハート有利と見てよいだろうな…」

格闘場

エルヴィン「それでは2回戦第1試合、アニ・レオンハート対コニー・スプリンガーの試合を行う。

それでは両者、心臓を捧げよ!」

アニコニ「ハッ!」

キース(逆だコニー・スプリンガー!)ギロッ!

エルヴィン「はじめ!」

コニー「おっしゃあ!」ダッ!

ハンジ「コニー選手!開始の合図とともにダッシュ!アニ選手はどう迎え撃つのか!」

コニー「くらえッ…おわッ!」サッ!

ビュン!

アニ「…チッ」

ハンジ「アニ選手!殴りかかりにきたコニー選手に対し右ハイキック!

コニー選手、とっさにブリッジでかわしました!ものすごい反射神経です!」

コニー「あっぶねぇ…なっ!」ブン!

アニ「!?」サッ

ハンジ「コニー選手、ブリッジから跳ね起きる反動を利用してそのまま頭突き!

アニ選手バックステップでかわします!」

コニー「逃がさねぇぜ」ダッ!

アニ(今度はかわさせない!)シュッ!

コニー「あらよっ!」ズザザザッ!

アニ「!?」

ハンジ「何とコニー選手!アニ選手の左ミドルキックのさらに下をスライディング!

キックをかわすと同時にアニ選手の後方へ!」

アニ「チッ!」クルッ

コニー「せいやぁ!」ブンッ!

ドッ!

アニ「クッ!」

アニ(振り向いた瞬間に正拳突き…。アルミンとの試合で学んでなきゃガードが間に合わなかったとこだよ)

ハンジ「あれは、まさか、合気道の技!?」

キース「いや似ているかも知れんが、スプリンガーは背後から攻撃を加えようとした。

レオンハートの振り向く速度が速すぎたために、攻撃のタイミングがそう見えただけだ」

コニー「まだまだぁ!」ダッ!

アニ(止まらない気かこいつは…。なら、ローキックで足を削ぐ!)」シュッ!

コニー「ホッ!」バッ!

アニ「!?」

アニ(今度はジャンプでかわした!?そのまま突っ込んでくる!)サッ!

コニー「くらえッ!我流格闘術究極最強奥義!人ッ間ッ砲ッ弾ッ!」ギュオンッ!

ドゴッォ!

アニ「グゥッ!」ズザァ!

ハンジ「アニ選手の左ローキックをジャンプでかわしたコニー選手が空中でそのまま横回転!

頭から腹部めがけて突っ込んだぁ!アニ選手は防御で手一杯!」

キース(人間砲弾…。回転で勢いを増し、人体でもっとも硬い頭部に全体重を預けたまま突進。

…ただの馬鹿ではない。理にかなった攻撃をしている)

アニ(クッ!アルミンの打撃の痛みがまだ…)ギリッ

コニー「フゥ!やっぱり俺って天才だな!

最強のアイキドー?って技を持つアルミンに勝ったアニだからやべぇって思ってたけど、俺の天才度にはかなうまい!」

コニー「もしかしてアルミンもあんま大したことないのかもなっ!」

アニ「」ビキッ

ライベル(あっ、なんか雰囲気変わった…)

エレン「今、コニーなんか言ったか?」

マルコ「さぁ?僕もよく聞こえなかったな」

ユミル(やっぱり馬鹿は馬鹿だったか…)

ジャン(終わったな、あの馬鹿)

アニ「」ヒュン

コニー「うおっ!」

アニ「シッ!」ブン!

コニー「危ねっ!」サッ!

ハンジ「アニ選手!1回戦で見せたあの高速移動術から右ハイキック!

しかし、コニー選手しゃがんでかわす!」

キース(あの高速移動術からの攻撃をかわせるとは…だが)

コニー「足元もらいっ…へっ?」

アニ「シッ!」ブン!

ドッゴォオ!!!

コニー「ブヘェッ!」ズシャア!

ハンジ「右ハイキックから回転!そのまま続けて右ローキック!しゃがんでいたコニー選手に直撃ィ!」

アニ「…アルミンとあんたの技術は全然違うものだけど、これだけは言えるよ。

アルミンは…あんたより強いから!」ドンッ!

コニー「」ピクピク

エルヴィン「勝者、アニ・レオンハート!」

うおおおおおおお!!!

ジャン「…ある意味順当だったな」

マルコ「まぁ、アニの実力は折り紙つきだしね。

コニーも決して弱くはないんだけど…」

サシャ「蹴り1発で倒されちゃいましたね、コニー」

クリスタ「アニの蹴りがすごかったんだよ!駒みたいにくるってまわってたよ!」

ユミル(ハイキックをかわされた後もその足を下ろさず、勢いを殺さないままに1回転。

その動きがしゃがんでいた馬鹿へのローキックにつながっていったってわけか…)

ミカサ(やはりアニの蹴り技は脅威。かわしきるのも受けきるのも容易ではない)

ライナー「それにしても技術もそうだが、なんか迫力が違ったな…」

ベルトルト「そうだね、鬼気迫るっていうか…」

エレン「やっぱ殺気をまとったあいつはこえぇわ、近づきたくねェ」ブルルッ

アルミン(怖い?かな?)くびかしげ


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ハンジ「キース教官、今の試合をご覧になっていかがでしたでしょうか?」

キース「うむ。レオンハートに関していうことはあるまい。

防御の反応も速く、ガードをしっかり固め、危なげなく敵の攻撃をさばいていた。

最後の蹴り技の威力も申し分ないな」

キース「スプリンガーも我流格闘術と公言するだけのことはある。

トリッキーとはまた一味違う、予想のつかなさというものを見せてもらった」

キース「だが、あいつは基本というものを覚えたほうがいい。

たとえば、敬礼のときの手の向き、とかな」ゴゴゴ

ハンジ「そ、そうですね!い、以上キース教官でした!」

ユミル控室前

ユミル「おし、次はあたしの番だなッ!」

クリスタ「ユミル…無理はしないで?傷だって完全には癒えてないんでしょう?」

ベルトルト「!」

ユミル「大丈夫だって!…ところでクリスタ、この試合、勝ったら結婚してくれ」キリッ

クリスタ「んもう、ユミルったら!」

ベルトルト「ユミル…」

ユミル「…心配そうな顔しなさんな、ベルトルさん。やれるとこまでやってくるよ」スッ

ベルトルト「?なんだい?拳なんて突き出して…」

ユミル「ばぁか、戦場に人を送り出すときなんだから、あれだよあれ。ゴツンて」

ベルトルト「ああ!すまない!………頑張ってくれ、ユミル」スッ

ユミル「おう!」ニッ

ゴツン

ミカサ控室

ミカサ「ではいってくる」スクッ

アルミン「気をつけて、ミカサ。ユミルは強敵だ」

ミカサ「ええ。ユミルは強い。すごく強い。けど。私の方がもっと強い。違う?」

アルミン「あはっ。違わないよ、ミカサ」

エレン「…おい、ミカサ」

ミカサ「エレン…」

エレン「俺は、その、お前ともちゃんと戦いたいと思ってる。

いつまでもお前におんぶにだっこじゃねぇんだってことを証明してやりたいからな」

ミカサ「………」

エレン「だから、ベストな状態のお前と戦って、勝ちたい。…圧勝して来いよ!」

ミカサ「…エレン。心配いらない。私が戦場に立つということ。それはつまり…」

ミカサ「ベストコンディションである。ということだから」スッ

格闘場
エルヴィン「それでは2回戦第2試合、ミカサ・アッカーマン対ユミルの試合を行う。

それでは両者、心臓を捧げよ!」

ミカユミ「ハッ!」

エルヴィン「はじめ!」

ミカサ「…」

ユミル「…」

ハンジ「さぁはじまりました、第2試合!

東洋の神秘といわれる柔術を操る104期主席のミカサ選手VS多彩な足技と戦術眼を持つユミル選手!

まずは両者構えを取ります!」

キース「…アッカーマンは歴代最高レベルの訓練兵だ。

体力、知力はさることながら技術面でも非常に優れている。

アッカーマンに対しユミルがどこまで追いすがることができるのかが勝利の分かれ目となるだろう」

ユミル(かぁ~、なんだよミカサ。さっきからその殺気は…)

ミカサ「………」ゴゴゴ

ミカサ(足がすくんじまいそうだ。しかし、ま、実力差がどんなもんなのか知るためにも、まずは…)ダッ!

ハンジ「ユミル選手!いっきに間合いを詰め右ミドルキックだぁ!」

ミカサ「」スッ

ユミル(おっ、ガードを下げたな!)ギュイン!

ベルトルト(あれは僕の時に見せた途中で軌道が変わる蹴り技!中段から上段へ!?)

クリスタ(ミカサがミドルキックのために下げたガードの上を狙った!?)

ミカサ「」スゥッ

ユミル(前に一歩踏み込んできた!?だがなんだ、この接近方法!?)ゾワッ

キース(すり足…)

ミカサ「フッ!」

パシッ!ガッ!

ユミル「あっ」ズルッ

ドシン!

ハンジ「何とミカサ選手!中段から上段に変化する蹴りの打点をずらし、片手で軽々キャッチ!

そしてユミル選手の右足を掴んだまま自身の右足で軸足を狩る!

あっけなく仰向けに倒したぁ!」

ミカサ「」バッ!

ユミル(足への関節技!?)

ユミル「くそっ!」ブン!

ミカサ「」サッ!

グイッ ストン

ユミル「なっ!?」ズシッ

ミカサ「…ギブアップしてほしい」

控室前廊下

マルコ「…最初、倒したユミルの右足に何か仕掛けようとしてたね?」

ジャン「ああ、おそらく膝か足首への関節技だろうな。しかし…」

サシャ「それを防ぐために残った左足で蹴りを放ったのに、ああもあっさりかわして…」

ライナー「さらに前に進んでユミルに馬乗りになっちまったぞ?」

ベルトルト「でもユミルだって乗られただけだし、ここからどうにかして…」

エレン「いや、あの体勢から抜けるのはまず無理だ」

クリスタ「!?ど、どうして!?」

アルミン「…見ていればわかると思うよ」

格闘場

ユミル「馬乗りにされただけでギブアップだと?

笑わせるぜ!」バッ!

ミカサ「」グイッ

ユミル「!?…ならっ!」ババッ

ミカサ「」グイッグイッ

ハンジ「ユミル選手、身をよじって抜け出そうとしますが、ミカサ選手がうまく動きをコントロールしているようです!」

キース「馬乗りというのは読んで字のごとく乗っている馬に乗り、制御する時の姿勢だ。

馬の動きがダイレクトに伝わってくる分、次に動く方向が読みやすい。

ユミルがどちらに逃げようとするのかはまるわかり、というわけだ」

ユミル(それなら…)

ユミル「…いやぁ、すげぇな主席様は。さっきもあたしを倒す前になんかしただろ?」

ミカサ「そんなことはどうでもいい、ギブアップは?」

ユミル「連れないこと言うなよ?ヒントくらい教えてくれたっていいだろう?」スススッ

ミカサ「ギブアップは?」ゴゴゴ

ユミル「こわい顔すんなよミカサ。

そんなんじゃ愛しのエレンも逃げてっちまうぞ?」

ミカサ「」ピクッ

ユミル(今だ!)ジャッ!

ミカサ「」パシッ

ユミル「!?」

ハンジ「ああっと、ユミル選手!

馬乗りになっているミカサ選手の後方から脚を伸ばして首に引っかけようと試みたようですが、

ミカサ選手に後ろ手でキャッチされました!」

ミカサ「そう。これが答えなのね」ゴゴゴ

ユミル「…てめぇ、後ろに目ん玉でもついてんのかよ?」

ミカサ「………」ゴゴゴ

ミカサ「今からあなたには痛みを与える。

ギブアップはいつでも構わない」スッ

サシャ「ミカサが拳を振りあげましたよ!?」

クリスタ「まさかっ!?」

ユミル(来る!?)サッ

ミカサ「顔はガードしなくていい。あなたは女の子。顔は。狙わない」ブン!

ドッゴォオオオッ!!!

ユミル「イギィッ!!!」

ジャン「馬乗りになったまま…腹にパンチ…だと…!?」

マルコ「まるで子供の喧嘩のやり方だけど、あれは…」

ライナー「打撃音もやべぇなんてもんじゃねぇぞ…」

ベルトルト「ユミル!」ガタッ!

ユミル「ガッハァ!…ゲホッ、ゲホッ」

ミカサ「もう一発いくけど、覚悟は………」

ユミル「うぐっ…。くそぉ…」ポロッ

ミカサ「!」

ハンジ「ミカサ選手の強烈なパンチが腹部に命中~!

ユミル選手のたうち回る!ここでさらに追撃の鉄槌が…あっ!」

バッ!パシッ!グルン!

ユミル「!?」

キース(一瞬にして馬乗りをほどき、右腕を掴んだまま股ぐらで固定した。…これは)

ハンジ「腕ひしぎだぁ~!打撃はおとり!ひるんだ一瞬のすきに関節技を決めたぁ!」

ユミル(今度は右腕かよっ…ってあれ?痛くない?)

ミカサ「…ごめんなさいユミル。失念していた」

ユミル「は?」

ミカサ「あなたが1回戦でベルトルトの強烈な蹴りを腹部にくらっていたことを」

ユミル「!?」

ミカサ「まだ傷が癒えていないのでしょう?

なのに私はあなたの腹部に再び打撃を入れてしまった。申し訳ない」

ユミル「戦いの場でそんなことをおまえは…」

ミカサ「それに。今までの訓練の中で一度も弱音を吐いたことのなかったあなたが、私のパンチに涙を流すなんて不自然」

ユミル(いやそれはガチであなたのパンチが痛くて涙が出たんですが…)

ミカサ「私は痛みを与えると言った。けれど痛めつけるとは言っていない。

だからユミル、お願い。このまま腕をもう少しひねるだけで腕ひしぎ十字固めは完成する」

ミカサ「そうなる前にギブアップしてほしい」

ユミル「………」

ユミル「なんでここの連中はみんな甘ちゃんばっかなのかねぇ…」ハアッ

ミカサ「」グググッ

ユミル「うわぁ待て待て!感傷に浸ってただけだろうが!ギブだ!ギブギブ!」パンパン

エルヴィン「それまで!」

ミカサ「」パッ

ユミル「ああ、いててて」

エルヴィン「勝者、ミカサ・アッカーマン!」

うおおおおおおおお!!!!!!!!!!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


アルミン「ミカサが勝ったね、エレン!」

エレン「しかも一撃もくらわずに…な」

ハンジ「…なんか、あっけなく終わったように思えるのですが…?」

キース「しかたあるまい。アッカーマンとユミルの実力はそれほどまでに大きな差があったということだ。」

キース「あえて解説をつけるとすれば、アッカーマンは投げ、殴り、極めるという動作に何ら迷いがなく、

1つ1つの行動につけいる隙がないように見える。

まるでそうすることが当たり前だと言わんばかりに…」

ハンジ「なるほど。戦闘経験の差、という奴なんでしょうか」

キース(経験の差というよりは、負けることが許されていないといった執念の差…であろうな)

ミカサ控室

ミカサ「戻った」ガチャ

アルミン「おかえり!完勝だったね、ミカサ」

ミカサ「」コクリ

エレン「やっぱ、お前はすげぇよ、ミカサ。

…だが俺だって負けねぇ!次は俺の番だ!」

ミカサ「…エレン」

エレン「あ?なんだよ?」

ミカサ「私も。エレンと戦ってみたい。ので。勝って、エレン。応援してる」ニコッ

エレン「…わかったよ!」プイ

ユミル控室

クリスタ「ユミル大丈夫?」

ユミル「ああ、なんとかな…」

サシャ「あのパンチは完ッ全に殺る気に充ちていましたよ…。

ああ、思い出すだけでも恐ろしい」ガクブル

ユミル「確かにな。………何にもさせてもらえなかったなぁ、やっぱ主席様は強えぇわ」

クリスタ「…頑張ったのにね…」

ユミル「でもま、ミカサの意外な一面は見れたし、面白かったな」シシシ

クリスタ「?」

サシャ「ところでユミル!わたし氷を貰ってきたんです!

さぁ、服をまくってください!冷やしましょう!」バッ!

ユミル「はぁ?そんなもん服の上からでいいだろ?めくらなくたって…」

キュピーン!

クリスタ(あ、お芋を狙ってるときの目だ)

サシャ「ごちゃごちゃ言っとらんで!はよぉ服脱がんかい!」ぺラッ

ユミル「んなっ///…この野郎!さっきのこと根に持ってやがんな!?手をはなせ!」

サシャ「い~や~で~す~!脱げ!脱がんかいっ!」グイーン!

ユミル「やめろ!ああ、こら!ブラまで取れ…」

ガチャ!

ベルトルト「ユミル!大丈夫かい!?氷を貰ってきたん…だ…けど」

ユミサシャクリ「………」

ベルトルト「」サーッ

ユミル「こ…の…変態覗き見野郎がぁ~~~!」ドゴォ!!!

ベルトルト「ギャー!!!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ベルトルト「すみませんでした」土下座

ユミル「いいかっ!?さっき見たこと誰かに話したら、てめぇの股間にぶら下がってるもんが使い物にならなくなるまで蹴っとばすからな!?

わかったか!?」

ベルトルト「はっ、はいぃぃぃ!」ガクブル

サシャ「まったく!ベルトルトはえっちですね!」プンプン

ユミル「もとはといえばてめぇのせいじゃねぇか!」ボカッ!

サシャ「いぎゃ!」

クリスタ「………」

ユミル「…悪かったな、クリスタ。試合前にバタバタしちまってよ」

ベルサシャ「すみませんでした!!!」土下座

クリスタ「…フフ。大丈夫よ、みんな」

ユミベルサシャ「?」

クリスタ「私、今。エレンに勝つことしか考えてないものっ!」ニコッ


格闘場

エルヴィン「それでは2回戦第3試合、エレン・イェーガー対クリスタ・レンズの試合を行う。

それでは両者、心臓を捧げよ!」

エレクリ「ハッ!」

エルヴィン「はじめ!」

エレン「いくぞっ!クリスタ!」

ユミル「どこからでも来て!エレン!」

ハンジ「さぁはじまりました、第3試合!

ともに1回戦はシードのため様子を見ることはできませんでしたが、

キックボクサーのエレン選手VSレイス王家流護身術のクリスタ選手が今、構えを取り対峙します!」

ハンジ「エレン選手にいたっては既に準決勝にコマを進めているアニ選手の一番弟子ということもあって実力は折り紙つきといってよいでしょう!」

ハンジ「一方のクリスタ選手ですが、なんとオドロキのレイス王家流護身術の使い手!

本人が言うには物心ついたときには既に覚えていたというのですから、年季が違います!」

キース「…レンズは格闘訓練時、敵を傷つけることに難色を示していたこともあって、成績は決して良くなかった。

なにより気迫というものが感じられなかったな」

キース「対するイェーガーは貪欲に格闘術を学び、持ち前の気迫と不屈の精神でメキメキと実力を伸ばしてきた。

二人の格闘技に対する思い入れは間逆といってよいだろう」

キース(…しかし、今のレンズにはどこか訓練時とは違う何かを感じる。

イェーガーがそれに気づくのが遅れるとあるいは…)

クリスタ「ほら、エレン。おいでよ」クイクイッ

エレン「言われなくても!」ダッ!

ハンジ「エレン選手、ダッシュ!そして右手を振りかぶり、右ストレート!」

クリスタ「フッ!」サッ

エレン(クリスタの左手が俺の右腕を外側から押して、パンチの軌道を変えた!?)

エレン「なろっ!」バババッ!

ハンジ「エレン選手!1発目をかわされましたが、足を止め撃ち合いに挑む!パンチの連打連打連打ぁ!!!」

キース(むっ?)

クリスタ「」サッ、パシッ、スッ

アルミン「クリスタがエレンのパンチを全てさばいている…」

ジャン(エレンのパンチも決してトロくねぇ!あの連打をガードしねぇのか!?)

マルコ「!?見るんだ!クリスタの足元を!」

ライナー「一歩も動いてない…だと…?」

ハンジ「なんとクリスタ選手!エレン選手のパンチをときにかわし、ときにずらしながらその場を全く動かずにしのいでいます!

まるで組手稽古を見ているかのよう!」

キース(ここまでとは!クリスタ・レンズ!)

エレン「クッソ!ならこいつでどうだ」ブンッ!

クリスタ(右ローキック!ここは…)グッ!

ガシィッ!

エレン「!?」

クリスタ「んぎっ!…はぁ!」ブン!

バシッ!

エレン「うおぁっ!」

ドシン!

ハンジ「パンチはかわしていたクリスタ選手!しかし、ローキックは左足すねに被弾!」

キース「だが、ローキックをけん制として使ったイェーガーにとってはかわされなかったことの方が予想外だったのだろう。

レンズの右ローキックの反撃に反応が遅れ、軸足を狩られ、転ばされた」

エレン(寝技かっ!?来る!?)バッ!

クリスタ「」シーン

エレン「…なんだよ、クリスタ?チャンスじゃねぇか、来いよ?」

クリスタ「フフ、エレン。そんなとこで横になってないで、立って戦いなよ?」ニコッ

エレン「ああっ!?」ズダッ!

ハンジ「エレン選手跳ね起きる!そして、再びパンチの連打ァ!」

クリスタ「」サッ、パシッ、スッ

エレン(…パンチの連打はさばけるみてぇだなっ。けどっ!)ブワッ!

クリスタ「クッ」ザッ!

エレン(やっぱり!キックには逃げだ!ただ下がるだけ!ならっ)バッ!

クリスタ「…くぅ!…あっ!」スッ ビシッ! パッ ビシッ!

ハンジ「エレン選手、コンビネーション攻撃です!

パンチの連打の最中にキックを織り交ぜてきました!

クリスタ選手、パンチはさばいていますが、ローキックやミドルキックは何発か被弾!

苦しくなってきました!」

アルミン「…おかしい」

ミカサ「…アルミンもそう思う?」

アルミン「うん。あのパンチの嵐を難なくさばけるんだ。

いくらキックの対処が苦手だったとしても、攻撃を受けすぎている…」

コニー「ただ苦手なだけなんじゃね?」ポリポリ

マルコ(コニー、いつの間に…)

ジャン(アニに気絶させられてたはずじゃなかったのかよ…)

ユミサシャ「………」

アニ「…あんたたちはクリスタの心配をしてないんだね」

ユミル「…おやぁ、愛弟子の方は見てなくていいのか?アニちゃん?」ニヤニヤ

アニ「」ギロッ

アニ「………ハァ。…あの子の瞳を見てりゃわかるよ。クリスタは全然焦っていない。

むしろ何かを待っているって感じだ。一方でエレンは何をあんなに焦って攻撃しているんだか…。

打撃も威力が損なわれているし、単調だ」

サシャ「その通りです。私も打撃系なのでわかりますが、

今のエレンは攻撃をさばかれたことが悔しいのか、ローキックが当たったことに気を良くしたのか、

キックを当てることに専念し過ぎてしまっています」

ミカサ「おかげで当たったとしても本来の威力としては程遠い。

ので。クリスタはあの体格差であっても、エレンの蹴りに耐えられている」スゥッ

ユミル「うぉお!?どこから湧いて出た!?つーかどうやって背後に!?」

ミカサ「すり足。あなたとの試合の投げ技の前にやった。あれ」シレッ

ユミル「ああ、あれか…。ほんとスッって感じで近づいてくるなぁ…」

アニ「………」

ミカサ「ところでユミル、おなかは大丈夫だろうか?」オズオズ

ユミル「へっ、たいしたことねぇよ。…とりあえず今は彼氏の心配でもしてな」

ミカサ「………」

ミカサ「エ、エレンは家族。…ので。彼氏、ではない///」カァ

サシャ(キャワワ!)

格闘場

クリスタ「くぅ!」ドタッ

ハンジ「ああ!クリスタ選手!片膝をついたぁ!ダメージが積み重なったか!?」

キース(いやこれは…)

エレン(行ける!俺が練習してきたことは!間違っちゃいなかった!)ビュッ!

ハンジ「膝をついたクリスタ選手の頭部めがけて左ローキックッ!」

クリスタ(かかった!)シュバ!

エレン(俺の左ローキックのさらに下をスライディング!?)

ガシッ!ガッ!

キース(イェーガーの蹴り足である左足首を頭の上で掴みながら、

仰向けになった体を股下まで滑り込ませ、残った軸足に己の右足を巻きつけた!)

クリスタ「んぎぃ!」ガバッ!ダッ!

エレン「うわっ!」グルン!

アルミン(掴んでいたエレンの足首を支点にして上体を起こし、残った左足で地面をければ…)

ドシン!

エレン「グハッ!」

サシャ「エレンが顔面から地面に叩きつけられました!」

ユミル(相手の足を持った一本背負いみたいな技か…)

アニ(両足をロックされたまま、前方に投げ出された。

…体の一部がロックされたまま投げられるということは、たとえそれが受け身に関係ない場所であっても、

焦って受け身を取り損ねることがある。…やられたね、エレン)

クリスタ「」ガバッ!

エレン「…ハッ!クソッ!」ズダッ!

クリスタ(逃がした…)

ハンジ「なんだかわかりませんが、すごい投げ技が出ました!

そして投げ切った後、足に何かしようとしたクリスタ選手ですが、エレン選手、なんとか逃げることに成功!」

エレン「…あれ?」フラッ

キース(受け身を取りそこなったな。頭を強打している)

クリスタ「!」ダッ!

エレン「…ハッ!ヤベッ!」ブン!

クリスタ「」パシッ

ガシッ!

エレン「!?」

ハンジ「ふらついたエレン選手に対し、距離を詰めるクリスタ選手!

大ぶりの右ミドルキックをなんなくさばき、エレン選手の襟首と左腕を捕まえた!」

アルミン(キックをさばいてる!やっぱりいつでもかわせたんだ!)

ミカサ(キックを受け続けたのは、ここぞというタイミングでキックを使わせるため)

エレン(くそっ、掴まれた!振りほどかないと!)バッ!

クリスタ「」スッ 

エレン(振りほどくために引いた左腕の動きに合わせてクリスタが接近してきた!?)

クリスタ(後は右足を股ぐらから差し入れて、エレンの左足かかとの裏に添える!

最後にエレンに体重を預けるように押せば…)グッ

エレン(足を引っ掛けられた!?だめだ、耐えきれない!倒れ…)グラッ

クリスタ(ごめんね、エレン)ソッ

ライナー「倒れこみながら、襟首を掴んでいた左手のひじをみぞおちに添えた!?」

ベルトルト「!?マズいっ!」

ドシン!ドスッ!!

エレン「カッハッ!」

サシャ「地面に叩きつける衝撃に合わせて、全体重が乗ったひじをエレンのみぞおちに!?」

ユミル(なんてぇ、えげつない攻撃しやがる、クリスタ!?)

クリスタ「」バッ!ガシッ!

エレン「う…あが…」ギリギリギリ

マルコ「投げ終わった後の追撃も早い!

アキレス腱固め!?」

アルミン「今の投げ技でほとんどKOに近いのに!

関節技で勝負を決めるつもりだ!」

クリスタ(お願い!これでギブアップして!)グググッ

エレン「あ…うがぁ…」ギリギリギリ

ハンジ「再びとんでもない技が炸裂~!投げと打撃の複合技です!

さらに!エレン選手が倒れてもクリスタ選手は追撃の手をゆるめません!

右足にアキレス腱固めをがっちりと極めたぁ!」

キース(レイス王家流護身術…。

相手に受け身を取らせない投げ技や投げの最中に打撃で追撃を加える必殺の格闘術か。

まさに王家を狙う逆族を瞬殺するために編み出された技!)

キース「…投げ技の技量に関して言えば、レンズは104期一かもしれんな…」

クリスタ「エレン!ギブアップは!?」グググッ

エレン(だめだ…痛みで意識が遠のく…俺はここで…負けるの…か…)

ミカサ「!エレ…」

ジャン「この死に急ぎ野郎がぁあああああああああああ!!!!」

一同「!?」

ジャン「てめぇ!!!俺との約束はどうしたぁああ!!!

俺と戦るんだろっ!?負けるなっつっただろ!?」

エレン「ジャ…ジャン?」

ジャン「てめぇの意思はそんなもんなのかよっ!!!

巨人どもを駆逐するとかふざけたこと言っておいてよぉお!!!」

ジャン「同期1人にすら勝てねぇでどうすんだぁああああああ!!!!!!」

エレン「!!!」

アニ「…やっぱり男の子っていいなぁ」ボソッ

アルミン(だから君は可愛らしい女の子なんだってば!)

アルミン(………い、今、僕!なんか変なこと考えてた!?///)

エレン(…ったくあの馬面がぁ!好き勝手言いやがって…)

エレン(そうさ、俺は巨人どもを駆逐するために訓練兵になったんだ!

巨人に勝つ以前に人間1人に負けてちゃあ…)

エレン「この先やっていけないだろうがぁあ!!!」グワッ!

クリスタ「!?」フワッ

サシャ「エレンの右足にしがみついている状態のクリスタが宙に浮きましたよっ!?」

ユミル(いくらクリスタが軽いとはいえ、アキレス腱固めされたまま足にしがみついている人間を持ち上げるのかよっ!?)

エレン「がぁああああ!!!」ブン!

クリスタ「グッ!」ズシャ!

ハンジ「エレン選手!クリスタ選手がしがみついていた右足ごと振りあげ、地面に叩きつけたぁ!

クリスタ選手が蹴りはがされて!アキレス腱固めより脱出しましたぁ!」

クリスタ「…エレン、やっぱりあなたはすごいよ!」

エレン「ハァハァ…。クリスタ。俺はまだ、負けられない。

巨人共を駆逐するまで、倒れるわけには…」

エレン「いかないんだっ!」バッ!

クリスタ(左ミドルキック!これなら…)ガシッ

ハンジ「エレン選手の左ミドルキック!

しかし、クリスタ選手!キックの衝撃を上方へといなしながら、蹴り足をキャッチ!」

クリスタ(そして軸足を狩って…えっ!?)

バッ!

エレン「うおおおおおっ!」ブオン!

ドギャッ!

クリスタ「きゃっ!」ズシャ!

ライナー「軸足を狩られる前に自ら飛んで空中で右回し蹴り!」

ベルトルト「しかもクリスタはエレンの左足を両手で掴んでいてガードできなかった!初のクリーンヒットだ!」

マルコ「…君の声が効いたみたいだね」

ジャン「けっ!」

クリスタ(これがエレンの本気のキック…。

痛いよ、頭ががんがんするよ…)ヨロッ

クリスタ(でも、フラフラなのはエレンも同じ、なら…)

クリスタ「私にだって!勝機はまだある」ダッ!

ハンジ「クリスタ選手仕掛けに行ったぁ!」

エレン「」ブン!

クリスタ(左ストレート!それなら!)サッ パシッ

アルミン「左ストレートの軌道をそらして、エレンの左側に回り込んだ!?」

マルコ「いや!それだけじゃない!エレンの左ひじを左手で捕まえてる!」

コニー「あれを捕まえるなんてクリスタの反射神経、一体どうなってんだよ!?」

クリスタ「はぁ!」ジャッ!

ドッ! グラッ!

サシャ「エレンのひざ裏に右のローキックを!?」

ユミル(あそこを蹴られると膝の力が抜ける!エレンの体を崩した!)

クリスタ「」グイッ!サッ!

アニ(そのまま掴んだ左ひじを引っぱれば、エレンは左側に倒れる)

ライナー「残った右手でエレンの頭を抑えつけた!」

ベルトルト「そのままエレンの頭部を地面に叩きつけるつもりなんだ!」

クリスタ(ごめん、エレン!あなたを気絶させるしか、もう勝ち目はないの…)グッ!

ダンッ!

クリスタ「!?」

ハンジ「なんと、エレン選手!完全に体を崩されながらも!

左足を踏みだしがっちり地面をとらえた!倒れません!」

クリスタ(投げきれなかった!ここはいったん離れて…)バッ!

エレン「」ブォン!

ズドォッ!

クリスタ「いぎゃ!」ズシャア!

ハンジ「エレン選手の右ローキックがヒット!すごい威力です!クリスタ選手が数mは吹っ飛んだぁ!」

キース「あれこそがイェーガー本来のキックの威力だ」

クリスタ(痛い痛い痛い!エレンのキックは何発か受けてたけど、こんなに痛いのは初めてだよっ!?

今のを頭なんかにを受けたら…)チラッ

エレン「」ダッ! ブン!

クリスタ「ひっ!」ザッ!

ハンジ「クリスタ選手後ろに飛びずさり左ハイキックをかわします!

しかし…」

ドッ

クリスタ「へっ?」チラッ

キース「後ろは木でできた観客席のための壁だ。もう逃げられん」

クリスタ「ハッ!?」

エレン「」ギラリ

クリスタ「ひぃいいっ!」

エレン「」ブォン!

クリスタ(し、死ぬ!?)

クリスタ「…私の負けですぅううううう!!!!!」サッ!

ドガシャアアアッ!!!!!!

一同「!?」

パラッ パラッ

クリスタ「ハァ…ハァ…ハァ…」ガクブル

エレン「………」

キース(しゃがんだレンズの頭上で蹴りが止まっている。しかし…)

ライナー「観客席の木板でできた壁が粉々に…」

ベルトルト「右ハイキックの軌道を描いた半円状に穴が開いちゃってるよ…」

アルミン「…すごい」

エレン「」スッ

クリスタ「ひっ!」ビクッ!

エレン「ありがとな、クリスタ」

クリスタ「へ?」

エレン「おかげで思い出したよ。俺には、この蹴りが必要だったんだ。

ただ当てるためじゃない、必殺の、相手を倒すための蹴りがさ」

エレン「お前との戦いで思い出せた。ありがとう。…またやろうぜっ!」ニッ

クリスタ「………」

クリスタ(ああ、いつものエレンに戻ってる…。これなら怖くないよ)

クリスタ「その時はちゃんと、手加減してね」ニコッ

エレン「え?やだよ、お前強いし」

クリスタ「」

エルヴィン「勝者、エレン・イェーガー!」

うおおおおおおおおおお!!!!

控室

ユミル「…ったくなんなんだよあの蹴りは…。

アニ、てめぇなんてもん教えてんだよ」

アニ「フン。あたしは蹴り方を教えてやっただけだ。

威力の強弱なんて、あたしは知らないよ」スタスタ

ユミル「けっ。そうですかっと。…あ、クリスタ!」タッタッタッ

クリスタ「ユミル…」

ユミル「大丈夫かよ、クリスタ?」

クリスタ「うん、まぁね。ローキックを受けた足がかなり痛いけど、冷やしておけば大丈夫だって」

ユミル「そうか」ホッ

クリスタ「…あたしね、最後、逃げちゃった…。

エレンが怖くて…。恐怖に負けちゃった」

ユミル「………」

クリスタ「やっぱり昨日の今日で性格を変えるなんて無理だったんだよ…」

ユミル「!クリス…」

クリスタ「だからユミル!これから一緒に特訓しよう!

あたしが恐怖に逃げ出さないように!

協力してくれるよね、ユミル!?」キラキラ

ユミル「!」

ユミル(こいつはもう、大丈夫そうだな…)

ユミル「おう!いつでも手伝ってやるぞクリスタ!」ガシガシ

クリスタ「もう!髪をぐしゃぐしゃにするのはやめてよっ!」プンプン

エレン控室

エレン「いてぇよ、ミカサ」

ミカサ「じっとしていて」チョンチョン

アルミン「そうだよ、しっかり消毒しておかないと…。化膿したらどうするんだい?」

エレン「ったく…」ジッ

アルミン(そんな態度取っていても自分でやらずにミカサのなすがままにされてるんだから。

ほんと素直じゃないよね…)フフフ

エレン「…なぁミカサ」

ミカサ「なに」

エレン「俺、勝ったぜ?完勝とは行かなかったけどよ」

ミカサ「うん」

エレン「…俺と当たっても…怪我してるからって…手加減すんなよ?…約束しろ」

ミカサ「…うん」

アルミン(やっぱりまだ少しぎこちないな…。でもごめん。今はそれどころじゃ…)


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ハンジ「第3試合はエレン選手の勝利となりました!」

キース「レンズがあそこまでやれるとは予想外だった。

あそこまで洗練された格闘術はそう見られるものではない」

キース「ただイェーガーの気迫はやはりすさまじい。

しかもそれは、ちゃんとした実力によって裏付けされたものだ。

前評判通りの格闘センスを持っているようだな」

キース(人は恐怖によって足がすくむ。

レンズにはまだまだ足りない部分が多そうだ。

そしてイェーガーもまた、技術としては粗削りなところがある…)

キース「まだまだ奴らを鍛えてやらねばいかんようだな…」ボソッ

ハンジ「?以上、キース教官でした。それでは第4試合に移行します!

ライナー選手VSジャン選手です!」

ブゥーーーーーーーー!!!!!

ハンジ「!?」

格闘場入口

ライナー「わかってはいたが…これは…」

ジャン「ブーイングの嵐だな」ケケケ

ライナー「やはり棄権したほうが…」

ジャン「馬鹿。ギブアップでなく、怪我での棄権でもないそれは敵前逃亡とみなすって教官が言ってたろ?

覚悟を決めろ。行くぞ!」ザッ

ライナー「う、うむ」ザッ

格闘場

エルヴィン「それでは2回戦第4試合、ライナー・ブラウン対ジャン・キルシュタインの試合を行う。

それでは両者、心臓を捧げよ!」

ライジャン「ハッ!」

エルヴィン「はじめ!」

ブゥーーーーーーーー!!!!!

ハンジ「さぁ、大ブーイングの中試合が始まりました。この戦いどう見ますか?」

キース「…ブラウンは打撃系の、キルシュタインは組技系の選手を破り、ともに2回戦に駒を進めてきている。

ブラウンがボクシングのパンチ技術に耐えきれるか、キルシュタインがプロレス技に捕まらずにいられるかが勝負の分かれ目だな」

ハンジ「なるほど。両選手にらみ合いの中、先に動くのはどっちだ!」

ライナー(…ここで不用意にジャンに勝ってしまうと、みんなからの評価がさらに落ち込む可能性もある。

何か卑怯な、最低なことをしたんじゃないかって具合に…)

ライナー(ベルトルトとの約束もあるが、優勝はアニにしてもらうとして俺は…)

ジャン「おい、ライナー。いいことを教えてやるぜ?」

ライナー「…なんだ?」

ジャン「アルミンと話したんだがよ、

今日のお前の評価をひっくり返す方法があるらしいぜ?」二ヤッ

ライナー「何!?ほ、本当か!?」

ジャン「ああ、俺もそれを聞いてなるほどと思ったぜ?」

ライナー「一体どうすればいいんだ!?」

ジャン「…俺に勝てばいいのさ」

ライナー「は?」

ジャン「この試合で俺に勝てばいい。詳しく話してやる時間はねぇが、とにかくお前は俺に勝てるよう全力を尽くしな。

あとはアルミンがなんとかしてくれる。

…まぁ、俺に勝てたらの話だが、なっ!」バッ!

ライナー「!?」

ジャン「オラッ!」ブン!

ドゴッ!

ライナー「ウグッ!」

ハンジ「ジャン選手一気に距離を縮め、右ボディ!そしてバックステップ!」

ライナー「…おい、俺に勝たしてくれるんじゃないのか?」

ジャン「俺はそんなこと一言も言ってねぇ。俺はこの大会に優勝して、商品をゲットする」

ジャン「3日間の休暇。2週間の夕食に肉料理の追加。さらに教官に叶えられる範囲の願い事1つだ。

これを逃すなんて馬鹿な考えはねぇよなぁ?」

ライナー「それは…俺よりも大事なことなのか?」

ジャン「気持ち悪い質問してんじゃねーよ。俺は自分が幸せなら他はどうだっていいんだよ。

内地で暮らすために俺はどうしても叶えてもらいてぇことがあるんだ」

ライナー「…なるほど。お前はそういう奴だったな。

いいだろう!なら俺はお前を倒し、アルミンと協力して汚名を返上してやる!」ダッ!

ジャン(ショルダータックル!)サッ!

ライナー「おうらっ!」グワッ

ジャン「チッ!」ササッ

ハンジ「ライナー選手のショルダータックル!さらに!左にかわしたジャン選手に、右ラリアート!

だがどれも当たらない!」

ジャン「てめぇみたいなパワー馬鹿に!この俺が捕まるかよっ!」バババッ!

ドガドガドガッ!

ライナー「ぐむっ!」

ハンジ「コンビネーション!右ジャブ、左ボディ、右ボディのパンチ3連発です!」

キース「ブラウスと同じく、ガラ空きのボディ狙いか。

ブラウンも変わらず腕を上げて頭部を集中してガードしているな」

ジャン(サシャの戦術は間違ってねぇ!

ガードの上から殴ったってライナーには効きやしねぇンだ!

ならその自慢の腹筋を打ち砕くしかねぇ!)ババッ

ドガドガッ!

ライナー「いぎっ!」

ハンジ「今度のコンビネーションは2発!

左ボディ、右アッパーが炸裂!ライナー選手棒立ちです!」

観客「いけぇ、ジャン!ライナーなんかKOしちまえ!!やれやれぇそこだぁ!!!」

キース「…品のない声援だな」ギロッ

ライナー(くっ!前の試合でのダメージがまだ残ってる上にサシャよりも威力がある!

これはあまり悠長に受け続けるわけにはいかん!

…ここだッ!)バッ!

ジャン「シッ!」

ズガッ!

ライナー「ぐおっ!」ビリビリ

マルコ「…ボディボディと見せておいて、ガードが下がったら顔面にフック。定石だね」

アルミン「うん。ほんとは威力の強いストレートにしたいところなんだろうけど、まっすぐ打ち込むことになるから…。

かわされたら、ライナーに捕まっちゃうしね」

クリスタ「2人とも悠長なこと言って!」

サシャ「そうですよ!このブーイングの嵐!ひどすぎません!?」

クリスタ「それに…あっ!」

ライナー「このぉ!」ダッ!

ハンジ「ライナー選手!今度は相手を捕まえるための腕を大きく広げたタックル!」

ジャン「フッ!」ブン!

ドゴォ!!!

ライナー「グオッ!」ブシャ!

ジャン「クッ!」ブワッ!

観客「いいぞー!ライナーの額が切れて血が出た!!かまうこたぁねぇ!追撃だぁ!!!」

エレン「みんな、ライナーがやられて喜んでやがる…」ギリッ

コニー「ライナーは悪い奴じゃないっていうのによぉ…」ギリッ

ベルトルト「ところで、なぜサシャと同じ状況なのにライナーにダメージが?」

ミカサ「それはサシャとの体格差のせい。ジャンには体重があるからタックルの衝撃にも持ちこたえている。

そして何より、ジャンの右ストレートには力があるということ」

アニ「それに、ライナーに一撃を加えた後は突進の力を利用して素直に吹っ飛ばされることで、タックルに捕まることを防いでいるね。

これもある意味ヒットアンドアウェイだ」

ジャン「おっととと」スタッ

ライナー「ぐぅ…」ダラダラ

ハンジ「ジャン選手吹っ飛ばされながらも着地!ライナー選手は額より出血!大丈夫でしょうか?」

観客「いいぞー!やれやれー!決めちまえ、ジャンー!さっさとやられろライナー!」

ジャン「…そろそろいいか…」ボソッ

ジャン「オラァッ!」ズドドドド!!!!!

ライナー「うがぁあああ!!!」ドカッ!バキッ!ズドッ!

キース(む?)

ハンジ「ジャン選手ラッシュをかけます!

ジャブ、アッパー、ボディと3打、4打!まだ続きます!」

キース(キルシュタインらしくない…。まだフィニッシュには持ち込めんことはわかっているはずだ。

あれだけ連打しては…)

ライナー「うおおおおおっ!」ガシッ!

ジャン「!」

クリスタ「ジャンが捕まった!?」

ユミル「勝負を焦ったな、まだライナーは打撃に耐えられる状態だったはずだ」

ライナー「ふがあぁっ!」ブン!

ドシン!

ジャン「んがっ!」

ハンジ「ジャーマンスープレックスだぁ!ジャン選手猛攻から一転!

ライナー選手の反撃によりKO…あっ!」

ジャン「クッ!」バッ ダダダッ!

ハンジ「いやジャン選手跳ね起きて距離を取る!まだ終わっていません!」

キース「受け身がしっかりとれているな。まだまだ冷静なはずだ。しかし…」

ハンジ「?しかし、なんです?…あ!」

ジャン「おおっらっ!」ジャッ!

ズガッ!

ライナー「グッ!…何のぉ!」ブン!

ズビシッ!

ジャン「ガッ!…っのやろ!」ジャッ!

コニー「ジャンの左ストレートをくらったライナーが右手のチョップで反撃した!?」

サシャ「足を止めての打撃の打ち合いですか!?」

ベルトルト「いや、ライナーも捕まえようとはしている。だけど…」

アニ「ライナーが前に出てくるタイミングを狙って、ジャブでけん制してるね」

エレン「タックルさせてもらえないから打撃を使っているライナーはわかるが、なぜジャンは避けないんだ!

あいつならライナーの打撃ぐらいかわせるだろっ!」

アルミン「…ジャンが心配かい?エレン?」

エレン「はぁ!?誰があんな奴…。っていうかさっきからアルミン!

妙に冷静だけど、お前は腹がたたねぇのか!?」

アルミン「ん?観客のヤジのこと?」

コニー「そうだぜ!?マルコ達もなんか落ち着いてるしよぉ?」

エレン「クリスタやサシャもさっきは怒って…

ってあれ?なんか静かじゃねぇか2人?」

コニー「?」クルッ

ユミル「ハァア~。ほんとお前らは馬鹿だなっ!」

エレコニ「なにぃ!?」

クリスタ「私も最初はひどいなって思ってたんだよ!?でも…」

サシャ「アルミンの落ち着き具合とジャンの戦術が急変してなんとなく気付きました…」

ミカサ「…エレン。アルミンとジャンは2回戦が始まる前に話し合いをしていたでしょう?」

エレン「はっ!」

アニ「そしてアルミンのあの落ち着きよう。何かの作戦に決まっているだろう?」

コニー「そうなのか!?」

マルコ「とにかく今は試合をしっかり見ようよ。ジャンがピンチなのは変わりないしね」

ドガッ!

ライナー「ゼィゼィ…」

ジャン「ハァハァ…」

ライナー(なんとか攻撃は当たっているが、ジャンはしぶとい。

うまく打点をずらして威力を殺しているようだ。

…だが捕まえさえすれば…)

ジャン(こんだけボコったんだ。いい加減本気で捕まえにこい、ライナー!)

ジャン「うおおおっ!」ブン!

ドゴォッ!

ハンジ「ジャン選手もう何発目か!?ボディへの左ストレート!」

ライナー「ぐむぅ!」スッ

キース(ブラウンが両手を組んで振りあげた!これは…)

ライナー「がぁああああ!!」ブォン!

ドゴン!

ジャン「うがっ!」

クリスタ「ヒッ!」

マルコ「ライナーの両手を組んだハンマーパンチがジャンを叩きつぶした!?」

ユミル「いやまだだ!」

ジャン「ぐうう…」ガシッ

ライナー(なんとか俺の腰にしがみついて倒れなかったようだが…)

ライナー「ふんがぁあ!」ズオッ!

一同「!?」

ハンジ「腰にしがみついていたジャン選手を引っ込ぬいたぁ!」

キース(いくら鍛えているからとはいえ人間をあんなに高く持ち上げるとは!)

ライナー「くらえぇええ!!!」

ズガシャアアアアア!!!!

ジャン「がっふぁあ!!!」

一同「………」

エレン「パワーボム…かよ…」

マルコ「ジャンを自分の頭より高く持ち上げて…」

ミカサ「頭から地面に叩きつけた」

アルミン「………」

ライナー「ゼハァッ…ゼィゼィ…」

ハンジ「終わった…。終わってしまった…。

まさに壮絶な一撃!思わず言葉を失ってしまいました!」

キース「………」

ベルトルト「ライナーが…勝ったのか…?」

観客「ライナーが勝った?

ジャンが押していたのに?

でも途中から互角だったような…」

…インチキしたんじゃね?

ベルトルト「!?」

エレン「っ!誰だ!いまクソみてぇなこと言いやがっ………あ!」

ジャン「」フラァ

ハンジ「立った…!た、立ちました!ジャン選手立っています!

あの攻撃をくらいなお…立ち上がりましたぁ!!」

おおおおおおおおおおおおお!!!!

観客「これはどっちが勝つかわからないぞ!

えっ、でもライナーは最低な…。

今の試合でそんなことやってたかよ!?

いやでも、もしかしたら…」

ざわざわ

アルミン(…ここまで狙い通りにことを運べるなんて…。だけど問題はこのあと…)

ライナー「おまえはなぜ、まだ立ち上がれるんだ、ジャン?」ゼェゼェ

ジャン「…知るか。…もう…しゃべる力が勿体ねぇ…。男なら…拳で語れ!」ダッ!

マルコ「ジャンが前に出た!」

ライナー(最後の攻撃か…。

お前はサシャと同じようにひたすらに腹筋を狙ってきた。俺の腹筋はもうボロボロだ。

チャンスはもうここしかない!最後の力で腹筋をぶち破る!)

ライナー(…そう考えてガードを下げたところで頭部狙い、だろ?

わかってんだよ!マルコを一撃で屠ったあのパンチ…。

あれがお前の最強の必殺技だってことくらいなっ!)

ライナー(だから腹はくれてやる!

俺はその一撃を耐えて、お前を投げ切る!それだけだ!)

ジャン「シッ!」ブン!

ライナー(狙いは頭部!だがガードは間に合うっ!)サッ!

ザクッ ボキィ!

一同「!?」

ライナー「…手刀…だと!?」

マルコ「あのライナーが太い両腕を顔の前できっちりガードしてたら打撃なんて全く通らない…。でもだからって…」

ベルトルト「右手を手刀の形にしてライナーの両腕の隙間に無理やり突っ込んだ…」

サシャ「でもボクシングは拳を握る格闘技ですよ!?」

アニ「そう…。だから指先を特別鍛えているわけじゃないジャンがあんなスピードでライナーの分厚いガードに打ちつけたら…」

ミカサ「ジャンの右手は。無事では済まない」

グシャア…

クリスタ「うっ…」

ユミル「指先が完全に折れてやがる…」

ライナー「お前…何を…。手刀は途中で止まっている!お前の攻撃は全くの無意味だ!」

ジャン「しかたねえだろ…。こうでもしなきゃよぉ…」グググ

ライナー(差し込んだ右手で俺のガードに隙間を作った…だと!?)

ジャン「てめぇの顔面に…。威力最大の左ストレートを食らわせる手段が…」グッ

ジャン「ねぇんだからな!!!」ブォン!!!

ドッゴォオオオ!!!!

ライナー「ガッハッ!!!」

フラフラ ズズンッ!!!

ジャン「ハァハァ………。すぅうううう…」

ジャン「おっしゃああああああああ!!!!!!!」

うおおおおおおおおおお!!!!!

ハンジ「ジャン選手が!勝ちました!あの状況下で究極の選択!

右手を犠牲にしながらも打ち込んだ渾身の左ストレート!

まさに肉を切らせて骨を断つ!これこそ死闘と呼ぶにふさわしいでしょう!?」

ライナー「くそ…、体が…、動かん…」ゼィゼィ…

エルヴィン「勝者、ジャン・キル…」

ジャン「はっはぁ!!!見たかお前ら!!!俺にかかれば次席なんてこんなもんよ!!!」

一同「!?」

ジャン「こんなこともできねぇなんて!やっぱりお前ら!たいしたことねぇなぁ!」

ザワッ

ジャン「ああそうか!そもそもお前らにはこの大会に出場することすらできてねぇんだったなっ!

…実力がねぇから!」

観客「………」

観客「なんだとぉ!ジャン、貴様ぁ!取り消せぇ!」

ブーーーー!!!ブーーーーー!!!

エレン「何やってんだ、ジャン!これじゃライナーと変わらないじゃないか!」

ジャン「しか~~~~し!!!そんなお前らに朗報がある!!!」

一同「!?」

ジャン「俺はこの大会でこのまま優勝する予定だが、俺はこの格闘技術を俺だけのものにしておく気はさらさらない!!!

ジャン「お前らの中で!キルシュタイン流ボクシング技術を学びたい奴はいねぇか!?」

一同「!?」

ジャン「学びてぇ奴は!次の休暇から俺様の部屋に来い!休日返上でレクチャーしてやる!

格闘訓練での成績を絶対に上げさせてやるぞ!」

ジャン「次の格闘訓練の評価で!抜きんでた成績をゲットして!

ここにいる有象無象の中から飛び出したくはねぇか!?」

一同「!?」

ジャン「ただし!入門には条件がある!

それは!この大会中、見事俺様の悪役を演じてくれたライナーと!

そのやられ役を演じたサシャに!

受講料としてその日のパンを1/4ずつ献上することだ!

俺様の技術が得られるなら安いもんだろう!?」

ざわざわ

観客「…えっ?なんでライナーとサシャにパンを?っていうか演技ってどういう…」

ジャン「俺様はなぁ!お前ら有象無象を鍛え上げ!ただの一般兵士の集まりを!

最強の格闘兵士軍団に進化させたという素晴らしい実績をひっさげて…」

ジャン「どうどうと憲兵団に入団してやるんだぁ!!!」

ジャン「ぜえ…ぜえ…ぜえ…」

観客「………」

どっ!

観客「そういう魂胆かよ!ジャンらしいわ!ちゃんと1から教えてくれるんでしょうね!?

ライナーとサシャを利用してまで憲兵団に媚びをうるとか!じゃあライナーとサシャは演技を!?すっかり騙されたわ!

よく考えてみりゃライナーがあんなひどいことするか?サシャだって、反則使ってまで勝つような子じゃないよ!?」

ワイワイガヤガヤ

ミカサ「すごい」

クリスタ「ライナーとサシャの悪名を晴らしたうえで…」

エレン「自分の人間性を逆手にとって観客を煽り…」

ユミル「観客全員を味方にしやがった…」

マルコ「…これがアルミンとジャンの作戦。どんな頭なら考え付くって言うんだ…」

サシャ「それを完璧にこなしたジャンもすごすぎますよ!」

アニ(なんとかうまくいったみたいだね…。でも…)

観客「でもよ…。じゃあライナーとサシャの試合は八百長ってことか?」

一同「!?」

アニ(気付かれた…)

観客「確かに!ライナーとサシャが戦ってライナーが勝つってことまで決まってないとおかしいよなこれ?

しかもライナーが勝った後都合よくジャンと当たるか普通?」

ジャン(そうだ…。俺が考えたこの作戦には穴がある。

アルミンに話した時も指摘された。だがアルミンは何とかするからうまくやってくれと言った)

ジャン(だから俺はライナーと互角の戦いを見せたうえで勝利することで観客に戸惑いを与えた。

ライナーが正々堂々真剣勝負をしているとアピールした)

ジャン(そこに俺の演説で無理やり事態を丸めこんだ。だがこのままじゃあ…)

アルミン(…そう。誰かが冷静になって考えればわかることなんだ。この大会のモラルを覆す大問題があったってことに…)

アルミン(…でも、この騒動はある人にとって、メリットとデメリットがある。

そして訓練兵の僕ですら気づくことなんだ。

あなたなら気付かないわけないですよね?)

アルミン(キース教官?)

キース「静まれぇぇえええええええ!!!!」

観客「!?」シーン

キース(この騒動…。キルシュタインだけの策ではあるまい。おそらくアルレルト。

貴様はこの大会の運営に上層部に関わっていることを知った上で、わざと八百長の発覚などという嘘が伝染するように仕向けたな?)

キース(大会が八百長によって中止ともなれば、運営上の問題となる可能性がある。

だから貴様は進行に支障が出るような状況になれば、かならず私が口をはさんでくると読んだ)

キース(なんて男だ、アルレルトめ…。仲間内の不和を解消するために私を利用するとは!

…よかろう、今回は私がこの場を収めてやる!)

キース「貴様らに言っておく!1回戦第2試合のブラウンVSブラウスの対戦カードは私が仕組んだ!」

一同「!?」

キース「大会前に、私はキルシュタインから直訴を受けた!

ブラウン、ブラウス両名を利用し、悪役とやられ役を意図的に作り出し、自分が仲裁する!」

キース「そして、その後の訓練兵への格闘技指導を行う流れまで作らせてほしい。

それを憲兵団に入るときの追加点としてほしいとな!」

ジャン「!?」

キース「本来ならそんな馬鹿げた話など一蹴するところだが、私はメリットに気づいた!

それは、先の試合のような素晴らしい戦いを見せられたその他訓練兵が!

今後の格闘訓練に身を粉にして励むのではないか、ということだ!」

キース「キルシュタインの提案は、他の訓練兵の士気の底上げにつながる可能性があり!

格闘訓練上位者がじかに教える場があるともなれば、ライバル意識も仲間意識も芽生える!」

キース「だが!デメリットとして、このように公になってしまった場合!八百長騒ぎが起きてしまうことが考えられた!

そこで、私はキルシュタインに条件を2つだした!」

観客「条件?」

キース「その1!ブラウン、ブラウス両名には提案が白紙になったことを伝えたうえで、こんな馬鹿げたことに負担した罰として!

対戦時に限りなく観客を盛り上げるよう特別な演出を展開すること!

そうすれば、この対戦カードを実現させてやる!とな!」

観客「…ってことはライナーとサシャはジャンの提案が通ったことを知らなかったのか?

戦う相手だけは決められていて、演技してたのは本当ってこと?

でもそれってやっぱり八百長じゃないの?」

キース「勘違いしては困る!私は対戦カードを実現させてやる代わりに、「試合を盛り上げろ」といったのだ!

どちらが勝てとは命令していない!」

観客「!?」

キース「二人はキルシュタインに協力する必要がなくなったものの、試合を盛り上げることを厳命された!

しかし盛り上げるだけならばブラウスがブラウンを倒すという、下位の者が上位の者を破るという王道なパターンもあり得たはずだ!」

キース「私はどちらが勝ち上がるかがわからない試合を八百長などとは呼ばん!」

観客「むむむ?とにかくどっちが勝ち上がるかは命令せずに、演技はして盛り上げろってこと?

勝敗については命令してないから…八百長ではない…のか?」

キース「その2!ブラウンVSブラウスの試合でブラウンが勝ちを収め!

なおかつキルシュタインが1回戦を戦い勝ち上がった場合のみ、2回戦で対戦させてやる!というものだ!」

キース「ここでもまた!私はどちらが勝てとは命令してはいない!

キルシュタインにもこのことを両名に話したことが分かった瞬間!

罰として卒業するまで訓練所すべてのトイレ、風呂掃除を行うよう厳命した!」

観客「うげぇ~!卒業まで!?そんなの絶対いやぁあ~!」

キース「以上で説明を終わる!繰り返す!

どちらが勝つのかということを運営の人間がわからない試合は八百長とは呼ばん!

言いたいことがあるならば言ってみろ!」

観客「」シーン

キース「…エルヴィン!」

エルヴィン「ハッ!勝者、ジャン・キルシュタイン!」

観客「」シーン

観客「………」パチパチパチ

観客「うおおおおおお!!!面白かったぜぇ!

ナイス演技だ、ライナー、サシャ!

でもジャンの試合はガチだろ!?あのライナーに勝ったってことだよな!?

やべぇえ、あいつ強ぇえ!俺、あいつにボクシング教わりに行こうかな?あたしも行ってみよー!」

ジャン「…ふぅ。…立てるかよ?ライナー?」

ライナー「…だめだ。今お前の顔見たら号泣する自信がある…」グスッ

ジャン「そうかい…。じゃあお迎えでも待つんだな。…ほら来たぜ?」

ライナー「?」

ベルトルト「ライナー!大丈夫かい!?立てないのかい!?」タッタッタッ

アニ「踏みつければ起きるんじゃない?」スタスタ

クリスタ「アニってば!そんなことしちゃダメ!」テッテッテッ

ライナー「お前ら…」

サシャ「みんなもなんとか納得してくれて、誤解も解けましたね!万々歳じゃないですか!

今あるのは私たちが一回戦で演技をした!

ライナーが二回戦を本気で戦った!

ジャンが格闘教室を開くってことだけですよ!」

コニー「とにかくライナーはいい奴だったんだなっ!?」

ユミル「とにかく控室に運ぼうぜ?ここだと休めねぇだろ」

ワイワイ

ジャン「………フンッ」

マルコ「ジャン!大丈夫かい!?ほんとに無茶をするんだから君は…」

ジャン「どうってことねぇよ…」

アルミン「ライナーと一進一退の攻防を繰り広げた後に良く言うよ」ヒョコ

ジャン「アルミン…。ってお前!何が僕に任せてっだ!教官頼りじゃねぇか!」

アルミン「あれ?でも僕は成功するって確信があったよ?

むしろ心配だったのはライナーと互角に戦っておきながら、最後はあっさり敗れる可能性があったことと、

最後の演説の時に噛むんじゃないかってことだったよ?」シレッ

ジャン「こ・の・野・郎~!」

エレン「ジャン!」

ジャン「なんだよ、エレン!てめぇまだ何か………!?」

ライベルアニクリサシャコニユミマルアル「!?」

エレン「悪かったよ…。おまえがそこまでしてライナーの汚名を晴らしてくれるなんて思わなかった…」ペコリ

エレン「本当なら俺が汚名晴らすの手伝いたかったんだけど、きっと俺だとうまくやれなかったと思う…。

だから、おまえがいてくれて、その………。あり…」

ジャン「なんで!!!謝罪を!!!俺には言えるのに!!!お前は…!!!」プルプル

エレン「は?」

ジャン「もういい!エレン!いいか!?てめぇとの賭けは終わってねぇぞ!?

次の試合では必ずお前をたお…」

ミカサ「それは駄目」ズイッ

ジャン「!?ミカサ!?」

ミカサ「ジャンは今すぐ治療室に行くべき。

その指は早く治療しなければならない」

クリスタ「そうだよ、ジャン!私が治療室まで…むぐっ!?」

ユミル「はい、ちょっとお口チャックな、クリスタ。

…どうせだ、ミカサ。ジャンを治療室まで連れてってやれよ」シシシ

ジャン「ハァッ!?そんなのミカサがいやに…」

ミカサ「元々そうするつもりだった。

ので。心配いらない」ギュッ

ジャン(ミカサが俺の手を握ってくれている!?)

エレン「おいミカサ!逆の手は掴むんじゃねぇぞ?」

ミカサ「当たり前。そんなミスはしない」

ライナー「なら俺は控室で休ませてもらうわ。

頼むベルトルト、連れてってくれ」

ベルトルト「もちろん」

マルコ「僕も手伝うよ」

コニー「お、俺も!」

アルミン「僕たちも行こうか、エレン。

…じゃあね、ジャン。ごゆっくり」ニコッ

ジャン「はぁあああ!?」

ミカサ「ほら早く」ズリズリ

ライナー控室

ライナー「ふぅ…」ドサッ

ベルトルト「お疲れ様、ライナー」

クリスタ「これで疑いも晴れたし、なんの心配もないねっ!」

アニ「肉体的にも精神的にも重圧がなくなったわけだしね」

ライナー「ああ。…それにしてもアルミン。今回の作戦、俺に教えてくれてもよかったんじゃないか?

そしたらちゃんとジャンに協力してやれたのに…」

アルミン「いやぁ、急きょ対戦相手同士が協力するってなったら、途中でボロが出る可能性が高まるし、

ライナーには自然体でいてもらおうかなって…」

マルコ「確かにね」

アルミン「それにライナーなら途中で察してくれると思ったんだけどなぁ」

ライナー「そりゃあ無茶だろ…」

アルミン「でも最初のジャンの発言を思い出して御覧?」

ライナー「………。試合でジャンに勝てたら汚名が晴れる。でも優勝商品がほしいから勝たせてはやらないってやつか?」

アルミン「そうそれ。…あのときライナーは、はじめの合図の後、一方的にやられてギブアップするつもりだったんじゃない?」

コニー「そうなのか!?」

ライナー「…わかってたのか?」

アルミン「ライナーならそうするかなって。

でも今回の作戦で重要なのは二人がいい勝負をしてみんなの誤解を惑わせることだ。

棄権されたら困るんだよ」

アルミン「ライナーに相談できない。棄権もだめ。

だからライナーに察してもらうしかなかったんだけど、気付けなかったかぁ…」

ライナー「?」

アルミン「もしジャンがいうように、ジャンが本気で優勝商品を狙っているとしたら、

そのことをライナーに言う必要なんてないじゃない?

黙っていれば、ライナーが勝手に棄権してくれるんだし、

そうすれば自動的に優勝に近づくのにさ?」

ライナー「!」

ライナー「この時点でジャンが勝ちたいのに棄権を止めようとしてる、おかしいなって気付かなきゃだめだよ。

ねぇ、みんな?」クルッ

ベルアニマルサシャクリユミコニ「………」

アルミン「…あれ?」

アニ「そりゃ無理だよ…。あんたの頭の回転…。速すぎて気持ち悪い」ジト

アルミン「そんな!?」ガーン!

ユミル「あたし達とあんたの頭を一緒にするな。なんでそんなこと思いつけるんだか…。

やっぱり毎日机の前でシコシコ(勉強)やってるやつは違うねぇ」ケケケ

アルミン「シ、シコシコ!?し、してないよっ!?///」カァッ

コニー「なんだアルミン。おまえ机の前でオナ…」

マルコ「だめだコニー!?それ以上いけない!」

アルミン「どうして君は!?こんな時に限って感がいいのさ!?

もしかして見てたの!?」顔真っ赤

サシャクリアニ「///」カァッ

ライベルマル「………」

アルミン「あ…。うわーーーーーーーーっ!!!」ダダダッ!

ユミル「ぶっ!だはははははははは!!!!」バンバンバン ←机を叩いている

コニー「?…そういえばエレンがいねぇな…」キョロキョロ

とりあえず、今日はここまでにします。

ご都合主義全開です。

矛盾もいっぱいあったかなっと思います。

でも勢いってだいじですよねっ?

次からは準決勝からですが、尻すぼみ感ハンパ無いです(笑)

読みづらいところもたくさんあると思いますが、よろしくです。

それでは、また

続き書きます。

よろしくお願いします。

治療室

ジャン「………」

ミカサ「右手人差し指骨折。中指、薬指の脱臼骨折。小指の脱臼。全治2か月だそう」

ジャン「………」

ミカサ「聞いてる?ジャン?」

ジャン「お、おう聞いてるぞ!(顔近ぇえ!まつ毛長い!)」

ミカサ「次の試合は棄権しないと駄目。わかった?」

ジャン「ああ(髪さらさらだ!なんかいいにおいするし…)」

ミカサ「エレンと賭けをしているようだったけど、不戦敗になる…」

ジャン「ああ(瞳もきれいだ。真っ黒で吸い込まれそうだ)」

ミカサ「私からエレンに言ってあげよう。賭けはまた今度にするべき、と」

ジャン「ああ(整った鼻。きめ細やかな素肌。ほんと綺麗だな、ミカサは」

ミカサ「えっ?」

ジャン(やべっ、口に出てたか!?)

ジャン「なんでもねぇよ、ミカサ!」

ミカサ「………そう」

ミカサ「ジャン。ひとつ聞いていいだろうか?」

ジャン「な、なんだ?」

ミカサ「ジャンは賭けに勝ったらエレンに何をさせるつもりだったの?」

ジャン「そ、それは…」

ミカサ「教えてほしい。私にできることなら私が代わる」

ジャン「!?」

ミカサ「そうすればエレンが賭けの不戦勝を言い訳にあなたに何かやらせようとしても。
あなたは私に命令ができる。これでおあいこ。どう?」

ジャン「…お前が一方的に損してんじゃねぇか…」ボソッ

ミカサ「?」

ジャン「………。俺はその、エレンに…、えっと、ミカサを…」

ミカサ「私?」

ジャン「っ!…ミカサを泣かしたことを………謝らせたかったんだ!」

ミカサ「………。なぜ?」

ジャン「だってよ!あいつは自分勝手でわがまま放題だ!いつもミカサを悲しませてる!」

ミカサ「………」

ジャン「今日だってあいつがワリィのに、ミカサに怒鳴り散らして!ミカサを…泣かした」

ミカサ「恥ずかしいところを見せた…」

ジャン「いや、気にしないでくれ。…とにかく俺は、エレンのミカサに対する態度を改めさせたかった…。
ただそれだけだ」

ミカサ「…そう」

ミカサ「ジャン、気持ちはありがたいのだけれど、それは必要ない」

ジャン「な!?なんでだ!?」

ミカサ「エレンとは家族。友達同士ならごめんなさいするべきことだと思う。
でも家族ならそんなこと気にしない。少なくとも私たちには」

ミカサ「エレンが本気を包み隠さず話してくれていることが分かるということはすごく幸せなことだから」

ジャン(あ)

ミカサ「悲しくなることもあるけれど、エレンはそれ以上の温かさを私にくれる。
傷つけられることより、安心させてくれることの方が圧倒的に多い」

ジャン(だめだ…、これ)

ミカサ「エレンは手のかかる弟のようであり、やんちゃな子供のようでもある。
…でも、いくら迷惑かけられても離れたくない。エレンは私にとって大事な…、本当に大事な…」

ミカサ「家族だから」

ジャン「………」

ジャン「そうか」

ミカサ「………。何かとても恥ずかしいことを言ってしまった気がする。
ので。私はみんなの元に今すぐ逃げたい。ジャンの顔。恥ずかしくて見れない」ウツムキ

ジャン(それは俺に対して恥ずかしいんじゃないぜ、ミカサ。
自分の相手を好きって気持ちを再確認したことが恥ずかしいんだ…)

ジャン「おう行ってきな。俺はここで少し休む。次の試合は棄権するよ」

ミカサ「わかった。では。失礼する」スッ

ガラララ ガチャン

ジャン「ふぅ…」

ジャン「…いるんだろ、エレン?」

ガラララ ガチャ

エレン「…気づいてたのかよ、ジャン」

ジャン「ちょっと前に入口に人影が見えたからな。ミカサとはすれ違わなかったのか?」

エレン「出てくる直前に隣の部屋に隠れた。俺には気付かなかったみたいだ」

ジャン「…いつから聞いてた?」

エレン「…お前がミカサのことを綺麗だなってぼやいたところからだな」

ジャン「最初っからじゃねーか!つーかやっぱり声出てたのかよ!?」

エレン「ああ」

エレン(ミカサが一瞬動揺してたように見えたが、言う必要ねぇよな…)

ジャン「…何かいいてぇことはあるかよ?」

エレン「………。賭けの件だけどよ…。また今度でいいぜ?
お前の手が治って、体力も全快になったら勝負してやるよ」

ジャン「そうかよ」

エレン「…その時は別の賭けの内容、考えとけよ?」

ジャン「あ?」

エレン「ミカサにはちゃんと謝る。家族ってことに胡坐かいてたのかもしんねぇって、気付いたからな…」

ジャン「今日はいつになく素直じゃねぇか、エレン?」

エレン「俺もわかんねぇけどさ。誰かを大切にするってホントにいいことなんだなって感じたんだ。
ライナーの件だったり。…ミカサやお前の件もな」

ジャン「…けっ」

エレン「だからお前は…おとなしく見とけ!俺が優勝する様をよ!」スッ

ジャン「ハッ!てめぇなんかミカサかアニにやられるのが目に見えてるぜ?まぁせいぜい頑張るこったな」スッ

ゴツン

格闘場

ハンジ「さて、紆余曲折ありましたが、ベスト4が出そろいました!続く準決勝の組み合わせの発表です!」

キース「うむ。それでは準決勝第1試合は…」

キース「エレン・イェーガーVSジャン・キルシュタイン!」

うおおおおおおおおおお!!!!!!!!

キース「しかし!キルシュタインは先ほどの試合の怪我がひどく、ドクターストップがかけられた!
よってイェーガーの不戦勝とする!」

ええええええええ!!!!!?????でも仕方ないよ!!すげぇ試合だったもんな!!
ってことは待てよ、もう1つの準決勝ってまさか…

キース「よって!準決勝第2試合は、ミカサ・アッカーマンVSアニ・レオンハート!」

うおおおおおおおおおおおおお!!!!!すげぇ!!!!女子最強決定戦だ!!!!

ミカサ「よろしく、アニ」

アニ「ああ、手加減する気はないから」

ジャン「こりゃ事実上の決勝戦だな」ニヤニヤ

エレン「なんだと!?お前なんかベスト4止まりじゃねぇか!」

ジャン「怪我さえなけりゃ俺が勝ってたに決まってんだろ!」

エレン「怪我なんてする柔なお前が悪いんだろうが!」

ジャン「ああ!?」

アルミン「まぁまぁエレン落ち着いて!ミカサの応援しようよ」

マルコ「ジャンも落ち着くんだ!怪我に響くだろう?」

エレジャン「…けっ!」

ライナー「頑張れよ、アニ。ここが踏ん張りどころだ」

ベルトルト「ミカサは強い。でもアニだって負けていないさ」

アニ「ああ。行ってくるよ」ザッ

アルミン「アニ!」

アニ「アルミン?」

アルミン「えっと…、その…、頑張って!ミカサにばれないようにこっそり応援するからね、アニ!」ニコッ

アニ「…フン///」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ミカサ「では行ってくる」

エレン「ああミカサ。決勝で待ってる。絶対負けんなよ!」スッ

ミカサ「!」

ミカサ「うん、約束」スッ

ゴツン

ジャン「………」

ミカサ「………」

ミカサ「」スッ

ジャン「!」

ジャン「………」スッ

ゴツン

ミカサ「………」ニコッ

ジャン「」ズキューン!

格闘場

エルヴィン「それでは準決勝第2試合、ミカサ・アッカーマン対アニ・レオンハートの試合を行う。
それでは両者、心臓を捧げよ!」

ミカアニ「ハッ!」

エルヴィン「はじめ!」

ミカサ「」スッ

アニ「!」

アニ「………ふん」スッ

ゴツン

ハンジ「さぁ準決勝の第2試合!ミカサ選手VSアニ選手です!
なにやら巷では104期女子最強決定戦だとか、事実上の決勝戦だとか言われているそうですが、どうですか?」

キース「うむ。たしかに両名のポテンシャルは非常に高い。
だが、今回レオンハートは既に2回戦っているのに対し、アッカーマンは1回のみ。
さらにノーダメージで準決勝まで来ている。体力的にはレオンハートが不利だろう」

ハンジ「確かにその通りです!残りの体力はまさに雲泥の差!この戦いはいったいどうなってしまうのか!
まずは両者拳を合わせて動きませ…うっ!?」

ミカサ「」ゴゴゴ

アニ「」ゴゴゴ

ハンジ「こっ、これは…」

キース(まるで殺気の海にでものみ込まれたかのようだ。
息すらつかせんほどに、異様な緊張感が場を支配している…)

観客「………」

ミカサ「………」

アニ「………」

ミカサ「」スゥッ

アニ「」バッ!

ミカサ「!?」ザザッ!

ハンジ「?いま、アニ選手が右ローキックを放とうとしたように見えましたが!
それを見てミカサ選手!弾けるように後退しました!」

キース(いや…、それよりも先にアッカーマンが仕掛けている…)

ミカサ「すごい」

ミカサ「私のすり足に対してカウンターを打てる人なんて今までいなかった」

アニ「打ってはいないだろう?蹴ろうとしただけさ」

アニ「…あんたのすり足は2回見させてもらったからね。反応くらいできるよ」

ミカサ「びっくり」

アニ「そうかい?ならそれ相応の…」グッ

アニ「顔でも見せな!」ブン!

ガッシィイ!!!

ハンジ「アニ選手の左ローキックッ!ミカサ選手かわせず右足で受けたぁ!」

アニ「…なんで避けないのさ?」

ミカサ「威力を確かめておきたかっただけ」

アニ「そうかい…。それで?どうだった?」

ミカサ「…これくらいの蹴りなら…」

アニ「?」

ミカサ「あたしにも打てる」ブン!

アニ「!」ザッ!

ハンジ「今度はミカサ選手の左ローキックです!アニ選手、華麗にバックステップでかわします!
反応速度はアニ選手の方が上まわっているのか!?」

アニ「…あんたは柔術が得意なはずでしょ?なんでそんなに蹴りが鋭いのさ?」

ミカサ「誰かさんのマネをしただけ。気にしないでほしい」

アニ「そう…かい!」ダッ!

アニ「シッ!」ブォン!

ハンジ「アニ選手前に出た!そして右ミドルキック!」

ミカサ「」サッ! ブン!

アニ(今度はかわしてカウンターパンチ…。そういうことなら…)

アニ「シッ!」ザッ!ブン!

ハンジ「アニ選手のミドルキックをかわし、今度はミカサ選手がフック!…あっ!それもかわし…へっ?」

ブン! ザッ! ブワッ! サッ! シュッ!

キース(これは…)

ハンジ「は、早すぎて実況が追いつきません!両者打撃で戦っていることはわかるのですが!
両者がそれを紙一重でかわしながら、カウンターを打ちあっています!なんという戦いでしょう!」

エレン「…ミカサはアニを…打撃で倒すつもりなのか?」

アルミン「わからない。けど、ミカサがアニに付き合っているのは確かだ…」

ジャン「専門外の打撃でアニとやりあえるミカサはさすがだが、2人とも早すぎんだろ…」

マルコ「もはや何が何だか…」

コニー「やべぇ、やべぇよ!!何だかわかんねぇけどやべぇよ!!」

サシャ「コニーは言語力がないですねっ!………それにしてもやばいです!」

ユミル「てめぇもダメじゃねぇか…」

クリスタ「あの2人、私たちとは次元が違うよね…」

ブン! ザッ! ブワッ! サッ! シュッ!

キース(もう30秒近く止まっておらん!そしてお互いに1発も打撃をもらっていない!
アッカーマンはレオンハートに、打撃ですら肩を並べられるというのか!)

ドゴォオオッ!!!

一同「!?」

ミカサ「グッ!」ズザザザッ!

アニ「…分厚い腹筋してるね、ミカサ」ニッ

ハンジ「ミカサ選手のボディにアニ選手の強烈な左ミドルキックがヒットォ!
ミカサ選手が吹き飛ぶ!それにしてもすさまじい音がしました!」

エレン「ミカサを…吹き飛ばした…」

アルミン「アニの打撃はやっぱりすごいや…」

ミカサ(最初のキックより威力が増している…。………)ダッ!

ハンジ「ミカサ選手ダッシュ!距離は再び至近距離に!そして右ストレート!」

アニ(打ち合い勝負なら…負けない!)サッ!ブォン!

ガッ!

ミカサ「くぅ!…せいっ!」ジャッ!

ドッ!

アニ「がっ!」

アニ(カウンターが早くなった!?ミカサの打撃がかわせない!)

ミカサ「ハァアアア!!」ズオッ!

ドギャッ!

アニ「グッ!…ハアッ!」ブオッ!

アニ(避ける分の労力を…打撃に回しているのか!?)

アニ(相手のペースに乗る必要なんてないが…。でも!あたしは打撃で!退きたくない!)

ハンジ「また打ち合いだぁ!しかし!先ほどと違い、今度は互いの攻撃をよけられない!」

キース「攻撃だけに集中している…。避けることがもどかしいといわんばかりだ…」

ミカサ「ハッ!」グバァッ!

アニ(掌打!?アルミンのやつより遅い!これなら避けられる!)ザッ!

グイッ!

アニ「っ!?」

ライナー「アニの体が傾いた!?」

アルミン「ミカサの掌打がひらいてる!まさか!?」

ベルトルト「広げた手の小指だけを引っ掛けて!アニの体を崩したのか!?」

ミカサ「ヤァアア!」グルン!

アニ(小指一本であたしを捕まえるなんて!?)

ドシーン!

アニ「グハッ!」

バッ! ストン

ミカサ「…ふぅ。やっと捕まえた。…アニ。ギブアップしてほしい」

おおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!

ハンジ「投げたぁ!なんとミカサ選手!右手の小指一本でアニ選手を巻き込み!そのまま払い越し!
アニ選手を投げ飛ばしたぁ!」

キース「馬乗りになるまでの動きも速い…。ここからどうする?アッカーマン…」

アニ「…小指は大丈夫なのかい?」

ミカサ「………」スッ クイクイッ

アニ「なんともないじゃないか…」

ミカサ「あなたとは鍛え方が違う」

アニ「そう…かい!」シュバッ!

ミカサ「!」グイッ!

ミカサ(ユミルより早い…。危なく逃げられるところだった。これは早めに決着を…)

ミカサ「…ギブアップはしないのね?」スッ

アニ「当然」

ミカサ「なら…」ブォン!

アニ「!」サッ

ドッゴォオッ!!!

アニ「イギッ!!」

ミカサ「ガードするならおなかの方がいい。顔は。狙わない」ブォン!

アニ「クソっ!」サッ

ドッゴォオッ!!!

アニ「ぐっぶ!!あが!!」

ミカサ「そう。そんな感じで。…気絶するなら。早めにお願い」ブォン!

ドッゴォオッ!!!

アニ「がっはぁあ!!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ライナー「おいおい、何発入れる気だよ…」ゾッ…

クリスタ「お願いやめて、ミカサ!アニが死んじゃう!」

ユミル「なんとかガードしちゃいるが…、あのままじゃ腕の骨がくだけるぞ…」

サシャ「アニィィィィィィィイイイイイイ!!!!」

アルミン「………」ギュッ

ベルトルト「…アルミンはアニのこと応援しないの?」

アルミン「僕はミカサの友達でもあるからね…。だから心の中で、二人を応援するって決めたんだ。
…ははっ、それなのにどうしてだろう…」スッ

アルミン(今はアニ…。君の勝利を。ただただ祈らせてくれ!…アニッ!!!)ギュッ!

アニ「ハァ…ハァ…」

アニ(あたしは…。あいつの応援に…。こたえられているのかな…)

ミカサ「あなたの腹筋も頑丈。でもこれで…」ブォン!

アニ(いやっ…。全然…。こんな試合じゃ!胸張って帰れないっ!)カッ!

ズドォッ!

ミカサ「うぐっ!?」

ジャン「アニがっ!下からカウンターパンチ!」

アニ「ふっ!」グイッ!

ミカサ(しまった!)

アニ「ハァア!!」ドンッ!

ミカサ「うぐっ!」ズシャア!

ハンジ「一方的に殴られていたアニ選手!ですが!渾身のカウンターパンチがミカサ選手の右頬に直撃!
ひるんだ隙に片足を自由にしたアニ選手がミカサ選手を蹴りはがしたぁ!」

キース「…アッカーマンは上体ごと突っ込む全力のパンチを放っていた。
ゆえに無防備に顔面が近寄ってしまうタイミングをレオンハートに図られた」

キース(しかしアッカーマンのパンチをくらうよりも早く、己のパンチを届かせるとは…。)

ミカサ「…ひどい、アニ。私は顔を狙わなかったのに…」スリスリ

アニ「そいつは悪かったね。…こっちは少しも余裕なんてないんだよ。
…応援してくれる奴もいる。このままおめおめと…負けられないからさっ!」ズアッ!

ミカサ(右フック!かわせる!)ザッ!

ドガアァッ!

ミカサ「うぐぅ!」

ミカサ(…一体どこから右ローキックが!?)ビリビリ

アニ「シッ!」ブワッ!

ミカサ(左アッパー!今度こそ!)ザッ!

ズガァッ!!

ミカサ(…今度は左ハイキック!?しかも威力が今までより段違いに強い!)ビリビリ

コニー「なんかミカサが一方的に攻撃をくらってねぇか?」

サシャ「確かに…。パンチとキックを織り交ぜるだけで、なんでああも簡単に?」

クリスタ「ユミル、何かわかる?」チラッ

ユミル「わからねぇ…。だが、もしかしたら…」

キース「緩急か…」

ハンジ「今なんと?」

キース「おそらくレオンハートはパンチとキックにスピード差、つまり緩急をつけている。
意図的に遅くしたパンチと早くしたキック。…遅い打撃に目が慣れたタイミングで早い打撃を…。
しかも見えにくい角度を狙って打ち込んでいるのだろう…」

キース「だからアッカーマンはただでさえ鋭いレオンハートのキックに対し、先ほど以上に反応が遅れてしまっている…」

ハンジ「なるほど!なんとアニ選手!スピードも角度も変幻自在の蹴り技を使っているようです!
ミカサ選手はまさにサンドバック状態!!アニ選手に翻弄されているッ!」

ズドォッ!

ミカサ「クッ!…一体なぜ?」ハァハァ…

アニ「…何がだい?」

ミカサ「あなたが意図的にパンチを遅くしているのはわかる…。
しかし、打撃を遅くすると、威力とともにそれがまとうはずの殺気が弱まる。
自ら弱く打とうとしているパンチなんかに、殺気は宿らないのだから…」

アニ「………」

ミカサ「私はある時から………人の殺気のあるなしはほぼ完璧に感知できるようになった。
それなのに遅くしたパンチを含めて…。あなたの打撃にはすべて殺気が込められている。
なぜこんなにも、私はあなたに惑わされている?」

アニ「…あんたは私がパンチを遅くしたと思っているようだけど、そいつは違う…」

ミカサ「?」

アニ「…あたしは格闘技を習い始めたころから、パンチよりも蹴り技の方が得意だった。
スピードも蹴り技の方が勝っていたしね…」

アニ「でもあたしは、パンチと蹴り技にスピード差が出てしまうことに対して、どうも居心地が悪かった。
体の使い方が下手くそみたいで、嫌で嫌でしょうがなかった…」

ミカサ「………」

アニ「だからあたしはスピードのバランスを保つために…。小さい頃からずっと…。
本気で打つパンチに対して、わざと少し力を抜いたキックを合わせて練習しているんだ…」

ミカサ「!」

ジャン「今までのアニのキックが本気じゃなかった…だと?」

マルコ「じゃあ、途中から蹴り技の威力が上がったのは…」

ミカサ「つまり、あなたは…」

アニ「…小さいころからずっと訓練していたせいか、あたしは力をセーブした状態でも殺気をまとえるようにもなっていた。
そして今はただ…。さっきまでと同じように本気でパンチを打って…。キックは全力全開で打っている。
ただそれだけなのさ」

ミカサ「………」


アニ「なまじ反射神経が良すぎるのも考えもんだね、ミカサ。私のいつものパンチに勝手に惑わされている。
小さいころからずっと打撃を学んできたあたしに…」ザッ!

アニ「あんたは勝てないっ!」ズォオン!!!

ドッギャァアッ!!!

ミカサ「うがっ!!」

アニ「まだまだぁ!!」ヴォオン!!!

ズドォオッ!!!

ミカサ「ブハッ!!」

ライナー「いいぞぉ!アニ!」

ベルトルト「そのまま押しきれ!アニ!」

マルコ「やばいよ、ジャン。ミカサが押されだした!」

ジャン「くそっ!…おいエレン!てめぇはさっきから何黙ってんだ!」

エレン「………」

エレン「信じてるからな」

ジャン「ああ!?」

エレン「俺はミカサを信じてる。俺が決勝で待ってるって言ったんだ。あいつは絶対に勝ち上がってくる」

ジャン「………」

エレン「それにあいつは…」

ジャン「?あいつは…」

コニー「ああ!?」

ジャン「!」バッ!

ハンジ「ああ、ミカサ選手!片膝をついてしまったぁ!しかし!なんとか立ち上がります!
まだまだ彼女の瞳は死んではいな~い!」

アニ(…耐えるじゃないかミカサ。…でも、もう何発もいいのを貰っているはずだ。
一度でもしっかりと倒されたらあんたは…)ダッ!

ミカサ(来る!)

アニ(もう立ち上がれないだろっ!)ズアッ!

ミカサ(右ストレート!これはかわす!問題は次…)

バッ!

ミカサ「!?」

ベルトルト「アニがストレートをミカサの目の前で止めて!その拳を開いた!?」

マルコ「視界を遮るブラインドにしたんだ!」

ザザッ!

サシャ「アニが右手で視界を遮ったまま、ミカサの左側へ!?は、早い!」

アニ「シッ!」ブン!

ユミル(目隠ししたうえで、まるで消えるようにミカサの真横に移動!
さらにふくらはぎの裏に右ローキック!これをかわすのは、無理だっ!)

ジャン(あれはいつしか、俺がエレンに投げられた時の!?)

アルミン(エレンがジャンに繰り出したことのあるあの技。…!!! )

アルミン(ダメだ!アニ!それはミカサが一度見ている技だっ!)

スカッ!

アニ「!?」

ガシッ!

アニ(あたしのローキックをかわしただけじゃなく右手首を掴んできた!?)

ミカサ「…それはエレンが使った投げ技だったはず。あなたが教えていたのね、アニ。
…けど、エレンをずっと見てきた私にとってその技は…」

ザワッ

アニ(!!! 逃げ…)

ミカサ「既に知っている技だ」グイッ グルン!

ズダァァアンッ!

アニ「アガッ!」

一同「!?」

ミカサ「ハァ…ハァ…ハァ…」

コニー「手首を持っただけで…なんでアニがあんな勢いよく地面に!?」

サシャ「さっぱりわかりません…」

アルミン「四方投げ…」

クリスタ「アルミン?知ってるの?」

アルミン「合気道の技にも似たようなものがあるんだ。
相手が動こうとする方向に合わせて手首の関節を極めて、人間の持つ反射の動きに合わせて投げるんだ」

ライナー「反射の動きに合わせて、だと?」

アルミン「そう。この技の恐ろしいところは相手が逃げようとも、反撃しようとも、動きさえすればその逆方向の反射を使って、投げ技が発動することなんだ。
手首を掴まれてしまった時点で、もう四方技げからは逃げられない…」

一同「………」

ベルトルト「じゃあ、アニは…」

ジャン「頭からさかさまに、しかもあんなに勢いがついた状態で地面に向かって投げられたんだ。
反射のせいかは知らねぇが受け身もままならなかった。あいつはもう…」

アルミン(そう、無理だ。四方投げの恐ろしさは書物を読み漁った僕だからこそ知っている。
あの技は最強の投げ技なんだ…)

アニ(そしてぼくは約束した。アニを信じて応援するって。でもその時、決めたことがある。
友達であるミカサを裏切りたくないから、心の中だけでって…)

アルミン(ああ、くそっ!それでも、僕は!この気持ちを!抑えきれないんだ!)ダダッ!

エレン「アルミン!?」

エルヴィン(これは立てない…か?)

エルヴィン「勝者…」

アルミン「アニィィィィィィイイイイイイ!!!!!!」

一同「!?」

アルミン「立ってくれアニ!君の力はまだ!そんなもんじゃないはずだ!
君は強いんだ!誰よりも!ミカサよりも!強いはずなんだ!だから…」

アルミン「負けるなアニィィィィィィイイイイイイ!!!!!!」

アニ「」

ユラァ

一同「!?」

アニ(…あんたの声がこうも力になるなんてさ…)

アニ(あんたの声は…、なんて心地いいんだろう…。ねぇ?アルミン?)グググッ

アニ(あなたの声がある限り、私は、何度だって立ち上がれる気がするよ)ガバッ

おおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!

ハンジ「たっ!たっ!立ちました!アニ選手立ち上がりましたぁあああ!!!」

キース「もはや執念か…」

ミカサ「アニ。あなたはほんとずるい。エレンを弟子にするだけでは飽き足らず…。
アルミンまで私から取ろうとするの?」

アニ「…エレンは違うだろ。あいつはいつだって…。あんたを見てるじゃないか…」

ミカサ「………」

アニ「でもそうだね。アルミンは…。アルミンならあんたと取り合いになろうとも…」

アニ「譲りたくはないね…」ギラッ

ミカサ「…そう」

アニ「ミカサ。次が最後の攻撃だ…。あたしの体はもう限界に近い…」

ミカサ「…最後はあの、高速移動術でも使う?」

アニ「………」

ミカサ「あなたがまだ繰り出していない技はわからない。けど、あなたがあれを使わないまま終わるとは思えない。
あれはあなたの、必殺技、なのでしょう?」

アニ「…そうさ。わかってても止められないこの技こそ、必殺技なんだ」グググッ

ミカサ「残念だけど、あなたのその技には弱点がある」

アニ「………」

ミカサ「あなたはその技で、アルミンの横を駆け抜けて背後に回ったり、コニーの正面に一瞬で移動したようだけれど、その技はあくまで移動術」

ミカサ「打撃までが高速になるわけじゃない」

一同「!」

ミカサ「あなたは高速で移動した後、止まってから打撃に移る。
確かに私は、あなたの本気の蹴り技を見切ってはいないけれど、ずらして受けることくらいなら確実にできる」

ミカサ「もちろん、その高速移動術を見切る可能性すら、私にはある」

観客「………」ゴクッ

アニ「…いくよ」

ミカサ(それでもやめない…。もう頼れる技がないのね、アニ)

ミカサ(なら、私は、あなたを、絶対に逃さない!)ザッ!

ハンジ「アニ選手足に力を蓄え、力を爆発させるタイミングをはかっています!
一方ミカサ選手も極限の集中でアニ選手から視線を外しません!」

キース「………」

アニ(ミカサ…。あんたは大きな間違いをしている)

アニ(1つ。わたしはアルミンの横を駆け抜けたんじゃない…。アルミンの前で方向転換して背後に回ったんだ。
つまりあんたは私の移動術を完全に見切ったわけじゃない)

アニ(2つ。そんな完全に見切ってない移動術ですら、全力の8割くらいの力で放ったものなのさ。
…そもそもこの技はベルトルトが編み出して私が教えてもらったものだ)

アニ(動きが鈍かったあいつが瞬間的に早く移動するにはどうしたらいいか考えた末に身に付けた。
しかしこの技…。初速は割と出しやすいが、狙った位置に止まることはかなり難しい)

アニ(ベルトルトみたいな強靭な足腰がないと急ブレーキに体が耐えられないからね。
だからあたしは力をセーブすることで小回りを利かせられる別の移動術として身に付けた…)

アニ(でも今は…。あたしに残った力を振り絞って…。全力で使わせてもらう!)

アニ(…ベルトルト。…ライナー。あんたたちの力。借り受けるよ!)カッ!

ミカサ(来る!)

アニ「フッ!」

ビシュインッ!!!

ミカサ(!?早い!けどなんとか見える!アニは私の真正面に…!)

ドガグシャアッ!!!!

ミカサ「ッーーーーーーー!!!!!」

ブワッ! ズドーン!!!

アニ「グハッ!」ズシャアアア!!!

一同「!?」

ハンジ「い、いったい、何が?ミカサ選手が10m近く吹っ飛ばされて仰向けで倒れています!
アニ選手はミカサ選手が構えていた場所から数m、ミカサ選手側に近い所にうつぶせで倒れています!」

キース「今のは、まさか…」

キース「タックル?」

ハンジ「え?」

エレン「ミ、ミカサ…」

アルミン「アニ…」

マルコ「今のは一体…」

サシャ「アニがミカサにぶつかったんでしょうけど…」

コニー「どうすりゃ、あんなに人がふっ飛ばされるんだよ…」

ベルトルト「アニはあの技を全力で使ったんだ…。アニの小さな体じゃ耐えられないからダメだってあれほど言ったのに…」

ライナー「しかも最後はタックルかよ…。止まって攻撃したらミカサに捕まる可能性があったからって…。
おまえの小さな体で俺の真似なんかするなよ…」

ジャン「二人とも衝撃がやべぇんだな…。どっちもまだ立ち上がらねぇぞ?」

クリスタ「ミカサぁ…。アニぃ…」ポロポロ

ユミル「泣くな、クリスタ。きっとどっちかが立って…あっ!」

一同「!」

フラフラ

アニ「ううぅ…」

ハンジ「先に立ったのは、アニ選手~!ボロボロで!頭から血を流しながら!それでも!再び立ち上がりましたぁ!」

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!

ハンジ「ミカサ選手はピクリともしません!まさか!?ちょっ、エルヴィン!早く確認を!」

ミカサ(ダメ…。体が言うことを聞かない。…痛っ!肋骨が…何本か折れてる?)

ミカサ(肋骨だけじゃない…。腕は…。良かった、折れてはいない…。でもひびは確実に入ってる。こっちも痛い)

ミカサ(足は…何ともなさそう…。やっぱりアニのタックルがおなかに入ったから、おなかが一番きつい。…これはもう…)

エレン「ミカサぁぁぁああああああああああ!!!!!!!」

ミカサ(エ、レン?)

エレン「ミカサ!!ミカサッ!!ミカサァアア!!!」ボロボロ

ミカサ(エレンが…泣きながら…私の名前を…呼んでいる?)

エレン「立て!!!戦うんだ!!!ミカサぁぁぁあああ!!!」ボロボロ

ミカサ(…そうだ、戦え。戦わなければ、勝てない。だって世界は…)グググ

ミカサ(残酷なのだから!)フラッ

ハンジ「ミカサ選手も立ったぁあ!!こちらもボロボロ!立っているのがやっとの状態!それでも!立ち上がってみせましたぁ!」

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!

アニ「」スッ…

ミカサ「」スッ…

ハンジ「どちらからともなく、2人が歩み寄る…。…そして、対峙…」

ミカサ「…アニ。…体は?」

アニ「右肩が脱臼したけどもう入れた。あとは鎖骨と肋骨にひび、内臓を少し…。あんたは?」

ミカサ「…似たようなもの…」

アニ「そうかい…」

アニ「シッ」バッ!

ポスッ

一同「!?」

ミカサ「…アニ」

アニ「…はっ。あたしの蹴りがこんなもんか…。…あんたはなにか繰り出せる?」

ミカサ「」コクリ

アニ「…そうかい。それじゃあ次は…あんたの番だね…」

ミカサ「」スッ

がしっ

ミカサ「アニ…」

アニ「なんだい?」

ミカサ「楽しかった。またやろう」ニコッ

アニ「…あたしはもう、二度とごめんだよ…」フッ

ミカサ「フフフ」

アニ「…フン」

ミカサ「」ザッ

バッ グルン

ドサッ!

アニ「…1本」

ミカサ「…それまで?」

アニ「ああ。…あたしの負け…だよ…」

ミカサ「そう…」

エルヴィン「…勝者、ミカサ・アッカーマン!」

観客「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!」

ハンジ「最後は一本背負い!威力はありません!スピードもありません!
しかし!これほどまでに美しい決まり手が他に!この両者の間にあるでしょうか!?」

ライナー「うおおおおお!!!」ダバァッ!

ベルトルト「ちょライナー…。涙が…滝みたいに…」ポロポロ…

マルコ「二人とも泣いてるじゃないか…」グスッ

クリスタ「みんなそうだよ…」グスグス

コニー「やっぱりすげーよ、あの2人…」ダーーーッ!

サシャ「ほんまに…。すごい以外出てこんわ…」ドーーーッ!

ユミル「てめぇらはほんと最後まで、馬鹿だよなぁ」ズッ…

アルミン「」うるっ

ジャン「…それは、悲しみの涙かよ、アルミン?」

アルミン「ううん。違うよ」ゴシゴシ

アルミン「アニは確かに負けちゃったけど…。でも戦ってるアニを見てわかったよ…」

アルミン「僕はアニが…。あんなにボロボロになっても立ち上がって。
僕だけじゃないみんなとの約束を果たそうとして、必死に頑張ってくれていたアニのことが…」

アルミン「ホントに大好きなんだって」

ジャン「………。ハッ!それを俺に言ってどうすんだよ」

アルミン「だね」ハハハ…

ジャン「…後はあいつだけだな…」チラッ

アルミン「…うん」チラッ

エレン「………」つー

アルミン「………」

アルミン「行くよ!エレン!2人を迎えに!」

エレン「アルミン…。ああ!行くか!」ゴシゴシ

タッタッタッ

格闘場

エレン「ミカサァ!」

ミカサ「!エレン…」

アルミン「アニ!大丈夫かい?」

アニ「………」

ミカサ「…ごめんなさいアルミン。私は…アニを…」

アルミン「いいんだよ、ミカサ。…だって見てごらんよ、アニの顔を。こんなに満ち足りた顔してる…」

アニ「」ピキッ

グイッ

アルミン「いひゃひゃひゃひゃ!?ア、アニィ!?」グイーン

アニ「まるで人が死んだみたいな言いぶりじゃないか、この!」グググ

アルミン「いひゃいよ、アニ!ほっぺつねりゃないふぇえ!」ジタバタ!

エレン「ったく…」ポリポリ

ミカサ「フフフ」

ミカサ「………」

ミカサ「…ねぇエレン」

エレン「…なんだよミカサ?」

ミカサ「今すぐ決勝戦をやろう」

エレアルアニ「!?」

エルヴィン「ちょっと待ちたまえ!何を勝手に…!」

ミカサ「エルヴィン団長…。実は私は眠い。すごく眠い。ので。
このまま決勝戦の時間まで待っていたら寝てしまうかもしれない」

ミカサ「そうしたら寝過ごしてしまうかもしれない。ので。すぐにやった方がいい」

エルヴィン「そんな嘘が通じるとでも思うのかい?それに私は大会の進行の心配をしているわけではないよ。
君の体はすぐにでも医療班に見てもらわなければならないだろう?」

エレアニ「!」

アルミン(そうか!ミカサの体はもうボロボロ!
ここで医療班になんか見せたら、ジャンみたいにドクターストップがかけられるかもしれない!)

エレン(ミカサ…。おまえ…)

ミカサ「そこをなんとかお願いします」ぺコッ

エルヴィン「しかし…」

エレン「俺からもお願いします!エルヴィン団長!」ザッ!

エルヴィン「!」

エレン「俺はこいつと…決着をつけなきゃならないんです!」ぺコッ

エルヴィン「………」

ざわざわ…

ハンジ「これは一体…。どうなってしまうので…」

???「おもしれぇ」

一同「!?」

ミカサ「あ、あなたは…」

エレン「リヴァイ兵長!?」

リヴァイ「おい、エルヴィン。こいつらを戦わせろ」

エルヴィン「しかしリヴァイ…」

リヴァイ「こいつらの目を見たか、エルヴィン。まさに今、戦おうとする者の目だ」

エルヴィン「!」

リヴァイ「どうせ、素手での戦いなんかでおっ死ぬような奴は、たとえ卒業したとしても巨人のえさになるだけだ…。
死ぬのが早いか遅いかの違いだろう?」

エルヴィン「………」チラッ

キース「」コクッ

エルヴィン「…二人は本当に、それでいいのかい?」

エレミカ「ハッ!」バッ!

エルヴィン(なんというゆるぎない敬礼…。そしてこの目…。もはや何も言うまい…)

エルヴィン「…それではただいまより!決勝戦!ミカサ・アッカーマン対エレン・イェーガーの試合を行う!」

観客「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」

クリスタ「そんな!?すぐに始める気なの!?」

ユミル「もうあたしらが出る幕じゃないってことだ、クリスタ」

クリスタ「でも…」

ユミル「あたしらは…黙って…見てることしかできないのさ」

アルアニ「………」

アニ「…こんなに近くで見られるなんて。あたしら、特等席だね」

アルミン「ああ、でもここはさすがに…」ヒョイ

アニ「!?!?!?」

ざわっ

観客「えっ?アルミンがアニを抱えてる?いや、確かにアニは動けないだろうけどさ…。でもあれって…」

お姫様だっこじゃね?

アルミン「…2人の邪魔にならないところまで行くだけだから///」スタスタスタ

アニ「///」ギュウ…

アルミン(パーカーのフードを引っ張って顔を隠してる…。やっぱりかわいいなぁ…)

アルミン(…エレン、ミカサ。頑張って)

エルヴィン「それでは…。はじめっ!」

ミカサ「」スッ

エレン「」スッ

ゴツン

ハンジ「始まってしまいました!決勝戦!
先ほど戦いを終えたばかりのミカサ選手に対して、エレン選手はまだまだ行けそうな雰囲気!
はたしてどのような結末が待ち構えているのか!」

キース「アッカーマンは気力でどこまで戦えるかだな…。
対してイェーガーは2回戦でレンズに投げられたダメージがどれほどのものか…。
2人の体力差と実力差を考えれば、拮抗した試合展開になるかもしれん…」

リヴァイ「そんなことは関係ねぇ」

ハンジ「ちょっと!?リヴァイ!相手はキース教官だよっ!?」

リヴァイ「おそらく勝負は短期決戦…。目をそらすなクソ眼鏡」

ハンジ「」

エレン(おまえはどうしてそこまで俺との約束を守ろうとしてくれてんだ?ミカサ。
…そして俺はどうしてそれをくみ取ってやってるんだ?)

エレン(わかんねぇ…。でも今は!ミカサに俺の最高の技をぶつけるだけだ!)カッ!

エレン「」ダッ!

ミカサ「」ダッ!

ハンジ「両者ダッシュ!一気に距離が縮まり…」

エレン「くらえっ!」ブォン!

ドッギャッ!

ミカサ「グゥ!」

ズダンッ!

一同「!?」

ハンジ「エレン選手の右ローキックだぁ!ミカサ選手に直撃!
しかしなんという威力でしょう!?あのミカサ選手が1発で倒されたぁ!」

キース(やはり受けたダメージが大きすぎたか…。アッカーマンは本調子に程遠い…)

リヴァイ「………」

ミカサ「カッハッ!」

エレン(…苦しいよなぁ、ミカサ。でも安心しろ。俺は手加減なんかしねぇ!
すぐに終わらせて、医療班の所に連れてってやる!)

グワァッ!

ミカサ「!」

シュバッ!

エレン「!」

アルミン「すごい…。右足を振りあげたエレンの足の下を移動して、一瞬で背後に…」

アニ「………アルミン。おろして///」プルプル

アルミン「だめ」ギュッ

アニ(さっきからなんなのさ!?二人の試合に集中できないじゃないか!?///)

バッ!

ハンジ「背後から襲いかかるミカサ選手!両手を伸ばし!狙いは右襟と左腕か!?」

エレン「!」ブォン!

キース(イェーガーの左後ろ回し蹴り!背後の相手によくぞ反応した!)

リヴァイ(いや…)

ミカサ「!」スゥッ

ガシィッ!

ハンジ「い、いや!ミカサ選手!エレン選手へあっという間に近づき、左ひざの裏あたりで後ろ回し蹴りをブロック!
あの位置で受ければ、ダメージはほとんどないでしょう!」

キース「ここですりあしを…。ここにきてまだアッカーマンが上回るというのか」

リヴァイ「違うな…」

エレン(そう。お前なら止める。止めてくれる!俺の狙いは…ここからだ!)

ブン!

ガッシィッ!

キース「!」

ハンジ「蹴り足が!ブロックされ、後方に受け流されたはずのエレン選手の左足かかとが!
ミカサ選手の首裏に落ちてきたぁ!!!」

観客「うおおおおおおおお!!!!」

リヴァイ「狙いは首裏。首はいくら鍛えようが弱点に変わりねぇ。
それに、巨人の弱点でもあるそこをあえて狙ってくるとは…。
巨人をぶっ殺したいなんて言うだけあるじゃねぇか…」

ミカサ「」ガクッ

ハンジ「ミカサ選手の膝が落ち…」

リヴァイ「だがエレン…。詰めが甘い」

ミカサ「」ギラッ

エレン(防がれた!?俺に両手を伸ばして突っ込んできた癖に、なんで首裏の防御が間に合うんだよ!?)

がしっ!

キース「膝を落とし、低い姿勢になったアッカーマンがイェーガーを捕まえた!」

ミカサ「いやぁああッ!!!」

ブン!

エレン「くっ、くあっ!」

ドシーン!

ミカサ「うぐっ!」

ハンジ「裏投げぇ!ミカサ選手、エレン選手の横っ腹に組みつき!後ろ向きに投げたぁ!しかしこれは…」

キース「イェーガーが少し耐えたおかげで、投げが不完全だ。
アッカーマンがイェーガーの背中の下敷きになるような形で折り重なってしまっている」

エレン(あぶねぇ!後頭部から地面に叩きつけられるところだった!でもこれなら…)バッ!

サッ! ガシッ! グイッ!

エレン「なっ!?…カハッ!」

ミカサ「ううううぅぅぅぅ」グググ

ハンジ「チョークスリーパーだぁ!ミカサ選手!
エレン選手に押しつぶされながらも右腕を後ろから首に回し、締め上げる!
エレン選手万事休すだぁ!」

リヴァイ「女の方は…。まだマシか…」

エレン(くそっ!投げが失敗した後のことも織り込み済みかっ!しかも左腕を足で抑え込みやがって!
右手だけでミカサの両腕をほどかないといけねぇのかよ!)グググ

ミカサ「エレン………エレン!」グググ

エレン(ぐぅう!くそぉ!離れろ!離れろ!離れろぉおおお!!)グググ

ミカサ「エレン、エレン!離さない!絶対離さない!…絶対に…」グググ

ミカサ「離れたくない!!!」

エレン「!!!」

エレン「………。ああ、そうか…。」

エレン(ミカサ。お前も俺と同じなんだ…。お前は俺に残された唯一の家族だから。
自分からどこか遠くへ離れて行ってしまうことが怖くてしょうがねぇんだ)


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ミカサ「いくら迷惑かけられても離れたくない。エレンは私にとって大事な…、本当に大事な…」


ミカサ「家族だから」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

エレン(…俺もだよ。ミカサ。お前は俺の超えなくちゃいけない目標以前に。
俺の大切な…。誰にも代わりなんて勤まらない。ただ一人の…)スッ

エレン(家族なんだ)ポンポン

エルヴィン「!」

エレン「今日は…負けといてやる…いつか…追い抜くその日まで…待ってろ…ミカサ…」

ミカサ「」グググ

エレン(あ、あれ?俺ちゃんと2回叩いたよな?ギブアップしたよな?)グググ

ミカサ「エレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレン」ギュウウウ!

エルヴィン「ミカサ選手!ギブアップだ!離したまえ!」グイグイッ!

エレン(く、苦しい!し、死ぬ…)ジタバタ

ミカサ「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ離れるのは嫌だ」ギュウウウ!

エレン(も、もう…。だめ…)ガクッ

エレン「」サーっ

エルヴィン「顔が真っ青に!?おい!誰か!はがすのを手伝ってくれ!」グイグイッ!

ワーワーワー……

一同「………」

アルミン「ハァ…。あの二人はほんとに…。やれやれだよ、全く」

アニ「い、いい加減下ろせ!」

ドゴォッ!

アルミン「ギャー!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


キース「それではこれより表彰を行う!まず第4位!ジャン・キルシュタイン!」

ジャン「ハッ!」バッ!

キース「第3位、アニ・レオンハート!」

アニ「ハッ!」バッ!

キース「第2位、エレン・イェーガー!」

エレン「ハッ!」バッ!

プーッ クスクス

エレン「くっ///」プルプル

キース「そして第1位!ミカサ・アッカーマン!」

ミカサ「ハッ!」バッ!

プーッ クスクス

ミカサ「うぅ///」プルプル

アルミン「エレン…。ミカサ…」

ライナー「上はビシッと訓練服なのに…」

ベルトルト「下は短パンって…」

マルコ「仕方ないさ、いますぐに用意できるものがあれだけだったんだって」

サシャ「それにしても…」

コニー「バランス悪いし、似合わねーな!」ゲラゲラ

クリスタ「笑っちゃ悪いよ!不可抗力だったんだし…」アセアセ

ユミル「まぁエレンが上になってて、首を絞められてたんだ…。それでもなぁ…」ククク

ジャン「だぁはっはっは!!!ミカサに負けた上にお漏らし!!
ズボンはびっしょり!!!だぁはっはっは!!!」

エレン「笑うな!ジャン!気絶しちまったんだからしょうがないだろっ!」

ミカサ「そう。やめの合図でやめなかった私が悪い…。
そもそも失神と失禁はよくあること。しょうがない」

アルミン「失神と失禁って………。ぷっ」

どっ!

一同「あっはっはっはっはっは!!!!」

キース「」ギロッ!

一同「」シーン…

キース「…ごほん!では、アッカーマン。貴様には褒美を取らす。
3日間の休暇と明日から2週間、夕食に肉料理が1品つく権利。
そして実現可能な範囲の願い事1つだ」

ライナー「はっ!そうだった!」

サシャ「肉~~~~~~~~!!!!」

コニー「そんなもんがあったのかよっ!?」

マルコ「コニー…」

キース「今この場で聞いてやってもよいが、明日までは猶予をやる。
…貴様らは今日死闘を尽くした。怪我をしている者や立っているのがやっとの者もいるだろう…」

キース「だが貴様らのおかげで大会は大盛況であった。他の訓練兵の格闘訓練への考え方も改まりそうだしな…」

キース「よって今日はもう休め。明日からはまた普段通りの訓練が始まる。
羽を伸ばすのは今、この場を持って終了とする。よいな?」

一同「ハッ!」バッ!

キース「よろしい。では解散!」

ミカサ「………」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


トントン

キース「入れ」

ミカサ「ミカサ・アッカーマン、失礼します」ガチャ

キース「アッカーマンか…。もうすぐ就寝時間のはずだ…。
しかも決勝を戦った貴様はすぐにでも休養を取るべきではないのか?」ギロリ

ミカサ「ハッ!申し訳ありません!しかし、明日では遅いと判断し、今、教官にお話ししたいことがあります」

キース「…ほう?言ってみろ」

ミカサ「実は…」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

とりあえずここまでにします。

長かった異種格闘技選手権大会もこれで幕です。

次回からはみなさん、もうお分かりですよね?

戦いの後は○○○ですよ

もうちょっと続きますので、よろしくお願いします。

それでは

続きを投下します。

最後まで行きます。

完全蛇足ですが、どうしても書きたかったのです。

最後までよろしくお願いします。

ミカサ「実は…」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


次の日夕飯

ミカサ「いいですねぇ、ミカサ。今日からお肉だなんて…。ちょっと私にも分けてくれませんか?」

クリスタ「だめだよサシャ!お肉は貴重なんだから!優勝できたミカサのものだよ!」

アニ「あいかわらず、意地汚いねぇ」ハァ

ユミル「…ん?ミカサ、肉はどうした?」

ミカサ「………それが、肉を訓練所に届けてくれる馬車がまだ来てないらしい。肉料理が追加されるのはまだ先になりそう」

ミカサ「そうなんですかっ!?」ガーン!

クリスタ「残念だね…」

ユミル「ふーん…」

アニ「………」

ミカサ「………」

2ヶ月後

ジャン「うっし!右手も復活したぜ!」

マルコ「お疲れ、ジャン。僕より1ヵ月も長引くんだから、ほんとついてないよね」

コニー「でもお前よりひどかったミカサやアニがあっという間に全快したのは驚いたぜ!」

ベルトルト「確かにね…」

ライナー「右手が使えない時は遠慮なく俺を頼れって言ったのに、何も頼らなかったな」

ジャン「ライナー…。お前、今の発言、めちゃくちゃ気持ち悪いからな?」ゾーッ

ライナー「なぜだっ!?」

アルミン「おーい!」タッタッタッ

マルコ「あれっ?アルミンだ」

ベルトルト「どうしたんだい?」

アルミン「実は…」

教官室

ライナー「おいおい、なぜ俺たちが全員教官に呼び出しをくらうんだ?」ひそひそ

コニー「俺、ここ最近は赤点取ってないのに…」ひそひそ

マルコ「コニー…。赤点で呼ばれたことあるんだね…」ひそひそ

ジャン「…他にいるのは…」きょろきょろ

トントン ガチャ

エレン「エレン・イェーガー、失礼します!」

ミカサ「ミカサ・アッカーマン、失礼します」

アニ「アニ・レオンハート、失礼します」

サシャ「サシャ・ブラウス、失礼します!」

クリスタ「クリスタ・レンズ、失礼します!」

ユミル「…ユミル、失礼します」

ライナー「お前たちもか…」

サシャ「あれ、みなさんお揃いですね?一体何が始まるんですか?」

アルミン「これは…2か月前の大会メンバーだね…」

クリスタ「そういえばそうだねっ。何かあったのかな?」

ミカサ「………」ソワソワ

エレアニ「………」

ガチャ

キース「集まっているな…」

一同「!」バッ!

キース「敬礼はいい…。楽にしろ」

一同「…」スッ

キース「貴様らに集まってもらったのは他でもない。
今日の夜、貴様らは他の訓練兵とは別の場所に移動してもらう」

一同「!?」

サシャ「それってもしかして…」

クリスタ「開拓地送りってことですかっ!?」

コニー「そんなっ!俺赤点取ってないのに!?」

キース「」ギロッ

一同「」シーン

キース「そうではない。…いいか、今から話すことは他言無用だ。
他の訓練兵にばれた場合、本当に開拓地送りにしてやるから心して聞け」

一同「」ゴクッ

キース「…2か月前、アッカーマンより要求を受けた」

ライナー「…優勝賞品のあれか?」

キース「その要求とはこうだ…。
大会に参加した全員の怪我が治った時に、そのメンバーで祝勝会を開きたい、というものだ」

一同「!?」

キース「訓練兵である身分の貴様らが、打ち上げをやろうなどと…。
しかもこれはアッカーマンだけの褒美でなく他11名も褒美を得ることになる。
そんな要求聞き入れられん」

ユミル「まっ、そうだろうな…」

キース「しかし、アッカーマンは生意気にも私に条件を突きつけてきた…」

マルコ「条件?」

キース「その要求が聞き入れられるのなら、3日間の休暇と2週間分の肉料理を辞退すると言いだした」

一同「!?」

アニ「…なるほど」

エレン「やっぱり…」

サシャ「だからあれからミカサの夕食には一度も肉料理が出てこなかったんですね」

ライナー「ん?ちょっと待て。あれから一度も肉料理が出てきてないってことは…」

ベルトルト「まさか…」

キース「肉2週間分などというとてつもない貴重品を断ったのだ。
そこまで折れられて、なお要求を突っぱねようものならこちらの面目がたたん。
よってアッカーマンの要求を受け入れ、キルシュタインが回復した今日、祝勝会を開催することになった」

一同「!?」

ジャン「ミカサ…。おまえ…」

キース「開催は本日20時。場所は第2食堂だ。貴様らの夕食はそこに準備しておく」

アルミン「第2食堂って…教官たちの食堂じゃ…」

キース「もちろん水を差すつもりはない。我々は各々の部屋で食事をとる。
よって自由に使って構わん。次に使う時に元通りでなかった場合、連帯責任で罰走100周だ」

キース「そして!今日の20時までの訓練で、少しでも手を抜いたと判断された者がいた場合!
この話はなかったことにする!以上だ!なにか質問はっ!」

一同「」シーン

キース「では失礼する。貴様ら!心臓を捧げよ!」

一同「ハッ!」バッ!

キース「では速やかに訓練場へ移動しろ!」

一同「ハッ!」ドドドドドッ!


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


アルミン「ミカサ…。君ってやつは…」

ミカサ「アルミン、それにみんなも。今日の訓練中その話は禁止。
…私は2か月待った。ので。絶対に成功させたい」

一同「!」

ミカサ「いい?」

一同「おう!!!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ライナー「今の時間は?」

ベルトルト「20時ジャストだ」

ライナー「場所は?」

アルミン「第2食堂…間違いないよ」

ライナー「全員いるか?」

マルコ「君を含めて12名。全員いるよ」

ライナー「よし、では扉を開けるぞ…」グッ

クリスタ「楽しみだね、祝勝会!」

コニー「ああ!」

ミカサ「」ソワソワ

アニ「落ち着きなって…」

エレン「楽しみなのはわかったからよ…」

ジャン「………」

ユミル「…なぁ、水差すようで悪いんだがよ…」

ジャン「ばっ!よせ、ユミル!」

ユミル「こん中にあんの、いつもの夕飯だろ?」

一同「………」

ミカサ「…そうだった」

アルミン「…すっかり忘れてたよ」

マルコ「祝勝会という言葉に踊らされていたね」ハハハ

クリスタ「い、いいじゃない!みんなで食事!きっと楽しいよ?」アセアセ

コニー「それっていつも通りじゃね?」

クリスタ「」

ジャン「馬鹿っ!なんでてめぇはこんな時に限って察しがいいんだよ!」

ミカサ「」シュン…

アニ「ミカサ…」

エレン「…気にしてんじゃねーよ、ミカサ」ナデナデ

ミカサ「エレン…」

エレン「ちょっとみすぼらしいかもしれねぇが、パーティーだろ?笑えよ、ミカサ」ニッ

ミカサ「エレン」うるっ

サシャ「みなさんまだですか?もうにおいだけで辛抱たまらないんですが」ハァハァ…

ジャン「はぁ?いつものメシだぞ?においなんか…。あれ?」クンクン

ベルトルト「なんかいつもと違うようなにおいが…」クンクン

サシャ「もう我慢できません!」バーン!

ライナー「ああ、こら!サシャ………。は?」

一同「………」

クリスタ「なんでこんな…豪華な食事が…?」

サシャ「肉~~~~~~~~~~!!!!!」バッ!

ユミル「!…止まれ!芋女!」がしっ

サシャ「肉肉肉~~~~~~!!!!」ジタバタ!

ユミル「これは明らかにおかしい!部屋を間違えたんじゃないか!?」

マルコ「確かに!」

アルミン「まずいよ!こんなとこ教官に見つかりでもしたら…。
ってあれ?何か手紙みたいなのが置いてある…」

アルミン「拝啓 ミカサ・アッカーマン様?」

一同「!?」

アルミン「ミカサ宛てに手紙だ…。読むかい?」

ミカサ「…アルミンに、読んでほしい」

アルミン「え?でも…」

ミカサ「いいの、アルミン。…それにもし、その紙に実は祝勝会は無し。
なんて文字が書かれていたら…。私は…」うるっ

エレン「…ほんと今日のおまえは気弱だな。いいじゃねぇかよメシくらい…」

アニ「…」ブン!

ゲシッ

エレン「いって!何すんだよ!」

アニ「あほ。2か月も楽しみにしてたんだ。察しろ」

エレン「う…」

アルミン「ははは…。じゃあ読むよ?」

ミカサ「」コクリ


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

やぁ、ミカサ!私がわかるかな?ハンジ・ゾエだ!遅くなったたけれど優勝おめでとう!

君の試合には感動したよ!君の体はまさに人類の宝だ!今度解剖させておくれよ!

冗談はさておき、君は優勝の商品を受け取らなかったそうじゃないか?

そして戦ったみんなとの会合を希望し、それを叶えた。いやぁ青春だね!

そんな君たちにささやかなプレゼントだ!

どうせ祝勝会を要求したとき、食べ物とか飲み物のことに頭が回らなかったんじゃないのかい?

ああ、気にしないでいい。そういうのは大人同士の付き合いを経験していくうちに覚えるものだ。

今回できなかったからといって恥じてはいけないよ?

そこにある肉料理の数々はなんと!キース教官が用意してくれたものだ!

本人は2週間分の肉は既に発注していたので、食べないと腐らせるだけだ。そんなもったいないことはできん!

なんて言ってたけど、素直じゃないよねぇ。

その他の料理はエルヴィンから!感動をありがとう、だってさ!

調査兵団に来ることがあればお礼を言っておくれ!

他にもコーヒーや紅茶といった趣向品はなんと!あのリヴァイからだ!

彼が愛用しているものだから、口に合うかはわからないけどね!

そして飲み物がリヴァイのだけじゃさみしいだろうから、私からは果物のジュースを送らせてもらったよ!

甘いものは貴重だから、存分に舌鼓を打つといい!

長くなったね!これで君たちの目の前に広がる光景はすべて説明した!あとは好きにやってくれたまえ!

それじゃあ、また! ハンジ・ゾエ


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

アルミン「…だそうだよ、ミカサ」

ミカサ「」ポロポロ

エレン「ミカサ…」ナデナデ

アニ「まぁ良かったじゃないか。あんたのおかげですごい祝勝会になりそうだ」

クリスタ「そうだよミカサ!今日はほんとに!お招きいただきありがとうだよ!」

ライナー「ああ!」

ベルトルト「ありがとう」

コニー「サンキュー!」

マルコ「僕もさ」

サシャ「肉~~~~!」

一同「」ギロッ

サシャ「ひぃい!すみません!ミカサ!ありがとうございます!」

ユミル「…さんきゅな」

ジャン「よかったじゃねぇか、ミカサ!これもみんなお前のおかげだ!」

エレン「〆にいいとこどりしてんじゃねぇよ、馬面が…」

ジャン「ああ!?」

アルミン「まったく君たちはこんな時まで…。でもありがとうミカサ」ニコッ

アニ「…ありがと」フン

ミカサ「みんな…」グスグス

エレン「…ほら」スッ

ミカサ「これは、ジュース?」

エレン「パーティーの開始ったらあれだろ、あれ」

ミカサ「ハッ!」

一同「」ジー

ミカサ「………」

ミカサ「みんな。今日は本当にありがとう。わたしのわがままに付き合ってくれて。
今日はみんなで好きなだけ食べて、飲んで、楽しく過ごそう」

一同「おおお!!!」

ミカサ「…乾杯」

一同「カンパーイ!!!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


サシャ「肉~~~~~~~~!!!!!」ダダダッ!

コニー「あっ!ずりぃぞサシャ!一番は俺だ!」ダダダッ!

ユミル「いそげクリスタ!芋女に全部食われちまう!」ダダダッ!

クリスタ「待ってよユミル~」タッタッタッ

ライナー「それにしてもすごい量だな…」

アニ「だとしても12人もいるんだ…。さっさとしないとなくなるよ?」

ベルトルト「ひぃふぅみぃ…。7種類も肉料理があるよ?」

ミカサ「7種類というのは…」スゥッ

マルコ「うわっ!びっくりした!」

アルミン「…うしろからすり足で近づいたらそりゃ驚かれるよ」

エレン「ほんとその技はよくわかんねぇよなぁ…」

ジャン「はっ!てめぇじゃ一生かかってもわからないままだろうさ!」

エレン「ああ!?」

ミカサ「1週間だけでも肉料理がかぶらないように配慮してくれたらしい」

マルコ(スルーなんだ…)

コニー「なんだよこの分厚い肉は!?」

サシャ「食べ応え有りそうです!」じゅるり

アルミン「それはステーキだね。牛の肉を焼いて塩コショウで味付けしたものらしいよ」

サシャコニ「いただきまーす!」グワッ!

もぐもぐもぐっ!

サシャコニ「うまーい!!!」

サシャ「これぞ肉って感じですね!」ガツガツ

コニー「塩コショウだけなのにすげぇうめぇぞこれ!」ガツガツ

ライナー「…ん?こっちの薄っぺらいのはなんだ?」

アルミン「それはローストビーフだね。それも牛の肉を焼いたものだけど、薄く切って、ソースを添えたものなんだよ」

ライナー「ふむ…」パクッ

ライナー「おお!薄いのにしっかりと肉の味だ!それにソースもうまい!薄いから何枚でもいけそうだ!」パクパクパク

クリスタ「あれ?生の肉が置いてあるよ?」ジー

ユミル「なんだ?生で食えってか?」くびかしげ

アルミン「それは焼肉だね」

クリユミ「焼肉?」

アルミン「たしか…。あ、あったあった」ドンッ!

クリスタ「わぁ!大きな囲炉裏!」

ユミル「…これは七輪か?」

アルミン「そう。焼肉って自分で好きなものを好きに焼いて、甘辛のソースに付けて食べるらしいんだ。
今回は牛の肉と色んな野菜があるね」

クリスタ「ユミル!やってみようよ!」わくわく

ユミル「よし。いっちょ食ってみるか!」

ベルトルト「ねぇアルミン?これは何だろう?」

アルミン「それは生姜焼きだね」

ベルトルト「生姜焼き?」

クリスタ「おいしー!」むぐむぐ

ユミル「こりゃいけるな…」もぐもぐ

アルミン「ふふふ…。えっと、その名の通り生姜と一緒に焼いた豚肉さ。豚肉と生姜は相性バッチリなんだって」

ベルトルト「へぇ…」パクッ

ベルトルト(…これはおいしい。生姜の香りが薄い玉ねぎと豚肉に溶け込んでいるようだ。食欲をそそるなぁ)

アルミン(ベルトルトがにこにこしてる…。おいしいんだろうなぁ)

ジャン「なんだこいつは…?」ジロジロ

マルコ「さぁ?千切りのキャベツの上に乗っかってるね?」ジー

アルミン「これはとんかつ。豚の肉を油で揚げたものだよ」

ジャン「油で揚げる?」

マルコ「食べられるのかい、それ?」

アルミン「もちろんさ。このソースをかけて食べたり、塩を振るのもいいんだって」

ジャン「ほぉ…」ソースたらー

マルコ「じゃあ…」塩パラパラ

ジャマル「あー…」パクッ サクッ

ジャマル「!?」

ジャン「なんだよこのサクサク感!それにどろっとしたソースが豚肉にめちゃくちゃ合う!」むしゃむしゃ

マルコ「中身の豚肉はジューシーだ!それなのに塩だとさっぱり食べられる!」もぐもぐ

ジャマル「ソースと(塩と)交換だ!(交換しよう!)」

アルミン「ははは…。あっ」

アニ「………」ジー

アルミン「気になる料理でもあったのかい?」

アニ「…別に」フイッ

アルミン(あの大会以来あんまり顔を合わせてくれないんだよなぁ…)

アルミン「これは唐揚げだよ。鶏肉を油で揚げたものなんだ。
お肉自体に味がしみ込んでいるからそのまま食べられるよ」

アニ「ふーん…」ヒョイパク

アルミン「あ!一口サイズだからってそれは…」

アニ「っーーー!!あふっ!あふい!」

アルミン「ああアニ!水があるから飲んで!」

アニ「」キッ!

アルミン(あっ、涙目なアニだ…。初めてみる…。なんかかわ…)ドキドキ

ズイッ

アルミン「」

アニ「ほら口に入れなよ。もちろん一口だ」ゴゴゴ

アルミン「あのー、アニさん?」

アニ「冷ます時間はやらないよ。口あけな」ズイッ

アルミン(ああ、これわかってないやつだ…。あとで怒られる気もするけど…ええい!)
パクッ

アルミン「っーーー!あふっ!あふあふ!」

アニ「うまいかい?アルミン?」ジロッ

アルミン「ひぃひぃ…。うん、おいひいよ。肉汁が口いっぱいに広がるよ」ハァハァ

アニ「ふん。これに懲りたら大事なことはもっと早くいいな」ぷいっ

アルミン「………」

アルミン「それにしても、アニにあーんしてもらえるなんてうれしいなぁ」ニヤニヤ

アニ「?」

アニ「………」

アニ「っーーーーーーーーー!!!!!////////」

アルミン「わぁ真っ赤…」

アニ「アルミン!」

アルミン「ごめーん!!!」ぴゅー!

アルミン「ふぅまたやっちゃった…。そういえば前もアニをからかって怒られた気が…」

エレミカ「」ジー

アルミン「?どうしたのエレン、ミカサ?」

エレン「アルミン…。この料理どっかでみたことねぇか?」

ミカサ「私もどこかで見たような気がする。こんなに黄色ではなかったと思うけど…」

アルミン「これは…。卵とじだね」

エレン「卵とじ?」

アルミン「そう。鶏肉と玉ねぎとかの野菜を卵で覆った食べ物だよ。甘辛く煮てあるんだ」

ミカサ「卵は足が早く高級品。私たちが見たのはきっと違う食べ物」

エレン「だな」

ミカサ「とりあえず食べよう。…エレン」サッ

エレン「おう」スッ

アルミン「!?」

ミカサ「これくらい?」

エレン「ああ。ちょうどいいな」

ミカサ「アルミンは?」

アルミン「えっ!ああ、それじゃあエレンより少し少なめで」

ミカサ「わかった。…はい」サッ

エレン「よし、全員分あるな…」

ミカサ「それじゃあ…」

パン

エレミカ「いただきます」

アルミン「………」

ミカサ「これは…。おいしい」もぐもぐ

エレン「うめぇな!これ!」ガツガツ

アルミン(ああ、そうか。なんかわかった気がするよ…)

ミカサ「エレン。もっとゆっくり食べたほうがいい…」

エレン「これ!俺、好きな味だ!…おかわり!」バッ!

ミカサ「…全くもう、フフッ」スッ

アルミン(きっと二人が暮らしてた家ではエレンのお母さんがこういうふうにお鍋をテーブルに置いて、
中身を家族によそう料理が出たことがあるんだ)

アルミン(だから見たことがあるって…)ジワッ

エレン「どうした?アルミン?食べないのか?」

アルミン「!ううん、食べるよ!」パクパク

アルミン「おいしいねっこれ!」

エレン「ああ!」

ミカサ「」ニコッ

アルミン(ああ、これが一家団欒ってやつなのかな)ニコニコ


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ライナー「ふぅ…。それにしてもこの部屋暑くないか」パタパタ

マルコ「だよね…。冷えたジュースを飲んでるのにどんどん暑くなるよ」ゴクゴク

ベルトルト「そうかい?特に感じないけど…」ゴクッ

ジャン「だよなぁ」グビッ

クリスタ「うぅ。食べ過ぎたかも…」

ユミル「大丈夫かよクリスタ。ほら水ってあれ?切れてやがる…。
とにかくジュースでも飲んでろ。水持ってきてやるから」タッタッタッ

クリスタ「うん」クピクピ

クリスタ「………ひっく」

アニ「?」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ユミル「クリスタ。水持ってきた…ぞ…」

クリスタ「きゃははは!ライナァ。どうしてあなたはいつも大きいのぉ?」

ライナー「それはなクリスタ…。俺がここにいる仲間全員を背負ってやるためだ」キリッ

クリスタ「やだもぉライナー、かっこいい~!」

ライナー「そうだろうそうだろう」でへへへ

ベルトルト「ライナーしっかりしてくれ!」

ユミル「これは一体…」

ジャン「マルコ!おい!マルコ!」

マルコ「うるさいなぁ君は~。毎度毎度僕に頼らないでくれよ~」

ジャン「マル…コ?」

マルコ「大体君はさぁ…」クドクド

ジャン(…うぜぇ)

アニ「もしかして…これの所為?」チラッ

ユミル「まさか!?」バッ

ユミル「酒…だと…」

アニ「!まさかアルミンも!?」ダッ!


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


エレン「だからおまえはさぁ!」

ミカサ「うう…」グスッ

アルミン「落ち着きなよ、エレン!どうしちゃったのさ?」オロオロ

エレン「どうしたもこうしたもアルミン!ミカサは家族にこだわりすぎなんだよ!」

ミカサ「そんな!?エレンと私は家族のはず!それ以上でもそれ以下でも…」グスグス

エレン「なんで泣いてんだよ!ミカサ!
…はっ!まさかあのいじめっこに!?あのやろうぶっ飛ばしてやる!」ズダッ

ミカサ「グスグス…。
…というか、いじめられてたのはエレン。あなたでしょ?
あなたはいっつも厄介事をもちこんで…」ゴゴゴ

エレン「は、はい…」スッ

アルミン(あ、何か立場逆転した…。っていうかいつの話だよ…)

アニ「アルミン!」

アルミン「アニ!これは一体?」

アニ「飲み物の中にお酒が混じってたんだ。だからみんなが…」

アルミン「酔っぱらってるのかい!?これ!?」

アニ「おそらく…」

アルミン「なんてこった…。とにかく無事なメンツでいったん集まろう」

アニ「そうだね。一度そうしたほうがいい」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

アルミン「結局無事なのは僕とジャンにベルトルト、アニとユミルか…」

ジャン「ったくなんだってこんなことに…」

ベルトルト「僕たちの飲み物にはお酒が入ってなかったのかな?」

ユミル「クンクン…。いや、これも酒入りみてぇだ。
あたしらはどっちかっていうと酒に強い体質なのかもしれねぇな…。
くそっ、飲み物に注意さえしていれば…」

アニ「…ところでコニーとサシャは?」

ユミル「…あそこだ」クイッ

アルミン「…二人してなんで寝てるのさ…」

ベルトルト「サシャが大食いでのどを詰まらせた時にコニーがジュースのボトルを渡したんだ…。
そしたらサシャがあっという間に飲みきっちゃってそのままパタリ」

ユミル「コニーの馬鹿は、まさか毒入り!?なんて言いながらサシャの飲んだボトルをひとなめ。
そしたらパタリだ。いくらなんでも弱すぎだろ…」

アルミン「コニー…。毒入りを疑って毒見したの…?」

アニ「…ほんと馬鹿だね」ハァ

ユミル「とにかく寝てるやつは酔いが醒めるまで寝かしといた方が面倒がなくていい。
問題はいまあっちで暴れている…」チラッ

ライナー「うおおおおお!!!!」脱ぎっ!

クリスタ「きゃー、ライナー!たっくましいぃ~!」ピーピー

ミカサ「いい?エレン?あなたはなんでもかんでも突っ走りすぎ…」クドクド

マルコ「ミカサの言うとおりだエレン。協調性って言うのはだね…」クドクド

エレン「うぅ、そんなよってたかって言わなくたって…」グスグス

アルアニベルジャン「」

ユミル「そんな顔すんな…。あたしだってやだよ」

アルミン「とにかく1対1は避けよう。1人で行くよりはグループで行った方がいい」

ジャン「ならライナーとクリスタにはベルトルトとユミルでいってこい。それ以外はミカサ達の方だ」

ユミル「異議なしだ」

ベルトルト「ぼくもそれで…」

アニ「わかったよ…」

アルミン「よし。とにかく彼らからお酒を回収して水を渡すんだ。酔いを醒まさせよう」

ベルジャンアニユミ「了解!」ザッ!

ライナークリスタの場合

ユミル「おいクリスタ!」

クリスタ「ああ~、ユミルだぁ~!どこに行ってたのよぉ」クピクピ

ユミル「ああもう!酒は駄目だクリスタ!」ヒョイ

クリスタ「ああん!ユミルの馬鹿ぁ!ジュース返してよぉ!」ウルウル

ユミル「ぐっ!」

クリスタ「しゅきありぃ!」バシッ ゴクゴク

ユミル「ああああ!!!!」

ベルトルト「もう何やってるんだい君は…。
ねぇ二人とも。もっとおいしい飲み物があるんだ。
よかったら交換してくれないかな?」

ライナー「なんだとっ!?」ガバッ!

クリスタ「もっとおいしいの!?」けぷっ

ベルトルト「ああ。はいどうぞ」スッ

クリスタ「やったぁ!ベルトルト大好きぃ!」ガバッ!

ライユミ「!?」

ベルトルト「クリスタ!?少し離れてもらえると…」

クリスタ「い~や~だ~!」グリグリグリ

ユミル「いい度胸だベルトルさん。そこになおれ」ゴゴゴ

ベルトルト「ちょっ!?」

クリスタ「ベルトルトもおっきいよね~。私、ライナーよりベルトルトの方がいいっ!」

ライナー「ベルトルト!貴っ様ぁ~!」ゴゴゴ

ベルトルト「君まで!?」

ライナー「…くそうっ!こうなったら…」ゴクゴクゴク

ユミル「あっ!この馬鹿ゴリラ!またそんなに酒を!」

ライナー「うぃい…。こんなに素晴らしい上腕二等筋と大胸筋を見せているというのにダメだというならば…」脱ぎっ

ベルユミ「!?」

クリスタ「きゃー!ライナーのえっちー!」きゃっきゃっ

ベルトルト「ライナー!今すぐズボンを上げるんだ!」

ライナー「ならばクリスタを解放しろ!ベルトルト!」

ベルトルト「クリスタ!ライナーの方がかっこいいだろう!?そうだと言ってくれ!」

クリスタ「んーん。ベルトルトがいい」

ベルトルト「」サーッ

ライナー「」がしっ

ユミル「やめろくそゴリラ!パンツに手をかけるんじゃねぇえええ!!!!!」

クリスタ「…うう~ん。なんかおしっこしたくなっちゃった…」脱ぎ脱ぎ

ベルトルト「ここではだめぇええええええ!!!!!!」

ギャーギャー…

エレンミカサマルコの場合

ジャン「おい!もうやめろマルコ!」

アルミン「エレンもミカサもやめるんだ!」

アニ「…」←お水を持っている

マルコ「なんだい、ジャン達じゃないか。ちょうどいい。こっちに来るんだ!」グイッ

ジャン「おおおっ!?」ドサッ!

マルコ「いいかいエレン!協調性とは仲間を思いやる心なんだ!
それは君に一番欠けていることだよ?わかるかい?」

エレン「そんな!?」ガーン!

アルミン(マルコ…。酔うと口が悪くなるんだね)

マルコ「いいかいミカサ。ここに右手を怪我しているジャンがいる。君ならどうする?」

ジャン「いやもう治ってるがっ!?」

ミカサ「もちろん助ける」キリッ

マルコ「その通りだ!」グビッ

ミカサ「私は協調性がある。えっへん」ゴクッ

エレン「なるほど。つまり馬の世話だな!」ゴクゴク

ジャン「ちげぇよ!!」

エレン「ビクッ!なんだよジャン…。びっくりするだろ…」グスッ

ジャン(やりずれぇえ!!!)

アニ「」オロオロ ←水と交換するタイミングを逃した

マルコ「ではミカサ!ジャンが右手を怪我して食事が取れない!そんな時は?」

ミカサ「こうする。…はい、ジャン。あーん」

アルアニジャン「」

エレン「お、おい。やめろよ…。ミカサ!」

ミカサ「これは協調性の問題。エレンにはわからない。…ジャン、あーん」

ジャン「………。あーん」パクッ

アルアニ「ちょっ!?」

ジャン「うめぇ…」もぐもぐ

マルコ「はいよくできました!」

ミカサ「わたしはできる子」えっへん

エレン「ミカサ…。おまえ…。なんで…」

マルコ「じゃあこれは?」スッ

ミカサ「飲み物?それなら…」ガシッ

ジャン「ふがっ!?」

アルミン(ジャンの鼻をつまんだ!?)

アニ(はっ!今ならミカサの飲み物を水に交換できるかも!?)

ミカサ「こうする」ドボドボドボ

ジャン「ゴガガガ!」ゴキュゴキュゴキュ!

アルミン(ああ、ジャン。あんなにもお酒を…)ガクブル

ミカサ「はいできた」ピース

ジャン「くそっ。さすがにイッキはきつい…」クラクラ

エレン「………」

エレン「おいミカサァ!なんでそんなにジャンと仲良くしてんだよッ!」

アルミン「!」

マルコ「だからなんども言っているだろうエレン!これは協調性の問題なんだ!」

エレン「けどよぉ…」いじいじ

アルミン(エレンが嫉妬!?いやまさか!?でも今のは確かに…)

ミカサ「いい?エレン。私は決して………。誰ッ!」ガシッ

アニ「!」ビクッ

アルミン(アニィイイイ!!??何してんのぉおおおおお!?)

アニ「いや、その、ジュースをついで上げようかと…」ビクビク

アルミン(水と入れ替えるつもりだったのか!?でもミカサに捕まってしまった!?)

ミカサ「そう、ありがとう。ならあなたも飲まないとね?」ぎゅ

アニ「!?」

ジャン(やべぇ!俺と同じ状況に!?)

ミカサ「はい飲んで」グイッグイッ

アニ「んんんん~ッ!」コクッコクッコクッ

アルミン「あわわわわわ」ガクブル

ミカサ「はい。おしまい」パッ

アニ「ハァ…ハァ…ハァ…」

ジャン(俺ほどではないがかなり飲まされてる…。でも酒が強いなら大丈夫か?)

アニ「………」

アニ「」ジワッ

一同「!?」

アニ「うわ~~~~~ん!」ポロポロポロ

アルジャン(アニィイイ!!??だめだったぁああああ!!)

ミカサ「どうしたのアニ!?なんで泣くの!?」オロオロ

マルコ「ミカサ!協調性はどうしたんだ!?」

エレン「そうだぞミカサ!調教だ!調教!」

アルミン「エレン!それ意味が違う!」

アニ「ミカサにファーストちゅう取られたぁ~~~!!!」うわーん!

一同「!?」

ミカサ「…もしかして私のコップの飲み回しのこと?
それは関節キスであってファーストキスにはカウントしない。だから…」オロオロ

アニ「最初のちゅうはぁ!!!アルミンとしたかったのにぃいい!!!」グスグス

一同「」

アルミン「」

アルミン「ええええええええ!!!!!?????////////////////////」

アルミン(ぼ、僕!?僕とキス!?いやたしかにアニはかわいいし、すごく気になっている女の子だけど!
えっ!?アニが僕としたいのっ!?)ドキドキ

マルコ「アルミ~ン!女の子にここまで言わせたんだ!
ここは男として!協調性を見せるときじゃないのかぁ!?」

アルミン「!?」

エレン「そうだぁアルミン!アニを調教しろぉ!!!」

アルミン「君はもうだまってろよ、エレン!」

アニ「アルミンは…私とちゅう…いや?」ウワメヅカイ

アルミン「ううっ/////」

ジャン(やべぇ…。このままじゃ成り行きでアルミンとアニの公開キスになっちまう!
アルミンとは大会中の死線をくぐり抜けてきた仲だ!なんとかしてやりたい!…そうだ!)

ジャン「おいマルコォ!酒が足りねぇんじゃねぇのかぁ!?俺と飲み比べといこうぜぇ!」

マルコ「なっ!恥を知れよ!今いいところなのに!」

ジャン「おやぁマルコ?おまえ………協調性ないんじゃねーのぉ?」ニヤニヤ

マルコ「なんだって!?そんなことはない!いいだろう!勝負だ!」

ジャン(かかった!…つーかこいつらほんとに協調性の意味わかってんのか?)ズイッ

アルミン(ジャンとマルコがボトルを持った!?でもあれ、1Lはあるぞ!?)

ジャン「よーい…」

マルコ「ドン!」

グイッ!ゴッゴッゴッ!

エレン「いけぇ!2人とも!」

ミカサ「頑張れ頑張れ2人とも!」どんどんぱふぱふー

アニ「」ジーーーーー

アルミン(うぅ、アニ。さっきからなんなの!?もしかしてせがんでるの!?)ドキドキ

ジャン「…ブハァっ!」

マルコ「ぐっ!?そんな…まさか…ジャンに…」フラフラ

マルコ「負けるなんて…」バターン!

エレミカ「おおお!!!」

ジャン「よし!次はお前だエレン!まさか尻尾巻いて逃げだすなんてこたぁねぇよな?」

エレン「なんだとぉ!?当たり前だろ!勝負だジャン!」

ジャン「よ~し、ならミカサは審判を頼む!…おっといけねぇこのテーブルにはもう酒がねぇぞ!
エレン、ミカサ!あっちのテーブルまでダッシュだ!」

エレン「おお!」ダダダッ!

ミカサ「待ってエレン!」ドドドッ!

ジャン「…あとはうまくやれよ」ボソッ

アルミン「ジャン…。君ってやつは…」ボソボソ

ジャン「…なんなら外の茂みに連れ出しちまえ。連れだした後は…わかんだろ?」二ヤッ

アルミン「ちょっ!?なっ!?何をいってるんだジャンはぁあああ!!??///////」

ジャン「あばよ!」ダッ!

アルミン「もう!」

アニ「アルミン…。ちゅう…」ギュッ

アルミン(アニが手をにぎってきたぁあ!!!っは!そうだ!)ズイッ

アルミン「これは僕が飲んでいた水だ。これでキスでき…」

アニ「それは関節ちゅう」キリッ

アルミン(なんでぇええええ!!!???)

アニ「ちゅう…。ほしいよ…」ズイッ

アルミン(アニが座ってる僕の膝にまたがってきた!?かくなるうえは…!)ザッ!

アニ「これは…お水?」

アルミン「そう。ここに1Lの水がある。これを飲んだらキスしてあげ…」

アニ「飲んだ」けぷっ

アルミン(早――――!!僕の考えではこれ飲んだら酔いがさめるはずだったのに!)

アニ「………。さて、アルミン。あたしと…キス…しよう?」グッ

アルミン「ううっ…」

アルミン「………ん?」

アニ「?」

アルミン「アニ…。酔い醒めてるでしょ?」

アニ「………。何のことだか…。それよりはやくキスを…」

アルミン「さっきまでちゅうって言ってたのに、キスになってるよ?」

アニ「………」

アルミン「アニ…」

アニ「…なんだい?軽蔑でもしたかい?お酒のせいにしてあたしは…」グスッ

アルミン「君のことが好きだ」

アニ「!」

アルミン「大会前からずっと気になってた。そして大会で確信した。
頑張っている君の姿を見て。必死に立ち上がる君の姿を見て。なんて美しいんだろうって…」

アニ「………」

アルミン「でもひとたび戦いの場から離れるとすっごく女の子らしくなって、かわいい。
そんなギャップがたまらなく好きなんだ」

アルミン「アニ。僕と付き合ってください」

アニ「………。あたしの理想は強い男だった」

アルミン「………」

アニ「でもあんたをずっと見てきて、弱いくせに必死で努力していることを知った」

アニ「体では他の訓練兵に劣ってたあんだが、それを補うためにいつも頑張っていることを知って…。
そしてあの大会に出場するまでになった」

アニ「努力は実を結ぶんだって。こんなにも素敵なことなんだって。あんたは教えてくれた」

アニ「アルミン。あなたが好き。これから私にいろいろなことを教えてほしい」

アルミン「アニ…」

アニ「………よくよく考えたら、ここみんながいるね。こんなとこで告白なんて…」

アルミン「ここは部屋の角で、他のテーブルの影にもなってる…。だから…」グイッ

アニ「アルミっ!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ジャン「くそっ!ひでぇめにあった…」

ジャン(なんとかエレンを潰すことに成功したが、ミカサはつっききりで看病だ…。
さすがにミカサはつぶしたくねぇし、少し酔いが醒めてるようにも見えたし、もう大丈夫だろ…)

ミカサ「はい、お水」

ジャン「ああ、さんきゅってミカサ!?」

ミカサ「また驚かせた?」

ジャン「いや、大丈夫だ」ドキドキ

ミカサ「まさかお酒だったとは…。エレンは寝てしまったし、私も少しばかり酔いが醒めた…」

ジャン(ミカサの頬が少し赤い…。なんか色っぽい…。これが酒の力か)

ミカサ「…ジャンはすごい」

ジャン「…いきなりなんだよ」

ミカサ「大会中のライナーの件や今さっきのマルコの件。
それにアルミンにまで気を回してくれてありがとう」

ジャン「…へっ!アルミンの頭脳は貴重だ。だから助けた。
だがミカサとアルミンの友達だからってあの死に急ぎ野郎と仲良くする気は…」

ミカサ「エレンも…。ジャンはすごいって言ってた」

ジャン「!」

ミカサ「ジャンには決して言う気はないけど、あいつほど頭の回転の速さと実行力を持った人間はそうそういないって。
あいつこそ調査兵団を目指すべきだって」

ジャン「うそだろ?」

ミカサ「私は嘘が苦手」

ジャン「…そういやそうだったな」

ミカサ「そう」

ジャン「………」

ジャン「俺も言う気はねぇが…。エレンは目標がしっかりしているとんでもねぇ男だ」

ジャン「俺みたいに内地で暮らしたいって目先の目標じゃなくて、まるで自分の人生の目標を掲げているような奴なんだ」

ミカサ「ジャン…」

ジャン「少しうらやましい気もするが、俺は自分が間違ってるとは思わねぇ。
俺らしさとあいつらしさの違いってやつだ」

ミカサ「うん…」

ジャン「でも俺は…。たとえエレンと比べてちっぽけであろうとも俺は!」

ミカサ「ジャン?」

ジャン「俺は…ミカサが…」

ミカサ「?」

ジャン「…いや、なんでもねぇ。ちょっと酒に酔ったみたいだ…」

ミカサ「そう?ならお水もってくる。待ってて」タッタッタッ

ジャン(今は言わねぇけどよ、ミカサ。いつか言わせてくれ。
その時の答えがたとえ、俺の望んだものじゃなくてもいい。
俺はただお前に伝えられればそれで…)

15分後

ジャン「……それにしても遅ぇな、ミカサ。中はどうなってんだ?」

ジャン「んなっ!?」

ミカサ「」ぴくぴく

ジャン「ミカサ!?それにアルミンにアニ!ベルトルトやユミルまで!どうしてみんな酔い潰れてんだ!?」

ゆらぁ

ジャン「!?」

エレン「駆逐してやる…。一人残らず…」

ジャン「エ、エレン?お前がやったのか?」

ジャン(定まってない焦点…。両手に酒ビン。まちがいねぇ。こいつが全員潰しやがったんだ!)

エレン「駆逐してやるぅううう!!!」

ジャン「…上等だこの野郎ぉおおおおお!!!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ちゅんちゅんちゅん


アルミン「ううん、朝か…。あれ、なんでぼく、アニの手を握って…」

アニ「」スヤスヤ

アルミン(ああ、そうだ…。昨日僕はアニに告白して、アニもそれを受け入れてくれて。そして…)

アルミン(何回キスしたっけ///やばい覚えてない///)

アルミン「…あれ?たしかその後エレンがやってきて、僕たちにお酒を…」

アルミン「」サーッ

アルミン「みんな!起きろ!起きてくれ!」

アニ「何さ、アルミン。うるさいなぁ…」ムクッ

コニー「なんだなんだぁ?」ムクッ

サシャ「朝ごはんですかぁ?」ムクッ

ライナー「なぜ俺は裸なんだ?」ムクッ

ベルトルト「おはようライナー。とにかく服を着たら?」ムクッ

クリスタ「ふわぁああ」ムクッ

ユミル「くそっ…。頭がガンガンしやがる…」ムクッ

マルコ「みんなどうしたんだい?」ムクッ

ミカサ「…なぜエレンとジャンはボコボコなの?」ムクッ

エレン「」チーン

ジャン「」チーン

アルミン「そんなのんきなこと言ってる場合かい!?もう朝だ!」

コニー「だから?」

アルミン「ここは第2食堂なんだよ!?こんなとこで一夜を明かしたと教官にでもばれたら大変なことに…」

キース「ほう。何が大変なのか言ってみろ、アルレルト」ゴゴゴ

一同「」

キース「…ハンジ分隊長から酒を誤って送った旨の手紙を今朝受け取った。
よって誤って酒を飲んだことはおおまけにまけて不問にしてやる…」

キース「だが…、私は次の使用までに元に戻せと言ったはずだ…。
私はいったいどこで朝食をとればいいのだ?」ゴゴゴ

ぐっしゃあ…

一同「」

キース「全員グラウンド…200周だ!!!」

一同(ひぃいいい、増えてるぅうううう!!!)

キース「返事ぃ!!!」

一同「は、はいぃいいいいい!!!」ダダダッ


こうしてしっちゃかめっちゃかな祝勝会は幕を閉じた。
僕たちが大人になったときにまたこんなふうにみんなと過ごせる日がくるのかな。
…過ごせたらいいなぁ。

fin

以上です。

くそ長い茶番に付き合ってくださいまして、ありがとうございました。

完全な自己満です。

満足しました。

本当に!ありがとうございました!!!

それではまた!

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