【安価進行】佐山「ダンガンロンパ・パラダイス」【オリキャラ】2 (801)

・このスレはオリキャラによるダンガンロンパ風の安価スレです。
ダンガンロンパ1・2、絶対絶望少女のネタバレがあるかもしれません。

・キャラメイクはありません。

・安価や選択肢やコンマなどによってクロや被害者が変動しますが、特定のチャプターや人物によっては役割が固定されている事もあります。

・いろんな作品から影響を受けています。


1スレ目(PROLOGUE ~ CHAPT.1 非日常編)
【安価進行】ダンガンロンパ・パラダイス【オリキャラ】
【安価進行】ダンガンロンパ・パラダイス【オリキャラ】 - SSまとめ速報
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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1448194955

[主人公データ]


佐山 樹/サヤマ イツキ 【超高校級の???】 

【発言力/集中力】:【5/5】

『超高校級の???』……記憶を失っているため不明。知識は人並み以上にある。
『冷静沈着』……常に落ち着き払っており動じない。
『探究心』……謎や不明な点は積極的に解き明かそうとする。
『???』


【獲得スキル】
『お調子ストライカー』……論破に成功したり、正解の選択肢を選ぶと発言力が少し回復する。
『ラヴ・イリュージョン』……らーぶらーぶポイントがより多く手に入る。

神風 今日介/カミカゼ キョウスケ 【超高校級のキックボクサー】

【交友/精神】:【4/7】

『超高校級のキックボクサー』……強靭な脚力、身体能力をほこり、格闘技に精通している。
『自堕落』……面倒くさがりで言動がだらしない。
『単純』 ……良く言えば複雑な事に囚われない、悪く言えば脳筋。
『???』


黒須 灰矢/クロス ハイヤ 【超高校級の弓道家】

【交友/精神】:【6/4】

『超高校級の弓道家』……弓矢の扱いに長けており、狙撃も可能。
『激情家』……プッツンしやすい性格。
『良識派』……平常時は健全な考えを持つ。
『???』


ZEKE/ジーク 【超高校級のロッカー】

【交友/精神】:【5/5】

『超高校級のロッカー』……優れた音楽センスとギター演奏技術を併せ持つ。
『メンツ第一』……ロッカーとしての体面を非常に気にしている。
『ミュージシャン気質』……自分の音楽に対してこだわりを持っている。
『???』


十中井 蛇山/トナカイ ダザン 【超高校級の商売人】

【交友/精神】:【1/8】

『超高校級の商売人』……損得の計算が早く、商品や物流について広い知識を持つ。
『無口』……口数が少なく、感情が読みにくい。
『威圧感』……目の前にすると気圧されるようなオーラを放っている。
『???』


直木 重吾/ナオキ ジュウゴ 【超高校級の文豪】

【交友/精神】:【7/3】

『超高校級の文豪』……書物、文学作品に関して深い知識を持つ。
『オープン』……いろんな意味で開放的。
『逃避癖』……受け入れがたい事に直面すると現実逃避に走りがち。
『???』

早家町 杜々/ハヤマチ トト 【超高校級の薬学者】

【交友/精神】:【4/2】

『超高校級の薬学者』……薬学、薬品の知識は専門家レベル。
『気弱』……どこか自信がなく消極的。
『リトルマインド』……精神的にまだまだ未熟。
『???』


無位 流一/ムクライ リュウイチ 【超高校級の詩人】

【交友/精神】:【8/5】

『超高校級の詩人』……気が向いた時に心を打つような詩を書くらしい。
『達観者気取り』……悟っているかの様に振舞う。
『ムードブレイカー』……良い意味でも悪い意味でも空気を読まない。
『???』


赤羽 優仁/アカバネ ユニ 【超高校級の人道支援家】

【交友/精神】:【5/6】

『超高校級の人道支援家』……ボランティアの経験が多く、ある程度の医療知識を持つ。
『天然』……のんびりとしていてどこか感覚がずれている。
『第六感』……直感が鋭く、見落としそうな事でも気が付く。
『???』


川澄 美空/カワスミ ミソラ 【超高校級のバードウォッチャー】

【交友/精神】:【7/4】

『超高校級のバードウォッチャー』……鳥類について詳しく、視力にも優れる。
『ガサツ系女子』……細かい事は気にしないガハハ姉ちゃんタイプ。
『世渡り上手』……人に取り入るのが上手く有利な立ち位置をキープする。
『???』


クロワ・グラトン (Croix Gratton) 【超高校級のグルメ】

【交友/精神】:【2/9】

『超高校級のグルメ』……料理や食材の知識、経験が豊富で人並み外れて鋭敏な味覚と嗅覚を持つ。
『高慢』……容姿、才覚、才能には誰よりも自信を持っている。
『俺様貴族』……我が強く思うままに行動する。
『???』

児玉 和音/コダマ カズネ 【超高校級の吹奏楽部】

【交友/精神】:【9/3】

『超高校級の吹奏楽部』……吹奏楽に用いるものならあらゆる楽器を扱える。
『心配性』……不安になりやすい性格。
『ハーモナイザー』……他人との調和を常に意識している。
『???』


四水 眞寄/シミズ マヨリ 【超高校級のダイバー】

【交友/精神】:【4/8】

『超高校級のダイバー』……ダイビングに限らず水泳に関する事ならスペシャリスト。
『スーパードライ』……合理的な性格で感傷、人情に動かされない。
『ストイック』……自分に厳しく甘えがない。
『???』


都村 美弥子/ツムラ ミヤコ 【超高校級の特撮マニア】

【交友/精神】:【6/5】

『超高校級の特撮マニア』……特撮作品の事を熟知しており、その情熱は誰にも負けない。
『フルスロットル』……常にテンションが高くアクティブ。
『夢想家』……非現実的な事を空想する事もしばしば。
『???』


未々咲 愛/ミミサキ マナ 【超高校級の幸運】

【交友/精神】:【8/4】

『超高校級の幸運』……希望ヶ峰学園に抽選で選ばれた幸運の持ち主。普段も運が良いのかは不明。
『積極性の塊』……人と積極的に触れ合っていく傾向にある。
『無礼千万』……失礼な言葉が口をついて出てくる。しかも無自覚。
『???』


六波羅 恵/ロクハラ ケイ 【超高校級のプロファイラー】

【交友/精神】:【7/7】

『超高校級のプロファイラー』……犯罪心理や過去に起こった事件に精通しており、分析能力に長けている。
『清濁併せ呑む』……善悪関わらずどんな人間でも受け入れられる。
『笑い上戸』……笑いの沸点がやや低く、こらえきれずに吹き出す事も。
『???』

[コトダマリスト]

【モノクマファイル】
被害者は児玉和音。死因は喉の外傷による失血死。

【割れた花瓶】
事務室で割れていたガラス製の花瓶。
粉々に割れていて死体の周りに破片が落ちている。

【暗視ゴーグル】
死体の近くに落ちていた。未々咲達が用意していた防犯グッズの一つだったらしい。

【数取器】
死体の手の中で強く握られていた。数字は14を示している。

【故障したエアコン】
大広間と事務室のエアコンは電波式のリモコンで操作する。
故障なのか作動はしない。メーカーはそれぞれトーワ製とフリョーナ製。

【懐中電灯】
黒須がホテル受付から持ってきた。事件当時、電池は切れていた。

【サバイバルナイフ】
入り口で唯一回収された川澄の私物。鍵のかかったケースに入っていた。

【厨房の包丁】
厨房にある包丁の内の一本は血が拭い取られた跡があった。

【倉庫のアイロン】
倉庫には三台のアイロンが置いてあり、少し熱が残っていた。

【テーブルクロス】
倉庫のランドリーボックスから血が付いた状態で発見。返り血対策に使ったとみられる。

【十中井の証言】
マーケットからは防犯グッズ以外にも蛍光塗料、クーラーボックス、ワイングラス、万年筆などが無くなっている。

【検死結果】
後頭部に打撲痕あり。被害者の喉は幅2、3㎝程の凶器で刺されたらしい。

【蛍光塗料の目印】
厨房と倉庫の間の廊下の端に蛍光塗料が点々と塗られていた。

【倉庫のスーパー袋】
倉庫で発見したスーパー袋の中には暗視ゴーグルと蛍光塗料のビンが入っていた。

【裁判場 席順】

            佐山  児玉×

      クロワ             十中井

    早家町                 未々咲

     都村                  ジーク

     神風                  赤羽

      四水               直木

        無位           六波羅

            川澄   黒須
           
              モノクマ


【旧館マップ】
http://imgur.com/JiAGXpL.jpg

※図の見方
枠にまたがる細い四角が各部屋の出入り口、
大広間の丸はテーブル、壁際の四角はエアコンとなっています。

テンプレここまで
22時から裁判後編を開始します。


※このスレは一章裁判の後編からスタートします、ネタバレ注意。

【学級裁判 再開】



――わからない。
どうしてこんな状況になっている。

追い詰められているのは――僕の方だ。



六波羅「花瓶で殴られた時、児玉さんはすでに凶器によって喉を刺されていた」

六波羅「だから録音にも悲鳴が入っていなかったんです」

クロワ「当然、割れた花瓶を凶器に使う事はアリエナイ」

クロワ「よって凶器は厨房にあった包丁という事になる」

佐山「……ああ。それには同意だ」

佐山「だがその場合、犯人の疑いが最も強いのは厨房にいた人物……だろう」

六波羅「? ええ」

佐山「…………。僕が……」

クロワ「………………」

佐山「…………っ」

佐山「事件当時に厨房にいた……というのか」



ほとんど絞り出すようにして投げかけた疑問。
僕が疑われているこの状況を解決するだろう回答を待った。

が――。



無位「………………」

黒須「佐山……」

クロワ「……フゥ」

未々咲「佐山クン……」


不信感、あるいは失望、もしくは憐憫。
僕に対する彼等の答えはそれで……全て。

ジーク「フザけてんじゃねえぞ! そんなんが通ると思ってんのかよ!」

川澄「てかウチらも一緒にいたやんか……。それは無理やって」

佐山「………………」

ジーク「……停電が起こった時、確かにテメーは厨房にいた」

ジーク「けど未々咲の録音の中には、扉が開いた後テメーの発言だけがなかったんだぞ!」

佐山「…………だ」

四水「扉を開いたのはクロが外から来たからじゃない」

四水「厨房にいたクロが凶器を持って出て行ったから」

佐山「……どうしてだ」

都村『ですからクロの最有力候補は、佐山隊員でありますっ! あな怪し!』

佐山「………………」


なぜそうなるんだ?
そんな記憶は……


記憶、は――

佐山「…………!」


そうだ、僕は――

黒須君の、調理担当をやって欲しいという申し出を受け入れて――

あの停電から始まった事件を――



厨房で、迎えたんだ。

佐山「………………」


いや違う。
僕は大広間で停電が起きた事を確かに覚えている。


だがこの記憶は――?



僕は厨房で暗闇の中をただ黙って過ごしている。
一緒にいたのは同じく調理担当の未々咲君、川澄君、十中井君――。

捜査時間での説明によると死体の第一発見者は、ブレーカーを上げるために大広間から事務室へ向かった六波羅君――。



佐山「……六波羅、君?」

六波羅「…………?」

彼女が死体を発見して、僕は厨房で発言していなかった……。


……僕と六波羅の立場がまるっきり替わっている?
そこだけが、先程までの記憶と違う……

これが現実なのか? 今までの議論は……追い詰められて見ていた幻覚だとでもいうのか?

モノクマ「うぷぷのぷ。そろそろ投票にいってもいいコロアイかな。殺す愛と書いて、コロアイ!」

モノミ「暴走族もビックリの当て字でちゅー!」

佐山「……! 待ちたまえ!」

モノクマ「おんや? まだやる?」

佐山「くっ……。六波羅君達の推測通りだったとすると犯人は児玉君を殺害してから花瓶で殴った事になる」

佐山「その犯人の行動に違和感があるとは、思わないか……」

記憶に残っている六波羅君の最後の反論を繰り返す。

六波羅「……確かにそうですね。気になってはいましたが」

クロワ「フン、何かと思えば……。仮にもプロファイラーを名乗るならわかっているんじゃないのか?」

クロワ「犯罪者は往々にして犯行中に不合理な行動をするものだ。殺害後に殴ったのもその範疇だろう」

六波羅「…………。しかし……」

クロワ「なんにせよ説明はつけられる。その程度の疑問など取るに足らない」

六波羅「……そう、ですね」

佐山「…………っ!」


……ダメだ。
六波羅君も気になってはいるようだが、状況を覆すまでには至らない。

モノクマ「うぷぷ、議論の結論が出たようですね。それでは投票タイムと参りましょうか!」

モノミ「さ、佐山くん……」

赤羽「クロを決める投票……ですか」

神風「じゃあ佐山に入れればいいんだよな?」

直木「はい……、それで良いと思います」

佐山「……く、っ……!」


――絶対絶命。
僕の状況はたった4文字で表してしまえるほど明白だ。


モノクマ「では、オマエラはお手元のスイッチを……」


何が起きている? 僕の頭が異常をきたしているのか?
まったく解らない……




 「……それでも、違うんだ」


未々咲「……佐山クン?」

モノクマ「ってまーだなんかあんの?」

佐山「………………」

先程まで行っていた議論、そしてその結末が僕の見た白昼夢だったとしてもこの結論は間違いだ。
このまま裁判が終わってしまえば、あの絶望がもう一度……。


そんな事はさせない。真実は――





――今ここで解き明かす。

【ロジカルダイブ 開始】


犯人は児玉君を刺した後に花瓶で殴った。
おそらくこれは変えようのない事実だ。

僕がしなくてはならないのは、その理由に答えを出す事――


[Q1. 犯人が花瓶を割った理由は?]
1.偶然割ってしまった
2.割る事によるメリットがあった
3.児玉を確実に殺害する為


安価↓1

成功!


赤羽君の証言によれば、偶然割ったとは考えにくい。
犯人には花瓶を割る事による具体的なメリットがあったはずだ。

それは一体、どんな――?



[Q2. 何に関するメリットがあった?]
1.凶器
2.アリバイ
3.死因

選択 2 失敗


アリバイ……いや。
犯人は旧館全体を停電させた。目撃証言がない事は承知の上だったはずだ。

音に関するアリバイはあったが……未々咲君の録音は流石に犯人にも予想外だろう。


……考え直そう。もう一度――


安価↓
[Q2. 何に関するメリットがあった?]
1.凶器
×2.アリバイ
3.死因

選択 3 失敗

※正解の選択肢に自動進行します


死因……いや、死因をごまかす為とは思えない。
喉の刺し傷の方が、後頭部の怪我よりどうしても目立つ……。


残ったのは、凶器に関するメリット。
犯人はあの花瓶を割る事によって凶器を――


[Q3. 犯人は花瓶を割る事によって何を狙ったのか?]
1.凶器の破壊
2.凶器の隠蔽
3.凶器の調達


安価↓1

選択 1 失敗


凶器の破壊……
モノクマファイルによると致命傷は喉の傷……
花瓶による撲殺ではなかったはずだ。

花瓶が割れた時点で、児玉君はすでに刺されている……凶器ではないんだ。


……もう少しだ。答えは、すぐそこに――


[Q3. 犯人は花瓶を割る事によって何を狙ったのか?]
×1.凶器の破壊
2.凶器の隠蔽
3.凶器の調達


安価↓1

選択 2、1、2 進行!

佐山「推理は繋がった」


佐山「……隠蔽、したんだ」

六波羅「……何ですって?」

佐山「犯人は、あの花瓶を割る事で凶器を隠蔽した……」

佐山「事件で使われた……包丁でも、花瓶でもない、第三の凶器を隠す為に……」

クロワ「………………」

頭に浮かぶまま、作り上げたばかりのロジックをつっかえながら紡ぎだす。
とにかく投票に移行する前に喋らなければ――

川澄「うーん……? 花瓶を割って隠蔽っておかしない? 隠蔽言うたら、どっかにしまうとか持ってくとか……」

早家町「それに第三の凶器……って?」

早家町「凶器になりそうな物って他に見つからなかったと思うんだけど……」

佐山「ぐっ……」

クロワ「サヤマ。そう主張するならトーゼン、オマエが示さなければならない」

クロワ「コダマの喉を貫いた、本当の凶器をな」

佐山「………………」


あの包丁が凶器だとすれば、犯人は僕以外にいなくなってしまう。
どこかにあったはずだ……別の凶器が。

……考えるんだ。すべてが終わる前に……!


[閃きアナグラム 開始]

【児玉の喉を刺した本当の凶器は?】
○○○○○○ (6文字)

 ぐ い ん す ね ひ
 ま わ つ ん ん ら

安価↓1

わいんぐらす 正解!

佐山「これが僕の解答だ」
[発言力 3.5 → 4.0 ]


佐山「十中井君。君はマーケットで事件当日無くなった物を確認していたはずだ」

十中井「……ああ」

佐山「その中には……ワイングラスも含まれていたね」

十中井「……間違いねえ」

クロワ「ワイングラス……だと?」

赤羽「誰かがお部屋で使うために持っていかれたのでしょうか」

佐山「確かにマーケットにはグラスがあった。だが、ホテルのレストランにも、旧館の厨房にだって用意されていたはずだ」

佐山「コテージからの距離もマーケットより近い。わざわざそこから取ってくる意味はほぼない」

佐山「……証拠を残さないようにする目的以外は」

六波羅「…………。まさか……!」

佐山「無くなったワイングラスが事件の凶器だったのだよ。正確には割れた後の破片が」

早家町「ワイングラスが凶器だったの……!?」

ジーク「どういうコトだよ? なんでそんなモンが出てくる……」

佐山「割れた花瓶と同じ理論だ。ワイングラスも割ればその破片は鋭い凶器となる」

佐山「犯人は割っておいたワイングラスの破片を、袋に入れて倉庫に持ち込んでいたんだ」

未々咲「袋って……裁判の最初で話題になった暗視スコープが入ってたやつだね!」

そうだ……間違いない。
捜査のときも……


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クロワ「中を調べろ」

佐山「ああ。……っ」

神風「どうした?」

佐山「……いや。気のせいだったようだ」

中を探った瞬間、鋭い痛みを感じたような。だが手元が暗くてよく分からない。
とりあえず中にあった物を取り出さなければ。

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グラスの破片が袋の中に残っていたんだ。
あの痛みの理由はそれで手が傷ついたから……

川澄「でも、花瓶を割った理由はどうなったん?」

佐山「犯人は罪を被せる為、包丁を凶器に見せかけたかった。現場にグラスの破片を残す訳にはいかない」

佐山「だが回収するのも難しい……。そこで破片を現場に残したまま隠蔽する事にしたのだよ」

佐山「ガラス製の花瓶を割り、その中に破片を紛れ込ませる事によって」

川澄「あ……!」

無位「木を隠すなら森の中ってか……」

佐山「犯人がテーブルクロスを用意していたのも当然だ。グラスの破片をそのまま握れば怪我してしまう……」

佐山「これが児玉君を刺した後に花瓶で殴った理由だ。これならば説明がつく」

クロワ「………………」

六波羅「……どうやら。まだ議論を続ける必要があるみたいですね」

クロワ「……フン」

佐山「…………!」


なんとか繋がったか……
容疑はまだ晴れていないが……別の凶器の可能性を示せた。
あとは真犯人を……


………………。

……別の、凶器……?

未々咲「あれ? なんかおかしくない?」

直木「おかしいとは……一体?」

未々咲「いや、なんていうか。佐山クンの推理はナルホド!って思ったんだけど」

未々咲「なんか、引っかかるような……」

直木「どこか間違いがあったのですか? 私にはわかりませんでしたが……」

佐山「………………」


凶器は包丁ではない……なら。
あの証拠は、まったく別の意味を持つ事になる……!


安価↓1 [コトダマリスト>>6から証拠を提示しろ!]

【厨房の包丁】 不正解

[発言力 4.0 → 3.0 ]



僕が犯人でない以上、厨房の包丁は凶器ではない。

この包丁が凶器だとみられていた直接の原因はもちろん血痕だ。
だがそもそも、僕がこの包丁を見つけ出した元々の理由は……


もう一度、考えてみよう。


安価↓1 [コトダマリスト>>6から証拠を提示しろ!]

【検死結果】 不正解


検死結果に矛盾は見当たらない……か。


……僕は勘違いしていたんだ。
児玉君が残したあの証拠が凶器、包丁を指しているのだと。

だがそれが否定された今、あの証拠の意味は……


安価↓1 [コトダマリスト>>6から証拠を提示しろ!]

【数取器】 正解!

佐山「これが手がかりだったのだよ」
[発言力 3.0 → 3.5 ]


佐山「児玉君……被害者が持っていた数取器には『14』とあった」

佐山「議論ではそれが包丁の数を指していた事になっていた……」

未々咲「うん、やっぱおかしいよね。カズちゃんが刺されたのがガラスの破片だったらそんなのおかしいよ」

未々咲「だって包丁は見てないんだから!」

十中井「……だが、『14』になってたのは確かだ」

直木「凶器が違うという、佐山氏の推理は間違いだったんですかねえ……」


そんな訳がない。あの包丁は犯人が用意した罠だ。
だが凶器のグラスと『14』に関連性は見当たらない……

……なら答えは一つ。

佐山「あの数字は……凶器の事を指していたのではなかったのかもしれない」


そうだ……元々違和感はあった。
ダイイングメッセージを残すにしてもわざわざ凶器の事を伝えるのは不自然だ。


川澄「あの数字ってカズさんが残したダイイングメッセージなんやろ?」

川澄「やったらフツー、犯人の名前とか……」

佐山「おそらくそうだろう。児玉君は犯人の名前を示そうとした……」

神風「数字で犯人示す? なんかわかんなくなってきたぞ」

六波羅「数字が名前を示す……。例えばですけど」

六波羅「『4』なら四水さん、『6』ならボク、『10』なら十中井君……のような感じでしょうか」

十中井「……言われれば、確かにそうなるか」

都村『しかし、『14』が名前の隊員はいませんよ?』

都村『……は! もしや私が独断でつけた隊員番号の、14番目の隊員が……!?』


……『14』。
児玉君の数取器がその数字を刻んでいるのは確か、だが……。


……おそらく、この事件の犯人は――



佐山「……この中には一人、本名を明かしていない人がいる」

その人物とは……


安価↓1 [怪しい人物を指定しろ!]

ジーク 正解!

佐山「君で間違いない」
[発言力 3.0 → 3.5 ]


佐山「ジーク君はこの島で出会った時から本名を名乗っていない」

佐山「ジークというのはあくまでミュージシャンとしての名前だ」

ジーク「…………!」

神風「え。本名じゃなかったのか……!」

川澄「気づくのそこちゃうやろ!」

佐山「君の本名が、児玉君のダイイングメッセージに関係している可能性がある」

ジーク「なっ!?」

四水「……ジーク。アンタの本名は?」

ジーク「……ぐっ!」

ジーク「……こ、断る!」

佐山「………………」

川澄「こ、断るて……認めたようなもんやん!」

黒須「まさか『14』……。一や十、四がつく名前なのか!?」

ジーク「ちっげえよ! オレの名前は1も4も14も関係ねえ!」

ジーク「ただ……言う必要なんかねえだろ! とにかく、事件とは無関係だ!」

無位「そいつはナシだろ。ただ主張だけして信じろっていうのはさ」

ジーク「…………!」

無位「名乗れよ、ジーク。自己紹介のタイミングとしては……遅すぎたみたいだけどな」

六波羅「電子生徒手帳を見せてください。生徒の本名が表示されるはずです。そうですよね、モノクマ?」

モノクマ「モッチロン! 人気バンドのギタリストといえども、ボクには隠し事なんてできないよ!」

ジーク「…………ッ!」

ジーク「……て」

未々咲「て?」

ジーク「寺井(てらい)……だ」

十中井「……下の、名前は」

ジーク「…………。……た」

クロワ「何だ?」

ジーク「…………ッ!」


苦悶の表情を浮かべながら服から生徒手帳を取り出すジーク君。
彼は生徒手帳の画面を見せながらこう言った――




ジーク「……『きゅうた』だよ! 名前は寺井 久太(てらい きゅうた)!」




━━【超高校級のロッカー】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


           『寺井 久太 / テライ キュウタ』


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

佐山「………………」

クロワ「………………」

六波羅「…………ぷっ!」

ジーク「何笑ってんだコラァ!」

六波羅「す、すみません! 全然そういうつもりではないんですけど隠すんでつい!」

無位「やれやれだぜ、きゅうたくん」

未々咲「そっかー、きゅうたクンだったんだー!」

ジーク「やめろ! あーっ、クソがっ! だからイヤだったんだよ!」

ジーク「ロッカーが『きゅうた』なんて全ッ然ロックじゃねえ!」

四水「意味わかんない……」

十中井「……気にする事は、ねえ」

モノミ「あ、あのー……あちしは知ってまちたけど、愛らしくて良い名前だと思いまちゅ!」

ジーク「うるせえ! 余計にミジメだから慰めんな!」

モノミ「きゃあ! ごめんなちゃい!」

クロワ「下らん……」

六波羅「で、では名前は……ふっ!」

ジーク「肩震わしてんじゃねーよ、糞女子力女!」

六波羅「く、糞女子力って、ひどい……」

早家町「と、とにかく『14』は本当に関係ないみたい……だね」

未々咲「あっ、そうじゃん! てことは14が名前ついてる人、いなくなっちゃった……?」

佐山「そのようだね」

ジーク「だから言っただろうが!」

川澄「えーっ!? じゃあカズさんのダイイングメッセージって一体何やねん?」

黒須「『14』が指すもの……。これ以上何も思いつかんぞ!」

佐山「では、児玉君は『14』にするつもりではなかったんだろう」

川澄「へ? でも……」


ジーク君のおかげで、児玉君が示そうとした人物の候補はすべて消えた。
……あの人物以外は。


示すんだ――この事件のクロ、児玉君を殺害した真犯人を。


安価↓1 [怪しい人物を指定しろ!]

直木 正解!

佐山「君が、この事件の真犯人だ」
[発言力 3.5 → 4.0 ]


佐山「児玉君は『14』ではない、別の数字を示そうとしていたんだ」

未々咲「『14』じゃない? じゃあどの数字なの?」

佐山「簡単だ。数取器はその性質上、その数を減らす事はない」

佐山「児玉君が指し示そうとしたのは『14』より先の数字……それを読み上げればいい」


そしてその数字が犯人を導き出す……本当のダイイングメッセージ。


未々咲「『14』の先って……『15』? 16、17……」

六波羅「……待ってください。『15』……?」

神風「ジュウ、ゴ……」





直木「…………はい?」

佐山「直木 『重吾』君。……君の名前だよ」

直木「な、は……!」

クロワ「何だと……!」

早家町「じゃ、じゃあ犯人って!」

赤羽「直木様……なのですか?」

ジーク「マジ、かよ……!」

神風「……お前が児玉を殺したのか」

直木「い、いや! そんなはずないでしょう!」

佐山「どうしてかね」

直木「だって……残っていた数字は『14』なんでしょう?」

直木「私の名前はジュウゴですけども、決してジュウヨンではありませんよ!」

赤羽「そうですね……。児玉様は数を数え間違われてしまったのですか?」

直木「そ、そんな重要な事間違わないでいただきたいっ!」

川澄「確かにそんくらいの数字、ウチやったら絶対間違わへんな……」

直木「でしょう? 数取器が示していた数字くらい忘れないでくださいよ……」

佐山「……君こそ忘れているのかね」

直木「はい……?」

佐山「児玉君は喉を刺されて瀕死になった後、花瓶で殴られているんだ」

佐山「ダイイングメッセージが途中だったのも、その最中に殴られたからだ」

直木「なっ……」

無位「むしろ犯人はその為に殴ったんじゃないか? 児玉を止める為にさ」

佐山「……ふむ。確かにそうかもしれない」

黒須「ど、どういう事だ?」

無位「おいおい、想像力が足りないぜ?」

黒須「…………。……落ち着け俺ェ!」

四水「いいから説明」

無位「……犯人はグラスの破片で児玉を刺した後、隠蔽するために花瓶を手に取った」

無位「そこで……カチカチ、カチカチ。真っ暗な室内に音が響く」

直木「…………!」

無位「もちろん事務室には犯人と児玉の二人だけ」

無位「何をやっているかは解らないけど、嫌な予感がした犯人はその行為を止めるために……」

都村『ガツンッ! でありますか……!』

直木「な、何を……」

佐山「児玉君が残したメッセージの意味を考えれば真犯人の名前に行きつく」

佐山「それが、君だ」

直木「…………!」

未々咲「直木クン、本当なの……?」

直木「ち、違いますって。……そうだ、大体、そんな事不可能じゃないですか!」

佐山「不可能?」

直木「事件は旧館で起こったんですよ。私は旧館にはいなかった」

直木「やりたくても事件なんてとても起こせませんから! さながら教え子に手を出せない教師のように!」

川澄「その例えいらんやろ!」

黒須「だが直木の言う事ももっともだ。旧館に入った時、児玉と見回りを行なったが誰もいなかった……」

黒須「それから旧館に入る人は入り口を検査をしている。見逃すはずがない!」

佐山「………………」

直木「は、はは……そりゃそうですよ。私は旧館にはいなかったんですから」

六波羅「……旧館、隠れた、いや、どこに、犯行は……」

佐山「いいや。君は確かに旧館にいた」

直木「なっ……?」

六波羅「佐山君にはわかるんですか?」

佐山「犯人はあの場所で……最初から最後まで。旧館にいたはずだ」


犯人の一連の犯行を考えれば……隠れていたのはあの場所しかない。



[閃きアナグラム 開始]

【犯人が隠れていた、旧館内の場所は?】
○○○○ (4文字)

 む た か ち し じ
 い し つ じ ぐ ゆ

安価↓1

ゆかした 正解!

佐山「これが、真実だった」


佐山「この事件の犯人は停電を起こす為に、エアコンが起動できる位置にいなくてはならない」

佐山「そしてその条件を満たせるのは、大広間か厨房のみ……だが」

直木「まさか外からエアコンを操作したなんて言いませんよねえ……?」

佐山「勿論だ。しかし大広間からでも操作できるなら……」

佐山「その『下』からでも、操作できるはずだ」

直木「…………っ!」

赤羽「大広間の下とおっしゃいますと……」

黒須「まさか……大広間の床下か!?」

佐山「黒須君。見回りの際に床下の確認は?」

黒須「い、いや……。そこまでは……」

佐山「ならば隠れる余地はあった事になる」

佐山「そして床下の出入り口は……倉庫に繋がっているんだ」

神風「倉庫って、犯人がイロイロ用意してた場所だよな」

直木「く…………」

佐山「犯人は、パーティーが始まる前から旧館に工作を施し、床下に隠れていたんだ」

佐山「そして大広間に来た人数から、十分に人が集まった事を確認し……」

佐山「すり替えておいたリモコンで、エアコンを起動させ停電を起こした」

佐山「それから倉庫に向かい、一連の犯行を行なった……」

直木「わ、私は……外にいました……」

神風「でもそれは誰も見てないんだろ。パーティーに参加してない奴は他の誰とも会ってないって言ってたよな」

直木「う……」

神風「つまり、お前らにはアドリブがないんだ」

モノミ「あ、あのー……。正しくはアリバイでちゅ」

神風「……あっ。それだ、ゴメン」

佐山「……外にいた人物にも犯行は可能だった」

佐山「直木君。この事件のクロは君だ」

直木「………………」

川澄「ほ、ホンマに直木がやったんか……」

ジーク「正直なトコ、信じらんねえぞ……?」

直木「………………」

クロワ「………………」

十中井「……おい。直木」

直木「……佐山氏。貴方は私なんかよりよっぽど才能があるのかもしれません」

佐山「才能?」

直木「そんなストーリーをこの中で考え出すなんて私でもできるかどうか……」

直木「特に評価したいのがフィクションの範疇を決して出ていない事。そう、あくまで小説はフィクションなんですよ!」

佐山「……何が言いたい」

直木「貴方の推理には決定的に欠けているものがあります。それこそがフィクションと現実の境目……」

クロワ「……証拠だ。今までのオマエの推理には物理的な根拠は何もナイ」

佐山「…………!」

直木「その通りです。ワイングラスが凶器? 本当ですか?」

直木「私が旧館にいた? 誰か見たんですか?」

直木「児玉氏が残した数字すら……直接的にはワタシを示してはいません」

佐山「――――っ」



――ウソヲ、ツイテイル――



この瞬間、どうしてか僕は確信していた。
確かに他に犯人がいる可能性もある。
それでも直木君を強く疑っていたが、それよりもっと強い、答えを得たような奇妙な感覚――



――彼が、犯人だ。

直木「万が一ですが、私にも犯人の可能性があったとしましょう」

直木「その場合この事件のクロは……私か貴方なんです、佐山氏」

佐山「……僕もまだ容疑者からはずれていないと言いたいのかね」

クロワ「それどころか最有力候補だ。血痕のついた包丁に、倉庫と厨房を繋ぐ目印……」

クロワ「現場に実際に残っていたのはオマエがクロであるという証拠だけだ」

佐山「っ……! だが……」

クロワ「事実を覆せる空論など存在しない。たとえそれが真実に限りなく近かったとしてもだ」

佐山「!」

クロワ「反論があるなら証拠で示してみせろ!」

佐山「………………」


……一つ気づいた事がある。
クロワ君が高圧的な発言をするのは、決まって相手から答えを引き出そうとしている時……



――彼女も直木君を疑っている。



だが証拠は……ない。どうする――



 「どいつもこいつも……」


 「ツマラナイ事、言うなよ」

無位「………………」

佐山「……無位君?」

無位「これは実際の裁判じゃない。学級裁判なんだ」

無位「証拠なんてなくたって、クロに投票が集まればそれで勝ち……」

六波羅「なんか横暴な事言ってるような……」

無位「言っとくけど、俺は佐山に乗る」

直木「えっ……」

佐山「…………!」

無位「佐山。無いなら証拠なんて今考え出せ。それがダメならでっち上げてもいい」

ジーク「……それ捏造じゃねーか!」

無位「納得させられれば、それでいいんじゃないか?」

佐山「………………」

直木「まったく、お話になりませんよ……」

直木「クロワ氏の言うとおり、実際に証拠があるのは包丁であり夜光塗料なんですよ!」

直木「私が犯人だなんて、まったくの……」

佐山「……いいや。君が犯人だ」

直木「はっ……?」

佐山「一つだけ残っていたのだよ。君を犯人だと決定づける根拠が……」

直木「………………」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

直木「やれやれ、僕は反論した」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【反論!】━━━━━


直木「佐山氏、それはいただけません」

佐山「………………」

直木「当然証拠があるのでしょうね。私を事件と結びつける証拠が……!」

佐山「……勿論だ」


……一つだけ残っていた。

僕が『知っているはずのない』、だが『覚えている』あの事実……
ほとんど賭けに近い、だが決まればこの事件の全てを明らかにする根拠……

『必殺技』が、残っている……!

[反論ショーダウン 開始]

コトノハ>>6
【テーブルクロス】
【倉庫のスーパー袋】
【懐中電灯】
【夜光塗料の目印】


直木「私が犯人だというなら、証拠で示してくださいよ!」

直木「私が停電を起こした?」

直木「凶器が包丁ではなかった?」

直木「私があの旧館に潜んでいた?」

直木「私が児玉氏を……殺した?」

直木「……【証拠なんて、何一つないでしょう】!?」


安価↓1 [【】を論破 or 助太刀しろ!]

助太刀 六波羅 不正解


六波羅「……証拠は、でも……旧館に? ……」

彼女も思案中らしい。
この様子だと、意見を求めても無駄だ。


停電が起きてからの犯人の行動、位置、状況を考えると……
事件が始まってから、犯人はおそらく――


もう一度考えよう。鍵を握っているのは、あの人物だ――


安価↓1 [【】を論破 or 助太刀しろ!]

助太刀 都村 正解!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

佐山「君の力を貸してくれたまえ」

都村『美弥子、いっきまーす!』

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【助太刀!】━━━━


佐山「都村君。一つ君に頼みたい事がある」

都村『はっ? 私でありますか?』

佐山「簡単な事だ。…………」

都村『……ふむふむ。お安い御用であります!』

直木「…………?」

六波羅「一体何を……?」

都村『それではいきます。ウルトランの十八番……』

都村『くらえっ、必殺!』

神風「……げっ! おい、それって!」

直木「……っ!?」

佐山「………………!」




『♪■!♪!?〇×♪!♪!▽!♪!!♪!!!!!』

十中井「…………っ」

ジーク「な……な……」

ジーク「んだよ今のっ! 耳ブッ壊す気か!」

川澄「アカン、アカンてこれ……耳の奥のかたつむり的なアレがぁ……!」

未々咲「これって何の音? てかどしたの皆?」

神風「平気なのかよ、スゲー……」

直木「い、いきなり何を……。無位氏? なんですか、笑みをこっちに向けて……」

無位「……くっ。直木、今お前さぁ。音が鳴る前に耳塞いでたよな」

六波羅「……ボクも見ていました」

直木「は、え……?」

四水「……待って。それ、おかしい」

クロワ「くうっ……! 一体どういう事だ。説明しろサヤマ!」

佐山「説明しよう。都村君が披露してくれたのはウルトラン怪音波……」

佐山「闇夜に紛れた敵を討つ、天下無敵の必殺技だよ」

直木「は、はあ……?」

ジーク「何言ってんだオメー……」

都村『解説を取られてしまいました……! 佐山隊員、あな詳し!』

都村『あれ? しかし佐山隊員には必殺技を教えたのでありましたっけ?』

佐山「……ああ。君から懇切丁寧に教えてもらったよ」

都村『そういえばそんな気も……?』

佐山「ともかく都村君がこの『必殺技』を初めて披露したのはあの停電の直後だった」

佐山「つまりこの不協和音の事を知り得るのは、当時大広間にいた5人と……」

佐山「停電時に床下に潜んでいた犯人だけ」

直木「…………!」

六波羅「秘密の暴露、ですね。犯人しか知り得ない事実の事です」

クロワ「……フン」

佐山「直木君。説明を求める」

佐山「君は一体、どこで彼女の必殺技の事を知ったのかね」

直木「う、くっ……!」

佐山「いや、答えは一つしか残っていないか。あの大広間の床下の空間……」

佐山「そして君は、その事実を知っていた6人目」

佐山「殺害を実行する為、暗闇に潜んでいた真犯人だ!」

直木「ぐっ! うぐぅ……!」

直木「わ、私が……知って、いたのは……」

直木「いた、のは……!」

佐山「………………」

早家町「す、凄い……」

川澄「一気に黙らせてもうた……」

無位「……クライマックス、だな」

未々咲「ホントに直木クンが犯人……なんだね……」



佐山「……最後にこの事件を振り返る。間違った所があれば正して欲しい」

佐山「これが事件の全貌だよ」

[クライマックス推理 開始]


《Act.1》
事件が始まる数時間前……
黒須君達からパーティーについて知らせを受けた犯人は、
話を聞いてすぐに、一人で旧館に向かったんだ。
この後行われるパーティー……そこで殺人計画を実行する為に。

《Act.2》
犯人が旧館で行なった工作は主に二つ。
停電を起こすための工作と、厨房にいる人物に疑いを向けさせるための工作。
全ての工作を終えた犯人は、倉庫から大広間の床下へと隠れる事にしたのだよ。
息を抑え、暗闇に潜んで……

《Act.3》
時間は進み夜。
人は集まり、厨房では調理の準備が始まった。
そして犯人は――すり替えておいたエアコンのリモコンによって、
電力消費の超過を引き起こし、停電させたんだ。
旧館を全体を暗闇に包む事に成功したんだ。

《Act.4》
犯人は用意していた暗視スコープを用いて暗闇を対策していた。
……暗闇に反応して繰り出された都村君の必殺技は予想外だったようだが。
ともかく床下から出た犯人は、ブレーカーのある事務室に向かった。
そこが今回、犯人が殺害を予定していた事件現場だったのだよ。

《Act.5》
どちらが先かは分からないが、ブレーカーを戻しに来た児玉君は犯人と遭遇した。
犯人は凶器によって児玉君の喉を……貫いた。
……その一撃が致命傷。殺害は成った。
最後に犯人は事務室にあった花瓶を割り、現場に破片を散乱させた。
真の凶器である、グラスの破片を隠蔽する為に……


この殺害計画を企て実行したのはただ一人。
知るはずのない事実の事を知っていた人物……


【超高校級の文豪】、直木重吾――君しかいない。

COMPLETE!

佐山「……以上だ。反論があるなら述べたまえ」

直木「……っ、は、反論……」

佐山「君が異論を唱えるなら、たとえ……死んでも」

佐山「僕はその倍を返す」

直木「…………っ!」

佐山「………………」

直木「…………ふっ」

直木「……ありません、よ」


モノクマ「うぷぷ、議論の結論が出たようですね。それでは投票タイムと参りましょうか!」

モノクマ「では、オマエラはお手元のスイッチを押して、投票してくださーい!」

モノクマ「投票の結果、クロとなるのは誰なのか!?」

モノクマ「その答えは……正解なのか不正解なのかーッ!?」

モノクマ「うぷぷぷ!それではいきましょう!投票ターイム!」



━━【VOTE】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

               ジャラララララ……


             ┃ナオキ┃ナオキ┃ナオキ┃


              チャララララララララ……!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ダン!


【学級裁判 閉廷!】

裁判終了で今回はここまで。
お疲れ様です、参加ありがとうございました!

色々と懺悔したい事はありますがとりあえず二つだけ。
とにかく長くなってしまったのと、非日常編の間が空いてしまってすみません…
更新休んでる間にやりたい展開等、色々考え付いて入れたら糞長くなりました、一章なのに。

質問意見感想あればどうぞ。今日は無理かもしれませんがなるべく答えます


次回更新日は未定でお願いします

いくつか返答を。本編の更新はもう少しお待ちください


・直木の性癖判断
小ネタでやる予定です。もちろん女子の分も
クロサイドは少し考え中。

・ジークの本名の由来
寺井 久太
→寺(じ)、井(い)、久(く)
という訳でジークからもじってます。


この後、前スレで埋めがてらコンマとります。よければご参加下さい

生存報告。
中々更新できずすみません、今週中に再開したいと思います

一週間以内とか言いつつ遅くなってすみません
更新します。

モノクマ「投票の結果、選ばれたのは直木クンでしたが……」

直木「………………」

モノクマ「……むむむ。あちゃー、この結果って」

佐山「……何?」

モノクマ「………………」





モノクマ「大正解でございまーす! そう、今回の事件で児玉さんを殺したクロは直木重吾クンなのでしたー!」

モノクマ「はずれたかと思ってビビっちゃった? ビビっちゃった?」

佐山「………………」


冗談ではない。
……一瞬、視界が霞みかけた。

黒須「な、直木……」

直木「……ふう。上手くいかないものですねえ」

黒須「……本当にお前がクロなのか!?」

直木「学園長先生が先程仰ったとおりですよ……」

ジーク「マジかっ……! まさかテメーみてーなヤツが……」

都村『直木隊員こそがあの停電を引き起こし! 児玉副隊長を、お、襲った……!』

四水「……殺人犯。そういう事でしょ」

早家町「う、わああ……!」

十中井「………………」

直木「……裁判の途中までは」

クロワ「?」

直木「六波羅氏とクロワ氏が佐山氏を追い詰めてくれたところまでは、いけると思ったんですがねえ」

クロワ「………………」

隣から小さな舌打ちが漏れ聞こえた。


直木「厨房にいた人物に罪を被せて逃げ切るという筋書き……いやはや、はた迷惑とはこの事でした」

直木「すみませんでした佐山氏、調理担当の皆さん」

十中井「てめえが謝らなきゃならねえのは俺らじゃねえし、そこじゃねえだろうが」

十中井「……もう、どうしようもねえがよ」

直木「………………」

六波羅「……判決が下されたっていうのに、随分と落ち着いているんですね」

直木「そうですねえ。なんといいますか少々安心、いえ満足している部分がありまして」

六波羅「満足?」

直木「綿密に練った計画が成功して、犯人はそのまま逃げ切ってしまう……」

直木「ありえないんですよそんな展開。起承転結のイロハもあったものじゃない」

直木「絶体絶命の状況、しかしわずかな証拠から真犯人の正体を暴き、決着! やはりこうでしょう、いやこうでなくては!」

赤羽「はあ……」

川澄「何言うてんの……?」

半ば得意げになったかのように熱く語り出す。
そんな彼を取り囲む視線は冷ややかだ。


六波羅「キミはここから脱出したい訳ではなかったんですか。それともヤケになっているだけですか?」

直木「あくまで小説家としての感性の話ですよ。最期なんで全部さらけ出した方がスッキリすると思いまして」

未々咲「最期……」

直木「このような結末になったのは佐山氏、貴方のおかげでしょう。見事に推理通りでした」

直木「熱心なファンから、自分の作品の展開予想を聞かされている気分でしたよ」

佐山「………………」

佐山「そんな事はどうでもいい。それより全てを明かす心づもりなら聞きたい事がある」

佐山「……動機はなんだ」

直木「動機ですか……。自分でもはっきりこれとは言えないのですが一番の理由を挙げるなら……」

直木「推理小説を書いてみたかったから、でしょうか」

ジーク「……はあ?」

佐山「………………」

自覚しているのかいないのか、突き刺すような周囲の視線を無視して饒舌をふるう。


直木「一度は挑んでみたかったものの、謎解きという題材が難しいのもあって避けていた分野だったんですよ」

直木「しかし我ながら、初めてにしては中々上出来だったのではないでしょうか!」

都村『え、それは……ええ?』

赤羽「あのう。何をおっしゃっているのかよくわかりません」

赤羽「……どうしてそれが事件を起こした事に繋がるのですか?」

直木「ああ、少々説明不足でした。『事実は小説よりも奇なり』という諺がありますよね」

直木「まさしく今回の裁判の逆転劇の如く……やはりこのお話は僕の想定した斜め上に転がりました」

直木「諺の裏を返せば、実際に起こした事件こそ最高のネタになり得ると、僕は思うんですよ!」

黒須「き……貴様ァッ!!」

佐山「………………」

四水「もういい。黙りなよ」

川澄「ホンマにおかしいわ、アンタ……!」

直木「非難轟々ですねえ。まあ動機としてはこんなところではないでしょうか、佐山氏?」

佐山「――――ッ」





 「嘘だ」

直木「……はい?」

川澄「嘘? 嘘ってどういうコト?」

佐山「………………」

ジーク「オイ。なんとか言えよ!」

佐山「……今、僕が発言したのか」

早家町「えっ、そうだよ? 佐山くんがそれは嘘だって……」

佐山「………………」

思わず口をついて出てしまった、そんな感覚。
まただ……何故か彼の言葉が嘘だとハッキリ解った、その強烈な確信の反動で。


直木「嘘ですか。そう言われましてもねえ……」

未々咲「……私も嘘だと思う……」

直木「未々咲氏?」

未々咲「作品の為とか言ってたけど。ホントはそんな事しなくたって……」

未々咲「事件なんて起こさなくたって、もっとずっと凄い作品が書けるはずだよ……」

未々咲「だって直木クンは超高校級の文豪なんでしょ……?」

直木「っ…………」

未々咲「そんな理由で、命を奪った……カズちゃんを殺しただなんて、信じられないよ……」

佐山「……君が偽っているという確たる証拠はない。だがもしその動機が本命でないのなら」

佐山「本当の理由を聞かせて欲しい」

直木「…………。ですから嘘だなんて……」

モノクマ「それでは代わりにボクが、直木クンの動機を説明しましょうか!」

直木「えっ、代わりにってなぜ貴方が……」

モノクマ「why? その『なぜ』ってどうして知ってるのかの『なぜ』なのか、どうしてわざわざ説明するかの『なぜ』?」

モノクマ「どっちなんだぜ?」

モノミ「まだるっこしいよ!」

直木「……終わりでいいじゃないですか。こんな引き伸ばしは必要ありません!」

無視してモノクマは続ける。


モノクマ「時に佐山クン。キミには記憶がまったく残ってないんだよね。自分の事すらサッパリ」

佐山「……君の仕業だろう」

モノクマ「もしかするとそれはラッキーなのかもよ。中途半端に思い出す事ができないよりは、よっぽどね」

佐山「………………」

モノクマ「人には歴史があるんだよ。記憶ってのはもはや、その人の歴史と言っても過言じゃないワケ」

モノクマ「佐山クンと違って、たとえば直木クンにはこんな歴史が!」

モノクマ「超高校級の文豪である彼と文学の出会いは、幼少の頃に父親の書斎で見つけた一冊の……まあここはベタだから省略して」

モノクマ「文学というものを知ってから、創作という事を覚えてから十数年、彼はずっと執筆活動を続けてきました」

モノクマ「続ける内に直木クンの作品は評価され、話題を呼び、賞をもらい、そしてベストセラーに……」

モノクマ「身内だけが読んでいた作品は書店に並び、老若男女問わず、活字なんぞ読み飛ばす現代っ子にまで広く知れ渡りました!」

都村『まさしくサクセスストーリーであります!』

ジーク「一体その話が動機に何の関係があるってんだよ……?」

モノクマ「……おしまい。直木クンの文学についての記憶、歴史はそれだけ」

未々咲「それだけ……って?」

佐山「…………。まさか……」


直木「……この島に来た時から」

……殺し合いに成功したときクロに与えられる特典は、この島からの脱出の他にもう一つ。



直木「私は自分の作品の内容を何一つ……思い出せなかったんです」

失った記憶を、取り戻せる事……

直木「いくつもの……それこそ幾千万でしょうか。話を書いた事だけは覚えている」

直木「なのにそれが何だったかは欠片も浮かんでこない……!」

直木「新しい作品を生み出そうとしても、その事がどうしても頭から離れなかった……」

直木「スランプだって何回も経験しましたが、こんな事は初めてです……」

モノクマ「言ったでしょー? 大事なダーイジな事を忘れてるって」

直木「……学園長先生の説明でようやく、自分に起こっている事態が把握できました」

直木「私に必要なものは、自然には決して取り戻せないという事が」

六波羅「つまりキミは、自分の作品の記憶を取り戻すために今回の事件を起こしたという訳ですか」

川澄「はあ? そんなんで人殺しを!?」

直木「……十数年間ずっと自分の知識と経験と時間を作品に費やしたんです」

直木「私の作品は生きてきた軌跡……自分が自分である為の全てだ!」

川澄「っ……!」

直木「記憶さえ戻れば……。ここから出て、私の作品が読めれば……! だから……!」

未々咲「直木クン……」

佐山「………………」


本当に重要な事……自分という存在の中身を何一つ覚えていない。
僕と彼の間にそれほど違いはなかった。

失ったものの重さ……それすら忘れてしまったかどうか、だけだ。

モノクマ「結局の所、自分の為ってこってすね。直木クンにとってオマエラの命は自分の作品より軽かったってコトよ」

ジーク「作ったモノに命を懸けるってのは、分からないでもないけどよ……」

川澄「……いや。やっぱりウチには理解できひん!」

直木「分かってもらえなくても、どう思われようとそれが真実、ですよ……」

クロワ「なら理由を隠していたのはナゼだ? 狂人じみた演技までして」

直木「……その方が犯人にふさわしいじゃないですか」

クロワ「ハア?」

直木「かくあるべきとまでは言いませんが。犯人役が素の私では魅力不足で全くダメですよ、駄作です」

直木「裁判の間ずっと、手の震えが止まらないようでは務まりません……」

早家町「えっ……」

視線を自らの手元に落とし、彼は続けた。

直木「事件の時もよく襲えたものです。現場に来たのが児玉氏だったのも起因したのかもしれません……」

佐山「……数日前に児玉君が事件を起こした事を言っているのかね」

黒須「まさかとは思うが、罪のある者を殺すのは許されるなどとは思っていないだろうな!」

直木「……そんな正義感に溢れた事は思っていませんよ。ただ、その事が自分への勇気づけになったというだけです」

神風「勇気づけって何の事だよ」

直木「私は強い人間じゃないんです。やりたくない事、耐えられない事にはいつも逃避してばかりで……」

直木「無実の人間をいざ殺すとなったら……。いよいよ凶器を持てる自信も、ない……」

神風「……そうか。自分を弱いって言う奴、初めて見た」

モノクマ「やれやれ。こんな情けないクロに殺されて児玉さんも浮かばれないったら」

直木「……あのまま不敵な犯人だった方がどれだけ綺麗な終わり方か。あそこですっぱり終わらせてくれても、良かったじゃないですか……」

クロワ「フン……。騙るまでもなく狂人だったという訳か」

直木「……だって! 今の私に残せるお話なんて、こんな不出来な事件しかない……」

直木「自分の作品と言えるものは、もはやこれしか無いんです……!」

無位「物書きとしての性ってヤツか。納得はしないけど把握はしたぜ」

無位「……演じてたつもりでも、お前は充分狂ってるよ」

直木「はは、は……手厳しい。けど……そうなんでしょうね」

佐山「………………」


狂気的なまでの小説家という自分への執着。そして彼自身が吐露する自分の弱さ。

どちらも偽りではないのだろう。
その二つの間で針は揺らぎ、遂に殺意へと振れた……


……それがこの事件の真相だった。



モノクマ「まあ、児玉さんも別に罪なんてないんですけどね」


直木「……え?」

モノクマ「だってこの前の毒入りアイスティー事件、犯人は児玉さんじゃないもの!」

モノミ「え、ええっ!?」

佐山「! 何だと?」

黒須「な……何? 本当か!?」

未々咲「やっぱりカズちゃんは犯人じゃなかったの!?」

モノクマ「ハイ。大サービスでついでに教えちゃうと直木クンでもありません」

直木「なっ……! し、しかし児玉氏は自白したではないですか! 犯人であると!」

モノクマ「そりゃオマエラが疑ってかかってたもんねえ。無実を証明できない以上、児玉さんもああするしかないっしょ」

早家町「ボ、ボク達のせいなの!?」

モノクマ「児玉さんはあえて濡れ衣を被る事でオマエラの不和を回避したんだよ。でしょ、佐山クン?」

佐山「……! くっ……」

川澄「なんやねんそれ……!」

無位「……マジかよ」

赤羽「なんという事でしょう。児玉様……」

直木「……っ、…………!」

直木「……児玉氏が、無実……?」

モノクマ「良かったねえ直木クン。児玉さんが無実って事、知らない内に殺せて」

直木「……っ、う……」

モノクマ「罪を着せられて、それでも負けずに信頼回復しようとした矢先に殺すなんて鬼畜な事、可哀想過ぎて出来ないでしょ?」

直木「……ぐっ、うううううぅぅぅ……!」

十中井「……えげつねえ」

四水「………………」

六波羅「直木君……本当に、残念です」

モノクマ「うぷぷぷぷ。さあて、ここらでこの裁判も幕引きにしましょうか!」

モノクマ「裁判の最後の山場、おしおきタイム!」

早家町「おしおきって確か処刑じゃ……!」

未々咲「……! そんな! 直木クンもいなくなっちゃう……!」

モノミ「ダ、ダメでちゅってば!」

モノクマ「うるさいうるさいうるさーい! ダメと言われてもやるのがルールなんだから!」

佐山「直木君、君は……」

直木「……………………」

佐山「っ……」

彼の反応はない。
うつむいたまま、魂が抜けたように動かなくなってしまった。

……いやよく見ると口元は何かを呟いている。

モノクマ「ではでは……」


モノクマ「超高校級の文豪である直木 重吾クンのためにスペシャルなおしおきを用意しました!」

未々咲「……っ、直木クン!」

直木「…………は、それ以上届かなかった……」

モノクマ「それでは、はりきっていきましょう!」

直木「……薄れゆく意識の中視界は……」

モノクマ「おしおきターイム!」

直木「……染まっていく真っ黒にまっくろにマックロ……」



ヴーン……

ピコッ☆





━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

           GAME OVER


       ナオキくんがクロにきまりました。
       オシオキをかいしします。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

裁判場内の照明が赤く点滅している。
異様な雰囲気の中、裁判場の奥から出現した拘束具が瞬く間に直木クンの首を捕らえた。

直木君をそのまま連れ去り、奥へと消えて行った……

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

      超高校級の文豪 直木 重吾 処刑執行
           『超高校級の人間失格』

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


モニターに映ったのは書斎の本棚をバックにした書斎のような空間。
直木君は机を前に虚ろな目をして座っていた。
……首には拘束具が装着されたままだ。天井に繋がっているらしい。

モノクマが彼の前に現れ、ペンと原稿用紙を渡す。
どうやら直木君に何か創作させるつもりのようだ。

しかし待てども待てども彼の手は動かない。
ペンを握ったまま真っ白な原稿用紙をただ眺めている……

しびれを切らしたモノクマはブザーを鳴らした。
画面には×印と共に『失格』の文字が表示される。


その瞬間――書斎の床が下に開いた。


机や本棚は穴の底へと真下に落下し、直木君は拘束具によって首を吊るされる。
天井を支点に振り子のように動きながら、苦悶の表情を浮かべて……。

やがて彼は動きを見せなくなり、そして……

拘束具も天井から外れ、真下に消えていく。
……数秒遅れて、鈍い音が響いた。

モノクマ「いやっほうっ!! エクストリーーーーームッ!!」

モノミ「きゃああああああああああ!!」

モノクマ「やっぱこれだね! アドレナリンが体内を駆け巡りまくり!」

未々咲「直木くぅぅぅん!!」

ジーク「うお、おおおおっ! マジなのかよ、コレはっ……!」

神風「今の……直木が死んだのか!?」

四水「……酷過ぎる」

早家町「見てない見てないボクは何も見てない見てない……!」

都村『あわわ、わわわ、あばばば……!』

六波羅「………………」

赤羽「直木様の命をこんな……。なんて痛ましく、残酷な……」

モノクマ「残酷ねえ。でもオマエラの中にはボクよりもっと残酷なヤツがいるんじゃないの?」

黒須「ふうううぅぅぅ……。……ッ、ふざけるなッ!! 貴様以上の外道などいないッ!」

モノクマ「だってこの前の毒殺未遂事件の犯人、児玉さんでも直木クンでもないんだよ?」

川澄「……あっ。ちゅう事は……!」

モノクマ「いるんだよねえ。最初に殺し合いを企てて、しかもそれを他人になすりつけようとした奴!」

黒須「ぐ……!?」

佐山「…………!」

クロワ「そんな事は分かりきっている! だが……このワタシが出し抜かれた? クソッ!」

十中井「……言ってる場合じゃ、ねえだろう」

無位「やれやれだぜ。……マジでヤバい状況じゃないのか、それ」

モノミ「な、なんでこんな事に……!」

モノクマ「それでは今後もコロシアイ修学旅行をお楽しみに!」

モノクマ「ぶっひゃひゃっひゃっひゃっひゃ!!」



……こうして最初の裁判は終わった。

残った者達にも、消えてしまった者達にも……取り返しのつかない傷を負わせて。

安価↓2
裁判後に会話する生徒を一人選択

選択 早家町


学級裁判後、僕達は無言で解散した。
向かう先は同じホテルのコテージしかないはずだが、お互いに距離を取り、共に戻るような事はしない。

……警戒だ。
『この中にはまだ殺人鬼がいる』から。
僕達はまた同じ事を繰り返そうとしている……



早家町「わっ!」

佐山「!」

先を歩いていた早家町君が躓いた。


早家町「てて……」

佐山「大丈夫かね」

早家町「え? あ、ありが……。……っ!」

手を差し出すものの、彼はそれを拒んだ。

佐山「………………」

早家町「あっ……。えっとあの……ゴメン」

佐山「……足元には気を付けたまえ」

早家町「ちょ、ちょっと……。待って佐山くん!」

早家町君に背を向けたところで呼び止められる。
彼は自力で立ち上がり、服を少し払ってからこちらに向き直った。


早家町「あ、あのさ。佐山くんは……」

早家町「前の事件の犯人じゃ……ないよね?」

佐山「………………」


胸がひどくざわつく。


そんな質問に意味はあるのか。
問いかければ……答えが返ってくるのか?

佐山「君が知りたい事はなんだ」

早家町「……えっ?」

佐山「その質問にどう答えようと君には真偽が確かめられない。それでも問いかけるのか」

早家町「い、いや今のは……」

佐山「…………っ」

……駄目だ。
彼に聞いたところで意味はないはずなのに……


佐山「……なら逆に僕が君に質問していいのか?」

佐山「僕は誰なんだ。どんな才能を持っている。コロシアイ修学旅行とはなんだ」

早家町「…………!」



佐山「君は……君達は、どうしてここにいるんだ?」

早家町「……えっ?」

裁判で負けて僕達は処刑された……
僕が覚えている矛盾した記憶は一体……なんなんだ?


佐山「僕はどうしてここにいるんだ? ここにいる意味はなんだ?」

佐山「どうしてここから出るために事件を起こそうとしない? この島を出る意味はあるのか?」

佐山「……僕には分からないんだ。何も分かっていない……」

早家町「佐山くん……?」

佐山「……直木君は、自分の存在価値を確かめる為に事件を起こした」

佐山「僕には自分にその価値があるかも知らない。失った記憶の重みを量れない」

佐山「この中の誰よりも……自分というものが、分からない」

佐山「……答えが出ないんだ」

早家町「…………。記憶が無いって、本当に何も……」


限界だったのかもしれない。

頭の中に留めていた疑問が溢れ出て止まらなかった。

佐山「………………」

早家町「……あ、あの。ボクにも分からないんだけど、でもきっと……」

早家町「それって佐山くんにしか解けない……んだと思う」

佐山「……何だと?」

早家町「ひっ、ゴメン! 失礼働いた上に意味無い事聞いて口答えして!」

佐山「………………。怒っている訳ではない。それより続けてくれ」

早家町「う、うう……。さっきは思わず警戒して拒否しちゃったんだけど……」

早家町「あの質問をしたのは、佐山くんが比較的犯人じゃなさそうって思って……」

早家町「それっていうのも裁判の時、あんな絶望的な状況でも諦めず推理する佐山くんが凄いと思ったからで……」

佐山「………………」

早家町「し、質問したのはボクが安心したいだけかもしれないけど!」

早家町「でも佐山くんならどんな事にも答えを出してくれそうな気がしたから……」

佐山「……僕が?」

早家町「えっと、ボクから見た佐山くんはそんな感じなんだけど……」

早家町「自分の事が分からないって言うから……。なら誰かに聞いてみたらいいんじゃないかな」

早家町「他人の印象って結構影響すると思うんだ。良い印象ならそう振舞おうとするし、悪いイメージなら払拭しようとするし……」

佐山「………………」

早家町「も、勿論佐山くんが何者かっていう根本的な事はわからないんだけど!」

早家町「でも佐山くんが悩んでいるのって自分が何者かっていうより、自分がどうしたらいいか……だよね?」

佐山「…………。そういう、事か……」

僕の疑問を汲み取り言語化する。
聡明な彼の言葉が、混乱した頭の中を鮮明にしていく……


佐山「……もう一つだけ。質問してもいいかね」

早家町「えっ、また!? な……何?」

佐山「君はこのコロシアイ修学旅行に対してどうするつもりだ。何を目的に過ごす」

佐山「君の答えを教えてくれ」

早家町「目的? どうするかって……う、うーん」

早家町君は少し困ったような顔で思案する。
しばらくして僕に、自分自身にも言い聞かせるように答えた。

早家町「それはもう生きて帰る事だよ。元の場所、家に……」

早家町「それ以外無いかな……」

佐山「……そうか」

早家町「……で」

佐山「?」

早家町「出来れば……もう誰も死なずに! ……出来れば、だけど」

佐山「……なぜ?」

早家町「えっ?」

佐山「どうしてそう思う?」

早家町「どうしてって。だって人死にって常識的にというか道徳的に……」

佐山「………………」

早家町「……そうじゃないか。佐山くんが知りたいのはもっと本質的な事……」

佐山「ああ」

早家町「………………」

早家町「……もう皆とは関係ない訳じゃないから、だと思う」

佐山「関係……?」

早家町「クラスメートとして知り合ったから。少しの間だけど一緒に過ごしたから」

早家町「だから生きていて欲しいし、死んで欲しくない……のかな」

佐山「………………」

早家町「……だ、ダメだった?」

佐山「そんな事はない。おかげで大分気持ちを整理できた」

早家町「はあ……。そっか」

佐山「ありがとう早家町君。君のおかげで少し進めた気がする」

早家町「えっと……。なら良かったよ。それじゃボクはこれで……」



早家町君と別れ、自分のコテージに戻った。




僕の記憶は矛盾している。

パーティーでは調理を担当していなかった。事件時は大広間にいた。
都村君の必殺技をこの耳で聞いた。クロワ君と協力して六波羅君を追い詰めた。
そして結論を誤り……



あの裁判で僕は一度……死んだ。



僕が死んだのは、絶望的な状況の中で見た幻だったのか。
僕が生きているのは、何者かに与えられたチャンスなのか。
結局、何も分からない……



……だが、それでも。

クラスメートとして知り合ったから。
少しの間でも一緒に過ごしたから。

――全員でここから生還する。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━

佐山「……真犯人の事はどうするのかね」

児玉「分かんない。見当もつかないしー……」

児玉「あ、佐山君が代わりに見つけてよ。なんてー……私を疑ってるんだよね、ゴメン」

佐山「構わない。出来る範囲で調べよう」

児玉「……うん」

                :
                :

児玉「……悔しい。悔しいよ……」

児玉「私じゃ、ないのに……!」

児玉「う、くう……っ、どうして……」

━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━


児玉君に頼まれたから。
彼女の思いを知ってしまったから。

――必ず真犯人を見つける。


記憶も何も無い自分が持っているのは、彼らとの関係だけだから。


――僕が抱いた全ての疑問を解く。

それが自分がここにいる意味……僕の答えだ。



あの時僕が死んだのなら、きっとここは――




――絶望の、天国だ。



━━【CHAPT.1】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


           『 - NEW GAME - 絶望パラダイス 』


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【 END 】━━

【CHAPT.01 リザルト】

[現在の好感度] 『一言 or 佐山への評価』

ZEKE    ……24
『児玉が犯人じゃなかったってーのかよ……』

早家町 杜々 ……21
『佐山くんって不思議な人だな……』

黒須 灰矢 ……17
『事件を防げなかった……くそォッ!』

直木 重吾 ……17 【DEAD】
『…………私は最低の人間だ……』

児玉 和音 ……15 【DEAD】
『いつか君に信頼してもらえるのかな』

赤羽 優仁 ……14
『児玉様も直木様も只々可哀想です』

六波羅 恵 ……12
『推理お見事です。おかげで助かりました』

クロワ・グラトン ……11
『毒を仕掛けたハンニン……やってくれる』

十中井 蛇山 ……11
『…………気分わりぃ』

無位 流一 ……10
『やれやれだぜ。……苦手な雰囲気だ』

川澄 美空 ……9
『犯人見つかったんはええけど、色々と喜べんなぁ……』

神風 今日介 ……9
『やるな』

未々咲 愛 ……7
『カズちゃん、直木クン……』

四水 眞寄 ……5
『……ここから脱出する方法を見つけないと』

都村 美弥子 ……5
『佐山隊員は裁判ガチ勢でありましたか!』


[INFO]
裁判で獲得したらーぶらーぶポイント……20てん
[ボーナス]スキル:ラヴ・イリュージョン……3てん

現在のらーぶらーぶポイント……62てん

プレゼント『絶望文集』を手に入れました。(渡すことはできません)

『絶望文集』
CHAPT.01をクリアした証。全編に渡り白紙の文集。
それが表しているのはただの印刷ミスか、それとも作家の絶望か。

やっとチャプター1終了で今回はここまで。ありがとうございました

亀更新ですがよければこれからもお付き合いください。
現状、少なくとも来年の2月まではペースアップは難しいと思います…

…裁判後会話はヒロインにしたい人が選ばれると思ってたけど全然そんな事はなかったですね、はい

児玉が被害者になるのが確定したのっていつでしょうか?

>>148
被害者やクロの決定タイミングはこれからの事件でもわからないようにしたいので回答は控えます、すみません。

小ネタ投下していきます

【小ネタ 児玉のおしおき】


ヴーン……

ピコッ☆





━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

           GAME OVER


       コダマさんがクロにきまりました。
       おしおきをかいしします。

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真っ暗な舞台。スポットライトはモノクマを照らしている。
モノクマが画面のこちら側に向かっておじぎをすると、舞台全体が照らされた。

コンサートホールのような場所に、無数のモノクマが楽器を手に配置されている。
その中にフルートを構えた児玉君の姿があった。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

      超高校級の吹奏楽部 児玉 和音 処刑執行
          『ヘルハーモニックオーケストラ』

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モノクマの指揮により公演が始まった。
といってもそのタクトさばきは滅茶苦茶で、連動するモノクマ達の演奏も酷いものだ。
不協和音極まりなく、画面越しでも耳を覆いたくなるほどやかましい。
児玉君は眉をひそめながら、ただ一人調和された音を奏でていた。

モノクマの指揮は更に大きく強い音を要求する。
もはや騒音しか耳に届かない。それでも彼女は目をぎゅっと瞑り一心に吹き続ける……


突然騒音が鳴り止んだ。どうやら公演は終わったらしい。
……だがまだ音が聞こえる。
目を瞑り、耳から血を流した児玉君が演奏を続けていた……

児玉君にスポットライトが集まった。
ようやく事態に気づいた彼女は目を開き、困惑した表情で周りを見回す。
そして上を向くと……


……真上から降ってきたグランドピアノに潰された。


ピアノの前にモノクマが現れ一礼する。
舞台は拍手喝采に包まれた……

【小ネタ 皆の〇癖判断】


未々咲「そういえば直木クンって特技があったよね」

直木「ああ、性癖判断ですか?」

川澄「なんやそれ……。ドン引きやわ」

直木「勘違いされがちですが……性癖とは何も性的嗜好だけでなく、広く行動・心理傾向を指す語なんですよ」

直木「まあ私の特技は前者の意味で使ってますが」

川澄「じゃあ一緒やんか!」

直木「ふふふ、確かに女子陣には刺激が強いこの特技。しかしあの佐山氏の性癖をピタリと言い当てたのですよ」

未々咲「巨乳好きだったんだよね、佐山クン」

川澄「へー、意外! 佐山がなぁ……」


                 :
                 :


佐山「………………」

ウサミ「佐山くんどうしまちた?」

佐山「……僕の評判が著しく貶められている気がする」

ウサミ「えっ?」

川澄「にしても性癖当てるって信じられんわ。ちなみに他の男子は?」

直木「アッサリ食いつきましたね川澄氏……」

未々咲「私も気になるー!」

直木「そうですねえ。では初日、ホテルの前で黒須氏と会った時にも性癖判断をしたのですが……」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━

直木「黒須氏はズヴァリ! 妹萌えでしょう!」

黒須「はあ!? 何故俺に妹がいる事を知っている?」

直木「私に隠し事はできませんよ。それも一人ではありませんね?」

黒須「確かに二人いるが、そんな事まで……。だが決してそういった嗜好はないぞ!」

直木「そうでしょうか? 例えば……家族だからと無遠慮に振舞う妹達のあられもない姿に、ナニか感じるものがあるのでは?」

黒須「なっ! そんな訳があるか!」

直木「んふふ、私にはわかるんですよ。発育の良い妹達のカラダに触れる度、一線を越えんとする劣情が!」

黒須「……妹達はまだ小学生だッ!!」

━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━


直木「といった感じでした」

川澄「性癖はともかく、妹が二人なの当てとるのはキモチ悪い通り越して怖いわ!」

未々咲「いいな黒須クン。私一人っこだから兄弟欲しいなー」

無位「よう。なーんか面白そうな話してるじゃないか」

直木「おや無位氏にジーク氏。三人で少々性癖の話をば」

ジーク「猥談かよ……。真昼間からなんつー話題だ」

川澄「むっ……ちゃうからな。コイツが勝手に話し出しただけやからな!」

直木「二人とも割とノッていたと記憶しているのですが……」

川澄「うっさい! はよコイツらの性癖言えや!」

ジーク「ノッてんじゃねーか!」

未々咲「まあまあ。とりあえず話聞こうよ、ね? まず無位クンから」

ジーク「話収めてるようで収めてねーぞ!」

無位「おいおいなんだよ。そんなに俺の事が気になるのかい?」

直木「無位氏はズヴァリ! ロリータコンプレックスですねっ!」

未々咲「うわあ……。犯罪臭ヤバいね!」

無位「おいコラ。そのトーンのうわあ……は傷つくからやめろ」

無位「ロリコンじゃないけど、恋愛するなら1、2歳年下が理想だな。ロリコンじゃないけど」

川澄「へー。なんでなん?」

無位「後輩の女の子っていいじゃん。欲しいわー、後輩」

直木「いいですねえ。インスピレーションが湧いてきました」

直木「……肩をとん、と突かれて振り向くと『先輩♪』とイタズラっぽい笑みを浮かべる後輩。そのまま僕は野獣の如く彼女に覆いかぶさり……」

川澄「事案やないか!」

無位「なんでもいいけど、青春してえなあ……」

直木「続きまして、ジーク氏はズヴァリ! ………………」

ジーク「……その沈黙はなんだよ?」

直木「いえ……。私でも引くくらいのMだと判断されましたので……」

ジーク「ふざけんな!」

未々咲「直木クンにも引いてるのに、さらに引くとなるともうどう接していいのかわからないよ……」

直木「そんな未々咲氏の罵倒にすら、内心喜びに身を震わせていると見ましたがどうでしょう……」

ジーク「ちっげえよ! マゾとかそんなんロックじゃねえ!」

無位「ロックな性癖ってなんだよ。ギターフェチとかか?」

川澄「どっちみちキモいわ……」

ジーク「どっちでもねーんだよオレは!」

ジーク「クソがっ! じゃあ直木も言えよな、テメーの性癖をよ。オレ達だけ恥かかすなんて納得いかねえぞ!」

直木「語っていいんですか!?」

ジーク「コイツ無敵かよ!」

未々咲「今のとこ、巨乳好きに妹萌えにロリコンにMだったっけ? 男子ロクなのいないねー」

ジーク「直木の言う事をうのみにし過ぎだろ……」

無位「おいおい。そこまで言うんならここは一つ、比較の為に女子も判断してもらわないと不公平ってもんじゃないか?」

直木「ふむ。一理ありますねえ」

川澄「な、何言ってんねん! そんなんセクハラやん!」

未々咲「変態さんだー! ここに変態トリオがいるよ!」

ジーク「オレを含むな!」

無位「何もお前らじゃなくて他の女子でもいいんだけどな。とりあえず俺ら二人分言ったんだから二人分はさぁ」

未々咲「それって要するに他の女の子を売れって事だよね……?」

川澄「うーん……。それはまあ……」

未々咲「仕方ないね……」

川澄「せやな……」

ジーク「いいのかよ! 薄情だなお前ら!」

川澄「アハハ、正直ウチらもその辺の事気になるやん?」

無位「やれやれ。その野次馬根性、嫌いじゃないぜ」

六波羅「こんにちは。皆で何の話ですか?」

児玉「なんか珍しいメンツだねー」

未々咲「あっ、カズちゃんに恵ちゃん」

直木「おやおや。飛んで火にいるなんとやらとはこの事……」

六波羅「えっ?」

川澄「……ゴメン二人とも! 先謝っとく!」

未々咲「ゴメンね!」

児玉「えええ……。なんか嫌な予感しかしないんだけどー……」

ジーク「…………。オレ知らねー……」

無位「頼むぜ直木。教えてくれよ、ロマンってヤツをさぁ!」

直木「任されました。では六波羅氏から」

六波羅「一体なんなんですか?」

直木「今から六波羅氏と児玉氏の性癖を判断します!」

六波羅「はいっ!?」

児玉「もう、だから嫌な予感したんだってばー!」

直木「六波羅氏はズヴァリ! 露出狂の気がありますね?」

六波羅「ありませんよ!?」

直木「冬も寒い事ですし、捕まらないように注意してくださいね」

六波羅「だからやってませんよ! なんで行為自体は許容してるんですか!」

直木「続いて児玉氏はズヴァリ! 女王プレイに興味がおあり……」

児玉「ないです! はいこの話終了ー!」


この後、児玉が強引に話を終わらせたが直木の口に戸は立てられず、
結局全員分の性癖判断結果がお互いに知れ渡る事となった。

直木は何度か殴られた。



【小ネタ 皆の性癖判断……END】

【小ネタ 新旧〇〇枠の邂逅】





直木「! 貴方は……」

不動「…………。お前は……」


がしっ


不動「……ふっ」

直木「ふふふ……」


安藤「なんなんだあいつら。握手して無言でうなずきあってるぞ……」

佐山「……すまないが僕には直木君の意図がはかり知れない事が稀によくある」

安藤「俺だって分からないよ……」

真理木「あれ? 誰かしら。安藤と不動の知り合い?」

直木「おや。彼女は……」

直木「……不動氏。彼女の胸囲は」

真理木「はっ!?」

不動「78㎝だ。奴の性癖は」

直木「ズヴァリ! 彼女は匂いフェチですっ!」

真理木「なっ!?」

安藤「なんで互いの能力が分かるんだよ!」

佐山「………………」

直木「なるほど! スタイルの割には慎ましやかな大きさなんですねえ」

不動「……くくく。そんな性癖があったとはな……」

真理木「…………っ、殺す!」

佐山「……本当に申し訳ない」

安藤「いや……。苦労察するよ……」


【小ネタ 新旧変態枠の邂逅……END】

一旦ここまで
今日の夜に出来たらチャプター2始める予定です…が来れないかもしれません
よろしくお願いします。

こんな時間ですがちょっとだけでも進めます




 『――佐山……、……くん――』





声が聞こえてくる。

すぐ近くで囁いているような、遠くからやっと届いたような。
受話器越しに聞いているような、脳内に直接響くような。
とにかくそんなぼんやりとしているのに一部だけはっきりと聞こえる、声……



 『――これからキミ…は希望ヶ峰学園……徒として……――』



希望ヶ峰学園?
……そうか。僕は希望ヶ峰学園の生徒として入学した……



 『――そ…目的は……の中にいる…………』

 『……カムクライズル……』



……カムクライズル?
目的……何の話なんだ。

 『――彼等は…………記憶を………………』

 『でも世界を変える……チカラが、キミ……は…………』

 『――きっと…きる……………ばって』



……これは、僕の……



 『――佐山君』

 『…ミの才能……超高……の……――』



才能……
僕の才能は……



 『…………。キミ……能は……』

 『……………………』




 『超高校級の、罪人』


《佐山のコテージ》



佐山「……っ!」


ベッドから体を起こす。
ここは……自分のコテージだ。


周囲に誰かがいる気配はない。
入り口の鍵はちゃんとかかっている。

窓の外を確認すると辺りは暗く静まり返っている。朝にはまだ早いらしい。
聞こえるのはようやく整いだした自分の呼吸だけだ。


佐山「………………」



……今のは?



━━【CHAPT.2】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


             『 汚れっちまった憎しみに 』


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【 (非)日常編 】━━

《ホテル レストラン》


朝食時のはずだがレストランは閑散としている。
来ている人達の雰囲気もどことなく沈んだものだ。

昨晩の事が関係しているのは間違いない。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━

モノクマ「だってこの前の毒殺未遂事件の犯人、児玉さんでも直木クンでもないんだよ?」

川澄「……あっ。ちゅう事は……!」

モノクマ「いるんだよねえ。最初に殺し合いを企てて、しかもそれを他人になすりつけようとした奴!」

黒須「ぐ……!?」

佐山「…………!」

━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━


肝心の毒は管理されているが……現状はこの通りだ。
警戒するのも無理はないだろう。

それでもレストランに来ている人達は単なる習慣なのか、情報収集か……


ともかく話しかけてみよう。


安価↓
1.クロワ
2.未々咲
3.黒須
4.神風

選択 3


佐山「おはよう。今日は人が少ないようだね」

黒須「……佐山か。そのようだ、昨日の事があっては無理もないだろう」

黒須「しかしこんな時だからこそ集まる機会が必要だと思うのだが……ままならないな」

佐山「………………」

そういう黒須君自身も活力は無さそうだ。


話題を振ってみようか。


話題安価↓
1.昨日の裁判について
2.毒殺未遂事件の犯人について
3.特定の人物について(生徒名も指定)
4.自由安価

選択1


佐山「昨日の裁判についてなのだが……」

黒須「お前も災難だったな。正直なところ、俺も途中までお前が犯人で間違いないと思っていたぞ」

佐山「………………」

……やはり、皆の認識はそうなっているのか。

佐山「……よければ昨日の裁判の流れを確認させてほしい」

黒須「何故そんな事を? 構わないが……」


黒須君によると……
血痕付きの包丁から厨房にいる人物がクロだと僕が推理したところまでの記憶は一致している。
……問題はそこからだ。


発言していなかった調理担当は六波羅君ではなく僕……
その一点だけがどうしても違う。


最初に死体を発見したのも僕ではなく六波羅君だ。
そして結果的に、厨房にいたというアリバイのない僕が疑われる事となった……
直木君の言い方を借りるなら、事件の発見者役と容疑者役が入れ替わっている。

……一体どういう事なんだ。
黒須君の言っている事は正しい。一方で、僕には異なる記憶が確かにある。
記憶障害か何かの副作用で妄想と事実を混同しているというならそれで済む話だが……

黒須「……お前の推理は見事だった。俺も冷静に推理していたつもりだったが、どうやら囚われていたようだ」

黒須「お前も生きた心地はしなかったろうが……。あの場では普段意識していない死の恐怖がすぐ背中にあった」

佐山「死……」


死……おしおき……絶望。
やはり、あの事を覚えているのは……


黒須「……裁判など、事件など二度と起こさせん! そのためにも現状をなんとかしなければな!」

黒須「? どうした佐山。聞いているのか」

佐山「……ああ。これ以上事件を起こす訳にはいかない」


……それでいい。
覚えていないなら、僕の妄想で済むのなら。あんなモノを全員が知る必要は全くない。


【INFO】
黒須の好感度が上がりました。

モノクマ「やあやあ。全員揃って……ないね、ゼンゼン」

未々咲「あ、モノクマだ!」

黒須「貴様ァッ! 昨日の今日でよく現れたものだな! 一体何の用だ!」

モノクマ「いやあ。実はボクの下僕達も揃ってなくてさ。こっちに来てないかと思いましてん」

クロワ「……ゲボク?」

モノクマ「例のモノケモノですよ。一匹いなくなっちゃったの」

モノケモノ……中央の島で橋を封鎖していた兵器の事だ。
それが一体消えた……?

モノクマ「一人立ちの季節なのかしら。子供の成長って早いわねえ」

未々咲「あれモノクマの子供だったんだ!」

神風「でっけえな、子供」

佐山「………………」

モノクマ「ま、いいや。オマエラは何も知らなさそうだし。気にしたってしょうがないよね」

モノクマ「あ、そうそう。ボクのプレゼント気に入ってくれた?」

佐山「プレゼント、だと?」

モノクマ「今日寝てる時にちょっとイイコト、あったんじゃない?」

佐山「…………!」

まさかあの夢は……
どうやら他の人にも心当たりがあるらしい。

モノクマ「コロシアイを起こしたら記憶を返すって言っちゃったからねえ。あれノリだったんだけど」

未々咲「あれノリだったんだ!」

クロワ「……そのワリには随分と断片的な記憶だけのようだが?」

モノクマ「全部返すとは言ってないんですねこれが! だからチョッピリ!」

クロワ「フン……。まあいい」

モノクマ「まっ、その内もっと分かるようになりますよ。自分の事がもっとね」

佐山「…………?」

モノクマ「ではでは、アデュー!」

意味深な言葉を残してモノクマは去って行った。

黒須「記憶か……。懐かしい夢を見たと思ったが、そういう事か」

神風「………………」

未々咲「うーん……。あれ? クロワちゃんどっか行くの?」

見るとクロワ君が離席して外に出ようとしていた。
朝食は既にキッチリ済ましていたらしい。

クロワ「気づかないのか? 原因は分からないがモノケモノがいなくなったという事はその先の封鎖も解けたという事だ」

黒須「……そうか! 行ける所が広がったという訳だな?」


 「あ、あのー……」


未々咲「! じゃあ調査しないとだね! 皆呼んでこよーよ!」


 「ちょっと、ミナサン……」


黒須「こうしてはいられん! 早速全員を……」


モノミ「あ、あの! 待ってくだちゃい!」


神風「ふわぁ……。メンドいけど一応行くか」

モノミ「あれ、無視なの!? 人物名表記されても無視なの!?」

佐山「……一体何の用だね」

モノミ「え、えっと……どうしてモノケモノがいなくなったのか気になりまちぇんか?」

黒須「確かに気になるが……今はそれどころではない!」

未々咲「じゃあ調査だね! 皆を呼んでこよーよ!」

モノミ「さっきの仕切り直しされちゃった!? あの、一応あちしがやっつけたんでちゅけど……」

神風「はあ!? お前が?」

佐山「やっつけたとは……一体どうやってかね」

モノミ「それは原作ゲームをやってもらうとして……橋の門も解放しておきまちた!」

未々咲「そっかありがと。じゃあ今度こそ皆を呼んでこよーか!」

黒須「クロワは既に向かったようだな……。急ぐぞ!」

二人は走っていってしまった。

モノミ「うう。感謝されるためにやったんじゃないけど、なんだか寂しいでちゅ……」

神風「ブタウサギがあの機械を……。マジかよ……」

佐山「………………」

二人ともショックを受けているようだが……放っておこう。

今朝僕が聞いたのは断片的な記憶……

単語だけははっきりと覚えている。
『カムクライズル』に、『超高校級の罪人』。

これが僕自身に関わるキーワードなんだろうか。
新しい島で何か見つかるかもしれない、行ってみよう。



………………。



……解くべき謎がさすがに多くなってきた。
今度マーケットからメモ帳を拝借してこよう。

今回はここまで。
次回は2の島の探索からです。更新日は未定です

更新します
安価はとりあえずありません

《二番目の島》


モノクマが言っていた通り確かに橋の前にいたモノケモノは消えていた。
橋を渡った先が新しく解放された島……

この島にもいくつかの施設があるようだ。
調べていこう。

《遺跡》


樹木と一体化した巨大な人工物……
この島に残る遺跡なのだろうか。


十中井「……入口のような物はあるが開かねえ」

佐山「中には入れないか」

赤羽「それにしてもなんと立派な。観光名所なのでしょうか」

十中井「……確かに見てくれはそれなりだがよ」

やはり、というべきかこの島にも住民がいる気配はない。
観光も何もないだろう。

赤羽「………………。これは本当に遺跡なのでしょうか」

佐山「? どういう意味だね」

赤羽「いえ……。上手く言い表せないのですけれど」

十中井「……別の所から入れねえか、調べてくる」

赤羽「わたくしもお手伝いいたします」

十中井「……構わねえが。………………」

赤羽「どうかされましたか?」

僕達の中に悪意ある危険人物が潜んでいるのは周知の事だ。
その状況で警戒心なく同行を提案する赤羽君に彼も戸惑っているのだろう。

十中井「……おい。一つ、言っとくが」

赤羽「はい」

十中井「……夜道は、気ぃつけろ」

赤羽「まあ……」

……その忠告は問題がある気がする。


遺跡の調査は二人に任せよう。

《図書館》


見渡す限り本、本、本。
奥には天井まで届くかという程の圧倒的な高さの大書架。

ここはこの島の図書館らしい。
入り口に並んでいる色鮮やかな花壇やシャンデリアといい、外観から内装まで豪華だ。


川澄「確かにめっちゃ高いけど、上の本どうやって取るねん」

六波羅「リモコンで操作するゴンドラがあるみたいですよ。あれに乗るって事じゃないでしょうか」

納められているのはほとんどが洋書だ。
探せば日本語で書かれたものも見つかるだろうか。

六波羅「英語ならまだ読めなくもないですが、他の言語はほとんど分かりませんね……」

川澄「あ、ウチ読めるわ。この本スペイン語や」

六波羅「えっ?」

川澄「へへん、ダテに世界飛び回っとらへんからな。行った事あるトコなら多少は読めるんや」

六波羅「なるほど。さすが世界を股にかける活動派バードウォッチャーですね」

佐山「………………」

昨日の裁判で六波羅君は……

━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━

六波羅「うふっ、ふふふ……あはっ」

六波羅「あはは、アハハハハハッ……!」

                :
                :

六波羅「アハ、はあ……ふう。失礼しました」

六波羅「犯罪者になれた気がして……。少し嬉しくなってしまって」

━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━

……いや。これはあくまで僕の記憶だ。
実際に追い詰められていたのは自分の方で、彼女があんな狂態を晒した場面はなかった。

そのはずだ……


六波羅「? どうかしましたか、佐山君」

佐山「何でもない。……直木君の著書がないかと思ってね」

川澄「……はあ。嫌な事思い出させんでよ……」

六波羅「直木君の動機を考えると……。もしここに彼の作品があれば事件も起こらなかったんでしょうか」

佐山「………………」

川澄「ちょお、話暗くなってきてるて!」


過ぎた事に対して仮定は意味が無い。
起きてしまった事実は変えられない。

……だが。それならこの記憶は……?

《ドラッグストア》


ここはドラッグストアか。
棚に並んだ大量の瓶を早家町君が調べている。


早家町「これだけあれば当面の間は誰かが病気になっても大丈夫かな。調剤できる環境も整ってるし」

都村『わっはっは! 来たれウイルス!』

早家町「来ないに越したことはないよ!?」

佐山「……日本では見ないような薬品が多い。本当に危険はないのかね」

早家町「え? まあ海外のものがほとんどだし、日本じゃ認可されてないのもあるけど……」

早家町「毒とか劇薬とか、危険な薬品はないと思うよ。もちろん大量に摂取したら薬も毒だけどね」

佐山「………………」

ラベルの説明書きも外国語で書かれている。

佐山「都村君には分かるだろうか」

都村『ふーむ……。これは!』

都村『まったくわかりません! 私の習得言語はひらがな語とカタカナ語と漢字語を少々、でありますからしてっ!』

早家町「要するに日本語だけじゃん……」

ほとんどの人にとってはどれが何の薬かも読み取れなさそうだ。

《ダイナー》


ダイナー、北米特有のプレハブ式レストランの事だ。

看板にもなっている、バンズに挟まれて寝そべっているブタがマスコットキャラクターらしい。
……何かしらメッセージ性がありそうだが気にせず店内に入ろう。


                :
                :


無位「よう」

佐山「……ようじゃないが」

中にはハンバーガーを片手に店を物色している無位君がいた。

無位「お行儀が悪いなんてツマラナイ事言うなよな。こっちは黒須と未々咲に急かされて、朝飯も食べずに来てるんだからさ」

佐山「ここでの収穫は?」

無位「あったよ。ピクルスがちょっと酸っぱ過ぎる」

佐山「………………」

無位「あっはっは! そんな顔するなよ。俺だってこんなもの食べるの久しぶりだしさぁ」

自分の表情はこれ以上なく真顔だ。

無位「それにまた誰かが毒を仕込んだら、もう食べれなくなるじゃないか」

佐山「……やはり君も毒を警戒しているのかね」

無位「そりゃそうだろ。一応十中井が保管してるらしいけど、他にも何が毒になるかわからないし」

無位「しばらく飯の調達はマーケットだな。早いとこ見つけてくれよ、犯人」

佐山「なぜ僕に?」

無位「とぼけちゃってさ。昨日は推理で大活躍だったじゃないか」

無位「実際、お前がいなかったら終わってただろ」

佐山「………………」


本当は……あの裁判は一度クロの勝利で終わった、と言ったら。
無位君はどんな反応をするだろう。

……笑われる気がする。


無位「あの裁判で大体の奴は見定めたんじゃないか。誰が頼りになる奴なのか……」

無位「誰を敵に回すと厄介なのか。勿論、俺らの中にいる犯人も」

佐山「……敵か」

無位「だから。早いとこ見つけた方がいいと思うぞ」

今は隠れている真犯人もきっとまた事件を起こそうとする。
その時、狙われるのはおそらく……



無位「あ、こういう事言う奴に限って大体犯人か被害者のパターンだよな。あっはっは!」

佐山「………………」


さっぱり分からない。笑いどころが。

《チャンドラービーチ》


ダイナーを通り過ぎた先には砂浜、そして海が広がっていた。
最初の島の海岸とは違い、パラソルやリゾートチェアも設置されている。
海水浴をするならこちらの方が適していそうだ。


四水「………………」

佐山「沖の方を見つめて一体何を?」

四水「島。探してる」

佐山「………………」

四水「………………」

佐山「……発見はできただろうか」

四水「いや」

そう言うと彼女は踵を返しダイナー方面へ向かっていく。

佐山「今度はどこに?」

四水「他の場所。調査」

佐山「そうか。…………」

彼女の返事が最低限だからか会話は弾まない。
無理に弾ませる必要もないのかもしれないが。

ビーチハウスも調べておこう。

《ビーチハウス》

ビーチハウスの内装はやたらと豪華だ。
シャワールームも用意されている。


ジーク「なんつーか、セレブって感じだ。気に食わねえな……」

佐山「気に食わない?」

ジーク「なんでもねえよ。ドリンク飲み放題……。開封されてねえペットボトルなら大丈夫か」

佐山「こちらは物置のようだね」

物置にはサーフボードやシュノーケルなどが所狭しと押し込まれている。

ジーク「こっちの扉はシャワールームか。どれ……」

モノミ「ストーップ! いけまちぇん!」

ジーク「うおおおっ! なんだよっ!」

ドアノブに手をかけた瞬間、いきなりモノミ君が現れた。

モノミ「ダメでちゅよ! 故障中ってここに書いてあるじゃないでちゅか!」

ジーク「なっ……。もっと大きく書けよ!」

佐山「故障とは、シャワーが使えないという事かね」

モノミ「い、いや……。シャワーは別に問題ないんでちゅけど……」

ジーク「ハア?」

モノミ「とにかく入っちゃダメでちゅ!」

強く警告するとモノミ君はどこかに消えていった。

ジーク「クソがっ、なんなんだよ。滅茶苦茶アヤシイじゃねえか!」

佐山「……それは同感だが」

ジーク「何か隠してやがるな……。後で調べてやる!」

モノミ「だからいけまちぇんって!」

ジーク「なあああっ、って二回も出てくんじゃねえよ!」

モノミ「きゃあ、ごめんなちゃい!」

佐山「………………」


ともかく今はシャワールームを調べられないようだ。

未々咲「いたいた。佐山クン」

佐山「未々咲君か。どうかしたのかね」

未々咲「えっとね。皆にも声かけてるんだけど、遺跡で発見があったから集合だって」

佐山「遺跡……」

この島に来て最初に訪れたところか。
十中井君と赤羽君が調べていたはずだ。

ジーク「発見ってなんだよ?」

未々咲「あ、きゅうたクンもいたんだ」

ジーク「その名前で呼ぶな!」

未々咲「私も聞いてないからわかんない。急いで来てね、二人とも!」


……ともかく遺跡に向かうか。

《遺跡》


遺跡の前に全員が集められた。


黒須「発見とは一体なんなんだ?」

未々咲「もしかして脱出する方法!?」

赤羽「いえ。入り口の扉について気になる事があったのです」

佐山「最初に調べた時は開かなかったはずでは」

十中井「……開かねえのは変わらねえ。だが……見りゃ分かる」

扉に注目する。
先程は砂埃や樹木で覆われていて分からなかったが……どうやらこの扉は金属製らしい。
それだけではなく液晶パネルのような認証機器まで見える。

風化した遺跡の入り口には完全に不釣り合いだ。


ジーク「なんなんだよこりゃあ……?」

赤羽「遺跡の扉にしては少々近代的すぎるのではないかなあ、と思いまして」

川澄「少々どころちゃうって。明らかオカシイやん!」

都村『まさかこの遺跡は古代人が作ったオーバーテクノロジー満載の秘密基地……?』

都村『くううっ、燃えっ!!』

無位「古代人もセコムすんのかよ」

六波羅「ふっ……こほん。よく見ると扉の模様が『未来』って字にも見えますね」

神風「おお、マジだ。なんで未来なんだ?」

六波羅「模様の意図は分かりませんが……。液晶パネルにパスワードを入力すれば開く仕組みなんでしょうか」

未々咲「なるほど。まず『4649』いってみよう!」

クロワ「バカが。横に設置されている銃が見えないのか」

未々咲「銃? あ、ホントだ」

早家町「これってやっぱり、間違えると……」

都村『ズババババーンッ! でありますねっ!』

早家町「なんで嬉しそうなの……?」

黒須「わざわざ隠されていたという事は重要な施設なんだろうが……」

川澄「こういうヘンテコなモン知ってそうなヤツって……」

モノミ「えーっと……。………………」

モノクマ「えーっと……。………………」

揃って黙秘らしい。

ジーク「なんか知ってんだろコラ!」

モノミ「い、いえ。あのでちゅね……」

モノクマ「知ってるような知らないような……」

四水「……教える気はないって事」

川澄「やっぱりアヤシイわ。中に自家用ジェット機とか自家用クルーザーとか無線があるんとちゃうやろな!?」

モノクマ「うぷぷ。言うなればこの遺跡はジャバウォック島最大のミステリー……」

モノクマ「でもオマエラなら。優秀な超高校級の才能ならきっと真実に辿り着く事ができるはずさ!」

モノクマ「才能に愛され才能を愛した、そんな…………だからこそ、ね」

佐山「……?」

モノクマ「ところでオマエラ、最近の世界事情について知ってる? ちゃんと新聞読んでる?」

十中井「……露骨に話を変えんじゃねえ」

川澄「知るワケないやろ! ニュースの一つも流れへんのに」

モノクマ「ダメだなあ。時事問題の一番の対策は新聞を読む事だってのに」

無位「学校のセンセみたいな事言うなよ。テンション下がるわー」

モノクマ「いやボク先生なんですけど。しかも学園長なんですけど……」

佐山「……結局君は何が言いたい」

モノクマ「いやあ。世間話で生徒とのコミュニケーションを図ろうと思って」

モノクマ「そうそう、最近のニュースだと先週ついに世界からアレが消えたらしいよ」

未々咲「アレって?」




モノクマ「ハワイ」


黒須「……は?」

モノクマ「ワ?」

川澄「い……いやっ! 何を言っとんねん!」

未々咲「ハワイって……場所でしょ? 芸能人がよくバカンスに行くあの……」

モノクマ「そのハワイ。ドカーンと、消えちゃったんだって!」

未々咲「ドカーンって……ええええええ!?」

ジーク「一体何が起きてんだよ! 爆発か? 爆発なのか!?」

早家町「地域一帯が丸ごと消えたっていうの!? ありえないよ……!」

モノクマ「……U-ウイルス、AZガス、新型核ミサイル……」

都村『……か、核!?』

赤羽「…………? 何の事でしょう」

モノクマ「殺人ウイルスの蔓延、非人道的兵器の開発、戦略核による世界規模の緊張……」

モノクマ「世界大戦半歩手前……みたいな」

クロワ「……何の冗談だ」

モノクマ「ボクは真実しか喋りませんよ。オマエラが想像してるより、世界は危険な状況にあるんだ

黒須「ば……馬鹿なッ! ありえん! 俺達がこの島に来る前にはそんな事態など……」

モノクマ「オマエラの記憶は学園に入学した時点で止まってるって話覚えてる? オマエラが知っている世界は過去のものなんだ」

モノクマ「現在の世界は、今まさに破壊されようとしているんだよ!」

モノクマ「それもこれも……オマエラをここに連れてきたのも、その遺跡の謎を作ったのも」

モノクマ「全部、『未来機関』ってヤツの仕業だったんだよっ!!」

モノミ「な、なんだってー!! ……って、え?」

モノミ「な、何を言ってるんでちゅかー!?」

六波羅「未来機関……? モノミやモノクマはその組織の仲間って事ですか?」

モノクマ「さあ、どうでしょうねえ。でもでも、未来機関といえばその名前を聞くだけで震え上がる人もいるとかいないとか」

佐山「どうしてそんな組織が僕達を拉致する。しかもこんな無人島を用意までして」

モノクマ「うぷぷぷぷ……。前に言ったでしょ?」

モノクマ「オマエラは種、大いなる希望にもおぞましき絶望にもなりうる存在」

モノクマ「未来機関はそんなオマエラが喉から手が出るほど欲しいのさ」

佐山「………………」

モノミ「……アンタの言う事なんかウソっぱちでちゅ! ミナサン、騙されちゃ……」

モノクマ「えぇいこらー! その口を閉じろぉー!!」

モノミ「うぎゃああああああー!!」


モノミを吹っ飛ばしながら、その勢いのままモノクマも去っていってしまった。

六波羅「今のは……流石になんて言ったらいいのか」

無位「アイツ、三日に一度は俺達をビックリさせないと気が済まないのか?」

四水「……今の話の信憑性は。誰か判断できる?」

ジーク「嘘に決まってんだろ! そんなの、ありえねえよ……」

早家町「あ……あの。U-ウイルスって聞いた事あるんだけど……」

黒須「何?」

早家町「最近……ボクの記憶だと最近になって見つかった新種のウイルスだって」

早家町「チラッと聞いただけだし、ボクがいた所じゃ発症例は無かったからうろ覚えなんだけど……」

十中井「……実際に存在はする、か」

クロワ「それを言うならAZガスもそうだ。実際に存在する」

赤羽「まあ……。どんなものなのかお知りなのですか?」

クロワ「……知ってはいるが、オマエ達に教える必要はない」

六波羅「もしそれらが生物災害やテロの引き金になったら。核兵器なら尚更……」

佐山「……世界が破壊されるというモノクマの話も無くはない、か」

川澄「ええ……そういう事になるんか?」

未々咲「でも、それって私達じゃどうしようもなくない?」

早家町「えっ?」

未々咲「だって私達、まだ高校生だよ。核とかウイルスとか……正直難しいよ!」

未々咲「確かに一度はハワイ旅行に行ってみたかったから、無くなっちゃったのはザンネンだけど……」

早家町「反応軽くない……?」

四水「……気にしてる場合じゃないのは同意。あたし達の問題はもっと目先の事」

黒須「この島からの脱出、か……」

神風「うん、そうだ。気にしてもしょうがねえよ、うん」

無位「そうだな神風。話難しくて分かんなかったからそう言ってる訳じゃないんだよな」

神風「……お、おう」

六波羅「ともかく……日も暮れてきましたし今日はもう戻りましょうか」

六波羅「ここでこれ以上考え込んでも進まないと思います」

黒須「……そうするか。では……今日は解散だ」


こうして今日の探索は終了となった。
得たものは……新たに増えた謎、だけだ。

《佐山のコテージ》


夜。

アナウンスが放送され既に就寝時間は過ぎている。
それでも眠る前に、マーケットから持ってきたメモ帳に書き込んでいく。



記憶と才能、モノクマ、モノミ、コロシアイ修学旅行、毒殺未遂事件、真犯人、矛盾した記憶。

カムクライズル、超高校級の罪人、遺跡の謎、未来機関、破壊される世界……



佐山「………………」


分からない事は多い。
それでも言葉にして紙に書いていけば終わりがある、無限ではない。

いつか全てに答えを出せる時が来る……そんな予感がした。



【1日目 終了】

・リザルト

【現在の好感度】

ZEKE    ……24
黒須 灰矢 ……22
直木 重吾 ……17[DEAD]
早家町 杜々 ……16
児玉 和音 ……15[DEAD]
赤羽 優仁 ……14
六波羅 恵 ……12
クロワ・グラトン ……11
十中井 蛇山 ……11
無位 流一 ……10
川澄 美空 ……9
神風 今日介 ……9
未々咲 愛 ……7
四水 眞寄 ……5
都村 美弥子 ……5


【アイテム・プレゼント】
なし

【らーぶらーぶポイント……62てん】

今回はここまで。
次回から久しぶりの自由行動です。サブイベントも充実させていきたいと思います

明日また更新予定です、よろしくお願いします

始めます

【2日目】


今日はあの夢を見なかった。
昨日の夢……やはりあれは特別な記憶なのか?

ともかく、朝食を済ませてこよう。


【朝 行動】

安価↓
1.レストランに行く
(生徒を一人選択、乱入あり)
2.マーケットに向かう
(生徒を一人選択、コンマ50以上で遭遇、乱入なし。買い物も可)

【らーぶらーぶポイント……62てん】

選択 1 四水


レストランでは四水君が朝食を摂っていた。
メニューは野菜ジュースとフルーツ……量も控えめだ。


佐山「おはよう四水君」

四水「ちす」

佐山「今日はここで朝食を?」

四水「見りゃ分かるでしょ」

佐山「それもそうか。…………」

四水「………………」


……何か話題を続けようか。


1.昨日の事について
2.毒、真犯人に関して
3.……ダイエットでも?
4.自由安価

4 児玉について


四水「……そういえば」

話題に迷っていると、意外にも四水君から話を振ってきた。

四水「アンタ知ってたの? 児玉が犯人じゃないって事」

佐山「…………。なぜそんな事を?」

四水「裁判の時のモノクマの口ぶり。アンタは何か知ってるようだったから」

佐山「……ああ。犯人ではない、という確証はなかったが」


夜時間に児玉君と遭遇した事、彼女は当初は無罪を主張していた事、
児玉君が不和の解消の為に自首を決心していた事……
それらを四水君に話した。


四水「………………」

佐山「本当に犯人ではないと知ったのは同じくモノクマの発言の時だ」

四水「質問に答えてくれてどうも」

佐山「なぜ児玉君の事を?」

四水「特に仲良かった訳じゃないよ。モノクマの言い方が妙に引っかかっててスッキリしなかったから」

四水「児玉が可哀想な善人だったら感傷に浸ろうとか、無念を晴らそうなんてのは、別に」

佐山「………………」

四水「……けど」

佐山「?」

四水「アイツは全員の事を考えて行動して、最期の時も証拠を残そうとした」

四水「そういうのは嫌いじゃない」

佐山「……そうか」


安価↓
誰か乱入させますか?プレゼントは現在持っていません

乱入 神風


ガラッ


四水「!」

佐山「?」

突然、奥のテーブルの椅子が動いた。
誰かが椅子を並べて寝ていたらしい。

神風「ふああああ……。……よう」

四水「……いたんだ」

佐山「おはよう。何故こんな所で……」

神風「ああ……。どうせ朝来るなら、ここで寝た方が、メンドくさくなくていいと思ったんだけど……」

四水「けど?」

神風「椅子が、かてえ……」

佐山「………………」

四水「……はあ」


なんと返せばいいのだろう。


話題安価↓
1.さっきの話……
2.自分のコテージで寝るよう注意する
3.自由安価

選択 2


佐山「……素直に自分のコテージで寝る事をお勧めする」

神風「んああ……。でもオレ、朝調子悪いから、ここまで来るの、面倒なんだよ……」

四水「別に寝てればいいじゃん」

神風「…………。それもそうだな」

四水「それより、ここで寝てる時に殺されたら犯人分からなくなるからやめて」

語気を強めて四水君が警告する。

神風「お、おお……。そうか、分かった。…………」

神風「うーん……。なあ佐山」

佐山「?」

神風「寝てる時でも、襲ってくる敵を倒す方法って何かないか?」

佐山「……聞いた事はない」

神風「そっか、記憶喪失だもんな。どうすっか……」

四水「……はあ」

……記憶があったとしても聞いた事がないに決まっている。


【INFO】
四水の好感度が上がりました。
神風の好感度が上がりました。

【2日目 昼】


さて。
気づいた事やこれからの行動の指針をメモ帳にまとめておこう。



・サブイベント (『イベント名』【登場人物|選択可能人数|期限】)


A.『超高校級の罪人』【なし|1人|なし】

夢?で聞いた言葉、『超高校級の罪人』について調べる。
罪人の才能……希望ヶ峰がそんな人物をスカウトするのか、そもそもそんな才能は存在するのか?
ともかく高校生の犯罪者について情報を集めよう。


B.『カムクライズル』【なし|1人|なし】

夢?で聞いた言葉、『カムクライズル』について調べる。
希望ヶ峰学園の創始者の名前だったはずだが……
図書館なら文献があるだろうか。


C.『遺品整理』【モノミ|1人|あと1日】

誰かのコテージに入っていくモノミ君を見た。
一体何を?

【昼 自由行動】


自分の記憶について追及するか、皆の様子を探りに行くか……

昼はどう過ごそうか。


安価↓
1.コミュ(一人選択)
2.サブイベント(>>225から選択)

選択 2C 早家町


佐山「………………」

早家町「あれ……。佐山くんどうかしたの?」

佐山「今、モノミ君が誰かのコテージに入っていった」

早家町「え? ふ、不法侵入?」

佐山「いや……」

見間違えでなければ、あのコテージの部屋主は……



【サブイベント 『遺品整理』 開始】

選択してください

安価↓2
1.児玉のコテージ
2.直木のコテージ

【児玉のコテージ】



モノミ「うんしょ、うんしょ……」



佐山「……やはり見間違いではなかったか」

モノミ「あれっ。佐山くん?」

早家町「うわ、ホントにいた……」

モノミ「早家町くんも……ってなんでそんな見ちゃいけないモノを見る目なんでちゅか!?」

早家町「だってモノミって色々とアヤシイし……」

モノミ「ううう、信頼されてまちぇん……」

佐山「ともかくここで一体何を?」

モノミ「ええっと、児玉さんのコテージを少しだけお片付けしようと……」

早家町「えっ?」

モノミ「児玉さんはもう戻ってきまちぇんから。せめてお部屋だけでも綺麗にしようと思って……」

早家町「そうだったんだ……」

……遺品整理という訳か。

佐山「よければ僕も手伝おうか」

早家町「えっ、佐山くん?」

モノミ「ホントでちゅか? 助かりまちゅ! 早家町くんは……」

早家町「えええ、これもうやらなきゃいけない流れだよね……そんなつもりじゃなかったんだけど」

早家町「っていうか女の子の部屋なんだし、あんまりボク達がさわっちゃいけないんじゃ……」

モノミ「そういうところはモチロン、あちしがやりまちゅ!」

早家町「やっぱりモノミって一応メスなんだ……」

三人で協力して部屋の整理を始めた。

               :
               :

早家町「部屋は散らかってないけど、ゴミが溜まってるような。あっ、こういうのあんまり気にしちゃダメか……」

佐山「犯人だと疑われていた時、部屋に籠っていたようだからその時の物が残っているんだろう」

佐山「自首した後も自由に行動できなかったようだからね」

早家町「そっか、なるほど。………………」

早家町「児玉さん……。犯人じゃなかったんだよね」

佐山「……ああ」

早家町「皆に疑われて……。それで……」

早家町「……警戒してもしょうがないと思ってたけど間違いだったのかな。やっぱりボク達が悪かったのかな……」

佐山「………………」

モノミ「……そんな事ないでちゅよ。ミナサンの中に悪い子なんて一人もいまちぇん!」

モノミ「悪いのは……全部モノクマでちゅ!」

モノミ「……それと。ミナサンを守れなかったあちしの責任なんでちゅ」

モノミ「本当にゴメンナサイ……。いくら謝っても足りまちぇん……」

早家町「……ううん。ありがと、モノミ」


遺品整理が終わった。
綺麗に片付いたが、部屋主が帰ってくる事はもうない。

それでも少しは……残された者達の救いになったのかもしれない。


【INFO】
早家町の好感度が上がりました。
スキル『カリスマ』を手に入れました。

『カリスマ』……コミュ、イベント時に好感度が上がりやすくなる。

本日はここまで。続きは出来れば…明日に

一応言っておくと、カリスマは児玉のスキルです。
亡くなった人のスキルはこういうサブイベントか、マーケットで購入するアイテムで回収出来るようにしていくつもりです

始めます

【好感度イベント 早家町】


佐山「早家町君はどうして希望ヶ峰学園に入学を?」

早家町「うーん……。理由かぁ……」

佐山「答えにくければ構わないが」

早家町「あ、そういう事じゃなくって。表現しにくかったんだけなんだ」

早家町「えっと。……少しだけレールをはずれたかったのかも」

佐山「レール?」

早家町「ボク、今までの人生は結構順調だと思ってるけど。飛び級も、薬学を勉強する事に決めたのも……」

早家町「全部親なんだ。親も同じ薬学者なんだけど」

佐山「君の進路にはご両親が大いに関わっていたと」

早家町「うん。本当は進学も親が薦めた大学に行くつもりだったんだけど、希望ヶ峰からもスカウトが来ていて」

早家町「ボク自身はちょっと興味が湧いたんだけど親は選択肢として全然考えてなくて……噛み合わなかったんだ」

早家町「その時からかな。大きな事を、今まで自分で選択してなかった事に気づいたのは……」

佐山「………………」

早家町「あ、別に親が悪いって訳じゃないんだよ。入学したいって言った時は驚いてたけど最終的に行かせてくれたし」

佐山「なるほど……。だから希望ヶ峰に進学する事を自分で選んだのだね」

早家町「そういう事。でも……」

佐山「?」

早家町「そのせいでこんな事態になってるし。やっぱりやめとけばよかったなぁ……」

早家町「素直に従えばよかった。はあ、帰りたい……」

佐山「………………」

自分の意志で決定した証の為に入学する、それも一つの理由だ。
ただし、その決断が必ずしも好転する訳ではないが……


【INFO】
スキル『対症療法』を手に入れました。

『対症療法』……集中力を3消費する。一度間違えた問題を正解扱いにして進行する。

【2日目 夜 自由行動】


モノミ君の手伝いをしている内に辺りは暗くなっていた。
夜時間になるまではまだ時間があるが……どうするか。


安価↓
1.コミュ(一人選択)
2.サブイベント(>>225から選択)

選択 1 十中井


うろついていていると、2番目の島から橋を渡ってくる十中井君に遭遇した。


佐山「こんばんは、十中井君」

十中井「……ああ」

佐山「コテージに戻るのかね」

十中井「……そんな所だ。新しい島を調べてたが……収穫はねえな」

佐山「そうか……」

新しい場所が解放されても、脱出の手掛かりを見つけるのは難しいのかもしれない。


……ところでなぜ彼は暗いのにサングラスをかけているのだろう。


話題安価↓
1.思い切って聞いてみる
2.毒の保管について
3.昨日の事について
4.自由安価

選択 2


佐山「一応確認なのだが。君が保管している毒に問題はないだろうか」

毒、という単語で十中井君の気配が変わったのが分かる。

十中井「……ああ。箱に詰めて封した後は開けてねえし、誰もコテージには入れてねえ」

十中井「……もうあの毒では事件は起こさせねえよ。じゃなけりゃ」

十中井「死んだ奴らに、申し訳が立たねえ」

佐山「………………」

あの事件がきっかけで、多くの人が傷つく結果になった。
罪悪感や後悔に悩む人もいる……きっと十中井君もだ。


十中井「あとは、犯人が見つかりゃあいいんだが……」

十中井「……おい。目星は、ついてねえのか」

佐山「今のところは分からない。手がかりが残っていないからね」

十中井「……フン。そうかよ」

佐山「………………」

彼の中で、僕は怪しいと思われているのか、そうではないのか……表情からは読めない。


安価↓
誰か乱入させますか?プレゼントは現在持っていません

乱入 川澄


川澄「何やっとんねん。ケンカか?」

十中井「……別にそういう訳じゃ、ねえが」

佐山「川澄君。彼とは談笑していただけだ」

川澄「いや全然笑ってへんかったやろ!」

佐山「……確かにそうだが」

川澄「アンタら仲悪いんか? まあ良くは無さそうやけど」

十中井「……そう、見えんのか」

川澄「だってガン飛ばし合ってるようにしか見えへんし。見た目的にもアウトレイジや」

十中井「…………アウト……」

川澄「ピリピリすんのは分かるけど、険悪になってもしゃあないやん」

川澄「佐山はともかく十中井は外見が怖いんやから人一倍気ぃつけな」

十中井「………………」

川澄「それから……」


まだ続くのか……どうする。
というよりいつの間に僕達がケンカしていた事になっている。


話題安価↓
1.川澄を止める
2.いっそ任せる
3.自由安価

3十中井は良い奴だと言う

選択3 >>247


佐山「……十中井君は君が言うような人間ではないと思うよ」

川澄「うん?」

佐山「事件を防ぐ為にパラコートを管理してくれているし、この前の捜査の時も解決に尽力していたからね」

十中井「………………」

川澄「……ふむ、なるほど。それもそうかもしれん」

川澄「でも今見た目が怖いゆう話してんねん。心の話ちゃうくて、見た目なんとかせいっちゅう話や」

佐山「………………」

……どうやら止められなかったらしい。

川澄「まずそのグラサンが……。ちゅうか今は夜やろ! 全然眩しくないやん!」

十中井「…………こ。こいつは……」

遂に言ってしまった……

川澄「そもそも、なんでかけてんの?」

十中井「………………」

十中井「……フ」

川澄「ふ?」

十中井「…………ファッション、だ」

佐山「………………」

川澄「……えっ。そうやったんや」

十中井「……似合って、なかったか……」

川澄「いや……。似合いすぎやなぁ……」

……そうだったのか。


【INFO】
十中井の好感度が上がりました。
川澄の好感度が上がりました。

【2日目 終了】

・リザルト
【現在の好感度】

早家町 杜々 ……26
ZEKE    ……24
黒須 灰矢 ……22
十中井 蛇山 ……17
直木 重吾 ……17[DEAD]
川澄 美空 ……15
児玉 和音 ……15[DEAD]
赤羽 優仁 ……14
神風 今日介 ……13
六波羅 恵 ……12
クロワ・グラトン ……11
無位 流一 ……10
四水 眞寄 ……9
未々咲 愛 ……7
都村 美弥子 ……5


【アイテム・プレゼント】
なし

【らーぶらーぶポイント……69てん】

【3日目】


いつの間にかポイントがそこそこ貯まっている。
モノクマがリセットしてしまう都合上、特に気にかけていなかったが……
使い道がモノミ君のコーナーしかないというのも無関心に拍車をかけている。


朝はどうしようか。


【朝 行動】

安価↓
1.レストランに行く
(生徒を一人選択、乱入あり)
2.マーケットに向かう
(生徒を一人選択、コンマ50以上で遭遇、乱入なし。買い物も可)

【らーぶらーぶポイント……69てん】

選択 1 赤羽


レストランでは赤羽君がいつもと変わらぬ優雅さで食事を摂っていた。

赤羽「お早うございます、佐山様」

佐山「ああ。おはよう」

赤羽「今日も晴れ晴れとした天気になりそうですね」

佐山「そのようだね」

そういえばこの島に来てからずっと良い天気が続いている。
天候が崩れたのはモノクマが現れた時くらいか。

赤羽「天気が良い日は何をするにも最適ですわ。運動日和、お昼寝日和、お散歩日和、調査日和です」

……調査は最後なのか。


何か話を続けようか。

話題安価↓
1.モノクマの話について
2.調査で気づいた事
3.誰か気になる人物(人物も指定)
4.自由安価

選択 3 児玉


赤羽「それからお話日和でもありますね。…………」

赤羽「児玉様も生きていれば……もっとお話がしたかったのですが」

佐山「……それはもう叶わない事だ」

赤羽「本当に可哀想です……。皆様に疑われて、失意のまま力尽きただなんて……」

赤羽「………………」

突然、彼女は沈痛な面持ちでぎゅっと胸の辺りを抑え出した。

佐山「大丈夫かね?」

赤羽「いえ……。なんでもありません」

赤羽「このような悲劇、繰り返してはいけません」

佐山「……ああ」

赤羽「その為にも一日でも早く脱出できるよう、調査を頑張りましょう」

そう言って彼女はまたいつも通りの微笑みを投げかける。
表面的には普通に振舞っていても、色々と思う所はあるのだろう。


安価↓
誰か乱入させますか?プレゼントは現在持っていません

乱入 無位


無位「……見ーちゃった」

佐山「? 無位君か」

赤羽「あら。お早うございます」

無位「おうグッモーニン。……佐山さぁ」

彼は声を潜めて僕だけに聞こえるように言う。

無位「なに女の子泣かしてんだよ、お前」

佐山「……そんな事をした覚えはないが。というより赤羽君は泣いていないだろう」

無位「やれやれ、本当に分からないのか? 赤羽は今、心で泣いてるのさ……」

わからない。

赤羽「くすくすっ。やはりお二人は仲がよろしいのですね」

佐山「………………」

……前にもこんな事があった気がする。


話題安価↓
1.赤羽に気分を害してないか確認する
2.無位にさっきのやり取りを見ていたのか聞く
3.自由安価

選択 1


佐山「……赤羽君。気分を害してしまっただろうか」

赤羽「えっ?」

佐山「無位君が、君が……落ち込んでいるように見えた、と言うもので」

佐山「僕と話す内に何かが気に触れたのではないかと」

赤羽「無位様が……。…………」

赤羽「……うふっ。安心してください佐山様、そんな事はありませんよ」

無位「おっ。お嬢様も最近のネタには詳しいのか?」

赤羽「? 無位様も心配してくれてありがとうございます」

無位「いいって事よ。いやあ、勘違いでよかったよかった」

赤羽「ふふふっ。よかったです」

佐山「………………」

……釈然としないのは僕だけなのか。


【INFO】
赤羽の好感度が上がりました。
無位の好感度が上がりました。

無位「あ。そういえば、ビーチハウスのシャワールームってなんかあるのか?」

赤羽「シャワールームですか?」

無位「入ろうとしたらモノミにエラク必死に止められたんだけど。相手にするのめんどくさかったからそのまま帰っちまった」

佐山「解放された初日も調べようとしたが、同じように止められた」

赤羽「となると、何か理由が?」

佐山「故障中らしいが、詳しい事は何も」

無位「ふーん。じゃあ佐山が調べておいてくれよ」

佐山「構わないが、なぜ僕に?」

無位「聞いてる分じゃ、脱出に関わる手がかりはなさそうだし無駄足になりそうだ」

佐山「……それなのに僕に任すのか」

無位「お前って頼まれたら断らないタイプだと思って」

赤羽「まあ。お優しいのですね」

そういう事ではない。

無位「まあモノミ引き付ける手伝いくらいはしてもいいぜ」

シャワールームがまだ調査されていないのは確かだ。
……頭の隅には留めておくか。

【INFO】
サブイベントが発生しました。

【3日目 昼】


メモを確認しておこう。


・サブイベント (『イベント名』【登場人物|選択可能人数|期限】)


A.『超高校級の罪人』【なし|1人|なし】

夢?で聞いた言葉、『超高校級の罪人』について調べる。
罪人の才能……希望ヶ峰がそんな人物をスカウトするのか、そもそもそんな才能は存在するのか?
ともかく高校生の犯罪者について情報を集めよう。


B.『カムクライズル』【なし|1人|なし】

夢?で聞いた言葉、『カムクライズル』について調べる。
希望ヶ峰学園の創始者の名前だったはずだが……
図書館なら文献があるだろうか。


C.『故障中?シャワールームの調査』【なし|3人(男子1人、女子2人)|あと2日】

ビーチハウスにあるシャワールームは故障中で、まだ調べられていないようだ。
どうやらシャワーが壊れた訳ではないらしいが……
モノミ君に邪魔される前に数人がかりで手早く調査しよう。

今回はここまで。ありがとうございました
次回からヤシーンだけいつでも時間消費なしで出来るようにしたいと思います
更新は近日中に。

更新します、とちょっと変更点
サブイベントB.『カムクライズル』は選択可能人数を2人までにします

【3日目 昼】


無位君の頼みごとだが、後回しでも問題はないだろう。


さて、これからの予定はどうするか。


安価↓
1.コミュ(一人選択)
2.サブイベント(>>263から選択)
3.らぶらぶヤシーンに挑戦する(回数も記入)

らぶらぶヤシーンに挑戦しよう。


安価↓
何回挑戦しますか?

ポイントは貯めていても意味はない。
とりあえずできるだけ消化してしまおう。

                :
                :

10回ほど挑戦したところで準備中という字が表示された。
景品はもう出てこないようだ。

仕入れはモノミ君が担当しているのだろうが……仕方ない。
一度切り上げよう。

↓1~10のコンマでもらえるプレゼント決定(連投ありで)

自分でも

【INFO】
ハンドパワーグローブ
オカルトフォトフレーム
ペッチンバンド
破邪のピアス×2
菓子パン袋
神の砂の嵐の角
リリエンタールの翼
なまくら包丁
戦刃ナイフ

を手に入れました。


【3日目 昼】

物の良し悪しは僕には分からないが渡してみれば気に入る人もいるだろう。


まだ時間はある、何をするか。


安価↓
1.コミュ(一人選択)
2.サブイベント(>>263から選択)

《チャンドラービーチ》


砂浜では黒須君が一人で座っていた。
座禅を組んでいるらしい。

黒須「………………」

黒須「…………くっ! ふううぅぅぅ……」

佐山「………………」

黒須「はぁ……。おっと、佐山じゃないか」

佐山「失礼。邪魔になってしまったか」

黒須「いいや、そんな事はない……。今のは俺が集中できていなかった」

黒須「……このままでは駄目だ。くそッ!」

随分と気が立っているようだ。
悩み事でも……と言いかけたが、この状況では分かりきった事だろう。

……何か話題を振ってみようか?


話題安価↓
1.真犯人について
2.先日のモノクマの話について
3.生徒同士のまとまりについて
4.自由安価

選択 3


佐山「最近は全員で集まる機会がなかったが、黒須君は他の人たちについて把握しているだろうか」

黒須「……確かにそうだな。一度調査の報告会を行なうか」

黒須「だが……難しいな」

佐山「何がだね?」

黒須「ああいや、報告会はもちろん行うが。そういう名目でもなければ集合して話す機会を作れない、というのがな……」

佐山「………………」

以前は朝食時には多くの人がレストランに来ていたが……今は人もまばらだ。
事件の影響は言うまでもないが、真犯人が特定できていないのが一番の問題だろう。


黒須「……たとえ悪意ある人間がいたとして、目的を履き違えてしまっては元も子もない」

佐山「僕達の目的はこの島から脱出する方法を見つける事……」

黒須「そうだ。それには多人数の協力が不可欠、今の状況は決して良くはない!」

黒須「何か良い方法があればいいんだが……」

佐山「………………」


……確かに難しい。
こういう事は僕にとっても苦手分野らしい。


安価↓
誰か乱入させますか?
乱入させない場合はプレゼント名を記入、プレゼントもあげない場合はなしで

乱入 四水


四水「ちす」

話している所にダイバースーツを着た四水君が現れた。

黒須「あ、ああ。その恰好……泳ぐのか?」

四水「近くに別の島がないか見てくる」

黒須「調査か! そうか……是非頑張ってくれ!」

四水「……なんでそんな熱くなってんの」

佐山「色々と事情がある」

四水「ふーん」

話がなければ彼女はもう行ってしまうだろうが……何か声をかけるべきか。


安価↓
1.自分も応援する
2.全員が集まる案がないか聞く
3.自由安価

選択 2


佐山「その内に報告会を行なおうと相談していた。そこで全員で集まる機会が他にないかと話していたのだが……」

佐山「四水君には何かいい案がないかね」

四水「全員で集まる……ね」

四水「別にいいんじゃない、報告会だけで」

黒須「む……そうか? だがそれでは孤立してしまう者も……」

四水「距離感も大事って話。今の状況だとたまに報告会で集まるくらいがベターなんじゃないの」

佐山「……成程」

四水「あたし個人の考えだし、リーダーが決める事には従うけど」

黒須「ふむ……。わかった、意見は参考にしよう。感謝する!」

四水「じゃ、あたし行くから」

黒須「ああ。無理はしないように気を付けるんだぞ! 幸運を祈る!」

四水「……だから熱いって」


安価↓1&3で渡すプレゼント(渡さない場合はなしで)

あ、黒須四水の順です
安価とってたら↓

・黒須 破邪のピアス


佐山「黒須君、これを」

黒須「なんだこれは。ピアスか?」

佐山「それぞれ金と銀で出来ていて、幸運を呼ぶそうだ」

黒須「そうか。出来は良いんだろうが……ピアスはつけないんだ。親にもらった体を傷つけるなどとんでもない」

黒須「だがせっかくくれたものだしな。開運のお守り代わりにでもしておくか」

あまり気に入ってもらえなかったか。


・四水 戦刃ナイフ


佐山「これを受け取ってくれ」

四水「何。……ふーん」

佐山「………………」

四水「これから泳ぐからそこに置いといて」

佐山「ああ」

反応は普通……のようだ。


【INFO】
黒須の好感度が上がりました。
四水の好感度が上がりました。

【好感度イベント 黒須】


佐山「黒須君が入学を決めた理由を聞いてもいいかね」

黒須「そうだな。俺の場合は一流の人物に学ぶ事、これに尽きるだろう」

佐山「一流とは……弓道の?」

黒須「いいや。確かに俺は弓の道を極めたい!」

黒須「だがそれには技術よりも精神の鍛練が必要だと師匠がおっしゃった」

黒須「精神を鍛える為に座禅をやってみたりと色々試したのだが中々上手くいかなくてな……」

佐山「ふむ」

黒須「そこで弓道に限らず、何らかの道を極めた人間なら十全たる精神を備えているだろうと考えた」

黒須「弓道に集中する環境としては、切磋琢磨する仲間がいた前の高校の方が良かったのかもしれないが……」

黒須「希望ヶ峰の生徒は全員が超一流と言っていい。一緒に過ごす事で俺に足りない物が学べるかと思ってな」

佐山「なるほど。ところで……」

佐山「この生活から既に一週間以上は経っているが、何か得られただろうか」

黒須「……正直分からない。というより言動を見ていると不真面目さが際立つというか、本当に一流なのかと疑問に思う者も何人か……」

黒須「……いや駄目だ! こういうよく知りもしないのに他人を侮ってしまう事こそ俺の未熟たる所以なんだ!」

黒須「心を改めねば! 悪いが佐山、ここで失礼するぞ!」

佐山「……ああ。それでは」


黒須君は自分を向上させる為、各分野の天才達がいる環境に自ら飛び込んだ。
……僕は彼が目的とする一流の人間、それに値する才能を持っているのだろうか。

【INFO】
スキル『明鏡止水』を手に入れました。

『明鏡止水』……集中力を1消費。閃きアナグラムの最初の一文字を解放する。

今回はここまで。徐々にスキルが集まってきました

次回更新はできれば土日に。

更新します

【3日目 夜】


チャンドラービーチを後にした。
四水君は何か発見してくれるだろうか。


夜時間まで時間を潰すとしよう。


安価↓
1.コミュ(一人選択)
2.サブイベント(>>263から選択)
3.らぶらぶヤシーンに挑戦する(回数も記入、最大10回)

《ビーチハウス》


人気のないビーチハウス。
海水浴には遅い時間だろう。


ジーク「よーし……。モノミはいねえな」

佐山「ああ。無位君が足止めをしてくれている……らしい」

未々咲「ふむふむドアにはでっかく故障中って書いてあるけど……」

ジーク「なんか隠してやがるのは間違いねえ……。ゼッテー見つけてやる!」

赤羽「本当に良いのでしょうか。なんだか、少しだけ嫌な予感も……」

未々咲「よし、早速入っちゃおう!」

ドアノブに手をかけてもモノミ君の妨害は来ない。
ドアはそのまま開き、中へと入っていく。



【サブイベント 『故障中?シャワールームの調査』 開始】

ジーク「中は案外普通だな……」

ジーク君の言うとおり、いくつかのシャワーノズルとしきりが備え付けられている。
シャワールームで間違いない。

未々咲「うん。シャワーからは水もお湯もちゃんと出るよー」

赤羽「あら、では一体何が故障しているのでしょうか?」

佐山「変わった物はないか。一応壁や床も調べてみよう」


しかし、調査の甲斐はなく……


赤羽「発見はないようです……」

未々咲「なんかつまんないね。ホントにここになんかあるの?」

ジーク「ぐ……。けど確かにモノミはオレ達を邪魔して……」

未々咲「きっとジーククンの早とちりだったんだよ。ほら、そそっかしいってお母さんからもよく言われるでしょ?」

ジーク「お前にオレの何がわかる!」

佐山「……ともかくこれ以上続けても進展はなさそうだ。一度出直そう」

赤羽「そうしましょうか。夜更かしはいけませんわ」

ガチャ……


佐山「む……」

赤羽「どうかなさいましたか?」

佐山「……開かない」

ジーク「あん?」

佐山「ドアが開かない」

未々咲「ウッソだー。貸してみて」

同じように試すが、ドアノブが空回るだけで開く気配がない。

未々咲「あり?」

ジーク「ホントに開かねえのか!? どうなってやがる!」

赤羽「……ああ! 故障中とはきっと、シャワーの事ではなくドアの事だったのではないでしょうか?」

ジーク「…………。詳しく言えよ、アイツよぉ!」

未々咲「えー! どうすんの? 出られないよ、てかもう夜だよ!」

佐山「落ち着きたまえ。他に出口は……」

部屋を見回すと、小窓を発見した。
大きさ的には充分通れそうだ。

未々咲「あそこから出られそう!」

ジーク「つっても高いぞ……。足場になりそうなもんもねえし」

未々咲「うーん……。あ! 二人くらいで協力すればなんとかならないかな?」

赤羽「協力、ですか?」

未々咲「うん。二人で肩車とかすれば届きそうだよ!」

……そうだろうか。届く高さには思えないような……



安価↓2
佐山、ジーク、未々咲、赤羽から二人選択


………………。


未々咲「頑張って、優仁ちゃん、佐山クン!」

赤羽「はい。頑張ります」

なぜこうなった。

ジーク「オ、オレはギターやるし指やっちまったらアウトだから」

未々咲「私はスカート短いし、背も優仁ちゃんの方が高いし!」

赤羽「では失礼しますね、佐山様」

佐山「……ああ」

しゃがんだ僕の肩に彼女の足がまたがる。
そのまま立ち上がると思ったより力を入れずに持ち上げる事ができた。

赤羽「きゃっ」

佐山「大丈夫かね?」

赤羽「ええ。急に立ち上がったのでびっくりしただけです」

佐山「それはすまない」

赤羽「くすっ。いえいえ」

未々咲「むむ……」

未々咲「佐山クンやらしー顔してない? パンツ覗こうとか思ったらダメだよ!」

赤羽「まあ、パンツ」

していないし思っていない。

……首の後ろに感じる柔らかい感触は意識しないでおこう。


佐山「赤羽君、届きそうか?」

赤羽「いえ……。必死に腕を伸ばしているのですが、まったく……」

未々咲「佐山クンそこでジャンプ! 最高点で優仁ちゃんもジャンプで届くはず!」

物理法則を考えてくれ。

赤羽「難しいですわ……」

未々咲「うーん、ダメか……」

ジーク「やっぱ届かねえじゃねえか! どうすんだよ!!」



 「…………ん?」

 「おい。中に誰かいるのか?」


窓の外から誰かが声をかけてきた。

ジーク「その声は……神風か!?」

神風「ああ。そっちは誰だ?」

ジーク「ジークだ。やったぜ、丁度いいところに……」

神風「ジーク……。誰だ……?」

ジーク「覚えてねえのかよ! もう一週間は過ごしてるだろ! 才能がロッカー!」

神風「ロッカー……ああ、寺井か」

ジーク「そっちで覚えんな! 実は全部覚えてるだろお前!」

佐山「……ジーク君。そろそろ本題を」

ジーク「くっ……。ちょっとビーチハウスに入ってシャワールームのドアを見てくれ!」

神風「ドア?」

未々咲「こっちからじゃ開かないんだ! なんかつっかかってるのかも!」

神風「ふーん。よくわからないけど、わかった」

ジーク「…………。大丈夫かアイツ……」

神風君に頼むと、すぐにドアが開いた。

未々咲「あっ、開いた! よかったー!」

赤羽「神風様に来ていただき本当によかったですわ」

ジーク「フー……。一時はどうなるかと思ったぜ……」

神風「何やってんだお前ら?」

佐山「この部屋を調査して切り上げるところだったのだが。先程も言った通りドアが開かなくなった」

未々咲「結局、何がつっかかってたの?」

神風「いや何もなかった。ドアは普通に開いたぞ」

ジーク「ああ? でも確かにオレ達が開けようとしても空回ったんだが……」

赤羽「もしかすると中からは扉が開かない……だから故障中、なのかもしれません」

佐山「それでモノミ君はあそこまで必死に引き留めていたのだね」

ジーク「だから説明しろよクソが……」

未々咲「もうタイヘンだったー。ドアは開かないし窓には届かないし……」

神風「窓ってあれか。……届くんじゃないか?」

佐山「何?」

突然、シャワールームの壁に向かって急加速する神風君。
その勢いのまま跳び上がり、壁を蹴って速度を上方向に変換する。
そしてその最高到達点で腕を伸ばし……窓の枠をつかんだ。

神風「うん。届く届く」

未々咲「すっごーい! 何今の!?」

赤羽「まあ。素晴らしい身体能力ですね」

ジーク「マジか。あれ届くのかよ!」

佐山「神風君、窓の辺りを調べられるか?」

ジーク「お前冷静だな……」

神風「ああ、調べられるぞ。窓だ」

佐山「……窓は開くのかね。鍵などは?」

神風「鍵はない。普通に開く」

窓につかまっている神風君を見比べても、やはり人が通れる大きさはあるようだ。
ただし窓の高さは協力しても届くか難しい……
一人なら、神風君並みの身体能力と体格を持ち合わせてようやくか。


今日はこのまま解散となった。
シャワールームの謎は解けたが、結局脱出の糸口にはならないままだ。

【INFO】
ジークの好感度が上がりました。
赤羽の好感度が上がりました。
未々咲の好感度が上がりました。

【好感度イベント ジーク】


佐山「ジーク君はどうして希望ヶ峰学園に?」

ジーク「へっ。売名に決まってんだろ!」

いっそ清々しい回答だ。

ジーク「オレはな、希望ヶ峰を利用して伝説を作ってやるんだよ。古今東西、数々のロックミュージシャンがいたが……」

ジーク「希望ヶ峰学園に入って即中退するイカれ野郎なんてオレが初めてになるだろうな」

佐山「中退? 学園をやめるつもりなのかね」

ジーク「おうよ。卒業すれば人生の成功が約束されるなんて噂まで立ってる学園……」

ジーク「辞めればその理由についてインタビューが来るだろうが、こう言ってやるのさ」

佐山「ふむ?」

ジーク「『つまんねー場所だった。約束された成功? そんなもんオレには必要ねえ、犬にでも食わせとけ!』ってな」

ジーク「くっくっく……。最高にロックだろ!?」

佐山「……かもしれない」

ジーク「つっても今の状況じゃあな。あー、早くこんなトコからおさらばしてえ……」


希望ヶ峰学園の知名度、それを利用する為に入学する。
目的としてはハッキリとしている……なるほど。

【INFO】
スキル『ロックシャウト』を手に入れました。

『ロックシャウト』……一喝の際、多少のミスではダメージを受けなくなる。

【3日目 終了】

・リザルト
【現在の好感度】
黒須 灰矢 ……29
ZEKE    ……29
早家町 杜々 ……26
赤羽 優仁 ……25
十中井 蛇山 ……17
直木 重吾 ……17[DEAD]
四水 眞寄 ……17
無位 流一 ……16
川澄 美空 ……15
児玉 和音 ……15[DEAD]
神風 今日介 ……13
未々咲 愛 ……12
六波羅 恵 ……12
クロワ・グラトン ……11
都村 美弥子 ……5


【アイテム・プレゼント】
ハンドパワーグローブ
オカルトフォトフレーム
ペッチンバンド
破邪のピアス
菓子パン袋
神の砂の嵐の角
リリエンタールの翼
なまくら包丁

【らーぶらーぶポイント……64てん】

【4日目 朝】


昨晩は災難だった。
何も無い事がわかっただけ、全くの無駄ではないが。

とりあえず外に出よう。


                :
                :


外に出てホテルの方に向かうと異変が目に飛び込んできた。
旧館が工事に使用するシートに覆われており、入り口が黄と黒のフェンスで覆われている。

佐山「これは一体……」

モノクマ「どうもご迷惑をおかけしております、工事中でーす」

常日頃から迷惑しかかけられていないが。

佐山「……工事?」

モノクマ「なんてったって旧館だからね。古いモノは使えるモノに改装しないと」

モノクマ「オマエラにとっても有益で有害な施設にするつもりだから、楽しみにしててねー!」

佐山「今有害と言ったか?」

モノクマ「おっと。うぷぷぷぷ……」

佐山「………………」

何を建てるつもりかは知らないが、一波乱ありそうだ。
覚悟しておこう。

【4日目 朝】


モノクマの事は気にしていても仕方がない。
朝食に向かおう。


安価↓
1.レストランに行く
(生徒を一人選択、乱入あり)
2.マーケットに向かう
(生徒を一人選択、コンマ50以上で遭遇、乱入なし。買い物も可)

選択 1 都村


都村『………………』

レストランでは珍しく都村君がいた。といっても朝食をとっている様子でもない。

佐山「どうかしたのかね都村君」

都村『……おや佐山隊員。気づきませんでした!』

佐山「朝食は?」

都村『既にコテージで済ましました。あな抜かりなしっ!』

となると何故ここにいるのかが疑問になるが……

都村『外に出ると異常事態の旧館を発見、その後モノクマから事情を聴取、後は流れでレストランに辿りつきました!』

つまりここにいるのはなんとなくか。

都村『…………はあ』

露骨に元気がない。気になる事でもあるのだろうか。


安価↓1
1.真犯人の事で不安なのか
2.先日のモノクマの話が気になるのか
3.何か不満があるのか
4.自由安価

今回はここまでで。ありがとうございました
次回更新は未定、今日できれば少しだけやると思います

安価なら↓

21時頃から更新します

選択 1


佐山「元気がないようだが、真犯人の事が気がかりかね」

都村『はい? 真犯人? ああ……』

都村『真犯人め……今度こそはっ! 私の必殺技で! にっくき悪を倒すのでありますー!』

一言ごとにアクションをはさみながら返される。
反応を見るに悩みの種とは違ったらしい。

彼女は腕を十字に構え……

都村『必殺、スペシウン光線! ズビビビーッ!』

本当に光が走りそうなほど完成度の高い決めポーズだが、もちろん現実には何も起こっていない。

佐山「一応聞くが、そのスペシウン光線というのは」

都村『ふっふっふ。ウルトランの必殺技の代表ですよ!』

都村『ウルトランの母星原産の病原菌を怪獣にぶつけて衰弱させるのであります!』

ウルトランは手段を選ばないヒーローのようだ。


安価↓
誰か乱入させますか?
乱入させない場合は>>313からプレゼントを記入、プレゼントもあげない場合はなしで

乱入 神風


神風「よう。佐山と……都村、だっけか」

佐山「おはよう」

都村『神風隊員。グッドモーニング!』

神風「朝からうるせえなあ……。眠いんだから勘弁してくれよ……」

都村『これはこれは! 失敬!』

神風「ぐうううう……」

佐山「都村君、もう少し音量を控えた方がいい」

耳を抑えて後ずさる神風君。
どうやら前回のパーティーの件で苦手意識を持ったらしい。

神風「もうそのメットはずしてくれよ……」

都村『それは! できません!』

この前もメットをはずすのをかたくなに拒んでいたが……


安価↓
1.何故ヘルメットをはずさないのか聞く
2.神風に賛成してヘルメットをはずすように言う
3.自由安価

選択 1


佐山「どうしてそこまでヘルメットに執着しているのかね。何か理由でも?」

都村『……このメットは、私の対人専用装備ですから!』

都村『これを装着する事によって私のコミュ力は12.5倍にまで引き上げられるのであります!』

佐山「つまり、それを着けていないと人と話すのが不安だと」

都村『平たく言うと……あな正解っ!』

都村『目を見て話せない、どもる、声がかすれる等、コミュ症三大症状が遺憾なく発揮されると言っていいでしょう!』

そんな三大は初めて聞いたが。

神風「オレも人づきあい得意じゃないけどさ。もっと声を小さくできるようにした方がいいと思うけどな……」

都村『なるほど、ボリューム調整機能……参考にするであります! 意見感謝っ!』

神風「ぐうううう……」

……ともかく音量は調整できないらしい。


>>313から↓1で都村、↓3で神風に渡すプレゼント(渡さない場合はなしで)

・神風 ハンドパワーグローブ


神風「なんだこれ? はめて戦うのか?」

佐山「手袋型のゲームコントローラーらしい。独特の操作感から根強いファンもいるとか」

神風「オレゲームやった事ないんだ。いらねえな」

一蹴された。


【INFO】
都村の好感度が上がりました。
神風の好感度が上がりました。

【4日目 昼】


メモを確認しておこう。

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・サブイベント (『イベント名』【登場人物|選択可能人数|期限】)


A.『超高校級の罪人』【なし|1人|なし】

夢?で聞いた言葉、『超高校級の罪人』について調べる。
罪人の才能……希望ヶ峰がそんな人物をスカウトするのか、そもそもそんな才能は存在するのか?
ともかく高校生の犯罪者について情報を集めよう。


B.『カムクライズル』【なし|2人|なし】

夢?で聞いた言葉、『カムクライズル』について調べる。
希望ヶ峰学園の創始者の名前だったはずだが……
図書館なら文献があるだろうか。

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モノクマが不穏な動きを見せているが……

今は自分の出来る事に努めよう。


安価↓
1.コミュ(一人選択)
2.サブイベント(上から選択)
3.らぶらぶヤシーンに挑戦する(回数も記入、最大10回)

《図書館》


カムクライズル……神座出流。
希望ヶ峰学園の創始者。

あの時見た夢の中で確かにその名前を聞いた。


どういう形かはわからないが、カムクライズルは失った記憶に関係しているはず。
調べる価値はある。


そんな訳で図書館に来たのだが、どうやら先客がいるようだ。


【サブイベント 『カムクライズル』 開始】

中に入ると早家町君が静かに読書をしていた。
読んでいる本は分厚いもので、机の上には同じような本が積まれている。
やはり薬学関連の書物だろうか。

早家町「…………。!」

こちらの存在に気づいたようだ。無言で会釈を交わす。
図書館内では静かにするのがマナーだ。

未々咲「おっ! 佐山クンじゃーん! 早家町クンもはっけーん!」

佐山「………………」

後から入って来た未々咲君の声がよく響く。
早家町君がため息をついているのが見えた。

未々咲「ねえねえ、二人とも何読んでるの? おすすめとかある?」

早家町「ボクのは医学論文だけど……。たぶん未々咲さんが見ても分かんないよ」

未々咲「なめないでよね。これでも中学校の頃は保健の成績5だったもん」

早家町「全部英語で書かれてるんだけど」

未々咲「英語は3だから読めないに決まってるじゃん! バカにしてるの!?」

早家町「ええ……」

未々咲「佐山クンは?」

佐山「僕はさっき来たばかりだが……。カムクライズルについて調べるつもりだ」

未々咲「カムクライズル?」

佐山「希望ヶ峰学園の創始者だよ。といってもそれくらいの知識しかないからここに来た」

早家町「希望ヶ峰学園か……。ここ、洋書ばっかりだけど和書はあるのかな」

未々咲「じゃあ私も探すの手伝ってあげる。希望ヶ峰とかその……カムクラさん?の名前の本を探せばいいんだよね」

未々咲「大書架の方ならあるかも」

大書架……
図書館の奥にある空間か。

図書館の奥には部屋の三方を書架に囲まれた空間がある。
その高さは天井のシャンデリアに並ぶ程。
まさに見渡す限り本、という訳だ。

高い場所の本を取るためにはしごが置いてあるが、それでも書架の上部には届かない。
ではどうするのかというと……

未々咲「知ってた? このゴンドラで上まで行くんだよ」

佐山「存在は知っていたが、利用するのは初めてだ」

書架にはゴンドラが一台用意されている。
天井までワイヤーロープで繋がっており、これに乗って上部まで行く事ができる。

未々咲「えっとね、ここのパネルに場所が表示されてるから行きたい所を押すと連れてってくれるんだ」

未々咲君とともに搭乗し説明を受ける。
どうやらゴンドラに備え付けられているパネルで操作するようだ。
場所を指定すると、ゴンドラは壁面を沿うようにしてゆっくりと移動する。

未々咲「わー高ーい! シャンデリアが近い!」

まるで遊園地のアトラクションに乗ったかのようなテンションではしゃぐ未々咲君。
……重ねるが、図書館内では静かにするのがマナーだ。


ともかくカムクライズルに関連する書物を探そう。


                :
                :

カムクライズルに関する書物はあっさり見つかった。
日本語で書かれた伝記が見つかったのだ。
また海外でもその名は有名らしく関連するエピソードを記したものをいくつか見つけた。
それらを要約すると次のようになる。

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神座出流。希望ヶ峰学園の創始者。
才能に希望を見出し、そして自身も才能に愛された男。
絵画、彫刻、建築、音楽、科学、数学、工学、発明、医学、薬学、地学、生物学……
あらゆる分野で実績を残し、レオナルドダヴィンチの以来の万能人と呼ばれる。

その傑出した能力が形として残されている物はほんの一部であると考えられており、
一説では彼の頭脳は当時の数世代先を進んでいたという。

晩年、希望ヶ峰学園を設立した後に突如行方不明になったという。
それからの足取りは一切不明、そして死体も見つかっていない──

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早家町「本当にこんな人がいたのかってくらい、凄まじいね……」

未々咲「ガラケーのない時代に現代のスマホに似てる設計図を作ってたんだって! 話盛ってないこれ?」

佐山「確かにいくつかの話は著者の推測も含まれているようだ」

佐山「だが実績を見る限り、彼は時代を大きく先取った天才だった事は疑いようがないと思う」

未々咲「死体が見つかってないんだって。これまだ生きてるパターンじゃない?」

早家町「パターンって……。いやないでしょ」

早家町「希望ヶ峰設立時にはもうお爺さんって事は今生きてたら130、140?」

佐山「流石に寿命は尽きているだろうね」

未々咲「まあそっか。そういえば、佐山クンはなんでこの人の事を知りたかったの?」

佐山「何か記憶の手掛かりになればと思ったのだが……」

今の所、頭に引っかかるものはない。
それとも気づいていないだけなのか?

何かが関係しているはずなんだ……何かが──


安価↓
早家町か未々咲を選択

……ダメだ。
何も浮かばない。

佐山「……早家町君は何か気づいた事や気になる事は」

早家町「えっ、気づいた事? なんだろう……」

早家町「なんで希望ヶ峰学園を立ち上げてすぐに消えたんだろうとか……そのくらいかな」

佐山「そうか」

未々咲「きっと悩みとかあったのかもねー。うんうん」

早家町「なんで未々咲さんがわかった風に言ってるの……」

未々咲「じゃあ私そろそろ……あ。あそこに見えるの美空ちゃんだ」

見ると窓の位置がちょうど良く、橋を渡ってくる川澄君の姿がよく見える。

未々咲「もう行くね。バイバーイ」

佐山「ああ、手伝ってくれてありがとう。早家町君も感謝する」

早家町「いやボクは片手間だったから。…………」

早家町「……こうやって調べていけば、いつか記憶も戻るんじゃないかな」

佐山「……どうしてだね。根拠は?」

予想外の言葉に思わず声が低くなってしまった。

早家町「あっ、ゴメン! なんていうか、佐山くんがちょっと落ち込んでるように見えたからつい!」

早家町「無責任な事言ってゴメン、あの、ボクもなるべく手伝うから!」

別に怒った訳ではないのだが。
先日の件で怖がらせてしまったのかもしれない。

佐山「ああ。その時は頼むとしよう。君が力になってくれればありがたい」

早家町「う、うん……。任せて」


怯えたような、だがはっきりとしたその返答は僕にとって心強いものだった。


【INFO】
早家町の好感度が上がりました。
未々咲の好感度が上がりました。

【4日目 夜 イベント】


黒須君の提案によりレストランで報告会が行われた。
明るい報告はないが、全員が顔を合わせる事もこの会の目的だ。

黒須「今のところ脱出に繋がる手掛かりはないようだな……」

六波羅「2番目の島の調査も手詰まりですね……」

黒須「ううむ、どうしたものか……」

モノクマ「あ、ボクから報告があるんですけど」

早家町「……えっ!? モノクマ?」

ジーク「しれっと入ってくんじゃねー……!」

黒須「失せろッ! どうせまたロクでも無い事だろう!」

モノクマ「あらら。そんな事言っちゃっていいの? オマエラにとって救済処置になるかもしれないのに」

六波羅「救済処置……ですか?」

川澄「ゼンゼン信頼できへん……」

モノクマ「ま、ま。すぐ済むんでちょっと外まで来てくださいよ!」

《元旧館 前》


モノクマに連れられてきたのは、事件が起こった旧館──があったはずの場所。
だがそこには……

四水「……何これ」

モノクマ「ジャジャーン! 新装開店『モノクマの館』でーす!!」

モノクマ「どう? どう? モダンな出来栄えでしょ!」

旧館の代わりに建っていたのは白と黒で塗装された館。
見ているだけでモノクマを連想する。

川澄「趣味わっる!」

未々咲「ホテルに来るたびこれが目に映るの? ヤダなー」

モノクマ「現代っ子にはこのセンスが分からないのね。しょぼーん……」

モノミ「きゅ、旧館がこんな姿に!? なんてことしてくれるんでちゅかー!」

一足遅れてモノミ君も登場した。

モノクマ「ふんだ。オマエの見た目よりずっとマシだよ!」

モノミ「あちしのもあんたのデザインでしょーが!」

無位「兄妹漫才も結構だけどさぁ。『救済処置』ってのを説明してくれよ」

モノミ「だから妹じゃありまちぇん……」

モノクマ「はいはい。モノクマの館の中は簡単なつくりで、廊下を渡った先に部屋があるだけなんだけど……」

モノクマ「その部屋でオマエラは、一人につき一回だけボクに質問ができるんだ」

未々咲「モノクマに質問? なんでもいいの?」

モノクマ「ボクはその質問に対して必ず正直に答える。オマエラが気になってる事、その疑問を解決しちゃおうってワケ」

モノクマ「オマエラ最近、個人的に気になってる事あるんじゃない?」

佐山「………………」


疑問に対して必ず正確な答えがもらえる……
本当なら確かにこれは救済処置だ。

……僕の素性、そして才能に関して、真実が──




モノクマ「たーだーし」

モノクマ「質問をした生徒の『致命的な真実』が、他の誰かに知らされてしまうのでご注意を!」


クロワ「『致命的な真実』だと?」

十中井「……不穏な響き、だが」

モノクマ「何の代償もナシで得られるものなんて無いってコトだよ」

早家町「致命的って……。え、て事は代償って!」

クロワ「……つまりこれが次の動機というワケか」

川澄「へ? 動機?」

クロワ「誰かが質問をした場合、モノクマは事件を誘発しかねない情報を流す」

クロワ「本当に全員分、そんなモノを用意しているかはアヤシイが」

モノクマ「……うぷぷ。モノクマの館は24時間いつでも開いてるから来てね」

モノクマ「ルールは入り口の扉にも書いてあるから要確認だよ!」


それだけ言うとモノクマは館の中へと消えて行った。

モノミ「モノクマのヤツ……! ミナサン、あんなヤツの言う事なんか真に受けちゃ……」

六波羅「どうしましょうか。質問できる回数は人数分、つまり14回ですが……」

佐山「内容は慎重に考えよう」

モノミ「あれれー!? ダメでちゅよー!」

川澄「せやかてモノミはなんも教えてくれへんやん!」

ジーク「黙ってるウサギより喋るクマだ! お前はお呼びじゃねえ!」

モノミ「ううっ! そこをつかれると……。ううう……」

とぼとぼと帰って行くモノミ君。
同情するように視線を送っている人も何人かいるが、話し合いを続ける。

モノクマの館の入り口の扉にある張り紙にはルールと称して以下の事が書かれていた。


━━【ルール】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

・各生徒一人一回だけ質問する事ができます。
 その質問に対して必ず真実を答えます。

・質問をした場合、その生徒の『致命的な真実』が
 他の誰か一人に秘密裏に暴露されます。

・プライバシー保護の為、モノクマの館を利用できるのは一度に一人までです。
 他の人と一緒に館に入る事は禁止されています、ご注意を。

・質問内容によっては答えられない場合があります。
 その時は質問回数には含まれず暴露も行われないのでご安心ください。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

六波羅「最後の記述がなんとも怪しいですね……」

ジーク「モノクマもなんか企んでるんだろうがこの機会に利用してやる!」

黒須「上手くいけば脱出の手掛かりを引き出せるかもしれんな……」

早家町「ホ、ホントに聞くの? 個人的には致命的な真実っていうのが気になるっていうかすごく不安なんだけど……」

佐山「さっきクロワ君も言っていたが事件を誘発しうる情報……」

佐山「つまり知られてしまえば誰かに殺意を抱かせるような秘密という事だろう」

しかもモノクマの口ぶりからすると、全員がそのような秘密を持っている事になる……


無位「秘密一つで事件が起きるって、そこまで恨み買うか普通?」

無位「あっ……俺の憎まれ口は半分冗談だからな、勘違いしないでくれよ?」

ジーク「何のアピールだよ……」

未々咲「うーん、私もそんなのないけどなあ。皆と会ったのだってこの島に来てからだし」

六波羅「……ミッシングリンク。ボク達には同じ新入生である事以外に隠された繋がりがあるのかもしれません」

六波羅「記憶を操作されている以上、何が関係するかは分からないと思います」

十中井「……モノクマにとっちゃあそれが、採算に見合う俺達へのリスクって事か」

佐山「………………」


モノクマから仕掛けてきた以上、危険性は高い。
しかし疑問を解決できるまたとない機会だ。

僕は……


安価↓2
1.この機会を逃す訳にはいかない
2.利用するのは避けた方がいい

すいません今回はここまでで
次回更新はできれば明日の夜に。

更新します

佐山「……利用するのは避けた方がいい」


真実を知りたい……誰しもがそう思う。
これはそんな希望を餌にした罠だ。

だがそれ以上にこの館には、入ってしまえばそのまま飲み込まれるような……
底の知れない悪意を感じる。


クロワ「なんだ。ズイブンと憶しているじゃないか」

六波羅「ボクも佐山君に賛成です。これが動機だとすればリスクが大きすぎます」

川澄「せやけどなんでも聞けるって。もし答えられへんかったらその動機も知られへんみたいやし……」

早家町「事件が起こるリスクを踏まえても聞くべき質問ってあるのかなあ……」

十中井「……この前の、毒事件の真犯人。聞けるんじゃねえか」

早家町「あ……」

黒須「なるほど! 確かにそれが分かれば……」

十中井「……致命的ってのがどれ程かは知らねえが、今の危険要素を取り除けるなら、元は取れるだろ……」

川澄「それや! ええ事言うやんヤク……トナカイ!」

十中井「………………」

六波羅「犯人ですか。聞ければ大きいですが……」

未々咲「……こういうのあんまり、良くないと思うけどなあ」

佐山「未々咲君?」

ジーク「ハア? なんでだよ」

未々咲「だって犯人って皆の中にいるじゃない? なんかその子を追い詰めるみたいで……」

未々咲「それでカズちゃんみたいな事になるのは可哀想だし、もう嫌だよ……」

四水「児玉は冤罪だったけどそいつに同情の余地はないでしょ」

ジーク「そもそも児玉が疑われたのはそいつのせいだろ。言ってる事おかしいぞお前!」

未々咲「でももしかしたらこの前の裁判でさ。皆が疑い合うのとか、直木クンの最期を見て……」

未々咲「もう事件を起こそうなんて、思わなくなったかも……」

四水「楽観的すぎ」

川澄「それで改心するんやったら警察いらんって……」

未々咲「うーん。やっぱりそうかな……」

佐山「………………」

未々咲君の言っている事は理解できる。
追い詰められた犯人が凶行に走る可能性、犯人だと特定された事で別の人が事件を誘発する可能性……
加えて犯人がわかったとしても脱出の手掛かりにはならない。

ただ、未々咲君の考えは犯人の善意を前提としている。
犯人はもう事件を起こそうとはしないのではないか。彼女はそんな希望を持っている。

だが……


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クロワ「あの時全員分のアイスティーを調べたが……どれも同じ毒が入っていた」

クロワ「殺していいのは二人まで。ルールにはそう定められている」

クロワ「それでもわざわざ全部に毒を入れるのは……ルールも確認しない馬鹿か、狂人だけだ」

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……その希望が叶うとは思えない。

赤羽「おっしゃっている事、わたくしはよく分かりましたよ。未々咲様はお優しいのです」

未々咲「ホント?」

赤羽「ただ……。その方が皆様の不安を生んでいるのも確かです」

赤羽「ちゃんと話し合って改心していただくためにも、必要な事だと思います」

クロワ「……シミズが言うとおりハンニンには気をかける価値などない」

クロワ「先手をとって事件を起こそうとしたヤツだ。それに……」

クロワ「何よりこのワタシを殺そうとした。それだけで万死に値する!」

赤羽「まあ。そこまで手厳しいのもいかがとは思うのですが……」

黒須「ともかく犯人の事を質問するべきだな。分かった後の処遇についてはまた話し合おう」

無位「けど誰が聞きに行くんだよ。致命的な真実ってのがバラされる訳だけど」

川澄「それな……。ほんじゃここは立候補で! っておるワケないか」

無位「ここは先人の知恵に従って言いだしっぺの法則といこうぜ。確か最初に犯人聞くって言ったのは……」

十中井「……俺だが」

無位「………………」

十中井「俺に、行けって、言ってんのか……」

無位「……いやジャンケンの方が歴史が古いか。そうしようそうしようすんません」

早家町「決まらなそうだねこれ……」


結局誰かが質問しに行く流れになってしまったか。
記憶が何一つ無い身としては致命的な真実とやらも教えて欲しいくらいだが……

……あの館は危険だと、直感はそう言っている。

クロワ「フッ。それなら丁度いい実験台がいる。おい、オマエだ」

クロワ君が指した先には……


神風「……ん。えっ?」

神風「あの……オレ?」

クロワ「オマエには貸しがあっただろう。今ここで返してもらう」

都村「かし? お菓子ですかっ! ……とあな定番のギャグを!」

神風「あったっけ……」

佐山「おそらくこの前の事件の捜査の時の事だろう」


旧館の捜査中、僕達は神風君に襲撃され……

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佐山「……とりあえずあらためて謝ってはどうか」

神風「ええと、すっ転ばしたのは悪かったよ。なんでもするから許してくれ」

クロワ「……フン! 日本人は都合が悪くなるとスグに出来もしない事を言う」

クロワ「今は捜査時間が惜しい。だがそのコトバは覚えておけよ」

神風「………………」

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神風「あ」

未々咲「捜査中に何かあったの?」

神風「ああ。大広間にいた時なんだけど、オレ間違えてアイツをすっこ……」

クロワ君の強烈な視線が飛んだ。
……一瞬こちらをも睨んでいたのは気のせいではないだろう。

神風「えっと、まあ。色々あったんだよ、うん」

クロワ「……フン。わかったならさっさと行け」

黒須「いや待て。神風はいいのかそれで? 秘密を知られる危険があるんだぞ」

神風「うーん……? まあ大丈夫だろ。それより借り作りっぱなしの方がマズイ」

川澄「へー。以外に律儀なんや」

神風「だって。いちいち誰に借りがあるとか覚えてんのメンドくせえし……」

川澄「そういう理由かい!」

神風「ともかく、誰が毒を入れたか聞いてくりゃいーんだな」

六波羅「一週間程前に旧館でアイスティーに毒を入れた犯人です。ちゃんと聞かないと正確な答えがもらえないかもしれません」

クロワ「待て。本当に質問したかどうか証明できるものが必要だ」

クロワ「実はコイツが犯人で、質問をせずに出てきて別の者を告発する事も考えられる」

神風「ああ、なるほど……。いやそんなメンドくさい事やるわけねえだろ」

ジーク「なんで今なるほどつったオイ……」

赤羽「では証人として誰かに付き添っていただくのはどうでしょう」

六波羅「ルールによると入れるのは一人だけなので、その手は使えませんね」

クロワ「方法ならある。ミミサキ、オマエのレコーダーを貸せ」

黒須「なるほど。その手があったか」

未々咲「えええ? ちょっとヤダなあ……」

そう言いつつも、彼女はポケットから例のレコーダーを取り出して神風君に使い方を教える。

前の裁判でもあの録音記録が事件の鍵になった。
あの記録によって事件は解決したような、混乱を極めたような……
とにかくあまりいい思い出はない。

神風「よしわかった。これ使いながら質問すりゃいいんだな」

未々咲「絶対に壊さないでね!」

黒須「質問内容は覚えているか? ちゃんと聞くんだぞ!」

神風「ん」

簡素な返事を返すと、彼は館の中へと消えて行った。

……おそらくだが、神風君が聞くことに不安を感じるのは全員同じだろう。


安価↓
待っている間、話す生徒を選択(神風以外)

選択 ジーク


ジーク「大丈夫かよあいつ……」

佐山「今はただ信じて待つしかない」

ジーク「ちゃんと聞いてくれれば危険人物が分かるんだからちゃんとして欲しいぜまったく……」

佐山「犯人……か」

僕達がこの質問をする事を想定していないとは思えないが……
そこが気がかりだ。


ジーク君に何か聞いてみよう。

話題安価↓
1.致命的な真実について心当たりはあるか
2.質問してみたい事について
3.自由安価

選択 1


佐山「自分の致命的な真実について何か心当たりは?」

ジーク「ねえよそんなもん。そりゃオレは有名だから恨まれる事はあるだろうが」

ジーク「殺されるほどの恨みを買った覚えは別に……てかお前ら別に恨んでねえよな!?」

佐山「……少なくとも僕はないが」

ジーク「フー……。そりゃそうだ。ていうかオレ達今の記憶だと会ったばかりだろ」

ジーク「秘密を知ってそれが動機になるっつーのは無理があんじゃねえのか?」

佐山「ふむ……」

彼の言う事にも一理あるが……
モノクマがわざわざ用意した罠だ。何も無いとは思えない。

ジーク「つーか早くしろよ神風……。聞くだけだろ、まだかかってんのか?」

ともかく神風君が質問すれば彼の真実が暴露される。
それがどうなるか……


【INFO】
ジークの好感度が上がりました。

未々咲「あ! 出てきたよ」

神風君が戻ってきた。
その表情に特に変わりはない。

黒須「結果はどうだった? 犯人がわかったのか!」

神風「えっと。まあ……」

クロワ「録音を再生しろ。……まさかとは思うが忘れてはいないだろうな」

神風「やったよちゃんと……」

ともかく全員で会話を確認する事にした。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


神風「……し。これで電源ついたはず。じゃあ質問するぞ」

モノクマ「どうぞ。なんでも聞いてください」

神風「えっと。この前事件あったじゃんか。旧館で」

モノクマ「児玉さんが殺されたやつ?」

神風「そう……じゃない。あの、あれ、毒のやつ」

モノクマ「ああ。アイスティーに毒が入ってた事件ね。児玉さんが疑われちゃった事件ね」

神風「そうそれだ! その犯人の事教えてくれよ」

神風「アイスティーに毒を入れたのは誰なんだ?」

モノクマ「……質問はそれでよろしいんですね?」

神風「ああ」

モノクマ「ではお答えしましょう。毒を入れたのは……」




モノクマ「超高校級の、罪人」


神風「はあ」

モノクマ「はい回答終了~。お悩みは解決したかな」

神風「え? ちょっと待てよ。誰なんだそいつ」

モノクマ「だから超高校級の罪人ですよ。そいつがアイスティーに毒を入れたの」

モノクマ「ボクはちゃーんと真実を答えてるよ。犯人の名前を教えろって言われたワケじゃないし」

神風「……ええ?」

モノクマ「だって考えてみてよ。もし事件が起こっても、この館に来て犯人の名前を聞けるってなったら」

モノクマ「誰も事件なんか起こさないっしょ? だから名前が答えになるような質問には基本的に答えません」

神風「なんだそれ……」

モノクマ「ではではご退場ください。神風クンの致命的な真実については今はもう夜だから……」

モノクマ「明日の朝までには誰かに知らせるからねー!」

神風「……マジか」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


………………。


……これは本当なのか?

クロワ「……なんだ、これは……!」

神風「その。オレはちゃんと聞いた、つもりなんだけど」

ジーク「マジか、じゃねーよ!」

川澄「なんやねん、超高校級のザイニンって!」

黒須「結局、何一つ肝心な事が分からないではないかッ!」

神風「だから絶対怒られると思ったんだよ……。ゴメン……」

六波羅「はあ……これで分かりましたね。モノクマは質問に対して真実ならどんな答え方でもできる」

六波羅「こういう悪意を持った答え方も。これだけでも収穫……と言えるんでしょうか」

早家町「ええ……。じゃあ質問しても意味ないって事?」

佐山「……おそらくだが質問にもよると思う。たとえば答えがイエスノーの二択しかない質問ならモノクマは正解を答えざるを得ない」

佐山「それか僕達全体に有益にならない事……脱出や犯人特定に関係ない個人的な事なら正確に答える可能性はある」

赤羽「はあ、なるほど……」

クロワ「……もういい。キサマに行かせたワタシがオロカだった」

十中井「……おい、どこに行く」

クロワ「帰る!」

都村『ふむ。サブタイトルをつけるならば、『クロワ、怒りの帰宅!』……そんな感じですね!』

無位「おいおい、聞こえたら怒られるぞ。乱暴されるぞ?」

未々咲「行っちゃった。……でもモノクマが言ったのって真実、なんだよね?」

未々咲「って事は超高校級のザイニンが犯人なの?」

川澄「そうなるはずやけど……。ザイニンって才能なんか? どういう字……」

六波羅「……『罪人』。罪のある人と書いて罪人ではないでしょうか」

四水「……それって」

六波羅「ボク達の中には才能を偽っている人がいる。それも……」

六波羅「……犯罪者、が」

早家町「え……」

佐山「………………」


……僕は知っている。
『超高校級の罪人』というキーワードを。

夢……僕の過去の記憶の中で確かにあの声は言っていた。
それがこんな形で現れるとは……


……僕の記憶と、真犯人。それは繋がっているのか……?

【4日目 終了】

・リザルト
【現在の好感度】
ZEKE    ……35
早家町 杜々 ……31
黒須 灰矢 ……29
赤羽 優仁 ……25
神風 今日介 ……18
未々咲 愛 ……17
十中井 蛇山 ……17
直木 重吾 ……17[DEAD]
四水 眞寄 ……17
無位 流一 ……16
川澄 美空 ……15
児玉 和音 ……15[DEAD]
六波羅 恵 ……12
クロワ・グラトン ……11
都村 美弥子 ……11


【アイテム・プレゼント】
オカルトフォトフレーム
ペッチンバンド
破邪のピアス
菓子パン袋
神の砂の嵐の角
リリエンタールの翼
なまくら包丁

【らーぶらーぶポイント……66てん】

というワケで今回はここまで。
そろそろ事件も起きる頃合い……ちなみに死ぬ人はもう決まっています

次回更新は近日中に。

更新します

ロンパラっていい響きですね。このスレの事はお好きにお呼びください

【5日目 朝】

《レストラン》


レストランには神風君を除く全員が集まっている。
誰かに配布された神風君の『致命的な真実』を確認するためだ。


……だが。


黒須「では申し出てくれ」


「「「………………」」」


お互いが周囲の顔を見回すが、名乗り出る者はいない。

黒須「どうした? モノクマは翌朝までには配布すると言っていたはずだぞ」

早家町「でも誰も出てこないけど……」

赤羽「あのう。もしや神風様の真実というのが皆様にも伏せた方がいい内容だったのでは?」

六波羅「にしても受け取った事自体は話すべきです。どんな形でモノクマから知らされるのか、共有した方がいいでしょう」

未々咲「なんで出てこないの? 恥ずかしがり屋さん?」

佐山「………………」

これはおそらく……

無位「……あんま言いたくないけどさあ。これって……」

無位「真実を受け取った奴が、殺人を決意したって事じゃねえの?」

未々咲「えっ……」

その言葉に空気が固まる。

都村『そ、それってまずいのでは? 殺人といっても一体誰を……』

無位「神風しかいないだろ。この状況で黙ってるのってそれしか考えられないぞ」

都村『ひっ、ええええええっ!……であります……!』

佐山「もしくは。僕達の中にいる悪意ある真犯人、その者に渡ったというケースもある」

六波羅「……超高校級の罪人、ですか」

川澄「どっちにしろアカンやん! それ利用して事件起こす気やろ!?」

佐山「残念だがその通りだろう」

未々咲「そんな……!」

ジーク「オイ! ホントに受け取ったヤツは出てこねーのかよ!」

叫び声もむなしく、名乗り出る者はいない。

黒須「と……とにかく! 全員館の利用は控えろ! 全員だ!」

黒須「もしこの場では言い出せないなら俺でも他の者でもいい、後で教えてくれ! くそっ……!」

六波羅「現時点ではそれが賢明でしょうね……」

ジーク「っ……。オイ、クロワ!」

クロワ「……話しかけるな、フユカイだ。今ムシの居所が悪い」

ジーク「うるせえ、テメーのせいでこうなったんだぞ! お前が神風に行かせるなんて言いださなきゃ……」

クロワ「ハン、下らん。あのオトコもデメリットを承知で行ったはずだ」

クロワ「その結果、誰が事件を起こそうが死のうがワタシに関係あるまい」

クロワ「モチロン裁判になれば解き明かしてやるがな……」

ジーク「ッ、テメー……!」

十中井「……おい」

四水「不毛。やめなよ」

ジーク「けどコイツ今……」

四水「アンタの方が間違ってる。この件でクロワ責めんのは筋違い」

ジーク「ハア? お前そっち側かよ!」

四水「側とか意味不明……」

未々咲「だ、ダメだよ! そんな事言っちゃーさー。一回落ちつこ、ね?」

険悪なムードが漂う。
そんな中、レストランの扉を開けて入って来る人物がいた。


神風「ふ、あー……。……え?」

神風「あれ、なんで? こんな人多いんだ?」

神風「オレなんか……遅刻した?」

佐山「……そんな事はないが」

神風「だよな」

クロワ「どけ、ジャマだ」

神風「ああ? っと、なんだアイツ……」

ジーク「チッ……」

神風「おっと。お前も出るのか」

四水「………………」

無位「……やれやれだぜ」

川澄「なんちゅうかアレやな。ジークが悪いけど、正直クロワの言い草も腹立つっちゅうか……」

未々咲「……やめよ! うん、この話終了!」

未々咲「今日も皆仲良く元気ハツラツと頑張ろ! ね?」

早家町「未々咲さん……」

川澄「……せやな、ゴメン」

佐山「………………」

神風「あの……今飯食っちゃマズイ?」

佐山「……そんな事はないが」

神風「だよな」


……致命的な真実とはその名の通りという事なのか。
ともかく館の使用は止めておこう。

【5日目 朝 自由行動】


メモを確認しておこう。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

・サブイベント (『イベント名』【登場人物|選択可能人数|期限】)


A.『超高校級の罪人』【なし|1人|なし】

夢?で聞いた言葉、『超高校級の罪人』について調べる。
モノクマの言葉によって明らかになった、真犯人の正体……
ともかく高校生の犯罪者について情報を集めよう。


B.『神風と特訓』【神風|なし|今日まで】

殺害対象として狙われているかもしれない神風君の様子を確認しよう。
本人はいたって気にしていないようだが……

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


モノクマの館と致命的な真実……
利用したつもりが気づけば後手に回ってしまっている。

それでも今は出来る事をするしかない。


安価↓
1.コミュ(一人選択)
2.サブイベント(上から選択)
3.マーケットに向かう(生徒を一人選択、コンマ50以上で遭遇、乱入なし)

1 神風


神風「なあ佐山。何かあったのか?」

佐山「君の致命的な真実……それが誰かに行き渡るという話は覚えているかね」

神風「ああ。昨日の奴か」

佐山「しかしそれを名乗り出る人はいなかった」

神風「え? なんでだ?」

佐山「君の真実を見た者が殺人を決意したか、事件に利用しようと考えたか……悪意があるのは間違いない」

神風「……へえ。オレを殺すつもりなのか」

彼の反応は特に驚いたようでもないが……


安価↓
1.狙われている事について
2.モノクマの館について
3.自由安価

選択 1 



佐山「君は狙われている可能性が高い。なのに随分と落ち着いているようだね」

神風「だってモノクマが言ってたじゃないか。ちめ……命が懸かるってのはそういう事だろ」

佐山「覚悟はしていたという訳か」

神風「ああ。……うん。やっぱりそうか。そうだよな……」

佐山「? 何がだね」

神風「前の裁判の時、直木が殺された時も思ったんだけど……」

神風「ここでは死ぬって言ったらホントに死ぬ」

佐山「………………」

神風「オレ……ちょっとナメてたんだ。ケンカならここにいる奴らに強いし大丈夫だって」

神風「でもモノクマはもっと強い。アイツが仕組んだ事ならたぶんオレも危ないと思う」

神風「……何が起こるかは分かんねえけど」

彼もこの状況に不安があるようだ。


神風「……なあ佐山。この後ちょっと付き合ってくれないか」

佐山「この後?」

神風「まあ。メンドくさかったらいいんだけど」

昼の予定は特に決まっていないが……どうするか。


【引き受けると昼の行動が神風のサブイベントに決定します。断ると神風のサブイベントは消滅します】

安価↓2
1.引き受ける
2.断る

選択 1

佐山「分かった。引き受けよう」

神風「よし。じゃあ適当に時間経ったら適当な場所で適当にやるか」

佐山「……適当が過ぎないだろうか」


【INFO】
昼の行動が決定されました。

安価↓
誰か乱入させますか?
乱入させない場合は>>372からプレゼントを記入、プレゼントもあげない場合はなしで

乱入 ジーク


レストランの外に出るとジーク君を発見した。
機嫌の悪さが見て取れる。

佐山「ジーク君」

ジーク「………………」

神風「よう。なんでそんなしかめっ面なんだ?」

ジーク「……フー。当事者は呑気なモンだな……」

神風「?」

ジーク「事件が起きるかもしれねーってのに。なんも情報得られなかったっつーのによ……クソが」

佐山「………………」


安価↓
1.さっきの言い争いを神風に説明する
2.ジークをなだめる
3.自由安価

3争いはふせてジークがすごく神風を心配している旨を伝える

3 >>397


佐山「ジーク君は君の事を心配しているんだと思うよ」

佐山「この状況、一番窮地に陥っているのは神風君だからね」

ジーク「なっ……」

神風「そうなのか?」

ジーク「ちげーよ! オレはアイツのせいで……ああくそ!」

ジーク「……そうじゃねえ。オレはただ、ムカついて……」

神風「……なんかよくわかんねーけど」

神風「オレはなるべく死なないようにするから。お前達もそうしてくれ」

ジーク「うるせえ、どっか行け……」

神風「わかった。行こうぜ、佐山」

佐山「……ああ」



ジーク「……くそ。ダセえ、ロックじゃねえ……」


【INFO】
神風の好感度が上がりました。
ジークの好感度が上がりました。

>>392から↓1で神風に渡すプレゼント(渡さない場合はなしで)
ジークには渡せません。

安価メチャクチャ……

>>393の一行目は >>392
プレゼントは>>372からです、すみません

安価↓神風へのプレゼント

・神風 菓子パン袋


神風「おっ。サンキュー」

神風「……うん。うまい」

佐山「……とりあえず口にするのはやめた方がいい」

神風「わかった。……うまい」

少しは気に入ってくれたようだ。


【INFO】
神風の好感度が少し上がりました。

【5日目 昼】


《チャンドラービーチ》


神風君に連れられてビーチまでやってきた。
どうやら特に場所は決まっていなかったらしい。

神風「よし。ここなら広いしいいだろ」

佐山「それで、一体何を?」

神風「特訓するんだ」

佐山「……特訓か」

……結局具体的な事が分からないのだが。


【サブイベント 『神風と特訓』 開始】

神風「さっきも言ったけどさ。オレ狙われてるらしいから」

神風「特訓して死なないようにしようぜ」

佐山「単純明快だね」

神風「黒須とか未々咲が事件起こさないようにいろいろやってるけど。そんな方法、オレ全くわかんねーしさ」

神風「だったらせめて自分が死なないようにしよう、って思って」

佐山「ふむ……」

彼なりに色々と考えていたのか。

神風「つー訳で……いくぞ佐山」

言うなり構えをとる神風君。
特訓とはそういう事なのか。


……どうする。


安価↓2
1.拳で語ろう
2.刃物を使われたら……
3.毒への対処はどうする

選択 3


佐山「待ちたまえ。毒への対処はどうする」

神風「毒?」

佐山「力では神風君の方に分がある事は全員承知だろう」

佐山「誰かが君を狙うとしても戦闘以外の方法を取ると思うが。その筆頭が毒だ」

神風「あー……うん。そうか……」

考えていなかったらしい。

佐山「このまま僕と特訓をしても効果は薄いと思うよ」

神風「うーん……じゃああれだ」

神風「毒に詳しそうなヤツを呼んで、そいつに教えてもらえばいいんじゃないか」

佐山「……ふむ」

確かに警戒するにはそれしかないか。
毒に詳しそうな人物……


安価↓2(生徒を一人指名)

今回はここまでで。ありがとうございました
ちなみに毒に詳しい人は三人います

できれば今日の夜にまた更新します

遅い時間ですが、少しだけ更新します

咄嗟に早家町君、六波羅君、クロワ君の面々が頭に浮かんだ。
この中なら早家町君が適任だろうか。

                :
                :

早家町「って言われても……」

神風「食べものに毒が入ってるか分かる方法、なんかないか?」

早家町「専用の装置とか試薬とかないと無理だよ。ガスクロマトグラフィーとか……」

神風「わかんねえ……」

早家町「うん……。ボクも言ってる途中で分かんないだろうなって思った」

佐山「先日クロワ君が匂いで毒を見破っていたが、ああいった事は僕達にも可能なのかね」

早家町「うーん……。匂いが特徴的な毒は確かにあるよ。有名なのが青酸カリのアーモンド臭とか」

早家町「でもやっぱり匂いのない毒はある訳で……。クロワさんが見破ったのはそれなんだけど」

佐山「彼女のように優れた嗅覚が無い限りは難しいか」

早家町「それだけじゃなくて知識や経験も要るよ。事前にその匂いを知ってないと」

神風「実際に嗅いでみろって事か。よし」

佐山「神風君。一体どこへ」

神風「毒持ってるのってどいつだっけ……。ああ十中井だっけか」

早家町「……え、えええええ!? まさか嗅ぎに行くの? ホントに危険だよアレ!?」

神風「まあ。ちょっとくらい大丈夫だろ」

早家町「いや危ないって!」


……ともかく、一般人には毒物の感知は困難そうだ。
口にする物には極力注意するしかないだろう。

【INFO】
神風の好感度が上がりました。
早家町の好感度が上がりました。

【好感度イベント 神風】


佐山「神風君はどうして希望ヶ峰学園に来たのかね」

神風「うん? 風間がいけって言ったからだよ」

佐山「カザマ……とは?」

神風「風間鬼一(かざまきいち)。オレのジムの親玉」

親玉……おそらくジムの経営者という意味だと思われる。

神風「で、コーチで親代わり。オレ風間に拾われたんだ」

佐山「………………」

彼は孤児……だったのだろうか。

佐山「この度の入学には、その彼の薦めがあったという事か」

神風「薦めっていうか命令だな。メンドくさそうだし、オレは行きたいワケじゃなかったよ」

佐山「命令という言い方が気になるが」

神風「オレは風間に逆らえないんだ。風間の方が強くて、強い奴は正しいからな」

神風「現役はとっくに引退してるけど勝てなくてさ。筋肉の鎧着てるみたいなヤツなんだ」

佐山「…………。君を入学させる意図について聞いた事は?」

佐山「キックボクサーとして活躍し、成長途中にある君を手放すのには何か理由があったと思うのだが」

神風「さあ。でも確かに……」

神風「希望ヶ峰にはキックボクシングの相手はいねえし。なんでなんだろうな」


自分ではない誰かの意志で入学した、か。
神風君と風間という人物の関係は、親やコーチと言うには……
……少し殺伐としたものを感じる。

【INFO】
スキル『延髄斬り』を手に入れました。

『延髄斬り』……集中力2消費。ノンストップ裁判、反論ショーダウンにて不要なコトダマを消す。

【5日目 夜】


特訓に付き合っている内に日は沈み、あっという間に夜が更けてしまった。
直にアナウンスも流れる頃だろう。コテージに戻るとしよう。


…………? 
今ホテル方面に誰かが見えたような……


                :
                :


 「………………」


佐山「……失礼。少しいいだろうか」


 「!」


極力刺激しないように声をかける。
モノクマの館の入り口前で佇んでいた彼女は、少し驚いたようにこちらの姿を認めた。


安価↓2
【女子生徒】を一人選択

選択 四水


四水「…………。何か用」

佐山「館の入り口で立ち止まっている君を偶然見かけたものだから気になってね」

四水「入るつもりはないけど」

佐山「それなら何故ここに?」

四水「別に。前を通ったからこの館について考えてただけ」

佐山「………………」

四水「…………。アンタは……まあ聞くまでもないか」

佐山「?」

四水「アンタがこの館を利用するなら、何を聞くか。別に答えなくていいけど」

佐山「………………」


安価↓2
1.自分の才能や記憶について
2.外の世界について
3.全員で脱出する方法
4.自由安価

4なら答えず黙ってる

選択4 >>417


佐山「………………」

四水「………………」

佐山「………………」

四水「……アンタってあたしより口下手なんだ」

佐山「む……」

少々警戒し過ぎたか……。


四水「……多分だけど。あたし達は全員この館で聞きたい事がある」

四水「それも脱出とか関係なく。知りたい真実がある」

四水「だからモノクマはこんなモノを用意した」

佐山「………………」


脳裏にモノクマの言葉が蘇る。

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━━━━━━━━━━━━
━━━━━━


モノクマ「ボクはその質問に対して必ず正直に答える。オマエラが気になってる事、その疑問を解決しちゃおうってワケ」

モノクマ「オマエラ最近、個人的に気になってる事あるんじゃない?」


━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
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あの言葉は、決して僕だけに向けられたものではなかったとしたら。


佐山「君にもあるのかね。知りたい真実が」

四水「………………」

佐山「……そこは黙るのだね」

四水「あたしも口下手だし。佐山ほどじゃないけど」

佐山「………………」

これはさっきの仕返しという訳か。

四水「分かってると思うけど冗談。………………」

四水「……アンタみたいな奴なら楽なんだけど」

佐山「それは……。今朝の口論について言っているのかね」

四水「……そんなとこ。信頼する必要はないけど波風が立つのは避ける」

四水「全員がそういう意識なら楽なんだけど」

佐山「………………」


この後どちらからともなく歩き出し別れた。
……距離が縮まった訳ではないが、彼女の考え方に少し触れられた気がする。


【INFO】
四水の好感度が少し上がりました。

【5日目 終了】

・リザルト
【現在の好感度】
ZEKE    ……42
早家町 杜々 ……36
神風 今日介 ……31
黒須 灰矢 ……29
赤羽 優仁 ……25
四水 眞寄 ……21
未々咲 愛 ……17
十中井 蛇山 ……17
直木 重吾 ……17[DEAD]
無位 流一 ……16
川澄 美空 ……15
児玉 和音 ……15[DEAD]
六波羅 恵 ……12
クロワ・グラトン ……11
都村 美弥子 ……11


【アイテム・プレゼント】
オカルトフォトフレーム
ペッチンバンド
破邪のピアス
神の砂の嵐の角
リリエンタールの翼
なまくら包丁

【らーぶらーぶポイント……68てん】

今回はここまで。ありがとうございました
好感度上位4人が男子、下位4人が女子……ヒロイン?


今日の夜にまた更新予定です

今日は更新できそうにないので明日の夜に変更します、すみません

更新します

【6日目 朝】


昨日神風君と共にいる間、誰かの視線や異変を感じる事は無かった。
だが真実を受け取った人物が仕掛けてくるのはいつの事か……

朝食を済ませてこよう。


安価↓2(人物を一人指定、自由行動ではありません。)
1.レストランに行く
2.マーケットに行く

sageてました、安価↓2

《レストラン》


レストランに着くと、メモ帳を片手に未々咲君が話しかけてきた。
中には他にクロワ君がいつもの様子で席に座っている。

未々咲「佐山クングッモーニン。よし、クロワちゃんに続いて佐山クンもOK!」

佐山「おはよう。一体何を?」

未々咲「皆が来たかチェック。事件が起こってないか確かめないと……」

未々咲「マーケットの方は黒須君に調べてもらってるんだ」

佐山「なるほど」

事件の火種は既にまかれている。
何かが起こるとすれば昨日の夜の可能性が高い……

入り口を離れてクロワ君の近くを通りがかると、独り言が聞こえてきた。

クロワ「……フン。無駄な事を」

佐山「そう思うかね。こうした確認も多少事件の抑止になると思うが」

クロワ「それが無駄だと言うんだ。何をしようがいずれ事件は起こる」

佐山「殺し合いを防ぐ事はできないと言っているのか」

クロワ「トーゼンだ。黒幕もそのつもりでオマエ達を揺さぶっている」

クロワ「ヤツらごときの浅はかな案でどうにかなるものではない」

佐山「……君は動機では揺るがないと?」

クロワ「カンチガイするな。ワタシは元からこの島を一人で出るつもりだ」

佐山「………………」

クロワ「その前に……ワタシを殺そうとした不届き者にムクイを受けさせてやるがな」

……真犯人か。
その人物の追及に関しては彼女と協力できる余地があるのかもしれない。

未々咲「あっ、そうだ! 二人とも隠し芸とかない?」

佐山「隠し芸?」

未々咲「今度隠し芸大会やろーよ。皆最近空気悪いし、何かイベントやろ!」

クロワ「……浅はかな案だと言っただろう?」

佐山「…………。残念だが参加する人は少ないと思うよ」

未々咲「そうかなー、簡単なマジックとかでもいいんだけど。クロワちゃんならきき味とか」

未々咲「昨日も聞いてみたけど、美空ちゃんは鳥の鳴きマネできるって言ってたし」

未々咲「恵ちゃん射的得意らしいからマーケットにあるモデルガンで的当てとか」

未々咲「アーチェリーもあったから、黒須クンならウィリアムテルみたいなのとか出来そうって話してたよ」

佐山「……その時いた人達の反応は?」

未々咲「割と皆シブかったねー」

大体想像はつく。

未々咲「うーん、やっぱりダメかなー……」

佐山「意図はわかるが。やるにしても何か他の案を考えよう」

クロワ「……フン」

ここ最近の不和も問題だが……。
隠し芸大会はお流れとなりそうだ。

書き忘れです

【INFO】
クロワの好感度が上がりました。

【6日目 昼】


《二番目の島》


昼の予定をどうしようかと考えていると、向こうから未々咲君がやって来た。
表情からして困っているような様子だ。

未々咲「佐山クン、無位クン見なかった!?」

佐山「見ていないが。何かあったのかね」

未々咲「……犯罪だよ。無位クンは犯罪者!」

佐山「……何?」

──超高校級の罪人。
その言葉が脳裏をよぎる。


佐山「どういう事か説明してくれるか。まさか彼が真犯人……?」

未々咲「………………」

未々咲「……たの」

佐山「?」

未々咲「レコーダー! 無位クンにパクられたの! 窃盗だよ、盗人だよ、犯罪者だよ!」

佐山「………………」

思わず眉間を押さえる。
そういえばいつも彼女が肩から提げているヘッドホンも見当たらない。

未々咲「あのね、さっき無位クンが一回使ってみたいって言うから貸したんだけど……」

未々咲「ちょっと目を離したスキにいなくなってて! もう、ホントありえないよ!」

佐山「……そうか」

未々咲「ちゃんと聞いてる? 説明してって言ったの佐山クンだよ」

佐山「……ああ、そうだったね。よく分かったありがとう」

未々咲「うん。じゃあ一緒に探そっか」

佐山「………………」


……既に拒否権は無かった。

《チャンドラービーチ》


佐山「彼がいなくなったのがここか」

未々咲「うん。ここでたまたま会ってその後にパクられて……」

未々咲「もう、大事な物なのに! あれがないと……」

単に盗まれたからというだけではなく、随分と怒っているようだ。
確かあのレコーダーには、他の人との会話が録音されていると裁判で明らかになったが……

未々咲「ビーチハウスに隠れてるかも。見てみよ」

早く見つかるといいのだが。

                :
                :

未々咲「どこに行ったんだろう……」

佐山「入念に調べたが見つからなかったね」

まさか物置のサーフボードケースの中まで調べるとは。

未々咲「うーん……。他の所にいるのかなあ」

《図書館》


未々咲君が入り口の扉を勢いよく開ける。

中にいるのは見る限り早家町君一人だけだ。
驚いた表情でこちらを見ている。

未々咲「早家町クン、無位クンこっち来た!?」

早家町「い、いや……見てないけど」

未々咲「そっか。じゃね!」

佐山「失礼した」

早家町「ええ……」

                :
                :


その後も二番目の島の施設を探し回ったが、無位君が見つかる事はなかった。

《中央の島》


二番目の島での捜査に手詰まり、一度中央の島に戻ってきた。

未々咲「すれ違って他の島に行ってるのかな……」

佐山「その可能性が高いだろうね」

空はもう日が沈みかけている。

佐山「もうすぐ夜になる。一度ホテルに戻って、後でまた彼のコテージを尋ねてみてはどうか」

未々咲「えっ、でも……。じゃあそれまで一緒に待っててくれない?」

佐山「……? 待つだけなら僕が協力できる事は無いと思うが」

未々咲「だ、だって……」

口ごもる未々咲君。
何故か返事に困っている様子だ。


佐山「…………。!」

彼女の後ろに見える公園の方に一瞬……ピンク色の何かが見えた。

《ジャバウォック公園》


  「~♪ ~♪」


未々咲「……無位クン! 見つけたよ!」

無位「……? あれ」

無位「よう、未々咲に佐山。逢引きかい?」

佐山「君を探していた」

彼はヘッドホンをつけて木の下に座っていた。
足元にはラジカセが置いてありそれに繋がっているようだ。

未々咲「もう、勝手に持ってっちゃうから……。返してよレコーダー」

無位「悪い悪い、ちょっと借りただけだ。でも勘違いしないでくれよ」

無位「レコーダーじゃなくて、ヘッドホンが欲しくてさあ。マーケットにはラジカセしかなかったんだよ」

未々咲「どっちも大事なの! ホントに怒ってるんだからね!」

無位「さーせん。今度お詫びにジュースでも奢るよ」

未々咲「ホント? ……って最初からタダじゃん!」

佐山「……ともかく見つかって何よりだ」

未々咲「あーもー……。変なの録音してないよね?」

無位「変なのってなんだよ。さっきも言ったけどヘッドホン使いたかっただけだから電源は切ってたぞ」

無位「そういえばそれって会話を録音してるんだろ。かなり大事にしてるみたいだけど、なんでなんだ?」

未々咲「え……。……だって」

未々咲「これないと……眠れないんだもん」

佐山「……眠れない?」

無位「訳アリか。話してみな、お嬢ちゃん」

未々咲「む。その……」

未々咲「……佐山クン今日はホントにありがと! 今度ジュース奢るね!」

言うなり彼女は脱兎のごとく駆け出していってしまった。

佐山「………………」

無位「乙女の秘密ってヤツか。やれやれ、こいつは不躾だったな」

佐山「……無位君。僕に何か言う事はあるだろうか」

無位「言う事? そうだな……」

無位「もう夜になるし、いい夢見ろよ」

佐山「………………」

……骨折り損とはこの事か。

【6日目 夜】

《佐山のコテージ》


今日は何一つ有意義に過ごせなかった気がするが……悔やんでも遅い。
明日は計画的に過ごそう。


佐山「……?」

コテージのドアの隙間に紙が挟まっている。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 超 高校 級 の 罪 人へ

お前の 秘密 を バラ されたくなければ

夜 の アナウンスの すぐ後 図書 館に 来い

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


佐山「…………!」

文章は全て本か何かの印字を切り抜いた物で作られている。
怪文書というものだ。

それよりこの内容は……どういう事だ。

超高校級の罪人だと?
僕が……自分の才能は……

……違う。僕は毒を入れていない。
裁判の時に記憶の混乱はあったがそれは間違いない。
超高校級の罪人は毒を入れた人物である事は確定している。

誰かが僕を疑っている……?
だがこの怪文書の差出人は決定的な証拠は持っていないはずだ。
文面からして呼び出す事自体が目的……罠か。


 『キーン、コーン……カーン、コーン』

 『えーと、希望ヶ峰学園修学旅行実行委員会がお知らせします。ただいま午後10時になりました……』


佐山「アナウンス……」


怪文書が指定した時間だ。

………………。



佐山「………………」

《二番目の島》


後方に注意を払っているが人の気配はない。
行き先の図書館を遠くに見ながら、二番目の島へと続く橋を渡っていく。


この呼び出しは間違いなく罠だ。
それでも図書館に向かう事にしたのは、少しでも情報を得る為でもあるが……

筆跡を特定されないようにする手口、超高校級の罪人の存在を利用するような文面……

この手紙の差出人は本気で事件を起こそうとしている。
……その狡猾さと危険性。放っておくわけにはいかない。


                 :
                 :


図書館の前に辿りついた。
周囲に誰かがいる様子はない。

いるとすれば中か……

《図書館》


入り口の扉を開き、外から中の様子を観察する。
変わった所はないようだ。


佐山「………………」


死角に注意しながら館内に入る。
照明は点いていないが、窓が広いため月明かりが視界の助けになっている。


待ち伏せして襲い掛かるような手口を取るとは思えないが……警戒はしておこう。
図書館内には完全に身を隠せるような場所はない。
注意深く進めば不意をつかれる事はないはずだ。

机の下、カウンターの陰……誰もいない。
あとは奥の大書架の間か。

大書架の間へと歩を進めていく。
アーチ形の通路の先が大書架だ。


佐山「…………っ」


なんだ……この感覚は?
この先に行ったが最後、戻ってはこれない……

あのモノクマの館に感じたものと同じような……寒気は。


佐山「………………」


それでも足を止めない。
この先に何があるのか、何もないのか……知りたい。


真実を、知りたい──

通路を抜けた先に、見たのは──


佐山「─────っ」


宙に浮かぶ亡霊……ではない。




人だ。




誰かが天井から吊るされている。

大きな布を被った物体と天井の方まで続くロープ……
その大きさ、布の隙間から見える靴の裏。間違いなく人だ。



佐山「これ、は……!」


目の前で誰かが死んでいる、その事実に囚われていた──





──だから、後ろから近付く足音に気づくのが遅れた。





  「……お前か」


佐山「ッ!」



振り向こうとした瞬間──



バキィッ!


佐山「……、…………!!」



僕が最期に感じたのは側頭部への鋭い衝撃、そして──





首の内側で何かが折れる、音────






《佐山のコテージ》




佐山「…………っ!」


こ、こは…………
……自分のコテージ、か?


佐山「はあ、はあ……!」


今の時間は……10時半。
アナウンスはとっくに過ぎている。

今のは悪夢……? いや……

ふと机の上に視線を向ける。

佐山「……無い」

図書館に向かう前に机に置いた怪文書がなくなっている。


佐山「……ぐっ!」

違う……
記憶では、怪文書は最初から受け取っていなかった?


以前にもあった。
記憶の食い違い、現実が改竄されているようなこの感覚は……!


佐山「……やはりあれは記憶の混乱などではなかった」

はっきりと覚えている。
図書館で死体を発見し、その隙に誰かに襲われ……殺された。


あれは実際に起こったはずの事だ。
だがそれが何かの作用で『なかったこと』になっている……

現実離れしているが、そう考えるしかない。

佐山「………………」

落ち着いて考えよう。

前回の記憶の食い違いでは、僕と六波羅君の役割が替わっていた。
では今回、僕が怪文書を受け取っていないという事は。
誰かが代わりに受け取っている可能性がある……


佐山「……まずい」


その誰かが僕と同じように図書館に向かったなら。
大書架の間で死体を発見し、そして……


佐山「……止めなければ!」

《ホテル》


無位「おっと。飛び出してくんなよな、ぶつかったら痛いだろ」

佐山「無位君……!」

コテージを出ると、部屋に戻る所だったのだろう、無位君と遭遇する。

無位「……どうした。寝る前にしちゃ顔がマジだぜ」

佐山「………………」

と、その時もう一人通りがかった。

川澄「? 二人で何やってんの」

佐山「川澄君……!」

川澄「え、なんかあってん?」

佐山「……二人とも。少し付き合ってくれないか」

《一番目の島》


川澄「ねえ、一体なんなん?」

佐山「図書館に気になる事がある。それも早急にだ」

無位「それ、俺達必要か?」

佐山「……危険かもしれない」

川澄「へっ?」

無位「……勘弁してくれよ。まあ今日は迷惑かけたから行くけどさ」

ホテル施設の入り口を出た所で、前の道を誰かが通って行った。
こちらを見向きもせず全力疾走で駆けていく。

無位「……今の神風だったな」

川澄「ウチ、鳥目やからわからん……」

佐山「……ともかく図書館に急ごう」

《図書館》


勢いよく扉を開けて、中に入る。

川澄「ね、ねえ! ちょお待ってよ!」

無位「図書館で、走るとか、お前、ないわー」

聞いている暇はない。
真っ直ぐに大書架の間に向かう。



そして────




佐山「……やはり、か」




──再度、吊るされた死体を発見した。

川澄「え……。あれって……」

無位「……マジ、かよ」



ピーンポーン、パーンポーン……


モノクマ『図書館で死体が発見されました! 一定の捜査時間のあと学級裁判を行います!』



事件は……起きた。

川澄「あ、あれ……! やっぱ、人……!」

無位「……ただのでっかいてるてる坊主ならめでたしなんだけどな。どうやって降ろす!」

見上げると死体のロープの先はシャンデリアに繋がっている。

佐山「あのゴンドラを使おう。上に行ってロープに手が届けば……」

川澄「わ、分かった!」

そうして三人でゴンドラに乗るが……

川澄「あ、あれ? パネル押したのに動かへん……」

佐山「……そうか。重量制限があるのかもしれない。とりあえず僕が降りよう」

川澄「分かっ、おっと!」

降りた瞬間、ゴンドラが動き出した。



頂上まで上がったゴンドラから声が聞こえる。

無位「ロープの長さは余裕があるみたいだ。吊るしたままそっちに降ろすぞ!」

佐山「分かった。受け止めよう」

吊るされた物体はゆっくりと、地上に近づいてきた。
手が届く高さまで降りてきたそれを、ロープからはずす。


佐山「…………っ」



川澄「だ、誰やったん!?」

無位「………………」

降りてきた二人に、被害者の名前を告げる。


佐山「……殺されたのは」

布に覆われていたのは──







佐山「都村君だ」

――超高校級の特撮マニア、都村美弥子、その人だった。


CHAPT.2【『 汚れっちまった憎しみに 』 (非)日常編】……END

今回はここまで。夜遅くまでありがとうございました

予想していた人もいましたが被害者は都村でした。さて犯人は……
次回更新は未定とさせてください、捜査は自動進行の予定です

明日夜頃更新します

2月は更新に間が空くと思われます。
裁判はまとまった時間に一気にやる予定なので良ければお付き合いください

CHAPT.2【『 汚れっちまった憎しみに 』 非日常編】





佐山「見ての通りだ。都村君が亡くなった」

六波羅「また、起きてしまったんですか……」


死体発見からほどなくして全員が図書館に集まった。
冷たくなってしまった仲間の亡骸を囲んで……


ジーク「そりゃ見りゃ分かるが……! チックショウ!」

神風「…………。都村……か」

赤羽「どうしてなのでしょう。こんな痛ましい事がまた……」

未々咲「美弥子ちゃん……!」

未々咲「…………やっぱり……」

佐山「……?」

早家町「さっきのアナウンス、捜査って言ってたけど、またアレをやるって事……?」

モノクマ「そらぁそうっすよ! 裁判やるっすよ!」

モノミ「………………」

十中井「……出やがった、な」

モノクマ「超高校級の特撮マニア、都村さんを殺っちまった犯人探しの裁判。バリバリやんぞおらぁ!」

川澄「なんでオラついとんねん……」

モノクマ「てな訳で。いつものアレを配っておくからね~」

各自にモノクマファイルが手渡されていく。

モノミ「………………」

早家町「ってモノミはなんでいるの? さっきから喋らないけど……」

モノミ「ううう……。自分の無力さがただただ情けなくて……」

モノクマ「モノミ、ボクが強いんじゃない。オマエが弱すぎるんだよ!」

モノミ「全然フォローしてないじゃないでちゅか……。もうこんな事をミナサンにやらせるのは……」

モノクマ「はいはーい、邪魔者はさっさと退場!」

モノミ「あーれー!!」

モノクマ「じゃじゃじゃ、頑張ってねー!」

早家町「行っちゃった……。結局いつも通りって事かな……」

川澄「裁判て。あんなんまたやらなアカンのか……!」

クロワ「フフ、むしろ待ちかねたくらいだ。この島にはこれくらいしかシゲキがない」

ジーク「……テメーはまたそういう事をよぉ!」

佐山「落ち着きたまえ、ジーク君」

ジーク「なんだよ……!」

四水「………………」

六波羅「不安になる気持ちも分かります。ですが捜査時間を口論で消費してしまうのは……」

ジーク「っ、オレが不安になんて……!」

無位「リーダー。こういう時こそ皆にビシッと言ってくれよ」

黒須「…………。ふうううぅぅぅ……」

黒須「今は捜査に専念するぞ! 全員で犯人を見つける事、それが最優先事項だ!」

黒須「いいな。クロワもこれ以上和を乱すような発言はやめるんだ」

クロワ「フン。ワタシに指図するな」

ジーク「……くっそ。どいつこいつも……」

黒須「ジーク。その怒りは犯人にぶつけろ」

ジーク「チッ……!」

佐山「………………」


立ち上がりは一悶着あったものの、黒須君が場を収めてくれたおかげで捜査を進める事ができそうだ。
都村君の死……僕にとっても他人事ではない。


ここで襲われる前にも見た、吊られた被害者……
結局僕が変える事が出来たのは自分の命だけだ。


……真実を見つけよう。
今の僕にはそれしか出来ない。


【捜査 開始】

モノクマファイルを確認しよう。


━━【モノクマファイル】━━━━━━━━━━━━━━━━━

被害者は都村美弥子。死体の発見現場は図書館。

死因は頸部圧迫による窒息死。薬物反応はなし。

首回り以外に目立った外傷はない。

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……このモノクマファイルというのは信用ならない。
というのも重要な情報が隠されている場合もあるからだ。
前回の事件では、児玉君の後頭部の傷について記述は一切なかった。

この事件を単純に考えるならば都村君が自ら首を吊った事による自殺だが……


──この場で確かに殺人が行われたのだ。
僕自らが『体験』した記憶……


やはりこの事件、よく調べる必要がある。

コトダマゲット!
【モノクマファイル】
被害者は都村美弥子。死因は頸部圧迫による窒息死。

六波羅「では、死体発見の経緯を教えてくれませんか」

川澄「ウチらが発見したんやけど。美弥子ちゃん、首吊っててん……」

六波羅「首を吊っていた?」

佐山「発見時、都村君は天井のシャンデリアからロープで吊るされていたのだよ」

無位「正確に言うとその周りの補強フレームだけどな。三人で協力して降ろしたって訳だ」

早家町「うええ、首を吊ってたって……自殺?」

佐山「………………。だとしても不可解な点がある」

佐山「都村君は吊られていた時、無位君がてるてる坊主と表現したように……」

佐山「大きな布を頭から被り、その上からロープで首を吊っていたんだ」

川澄「そうそう。ウチ最初、オバケか思たわ……」

十中井「……死体も大して代わらねえと思うが」

無位「都村が被ってた布、よく見るとこれ図書館のソファーのカバーだな」

無位「自殺するなら凝った死に方しないで欲しいぜまったく」

佐山「……あまり褒められた言い方ではないと思うよ」


自殺には不必要なはずの大きい布……
その意図は?


コトダマゲット!
【大きな布】
被害者が被っていた。元々は図書館にあったソファーのカバー。

六波羅「気になったのですが……三人はなぜ図書館に?」

川澄「え? ウチは佐山についてっただけやけど」

六波羅「佐山君が言い出したんですか?」

佐山「……ああ」

川澄「なんか知ってる風やったな。危険とかなんとか」

六波羅「佐山君。図書館に向かった理由を聞かせてもらってもいいですか」

佐山「……事件が起きるのではないかと思ったからだ。確信はなかったが」

六波羅「君は何かを知っていたんですか?」

佐山「それは……」


……一度死体を発見し、自分も殺されたから。

そんな事を言っても、ごまかしているのと大差は無い。
このまま黙っていても怪しまれるだろう。
どうする……

無位「まっ、喋らないならそれでいいんじゃねえの」

佐山「……無位君?」

六波羅「しかし事件に関係があった場合……」

無位「関係あるなら裁判で明らかになるさ。議論しても分からない事ならそもそも関係ないのさ」

六波羅「それは詭弁だと思うんですけど……」

佐山「隠すような真似をしてすまない。だが僕自身、説明をつけるのが難しい」

六波羅「…………。ともかく後でもいいですが教えてくれると嬉しいです」

六波羅「検死は任せてください」

……当然だが、怪しまれているか。


前回と同じく、検死には六波羅君と赤羽君があたる事になった。
現場の保全も彼女達が担当してくれるそうだ。

佐山「無位君。さっきの話だがシャンデリアの補強フレームとは?」

無位「ああ。上のバカでっかいシャンデリアって格子状のフレームで囲われてるだろ。落下防止だろうけど」

無位「その穴の一つに、ロープが結ばれてたんだよ」

佐山「ふむ。体重をかける都合上、安定性を考えてそこに結んだという事か」

川澄「ちゅうか、ゴンドラからはフレームまでしか届かへんよ。ウチが精いっぱい手伸ばしてほどいたんやから」

無位「ロープ持って支えてたのは俺だけどな」

佐山「ロープ……これの事か」

都村君を吊っていたロープは細いがかなり丈夫なものらしい。
実際、人を吊るには充分だったようだ。

無位「まるでなわとびみたいだな。何で出来てるんだ?」

川澄「こんだけ長かったら大縄できるわ……」

大書架の高さはざっと見て三回建ての建物程度。
死体を降ろす時に下までは届かなかった事から、ロープの長さもそれくらいか。


コトダマゲット!
【シャンデリアの補助フレーム】
図書館のシャンデリアは落下防止の為、格子状のフレームに囲われている。

【ロープ】
被害者を吊っていたロープ。長さは吊られた高さから地面に届かない程度。

頂上に行って調べてみるとしよう。
それにはゴンドラを利用する必要があるが……


ゴンドラは足場と四方を手すりで囲んだシンプルな作りだ。
手すりの一方は開閉式になっており、そこから搭乗する。
元々一人用に作られたのだろう、二人で乗るには手狭な大きさだ。

ゴンドラには液晶パネルが備わっており、これでゴンドラを操作する。
行きたい場所を指定すると壁面に沿って動き出し目的の場所まで移動する。
パネル自体は取り外せないようだ。

図書館にはハシゴも用意されているが、高所の本を取るにはゴンドラが必要になる。
もちろんシャンデリアの場所まで行ったからには利用したはずだ。

ゴンドラについてはこんな所か。
事件に関係があるかもしれない、覚えておいた方がいいだろう。


コトダマゲット!
【図書館のゴンドラ】
大書架の壁面を沿うようにして移動する。行きたい所を入力すると動き出す。
パネルはゴンドラ自体に備え付けられており取り外す事はできない。

【ハシゴ】
図書館に用意されているハシゴ。大書架の上の場所までは届かない。


事件現場 簡略上面図
http://imgur.com/uQxIfen.jpg

今回はここまで。
図があまり用意できないので色々とイメージしづらいかもしれません
質問があれば遠慮なくどうぞ。

次回更新は未定とさせてください

お久しぶりです。
忙しさとスランプで中々書けず更新が遅くなりました


前回の捜査の続きから始めていきます

現在ゴンドラは使用中らしい。
頂上でシャンデリア周辺を捜査しているのだろう。
地上からは角度の問題で誰が乗っているかまでは分からない。

聞き込みでもしておこう。
周囲を見回すと、集団から一人離れている未々咲君に目が止まった。


佐山「未々咲君、聞きたい事があるのだが」

未々咲「………………」

ヘッドホンを耳にあてがい、目を閉じてじっと聴いている。
こちらには気づいていないようだ。

未々咲「……よし。うん? どしたの佐山クン?」

佐山「事件について話を聞きたい。ところでこれは個人的な興味で聞くのだが……」

佐山「いつも捜査を始める前に何か聴いているようだが、一体何を?」

未々咲「ああこれ? 今日の皆の話し声だよ」

佐山「話し声……。未々咲君は常に会話を録音しているのだったね」

前回の裁判で明らかになった事だ。
彼女の録音は僕を追い詰める要因になったが、同時に事件を解明する鍵でもあった。

未々咲「うん。心が弱った時に皆の声を聞いてるんだ」

未々咲「一人じゃないって思えて元気が出るからね!」

佐山「……ふむ」

当たり前の事のように話しているが、彼女の行為は尋常なものではないと思う。
今日のレコーダー探しに躍起になっていた事といい、理由があるのだろうか。

……だがこの件は事件には関係ない事だ。
今は踏み込むべきではないだろう。

未々咲「そういえば聞きたい事って?」

佐山「……ああ。捜査が始まる前、死体を発見した時の君の発言が気になってね」


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未々咲「美弥子ちゃん……!」

未々咲「…………やっぱり……」

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佐山「『やっぱり』……。僕にはそう聞こえた」

未々咲「ああ、その事……」

佐山「君は都村君が死ぬ事を予期していたのだろうか。真意を聞きたい」

未々咲「……あのね。美弥子ちゃん、モノクマの館で何か聞いたみたいなんだ」

佐山「! それは……。館の利用は控えるように言われていたはずだが」

未々咲「そうなんだけど。でも……」

未々咲「昨日の夜、館から出てくる美弥子ちゃんに偶然会って。何を聞いたのかは教えてくれなかったんだけど」

未々咲「美弥子ちゃん……本当は、自分はワルモノだったのかもしれない、って言ってた」

佐山「悪者?」

未々咲「けどそれじゃダメだからモノクマに何かを聞いたんだって。意味はよく分からなかった」

彼女の動機や聞いた内容は不明か。

未々咲「美弥子ちゃんの事が心配になったから、朝からいろいろ気にかけてたんだけど……」

佐山「では今朝の人数チェックもそれが理由で?」

未々咲「うん……。でも話した時の雰囲気は暗い感じじゃなかったのに! むしろ明るかったくらいなのに……」

未々咲「どうしてなんだろう。本当は、心の中ではずっと辛かったのかな……」

佐山「なるほど……」


この事件、一見すると自殺にしか見えない。
未々咲君の話も、都村君が館を利用する程に思いつめていた事を示している。
だが……

都村君が館を利用したという事は、致命的な真実が誰かに知らされたはずだ。
神風君同様、彼女も狙われる可能性があった事になる。


コトダマゲット!
【未々咲の証言】
事件前日の夜、都村はモノクマの館を利用していた。

佐山「ところで今朝は都村君は?」

未々咲「マーケットの方に来てたみたい。黒須君がチェックしてたよ」

佐山「後で確認しよう。情報感謝する」

聞きたい事は聞けた。
丁度ゴンドラも降りてきたところだ。
今度はそちらを調べよう。

                :
                :

ゴンドラには先にジーク君が乗っていた。

佐山「ジーク君、シャンデリアを捜査するのなら同乗しても?」

ジーク「ああ? 構わねえが……」

乗り込んでパネルを操作する。
だがゴンドラが動く気配はない。

ジーク「なんだ? どうなってやがる!」

佐山「さっきは動いてたはずだが」

ジーク「もしかして故障したのか? カンベンしろよ……」

ジーク「チッ、どうすんだよ。本棚を足場にしてよじ登るか?」

佐山「無理だと思うよ。シャンデリアまでは高すぎるし途中で落ちるリスクが高い」

ジーク「わーってるよんな事。言ってみただけだ! そんな方法ロックじゃねえしな」

そう言いつつ、諦めたのかジーク君がゴンドラを降りる。
すると突然、ゴンドラが動き出した。

佐山「っ!」

思わずバランスを崩しかける。
どうやら操作していた通りにシャンデリア周辺地点まで移動するらしい。

ジーク「なっ……オイ! オレが先に乗ってたんだぞ!」

佐山「……そう言われてもだね」

どうする事もできない。
ジーク君には悪いが先に調べさせてもらおう。

頂上まで移動し、間近にシャンデリアのフレームを確認する。
川澄君の言った通り、確かにフレームまでは手が届く。

フレームの一つの格子の隙間の大きさは腕が通らない程度だ。
無位君の話によると、この隙間にロープが通され結ばれていた。
最初に吊られていた状態ではロープの長さが余っていたらしい。

周囲の本棚も確認する。
ゴンドラから届く範囲の本棚は、邦訳された海外書籍のコーナーだ。
事件には関係していないだろう。

フレームにも本棚にも目立った痕跡は残っていない。
手がかりは得られずか。

ゴンドラから降り、まだ悪態をついていたジーク君と交代した。
現場周辺に戻ると何やら騒がしい。


川澄「あっ! ひっどいなこれ!」

声がする方向を見ると川澄君が机の上の本を開いている。

佐山「どうかしたのかね」

川澄「見てよ。机の上に置いてあったんやけど」

佐山「!」

開いていたページにはところどころ切り抜かれた跡があった。

この字体……あの怪文書のものと同じだ。
目を覚ました時は手元になかったが、やはり怪文書自体は存在しているのか。

無位「あーあー。これじゃもう読めないな」

川澄「置きっぱなしもアカンし、本大切にせえへんってどういう神経してんねん!」

無位「まったくだぜ。人様の物を借りてるって意識があるのかねえ」

佐山「………………」

あの怪文書の送り主がこの本を切り抜いたのは間違いない。
しかし机の上に置いてあったとは。やけに犯行が雑な気もするが……

題名は『銀河の王子様』……邦訳された有名な海外書籍だ。
本来は先程の頂上付近の本棚に収められていたのだろう。


コトダマゲット!
【切り抜かれた本】
図書館の机の上に置きっぱなしになっていた。本来は頂上付近の本棚に収められている。

死体の発見現場に向かうと赤羽君が話しかけてきた。

赤羽「先程検死が終わりましたよ。佐山様も詳細をお聞きになりますか?」

佐山「勿論だ。何か新しく判明した事はあるかね」

六波羅「検死の結果分かった事が二点あります。まず首に残っている痕跡です」

六波羅「都村さんの首元には索条痕、つまりロープで吊られた痕が残っていましたが……」

六波羅「その他に、手で強く絞められた痕が残っていました」

佐山「! 手で絞められた痕?」

赤羽「ええ。首元に痛ましい痕が残っておりました……」

六波羅「他の要素から判断しても都村さんの死因は縊死ではありません。つまりロープで首を吊ったのではなく……」

六波羅「誰かに絞殺された可能性が高いと思います」

佐山「なるほど……」

彼女は誰かに首を絞められて殺された……つまり、自殺では無かった事になる。

六波羅「もう一つの発見は、都村さんの死体に死後硬直が見られる事です」

佐山「ふむ。死亡からどの程度時間が経過しているか分かるだろうか」

通常、死亡した人間の筋肉は時間が経つと徐々に硬化していく。
これを死後硬直という。

気温や死体の状態にもよるが、死亡から約3時間後に死後硬直が始まり、やがて全身に硬直が及ぶ。
その硬直具合から死亡時刻が推定できるかもしれない。


六波羅「説明すると死後硬直はまず顎や首の末端部分から始まります。全身が固まりきるのには12時間程かかるんですが」

赤羽「都村様のお体を調べましたところ、六波羅様が推測されるには……」

赤羽「亡くなられてから既に6~12時間程経っているようです」

佐山「今が大体午後11時、よって時刻でいうと今日の昼前から夕方の間、といったところか」

ちょうど未々咲君と、無位君を捜索していた頃だ。
あの時に事件が起きていたのか?

ともかく僕と未々咲君についてはアリバイ成立だ。

コトダマゲット!
【検死結果】
都村の首には手で絞められた痕跡が残っている。
死亡推定時刻は今日の昼前から夕方の間。

今回はここまでで。次回で捜査終わるかと思います
次の更新は土日の夜を予定しています

遅れましたが更新します

捜査中、黒須君からゴンドラの周りに集合の指示が飛んだ。

六波羅「どうかしたんですか。何か発見でも?」

黒須「クロワから話があるらしい。この場に全員を集めてくれと言うのでな」

ジーク「一体なんだってんだよ……」

クロワ「オマエ達全員で調べなければならない事がある。このゴンドラの重量制限についてだ」

未々咲「重量制限って?」

クロワ「先程から見ていると、このゴンドラに2人で乗ると起動しない事があった」

クロワ「元々一人用なんだろう。一定の重量をオーバーすると動かないらしい」

川澄「あれ? でもウチらが死体降ろす時、三人は無理やったけど、ウチと無位の二人やったら動いたで」

クロワ「場合によると言っているだろうが。それにオマエ達が乗れた情報など何の役に立たん」

川澄「なんやねん上から!」

早家町「ええっと、じゃあ何を調べる……んですか?」

クロワ「ツムラと共に乗って動くかどうかが重要だ。これから全員に試してもらう」

川澄「え。試すて……」

クロワ「話がリカイできないのか? 死体と共に乗って動くか確認しろ」

川澄「わ、分かってたけども! キッツイなぁ……」

黒須「話は分かった。確かに必要かもしれないな。六波羅、都村の死体はもう大丈夫か?」

六波羅「はい。検死は済んでいます」

黒須「では実際に乗って確かめるぞ」

こうして検証が行われる事になった。
一人ずつゴンドラに乗り込み、操作できるか確かめていく。

問題なく検証は進んでいったものの……


無位「センセー、神風がいませーん」

黒須「何?」

四水「結構前から姿見えなかったけど」

ジーク「勝手にどこ行ったんだよアイツ……」

川澄「キジでも撃ちに行ったんとちゃうか?」

未々咲「え。神風クンってマタギだったの? てかこの島キジいるの!?」

佐山「……登山用語で小便を足しに行く事の意だよ」

未々咲「おトイレか!」

川澄「せや。よー知っとんな」

黒須「……まあいい。神風の体格なら、俺や佐山より軽いという事はないだろう」

佐山「そうだね。僕達が操作できなかった以上、彼も重量制限に引っかかるはずだ」

結局、神風君が図書館に戻ってくる事はなかったが検証は済んだ。
都村君と同乗して操作できたのは次の4人だけだ。


コトダマゲット!
【ゴンドラの重量制限】
ゴンドラには重量制限があり都村と同乗できるのは赤羽、早家町、未々咲、無位の4人。

図書館内での調査がほぼ済んだ事もあり、ほとんどの人は他の場所の捜査に向かったようだ。
現場には保全担当の二人が残っている。


佐山「………………」

六波羅「? 佐山君は他の場所に行かないんですか」

佐山「いや、今から向かうつもりだ。少し……違和感があってね」

赤羽「違和感でしょうか?」

無位君達と再度死体を発見した時にも感じたが……
こうして現場を眺めていると、やはり違和感がある。

襲われる前に見たあの衝撃的な光景を思い出す。
……大書架に囲まれ、月明かりの中で宙に浮く死体……


あの時と今の現場の状況には決定的な違いがある……?
だがその正体が掴めない。

佐山「……では。現場はよろしく頼むよ」

赤羽「お任せください。行ってらっしゃいませ佐山様」

気にはなるが、そもそもこの違和感が証拠になるとは限らない。
どんなに強く記憶に刻まれていても、あの出来事は無かった事になっているのだから。

さて、これからの捜査の方針をどうするか。
この第2の島の他の施設を調べるのも手だが……

偶然にも今日、犯行推定時刻の間に僕と未々咲君はこの島をすみずみまで探索している。
新しい発見は期待薄だ。他の人に任せておこう。

今はそれよりも、突如いなくなった神風君の事が気になる。
確か彼は死体の発見前に……

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ホテル施設の入り口を出た所で、前の道を誰かが通って行った。
こちらを見向きもせず全力疾走で駆けていく。

無位「……今の神風だったな」

川澄「ウチ、鳥目やからわからん……」

佐山「……ともかく図書館に急ごう」

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何かを知っているかもしれない。

直接彼に事情を聞くのが一番だが、今どこにいるのだろうか。
あの時駆けて行った方向はマーケットか空港だが……

《マーケット》


マーケットに来てみたが神風君の姿はない。
店内では十中井君、黒須君、未々咲君が捜査しているようだ。


十中井「……都村を吊るすのに使われたロープ。ここにあったもので間違いねえ」

佐山「他にマーケットから無くなっている物は?」

十中井「……気になるものはねえな。いくつかの生活用品と食品……それとラジカセ、くらいか」

未々咲「ラジカセって無位クンが持ってなかったっけ?」

そういえば夕方頃に無位君を見つけた時、傍らにラジカセが置いてあったような気がする。

黒須「ラジカセが事件に関係しているとは思わないが……どうしてそんなモノを?」

未々咲「音楽聞きたかったんじゃない? そうだ、ひどいんだよ無位クン」

未々咲「私のヘッドホンとレコーダー借りパクされかけたんだから!」

十中井「……そいつはひでえな」

黒須「全くあいつは。そういえば俺も今日……」

無位君の愚痴の言いあいが始まってしまった。
……身に覚えがない訳ではないが。

黒須「今日は公園の方でアーチェリーの練習をしていたんだ」

未々咲「お。隠し芸やる気になった?」

黒須「そういう訳ではないんだが。俺はこの島に来てから弓に触れられていない」

黒須「昨日の未々咲の話でマーケットにあるのを知って、勝手は違うが触ってみるのも良いかと思ってな」

佐山「それでアーチェリーの練習という訳か」

十中井「……矢も含めて道具はマーケットに一式揃ってるから、やってみたきゃ誰でも出来るぞ」

佐山「ふむ。考えておこう」

黒須「ともかくだ。公園の木に的を据えて射ていたんだが……」

黒須「……その最中に草むらから急に無位が飛び出してきた」

未々咲「ポケモンみたいだね!」

十中井「……矢は当たんなかったのか」

黒須「奴の羽織っている学生服を貫通したが、運良く体には当たらなかった」

黒須「あれは本当に肝を冷やしたぞ……。本人はへらへらと笑っていたが」

十中井「……大物だな。矢はジュラルミン製だからタダじゃ済まねえぞ」

佐山「それはいつ頃の事だろうか」

黒須「細かい時間は覚えていないが、昼過ぎから夕方までの間の事だ」

黒須「危ないから離れるように言ったら、その後どこかに行ってしまった」

未々咲「無位クンって結構、困ったちゃんだねー」

愚痴は一段落ついたらしい。
死亡推定時刻の出来事のようだが、アリバイになるとは言えないな。


コトダマゲット!
【ラジカセ】
マーケットの品。無位が持ち歩いていたようだ。

【矢】
マーケットの品。ジュラルミン製。

《ホテル》

神風君がホテルの方に戻っていないか確かめに来た。
ちょうど川澄君も調べに来たらしい。


川澄「佐山。何か発見あった?」

佐山「いいや、僕も今来たところだ」

川澄「美弥子ちゃんのコテージになんか残ってるとええんやけど」

佐山「ああ。…………」

都村君の持ち物からは呼び出しの手紙などは見つからなかった。
彼女は自発的に図書館に行ったのか、それとも既に犯人に処分された後なのか……

それと僕が受け取った怪文書。あれが他の人の手に渡った可能性は高い。
現場からは見つからなかったがコテージはどうか。

都村君のもそうだが、できれば全員分のコテージを調べておきたい。
時間は足りるだろうか……?

その時、コテージからある人物が出てきた。


クロワ「なんだ。オマエ達か」

川澄「クロワ? ってそこ男子のコテージやん。何やっとんねん!」

クロワ「捜査に決まっているだろう。もう終わったが」

佐山「! 既に全員分のコテージを調べたのかね」

クロワ「トーゼンだ。優秀だからな」

川澄「え、てか全員て。不法侵入やんか!」

クロワ「文句ならコイツに言え。コイツが認めた事だ」

その言葉を受けてクロワ君に続いてコテージから出てきたのは……

モノクマ「ちょっとちょっと。僕にクレーム対応を押し付けないでよ」

川澄「誰がクレーマーや!」

モノクマ「クロワさんがコテージを調べたいって言うんで解放しました」

佐山「なら話は早い。発見はあっただろうか」

クロワ「フン。気に食わないが証拠の信憑性を高めるためだ、教えてやる」

モノクマ「テンプレっすね!」

クロワ「なんだ」

モノクマ「おおっと、怖い怖い……」

後ずさるモノクマに鋭い視線を送ってから、彼女は話を続けた。

クロワ「結論から言う。まずツムラのコテージは特に発見はない」

川澄「ホンマか? 遺書があったりとかは……」

クロワ「二度は言わんぞ」

川澄「……ケチ!」

当然、都村君を呼び出すような手紙も無かったという事か。

クロワ「他のヤツらのコテージにも気になる物はほとんどない」

川澄「なんや。じゃあ無駄足やったんか」

クロワ「何を言っている。『ほとんど』だと言っただろう」

川澄「……なら最初からあるって言えや!」

佐山「……それでその発見とは」

クロワ「ムクライの部屋にこんな物があった」

佐山「これは……本?」

それは一冊の詩集だった。
奇妙なのはその本に一点、穴が開いている事。
無残にも穴は表紙の中央から裏側まで貫通している。

川澄「何があったらこんな風になるねん?」

クロワ「ワタシが知った事ではない。事件に関係するとも思えんしな」

佐山「この本はどうやら外国の詩集を邦訳したものらしい」

川澄「忘れとったけどアイツ、詩人やったな……」

……一応覚えておくか。


コトダマゲット!
【穴の開いた本】
無位のコテージに置いてあった。穴が貫通している。
外国の詩集を邦訳したもの。

クロワ「……コテージの発見はこんなところだ。それとオマエ達ならちょうどいい、聞きたい事がある」

クロワ「死体を発見したのはオマエ達だったはずだ。あのアナウンスはいつ流れた」

川澄「アナウンスって……あの死体が発見されましたー、ゆうやつ?」

佐山「僕達が発見した時に流れたが。…………!」

……そうだ。僕は襲われたあの時も死体を発見していた。
だが放送は流れていなかったはずだ。

佐山「モノクマ。あのアナウンスが流れるのには何か条件があるのかね」

モノクマ「ん? 死体発見アナウンスの事?」

モノクマ「条件って……まあ無いっていったらウソになるけども」

クロワ「何? どんな条件だ」

モノクマ「……死体発見アナウンスはあくまで捜査をスムーズに始めるためのものなんだよ」

モノクマ「特別な場合を除き、推理材料に使われるのは不本意なんですけども……」

クロワ「なら構わないだろう。ワタシは人間として特別だ」

川澄「エライ自信やな……」

モノクマ「強引だなあもう……そこがキライじゃないけども! まあこれくらいは言ってもいいか」

モノクマ「基本的には三人以上の人が死体を発見したら放送を流しています」

川澄「なるほど。じゃあウチと佐山と無位でちょうどやった訳やな」

クロワ「待て。ハンニンは死体を見ざるを得ないはずだ。発見者の数にハンニンは含まれるのか?」

佐山「それに三人とは、同時に三人の事か、それとも累積で三人見た時だろうか」

モノクマ「もう! 追及がエグいんだよキミ達は!」

モノクマ「……三人は累積三人。三人目が見たまさにその瞬間にアナウンスを流しております」

佐山「見た瞬間……? だがあの時は発見してから少し遅れてアナウンスが鳴った気がするが」

川澄「……あっ。それウチのせいかもしれん」

佐山「どういう事かね」

川澄「雰囲気怖かったのと、鳥目やからどうせよー見えんしウチ、あんまり前見いひんようにしててん」

川澄「アンタらの足見てついてってたんやけど。で、二人が止まって見上げてるから、ウチも視線追ったら……アレで」

川澄「確かにそん時にアナウンスが鳴ったと思うで」

モノクマ「ね? ウソじゃないっしょ?」

佐山「なるほど……」

モノクマ「ちなみに三人目が発見して流すってのはあくまで今回に限ってだからね。ここらへんは結構フレキシブルだから」

クロワ「ハンニンが発見者に含まれるのか教えろ」

モノクマ「……今回は含んでません! もう質問には答えないぞ!」

モノクマ「これ以上聞きたかったらモノクマの館を使う事!」

そう言ってモノクマは不機嫌そうに去って行った。


コトダマゲット!
【死体発見アナウンス】
クロ以外の三人が死体を発見した時に放送される。

【川澄の証言】
川澄が死体を発見し瞬間に死体発見アナウンスが流れた。

クロワ「引き出せる情報はこんなところか。おい、サヤマ」

クロワ「カミカゼには話を聞いたか?」

佐山「あいにく先程から探しているのだが。君は会ったのかね」

クロワ「いや。だがあのオトコは事件について何かを知っているはずだ」

佐山「! その根拠は?」

クロワ「……この事件は複数人の思惑と意思が絡んでいると考えられる」

クロワ「カミカゼも動機を背負っている以上、無関係ではあるまい」

佐山「………………」

川澄「動機て……致命的な真実っちゅうやつか?」

川澄「あ……そういえば。神風ならさっき砂浜で見たで。ボーっとしとった」

佐山「! それは本当か。なら……クロワ君、君はどうする?」

クロワ「カミカゼの話はオマエが聞け。ワタシは他を調べる」

川澄「やっぱ上からやなぁ……」

早速話を聞きに行こう。捜査時間も残り少ないはずだ。

《砂浜》


佐山「……神風君。話を聞かせてもらってもいいだろうか」

神風「うん? 佐山か」

川澄君が言った通り、砂浜には神風君が佇んでいた。
こちらに気づくといつもの調子で返答してくる。

神風「ちょうどよかった。探してたんだよ」

佐山「探してたというと、僕を?」

川澄君の話によるとボーっとしていたと聞いたが……

神風「うーん。まあ賢いヤツなら誰でもいいんだけどな」

佐山「?」

神風「オレ、さっきまで頭に血が昇っててさ。死体見たからってのもあるけど」

神風「だからここで冷やしてたんだよ。今はもう大丈夫だ」

佐山「……よく分からないが。君が捜査の途中にいなくなったのはそういう理由か」

佐山「それでどうして僕を探していたのかね」

神風「ああ。こういう事は隠すより、誰かに言っておいた方がいいと思って」

神風「実はオレ、今日図書館に呼び出されてたんだよ」

佐山「呼び出されたとは……一体誰に」

神風「わからん。これがドアの隙間に入ってた」

佐山「……!」

神風君が懐から取り出したのは手紙……いや。
切り抜かれた印字。そしてこの文章は。


……僕が受け取っていたあの怪文書だ。


神風「でもこれよくわかんないんだよな。オレはその、ザイニンって奴じゃないし」

神風「だから多分送る奴が間違ったと思うんだけど」

間違いない……僕が見た物と一言一句変わらない。
僕の代わりに神風君が受け取ったという事なのか。

佐山「……それで、怪文書を読んだ君はどうしたのかね」

神風「……もう一つ入ってたんだよ。その変な手紙」

佐山「もう一つ……?」

神風「文字の切り抜きが貼ってある手紙だよ。そっちは間違いなくオレ宛てだった」

佐山「そちらの怪文書の実物はないのかね」

神風「読んだ後、びりびりに破いてゴミ箱にぶち込んだ。さっき見たらポケットに切れ端だけ残ってたけど」

見せてくれた切れ端には切り抜かれた印字が貼ってある。
確かに同じだ。同一人物が用意したもので間違いないだろう。

佐山「……その内容は?」

神風「そっちも同じ時間に図書館に来いって書いてあった。あとオレの事が色々書かれてたんだけど……」

神風「……頭に来てさ。書いた奴をブッ飛ばしてやるつもりで、言われた通り図書館に行ったんだ」

神風「そしたら……見たんだ」

佐山「………………」

神風「布を被って天井から吊られた奴……」

神風「……あれは都村だったんだな」

佐山「……!」

神風「もうそん時の事は、色々混乱しててよく覚えてねえんだけど……」

神風「とにかくその後マーケットに行って、そこでアナウンスを聞いて図書館にもう一回向かったら全員集まってた」


……どういう事だ。

怪文書は二通あった、そしてどちらも神風君が受け取った。
そして神風君も死体を発見していた?
それも、僕達が発見するより前に。


コトダマゲット!
【二つの怪文書】
神風には二通の怪文書が送られており、どちらも夜中に図書館に呼び出すものだった。

【神風の証言】
佐山達が死体を発見する前に神風は図書館で死体を発見していた。

神風「とりあえずこれだけは言っとかなきゃと思ってさ。あとは……そうだな」

佐山「……まだこれ以外に隠している事があるのかね」

神風「うーん……。これは微妙なんだけど」

神風「俺が最初に見た時と、捜査の時の現場……なんか違う気がするんだよな」

佐山「! 違和感があると?」

神風「ああ。それがなんなのかはわからねえんだけど」

神風君も僕と同じように違和感を感じている……
やはり発見のタイミングによって現場には何か違いがあったのか。

佐山「……一つ聞きたいのだが。君は死体を発見した、そこまではいい」

佐山「だがどうしてその後マーケットに?」

僕達がホテル前で駆けていく神風君を見たのは、既に死体を発見した後だった事になる。

神風「さっきも言ったけど、そん時は頭に血が昇ってたからよくわからないんだ」

神風「なんでだったかな……。吊るされた都村の死体を見た時……」

神風「確かオレ、どうしようもねえと思って……」

『キーン、コーン……カーン、コーン』

                :
                :

モノクマ『ではでは。そろそろ捜査時間を終了します』

モノクマ『なんか捜査がすっごく長かった気がするけども……とにかく学級裁判!』

モノクマ『中央の島のモノクマロックの前に集合してくださーい!』

                :
                :


……終わってしまったか。

神風「よし。行こうぜ」

佐山「……ああ」


神風君の証言……それがどんな意味を持つのか。
そして信用できるかどうか、よく考えなければならない。

《モノクマロック》


ゴゴゴゴゴゴゴ……!


ジーク「毎回この演出やんのかよ……!」

無位「やれやれ。随分景気がいいじゃねえの」

早家町「やっぱり二回目でも不気味だなぁ……」


『ではエスカレーターに乗って、裁判所まで移動してください!』


アナウンスに従い、順にエスカレーターに乗りこんでいく。
一回目の時よりも躊躇う者は少ない。

前回の裁判を乗り越えた事で全員が覚悟を持ったのか……
それともこの異常な事態に感覚が麻痺してしまったのか。

全員が中に入ったところで、モノクマロックは降下を始める。
僕達が地上に戻るには、もう一度死線をくぐり抜けなければならない。

《裁判場》


モノクマ「ようこそ、学級裁判場へ!」

六波羅「この前から内装が変わっていますね……」

モノクマ「今回のモチーフはSF作品の秘密基地。まさにレトロと近未来感のハイブリッド!」

ジーク「まさか被害者を意識してやがんのか……?」

モノミ「外道でちゅ……。あいつは外道でちゅ……」

モノクマ「ちなみにモノミ縛っている鎖は前回の物と一緒です!」

早家町「扱いも低予算だ……」

各々、自分の名前が示された席に着く。

クロワ「待ちかねたぞ……裁判を」

赤羽「皆様。お手柔らかに」

川澄「うーん、正直まだ分からんなー……」

無位「まあ、なんとかなるだろ。気楽にいこうぜ」


……僕はあの時、確かに襲われて殺されたはずだ。


黒須「ふうううぅぅぅ……。気を静めるんだ!」

十中井「………………」

四水「準備はいいよ」

ジーク「オレはロッカーだ……。こんなモン乗り越えられる!」


それでもこの裁判席に立っている。
僕は変えられないはずの事実を変えてしまったのかもしれない。


六波羅「超高校級の罪人……。いや……」

早家町「あああ、やっぱり帰りたい……」

未々咲「皆で議論すればきっと大丈夫だよ!」

神風「とっとと始めようぜ」

佐山「………………」


僕がここにいるのは事件の真相を突き止める為。
それが変える事が出来なかった都村君の運命への、せめてもの償いだ。

心の内で決意を新たにする。



真実を見つけ出す────二度目の学級裁判。

[コトダマリスト]
【モノクマファイル】
被害者は都村美弥子。死因は頸部圧迫による窒息死。

【検死結果】
都村の首には手で絞められた痕跡が残っている。
死亡推定時刻は今日の昼前から夕方の間。

【図書館のゴンドラ】
大書架の壁面を沿うようにして移動する。行きたい所を入力すると動き出す。
パネルはゴンドラ自体に備え付けられており取り外す事はできない。

【ゴンドラの重量制限】
ゴンドラには重量制限があり都村と同乗できるのは赤羽、早家町、未々咲、無位の4人。

【シャンデリアの補助フレーム】
図書館のシャンデリアは落下防止の為、格子状のフレームに囲われている。

【大きな布】
被害者が被っていた。元々は図書館にあったソファーのカバー。

【ハシゴ】
図書館に用意されているハシゴ。大書架の上の場所までは届かない。

【ロープ】
被害者を吊っていたロープ。長さは吊られた高さから地面に届かない程度。

【切り抜かれた本】
図書館の机の上に置きっぱなしになっていた。本来は頂上付近の本棚に収められている。

【穴の開いた本】
無位のコテージに置いてあった。穴が貫通している。
外国の詩集を邦訳したもの。

【ラジカセ】
マーケットの品。無位が持ち歩いていたようだ。

【矢】
マーケットの品。ジュラルミン製のアーチェリー用の矢。

【二つの怪文書】
神風の元に二通の怪文書が送られており、どちらも夜中に図書館に呼び出すものだった。

【死体発見アナウンス】
アナウンスは犯人以外の三人が死体を発見した時に流されたようだ。

【未々咲の証言】
事件前日の夜、都村はモノクマの館を利用していた。

【川澄の証言】
川澄が死体を発見し瞬間に死体発見アナウンスが流れた。

【神風の証言】
佐山達が死体を発見する前に神風は図書館で死体を発見していた。

今回はここまで。お疲れ様でした
コトダマはダミーも含みます。修正する事があればリストを再掲します

次回更新は未定ですが、近い内に更新する予定です。
いよいよ二章裁判、よろしくお願いします

明日の夜頃に裁判編を始めます
よろしくお願いします

始めます

事件現場 簡略上面図
http://imgur.com/uQxIfen.jpg


【裁判準備】

コトダマリスト>>541

【発言力/集中力】……【 5.0 / 5.0 】

[発動スキル]
『明鏡止水』……集中力を1消費。閃きアナグラムの最初の一文字を解放する。
『延髄斬り』……集中力2消費。ノンストップ裁判、反論ショーダウンにて不要なコトダマを消す。
『対症療法』……集中力を3消費。一度間違えた問題を正解扱いにして進行する。
『お調子ストライカー』……論破に成功したり、正解の選択肢を選ぶと発言力が少し回復する。
『ロックシャウト』……一喝の際、多少のミスではダメージを受けなくなる。
『ラヴ・イリュージョン』……らーぶらーぶポイントがより多く手に入る。


【裁判場 席順】

            佐山  児玉×

      クロワ             十中井

    早家町                 未々咲

    ×都村                  ジーク

     神風                  赤羽

      四水               直木×

        無位           六波羅

            川澄   黒須
           
              モノクマ



異様な雰囲気の中、図書館で発見されたのは都村の死体だった。
致命的な真実、超高校級の罪人、そして怪文書……
事件の裏に隠された悪意とは?
存在するはずのない記憶を頼りに佐山は真相を突き止められるのか──。

【学級裁判 開廷!】


モノクマ「では、最初に学級裁判の簡単な説明をしておきましょう」

モノクマ「学級裁判では『誰が犯人か?』を議論し、その結果を投票によって決定します」

モノクマ「正しいクロを指摘できればクロだけがおしおきですが、もし間違った人物を指摘した場合は……」

モノクマ「クロ以外の全員はおしおきされ、クロだけにこの島から出る権利が与えられます!」

モノミ「くふぅ! 何度聞いても下衆いルールでちゅ!」

赤羽「あのう。この遺影はずっとここに置いておくのでしょうか」

裁判席には遺影が二つ増えている。
前回からあった児玉君のものに加えて、直木君と都村君の分だ。

赤羽「個人的にはその。亡くなった皆様のお顔を見ていると辛い記憶が甦るのですが……」

モノクマ「これも裁判の雰囲気づくりの一環だから。議論も捗るでしょ?」

ジーク「どこがだよ!」

四水「ケチつけるだけ無駄でしょ。とっとと終わらせて一刻も早く出た方がずっといい」

赤羽「その通り、ですね……」

黒須「さて議論をどう進めるかだが……」

六波羅「悩ましいですね。クロワさんは何か意見は?」

クロワ「好きにしろ。今はワタシが話す事はない」

未々咲「ホントに好きにしていいの? 好きな少女マンガの話とかしても!?」

クロワ「………………」

未々咲「無視されちゃった……」

早家町「そりゃそうだよ……」

六波羅「ええと、佐山君は?」

佐山「まず事件について発見時の事から確認していくのはどうだろう。全員の認識を一致させておきたい」

黒須「なるほど。ではその辺りから話を進めよう」

未々咲「オッケー! 変な事言ったらビシバシつっこんでね!」

十中井「……タフだな」


今回の事件が一体どういうものなのか……
全員が理解しない事には話は進まない。

[議論 開始!]

コトダマ>>541
【モノクマファイル】
【検死結果】
【死体発見アナウンス】


黒須「最初に発見したのは佐山、無位、川澄だったな」

無位「その通りだぜ。佐山の先導でさ」

六波羅「理由は説明できないんでしたね……まあ今は聞きませんが」

川澄「図書館に着いたらそのまま奥の大書架の間に行ったんやけど……」

川澄「天井のシャンデリアのフレームから、布を被った誰かが吊られてて……そん時【アナウンスが鳴った】んや」

四水「それが都村だった、って訳?」

ジーク「本当なんだろうな。オレ達が現場に着いた時、都村の死体は地上にあったぞ」

無位「ゴンドラを使って頂上まで行って、俺と川澄で死体を降ろしたんだよ」

無位「地上にいる佐山にも手伝ってもらってな。その時に布をはずして確認したってワケだ」

川澄「美弥子ちゃん、なんで【自殺】なんか……」


安価↓1~2 [【】を論破しろ!]

【自殺】←【検死結果】 正解!

佐山「それは違うのだよ」 論破!


佐山「残念だがそうではない。この事件は自殺ではなく他殺なんだ」

川澄「え……そうなん?」

佐山「六波羅君達の検死結果から分かる。都村君の首にはロープで吊られた事による索条痕以外にも……」

佐山「手で強く絞められた痕が残っている。誰かに危害を加えられたという明らかな証拠だ」

川澄「そっか。ウチ、最初に吊られてる時のイメージ強かったから勘違いしてたんや」

未々咲「じゃあそうなると、誰かが美弥子ちゃんを……死なせちゃったんだね」

六波羅「それは間違いないと思います。そういえばついでに聞きたいんですが」

六波羅「被害者が自殺の場合は誰に投票すればいいんでしょう。いやそれとも、最初から事件として処理されない?」

モノクマ「自殺というのは文字通り自分を殺す行為なのです。その時は被害者自身に投票すればいいのです!」

モノクマ「モチロン、自殺なのに他の人が選ばれちゃったら全員オシオキですけどね! うぷぷ!」

モノミ「ペンペン草も生えない展開でちゅ……鬼、悪魔、モノクマ!」

モノクマ「ヤダなあ。そんなに褒められたら照れるじゃないか!」

モノミ「褒めてまちぇん!」

六波羅「あの、もういいです……」

赤羽「検死から他に分かった事といえば、都村様の体が硬直していた事ですね」

赤羽「そこから推測するに、事件が起こったのは本日の昼前から夕方までの間なのだとか」

早家町「って事は犯人は都村さんを殺害した後、時間をおいてから図書館に吊るしたって事?」

十中井「……都村を布で覆っていた話といい、不可解な事をしやがる」

川澄「自殺にみせかける為なんやろか?」

六波羅「それは考えにくいと思いますよ。絞殺と縊死の違いは直ぐにわかります」

六波羅「犯人にその知識がなかったとしても、首から手の跡が見つかる事は分かるはずですから」

ジーク「……つー事はだ。犯人の候補は結構絞られたんじゃねーか」

未々咲「そうなの?」

ジーク「だって犯人はあの高所から都村を吊るしたんだろ。ならゴンドラを利用したはずだ」

ジーク「けどゴンドラには重量制限がある。確か都村と一緒に乗れた奴は……」

ジーク「赤羽、早家町、未々咲、無位……この4人だったはずだ!」

未々咲「え。つまりそれって……」

ジーク「ハッ、当然! クロもこの中の誰かだ!」

赤羽「まあ。わたくし達が、ですか?」

無位「やれやれだぜ。前回の事件、厨房にいた奴らが同じように疑われてたけど……」

無位「結局犯人じゃなかったの、忘れちまったのか?」

ジーク「前回は前回だろ。都村を吊るせたのはお前達しかいないんだ!」

未々咲「むっ……!」

早家町「それってどうなのかな。そうとも限らないと思うんだけど……」

ジーク「ああ!?」

早家町「ひっ! い、いやその……」

十中井「……おい。言ってみろ」

早家町「あ、あわわわわ……」

川澄「怖がらすなや十中井ー。カワイソウやん」

十中井「……わ。悪ぃ、そんなつもりはねえ」


犯人があの高所まで昇ったのは間違いない。
当然ゴンドラも利用したはずだが……検討しておくのも悪くないだろう。

[議論 開始!]

コトダマ>>541
【図書館のゴンドラ】
【シャンデリアの補助フレーム】
【ハシゴ】
【ロープ】


未々咲「そうとも限らないってどういう事? 《重量制限はウソっぱち》だとか?」

クロワ「そんな訳がないだろう……」

早家町「えっと。工夫すればボク達以外の人も死体を上に運べるんじゃないかと思って」

早家町「例えばなんだけど……まず都村さんの死体にロープを結びつけるんだ」

早家町「それで死体を地上に置いたまま、ロープの端を持ってゴンドラに乗る」

早家町「こうして頂上まで行った後に、ロープを引っ張って持ち上げれば……」

早家町「犯行は《可能》だと思うんだけど、どうかな……」

黒須「なるほど。先に頂上まで上がってから死体を運んだという訳か」

ジーク「ああ? どうなんだそれ……」

無位「ケチつける気はないけど、なんか《穴がある》気はするよな~」

四水「つけてんじゃん」


安価↓1~2 [《》に同意しろ!]

《重量制限はウソっぱち》←【ハシゴ】 不正解


重量制限の確認は大勢がいる場で行なわれた……そこに嘘はないようだ。

[発言力] 5.0 → 4.0


早家町君の推理は一見正しいが……
その犯行を成立させるには一連の手順で使う道具に条件がある。

一度手持ちの情報を見返すとしよう。


>>564
安価↓1~2 [《》に同意しろ!]

早家町君の推理の通りに犯行を実行したとすると……
あの『道具』は、少々足りない気がする。


>>564
安価↓1~2 [《》に同意しろ!]

今日はここまで。お疲れ様でした
次回までに正解があれば進行とします、難しく感じた時はスキルもご一考ください

明日か明後日の夜に更新予定です

始めます

《穴がある》←【ロープ】 正解!

佐山「それに賛成だ」
[発言力] 4.0 → 4.5


佐山「その方法を実行するには一つ問題がある。死体を吊るしていたロープ……」

佐山「正確に言うとロープの長さだ」

早家町「えっと……あ、そうか」

神風「なんか問題があるのか?」

佐山「ゴンドラに乗っている犯人は頂上に上がるまでロープを持っていなければならないが……」

佐山「ロープの長さは地上から頂上まで届かない。そうなれば途中どこかで必ず都村君の重量が加わる事になる」

早家町「実際には都村さんを縛る分の長さも必要だし、頂上まではどうしても足りないんだ……」

川澄「はああ、なるほど。重量制限に引っかかるワケや」

早家町「うーん、じゃあこの方法はダメみたいだね。ゴメン」

ジーク「不可能って事はやっぱり容疑者はこの4人……」

六波羅「……逆ならどうでしょうか」

ジーク「何?」

六波羅「死体を地上に置いて上がるのではなく、死体を先に頂上に送るんですよ」

佐山「……ふむ。なるほど」

川澄「え、ちょちょちょ。どういう事なん?」

ジーク「わかんねえよ、説明してくれ!」

六波羅「まず、犯人はゴンドラに死体だけを乗せて操作をします。これは重量制限に関係なくできるはずです」

六波羅「この時ゴンドラにロープを結んでおくんです。頂上まで昇った時に垂れ下がるように」

早家町「……ああそっか! 犯人自身はそのロープを手繰って昇ったんだ」

ジーク「ロープの長さが足りないって話はどこいったんだよ。どっちみち同じだろ?」

六波羅「地上からなら図書館のハシゴが使えます。問題は無いと思いますよ」

ジーク「ぐ……そうかよ」

黒須「この方法を使えば、4人以外にも犯行は可能だった事になるな」

赤羽「疑いは晴れたという事でしょうか。少し安心しました」

無位「やれやれだぜ。正義は勝つって事だな」

ジーク「こっちが悪みたいな言い方すんな!」

赤羽「疑われるのは仕方がない事だとは分かっていますよ、お気になさらず」

未々咲「疑いが晴れたのはいいけど……うーん、振り出しに戻っちゃったね」

四水「せめて少しでも犯人か安牌絞れる手がかりがあればいいんだけど」

川澄「安牌? あっ……」

川澄「それならあるわ! ウチら……ウチと佐山と無位は犯人ちゃうで!」

四水「理由は?」

川澄「だからアレやえっと……佐山!」

モノクマ「会話にアレが多くなるのは老化のはじまりだよ?」

モノミ「お魚を食べると記憶力がよくなりまちゅ!」

川澄「うっさい!」

佐山「……代わりに答えよう」

川澄君が言っているのは、あの事についてだろう。


安価↓1~2 [コトダマリスト>>541から証拠を提示しろ!]

【ロープ】 不正解


これは回答に相応しくないな。

安価↓1~2 [コトダマリスト>>541から証拠を提示しろ!]

【死体発見アナウンス】 正解!

佐山「これで示す」


佐山「発見者の僕達以外はモノクマのアナウンスによって事件が起きた事を知ったはずだ」

佐山「モノクマを問い詰めたところ、そのアナウンスには流れるタイミングがあるらしい」

モノクマ「佐山クンたらゴーインだったんだから。はあ、はあ……」

四水「続けて」

佐山「死体発見アナウンスは、クロ以外の累計三人が死体を発見した時に流れるんだ」

黒須「クロ以外の三人……ならば佐山達が発見してアナウンスが鳴ったという事は!」

川澄「犯人ちゃうって事や!」

六波羅「その話が本当なら、三人は候補からはずしてもよさそうですね……」

クロワ「………………」

佐山「………………」

ジーク「なんだよ、そのいかにもな沈黙は……」

佐山「いや。議論を続けよう」

死体発見アナウンスの流れたタイミング……
それによって候補は大分絞られる。


安牌ではなく、危険牌の候補が。

[議論 開始!]

コトダマ>>541
【未々咲の証言】
【川澄の証言】
【神風の証言】


早家町「川澄さん達は、三人で図書館に向かったんだよね?」

川澄「せや。もちろん【死体発見した時も一緒】やったで!」

赤羽「アナウンスが流れるのはクロの方以外の三名が死体を発見なされた時、という事でした」

モノクマ「間違いありません!」

赤羽「この条件を考えるならば、川澄様達が見た時に鳴ったという事は……」

無位「【俺達三人は白確定】って事さ。潔白、潔白」

モノクマ「このボクのボディーみたいにかな?」

モノミ「アンタは半分マックロじゃないでちゅか!」

未々咲「なんとなく納得いかないけど、そういう事なんだよね……」


安価↓1~2 [【】を論破しろ!]

人がいないようなので今日はここまで。
明日の夜にまた更新します

回答はまだまだ募集中です

始めます

【俺達三人は白確定】←【神風の証言】 正解!

佐山「そうとは限らない」 論破!


佐山「………………」

無位「なんだよ佐山。怖い顔しちゃってさ」

佐山「確かに僕達が発見したタイミングでアナウンスは鳴った」

佐山「だが……必ずしも僕達がクロではないという事にならないんだ」

無位「どういう事だ?」

佐山「発見者は他にもいるんだ。僕達よりも前に図書館で死体を発見した人物がね」

川澄「えっ!? 誰やねん?」

佐山「神風君だよ」

神風「……ん。あ、オレ? 何だって?」

ジーク「話聞いてろよ!」

四水「アンタが死体を発見してたってのは本当なの?」

神風「その事か。ああ、見たぜ」

神風「オレは図書館で、上から吊られた都村を見つけたんだ」

黒須「なんだと!」

川澄「なんで言わへんかってん!?」

神風「ゴメン」

十中井「……それで済んだら裁判いらねえぞ」

佐山「神風君は事件の夜に、誰かに図書館に呼び出されていたのだよ」

六波羅「しかしその話は本当なんですか? 証人か証拠がなければ信憑性は……」

クロワ「………………」


神風君の証言を信用できる根拠……
一つは彼の証言が襲われる前の僕の記憶と一致していた事だ。

だが他の人の視点ではそうはいかない。
きちんとした物証を示そう。


安価↓1~2 [コトダマリスト>>541から証拠を提示しろ!]

【二つの怪文書】 正解!

佐山「これが決め手だ」


佐山「……神風君には夜に図書館に来るように呼び出しの手紙が送られていたんだ」

佐山「それも……脅迫ととれる内容のものが」

神風「そうそう。オレのコテージのドアの隙間にあってさ」

黒須「脅迫だと!?」

未々咲「えええええ! 何それ!」

クロワ「………………」

四水「その手紙っていうのは今持ってるの?」

神風「ええっと……」

佐山「神風君」

懐を探ろうとした神風君を目で制す。

神風「はあ?」

……伝わらないか。
なるべく情報を隠したまま反応が見たいのだが……

クロワ「全員分のコテージの捜査中にそのオトコの部屋も調べたが……」

クロワ「確かに手紙を破ったと思しきものがゴミ箱に捨ててあった」

神風「えっ」

川澄「捜査の時アンタそんなんゆうてなかったやん!」

赤羽「クロワ様は皆様のコテージをお調べになったのですか?」

早家町「待って、発見者が他にいたっていう事は……」

黒須「それより脅迫の話だ! 一体どういう事だ?」

佐山「……!」


議論の場が混沌としてきた……
これは好機かもしれない。

神風君はまだ怪文書の実物を出していない……
【怪しい発言以外を一喝して黙らせる】事で、その発言の印象を強めてみよう。

[議論 開始!]

コトダマ>>541
【二つの怪文書】
【神風の証言】
【死体発見アナウンス】


赤羽「ええと。よくわからないのですが」

赤羽「神風様は【誰かに呼び出されていた】のですよね」

神風「ああ」

十中井「……手紙で呼び出された、そうだな?」

神風「ああ」

無位「そんでその内容は脅迫だったから素直に従ったと」

無位「しかし、【物を粗末にする】とはいただけない奴だな」

ジーク「図書館で死体を見たってホントかよ!? お前も【発見者の一人】なのか?」

神風「ああ」

早家町「うーん……? それは佐山くん達より【前に発見した】って事だよね」

神風「ああ」

早家町「佐山くん達と【合流はしなかった】の?」

神風「しなかった」

川澄「……返答がタンパクすぎるやろ!」


安価↓1~2 [【】を論破 or 一喝しろ!]

【誰かに呼び出されていた】【発見者の一人】【前に発見した】【合流はしなかった】 正解!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 佐山「その発言、待ってもらおうか!」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【一喝!】━━━━━



佐山「……無位君。今君はこう言った」

佐山「『物を粗末にするとはいただけない奴』……これはどういう意味かね」

無位「言ったっけ、そんな事」

十中井「……さっきの話だぞ」

無位「過去の事なんていちいち覚えてないさ、未来を見て生きていこうぜ」

佐山「未々咲君、会話の録音は?」

未々咲「録音? バッチリしてるよ!」

無位「そういえば言ってたわ」

黒須「お前……!」

未々咲「でも『物を粗末にする』? なんか突然な話題だね。そんな話してたっけ?」

無位「適当に喋ってると自分でもワケがわからなくなる時あるだろ?」

佐山「彼の発言は間違ったものではない。きっとこの事について言及していたんだ」


無位君が『粗末にする』と苦言を呈していたのは……

安価↓1~2 [コトダマリスト>>541から証拠を提示しろ!]

【切り抜かれた本】 正解!

佐山「これだ」


佐山「すまないが先程の説明は少々言葉が足りなかった」

佐山「神風君を呼び出した手紙は普通の手紙ではなく……」

佐山「文面がすべて文字の切り抜き、いわゆる怪文書だったのだよ」

未々咲「刑事ドラマとかで犯人がよく使うやつだ!」

六波羅「筆跡の特定を恐れてですか。用心深いですね……」

佐山「神風君の元にはその怪文書が二通届いていたのだよ」

無位「何だと? 二通だって!?」

佐山「……そして図書館にはその怪文書の作成に使ったと思われる本が置いてあった」

佐山「無残にもページのいくつかが切り抜かれた状態でね」

無位「………………」

川澄「あったあった。確かに物を粗末にするいけ好かんヤツやな」

無位「……そうそう、俺が言ったのはそれの事だよ。悪いな、混乱させちまって」

クロワ「モンダイは。オマエがその事を知っていたという事だ」

無位「おいおい、そんなに俺をオトボケキャラにしたいのか? 神風だけで十分だって」

クロワ「フザけるな!」

佐山「神風君。君は怪文書をもらった事を誰かに見せたり教えたりは?」

神風「いや? 佐山以外には見せてないぞ」

四水「……なるほど。そういう事」

佐山「無位君。君はこの怪文書について最初から知っていた、いや読んだ事があると言っていいだろう」

佐山「手紙の文面がすべて切り抜きであると知っていたのだから」

無位「……へえ」

未々咲「え……それってつまり?」



無位君は怪文書を実際に読んだ事がある……その事が何を示すのか。
彼の立ち位置と怪文書の意味──


────今ここで解き明かす。

【ロジカルダイブ 開始】


まずこの怪文書が誰に宛てられたものなのかを考えよう。

怪文書は二通あった。
文面から考えれば宛先は――


[Q1. 手紙は誰宛てに送られたものなのか?]
1.神風
2.超高校級の罪人
3.その両方


安価↓1~2

成功!


差出人は神風君と超高校級の罪人、二人に手紙を出したはずだ。
破られた怪文書の内容は未確認だが、神風君の言動から彼に宛てられたもので間違いない。


さて、その二人を呼び出した真意についてだが──


[Q2. 差出人が二人を図書館に呼び出した理由は?]
1.二人を殺害する為
2.二人に事件を起こさせる為
3.二人に事件を目撃させる為


安価↓1~2

不正解

[発言力] 5.0 → 4.0


……これは違うか。
殺害する目的ならば二人も呼ぶ必要はなかったはずだ。


差出人の目的は──


[Q2. 差出人が二人を図書館に呼び出した理由は?]
×1.二人を殺害する為
2.二人に事件を起こさせる為
3.二人に事件を目撃させる為


安価↓1~2

不正解 進行!


目的は都村君の事件を目撃させる事……?
いや。この怪文書にはそれ以上の悪意を感じる。


あの怪文書を受け取った僕の結末……
そして同じく受け取った神風君の様子についての証言を思い出してみよう。

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━━━━━━

神風「そっちも同じ時間に図書館に来いって書いてあった。あとオレの事が色々書かれてたんだけど……」

神風「……頭に来てさ。書いた奴をブッ飛ばしてやるつもりで、言われた通り図書館に行ったんだ」

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怪文書を受け取る事で神風君は我を忘れるほど激昂していた。
そして現実が変わる前に僕が襲われた時の状況から考えれば……

差出人は神風君に事件を起こさせて、コロシアイを引き起こそうとしたと推測できる。

つまり、あの時僕を襲った人物は……神風君。


だが実際には怪文書は二通とも神風君が受け取ったようだ。
この原因はおそらく──


[Q3. 神風が怪文書を二通受け取っていた理由は?]
1.差出人が間違えて二通送った
2.神風が罪人に送られた手紙を奪った
3.罪人が神風に手紙を押し付けた


安価↓1~2

成功!

神風君に送る事が既定事項だったなら、神風君にもう一通の怪文書を送ったのはもらった本人……
超高校級の罪人自身だ。それしか考えられない。

おそらく罪人は、怪文書から危機を察知しそれを誰かに押し付ける事で様子を見ようとしたんだ。
僕が一度受け取ったのもそれが理由……結果、差出人の思うツボとなってしまったが。

だが今回は、偶然にもそもそも怪文書を送られた神風君に押し付けてしまった。
そうして神風君は図書館に一人で行く事になり、差出人の思惑は外れた……という事か。


さて、これらの推理から分かる事……
無位君は一体何者なのか──


[Q4. 無位の正体は?]
1.手紙の差出人
2.超高校級の罪人
3.超高校級の善人


安価↓1~2

選択 3、2、3、2 完成!

佐山「推理は繋がった」


佐山「先程、僕は神風君が二通の怪文書を受け取ったと言った。その現物の片方は神風君が持っている」

黒須「見せてくれ。一体どういうものなんだ?」

神風「いいよ。ほら」

神風君が怪文書を手渡す。

川澄「何が書いてあんの?」

黒須「…………。これは!」

六波羅「……超高校級の、罪人……」

佐山「書いてある通りだ。その手紙は超高校級の罪人に向けて書かれたもの……」

佐山「そして無位君。先程の反応、君は怪文書が二通存在する事までは知らなかったようだね」

無位「………………」

佐山「その文書の内容を知る事ができるのは手紙の差出人か超高校級の罪人だけ」

佐山「……よって彼の正体が導き出される」



佐山「無位君。君の本当の才能は……『犯罪』」

佐山「君こそがあのパーティーで毒を仕掛けた【超高校級の罪人】だ」

今回はここまで。ありがとうございました
次回更新は今日か明日の夜を予定してます

私情で遅くなりました
今から始めても中途半端なところで終わりそうなので明日の夜に延期します、申し訳ないです

始めます

クロワ「この場に黙秘など存在しない。オマエがその怪文書を知っていた理由が他にあるなら言え」

無位「………………」

六波羅「無位君が超高校級の罪人……」

未々咲「え、え、え。それって本当なの!?」

神風「よくわかんねえけど。……悪いヤツって事なのか」

佐山「確証まではない。だが少なくとも何らかの思惑はあるはずだ」

佐山「彼は間違いなく怪文書を見た、そして神風君に押し付けその事実を隠していた」

ジーク「もし罪人なら……毒殺未遂事件もコイツが!?」

早家町「ほ、本当に無位くんが……?」

無位「そうだよー」



 「「「………………」」」



川澄「軽っ!」

早家町「えええ……」

黒須「ぐっ……! ふざけているのかッ!」

十中井「……冗談じゃ、済まされねえぞ」

無位「これでも真剣だって。佐山の言う事に間違いはないぜ」

無位「才能は犯罪。この俺、無位流一はしがない罪人さ」



━━【超高校級の罪人】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


         『無位 流一 / ムクライ リュウイチ』


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黒須「お前は自分の才能を偽っていたのか!」

無位「人聞きの悪い事言うなよ。詩人と罪人なんて一文字違いだし同じようなもんだろ?」

赤羽「あのう。そんな事はないと思うのですが……」

未々咲「アヤシイと思ってた。だってレコーダー盗んだし!」

ジーク「テメーが毒を入れやがったのか……! 覚悟はできてんだろうな!」

川澄「カズさんはアンタのせいで疑われたんや!」

無位「おいおい、確かに毒は入れたけど児玉に罪を被せたのは俺じゃないさ」

クロワ「なんだと?」

無位「俺は誰かに罪を被せるなんて事はしない」

無位「いるんだよ。俺の犯行の一部始終を見といて、その罪を児玉に被せた奴が……」

ジーク「ハア!? ワケわかんねー事言ってんじゃねえ、テメーが……」

六波羅「……待ってください。一旦過去の事件や彼の素性の話は置いておきましょう」

六波羅「今は都村さんの事件について議論するべきです」

川澄「せやかて……!」

無位「そうそう。それにあの事件じゃ誰も被害は出なかったじゃないか」

無位「大した事じゃないってそんなの!」

ジーク「テメーが言うな!」

四水「……六波羅に賛成。前の事件の事はこの裁判が終わった後に尋問すればいい」

四水「この裁判でそいつが死ぬ可能性もあるけど」

無位「それ俺がクロって事じゃん、冗談キツイぜ~」

佐山「君はあくまで自分が都村君殺害の犯人ではないと主張するのかね」

無位「そりゃそうだ。お前の推理通り、確かに俺はあの手紙を受け取り神風のコテージに押し付け……」

無位「皆の間でウワサになってた時の人、超高校級の罪人」

佐山「………………」

無位「けどそれがどうした? 俺は事件を起こすどころか脅迫されてたんだぜ」

無位「そして結局呼び出しには応じなかった。疑う要素がどこにあるんだよ」

川澄「あれ? よく考えれば……確かにそういう事やんな」

無位「俺は今日、図書館に近づきもしなかったんだ。都村を殺して吊るすなんて出来っこないって!」

佐山「……なるほど、よく分かった」

佐山「君の話はまったく信用ならないという事が」


彼は今日一日図書館には行かなかった……
それが偽りだと推理できる根拠がある。


安価↓1~2 [コトダマリスト>>541から証拠を提示しろ!]

【穴の開いた本】 正解!

佐山「これで証明する」


佐山「無位君。君のコテージからこんな物が見つかった」

佐山「外国詩集の書籍、もちろん図書館の物だ」

無位「今日図書館に借りに行ったって言いたいのか? いやあ、それは借りっぱなしのまま返すの忘れてて……」

佐山「この詩集には奇妙な事が一つある。残念な事に貫通した穴が開いているんだ」

無位「それはだな。テーブルの高さ調整に脚を置いたら抜けちまって……」

赤羽「まあ、随分鋭いテーブルを使われているのですね」

川澄「な訳あるかい!」

佐山「この穴を開けた人物、実は既に察しがついている」

その人物とは……


安価↓1~2 [怪しい人物を指定しろ!]

黒須 正解!

佐山「この人物が鍵を握っている」


佐山「今日の犯行推定時刻、黒須君は公園でアーチェリーの練習をしていた」

佐山「その最中、君が急に乱入し、危うく矢がかすめたそうだね」

無位「あったなーそんな事。黒須君、人を危険に晒すなんて精進足りないぞ」

黒須「自業自得だろうがッ!」

佐山「……続けるが。その時の事を黒須君はこう言っていた」

佐山「『無位君の羽織っている学生服を貫通した』……とね」

モノクマ「貫通って……なにやら淫靡な響き!」

モノミ「そう!?」

四水「待って。矢が貫通した……?」

佐山「お気づきの通りだ。本の穴はその時に空いたと考えられる」

佐山「矢と本の穴の大きさを比較すれば確認できるだろう」

無位「ひょっとしたらもしかしてまあそういう事なのかもな……」

未々咲「認めたよ! 絶対そういう事だよ!」

黒須「ぐ。知らなかったとはいえ公共物を傷つけてしまうとは……!」

佐山「君は公園にいた時に本を持ち歩いていた。返す事を忘れていたなど嘘八百だ」

ジーク「この野郎、ロックじゃねえ真似しやがって……」

無位「犯罪者が嘘をついて何が悪いんだよ」

ジーク「開き直ってんじゃねーよ!」

佐山「犯行推定時刻の間に君は図書館に行った可能性が高い。そして……」

佐山「死体発見アナウンスが鳴ったタイミング。それはある事実を示している」

未々咲「事実って?」

佐山「はっきり言おう。僕は君がこの事件のクロだとみている」

無位「なんだと……」

赤羽「一体どういう事なのでしょう。佐山様達が犯人ではないから、アナウンスが流れなかったのでは……」

早家町「あ、それは。その前に神風くんが吊られた都村さんを見てるんだ」

早家町「だから三人の中にクロがいてもアナウンスは鳴る可能性はあるはず……」



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

無位「ツマラナイ推理だな」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【反論!】━━━━━



無位「アナウンス? タイミング? 俺を犯人にしたけりゃ指紋付きの血まみれナイフでも持ってきてくれよ」

佐山「……被害者は絞殺されているのだが」

無位「それだけで俺をクロにするのは無理があるって話さ」

無位「そんなツマラナイ証拠には何の意味もない……そうだろ?」


確かに彼が犯人だと決定付けるにはまだ足りない……
だが彼の反論を切り返せれば、事実は明らかになるはずだ。

[反論ショーダウン 開始]

コトノハ>>541
【ラジカセ】
【矢】
【川澄の証言】
【未々咲の証言】


無位「大体そのアナウンスの条件って話が本当だとして……」

無位「俺だけが犯人って話にはならないじゃないか」

無位「あの時、吊られた死体を【三人一緒に見た】んだぞ?」

無位「先に神風が発見していたんだとしても……」

無位「4人の内【誰が犯人かは分からない】だろ!」


安価↓1~2 [【】を論破 or 助太刀 or 一閃しろ!]

【三人一緒に見た】←【川澄の証言】 正解!

佐山「その言葉、斬らせてもらおうか」 論破!


佐山「死体発見時、僕達は一緒に死体を見た訳ではないのだよ」

佐山「厳密に言うと……同時ではなかったのだ。川澄君」

川澄「せや。死体を見るの、ウチが最後やってん!」

無位「なんだって……?」

佐山「彼女は現場の雰囲気や不安から、俯きがちに僕達の後を着いてきていたそうだ」

佐山「よって吊られている死体に最初気づいていなかった」

無位「やれやれだぜ。関西人は嘘をつかないって法則でもあるのかよ」

川澄「なんやとコラぁ!」

佐山「この事実はモノクマから言質をとっている。彼女が三人目の発見者で間違いない」

モノクマ「あらま。ボクそんな事言っちゃってましたねえ」

未々咲「それじゃあ! 神風クンが見たのに、佐山クンと無位クンでアナウンス鳴らなかったのって……」

佐山「無位君はクロの最有力候補という事だ」



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

無位「それは違うぞ!」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【発展!】━━━━━

[反論ショーダウン 開始]

コトノハ>>541
【ラジカセ】
【矢】
×【川澄の証言】
【未々咲の証言】


無位「それは虫が良すぎるんじゃないか、佐山」

無位「川澄が違うのは分かったけど、お前だってクロの候補じゃないか」

無位「俺とお前、【条件は同じ】……」

無位「そんな事を言うんだったら俺だって主張させてもらうぞ?」

無位「この事件の犯人は……佐山、お前なんだってな!」


安価↓1~2 [【】を論破 or 助太刀 or 一閃しろ!]

助太刀 未々咲 正解!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

佐山「君なら証明できる」

未々咲「佐山クンに賛成だよ!」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【助太刀!】━━━━



佐山「君にとっては残念な事だが。僕にはアリバイがあるのだよ」

無位「……イヤミな言い方してくれちゃって」

六波羅「説明してくれますか。現時点では彼の言うとおりキミも怪しいです」

佐山「簡単な事だ。事件推定時刻の昼前から夕刻までの間、僕と未々咲君は行動を共にしていた」

未々咲「そうそう。そういえばそうだったよ!」

早家町「なるほど。未々咲さんと一緒だったなら……あれ、それって」

ジーク「なんでお前ら一緒にいたんだよ?」

無位「デキちゃってる系的な?」

赤羽「まあ……」

川澄「まさかコレか? コレなんかー!」

十中井「……落ち着け」


……不本意だったが、という事を最初に付け加えておくべきだったか。
いやどうでもいい。

モノミ「うふふ。こんな状況でちゅが、生徒達がらーぶらーぶしてくれる事は素直に嬉しいでちゅ!」

未々咲「え、全然違うよ。探し物を手伝ってもらってたんだ」

無位「ホントかよ。とか言いつつも~?」

未々咲「無位クンが私の物盗んだから探してたんじゃん! いい加減怒るよ!」

黒須「そういえばそんな話を聞いたぞ。ともかく同行していたのは事実で間違いないんだな?」

未々咲「うん!」

佐山「ここでもう一度考えてもらいたい。死体発見アナウンスの条件と流れたタイミングを」

神風「……そういう事か。ここまでくれば流石にオレでも分かったぞ」

佐山「神風君が死体を発見した後、僕達三人が遅れて発見した」

佐山「川澄君が見たタイミングでアナウンスは流れ、かつ僕はクロではない」

佐山「では……残る一人は何者だろうか」

無位「……ッ!」

佐山「当然、この事件のクロしかいない。それが君なんだ、無位流一君」

無位「……ハ、ハハハハハ」

無位「………………」

空笑いを響かせた後、彼は真上を向いた。
全てを諦めて天を仰ぐように。


四水「……黙った?」

黒須「無位、お前……」

川澄「どうなんや! アンタが犯人……!」

無位「……クッ」

こちらを見ないまま、呟き出した。

無位「俺は、ケンカを売る相手を間違ってたのかもしれないな」

佐山「……犯行を認めるのかね」

無位「ああ……負けさ。俺の、負け……」



無位「なーんちゃって」



佐山「!」

彼の顔がこちらに向けられる。
その表情は……普段と何一つ変わらない、平静そのものだった。


無位「そんな結末、ツマラナイとは思わないか佐山?」

佐山「……真実は真実だ。それ以上でもそれ以下でもない」

無位「いーや違うね。だって……明らかに神風の話には矛盾があるからな!」

神風「……え。オレぇ?」

六波羅「今度は神風君が犯人と主張する気ですか?」

無位「そこまでは言ってないさ。けど犯人が俺でも佐山でも川澄でもないなら……」

無位「最初に見たっていう神風の話がそもそもおかしいんだ。それしかない」


神風君の証言に逃げ道を求めてきたか……
だが元々は彼から言い出さない限り隠れていた証言だ。
犯人だろうとそうでなかろうと彼が嘘をつく理由はない。

神風「オレ嘘なんか言ってねえぞ。お前みたいな奴じゃないし」

無位「やれやれだぜ。俺は嘘ついていいんだよ、犯罪者だから」

神風「マジか? いいのかよ」

無位「けど俺は悪い犯罪者じゃないよ。少なくともこんなツマラナイ事件は起こさないさ」

十中井「……毒仕込んどいて、何言ってやがる……!」

ジーク「言ってる事ムチャクチャじゃねーか!」

クロワ「一応聞く。カミカゼの証言のムジュンとはなんだ、言ってみろ」

無位「ホントはお前だって気づいてるんじゃないか? だってどう考えたっておかしいだろ」

クロワ「………………」

無位「神風は俺達より先に死体を発見した、そうなのかもな。じゃあそれなら……」

無位「なんで神風は吊られた死体をそのままにしたんだ?」

佐山「……!」

無位「都村は布に覆われて吊られていたんだ。そんなのを見たら普通はするよな」

無位「ゴンドラ使って、死体を降ろして誰が死んでるのか確認するくらいはさ……」

早家町「た、確かに……無位くんの言うとおりだよ!」

川澄「ウチらが発見した時、美弥子ちゃんは吊られたままやった……!」

神風「………………」

川澄「神風は死体降ろしてないんや! なのになんで現場から離れてもうたん!?」

神風「それは……」

佐山「神風君が現場から離れた理由……!」

確かに気になっていた……気になってはいたが!
彼自身もその事はよくわからないと証言していた。

だがそれは嘘……だったのか?

……冷静になろう。思い出すんだ。
彼はなんと言っていた……?


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佐山「だがどうしてその後マーケットに?」

僕達がホテル前で駆けていく神風君を見たのは、既に死体を発見した後だった事になる。

神風「さっきも言ったけど、そん時は頭に血が昇ってたからよくわからないんだ」

神風「なんでだったかな……。吊るされた都村の死体を見た時……」

神風「確かオレ、どうしようもねえと思って……」

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どうしようも、ない……?



佐山「っ! まさか……」

無位「……多分だけど、納得いく答えは一つしかないと思うぜ」


……神風君が都村君を放置して現場を離れた理由、それは。

安価↓1~2
1.都村を降ろす事が出来なかった
2.犯人だから逃げた
3.他の人を呼んでくる事を優先した

選択 1 正解!

佐山「…………ッ!」


佐山「神風君が吊られた都村君を放置したのは……やむを得なかったから」

ジーク「そんな訳ねえだろ! お前らだって、まずはゴンドラ使って都村降ろしたんだろ?」

佐山「……だから。彼にはそれが出来なかったのだよ」

ジーク「ハァ?」

神風「あ。そうか……思い出したぞ」

佐山「当時、現場ではゴンドラが使えなかったのだ」

佐山「既に頂上まで昇っていたから」

六波羅「え……」

佐山「ゴンドラは頂上に位置していた。だから、神風君には昇る術がなかったんだ」

神風「ああ。だからオレ、どうしようもねえと思ってマーケットまで探しに行ったんだ」

神風「登る道具とかないかと思って」

早家町「降ろせなかった、って……」

クロワ「………………」

川澄「ま、待ってや。なんでゴンドラが上にあったんや?」

無位「当然誰かがゴンドラを使ってたんだろ。それも……」

無位「都村を吊った張本人、犯人がさ」

未々咲「え……えええええっ!?」

四水「それって……」

無位「ここでもう一度考えてみようぜ。神風が発見した話と俺達三人が図書館に行くまでの事」

佐山「………………」

無位「まず神風が怪文書に呼び出されて、図書館で死体を発見した」

無位「その時、犯人はゴンドラに乗って頂上にいたんだ」

無位「どうしようもなかった神風はマーケットに向かう事にした。なんとか降ろそうとしたんだな」

無位「そして、だ。ホテル前の道で神風は走っている姿を目撃される……」

神風「……うん? オレでも気づいたけどなんかおかしくないか」

無位「それを目撃したのは、誰だったかなー」

佐山「くっ……!」

川澄「ウチと佐山と、無位……! でもおかしいやん!」

川澄「犯人は図書館におったんやろ? 神風より先にホテルに戻るなんて無理や!」

無位「ってことは俺は犯人じゃないって訳だ。めでたしめでたし」

ジーク「クロじゃねえって嘘だろ……! 何が起こってやがる!?」

黒須「だが……無位の主張に決定的にはおかしい所が見つからないぞ!」

六波羅「考えにくい事ですが、都村さんを吊るした人物と殺害した人物が別だった場合は?」

クロワ「それはアリエナイ。死体発見アナウンスの条件がある」

クロワ「その場合、吊るしたヤツもトウゼン発見者に含まれるはず。後にカミカゼが発見していたなら……」

クロワ「カワスミが発見したタイミングでアナウンスが鳴った事実がムジュンする」

六波羅「……なるほど」

佐山「アナウンスの矛盾は実際でも起きている。この事はどう説明するのかね」

無位「もちろん神風がクロなんだろ」

神風「……違う。オレは殺してないし嘘はついてない」

無位「くくっ。じゃあ神風が見たのは……都村の亡霊だったんじゃないか?」

神風「亡、霊……?」

無位「それなら、俺と佐山と川澄で死体を発見してアナウンスが鳴ったって事で何も問題はない」

佐山「何……!」

無位「だから言っただろ。そんなツマラナイ証拠、意味は無いってな」


どういう事だ。
神風君の証言によって犯人の候補は4人に絞られた。
だが……


神風君の証言を信用した場合、クロは神風君しかいなくなる。
証言自体が自白に等しいものとなってしまう……



……僕はまだ理解できていないのか。
この事件の本質を。



【学級裁判 中断!】

今回はここまで。ありがとうございました

次回は裁判後半、真犯人は誰なのか。
長さは前半よりも短くなるはずです

次回更新は25日の夜を予定。
もし書き上がったら今日の夜に更新します

今日は無理なので予定通り25日に更新します

夜に急用が入ったため明日の夜に延期します、申し訳ない
土日で終わらせます

こんな時間ですが少しでも進めておきます

【学級裁判 再開】



川澄「問題ないて……無位は完全に無罪放免なんか!?」

無位「誤解が解けて嬉しいよ。冤罪っていうのはこの世で最も憎むべき罪……」

無位「みつお君がそう言ってたしな」

未々咲「無位クンの言葉じゃないんだ!」

四水「……無位を犯人だと仮定すると矛盾が起きるのは確か」

四水「今の時点では、神風の話が間違いだったって結論が現実的」

ジーク「おいおいおい……! 冗談じゃねえぞ!」

神風「……うーん。オレは確かに図書館に行ったし吊られてるのも見た。嘘はついてない」

早家町「でも矛盾が起きてるんだけど……」

神風「わかった。今はオレの話気にせずに裁判やってくれよ。じゃないと進まないだろ」

六波羅「……止むを得ませんね。目撃者は神風君しかいない訳ですし、裏の取りようがありません」

黒須「ぐっ! ここまで来て振り出しか……!」

モノクマ「まったく、こういう事があるからアナウンスを推理材料にしないでって言ってるのに」

モノクマ「アナウンスは事件に直接関係してる訳じゃないんだから!」

佐山「………………」


……僕は神風君と同じものを一度見ている。
だから彼の証言に嘘がないだろう事も分かっている。
それでも生じる矛盾……か。


僕と神風君が目撃した事、もしくは無位君が披露した推理のどこかに偽りが含まれている。
だがそれを突き止めるには今は足りない。

新しい情報が出てくるまでは……

無位「さーて、これからどうするね? 残念な事に裁判は終わってないんだぜ」

ジーク「お前が仕切んな!」

未々咲「うーん、それじゃあまずは……結局、今までの推理ってどこからが間違いでどこまでは合ってたの?」

四水「少なくとも神風の話は一旦保留」

佐山「何者かが無位君と神風君に怪文書を送ったのは事実だろう。物証がある」

ジーク「……じゃあ都村を殺したのもそいつなんじゃねえか?」

ジーク「呼び出しの場所には都村の死体があった。こんなの偶然とは思えねえよ!」

未々咲「うーん……。無位クン達の呼び出しって美弥子ちゃんの事件に関係あるのかなー」

ジーク「ハア? あるに決まってるだろ」

未々咲「でも事件が起きたのは昼で、呼び出しは夜でしょ? 別の人がやってたっておかしくないよ」

ジーク「なんだよ。じゃあ無位達の呼び出しと都村の殺害は偶然両方起きたってーのか!?」

未々咲「きっとグーゼンだよ。そういう事もあるにはあるんじゃない?」

ジーク「ねえよ!」

モノミ「水かけ論になってまちゅー!」

六波羅「……一つ気になる事があります。神風君が呼び出されたのは、おそらく致命的な真実によるもの」

六波羅「無位君が呼び出されたのは、さっき自身が言及してましたが……」

無位「ああ、俺は館に行ってないぞ。だから犯行がバレてるとしたら目撃されてたのは間違いない」

無位「そしてそいつは、極悪非道にも俺を脅迫しやがったのさ」

黒須「お前がそれを言うか……!」

赤羽「人を呪わば穴二つ、という事でしょうか……」

六波羅「ともかく二人が狙われた理由については判明しました。ですが……」

六波羅「肝心の都村さんには、二人のような狙われる動機がないように思えるんです」

赤羽「ちなみに、都村様のご遺体から怪文書のようなものは見つかりませんでした」

クロワ「コテージを捜査したが意味のあるモノはなかったぞ」

川澄「んん……? じゃあ犯人が美弥子ちゃんを狙ったんはたまたまなんか?」

佐山「……いや。そんな事はないと思うよ」


都村君が狙われた動機……あの事が関係している可能性が高い。

安価↓1~2 [コトダマリスト>>541から証拠を提示しろ!]

【未々咲の証言】 正解!

佐山「これで示そう」


佐山「都村君がモノクマの館を利用していたとしたら。彼女が狙われる動機は存在したと言える」

早家町「え、モノクマの館って……まさか致命的な真実?」

赤羽「都村様も神風様と同じように、誰かにそれを知られていた、と?」

黒須「馬鹿な。館の利用は控えるように言ったはずだ!」

未々咲「美弥子ちゃん……何か思いつめてたみたい。昨日の夜、館から出てくるの見たの」

十中井「……穏やかじゃ、ねえな」

黒須「何故そんな事を……。一体何を聞いたんだ?」

六波羅「館の利用……それを見たのは未々咲さんだけでしょうか」

未々咲「うん。質問した内容とかは教えてくれなかったけど」

佐山「都村君が狙われた動機があるとすれば、致命的な真実の可能性が高い」

モノクマ「書いて字の如く、致命的! まさしくそんなビックリドッキリな秘密ですからね!」

佐山「……彼女の秘密が誰に配られたのかは、結局のところ不明だが」

赤羽「あのう。都村様の身の回りからは特に証拠は見つかりませんでした」

赤羽「実際にお亡くなりになった現場はわかっていませんが……」

赤羽「個人を狙うのであれば、普通現場に誘き出すようなお手紙等が残っているのでは?」

佐山「証拠が見つかっていない以上推測を立てるしかない。犯人は口頭で都村君を呼び出したか、一人の時を狙ったか……」

佐山「もしくは既に犯人が証拠を回収したと考えるのが自然だろう」

赤羽「ああ、なるほど。そうかもしれませんね」

クロワ「ロクハラ。その事実を踏まえてどう考える」

クロワ「ツムラの殺害と、ムクライ達の呼び出し。二つの事件は一人のクロによるものか」

六波羅「……先程も言いましたがこれらの事件を同一人物が行ったにしては、まるで一貫性がありません」

六波羅「二人を呼び出した事件はかなり綿密に計画されたものと見受けられますが……」

六波羅「一方で都村さんの死因は絞殺。その後の工作はともかく、犯行自体は衝動的、突発的な事件の可能性が高いです」

六波羅「加えて事件を同時に起こすメリットも分かりません。別人による独立した事件とみるべきかと」

川澄「はあ……さっすがプロファイラーやな。今の説明聞いたらそうとしか思えへんわ」

六波羅「あまり信用し過ぎないでください。犯罪者の思考はボクなんかが量りきれるものではないですから」

無位「犯罪者ってやつはどいつもこいつもナイーブなあんちくしょうだからな」

十中井「……そうは、見えねえ」

クロワ「フン。その結論が出た以上、やるべき事は一つしかない」

クロワ「ツムラが殺された時間帯、場所……それをできるだけ絞り、クロを特定する」

クロワ「夜に起きた呼び出しは本件とはムカンケイだ。それをアタマに刻み込んでおけ」

早家町「む、無関係って……そんなのありなの?」

神風「わかった」

早家町「わかっちゃったよ、当事者なのに……」

川澄「ええんかそんなん? 明らかに起きた事件をスルーて……」

無位「ほらほら議長、どうなんだよ?」

黒須「ッ! ふうううぅぅぅ……」

黒須「……わかった、クロワの意見を採用しよう。昼前から夕方にかけての事を議論するぞ!」

いくばくも進んでませんが今回はここまでで。
今日の夜にもっと早い時間から始めます。
次回裁判終了までいく予定です

始めます

黒須「まずは……都村の死亡時刻の特定だな。今朝の時点ではマーケットに来ていたのは確認している」

未々咲「昨日の事があったから、二人で確認しようって言ったんだ」

六波羅「その時に都村さんを見たのは、黒須君一人ですか?」

十中井「……俺もその時にいたから、覚えてるぞ」

六波羅「なるほど。では他に都村さんの目撃情報はありますか?」

それぞれ互いに顔を伺うが声は挙がらない。

川澄「ないみたいやな。なら次は美弥子ちゃんが吊られた時間か?」

早家町「それは、確か神風くんが図書館に行った時なんじゃなかったっけ。つまり夜……」

クロワ「フン……ムクライの推理が正しければな」

無位「合ってるといいねえ」

ジーク「他人事かよ……」


朝に目撃された以降の情報はないか。
だがそうなると……

佐山「先程、未々咲君と探し物をしていたという話を覚えているだろうか」

神風「うーん……。ああ、覚えてるぞ」

川澄「ホンマかいな……」

佐山「その時僕達は、死亡推定時刻の昼前から夕方の間、二番目の島のすみずみまで調べていた」

佐山「だが結局成果は無く、何も見つからなかった。…………」

佐山「少しおかしいとは思わないか」

神風「いや?」

未々咲「ぜんぜん!」

佐山「…………いいかね。僕達が捜索している時間帯に、犯人は都村君を殺害した」

佐山「ならその死体は、一体どこに置かれていたのか」

六波羅「……調べていた、というのはどの程度までの事を言っているんですか?」

佐山「無位君を探していた事情もあって、隠れられそうな場所も含めてすべてだ」

未々咲「うんうん、テッテー的に探したよね」

未々咲「あれ? それじゃあ犯人が美弥子ちゃんを二番目の島に隠してたら……」

佐山「僕達が見つけていた、または犯人と遭遇したはずなんだ」

四水「なら最初の島か中央の島で殺害して隠してたって事……」

六波羅「ですが犯人は図書館に死体を運んでいます。夜間とはいえ、かなり人目につくと思うんですが……」

川澄「あ、ウチ夜時間ギリまで出歩いとったけど、特に変な奴は見いひんかったで」

無位「同じくだ。出歩いてる奴は何人かいたけど、大きな荷物持ってるヤツは見なかったな

早家町「じゃあ犯人は一体どこで事件を起こして、どこに都村さんを……?」

クロワ「……サヤマ。本当に捜索時に見落としはなかったのか」

佐山「………………」


今日の出来事を思い出す。
確か無位君を探していた時……

……あの場所はまともに調べていなかったはずだ。


安価↓1~2 場所名を指定

図書館 正解!



佐山「今思い出したが、図書館はほとんど調べていなかった」

未々咲「あ……確かにそうだったかも!」

ジーク「図書館って都村が吊られてた現場じゃねえか! どうしてそこだけ……」

佐山「図書館には既に早家町君がいた。無位君が来ていないか、聞き込みだけ済ませてその場を後にしたんだ」

早家町「ああ、あの時のはそういう事なんだ。それで急いでたんだね」

早家町「でも死体が置いてあったら流石に気づくと思うけどなぁ……」

赤羽「確かに図書館には、完全に身を隠せるような場所はありませんものね」

無位「早家町が犯人で事実を隠してるってのは?」

早家町「い、いやいやいや! そんな事しないって!」

クロワ「……だが少し気になる。ムクライの推理のウラを取る意味でも図書館に行った奴らの話が聞きたい」

早家町「え……えええええ!?」

クロワ「フン、カンチガイするな。ツムラを吊るしたのは夜だったという推理の方だ」

クロワ「図書館に行った、何者かが入るのを見た、どいつかが行くという話を聞いた……」

クロワ「この際なんだろうと構わん、知っている奴は情報を言え」

川澄「やっぱ上からやな……まあええわ。ウチ、午後にユニティーと図書館行ったで」

佐山「……ユニティー?」

赤羽「わたくしの事です。本を探すのを手伝ってもらったんです」

赤羽「その時は特に気になるものは無かったはずですが……死体なんてもってのほかです」

川澄「図書館にはウチらだけ……いや、誰かおったような気するな。誰かはわからん」

赤羽「そういえば図書館に入る前、早家町様が出て行かれるのを見ました」


黒須「昼時に俺も図書館に行ったぞ」

黒須「中には誰もいなかったはずだ。当然おかしなものは見ていない」

黒須「一人で行ったのだが出ていく時、早家町と入れ違いになったな。軽く挨拶をして別れた」

黒須「その後は公園でアーチェリーの修練を行っていたな」


無位「まあ、お察しの通り俺も行ったよ。昼くらいかなあ」

無位「たまには詩人らしい事しようと思って詩集借りたんだ。枕に丁度良かったぜ」

無位「その後出てった後、黒須君に台無しにされちまったけどな……」

無位「特に気づいた事はないぞ。終始一人だったし」

無位「ああ、そういえば入る前に十中井が中から出てくるのを見たな」


十中井「……昼前くらいか。読める物がないか、探してただけだ」

十中井「……誰にも会ってねえし、発見は、特にねえ」


早家町「確かに図書館には行ったけど……事件なんて起こさないよ!」

早家町「ええと、入る時に黒須くんに会って別れて……」

早家町「途中、佐山くんと未々咲さんが来て。でもすぐ行っちゃって」

早家町「キリの良い所で帰ったよ。別に何も見なかったし何も起こらなかった」

早家町「一人で行ったけど……。あれ? そういえば他に誰かがいた気もする」

クロワ「……情報はこのくらいか」

ジーク「黙ってる奴もいるかもしれないけどな。犯人とかよ……」

六波羅「やはり日中は、死体は吊るされていなかったようですね」

未々咲「現場は図書館じゃなかったのかなー。アヤシイと思ったんだけど」

六波羅「そうなると死体を隠した場所は図書館ではなく……」

佐山「………………」

……なんだ。
何かが引っかかる。


本当に、図書館には──




無位「あったんじゃないのか? 都村の死体」

佐山「……!」

川澄「へ? 今なんて……」

無位「だからさ。図書館に都村の死体があったんじゃないか」

黒須「い、いや。だが誰も見ていないという話だったんだぞ」

無位「そりゃあ犯人が隠したからな。そして誰も気づかなかったのさ」

赤羽「あのう。図書館には身を隠せるような場所は無かったと思うのですが……」

無位「……俺、なんとなくわかるんだよな」

無位「俺ならここはこうやるけど、犯人はどうしてここにこれを残したのかとか……」

無位「犯罪者の心理なら、多少はな?」

佐山「……?」

六波羅「……どういう事ですか。都村さんの死体は図書館に隠されていたと?」

佐山「図書館に、隠れられるような場所……」


もう少しで閃きそうだ……
誰も気づかない、いや『見たとしても』気づけなかった隠し場所──



[閃きアナグラム 開始]

【都村の死体が隠されていたのは?】
○○○○ (4文字)

 ち さ い だ む
 ど ん ほ ご ら

安価↓1~2

ゴンドラ 正解!

佐山「そういう事か……!」


佐山「ある条件下では隠し場所として機能する。そういう場所があったのだよ」

佐山「図書館のゴンドラ……そこに都村君の死体があったのかもしれない」

ジーク「ゴンドラぁ? そんな場所に死体があったらすぐに分かるだろ!」

早家町「……あ、そっか。ある条件下ってもしかして……」

佐山「ゴンドラが頂上に位置していた場合なら。角度の問題で地上からは乗っている人物が見えないんだ」

ジーク「なっ……? 頂上に!?」

四水「それって……犯人は都村を殺した後、ゴンドラに乗せて移動させたって事?」

佐山「そういう事だ。上から見ない限り発見されるおそれがない」

佐山「そして地上からはこう見えるはずだ。『誰かがゴンドラを使っているのだ』、とね」

四水「確かに死体が乗ってるとは気づかれない……か」

クロワ「……そういう事か」

そして……もしこの推理が正しかった場合。



佐山「……ところで、君に聞きたい事がある」



あの人物の発言には、どうにも解せない部分がある。
……そしておそらくそれは、この裁判という場で僕達が追及すべき人物──


安価↓1~2 [怪しい人物を指定しろ!]

黒須 正解!

佐山「君がこの事件の──」


佐山「黒須君。君はさっきの証言で……」

佐山「『図書館に入ったが、誰もいなかった』。そう発言していたと記憶している」

黒須「ああ……。間違いないぞ」

佐山「……だが一方で」

佐山「その後間を空けず図書館を訪れた早家町君、そして川澄君と赤羽君はこう証言している……」

佐山「『他にも人がいた。誰かは覚えていない』と」

黒須「…………。何が言いたい?」

佐山「彼らが、目撃したのは、頂上に位置するゴンドラだったんだ」

佐山「だからこそ誰かがいるとは思ったが、その人物が分からない。曖昧な証言になってしまった」

佐山「……君はどうして断定できたのかね。ゴンドラの上には誰もいないと」

黒須「………………」

佐山「僕の予想を言おう。君はあらかじめ知っていたのだよ」

佐山「ゴンドラに乗っている人物は既に生きていない、という事を」

早家町「え……まさかそれって黒須くんが!」

十中井「……犯人って、事、なのか……?」

川澄「あ、ありえへんやろ。よりによって黒須が……」

黒須「ッ……!」

未々咲「嘘……。ま、待ってよ!」

未々咲「本当は……黒須クンはゴンドラの部屋に行ってなくて、見落としただけなんじゃ!」

佐山「だが……」

黒須「……前言を撤回するつもりはない」

佐山「!」

未々咲「えっ……」

彼は力強く発言を返した。

黒須「俺が行った時、図書館には誰もいなかった。間違いない」

神風「じゃあなんで、早家町達の話と違うんだ? その……誰かがいるっていう」

黒須「……それは俺にも分からん。早家町が、誰かが入ってくるのを見落としたのかもしれないし、ゴンドラの誤動作かもしれない」

早家町「そ、それは……?」

黒須「そもそもだ。犯人がゴンドラに死体を隠した、などというのは推測に過ぎない」

黒須「証拠や根拠など……何も無いだろう!」

佐山「……!」

無位「あーあ、犯人扱いするから怒っちゃった。しかもなかなか痛い所つくじゃないか」

六波羅「……確かに死体の隠し場所について確かなものは提示されてません」

六波羅「その発言だけで犯人と決めるには無理があるように思います」

クロワ「証拠、もしくは根拠……何かないのか!」

佐山「………………」

……先程無位君が死体の隠し場所に気づいた時、彼はなんと言った?


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━━━━━━

無位「……俺、なんとなくわかるんだよな」

無位「俺ならここはこうやるけど、犯人はどうしてここにこれを残したのかとか……」

無位「犯罪者の心理なら、多少はな?」

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━━━━━━━━━━━━
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これは早家町君達の証言が決定打になったというよりはむしろ……


……そうか。
あの『犯罪者』が残した証拠……あれが根拠になるかもしれない。


安価↓1~2 [コトダマリスト>>541から証拠を提示しろ!]

【切り抜かれた本】 正解!

佐山「これが示していたんだ」


佐山「僕達は捜査中に怪文書の制作に使ったと思われる本を発見した」

佐山「切り抜かれた、海外書籍の邦訳本を」

川澄「それって、無位が罪人ってバレるきっかけになったヤツや!」

無位「おい、俺の恥話を掘り返さないでくれよ」

赤羽「しかし……その本が何か関係するのでしょうか」

佐山「問題は、この本が発見された事。それ自体だ」

赤羽「発見自体が……ですか」

佐山「手紙の差出人は、筆跡の事まで考慮に入れるほど慎重な人物だ」

佐山「だがこんな証拠になるような物を机の上に無造作に置いていた」

六波羅「……そういう事ですか。差出人は本を戻す事が出来なかったんですね」

神風「うん? どういう事だ?」

六波羅「邦訳本など、日本語で書かれた書籍は大書架の高所の棚にあったんです」

六波羅「差出人は怪文書を作り、材料に使った本を元の場所に戻す際に」

六波羅「ゴンドラが頂上にあり、そして待ってみても降りてくる事がなかったとしたら……」

未々咲「美弥子ちゃんが……美弥子ちゃんの死体が乗ってたからって事……?」

六波羅「それで、隠す事は諦めて机に置いてしまった……と考えられます」

無位「逆に言えば、それ以外の理由はなかなか考えられないのさ!」

無位「犯罪者にとって、証拠を残すなんて事はな……」

黒須「何だと……!」

佐山「目撃者の話、そしてこの本からゴンドラに死体が乗っていた可能性は十分にある」

佐山「その時に矛盾するのは……君の証言なのだよ、黒須君」

黒須「……ッ! ふうううぅぅぅ……」



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

黒須「説破ッ!!」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【反論!】━━━━━



黒須「何を言っているんだ佐山……そんな事はありえないと分かっているだろう!」

佐山「………………」

黒須「お前の推理にはいくつにもおかしい事がある! お前自身も気づいているはずだぞ!」


そうだ……
彼を犯人だとした場合、発生する矛盾がいくつかある。
だが彼の発言の食い違いは看過できない……

気圧されてはいけない。
彼の反論に主張をぶつけ、真実を研ぎ澄ます……!

[反論ショーダウン 開始]

コトノハ>>541
【ラジカセ】
【矢】
【ハシゴ】
【ロープ】
【大きな布】


黒須「都村の死体がゴンドラに【隠されていた】……?」

黒須「馬鹿な! 何故犯人はそんな事をする必要がある!」

黒須「誰にも【見られていない】のなら殺害後……」

黒須「すぐに【現場を離れればいい】だけだ!」

黒須「俺が……都村を、【殺した】など……!」


安価↓1 [【】を論破 or 一閃 or 助太刀しろ!]

一閃は一喝の反論バージョンですね
やり方と使い時は一喝と同じです

再度安価を

安価↓1~2 [【】を論破 or 一閃 or 助太刀しろ!]

【隠されていた】【見られていない】【殺した】 進行!

[発言力] 5.0 → 4.5


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 佐山「それは問題にならない!」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【一閃!】━━━━━


佐山「犯人が都村君を隠した理由は説明がつけられる」

佐山「図書館内からは外の様子が見える。犯行後、誰かがこちらに向かってくるのに気付いたなら……」

佐山「咄嗟に死体を隠そうとしてもおかしくはない!」

黒須「くっ……」

佐山「……推理を進めるなら犯人は最初、死体と共に上に昇って隠れようとしたはずだ」

佐山「だが犯人は重量制限の事には気づいていなかった可能性が高い」

佐山「動かないゴンドラにあせり、自分が降りた所でゴンドラが動き出してしまった……」

佐山「だからこそ、死体だけが頂上に行ってしまったのではないか!」

黒須「……ッ!」

黒須「……そこまで言うならば聞かせてもらうぞ!」

黒須「死体を乗せたゴンドラが頂上にあったとしたら、決定的な矛盾がある!」

佐山「……!」

ジーク「決定的な矛盾だって……?」

黒須「いいか。犯人がゴンドラに都村を乗せて移動させたのなら……」

黒須「その後、ゴンドラを降ろす事はできないはずだ」

無位「そりゃそうだな。操作する奴が死んでるんだし」

黒須「だがお前達は目撃したと言ったはずだ。高所から吊られた死体を!」

川澄「……あ!」

黒須「犯人は……どうやって都村を吊るすというんだッ!!」

六波羅「それは……確かにそうです!」

早家町「ゴンドラが頂上にあったら、誰も昇れない……!?」

神風「えーと……でも裁判の最初の方でゴンドラなしで昇る方法、誰か言ってなかったっけ」

六波羅「……それにはゴンドラにロープを固定して垂らす必要があります。ですが……」

黒須「図書館に行った他の者もそんな発言はしていなかった……そうだな!」

早家町「は、はいぃ!」

ジーク「じゃ、じゃあゴンドラを使って死体を隠したって話、根本的におかしいじゃねーか!」

佐山「ぐっ……!」

クロワ「……クロスの反論は想定していた。だからこそ先程から別の方法を考えていたが……!」

神風「つまり、わかんないのか」

クロワ「……黙っていろ!」


ゴンドラは頂上に位置していた、その推論は間違っていないはずだ。
だが彼は何らかの方法で都村君を吊るした……
ゴンドラを使わずに、頂上にまで昇った……!


考えるんだ。全ての方法を、全ての証拠を、一つしかない真実を。


彼が頂上に昇る為に使った『道具』は……!


安価↓1~2 [コトダマリスト>>541から証拠を【二つ】提示しろ!]

【ロープ】【矢】 正解!

佐山「見つけた……答えを!」


佐山「犯人は頂上に昇る為にゴンドラではなく別の道具を使ったんだ」

佐山「それが……アーチェリー用の弓矢とロープだ」

黒須「何……!」

佐山「方法は単純だ。矢にロープを括り付け、それを高所に向かって射ればいい」

佐山「矢を固定させて、ロープを頼りに登る……それならば頂上にまで行く事ができる」

川澄「弓矢いうたらそんなん……!」

未々咲「黒須君は、弓道家……」

クロワ「……いや。アーチェリーの道具はマーケットにあった。射るだけなら誰でも出来る」

クロワ「それに……」

黒須「……ッ! ふざけるな!」

黒須「弓矢を射て固定させると言ったな! そんな事が果たして出来るのか!?」

佐山「────ッ!」

この感覚は──

黒須「弓矢は発射位置から距離が長くなるほどその威力は落ちる……」

黒須「地上から高所に向かって射たところで、何かに固定できるほど深く刺さるはずがない!」

無位「自分だけの知識を披露するのはナシだぜ。そんなのやってみなきゃーわかんないって」

佐山「いや。彼は嘘を言っていない……と思う」

だが彼はどうやって矢を固定させた?
何に向かって矢を射たのか……

神風「刺さんねえなら、引っかければいいんじゃ? こうひょいって」

川澄「あんなぁ。都合よく天井に鉄棒とかあるワケちゃうねん」

赤羽「逆上がりをしようにも、ちょっと高すぎますね……」


引っかける……?
……そうか、彼にならこの方法で……!


彼が狙って矢を射た『的』とは……

安価↓1~2 [コトダマリスト>>541から証拠を提示しろ!]

【シャンデリアの補助フレーム】 正解!

佐山「全て解けた……!」


佐山「天井に鉄棒はないが、シャンデリアならあった」

黒須「それを狙ったとでも言うつもりか! そんなもの……」

佐山「そして……その補強フレームも」

黒須「……ッ! 補強、フレーム……!」

佐山「シャンデリアの補強フレームは格子状……そしてかなり頑丈に作られていて安定している」

佐山「犯人は矢の中央部分にロープの端を巻きつけて、フレームの格子を狙って射たんだ」

佐山「矢が穴を通れば、ロープの反対側から引っ張っても……」

佐山「矢がフレームにつっかえて、固定される……!」

黒須「くっ、ぐ……!」

早家町「でもあんな高所にある小さい穴、ロープを巻きつけた矢を通すなんて相当難しいんじゃ……」

佐山「……彼ならば出来る。彼の『才能』なら……」

早家町「えっ?」

クロワ「……まさか。超高校級の才能を犯行に……!」

佐山「超高校級の弓道家である黒須君ならば、その極小の隙間を狙って射る事が出来たのではないか」

黒須「………………」

川澄「ど、どうなんそれ。いうて弓道とアーチェリーってちゃうんちゃうか……?」

ジーク「つーか人間業じゃねーぞ、そんなん……!」

黒須「……その程度の事が出来ない腕なら、最初から希望ヶ峰に入学していない」

佐山「!」

彼の目からまだ闘志が消えていない……!


黒須「……認めよう。俺は高所にあるゴンドラにも上る事が可能だった」

黒須「それでも俺は犯人ではない! そして……」

黒須「その事を証明しているのはお前自身なんだ、佐山!」

未々咲「! 佐山クンが?」

佐山「……いいだろう。君の主張を聞かせてくれたまえ」

黒須「………………」

黒須「ふうううぅぅぅ……」


そうか……
彼が真犯人だと主張するにはもう一つ答えを出す必要がある。

……これが最後の解答だ。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

黒須「作麼生ッ!!」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

[パニックトークアクション 開始]


黒須「神風の目撃証言……忘れたとは言わせん!」

黒須「神風は一度、吊られた死体を見ているんだぞ!」

黒須「そして死体発見アナウンスのタイミングは、4人の中に犯人がいると示している!」

黒須「……神風が犯人でないならばその証言の意味はなんだ!」

黒須「まさか……死体以外のものを見たとでもいうのか!?」

黒須「亡霊を見たなど、二度は言わせんぞ……!」


黒須「神風は……一体何を見たと言うんだッ!!」


安価↓1~2【キーワードを完成させろ!】

              ス
              △

        ヤ□        ○クロ

              ×
              ハイ

クロスハイヤ 正解!

佐山「これが僕の解答だ」



佐山「夜、犯人は都村君を吊るす為に弓矢を持って図書館を訪れた」

佐山「その犯行の途中、こちらに向かってくる神風君を見つけてしまったんだ」

佐山「図書館には隠れる場所がない。だが残された時間はわずか……」

佐山「……そこで犯人は変装する事にした」

黒須「……!」

佐山「ソファーカバーを被り、ロープを途中まで昇る事で……首吊り死体の姿を装ったのだよ」

黒須「ぐっ……!」

佐山「神風君……。彼が見たものは一つしかない」

佐山「『亡霊』の正体は──君だ、黒須君」

黒須「ぐ……おおおおおっ!!」

四水「……もう矛盾はなさそうだね」

ジーク「マジ、かよ……。黒須が……」

ジーク「お前……言ってたじゃねーかよ!? 事件を防ぐってよ!」

黒須「……っ!」

未々咲「なんで……。どうしてなの……?」

六波羅「……今は。この議論を終わらせましょう」



佐山「……最後にこの事件を振り返る。間違った所があれば正して欲しい」

佐山「これが事件の全貌だよ」

[クライマックス推理 開始]


《Act.1》
事件が起こったのは昼。
現場である図書館には被害者の都村君と犯人の二人がいたんだ。
その二人の間で何が起きたかは分からない。
だがその結末は、犯人が都村君の首を絞めて殺すという凶行だった……

《Act.2》
都村君を殺害した犯人は、図書館に向かってくる早家町君の存在を察知した。
身を隠す為、ゴンドラで高所まで上ろうとしたが……ゴンドラには重量制限がある。
二人で乗る事で重量がオーバーし、ゴンドラが動作する事はなかった。
あせった犯人が降りると……
死体を乗せたゴンドラだけが、頂上に移動してしまったんだ。

《Act.3》
ともかく窮地を凌いだ犯人。
だが犯人には、頂上に上って都村君を降ろす必要があったと思われる。
おそらく都村君が自分に繋がる証拠を持っていた……例えば、呼び出しの手紙だろうか。
そこで犯人はある方法を思いつく……

《Act.4》
夜、人気のない時間帯にある道具を用意して図書館に向かった。
それが……アーチェリー用の弓矢とロープ。
これを組み合わせ、補強フレームの格子に通す事で上ろうとしたのだ……!
そして犯人は難なく高所の的に矢を通し、トリックを完成させた。

《Act.5》
だがここで不測の事態が起きる。
今度は、呼び出された神風君が図書館に向かってきていたんだ。
矢を通したものの、上りきる時間はない。犯人が取った行動は……
ソファーカバーを被りロープを上る事で、首吊り死体として認識させたんだ!
わざわざ都村君に布を被せて吊るしたのも、この目撃の辻褄合わせの為だったのだよ。


これらの犯行が可能な人物、その答えは既に出ている。
これ程までに弓矢を正確無比に扱える者こそが犯人……


それが君なんだ──【超高校級の弓道家】、黒須灰谷。


COMPLETE!

佐山「……以上だ。反論があるなら述べたまえ」

黒須「………………」

黒須「……ふうううぅぅぅ……」

佐山「……!」

黒須「……っ、…………」

黒須「…………見事だ、佐山」


モノクマ「うぷぷ、議論の結論が出たようですね。それでは投票タイムと参りましょうか!」

モノクマ「では、オマエラはお手元のスイッチを押して、投票してくださーい!」

モノクマ「投票の結果、クロとなるのは誰なのか!?」

モノクマ「その答えは……正解なのか不正解なのかーッ!?」

モノクマ「うぷぷぷ!それではいきましょう!投票ターイム!」



━━【VOTE】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

               ジャラララララ……


             ┃クロス┃クロス┃クロス┃


              チャララララララララ……!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ダン!


【学級裁判 閉廷!】

今回はここまで。ありがとうございました!

今回の裁判は色々推理が飛躍してたような気もします、すみません。
質問意見感想あればどうぞ。今日は無理かもしれませんがなるべく答えます


次回更新日は未定、水曜以降を目途に更新します

乙です、黒須は予想外だった…好きだったから悲しい
あと、クライマックス推理で黒須クンの名前誤字になってます…


黒須と無位の掛け合いもっと見ていたかった
トナカイも何も見てないって言ってたけどそっちはスルーで良かったのか
弓矢の話があるなら確かに黒須だけど…

お待たせしてすみません、今日の22時頃から更新します

レスくれた方ありがとうございます

>>738
灰矢でしたすみません。一発変換ミス…

>>739
他の方も既にレスしてくれてますが、十中井が来た時点では都村の死体はありませんでした。
ちなみに証言者の来た順番は

十中井→無位→黒須、都村→早家町→赤羽、川澄

となっています


モノクマ「正解せいかーい! 今回の事件で都村さんを殺したクロは……な、なんと!」

モノクマ「黒須灰矢クンなのでしたー! 正解者に拍手!」

黒須「………………」

ジーク「テメっ! マジかよ……」

早家町「……っ、うう……!」

川澄「ホンマなんか……。ホンマに黒須が美弥子ちゃんを!」

未々咲「どうしてなの!? なんで、なんで黒須クンがそんな事……」

佐山「……君の動機を説明してもらえるだろうか」

黒須「………………」

誰とも視線を合わさず、遠くを見るような目で彼は答えた。


黒須「この世には生きていてはいけない人間がいる」

赤羽「……はい?」

黒須「もはや償う事すら許されない、それ程までに罪深い人間がいる」

黒須「都村は……その一人だった」

赤羽「………………」

未々咲「都村ちゃんが悪者だから殺したっていうの……?」

神風「なんでだよ。オレは都村が悪いヤツだなんて一度も思った事ないぞ」

黒須「俺は都村の『致命的な真実』を受け取った。書簡でな」

未々咲「! 致命的な真実……」

モノクマ「あ、ボクが送りましたハイ」

六波羅「やはり動機はそれでしたか……」

懐から何かを取り出す。
どうやらその実物を裁判場に持ってきていたらしい。

黒須「……見てみるといい」


広げた手紙には次のような内容が印字されていた。


━━【超高校級の特撮マニア、都村美弥子の衝撃的真実!】━━━━━━━━━


都村美弥子の正体は、世界を混乱に陥れた超高校級の絶望の一員!
彼女は、狂気的とも言える特撮作品への情熱から、
作品内のあらゆる道具、兵器、必殺技を現実に再現する事を試みていたのである!

そんな彼女の『再現』は超高校級の絶望の下で実を結び、
世界中を地獄に叩き落とす為の研究に一役買った。

その成果の一つが『U-ウイルス』とも略される、『ウルトラン・ウイルス』!
強い感染力と高い致死率を誇るこのウイルスは、ウルトランの必殺技の一つを再現したもの。

発症初期は比較的軽い症状を見せるが、気づいた時には手遅れ!
感染者は正義のヒーローに倒される悪役怪獣のように、惨めに無様に死に至るのである!
まさに原作の必殺技を完全に再現した、彼女の最高傑作といえよう。


行け、戦え、ウルトラン! すべての希望を討ち倒すその日まで!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

佐山「…………!」

超高校級の絶望。
その言葉を見た瞬間、体の奥から込み上げてくるものがあった。

これは……嫌悪感だ。


クロワ「……なんだこれは」

早家町「U-ウイルスって……この前モノクマが殺人ウイルスって言ってたあの?」

早家町「都村さんがそれを作ったって事!?」

モノクマ「書かれてある通りですよ。U-ウイルスは都村さんが主導となって超高校級の絶望が作ったの!」

赤羽「確か、あの時のお話ではウイルスの蔓延も危惧されているという事でしたが……」

十中井「……ついてけねえ」

六波羅「超高校級の絶望……聞きなれないですが、文面から読み取るに何らかの組織を指しているんでしょうか?」

モノクマ「ま、そんなとこっすねー」

佐山「………………」

モノミ「ちょ、超高校級の絶望は*■◎☆でちゅ! 〇×#□なんでちゅ!」

モノクマ「ネタバレ禁止って言ってるだろ! おバカー!」

モノミ「あううぅぅ……!」

黒須「……ともかくこれで分かっただろう」

黒須「都村がどんなに周りに被害をもたらした人間かを!」

無位「それは無いんじゃないか、黒須」

黒須「……なんだと?」

無位「都村が何やったのかは知らないけどさ。前回の裁判でお前は直木に言ってたじゃないか」

無位「『罪のある者を殺す事が許されるなどとは思っていないだろうな』、ってさ」

黒須「っ……、…………」

無位「意志や信念がコロコロ変わる、そんな器用な奴じゃないと思ってたんだけど」

黒須「……そうだな。さっきのは随分と都合の良い物言いだった」

黒須「動機は……個人的な怨恨だ」

未々咲「怨、恨……」

川澄「……っ、大体そんな紙切れを信じる事ないやん!」

川澄「美弥子ちゃんがマニア魂でウイルス再現したとかなんとか、冗談にしか聞こえへんて!」

黒須「………俺だって嘘だと思いたいさ」

黒須「そんな下らん理由で、アヤとサヤが苦しんだんだと思うとなッ!」

佐山「!」

黒須君が裁判席に拳を叩きつけた。
その衝撃には有無を言わせない迫力と怒気が込められていた。

黒須「………………」

川澄「……っ、なんやねん……」

モノクマ「それではボクから説明しましょう。彼と都村さんの因縁を!」

空気にそぐわない明るい調子で話し出すモノクマ。
彼は一瞬睨みつけた後、勝手にしろとでも言わんばかりに鼻を鳴らした。

モノクマ「黒須クンの家族は父親と母親、そして少し歳の離れた二人の妹がいたのです」

モノクマ「それが黒須文(くろす あや)さんと黒須鞘(くろす さや)さん」

モノクマ「父親が早くに他界した事もあり、黒須クンは兄として父親代わりとして二人に慕われていたのです」

未々咲「その子達に何があったの……?」

モノクマ「二人が小学生の頃、超高校級の絶望はあるウイルスを完成させました。それがU-ウイルス」

モノクマ「その効果を確かめる為、絶望はウイルスを試験的に国内の一部地域にばら撒いたのです!」

無位「あー、大体察しついたぜ」

モノクマ「そう、黒須クンの妹達もそのウイルスに感染しちゃったんだ! パンデミック!」

早家町「ボクがそのウイルスの事を聞いたのは海外にいた時、だから……」

早家町「まさか日本でだったなんて……!」

黒須「……俺が知っている限りでは、U-ウイルスで人が亡くなったなんて話を聞いた事は無かった」

黒須「由来も治療法も不明、なぜか名前だけが知られている謎の病……」

黒須「症状も軽微で……。だが妹達の容態は徐々に悪化していき一向に良くならなかった……」

モノクマ「そうだよ、だってそういう病だもの。じわじわ苦しめて怪獣を殺すっていう原作のコンセプトよ?」

黒須「……ッ、…………!」

黒須「殺人ウイルス、だと……? ふざけるなッ!!」

未々咲「黒須君……」

佐山「……そして君はそのウイルスの製作者を知ってしまった」

佐山「それはまさしく、都村君にとって致命的な真実だった……」

黒須「………………」


彼はきっと……
モノクマの話を聞いたあの日からずっと心に重さを感じていたのだろう。

その重さが、事件の引き金を引いてしまった。

黒須「……知った時は血の気が引いたが、最初は俺だって半信半疑だったさ」

黒須「だから朝にマーケットで会った時俺はあいつに、話があると言って昼に図書館に来るよう呼び出したんだ」

クロワ「シンジツを確かめるためか。本人に問いただすなど、無意味でしかないだろうに」

黒須「……それでもだ。本人が否定して、偽の情報だと言うならそれでも良かった」

黒須「あのままでは、俺の心は誰かを信じるには不安定過ぎたんだ……」

四水「……図書館で一体何があったっていうのさ」

黒須「……昼、大書庫で待っていると都村は言われた通りにやって来た」


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━━━━━━


都村『く、黒須隊長! 都村美弥子隊員、只今参りました!』

黒須「ああ……、わざわざ来てもらってすまないな」

都村『いえっ! ……そ、それで話っていうのは一体何でありましょうか?』

黒須「…………。それは……」


都村の様子が少しおかしく見えたのは勘違いか?
だがその様子が、心の中に嫌な影を生んだのは確かだ。

結局俺は躊躇して、すぐに本題を切り出す事はできなかった。

黒須「話というのはだな……。都村、お前はあの館を利用した事はあるか?」

都村『うっ! 館と言いますとやはり……』

黒須「モノクマの館の事だ」

都村『ですよねっ! うう……利用したかしてないかで言いますと、ううむその、えとあの……』

黒須「……その様子だと使ったんだな」

都村『も、申し訳ありませんでありますっ!』

黒須「どっちだ……」


都村が館を利用した……その事実はあの手紙の信憑性を高める。
自分の中の影はさらに濃くなっていった。

都村『じょ、除名処分も甘んじて受けます……』

黒須「除名って……いや罰を与えるとかそういうつもりはないぞ!」

黒須「もちろん取り決めを破った事は反省してもらわければならないが」

黒須「……それに出来るならば俺も、館で聞きたい事があるしな」

都村『聞きたい事……でありますか?』

黒須「…………っ」

俺は都村に話した。
妹達の事、書簡を受け取る前にU-ウイルスについて知っていた事、妹達がそれに感染していた事……

話を聞いた反応を見るためにだ。我ながら卑怯で姑息な真似……
結局、都村の表情は隠れていて見えなかった。


黒須「……だから妹達の無事が聞きたい。もちろん、この島を出る事が先決だがな」

都村『な、なるほど。黒須隊長の妹さん達が、その……』

都村『U-ウイルス……に、苦しんでいたとは……』

黒須「ああ。心配で仕方がない」

都村『……っ、……』

黒須「………………」


動揺しているのは明らかだった。
都村はU-ウイルスを知っている……疑念は確信に変わった。

都村『……だっ』

黒須「?」

都村『……大丈夫でありますよっ!』

黒須「妹さん達はきっと大丈夫であります! 病なんて治ります!」

黒須「都村? 何を言って……どうしてそんな事が分かるんだ」

都村『そ、それは……』

黒須「………………」

都村『……きっと、きっと! ヒーローが助けてくれます!』

都村『ヒーローはいつだって、どんな悪をも討ち倒す、正義の味方ですから!』

黒須「────ッ!」


──馬鹿にしているのか? お前がウイルスを……オマエガッ──!



都村『ですから──、えっ……?』


━━━━━━
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黒須「気が付いた時には、あいつの首を絞めていた」

早家町「……!」

黒須「自分のやっている事に気づいても、どうしても力を緩める事ができなかった」

黒須「やがて都村の体から力が抜け、抵抗もなくなった」

黒須「……後はお前の推理通りだ、佐山」

佐山「………………」

川澄「なんやそれ……」

ジーク「都村はそんな奴だったってーのかよ……」

六波羅「……私怨として十分な理由だとは思います」

黒須「許せるか……。あいつは妹達の事を聞いてもなおヒーローなどとほざいた……」

黒須「妹達をさんざん苦しめておきながら正義を騙ったんだぞ! 許せるものかッ!!」



 「……それは」


未々咲「それは違うよ……」

黒須「……ッ!!」

佐山「未々咲君?」

未々咲「美弥子ちゃんは、そんなつもりじゃなかったんだよ……」

黒須「……何がわかる。お前に何が分かると言うんだッ!」

未々咲「わからないよ! でも美弥子ちゃん言ってたもん!」

未々咲「これにも……残ってる」

六波羅「! それはレコーダー……」

未々咲「昨日の夜、館から出てくる美弥子ちゃんを見たって言ったでしょ。その時の……」

六波羅「録音は一日分しか残らないはずでは?」

未々咲「無位クンに盗まれてた時電源切られてたから。まだ残ってたの」

無位「結果オーライってやつか」

未々咲「お願い、聞いてみて……」

黒須「………………」


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未々咲「……あれ? 美弥子ちゃん!」

都村『ややっ、未々咲隊員! これはこれは! あの……見てましたか?』

未々咲「館に入ってた事ならバッチリ見ちゃった!」

都村『バッチリですか! ううむ不覚……』

未々咲「黒須クンには黙っといてあげるから安心して。でもモノクマに質問しちゃったの?」

都村『……はい。どうしても知りたい事がありまして』

未々咲「でも、致命的な真実っていうのが知られちゃうかもしれないのに……」

都村『……未々咲隊員。私は……』

都村『本当は、私はヒーローなんかじゃなかったのかもしれません』

未々咲「えっ?」

都村『むしろその逆……悪者だったのかもしれません』

未々咲「そう……なの?」

都村『……でも安心してください。そんな悪に堕ちたままで終わる美弥子ではありません!』

都村『その為にモノクマに聞いてきたんです、皆を救う方法を!』

未々咲「……なんだかよくわからないケド。とにかく聞きたい事は聞けたんだね!」

都村『ええ! 早くこの島から出て悪を討ち倒すのであります! わっはっは!』


━━━━━━
━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━

黒須「………………」

未々咲「この時は意味がよくわからなかったけど……」

未々咲「きっと美弥子ちゃんは自分のした事を知ってて、それで何かを聞いたんだ」

赤羽「今の発言、もしかして都村様がお聞きになった内容というのは……」

モノクマ「U-ウイルスのワクチンの製造法とか?」

川澄「えっ、そうなんか!?」

モノクマ「いやいやどうでしょう。守秘義務なんで!」

モノクマ「まあ、都村さんはメモ書きとかはしてなかったんで、確かめようはないっすね」

クロワ「フン。メモがないという事はその方法とやらも聞けなくなったというワケか」

黒須「………………」

黒須「嘘だ。嘘に決まっている!」

未々咲「っ! ……でも!」

黒須「例え本当だとしても。それがどうした!?」

未々咲「!」

黒須「……贖えば罪が消えるのか? 苦しんだ妹達は今どうなっている!?」

佐山「……!」

未々咲「……っ、許せなんて言わないよ。でも美弥子ちゃんがやろうとした事を……!」

黒須「くどい、やめろッ!!」

無位「もういい未々咲、黒須の言うとおりだ。やめろよ」

未々咲「そんな!」

無位「……いや。やめてやれよ」

未々咲「え……」

黒須「……くそ。クソッ、クソォッ!!」

罵倒しながら彼は裁判席に自分の頭を打ち付け始めた。

早家町「え、ええっ!? 黒須くん?」

神風「黒須……」

モノミ「や、やめてくだちゃい黒須くん!」

黒須「この怒りが消えるものか! 都村は、俺の妹をッ!!」

黒須「ふざけるなッ! クソッ!」

強く叩き続けたせいで額は割れ、血が流れている。
それでも彼は傷つける事をやめない。

川澄「こんなん見てられへん!」

赤羽「もうおよしになってください……」

黒須「クソッ……! くそぉ……」

無位「やれやれだぜ、黒須」

無位「お前は……犯罪者に向いてなかったのさ」

黒須「ふざけるな……やめろ…………」

黒須「……俺の怒りを、汚すなぁッ!!」

未々咲「黒須、クン……!」

佐山「……モノクマ。もういいだろう」

モノクマ「うぷぷ。じゃあやっちゃいますか、オシオキぃ!」

前回と違って、オシオキを引き止めるものはいなかった。
もう誰もこれ以上、黒須君の苦しむ姿を見たくなかったのだろう。


モノクマ「さあさあ、つつがなく進行させていただきます!」

モノクマ「超高校級の弓道家である黒須 灰矢クンのためにスペシャルなおしおきを用意しました!」

黒須「はあ……、はあ……!」

モノクマ「それでは、はりきっていきましょう!」

黒須「……、くっ…………」

モノクマ「おしおきターイム!」

黒須「……アヤ。サヤ……!」



ヴーン……

ピコッ☆





━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

           GAME OVER


       クロスくんがクロにきまりました。
       オシオキをかいしします。

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モニターに映し出されたのは青々とした竹が辺りに伸び盛っている竹林。
黒須君はその中の、平たい岩の上で座禅を組んでいる。

突然、橋から指し棒とフリップを持ったモノクマが画面に映り込んできた。
フリップには太陽を示した簡素な絵が描いてある。
するとセットが動き出し、黒須君の頭上に大型のライトが現れた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

      超高校級の弓道家 黒須 灰矢 処刑執行
             『晴れのち雨、時々矢』

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ライトは黒須君の全身に強烈な光を当てていく。
熱も相当なはずだが、目を閉じて無表情で座禅を組んだままだ。

額の血も乾いた頃、モノクマがフリップをめくった。
今度は水滴と傘の絵だ。
またもセットは動きだし、大型のファンと降水器が彼に狙いを定める。

激しい雨風が黒須君を打ち付ける。
それでも彼は動じず瞑想したままだ。

モノクマが次のフリップをめくると……弓と矢の絵。
鈍い機械音と共に周りに無数のボウガンが出現する。
黒須君は周囲の状況に気づいていないのか、座禅に集中している。

しばらくの静寂の後……矢が射出された。
一射目は彼の右肩に刺さり血が流れる。
彼もそこで初めて顔を苦痛に歪めた。

二射目、三射目。
徐々に矢が発射される間隔は短くなり、やがては全方向から嵐のように矢が放たれる。
画面中に血が飛び散っていく……


射出がすべて終わった頃に残ったのは……
全身を矢で貫かれ、もはや原型を留めていない人間の残骸だった……

モノクマ「おっしゃあ!! エクストリーーーーームッ!!」

モノミ「あ、あああああ……!!」

未々咲「黒須クン……うわああああん!!」

ジーク「キツすぎんだろ……こんなんよぉ!」

赤羽「……やはり裁判とは、このような悲しい結末になってしまうのですね……」

神風「…………っ!」

早家町「ひどい……ひどすぎるよ……!」

クロワ「……フン」

佐山「………………」


二度目の裁判は終わりを迎えた。


……一体この事件で僕達は何を得られたのだろう。
都村君が死を覚悟して聞いたその内容も……
黒須君が事件を防ごうとしたその努力も……全てが消えた。


何も、残ってはいない。

安価↓2
生徒一人指名(無位以外)

選択 神風


裁判場から続々と人が出ていった後。
残ったのは僕と……神風君だけになった。


佐山「……君は戻らないのかね」

神風「うーん……いや。帰って寝るつもりだけどさ」

神風「なんか佐山が聞きたい事があるような気がして」

佐山「……僕が聞きたい事? 君にか」

神風「ああ」

佐山「無い事もないが……答えてくれるのか」

神風「おう。世話になったし」

よくわからないが、彼なりの礼の仕方という事なのだろうか。

佐山「……では」

佐山「怪文書……無位君の方ではなく、君に宛てられた手紙には何が書いてあったのかね」

神風「ああ、それか」

彼はあまり間をおかず、簡潔に答えた。

神風「俺は風間に見捨てられた、そういう話だった」

佐山「……見捨てられた?」

神風「オレはもう強くなれない、だから見捨てて学園によこしたんだと」

佐山「………………」

淡々と答える彼の表情からは心情が読めない。
元々感情に乏しいところはあったが、今はすべての感情が消えている感じだ。

神風「まあ実際のとこはわかんねえけどな。…………」

神風「オレが手紙を読んだ時すげームカついたんだけどさ。黒須も……きっと同じだったんだよ」

佐山「黒須君が?」

神風「直木もそうだけどさ。黒須は人殺したけど、そこまで悪い奴だとは思ってない」

神風「でもブチ切れた時は、自分でも何するかってわからないんだ」

佐山「………………」

神風「だから一番悪いのはさ。ブチ切れさせた奴……あれ? それだと今回は都村が悪いのか?」

……いや。感情が消えている訳ではない。
彼にも思うところがあるようだ。

神風「うーん。結局オレ何が言いてーんだ?」

佐山「……わかるよ。君は怒りの矛先を求めているんだ」

神風「ホコサキ……まあそういう事なのかもな」

佐山「質問に答えてくれてありがとう。僕はもう行く」

神風「おお。……佐山」

佐山「?」

神風「今ちょっと思ったんだけどさ……」

神風「お前も怒ってんのか?」

佐山「……そうかもしれない」


事件の不条理さにだろうか。
黒須君の無残な最期に対して?
もしくは都村君が決死の覚悟で聞いた情報が無為になってしまった事にか。

それとも……僕が、死んだはずの僕が今こうして立っている事か?
自分だけが死を回避して、彼と彼女の結末を変えれなかった事か──


──とにかく今は虫の居所が悪い。

佐山「だから……今からぶつけてこようと思う。その怒りの矛先に」

神風「………………」

神風「おお。やってやれ」

神風君に別れを告げ裁判場を出る。
その足で一番目の島に戻り、あの場所へと向かう。

《モノクマの館》


中は思っていたよりシンプルな構造だった。
入り口のドアを開けると薄明りに照らされた廊下が真っ直ぐ伸びている。
その先にまたドアがあり、中には小部屋のような空間が広がっていた。

部屋の奥の壁には協会の懺悔室のようなついたてがある。
その向こうにモノクマがいるらしい。


モノクマ「モノクマの館へようこそ。知りたい事を一つだけ、教えたゲルよ?」

佐山「………………」

ついたての向こうを視線を貫かせるように見据える。
覚悟を決めて数歩近づく。

モノクマ「さあさあ佐山クン、何を聞く? キミの才能? 出身? 家族? 歴史?」

……聞くことは決まっている。
ポケットから、自分のコテージから持ってきたメモ帳とペンを取り出した。

佐山「……いいや、不正解だ。聞きたいのは僕自身の事ではない」

モノクマ「えっ?」


こんなものは無益な自己満足でしかない──


佐山「僕が知りたいのは簡単な事だ」


──だからこそ、何も変えられなかった僕がやろう。



 「この館で君が都村君に答えた事……」

 「その全てを一言一句違わず教えてくれ」



━━【CHAPT.2】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


             『 汚れっちまった憎しみに 』


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【 END 】━━

【CHAPT.02 リザルト】

[現在の好感度] 『一言 or 佐山への評価』

ZEKE    ……42
『黒須の奴! ……馬鹿野郎が』

神風 今日介 ……36
『佐山、前より喋るようになってきたな』

早家町 杜々 ……36
『あの黒須君が事件起こしたって、すごくショックだよ……』

黒須 灰矢 ……29 【DEAD】
『……誰にも合わせる顔などない』

赤羽 優仁 ……25
『事件は悲劇しか生まないのだと、身に染みて感じます』

四水 眞寄 ……21
『……黒須がいなくなったけど、誰がまとめられんの』

十中井 蛇山 ……17
『…………無位が、毒を……』

未々咲 愛 ……17
『もう誰かがいなくなるのは嫌だよ……』

直木 重吾 ……17 【DEAD】
『…………私は最低の人間だ……』

無位 流一 ……16
『バレちゃったなぁ』

川澄 美空 ……15
『黒須も美弥子ちゃんも、心情考えるとキッツイわ……』

クロワ・グラトン ……15
『毒を仕掛けた無位を脅迫していたヤツか……』

児玉 和音 ……15 【DEAD】
『いつか君に信頼してもらえるのかな』

六波羅 恵 ……12
『超高校級の罪人……ですか』

都村 美弥子 ……11 【DEAD】
『最後には正義が! そしてヒーローが勝つのであります!』


[INFO]
裁判で獲得したらーぶらーぶポイント……20てん
[ボーナス]スキル:ラヴ・イリュージョン……3てん

現在のらーぶらーぶポイント……91てん

プレゼント『償いと証明のメモ帳』を手に入れました。(渡すことはできません)

『償いと証明のメモ帳』
CHAPT.02をクリアした証。元は佐山がマーケットにあったものを拝借した。
書いてある内容を然るべき機関に提出すれば、U-ウイルスの抗ウイルス薬が生産されるだろう。

チャプター2終了です、お疲れ様でした
更新がずるずると伸びてしまってすみませんでした…

これからの更新ペースについてですが、リアルとの兼ね合いで早い更新は無理だと思われます
その為スムーズに進められるよう、日常編のシステム(行動回数など)を変えるかもしれません
それでも参加する方がいてくだされば嬉しいです。

次回更新日は未定、チャプター3はこのスレで始める予定です

こんな時間ですが更新
三章の始まりをちょっとだけ




記憶の一切合切を失ってしまった人間は、これからの人生をどう生きていくべきだと思う?


……記憶を取り戻す?
ああ、これはそういう話じゃないんだ。

もう記憶は戻らないものとして考えてくれよ。


………………。


環境も意志も、何もかもを取っ払って残る生きる指針……
きっとそれは過去に様々な言い方をされてきたんだろうけど、つまり──





──才能だと、俺は思うんだ。

人間は生まれた瞬間にどの方向に進むべきか、
どこまで到達できるのかが決まっている。

もしメジャーリーグの大スラッガーが、サッカー選手としての道を歩んでいたら、
万年補欠のお荷物選手だったかもしれないし……

アインシュタインが絵描きだったら、
田舎の貧乏画家として一生を終えていたんじゃないか?


………………。


人類の進歩には……才能に従う事が必要不可欠だったんだ。

人間が縛られるべきモノは法律や常識なんかじゃない──




──才能なんだよ。



「……うっさいわ、アホンダラぁっ!!」




パシィンッ!




………………


…………………………。


━━【CHAPT.3】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


        『 新感覚。悲劇的絶望飲料・暗黒コーラ 』


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【 (非)日常編 】━━

朝のレストランにある種小気味いい音が響く。


無位「やれやれ……まさか女子から張り手をもらうとはな。親父にもぶたれた事ないのに」

川澄「平手打ちや!」

佐山「………………」


椅子に座り後ろ手を縛られた状態の無位君が痛そうにうめく。
その周りを僕達全員が取り囲んでいるような構図だ。


赤羽「あのう。あまり乱暴な事はよろしくないかと……」

十中井「……いや。川澄に、任せる」

川澄「質問しても訳わからん事言うて。ホンマしばくぞ!」

無位「聞いたのは『毒を仕込んだあの事件の動機』、だろ。だからさっきのが答えさ」

ジーク「ああ?」

無位「犯罪者が罪を犯して何が悪いんだよ……」

川澄「……もういっぺんいてこますぞコラ」

無位「外に出たかったんです反省してます」

早家町「こわい……」

あの裁判を終えた翌朝。

レストランに向かうと無位君が取り押さえられていた。
平然と朝食を摂っていたところを捕まえたらしい。

彼は僕達がこの島に来て最初に起きた事件の犯人であり、超高校級の罪人……
その真意を探ろうとしているのだが。


無位「何回だって言うけどさ。確かに俺はアイスティーに毒を入れたよ」

無位「でも児玉を陥れたりとかしてないんだよなー、これが」

未々咲「じゃあなんでカズちゃんのポケットから毒瓶が出てきたの?」

無位「さあてねえ。俺は厨房のゴミ箱に捨てたんだ」

無位「って事は俺の犯行を見てた誰かが入れたのさ」

ジーク「ホントかよ。テメーがやってねえって証拠は」

無位「おいおい、そこは俺達の信頼関係ってヤツだろ」

ジーク「ねえよそんなもん!」

六波羅「……まあ、毒殺を遂行するだけならわざわざ他人に凶器を押し付ける必要はないとは思います」

六波羅「犯行がバレてしまっては元も子もありませんからね」

四水「つまりアンタは誰かに犯行を見られてて、毒瓶を児玉に押し付けたのはそいつって事?」

無位「正解に限りなく近いんじゃないか?」

ジーク「どっちだよ!」

無位「……まあそういう事だ。じゃなきゃピンポイントで俺に脅迫状が届く理由がない」

佐山「…………。例えば君がモノクマの館を利用し、代償としてその秘密が暴露された可能性もあるが」

無位「行く訳ないだろ、あんな地雷源」

佐山「………………」

そんな意図はないだろうが、昨晩の自分を揶揄されているような気がした。


早家町「じゃ、じゃあ……その脅迫者がまだこの中にいるって事?」

無位「そうなるな。怖いねえ、恐ろしいねえ」

川澄「なんやねん……。無位捕まえて終わりや思たのにまだ変なんおるん言うんか!」

ジーク「……クッソ!」

犯人捜しはまだ終わらない……か。

クロワ「ムクライ。一つ聞くがお前はどうやってアイスティーに毒を入れた?」

無位「手口の事か? いやあ、マジシャンが手品のタネを教えないのと一緒でそれはちょっと……」

クロワ「………………」

無位「まあ、誰もいない頃を見計らってテーブルに出てたグラスの一つに毒をちょっと入れたんだけど」

未々咲「超普通の手口じゃん!!」

無位「シンプルイズベストって言うだろ。これで満足かい?」

クロワ「……フン」


無位君の尋問は一段落ついたようだ。

さて……
僕の方でも気になっている事がある。

昨晩、僕は地雷原とも称されるあの館を利用した。
という事は誰かに僕の致命的な真実が知らされているはずだ。

その真実自体を知りたいという事もあって利用したのだが。


……この話を今、切り出すべきだろうか。
それとも向こうから接触してくるのを待つべきか。


どうする……


安価↓2
1.話を切り出す
2.やめておく

今日はここまで。ありがとうございました
次回は新しい島の探索に入ります、更新日は未定

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