【安価】着想散文 (190)
・安価で出た単語をもとに、>>1が簡単な文章を書いていきます
・申し訳ありませんが、人名、下ネタはNGとさせて頂きます
・一つの書き終わりに次の安価を出していきます
初めてなので拙い部分もあるかと思いますが、皆さんご協力よろしくお願いします
それでは、>>3
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迷走
>>3
「迷走」了解です!
暫くお待ちください
大凡の見当というやつは、それが外れたときにはひどい狼狽でもってのしかかる
自信満々に提示した俺の提案は、物の見事に打ち回され…まぁとどのつまり、彼女の返事はNOだった
曰く
「貴方をそんな風に見れない」
だ、そうだ
相手の居ないディナーテーブルと言うものはとにかく寒々しい
手のついていない料理が残っていれば尚のことだし、手付かずの理由が
『相手が帰ったから』
であるならばもう死ぬより辛い
無言で店員にカードを出して、とにかく他人の顔の向きが見えないように、視線を落として店を出たのは覚えている
肌色のシャンデリア光に浸る深紅の絨毯をじっと見ながら、
「赤の反対は青、真っ青な俺の顔、暖色に包まれたオトナなお店のオシャレな差し色」
なんて自虐的な連想ゲームをして、自分の見当外れに追い討ちをかける
「あぁ、振られた、もう会えない
もう二度と彼女の笑顔をる事がない」
オシャレな店のオシャレな玉砂利
そのオシャレな玉砂利の脇の、オシャレな植え込み
そのオシャレな植え込みで縁取られた、オシャレなアプローチ
嫌みな程にオシャレな三途の川を渡りきった頃に、肺胞は酸素をようやく取り込み始めた
絶望的な、実感とともに
どうやって帰ったのかすら定かではないが、一睡もしてないのは自覚しているという何とも奇妙な現実感
ベッドの上の禅宗者は、朝の光にどうにか自我を回復させた
夜は我から逃げられたが、太陽光と言うものはどうにも万象一切の陰影をはっきりさせる性質らしい
が、同時に活気を与えてもくれるので、まぁ家には居ないと言う選択も採る事ができる
車の鍵と財布だけを持って、今度は密室で一人きりと言う状況から逃げる事にした
薄汚い埠頭の公園で、雲でも見ようと思った
何か、失恋した者には似合いだと思った
着いてみて、ベンチに腰掛け、毛並みの良い柴犬に右足を嗅がれながら思った事は、「雲って面白くない」だった
飼い主のおばあちゃんは
「ごめんなさいね」
と
「こらやめなさい」
で忙しそうだったので、面白くない雲を眺めながら無視する訳にもいかず、愛想笑いで
「だいじょうぶですよ」
と返事して、自分からベンチを離れた
コンクリートを茶色く塗装した柵に肘でもたれ、今度は海を見てみる
まぁ汚い
もとより綺麗な海でもないし、季節変わりの強風にのって飛び込んだ様々な塵芥が、護岸に沿ってフラフラと水面をなぞっている
飛ばされて流されて、ぶち込まれて寄り集まって
なるほど人生か
随分ビンテージ感のある哲学が発想の貧弱さを笑った時、『迷走』という言葉が降ってきた
迷い、走る
迷いながら、走る
風に煽られ海に降った落ち葉は、自らの運命を知っていたか
あるいは焼き芋の燃料になった落ち葉は、知っていたか
降って湧いた迷走は、実物大の自分自身をシェイプしていく
選び取った目論見に、結果がついてくるとは限らない
見当を付けたところで、実現は確実性を伴わない
予定は、予定
目を瞑ると、眠れそうだ
吐き気を催す心の傷と、睡眠不足が折り合いそうだ
迷いの中で生きる俺の足元は、昨日と違って確かに固かった
申し訳ない、時間かかりました…
次>>9くらいかな?
統合失調症
>>9
統合失調症、了解です
また難しいですねこれ…笑
暫くおまちください
葉っぱ言うものは大抵緑色であるが、必ずしもその限りではない
例えば、若葉は黄色味を帯びている場合もあるし、枯葉は茶色くなるからである
ところで、葉っぱが紅くなる事があるのはご存知だろうか?
そんな馬鹿な!と思ったであろう諸君、これは事実である
では、どうして紅くなるかと言う話をしていこうと思う訳だが、そもそも『紅』とはどう言う色だろうか?
口紅、紅潮、紅芋、紅生姜
兎角雅びやかであったり、風情のある様、初々しい様こそが紅によって象徴されるのである
紅芋や紅生姜は、貴人の食膳のみ、特に婚礼において重点的に供される事からもお分かり頂けるであろう
では、葉っぱが紅くなる、この現象は何故起こるかという事である
これは即ち、「恋」なのである
諸君は植物に感情は無いと思われるであろうが、それ甚だ勘違いである
植物は、感情を持っている
正確には、感情を与えられているのである
私によって
私は生まれつき、植物に感情を齎す力をもっていた
それ故市井に隠遁していたのだが、私のいく先々で紅芋や紅生姜を見かける事実から鑑みても、どうやら日本国政府は確実に所在を把握しているようである
さて、些か話が逸れたが、樹木の恋に話を戻そう
樹木は大抵、感情を与えると感謝する
まぁこれは私が生来持つ気風の雅びやかさ故であるが、時に感謝を通り越し恋慕の情を抱くのである
故に、赤らめ、乙女のたおやかさをその身の宿すと言うわけだ
その紅の美しさたるやえもいわれぬ気品を備えたものであるのだが、それだけに、哀しい
私が『どれか一つ』を選ぶことは、その他にとって絶望であるのだから
これは然るに、これは全国の婦女子にも言える
なので、申し訳ないが私の事は諦めてほしい
誰かのものになってしまえば、日の本は乱れるのである
しかしながら、だ
私とて少しでも近くに居たい、身の回り世話をしたいと言う世の婦女子の心のうちは理解している
そんな女性の本心、いや本能を、私は自らの器でもって解したい
それが、せめてもの優しさであるから
なので、他の女性の嫉妬が怖くないと言う方のみ、私の許に駆け付ける事を許可する
では、連絡を待つ
うーん…難しいですね
つぎ>>13くらいで
ドべネックの桶
>>13
なん…だと…!?
この言葉知らないのでググりますね、暫しお待ちを
ドベネックの桶、了解しました
頑張りまーす
なんでもうちの会社はサービス残業を撲滅する事を今年度から目標にしているようで、事実、定時から1時間も過ぎればみんな家に帰るようになった
どっさりと仕事を鞄にしまいこんで
結局、会社に残れば出退勤の記録が残るって事で、その分ご自宅でどうぞって話だ
なぁにがサー残撲滅だ、代わりに私生活ぶっ殺せってか、ちくしょうめ
そんな生活を8ヶ月弱、商売柄年末は特に忙しい
真っ赤な目ん玉に無精髭
徹夜明けのとろけきった脳みそが指令を出さない分、染み付いた反射で行動をカバーするもんだからミスも起こる
目の前に来た電車のドアがぱかっと開いて、さっきまで仕事をしてたから…そうか、仕事しに会社行こ!と飛び込んだ
『ちょっと貴方!!ここ女性専用車輌ですよ!!!』
眠眠○破りよりは効果的だが、できれば常用したくない鼓膜&心臓破りが、何をしでかしたかをワンテンポ置いて自覚させる
「あぁ、すいません、ぼーっとしてまして…」
謝罪のつもりでひねり出した愛想笑いは、相手にとっては言い訳だったようで
「いいから!さっさと車輌を移ってくだい!!!」
火に油、波に台風、拍車に坂…女性専用車輌inおっさん
許されざる異分子に、大奥の取り締まりは厳しかった
すごすごと、隣に移ろうと連結部を見やると、普段あんなもんに詰まってるのか俺はゾッとするほど、まぁ酷い
瞬間、ガタンと電車が揺れた
よろめいて、ぶつかって、『あいたっ』て声が聞こえた時は、俺はどれだけ不幸なんだと思った
愛想笑いはNG、ビコーズを告げれば言い訳となる
ならば…
「すいません!」と潔く頭を下げる
どうよ、大奥方、これぞ現代の侍よ
だからもう…あの高密度な仲間達のとこに行かせて下さい…
『大丈夫ですよ、そんな大袈裟な』
切り捨て御免を覚悟した憐れな侍のつむじに降ってきたのは、なんとも落ち着いた優しさだった
「でも…乗ってしまって…貴方にも迷惑を…」
恐る恐る面をあげると、微笑む姫様だった
『ワザとじゃないんでしょ?お疲れみたいですし。それに、女性専用車輌って男性は乗っちゃいけない、なんてことないんですよ?』
超優しい、ヤバいカワイイ
もう俺一生分の優しさもらった、なんて内面でおちゃらけていたつもりが
気が付いたら、鼻の奥が痺れていた
堪え性のない涙腺持ちの、言葉も継げぬ30男に、彼女は怯えもせず
じっと見つめながら語りかける
『お疲れ様です、毎日大変ですよねえ』
ありがとう、と震える声で絞り出したら、すうっと気持ちが楽になった
純粋に誰かに優しくされる事は、当たり前だか嬉しい事だ
今更ながら自覚する
頭がゆっくりと覚醒していくのがわかる
クソくだらねえ毎日を生きながら、猛毒を腹のうちに溜め込んで
それでもそれを誰かにぶつけるわけにはいかないから、一生懸命中和して
愛想笑いとすいませんを何よりのツールに、毒にも薬にもならない、中性を必死に守っていた
何かが喉を通りすぎて、臍の真下でぐぅっと力に変わっていく
女性専用車輌の向こうに、中性達のサンクチュアリが見える
押さぬよう、押されぬよう
闘っている連中がいる
丁度ホームに停車したので、降りることとする
去り際振り向いてもう一度、臍の下から出る大きな声で
「ありがとう!俺今日休むことにします!」
と頭を下げた
バッ!と機敏に頭をあげると、まんまるい目をすぐに細めて
『がんばって!』
と彼女は言った
がんばりましたー
次>>35くらいかな?
目玉が爆発する奇病
>>35
造語ラッシュすげえな…
よし、がんばります!
暫くお待ちをー
いつからだろうか、私の目玉は無尽蔵の爆薬となった
街中で、トイレ中に、映画鑑賞、夕飯、読書
大凡睡眠時間以外全ての瞬間で、私の目玉は前触れなく爆発した
不思議なもので周囲には被害は出るが、私自身は全くの無傷、奇妙な事に目玉も無傷だった
初めのうちはもう狼狽えるなんてもんじゃなかったが、段々と付き合い方がわかってきた
こいつは「みたくないもの」に反応して爆発を起こす
そして、「みたくない度」つまり、対象への憎悪が強いほど爆発は強くなる
テレビでクリスマスのカップル特集を見た瞬間に、部屋が半壊したのには少し凹んだ
さて、こんな性質の病気なものだから、私は外にも行けなくなった
もちろん嫌いな物も食べられないし、悍ましいバイオレンス小説も読めない
ラブシーンのあるDVDもダメ
なので私は、私の好きな物にだけ囲まれて過ごした
嫌いな物もからとことん遠ざかる生活は、私をどんどん研ぎ澄ましていった
その集中力は、運動不足解消といつか来る外出の為に始めた白杖に、神経を通わせた
この部屋の中で唯一外部と繋がっているインターネットは、私にとって最大の娯楽…つまり好きなものだった
初めのうちはPCを何度も爆破してしまったものだが、今ではそのような事は殆どない
かわりに、私の中には「好きなもの」が溜まっていった
私は今日、アイマスクをつけて外出する
あるものを見に
インターネットで知ったのだ
この国は腐っていると
みんなが苦しい生活をするのも、悲しい思いもするのも、私がこんな病気になったのも、全部、国のせいなのだ
私は、私の好きなみんなの為に、国会議事堂を見に行く
やっつけたったw
すいません、発想力が貧弱なのです…
次ちょい縛りますね、「固有名詞」でおねがいします
>>40
ピンク髪
すいません、昨日寝てしまいました…
今日は休みなので昼からやっていこうと思います
>>40
ピンク髪…がんばります
暫くお待ちを
『似合う?』
と薄ピンクに染め上げた髪をかきあげ妻は笑う
『根元までしっかり染まってるでしょ?』
だと
「50も過ぎてなにやってんだ。だいたい…」
呆れの次の責めの句は、笑顔を崩さず連なって来た理由の部分のせいで、完全に宙に浮く
『私ね、癌ですって。末期で手の施しようがないんですって。』
『それでね、前からやってみたかった事やってみようって思って。アメリカとかの歌手さんみたいでしょ?』
絶句してはいけなかった
無言で仰天しては、現実は俺の心を食い尽くす
受け入れてはいけない
妻のこのあっけらかんとした発言を受け入れない為に、俺は何か喋らなくてはならない
「…なんで、黙ってた?体調に出てただろう」
選んだのは、遠回しな受容だった
50余年、生真面目である事が社会に対する奉公だと信じて生きて来た仕事人間は、こんな時の…現実を和らげるマニュアルを持ってなかった
『…あなた、忙しい人ですし、ほら、優しいから。心配かけたらいけないかなぁって。勘違いかも、って程度の痛みだったし』
優しい?伴侶の苦しみに気付かず、毎日を熟すだけの男がか?
『ほら、今も泣きそうな顔してる』
そうか、俺の本質はそうだったのか
親の葬式も神妙さを崩さず、厳かに執り行った
俺は、泣いてはいけないのだと思っていた
大勢の部下を導く社会人として
別れを告げに来てくれた列席者に、感謝を伝える喪主として
一家を支える大黒柱として
常に引率者として毅然と在るべきだと言う自覚は、主導権を取りこぼした時にはこんなにも脆い
怯懦は、彼女の優しさ故だった
『あなたも私もね、桜が好きでしょ?だからこの色にしてみたの』
『白髪染め以外で髪染めるなんてした事なかったからね、どうせなら外人さんみたいにね』
懊悩の末に、泣かない事を決めたんだろう
俺の本質を知っているからこそ、自身の振る舞いで守ってやろうと思ったのだろう
もともと明るい女だが、今日のこの日の強さは燦然としたものがある
『それにね、インパクトって言うかね。こんな髪型したおばちゃんが妻だった、って相当記憶に残るでしょ』
アイディアに対する自賛に遠慮がない
なんとも素晴らしい名案だと疑っていないようだ
稀代の発明家然とした自信満々な笑みで彼女は言うが、全くもって詰めが甘い
俺の内部を忖度しながら、俺の記憶に強く在る為にこの髪色なのだと言う
もう、我慢はできなかった
バカか、と言ったきり、右手で顔を覆い肩を震わせる俺を見て、彼女は狼狽えているようだった
それから半年後、彼女は逝った
できる限りの事をしたい、と言う俺の申し出に、会社も親族も友人も、大変に同情的だった
彼女が逝くまでの半年間、色々な話をした
一度、旅行にも行った
幸い結婚後すぐ子宝に恵まれたので、二人きりの旅は新婚旅行以来だった
旅先でも勿論そうだし、病室で外を見ながら話す時も、彼女は明るいピンク色だった
葬式で泣かなかった事を娘に責められたりもしたが、悲しくないわけないだろう、と言う言葉の説得力は、最後の半年の俺の振る舞いを見ているから納得できるらしい
八当たりしてごめんなさい、だそうだ
さみしいねぇ、と腫れた目で微笑む娘が妻に良く似ていて、危なかった
彼女がいなくなってから、気付いた事がある
春が、嫌いになった
柔らかな始まりの季節に溶け込んで行った彼女の終わりを、どうしても思い出してしまう
春風の暖かさに
浮かれる大学生の笑顔に
ゆっくりと地面を温める、和紙を透かしたような陽光に
桜の、花びらに
彼女の面影がそこかしこに散らばっている
また好きになる頃には彼女のピンク色の髪を忘れていそうで、その時は暫く来なくてもいいかな、と思った
安価忘れとった、次>>46にしますー
靴が片方
すいません、ちょっと出かけてましたー
>>46
靴が片方 靴が片方、了解です
暫くお待ちをー
このSSまとめへのコメント
面白かった