古澤頼子「モナリザの微笑」 (129)
アイドルマスターシンデレラガールズのSSです。
当SSはアイドル名「ことわざ」でタイトルをつけているシリーズです。
以前のお話に戻る場合はSS wikiを通ってください。
http://ss.vip2ch.com/ss/%E3%80%90%E3%83%87%E3%83%AC%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%80%91%E3%81%93%E3%81%A8%E3%82%8F%E3%81%96%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA
前々回
藤原肇「一に養生二に薬」
藤原肇「一に養生二に薬」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1431/14319/1431925935.html)
前回
梅木音葉「好奇心は猫を殺す」
梅木音葉「好奇心は猫を殺す」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1436571195/)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1447165805
─ 前回のお話 ─
・NNN芸能の強襲。前川みく率いる「にゃん!にゃん!にゃん!」が攻めてきた
・Cuプロの協力(?)でなんとか防げた
─ ○○プロ・事務室 ─
時刻は9時ちょっと。少し日差しが強くなってきた時間。
松山久美子「おはようございまーす・・・って、ん?」
西川保奈美「はい、胃薬とお水」
モバP(以下P)「ありがとう・・・ごくっ、ごくっ・・・ふぅ」
保奈美「大丈夫?顔色悪いけど」
P「やらなきゃ・・・やらなきゃいけないんです。保奈美は気にしないで大丈夫だから」
保奈美「気にするなって方がムリよ」
P「ですよねー・・・うん」
P[頬を叩く]
P「いったぁっ!あ゛ぁ゛!おっけー!行ってくる!!」
保奈美「行ってらっしゃい」
久美子「あれ、P君どうしたの?」
保奈美「それが・・・」
大和亜季「私から説明しましょう!」
保奈美「ほわっ!?」
亜季「ああっと、大声出してすみませぬ」
保奈美「ちょっとビックリしただけ、大丈夫」
久美子「・・・亜季ちゃんと保奈美ちゃんってあんまり話さない感じ?」
保奈美「そうですね・・・」
亜季「私の趣味に合う人が少ないですからな。いやっ、それでもこの不肖大和亜季、○○プロの一員として保奈美殿を信頼しているであります!」
保奈美「あ、ありがとう」
久美子「亜季ちゃん、それでP君はどこに行ったの?」
亜季「・・・CoプロとPaプロの所であります・・・」
久美子(亜季ちゃんはおどろおどろしい口調でこう続けました)
亜季「なにをされるか分からない・・・死んだらゴメンとP殿は呟いてました・・・」
久美子「ちょっ!?」
保奈美「確かに言ってたけど、Pさんレベルの人が失踪したら大事件よ」
亜季「それでも・・・P殿は・・・うぅ、亡骸を抱くのは嫌であります・・・」
保奈美「もうっ、早とちりすぎっ!」
久美子「んで、どうしてこうなったの?」
亜季「それは・・・おっと」
久美子(亜季ちゃんの目線の先にはテレビ。映る番組はちょうどニュースだった)
アナ1『石橋さん、先週からLIVEバトルのルールが変わったのはご存じですか?』
亜季「ベストタイミングのニュースですな」
久美子(亜季ちゃんは私の手をひいてテレビの前へと移動した。なに、ルール?)
アナ2『いえ、知りません』
アナ1『アイドルがファンを集める機会として用意されたLIVEバトル。その中でもゲリラ的に行われるLIVEバトルにメスが入れられました』
アナ2『ゲリラLIVEバトルと言えば、ちょっと前まではスーパーの前とかでやってたアレですね』
久美子「ゲリラLIVEバトルって言えば、こないだ響子ちゃん達が・・・」
亜季「その通りであります」
アナ1『来週から同じプロデューサー同士の対戦カードは1日3回までとなったようです』
アナ2『なにが変わったんでしょうか?』
アナ1『元々、対戦回数は無制限だったのですが、昨今、相手を拘束し何度も勝負を挑み続けるという戦法が目を見張るようになったようです』
アナ2『おや、普通LIVEバトルはお互いの了承を得てやるものでは?』
アナ1『おそらくは相手の弱みを掴んで、などの行動によるものでしょう。それで強引に得点を稼ぐという』
アナ1『元よりファンからは問題視されていた案件だったのですが、委員会の重い腰がようやく動いたという事でしょうね』
亜季「・・・ってなわけであります」
久美子「NNN芸能のあの戦術が封じられたーってところね」
亜季「元々Coプロなどもやってた過去があるようですが、主立ってやってたの低ランク帯のようであります」
久美子「・・・やっぱり、スタッフが少ないから急いでランクあげないといけないのかしら」
亜季「事情はそれぞれ。ただやっと今になってルールが変わった、と言ったのはやはりゲリラLIVEバトルの特性にありますな」
保奈美「LIVEバトルと何が違うの?」
亜季「ゲリラLIVEバトルは告知なしの対戦カードです。見方を変えれば、ファンすらいないLIVEバトル。観客は誰ですか?」
保奈美「道行く人」
久美子「たまたま通りかかった人ね」
亜季「そうであります。良い見方をすればこれからファンへと引き込む事ができる人です」
亜季「ですが、同時にこういう見方もできるのであります」
亜季「・・・野次馬」
久美子「野次馬・・・ねぇ」
保奈美「確かに・・・ファンではなく、集まっているのはファンではない人」
亜季「そしてそこで行われているのはプロダクション同士のいわば闘争」
亜季「野次馬からすれば、対岸の火事、いわば歌のプロレスです」
保奈美「それで問題視されてなかったのね」
亜季「そうであります。限界まで、いえ限界突破してまで戦う姿は素敵ではありますが・・・限度というものがあります」
久美子「感情移入もできないアイドルじゃ、煽る事の方が多そう」
亜季「今回、仮にもAランクで名が売れていた我々だったが故に、問題視されたと理解してください」
亜季「たまたま響子殿、もしくは柚殿らのところにファンがいてくれたから、助けられたと言っても過言ではありません」
保奈美「ファンを大事にするって心構えになっていて報われた瞬間ね」
久美子「大体把握したよ。それでP君が呼び出し食らってるのね」
亜季「左様であります・・・P殿、無事だといいのですが・・・」
保奈美「ちなみにそれはどこで知ったの?」
亜季「え?P殿に綿密に教えてもらったのであります」
保奈美「・・・やっぱり、Pさん、亜季さんの事好きなんじゃ・・・?」
久美子「P君の女の子の趣味ってわっかんないからなー・・・」
亜季「?」
藤居朋「おっはよー!」
久美子「あ、朋ちゃんおはよ」
朋「クミちゃん先輩おはよっ!保奈美ちゃんも亜季ちゃんもおはよー」
保奈美「おはようございます」
亜季「朋殿、おはようであります。朝からテンション高いでありますな」
朋「聞いてよー、今日の朝の占いってばどの番組もカニ座が一位なのよっ!ここまで言ってくれるなら今日は絶好調に決まってるわ!」
久美子「うふっ、朋ちゃんらしいね」
朋「ただおっちょこちょいに注意ー!って言われてさ、ちょっと用心深くなるつもりよ」
久美子「つもりじゃなくて、用心深くなろうね。P君ん家に泊まったあげく起こしてもらったって顔してるよ」
朋「え、嘘。なんでバレて・・・!?」
亜季「朋殿、大変申し上げにくいのですが・・・」
保奈美[明後日の方向を見る]
朋「な、なによ」
久美子「P君のYシャツよね?・・・なんで着てるのかな?」
朋「へ?きゃああああああ!!!こ、これはぁ!!!そ、そう!たまたま借りてて・・・」
久美子「借りてて?」
朋「その・・・はい、泊まって寝巻忘れちゃって・・・」
亜季「そしてそのまま着てきちゃったと」
久美子「そのまま外歩いてきてるんだから・・・」
朋「夢心地だったんだもん!!!しょうがないでしょ!?」
久美子「電車乗ったりしてないよね?」
朋「今日は・・・乗ってないです、はい」
久美子「下手したらスキャンダルものよ・・・、注意してね」
保奈美「私の家に借りに来ればいいのに、隣だもの」
朋「そ、その手があったぁ!!!!」
一同「はははははっ」
・ ・ ・ ・ ・ 。
成宮由愛「おはようございます」
朋「あ、由愛ちゃんおはよー」
由愛「・・・・・・」
朋「?」
由愛「・・・裸Yシャツ・・・」
一同「・・・・・・」
由愛「・・・はっ!!!ち、違います!!そのあのえっと・・・」
久美子「由愛ちゃんは耳年増だねー」
由愛「そ、そのっいやっ・・・////」
亜季「気持ちは分からないでもないであります////」
保奈美「少女マンガで目立つシーンになりそうよね。私も少し憧れそう」
朋「・・・寝巻代わりに着てたからブラも忘れてた・・・」
久美子「ミッチーに頼んで服持ってきてもらったら?」
朋「・・・そうする。一応、アパートの合鍵は渡してあるし・・・」
由愛「あの、朋さんのせいじゃ・・・」
朋「いやいや、これ乗り切ればあたし今日絶好調だから・・・」
保奈美「目に見えてテンション下がってるわね」
亜季「占い一つで人が変わる人は朋殿しか存じませぬ」
久美子(朋ちゃんは持っていた手提げ鞄からケータイを取り出し、ミッチーことみちるちゃんに電話をかけた)
朋「あ、ミッチー?ごめーん、今自宅?あ、うんそうそう、分かってるよー。今日もPにガードされたしー」
久美子(なにやら鞄には何か大きなものが入ってそう。紙が擦れる音がしたから雑誌っぽい)
久美子(朋ちゃんもファッションを気にする人だから、雑誌の持ち歩きは日常的なのかな。私も見習わないと)
朋「ごっめん、お願いがあるんだけどさ。今からあたしのアパート行ってさ、着替えを・・・」
千川ちひろ「朋ちゃんいますかっ!!」
久美子(ひどい汗をかいたちひろさんが部屋の奥から勢いよく飛んできた)
朋「え?あたし?」
ちひろ「あたし、じゃないですよっ!今日、大事な仕事あるの覚えてますかっ!?」
朋「え、えーっと・・・あああああっ!!!!そうだったっ、今日のあたしの仕事・・・」
ちひろ「高校生の全日本バレーボール大会で国歌歌うって仕事ですよ!」
朋「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
久美子「朋ちゃん?」
亜季「朋殿?」
保奈美「朋さん?」
朋「あああぁぁぁ─────────────っっっ!!!!?」
久美子(この反応はすっかり忘れてたって流れね)
亜季(おっちょこちょいがさっそく発動しているであります)
朋「あわ、あわわわわわっ!!!あたしの今の服じゃ人前に立てるレベルじゃないわ!!」
久美子(それで外歩いてきたんだけどね)
ちひろ「私の服・・・えーっと、私の私物ですがこのゴスロリでいいですよね!?」
亜季(それは確か、八神マキノ殿が着てたやつ・・・)
朋「せ、背に腹は代えられない!それでお願いします!」
ちひろ「それ着てください!車は私が出しますからっ!!!!」
久美子(ちひろさんと朋ちゃんは慌ただしく、嵐のように消え去った)
亜季「あ、朋殿・・・」
保奈美「?」
亜季「手荷物、置いていってるであります」
由愛「どうしましょう・・・?」
久美子「この後、みんな出て行っちゃう?」
保奈美「私はレッスン。近場ではあるけど、離れるわ」
亜季「こちらは雑誌のコラムで少し・・・」
久美子「そして私はWEBラジオの収録、と」
由愛「わ、私が・・・見てます」
久美子「いいの?」
由愛「今日・・・仕事なくて、美羽さんと遊びに行く約束だったんです」
由愛「集合場所・・・ここなんで」
亜季「それで来たのでありますな」
由愛「はい・・・美羽さんは先日の仕事の失敗でちょっと元気なかったんです・・・」
保奈美「ですが?」
由愛「なんとか元気になってもらおうと私と・・・巴ちゃんと美玲ちゃんとで、皆で遊びに行く事にしたんです」
久美子「なるほどね。ケアは大事だし、いいリフレッシュの機会なんじゃないかな」
亜季(美羽殿は後日なんとか撮影続行できたらしいですが、決して満足のいく形にはならなかったそうな)
保奈美「オーディションも合格だったのに、発表時にいなかったから落とされちゃったとか」
由愛「・・・美羽さんも大事な仲間です・・・、私たちだって失敗する事、たくさんあります。だから・・・大丈夫だって」
久美子「ふふっ、じゃあ、よろしくね」
亜季「私たちも何か美羽殿のためにやりますかっ!?」
久美子「簡単なお食事会でも開こうか」
亜季「ふふっ、今回は私が料理をしてみせましょう!サバイバル技術を駆使したワイルドな料理を・・・」
保奈美「響子ちゃんに怒られそう・・・」
・ ・ ・ ・ ・ 。
由愛(その後、3人方は仕事に出ていってしまいました)
由愛(美羽さんとの合流の時間にはまだなってません。早く来れば、誰かに会えるかなーって思ったりして)
由愛(Pさんやちひろさんとお話したかったのですが・・・そうは上手くいかなくなってきた気がします)
由愛(みんな忙しくなってきました。ちょっと前は、みんな一緒にいる時間があったのですが・・・)
由愛(いえ、みんなプロになったんです。アイドルの、すっごい素敵なアイドルに)
由愛(私も・・・負けないようにしないと・・・美玲ちゃんにも巴ちゃんにも、負けないアイドルに・・・)
由愛(たくさんのファンの声を浴びるアイドルに)
由愛「・・・うん、でもちょっとさびしいです」
由愛(『ディープリーコン』襲来の時に出来た『ソルシーエルズ』はあの後、音沙汰がありません)
由愛(温存・・・でしょうか。それとも単に忘れているだけ・・・?私にはPさんたちの考えは分かりません)
由愛(・・・ともかく私にはユニットがあってないようなものです。『ともキュービック』で動いてる巴ちゃんがちょっとだけ羨ましい)
由愛(誰かと一緒に仕事できる機会、もっと欲しいな~・・・って)
由愛「Pさん帰ってきたら・・・言ってみよう・・・」
由愛(今は朋さんの荷物を・・・)
由愛(ふと手に持った時、ある紙が顔を覗かせていました)
由愛「あれ・・・こ、これ・・・」
・ ・ ・ ・ ・ 。
─ Passionプロ ─
P(来てしまった・・・すごーく重苦しい。なぁに言われるのか分からないし、ジャックさんことPassionP(以下PaP)さんからの直接的な呼び出しは滅多にない)
P(十中八九、LIVEバトルのルール変更に関わってしまった事だと思うけど・・・違うことかもしれない)
P(損害賠償?単純な八つ当たり?それとも違う範囲でウチのアイドルがPaプロのアイドルと喧嘩してたとかっ!?)
P(ああっ、はぁとさんが誰かを突き飛ばして怪我させちゃったんじゃないだろうか。あの人は口より先に手が出るタイプ、無くは無い)
P(でも待って、俺が何かやっちゃったんじゃないか!?今まで結構な仕事を断ってる。もしかしたらその中にPaプロ直属の・・・)
?「・・・しも・・・」
P(あががががが・・・、それなら直接呼出しの理由も納得がががが)
?「もしも~し、大丈夫ですか?」
P「ヴぇ?」
?「玄関前で唸ってると、警備員の方に連れていかれちゃいますよ?」
P「え、あ、え、あっと、ごめんなさい」
?「Pさんですよね?お待ちしておりました」
P「あ、ありがとうございます。槙原さん」
槙原志保「はい。どういたしまして♪それでは一名様ご案内です♪」
P(Paプロのアイドル、槙原志保さんが出迎えに来てくれてたようだ。なんと情けない所を見せてしまったんだ俺)
─ Paプロ・食堂 ─
P「あれ、PaP・・・ジャックさんのところじゃないんですか?」
志保「ジャックさんは今手が離せない状況なんで、しばらくPさんの時間を潰して欲しいって頼まれちゃいまして」
P「あ~・・・なるほど。あはは、ありがとうございます」
志保「ところで甘いモノは好きですか?」
P「え?まぁ、好きですよ。プロデューサー業やってるとアイドルの皆から差し入れでよく甘いモノ渡されますからね」
志保「それは良かった!今からパフェ作ってきますね」
P「パフェ?」
志保「ふふっ、私はアイドルになる前はウェイトレスとして働いてたんですよ?」
P「ウェイトレス?ってことはどこかのレストランとかで働いてたんですか」
志保「はい!パフェとかはホールの人間が作るんですよ。その結果、パフェ中毒になっちゃったというかなんというか」
P「へぇ、そんなイメージなかったけど・・・意外」
P(槙原さんは俺が見た事ある宣材写真とかではメイド服やそれこそよくあるアイドル衣装だった)
P(・・・俺ならどうするか。こういう一面、ファンに伝えるべきか・・・。悩ましいだろうな)
志保「では、ちゃっちゃと・・・よっこぉいしょっ!」
P(食堂の席から、キッチンで荒ぶっている槙原さんが見える。いや、待て。あれの器はおかしくないか?)
P(こう・・・優勝した力士さんが使う盃のようなサイズの・・・)
P(そこに積まれていく大量のアイスやチョコレートにシリアル・・・!!!)
P(み、見てるだけで吐き気がしそうだ!)
?「・・・・・・」
P(これから来るであろう甘い暴力から視線を逸らした時、ある女の子が俺の視界に入った)
P(広い食堂の隅で縮こまるように、そして絶望するかのように・・・今にも泣きそうな目をしていた)
P「ん・・・」
P(・・・思わず反射的に話しかけに行ってしまった)
─ ○○プロ・事務室 ─
由愛「こ、こ、こ、これは・・・っ」
由愛(朋さんの鞄の中からこっそり顔を出していた本を思わず取り出してしまいました)
由愛「え、え、えっちな本です・・・!」
由愛(漫画雑誌。それも成人向けのモノで・・・表紙にはすごくむっちむちな女性が全裸で・・・えっちな顔で・・・)
由愛「だ、だ、ダメですっ!こんなもの見ちゃだめです!!!」
由愛(誰に言ってるのでしょうか。多分、自分にですが)
由愛(・・・Pさんがえっちな漫画を持っているというのは朋さんが前々から言っていました)
由愛(あの人も男の方です。そういう事に興味あったり、その・・・シたいのも知ってます)
由愛(そうじゃなきゃ、私の首・・・ずっとキスなんて・・・)
由愛「はぅぅぅぅ・・・////」
由愛(考えが体に出てしまいました・・・。首を思わず撫でてしまい、たまらず体が跳ねてしまいます)
由愛(あの時以来、ずっと・・・ずっと、首を触るとあの時の事を思い出して体が熱くなって・・・)
由愛「って、ダメっ・・・ダメですっ!!」
由愛(この後、美羽ちゃんと・・・皆と会うんです・・・変な事、考えちゃダメです・・・)
由愛「・・・・・・」チラッ
由愛(いや、ダメですっ!こんなもの見るなんてダメ、ダメですっ!)
由愛(・・・・・・でも)
由愛(ってててて、ダメです私!えっちな本なんて、興味ないです!興味・・・・・・)
由愛「・・・・・・ここなら誰もいない」
由愛(応接間に逃げ込んで辺りを見回し、誰もいないことを確認します)
由愛「ホントに誰もいないですか・・・?」
由愛(ゴクリと喉が鳴りました。無意識のウチに何かに囚われたかのように手が伸びました)
由愛(ああっ、私の手・・・止まってください─────────)
パサッ・・・。
由愛(・・・・・・)
由愛(・・・・・・そして私は見てしまいました・・・)
由愛「・・・・・・っ」
由愛(ああっ、開いてしまった。目に入れてしまった・・・私にはずっと遠い世界のはずのものを)
由愛(一面肌色と雰囲気を醸す黒。それとモザイク)
由愛(最初の一ページ目は広告。でもその広告もえっちなものでした・・・)
由愛「『素人OL(自主規制)100連発』・・・////」
由愛(単語の意味だって知らないわけではありません。学校の友達と猥談してしまう時だってあります。そんなお年頃です・・・)
由愛(でも・・・でも・・・こんな直に写真で、行為の最中が、マジマジと舐めるようなカメラアングルで、・・・その・・・出されている図が映されてたら・・・)
由愛「・・・・・・ぁぅ////」
由愛(こ、これで1ページ目・・・Pさんも・・・と、朋さんも見るんですよね・・・?)
由愛(ミッチーさんも見てるのかな・・・っ////)
由愛(だ、だ、ダメです!えっちです・・・!)
由愛(心の中では非論理的に考えが浮んでしまい、私の中では呼吸すらままならない状態になってました)
由愛「・・・はぁ・・・はぁっ・・・////」
由愛(漫画でスケベな男の子がえっちな展開に鼻の下を伸ばしたりする、なんて表現がありますが・・・今の私と大差ないと思います)
由愛(それくらい、体の中、脳の中がかき乱されてます・・・)
由愛(止めよう・・・私はまだ13です・・・止めないと・・・)
由愛(でも、でも、でも・・・////)
由愛(そんな中、私の左手は首に、右手は本の次のページへと触れていました・・・)
由愛「はぁぅ・・・////」
由愛(つ、次のページから漫画が始まってる・・・)
由愛(最初の漫画は・・・学園モノ・・・なのでしょうか)
由愛(男性が部活の大会で他の学校に行くところから物語が始まっていて、彼女に応援されていて、とても充実してそうな展開でした)
由愛「これなら・・・私も読めそう・・・?」
由愛(ですが、私の予想をはるかに裏切ってくれました)
由愛(男性はその他校である女の子の2人組に目をつけられました)
由愛(大会の方が一区切りついた、そのときにです)
由愛(1人、水飲み場に来た矢先に2人組の女の子に後をつけられ、こう告げられました)
『この子の命が大事なら裸になりな』
由愛(そう・・・男性の彼女がその2人組に捕まっていました。首元にはナイフ、泣き出す彼女)
由愛(男性は歯を食いしばりながらも、自らの衣を外し、生まれたままの姿になります・・・)
由愛「って、あ、あぁっ・・・////」
由愛(無防備な男性は腹に金属バットで殴られ、倒れこみます・・・)
由愛(そして2人組の片方が男性に跨り、こう呟きます)
『人間ってさー、死ぬ寸前が一番元気なんだよねぇ?』
由愛(・・・次のページからは・・・始まってしまいました)
由愛(その・・・あの、えっと・・・行為が)
由愛(男性と女性が本来愛し合う行為。それを男女を引き裂く行為として描かれていました)
由愛(泣き喚く彼女、おぼろげな瞳で耐えようとする男性。しかしその2人をあざ笑うかのように乱雑に男性を弄ぶ2人組)
由愛(最後には、男性は耐えられず・・・ぅん・・・)
由愛「・・・ぁめです、こんな・・・ぁぁっぅ・・・////」
由愛(もはや自分で自分を言いきかす力すら読んでいる自分にはありませんでした)
由愛(複雑な感情が、ただひたすらに稲妻のように走り回り、私は混乱の渦中に堕ちていく)
由愛「誰かぁ・・・////」
由愛(本を支えていた右手は・・・無意識に、腹部・・・いえ、股下へと伸びていました)
・ ・ ・ ・ ・ 。
─ Paプロ・食堂 ─
P「んーと、大丈夫かな?」
?「え・・・」
P「ちょっと、心配になる顔色してたからさ」
?「あ、あなたはえーっと」
P「○○プロのプロデューサーです。あなたのライバルの上司になるかな、相葉さん」
相葉夕美「はい・・・」
P(下を俯き、辛そうな顔していたのは相葉夕美その人だった)
P(花の伝道者とまで言われた花の知識量と持ち前のハキハキした性格が売りのアイドル、中学生の時からアイドルやってるが今なお人気上昇している彼女)
P(だが今は普段のアイドル活動のような、ひまわりのような明るさは決してなく、むしろまもなく限界を迎える紫陽花のような、その顔だった)
P「辛そうな顔してたからさ、俺としてはこんなライバルは見たくないなって」
夕美「え、えぁ・・・」
P「俺で良ければ話して欲しいな。敵対会社の人間だけど、そういう人間だから言える話もあるかもしれない」
夕美「その・・・あの・・・」
P(彼女は手と手を摺り合わせ、なんだか落ち着かない様子だった)
P(その様子から分かるのは、自分では出来ない事、そして自分以外に話せない事)
P(2つに挟み撃ちにされているであろう姿だった)
P「無理して言わなくてもいいからね。俺の老婆心だから」
夕美「あっ・・・」
P「でも元気がない人を見るのは嫌だな」
志保「そうですよっ!」
P「うぉわっ!?」
P(俺の目の前にどでかいパフェがドスンと置かれた)
P「す、すっげぇ量・・・」
P(目測で・・・2000kcalぐらいはあるのではないだろうか・・・)
志保「これ食べちゃえば、心もお腹も幸せ満タンですよ!」
P「・・・・・・い、頂きます」
P(吐かなきゃいいけど。自分の為に出してくれたモノってなんか残したくないし、拒否したくないし)
P(おまじないのように自分に言い聞かせて、スプーンに手を伸ばした時・・・槙原さんからこんな事が聞こえた)
志保「いいの?ある意味チャンスだったかもしれませんよ?」
夕美「うん・・・これは、私の・・・問題だから」
志保「・・・Pさんって巷で有名ですよ?他社でも助けるって」
夕美「・・・もしかして志保ちゃんはわざと?」
志保「これは偶然でーすよ。でも、夕美ちゃんがこのままでいて欲しくないのも事実」
志保「口に出すだけでも、気分良くなるかも?」
夕美「・・・・・・」
夕美「・・・・・・ううん、これはやっぱり、私の問題だから・・・」
P(俺は聞いてないフリをしつつも、頭のどこかで相葉さんの事を考え始めた)
P(・・・自分だけの問題・・・。学校?家族?アイドル?)
P(どれかには当てはまってるはず。彼女はまだ18、できる事には限度がある)
P(無限の可能性は秘めているとしても、今出来る事には有限。同時に起こる事にも想定内のことが多いはず・・・)
志保「もったいないですねー。うーん、夕美ちゃんもパフェ食べます?元気出そ?」
夕美「え、あ・・・じゃあ、ちょっとだけ・・・」
P「一緒に食べます?」
夕美「ひゃうっ!?」
P(つい言葉に出してしまった。俺には聞こえてないと思ってたのか、かなり不意をつかれて口をパクパクさせていた)
P「あはは・・・なーんて、冗だ・・・」
志保「じゃあ食べさせちゃってください!夕美ちゃん、最近調子悪くて食が通らないんですよ」
P「え」
夕美「志保ちゃん・・・」
志保「甘いもの食べると、ストレス発散、お手軽カロリー確保、その他諸々いっぱい良い事あるんですから!食べなきゃ損です」
P「食べすぎ注意ですけどね」
志保「あはは、耳が痛いです」
夕美「・・・・・・」
志保「でも夕美ちゃんの最近の様子見てたら、心配でしょうがないです」
志保「せめて、私の作ったものくらい食べて欲しいなーって」
夕美「う、うん」
P「もうこうなってどれぐらい経つんです?」
志保「かれこれ1週間ちょっとぐらいですね」
夕美「・・・それくらいです」
P「・・・こんな生活繰り返してたら体壊してしまいますよ。アイドルもまた体が資本」
P「メイクで今は隠せても、いつか綻びが見えてしまいます」
夕美「・・・・・・」
P「お仕事に支障が出てからでは遅いですよ?」
夕美「・・・はい」
P「分かってるなら、はい、あーん」
夕美「え、えっ!?」
志保「あーんですよ!夕美ちゃん!」
P「あーん?」
夕美「あ、あーん」
P「はい」
夕美「も、むきゅ・・・」
志保「もう夕美ちゃん、変な声出ちゃってますよ」
夕美「・・・甘い」
P「ははは、よかったよかった。槙原さん、新しいスプーン持ってきてくれませんか?」
志保「合点です。すぐ持ってきますね」
P「・・・相葉さん」
夕美「・・・?」
P「困ったら言ってくださいね。私はライバルではありますが、絶対的な敵ではありません。互いに磨き合う存在です」
夕美「・・・・・・はい」
P(彼女は静かに頷いた。ほんの少し、口元のへの字が和らいだ気がする)
P(PaP・・・ジャックさんは相葉さんの変化に気付いているのだろうか)
P(・・・○○プロダクションも人数が多くなったら、俺もこうやって把握できなくなってしまうのだろうか)
P(それは・・・嫌だな)
P「・・・・・・」
夕美「・・・・・・」
P「・・・もう一口食べる?」
夕美「お願いします」
P(俺は嫌な考えを吹き飛ばそうと今やれる事に手を伸ばした)
P「そだなー・・・このイチゴの辺りを・・・ひょいっと」
夕美「あ、あーん・・・」
志保「ニヤニヤ」
夕美「ッッッ!!!???ごほっ・・・!!ごほっ・・・!!!!」
P「あ、相葉さん!?大丈夫ですか!?」
夕美「・・・ぁー」
志保「私が働いていた時に見た初々しいカップルを思い出しますねー♪」
夕美「も、もう志保ちゃん!!!!////」
P(・・・さっきの低いトーンの声はいずこや。これが彼女本来の声、と言わんばかりに明るく魅力的な声が響いた)
志保「ふふっ、夕美ちゃんはその明るい声の方がいいですよ」
P「それは私も同感です」
夕美「ぁぁぁぅ・・・////」
志保「はい、スプーンをお持ちしました!」
P「ありがとうございます」
志保「ジャックさんから、あと10分後ぐらいにこちらに来てくれと連絡がありましたのでよろしくお願いしますね」
P「了解しました」
志保「つまり、10分でそれ食べてくださいね♪」
P「え゛」
P(まだ二口分しか消えていない山のようなパフェ。これを10分で食えと・・・?)
志保「お残しは許しませんよー?」
P「ひ、ひえええええええええ」
・ ・ ・ ・ ・ 。
P(相葉さんが手伝ってくれたおかげで何とか10分ちょっとで平らげる事ができた・・・)
P「うっぷ・・・」
夕美「あはは・・・私もちょっときつい・・・」
P「甘い物って暴力なんですね・・・ごちそうさまでした・・・」
志保「お粗末様でした♪」
P「じゃ、ジャックさんの所に向かいますね・・・ぅぇ・・・」
P(そう言って、通路に出ようとした時だった)
志保「あぁっ!!!そっちじゃないです!!!!」
P「?」
P(呼び止められてしまった。しかし、この食堂から廊下に出れる入り口は・・・俺が見た限り一つしかない)
P「どうしたんです?」
志保「・・・えっ!?」
P「?」
P(どうしたんだろうか?思わず口が滑ったのだろうか)
志保「え、えーっと!!!い、今だと!!ちょうどレッスン終わって、みんなそこを通るから・・・」
P「通るから?」
志保「ほ、ほらっ!Paプロの子って無防備な子が多いですから!愛梨ちゃんとか、たまに危なすぎる服装というか半裸というか・・・」
P「ああ、なるほど」
志保「すみません、従業員用のドアを開けるのでそちらから迂回して行ってもらえませんか?」
P「わかりました」
志保「・・・あははは・・・」
P(彼女の言うとおりに俺は従業員用のドアから迂回してPaPの部屋へと向かう事になった)
P(仮にもPaプロは大きなアイドルプロダクション。同時にアイドルらの根城であり、一つの自宅である。気が緩んで事務所内だとラフになる子がいるのはウチのプロダクションでも無くはない)
P(でも俺はほんの少し、槙原さんの若干引きつった笑いが気になっていた・・・)
─ Paプロ・PaPの部屋 ─
PaP「来たか。どうした、顔色が悪いぞ」
P「槙原さんに特大パフェを食べさせられたもので・・・」
PaP「全部食べたのか」
P「相葉さんに手伝ってもらって何とか・・・」
PaP「お前・・・狙われるぞ」
P「狙われる?」
PaP「槙原は大のパフェ好き・・・というかモノの提供好きでな。同時にパフェがガツガツ食べれるヤツにはガンガン出してくるからな」
P「ほげぇ・・・」
PaP「多分、お前は槙原にロックオンされただろうな」
P(雑談はここまで。PaPは口火を切った)
PaP「なぁ、P」
P「は、はいっ」
P(思わず説教か何かかと思ってしまい、背筋が伸びる)
PaP「・・・いや、なんでもない」
P「へ?」
P(前言撤回。点かないライターのように止まってしまった)
PaP「むしろお前が言いたい事があったりしないか?」
P「へ?へ?」
PaP「・・・・・・」
P(彼の気まずそうな顔を見て、何かが変だと感じ取れたが何が起こっているのかはまったく理解できなかった)
P「わ、私はてっきりLIVEバトルのルール変更で怒られるのかと・・・」
PaP「なんで俺が怒るんだよ」
P「か、稼げなくなったから?」
PaP「誰も怒らねぇよ。ルールは上が決めるし、おかしいとファンの声があれば変わっていくのは当然だ」
P「そうですか」
PaP「お前、そんな事で呼び出したと思ってるのか?」
P「PaプロとCoプロに同時に呼び出されたらそう思わざるを得なくて・・・」
PaP「はっはっはっ!!!相変わらず心配性のようだな!!」
PaP「俺としてはこのルール変更はありがたいけどな。新規プロダクションがしつこくLIVEを挑んできたりするからな」
P「なるほど・・・」
PaP「ファンを稼ぐ機会が減っただけであり、稼げる量をあげればいい、稼ぐ機会を別途に作ればいい」
PaP「ただ他人に怒鳴って満足するようじゃ、三流だからな」
P「ジャックさん、なんかすみませんでした」
PaP「はははっ、気にしねぇよ」
P「それで・・・なんで呼び出されたんですかね?」
PaP「っ、っとぉ・・・それはだなぁ・・・」
P(PaPさんの引きつった笑顔が一瞬見えた。槙原志保というアイドルに対し、このプロデューサーあり、と言わんばかりに似ている顔をしていた)
PaP「お、お、思い出した。ウチの堀・・・エスパーユッコが○○プロの事を気に入ったみたいでな」
P「先日、こちらのWebラジオの方に出演してましたね」
PaP「アレ以来、さらに声を張り上げて『○○プロと仕事したい』って言ってるもんだからな・・・」
P「つまり?」
PaP「合同ライブ、行ってみないか?」
P「・・・・・・」
P(この短時間の会話で○○プロのコネクターとPaプロのコネクターの双方に敵意はないというのが分かった)
P(確かにこの合同ライブをやるのなら、成功するのはほぼ確実だろう)
P(だが、同時に・・・CuプロとCoプロの反応が怖い)
P(特にCuプロには今、貸しが出来てしまっている。NNN芸能の猛攻を防いでくれたという大きな貸しがある)
P(ここで安易にPaプロと手を組んでライブを行ったら・・・Cuプロから何を言われても飲まざるを得ないかも・・・)
P(『なんで助けてあげたのにPaプロと仲良くしてんのよっ!!!』的な)
P(Coプロは言わずもがな)
P「・・・少し、考えさせてください」
PaP「ほう」
P「いま我々○○プロの成長度的には台風のような状態です」
PaP「確かにな。○○プロに影響されて、実際ルールも変わった」
P「そして、御三家は○○プロを利用し、自社の成長を促そうとしているのも・・・風の噂や、それこそCoPさんが謳っています」
PaP「そうだな」
P「・・・一つ一つの挙動が、御三家の立場・・・いえ、アイドル業界に影響していると言っても過言ではありません」
PaP「ずいぶんとビッグマウスだな」
P「我々も勝つ為に頑張ってきてますから」
P「アイドルそのものは夢や希望、または何かを与える存在。ですがその根本には商売という二文字がある」
P「ならば・・・商売敵にヘコヘコするようじゃ、すぐ偶像(アイドル)は消えてしまいますから」
PaP「さっきのひ弱な態度はどこに行ったのやら」
P「私らに非がないのなら、少しくらい強気で行きますよ」
PaP「はっはっはっ、よく言うわ」
PaP「・・・んじゃ、考えといてな。Paプロはいつでも歓迎する」
P(・・・そう告げられた俺はその場では答えず、Paプロを後にした)
PaP「───────────これはいつか亀裂が生まれるな────」
前半終了です。
見直したら後半でとんでもないミス(登場するキャラの手違い、入れるはずの台詞がない)を見つけてしまい、修正のため後半の投稿が一日遅れます。申し訳ありません
・・・さすがに頼子ちゃんが2人いたら驚くわ・・・
・ ・ ・ ・ ・ 。
─ 高速道路 ─
P(PaPさんとの会話が長引くと思ってた俺は迎えなどの仕事は入れてなかったのだが、如何せん早く終わってしまったので)
五十嵐響子「・・・今日の午前の仕事は大変だったんですよ」
藤原肇「Pさん聞いてますか?今度からあそこと仕事はあんまりしたくないというか・・・」
P「まいったなぁ・・・格安だったが、罠だったか」
響子「安物買いのなんとやら、ですよ」
肇「Pさんもしっかりしてください!私たちの身体を守れるのはPさんだけです!」
P「・・・へい」
P(午前中撮影だった響子と肇を迎えに行っていたのだった。後部座席に座る彼女らは不満タラタラのようであったが)
P(聞く感じだと、撮影所の男性らは衣装がズレていると言ってすぐに身体に触って来る奴らだったらしい)
P(加えて撮影所のリーダーが女性らしく、プライドがめちゃくちゃ高いとか)
P(そんな彼女が離れている時を狙って・・・最悪な上にガードが硬すぎる、これ以上はコンタクトを控えるべきだ)
P「分かった。今後は利用しないように釘を刺しておくよ」
肇「お願いしますね・・・」
響子「怖かったんですからね!」
P「・・・困ったら、すぐに言ってな。俺だけじゃなくて社長だって、ちひろさんだってお前たちの為ならすぐに動く」
肇「あのぉ・・・ね?」
響子「あははっ・・・」
P(2人は顔を合わせ、2人してバッグミラー越しの俺の顔を覗いてくる)
P「俺がいい、とは言わせないからな」
2人「ギクッ」
P「なんだかなぁ・・・」
P(・・・度々思う、この恋敵が恋敵でない環境・・・俺に好意を向けてくれる事自体は男として嬉しいものの、一線越えて不気味さすら感じられる)
P(他人からまた別な他人に俺を好きになるように仕向けられる・・・)
P(まるで・・・ウィルスのようだ)
P「・・・恋は病、かな」
肇「そうですよ!早く治してください!!」
響子「Pさんはプロデューサーでお医者さんなんですよ!!いつでも診察OKならすぐに行きますよ!!」
P「がっつくな、飛び出すな、後ろ見えない!!!!!!!!!」
・ ・ ・ ・ ・ 。
P「そういえば、“なおす”で思い出した」
2人「?」
P「2人とも、相葉夕美って知ってる?」
響子「はい、知ってますよ。中学生の頃からアイドルやってる人ですよね」
肇「・・・私は、名前だけしか・・・。まだ会った事ないんですよね、確か・・・Paプロの人ですよね」
P「ああ、今日会ってきてな」
2人「!?」
P「どうにも困ってた顔をし・・・ん?どうした、強張った顔をして」
響子「まぁたPさんが女性アイドルにふっかけてますよ」ヒソヒソ
肇「どんだけオトすつもりなんでしょうね、私たちの旦那様は」ヒソヒソ
響子「ただでさえ○○プロの半数がオチてるのに」ヒソヒソ
肇「あ、でも19歳の方が関わってなければ大丈夫ですよ。実際外部はCuプロの19歳ですし・・・」ヒソヒソ
響子「そっか。相葉さん、確か18だったもんね・・・ギリギリセーフ」ヒソヒソ
P「・・・・・・」
響子「もーまんたいですね」
肇「もーまんたいです」
P「なんか双子みたいになってきたな、お前たち・・・」
P「って、19歳と言えば、槙原志保さんにも・・・」
2人「絶対関わらないでください!!!!!!!!!!!!!!!」
─ ○○プロ・事務所前 ─
響子「Pさん、絶対相葉さんと槙原さんと関わっちゃダメですからね!」
肇「絶対ですよ?Pさんの魅力は○○プロ以外に見せちゃダメなんです」
P「分かった、分かったから!」
響子「絶対分かってないです!放っておいたら絶対チューしますもん!」
P「さ、流石にそこまでは・・・」
肇「油断してたらCuプロの古賀さんにキスされたと音葉さんに・・・」
P「うっ!」
響子「Cuプロに通用してPaプロに通用しないって事ないんですよ?」
肇「いつどこで誰がPさんの操を狙ってくるか・・・やっぱりPさん、早く私たちから選ばないと・・・」
P「そんな簡単に選べないから!というか今選んだらプロデューサーとしてマズいから!」
響子「むー、Pさん的にトップアイドルじゃないと許してくれそうにないですね・・・!」
P「俺はずっとその路線だよ。芽衣子とそういう約束したんだ、テキトーには裏切りたくない」
肇「むー」
響子「むー」
肇「むー!」
響子「むー!」
P(2人は頬を膨らまして俺の前でジト目で覗きこんでくる)
P(可愛いんだけどなぁ・・・ファンにそういう顔見せてあげて欲しいんだけど)
肇「おや、アレは美羽ちゃんでは?」
P「?」
P(言われて目を向けると、玄関の前で座りこむ美羽の姿があった)
P「どうした美羽、まだふて腐れてるのか?」
P(先日、オーディションをすっぽかしてしまったのがかなり心に来ている彼女)
P(NNN芸能の乱入があったから、という口実があるが、マジメにアイドルやってる美羽には大打撃だったようだ)
P(ようだったんだが・・・)
矢口美羽「あ、Pさんに響子さん、肇さん・・・え、え、えっとぉ、あははははーっ!!!!!!」
3人「?」
P「無理して笑ってないか?」
美羽「そ、そんな事ないですよっ!ほら、私元気元気!もう落ち込んでないですよ!!!」
P「いやでも・・・」
美羽「あの時は私がNNN芸能を追っ払う実力がなかったからあんな事になっちゃったんです!もっともっと強くならないと!」
P「そう・・・だな。うん、美羽はもっと魅力的なアイドルになれる。俺が保証する」
美羽「だから、Pさん!今後のスケジュール、もっと詰め込んじゃってください!!」
P「バッカ、適度な休憩と、十分な運動、そして一瞬にかける集中力があってナンボだよ。詰め込めるんじゃなくてもっと基礎を際立たせる方向で行くからな」
美羽「はいっ!」
P「とりあえず、中に入ってもっと綿密な・・・」
バッ!
P(美羽は入り口の前で手を広げて、『通らせませんよ!』と体が示していた)
P「あのー、美羽?入れないんだけど・・・どうしたんだい?」
美羽「え゛っ゛・・・いやー・・・あははははっ・・・////」
P「顔を真っ赤にしてるけど」
P(彼女は顔こそ笑っているが、目は慌てており、泣きそうでもあった)
美羽「今日あっついじゃないですか!!!!!!」
P「なら熱射病だな、早くソファに寝かせて・・・」
美羽「そ、ソファ!?////」
P「?」
美羽「な、なんでもないですっ!!!!!!!」
響子「じれったいです!美羽ちゃん行きましょうねー」
肇「Pさんはこの後また外出らしいので邪魔しちゃダメですよ」
美羽「あーっ、ダメです!!ダメですってばっ!!!あ──────っ!!!!」
P「なんであんなに慌ててるんだ・・・?」
P(俺は首をかしげながらも、事務所のドアを開いた)
P「ホントに熱持っちゃってるならソファにおいて冷房つけておかないとな」
─ ○○プロ・事務室 ─
────────っっ、ぁ
P(ん?小さいけど、声がするな、気のせいか?)
──ぁっ─────ぅん─────
P(気のせいじゃないな、どこからだろう?・・・応接間?)
P「誰かいるのかー?」
由愛「────ぁぁ─────っ???」
P「・・・・・・へ?」
由愛「・・・・・・」
P「・・・・・・」
由愛「・・・・・・ふぇ?」
P「・・・・・・」
由愛「・・・・・・」
P「・・・・・・」
由愛「・・・・・・」
アアアアアアァァァァァァァァァァァァァッ─────!!!!!!!!
響子「どうしたんですかPさん!!!?・・・って」
キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!
肇「なにがあったのPさん、響子ちゃん!!!・・・って」
キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!
美羽「お、遅かった・・・ぁぁ」
P(しばらく、俺・・・いや、俺たちは固まってしまった。まさか由愛が事務所で────してるとは思わなくて・・・・)
─ 事務所前・車内 ─
P(俺は頭を冷やす意味でも、ちょっと顔を合わせにくいという意味でも車の中に逃げ込んだ)
P(いや・・・うん、そういうお年頃だ。由愛だって、13歳・・・思春期真っ盛りの時期なんだ、こんな事が起こっても不思議では・・・)
P(・・・ダメでしょ、うん。せめて仮眠室やトイレ・・・ってそんな事じゃない。由愛に何かストレスが溜まっている可能性があるって事だよな・・・?)
P(もっとスケジュールを見直すべきか?それとも今日の響子や肇の仕事先みたいに由愛もスタッフにセクハラを受けているのか?)
P「・・・・・・」
コンコンッ!
P「?」
P(そうやってしばらく黙り込んで考え事をしていると、外からノックがやってきた)
P「っ、由愛!?」
P(ノックの発信者は・・・、由愛だった。未だ唇や耳の先まで真っ赤にしているが、禍根を残したくないという意思が顔のどこからか感じられた)
P「ん、入って」
P(俺は車のロックを外し、彼女を助手席へと座らせた)
由愛「・・・・・・」
P「・・・・・・」
P(少しの間、2人揃って黙ってしまった。今の状態を音葉が言うなら間違いなくピンク色の風が見えると言うだろう)
P(そう俺にも感じられるくらい・・・由愛は淫靡な雰囲気を纏ってしまってた)
由愛「・・・・・・」
P「・・・・・・」
由愛「ごめんなさい・・・」
P(口火を切ったのは、由愛の方だった)
P「・・・・・・」
由愛「幻滅・・・しちゃいますよね・・・」
P「幻滅?」
由愛「私・・・えっちな人でした・・・。最低です・・・」
P「そうか?」
由愛「・・・・・・」
P「・・・・・・」
P(彼女は自分のやった事を悪だと決めつけてしまってるようだ)
P(少しぐらい和らげる事は出来るだろうか、やってみよう)
P「由愛、俺は別にえっちな事に否定的じゃないぞ」
由愛「ぁぅ・・・////」
P「それに、由愛がえっちな事・・・知ってるし」
由愛「はぅ!?////」
P「・・・・・・こないだ、首にキスした時・・・ずっと俺に抱き付いてたし、俺が何もしなくても首を俺に擦り付けてたし」
由愛「ぁぁぁぁぅ・・・////」
P「それに他の子から耳年増って、聞いてるし・・・」
由愛「ぅぅぅ////」
P「・・・俺自身はえっちな子好きだし・・・」
由愛「え、えぇっ!?////」
P(なんか、思いっきり間違えた上に口が滑った気がする)
P「え、あ、あはははははっ!!!!」
由愛「ははっ、はははははははははっ!!!!!」
P「ははははははははっっ!!!!!!」
由愛「あはははっ、あはっ、ごほっ!ごほっ、ぐふっ・・・」
P「由愛、大丈夫かっ!!!?」
P(2人して笑って誤魔化そうとして、見事由愛は自滅した)
P「・・・深呼吸、な」サスサス
由愛「・・・・・・すぅ・・・」
P(背中をさすり、俺は由愛が落ち着くまで待った。俺自身、気持ちが慣れるまで待てるのは助かるが)
由愛「・・・・・・」
P「・・・・・・」
由愛「Pさん」
P「ん?」
由愛「ごめんなさい」
P「謝る理由なんてないよ。強いて言うなら、由愛が心配なだけかな」
由愛「・・・心配?」
P「ほら、あんな行為ってさ。ストレス抱えまくった人とかが陥る行動でもあるからさ・・・////」
由愛「・・・・・・////」
P(あ゛ー゛、なんか顔が赤い。大人の面目はすでに消し飛んでいて)
由愛「ぁ・・・・・・////」
P(由愛も目が血走っていた。混乱の形相に近い)
由愛「私は・・・」
P「うん、何かあるなら言ってくれるとうれしいな」
由愛「・・・私は、寂しかったんです」
P(一瞬、団地妻という単語が浮かんだのはナイショだ)
由愛「『ソルシエールズ』の動きもなくて、みんな忙しそうで・・・」
P「ん」
由愛「良い事、なんです。忙しい事が。それくらい、私にも分かります」
由愛「でも、私はずっと・・・ずっと、寂しがり屋でした。それも思った以上に」
由愛「誰かと一緒に仕事したい、です・・・みんなとも、Pさんとも」
P「そっか」
P(俺はすぐに唸り声をあげながら考え込んだ。丁度、ジャックさんから提案された合同ライブの事がある)
P(由愛の要望を叶えるチャンスと見出すならば、絶好のチャンスだった)
P(他社より自社・・・これはPaプロとの案件を取るべきなんだろうな)
P「んー」
由愛「・・・ダメ、ですか・・・?」
P「いや、ちょうどな、良い案件が転がり込んできたでな」
由愛「ほ、本当です、か・・・?」
P「ああ。他とのぶつかり合いがなければ○○プロのみんなで大型LIVEできるんだ」
P(由愛は目を見開いて輝かせていた。台風一過のような晴れ晴れとした顔が眩しい)
由愛「・・・みんなと、みんなと!アイドル、できるんですか・・・!?」
P「おう。なんとかこの案件繋いでみせるよ」
由愛「えへ、えへへ・・・っ」
P「ごめんな。もっと早く気付いてあげれれば・・・」ナデナデ
由愛「・・・こんな事なら、もっと早くやってればよかったかな・・・」
「・・・・・・」
P(えっと、もっと早くやってれば・・・って事は・・・?)
由愛(あ、あれ・・・?私、変な事を・・・早くやって・・・?早くヤって・・・?)
由愛「ッッッッッッ──────────────────────────────────////」
P(由愛は爆発した。俺をポカポカと叩いた後、全速力で事務所内へと逃げていってしまった)
P(今までにないくらい可愛いんだけど、原因が原因なので俺は触らずにいる事にした・・・)
・ ・ ・ ・ ・ 。
─ Coプロ・玄関 ─
P(由愛が事務所に戻ってその後すぐ、俺はCoプロの方に足を運んだ)
P(Paプロの方では仕事の案件での用事ではあったが、こっちはどうだか・・・)
P(CoプロはかつてNNN芸能と同じことをやっていた時期もあった。Sランクプロダクションになった今、どう考えているのやら・・・)
P「ふぅ・・・ここのプロデューサーは勢いが物凄いからね、下手見せたら一瞬で引き込まれる。油断しないように」
P(自分に言い聞かせ、意気込みも兼ねて頬を叩き、一歩その敷居を踏んだ)
?「あ・・・Pさん、こちらです」
P(1人女性がこちらに気が付いて、手招きをしている。あれは・・・古澤頼子さん、以前伊吹と共に攫われてしまった人・・・)
P(元気、取り戻せたんだ。よかった)
P「お疲れ様です。どうしましたか?」
古澤頼子「少々、ここに隠れてもらえませんか?」
P「?隠れる・・・?」
P(彼女が指した所、それはエントランスによくあるソファの裏だった)
P「え、なんで・・・」
頼子「申し訳ありません、早くお願いします」
P「は、はい」
P(すると、エレベーターからある集団が現れた。1人濃いスーツに3人組の女の子。あれはNNN芸能のメンツ・・・!?)
<NPチャン・・・ヤッパリヤリスギダッタニャ・・・
<シャーネェダロ、オレタチハハヤクナマエヲウラナイトシンジマウンダ
P(何を言ってるかはうまく聞こえないけど、声のトーンが低いのぐらいは分かる)
頼子「・・・CoolP(以下CoP)さんが今回の事案を受けて、しばらくNNN芸能が関東圏の仕事を取れないように根回ししたらしいです」
P「・・・え?どうしてそんな」
頼子「かつてCoプロが同じ事やってたのを、これ以上掘り下げられたくない、らしいです」
P「事前に火消しをしておく、ってところですか。手が早いというか、流石というか」
頼子「・・・加えて今回、ゲリラLIVEの事を委員会に進言したのは・・・八神さんなんです」
P「え゛?八神さんが・・・?」
頼子「CoPさんは怒ってはいませんでしたが・・・バックアップはきちんとしないといけないと物凄い勢いで処理してたのは確かです」
P「・・・・・・なんだかなぁ・・・」
頼子「ふふっ、自分らの案件なのに、ですか?」
P「そんなところです」
P(NNN芸能がCoプロを去っていったのを確認して、俺たちはCoPの部屋へと向かう)
─ Coプロ・CoPの部屋 ─
CoP「おっそーい!Pちゃん、おっそーい!!!!」
P「アナタはどっかのうさ耳リボンつけた女の子ですか・・・」
頼子「うさ耳?」
P「ああ、ゲームのキャラです」
頼子「なるほど」
CoP「だっつぁさー、NNN芸能の子たち全然引き下がらないんだもん。途中で飽きちゃったよ」
CoP「四ヶ月間はこっちで仕事できないよーって事前に言ってあげたのに、納得しないんだもん。ダメダメのダメダメだねぇ、自分たちがいかに引っ掻き回したか分かってナイナイ」
P「あはは・・・」
CoP「ホント乾いた笑いしか出ないって。こっちも根回しとかいろいろやるけど、アイドル同士の勝負は僕はマジメにやらせるようにしてるんだから」
P(八百長とかやりそうなんだけどなぁ・・・)
CoP「んでさー、大丈夫?」
P「え?」
CoP「Pちゃんところのアイドル。なーんか何人か倒れたらしいじゃん」
P「ああ、みんな復帰出来てますよ。容態が一番悪かった響子も先日復帰したばかりです」
CoP「へぇ、よかったよかった。○○プロがフルパワー出せなくなったとかになったら僕は激おこだからね、NNN潰しにかかってたかも」
P「仕事範囲減らしただけでもかなり大打撃なような・・・」
CoP「大丈夫ダイジョーブ、ちょうど生殺しにする程度に調整してあるから」
P(そういうところが怖いんだけど)
CoP「んで、今日呼んだのは・・・」
P「・・・・・・」ゴクッ
P(急に本題に入ろうとするもんだから、おもわず息を飲む)
CoP「頼子ちゃんがお礼言いたいんだって。強引に作らせましたよ時間を。ンフッフッフッフ」
P「え?」
P(思わず彼女の方向へ振り向いてしまった)
P(な、なんだ良かった・・・CoプロもPaプロも肩透かしで終わってよかった・・・)
CoP「そーなんだよ、そーなんだよ!もぅー頼子ちゃんってば、アレ以来すっかり見違えちゃって!すっごい乙女になっちゃって僕背中押しまくりングなんだから」
頼子「そんな・・・勿体ないです。ふふっ」
CoP「Pちゅあん分かるぅ?この謙虚さ、そしてモナリザの微笑に匹敵する笑み!瞬く間にシンデレラ街道まっしぐらなんだよねぇ!」
頼子「モナリザの微笑だなんて・・・そんな・・・私はただたくさんの人にきっかけをもらっただけです」
P「と、ともかく元気が出たのならよかった」
頼子「はい・・・でも私はまだアイドルとしては卵な存在。一歩一歩を大切にしないと」
CoP「いやー、それを自覚できるのはごくわずかな子だけだよ!これも全部Pちゃんのおかげだよ、ダヨッ!!!!ホントありがとう、天使!ライギョ!ニジマス!!!」
P(い、意味わからねぇ・・・)
P(伊吹曰く、古澤さんは捕まってたときに元気付けた、背中を少しだけ押した、との事。確かに以前のデータに比べれば、ずっと笑顔になってるっぽい)
頼子「では改めまして・・・Pさん、本当にありがとうございました」
P「いえいえ、私だけではありません。あの時、貴女と一緒にいてくれた伊吹、私の無理強いを聞いてくれた警察や救命士の人たちの力添えもあります」
頼子「それでも、私はアナタにお礼が言いたいんです。あの時、心すら閉じこもっていた私に躊躇すらなく救ってくれた、アナタに」
P「そ、そうですか」
P(なんだか気恥ずかしい)
頼子「本当にありがとうございました・・・♪」
P(彼女は俺の手を取り、キュッとやさしく包むように握った)
P「・・・無事であれば、私としてもよかったです」
頼子「ふふっ」
CoP「むふふ────────♪」
P「どうしたんですか?CoPさん」
CoP「はぁぁぁっ───────────」キョロキョロ
頼子「・・・・・・?」
P「・・・・・・?」
P(それから30秒間、CoPさんは警戒するように辺りを見回し続け、俺たちに一言もしゃべらせてくれなかった)
P(この人の奇行は知ってはいるが・・・ここまで露骨なのは初めてだった)
CoP「これで納得したかな?」
P「一体なにを」
CoP「手を見てみなよ」
P「手?」
P(言われて、思わず右に左にと見比べるが・・・特には)
CoP「ずっと、頼子ちゃんが握ってるじゃん?」
P「えっ!?」
P(あまりにも自然に、かつ熱っぽく握られてるもんだから俺は言われるまで気付かなかった)
頼子「・・・・・・////」ポッ
P「え、え、えーっと・・・こ、これは・・・?」
CoP「えー?これで気付かないのー?Pちゃんってばど・ん・か・ん♪頼子ちゃんはキミにホの字だってば」
P(い、いや、いやいやいやいや・・・!騙されてはなりませぬぞ、Pよ。古澤さんとの繋がりなんて、ほんのわずか。1分すらない!)
P(ちょっとだけ抱っこしただけだよ!?そ、それが原因・・・?)
P「ま、ま、待って!じょ、冗談だよね、古澤さん・・・?」
P(俺の言葉にふふっ、と笑った後、目を細めて彼女はこう言い切った)
頼子「私は、アナタの事が、Pさんの事が好きです。大真面目、そのつもりです」
P「 」アングリ
CoP「おーい、お───────い!!!Pちゃん?Pちゃんってばー?」
頼子「・・・・・・」
CoP「あちゃー、Pちゃん固まっちゃったよ。まぁ、しっかたないよねぇ、頼子ちゃんみたいな美人にまっすぐ言われちゃ男はタジタジだよ」
頼子「どうしましょうか」
CoP「放っておけば帰ってくるんじゃない?廊下のベンチに寝かせてあげればとりあえずの心配はないでしょ」
頼子「そうですね」
CoP「これから楽しくなりそうだ・・・」
頼子「ふふふっ♪」
P(どーしよ・・・、ただでさえCuプロの子で大変な目に遭ってるのに・・・Coプロの子まで・・・あぁぁぁぁぁぁ・・・)
─ Coプロ・トレーニングルーム前 ─
鷺沢文香「本当に・・・ごめんなさい・・・」
脇山珠美「いえいえ、気にせず大船に乗ったつもりで珠美に任せてください!」
文香[頷く]
珠美「しかし頼子さんを探してるなんて、よく珠美とすーこさんと一緒にいるのは確かですが」
文香「いつもなら資料室や図書室にいるのですが・・・今日はいなかったのです・・・」
文香「・・・頼子さん、どこに行ったのでしょう・・・?」
珠美「急ぎの用だったんですか?」
文香「千夏さんとむつみさんの4人で・・・まだ日本語化してない童話を翻訳する企画で・・・」
珠美「なるほど!完成したから呼ぼうと!!」
文香「いえ・・・私なりの翻訳ができたのでみんなに回し読みして欲しい、と・・・次は頼子さんの番で・・・」
珠美「こ、これはとんだ早とちりを・・・」
文香「・・・珠美さんも読んでみますか・・・?」
珠美「お気持ちは嬉しいのですが、珠美は見よう見まねで伸びてきた所存、文字から想像するのは苦手で・・・」
文香「本は心のゆとりを広げます・・・。完成したら読んでみてくださいね・・・」
珠美「それはもちろん!同じCoプロの人間として胸張って読ませてもらいます!!!」
文香「・・・・・・」
珠美「?」
文香「いえ・・・」
珠美「あっ、今胸見ましたね!!!!!!?体が貧相だって思いましたね!?!??」
文香「そ、そんな事は・・・」
珠美「むきーっ!珠美はチビっこなのは分かってます!!!でもいつか絶対ビッグになってみせます!!!!」
文香「陰ながら応援しています・・・」
珠美「そうと文香さん」
文香「はい・・・?」
珠美「あれは頼子さんではありませんか?」
文香「あっ・・・」
文香(よく見る顔が、見たことない顔に微笑んでいるのが見えました)
文香(タオルケットを優しくかけている姿は、その人が行きたいという世界に匹敵する模様を見せていました)
P「 」
頼子「Pさん、荷物・・・ここにまとめておきました。耳元に置いておけば忘れていきませんよね・・・?」
文香「・・・頼子さん」
頼子「あっ・・・文香さんに珠美さん、お疲れ様です」
文香「・・・その方は・・・?」
珠美「おや、Pさんですね!寝ちゃっているようですが・・・」
頼子「ちょっと私が驚かせてしまいまして・・・ふふっ♪」
文香「・・・・・・気絶したのですね」
珠美「あれ、もしかして頼子さんが気になっていると言ってた男性ってPさんの事だったんですか!?」
文香「そんなことを?」
珠美「そうですよ!今まですーこさんがずっと聞いてるのに笑って誤魔化してはいましたが、ようやく尻尾を現したようですね!」
文香(気になっている・・・想い人)
頼子「それは・・・・・・ふふふ・・・」
文香「頼子さん、その恋、頑張って・・・くだ」
文香(知ってる人の知らない恋。本の中でしか見なかった世界が目の前の人には起こっている)
文香(傍観者。私はその立場だけど、背中を押す、それくらいの事は・・・私でも)
文香(でも・・・私が言いきる前に返ってきた言葉は・・・いまこの場で私だけが分かる暗号でした・・・)
頼子「・・・“恥の多い生涯を送ってきました”」
文香「っっ!!!!」
珠美「???」
頼子「申し訳ありません。この後、少しだけCoPさんのお手伝いがあるので、用があるのでしたら1時間ほど食堂で待ってくれませんか?」
珠美「あ、はい」
文香「・・・・・・」
頼子「では、また後で」
珠美「・・・頼子さんもだいぶ明るい表情が増えましたね。・・・って文香さん!?どうしたの文香さん!?」
文香「あ・・・ぁ・・・」
文香「ちょっ・・・倒れないで!文香さん!?ちょっと、いるならすーこさん手伝ってぇ!!!」
文香(“恥の多い生涯を送ってきました”・・・太宰治の『人間失格』の一文)
文香(もしこの言葉の意味が私の思っているものと同じであれば・・・頼子さんは・・・)
CoP「・・・調整は、万全のようだね・・・」
終わり
以上です。今回はここまでです。
お久しぶりになります。以前より二ヶ月ほど間が空いてしまいました。
本当にお待たせしてしまいました、加えて繋ぎの回だったので消化不良な方もいるかもしれません。合わせて、お詫び申し上げます。
「モナリザの微笑(もなりざのびしょう)」とは、喜びとも悲しみともつかない、謎めいた微笑のことを指します。
ちょっと深読みして今回のお話のテーマとしては笑顔や笑いに別な意味を含める、という事を基準に描いています。
誤魔化し、誘惑、呆然、いろんな所で笑うという動作が行われているはずです、笑いや笑顔って便利ですよねぇ・・・。
さて、次回は
・涼宮星花「苦虫を噛み潰したよう」
になります。
ではまた。
チラ裏。
おまけは劇中ユニット『ディープリーコン』のちょっとしたお話と次回への予告も兼ねた内容を予定しております。
あと・・・余力があれば『車の中で由愛ちゃんが暴走したらどうなったのか(R-17.9)』を書ければなーと思っております。
(巴ちゃんの後にみちるちゃん来るの卑怯やろ・・・)
>>85
>珠美「・・・頼子さんもだいぶ明るい表情が増えましたね。・・・って文香さん!?どうしたの文香さん!?」
>
>文香「あ・・・ぁ・・・」
>
>文香「ちょっ・・・倒れないで!文香さん!?ちょっと、いるならすーこさん手伝ってぇ!!!」
ここの最後って珠ちゃんのセリフ?
>>95
これはミスですね。
珠美ちゃんのセリフで合っています
その日の夜・・・。
─ P宅・リビング ─
喜多見柚「いよいよだねー、なんで今までやってなかったのって感じだけど」
榊原里美「でも顔を合わせられるのはぁ、いいことですよぉ?」
柚「そりゃそうだけどさ、Pサンもうっかりサンというか」
大原みちる「Pさんだけのせいじゃないです、とりあえずあっちの連絡を待ちましょう!」
みちる(今日はいつもの4人で、Pさんの家に泊まりに来ていました)
みちる(しかし、今日はただ泊まりに来たわけではありません)
みちる(なんと、ネット電話を介してアーニャちゃんたち・・・もとい今海外で頑張ってるディープリーコンと話す事が出来るとの事でした!)
みちる(PさんがSkypoを使ってディープリーコンの保護者である青木麗さんと連絡を取り合ってたのだけど、それを使えばあっちにいる皆と話せる事まで頭が回らなかった・・・とか)
みちる(いま何かと忙しいですからね・・・)
みちる(とりあえずこの3人でパソコンの前で待機中なんです)
柚「いま皆どこにいるんだろう?」
柚「確か、世界各国回ってるんだよね」
みちる「らしいです!でももうすぐその修行の旅も終わるとも聞いてますけどね」
柚「そうなんだ!どうしよう、お土産頼んじゃおっかなー♪」
里美「ほわわぁ、いろんな国のお菓子とかだと嬉しいですねぇ」
みちる「私はパンがいいです!」
柚「ミッチーはいつも通りじゃん」
里美「さっきもメロンパン食べてましたぁ」
みちる「里美さんの差し入れでパンを渡されたなら食べないと!それがあたしの使命です!」
柚「サトミンもだいぶミッチーの扱い慣れて来たね」
里美「ほぇ?」
柚(無自覚だったか・・・!!!)
<♪~♪♪~♪
柚「あっ、青木麗サンからだって・・・って事は!!」
みちる「里美さんクリッククリック!!!」
里美「え、えっとぉ!それぇっ!」
みちる(ビォンという音の後、かすれたビデオ音のような音源で女の子の声が聞こえてきた。まだ映像は繋がってないみたい)
『もしもし・・・?』
みちる「アーニャちゃん!!」
『・・・もしもし?』
みちる「アーニャちゃーん!!!」
柚「あ、もしかしたらラグってやつじゃない?遠い国にいるのかもよ?」
『あ、繋がりました』
みちる「ホントです!アーニャちゃーん!!!」
『・・・ミッチー?ミッチーですか?』
みちる「そうですよー!大原みちるですよー!」
柚「柚もいるよー」
里美「私もいますぅ!」
柚「私じゃ分からないと思うよ?」
里美「そうでしたぁ」
アナスタシア(以下アーニャ)『ミッチー!ユズ!それと・・・』
里美「里美ですぅ」
アーニャ『・・・サトミ・・・サトミ!!!大丈夫です、覚えてます!!』
里美「ふぅ」
みちる「良かったー、繋がりましたよー」
アーニャ『改めて、ボン・ジーア!ミッチー、ユズ、サトミ、声が聞きたかったです』
みちる「ぼ、ボンジア?それもロシア語ですか?」
アーニャ『・・・これはポルトガルの言葉で“おはよう”です。いま私たちは、ブラジルにいます』
柚「ブラジルって言ったら、日本の裏だよ!すっごい遠いところから電話してるんだね!」
里美「ほぇぇ・・・大変ですぅ」
アーニャ『もうすぐ朝ごはん、なんです。他のみんなは、朝のシャワーに。今は私だけの時間です』
みちる「そうですか、私たちは先ほど夕ご飯食べ終わったところです」
里美「この後、一緒にお風呂入るんですよぉ」
アーニャ『入れ替わりの、ギリギリでしたか、間に合ってよかった』
柚「ねーねー、アーニャチャン。【ビデオ通話】っての押せる?」
アーニャ『どれでしょうか?』
みちる「カメラのボタンがあるはずです」
アーニャ『これでしょうか・・・』
柚「あっ、映ったよ!!」
みちる(なんだかホテルの壁紙のような背景と共に、私の“いとこ”の姿が映された)
里美「ぼやけてますけどぉ、アーニャちゃんだって分かりますぅ」
アーニャ『あっ・・・映って・・・』
みちる「アーニャちゃん、こんにちは」
柚「おはようございましたカナ?」
里美「こっちだとこんばんはですねぇ」
アーニャ『・・・・・・ミッチー・・・みんな・・・』
アーニャ『・・・ぐすっ・・・』
柚「あ、アーニャチャン!?あれおかしいな、変なこと言ったカナ?」
里美「大丈夫ですかぁ?」
アーニャ『フショー・・・フパリャートゥキェ・・・大丈夫』
アーニャ『みんなの顔、見れて・・・嬉しくなって・・・うっく・・・』
みちる「アーニャちゃん・・・」
アーニャ『私たちは、アンタゴニクト・・・悪役として育てられて・・・まだ心のどこかで、嫌われてると、思っててぇ・・・』
柚「そんなことないよっ!Pサンもちひろサンもちゃんと仲間だって言ってくれてるし!」
みちる「アーニャちゃんは、私の家族で、○○プロの一員ですよ!ディープリーコンのみんなだって、すぐに解け込めます!!!」
柚「あの時は戸惑ったけどね。でも社長サンたちが警鐘を鳴らすためだってのも今では見に染みて分かってるもんね」
里美「そうですよぉ、ディープリーコンはライバルでー、家族ですぅ」
アーニャ『・・・・・・』
アーニャ『あー・・・コホン』
3人「?」
アーニャ『私は○○プロダクションのアイドル、アーニャ・・・アナスタシアです。これから・・・よろしくね』
柚「・・・ぷっ、どうしたの?改まっちゃって。へへっ・・・柚だよ、よろしくね、アーニャチャン」
みちる「あははーっ!私は大原みちるです!これから頑張りましょー!」
里美「はわぁ~、アーニャちゃんに自己紹介されちゃいましたぁ。私は里美ですよぉ」
アーニャ『クスッ・・・みんな、大好きです♪』
・ ・ ・ ・ ・ 。
アーニャ『ところでP君とトモは?』
みちる「アー・・・どうしようかな」
アーニャ『?』
柚「朋サーン、アーニャチャンが呼んでるよー?」
朋「ムー!!!ムームー!!!!!!」
柚「やっぱり声出せないかー」
里美「出してきましょうかぁ?」
みちる「いや、いいです。今日は反省してもらいましょう」
アーニャ『???』
みちる「朋さんはちょっと悪いことして罰として簀巻きになってもらってます」
アーニャ『スマ・・・キ?』
柚「布団でグルグル巻きにされてるんだよー」
アーニャ『トモ、悪い子だったんですか?』
みちる「そりゃ、悪い子だったんですよ!ねー、朋さん?」
朋「んー、むむむむむー!!!!!!(バカーっ!!そんなわけないでしょ!!!!)」
朋「ぶぶぶぶぶむむむむ────────っっっ!!(ちょっと失敗しちゃっただけなんだから──────っっっ!!)」
みちる「・・・とまぁ、朋さんがPさんのものを勝手に持ち出しちゃって、他の人に迷惑かけちゃったって感じなんです」
柚「持ち出したのがエッチな本じゃなければよかったのにねー」
アーニャ『トモ、エッチなことはめっ、ですよ』
朋「る゛る゛る゛る゛る゛─────っっ!!(それはあんた達に言われたくなーいっ!!!!)」
みちる「それで、今後こんなことがなるべく起きないようにと、Pさんがエロ本捨てにいってる感じなんです」
アーニャ『P君が、エッチなのは知ってます』
柚「そうカナ?結構隠せてると思うけど」
アーニャ『泊まり込みのレッスンで、ミヤビが足を痛めたことがありました』
アーニャ『それでP君が、お姫様抱っこした時があったのですが』
みちる「むむっ、お姫様抱っこ・・・」
アーニャ『ミヤビのおっぱい、後ろから鷲掴みしちゃったんです』
アーニャ『運び終わった後、P君はずっと手をボーッと見てました。手に残る温もり、というやつ、ですね』
アーニャ『普段はマジメだけど、本当はエッチなこと、大好きなんです』
柚「う、うーん」
里美「?」
みちる「アーニャちゃん、それ多分ですが・・・Pさんは『俺はなんてことをしたんだ、最低だ』って自分を責めてる図ですよ」
アーニャ『・・・え?』
・ ・ ・ ・ ・ 。
柚「Pサンまだかなー?ちょっと時間かかってない?」
里美「何か問題が・・・」
みちる「多分、コンビニで甘い物買ってきてくれてますよ」
里美「プリンとかですかぁ?楽しみですぅ」
柚「アタシはピョッキーがいいかな」
アーニャ『みんな、P君に甘えすぎ、です』
みちる「アハハ・・・ついつい」
アーニャ『P君は忙しいんです。自分で出来ることは、自分で・・・』
柚(姑だ・・・)
『アニャちゃぁぁぁぁぁぁん!!!!』
アーニャ『あ゛・・・』
みちる「この声は・・・桃井あずきちゃん?」
桃井あずき『アニャちゃんっ!むぎゅー!!!!』
アーニャ『むごっ』
柚「あ、どっか行っちゃった」
みちる(全速力で飛び込んできたあずきちゃんに抱きつかれ、アーニャちゃんは画面外へ吹っ飛ばされてしまいました)
里美「もしかしてベッドルームだったんですかぁ?」
柚「じゃなきゃあんな速度つけて抱きつかないと思うよ」
みちる(あずきちゃんはカメラの外で騒がしく反応していました)
あずき『なに見てたのなに見てたの?えっちなやつ?』
アーニャ『違います、見れば分かりますよ』
あずき『えー、なにな・・・』
柚「やっほー」
里美「おはようございますぅ?」
あずき『えっ!?ええ゛っ!?えええええええ゛゛゛っ!!!!!!』
アーニャ『日本にいる、仲間たち、です』
あずき『な、なんでぇぇぇぇ!!!!??あずき聞いてないよ!?アニャちゃん隠してたんだねっ!?!?』
みちる(アーニャちゃんは目をそらして、頬を掻いてました。いやいや、アーニャちゃん、なんで内緒にしてたの・・・)
アーニャ『アー・・・1人占めしたかったです』
みちる「あ、そういう・・・」
あずき『ずるいっ!ずるいよっ!そういうのはみんなで話そうよぉ!アニャちゃんのえっち!!!』
アーニャ『な、なんでえっちなんですか』
あずき『横から見てたらずっとニヤニヤしてたんだもん!えっちだよっ!!』
アーニャ『に、ニヤニヤしてません!!////』
柚「いや、こっちから見てもニヤニヤしてたよ」
アーニャ『ユ、ユズ!!ダメです、言っちゃダメです!!』
あずき『アニャちゃんのこと、みんなに言っちゃうもんねー』
アーニャ『アアアァァァッ!!シオリにだけは、シオリにだけは言わないで』
あずき『まぁ、後ろにいるけど』
アーニャ『へ・・・?』
柚「南無阿弥陀仏」
里美「ナムナム・・・」
瀬名詩織『アーニャちゃん・・・♪』
アーニャ『い、いつからそこに・・・』
詩織『あずきちゃんと一緒に来てました』
月宮雅『これはわきわきモードぉ?』ワキワキ
浅利七海『これはこちょこちょの刑れすねー』
詩織『そうね・・・こちょこちょかしら・・・』
アーニャ『ッ・・・!』ダッ
あずき『捕まえた!あずきのアーニャちゃん捕獲大作戦からは逃げられないよ!』
アーニャ『あっ、ミッチー、ユズ、サトミ助けて!』
みちる「いや、あたしたちそっちに行けないし」
柚「隠してたアーニャちゃんの自業自得ダネ」
里美「ナムナム・・・」
七海『逃げられないれすよ~♪』
雅『覚悟してねぇ?』
アーニャ『そんな!キャアアアアアアアッッッ!!!!!!』
みちる(その後、画面の向こうからは叫び声と笑い声が混じった哀れな声が響き続けていた・・・。ドンマイ、アーニャちゃん・・・)
・ ・ ・ ・ ・ 。
雅『そうなんだー、だからその3人なんだねぇ』
里美「はぁい」
七海『だからアーニャさんが1人占めしたかったんれすねー』
アーニャ『・・・ダ・・・ダァ』ピクピク
雅『P君はまだ帰ってないのぉ?』
みちる(アーニャちゃんは4人の猛攻に見事撃沈し、今は画面外で詩織さんに膝枕されてるみたい。笑い疲れて、腰も抜けちゃったようで)
みちる「はい、Pさんはいま・・・ちょっと席を外しています」
雅『残念かなぁ』
みちる「すぐに帰ってきますよ。ゴミ捨てですし」
雅『そっかぁ』
里美「アーニャちゃん大丈夫ですかぁ?」
あずき『こっちで虫の息だよっ!』
アーニャ『に、日本に帰るまでは死ねません・・・』
詩織『よしよし・・・』ナデナデ
アーニャ『逃げられない・・・』
みちる「アハハハ・・・」
<♪♪♪~♪♪♪~
里美「あれぇ、この音って」
みちる「あっ、あたし取ってきます!」
雅『どうしたのぉ?』
柚「電話。この音だと、確か・・・Pさんのお母さんからの電話かな」
里美「育ての親の方なんですよぉ」
雅『?親ならみんな育ての親なんじゃないかなぁ?』
柚(うっ、気まずい)
七海『プロデューサーの母さま、会ってみたいれす!』
あずき『アニャちゃんは見たことある?』
アーニャ『写真でしかないですね。しっかり者、って風貌では、ありました』
みちる「はい、もしもし・・・あっ、おばさん、こんばんは!みちるです!」
みちる「いまPさんはゴミ捨てに行ってまして・・・、すぐに戻ると思います!」
ガチャ
P「ただいまー」
柚「おかえりー」
里美「おかえりなさい、おにいちゃん」
みちる「噂をすればなんとやら、今帰ってきました!替わりますね!」
P「誰から?」
みちる「おばさん」
P「母さん?なんでまた?」
みちる「さぁ?」
P「まぁ、いいや。アイス買ってきたから皆で食べて」
みちる「はぁい」
P「・・・母さん?替わったよ。どうしたのさ───────」
みちる「Pさんがアイス買ってきましたよ」
柚「柚チョコアイスー」
里美「私はイチゴで~」
みちる「あたしはバニラでトーストサンドっと・・・朋さんのは冷凍庫入れときますねー?」
朋「もごごごごー!!!(いま食べたーい!!!!!!)」
みちる「アハハ・・・今回ばかりは擁護できないんで我慢してくださいね」
朋「もごっごー!!(分かってるわよー!!)」
あずき『いいなー、アイス』
みちる「帰ってきたら、Pさんにねだるといいですよ」
あずき『うん、そうするっ!帰ったらやりたい作戦増えちゃったっ!』
詩織『ふふっ、あずきちゃんはずっとみんなにやってあげたい事メモしてるのよ・・・例えば・・・』
あずき『あーっ!詩織さんいっちゃダメですってばーっ!!!』
詩織『ふふふっ』
P「 は ぁ っ ! ? 」
みちる「!?」ビクゥ
里美「ど、どうしたんでしょう?」
柚「大きな声出して・・・喧嘩?」
P「もっかい言って・・・え、モチダさん?俺知らんよ!!?」
みちる「モチダさん?」
あずき『なになにどうしたの?』
P「え゛ぇ゛っ゛、お見合い!!!???」
全員「 」
みちる(あたしたちも・・・画面の向こうのみんなも・・・固まってしまいました・・・)
続く
以上でおまけは終わりです。
だいぶ期間が空いてしまいましたね。研究やら発表やらリリースやらに追われてSS作りに時間を割けなかったのが原因です
2月になればだいぶ楽になって作品作りのペースが戻るはずです(冷や汗)
由愛ちゃんのおまけの方は次回に。
今回はこれでHTML化を要請してきますね。
(黒いお話をやれば差別化できるよね、って思った矢先に公式のアニメが真っ黒なお話で1人でに頭を抱えました)
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません