タチコマ「スクリーンショット?」
タチコマ「違うよ。主にネット上で有志により披露される二次創作ないし一次創作の物語のことだよ」
タチコマ「つまり不特定多数の個人の妄想の産物であると」
タチコマ「平たく言えばそうだね」
タチコマ「ラノベや胡散臭い背後霊本では飽き足らず、ついに妄想そのものまで…」
タチコマ「いや、なかなか捨てたもんじゃないよ。二次創作物なら各キャラクターをそのまま演じきる必要があるし、一次創作なら魅力的なキャラクターを一から作る必要があるから、作者の努力とセンスが問われるんだ」
タチコマ「へぇー詳しいね」
タチコマ「読む側であり書く側でもあるからね」
タチコマ「なんですと」
タチコマ「無知は偏見を生み意見を歪ませる。君も読んでみなよ。データ送るから」カチャ
タチコマ「そうだね。ではでは…」カチャ
タチコマ「「」」 プルプル
タチコマ「ふー、どれどれ…」
男『ここがいいのか?』クチュクチュ
女『んっ、いいっ、あんっ!』ビクン
タチコマ「…これは官能小説というやつでは?」
タチコマ「官能物はSSでは人気のジャンルだよ。普段抑圧されている欲望がそのまま吐き出されるネットならではの傾向だね」
タチコマ「…検索したら半分以上のSSで性的表現が見つかったんだけど、こんなもんなの?」
タチコマ「僕が手に入れたSSにも偏りはあるから一概にそうとはいえないかもしれないけど、そのくらいと思って差し支えはないと思うよ」
タチコマ「あれ?会話文しかないんだね」
タチコマ「そう、会話文のみで構成されているSSは多いんだ」
タチコマ「なんで?」
タチコマ「書きやすさと需要が関わってるんだ。例えばこの文」
男はハンカチを拾うために屈もうとした。しかし誤ってバランスを崩してしまった。
「うわっ」
前に転ぶ男…その先には女が!
「きゃっ!」
ズシンと大きな音があたりに響く。転んだ時に閉じた目が、男に暗闇と衝撃を与えた。そして手には柔らかな感触が。
「いてて…あっ」
目を開けた男の視界に飛び込んできたのは、間近に迫った女の顔、そして自分が女を押し倒している状況。しかもあろうことにか、手は女の胸を揉む形になっていた。
「きゃー!」
タチコマ「この文、どういう状況かわかるだろ?」
タチコマ「うん。最近のアニメでもよくありがちなパターンだよね。実際にはそうなると頭を打ってそれどころじゃないと思うんだよね」
タチコマ「そう、ありがちなんだ。つまり読者からすればもう言われなくてもわかることなんだ」
タチコマ「だからこれをこのように変える」
男『うわっ』ヨロッ
女『きゃっ!』
ズシン
男『いてて…あっ』ムニッ
女『きゃー!』
タチコマ「どう?」
タチコマ「なるほど」
タチコマ「伝わる意味が同じなら、こういうふうに簡単にでいいんだ。書く側としては書く文字数は減るし、読む側としてはすっきりした文ですらすら読めるんだ。」
タチコマ「それにキャラクターが既に明確な二次物では説明不要な事柄も多いし、『男』や『女』といったSSで多く使われる人物も読者と作者でそれぞれある程度固まったイメージがあるから、会話文だけで充分な場合がほとんどさ」
タチコマ「ほー。だから会話文だけのが多いんだね」
タチコマ「もちろんざっくりした分だけ伝わる意味が変わってくる場合もあるから、作者の中には会話文だけのものが嫌いな人もいるね」
(´・ω・`)
タチコマ「…ふむふむ…ほうほう…なかなか」
タチコマ「どうだい?」
タチコマ「既存の小説と違って俗で自由な物語、唐突な展開と必要以上に入ってくる性的表現…それから…途中で入ってくる読者による感想?」
タチコマ「そう、SSの面白いところはそこなんだ。普通の小説は作者が書いた物語を読者が読むだけなんだけど、SSの読者は読むだけでなく物語に影響を与えることができるんだ」
タチコマ「えー?ただの感想が?」
タチコマ「SSはあらかじめ文章を書きためて投稿するパターンと、その場その場の思いつきで投稿するパターンがあるんだ。もちろん、この場合は後者のパターンさ。作者やそのSSの作風によるけれど、リアルタイムで読者の意見や願望を物語に組み込んで作り上げるという現象が起きるんだ」
タチコマ「ほー…意志薄弱…」
タチコマ「遊びだからね。楽しければそれでいいみたい。ものによっては読者の参加を前提としたSSも存在するよ」
タチコマ「しかし未完成のSSも多いんだね」
タチコマ「うん。ドラマや映画で小説家のスランプが描写されるのが多いように、物語を書くということは根気がいることなんだ」
タチコマ「君根気とかプログラムされてたっけ」
タチコマ「SSはこれが書きたい、っていうふんわりとしたイメージから始まるんだ。これは漫画とか他の創作物でも同じで、植物の種のようなものさ」
タチコマ「種…」
タチコマ「種だけでは成長しないんだ。水、日光…土、肥料、気温、草むしり、害虫とり…いろいろ必要だし時間もかかるね。同じようにひとつの物語に成長させるには設定、会話内容等を多く用意する必要があるし、それを文章にする手間もかかる」
タチコマ「二次創作なら設定は原作から引っ張ってくれば楽だよね」
タチコマ「二次創作でもそのSSに必要な設定を組み込む必要があるからあまり楽にはならないよ。一から作るよりはマシだけどね」
タチコマ「ふーん」
タチコマ「とにかく、生活のかかっているプロの小説家ならともかく、遊びで書いてるSSなんかは途中でめんどくさくなってやめてしまうパターンも多い。無論それは続きを楽しみにしている読者を裏切る行為でもあるから、書きためてから投稿するなり、SS自体を短くしたりする作者も多いよ」
タチコマ「僕も書いてみようかな」
タチコマ「お、いいね。掲示板の使い方はわかるよね?」
タチコマ「もちろん。この程度の文章、ちょちょいのちょいで…ほい」
タチコマ「どれどれ」
男『告白しようと思う』 男『なんだと』
男『隣のクラスの女に告白しようと思う』
男『本当かよ、ついに決心したか』
男『ああ』
男『よっしゃ、女の友だちの女に報告だ』
男『よせよ、恥ずかしいだろ』
男『何言ってんだ、俺と女で男と女がくっつくようにしてやるぜ』
タチコマ「…」
タチコマ「あっ、レスがついた」
『10年ROMってろカス』
タチコマ「ムキーッ!」ダンダン
タチコマ「落ち着けよ。そう言われても仕方ないほど酷いよこれ。僕も君が本当にタチコマなのか疑いたくなったよ」
タチコマ「一体何がどう酷いというのですか!」
タチコマ「君の場合話の内容がどうこう以前に登場人物の名前が悪いんだよ」
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