れんげ「座敷女?」(121)
れんげ「…」ジーッ
夏海「どうしたん、れんちょん?窓の外じーっと見ちゃって」
れんげ「なっつん…ウチ、最近な…大きな女の人に見られてるん…」
夏海「なんだそりゃ?どういうこと?」
れんげ「…ウチもわかんないん…でもいつも見てるのん…今だって…」指差しッ
夏海「え…」振り向くッ
れんげ「…」
夏海「うわっ…ホントだ…このへんの人じゃないね…ありゃー」
れんげ「…」
夏海「れんちょん…わかったウチに任せな‼」バッ
れんげ「なにするのん?」
夏海「ちょっと行って話てくるわ‼」スタッ
れんげ「なっつん‼やめるん‼」
夏海「いいからいいから…れんちょんは此処で待ってな…」ナデナデッ
【越谷家前道】
夏海「あーすみません‼なんか用ですか?」
女「…」ジロッ
夏海「うっ…」ビクッ
女「…」ダッタッタッ
夏海「行っちゃった…つーかこわ‼」ブルブルッ
【越谷家】
れんげ「なっつん‼」ガバッ
夏海「…おっと、れんちょん…」ナデナデッ
れんげ「大丈夫なん?」
夏海「平気、平気…ウチの顔見たらびびってどっか行っちゃったよ」
れんげ「いっしょなん…」
夏海「え…?」
れんげ「ウチも最初は話かけたのん…でもいつも顔を覗きこまれてどっか行っちゃうん…」
夏海「て、ことは…ウチのとこにも来るの?」
れんげ「わかんないん…」うつむきッ
夏海「まあ、大丈夫でしょ!来たらやっつけてやるよ!」
れんげ「…!?なっつんやっぱり強いんな!ウチも頑張るん‼」バッ
夏海「おーそうだがんばれ‼れんちょんがんばれ‼」グッ
【夜、夏海部屋】
夏海「まさか…ホントに来ないよね?」ガバッ
夏海「ふーっ…」窓覗くッ
窓の外「…」
夏海「はぁ…良かった…」
夏海「れんちょん…大丈夫かな…」布団バフンッ
【バス停留場】
れんげ「…」うつむきッ
夏海「れんちょん…」
小鞠「どうしたの?二人とも…?」
蛍「そうですね…朝から元気ありませんけど…れんちゃん…大丈夫?」
お兄ちゃん「…」
れんげ「なっつん……夜…来たん?」
夏海「…ウチんちには来なかったよ…れんちょんは来たの?」
れんげ「…」コクッ
小鞠「ねぇなんなの…教えてよ夏海!」クイッ
夏海「いやー実はさ…」
蛍「あ、バス来ましたよ‼」
夏海「んーっバスん中で話すわ…行こ…れんちょん」ポンッ
れんげ「…」コクッ
【バス内】
蛍「うそ…」
小鞠「それ…本当なの…?」ブルブルッ
お兄ちゃん「…」
夏海「なんで姉ちゃんがびびってんの?」
小鞠「だって…めっちゃ怖いじゃん!なにそれ?その話…」
夏海「姉ちゃんがびびってもしょうがないけどね…」
小鞠「まあ…そうだけどさ…」
蛍「れんちゃん…今はいないよね?」
小鞠「えっ」ビクッ
れんげ「今はいないん…でもきっと教室にいたらそのうち来るのん…」
蛍「…」
お兄ちゃん「…」
小鞠「…夏海も見たんだよね?どんな人なの?」
夏海「うん…めっちゃでかくて、髪が長くて…目が…怖い…人?あとハイヒール履いてた…」
小鞠「それ…かず姉に言ったの?」
れんげ「言ってないん…」
蛍「教室着いたら…話してみませんか?ね…れんちゃん…」
れんげ「…」コクッ
小鞠「そうだね!かず姉ならなんとかしてくれるよ‼ね…夏海?」
夏海「そうだね…かず姉なら…なんとか…なるかなー?」
蛍「なりますよ‼先生でも今回はきっと…多分…なんとかしてくれると思います」
小鞠「かず姉…」
れんげ「ねえねえ…信用ないんな…」
蛍「そそっそんなことないよ!?」ワタワタッ
夏海「ほたるん…大丈夫…ウチも思ってるから」ポンッ
夏海「夏海センパーイ!」メソメソッ
小鞠「あ、バス着くよ‼早くかず姉のとこ行こう!」
【教室】
一穂「マジで…?」ポカーンッ
蛍「はい‼」
一穂「マ、ジで…?」
小鞠「マジだよ‼」
一穂「まじっすか…?」
お兄ちゃん「…」コクッ
一穂「マジ…」
れんげ「マジなのん…」うつむきッ
夏海「マジだって!何回言わせんの!」
一穂「こわッ夏海…」引くッ
夏海「ウチじゃないよ!れんちょんにつきまとう大女が怖いんだって‼」
一穂「わかったって!冗談だよ、冗談…」ドウドウッ
小鞠「もう‼遊んでる暇はないんだよ‼」
夏海「かず姉でしょ?」
小鞠「夏海も!」
一穂「はははっ…こまちゃんにしかられちゃった…こりゃどっちが先生かわからないねぇ…」チラッ
れんげ「ねえねえ…」ジーッ
一穂「あ…ごめんれんちょん…真面目モードになるわ…」ナデナデッ
【10分後】
れんげ「いるのん…」バッ
小鞠「えッ‼どこ!」ビクッ
夏海「…あれ…」指差しッ
蛍「…え…ホントだ…」ブルッ
一穂「あー、ありゃあ確かに大きいわな…」ジーッ
夏海「かず姉どうする?」
一穂「みんなはここに居てな…ちょと行って来るから…」
蛍「あぶないですよ!」
一穂「大丈夫、大丈夫…話するだけだから…」
小鞠「気をつけてね…かず姉…」
一穂「あいよ…」
れんげ「ねえねえ…」涙目ッ
一穂「れんちょん、任せな…」ナデナデッ
お兄ちゃん「…」
一穂「お兄ちゃん…みんなを頼んだよ」チラッ
お兄ちゃん「…」コクッ
【校庭】
一穂「あ…れ…いないなぁー?」キョロキョロッ
一穂「こっちかな…?」スタスタッ
【教室】
小鞠「どうなった…夏海ぃ…?」ブルブルッ
夏海「大女、どっか行っちゃった…いまかず姉が探しに裏に行ったよ!」
小鞠「こっち来ないよね?」
夏海「わかんない…でも…」
蛍「…カギ閉めますか?」
れんげ「…」
夏海「そうだね…兄ちゃんもいるから大丈夫だと思うけど…一応しとくか」
蛍「じゃあ私閉めますね…」スタッ
小鞠「わ、私はこっち閉めるよ!」スタッ
れんげ「ねえねえ…大丈夫なん?」夏海ギュッ
夏海「大丈夫だって…かず姉ああ見えて怒ると怖いって駄菓子屋が言ってたし…」ナデナデッ
蛍「閉めました」
小鞠「こっちも!」
夏海「ありがとう‼ほたるん、姉ちゃん‼」
お兄ちゃん「…」
【30分後】
蛍「あの…ちょっと遅すぎませんか?」
小鞠「うん…」
夏海「…」
れんげ「なっつん…ねえねえ大丈夫なんな!?」グイッ
夏海「…」
れんげ「なっつん‼」
夏海「よしわかった!…見に行こう…」
小鞠「え!?…誰が?」ビクッ
夏海「ウチが行くよ‼」スタッ
蛍「危ないですよ夏海センパイ‼」
夏海「大丈夫だって…こっそり行くから…」ニコッ
小鞠「…私も行く‼」スタッ
夏海「姉ちゃん…?」
小鞠「わ、私のほうが…おお、お姉ちゃん…だし‼…夏海を一人に…できないよ…」ブルブルッ
れんげ「ウチも行くん‼」
夏海「れんちょんも?」
蛍「私も行きます‼」
夏海「ほたるん…」
お兄ちゃん「…」眼鏡クイッッ
夏海「兄ちゃん…じゃあみんなで行こう!」
蛍「はい‼」
小鞠「うん‼」
れんげ「わかったのん!」
夏海「みんな…離れないで固まって行くよ…兄ちゃん、後ろ頼むね!」
お兄ちゃん「…」コクッ
夏海「じゃあ…行くよ‼」ガチャッ
【校庭裏】
蛍「せんせー!!」キョロキョロッ
小鞠「かず姉ー!」
れんげ「ねえねえー‼何処なのーん!」
夏海「裏にもいない…後は飼育小屋か…」
兄ちゃん「…」クイッ
【飼育小屋】
小鞠「かずねぇーどこなのー‼」
夏海「かず!…ねえぇー‼」
蛍「せんせーっ出てきてくださーい‼」
お兄ちゃん「…」キョロキョロッ
れんげ「ねえねえ…」キョロキョロッ
夏海「駄目だいない!」
小鞠「一回戻ろう!もしかしたら帰って待ってるかも?」
夏海「だね…」
【教室】
蛍「いない…ですね…」ボソッ
小鞠「…」
夏海「…」
れんげ「ねえねえっどこなん‼かくれんぼはおわりなん!!」涙目ッ
蛍「れんちゃん……」
小鞠「お母さん‼…に…電話しよ!」
夏海「そうだね…じゃあ職員室に行こう」
【職員室】
小鞠「はい、うん…わかった…」ガチャンッ
夏海「何だって?母ちゃん…」
小鞠「すぐ車で来るって…」
夏海「そうか…じゃあそれまでみんなで固まってよう」
れんげ「ウチのせいなん…」ボソッ
蛍「れんちゃん…違うよ‼…大丈夫だから…ね?」ナデナデッ
れんげ「ほたるん…」ギュッ
【10分後】
ガチャッギッ
コツッ…ギッ
コツ…ギッ
小鞠「お母さん‼」スタッ
夏海「えっちょっと早くない?」
コツ…コツギッ
ギシッ
夏海「この音…」ボソッ
蛍「先生じゃ…」
れんげ「ねえねえ?…ねえねえ!?」ダッ
夏海「待って!れんちょん‼」手伸ばしッ
お兄ちゃん「…‼」ガバッ
れんげ「にいにい離すのん‼」ジタバタッ
夏海「ナイス兄ちゃん‼」
コ…ギッ
シッ
れんげ「はなすのーん‼」ジタバタッ
夏海「れんちょん落ち着いて!」
れんげ「なんでなのん?ねえねえ帰って来たん!」ジッ
夏海「れんちょん…かず姉ってあんな足音する履き物だったっけ?」
コツ…
コツ…ギッシ
れんげ「あ…違うのん…ねえねえこんな足音じゃないん…」
お兄ちゃん「…」パッれんげ離しッ
蛍「ヒール…?ですかねこれ…」
小鞠「ハイ…ヒール…」
夏海「…」
れんげ「…」
お兄ちゃん「…」
小鞠「…大女だ!」ブルブル
蛍「カギ!…閉めます!!」ダッカチャッカチャッ
小鞠「ありがとうほたるん…」
お兄ちゃん「…」
コツコツギッ
コツ…ギッ
蛍「近づいてる…」
小鞠「…」ブルッ
夏海「みんな…静かに…」
れんげ「…怖いのん…」ブルッ
お兄ちゃん「…」
コツ…コツコツ
…コツ………?
小鞠「…止まった…?」
夏海「…」
蛍「…」
れんげ「…」
お兄ちゃん「…」
ガシャッガシャッ
ガシャガシャガシャガシャガシャガシャ…
小鞠「!?」ビクッ
蛍「閉めて良かった…」ボソッ
バンッッッ!!!!!
バンッッ!!
バッッッンッ!!!
小鞠「や、やめてー」ブルブルッ
夏海「姉ちゃん‼」ギュッ
蛍「ヒッ…」ブルブルッ
れんげ「…ほたるん!」ギュッ
蛍「れんちゃん…」ギュッ
お兄ちゃん「…」ゴクリッ
【?分後】
おーい!こまりー‼夏海ー‼お兄ちゃんどこなのー?
れんげー蛍ちゃーん…何処だー?
夏海「母ちゃんだ!」バッ
れんげ「駄菓子屋なん‼」
蛍「よかった…」
小鞠「ああ…」ヘナッ
お兄ちゃん「…」ホッ
【職員室】
楓「で、その大女はどこにいんだ?」
れんげ「ドアバンバンしてどっか行っちゃたのん!」
雪子「そうなの…でもみんな無事でよかったよ‼」
夏海「でもかず姉が…」うつむきッ
楓「大丈夫…後は大人に任せろ…」ポンッ
夏海「駄菓子屋…」
雪子「蛍ちゃん…お母さん家にいるかい?」
蛍「あ、はい…」
雪子「じゃあ私が送るから…みんなと一緒に帰ろうか…ね?」ニコッ
蛍「ありがとうございます…」ペコリッ
楓「じゃあ私は駐在さんに行ってくるんで…」スタッ
れんげ「駄菓子屋…」ギュッ
楓「先輩のことは私に任せろって…だからお前は安心して小鞠たちと一緒に帰りな…」ナデナデッ
れんげ「わかったのん…」コクッ
雪子「じゃあみんな行こうか?」
お兄ちゃん「…」コクッ
小鞠「蛍…手…」差しだしッ
蛍「センパイ…?」
小鞠「蛍はまだ子供だから…特別だよ!」ニコッ
蛍「せーんぱーいッ」ウルウルッギュッ
小鞠「もーよしよし…」ポンポンッ
夏海「ウチらも行こうか?れんちょん」ギュッ
れんげ「…」コクッ
【二日後】
村放送「…日…10時…分…旭丘分校で
…行方不明になっていた…宮内…一穂さんは……じ…発見されました…皆さまの…ご協力…あり………」
楓「……」ギリッ
子供編…おわり。
【駄菓子屋】
このみ「やっほー!」ピョコンッ
楓「このみか…何しに来たんだ…」
このみ「そりゃ楓ちゃんに会いに来たに決まってるじゃん‼」ニコッ
楓「駄菓子屋に来たなら菓子買えよ…」
このみ「うーんしょうがない‼じゃあこれ…」ヒョイッ
楓「あーそれは30円だ」
このみ「はいお金」チャリンッ
楓「まいど…」
このみ「ねー楓ちゃん…れんげちゃん…最近どう?昨日の夜は一緒にいたんでしょう?」
楓「夏海から聞いたのか?」
このみ「ううん…ひかげちゃんから」
楓「内緒にしろってひかげに言われなかったか?」
このみ「うーん?言ってたかも…」首傾げッ
楓「ふっ…このみは変わらないな…」
このみ「みんなは…変わった?」
楓「少なくともれんげは変わったな…」
このみ「そうなんだ…」
楓「…」
このみ「…小鞠ちゃんと、なっちゃんも…変わったよ…」
楓「そうか…そういえば最近見てないな…」
このみ「子供だけで出歩くのは危ないからね…大女がまだいるから…」
楓「大女か…最近は警察も見当たらないな…初めはあんないたのに…」
このみ「時間がたったからね…」
楓「…」
このみ「大女って誰なんだろうね…なんであんなことしたんだろう…」
楓「さあな…」
このみ「ウソ!!」バンッ
楓「ん…!?…なんだよ大きな音立てて…」
このみ「私知ってるよ!最近まで楓ちゃんが大女のこと調べまわってたの!だからお店だってずっと閉めてたし!私が毎日来てたの知らないでしょ?…」
楓「このみ…」
このみ「私、心配だったんだよ!なんも連絡寄越さないで…楓ちゃんまで何かあったら…私…ずっと一緒だったのに…水くさいよ…」涙目ッ
楓「悪いな…ほら鼻水出てるぞ…」ちり紙手渡しッ
このみ「ん…ありがと…」鼻かみズピーッ
楓「水くさいか…はは、そうか…そうだよな…なあこのみ?」
このみ「ん…」クシャッ
楓「これは絶対誰にも言うなよ…大女のことだ…」
このみ「楓ちゃん…‼うんわかった!」
楓「学校にれんげたちを迎えに行った時なんだが…夏海から大女ってのを聞いてなんか聞き覚えがあると思ったんだ…」
このみ「…」
楓「それはセンパイを探してる時も考えてたんだが放送を聞いて完全に思い出した…」
このみ「…」
楓「このみ…センパイは大学を出るためこの村を出ただろ…?」
このみ「うん…」
楓「このみは知ってると思うけど何回かセンパイに会いに行ったんだ…」
このみ「うーんそういえばそんな事言ってたかも…?」
楓「で、その時センパイに聞いたんだが…大学でこんな噂話が流行ってるって…」
【回想】
一穂「いやー悪いねぇ荷物持って来て貰っちゃって…」
楓「ホント勘弁して下さいよ!」
一穂「はは…まあお詫びを込めてごはんごちそうするから…」
楓「まあそれならいいですけど…」
【喫茶店】
楓「じゃあ私はナポリタンで…」
一穂「私は…オムライスにしようかね…あと食後にコーヒーを…」
店員「かしこまりました…」
【10分後】
店員「お待たせしました…ごゆっくりどうぞ…」
楓「お、旨そうですね‼」
一穂「ここはよく来るんだよ!おいしいからね…」
楓「そうなんですか…じゃ、センパイ!いただきます‼」手合わせッ
一穂「あいよ…」
【食後】
楓「いやーごちそうさまですセンパイ!ホント旨かったですよ」コーヒーゴク
一穂「そうかい?そりゃよかった…」コーヒークピッ
楓「で、どうなんですか学校は…ちゃんと卒業できるんですか?」
一穂「え?どういうこと…?」キョトンッ
楓「いや、センパイのことだから寝てて講義?でしたっけ?聞いてないかなと…」
一穂「いやいやさすがに話は聞いてるから…」
楓「そうなんですかー、なんかおもしろくないですね‼せっかく来たんですからアイツらに面白い話持って帰りたかったのに…」グビッ
一穂「おもしろくないってアンタ…まあいいや…じゃあ1つ学校で噂になってる話を聞かせてあげるよ…」
楓「へー噂話って言うから怖い話ですか?」
一穂「まあ怖いかも…」
楓「いいですね…どんな話何ですか?」
一穂「見知らぬ女に付きまとわれた男の話…」
【駄菓子屋】
このみ「思い出した!」パンッ
楓「ん…」
このみ「最後に注射打たれておかしくなっちゃう話だよね?」
楓「おー…それそれ…でもこのみにこの話したっけ?結局は話さなかった記憶があるんだが…」
このみ「話たよ!多分みんな聞いてる…小鞠ちゃんが怯えてたの覚えてるもん…」
楓「へー…あいつらにも話たのか…忘れてたわ…」
このみ「でもなんで忘れてたんだろ…?」
楓「大した話じゃなかったからだろ?」
このみ「うーん…?記憶力はいい方なんだけどな…まあいいや…続きお願い」
楓「わかった…その話を思い出した私はなんか関わりがあると思ってセンパイの同期に話を聞きに行ったんだ…」
このみ「…」
楓「でもセンパイから聞いた話ばかりでなんも進展しなかった…でもな…」
このみ「うん…」
楓「いろんな人に聞いてまわってるうちに遂に見つけたんだ…その可笑しくなった男の親友って人を…」
このみ「ただの噂じゃなかったんだね…」ゴクッ
楓「ああ…それで私は開口一番に夏海が見た大女の容姿をその人に伝えた…」
このみ「…どうなったの?」
楓「顔が変わったよ…それまで渋っていた口を開けてすべてを話てくれた…」
【回想】
佐竹「アンタの言う大女ってのは間違いなくヒロシに付きまとっていた女だ…まあ…あんときゃヒールは履いてなかったがな…」
楓「…」
「ヒロシが言うには電話口でサチコって名乗っていたらしい…」ライターシュボッ
楓「サチコ…」
佐竹「ああ、最初は…ガキん時の同級生が復讐に来たと思ったんだけどな…調べてみりゃあ見ず知らずの女だったって訳だ…ホントびびったよ…」煙草スパーッ
楓「…」
佐竹「悪いことは言わねぇ…その子供は諦めたほうがいいぜ…じゃなきゃアンタもどうなるかわかんねぇぞ…」
楓「そういう訳にはいかないんだ…」
佐竹「そうか…じゃあ経験者として1つアドバイスしてやるよ…アイツは化け物だ、人間と思うな…じゃなきゃ殺される…ヒロシのようにな…」煙草グリグリッ
楓「…」
【駄菓子屋】
このみ「人間じゃ…ないの…?」
楓「さあな…ただいくら打ちのめしても泣きじゃくりながらむかってきたらしい…」
このみ「…」
パキッ
このみ「…!?」
楓「誰だ‼」
このみ「…」ジーッ
お兄ちゃん「…」ヒョコッ
このみ「なんだメガネくんかー‼びっくりしたよ…」
楓「話…聞いたか…?」
お兄ちゃん「…」コクッ
楓「そうか…誰にも言うなよ?…みんな怖がるからな…」
お兄ちゃん「…」コクッ
楓「ありがとう…そうだ!今日はれんげもいるからみんなで会いに行ってやってくれないか?」
このみ「へーいいね‼私も行くよ!もちろん駄菓子はサービスしてくれるんでしょ?」
楓「チッ…今回だけな…ほらこれに好きなもん入れて持ってけよ」袋差し出しッ
このみ「やったー‼じゃあ一杯持ってこうね…ほらメガネくんも選んで選んで…」ガサガサッ
お兄ちゃん「…」ガサガサッ
このみ「よしこんなもんかな…じゃあ最初は蛍ちゃん家に行ってから小鞠ちゃんとなっちゃんを拾って行こうか?」
お兄ちゃん「…」コクッ
楓「気をつけて行けよ」
このみ「うん…楓ちゃんも何かあったらすぐ連絡してね?」
楓「ああ…」
このみ「じゃあ行こう‼」トコトコッ
お兄ちゃん「…」スタスタッ
楓「……」
楓「…行ったか…」スタッ
楓「…」ゴソゴソッ
楓「これで…」チャキッ
楓「センパイ…れんげは必ず…」
【夜、宮内家、れんげ部屋】
ひかげ「いやー悪いね駄菓子屋!今日も来てもらって…親がどうしても用があって…まあ姉ちゃん関係でさ…」ポリポリッ
楓「いいさ…ひかげとれんげだけだと危ないからな…」
ひかげ「なにをー‼大女が来ても私がやっつけてやるよ!こんな感じでさ…」そすんさーッ
楓「なんだそりゃ?」
ひかげ「いやれんげがさ…」チラッ
楓「寝てるな…」
ひかげ「あー、久しぶりにみんなと遊んだから疲れたのかな?駄菓子屋が計画してくれたんでしょ?」
楓「さあな…知らんね…」
ひかげ「そっか…へへ、でも今日はなんか変なもん持って来たね?なにそれ?おもちゃ…?」
楓「じいちゃんの形見だよ…」
ひかげ「持ってたら犯罪てきな物じゃん‼」
楓「うるさい…バレなきゃいいんだよ…」
ひかげ「そんな…ヤバイ相手なの?大女って…」
楓「わからんが…一応な…」
ひかげ「そうか…でもありがとね…れんげの為に…」
楓「違うよ…ただ…腸が煮えくりかえるくらいイラついてるだけだ…あの大女って奴にたいしてな…」
ひかげ「…」
楓「ひかげ…お前ももう寝ろ…」
ひかげ「…うんわかった…じゃあ戸締まり確認してから寝るわ…おやすみ駄菓子屋」スタッ
楓「ああ…」
【同時刻、駄菓子屋】
女「もしもしサチコさん?」
プーーーーーーーッ
女「そうよ……から電話してるの……」
プーーーーーーーッ
女「なんで私の行動を知ってるの?」
プーーーーーーーッ
女「ええ、大丈夫よ…必ず持って帰るから……」
プーーーーーッ
女「そう、全部あなたの思い通りよ……」
プーーーーーッ
女「じゃまた電話してね……」
プーーーーーーーーーーーーーッガチャンッ
【宮内家、玄関】
ひかげ「あとは…縁側か…」トテトテッ
【縁側】
ひかげ「くら!電気切れてんのかよ…まあいいや…」トテトテッ
ひかげ「うわ、開きっぱなしじゃん…雨吹き込んでるし…誰だよ開けたの…て、私か?」ガラガラッ
ガサッ
ひかげ「ん…?」チラッ
ひかげ「具か…おーい具ー
…?」目凝らしッ
女「………」爪ガリガリッ
ひかげ「…え…?」ビクッ
【れんげ部屋】
うわーーーーーーーーーッ!!!!
楓「ひかげ!?」バッ
れんげ「ん…なんなのん…?」
楓「…れんげ此処にいろ!!」
れんげ「ウチも行くん!」ガバッ
楓「…わかった!私から離れるなよ!」
れんげ「…」コクッ
【縁側】
楓「ひかげ!大丈夫か!?」駆け寄りッ
ひかげ「…ああ、あれ…駄菓子屋…あれ…!!」指差しッ
楓「ん…!?」
女「な……ゃ…す……?」ダッタタッ
れんげ「大女なのん…」ブルブルッ
楓「クソ!逃がすか‼」ダッ
れんげ「駄菓子屋ー!!」ガバッ
楓「離せれんげ!!ひかげ!!れんげを見てろ‼」チャキッ
ひかげ「わ、わかった!」れんげギュッ
れんげ「離すのんひか姉ー!」バタバタッ
楓「れんげ…今度こそ任さろ…な?」ナデナデッ
れんげ「いやなのん!あぶないのん!」ジタバタッ
楓「れんげ……。ひかげ!…あとは頼んだぞ」バッダッダダッ
ひかげ「うん!」
れんげ「駄菓子屋ーー‼」ジタバタッ
ひかげ「このバカれんげ‼駄菓子屋を信じろ‼」ギュッ
れんげ「ああ………」ヘナッ
ひかげ「れんげ、お願いだから…」ギュッ
れんげ「ひか姉…わかったのん…」涙目ギュッ
ひかげ「れんげ…そうだ!夏海ん家に助けて貰おう…‼」
【山の中】
サーーーーー……
楓「はぁはぁ…クソ!何処だ…」ジリッ
ガサガサッ
楓「!?そっちか…!」ダッダッ
【越谷家】
雪子「無事で良かった…」ギュッ
れんげ「の…ん…」バタバタッ
ひかげ「おばさん…くるしっ…」タップパパンッ
雪子「あら?ごめんね」バッ
れんげ「ふーッなん…」
ひかげ「マジできてたわ…」
このみ「でもホント…二人とも無事で良かった…」
れんげ「でも駄菓子屋が…」
夏海「れんちょん、大丈夫だって‼」ポンッ
小鞠「そうだよ‼駄菓子屋強いし‼」
れんげ「なっつん…こまちゃん…」
小鞠「こまちゃん言うな!」
れんげ「相変わらずなんな…」
夏海「はははっ」ケラケラッ
雪子「楓ちゃんならすぐ村のみんなに連絡したから大丈夫だよ…きっとすぐ戻ってくるよ」ナデナデッ
センパーイッ!!
小鞠「あ、蛍きた!」トテトテッ
【リビング】
蛍「れんちゃーん」ギュッ
れんげ「ほたるん心配性なんなー?ウチは大丈夫なん」
蛍「だって…また大女が出たって聞いたから…」グスグス
れんげ「ありがとうなん…ほたるん!」
蛍「いいよー」ニコッ
雪子「お父さんに連れて来てもらってのかい?」
蛍「はい‼お父さんとお母さんに連れて来て貰いました…それでそのまま楓さん捜索に参加するみたいです…」
雪子「そうかい!じゃあゆっくりして行きなね…蛍ちゃん」
蛍「ありがとうございます‼」ペコッ
雪子「じゃあ私も探しにいくから…このみちゃん、お兄ちゃん…みんなをよろしくね」
お兄ちゃん「…」コクッ
このみ「はい…任せてください!」
雪子「じゃあ行くから」スタスタガラッ
このみ「……」
【10分後】
ザーーーーーー…
蛍「雨…強くなりましたね…」
小鞠「うん…」窓みるッ
れんげ「駄菓子屋…大丈夫なんな…」
夏海「大丈夫だって…ねぇひか姉」チラッ
ひかげ「ん?ああ…大丈夫でしょ!なんたって駄菓子屋秘密兵器持ってるし…」
夏海「なに?秘密兵器って?」ガバッ
ひかげ「聞きたい?」
夏海「聞きたい聞きたい‼」
ひかげ「じゃあこっちこいよ…駄菓子屋には私が言ったって内緒だぞ!」コソコソッ
夏海「うんうん‼」コソコソッ
このみ「楓ちゃん…あれ持ってたんだ…」
【回想】
このみ「それ…使えるの?」
楓「多分な…」
このみ「でも…犯罪になっちゃうよ…」
楓「それで…平和になれば安いもんだろ
?それに…なるべくは使わないように努力するさ…」
このみ「でも…」
楓「このみ…わかってくれ…」
このみ「うん…わかったよ…」
楓「ありがとな…」グッ
このみ「へへっ…」グッ
【越谷家リビング】
このみ「…」チラッ
お兄ちゃん「…」
このみ「メガネくんちょっと来て…」手チョイチョイッ
お兄ちゃん「…?」スタスタッ
【廊下】
このみ「私…ちょっと家に荷物取りに行くから…みんなのこと見ててくれるかな?」
お兄ちゃん「…」コクッ
このみ「へへっありがと…私が出たらカギ閉めてね?いい…?」
お兄ちゃん「…」コクッ
このみ「じゃあ行って来るね…」手フリフリッ
お兄ちゃん「…」手フリフリッ
【越谷家外】
ザーーーーーー…
このみ「雨…強いな…」チラッ
このみ「ごめんね…メガネくん…」
このみ「いま行くからね…楓ちゃん!」タッバシャッバシャッ
【山の中】
ザーーーーーー…
楓「はぁはぁ…はは…追い詰めたぞ…大女…!」ジリッ
女「なんなのよぉぉ…なんで邪魔するのよー…」ガリガリッ
楓「なんで、れんげに付きまとう?なんでセンパイを…」
女「私の……に決まってるでしょ…なのにど………も邪魔して…あの…女だって…」ブツブツッ
楓「…なに言ってるんだ?…」
女「ホ…ント……邪魔なのよぉ……」傘振り上げッ
楓「近づくな!……!!……」構えッ
女「なによ……そんなおもちゃ……」首かしげッ
【山道】
このみ「はぁはぁ…………どこ?」キョロキョロッ
ドンッッッッ……!!
このみ「か……えでちゃん?…そっちなの?…楓ちゃん‼」ダッバシャッバシャッ
【山の中】
ザーーーーーー…
楓「な…!?」
女「穴…空……じゃない…服…気に入っ……る…に…」ブツブツッ
楓「当たったのに…な、んで…痛みを感じないのか!?」ブルッ
女「ふふふふふ…痛み…?」バシャッ
楓「……もう……一発……」ガチョッ
女「……」ガリガリッ
楓「……クソッ……詰まって……」ガチガチッ
女「……」バシャバシャッ
楓「…くッ……よし‼入っ…」ガシャンッ
女「……」振り上げッ
楓「…!?」
女「……」傘の先ブンッ
楓「グッ………!?」ドシャッ
女「……」突き刺しグシャッ
楓「アアッ!?目……見え……な?ッ……」ズリッ
女「ねぇどこ……行くの?……」グシャッ
楓「グッアアッ!?こ…ある…ア……?」手探りッ
女「……痛いの?ちがうわ…本当の痛みは…?」グシャッ
楓「ア……アッ…………」ピクッ
女「こん……ゃな………のよ?」グシャッ
楓(こんなはずじゃ……)
女「固いのしら…な……しょ?…ドクドク」
楓「…れんげ……このみ…みんな……)
女「訪れる…の…福……なの……」グシャッ
楓(センパイ約束…守れ…なくて……せん…)
女「……」グシャッ
【…分後】
このみ「………!?」バシャッ
楓「……」
女「……」ガリガリッ
このみ「かえ……でちゃん……?」ビクッ
女「なに……また邪魔……?」ガリガリッ
楓「………」
このみ「楓ちゃん!?」駆け寄りッバシャッ
女「人のことに……首突っ込んで……」ガリガリ
このみ「起きて!おきてよぉ…………!」ユサユサッ
楓「……」
このみ「楓ちゃんが戻るのみんな待ってるんだよ!!起きて!!起きて楓ちゃん‼」ユサユサッ
楓「………」
このみ「楓ちゃん…おきてよ…」ユサ…ユサッ
楓「…………」ガチャッ
このみ「これ…楓ちゃんの!?」ギュッ
女「…図々し…い…」バシャ
このみ「…………」ギロッ
女「どいつも…こいつも……」ガリガリッ
このみ「よくも…楓ちゃ
んを……」パチャッ
女「…なめたマネして…」ガリガリッ
このみ「ゆるさないから……」カチャッ
女「…………」傘振り上げッ
【山道】
ドンッッッッ…………!!
雪子「……!?また……?」
雪子「こっちよ!!みんな」バシャバシャッ
【山の中】
ザーーーーーー…
楓「…………」
このみ「楓ちゃん…帰ろうか……?」パシャッ
楓「………」
【数日後】
楓「……」パチッ
楓「ここは……」ムクッ
「病院だよぉ……」
楓「……!?」チラッ
一穂「どうしたん?お化けでも見たような顔して?」
楓「センパイ……起きたんすか……?」
一穂「お陰様でね……奇跡だってさ……」ニコッ
楓「あ…!?大女は?」ガバッ
一穂「あ……そんなすぐ動いたら」
楓「アアッ!?……ッ!ってー!」ジタバタッ
一穂「あら…やっぱり…いまお医者さん呼ぶわ…」スタッ
楓「ちょっ待ってください……大女は?どうなったんですか?」ガシッ
一穂「もういないってさ…れんげも無事だよ…」
楓「……そっ…すか……?」ドサッ
一穂「じゃあお医者さんついでにみんなにも楓が起きたって知らせたいから私はちょっと失礼するよ」スタッ
楓「はい……」
楓「……」ボーッ
楓「……逮捕…されんのかな…ヤベーな…」
【数時間後】
れんげ「駄菓子屋ー」ガバッ
楓「おわっ!」ピクピクッ
蛍「れ、れんちゃん!?もっと優しくしないと……」ワタワタッ
小鞠「まあ大丈夫でしょ?」苦笑いッ
蛍「センパイ……」
夏海「駄菓子屋ー!早く店開けてよー‼ウチ最近ぜんぜん菓子食べてないんですけどー?」
楓「お前は近くのタニシでも食ってろ‼食うだろお前!」
夏海「食べないよ!」
このみ「ふふ……でもかずちゃんも楓ちゃんも起きて良かったよー」
楓「まあ……心配かけたな……」ポリポリッ
れんげ「ねえねえも1日前に起きてぴんぴんしてるのん!」
楓「さっき会ったよ…そう言えばいまは何処にいるんだ?」
ひかげ「検査だってさ……だよなメガネ?」
お兄ちゃん「……」メガネクイッ
楓「そっか……」
れんげ「駄菓子屋はいつ戻ってくるん?」
楓「まあ…すぐ戻れるだろ?」
小鞠「戻ってきたら退院パーティーしようよ‼」
蛍「わー!いいですね‼」
このみ「じゃあ一杯ごちそう用意しないとね」ニコッ
小鞠「私作るー!」手を上げッ
夏海「絶対やめて‼」ポンッ
小鞠「なんでだよー!」ガオッ
蛍「センパイ!…私も手伝いますから」なだめなだめッ
れんげ「それなら安心なんな」フスーッ
小鞠「れんげまで……」ショボーンッ
このみ「落ち込まないの小鞠ちゃん‼私が教えてあげるから!」
小鞠「本当に!」
このみ「うん!」ニコッ
小鞠「ありがとーこのみちゃん‼」グスグスッ
このみ「よしよし…」ナデナデッ
【30分後】
このみ「じゃあ私達帰るね‼」
れんげ「またなのーん!」
夏海「じゃあね‼」
小鞠「バイバイッ」
蛍「お邪魔しました‼」ペコッ
ひかげ「駄菓子屋またねー」
お兄ちゃん「……」クイッ
楓「ああ、ありがとなみんな……」
【夜】
楓「センパイ……」
一穂「ん…なんだい?」
楓「なんだったんすかね…大女って…」
一穂「まあ夢ではないわな…」
楓「そうっすね…夢だったら良かったですけど…」
一穂「まあいいじゃないか…もういないんだし…」
楓「ずっと思ってたんですけど…それ…誰から聞いたんすか?」
一穂「ん……このみ…だったかな?」
楓「このみが?なんで…?」
一穂「さあ…なんでだっけ…?」首かしげッ
楓「………」
【………】
このみ「ここなら…見つからないよね?」コトッコトッ
このみ「大きいから箱何個も出来ちゃったけど…でもまあいいか…」コトッコトッコトッ
このみ「ふー…疲れた……」背伸びッ
このみ「……」
このみ「パーティー……楽しみだなぁ……」
箱「…」
箱「……」
箱「」
箱「・」
箱「…………」ガリガリッ
大人編…おわり。
【夢】
?「楓ちゃん…掴まって………」肩貸しギュッ
ザーーーーーー…
?「楓ちゃん…重いよ…今度一緒に…ダイエットしようね……」バチャバチャ
おーーーーい!楓ちゃーん!
どこーーー……
?「おばさんの……声だ……良かった………帰れるよ…」バチャズリッズリッ
ザーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…………………………
【駄菓子屋】
楓「んっ……」ゴロッ
楓「……」
楓「……」パチッ
楓「………」ガバッ
楓「………」キョロッ
楓「夢……か……?」
楓「……」目ゴシゴシッ
楓「……」
【3時間後、学校】
カンパーーーーイッッッ!!
れんげ「駄菓子屋、ねえねえ…退院おめでとうなのん!」クルクルッパッ
蛍「おめでとうございます!」
楓「ああ……ありがとう」
一穂「おお…!ありがとほたるん、れんちょん!」
ひかげ「いやー‼二人とも入院した時はマジ焦ったけどホント出れて良かったよねー」
夏海「ホントだよー‼これも夏海ちゃんの看病のお陰だね‼」ニヤッ
小鞠「夏海はお見舞い品の果物食べてただけでしょ?バレないようにこそこそしてたけどバレバレだったからね!」ビシッ
夏海「バレてましたか…てへ!」ペロッ
このみ「あはははっ…おっかしー!でも…こういうってやっぱりいいよね…ね、メガネくん?」
お兄ちゃん「…………」コクッ
【2分後】
このみ「ね~ ビール、一口~」
楓「あと二年経ったらな」ゴクゴクッ
このみ「もう!ケチなんだから!」プイッ
ひかげ「お…‼これうまいじゃん!」モグモフッ
小鞠「あ!それ私が作ったやつ!」パアッ
夏海「嘘だ~」ニヤニヤッ
小鞠「ホントだよ!蛍と…このみちゃんにも手伝ってもらったけど…」
夏海「ホントー?」
このみ「本当だよ…ね、蛍ちゃん…」ポンッ
蛍「木の実のパイですね?…センパイ頑張ってました!」ニコッ
小鞠「ほらね‼」えっへんッ
楓「お…なんだなんだ?」スッ
ひかげ「いやーこれ?小鞠が作ったんだって…」指差しッ
楓「ふ~ん…なかなかだな」
一 穂「へぇ~よく出来てるねぇ…どれ…」ヒョイパクッ
小鞠「…どう?」
一穂「うん…美味しく出来てるよー」モグモグッニコッ
このみ「なっちゃんもほら…」差し出しッ
夏海「うん…」パクッ
このみ「おいしいでしょ?」
小鞠「どう?夏海…」ドキドキッ
夏海「うん…姉ちゃんもたまにはやるじゃん」モグッ
小鞠「当たり前でしょ?お姉ちゃんなんだから」えっへんッ
れんげ「こまちゃん調子ノリノリなんな!」
お兄ちゃん「…」コクッモグモグッ
【2時間後】
ひかげ「えー、これで駄菓子屋と姉ちゃんの退院パーティーをお開きにしたいと思います‼最後にお二人から一言!」サッ
楓「なんだそれ?」苦笑いッ
夏海「まあいいから、一言頂戴よー!」パフーッ
楓「しょうがねぇな…まあ…この通り元気になったからいつでも駄菓子を買いに来てくれ!」頭ポリポリッ
れんげ「明日行くのーん!」
楓「おう、こいこい‼来たらちゃんと買えよ!」
ひかげ「じゃあ姉ちゃんお願いしまーす‼」パフパフッ
一穂「いやーみんなには心配かけたねぇ今はこの通り元気もりもりだからこれからもよろしくねぇ…」
ひかげ「あい、ありがとーございましたー!」パフパフ
小鞠「でも本当に元通りになって良かったよね」
蛍「そうですね!」
ひかげ「よしじゃあ…片付けするぞー!あ、駄菓子屋と姉ちゃんは帰っていいから!」
一穂「そうかい?じゃあ失礼しようか?」チラッ
駄菓子屋「そっすね…」コクッ
夏海「えー片付けめんどくさーい!」
このみ「もう‼駄目だよなっちゃん‼そんなこと言っちゃ…」
夏海「だってさー…ん?…」チラ
れんげ「……」ジーッ
夏海「あ……」
れんげ「……」ジーッ
夏海「ぐぬぬ……」
れんげ「……」ジーッ
夏海「……」
れんげ「……」ジーッ
夏海「はいはーい‼夏海ちゃんもお片付けやりまーす!」テキパキッ
れんげ「あ…トンボ飛んでっちゃったのん…」
夏海「トンボかーい!!」布巾ぺシーン
ひかげ「夏海ー!ちゃんとやれよー!」
小鞠「もう夏海ったら…あ!?」ガシャーンッ
蛍「センパイ!大丈夫ですか?」ワタワタッ
小鞠「あ…拾わなきゃ…!」サッ
このみ「小鞠ちゃん!素手で拾っちゃ危ないよ‼」手遮るッ
小鞠「え…!?」オロオロッ
蛍「私、ホウキとちり取り持って来ます‼」スタッ
小鞠「あ…うん…ありがと蛍…」ショボーンッ
ひかげ「小鞠もかよ‼ホント頼むぜ越谷家ー!」
お兄ちゃん「……」サッサッ
このみ「大丈夫?ケガしてない?」ナデナデッ
小鞠「大丈夫…」
れんげ「平和なんなー!にいにい?」フキフキッ
お兄ちゃん「……」コクッ
【宮内家前、道路】
一穂「今日はなかなか楽しかったねぇ」
楓「そっすね…沖縄以来の宴会ですからね」
一穂「…懐かしいねぇ沖縄…」
楓「あの…センパイ…」
一穂「ん?なんだい?」
楓「私が山で助けられた時…このみが居たんすよね?」
一穂「そう聞いたねぇ」
楓「私…あの時……いや…やっぱなんでもないです…」
一穂「いいのかい…話さなくて?」
楓「はい…終わったこと…掘り返してもしょうがないですし…」
一穂「そうかい…じゃあもし話たくなったらいつでもおいで?」
楓「はい…ありがと…ございます…」
一穂「いやいや…じゃあ私は家に帰って寝るとしますか…」
楓「はは…センパイは変わらないっすね」
一穂「まあそんな簡単に習慣はねー変わらんわな」ポリポリッ
楓「そっすね…」
一穂「うん…じゃあまた…」ガチャッ
楓「はい…また今度…」
楓「………」
楓「さて……帰るか…」
【夢】
?「………」グチャッ
?「………」グチャッ
?「………」グチャッ
?「………」振り上げッ
ザーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…………………………
【駄菓子屋】
楓「うわぁぁ!?」ガバッ
楓「はぁ……はぁ……」キョロキョロ
楓「またか……」目頭抑えッ
楓「……」スタッ
楓「……」トコトコッ
【洗面所】
楓「……」蛇口キュッ
蛇口「……」バシャーッ
楓「……」バシャッバシャッ
楓「……」蛇口キュッ
楓「ふー……」フキフキッ
楓「……」バサッ
楓「……」携帯スッ
楓「……」ポチポチッ
楓「……」パタンッ
楓「行くか……」バサッ
【駄菓子屋店先】
れんげ「駄菓子屋、にゃんぱすー!」パスーンッ
蛍「おはようございます‼」ペコッ
楓「ああ、おはよう二人とも」
【2時間後】
夏海「おっす駄菓子屋‼お菓子買いきたよー!」スタタッ
楓「おうそうか‼ちゃんと金落としてけよ!」
小鞠「夏海あまり使い過ぎちゃ駄目だよ!おこずかい無くなっても今度は貸さないからね‼」
夏海「わかってるよーだ‼」ガサガサッ
【お昼】
ひかげ「おー駄菓子屋‼元気にしてるかー?」
楓「お、ひかげ…どうしたんだ?」
ひかげ「うん…ああ…私、今日東京に帰るから挨拶しとこうと思ってさ!」
楓「そっか…気を付けて帰れよ!」
ひかげ「おお、ありがと‼そっちもまた変なのにやられないように気を付けてくれよ!」
楓「ふ…そうだな…」
ひかげ「じゃあまたな駄菓子屋‼」手あげッ
楓「ああ…!」
【夕方】
このみ「ひかげちゃん帰っちゃったね…」
楓「そうだな…」
このみ「で…話ってなにかな?」
楓「改めて礼を言おうと思ってな…」
このみ「礼を…なんで?」首かしげッ
楓「このみが助けてくれたんだろ?大女から…」
このみ「え…?確かに楓ちゃんを見付けたのは私だけど…大女をやっつけたのは楓ちゃんでしょ?」
楓「いや違うな…」
このみ「どういうこと?」
楓「私は大女を倒してないよ…一発くらわせたけど…アイツは平然としてやがった…そしてそのあと殴られてから病院で起きるまで記憶はないんだ…」
このみ「ふーん…」
楓「なあこのみ…あの時…私を見つけた時…本当に大女は居なかったのか?」
このみ「うん…居なかったよ……」
楓「そうか…そう言えば…センパイが言ってたんだけど…大女はもう居ないから大丈夫だって…」
このみ「そりゃあ居なくなったら………」
楓「思うんだが…それっておかしくないか…いなくなったら大丈夫なんて?」
このみ「………」
楓「相手は容赦なく人を殺そうとする奴だぞ?普通はまた来るんじゃないかって不安になるだろ?………」
このみ「………」
楓「あとセンパイはもうひとつ言ってたよ…このみから聞いたって…」
このみ「………」
楓「他のみんなもそう言ってた…それになこのみ……」
このみ「………」
楓「最近…とても変な夢を見るんだよ…」
このみ「………」
楓「バラバラになった大女を…このみが見下ろしてる夢だ…」
このみ「………!?」ビクッ
楓「ただの夢だが…とても不安になった…なあこのみ……何か…私に隠してることはないか…?」
このみ「………」うつむきッ
楓「このみ…!」
このみ「…ねぇ楓ちゃん……」チラッ
楓「ん……?」
このみ「私さ…楓ちゃんとお話しするの好きだよ…なんだかんだ年も近くてひかげちゃんと並んで付き合いながいし……」
楓「……」
このみ「私たち…なんでもお話ししたよね?」
楓「ああ…そうだな…」
このみ「だけどね楓ちゃん…」チラッ
楓「………」
このみ「その話だけは…楓ちゃんにするの…嫌だな……」涙目ニコッ
楓「このみ…」ジッ
このみ「お願い楓ちゃん…この話はこれで…お仕舞いにして…」グスッ
楓「………」
このみ「おねがいだよ……」ポロポロッ
楓「このみ…お前は大丈夫なのか?危なくないのか?心配なんだよ…友達として…」肩ギュッ
このみ「うん…大丈夫……だよ…」グスッ
楓「そうか、わかった…わかったよ…お前を信じる…だからこの話はもうしない…でももし…一人で抱えきれなくなったら…ちゃんと相談…してくれよな」頭ポンッ
このみ「かえでちゃん…」鼻水ズズッ
楓「はは…ほら……鼻水出てるぞ!」ちり紙手渡しッ
このみ「うん…ありがと……」鼻かみズピーッ
【20分後】
このみ「へへ…やっぱり楓ちゃんはやさしいね‼」ニコニコッ
楓「チッ明日からは厳しく行くからな…」ニッ
このみ「うん!じゃあ私は帰るね…」手フリフリッ
楓「ああ…またな」手上げッ
【数ヶ月後夏休み、駄菓子屋】
夏海「あ~夏はやっぱこれだわ‼」かき氷ザクッ
小鞠「あんまり急いで食べると頭キーンってなるよ‼」
夏海「へっへーん!大丈夫だって」ザクッザクッ
れんげ「美味しいのんなほたるん!」パクッ
蛍「うん‼」ニコッ
お兄ちゃん「…」クルクルパクッ
このみ「わ!?器用な食べ方するねメガネくん‼」
お兄ちゃん「………」メガネクイッ
楓「それにしてもセンパイ…全員に奢るなんてえらい太っ腹ですね?」
一穂「いやー、じゃんけんで負けちゃってねぇ…」遠くを見るッ
楓「あ、そっすか…」苦笑いッ
ひかげ(めっちゃ平和だなー…ルーチェも来れば良かったのに!)パクッ
ひかげ「」キーンッ
【………】
ルーチェ(ひかげの家に遊びに行こうと出てきたはいいけど…道に迷った…)ズーンッ
ルーチェ「何処だここ…?」キョロキョロッ
ルーチェ「クソー!こんなことなら大人しくひかげに付いて行けば良かった…」トボトボッ
ルーチェ「……ん?…なんだあれ…?」トボトボッ
ルーチェ「あ…なんだガラクタか…ガッカリだ‼」
ルーチェ「まあ私はこんなモノにかまってる暇はないからどうでもいいけどな!…そんなことより早くしないと暗くなって…おばけが…」妄想ポワーンッ
ルーチェ「………」ブルルッ
ルーチェ「よし‼こんな時こそ…よいしょ……」リュック前にまわすッ
ルーチェ「フッフッフッ…遂に来たようだな…このルーチェ様の真の力を見せる時が!」ニヤッ
ルーチェ「ふん‼」羽根バサッ
ルーチェ「はっ!!」ピョーンッドテッ
ルーチェ「………」
ルーチェ「………」プルプルッ
ルーチェ「………」グスッ
ルーチェ「ひかげーー!!何処にいるんだよー!!」スッダッダッダッダッ
カナカナカナカナカカナカナカナーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…………………………
箱?「」
箱?「」
箱?「」
箱?「」
?「………」ガリガリッ
【ひかげ、春風部屋】
春風「………」本読みッ
春風「風説かぁ…不思議だなー……」時計チラッ
春風「あ、もう0時だ…早く寝なきゃ…」本置きパサ
春風「あ…そう言えば…」
春風「ルーちゃん…ちゃんと迷わず行けたかな…?」
ピンポーン………ピンポーン…………………………………………………………………
春風「ん?…誰だろ…?こんな時間に…」
春風「もしかして…ルーちゃんかな?………」トボトボッ
………ガチャッ…………………………………………………………………………………
おわり。
このSSまとめへのコメント
座敷女とか懐かしいな‼