ごった煮ハルヒの憂鬱 (45)

ハルヒ「ただの人間には興味ありません。この中に、宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」

フリーザ「!」

セワシ「!」

食パンマン「!」

ブチャラティ「!」

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***


放課後


ハルヒ「あんた達、どこに行く気? 朝、あたしのところに来いって言わなかった?」

フリーザ「……」

セワシ「……」

食パンマン「……」

ブチャラティ「……俺は呼ばれてないと思うぜ……?」

ハルヒ「いや、呼んだわ。あんた、どう見たって超能力者っぽいもの」

ブチャラティ「指定されたブレザーを着てなかったら超能力者扱いか?」

ハルヒ「そのヘンテコなオカッパも証拠の一つよ。それにあんたが教室に居たらゴゴゴって普通じゃない効果音が聞こえるし」

ブチャラティ「……!?」ゴゴゴゴ

セワシ「ぼ、僕は関係なさそうだから帰るね? 僕、ただの小学生だし……」カチャッ

ハルヒ「頭にプロペラくっつけてる時点であんたは未来人に決まりよ。大人しく部室に来なさい」ガシッ

セワシ「うぅ……」

フリーザ「……」

食パンマン「……」

ハルヒ「そしてあんた達二人には言い逃れる手段なんてどこにもないわね。見た目が全てを物語っているわ。完璧。あんた達二人は完璧」

フリーザ「私は他の宇宙人を知っているんで……そいつを紹介するって形ではどうでしょうか? 私は用事があって忙しいので……」

ハルヒ「その人の外見は?」

フリーザ「地球人に似てますが、ちゃんと尻尾が生えてますよ。あと、宇宙人っぽい服も着てます」

ハルヒ「却下。あんたに比べたらほとんど地球人じゃない」

フリーザ「うぅ……」

食パンマン「あの……確かに僕は異世界人ですが……学校が終わったら配達の仕事があるんで……その……」

ハルヒ「何の配達?」

食パンマン「えと……その……」

ハルヒ「どうせ食パンオンリーでしょ? ないない。この世界にあんたの需要なんてSOS団にしかないわ」

食パンマン「……」シュン

ハルヒ「ていうか、何でそんなにノリ気じゃないのよ? 食パンの彼は仕事(笑)があるとして、あとはどうせ暇なんでしょ? 家に帰ってマスかいて寝るだけなんじゃないの?」

ブチャラティ「そのマスかいて寝るだけのことが……案外重要だったりするんだぜ?」ゴゴゴゴ

セワシ「僕はタイムテレビでお風呂を覗くのを何よりも楽しみにしてるんだ」

フリーザ「呆れましたよ。何もせずにボーっとしてる時間の素晴らしさを知らないとは……」ククク

ハルヒ「黙りなさい、このダメ人間供」

ブチャラティ「……」シュン

セワシ「……」シュン

フリーザ「……」シュン

食パンマン「ところでそのSOS団というのは何なんですか? 困っている人を助けたりするクラブですか?」

ハルヒ「いいえ。S世界を O大いに盛り上げるための S涼宮ハルヒの団よ。あんたらみたいな面白い存在を見つけて一緒に遊ぶの。どう? おもしろそうでしょ?」

ブチャラティ(こいつ……嘘をついていない……! 本気でそんなことを考えてやがる……)ペロペロ




***


10分後

ハルヒ「次に勝手にあたしの顔舐めてきたらマジで殺すから……」

ブチャラティ「ごめんなひゃい……」

ハルヒ「まぁ細かいことは部室で説明するわ。ついてきなさい」

セワシ「あれ、そう言えば部室ってもう埋まってるんじゃないの? 空きなんか無いって聞いたけど……」

ハルヒ「ふふふ、そう言うと思ったわ。感謝しなさい! 占拠しやすそうな部活の目星はもうつけてあるわ!」

フリーザ「」

ブチャラティ「」

セワシ「」

食パンマン「」

ハルヒ「……何? なんか文句でもあるわけ?」

フリーザ「……。その独占欲はいずれ身を滅ぼしますよ」

ブチャラティ「とんだエゴイズム野郎だな……」

セワシ「きっとタイムパトロールが黙っていないよ」

食パンマン「心の無い人ですね……」

ハルヒ「う……そこまで言わなくたっていいじゃない……」シュン

ブチャラティ「あんたはリーダーの器じゃないな」

ハルヒ「……じゃ、じゃああんた達が部室を用意しなさいよ! 用意できた人が団長でも構わないわ!」

ブチャラティ「ふん……お前らついて来い」ザッ


***

女子トイレ


ブチャラティ「……」ゴゴゴゴ

セワシ「……」ゴゴゴゴ

フリーザ「……」ゴゴゴゴ

食パンマン「……」ゴゴゴゴ

ハルヒ「ねぇ、何であんた達普通に女子トイレに入ってんの? 何で一瞬のためらいも無いの?」

ブチャラティ「スティッキー・フィンガーズ!!!」ボコオオオオ

食パンマン「おお! 便器にチャックが!!」

ブチャラティ「ほらな……こうして寝そべれば人一人分は入れる。俺の秘密の部室だ」ジーッ

フリーザ「すばらしい……」ククク

ブチャラティ「お前らの分も作ってやろう」ボコンボコン

セワシ「最高だよ、リーダー!!」

ハルヒ「……。そんなの部室じゃないとか、そういうツッコミの前に一つ聞いておくわ。普段あんた何やってんの?」

ブチャラティ「……」

ハルヒ「ねぇ?」

ブチャラティ「……」




***

10分後


ハルヒ「この女の敵め……」

ブチャラティ「もうしましぇん……」


***


ハルヒ「へぇ……なかなか広いじゃない!」

セワシ「あんまり壁紙ハウスみたいな未来の道具が一般人の目に触れるのは良くないんだけど……」

ハルヒ「宇宙人の名前が座席表に載ってるくらいなんだから、未来の道具なんかどうってことないわよ」

フリーザ「別に『フリーザ』は変じゃないでしょう? 『食パンマン』の方が大問題ですよ」

食パンマン「入学手続きにはえらく手間取ったもんです」

ハルヒ「とにかくよくやったわセワシ君! ご褒美に副団長にしてあげるわ」

セワシ「あれ、部室用意した人が団長なんじゃないの?」

ハルヒ「次は備品の充実ね。とりあえずパソコンが欲しいわ」

フリーザ「コンピュータなら宇宙船に積んであるのを持って来ましょう。地球の言語で表示は出来ませんが」

ハルヒ「却下。セワシ君」

セワシ「タイムテレビならネットも出来るよ」

ハルヒ「ナイス! セワシ君ナイス!」

フリーザ「」シュン

ハルヒ「それから何か部室で気軽につまめる物も欲しいわ」

食パンマン「おや! 僕の出番のようですね!」

ハルヒ「レパートリーは?」

食パンマン「食パンオンリーですが?」

ハルヒ「却下。セワシ君」

セワシ「グルメテーブル掛けならあるけど……」

ハルヒ「未来人最高。ほんと頼りになる!」

食パンマン「」シュン


***


1時間後

ブチャラティ「……随分と未来的な部屋になったもんだな」

ハルヒ「部室も手に入ったし、これで活動の準備は整ったわね! 男ばっかなのがむさ苦しいけど」

食パンマン「むさ苦しいとは何ですか! 僕はこれでも向こうの世界じゃ美男子として名が通って……」

ハルヒ「どこが美男子よ。食パンじゃない」

食パンマン「この輝く白さ! 筋の通った鼻! あなたは見る目がない人だ!」

フリーザ「白さが美の基準なら、私だって美男子ということに……!」パアア

ハルヒ「あんたらは人間離れしすぎて、見ててキモイのよ」

食パンマン「」シュン

フリーザ「くそう……ドラゴンボールさえありゃあ……!!!!」ギリギリ

ハルヒ「セワシ君も役には立つけど、顔は下の上って感じだし」

セワシ「ひどいや!」

ハルヒ「ブチャラティはそこそこイケメンだけど、ただの変態だし」

ブチャラティ「……」ゴゴゴゴ

ハルヒ「まぁ顔は別にどうだっていいわ。とにかくもう少し花が欲しいのよ! コスプレさせたら面白そうな娘を連れて来なさい! それで宇宙人とか未来人だったら尚良し!」

セワシ「横暴だなぁ……」


***


翌日

ハルヒ「昨日言ってた女の子の件だけど、見つかった?」

ブチャラティ「ダメだった。知り合いの女に声をかけたんだが、そいつの父親がひどく心配性でな……。『認めん! パパはそんな得体の知れないクラブに入るなんて認めんぞ!』って言って譲らなかったそうだ。おまけにその父親は俺の所属する組織のボスだから、逆らうわけにもいかなくてな……」

ハルヒ「へぇ……。セワシ君は?」

セワシ「僕の知り合いの女の子は全裸がデフォルトだからね……。それにスタイルも最悪だから、市販のコスチュームは着れないんじゃないかな」

ハルヒ「どんな娘よソレ……。じゃあ食パンマンは?」

食パンマン「本人は僕目当てで入部を希望してるようなんですが……。如何せん、全身タイツがデフォルトですから……。その上触手が頭から生えてます」

ハルヒ「うーん……。そう簡単には見つからないわね……」


フリーザ「ダメですね、皆さん……。私はちゃんと完璧な人材を見つけて来ましたよ?」ザッ

ハルヒ「嘘つきなさい。あんたみたいな不細工に可愛い女の子の知り合いなんているわけがないわ」

フリーザ「調子に乗るなよ、この虫ケラが……」ギリギリ

ハルヒ「ホントに連れてきたんなら見せてみなさいよ」フン

フリーザ「ザーボンさん! ドドリアさん!」パチン

ザーボン「ハッ!」ザッ

ドドリア「ハッ!」ザッ

ラム「離すっちゃー!! 離せー!!」ガジガジ


ハルヒ「!?」

ブチャラティ「!?」

セワシ「!?」

食パンマン「!?」

フリーザ「昨日適当に宇宙を飛び回っていたら鬼族の星を見つけたもんですから、デスビームで破壊してこの娘をさらって来たのですよ」ククク

ラム「うちの星を返せー!! お前どこの星のもんだー!!」ジタバタ

ブチャラティ「」

フリーザ「この娘は宇宙人なのは勿論のこと、飛行や電撃といった超能力を操り、何度かタイムトラベルを経験し、更にるーみっくわーるどとかいう異世界から来たという、まさに完璧な人材ですよ。バニーでも何でも着こなせますし」ククク

ハルヒ「最低にもほどがあるわよアンタ……」ワナワナ


***


1時間後

セワシ「なんとか復元光線で粉々になった星は元に戻ったよ」フゥ

ハルヒ「え、その光線って死んだ人も甦るの!?」

ラム「うちらの世界の人は星が爆発したくらいじゃ死なないっちゃ」

ブチャラティ「『のわー!!』とか言いながら宇宙空間を彷徨ってそうだな……」

食パンマン「僕の世界に住む皆も、そう簡単には死にませんよ。丼ぶりトリオなんて毎回のように脳みそを食べられてますし」

セワシ「人の生き死にも、世界によって様々なんだなぁ……」



フリーザ「うぅ……虫ケラ共め……。このフリーザ様をぼこぼこに殴りやがって……。許さん……許さんぞぉ……」ハァハァ


***


ハルヒ「さて新メンバーも入ったところで活動を始めるわよ! 前にも言ったように、このクラブはあんた達みたいな人と遊ぶのが目的。だから何して遊ぶか、意見のある人は手を挙げてちょうだい」

食パンマン「……」

ブチャラティ「……」

フリーザ「……」

セワシ「……」

ラム「?」

ハルヒ「ちょっと! 何して遊びたいとか何処何処に行きたいとか、色々あるでしょ!?」

食パンマン「いやぁ……」

フリーザ「いきなり言われましても……」

ブチャラティ「普段俺たちはマスかいて寝るだけなんだぜ……?」ゴゴゴゴ

セワシ「タイムテレビでおじいちゃんを見てても、ジャイアンのいじめやスネ夫の自慢が遊びの起爆剤になるわけで……」

ハルヒ「……全ッ然思いつかないってわけ?」

ラム「ウチも大抵ダーリンを追いかけ回して一日が終わるっちゃ」

ハルヒ「虚しい生き方ね……」ハァー

食パンマン「そういう涼宮さんは何かアイディアがあるんですか?」

ハルヒ「もちろん!! キャンプ、カラオケ、ボーリング。帰れま10もしてみたいし、この面子でスポーツの大会に出るのも悪くないわ! ツチノコ探しだって、これだけ揃ってれば不可能じゃないじゃない!!」

ブチャラティ「……!! 超能力者が活躍できそうなイベントが何一つ無い……」ゴゴゴゴ

セワシ「近距離パワー型な上に特殊能力がジッパーだもんね……」

フリーザ「スポーツの大会なら楽しめそうな気がしますよ」

ラム「おもしろそうだっちゃ!!」

ハルヒ「とりあえず来週の土曜日に草野球の大会があるからエントリーしてみようかしら!」

セワシ「野球? エントリーするのはいいけど、僕ら6人だよ? 最低でもあと3人必要になるけど……」

ハルヒ「あとの3人なんてただの数合わせなんだから、どうとでもなるわ。どうせ相手も寄せ集めみたいなチームでしょうし」

ラム「ウチとフリーザと食パンマンで外野をやれば、相手のホームランはまずあり得ないっちゃ!」

ブチャラティ「スティッキー・フィンガーズがあれば、タッチアウトの心配もない」

セワシ「エースキャップがあるからピッチャーは任せてよ!」

フリーザ「フフフ……燃えてきました……」

ハルヒ「よーし! 絶対優勝するわよー!!」

一同「オー!!!!!」


***


大会当日


ガツッ!!!!!


デッドボール!!!!!!!!!!!!!




フリーザ「こ、この虫ケラ共が……!!!」ヨロヨロ




ハルヒ「ら、ラッキーラッキー!! 初出塁よ!!」

セワシ「9回裏でデッドボールを受けて初めて一塁を踏むとか……。20対0ってどんな公開処刑だよ。お願いだからコールド負けにしてよ」

ブチャラティ「エースキャップも食パンマンのマントも反則だからと取り上げられ、おまけにバッティングが全員初心者ならこうなって当然だ……」

ラム「何よりも相手が悪すぎるっちゃ……」シュン




茂野「わりぃわりぃ! 手が滑っちまった! わざとじゃねぇんだ!」

フリーザ「殺してやる……じわじわとなぶり殺しにしてくれる……」カラン フラフラ

左門「ま、そういうこともありますたい」

岩鬼「ぬわーはっは!! 気にするな茂野!!」

峠球「ひっく……」ウィー





食パンマン「それに引き換え、こちらの助っ人は……」ハァー


野原ひろし「……」

貝塚ひろし「……」

さくらヒロシ「ひっく……」ウィー



ハルヒ「貝塚君は同じ学校だから分かるとして、残りの二人はどういうルートでスカウトしたのよ……」



3番……サード……ブローノ君……



セワシ「9回裏二死一塁。ほとんど負けは決まったようなもんだけど、もしかしたら逆転劇の始まりかもしれない。頼んだよブチャラティ!!」

ブチャラティ「任せておけ……」



ブチャラティ「……」グッ


茂野「へッ……なかなか鋭い目をするじゃねーか……」スッ

ブチャラティ「……」

茂野「よッ!!!」ビュッ


ズッバアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!!!

ストライイイイイイイイイイイイイイイイック!!!!!!!!!!


ハルヒ「内角高めのギリギリのところを……ッ!! なんてコントロールなの!!」

ラム「それにあのジャイロボール、ここへ来て球威が増してきてるっちゃ!!」

野原ひろし「ま、まだ肩が温まってなかったってのか!!?」


ブチャラティ「……」

茂野(……待ってやがんな……)パシッ




茂野「……ならコイツは……」スッ

ブチャラティ「……」


茂野「どうだッ!?」ビュッ


ズッバアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!!!

ストライイイイイイイイイイイイイイイイック!!!!!!!!!!


ハルヒ「今度はギリギリいっぱいの外角低め!?」

ラム「150km/時は出てるっちゃ!!」

食パンマン「あんなの、手が出せるわけありませんよ!!」

野原ひろし「いや、ブチャラティの奴……わざと見送ってやがる……。待ってやがんだ……。ど真ん中のストレートを……」

セワシ「え!?」


ブチャラティ「……」


茂野「ヘッ……。やっぱそうかよ……」パシッ



野原ひろし「おそらく向こうも勝負を仕掛けてくる……。この一球にすべてをかける気だ……」



茂野「しゃあねぇ……。勝負してやっか……」パシッ パシッ

ブチャラティ「……」



茂野「お望み通りに投げてやるよ……」スッ




茂野(ど真ん中の……)グググッ





茂野(ストレートをッ!!!!!)ビオュンッ



ヒュゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!!!!!



ブチャラティ「アリーヴェ……」ギュッ



バッシイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!!!!!!!!!!




ブチャラティ「デルチッ!!!!」ブンッ!!!!!!!!



ストラッカウッ!!!!!!

ゲームセッ!!!!!!!!!!!






ハルヒ「……完全に振り遅れてるんだけど……」

ラム「情けないっちゃ……」


***


ハルヒ「まったく面白くないわ!! 何で宇宙人、未来人、異世界人、それに超能力者まで揃ってんのにボロ負けすんのよ!」ズバズバッ チュルル

セワシ「未来人から秘密道具を取り去ったら、そりゃ現代人より役に立たないって」ズヒーズヒー

食パンマン「僕なんかマントなかったら、ただの腕力が強い食パンですもん」ズズズ

フリーザ「デッドボールの報復にデスボールをぶつけてやりたいところでしたよ……」アイテテテ

ブチャラティ「たかだか150km/時の球も避けられなくてなにが宇宙最強だ」ゴクゴク

ラム「あんなカッコ悪い空振りしたくせに何言ってるっちゃ」プハァ

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