れんげ「うちとにぃにだけなん」 (188)
れんげ「なっつんとこまちゃんとほたるん、今日はお休みなん?」
和穂「風邪が流行っとるからねぇー。今日は人数少ないけどいつも通りお勉強してねぇ~」zzz...
れんげ「ねぇねぇはいつも通りすぎなん。こんな時こそ個人に力入れて指導できるのんに」
卓「」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1442448170
れんげ「なんだかとても不思議ですのん」
れんげ「いつもなら前にほたるんがいて」
れんげ「隣にこまちゃん、ななめまえになっつんがいるん」
れんげ「でも今日は・・・」
和穂「クカー・・・」zzz...
れんげ「前がよく見えてねぇねぇの見通しが良いん。無様ですのん」
れんげ「横は・・・」
カリカリ
卓「」
れんげ「にぃにが見えるん」
れんげ「横を見てにぃにが座ってるなんてうち、初めての経験です」
卓「」カリカリ
れんげ「いっつもこまちゃんに遮られてる風景はこうなってたんな。目からウロコですのん」
れんげ「・・・」
れんげ「今日はこのいつもと違う風景を観察してみるん」
卓「」
れんげ「・・・」ジー
卓「」
れんげ「・・・」
卓「」
れんげ「代わり映えしないん。せっかくいつもと違うのににぃにはいつも通りに勉強してるだけなんな」
れんげ「・・・」
れんげ(いつも通り?)
れんげ(いつも通りのにぃにってなんなん・・・?)
れんげ(にぃにはいつも学校で・・・)
れんげ(勉強の時間・・・こまちゃんに遮られてよく見えないん)
れんげ(休み時間・・・うち、なっつん達の所にいてにぃにのことはよく見てないん)
れんげ(給食・・・なっつん達と机を合わせてうちはにぃにに背を向けて食べてるから見えないん)
れんげ(昼休み・・・なっつん達と外で中当て、かくれんぼ、雨の日も学校の中で遊んでるん)
れんげ(その時にぃには・・・)
れんげ(・・・)
れんげ「うち、にぃにのこと何も知らないん!」
れんげ「にぃにはなっつんとこまちゃんのにぃに、中学校3年生、知ってるのはそれだけなん」
れんげ「うち、学校のことなら知り尽くした気でいたんに、何も分からないことがこんなにあったんな。無様なのはうちのほうでしたん」
れんげ(・・・)
れんげ(・・・今日は遊んでくれるみんながいないからきっと暇を持て余すん)
れんげ(せったくだから今日をにぃにを知る機会に活用してみます)
ぽんぽーん
和穂「は〜い用紙を後ろから・・・集められんか。それぞれ持って来てね〜」
卓「」スッ
れんげ(いつもはなっつんやほたるんが来てにぃにには気が向かないん。にぃには何してるのん?)
卓「」ゴソゴソ
卓「」ペラッペラッ
れんげ(教科書を出したん。休み時間でも勉強するのん?)
卓「」カリカリ
れんげ(勉強してるのん・・・にぃには勉強が好きなん?)
卓「」カリカリ
てくてく
れんげ「にぃにー」
卓「?」
れんげ「なんでにぃには休み時間でも勉強してるん?」
れんげ「にぃにはそんなに勉強が好きなん?」
卓「」
れんげ「好きというわけじゃない?予習?予習ってなんなん?」
卓「」
れんげ「次の時間に習う事を勉強してるのん?」
れんげ「にぃには変わってるん。これから教えてもらうのになんで先に勉強してるん?」
卓「」
れんげ「先に勉強することでどんな内容か、自分に分かること、分からないことを知っておくん?」
卓「」
れんげ「『彼を知り己を知れば百戦殆からず』?それなんなん!?すごいかっこいいん!!」
れんげ「昔の人はすごいのんなー」
れんげ「うちも予習するん。彼を知り己を知っていくさに備えるん!」
卓「」ウン
ガラッ
和穂「は〜いみんな席につい・・・おおうどしたのれんちょんもう教科書開いて」
れんげ「予習なん!」カキカキ
和穂「予習か〜。れんちょんはまだやらなくてもいいんじゃないかねぇ〜」
れんげ「彼を知り己を知れば百戦殆からず、そんしさんなん!」
和穂「うおぅ、難しい言葉を・・・兄ちゃんなんか教えたね?」
卓「」
和穂「ま、先生としては勉強熱心な子がいるのは喜ばしいことだけどね〜」
れんげ(予習で先に勉強始めたらすぐ終わってしまい暇でしたん。いくさの敵を知り過ぎてボッコボコの大勝になってしまったん)
卓「」ゴソゴソ
れんげ(にぃにはまた予習するんなー。にぃにの敵はきっとすごく手強い知将と見ますん)
れんげ「にぃにー」
卓「?」
れんげ「ax by? A点からB点の距離・・・にぃに次の時間は算数なん。なんで英語の予習してるん?」
れんげ「それにこっちのこれなんなん?2にちっちゃい6が付いてるのん」←2^6のこと
れんげ「おかしいのん、2が6の子供をおんぶしてるなんて、2は一体どんな複雑な家庭事情を抱えてるんですのん?」
卓「」
ガラッ
和穂「はーい席に」
れんげ「じゃあ9^5は59049なんな!?」
卓「」ウン
和穂「・・・なにしとるんかね君たち」
れんげ「すごいんねぇねぇ!9は5の子供を育ててると見せかけて実は5人の兄弟だったん!」
和穂「あー・・・う、うん、すごいねぇー」
れんげ「にぃにもすごいん!にぃには英語で算数をするという離れ業をやってのけましたん!」
卓「」
和穂「あ〜中学の数学は記号いっぱい使うからねぇー」
れんげ「うちも英語で算数したいん!」
和穂「さすがに早過ぎ」
れんげ「そうですかん」
れんげ(A点からX角のほうが長いのになんでB点がY角に達したらストップなん?)
れんげ(A点にもゴールを達成させてあげてほしいん。そのせいで三角形の面積も中途半端なん)
ぽんぽーん
和穂「はい午前の授業は終了ー今日の給食当番は、選択肢ないねぇ〜。ふたりでお願いしま〜す」
れんげ「はっ、忘れてましたん。にぃにを知る前にA点の無念を知ろうとしてしまいましたん!」
卓「」ガタッ
れんげ「にぃにー」
れんげ「今日は机くっつけてにぃにと食べるん」
卓「」
れんげ「そんなことないのん。今日はにぃにしかいないけど、にぃにといてつまらないなんて思わなかったのん」
れんげ「うち、そんしさんじゃないけど、にぃにのこと知りたいん。それに」
卓「?」
れんげ「ご飯は一人より二人で食べる方が絶対おいしいん」
卓「…」
なでなで
れんげ「うち良い子?ありがとなん」
れんげ「唐翌揚げ一人2個のところ、6個余ったからにぃにと3個ずつ分けて、5個食べられるんな」
卓「」b
れんげ「でもこれはなっつん達が休んだおかげでありつけたものなん。誰かの息災で恩恵を受ける・・・皮肉な話ですのん」
卓「...」
コト
れんげ「にぃに?そのプリンどうするん?」
れんげ「なっつん達に持って行ってあげる?」
れんげ「じゃあうち、ほたるんに持って行ってあげるん。恩恵のお届けなんな」
卓「」コク
卓「」ゴソゴソ
れんげ「? にぃに唐翌揚げも持って帰るん?流石に風邪の人に唐翌揚げはキツいと思うん」
卓「」フルフル
れんげ「違うん?後で食べるのん?変なにぃになんな」
れんげ「お昼休みなのん」
卓「」テクテク
れんげ「にぃにどこ行くん?うちいつもみんなと遊んでるからにぃにが何してるか知らないん」
卓「...」
卓「」チョイチョイ
れんげ「ついていっていいん?ありがとなん」
にぃに外行くーん? 分かったのーん
一穂「おや、今日はあの子らおらんから心配したけど、いらん世話だったみたいだねぇ」
れんげ「花壇?にぃに昼休みはいつもここにいるん?」
卓「」ウン
プチッ プチッ
れんげ「・・・にぃにだったんな。いつも花壇の雑草抜いてたんは」
れんげ「うち、雑草だけ食べる動物が来てると思ってたん。考えてみればそんな都合がいい動物いないのんな」
卓「」クスッ
れんげ「うちもやるん。これからも手伝うん」
卓「」
れんげ「気にしなくてもいい?うち、いつも遊んでる時ににぃにがこんな事してると知ってて、気分良くあそべないのん」
れんげ「明日からみんなでやるん!そうすれば早くおわるん!遊ぶ前の一仕事するのん!」
卓「」
れんげ「やることがなくなる?・・・にぃに何言ってるのん?」
れんげ「にぃにはなんでいつもうちらよりちょっと離れた所にいるん?」
れんげ「この昼休みだってそうなん。うちとなっつん、こまちゃん、ほたるんが遊んでる中ここで草むしりしてて」
れんげ「車とか電車で遠出した先でもうちらじゃなくねぇねぇやおばちゃんの近くにいるん」
れんげ「なんでなん?にぃにはうちらと遊ぶのが嫌なのん?」
卓「」フルフル
れんげ「女の子の中に男が割り込むのは悪い?」
れんげ「女の子は女の子だけで遊ぶ方が楽しい?」
れんげ「・・・」
卓「...」
れんげ「にぃにはお馬鹿さんなん!」
卓「!」
れんげ「うちの知らない言葉知ってたり英語で算数できるけど、にぃには大が付くお馬鹿さんなん!」
れんげ「なっつんより何倍もお馬鹿さんなん!」
卓「!?」
れんげ「なっつんとこまちゃんが遊ぶ時ににぃにが邪魔だなんて思う事があると思うん?」
れんげ「ほたるんだってまだ会ってから数ヶ月しか経ってないけど、そんな事考える子じゃないって分かるん!」
れんげ「うちも、遊ぶ時はみんな楽しいほうがいいん!」
れんげ「にぃにはどう思ってるかは知らないん。でもうちらはにぃにが一人だけ男だからって理由でのけ者にはしないのん!」
卓「...」
れんげ「うち、たまにしかないけど、にぃにと遊ぶの好きなんよ?」
卓「...」
卓「」コク
れんげ「分かってくれたん?」
卓「」
れんげ「そうですのん。にぃにはとってもお馬鹿さんだったんな」
れんげ「みんなで草むしりを終わらせたらやることがなくなる?なんでそこでみんなと遊ぶっていう考えが出てこないのん」
卓「」ショボン
れんげ「だから今日はみんな一緒に遊ぶ、といきたいですが、今日はあいにくみんな居ないのん」
れんげ「うち、今日はにぃにと遊びたいん。良いですか?」
卓「」ウン
れんげ「ありがとなん」
れんげ「雑木林で虫探すのん!」
卓「」コク
れんげ「単に大きい獲物を捕まえるんじゃ普通の狩り勝負でつまらないん」
れんげ「だから今回は・・・よりあーてぃすてぃっく、おしゃんてぃーな虫を探した方が勝ちとしますん!」
卓「...?」
れんげ「にぃに、芸術は自分が芸術と思った物がそうなるん。そんな虫を探すのん」
卓「...」
卓「」コク
れんげ「じゃあ行きますん!」
れんげ「石の下にダンゴムシいたん。でも近くにナメクジいるんな。これはマイナスですのん」
れんげ「ここに良い感じのハサミムシがいたらカバーできたかもしれないんに。惜しい物です」
れんげ「にぃにー、なんか見つけたんー?」
卓「」フルフル
れんげ「秋は虫が少なくなるんなー。ヒグラシの声もあんまり聞かなくなったのん」
れんげ「セミといえば羽が透けてるやつのポイントもなかなか・・・」
れんげ「!?」
れんげ「にぃにー! にぃにー!」
卓「?」タタタ
れんげ「すごいん!あれ見るん!」
卓「?」
れんげ「あれなん!あの葉っぱの先!」
卓「...?」ジィー
蝉の脱け殻「」
卓「...」
れんげ「すごいん!セミの羽化なんて土から出てちょっと登ればできるのに、あんな高いところまでわざわざ登って、その上細い枝を伝って風で揺れまくる葉先に捕まって羽化した跡なん!」
れんげ「きっとものすごく変人の蝉の脱け殻なん!うち、あれをとっときたいん!」
卓「...」
れんげ「のんっ!のんっ!」ピョンピョン
れんげ「やっぱり高いのん・・・登ろうにもうちにはまだ無理なんな。なっつんなら多分裸足で余裕で登っていけるんに」
卓「」スッ
ぐいーん
れんげ「のわぁっ!」
れんげ「にぃに?これ、肩車なのん?」
卓「」
れんげ「おぉ〜、にぃにこれすごいん!駄菓子屋やねぇねぇの肩車より高いん!微妙に高いん!」
卓「」
れんげ「おおそうでしたん。うちとしたことが、蝉の脱け殻を忘れるとこでしたん」
れんげ「ふぬぬぬぬぬぬ・・・」
卓「」ノビー
れんげ「届かないん・・・あとちょっとなのがもどかしさを倍増させますん」
卓「」
れんげ「にぃに?」
卓「」
れんげ「・・・今にぃにになっつんの姿を重ねたん。そんな事考えつくあたりやっぱりにぃにはなっつんのにぃにだったのんな」
卓「」
れんげ「いや、上等ですのん。その無茶、この宮内れんげ、やってのけましょう」
れんげ「一旦降りるん」
卓「」コク
スタッ
ギュッ
れんげ「重くないん?」
卓「」ウン
れんげ「うちはスタンバイOKなん」
卓「」
れんげ「かうんとだうん、3、2、1・・・」
卓「...ッ」ググッ
ブンッ
れんげ「ぬおっしゃああああああああい!」
パシッ
分かりにくいため解説
卓、一旦れんげを降ろし、お姫様抱きの形で再度持ち上げる
れんげのカウントダウンと同時に卓、れんげを上に投げ上げた
れんげ「にぃにーーーー!」ヒューン
卓「ッ!」
ドサッ
れんげ「おおぅ、ナイスキャッチですのん」
卓「」フー
卓「」
れんげ「うちは大丈夫なん。そして脱け殻は無事回収ですん。ここまでやったからにはこれは大事にするしかないのんな」
卓「」ホッ
れんげ「うーんやっぱり人は地に足が着いてるほうがいいのんな。不安定な高さより安定の低さなのん」
れんげ「でも肩車は安定してれば怖くないのんな」
駄菓子屋「へくしっ!」
一穂「最近涼しくなったねぇ。そろそろ布団も厚いやつ出さんと」
ねぇねぇー!
一穂「ん?おやおや、兄ちゃんに肩車とは、随分仲良しさんだねぇ」
れんげ「ねぇねぇこれ見てほしいん!にぃにと取ったん!」
卓「」コク
一穂「なにそれ・・・蝉の脱け殻?」
れんげ「変人のセミの脱け殻なん!貴重なものなのん!」
一穂「そっかーセミなのに変人かー、そりゃ確かに貴重だねぇ」
一穂「あとちょっとで昼休み終わるから教室入っとってねー。手洗いうがいも忘れずにー」
れんげ「いくのん、にぃに」
卓「」
れんげ「はっ、あーてぃすてぃっくでおしゃんてぃーな虫探し・・・忘れてましたん」
卓「」
れんげ「駄目なのん。これはあくまで脱け殻なん。これが通るならおもちゃの虫でも良いことになるんな」
れんげ「だから今日はドローなん」
卓「」コク
卓「」ゴソゴソ
れんげ「にぃにまた予習するん?」
卓「」コク
れんげ「うち、次は「せいかつ」の時間なん。こればっかりはうち、予習のしようがないと思いますん」
れんげ「にぃにの予習見てていいん?」
卓「」ウン
卓「」サラサラ
れんげ「・・・にぃに何やってるん?ノートにぐちゃぐちゃ書いて、英語の勉強しないん?」
卓「」
れんげ「えっ? これ文字なん?」
れんげ「なるほど、これなら長い文も紙からペンを離さずに書き綴ることができるんな。とっても便利なん」
卓「」コク
れんげ「それに見た目も洒落ててかっこいいん。筆記体とはどれだけ魅力に関して欲張りなん」
卓「...」
卓「」
れんげ「え? 教えてくれるん? にぃに予習はいいのん?」
卓「」
れんげ「・・・にぃには口がうまいのんな。テレビで言ってたん、口のうまい男は女をよく騙すって」
卓「」
れんげ「いいのん、うち、騙されてあげますん。うちは男を立てられる女なのん」
卓「」
れんげ「え?そんなテレビ見るな?なんでなん?」
れんげ「よっこいしょ」ポスッ
れんげ「・・・にぃにの膝、硬いん!」
卓「」
れんげ「でも悪くはないん。なっつんやほたるんの膝より柔らかさは劣りますが、それが逆に二人にはない良さがあります。むしろそれがいいん」
卓「...」
卓「」サラサラ
れんげ「これがえーとぅーぜっとなん?全然分からないん・・・」
卓「」そっ
れんげ「一緒に書くと分かりやすいん?」
卓「」サラサラ
れんげ「おお!うち英語すらすら書いてるん! かっこいいん! 文字もどれがどれか分かるん!」
卓「」コク
れんげ「にぃにありがとなん!うち、今度はにぃにの手添え無しで書いてみるん!」
ガラッ
一穂「今度はお膝椅子かぁー。君らえらい仲良うなったねー」
れんげ「ねぇねぇこれ見てなのん!にぃにに習ったん!」
一穂「どれどれー?ほほ〜、英文字を筆記体で書くとは大したもんだねぇ」
れんげ「うち、もう英語すらすら書けるん!これで英語の勉強もばっちりなん!」
卓「」
一穂「こらこら兄ちゃんは自分の妹を何だと思っとるんかね」
れんげ「これ、なっつんは書けないって聞いたん! うち、なっつんに勝てるもの増やすよう頑張るん!」
一穂「偉いねぇれんちょんは。でも確かにこれで夏海の勉強意欲が少しでも上がってくれればいいのにねぇ」
一穂(れんちょんに勉強で負けたともなれば流石にのんびり構えてられんでしょ)
一穂「これで帰りのHRは終わりま〜す。れんちょん号令よろしく」
れんげ「きりーつ!礼!」
卓「」コク
一穂「はい、みんな気をつけて帰りましょう。遅くならんようにね」
れんげ「にぃに帰るん!」
卓「」
れんげ「にぃに帰らないん?まだ何かするん?」
卓「...」
卓「」
れんげ「! 行くのん!」
卓「」コク
れんげ「面白いものって何なん? 何見せてくれるん?」
ガサガサ
れんげ「にぃにどこまで行くーん?」
卓「」
れんげ「もう少しなん? じゃあ頑張るん」
れんげ「草が踏まれて簡単な道ができてるん。この辺あんまり入らないから知らなかったのん。にぃにが作ったん?」
卓「」ウン
れんげ「じゃあにぃには何度もここに来てたのんな。うちらと同じバスで帰らないで、こんな所で何してたん?」
卓「...ッ」
れんげ「! 分かったん! お口チャック!」
卓「...」
卓「」カプ
フィーー!
れんげ「にぃにの指の笛はよく響くのんなー。うちのより大きい音なん」
卓「ッ!」グルグル
れんげ「にぃに? 腕に巻いてる布なんなん?」
卓「...」
卓「!」
バサバサッ ガシィッ!
れんげ「のわぁっ!」
れんげ「な、なんなん・・・?」
卓「...」
鷹「クワァーッッ!」
れんげ「・・・」
れんげ「でっかい鳥さんなん! 」
卓「…(口寄せ・ 穢土転生!) 」
れんげ「ひらたいらさんが生き返ったのん!」
れんげ「これが鷹さんなのんかー。うち、初めて見たのん」
卓「」スッ
鷹「ガツガツ」
れんげ「なるほど、このために唐揚げを残しておいたのんな」
れんげ「この鷹さん、にぃにが飼ってるん?」
卓「」フルフル
れんげ「たまに会いに来てご飯あげてるん?」
れんげ「じゃあにぃにと鷹さんは友達なんな」
卓「」コク
バサバサッ ガサッ
鷹「クァーー!」
れんげ「鷹さん木に行っちゃったのん」
卓「」
れんげ「え? いいのん? うちやってみたいん」
卓「」スッ グルグル
れんげ「爪が鋭いから厚く巻くん? なんか怖いのん・・・」
卓「」
れんげ「にぃにが言うんなら信じるん」
れんげ「腕を掲げるん?」スッ
卓「」フィーッ!
バササッ トンッ
れんげ「おおっ」
鷹「...」
れんげ「にぃに! 鷹さんうちの腕に来たん!」
卓「」コク
れんげ「見た目に反して意外と軽いのん」
鷹「クァッ!」
れんげ「はじめまして、うち、宮内れんげと申しますん」
鷹「...」ジッ
れんげ「お前怖い顔してるのんな」
れんげ「ヤバいのん。目がイってるのん。確実に殺しやってる目なん」
鷹「...」
鷹「」クシクシ
鷹「」バタタッ
れんげ「!」ビク
鷹「」ブルルッ
れんげ「・・・見た目は怖くて強そうだけど、普通の鳥さんなんな。鶏と似た仕草するのん」
卓「」クス
れんげ「リラックスしてる? 触ってもいいん?」
卓「」ウン
れんげ「...」ナデナデ
鷹「...」
れんげ「ほれほれ、ここがいいのん?」クシクシ
鷹「...」
卓「」
れんげ「鷹さん、うちに気を許してくれたん?」
卓「」コク
れんげ「じゃあ鷹さん、うちと友達になるん!」
鷹「クァッ」
れんげ「鷹さん、名前なんていうん?」
卓「」
れんげ「名前無いん? 友達の名前呼べないのは不便なのん・・・」
卓「」
れんげ「えっ? ウチが付けてもいいん!?」
卓「」コク
れんげ「ありがとなん! お前の名前はー・・・」
れんげ「・・・ノリさん!」
卓「...」
鷹「クァッ」
れんげ「気に入ってくれたん? これからよろしくなのん、ノリさん」
卓「...」
れんげ「どしたんにぃに?」
れんげ「タカといえばノリ、これ以外にないん。もはやイコールと言ってもいいのん」
卓「...」
卓「」コク
れんげ「ノリさんは不思議な体の色してるのんなー」ナデナデ
れんげ「ばいばいノリさん。また来るのーん」
鷹「クァーッッ!」バサバサッ
れんげ「ノリさん殺しの目してるけど結構可愛かったのん」
れんげ「今度はなっつんとこまちゃん、ほたるんにも会わせてあげるん!」
卓「...」
卓「」
れんげ「え? なんでなん?」
卓「」
れんげ「野生の鷹は本当は人に懐くことはない?」
れんげ「でもにぃにはノリさんと友達になってたん」
卓「」
れんげ「何故か好かれた? にぃににも分からないん?」
卓「」
れんげ「ノリさんは特に臆病な性格だから他の人間には会わせられない?」
れんげ「じゃあ・・・なんでうちを連れてきたん?」
卓「」
れんげ「裏表なく人と付き合えて、真っ直ぐな気持ちで人に優しくなれる」
れんげ「そんなうちだから、臆病な動物も心を開いてくれると思った・・・」
卓「...」コク
れんげ「・・・」
卓「...」
れんげ「にぃにはやっぱり口がうまいのんな。悪い男なん」フッ
卓「」クスッ
れんげ「どうしてもなっつん達とノリさんは会わせてあげられないのん? 残念なんな」
卓「」
れんげ「にぃに?」
卓「」
れんげ「おお・・・それなんかわくわくするん! 加えてぞくぞくするん!」
れんげ「なっつん、こまちゃん、ほたるん、ねぇねぇも駄菓子屋も知らない共通の秘密ができたのん!」
れんげ「うちとにぃにだけが知ってる・・・」
卓「」コク
れんげ「ノリさんのことを知ってるのは」
れんげ「うちとにぃにだけなん!」
今日はここまで
みんな子供の頃は親も知らない秘密の物を持つことに楽しさを覚えたと思うん
ところで二期のれんちょんはにゃんぱすって言わないからうち、ちょっと寂しいん
>>1です
今日はここまでって書いたけど本当に今日はってこと
もうちょっとだけ書かせて欲しいいん
蛍「あ、おはよう!れんちゃん!」
れんげ「ほたるんにゃんぱすー。もう大丈夫なん?」
蛍「うん! れんちゃんがプリン届けてくれたおかげだね」
れんげ「あれはもともとほたるんのなん。礼にはおよばないのん」
蛍「偉いねれんちゃんは。でも言わせて? ありがとう」
れんげ「どういたしましてなん」
夏海「れんちょーん! ほたるーん!」タタタ
れんげ「なっつん、にゃんぱすー」
蛍「おはようございます夏海先輩」
小鞠「こらー! 病み上がりが走るなっ!」
夏海「へーきへーき、もう完全復活!元気いっぱい夏海ちゃんだし!」
小鞠「もー、そうやって調子に乗って風邪ぶり返しても知らないからね!」
れんげ「こまちゃんにゃんぱすー」
蛍「先輩! もう大丈夫なんですか?」
小鞠「おはよ。熱は下がったし無理しなければ大丈夫だよ。蛍も大丈夫?」
蛍「良かったぁ...私も同じ感じです」
れんげ「」タタタ
夏海「ん? れんちょん?」
れんげ「にぃにーー!」
れんげ「にゃんぱすー!」
卓「」ウン
蛍と小鞠がお互い休んでたと知ってたのは卓とれんげがそれぞれ教えたということで
夏海「どしたのれんちょん。わざわざ挨拶しに兄ちゃんに走ってくなんて珍しいじゃん」
れんげ「にぃにも友達なん。挨拶は当然なのんなっつん」
夏海「いやまぁその通りだけど...」
小鞠「そういえば私らが休んでたってことは昨日はお兄ちゃんとれんげだけだったってことだよね」
蛍「そうですね。れんちゃん昨日はどうだったの?」
れんげ「にぃにはいろいろ教えてくれたん! 一緒にいっぱい遊んだん!」
夏海「へー兄ちゃんがねー」
卓「」コク
れんげ「雑木林ですごいもの見つけたんよ!」
夏海「なになに?」
れんげ「高い木の葉っぱの先に付いた蝉の抜け殻なん! きっとものすごく変わり者のセミに違いないん!」
夏海「それすごいの?」
れんげ「なのん! そしてそれを取ったうちとにぃにの技もすごかったん!」
小鞠「へー、どんな取り方だったの?」
れんげ「にぃに」
卓「」コク
ガバッ!
小鞠「...へっ?」
卓「...」
小鞠「えっ?えっ? やっ、ちょ、なに!?」
夏海「だっははははは! 姉ちゃん抱っこされてかわいー!」
蛍「わあぁぁ! お姫様抱っこの先輩とっても可愛いです!」
小鞠「やっやだ!見るなー! ちょっとお兄ちゃん恥ずかしいってば!」///
れんげ「こまちゃん暴れないほうがいいん。危ないのん」
小鞠「へ? なにどういうこと?」
卓「...」ググッ
小鞠「お、お兄ちゃん!? 何するん!?」
卓「ッ!」
ブンッ
小鞠「ギャーーーーーーー!!」
ドサッ
れんげ「ナイスキャッチ」b
卓「」コク
小鞠「ぁぁぁ・・・落ちたん・・・うち死んだん・・・」ガタガタ ギュッ
蛍「せ、先輩!大丈夫です!先輩は死んでないです!」
夏海「すっげー! 兄ちゃんうちにもやって!」
れんげ「あ、バスなん」タッ
卓「!」ダッ
小鞠「ぁぁ・・・揺れるん・・・三途の川の船ってこんなに揺れるのん・・・?」
夏海「あっ、待てー! 兄ちゃんバスから降りたらやってもらうからなー!」タタタ
蛍「ま、待ってくださ〜い!」タタタ
夏海「くそー!姉ちゃん抱えててなんであんなに速いんだよ!」
小鞠「もーお兄ちゃんの馬鹿! 急にあんなことしないでよね!」
夏海「えー? うちすごく面白かったけど?」
蛍「わ、私も・・・ちょっと恥ずかしかったけど、楽しかったです」
にぃに大丈夫なんー? ハーハー...コク
小鞠「そりゃあんた達は加減してもらえて低かったからいいよ!でも私は思いっきりぶん投げられたんだからね!?」
夏海「いやあの疲弊っぷりは多分手加減してないよ」
夏海「こまちゃんが小さくて軽いから必然的に高く投げられたんじゃない?」
小鞠「こまちゃん言うなー!」
夏海「あ、怒るとこそこなんだ?」
れんげ「みんなすぐに手洗いとうがいしたほうがいいん。走っちゃったからまた風邪ひくん」
蛍「うん、そうだね」
夏海「めんどくせー」
小鞠「あんたは特に! 私もやるからさっさと手洗い場行く!」
れんげ「うちらもやるん」
卓「」コク
夏海「よーし! まだ学校始まるまで時間あるし、何して遊ぼう!」
小鞠「あーもう・・・」
れんげ「なっつんなっつん」
夏海「れんちょん何して遊ぶ!?」
れんげ「今日ばっかりはあんまり動かないほうがいいん」
夏海「えー・・・れんちょんまで・・・」
小鞠「ほられんげにまで言われてる」
蛍「私もやめたほうがいいと思います・・・」
夏海「むー、じゃあどうやって時間潰すのさ」
れんげ「簡単なん。にぃに」
卓「」コク
夏海「え?」
夏海「...」
卓「」
小鞠「ほら、ここにレ点あるから、下のを先に読んで、『備ヘ有レバ憂ヒ無シ』になるでしょ」
れんげ「この婆ちゃんにとってわらぐつの中の神様はどんな存在なん?」
蛍「うーん難しいね」
れんげ「彼を知り己を知ったのんな、ほたるん」
蛍「え?」
れんげ「それがわかった時、勝ち戦をものにできるん」
蛍「えっと・・・そ、そうだね・・・」
夏海「だーっ!!」
れんげ「どしたんなっつん」
夏海「なんでこんなことやってんだよ! せっかく空いた時間なのに」
れんげ「なっつん、予習なん」
小鞠「あんたは分からないものを分からないままにしとくから成績上がらないんだから。予習すれば少しは理解できるでしょ」
夏海「じゃあ姉ちゃんと兄ちゃんは自分の予習すればいいじゃん!なんでうちの机囲んでんの!?」
小鞠「見てないとあんたはやろうとしないし。見てもらってるだけありがたいと思いな」
卓「」ウン
夏海「いやだー! 授業中以外で勉強したくなーい!」
小鞠「あんたは授業中でもまともに勉強しないでしょ」
夏海「そもそもれんちょんはなんでいきなり予習なんて言い出したのさ!」
れんげ「にぃにがいつもやってるん。それをみんなでやるだけなん」
夏海「に、兄ちゃん・・・」
卓「」
夏海「分かってるさ・・・兄ちゃんもれんちょんも間違ったことは言ってないなんて・・・」
夏海「でもいやなものはいやだー!」
小鞠「ほら、今日だけでもいいから予習くらいやってみな」
夏海「うわーん!」
れんげ「また彼を知ったのんな。戦は情報戦なん」
蛍「れんちゃんさっきから何言ってるの・・・?」
今日はここまで
思ったより長くなりそうなん
ガラッ
一穂「はいみんなおはよ〜。席についてねぇ〜」
夏海「...」プシュー
一穂「どしたん夏海? しんどい? なら保健室に・・・」
小鞠「いえ大丈夫です。さっき予習勉強させててこうなっただけですから」
一穂「そう?なら続けても」
夏海「おい!」ガバッ
夏海「おかしいだろ!目の前でぐったりしてる生徒がいるのになんで姉ちゃんの言葉で納得してるの!?」
一穂「うんうん、元気になってよかったねぇ。じゃあ朝のHR始めるよ〜」
夏海「スルーしてんじゃねー!」
れんげ「そしてさっき分からなかった所をねぇねぇに教えてもらうん。これが予習なん」
蛍「れ、れんちゃんなんかすごいね・・・」
夏海「ねーまた予習なのー? うち動かなくても知恵熱出そうなんですけどー」
小鞠「あんた今日提出の英語の宿題出てたでしょ。やったの?」
夏海「あっ、やべ」
小鞠「はぁ・・・こんな事だろうと思った」
夏海「で、でもうち風邪ひいてたし、その辺考慮して提出の延長くらいは・・・」
小鞠「宿題なんて出された日のうちに終わらせなさいよ! 確か英文の写しでしょ? 今のうちにやっちゃいな」
夏海「うぇ〜、兄ちゃんやって〜」
小鞠「馬鹿なこと言わずに自分でやれ!」
夏海「じゃあれんちょん任せた〜」
小鞠「あのね! 小学1年にそんなことできると思って」
れんげ「分かったのん!」
夏海小鞠「「・・・え?」」
れんげ「これを写すのんな?」
夏海「う、うん・・・え?」
れんげ「あい、しー、えー、えぬ、・・・ピリオド」サラサラ
夏海「え? え? れんちょんなにやってんの? ていうかなにその文字?」
蛍「わっ!れんちゃんそれ筆記体!?」
小鞠「筆記体!? なんでそんなの書けるの!?」
れんげ「できたん!にぃにー」
卓「?」
れんげ「なっつんの英語写したん! 間違ってないか見てくれるん?」
卓「...」ジー
卓「」b グッ
れんげ「やったのん! 出来ましたんなっつん!」
夏海「・・・」
夏海「え?」
蛍「れんちゃんそれどこで習ったの?」
れんげ「昨日にぃにが教えてくれたん」
小鞠「一日でここまで書けるようになったの!? 私練習してもこんなに書けるようにはならなかったのに」
蛍「えっ?先輩も筆記体書けるんですか!?」
小鞠「え? ま、まぁアルファベットは一通りね。でもうまく綴れないから普段は普通ので書いてるけど」
蛍「すごいです!今度教えてください!」
小鞠「えっ? れんげの見ちゃったら自信無くしそうだけど・・・私でよければ?」
蛍「ありがとうございます!」
夏海「・・・ねぇ姉ちゃん」
小鞠「なに?」
夏海「今のうち、もしかしてすごく情けない?」
小鞠「もしかしなくても情けないよ」
夏海「・・・」
れんげ「なっつんどうしたん?」
夏海「・・・れんちょん宿題ありがとう。これ兄ちゃんに習ったんだよね?」
れんげ「なのん」
夏海「習得までにかかった時間は?」
れんげ「15分くらいなん」
夏海「兄ちゃん今すぐこれ教えてえええええええ!!」
卓「!?」
小鞠「ちょ、ちょっと夏海!あんた宿題! これあんたの字じゃないから提出できないよ!」
小鞠「それに今習ったってすぐに書けるようになるわけないじゃん!」
夏海「宿題なら先生に潔く謝る!それよりも!」
夏海「うち中学生だよ!?図工や絵なられんちょんに負けてもいい!そういうのはセンスで人それぞれだから!」
夏海「でも英語みたいな勉強の面で小学1年に負けてたら洒落にならないんだよ! 何気に姉ちゃんまでこれ書けるってのも知らなかったし!」
小鞠「れんげの場合は知らないけどこういうのは普通時間かけて繰り返し練習して書けるようになるもんなの! 悔しいのは分かるけど今は宿題を」
夏海「兄ちゃああああああああん!!!」
小鞠「人の話を聞けー!!!」
卓「...」サラサラ
スッ
夏海「これアルファベット? まずはこれを写せって?」
夏海「そんな流暢なことしてられないんだよ! れんちょんには15分で覚えさせたんでしょ!? それと同じ教え方してよ!!」
卓「...」
夏海「兄ちゃん? ・・・れんちょん、兄ちゃんにはどうやって教えて貰った?」
れんげ「まず、にぃににお膝抱っこしてもらいますん」
夏海「え?」
れんげ「そして、手を添えてもらって書いてくれたん。そうすると書き方や文字の判別が分かりやすいん」
卓「」コク
夏海「」
小鞠「まぁ・・・れんげくらい小さい子なら」
蛍「私も小さい頃はお父さんに同じようにしてもらって平仮名の練習したなぁ」
夏海「・・・」
夏海「・・・背に腹は変えられん。恥も外聞も捨てる」
卓「...!?」
夏海「兄ちゃん!うちをその膝に乗」
小鞠「中1にもなってどんな教わり方しようとしてんだ馬鹿!!」ゲシッ
夏海「痛あっ!!」
流暢?悠長じゃないの?
今日はここまで
勢いに任せた書き方になったのん。口調に違和感覚えたらごめんなさいん
アニメ終わるのは寂しかったけど12話全部とても面白かったん。最終話は写メ撮られたアップの優しげな卓が見れてうち、満足ですん
>>147
間違えた
流暢→悠長
一穂「今日は中学生には英語の課題出しとったねぇ。それぞれ持ってきて」
夏海「ごめんなさい忘れましたぁ!!」カキカキ
一穂「おおぅ潔い・・・夏海? 前にも言ったと思うけど提出遅れには追加課題のペナルティが」
夏海「いくらでもやります! だから今回は許してくださいっ!」カキカキ
一穂「・・・何があったんかね?」
小鞠「れんげが筆記体で英文書けるの見ちゃって」
一穂「あ〜なるほどねぇ。夏海? 筆記体は別に無理して書けるようにならんでもいいんよ? 大事なのは単語や文法なんだし」
夏海「小1のれんちょんに勉強の分野で負けるなんて情けなすぎるんだよ!年上としての威厳もあったもんじゃないんだよ!」カキカキ
小鞠「別にこの学校で威厳なんて必要ないでしょ・・・」
一穂「覚えようとする姿勢は結構だけどね、今日の分の勉強も忘れんでねー」
れんげ「なっつん、カーブが逆なん。これじゃm.n.v.w、どれを書いたか分からないん」
夏海「あ、ありがとうございますれんげ先生」
蛍(夏海先輩・・・)
一穂(ちょっとずれた所にやる気出しちゃったねぇ〜)
夏海「なんとかAからZまで書けるようになったぞー!」
れんげ「書き切るのに時間かかりすぎなん。筆記体の意味がないですのん」
夏海「あっはい」
小鞠「あんた授業中ずっと筆記体書いてたでしょ。今日の勉強大丈夫なの?」
蛍「あんなに机にかじりついてる夏海先輩初めて見ました・・・」
夏海「いや、うちは今日の勉強を犠牲にしても十二分に余る収穫をしたね! 夏海ちゃんめーよばんかいだ!」
小鞠「呆れた、英語の勉強を疎かにして筆記体覚えても意味が無いじゃん」
夏海「さー給食だ! 昨日食えなかった分も食うぞー」
小鞠「もう・・・今日は私と蛍が当番だからね。行くよ蛍」
蛍「はい先輩」
夏海「うっし、れんちょん机動かすか!」
れんげ「なっつん、今日はいつもと違う組み合わせにするん」
夏海「うん?どゆこと?」
れんげ「にぃにー」
卓「」コク
ガタッ
夏海「お、今日は兄ちゃんも一緒に食べるの?」
れんげ「ご飯はみんなで食べるほうが美味しいん。にぃに」
卓「」ウン
夏海「よし、じゃあ今日は特別に兄ちゃんは上座の教卓側に置いてやるよ」
夏海「で、うちはその前に横付けー」
れんげ「じゃあうちはなっつんの前、にぃにに横付けなん」
小鞠「今日は八宝菜だよー。あれ、今日はお兄ちゃんも机つけてるの?」
れんげ「にぃにも一緒に食べるん。うち、この5人で給食食べるの初めてなん!」
夏海「そういや昔は一緒に食べてたけどいつの間にか離れるようになっちゃったなー」
小鞠「だね。私も久しぶりだからちょっと嬉しいかも」
卓「」コク
蛍「私は初めてですね」
れんげ「うちと一緒なん」
れんげ「いただきますん」
「「「いただきまーす」」」
夏海「へっへっ・・・兄ちゃんのウズラの卵・・・」
夏海「いただきっ!」シュッ
卓「」ガキン!
夏海「う、うちの箸を箸で防衛しただと・・・?」
卓「」ニヤリ クイッ
夏海「兄ちゃん昨日はうちらの分の唐揚げを腹一杯食ったらしいじゃん?」グググ
夏海「その分も考えたらこれくらい貰ってもいいんじゃないかなぁ〜?」
小鞠「ちょっとやめなよ夏海、意地汚いよ」
卓「」フルフル
夏海「ほう? いい度胸だ兄ちゃん。うちを本気にさせたね?」
夏海「うちには左手が残っている!」シュッ
卓「!」
夏海「このまま目当てのウズラの卵をいただく!」
夏海「と見せかけてぇ!」
卓「!?」
夏海「狙いは副菜の肉団子! もらった!」
ガシィ!
夏海「なっ・・・」
卓「...」フー
夏海「うちの左手を・・・チョキの指で挟んで止めただと・・・」
卓「」グッ
夏海「いだだだだだ! 指でギロチンやめぇ!! くそーこんな痛みに負けるかああああ!!」
小鞠「ちょっといい加減にしなよ!お兄ちゃんもなにムキになってるの!」
蛍「ふふっ」
小鞠「どしたの?蛍?」
蛍「いえ、なんだかいつもと違う楽しさがあるなぁって」
小鞠「いや楽しいはともかく行儀悪いだけだからね?これ」
れんげ「なっつん、防御が手薄すぎるん! 懐がガラ空きなん!」シュッ
夏海「うわあああああ! れんちょん貴様ーーーーっ!」
れんげ「八宝菜の白菜いただきなん!」
夏海「あ、それでいいんだ?」
今日はここまで
年の近い兄弟は男女関係なく飯の取り合いをした経験があると思うん。うちはそうだったん
いつも自分が一歩下がる卓も妹にムキになることがある、そんな一面もあると思うん
夏海「昼休みまで勉強なんてまっぴらごめんだー! うちは外で遊ばせてもらうぞーっ!」
小鞠「あんたは今日一日だけでも我慢できないの? 」
夏海「教室に篭って勉強漬けなんて息が詰まって死んじゃうよ! それにこんなに良い天気なのに外に出ない方がおかしいし!」
夏海「ねぇほたるん!?」
蛍「ええっ!? 私ですか!?」
小鞠「蛍もそう思うの?」
蛍「え、えっと・・・」
蛍「・・・今日は暖かい日ですし、体をあまり動かさないなら良いんじゃないでしょうか」
小鞠「えー」
夏海「イエーーイ! ほら姉ちゃん! ほたるんもこう言ってんじゃん!」
蛍「すみません・・・でも私も今日は外に出てみたくて・・・」
小鞠「もーしょうがないなー。あんまり運動しちゃダメだからね」
夏海「よーしれんちょん行くぞー!」
れんげ「なっつん、外に出るなら来てほしいとこがあるん」
夏海「おっ、なになに? 新しい遊び場でも見つけた?」
れんげ「にぃに」
卓「」コク
プチッ プチッ
夏海「...」
れんげ「ほたるん、四つ葉のクローバーっぽいなんか別の植物見つけたん。あげるん」
蛍「わ、わぁー・・・ありがとう・・・」
小鞠「お兄ちゃんいつもこんなこと一人でしてたんだ・・・ごめんね?今まで気付かなくて」
卓「」フルフル
小鞠「お兄ちゃんは私達の知らないところで色々やってくれるよね。いつもありがとう」
卓「」テレ
夏海「なんでうちら草むしりなんぞしとるんですかーっ!」ガー!
夏海「うちは遊ぶために外に出たんだよ!? れんちょんに連れられてワクワクしてた矢先にこれかよ!」
れんげ「なっつん、今日から遊ぶ前に一仕事するん」
小鞠「ボール遊びや鬼ごっこするよりは体動かさなくていいし有意義じゃん。今の夏海にぴったり」
夏海「今日からってこれ日課にすんの!? 有意義かもしれないけど楽しくないよ姉ちゃん!」
蛍「でも花壇を綺麗にするのって気持ちいいですよ?」
夏海「え」
れんげ「にぃには今まで一人で花壇から生け垣まで周期的に草むしりしてたん」
れんげ「なっつんはにぃにを手伝うのが嫌なん?」
夏海「うっ!?」
れんげ「仕事は早く終わせるん。そして5人で遊ぶん」
夏海「5人って・・・兄ちゃんも?」
卓「」コク
夏海「! ・・・よっしゃー! つまらない草むしりなんてとっとと終わらせるぞー!」
蛍「夏海先輩、なんだか嬉しそうですね」
小鞠「あいつはお兄ちゃんに構ってもらうのが好きだからね。小さい頃なんて」
夏海「そこ! 口じゃなく手を動かせー!」
夏海「よっしゃー! やっと遊べる! 行くぞ兄ちゃん!」
小鞠「だから待ちなって! まだ何するかも決めてないのにどこ行くわけ!?」
夏海「なーに、動いてるうちに見つかるさ!」
小鞠「だから動くなっていってるでしょ!」
れんげ「なっつん、うちに妙案がありますん」
夏海「お、なになに?」
れんげ「なっつんとこまちゃんとほたるんは病み上がりだからあまり運動はできない、でもうちとにぃにはそれと違って自由に動ける、健康体なん」
夏海「うん」
れんげ「その制限のもと、差を埋め、公平にできる遊び、それは・・・」
れんげ「かくれんぼなん!」
夏海「・・・妙案の割には普通じゃね?なんでかくれんぼが公平にできる遊びなのさ」
れんげ「なっつん、話を最後まで聞くん」
このSSまとめへのコメント
いいですねこれ
ありそうでなかったシチュ(^▽^)