異能力者がいる世界【安価】 (84)
この世界には異能力者という人種がいる。
有り得ないような超常現象を起こす者もいれば特技レベルのショボい異能力者もいるようだ。
それは突然変異とも先の大戦で産み出された負の遺産とも云われているが、彼らが現れた明確な理由は知られてはいない・・・
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『……ん……あー、あ~……聞こえる?』
『キミは人間?それとも異能力者?』
1 人間
↓1~3でコンマの値が一番高いもの(ついでに性別も)
『ふ~ん、キミも異能力持ちか……どんな能力?』
↓1~3でコンマの値が真ん中
想像上の生き物(ドラゴンや不死鳥など)の召喚
>>8
『マジで!?凄いねぇ……【想像上の生物の召喚】とかヤバいわ~』
『キミは異能力者についてどう考えてる?』
1 【過激派】異能力者こそ新しき人類であり、この星の支配者に相応しい。
2 【共生派】人類皆兄弟。異能力者とか関係あらへん。
3 【独立派】異能力者は普通の人とは距離を置くべき。
4 【その他】異能力者である事を隠して人間社会に溶け込む等。異能力でこそこそと悪さする人もいるとかいないとか……
あなたの主義↓1
※主義は異能力(者)に対する考え方です。ストーリーの展開によっては変化する可能性もあります。
『へえ、過激だね……あ、キミの名前聞いてなかったね』
↓1~3でコンマの値が一番低いもの(名前のみで。名字はいりません)
ロード
>>16
『ロードくんか良い名前だね。話し相手になってくれてありがとう。いつかどこかで会えればいいね……じゃあ』
・
・
・
ロード「ん……朝か……変な夢みたな………………内容は忘れたけど」
世間の話題は最近目立つ『異能力者問題』だ。
あるテロ事件から注目されるようになった異能力という存在……異質なそれを大半の人間は恐れ忌み嫌った。
TV『……市民による異能力者の登録義務を求める声が……』
ロード「……嫌な世の中だ」
何故だろう?異能力者は普通の人間には出来ない事を可能にする新しい可能性だと思えないのか?
お前らそんなに偉いのか?世の中間違ってないか?
ロードは世界に苛立っていた。
とりあえずここまで
キャラ名と異能力募集
キャラと能力はシャッフルします。
どの派閥(主義)になるかは>>1が決めますのであしからず。
ロードは街に出た。休日という事もあって人が多い。
この中に異能力者はいるのだろうか?ロードと同じ様な憤りを感じているのだろうか?
ロード「……ん?」
駅前にはちょっとした人だかりが出来ていた。
事故か何かで列車の運行に支障でも出たのかとも思っていたらどうやら違うらしい。
ロード「デモ……集会かよ」
スピーカーを通して響き渡る演説。それは反異能力者による異能力者排斥を訴える集会だった。
集会の主催者らしきおっさんは異能力者はいかに危険なものかを声高に説いて一刻も早く異能力者の判別と収容を訴える。
異能力者当人であるロードからすれば大袈裟で過激すぎる失笑ものの演説を足を止めた民衆はうんうんと頷き時には喝采すら聞こえるほどの盛況ぶりだ。
ロード(好き勝手言ってくれるな……ほんとに異能力者の恐ろしさを思い知らせてやろうか?)
この場を阿鼻叫喚の地獄へ変えるのは簡単だ。ロードにはその力がある……しかし、やれば確実に自分の首を絞める羽目になる。
騒ぎを起こし異能力がバレれば、たとえこの場を切り抜けたとしてもなんの後ろ楯もないロードはいずれ追い詰められる。
ロード(それにこんなチンケな集会を潰したって…………ん?)
その時ロードは自分の足元で動く何かに気付いた。
それは『手』だった。
ロード(なんだ手か……)
ロード「………………はぁ!?」
どんなに目を凝らしてもそれは『手』だ……それも『人間の手(たぶん男の手)』
どういう仕組みかは理解不能だが手首から先が地面すれすれを浮かびながらゆっくりと人混みを移動している。
ロード(……!異能力……異能持ちがいるのか!?)
手は何かの缶を握って演説中のおっさんの方へ向かっている。手の主は明らかに何かを起こすつもりだ。
演説中のおっさんはもとより警備員も集会に集まった人々も足元なぞ気にしていない。順調に人混みを進む『手』はロードの視界から消えていった。
ロード(テロでも起こすつもりか……?)
1 巻き込まれるかもしれない……ここから去るべき
2 いや、少し様子を見よう
↓2
1
>>47
ロード(どこの馬鹿だ?……それともどこかの組織による計画的なテロなのか?)
事の行方を見届けたい思いもあったロードだが、もし無差別テロでも起きて巻き込まれてはただの間抜けだ。
ロード「……冗談じゃない」
用心深いロードは決断すると足早にこの場から離れた。
ロード「腹減ったな……」
昼食にはやや遅い時間、朝から水以外口にしていないロードの足は自然と馴染みの喫茶店へ向かっていた。
アンナ「いらっしゃ~なんにします?」
目的地の喫茶店に到着したロードがカウンター席に座ると顔馴染みの女性店員が現れた。接客態度がなっていない……「せめてお冷やくらい出せよ」と思いつつロードは注文する事にした。
ロード「……塩鯖定食」
アンナ「は~い塩鯖一丁♪」
マスター「あい、塩鯖一丁!」
ロード「あるのかよ!?」
アン・マス「「ありません」」
ロード「…………」
アンナ「そういやロードは知ってる?」
ロード「んぐ……何を?」
超大盛り素パスタ(安くて腹に溜まる)と格闘中のロードにアンナは話を振ってきた。
自称『街の事情通』であるアンナはどこから入手したのかも分からないような色々な噂(情報確度ピンキリ)をよくロードに聞かせてくれる。
彼女の最近の噂は世間で騒がれている異能力関連の話題が多い。
アンナ「港湾区の方に教会があるじゃん?」
ロード「そうだっけか?」
アンナ「あるんよ。……そこがさ実は【異能教会】じゃないかって話」
ロード「異能教会?」
アンナ「知らない?異能力の神様を信仰しているとかいないとか」
ロード「どっちだよ?てか胡散臭いな異能力の神様ってなにさ?」
アンナ「知らね」
ロード「…………」
マスター「フム、あそこは昔からある普通の教会だったはずだがね」
ロードの他に客がいない事もあってマスターが会話に混ざってきた。
この店はいつも客が少ない……ロードは安い食事を提供してくれる貴重なこの店の経営状況がちょっぴり心配でもある。
アンナ「その教会、最近異能力者っぽい人達が出入りしているとかいないとか」
マスター「異能力者っぽい人か……『登録済み』の異能力者かね?」
任意で精密検査を受け異能力者と診断されれば、行政から『異能力者証明書』なるものが発行され公的に異能力者として認められるが、実際に登録された異能力者はそれほど多くはない。
異能力に対してあまり良い感情をもたない世論と『公的に認められた異能力者』にはあまりメリットがないためだ。世の人々は異能力者に大きな権力を持たせたがらない。
ロード自身も未登録の異能持ちであり喫茶店の二人には一般人だと認識されているが、この二人は客なら異能だろうが化け物だろうが関係無いらしい。
ロード「眉唾だな」
アンナ「噂だからね~他にもあるよ。悪い異能力者を懲らしめる謎の美少女とか、そこら辺歩いてる人達がいきなりサンバ踊っちゃう事件とか」
マスター「ハッハッハ、愉快だね」
ロード(この街はおかしい)
ロード「……ご馳走さん、釣りはいらん」
パスタを完食しカウンターに置いた代金を「ぴったりじゃん」と言いながら回収するアンナを尻目にロードは出入り口のドアに手を掛けた。
アンナ「あ、ロード!」
ロード「なんだ?」
アンナ「教会の様子、今度来たとき教えてよ~」
ロード「……何故そうなる?俺は図書館へ行くんだが?」
アンナ「あ、例の厨二メルヘン趣味?」
「黙れ」と吐き捨てロードは喫茶店を後にした。
ロード「さて……」
ロードはこれから自身の能力強化を兼ねた知識を深めるため図書館に向かうつもりだったが、アンナの話も微妙に気になってもいた。
最近異能力者らしき者が出入りしている教会……噂が本当ならどこかの異能力者や、あわよくば組織への人脈造りが出来るかもしれないがあくまでも噂話だ。
そしてそんな噂がある程なら異能排斥派の連中が見張っているかもしれないし、そんな所へおもむけば面倒事に巻き込まれる可能性もある。
ロード(どうするかな……)
1 当初の予定通り図書館へ
2 教会へ
↓1~3で多数決
2
2
港湾区にある公園の近くに件の教会はあるらしい。
ロード公園の遊歩道を歩いていくと教会らしき屋根が見えてきた。
ロード(あれか……しかし……)
ロード「今日は何かの祭りだったか?」
教会に近付くにつれてロードとすれ違う人誰もがYOSAKOIソーランを踊っている。
老若男女問わず一糸乱れぬその振り付けは完璧で見事である。
少年「はい、ソーランソーラン♪」
「「ソーランソーラン!」」
少年「ソーランソーラン♪♪」
「「ソーラン!ソーラン!!」」
そんな中ひときわダンサー?の密度の濃い中心で楽しそうな掛け合いをする少年がいた。何か台の上にでも乗っているのだろうか集団からひとつ頭が飛び抜けて更にピョンピョンと跳ねている。
少年「あれ……お兄さんなんで踊ってないのさ?」
一人踊らないロードに少年は不思議そうに問いかけるが、ほどなくしてポンと手を打つ。
少年「ああ、異能持ちか」
突然踊るのを止めた群衆が十戒のように割れると少年はミカン箱を飛び降りロードの前まで駆けてきた。
少年「そうでしょ?」
ロード「……何故そう思う」
一瞬身構えたロードだが少年の敵意の欠片も見えない満面の笑みに薄れる警戒心を高めつつ努めて冷静に問い返す。
少年「だって僕の異能は他の異能持ちを操れないもん」
ロード「操れ……お前異能力者なのか?」
少年「そうだよ。お兄さんもそうじゃん」
平然と正体を明かす少年に驚くロードを当の少年はニコッと八重歯を覗かせる。
ルーク「僕はルーク。お兄さんは?」
ロード「ロードだ……ルーク、これは何をしているんだ?」
ルーク「見て分かんない?みんなで踊っているのさ」
ロード「ああ踊っているな……なんで踊っているんだと聞きたいのだが」
ルーク「え?だってみんなで楽しく踊れば仲良くなれるじゃん。異能持ちもそうじゃない人も」
ロード「その理論はなんとなく理解出来なくもないが……」
ルーク「……?」
ロード(お前は自分が何をしているのか本当に理解しているのか?)
まるでマネキンのように突っ立っている集団が見守る中、さも当然のように答える少年にロードは一抹の不安を感じた。
ロード「ルークは異能力者と人間は共存……仲良くした方が良いと思っているのか?」
ルーク「もちろんだよ。神父様もそう言っていたよ」
ロード「神父様?」
ルーク「そこの教会にいる神父様だよ。お兄さんも異能持ちなら神父様に会いに来たんでしょ?」
ロード「いや……まあ、そうなるかな」
目的というほどでもない目的は噂の教会を見物なのでそこにいる神父に遇う場合もあるだろう。
曖昧に答えるロードに「こっちだよ」とルークが手招きした。
神父に紹介されるべくルークに案内されて教会にやって来たロードだが何やら当の教会の様子がおかしい。
ロード「おい……煙が上がっているぞ」
ルーク「……!?大変だ!」
裏手の方から上がる黒い煙はなお黒く勢いを増しているように見える。
ロードはルークと共に煙の発生源に向かう。
ルーク「うわッ!?」
ロード「おいおい、洒落になってないぞ」
二人が教会の裏手に回ると物置らしき小屋が燃え盛っていた。
辺りはガソリンの匂い、そして結構な勢いの炎と煙で火元に近付く事すら困難に思えた。そうして手をこまねいているうちに今にも教会に燃え移ってしまいそうだ。
神父「何事ですか!?」
赤毛の少女「ちょっと何よこれ!?」
ルーク「神父様!火事だよ!」
異変を察した神父らしき男と少女が駆けつけ、ルークが慌てふためきながら二人に駆け寄る。
ロード「……!」
男1「ざまあみろ!」
男2「おい、行くぞ!」
ロードが周辺を見回すとこちらの様子を窺う男達がいた。彼らはロードと目が合うと逃げるようにその場を離れていく。
ロードは……
1 消火は任せて男達を捕まえる
↓1
2
>>67
ロード「火は俺が消す、お前はアイツらを捕まえろ!」
ルーク「え?なんで!?どうやって!?」
ルークは火の勢いに気が動転しているのか冷静さを失っているようだ。
ロード「(多分)アイツらが放火したんだよ!この距離じゃお前の能力使えないのか!?」
ルーク「そ、そっか……でも火を消さなきゃ!」
ロード「俺が火を消すっつってんだろ!とっとと奴等を止めろ!」
ルーク「わ、わかった!絶対に消してよ!」
異能力を発動して逃げる男達を止めようとするルーク。ロードは燃え盛る物置小屋に向き直った。
異能力を発動して逃げる男達を止めようとするルーク。ロードは燃え盛る物置小屋に向き直った。
ロード(火を消す生物か……水妖……いや)
神父「消火器は教会の中に……」
赤毛の少女「あたし取ってくる!」
神父「いけません、リリー!教会に延焼したら危険です!」
ロード「うるせぇ!ちょっと黙ってろ!」
リリー「ってなによアンタ……!?」
ロード「来い……【サラマンダー】!!」
呼び出したのは掌に乗りそうなほど小さな蜥蜴。
燃え盛る物置小屋に怯むことなく近寄った【サラマンダー】は口を大きく開け炎に食らいつき始めた。
赤毛の少女「なにこのトカゲ!火を食べてるよ!?」
神父「これは……」
サラマンダーという生物は実在する。
両生類有尾目の生物で中世ヨーロッパでは火への耐性が強いと信じられていた(火をくべた薪の間からのこのこと這い出してきた様子を実際に見たとか)
いつしか人々の中で【サラマンダー】は溶岩の中に住み火を食う蜥蜴という幻想生物へと変化していった。その後も【サラマンダー】は火を身に纏う大蜥蜴や火を吐くもの、果ては人型のものまで様々な姿で伝えられる。
【サラマンダー】が食うたび火はみるみるうちに小さくなっていく。そして……
神父「火が……消えた」
リリー「あのトカゲ……でかくなってない……?」
燃えかすと化した物置小屋の残骸と鼻につく匂いの中、炎を食い尽くし猫ほどの大きさになった【サラマンダー】はギョロリとした目をロード達に向けた。
リリー「な、なんかこっち見てるよ」
ロード「…………」
ロードの能力『想像上の生物の召喚』には一つ問題がある。
ロード(もしかして……失敗したのか?)
召喚生物は必ずしもロードに絶対服従するとは限らないのだ。
コンマ判定
2~9 成功
0、1 失敗
↓1
あ
>>74 コンマ8 成功
もし【サラマンダー】を制御しきれていなければ何が起きるか知れたものではない。ロードは身構える……が杞憂だったようだ。
【サラマンダー】は小さく鳴いた後、溶けるように消えていった。
ロード「……フゥ」
神父「ありがとうございます。貴方のおかげで大事に至らずに済みました」
ロード「ん、ああ」
神父「私はこの教会の司祭です……お名前をお聞きしても良いでしょうか?」
神父の年齢はロードより年上のようだが教会を預かる司祭としては若い方かもしれない。
ロード「ロードだ……ルークとついさっき知り合ったばかりだが煙が見えたんでな、消火したのは成り行きだから……」
「気にしないでくれ」と言いかけたロードの手を両手で握り精一杯の感謝を表す神父……だが、その顔色は異常に悪い。
神父「グハァッ!」
ロード「うわーーッ!?」
神父が突然血を吐いた。
リリー「神父様!?」
神父「……お見苦しい姿を見せてすみません」
ロード「い、いやそんな事は……大丈夫なのか?」
神父「フフッこの程度日常茶飯事なのでお気になさらず」
ロード「日常茶飯事……なのか?」
リリー「神父様は身体が弱いのよ」
ロード「そ、そうか身体がね……」
ハンカチで口元を拭い弱々しい笑みを見せる神父にロードはひきつった笑みで返した。
リリー「あたしからもありがと……おかげで家を無くさずにすんだわ」
ロード「家?もしかして……っとビリーだっけ?」
リリー「リリーよ!」
リリーの話では彼女とルークは神父に保護されて教会に身を寄せている孤児らしい。
リリー「ところでさ、あれって異能力……?」
ロード「……まあな」
リリー「なんか都合よく消火する能力だったけど」
ロード「偶然だな。それよりお前も異能持ちなのか?」
リリー「う!?……そ、そうよ……悪い?」
ロード「別に悪かねぇよそれに……」
ルーク「連れてきたよ~」
ルークが二人組を連れて戻ってきた。
ルークの後ろで付き従うようにたたずむ二人組は確かに逃げ出した男達だ。その表情には悪びれも怖れも見られない全くの無表情だった。
ロード「おらカス共、テメーらが火をつけたのか?」
リリー(ガラわる!)
男1「……」
男2「……」
ロード「答えろ」
男1「……」
男2「……」
ロード「……おい、どういう事だ?」
ルーク「ん?僕の能力は【操る】だけだから」
ロード「操るだけ?」
リリー「操られた奴の記憶から情報を引き出す事は出来ないのよ」
ルークの能力は操り人形と腹話術のようなものらしい。
神父「ルーク、能力を解きなさい」
ルーク「え、いいの?」
神父「彼らと話をしたいのです」
ルーク「……わかった」
そう言うとルークは両手を大きく打ち鳴らした。
男1「……あ、あれ?」
男2「な、え……あ!?」
ロード「よう」
男2「なんでお前が……」
ロード「なんでってお前らが戻ってきたんじゃねえか」
男1「ハァ!?」
男達は状況を読めず混乱している。ルークに操られている時の記憶が無いようだ。
神父「先程ここで起きた小火騒ぎについて貴方達に伺いたいのですが」
男1「そ、そんなん知らねーよ!」
男2「ふざけんな!俺らがやったとでもいうのか!?」
ロード「じゃあ何でいきなり逃げ出したんだ?」
男2「知らねぇっつってんだろ異能が!」
男1「っざっけんな!言いがかりつけてんじゃねぇよ!証拠があんのか?俺らが火をつけたって証拠がよぉ!?」
ロード(チッ、面倒臭い連中だな……ん?こいつのズボン)
男1「オラァ異能!証拠見せてみろや!」
ルーク「ねぇ、ズボンにシミあるけどそれどーしたの?」
男1「あん?」
ロード「ああ、臭うぞ」
ロードが気付いた男のズボンにある染みにルークも気になったようだ。別にガソリン臭いわけではないがロードはついでにかまをかけてみた。
男1「あ!?こ、これは……」
ロード「何の染みだよ、ん?」
男1「さ、さっき立ちションして引っかけちまったんだよ!!」
ロード「……」
ルーク「うわ……」
リリー「……サイテー」
神父「そ、それは災難でしたね」
男2「えんがちょ」
その場にいた全員が男1から一歩距離を置いた。
男1「ち、ちげぇよ!ホントはガソリンの……!」
男2「!?バカ!」
ロード「……ほう」
男1「やべ!」
男2「お、おい待てって!」
ルーク「あ!」
神父「よしなさい」
馬脚を表し慌てて逃げ出す二人組。再び能力で捕まえようとしたルークを神父の言葉が遮った。
ルーク「神父様……なんで?」
神父「あれだけで彼らが犯人と決めつけるのは良くありません」
リリー「そうかな……」
ロード「…………」
ルーク「だったら僕の能力であいつらに自首させちゃおうよ」
神父「それだけはしてはいけません!」
神父はルークを諭した……たとえあの男達が放火犯だとしても能力でねじ曲げた意思による自首では意味が無い。
そこに真の反省は無く彼らはより一層異能力者を憎む結果を産むであろうと。
神父「そこに救いはありません……彼らにも我々にも」
ルーク「……ごめんなさい」
もう男達の姿は見えなくなっていた。
ロード「……見逃す必要あったか?」
神父「先程も言いましたが決めつけは良くないかと」
ロード「異能力者と人間の共存か……本当にそんな事があると思うのか?」
神父「はい。互いに歩み寄れば可能ですよ」
ロード「甘いな。これが奴等の答えだ」
ロードは焼け焦げた小屋の残骸を指さした。
神父「…………」
リリー「ちょっとあんた好き勝手言って……!」
遠くから消防車のサイレンが聞こえる……立ち上る煙を見た誰かが通報したのだろう。
いつの間にか数人の野次馬が遠巻きにこちらの様子を伺っている。
ロード「チッ、野次馬が集まってきたな……また出直すわ」
リリー「二度と来んな!」
神父「お待ちしています」
リリー「ちょ、神父様!?」
ルーク「またね~」
ロード「……ああ」
ロードは足早に教会を後にした。
リリー「もう!なんなのアイツ」
ルーク「良い人そうじゃん。火を消してくれたし」
神父「そうですね」
一方ロードは……
ロード(なんという迂闊!火事が起きれば野次馬が集まるのは当たり前じゃないか……もしかしたら俺が異能力者だと世間にバレたか?……別に良いけどね!能力隠してたのは面倒事に巻き込まれたくないだけだし……)
ロード「クソッ!」
少女「……ッ!?」
道の端っこでスマホをいじっていた通りすがりの少女をビビらせていた。
少女「今の人も……?」
ロードの自宅
『本日正午頃○○駅前で反異能力者を訴える市民グループの集会で集まった市民に催涙スプレーの様なものを吹き付けられる事件が……』
『……逃走したのは若い男、金髪で服装は……』
ロード(とりあえず異能力者の知り合いが出来た……変な奴らだったがこの縁を大切にするべきか……?)
『続いてのニュースです。異能力テロ組織【人狼】による犯行予告を受け……』
ロード「…………人狼か……」
翌日、バイトを終えたロードは喫茶店を訪れた。
アンナ「やあやあどんなんだった異能教会は?」
ロード「……それどころじゃなかった」
アンナ「へ~……あ、そうそうちょっとこれ見てよ。このサイトにロードの事が載ってるんよ」
ロード「あん?」
アンナが差し出したタブレット端末の画面には『NO!異能力者』というサイトの『異能力者発見報告』というコンテンツ。そこには明らかに隠し撮りしたロードの写真が……
『異能教会にて発見 ロード ○○市△町○○アパート在住 フリーター 勤務先……』
ロード「」
ロード「……って何で俺の個人情報がバレてんだよ!?」
アンナ「いやいや~彼らの執念を侮っちゃいかんよ」
ロード「この写真じゃ俺が異能力者って証拠にはなんねぇだろ」
写真は放火容疑の二人組を問い詰めている時のものだ。
アンナ「いい加減だよね~前にも誤解されてリスト入りしちゃった人がリンチされる事件があったし」
ロード「洒落になってねえぞ」
アンナ「まあロードが異能を持っていようがいまいがうちには関係ないからさ」
マスター「君はうちの貴重なお得意様だからね。これからも顔を出してよ」
ロード「……お前ら」
アンナ「ほら新鮮なクヌギの樹液でも飲んで元気だせよ♪」
ロード「カブトムシじゃねえから!」
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