岸部露伴は動かない エピソード:猿夢 (6)

僕の名前は岸辺露伴。週間少年ジャンプで『ピンク・ダークの少年』っていう漫画を連載している漫画家だ。

突然だが、君たちは『夢』をよく見るだろうか。ああ、夢といっても寝ているときに見るほうだが。

楽しい夢、怖い夢、人には言えないような夢。色々とあるだろう。
今回はつい最近僕が体験したある『夢』の話をしようかと思う。

……おいおいおい、確かに『他人の夢の話はつまらない』って、相場では決まってる。誰が好き好んでそんな話を聞きたがるかってね。僕だってごめんさ。

でも、今回の話は僕が本当に体験した話だ。『リアリティ』なら、保証するぜ?

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漫画家ってのは『締め切りに追われて寝不足だ』みたいに思われがちだ。確かにそんな作家もいる事だろう。だが、本当のプロフェッショナルっていうのは自分の体調だってしっかり管理しなくちゃぁいけない。『会社の為に仕事をし続け、過労で死にました』なんて社会人としてどうなんだ? と僕は思うね。

おっと。少しきつい言い方になってしまった。すまない。別に僕だって仕事を一生懸命してる人を悪く言うつもりはない。そういう人には好感は持てるからね。

話が逸れた。とにかく、その日僕はその週に提出する原稿を書き終えていつも通り定時に眠った。はずだったのだ……

『目を開ける』と僕は無人駅にいた。

小さいレールとベンチの他にめぼしい物はなく、駅名が書かれていたであろう看板は掠れて読めなくなっている。

本来なら眠っているはずだが……きっと、これは夢なのだろう。それも自分が夢を見ていると認識できている。俗に言う『明晰夢』って奴だ。

確か、明晰夢では比較的自由に動き回れるらしい。試しにストレッチや準備体操をしてみるが全く問題はない。

服は普段着に戻っているが、ペンやスケッチブックなんかは無い。せっかくだからスケッチしたかったのだがこればかりは仕方が無い。できる限り鮮明に覚えておこう。

そういえば、スタンドも出せない。夢の中では出そうとした事もなかったが、よく考えてみると不思議だ。スタンドというものは精神の像のはずだ。自分の頭の中でくらい訳ないと思うのだが。

さて、そんな風に僕が体を動かしていると、錆まみれのスピーカーからこれまたひび割れた声が鳴り出す。

『ま、間も無く電車が参りま゛ぁ~す』

『その電車にお゛乗りになりますとーー。あ、あなたは恐ろしい目にあ゛いますよぉー』

恐ろしい目?

ふんっ。悪いけど、僕はこれまでいろんな経験をしてきた。それこそ命の危険があったことや死を覚悟したことだってある。そんなチンケな警告に怯えるはずが無いのだ。

むしろ、そんな挑戦的な台詞に興味が出てきた。『怖いもの見たさ』とも言うが、ここで引いたら岸辺露伴の名が廃る。これでちゃっちい仕掛けだったら大爆笑してやろう。

そもそも、ここは夢の中――つまり僕の脳が作り出しているに過ぎない。もし、危険を感じた時には飛び起きればいいんだ。まぁ、そうなったらしゃくだけどね。

ごめん。タイトル間違ってんじゃん。クソだわ。依頼出してくる。

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